JP2009147192A - 結晶性無機膜とその製造方法、半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液相法を用いて、プラスチック基板の耐熱温度以下の比較的低温プロセスでも結晶性が良好な無機膜を製造することができ、材料選択性も広い結晶性無機膜の製造方法を提供する。
【解決手段】結晶性無機膜1は、金属元素及び/又は半導体元素を含む無機物からなり、無機原料、有機前駆体原料、及び有機無機複合前駆体原料からなる群より選ばれた少なくとも1種の結晶性無機膜1の構成元素を含む原料と、有機溶媒とを含む原料液を用いて、液相法により結晶性無機膜1のすべての構成元素を含む非単結晶膜12を成膜する工程(A)と、非単結晶膜12に含まれる少なくとも1種の有機成分の分解温度以下の条件で、非単結晶膜12に含まれるすべての有機成分を分解する工程(B)と、非単結晶膜12が結晶化する温度以上の条件で、非単結晶膜12を加熱して結晶化させる工程(C)とを順次実施して製造されたものである。
【選択図】図1
【解決手段】結晶性無機膜1は、金属元素及び/又は半導体元素を含む無機物からなり、無機原料、有機前駆体原料、及び有機無機複合前駆体原料からなる群より選ばれた少なくとも1種の結晶性無機膜1の構成元素を含む原料と、有機溶媒とを含む原料液を用いて、液相法により結晶性無機膜1のすべての構成元素を含む非単結晶膜12を成膜する工程(A)と、非単結晶膜12に含まれる少なくとも1種の有機成分の分解温度以下の条件で、非単結晶膜12に含まれるすべての有機成分を分解する工程(B)と、非単結晶膜12が結晶化する温度以上の条件で、非単結晶膜12を加熱して結晶化させる工程(C)とを順次実施して製造されたものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属元素及び/又は半導体元素を含む無機物からなる結晶性無機膜とその製造方法、及びこの結晶性無機膜を用いた薄膜トランジスタ(TFT)等の半導体装置に関するものである。
近年フレキシブルな各種デバイスが注目を浴びている。フレキシブルデバイスは、電子ペーパやフレキシブルディスプレイ等への展開をはじめ、その用途は幅広い。従来、フレキシブルデバイスは、ガラス基板を用いたデバイスと同様、スパッタ法や真空蒸着法等の真空成膜及びフォトリソグラフィによるパターニングを用いて主に製造されている。この方法では、再現性良く高精細なパターニングが可能であるが、いったんベタ膜を成膜した後に不要部分を除去するため無駄が多く、そのプロセスは複雑かつ高コストである。
そこで近年、低コスト化が可能なフレキシブルデバイスの製造方法として、基板上に回路等の所望のパターンを直接描く直接描画技術を利用する方法が検討されている。直接描画方法としては、薄膜の構成材料を含む原料液を塗布印刷するインクジェットプリンティングやスクリーン印刷等の印刷法が挙げられる。この方法では、真空プロセスは不要であり、またパターニングも直接描画により行うことができるため、簡易且つ低コストにてデバイスを製造することができる。
例えば、フレキシブルディスプレイに搭載されるTFT(薄膜トランジスタ)を液相法を用いて製造する研究が行われている。液相法を用いてTFTを製造する場合、半導体活性層の材料としては主に有機材料が検討されている。これは、フレキシブルデバイスの場合、ガラス基板等の無機基板に比して耐熱性が低いプラスチック基板を用いており、すべてのプロセスを基板の耐熱温度以下で行う必要があるからである。プラスチック基板の耐熱温度は、材料にもよるが、通常150〜200℃である。ポリイミド等の比較的耐熱性の高い材料でも耐熱温度はせいぜい300℃程度である。
有機半導体は、無機半導体に比して性能や耐久性が劣る傾向にあり、フレキシブル基板上に、液相法を用いて無機材料でTFTを製造できることが好ましい。液相法を用いた無機膜の製造方法としては、ゾルゲル法が挙げられる。しかしながら、通常のゾルゲル法をそのまま利用すると、原料液に含まれる有機物を分解し、無機膜を結晶化させるための焼成工程が必須であり、例えばInGaZnO4膜の場合は焼成工程において400℃以上の加熱処理が必要となる。これは、PETやPEN等の安価なプラスチック基板の耐熱温度以上であり、この方法ではフレキシブル基板上に、液相法を用いて無機材料でTFTを製造することはできない。また、無機TFTでは、キャリア移動度等を考慮すれば、半導体活性層の結晶性が高いことが好ましい。
特許文献1には、金属酸化物の前駆体を含むゾルゲル法の原料液を用いて得られた非晶質塗布膜に対して、水蒸気存在化で紫外線を照射する前処理を施した後に、180℃以下にて高周波電界中で低温プラズマに暴露させて膜を結晶化させる金属酸化物薄膜の製造方法が開示されている(請求項10、実施例2等)。特許文献1には、かかるプロセスを採用することにより、積極的な加熱を行うことなく、比較的低温で結晶性無機膜が得られることが記載されている。
国際公開第03/31673号パンフレット
特許文献1では、高周波電界中で低温プラズマに暴露により結晶化を行っている。この方法では、結晶化時に膜表面がプラズマによりダメージを受ける恐れがあり、良質な結晶成長が妨げられる恐れがある。また、目的の物質によってプラズマの種類を選択する必要があるため汎用的ではなく、また、パターン化された膜のみを選択的に焼成することができない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、液相法を用いて、プラスチック基板の耐熱温度以下の比較的低温プロセスでも結晶性が良好な無機膜を製造することができ、材料選択性も広い結晶性無機膜の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明はまた、上記製造方法を用いることにより、結晶性が高く、薄膜トランジスタ(TFT)の活性層等として好適な結晶性無機膜、これを用いたTFT等の半導体装置を提供することを目的とするものである。
本発明の結晶性無機膜の製造方法は、金属元素及び/又は半導体元素を含む無機物からなる結晶性無機膜の製造方法において、
前記無機物の構成元素を含む、無機原料、有機前駆体原料及び有機無機複合前駆体原料からなる群より選ばれた少なくとも1種の原料と、有機溶媒とを含む原料液を用いて、液相法により前記無機物のすべての構成元素を含む非単結晶膜を成膜する工程(A)と、
該非単結晶膜に含まれる少なくとも1種の有機成分の分解温度以下の条件で、すべての該有機成分を分解する工程(B)と、
前記非単結晶膜が結晶化する温度以上の条件で、該非単結晶膜を加熱して結晶化させる工程(C)とを順次実施することを特徴とするものである。
前記無機物の構成元素を含む、無機原料、有機前駆体原料及び有機無機複合前駆体原料からなる群より選ばれた少なくとも1種の原料と、有機溶媒とを含む原料液を用いて、液相法により前記無機物のすべての構成元素を含む非単結晶膜を成膜する工程(A)と、
該非単結晶膜に含まれる少なくとも1種の有機成分の分解温度以下の条件で、すべての該有機成分を分解する工程(B)と、
前記非単結晶膜が結晶化する温度以上の条件で、該非単結晶膜を加熱して結晶化させる工程(C)とを順次実施することを特徴とするものである。
ここで、前記「金属元素及び/又は半導体元素を含む無機物」は、不可避不純物を含んでいてもよいものとする。
工程(A)において、非単結晶膜の成膜方法としては、前記原料液として、前記有機前駆体原料と前記有機溶媒とを含む原料液を用いて成膜する方法,前記原料液として、前記無機原料及び/又は前記有機無機複合前駆体原料と前記有機溶媒とを含む原料液を用いて成膜する方法が挙げられる。
前記無機原料及び/又は前記有機無機複合前駆体原料と前記有機溶媒とを含む原料液としては、前記無機物の構成元素を含む有機前駆体原料と有機溶媒とを含む液を用意し、該液中の前記有機前駆体原料を粒子化させて得られる無機粒子及び/又は有機無機複合粒子の分散液を用いることが好ましい。
工程(B)において、前記有機成分の分解法としては、酸素ラジカル等を用いた酸化処理が挙げられ、前記非単結晶膜に対して酸素又はオゾン存在下で波長300nm以下の紫外線を照射する処理、若しくは前記非単結晶膜に対して酸素プラズマを照射する処理が挙げられる。
工程(C)において、前記非単結晶膜の結晶化方法としては、レーザ光線等の熱線を用いた加熱処理が挙げられる。
