以下、上述した目的を達成するのに適した手段について説明する。
手段1:遊技球を貯留する遊技球タンクと同遊技球タンクの下部流出口から遊技球払い出し機構へ遊技球を流下させるタンクレールとを有する遊技球流路部に、当該遊技球流路部に振動を与えつつ音声を出力する音声出力手段を具備することを特徴とする遊技機。手段1によれば、遊技球流路部は、遊技球を貯留する遊技球タンクと、同遊技球タンクの下部流出口から遊技球払い出し機構へ遊技球を流下させるタンクレールとを有している。そして、音声出力手段は、遊技球流路部に振動を与えつつ音声を出力する。すると、この振動が遊技球タンク内の遊技球やタンクレール内の遊技球に伝えられるので、遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球は滞留せず、遊技球の流下が促進される。したがって、音声を出力する手段を利用することにより別途遊技球流路部に振動を与える装置を設置する必要がなく、遊技球タンク内やタンクレール内にて玉詰まり現象を生じさせないようにすることが可能となる。
手段2:上記手段1に記載の遊技機において、上記音声出力手段は、ピエゾスピーカを備えることを特徴とする遊技機。手段2によれば、音声出力手段の一例を提供することができる。ここで、ピエゾスピーカは、音声出力する際に大きな振動を生じさせるので、効果的に遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球の流下を促進させることができる。むろん、ピエゾスピーカにより音声出力手段を構成するのは一例にすぎず、遊技球流路部に振動を与えつつ音声を出力するものであれば音声出力手段を構成することが可能であるため、他のスピーカ等を使用してもよい。
手段3:上記手段2に記載の遊技機において、上記ピエゾスピーカは、上記遊技球タンクとタンクレールのいずれかまたは組み合わせに接して装着されていることを特徴とする遊技機。手段3によれば、ピエゾスピーカからの振動が効率よく遊技球タンクやタンクレールに伝えられるので、より効果的に遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球の流下を促進させることができる。むろん、遊技機の構造に応じて、ピエゾスピーカを遊技球タンクやタンクレールに接しないように遊技球流路部に装着して同ピエゾスピーカからの振動を間接的に遊技球タンクやタンクレールに対して伝えるようにすることも可能である。
手段4:上記手段2または手段3のいずれかに記載の遊技機において、上記ピエゾスピーカは、上記遊技球タンクにおける上記下部流出口の近傍に装着されていることを特徴とする遊技機。手段4によれば、ピエゾスピーカの取り付け位置の一例を提供することができる。ここで、玉詰まり現象は遊技球タンクの下部流出口からタンクレールの遊技球導入部位にかけて生じやすいので、より確実に玉詰まり現象を生じさせないようにすることが可能となる。
手段5:上記手段2または手段3のいずれかに記載の遊技機において、上記ピエゾスピーカは、上記タンクレールにおける上記下部流出口に対面する遊技球導入部位の近傍に装着されていることを特徴とする遊技機。手段5によっても、ピエゾスピーカの取り付け位置の一例を提供することができ、上述した理由により、より確実に玉詰まり現象を生じさせないようにすることが可能となる。むろん、遊技機の構造に応じてピエゾスピーカを様々な位置に装着することができ、遊技球の流下を促進させることができる。
手段6:上記手段2〜手段5のいずれかに記載の遊技機において、上記ピエゾスピーカは、上記遊技球タンクとタンクレールのいずれかまたは組み合わせに対してリベットにより取り付けられていることを特徴とする遊技機。手段6によれば、ピエゾスピーカの取り付け構造の一例を提供することができる。ここで、例えば遊技球タンクやタンクレールの側面とピエゾスピーカとを貫通させたリベットの端部に頭を形成すると、ピエゾスピーカから大きな振動が生じてもリベットは脱落しない。したがって、ピエゾスピーカは取り付け位置から外れてしまうことがない。
手段7:上記手段2〜手段5のいずれかに記載の遊技機において、上記ピエゾスピーカは上記遊技球タンクとタンクレールのいずれかまたは組み合わせに対して着脱可能なねじにより取り付けられるとともに、当該ねじの抜け止めを図る抜け止め機構が設けられていることを特徴とする遊技機。手段7によっても、ピエゾスピーカの取り付け構造の一例を提供することができる。ここで、ピエゾスピーカを取り付けるねじには抜け止め機構が設けられているので、ピエゾスピーカから大きな振動が生じてもねじは脱落しない。したがって、ピエゾスピーカは取り付け位置から外れてしまうことがない。
手段8:上記手段2〜手段5のいずれかに記載の遊技機において、上記遊技球タンクとタンクレールのいずれかまたは組み合わせは、上記ピエゾスピーカを密着させて収容する収容ポケットを備えることを特徴とする遊技機。手段8によれば、ピエゾスピーカは収容ポケットに密着して収容されると、生じる振動を収容ポケットから遊技球タンクやタンクレールに伝えることができる。すなわち、ピエゾスピーカを遊技球タンクやタンクレールに装着する際に収容ポケットに収容するだけでよいので、ピエゾスピーカの交換が容易となる。
手段9:上記手段2〜手段8のいずれかに記載の遊技機において、上記ピエゾスピーカは、上記遊技球タンクとタンクレールのいずれかまたは組み合わせに対して装着位置を変更可能に装着されていることを特徴とする遊技機。手段9によれば、ピエゾスピーカの装着位置を変更することが可能である。したがって、例えば遊技球の流れに応じてピエゾスピーカの装着位置を調整することが可能となり、利便性が向上する。
手段10:上記手段1〜手段9のいずれかに記載の遊技機において、上記音声出力手段は、上記遊技球タンクとタンクレールのいずれかまたは組み合わせを共振させる周波数の音を音声出力することを特徴とする遊技機。手段10によれば、遊技球タンクやタンクレールに与えられた振動は、共振することにより大きくなる。したがって、より効果的に遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球の流下を促進させることができる。
手段11:上記手段10に記載の遊技機において、上記音声出力手段は、上記タンクレールにおける遊技球の流下方向と略平行な両側面を共振させる周波数の音を音声出力することを特徴とする遊技機。手段11によれば、タンクレールに与えられた振動は同タンクレールの両側面にて共振することにより大きくなるので、より効果的に遊技球流路部内の遊技球の流下を促進させることができる。この場合、音声出力手段をタンクレールの側面に装着すると、同音声出力手段からの振動が直接タンクレールの側面に伝えられるので、さらに効果的に遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球の流下を促進させることができる。むろん、音声出力手段からは、遊技球タンクにおけるタンクレール内の遊技球の流下方向と略平行な両側面を共振させる周波数の音を音声出力するようにしてもよい。すると、遊技球タンクに与えられる振動は同遊技球タンクの両側面にて共振することにより大きくなるので、この場合でもより効果的に遊技球流路部内の遊技球の流下を促進させることができる。
手段12:上記手段10または手段11のいずれかに記載の遊技機において、上記音声出力手段は、上記タンクレールの底面と上記遊技球タンクの底面とを共振させる周波数の音を音声出力することを特徴とする遊技機。手段12によれば、遊技球タンクやタンクレールに与えられた振動は、タンクレールの底面と遊技球タンクの底面とにて共振することにより大きくなる。したがって、手段12によっても、より効果的に遊技球流路部内の遊技球の流下を促進させることができる。
手段13:上記手段1〜手段12のいずれかに記載の遊技機において、上記音声出力手段は、本遊技機の動作が正常でないことを報知する報知音を音声出力することを特徴とする遊技機。手段13によれば、本遊技機の動作が正常でないことを報知する報知音を音声出力する手段を利用して本発明にいう音声出力手段を構成することができるので、構造が複雑とならない。
手段14:上記手段13に記載の遊技機において、上記遊技球流路部の玉詰まりを検出する玉詰まり検出手段が設けられ、上記音声出力手段は、上記玉詰まり検出手段にて玉詰まりが検出されたときに報知音を音声出力することを特徴とする遊技機。手段14によれば、遊技球流路部に玉詰まりが生じると、玉詰まり検出手段にて玉詰まりが検出され、音声出力手段から報知音が音声出力される。すると、遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球に音声出力に伴う振動が伝えられる。したがって、玉詰まり現象が生じたときに音声出力手段から報知音の音声出力に伴う振動により玉詰まり現象を解消することが可能となる。
手段15:上記手段14に記載の遊技機において、上記遊技球払い出し機構は、払い出す遊技球の数を計数する計数カウンタを有し、入力される払い出し数に応じて同計数カウンタにて遊技球を計数しながら遊技球を払い出し、上記玉詰まり検出手段は、上記遊技球払い出し機構に対して上記払い出し数を出力するとともに、同払い出し数と上記計数カウンタにて計数された遊技球の数とに基づいて上記遊技球流路部の玉詰まりを検出することを特徴とする遊技機。手段15によれば、玉詰まり検出手段が遊技球払い出し機構に対して払い出し数を出力すると、遊技球払い出し機構は入力される払い出し数に応じて計数カウンタにて遊技球を計数しながら遊技球を払い出す。ここで、玉詰まり検出手段は、払い出し数と計数カウンタにて計数された遊技球の数とに基づいて遊技球流路部の玉詰まりを検出する。すなわち、遊技球払い出し機構の計数カウンタを利用して玉詰まりを検出することができ、玉詰まり現象が生じたときに音声出力手段から報知音の音声出力に伴う振動により玉詰まり現象を解消することが可能となる。
