JP2009145799A - 光学素子および光学素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた耐溶剤性を有すると共に、優れた透過波面収差を備えた光学素子および光学素子の製造方法を提供する。
【解決手段】入射光の偏光状態を、直線偏光から円偏光に変換する、または円偏光から直線偏光に変換する機能を有する1/4波長板1は、共に複屈折性を有する水晶板より成る第1の波長板2と第2の波長板3とが、接合層4を介して互いに接合されている。接合層4は、粘着剤の表面に粘着剤の単位体積あたり0.0166g/mm3程度の接着剤を塗布して粘着剤中に接着剤が含浸した層で形成されている。この1/4波長板1は、DVDレコーダーやDVDプレーヤーなどの光ピックアップに好ましく利用することができる。
【選択図】図1
【解決手段】入射光の偏光状態を、直線偏光から円偏光に変換する、または円偏光から直線偏光に変換する機能を有する1/4波長板1は、共に複屈折性を有する水晶板より成る第1の波長板2と第2の波長板3とが、接合層4を介して互いに接合されている。接合層4は、粘着剤の表面に粘着剤の単位体積あたり0.0166g/mm3程度の接着剤を塗布して粘着剤中に接着剤が含浸した層で形成されている。この1/4波長板1は、DVDレコーダーやDVDプレーヤーなどの光ピックアップに好ましく利用することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、光学素子および光学素子の製造方法に関し、特に複数の透明結晶基材が互いに接合された光学素子およびその光学素子の製造方法に関する。
近年、CD(コンパクトディスク)やDVD(デジタルビデオディスク)などの光ディスク媒体からの情報を、再生したり記録したりするための記録再生装置(プレーヤーおよびレコーダー)が急速に普及している。
記録再生装置は、光ディスク媒体からの信号の読み出しおよび書き込みが光ピックアップにより行われる。
記録再生装置は、光ディスク媒体からの信号の読み出しおよび書き込みが光ピックアップにより行われる。
光ピックアップでは、内部に配置されたレーザ光源から射出されたレーザ光が、光路上に配置されたグレーティング(回析格子)、1/2(λ/2)波長板、ダイクロイックプリズム、1/4(λ/4)波長板などの各種光学素子によって反射または透過されて、光ディスク媒体の情報記録面に到達し、光ディスク媒体との間の各種信号および情報データに基づいて、データ信号の読み出しおよびデジタルビット情報の書き込みが行われる。
因みに、レーザ光源として、CDでは中心波長785nmの赤外半導体レーザが、DVDでは中心波長660nmの赤色半導体レーザが用いられる。また、ブルーレイディスクやHD−DVDなどの次世代DVDでは、中心波長405nmの青色半導体レーザが使用される。
こうした光ピックアップに用いられる波長板として、広い波長範囲において長期にわたり良好な偏光特性を得ることを目的に、環状オレフィン系樹脂フィルムの光学軸と光学異方性を有する透明結晶板の光学軸とのなす角が、0°〜90°の範囲にあり、互いに接着されてなる積層波長板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に示されるような、無機材料の透明結晶板と有機材料の透過性光学フィルムとが接合された光学素子は、線膨張係数の異なる材料同士が接合される構造であることにより、温度衝撃性や耐熱性など温度変化による光学特性の不具合を招き易い。また、2枚の基材を接合するのに接着剤を用いた場合には、接合面に気泡が残存し易く、しかも接着剤層の厚さのバラツキやムラにより透過波面収差が大きくなり易いなどの課題を有する。さらに、接合の際に、溢れた接着剤を拭き取る工程なども必要となる。一方、粘着剤を採用した場合には、洗浄などにおける溶剤(洗浄液)に対する耐溶剤性に劣るという不具合が存在する。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例に係る光学素子は、複数の透明結晶基材が接合層を介して互いに接合された光学素子であって、粘着剤の表面に接着剤を塗布し、前記接着剤を含浸した前記粘着剤で形成された前記接合層を備えたことを特徴とする。
本適用例に係る光学素子は、複数の透明結晶基材が接合層を介して互いに接合された光学素子であって、粘着剤の表面に接着剤を塗布し、前記接着剤を含浸した前記粘着剤で形成された前記接合層を備えたことを特徴とする。