本発明の結晶性無機膜は、上記本発明の結晶性無機膜の製造方法により製造されたものである。本発明は、金属膜、金属酸化物膜、金属窒化物膜、金属硫化物膜、及び半導体膜等に適用可能である。
本発明の半導体装置は、基板上に、半導体膜からなる本発明の結晶性無機膜を用いて得られた活性層と電極と絶縁膜とを備えたものである。本発明は、前記基板としてプラスチック基板を用いる場合に有効である。
本発明の結晶性無機膜の製造方法は、液相法により非単結晶膜を成膜した後、結晶化前に、非単結晶膜中に含まれるすべての有機成分を分解する前処理工程を有するものである。かかる方法によれば、あらかじめ有機成分が除去された非単結晶膜を結晶化するので、結晶化時にアブレーション等による結晶成長不良等を生じずに、良好に結晶化させることができる。本発明では、プラスチック基板の耐熱温度以下の比較的低温プロセスでも結晶性が良好な無機膜を製造することができる。
本発明の結晶性無機膜の製造方法において、結晶化方法は制限されない。従って、液相法を適用可能なすべての無機材料を結晶化の対象とし、結晶性無機膜の材質に合わせた結晶化をすることができる。
本発明の結晶性無機膜の製造方法によれば、液相法により、結晶性が高く、薄膜トランジスタ(TFT)の活性層等として好適な半導体膜を簡易にかつ低コストに製造することができる。この半導体膜は液相法により作製することができるため、直接描画によるパターニングも可能である。従って、素子特性(キャリア移動度等)に優れたTFT等の半導体装置を簡易かつ低コストなプロセスにて製造することができる。
「結晶性無機膜」
図面を参照して、本発明に係る実施形態の結晶性無機膜及びその製造方法について説明する。図1は結晶性無機膜の製造工程図(基板の厚み方向の断面図)である。視認しやすくするため、構成要素の縮尺は実際のものとは適宜異ならせてある。
図面を参照して、本発明に係る実施形態の結晶性無機膜及びその製造方法について説明する。図1は結晶性無機膜の製造工程図(基板の厚み方向の断面図)である。視認しやすくするため、構成要素の縮尺は実際のものとは適宜異ならせてある。
本実施形態の結晶性無機膜1は、金属元素及び/又は半導体元素を含む無機物からなり(不可避不純物を含んでいてもよい。)、液相法を用いて製造されるものである。
結晶性無機膜1としては特に制限なく、金属膜、金属酸化物膜、金属窒化物膜、金属硫化物膜、及び半導体膜が挙げられる。
結晶性無機膜1は、TFT(薄膜トランジスタ)の半導体活性層等として利用できる。TFTの半導体活性層としては、In,Ga,Zn,Sn,及びTiからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含む半導体性を有する金属酸化物膜、あるいはSi及び/又はGeからなる半導体膜が好ましく用いられる。
液相法を用いる場合、TFTの半導体活性層としては、上記例示した中でも、半導体性を有する金属酸化物膜が好ましく、In,Ga,及びZnからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含む半導体性を有する金属酸化物膜が特に好ましい。
<工程(A)>
はじめに、図1(a)に示すように、基板11を用意し、結晶性無機膜1を構成する無機物の構成元素(以下、無機膜構成元素とする。)を含む少なくとも1種の原料と、有機溶媒とを含む原料液を基板11の表面に塗布し、液相法によりすべての無機膜構成元素を含む非単結晶膜12を成膜する(工程(A))。
はじめに、図1(a)に示すように、基板11を用意し、結晶性無機膜1を構成する無機物の構成元素(以下、無機膜構成元素とする。)を含む少なくとも1種の原料と、有機溶媒とを含む原料液を基板11の表面に塗布し、液相法によりすべての無機膜構成元素を含む非単結晶膜12を成膜する(工程(A))。
次いで図1(b)に示すように、室温乾燥等にて非単結晶膜12中の有機溶媒の多くを除去することが好ましい。この工程においては、結晶化が進行しない範囲で若干加熱(例えば100℃程度)を行ってもよい。
基板11としては特に制限なく、プラスチック基板、ガラス基板、及びシリコン基板等が挙げられる。基板11としては、これら基板上に絶縁膜等の下地膜を形成したものを用いてもよい。プラスチック基板には、フレキシブル基板と非フレキシブル基板とがある。
本発明では、プラスチック基板の耐熱温度以下の比較的低温プロセスでも結晶性が良好な無機膜を製造することができる。本発明は無機基板に比して耐熱性の低いプラスチック基板を用いる場合に特に有効である。フレキシブルディスプレイ用のTFTでは、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタレート(PEN),ポリイミド(PI)等のプラスチック基板が好ましく用いられる。
工程(A)において、原料液としては、有機前駆体原料(原料II)と有機溶媒とを含む原料液を用いることが好ましい。原料IIとしては、ゾルゲル法の原料である金属アルコキシド化合物等が挙げられる。
原料液としては、無機原料(原料I)及び/又は有機無機複合前駆体原料(原料III)と有機溶媒とを含む原料液を用いることも好ましい。かかる原料液としては、有機前駆体原料(原料II)と有機溶媒とを含む液を用意し、該液中の有機前駆体原料(原料II)を粒子化させて得られる無機粒子及び/又は有機無機複合粒子の分散液が挙げられる(ナノ粒子法)。ここで、「有機無機複合粒子」とは、有機前駆体原料(原料II)を無機粒子化させる過程で形成される、粒子化の反応が途中まで進行した状態の有機物と無機物を含んだ状態の粒子を意味する。液中の有機前駆体原料(原料II)を粒子化させる方法としては、特に制限されないが、加熱撹拌する方法が好ましい。ナノ粒子法を用いる場合、成膜前の粒子化により非単結晶膜12中に含まれる有機物の量が減少する上、後工程(C)においてナノ粒子が結晶核となって結晶成長するので、結晶化させやすい方法であり、好ましい。ナノ粒子法を用いる場合、非単結晶膜12中には一部粒子化されずに残存した有機前駆体原料(原料II)が含まれていてもよい。
非単結晶膜12は通常アモルファス膜であるが、ナノ粒子法を用いる場合にはナノ粒子が結晶性を有する場合がある。
原料液の塗布方法は特に制限なく、スピンコート,ディップコート等の各種コーティング方法;インクジェットプリンティング,スクリーン印刷等の印刷法が挙げられる。インクジェットプリンティング,スクリーン印刷等の印刷法によれば、所望のパターンを直接描画することも可能である。
<工程(B)>
次に、非単結晶膜12に含まれる少なくとも1種の有機成分の分解温度以下の条件で、非単結晶膜12に含まれるすべての有機成分を分解する工程(B)を実施する(図1(c))。工程(B)は、後工程(C)において結晶化を良好にさせる前処理工程である。非単結晶膜12に含まれる有機成分の分解法としては制限なく、酸素ラジカル等を用いた酸化処理が挙げられる。
次に、非単結晶膜12に含まれる少なくとも1種の有機成分の分解温度以下の条件で、非単結晶膜12に含まれるすべての有機成分を分解する工程(B)を実施する(図1(c))。工程(B)は、後工程(C)において結晶化を良好にさせる前処理工程である。非単結晶膜12に含まれる有機成分の分解法としては制限なく、酸素ラジカル等を用いた酸化処理が挙げられる。
酸素ラジカルを用いた酸化処理としては、酸素又はオゾン存在下で波長300nm以下の紫外線を照射する処理、若しくは酸素プラズマを照射する処理が挙げられる。波長300nm以下の紫外線としては、水銀ランプやエキシマランプ等の光源から発生した紫外線等が挙げられる。
酸化処理は、酸素存在下の加熱処理によっても行うことができる。ただし、上記酸素ラジカルを用いる方法は、有機成分の分解効率がよく、また、高温に加熱をする必要がないため、好ましい。かかる前処理をすることにより、結晶化工程前の非単結晶膜12中に残存する有機物がなくなり、従って後工程(C)において、残存有機物によるアブレーション等を生じにくくなり、良好に結晶を成長させることができる。
<工程(C)>
最後に、前処理を施した非単結晶膜12を結晶化させて、本実施形態の結晶性無機膜1が得られる(図1(d))。結晶化は、非単結晶膜が結晶化する温度以上の条件で、非単結晶膜12を加熱することにより行う。結晶化の方法は制限なく、熱線を用いた加熱処理により加熱して結晶化させる方法が好ましい。熱線を用いた加熱処理としては、熱線としてレーザ光線を使用し、レーザ光線を走査して非単結晶膜12をアニールし結晶化させるレーザアニールや、熱線としてキセノンフラッシュランプ等を用いたフラッシュランプアニール等が挙げられる。