手段16:上記手段1〜手段15のいずれかに記載の遊技機において、上記音声出力手段は、上記遊技球を払い出す条件が成立したときに音声を出力することを特徴とする遊技機。手段16によれば、遊技球を払い出す条件が成立したときに遊技球流路部に音声出力手段からの振動が与えられる。遊技球流路部での玉詰まり現象は遊技球を払い出す条件が成立したときに生じやすいので、効率よく遊技球流路部での遊技球の流下を促進させることができる。
手段17:上記手段1〜手段16のいずれかに記載の遊技機において、上記音声出力手段は、遊技の状況が所定の状態であると判定したときに音声を出力することを特徴とする遊技機。手段17によれば、遊技の状況が所定の状態である場合に遊技球流路部に音声出力手段からの振動が与えられる。したがって、遊技球流路部での玉詰まり現象が生じやすい状態になったと判定されるときに音声出力手段から音声を出力するようにすると、効率よく遊技球流路部での遊技球の流下を促進させることができる。ここで、所定の状態の一例として、上記音声出力手段は、遊技の状況が所定の大当たり状態であると判定したときに音声を出力するようにしてもよい。遊技球流路部での玉詰まり現象は特に遊技の状況が大当たり状態となった場合に生じやすいので、玉詰まり現象が生じやすい状況となったときに遊技球流路部での遊技球の流下を促進させることができる。むろん、音声出力手段は遊技機に応じて様々な状態と判定したときに音声を出力するようにすることができ、例えば、大当たり状態の手前のいわゆるリーチ状態でも遊技球流路部での玉詰まり現象は生じやすいので、同リーチ状態であると判定したときに音声を出力するようにしてもよい。
手段18:上記手段1〜手段17のいずれかに記載の遊技機において、上記音声出力手段は、遊技の状況に応じた遊技音を音声出力することを特徴とする遊技機。手段18によれば、遊技の状況に応じた遊技音を音声出力する手段を利用して本発明にいう音声出力手段を構成することができる。したがって、遊技機の構造が複雑とならない。むろん、遊技機の動作が正常でないことを報知する報知音を音声出力する手段と併用することも可能であることは言うまでもない。
次に、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)本発明の遊技機を適用したL枠遊技機の概略構成:
(2)遊技球タンク、タンクレールの説明:
(3)ピエゾスピーカの説明:
(4)本発明の作用:
(5)ピエゾスピーカの装着位置に関する変形例:
(6)ピエゾスピーカの装着構造に関する変形例:
(7)第二の実施形態:
(8)遊技球流路部を共振させる位置に関する変形例:
(9)第三の実施形態:
(1)本発明の遊技機を適用したL枠遊技機の概略構成:図1は、本発明の第一の実施形態にかかる遊技機を正面から見て示している。なお、本遊技機は、大型の遊技領域を有するL枠遊技機である。図において、金属製外枠10は、鋼材をプレス加工して形成されている。この外枠10は、矩形板状の金属製本体枠20よりも僅かに大きいサイズの矩形開口10aを有している。この本体枠20は、矩形開口10aの左端にて枢支されており、図示しない回転軸を中心に回動し、外枠10に対して開閉可能かつ着脱可能に装着されている。本体枠20も、鋼材をプレス加工して形成されている。この本体枠20の上部には、矩形板状の遊技板30が取り付けられている。また、本体枠20の下部には、遊技球の発射機構40と、概略矩形形状に形成された樹脂製流路板50とが取り付けられている。さらに、流路板50の前面側にて下皿70が本体枠20に取り付けられている。
遊技板30の前面には、下端中央から右巻きに概略一回転する外枠レールが前方へ立設されており、この外枠レールに取り囲まれる略円形の領域が遊技領域31となっている。この遊技領域31には、図示していないが、多数の釘や、複数の入賞口や、入賞しなかった遊技球をアウト球として回収するアウト球回収口や、遊技の状況を表示する表示装置などが配設されている。遊技板30の前面側には、樹脂製前面枠60が本体枠20の左端にて枢支されている。この前面枠60には、遊技領域31を臨むガラス枠61、ガラス枠61の周囲を取り囲むように配置される装飾ランプ62、上皿63が設けられている。また、前面枠60の前方には、発射機構40の一部を構成する発射ハンドル41が取り付けられている。発射機構40は、発射ハンドル41の回転量に応じて遊技球を発射棹にて打ち出し、遊技板30に向けて放出する。放出された遊技球は、流路板50の前面側に取り付けられた遮蔽板と一対の仕切板とで囲まれた発射経路を通過した後、遊技板30の前面側に立設された外側レールと内側レールとの間を通り抜けて、遊技領域31に投入されるようになっている。
図2は本L枠遊技機を背面から見て示す背面図であり、図3は図1の右側から見て示す右側面図である。遊技板30の背面側では、矩形筺状の樹脂製機構板80が本体枠20の図2における右端上部にて枢支され、矩形筺状の樹脂製基板ベース90が本体枠20の図2における右端下部にて枢支されている。基板ベース90は、図2の右端において本体枠20の背面との間に設けられたヒンジ金具により支持されており、このヒンジを支軸として、同図における紙面手前側へ開閉可能となっている。この基板ベースの前面側には、各種制御基板や電源回路が収容されている。
機構板80も、図2の右端において本体枠20の背面との間に設けられたヒンジ金具により支持されており、このヒンジを支軸として、同図における紙面手前側へ開閉可能となっている。機構板80には遊技板30に配置された液晶ディスプレイや制御基板などを背面側から覆うカバーとしての役割を果たすカバー部81が形成されており、このカバー部81の上方に遊技球流路部100が設けられ、同カバー部81の右方に払い出し装置ユニット82が設けられている。カバー部81は、前面側に開口を有する矩形筺体により構成されており、遊技板30を背面側から覆っている。本実施形態では、遊技板30に取り付けられたメイン基板をカバー部81が覆う構造となっているが、メイン基板を点検する際に機構板80の開閉を不要にさせるため、メイン基板を覆わないようにカバー部を形成してもよい。
払い出し装置ユニット82は、計数カウンタ82a1により払い出す遊技球の数を計数しながら所定数の遊技球を下方に向かって払い出す遊技球払い出し機構82a、タンクレール140からの遊技球を遊技球払い出し機構82aに誘導するカーブ状に設けられた流路82b、遊技球払い出し機構82aから払い出された遊技球を上皿63や下皿70に誘導する流路82cを備えている。遊技球払い出し機構82aは、内蔵するモータの回転により、遊技球を1個単位で放出可能となっている。そして、カバー部81の上方に装着された遊技球タンク120から下方へ流出する遊技球が、タンクレール140内を図2の左側から右側へ移動し、払い出し装置ユニット82内を流下して上皿63や下皿70に払い出されるようになっている。
(2)遊技球タンク、タンクレールの説明:カバー部81の上方に設けられた遊技球流路部100は、遊技球を貯留する遊技球タンク120と、遊技球タンク120の下部流出口から払い出し装置ユニット82の遊技球払い出し機構82aへ遊技球を流下させるタンクレール140とを有している。図4は同遊技球タンク120とタンクレール140を背面から見て示す背面図であり、図5は図4の左斜め上の方向から機構板80とともに見て示す要部斜視図であり、図6は遊技球タンク120を上面から見て示す上面図である。遊技球タンク120は、上が略矩形状に広く開口し、底部の傾斜下端(図4の左側)に略矩形状の下部流出口121が設けられた略箱型形状とされている。下部流出口121は、前後方向においてやや中間よりとされ、タンクレール140の上方に配置されている。
この遊技球タンク120は、両側端に取付片122a,122bが一体的に形成されており、図4の右側の取付片122aが機構板80の固定ポケット80aに挿入されて支持され、左側の取付片122bが機構板80にビス止めされている。したがって、遊技球タンク120を機構板80に密接させて取り付ける際には、右側の取付片122aを固定ポケット80aに挿入して左側の取付片122bを機構板80にビス止めするだけでよい。また、遊技球タンク120を取り外す際には、左側の取付片122bの部位にあるビスを外すだけで容易に取り外すことができる。このように、遊技球タンク120は機構板80に対して着脱が容易となっているので、使用に伴い摩耗が目立ってきたときでも素早く遊技球タンク120を交換することが可能である。
遊技球タンク120の底面部123は図4の左側の下部流出口121に向かって下側となるような傾斜面となっており、適宜供給されて貯留される遊技球が下部流出口121に向かって流れるようになっている。底面部123には、検知板やマイクロスイッチからなる玉切れセンサ124が取り付けられている。玉切れセンサ124の検知板は、底面部123に沿った上面を有し、先端部124aを下部流出口121に向けて、先端部124aとは反対側の軸着部124bにて遊技球タンク120の底部に軸着されている。同検知板の先端部124aは上下方向に微動可能であり、玉切れセンサ124のマイクロスイッチは検知板の動きによってオンオフし、遊技球タンク120内の遊技球が玉切れ状態かどうかを検知する。