これによれば、複数の透明結晶基材が互いに接合された光学素子が、粘着剤の表面に接着剤を塗布して粘着剤中に接着剤が含浸した接合層を介して接合されることにより、光学素子の製造工程および取り扱い時などにおける汚れなどを取り除くために行われる洗浄や拭き取り作業などの際に、接合層が溶剤(洗浄液)に侵食されるのを阻止して、接合面が剥離するのを防ぐことができる。すなわち、優れた耐溶剤性能を有する。また接合層に粘着剤を含むことにより、接合層の厚みバラツキが抑えられて優れた透過波面収差を備えることができる。さらに、接着剤のみを用いた場合に発生し易い透明結晶基材相互間のズレや、接合面における気泡の発生を防ぐと共に、接着剤の溢れもないので外観欠点が低減した光学素子が得られる。
[適用例2]
上記適用例に係る光学素子において、前記透明結晶基材が複屈折性を有する水晶板より成り、複数の前記水晶板が積層された積層波長板であることが好ましい。
これによれば、複数の透明結晶基材が接合層を介して互いに接合された光学素子が、複屈折性を有する水晶板が積層された積層波長板であることにより、優れた耐溶剤性能を有すると共に、優れた透過波面収差を備えた積層波長板が得られる。また、各水晶板の板厚および位相差を調整することで、各種波長域に容易に対応することが可能となる。さらにニオブ酸リチウム、チリ硝石、方解石などの複屈折性を有する材料に比べて、強度面やコスト面においても優れた積層波長板が得られる。
上記適用例に係る光学素子において、前記透明結晶基材が複屈折性を有する水晶板より成り、複数の前記水晶板が積層された積層波長板であることが好ましい。
これによれば、複数の透明結晶基材が接合層を介して互いに接合された光学素子が、複屈折性を有する水晶板が積層された積層波長板であることにより、優れた耐溶剤性能を有すると共に、優れた透過波面収差を備えた積層波長板が得られる。また、各水晶板の板厚および位相差を調整することで、各種波長域に容易に対応することが可能となる。さらにニオブ酸リチウム、チリ硝石、方解石などの複屈折性を有する材料に比べて、強度面やコスト面においても優れた積層波長板が得られる。
[適用例3]
本適用例に係る光学素子の製造方法は、第1の透明結晶基材と第2の透明結晶基材とが接合層を介して互いに接合された光学素子の製造方法であって、前記第1の透明結晶基材の表面に両面接着シート状の粘着剤を貼り合わせる粘着剤貼り合せ工程と、前記粘着剤の表面に接着剤を塗布して前記粘着剤中に前記接着剤を含浸する接着剤塗布工程と、前記接着剤が塗布された前記粘着剤の表面に前記第2の透明結晶基材を貼り合わせる基材貼り合せ工程と、互いに貼り合された前記透明結晶基材にエネルギー線を照射して前記粘着剤中に含浸した前記接着剤を硬化する接着剤硬化工程と、を備えたことを特徴とする。
本適用例に係る光学素子の製造方法は、第1の透明結晶基材と第2の透明結晶基材とが接合層を介して互いに接合された光学素子の製造方法であって、前記第1の透明結晶基材の表面に両面接着シート状の粘着剤を貼り合わせる粘着剤貼り合せ工程と、前記粘着剤の表面に接着剤を塗布して前記粘着剤中に前記接着剤を含浸する接着剤塗布工程と、前記接着剤が塗布された前記粘着剤の表面に前記第2の透明結晶基材を貼り合わせる基材貼り合せ工程と、互いに貼り合された前記透明結晶基材にエネルギー線を照射して前記粘着剤中に含浸した前記接着剤を硬化する接着剤硬化工程と、を備えたことを特徴とする。
これによれば、第1の透明結晶基材と第2の透明結晶基材とが接合層を介して互いに接合された光学素子の製造方法が、第1の透明結晶基材の表面に両面接着シート状の粘着剤を貼り合わせる粘着剤貼り合せ工程と、粘着剤の表面に接着剤を塗布して粘着剤中に接着剤を含浸する接着剤塗布工程と、接着剤が塗布された粘着剤の表面に第2の透明結晶基材を貼り合わせる基材貼り合せ工程と、互いに貼り合された透明結晶基材にエネルギー線を照射して粘着剤中に含浸した接着剤を硬化する接着剤硬化工程とを備えることにより、粘着剤中に接着剤が含浸した接合層が、接着剤のみを用いた場合に発生し易い透明結晶基材相互間のズレや、接合面における気泡の発生を防ぐと共に、接着剤が溢れることもないので、外観欠点が低減することができる。また、粘着剤中に接着剤が含浸された接合層は、汚れなどを取り除くために行われる洗浄や拭き取り作業などの際に、溶剤(洗浄液)の侵食を阻止して接合面が剥離するのを防ぐことができる。さらに、接合層に粘着剤を含むことにより、接合層の厚みバラツキが抑えられて優れた透過波面収差を備えることができる。
[適用例4]
上記適用例に係る光学素子の製造方法において、前記接着剤の塗布量が、前記粘着剤の単位体積あたり0.0166g/mm3程度であることが好ましい。
これによれば、粘着剤の表面に接着剤を塗布して粘着剤中に接着剤を含浸する接着剤塗布工程において、接着剤の塗布量が、粘着剤の単位体積あたり0.0166g/mm3程度であることにより、洗浄作業などにおける溶剤(洗浄液)の侵食を阻止して接合面が剥離するのを防ぐ機能を維持すると共に、接着剤が接合層からこぼれ出して光学素子の外周面や主面を汚すこともない。