最後に、前処理を施した非単結晶膜12を結晶化させて、本実施形態の結晶性無機膜1が得られる(図1(d))。結晶化は、非単結晶膜が結晶化する温度以上の条件で、非単結晶膜12を加熱することにより行う。結晶化の方法は制限なく、熱線を用いた加熱処理により加熱して結晶化させる方法が好ましい。熱線を用いた加熱処理としては、熱線としてレーザ光線を使用し、レーザ光線を走査して非単結晶膜12をアニールし結晶化させるレーザアニールや、熱線としてキセノンフラッシュランプ等を用いたフラッシュランプアニール等が挙げられる。
レーザアニールはエネルギーの大きい熱線を用いた走査型の加熱処理であるので、結晶化効率がよく、しかも走査速度やレーザパワー等のレーザ照射条件を変えることにより基板に到達するエネルギーを調整することができる。従って基板の耐熱性に合わせてレーザ照射条件を決定することにより、基板温度を基板耐熱温度以下の温度になるようにすることができ、プラスチック基板にも適用することができる。
レーザアニールに用いるレーザ光源としては特に制限なく、エキシマレーザ等のパルス発振レーザ、及び連続発振レーザ(CWレーザ)が挙げられる。エキシマレーザ光等の短波長パルスレーザ光では、膜表層で吸収されるエネルギーが大きく、基板に到達するエネルギーをコントロールしやすいため、好ましい。
以上のようにして、本実施形態の結晶性無機膜1は製造される。半導体膜からなる結晶性無機膜1では、さらに必要な領域に不純物ドープを行ってもよい。
以上のようにして、本実施形態の結晶性無機膜1は製造される。半導体膜からなる結晶性無機膜1では、さらに必要な領域に不純物ドープを行ってもよい。
本実施形態の結晶性無機膜1の製造方法は、液相法により非単結晶膜12を成膜した後結晶化前に非単結晶膜12中に含まれるすべての有機成分を分解する前処理工程を有するものである。かかる方法によれば、あらかじめ有機成分が除去された非単結晶膜12を結晶化するので、結晶化時にアブレーション等による結晶成長不良等を生じずに、良好に結晶化させることができる。本実施形態では、プラスチック基板の耐熱温度以下の比較的低温プロセスでも結晶性が良好な無機膜を製造することができる。
また、本実施形態の結晶性無機膜1の製造方法において、結晶化方法は制限されない。従って、液相法を適用可能なすべての無機材料を結晶化の対象とし、結晶性無機膜1の材質に合わせた結晶化をすることができる。
本実施形態の結晶性無機膜の製造方法によれば、液相法により、結晶性が高く、薄膜トランジスタ(TFT)の活性層等として好適な半導体膜1を簡易にかつ低コストに製造することができる。
「半導体装置」
図2を参照して、上記実施形態の結晶性無機膜1を用いた半導体装置及びその製造方法について説明する。本実施形態では、ボトムゲート型を例として説明する。図2は、TFTの製造工程図(基板の厚み方向の断面図)である。視認しやすくするため、構成要素の縮尺は実際のものとは適宜異ならせてある。
図2を参照して、上記実施形態の結晶性無機膜1を用いた半導体装置及びその製造方法について説明する。本実施形態では、ボトムゲート型を例として説明する。図2は、TFTの製造工程図(基板の厚み方向の断面図)である。視認しやすくするため、構成要素の縮尺は実際のものとは適宜異ならせてある。
本実施形態の半導体装置(TFT)2は、基板11上に、半導体膜からなる上記実施形態の結晶性無機膜1を用いて得られた活性層と電極と絶縁膜とを備えたものである。
まず、図2(a)に示すように、基板11を用意し、n+Si等からなるゲート電極20及びSiO2等からなるゲート絶縁膜21を形成する。基板11は、上記実施形態の結晶性無機膜の製造方法で説明したのと同様の基板が使用できる。
次いで、図2(b)に示すように、上記実施形態の結晶性無機膜の製造方法により、半導体膜からなる結晶性無機膜1を形成する。結晶性無機膜1は、塗布法により製造することが可能であるため、真空処理を必要としない上、結晶性無機膜1の工程(A)において、図1(a)に示される原料液の塗布を、例えば、インクジェットプリンティング,スクリーン印刷等の印刷法を用いて行うことにより、直接描画によるパターニングが可能となる。従って、TFT素子形成領域のみに結晶性無機膜1を直接パターン形成することができる。
半導体膜からなる結晶性無機膜1としては、In,Ga,Zn,Sn,及びTiからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含む半導体性を有する金属酸化物膜、あるいはSi及び/又はGeからなる半導体膜が好ましい。
次に、図2(c)に示すように、結晶性無機膜1のソース領域及びドレイン領域となる領域に、P,B等のドーパントをドープして、TFTの活性層22を形成する。ソース領域とドレイン領域との間の領域がチャネル領域となる。
最後に、図2(d)に示すように、活性層22上にソース電極23及びドレイン電極24を形成する。
以上の工程により、本実施形態の半導体装置(TFT)2が製造される。
以上の工程により、本実施形態の半導体装置(TFT)2が製造される。
本実施形態の半導体装置(TFT)2は、基板11上に、半導体膜からなる結晶性無機膜1を用いて得られた活性層22と電極20,23,24とを備えたものである。
結晶性無機膜1は、上記実施形態の結晶性無機膜の製造方法により製造されたものであるので、結晶性が高く、TFTの活性層として好適である。また、結晶性無機膜1は液相法により作製することができるため、直接描画によるパターニングも可能である。従って、本実施形態によれば、素子特性(キャリア移動度等)に優れた半導体装置2を簡易かつ低コストなプロセスにて製造することができる。
結晶性無機膜1は、上記実施形態の結晶性無機膜の製造方法により製造されたものであるので、結晶性が高く、TFTの活性層として好適である。また、結晶性無機膜1は液相法により作製することができるため、直接描画によるパターニングも可能である。従って、本実施形態によれば、素子特性(キャリア移動度等)に優れた半導体装置2を簡易かつ低コストなプロセスにて製造することができる。
本発明に係る実施例及び比較例について説明する。
(実施例1)
ナノ粒子法を用いて、InGaZnO4膜を成膜した。
まず、基板に塗布する原料液を調製した。酢酸亜鉛2水和物2.2g、ガリウムイソプロポキシド、2.47g、インジウムイソプロポキシド2.74gを秤量し、シクロヘキサノール中で150℃の温度にて撹拌し、淡黄色の液体(A液)を得た。次いでA液をオートクレーブ中にて250℃にて1時間加熱攪拌してナノ粒子化して分散させ、深緑色の原料液(B液)を得た。B液のIn:Ga:Znの組成比(モル比)は、ICP測定により1.08:1:1という結果が得られた。
(実施例1)
ナノ粒子法を用いて、InGaZnO4膜を成膜した。
まず、基板に塗布する原料液を調製した。酢酸亜鉛2水和物2.2g、ガリウムイソプロポキシド、2.47g、インジウムイソプロポキシド2.74gを秤量し、シクロヘキサノール中で150℃の温度にて撹拌し、淡黄色の液体(A液)を得た。次いでA液をオートクレーブ中にて250℃にて1時間加熱攪拌してナノ粒子化して分散させ、深緑色の原料液(B液)を得た。B液のIn:Ga:Znの組成比(モル比)は、ICP測定により1.08:1:1という結果が得られた。
次に、B液を石英基板上に1000rpmで2回スピンコートした後、室温で乾燥させることにより非単結晶膜を成膜した。得られた薄膜をXRDにて評価を行ったところ、室温乾燥させたのみの膜では、アモルファス構造のパターンしか得られなかった(図3)。本実施例では高温焼成を実施しないが、参考までに図3にはこの膜を通常のゾルゲル法の焼成温度である1000℃にて焼成した膜のXRDパターンと合わせて示してある。1000℃焼成の膜ではInGaZnO4の結晶構造を有していることが確認できる。
室温乾燥膜を、UVオゾンクリーナーにて、60分間前処理を行った。XRF測定を行ったところ、前処理前後でIn,Ga,Znの組成比及び塗布量の変化は無かったが、SEM測定により、前処理後の非単結晶膜は、膜厚が30%程度減少しており、緻密化が促進されたということが分かった。また、IR測定を行うことにより、UVオゾン処理前後で有機物に由来するピークが消滅し、有機物が分解していることが分かった(表1)。