図7は、タンクレール140を図4のA方向から見て示した断面図である。図4、図5、図7に示すように、タンクレール140は、遊技球を二列にして下流側に案内するものであり、遊技球タンクの下部流出口121側を上流側端部140a、払い出し装置ユニット82側を下流側端部140bとして、底面に緩やかな傾斜が付けられている。本実施形態のタンクレール140は、L枠遊技機に使用するため、L枠でない遊技機に使用するタンクレールよりも傾斜が緩くなっている。なお、本発明を適用可能なタンクレールは様々あり、三列等、二列以外にして下流側に案内するものであってもよい。同タンクレール140は、遊技球タンク120の下方にて、機構板80にビス止めされている。遊技球タンクの下部流出口121に対面する遊技球導入部位141が図4の左側に設けられており、タンクレールの底面部142は、遊技球導入部位141側から払い出し装置ユニット82側(図4の右側)に向かって徐々に低くなるように傾斜した板状に形成されている。
底面部142からは、遊技球の流下方向に対して略平行となるように前後両側の縁部から上方に向かって板状に延出した一対の側面部143,144や、一対の側面部143,144で挟まれた通路を前後に区画する仕切部145が形成されている。また、上流側の縁部は、上方に曲げられて延出した上流側端面部146が形成されている。さらに、底面部142における遊技球導入部位141の下部から下方に延出するとともに、上流側端面部146から上流側に延出した取付部147が立設されている。なお、取付部147は、上流側端面部146から上流側に延出した部位とつながっており、同部位に形成された穴147aにて機構板80にビス止め可能となっている。ここで、タンクレール140の下流側端部140bの下部からは、下方に向かって凸部149が形成されている。この凸部149には貫通穴149aが形成されており、機構板80からタンクレール140側の背面方向に突出して設けられる軸支ピンにてタンクレールの下流側端部140bが軸支されるようになっている。また、穴147aは貫通穴149aまでの位置が略等距離となるように略上下方向に長くなった形状に形成されており、ビス止めの位置に応じてタンクレール140の傾きを調整可能となっている。
タンクレール140を機構板80に密接させて取り付ける際には、下流側端部140bの貫通穴149aを軸支ピンにて回動可能に機構板80に取り付け、取付部の穴147aを機構板80にビス止めするだけでよい。また、タンクレール140を取り外す際には、取付部の穴147aを貫通したビスを外すだけで容易に機構板80から取り外すことができる。このように、遊技球タンク120とともにタンクレール140も機構板80に対して着脱が容易となっているので、使用に伴い摩耗が目立ってきたときでも素早くタンクレール140を交換することが可能である。なお、タンクレール140本体は樹脂製であり、上述した底面部142、側面部143,144、仕切部145、上流側端面部146、取付部147は、すべて一体的に成形されるようになっている。むろん、これらの部材を別々に形成して接合し、タンクレール本体を形成してもよい。
側面部143,144の間に仕切部145を設けたことにより、前後方向に2本の溝が形成されることになる。ここで、各溝の幅は遊技球の直径よりも若干大きくしてあり、タンクレール内を流下する遊技球は2条に整列させられることになる。また、各溝内で遊技球が上下に積み重ならないようにするため、タンクレール140の下流側には仕切部145の上部に球均し板148を設けている。この球均し板148は、側面部143,144間を架け渡した支持ピンに支持されており、下流側に向かって底面部142との上下間隔が小さくなるように設けられている。ここで、タンクレールの下流側端部140bでは、底面部142との間隔が遊技球の直径よりも若干大きい程度とされているので、タンクレール140から流出する遊技球は、上下方向に積み重ならずに払い出し装置ユニット82まで流下する。そして、遊技球払い出し機構82aが遊技球を払い出すと、遊技球タンク120から流入する遊技球がタンクレール140の底面に沿って下流側に流下し、流路82bを介して遊技球払い出し機構82aに導かれる。
ところで、従来の遊技機では、図31で示したように、遊技球タンクの下部流出口に対面するタンクレールの遊技球導入部位において、鉛直方向から若干斜めの向きに複数の遊技球が直線状に並んだまま動かなくなるという、玉詰まり現象が生じることがあった。特に、L枠遊技機では、遊技球タンクやタンクレールを設置する空間が少ないため、タンクレールの底面の傾斜を緩くせざるを得ず、玉詰まり現象が生じやすくなる。そこで、遊技球流路部にピエゾスピーカ(圧電スピーカ)を装着し、遊技球流路部100に振動を与えつつ音声を出力させることにより、遊技球タンク120内やタンクレール140内の遊技球の流下を促進させるようにしている。
(3)ピエゾスピーカの説明:図8は、タンクレールの遊技球導入部位141の近傍にピエゾスピーカ160を装着する様子を前面から臨んで右斜め上の方向から見て示す分解斜視図である。図に示すように、ピエゾスピーカ160は、表側(図の手前側)を前面側に向け、遊技球導入部位141の近傍にてタンクレール140の前面側の側面部143に接して装着されるようになっている。ピエゾスピーカ160は、円盤形状とされており、タンクレール140への装着位置において直径が同タンクレール140の高さとほぼ等しくなるようにしている。むろん、ピエゾスピーカ160の大きさは、遊技球タンクとタンクレールの構造や、遊技球の流れに応じて適宜決めることができ、より大きなピエゾスピーカを採用してもよいし、より小さなピエゾスピーカを採用してもよい。円盤形状とされたピエゾスピーカ160の中心部には、表側から裏側まで貫通した貫通穴161が形成されている。この貫通穴161は、リベット170を貫通させることが可能であるとともに、同リベット170の頭170aを掛止させるようになっている。なお、ピエゾスピーカ160の装着位置に対応して機構板80に図示しない貫通穴が形成されており、ピエゾスピーカ160からの音声は同貫通穴を通して前面方向へ伝えられるようになっている。
また、貫通穴161を中心としてピエゾ素子162が略ドーナツ形状に形成されており、同ピエゾ素子162はリード線163,163から入力される電圧信号に応じてピエゾ効果により音声を出力する。ここで、ピエゾ素子162は、入力される電圧信号に応じて結晶が伸縮することにより音声を出力するため、音声出力する際に大きな振動を生じるようになっている。図9に示すように、ピエゾスピーカ160は、リード線163,163を介して音声出力回路C6に接続されている。音声出力回路C6は、各種遊技音のパターンを内蔵した図示しない音声出力ICを中心として各種抵抗器やコンデンサ等から構成される回路であり、遊技音を選択する信号を入力してピエゾスピーカ160に対して所定の遊技音の電圧信号を出力する回路である。遊技板30に取り付けられたメイン基板ではバスC1にCPUC2、ROMC3、RAMC4、インターフェイス回路C5等が接続されており、音声出力回路C6はメイン基板のインターフェイス回路C5に接続されている。CPUC2は、ROMC3に記憶された制御プログラムに基づいてRAMC4をワークエリアとして利用しながら各部を制御するとともに、インターフェイス回路C5を介して音声出力回路C6に対して遊技の状況に応じた信号を出力し、遊技音を音声出力させるようにしている。すると、音声出力回路C6により、ピエゾスピーカ160は遊技の状況に応じた遊技音を音声出力する。このように、ピエゾスピーカ160は、音声出力回路C6やメイン基板とともに、遊技球流路部に振動を与えつつ音声を出力する音声出力手段を構成する。
さらに、図示していないが、ピエゾスピーカ160の裏側には貫通穴161を中心として略ドーナツ形状の金属板が取り付けられており、ピエゾスピーカ160は裏側の金属板をタンクレールの側面部143における前面側に当接させてタンクレール140に装着されるようになっている。その結果、ピエゾスピーカ160からの振動は同金属板から側面部143へと伝えられることになる。
同側面部143における遊技球導入部位141近傍には、ピエゾスピーカ160の取り付け位置に合わせて貫通穴143aが設けられている。この貫通穴143aは、ピエゾスピーカの貫通穴161とほぼ同じ内径とされ、リベット170を貫通させることが可能となっている。ピエゾスピーカの貫通穴161をタンクレールの貫通穴143aの位置に合わせ、頭170aを前面側としたリベット170を前面側から貫通穴161、貫通穴143aの順に貫通させ、タンクレール140内にて貫通させたリベット170の端部をプレスして頭を形成すると、図10と図11に示すように、ピエゾスピーカ160はタンクレール140における遊技球導入部位141の近傍に取り付けられる。ここで、図10はタンクレールの遊技球導入部位141の近傍にピエゾスピーカ160を装着した様子を遊技球タンク120とともに前面から臨んで右斜め上の方向から見て示す要部斜視図であり、図11は図10のB方向から見て示す断面図である。このように、ピエゾスピーカ160とタンクレールの側面部143とを貫通させたリベット170の端部170bに頭を形成すると、ピエゾスピーカ160から大きな振動が生じてもリベット170は脱落しない。したがって、ピエゾスピーカ160は取り付け位置から外れてしまうことがない。なお、ピエゾスピーカ160をリベット170によりタンクレール140に取り付ける際には、頭170aを背面側としたリベット170を背面側から貫通穴143a、貫通穴161の順に貫通させ、ピエゾスピーカ160の表側にて貫通させたリベット170の端部をプレスして頭を形成してもよい。また、タンクレールの貫通穴143aにタンクレール内側においてリベットの頭170aを側面部143に挿入させる挿入部を形成し、リベットの頭170aを同挿入部に挿入させてタンクレール内への同頭170aの出っ張りをなくすようにしてもよい。
(4)本発明の作用:以下、本発明の遊技機の作用を説明する。遊技球タンク120には多数の遊技球が貯留されており、図12に示すように、これらの遊技球は遊技球タンク120内で左端にある下部流出口121に向かって流下するようになっている。なお、図は、タンクレール140と遊技球タンク120の要部を一部断面視して背面側から見て示している。遊技球タンクの下部流出口121からタンクレールの遊技球導入部位141に遊技球が流入すると、遊技球は底面部142に沿って上流側端部140aから下流側端部140bに向かって誘導される。
