JP2009150535A - 高負荷伝動ベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】センターベルトに積層したカバー帆布の摩耗を大幅に緩和することができるとともに発熱も少なく、ベルトの切断を防止できるとともに、熱によるブロックやセンターベルトの劣化を抑制した高負荷伝動ベルトを提供する。
【解決手段】上下ビーム11、12とセンターピラー13とで囲まれた前記センターベルト3を嵌合装着する嵌合溝8、9を有する複数のブロック2をセンターベルト3の長手方向に沿って所定ピッチで設けてなり、センターベルト3の上下面にカバー帆布10が被覆されている高負荷伝動ベルトにおいて、ブロック2の嵌合溝内でセンターベルト3の下面が当接する部位には熱可塑性樹脂に繊維状補強材の配合量を30質量%未満とした第1樹脂R1を配置してなり、それ以外の部位には熱可塑性樹脂に繊維状補強材を30〜50質量%配合した第2樹脂R2を用いてなる。
【選択図】図4
【解決手段】上下ビーム11、12とセンターピラー13とで囲まれた前記センターベルト3を嵌合装着する嵌合溝8、9を有する複数のブロック2をセンターベルト3の長手方向に沿って所定ピッチで設けてなり、センターベルト3の上下面にカバー帆布10が被覆されている高負荷伝動ベルトにおいて、ブロック2の嵌合溝内でセンターベルト3の下面が当接する部位には熱可塑性樹脂に繊維状補強材の配合量を30質量%未満とした第1樹脂R1を配置してなり、それ以外の部位には熱可塑性樹脂に繊維状補強材を30〜50質量%配合した第2樹脂R2を用いてなる。
【選択図】図4
Description
本発明は、センターベルトの長手方向に沿って多数のブロックを嵌合装着した高負荷伝動ベルトに関する。
ベルト式無段変速装置に使用するベルトは、プーリのV溝幅を変えることによってプーリに巻きかかる有効径を変化させ変速比を調節するような変速プーリに巻きかけて使用するものであって、プーリからの側圧が大きくなるのでベルトは大きな側圧に耐えうるものでなくてはならない。また、無段変速の用途以外にも通常のゴムベルトでは寿命が短くなってしまうような高トルクを伝動する用途には特別に高負荷に耐えうるようなベルトを用いることが好ましい。
そのようなベルトとして使用されるものの中に、センターベルトにブロックを固定してベルト幅方向の強度を高めた高負荷伝動ベルトがあり、具体的な構成としては、心体をゴムなどのエラストマー中に埋設したセンターベルトにボルトやリベットなどの止着材を用いてセンターベルトに使用しているエラストマーよりも比較的硬質なエラストマーからなるブロックを止着固定したものや、特許文献1に示すようにブロックの両側面に溝を有しており、一対のセンターベルトを前記側面に設けた溝に嵌合したようなベルトがある。
このような引張伝動式の高負荷伝動ベルトは、ベルトの走行中にブロックとセンターベルトの間で常に摩擦を生じ、両者間の応力の集中や発熱によりセンターベルトやブロックが劣化するという問題がある。また、このようなベルトの場合、上記のように無段変速の用途として使用されるために、ベルトを巻きかけるプーリの有効径を変化させることによって変速するような仕組みとなっており、ベルトは小プーリ径で用いられることになる。
特に小プーリ径にベルトが巻きかかる際に、センターベルトの内周面側がブロックに挟まれた状態になって応力が集中するとともに大きな摩擦力が発生し、センターベルトを構成するゴムが劣化してクラックが生じたり、ベルト切断の原因となったりしていた。
そこでそのようなセンターベルトにかかる応力の集中を緩和するために特許文献2
には、センターベルトの内周面に設けた凸部上端がブロックの凸部下端位置よりも上に位置するように設定して、ベルトがプーリに巻きかかって屈曲した際にセンターベルトの凸部がブロックによって挟まれることがないようにしたベルトが提案されている。
には、センターベルトの内周面に設けた凸部上端がブロックの凸部下端位置よりも上に位置するように設定して、ベルトがプーリに巻きかかって屈曲した際にセンターベルトの凸部がブロックによって挟まれることがないようにしたベルトが提案されている。