次に、前処理を施した膜に対して、KrFエキシマレーザ248nmの光を照射してレーザアニールによる結晶化を行った。アッテネータを用いてサンプルに照射されるレーザパワーを調整し、照射回数を200shotとした。最もよい結晶性が得られたレーザ照射パワーは、103mJ/cm2であった。
前記条件で結晶化した膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は31°の時、964kcpsであった(図4A、表1)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でIn,Ga,Znの量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが確認された。
またこの膜を用いて、図2に示されるようなTFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、InGaZnO4膜(膜厚100nm))を作製したところ、移動度は1.2cm2/V・Sであった。
またこの膜を用いて、図2に示されるようなTFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、InGaZnO4膜(膜厚100nm))を作製したところ、移動度は1.2cm2/V・Sであった。
(実施例2)
前処理を酸素プラズマの10分間照射により実施した以外は実施例1と同様にしてInGaZnO4膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は31°の時、925kcpsであった(図4B、表1)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でIn,Ga,Znの量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
前処理を酸素プラズマの10分間照射により実施した以外は実施例1と同様にしてInGaZnO4膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は31°の時、925kcpsであった(図4B、表1)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でIn,Ga,Znの量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
またこの膜を用いて、実施例1と同様にTFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、InGaZnO4膜(膜厚100nm))を作製したところ、移動度は1.1cm2/V・Sであった。
(比較例1)
前処理を400℃の温度にて30分間焼成することにより実施した以外は実施例1と同様にしてInGaZnO4膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は31°の時、671kcpsであった(図4C、表1)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でIn,Ga,Znの量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
前処理を400℃の温度にて30分間焼成することにより実施した以外は実施例1と同様にしてInGaZnO4膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は31°の時、671kcpsであった(図4C、表1)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でIn,Ga,Znの量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
またこの膜を用いて、実施例1と同様に、TFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、InGaZnO4膜(膜厚100nm))を作製したところ、移動度は0.01cm2/V・Sであった。
(比較例2)
前処理を行わなかった以外は上記実施例1と同様にしてInGaZnO4膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は31°の時、309kcps であった(図4D、表1)。しかしながら、前処理を行わなかったものは、XRF測定により、レーザ照射前後でIn,Ga,Znの量がそれぞれ、60%程度の減少がみられアブレーションを生じていることが確認された。
前処理を行わなかった以外は上記実施例1と同様にしてInGaZnO4膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表1に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は31°の時、309kcps であった(図4D、表1)。しかしながら、前処理を行わなかったものは、XRF測定により、レーザ照射前後でIn,Ga,Znの量がそれぞれ、60%程度の減少がみられアブレーションを生じていることが確認された。
またこの膜を用いて、実施例1と同様に、TFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、InGaZnO4膜(膜厚100nm))を作製したところ、TFT動作を確認することができなかった。
(評価)
実施例1,2と比較例1,2の結果より、酸化処理によって有機物を分解することで、レーザ照射後の結晶性が向上し、TFTの活性層として良好な結晶性膜が得られることが確認された。また、前処理は、加熱による酸化処理に比して酸素ラジカルによる酸化処理の方が効果的であることが確認された(図4A〜図4D)。
実施例1,2と比較例1,2の結果より、酸化処理によって有機物を分解することで、レーザ照射後の結晶性が向上し、TFTの活性層として良好な結晶性膜が得られることが確認された。また、前処理は、加熱による酸化処理に比して酸素ラジカルによる酸化処理の方が効果的であることが確認された(図4A〜図4D)。
(実施例3)
ゾルゲル法を用いてInGaZnO4膜を成膜した◎
まず、基板に塗布する原料液を調製した。酢酸亜鉛2水和物2.2g、ガリウムイソプロポキシド2.47g、インジウムイソプロポキシ2.74gを秤量し、ジエチルエタノールアミン中で150℃の温度にて攪拌し、淡黄色の原料液(C液)を得た。C液のIn,Ga,Znの組成比は、ICP測定により1.05:1.02:1という結果が得られた。
ゾルゲル法を用いてInGaZnO4膜を成膜した◎
まず、基板に塗布する原料液を調製した。酢酸亜鉛2水和物2.2g、ガリウムイソプロポキシド2.47g、インジウムイソプロポキシ2.74gを秤量し、ジエチルエタノールアミン中で150℃の温度にて攪拌し、淡黄色の原料液(C液)を得た。C液のIn,Ga,Znの組成比は、ICP測定により1.05:1.02:1という結果が得られた。
次に、C液を石英基板上に1000rpmで二回スピンコートした後、室温で乾燥させることにより非単結晶膜を成膜した。得られた薄膜をXRDにて評価を行ったところ、室温乾燥させたのみの膜では、アモルファス構造のパターンしか得られなかった(図5)。図5には実施例1と同様、この膜を1000℃焼成した膜のXRDパターンと合わせて示してある。1000℃焼成の膜ではInGaZnO4の結晶構造を有していることが確認できる。
室温乾燥膜を、UVオゾンクリーナーにて、60分間前処理を行った。XRF測定を行ったところ、前処理前後でIn,Ga,Znの組成比及び塗布量の変化は無かったが、SEM測定により、前処理後の非単結晶膜は、膜厚が30%程度減少しており、緻密化が促進されたということが分かった。また、IR測定を行うことにより、UVオゾン処理前後で有機物に由来するピークが消滅し、有機物が分解していることが分かった(表2)。
次に、前処理を施した膜に対して、KrFエキシマレーザ248nmの光を照射してレーザアニールによる結晶化を行った。アッテネータを用いてサンプルに照射されるレーザパワーを調整し、照射回数を200shotとした。最もよい結晶性が得られたレーザ照射パワーは、103mJ/cm2であった。