ここで、遊技板30に取り付けられたメイン基板の制御により、ピエゾスピーカ160は遊技球流路部100に振動を与えつつ遊技の状況に応じた遊技音を音声出力する。なお、図中、ピエゾスピーカ160の位置を点線により示している。すると、ピエゾスピーカ160から音声出力の際に生じる振動は、タンクレールの前面側の側面部143に伝えられ、同タンクレール140の遊技球導入部位141の遊技球B1を中心とした複数の遊技球に伝えられる。また、側面部143に伝えられた振動は、同遊技球B1を介してさらに周辺の遊技球にも伝えられる。遊技球タンク120とタンクレール140とは機構板80に取り付けられているので、遊技球導入部位141を中心としてタンクレール140に伝えられた振動は、機構板80を介して遊技球タンク120における下部流出口121を中心とした部位にも伝えられる。すると、遊技球タンク120に伝えられた振動は、下部流出口121を中心とした遊技球タンク120内の遊技球に伝えられる。
このように、遊技球流路部100に設けられたピエゾスピーカ160からの振動は同遊技球流路部100に伝えられるので、遊技球タンク120内やタンクレール140内の遊技球は滞留せず、遊技球の流下が促進される。また、本発明によると、別途電気配線を設けて電動式のバイブレータ等を装着したりする必要がない。したがって、遊技音を出力する回路を利用することにより別途遊技球流路部にバイブレータ等の振動を与える装置を設置する必要がなく、遊技球タンク内やタンクレール内にて玉詰まり現象を生じさせないようにすることが可能となる。さらに、ピエゾスピーカを使用することにより、音声出力する際に大きな振動が生じるので、効果的に遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球の流下を促進させることができる。ここで、玉詰まり現象は遊技球タンクの下部流出口からタンクレールの遊技球導入部位にかけて生じやすいが、ピエゾスピーカは遊技球導入部位近傍においてタンクレールに接して装着されているので、ピエゾスピーカからの振動が効率よくタンクレールに伝えられるとともに、効果的に遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球の流下を促進させることができる。
(5)ピエゾスピーカの装着位置に関する変形例:ところで、ピエゾスピーカは、タンクレールの前面側の側面部以外にも、様々な位置に装着されて遊技球流路部の遊技球の流下を促進させることができる。例えば、タンクレールの背面側の側面部や、底面部にピエゾスピーカを装着してもよい。これらの場合であっても、ピエゾスピーカからの振動は遊技球流路部に伝えられるので、遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球は滞留せず、遊技球の流下が促進される。また、タンクレールの下流側端部にピエゾスピーカを装着してもよい。タンクレールの下流側端部にて玉詰まり現象を生じやすい場合、同下流側端部に装着されたピエゾスピーカからの振動により遊技球の流下を促進させ、下流側端部での玉詰まり現象を生じさせないようにすることが可能となる。
さらに、遊技球タンクにピエゾスピーカを装着してもよい。図13は、変形例にかかる遊技機において、遊技球タンクの下部流出口121の近傍にピエゾスピーカ160を装着する様子を前面から臨んで右斜め上の方向から見て示す分解斜視図である。なお、構成が同じものについては、上述した実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。図に示すように、ピエゾスピーカ160は、表側を前面側に向け、下部流出口121の近傍にて遊技球タンク120の前面側の側面部125における前面側に接して装着されるようになっている。同側面部125における下部流出口121近傍には、ピエゾスピーカ160の取り付け位置に合わせて貫通穴125aが設けられている。この貫通穴125aは、ピエゾスピーカの貫通穴161とほぼ同じ内径とされ、リベット170を貫通させることが可能となっている。なお、ピエゾスピーカ160の装着位置に対応して機構板80に図示しない貫通穴が形成されており、遊技球タンク120を機構板80に取り付けた際にピエゾスピーカ160は同貫通穴に挿入され、音声を同貫通穴から前面方向へ出力するようになっている。
ピエゾスピーカの貫通穴161を遊技球タンクの貫通穴125aの位置に合わせ、リベット170を貫通穴161,125aに貫通させ、貫通させたリベット170の端部をプレスして頭を形成すると、ピエゾスピーカ160は遊技球タンク120における下部流出口121の近傍に取り付けられる。ピエゾスピーカ160から音声出力の際に生じる振動は、遊技球タンクの前面側の側面部125に伝えられ、同遊技球タンク120の下部流出口121近傍の遊技球、さらにその周辺の遊技球に伝えられる。また、遊技球タンク120に伝えられた振動は、機構板80を介してタンクレール140における遊技球導入部位141を中心とした部位にも伝えられ、遊技球導入部位141を中心としたタンクレール140内の遊技球に伝えられる。このように、ピエゾスピーカ160を遊技球タンク120に装着しても、ピエゾスピーカ160からの振動は遊技球流路部に伝えられるので、遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球は滞留せず、遊技球の流下が促進される。ここで、玉詰まり現象は遊技球タンクの下部流出口からタンクレールの遊技球導入部位にかけて生じやすいが、ピエゾスピーカは下部流出口近傍において遊技球タンクに接して装着されているので、ピエゾスピーカからの振動が効率よく遊技球タンクに伝えられ、効果的に遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球の流下を促進させることができる。
ピエゾスピーカを遊技球タンクに装着する場合も、様々な位置に装着して遊技球流路部の遊技球の流下を促進させることができる。例えば、図13において、遊技球タンクの背面側の側面部126や、図示されていない底面部や、下部流出口121側の端部の側面127にピエゾスピーカを装着してもよい。また、遊技球タンクとタンクレールの双方にピエゾスピーカを取り付けてもよい。図14は、変形例にかかる遊技機において、遊技球タンクの下部流出口121の近傍と、タンクレールの遊技球導入部位141の近傍とにピエゾスピーカ160を装着する様子を前面から臨んで右斜め上の方向から見て示す分解斜視図である。なお、構成が同じものについては、上述した実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
図に示すように、ピエゾスピーカ160は、表側を前面側に向け、遊技球タンクの前面側の側面部125とタンクレールの前面側の側面部143とにおける前面側に接して装着されるようになっている。ここで、装着された状態におけるピエゾスピーカ160の上部には、第二のリベット180を貫通させることが可能な第二の貫通穴164が形成されている。タンクレールの側面部143における遊技球導入部位141近傍には、ピエゾスピーカ160の取り付け位置に合わせて貫通穴143bが設けられている。また、下部流出口121近傍であって遊技球タンクの側面部125の下側縁部近傍には、ピエゾスピーカ160の取り付け位置に合わせて貫通穴125bが設けられている。そして、貫通穴143b、125bは、ピエゾスピーカの貫通穴161,164とほぼ同じ内径とされ、リベット170,180を貫通させることが可能となっている。なお、ピエゾスピーカ160の装着位置に対応して機構板80に図示しない貫通穴が形成されており、遊技球タンク120を機構板80に取り付けた際にピエゾスピーカ160は同貫通穴に挿入されるようになっている。
ピエゾスピーカの貫通穴161,164を貫通穴143b,125bの位置に合わせ、リベット170を貫通穴161,143bに貫通させ、第二のリベット180を貫通穴164,125bに貫通させて、貫通させたリベット170,180の端部をプレスして頭を形成すると、ピエゾスピーカ160は遊技球タンク120とタンクレール140とに取り付けられる。ピエゾスピーカ160から音声出力の際に生じる振動は、遊技球タンクの前面側の側面部125とタンクレールの前面側の側面部143とに伝えられ、遊技球タンク120内とタンクレール140内の遊技球に伝えられる。このように、ピエゾスピーカ160を遊技球タンク120とタンクレール140の双方に装着しても、ピエゾスピーカ160からの振動は遊技球流路部に伝えられるので、遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球は滞留せず、遊技球の流下が促進される。この他、複数のピエゾスピーカを遊技球タンクやタンクレールに装着してもよい。また、遊技球タンクやタンクレールとともに遊技球流路部を構成する機構板の上部にピエゾスピーカを装着してもよい。この場合、ピエゾスピーカからの振動は機構板を介して遊技球タンクやタンクレールに伝えられるので、遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球は滞留せず、遊技球の流下が促進されることになる。