また、特許文献3にはブロックとセンターベルトの嵌合する部分においてセンターベルト内周面に形成する凹部の曲率半径よりブロックの形成する凸部の曲率半径を小さく設定することによって両者の間に隙間を設けるようにしたベルトが開示されている。
また、特許文献4にはブロックとして熱可塑性樹脂に対して炭素繊維などの繊維状補強材と酸化亜鉛ウィスカなどのウィスカ状補強材を配合した樹脂組成物を用いることによって強度を向上させてブロックの軽量化を可能としベルトに作用する遠心力を小さくするといった技術が開示されている。
前記、特許文献2や特許文献3のような構成を採ることで、ベルトの屈曲によってブロックとセンターベルトの間で摩擦が発生するとともに内周面の応力が集中して、センターベルトに亀裂を生じることや、発熱をきたしてゴムなどの材料が劣化するといった問題が発生することは緩和することができる。
しかし、基本的にブロックによって拘束されたセンターベルトが屈曲する、特に小プーリ径にて屈曲することによってより強くブロックとセンターベルトとの間の摩擦が発生して発熱すること、また内周面が大きく圧縮されてどうしても内部発熱が発生し、センターベルトの劣化につながったり、ブロックを構成する樹脂を軟化させてブロックの破損につながったりする問題が解消されない。
また、特許文献4のようにブロックに酸化亜鉛ウィスカなどのウィスカ状補強材を配合した樹脂組成物を用いた場合に、ブロックとセンターベルトとの間で摩擦が起こったときにウィスカ状補強材がセンターベルトの摩耗をより促進するという結果になり、センターベルトの切断といった故障を生じやすくすることにつながっていた。
そこで本発明では、ブロックを構成する樹脂組成物としてウィスカ状補強材を含む樹脂組成物を使用することによってブロックの強度や耐摩耗性を確保することができ、且つベルト走行時にセンターベルトとの間で摩擦が発生したとしてもセンターベルトの摩耗を大幅に緩和することができるとともに発熱も少なく、センターベルトの切断によるベルトの故障を防止できるとともに、熱によるブロックやセンターベルトの劣化を抑制した高負荷伝動ベルトの提供を目的とする。
上記のような目的を達成するために本発明の請求項1では、センターベルトと、上ビームと下ビームとそれらの中央部同士を連結するセンターピラーからなっており、上下ビームとセンターピラーとで囲まれた前記センターベルトを嵌合装着する嵌合溝を有する複数のブロックをセンターベルトの長手方向に沿って所定ピッチで設けてなり、センターベルトの上下面にカバー帆布が被覆されている高負荷伝動ベルトにおいて、ブロックの嵌合溝内でセンターベルトの下面が当接する部位には熱可塑性樹脂に繊維状補強材の配合量を30質量%未満とした第1樹脂を配置してなり、それ以外の部位には熱可塑性樹脂に繊維状補強材を30〜50質量%配合した第2樹脂を用いてなることを特徴とする。
請求項2では、ブロックのセンターベルト下面と当接する部位に配置する第1樹脂の厚みが、ブロックの下ビームの厚みの25〜50%の範囲内である請求項1記載の高負荷伝動ベルトとしている。
請求項3では、嵌合溝内におけるブロックのセンターベルト下面と当接する部位に占める第1樹脂の幅が50〜95%の範囲である請求項1〜2記載の高負荷伝動ベルトとしている。
請求項4では、熱可塑性樹脂が、ポリアミド4.6、ポリアミド9.T、ポリフェニレンサルファイドポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミドのいずれかである請求項1〜3記載の高負荷伝動ベルトとしている。
請求項5では、第2樹脂は熱可塑性樹脂に対して短繊維を1〜60質量%、ウィスカ状補強材を1〜30質量%配合してなる請求項1〜4記載の高負荷伝動ベルト。
請求項6では、センターベルト表面のカバー帆布はベルト長手方向の緯糸もしくはベルト幅方向の経糸の少なくとも一方がアラミド繊維からなる帆布であることを特徴とする。