前記条件で結晶化した膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は31°の時、2410kcpsであった(図6A、表2)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でIn,Ga,Znの量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
またこの膜を用いて、図2に示されるようなTFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、InGaZnO4膜(膜厚100nm))を作製したところ、移動度は0.9cm2/V・Sであった。
(実施例4)
前処理を酸素プラズマの10分間照射により実施した以外は実施例3と同様にしてInGaZnO4膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表2に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は31°の時、2383kcpsであった(図6B、表2)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でIn,Ga,Znの量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
前処理を酸素プラズマの10分間照射により実施した以外は実施例3と同様にしてInGaZnO4膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表2に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は31°の時、2383kcpsであった(図6B、表2)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でIn,Ga,Znの量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
またこの膜を用いて、実施例3と同様に、TFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、InGaZnO4膜(膜厚100nm))を作製したところ、移動度は0.8cm2/V・Sであった。
(比較例3)
前処理を400℃の温度にて30分間焼成することにより実施した以外は実施例3と同様にしてInGaZnO4膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表2に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は31°の時、2383kcpsであった(図6C、表2)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でIn,Ga,Znの量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
前処理を400℃の温度にて30分間焼成することにより実施した以外は実施例3と同様にしてInGaZnO4膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表2に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は31°の時、2383kcpsであった(図6C、表2)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でIn,Ga,Znの量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
またこの膜を用いて、実施例3と同様に、TFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、InGaZnO4膜(膜厚100nm))を作製したところ、移動度は0.007cm2/V・Sであった。
(比較例4)
前処理を行わなかった以外は上記実施例3と同様にしてInGaZnO4膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表2に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は31°の時、1233kcpsであった(図6D、表2)。しかしながら、前処理を行わなかったものは、XRF測定により、レーザ照射前後でIn,Ga,Znの量がそれぞれ、80%程度の減少がみられアブレーションを生じていることが確認された。
前処理を行わなかった以外は上記実施例3と同様にしてInGaZnO4膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表2に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は31°の時、1233kcpsであった(図6D、表2)。しかしながら、前処理を行わなかったものは、XRF測定により、レーザ照射前後でIn,Ga,Znの量がそれぞれ、80%程度の減少がみられアブレーションを生じていることが確認された。
またこの膜を用いて、実施例3と同様に、TFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、InGaZnO4膜(膜厚100nm))を作製したところ、TFT動作を確認することができなかった。
(評価)
実施例3,4と比較例3,4の結果より、酸化処理によって有機物を分解することで、レーザ照射後の結晶性が向上し、TFTの活性層として良好な結晶性膜が得られることが確認された。また、前処理は、加熱による酸化処理に比して酸素ラジカルによる酸化処理の方が効果的であることが確認された(図6A〜図6D)。
実施例3,4と比較例3,4の結果より、酸化処理によって有機物を分解することで、レーザ照射後の結晶性が向上し、TFTの活性層として良好な結晶性膜が得られることが確認された。また、前処理は、加熱による酸化処理に比して酸素ラジカルによる酸化処理の方が効果的であることが確認された(図6A〜図6D)。
(実施例5)
ナノ粒子法を用いてZnO膜を成膜した◎
まず、基板に塗布する原料液を調製した。酢酸亜鉛2水和物2.14gを秤量し、ジエチルエタノールアミン中で170℃の温度にて撹拌し、ナノ粒子化して分散させ、淡黄色の原料液(D液)を得た。
ナノ粒子法を用いてZnO膜を成膜した◎
まず、基板に塗布する原料液を調製した。酢酸亜鉛2水和物2.14gを秤量し、ジエチルエタノールアミン中で170℃の温度にて撹拌し、ナノ粒子化して分散させ、淡黄色の原料液(D液)を得た。
次に、D液を石英基板上に1000rpmで二回スピンコートした後、室温で乾燥させることにより非単結晶膜を成膜した。得られた薄膜をXRDにて評価を行ったところ、室温乾燥させたのみの膜では、アモルファス構造のパターンしか得られなかった(図7)。図7には、実施例1と同様、この膜を通常のゾルゲル法の焼成温度である600℃にて焼成した膜のXRDパターンと合わせて示してある。600℃焼成の膜ではZnOの結晶構造を有していることが確認できる。
室温乾燥膜を、UVオゾンクリーナーにて、60分間前処理を行った。XRF測定を行ったところ、前処理前後でZn量の変化は無かったが、SEM測定により、前処理後の非単結晶膜は、膜厚が30%程度減少しており、緻密化が促進されたということが分かった。また、IR測定を行うことにより、UVオゾン処理前後で有機物に由来するピークが消滅し、有機物が分解していることが分かった(表3)。
次に、前処理を施した膜に対して、KrFエキシマレーザ248nmの光を照射してレーザアニールによる結晶化を行った。アッテネータを用いてサンプルに照射されるレーザパワーを調整し、照射回数を200shotとした。最もよい結晶性が得られたレーザ照射パワーは、82mJ/cm2であった。
前記条件で結晶化した膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は36°の時、817kcpsであった(図8A、表3)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でZn量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