(6)ピエゾスピーカの装着構造に関する変形例:なお、ピエゾスピーカを遊技球流路部に装着する際には、リベットを使用する以外にも、様々なものを使用して装着することが可能である。例えば、着脱可能なねじを使用してピエゾスピーカを遊技球流路部に装着するようにしてもよい。図15は、変形例にかかる遊技機において、タンクレールの遊技球導入部位141の近傍にピエゾスピーカ160を装着する様子を前面から臨んで右斜め上の方向から見て示す分解斜視図である。なお、上述した実施形態と同じ構成のものについては、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
上述した実施形態と同様、ピエゾスピーカ160は、表側を前面側に向け、遊技球導入部位141の近傍にてタンクレール140の前面側の側面部143に接して装着されるようになっている。円盤形状とされたピエゾスピーカ160の中心部に表側から裏側まで貫通した貫通穴161が形成されているとともに、タンクレールの側面部143における遊技球導入部位141近傍には、ピエゾスピーカ160の取り付け位置に合わせて貫通穴143aが設けられている。これらの貫通穴143a,161は、ねじ261を貫通させることが可能であるとともに、同ねじ261の頭261aを掛止させるようになっている。ねじ261は、ナット262と螺合可能である。また、ねじ261のねじ山部には、ねじ261の長さ方向に対して略垂直に細い貫通孔261bが形成されており、針金263を貫通させることが可能となっている。この貫通孔261bは、ピエゾスピーカ160をタンクレール140における装着位置としてナット262を螺合させたときにナット262よりも前面側となる位置とされている。
ピエゾスピーカ160をタンクレール140に装着するには、以下のようにすればよい。まず、ピエゾスピーカの貫通穴161をタンクレールの貫通穴143aの位置に合わせ、頭261aを背面側としたねじ261を背面側から貫通穴143a、貫通穴161の順に貫通させ、ナット262をねじ261と螺合させる。その後、ナット262よりも前面側となった貫通孔261bに針金263を貫通させ、両端を合わせるように折り返して捩ると、図16に示すように、ピエゾスピーカ160はタンクレール140に対して着脱可能なねじにより遊技球導入部位141の近傍に取り付けられる。ここで、図は、タンクレールの遊技球導入部位141の近傍にピエゾスピーカ160を装着した様子を前面から臨んで右斜め上の方向から見て示す要部斜視図である。このように、ねじの貫通孔261bに針金263を貫通させているので、ピエゾスピーカ160から大きな振動が生じてもねじ261は脱落しない。すなわち、貫通孔261bと針金263とはねじ261の抜け止めを図る抜け止め機構を構成しており、ピエゾスピーカ160は取り付け位置から外れてしまうことがない。なお、タンクレールの貫通穴143aにタンクレール内側においてねじの頭261aを側面部143に挿入させる挿入部を形成し、ねじの頭261aを同挿入部に挿入させてタンクレール内への同頭261aの出っ張りをなくすようにしてもよい。
また、ピエゾスピーカ160をタンクレール140から取り外す際には、捩られた針金263を切断用工具にて切断して除去すると、ナット262を外すことができ、ねじ261を外してピエゾスピーカ160をタンクレール140から取り外すことができる。このように、着脱可能なねじ261と抜け止め機構により、ピエゾスピーカ160が振動によりタンクレール140から外れることを防止しながら、ピエゾスピーカ160の交換を容易にさせることができる。この場合も、ピエゾスピーカ160から音声出力の際に生じる振動は、タンクレールや、機構板を介して遊技球タンクに伝えられ、遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球に伝えられる。したがって、遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球は滞留せず、遊技球の流下が促進されることになる。
さらに、ピエゾスピーカを遊技球タンクに装着する際にも、着脱可能なねじを使用することが可能である。なお、図示を省略しているが、図13を用いて説明する。遊技球タンク120の側面部125における下部流出口121近傍には、ピエゾスピーカ160の取り付け位置に合わせて貫通穴125aが設けられている。この貫通穴125aは、ピエゾスピーカの貫通穴161とほぼ同じ内径とされ、図15で示したねじ261と同様の貫通孔を有するねじを貫通させることが可能であるとともに、同ねじの頭を掛止させるようになっている。
ピエゾスピーカの貫通穴161を遊技球タンクの貫通穴125aの位置に合わせ、頭を背面側としたねじを背面側から貫通穴125a、貫通穴161の順に貫通させると、ナットをねじと螺合させることができる。その後、ナットよりも前面側となった貫通孔に針金を貫通させ、両端を合わせるように折り返して捩ると、ピエゾスピーカ160は遊技球タンク120に対して着脱可能なねじにより下部流出口121の近傍に取り付けられる。この場合も、着脱可能なねじと抜け止め機構により、ピエゾスピーカ160が振動により遊技球タンク120から外れることを防止しながら、ピエゾスピーカ160の交換を容易にさせることができる。そして、ピエゾスピーカ160から音声出力の際に生じる振動は、遊技球タンクや、機構板を介してタンクレールに伝えられ、遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球に伝えられて、遊技球の流下が促進されることになる。この他、詳しい説明を省略するが、ピエゾスピーカを遊技球タンクとタンクレールの双方に装着する際にも、着脱可能なねじを使用することが可能である。
また、ピエゾスピーカを遊技球流路部の所定場所に収容することにより装着するようにしてもよい。図17は、変形例にかかる遊技機において、タンクレールの遊技球導入部位141の近傍にピエゾスピーカ160を装着する様子を前面から臨んで右斜め上の方向から見て示す分解斜視図である。なお、符号については、上述した実施形態と同じにしてある。遊技球導入部位141近傍におけるタンクレール140の側面部143の前面側には、ピエゾスピーカ160を密着させて収容可能な収容ポケット143cが設けられている。この収容ポケット143cは、上方に開口143c1を有し、ピエゾスピーカ160を上方から収容することができるようになっている。ここで、収容ポケット143cの前後方向の内寸L11はピエゾスピーカ160の厚みと略一致させ、前面から臨んだときの左右方向の内寸L12はピエゾスピーカ160の直径と略一致させてある。また、収容ポケット143cの前面側には開口143c2が形成されている。なお、ピエゾスピーカ160の装着位置に対応して機構板80に図示しない貫通穴が形成されており、タンクレール140を機構板80に取り付けた際に収容ポケット143cは同貫通穴に挿入されるようになっている。
ピエゾスピーカ160の表側を前面側に向けて同ピエゾスピーカ160を上方から収容ポケット143cに収容すると、図18に示すように、ピエゾスピーカ160は収容ポケット143cに密着して収容される。そして、ピエゾスピーカ160から音声出力の際に生じる振動は、遊技球導入部位141近傍に収容ポケット143cを有するタンクレール140や、機構板80を介して遊技球タンク120に伝えられ、遊技球タンク120内やタンクレール140内の遊技球に伝えられる。したがって、遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球は滞留せず、遊技球の流下が促進されることになる。このように、ピエゾスピーカを密着させて収容する収容ポケットをタンクレールに設けることにより、ピエゾスピーカをタンクレールに装着する際に収容ポケットに収容するだけでよくなり、ピエゾスピーカを装着する作業が容易となる。また、ピエゾスピーカを装着位置から外す際には収容ポケットからピエゾスピーカを抜き取るだけでよいので、ピエゾスピーカの交換が容易となる。
一方、ピエゾスピーカを遊技球タンクに装着する際にも、収容ポケットを使用することが可能である。図19は、変形例にかかる遊技機において、遊技球タンクの下部流出口121の近傍にピエゾスピーカ160を装着する様子を前面から臨んで右斜め上の方向から見て示す分解斜視図である。下部流出口121近傍における遊技球タンク120の側面部125の前面側には、ピエゾスピーカ160を密着させて収容可能な収容ポケット125cが設けられている。この収容ポケット125cも、上方に開口を有してピエゾスピーカ160を上方から収容することができるようになっているとともに、前面側には開口が形成されている。また、収容ポケット125cの前後方向の内寸はピエゾスピーカ160の厚みと略一致させ、前面から臨んだときの左右方向の内寸はピエゾスピーカ160の直径と略一致させてある。なお、遊技球タンク120を機構板80に取り付けた際に収容ポケット125cを挿入可能な貫通穴が機構板80に形成されている。
ピエゾスピーカ160の表側を前面側に向けて同ピエゾスピーカ160を上方から収容ポケット125cに収容すると、ピエゾスピーカ160は収容ポケット125cに密着して収容される。そして、ピエゾスピーカ160から音声出力の際に生じる振動は、遊技球タンク120や、機構板80を介してタンクレール140に伝えられ、遊技球タンク120内やタンクレール140内の遊技球に伝えられる。このように、ピエゾスピーカを密着させて収容する収容ポケットを遊技球タンクに設けることが可能であり、ピエゾスピーカを装着する作業や、ピエゾスピーカを交換する作業が容易となる。この他、詳しい説明を省略するが、遊技球タンクとタンクレールの双方に収容ポケットを設け、複数のピエゾスピーカをそれぞれの収容ポケットに収容するようにしてもよい。