請求項7では、ブロックの嵌合溝内でセンターベルトの上面が当接する部位にも熱可塑性樹脂に繊維状補強材の配合量を30質量%未満とした第1樹脂を配置してなる請求項1〜6のいずれかに記載の高負荷伝動ベルトとしている。
請求項1では、ブロックのセンターベルト下面と接触する面に用いる第1樹脂を熱可塑性樹脂への繊維状補強材の配合量を30質量%未満としており、ベルト走行時にブロックとセンターベルトとの間で摩擦が発生したとしても、樹脂中のウィスカの配合量を少なく抑えているのでセンターベルト表面の摩耗を少なく抑えることができる。
請求項2によるとブロックのセンターベルト下面と当接する部位に配置する第1樹脂の厚みが、ブロックの下ビームの厚みの25〜50%の範囲内であるとしており、第1樹脂が簡単に摩耗してしまわない程度の厚みを確保するとともに、第2樹脂の厚みも確保して下ビームの強度も十分なものとすることができる。
請求項3では、嵌合溝内におけるブロックのセンターベルト下面と当接する部位に占める第1樹脂の幅が50〜95%の範囲としており、第2樹脂によるセンターベルト表面の摩耗を必要最小限にとどめることができる。
請求項4では、熱可塑性樹脂が、ポリアミド4.6、ポリアミド9.T、ポリフェニレンサルファイドポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミドのいずれかであるとしており、特に好ましくはポリアミド4.6を使用することで、ブロックの射出成形が可能となるほか、センターベルトの摩耗も低減することができる。
請求項5では、第2樹脂は熱可塑性樹脂に対して短繊維を1〜60質量%、ウィスカ状補強材を1〜30質量%配合してなるとしており、プーリからの大きな側圧を受け持ち高負荷を伝達するためのブロックを構成する樹脂として十分な強度をもつものである。
請求項6では、センターベルトの表面のカバー帆布をベルト長手方向の緯糸がアラミド繊維からなる帆布とすることによってベルト走行時にウィスカを配合したブロックとの間で摩擦が生じたとしてもセンターベルトの摩耗を防止することができると共にベルトの切断といった故障を低減することができる。また、発熱を少なくすることもでき、ブロックを構成する樹脂材料の劣化の防止にもなる。
請求項7では、ブロックのセンターベルト上面と接触する面にも、熱可塑性樹脂への繊維状補強材の配合量を30質量%未満とした第1樹脂を配置しており、センターベルト上面において、ベルト走行時にブロックとセンターベルトとの間で摩擦が発生したとしても、樹脂中のウィスカの配合量を少なく抑えているのでセンターベルト表面の摩耗を少なく抑えることができる。
図1は、本発明に係わる高負荷伝動ベルト1の一例を示す斜視概要図であり、図2はその側断面図である。本発明の高負荷伝動ベルト1は、エラストマー4内にロープ状の心体5をスパイラル状に埋設してなる同じ幅の二本のセンターベルト3と、このセンターベルト3に所定ピッチで取り付けられた複数のブロック2とから構成されている。ブロックの側面6、7に嵌合溝8、9を有しており、該嵌合溝にセンターベルト3が装着されている。このブロック2の両側面6、7は、プーリのV溝と接触する傾斜面となっており、駆動されたプーリから動力を受け取って、係止固定されているセンターベルト3を引っ張り、駆動側プーリからの動力を従動側プーリに伝達する。また、センターベルト3の表面にはカバー帆布10がセンターベルト3と一体的に積層配置されている。
ブロック2は、図1に示すように、上ビーム11および下ビーム12と、上下ビーム11、12の中央部同士を連結するセンターピラー13からなっており、ブロック2の両側面には前述のようにセンターベルト3の嵌合溝8、9が形成されており、嵌合溝8、9内の溝上面および溝下面にはセンターベルト3の上面に設けた凹条部15と下面に設けた凹条部16に係合する凸条部17、18が設けられている。