またこの膜を用いて、図2に示されるような、TFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、ZnO膜(膜厚100nm))を作製したところ、移動度は0.5cm2/V・Sであった。
(実施例6)
前処理を酸素プラズマの10分間照射により実施した以外は実施例5と同様にしてZnO膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表3に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は36°の時、826kcpsであった(図8B、表3)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でZn量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
前処理を酸素プラズマの10分間照射により実施した以外は実施例5と同様にしてZnO膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表3に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は36°の時、826kcpsであった(図8B、表3)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でZn量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
またこの膜を用いて、実施例5と同様に、TFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、ZnO膜(膜厚100nm))を作製したところ、移動度は0.3cm2/V・Sであった。
(比較例5)
前処理を200℃の温度にて30分間焼成することにより実施した以外は実施例5と同様にしてZnO膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表3に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は36°の時、707kcpsであった(図8C、表3)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でZn量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
前処理を200℃の温度にて30分間焼成することにより実施した以外は実施例5と同様にしてZnO膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表3に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は36°の時、707kcpsであった(図8C、表3)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でZn量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
またこの膜を用いて、実施例3と同様に、TFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、ZnO膜(膜厚100nm))を作製したところ、移動度は0.002cm2/V・Sであった。
(比較例6)
前処理を行わなかった以外は上記実施例5と同様にしてZnO膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表3に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は36°の時、488kcpsであった(図8D、表3)。しかしながら、前処理を行わなかったものは、XRF測定により、レーザ照射前後でZnの量に80%程度の減少がみられアブレーションを生じていることが確認された。
前処理を行わなかった以外は上記実施例5と同様にしてZnO膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表3に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は36°の時、488kcpsであった(図8D、表3)。しかしながら、前処理を行わなかったものは、XRF測定により、レーザ照射前後でZnの量に80%程度の減少がみられアブレーションを生じていることが確認された。
またこの膜を用いて、実施例3と同様に、TFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、ZnO膜(膜厚100nm))を作製したところ、TFT動作は確認できなかった。
(評価)
実施例5,6と比較例5,6の結果より、酸化処理によって有機物を分解することで、レーザ照射後の結晶性が向上し、TFTの活性層として良好な結晶性膜が得られることが確認された。また、前処理は、加熱による酸化処理に比して酸素ラジカルによる酸化処理の方が効果的であることが確認された(図8A〜図8D)。
実施例5,6と比較例5,6の結果より、酸化処理によって有機物を分解することで、レーザ照射後の結晶性が向上し、TFTの活性層として良好な結晶性膜が得られることが確認された。また、前処理は、加熱による酸化処理に比して酸素ラジカルによる酸化処理の方が効果的であることが確認された(図8A〜図8D)。
(実施例7)
ゾルゲル法を用いてZnO膜を成膜した◎
まず、基板に塗布する原料液を調製した。酢酸亜鉛2水和物2.14gを秤量し、ジエチルエタノールアミン中で130℃の温度にて撹拌し、淡黄色の原料液(E液)を得た。
ゾルゲル法を用いてZnO膜を成膜した◎
まず、基板に塗布する原料液を調製した。酢酸亜鉛2水和物2.14gを秤量し、ジエチルエタノールアミン中で130℃の温度にて撹拌し、淡黄色の原料液(E液)を得た。
次に、E液を石英基板上に1000rpmで2回スピンコートした後、室温で乾燥させることにより非単結晶膜を成膜した。得られた薄膜をXRDにて評価を行ったところ、室温乾燥させたのみの膜では、アモルファス構造のパターンしか得られなかった(図9)。図9には、実施例5と同様、この膜を600℃焼成した膜のXRDパターンと合わせて示してある。600℃焼成の膜ではZnOの結晶構造を有していることが確認できる。
室温乾燥膜を、UVオゾンクリーナーにて、60分間前処理を行った。XRF測定を行ったところ、前処理前後でZn量の変化は無かったが、SEM測定により、前処理後の非単結晶膜は、膜厚が20%程度減少しており、緻密化が促進されたということが分かった。また、IR測定を行うことにより、UVオゾン処理前後で有機物に由来するピークが消滅し、有機物が分解していることが分かった(表4)。
次に、前処理を施した膜に対して、KrFエキシマレーザ248nmの光を照射してレーザアニールによる結晶化を行った。アッテネータを用いてサンプルに照射されるレーザパワーを調整し、照射回数を200shotとした。最もよい結晶性が得られたレーザ照射パワーは、82mJ/cm2であった。
前記条件で結晶化した膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は36°の時、837kcpsであった(図10A、表4)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でZn量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
またこの膜を用いて、図2に示されるTFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、ZnO膜(膜厚100nm))を作製したところ、移動度は0.3cm2/V・Sであった。
(実施例8)
前処理を酸素プラズマの10分間照射により実施した以外は実施例7と同様にしてZnO膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表4に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は36°の時、836kcpsであった(図10B、表4)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でZn量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