さらに、ピエゾスピーカを遊技球タンクに装着した後、装着位置を調整することができると好適である。図20は、変形例にかかる遊技機において、タンクレールの遊技球導入部位141の近傍にピエゾスピーカ160を装着する様子を前面から臨んで右斜め上の方向から見て示す分解斜視図である。なお、図15と同じ構成のものについては、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。円盤形状とされたピエゾスピーカ160の中心部に表側から裏側まで貫通した貫通穴161が形成されているとともに、タンクレールの側面部143における遊技球導入部位141近傍にはタンクレール140内の遊技球の流下方向と略平行に形成された長穴143dが設けられている。この長穴143dは、ねじ261を貫通させることが可能であるとともに、同ねじ261の頭261aを掛止させるようになっている。
まず、ピエゾスピーカの貫通穴161をタンクレールの長穴143dのある位置に合わせ、頭261aを背面側としたねじ261を背面側から長穴143d、貫通穴161の順に貫通させ、ナット262をねじ261と螺合させる。その後、ナット262よりも前面側となった貫通孔261bに針金263を貫通させ、両端を合わせるように折り返して捩ると、ピエゾスピーカ160はタンクレール140に対して着脱可能なねじにより遊技球導入部位141の近傍に取り付けられる。ここで、ねじ261を取り付ける位置は長穴143dに沿って遊技球の流下方向に変更可能である。すなわち、ピエゾスピーカ160はタンクレール140に対して装着位置を変更可能に装着されていることになり、遊技球タンクとタンクレールの構造や、遊技球の流れに応じてピエゾスピーカの装着位置を調整することが可能となるので、利便性が向上する。なお、ピエゾスピーカ160の装着位置を変更する際には、捩られた針金263を切断用工具にて切断して除去すると、ナット262を緩めることができ、ピエゾスピーカ160の装着位置を長穴143dに沿って変更することが可能である。この他、詳しい説明を省略するが、遊技球タンクの側面部に長穴を形成し、ピエゾスピーカの装着位置を同長穴に沿って変更可能としてもよい。むろん、ピエゾスピーカを遊技球タンクとタンクレールの双方に装着する際にも、同遊技球タンクとタンクレールに長穴を形成し、ピエゾスピーカの装着位置を同長穴に沿って変更可能とすることができる。
また、ピエゾスピーカを収容する収容ポケットを使用して装着位置を調整することができると好適である。図21は、変形例にかかる遊技機において、遊技球タンクの下部流出口121の近傍にピエゾスピーカ160を装着した様子を前面から臨んで右斜め上の方向から見て示す要部斜視図である。遊技球タンクの前面側の側面部125には、略水平に一対のレール部材125d,125dが互いに平行となるように取り付けられている。同レール部材125d,125dは、収容ポケット125eの背面側において略水平に形成された挿入部125e1を上下から挟むようにしてスライド動可能に保持するようになっている。なお、収容ポケット125eは、図19で示した収容ポケット125cと同様、上方に開口を有してピエゾスピーカ160を上方から収容することができるようになっているとともに、前面側には開口が形成されている。また、収容ポケット125cの前後方向の内寸はピエゾスピーカ160の厚みと略一致させ、前面から臨んだときの左右方向の内寸はピエゾスピーカ160の直径と略一致させてある。
レール部材125d,125dには、それぞれ水平方向の位置が同じとなるように上下方向に貫通した複数の貫通孔125d1が形成されている。また、図示されていないが、収容ポケット125eの背面側の挿入部125e1にも上下方向に貫通した貫通孔125d1と略同径の貫通孔が形成されている。そして、レール部材125d,125dの貫通孔125d1のいずれかと収容ポケット125eの貫通孔の位置を合わせて上方から挿入ピン125fを挿入すると、同挿入ピン125fはこれらの貫通孔をすべて貫通し、収容ポケット125eを固定することができる。そして、ピエゾスピーカ160から音声出力の際に生じる振動は、収容ポケット125eを介して遊技球タンク120に伝えられ、さらに機構板80を介してタンクレール140に伝えられて、遊技球タンク120内やタンクレール140内の遊技球に伝えられる。
ここで、挿入ピン125fを挿入する位置は、レール部材125d,125dに沿って略水平に変更可能である。すなわち、収容ポケット125eに収容されたピエゾスピーカ160は遊技球タンク120に対して装着位置を変更可能に装着されていることになり、遊技球タンクとタンクレールの構造や、遊技球の流れに応じてピエゾスピーカの装着位置を調整することが可能となるので、利便性が向上する。なお、ピエゾスピーカ160の装着位置を変更する際には、挿入ピン125fを外すことにより、レール部材125d,125dに沿ってピエゾスピーカの装着位置を変更することが可能である。
(7)第二の実施形態:ところで、本発明の遊技機は、上述した実施形態以外にも、様々な実施形態が考えられる。例えば、ピエゾスピーカは、遊技の状況に応じた遊技音を音声出力する以外にも、遊技機の動作が正常でないことを報知する報知音を音声出力してもよい。図22は、第二の実施形態にかかる遊技機における音声出力手段の回路構成を示す概略ブロック図である。図に示すように、ピエゾスピーカ160は、リード線163,163を介して音声出力回路C6に接続されている。本音声出力回路C6は、各種報知音のパターンを内蔵した図示しない音声出力ICを中心として各種抵抗器やコンデンサ等から構成される回路であり、遊技音の周波数を決定する信号を入力し、ピエゾスピーカ160に対して同信号に応じた周波数の報知音の電圧信号を出力する回路である。遊技板30に取り付けられたメイン基板ではバスC1にCPUC2、ROMC3、RAMC4、インターフェイス回路C5の他、タイマ回路C7、インターフェイス回路C8等が接続されており、音声出力回路C6はメイン基板のインターフェイス回路C5に接続されている。また、計数カウンタ82a1を有する遊技球払い出し機構82aがインターフェイス回路C8に接続されている。タイマ回路C7は、時間を掲示するとともに、入力される時間に応じてCPUC2に対して割り込み信号を出力可能である。
CPUC2は、ROMC3に記憶された制御プログラムに基づいてRAMC4をワークエリアとして利用しながら各部を制御するとともに、インターフェイス回路C8を介して遊技球を払い出す払い出し数を遊技球払い出し機構82aに対して出力したり、計数カウンタ82a1にて計数された遊技球の数を遊技球払い出し機構82aから入手したりする。さらに、CPUC2は、遊技球流路部の玉詰まりを検出する処理を行ったり、玉詰まりを検出したときにインターフェイス回路C5を介して音声出力回路C6に対して遊技機の動作が正常でないことを報知させる報知音を音声出力させるようにしている。すなわち、本実施形態では、遊技機の動作が正常でないことを報知させる報知音を音声出力するピエゾスピーカ160や音声出力回路C6やメイン基板が遊技球流路部に振動を与えつつ音声を出力する音声出力手段を構成している。なお、ピエゾスピーカの取り付け位置は、遊技球タンクとタンクレールを有する遊技球流路部であればよく、上述した実施形態のいずれでもよいが、本実施形態では図23に示すように遊技球導入部位141近傍におけるタンクレール140の前面側の側面部143に接して取り付けられているものとする。
図24はメイン基板にて行われる遊技球の払い出し数を遊技球払い出し機構82aに対して出力する処理の概略を示すフローチャートであり、図25は玉詰まりを検出する処理の概略を示すフローチャートである。図24の払い出し数出力処理は、遊技球が入賞したとき等、遊技球を払い出す条件が成立したときに実行されるようになっている。処理を開始すると、遊技球払い出し機構82aに対して遊技球の払い出し数を出力する(ステップS102)。また、出力した払い出し数をRAMC4に記憶しておく(ステップS104)。そして、遊技球の払い出しが完了する所定時間後に割り込み処理が行われるように、タイマ回路C7に対して割り込み処理を行う時間を出力してタイマを設定し(ステップS106)、本フローを終了する。すると、タイマを設定してから所定時間後にタイマ回路C7がCPUC2に対して割り込み信号を出力するので、割り込み処理が開始されるようになっている。なお、遊技球払い出し機構82aでは、遊技球の払い出し数を入手すると、内蔵するモータを回転駆動し、払い出し数に応じて計数カウンタ82a1にて遊技球を計数しながら遊技球を払い出す動作を行う。
図25の玉詰まり検出処理は、上記ステップS106にて設定された時間にタイマ回路C7から割り込み信号が入力されたときに行われる。処理を開始すると、RAMC4から払い出し数を読み出し(ステップS202)、計数カウンタにて計数された遊技球の数を遊技球払い出し機構82aから入手する(ステップS204)。次に、計数カウンタにて計数された遊技球の数が上記払い出し数よりも小さいかどうかを判断する(ステップS206)。遊技球流路部にて玉詰まり現象が生じていなければ、本フローが行われるのは遊技球払い出し機構82aにて払い出し数分の遊技球が払い出された後であるため計数された遊技球の数と払い出し数とは同じになる。これらが同じであれば、条件不成立となり、本フローを終了する。一方、計数された遊技球の数よりも払い出し数のほうが大きい場合、遊技球払い出し機構82aに遊技球を流下させる遊技球流路部にて玉詰まり現象が生じている可能性が大きい。この場合、条件成立となり、ステップS208に進む。すなわち、上記ステップS102〜S106,S202〜S206の処理は、遊技球払い出し機構に対して払い出し数を出力するとともに、同払い出し数と計数カウンタにて計数された遊技球の数とに基づいて遊技球流路部の玉詰まりを検出する玉詰まり検出手段を構成する。