図3は、別のベルトの例であり、ビーム部21の両端から上方に向かって一対のサイドピラー22、23が延びており、このサイドピラー22、23の上端からそれぞれブロック2の中心に向かって延びるロック部24、25が対抗するように設けられている。そして、これらビーム部21、サイドピラー22、23及びロック部24、25によってセンターベルト3が嵌合する嵌合溝20が形成されている。この嵌合溝20に、センターベルト3が、ロック部24、25間の開口部より挿入され装着される。また、ロック部24、25の嵌合溝20側には、凸部27がそれぞれ設けられており、この凸部27が、センターベルト3に所定ピッチで設けられている凹条部26に嵌合する。これによって、センターベルト3は、装着後はブロック2から抜けにくい状態となる。そして、センターベルト3の表面にはカバー帆布10がセンターベルト3と一体的に積層配置されている。
ブロック2は、熱可塑性樹脂に対して短繊維やウィスカ等の補強材が適宜配合された樹脂組成物を用いるが、本発明の特徴部分として、図4に示すように下ビームの上面であって、センターベルト3を装着したときに嵌合溝8、9内でセンターベルトの下面と接触する部位には、繊維状補強材の配合量が30質量%未満の第1樹脂R1を配置しており、それ以外の部分には熱可塑性樹脂に繊維状補強材を30〜50質量%配合した第2樹脂R2を用いている。第1樹脂R1は繊維状補強材の配合量を少なくすることでそれと接触するセンターベルトの摩耗量を少なくしようとするものであり、図5のように少なくともセンターベルトの下面と接触する下ビームの上面に配置するが、センターベルトの上面と接触する上ビームの下面に配置してもよい。
第1樹脂R1は、ブロック2をセンターベルト3に装着してベルトとして走行させたときに、ブロック3とセンターベルト3が互いに摩擦する動きをしても、センターベルト3の表面に被覆したカバー帆布を摩耗させないようにするためにウィスカの配合を極力減らしたものであり、30質量%未満としている。ウィスカをまったく配合しない場合のほうがカバー帆布の摩耗を防止する意味では好ましいが、ブロック側の摩耗が大きくなるので、最も好ましくは30〜50質量%の範囲である。
また、第1樹脂R1は下ビームに部分的に配置するものであるが、厚みを薄くしすぎると早期に摩耗してしまい効果がなくなってしまう問題があり、厚くしすぎると下ビーム中に繊維状補強材の配合量を抑えた第1樹脂R1の割合が多くなって下ビームの強度不足なってしまうので、ある程度の厚み範囲をもたせる必要があり、第1樹脂R1の厚みBは下ビームの高さHの25〜50%の範囲とする。また、下ビーム上面のある程度の部分を第1樹脂R1で被覆していればカバー帆布の摩耗を抑える効果はあるといえるので、必ずしも下ビームの上面全面に配置する必要はなく、下ビーム上面の幅W中に第1樹脂R1の占める幅Aが50〜95%の範囲とし、最低でも半分は第1樹脂R1を配置することが好ましい。
第2樹脂R2は、逆にブロック2全体の強度を保つとともにプーリとの間の摩擦にも耐えうる耐摩耗性をはじめとする物性を必要とするものであり、熱可塑性樹脂に対して繊維状補強材を前記第1樹脂R1よりも多い30〜50質量%の範囲で配合して耐摩耗性などの物性を確保している。
ブロック2に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリアミド4.6、ポリアミド6.6、ポリアミド6、ポリアミド9.T、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリブチレンテレフタレートなどを挙げることができる。なかでもポリアミド4.6を使用することが好ましい。ポリアミド4.6は結晶し樹脂であり、前記熱可塑性樹脂の中でも高温での曲げ剛性及び耐疲労強度に優れ、炭素繊維などの繊維状補強材を添加することで、これらの特性が一層向上するものである。また、射出成形が可能となることから。ブロックの製作を容易に行うこともできるようになる。