前処理を酸素プラズマの10分間照射により実施した以外は実施例7と同様にしてZnO膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表4に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は36°の時、836kcpsであった(図10B、表4)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でZn量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
またこの膜を用いて、実施例7と同様に、TFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、ZnO膜(膜厚100nm))を作製したところ、移動度は0.1cm2/V・Sであった。
(比較例7)
前処理を200℃の温度にて30分間焼成することにより実施した以外は実施例7と同様にしてZnO膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表4に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は36°の時、708kcpsであった(図10C、表4)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でZn量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
前処理を200℃の温度にて30分間焼成することにより実施した以外は実施例7と同様にしてZnO膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表4に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は36°の時、708kcpsであった(図10C、表4)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でZn量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
またこの膜を用いて、実施例7と同様にTFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、ZnO膜(膜厚100nm))を作製したところ、移動度は0.001cm2/V・Sであった。
(比較例8)
前処理を行わなかった以外は上記実施例7と同様にしてZnO膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表4に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は36°の時、543kcpsであった(図10D、表4)。しかしながら、前処理を行わなかったものは、XRF測定により、レーザ照射前後でZnの量に80%程度の減少がみられアブレーションを生じていることが確認された。
前処理を行わなかった以外は上記実施例7と同様にしてZnO膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表4に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は36°の時、543kcpsであった(図10D、表4)。しかしながら、前処理を行わなかったものは、XRF測定により、レーザ照射前後でZnの量に80%程度の減少がみられアブレーションを生じていることが確認された。
またこの膜を用いて、実施例7と同様に、TFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、ZnO膜(膜厚100nm))を作製したところ、TFT動作は確認できなかった。
(評価)
実施例7,8と比較例7,8の結果より、酸化処理によって有機物を分解することで、レーザ照射後の結晶性が向上し、TFTの活性層として良好な結晶性膜が得られることが確認された。また、前処理は、加熱による酸化処理に比して酸素ラジカルによる酸化処理の方が効果的であることが確認された(図10A〜図10D)。
実施例7,8と比較例7,8の結果より、酸化処理によって有機物を分解することで、レーザ照射後の結晶性が向上し、TFTの活性層として良好な結晶性膜が得られることが確認された。また、前処理は、加熱による酸化処理に比して酸素ラジカルによる酸化処理の方が効果的であることが確認された(図10A〜図10D)。
(実施例9)
ナノ粒子法を用いて、Zn2SnO4膜を成膜した。
まず、基板に塗布する原料液を調製した。酢酸亜鉛2水和物2.20g、スズテトライソプロポキシド、1.78gを秤量し、シクロヘキサノール中で150℃の温度にて撹拌し、淡黄色の液体(F液)を得た。次いでF液をオートクレーブ中にて250℃にて1時間加熱攪拌してナノ粒子化して分散させ、茶褐色の原料液(G液)を得た。G液のZn:Snの組成比は、ICP測定により2.05:1という結果が得られた。
ナノ粒子法を用いて、Zn2SnO4膜を成膜した。
まず、基板に塗布する原料液を調製した。酢酸亜鉛2水和物2.20g、スズテトライソプロポキシド、1.78gを秤量し、シクロヘキサノール中で150℃の温度にて撹拌し、淡黄色の液体(F液)を得た。次いでF液をオートクレーブ中にて250℃にて1時間加熱攪拌してナノ粒子化して分散させ、茶褐色の原料液(G液)を得た。G液のZn:Snの組成比は、ICP測定により2.05:1という結果が得られた。
次に、B液を石英基板上に1000rpmで2回スピンコートした後、室温で乾燥させることにより非単結晶膜を成膜した。得られた薄膜をXRDにて評価を行ったところ、室温乾燥させたのみの膜では、アモルファス構造のパターンしか得られなかったが、通常のゾルゲル法の焼成温度である1000℃にて焼成した膜ではZn2SnO4の結晶構造を有していることが確認できた。
室温乾燥膜を、UVオゾンクリーナーにて、60分間前処理を行った。XRF測定を行ったところ、前処理前後でIn,Ga,Znの組成比及び塗布量の変化は無かったが、SEM測定により、前処理後の非単結晶膜は、膜厚が30%程度減少しており、緻密化が促進されたということが分かった。また、IR測定を行うことにより、UVオゾン処理前後で有機物に由来するピークが消滅し、有機物が分解していることが分かった(表5)。
次に、前処理を施した膜に対して、KrFエキシマレーザ248nmの光を照射してレーザアニールによる結晶化を行った。アッテネータを用いてサンプルに照射されるレーザパワーを調整し、照射回数を200shotとした。最もよい結晶性が得られたレーザ照射パワーは、96mJ/cm2であった。
前記条件で結晶化した膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は34°の時、1125kcpsであった(表5)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でSn,Znの量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが確認された。
またこの膜を用いて、図2に示されるTFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、Zn2SnO4膜(膜厚100nm))を作製したところ、移動度は1.2cm2/V・Sであった。
またこの膜を用いて、図2に示されるTFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、Zn2SnO4膜(膜厚100nm))を作製したところ、移動度は1.2cm2/V・Sであった。
(実施例10)
前処理を酸素プラズマの10分間照射により実施した以外は実施例9と同様にしてZn2SnO4膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表5に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は34°の時、1099kcpsであった(表5)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でSn,Znの量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