ステップS208では、タンクレール140における遊技球の流下方向と略平行な両側面部143,144を共振させる周波数の音を遊技機の動作が正常でないことを報知する報知音として、音声出力回路C6に音声出力させる。その後、所定時間後に本フローを再び行うため、タイマ回路C7に対して割り込み処理を行う時間を出力してタイマを設定し(ステップS210)、本フローを終了する。すると、所定時間後にタイマ回路C7がCPUC2に対して割り込み信号を出力するので、再度本フローが行われ、ステップS206にて条件が成立するまで継続して音声出力されることになる。すなわち、ステップS208〜S210の処理は、音声出力回路C6やピエゾスピーカ160とともに、玉詰まりが検出されたときに報知音を音声出力する意味での音声出力手段を構成する。
上記ステップS208にてタンクレールの側面部143,144を共振させる周波数の音を音声出力させるには、以下のようにすればよい。すなわち、側面部143,144を共振させる周波数の基本周波数は、図23を参照して側面部143,144の内側を基準として幅をL(cm)、音速をc(cm/s)とすると、c/2L(Hz)となる。なお、基本周波数c/2Lの整数倍も共振周波数となるが、共振度合いは基本周波数よりも小さくなる。例えば、側面部143,144の幅Lを3cmとすると、20℃の場合、音速は約34000cm/sであるので、共振周波数の基本周波数は、ほぼ、34000/(2×3)=5667(Hz)となる。そして、基本周波数の整数倍も共振周波数となる。そこで、音声出力回路C6に対して、求められた共振周波数の音をピエゾスピーカ160から音声出力させるようにすればよい。
ステップS208が実行されると、ピエゾスピーカ160は、タンクレールの側面部143,144を共振させる周波数の音を音声出力する。すると、音声出力の際に生じるピエゾスピーカ160の振動はタンクレール140に伝えられ、タンクレールの側面部143,144にて共振することにより大きくなる。すなわち、タンクレール140内や遊技球タンク120内の遊技球に伝えられる振動も大きくなる。このように、遊技球流路部100に設けられたピエゾスピーカ160からの振動が共振により大きくなるので、より効果的に遊技球タンク120内やタンクレール140内の遊技球の流下を促進させることができる。なお、ピエゾスピーカがタンクレールの側面に取り付けられているので、ピエゾスピーカからの振動が直接タンクレールの側面に伝えられ、さらに効果的に遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球の流下を促進させることができる。その際、別途電気配線を設けて電動式のバイブレータ等を装着したりする必要がない。したがって、遊技機の動作が正常でないことを報知する報知音を出力する回路を利用することにより別途遊技球流路部にバイブレータ等の振動を与える装置を設置する必要がなく、構造を複雑にさせずに、遊技球タンク内やタンクレール内にて玉詰まり現象を生じさせないようにすることが可能となる。また、遊技球流路部にて玉詰まり現象が生じたときにピエゾスピーカから報知音の音声出力に伴う振動が生じるので、同玉詰まり現象を解消することが可能となる。
なお、ステップS208を実行する際、室温を温度センサ等により検出し、検出した温度により音声出力させる音の周波数を補正してピエゾスピーカから音声出力させるようにしてもよい。すると、室温変化に応じてタンクレールの両側面をより確実に共振させることができるので、さらに効果的に遊技球タンク内やタンクレール内にて玉詰まり現象を生じさせないようにすることが可能となる。また、ステップS206の判断処理では、計数カウンタにて計数された遊技球の数と上記払い出し数とが異なるかどうかを判断するようにしてもよい。計数カウンタにて計数された遊技球の数が払い出し数よりも大きい場合は、玉詰まり現象は生じていないにしてもピエゾスピーカから報知音が音声出力されるので、音声出力の際に生じる振動がタンクレールや遊技球タンクに伝えられ、タンクレール内や遊技球タンク内の遊技球に伝えられて、遊技球の流下が促進される。
上述したフローは遊技球流路部の玉詰まりを検出して報知音を音声出力させる処理の一例にすぎず、様々なフローにより玉詰まりを検出して音声出力させることが可能である。例えば、遊技球払い出し機構が払い出し数分すべての遊技球を払い出す前にさらに遊技球を払い出す条件が成立するような場合には、払い出し数を順次加算してRAMC4に記憶させるようにし、加算された払い出し数の遊技球の払い出しが完了する時間に図25の玉詰まり検出処理を行うようにすればよい。また、遊技球払い出し機構が遊技球を払い出す際に、単位時間あたりに計数される遊技球の数が所定範囲内となっているかどうかにより遊技球流路部の玉詰まりを検出して報知音を音声出力させるようにしてもよい。さらに、遊技球払い出し機構自体に玉詰まりを検出して所定の検出信号を出力する回路を組み込み、メイン基板では同回路からの検出信号に応じて報知音を音声出力させる処理を行うようにしてもよい。
その他、遊技の状況に応じた遊技音を音声出力するピエゾスピーカとタンクレールを共振させる周波数の報知音を音声出力するピエゾスピーカとを併用して遊技球流路部に音声出力の際に生じる振動を伝えるようにしてもよい。また、遊技の状況に応じた遊技音にタンクレールを共振させる周波数の音を重畳してピエゾスピーカから音声出力するようにしてもよい。この場合でも、ピエゾスピーカから音声出力する際にタンクレールを共振させる周波数成分の振動が含まれているため、ピエゾスピーカからタンクレールに伝えられる振動は共振により大きくなってタンクレール内や遊技球タンク内の遊技球に伝えられるので、効果的に遊技球の流下を促進させることができる。なお、タンクレールを共振させるとタンクレールに大きな振動が生じるので、ピエゾスピーカ以外のスピーカを用いてタンクレールを共振させる周波数の音を音声出力させるようにしてもよい。この場合でも、タンクレールは共振により大きく振動し、この振動がタンクレール内や遊技球タンク内の遊技球に伝えられて遊技球の流下を促進させることができる。
(8)遊技球流路部を共振させる位置に関する変形例:ところで、タンクレールの両側面を共振させる以外にも、様々な部位を共振させることにより遊技球流路部の遊技球の流下を促進させることが可能である。例えば、図13を参照して説明すると、遊技球タンク120においてタンクレール内の遊技球の流下方向と略平行な一対の側面部125,126を共振させる周波数の音をピエゾスピーカ160から音声出力するようにしてもよい。例えば、側面部125,126の間隔を8cmとすると、共振周波数の基本周波数は20℃の場合、ほぼ、34000/(2×8)=2125(Hz)となる。すると、ピエゾスピーカ160から遊技球タンク120に与えられる振動は同側面部125,126にて共振することにより大きくなる。したがって、この場合でも効果的に遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球の流下を促進させることができる。なお、図13で示したように、ピエゾスピーカ160を遊技球タンクの側面部125,126に接して装着させると、ピエゾスピーカからの振動が直接遊技球タンクの側面に伝えられ、さらに効果的に遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球の流下を促進させることができる。
なお、遊技球タンクの側面部125,126の間隔とタンクレールの側面部143,144の間隔とを同じにすると、遊技球タンクとタンクレールとを同時に共振させることができる。遊技球タンクの側面部125,126の間隔がタンクレールの側面部143,144の間隔の整数倍であれば、タンクレールの側面部143,144を共振させる周波数は、遊技球タンクの側面部125,126を共振させる周波数にもなる。したがって、ピエゾスピーカ160からタンクレールの側面部143,144を共振させる周波数の音を音声出力すると、遊技球タンク120の側面部125,126も共振させることができる。
また、図26に示すように、タンクレール140の底面部142と遊技球タンク120の底面部123とを共振させる周波数の音をピエゾスピーカ160から音声出力するようにしてもよい。ここで、両底面部142,123を共振させる周波数の基本周波数は、底面部142,123の上下方向の間隔L22に基づいて、上述した式により求めることができる。そこで、音声出力回路に対して、求められた共振周波数の音をピエゾスピーカ160から音声出力させるようにすればよい。すると、ピエゾスピーカ160からタンクレール140に与えられる振動は同底面部142,123にて共振することにより大きくなる。したがって、効果的に遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球の流下を促進させることができる。
さらに、同図に示すように、遊技球タンク120における下部流出口121側の端部の側面127と対向する側面128とを共振させる周波数の音をピエゾスピーカ160から音声出力するようにしてもよい。例えば、側面127,128の間隔L21を24cmとすると、共振周波数の基本周波数は20℃の場合、ほぼ、34000/(2×24)=708(Hz)となり、遊技球タンクの前後方向の側面部125,126を共振させる場合と比べて共振周波数を小さく、すなわち、低音側とすることができる。なお、基本周波数の整数倍も共振周波数となる。そこで、ピエゾスピーカ160から求められた共振周波数の音を音声出力させるようにすればよい。