本発明で熱可塑性樹脂に配合する繊維状補強材としては、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、綿繊維等を挙げることができ、その中でもブロック2を構成する樹脂として好ましい例であるポリアミド4.6と炭素繊維を組み合わせて用いることによって炭素繊維がポリアミド4.6の吸水性の欠点を改善し、剛性を大幅に向上させることができて、かつポリアミド4.6の有する耐摩耗性や、耐衝撃性、耐疲労性を生かすことができる。炭素繊維の中でも、PAN系炭素繊維を用いることが好ましい。また、炭素繊維と組み合わせてアラミド繊維を配合することによってブロックの靭性が向上し、耐摩耗性や、耐衝撃性を一層向上させることができる。
ここで使用されるPAN系炭素繊維は、熱可塑性樹脂と相性がよく、用いる炭素繊維の長さは1〜5mmのものが好ましい。1mm未満であると、ブロックの補強が十分になされず、また、5mmを越えると樹脂との混練が困難になること、また、混練時に折れて短くなってしまうので好ましくない。
また、繊維状補強材として前記の有機繊維のほかにも酸化亜鉛ウィスカ、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウムウィスカなどの無機繊維を配合してもよい。これらの中では酸化亜鉛ウィスカを用いることが好ましい。酸化亜鉛ウィスカは、テトラポット状に四方に手が伸びた立体形状をしている。この酸化亜鉛ウィスカは、これ単独でも耐熱性、耐摩耗性に優れたものであるが、前述のようにテトラポット状の立体形状をしているため、炭素繊維とともに配合すると、炭素繊維の配向が抑制され、成形時のそりや成形収縮の異方性が改良される。更に、このように炭素繊維の配向を低減できるため、ブロック2の靭性、曲げ剛性などの強度についての異方性も低減することができ、かつ摩擦係数が安定するため、耐摩耗性が向上する。
また、酸化亜鉛ウィスカは、高比重、高剛性であるため、プーリとの接触時の振動を低減でき、ノイズの発生を小さくすることができる。尚、この酸化亜鉛ウィスカの配合量が少ない場合は、添加した効果が発現せず、多すぎると、混練ができなくなり成形事態が困難となる。
このような材料構成とすることによって、プーリと接する際に受ける側圧にも十分に耐えうる剛性、靭性などの強度を有するとともに、耐摩耗性に優れ更には、摩擦時に発生する熱に対しても強いブロックとすることが可能となり、プーリから受ける動力を効率よくセンターベルト3に引張力として伝えることができ、引張伝動式の高負荷伝動ベルトを構成することができる。
但し、繊維状補強材で補強した樹脂は高い強度を有している分、摩擦した相手材を摩耗させることになる。本発明においては、前述もしたように少なくとも下ビームの上面においては繊維状補強材の配合量が30%未満の第1樹脂を配置しており、その面と接触し、ベルと走行時に摩擦を繰り返すセンターベルト表面のカバー帆布の摩耗量を低減するようにしている。
そうすることによってブロック全体としてはプーリからの側圧に耐えて、高トルクを伝達することができる強度を有しており、且つ、センターベルトと摩擦を繰り返してもカバー帆布を摩耗させることなく早期の切断といった故障を防止することができ、より寿命の長いベルトとすることができる。
また、第2樹脂は第1樹脂に比べて繊維状補強材を多く配合して曲げ強度、耐摩耗性などの高いものであることが求められ、繊維状補強材の配合量は30〜50質量%の範囲としているが、より具体的にはアラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、綿繊維などのような有機繊維からなる短繊維は1〜60質量%、酸化亜鉛ウィスカ、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウムウィスカなどの無機繊維からなるウィスカ状の補強材は1〜30質量%の割合で配合することが好ましい。このような材料構成とすることによって、プーリと接する際に受ける側圧にも十分に耐えうる剛性、靭性等の強度を有するとともに、耐摩耗性に優れ、更には、摩擦時に発生する熱に対しても強いブロックとすることが可能となり、プーリから受ける動力を効率よくセンターベルト3に引張力として伝えることができ、引張伝動式の高負荷伝動ベルトを構成することができる。