前処理を酸素プラズマの10分間照射により実施した以外は実施例9と同様にしてZn2SnO4膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表5に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は34°の時、1099kcpsであった(表5)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でSn,Znの量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
またこの膜を用いて、実施例9と同様に、TFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、Zn2SnO4膜(膜厚100nm))を作製したところ、移動度は1.0cm2/V・Sであった。
(比較例9)
前処理を400℃の温度にて30分間焼成することにより実施した以外は実施例9と同様にしてZn2SnO4膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表5に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は34°の時、1025kcpsであった(表5)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でSn,Znの量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
前処理を400℃の温度にて30分間焼成することにより実施した以外は実施例9と同様にしてZn2SnO4膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表5に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は34°の時、1025kcpsであった(表5)。また、XRF測定により、レーザ照射前後でSn,Znの量に変化は無くレーザ照射によるアブレーションも起きていないということが分かった。
またこの膜を用いて、実施例9と同様に、TFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、Zn2SnO4膜(膜厚100nm))を作製したところ、移動度は0.009cm2/V・Sであった。
(比較例10)
前処理を行わなかった以外は上記実施例9と同様にしてZn2SnO4膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表5に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は36°の時、358kcps であった(表5)。しかしながら、前処理を行わなかったものは、XRF測定により、レーザ照射前後でSn,Znの量がそれぞれ、80%程度の減少がみられアブレーションを生じていることが確認された。
前処理を行わなかった以外は上記実施例9と同様にしてZn2SnO4膜を成膜し、同様の評価を行った。その結果を表5に示す。得られた膜に対し、XRD測定を行ったところ、最も強く回折強度が得られた角度は36°の時、358kcps であった(表5)。しかしながら、前処理を行わなかったものは、XRF測定により、レーザ照射前後でSn,Znの量がそれぞれ、80%程度の減少がみられアブレーションを生じていることが確認された。
またこの膜を用いて、実施例9と同様に、TFT(基板:n+Si、絶縁膜:SiO2(膜厚100nm)、電極:Ti(膜厚30nm)、Zn2SnO4膜(膜厚100nm))を作製したところ、TFT動作は確認できなかった。
(評価)
実施例9,10と比較例9,10の結果より、酸化処理によって有機物を分解することで、レーザ照射後の結晶性が向上し、TFTの活性層として良好な結晶性膜が得られることが確認された。また、前処理は、加熱による酸化処理に比して酸素ラジカルによる酸化処理の方が効果的であることが確認された。
実施例9,10と比較例9,10の結果より、酸化処理によって有機物を分解することで、レーザ照射後の結晶性が向上し、TFTの活性層として良好な結晶性膜が得られることが確認された。また、前処理は、加熱による酸化処理に比して酸素ラジカルによる酸化処理の方が効果的であることが確認された。
本発明の結晶性無機膜は、薄膜トランジスタ(TFT)等の半導体装置の活性層等に好ましく適用することができる。
1 結晶性無機膜(半導体膜)
11 基板
12 非単結晶膜
2 半導体装置(TFT)
20、23、24 電極
21 絶縁膜(ゲート絶縁膜)
22 活性層
L レーザ光線(熱線)
11 基板
12 非単結晶膜
2 半導体装置(TFT)
20、23、24 電極
21 絶縁膜(ゲート絶縁膜)
22 活性層
L レーザ光線(熱線)
Claims (15)
- 金属元素及び/又は半導体元素を含む無機物からなる結晶性無機膜の製造方法において、
前記無機物の構成元素を含む、無機原料、有機前駆体原料及び有機無機複合前駆体原料からなる群より選ばれた少なくとも1種の原料と、有機溶媒とを含む原料液を用いて、液相法により前記無機物のすべての構成元素を含む非単結晶膜を成膜する工程(A)と、
該非単結晶膜に含まれる少なくとも1種の有機成分の分解温度以下の条件で、すべての該有機成分を分解する工程(B)と、
前記非単結晶膜が結晶化する温度以上の条件で、該非単結晶膜を加熱して結晶化させる工程(C)とを順次実施することを特徴とする結晶性無機膜の製造方法。 - 前記工程(A)において、前記原料液として、前記有機前駆体原料と前記有機溶媒とを含む原料液を用い、前記非単結晶膜を成膜することを特徴とする請求項1に記載の結晶性無機膜の製造方法。
- 前記工程(A)において、前記原料液として、前記無機原料及び/又は前記有機無機複合前駆体原料と前記有機溶媒とを含む原料液を用いて、前記非単結晶膜を成膜することを特徴とする請求項1に記載の結晶性無機膜の製造方法。
- 前記原料液として、前記無機物の構成元素を含む有機前駆体原料を粒子化させて得られた無機粒子及び/又は有機無機複合粒子が前記有機溶媒に分散された原料液を用いることを特徴とする請求項3に記載の結晶性無機膜の製造方法。
- 加熱撹拌処理により、前記液中の前記有機前駆体原料を粒子化させることを特徴とする請求項4に記載の結晶性無機膜の製造方法。
- 前記工程(B)において、酸化処理により前記有機成分を分解することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の結晶性無機膜の製造方法。
- 前記酸化処理は、酸素ラジカルを用いる処理であることを特徴とする請求項6に記載の結晶性無機膜の製造方法。
- 前記酸化処理は、前記非単結晶膜に対して酸素又はオゾン存在下で波長300nm以下の紫外線を照射する処理、若しくは前記非単結晶膜に対して酸素プラズマを照射する処理であることを特徴とする請求項7に記載の結晶性無機膜の製造方法。
- 前記工程(C)において、前記非単結晶膜を、熱線を用いた加熱処理により加熱して結晶化させることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の結晶性無機膜の製造方法。
- 前記熱線としてレーザ光線を用いることを特徴とする請求項9に記載の結晶性無機膜の製造方法。
- 請求項1〜10に記載の結晶性無機膜の製造方法により製造されたものであることを特徴とする結晶性無機膜。
- 金属膜、金属酸化物膜、金属窒化物膜、及び金属硫化物膜のうちいずれかであることを特徴とする請求項11に記載の結晶性無機膜。
- 半導体膜であることを特徴とする請求項11記載の結晶性無機膜。
- 基板上に、請求項13に記載の半導体膜を用いて得られた活性層と電極と絶縁膜とを備えたことを特徴とする半導体装置。
- 前記基板がプラスチック基板であることを特徴とする請求項14に記載の半導体装置。
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