(9)第三の実施形態:なお、音声出力手段により遊技球流路部に振動を与えつつ音声を出力するタイミングは、遊技機の動作が正常でないことを報知するタイミング以外としてもよい。遊技球流路部での玉詰まり現象は遊技球を払い出す条件が成立したときに生じやすいので、例えば、同条件が成立したときに音声出力手段により音声を出力するようにしてもよい。図27は、第三の実施形態にかかる遊技機における音声出力手段の回路構成を示す概略ブロック図である。なお、バスC1、CPUC2、ROMC3、RAMC4、インターフェイス回路C5、音声出力回路C6、タイマ回路C7、ピエゾスピーカ160は第二の実施形態と同じであるので、詳細な説明を省略する。ピエゾスピーカ160の取り付け位置も第二の実施形態と同じタンクレール140の側面部143である。むろん、ピエゾスピーカ160を遊技球タンク120に取り付けてもよいし、遊技球タンク120とタンクレール140の双方に取り付けてもよい。また、その他の遊技機の各部は第一の実施形態と同じものを採用している。
本実施形態では、バスC1にインターフェイス回路C9,C10が接続されている。遊技板30に設けられた図示しない入賞口には入賞した遊技球を検知する入賞球検知センサ201が取り付けられており、同入賞球検知センサ201がインターフェイス回路C9に接続されている。また、遊技板30には表示装置202も取り付けられており、同表示装置202がインターフェイス回路C10に接続されている。CPUC2は、ROMC3に記憶された制御プログラムに基づいてRAMC4をワークエリアとして利用しながら各部を制御するとともに、インターフェイス回路C9を介して入賞した遊技球が検知されたことを表す信号を入手したり、インターフェイス回路C10を介して遊技の状況に応じた画面を表示装置202に表示させたりする。また、CPUC2は、遊技球を払い出す条件が成立したときにインターフェイス回路C5を介して音声出力回路C6に対して所定の音を音声出力させるようにしている。
図28は、メイン基板にて行われる音声出力処理の概略を示すフローチャートである。本フローは、所定時間毎に実行されるようになっている。処理を開始すると、遊技球を払い出す条件が成立しているかどうかを判断する(ステップS302)。遊技球を払い出す条件が成立しているかどうかの判断は、例えば、図示しない以下のようなフローを利用して行うことができる。すなわち、入賞球検知センサ201からインターフェイス回路C9を介して入賞した遊技球が検知されたことを表す信号を入手すると、遊技球を払い出す条件が成立したと判断し、RAMC4内に設けられた所定の払い出し条件フラグをセットする。そして、所定時間後、入賞球検知センサ201から入賞した遊技球が検知されている信号が出力されているかどうかを判断し、同信号が出力されている場合には遊技球を払い出す条件が継続して成立していると判断する。この場合はさらに所定時間後に入賞球検知センサ201から入賞した遊技球が検知されている信号が出力されているかどうかを判断する処理を繰り返す。一方、同信号が出力されていない場合には、遊技球を払い出す条件は成立していないと判断し、払い出し条件フラグをリセットする。したがって、同払い出し条件フラグがセットされているかどうかを判断することにより、遊技球を払い出す条件が成立しているかどうかを判断することができる。
ステップS302にて遊技球を払い出す条件が成立していないと判断した場合、本フローを終了する。一方、遊技球を払い出す条件が成立していると判断した場合、ステップS304に進み、遊技球を払い出している状態を表す遊技音をピエゾスピーカ160から音声出力させる。すると、ピエゾスピーカ160からは音声出力に伴って振動が生じるので、生じた振動が遊技球流路部100に伝わり、遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球に伝わって、同遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球の流下を促進させることができる。むろん、第二の実施形態のように、タンクレール140を共振させる周波数の音をピエゾスピーカ160から音声出力させてもよい。この場合、上述したようにタンクレール140における遊技球の流下方向と略平行な両側面部143,144を共振させる周波数の音を音声出力回路C6に音声出力させることにより、タンクレール140を共振させることができる。その後、本フローを終了する。すると、所定時間後に再度本フローが行われ、ステップS302にて遊技球を払い出す条件が不成立となるまで継続して音声出力されることになる。
このように、ステップS302〜S304の処理は、入賞球検知センサ201や音声出力回路C6やピエゾスピーカ160とともに、遊技球を払い出す条件が成立したときに音声を出力する意味での音声出力手段を構成する。その結果、遊技球流路部での玉詰まり現象が生じやすい遊技球を払い出す条件が成立したときに音声出力手段から音声出力に伴う振動が遊技球流路部に与えられるので、効率よく遊技球流路部での遊技球の流下を促進させることができる。
また、遊技球流路部での玉詰まり現象は特に遊技の状況が大当たり状態となった場合に生じやすいので、遊技の状況が大当たり状態となったときに音声出力手段により音声を出力するようにしてもよい。この場合の音声出力手段の回路構成は、例えば、図27で示したブロック構成とすることができる。ピエゾスピーカ160の取り付け位置も第二の実施形態と同じタンクレール140の側面部143とすることができる。むろん、ピエゾスピーカ160を遊技球タンク120に取り付けてもよいし、遊技球タンク120とタンクレール140の双方に取り付けてもよい。CPUC2は、インターフェイス回路C10を介して遊技の状況に応じた画面を表示装置202に表示させるとともに、遊技の状況が大当たり状態であるかどうかを判定し、大当たり状態であると判定したときには大当たり状態を示す図柄を表示装置202に表示させる。そして、CPUC2は、遊技球を払い出す条件が成立したときにインターフェイス回路C5を介して音声出力回路C6に対して所定の音を音声出力させる。
図29は、メイン基板にて行われる遊技の状況に応じた処理の一部を示すフローチャートである。本フローは、所定時間毎に実行されるようになっている。処理を開始すると、入賞球検知センサ201からインターフェイス回路C9を介して信号を入手し、入賞した遊技球が検知されているかどうかを判断する(ステップS402)。条件不成立の場合にはステップS410に進み、条件成立の場合にはステップS404に進む。ステップS404では、表示装置202に抽選時の図柄を表示する抽選処理を行う。そして、抽選の結果、遊技の状態がリーチ状態となったり、大当たり状態となったり等するので、ステップS406にて遊技の状況が大当たり状態であるかどうかを判断する。条件不成立の場合にはステップS410に進み、条件成立の場合にはステップS408に進む。
ステップS408では、RAMC4内に設けられた所定の大当たりカウンタに所定数加算する。ここで、大当たりカウンタが0よりも大きいときが大当たり状態である。そして、図示しないフローにより大入賞口を開状態にさせる処理等を行い、本フローを終了する。一方、ステップS410では、大当たりカウンタが0よりも大きいかどうかを判断する。条件成立の場合、大当たりカウンタをデクリメント、すなわち、大当たりカウンタから1を差し引いた値を同大当たりカウンタの値とする処理を行う(ステップS412)。条件不成立の場合、ステップS412の処理は行わない。その後、図示しないフローにより大当たりカウンタが0である場合に大入賞口を閉状態にさせる処理等を行い、本フローを終了する。したがって、大当たり状態は大当たりカウンタが0となるまで継続することになる。
図30は、メイン基板にて行われる音声出力処理の概略を示すフローチャートである。本フローは、所定時間毎に実行されるようになっている。処理を開始すると、大当たり状態であるかどうかを判断する(ステップS502)。図29で示したフローを利用すると、大当たりカウンタが0よりも大きいかどうかにより大当たり状態であるかどうかを判断することができる。ステップS502にて大当たり状態でないと判断した場合、本フローを終了する。一方、大当たり状態であると判断した場合、ステップS504に進み、遊技の状況が大当たり状態であることを表す遊技音をピエゾスピーカ160から音声出力させる。すると、ピエゾスピーカ160からは音声出力に伴って振動が生じるので、生じた振動が遊技球流路部100に伝わり、遊技球タンク内やタンクレール内の遊技球の流下を促進させることができる。むろん、タンクレール140を共振させる周波数の音をピエゾスピーカ160から音声出力させてもよい。その後、本フローを終了する。すると、所定時間後に再度本フローが行われ、ステップS502にて大当たり状態でないと判断するまで継続して音声出力されることになる。
このように、ステップS402〜S412,S502〜S504の処理は、入賞球検知センサ201や音声出力回路C6やピエゾスピーカ160とともに、遊技の状況が所定の大当たり状態であると判定したときに音声を出力する意味での音声出力手段を構成する。その結果、遊技球流路部での玉詰まり現象が特に生じやすい大当たり状態となったときに音声出力手段から音声出力に伴う振動が遊技球流路部に与えられるので、効率よく遊技球流路部での遊技球の流下を促進させることができる。なお、遊技の状況が大当たり状態以外の所定の状態であると判定したときにピエゾスピーカ160から音声を出力してもよい。例えば、大当たり状態の手前のリーチ状態であっても遊技球流路部での玉詰まり現象は生じやすいので、遊技の状況がリーチ状態であると判定したときにピエゾスピーカ160から音声を出力する構成とすることが可能である。この場合でも、遊技球流路部での玉詰まり現象が生じやすいときに音声出力手段からの振動が遊技球流路部に与えられるので、効率よく遊技球流路部での遊技球の流下を促進させることができる。
以上説明したように、本発明によると、種々の使用態様により、別途振動を与える装置を設置する必要がなく、遊技球タンク内やタンクレール内にて玉詰まり現象を生じさせないようにすることが可能な遊技機を提供することができる。