ブロックを構成する樹脂には前記の繊維状補強材のみならず、二硫化モリブデン、グラファイト、フッ素系樹脂などを混入してブロックの潤滑性を向上させることができる。フッ素系樹脂としては、ポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化エチレンプロピレンエーテル、4フッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化アルコキシエチレンなどが挙げられる。
センターベルト3を構成するエラストマー4として使用されるものは、クロロプレンゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水素化ニトリルゴムなど通常伝動ベルトに用いられる種類のゴムの単一材もしくはこれらを適宜ブレンドしたゴム、あるいはポリウレタンなどを挙げることができる。該ゴム中に埋設する心体5としてはポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維などの有機繊維、ガラス繊維、スチールワイヤなどの無機繊維を挙げることができる。また、心体5はロープをスパイラル状に埋設するもの以外にも、上記の繊維の織布、編布や金属薄板などを使用することもできる。
次に本発明の範囲に含まれる実施例のベルトと本発明の範囲から外れる比較例のベルトを作成し、それぞれのベルトを同じ条件で走行させて故障が発生するまでの時間を測定するとともに、その故障現象を確認した。
(実施例)
実施例のベルトとしては、水素化ニトリルゴムからなるベルト本体にアラミド繊維からなる心線を埋設したセンターベルトを用い、表面にはアラミド繊維をベルト長手方向の緯糸とし、経糸をポリアミド繊維としたカバー帆布を被覆したものを使用した。ブロックとしてはポリアミド4.6に対して炭素繊維を5質量%配合した樹脂組成物を第1樹脂として、ポリアミド4.6に対して炭素繊維を30質量%配合するとともにチタン酸カリウムウィスカを10質量%配合した樹脂組成物を第2樹脂として使用した。また第1樹脂は下ビーム上面の全面に配置し、その厚みは下ビーム全高さに対して15%の厚みになるように設定した。
実施例のベルトとしては、水素化ニトリルゴムからなるベルト本体にアラミド繊維からなる心線を埋設したセンターベルトを用い、表面にはアラミド繊維をベルト長手方向の緯糸とし、経糸をポリアミド繊維としたカバー帆布を被覆したものを使用した。ブロックとしてはポリアミド4.6に対して炭素繊維を5質量%配合した樹脂組成物を第1樹脂として、ポリアミド4.6に対して炭素繊維を30質量%配合するとともにチタン酸カリウムウィスカを10質量%配合した樹脂組成物を第2樹脂として使用した。また第1樹脂は下ビーム上面の全面に配置し、その厚みは下ビーム全高さに対して15%の厚みになるように設定した。
このベルトを用いて、表1に示す走行条件で走行させて故障が発生するまでの時間を測定するとともに、故障現象観察した。その結果を表2に示す。
(比較例)
比較例のベルトとしては、実施例と同様に水素化ニトリルゴムからなりアラミド繊維からなる心線を埋設したセンターベルトを使用し、表面にはアラミド繊維をベルト長手方向の緯糸とし、経糸をポリアミド繊維としたカバー帆布を被覆したものを使用した。ブロックとしては単一の樹脂組成物で構成しており、その配合は実施例における第2樹脂と同様のポリアミド4.6に対して炭素繊維を30質量%配合するとともにチタン酸カリウムウィスカを10質量%配合した樹脂組成物を用いた。
比較例のベルトとしては、実施例と同様に水素化ニトリルゴムからなりアラミド繊維からなる心線を埋設したセンターベルトを使用し、表面にはアラミド繊維をベルト長手方向の緯糸とし、経糸をポリアミド繊維としたカバー帆布を被覆したものを使用した。ブロックとしては単一の樹脂組成物で構成しており、その配合は実施例における第2樹脂と同様のポリアミド4.6に対して炭素繊維を30質量%配合するとともにチタン酸カリウムウィスカを10質量%配合した樹脂組成物を用いた。
このベルトを用いて、表1に示す走行条件で走行させて故障が発生するまでの時間を測定するとともに故障現象を観察した。その結果を表2に示す。
表2の結果からわかるように、実施例のベルトでは1000時間走行しても異常が発生しないのに対して、比較例では500時間にてカバー帆布は摩耗してしまいセンターベルトを構成するエラストマー部にクラックが発生して寿命にいたっており、本発明のように繊維状補強材の配合量の少ない第1樹脂をセンターベルトとの接触面である下ビームの上面に配置することで、カバー帆布の摩耗を抑えることができセンターベルトにクラックが発生する故障現象を防止し、寿命の長いベルトとすることができる。
自動車や自動二輪車、農業用機械の駆動用ベルト、特にプーリの有効径が変化する大トルクを伝達するような無段変速装置に好適に使用することができる。
1 高負荷伝動ベルト
2 ブロック
3 センターベルト
4 エラストマー
5 心線
6 側面
7 側面
8 嵌合溝
9 嵌合溝
10 カバー帆布
11 上ビーム部
12 下ビーム部
13 センターピラー
15 凹条部
16 凹条部
17 凸条部
18 凸条部
R1 第1樹脂
R2 第2樹脂
2 ブロック
3 センターベルト
4 エラストマー
5 心線
6 側面
7 側面
8 嵌合溝
9 嵌合溝
10 カバー帆布
11 上ビーム部
12 下ビーム部
13 センターピラー
15 凹条部
16 凹条部
17 凸条部
18 凸条部
R1 第1樹脂
R2 第2樹脂
Claims (7)
- センターベルトと、上ビームと下ビームとそれらの中央部同士を連結するセンターピラーからなっており、上下ビームとセンターピラーとで囲まれた前記センターベルトを嵌合装着する嵌合溝を有する複数のブロックをセンターベルトの長手方向に沿って所定ピッチで設けてなり、センターベルトの上下面にカバー帆布が被覆されている高負荷伝動ベルトにおいて、ブロックの嵌合溝内でセンターベルトの下面が当接する部位には熱可塑性樹脂に繊維状補強材の配合量を30質量%未満とした第1樹脂を配置してなり、それ以外の部位には熱可塑性樹脂に繊維状補強材を30〜50質量%配合した第2樹脂を用いてなることを特徴とする高負荷伝動ベルト。
- ブロックのセンターベルト下面と当接する部位に配置する第1樹脂の厚みが、ブロックの下ビームの厚みの25〜50%の範囲内である請求項1記載の高負荷伝動ベルト。
- 嵌合溝内におけるブロックのセンターベルト下面と当接する部位に占める第1樹脂の幅が50〜95%の範囲である請求項1〜2のいずれかに記載の高負荷伝動ベルト。
- 熱可塑性樹脂が、ポリアミド4.6、ポリアミド9.T、ポリフェニレンサルファイドポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミドのいずれかである請求項1〜3のいずれかに記載の高負荷伝動ベルト。
- 第2樹脂は熱可塑性樹脂に対して短繊維を1〜60質量%、ウィスカ状補強材を1〜30質量%配合してなる請求項1〜4のいずれかに記載の高負荷伝動ベルト。
- センターベルトのカバー帆布がベルト長手方向の緯糸もしくはベルト幅方向の経糸の少なくとも一方がアラミド繊維からなる帆布である請求項1〜5のいずれかに記載の高負荷伝動ベルト。
- ブロックの嵌合溝内でセンターベルトの上面が当接する部位にも熱可塑性樹脂に繊維状補強材の配合量を30質量%未満とした第1樹脂を配置してなる請求項1〜6のいずれかに記載の高負荷伝動ベルト。
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2008
- 2008-11-25 JP JP2008299975A patent/JP2009150535A/ja active Pending
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