上記適用例に係る光学素子の製造方法において、前記接着剤の塗布量が、前記粘着剤の単位体積あたり0.0166g/mm3程度であることが好ましい。
これによれば、粘着剤の表面に接着剤を塗布して粘着剤中に接着剤を含浸する接着剤塗布工程において、接着剤の塗布量が、粘着剤の単位体積あたり0.0166g/mm3程度であることにより、洗浄作業などにおける溶剤(洗浄液)の侵食を阻止して接合面が剥離するのを防ぐ機能を維持すると共に、接着剤が接合層からこぼれ出して光学素子の外周面や主面を汚すこともない。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
本実施形態は、複数の透明結晶基材が接合層を介して互いに接合された光学素子として、複屈折性を有する結晶基板同士を接合した接着タイプの積層波長板、具体的には2枚の複屈折性を有する水晶板を接合した1/4(λ/4)波長板の場合を一例として説明する。なお、積層波長板は、2種類の複屈折性結晶基板(波長板)を組み合わせて、広帯域に対応したり、光の入射角変動による位相差精度への影響に対応したり、あるいは取り扱い性の向上を図ったりすることを目的に広く活用されている。
本実施形態は、複数の透明結晶基材が接合層を介して互いに接合された光学素子として、複屈折性を有する結晶基板同士を接合した接着タイプの積層波長板、具体的には2枚の複屈折性を有する水晶板を接合した1/4(λ/4)波長板の場合を一例として説明する。なお、積層波長板は、2種類の複屈折性結晶基板(波長板)を組み合わせて、広帯域に対応したり、光の入射角変動による位相差精度への影響に対応したり、あるいは取り扱い性の向上を図ったりすることを目的に広く活用されている。
図1は、本実施形態に係る1/4波長板の構成を示す模式図であり、図1(a)は正面図、図1(b)は図1(a)のA−A断面における断面図である。なお、これらの図面は、説明の便宜のために各構成要素の寸法や比率を実際のものとは異ならせてある。
図1において、光学素子および積層波長板としての1/4波長板1は、透明結晶基材としての第1の波長板2と、同様に透明結晶基材としての第2の波長板3とが、接合層4を介して互いに接合されている。この1/4波長板1は、入射光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換する、または円偏光から直線偏光に変換する機能を有する。
図1において、光学素子および積層波長板としての1/4波長板1は、透明結晶基材としての第1の波長板2と、同様に透明結晶基材としての第2の波長板3とが、接合層4を介して互いに接合されている。この1/4波長板1は、入射光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換する、または円偏光から直線偏光に変換する機能を有する。
第1の波長板2および第2の波長板3は共に水晶板より成り、水晶板の主面の法線が水晶のZ軸に対して90degとなるような角度でカットされた90degZの水晶板で形成されている。本実施形態における水晶とは、SiO2の単結晶であり、人工水晶または天然水晶のどちらであってもよい。
また、第1の波長板2および第2の波長板3は、同一厚さで、共に「横×縦」寸法が、例えば、略4mm×4mm程度の四角形の外形形状を成している。第1の波長板2および第2の波長板3の厚みは、数μm〜数十μmである。なお、1/4波長板1の波長域は、各波長板の板厚および位相差を調整することで可能となる。
図1(a)において、第1の波長板2の結晶光学軸(以後、光学軸と示す)aおよび第2の波長板3の光学軸bは、共に板面に沿って存在し(図1(b)中に矢印で示す)、光学軸aの光学軸方位と光学軸bの光学軸方位とは、互いに交差するように設定されている。なお、1/4波長板1の入射面および入射方向は、紙面および紙面に対して鉛直に向かう方向である。
例えば、第1の波長板2は位相差が900deg、光学軸方位角θ1が18.5degであり、第2の波長板3は位相差が630deg、光学軸方位角θ2が80degである。この構成の1/4波長板1は、中心波長405nmの青色波長帯において位相差90degを満たし、温度変動に対応することができる。
なお、光学軸方位角θ1,θ2は、入射光の水平の振動面に対する光学軸aおよび光学軸bの成す角度を、振動面から反時計回りに表した値である。
なお、光学軸方位角θ1,θ2は、入射光の水平の振動面に対する光学軸aおよび光学軸bの成す角度を、振動面から反時計回りに表した値である。
接合層4は、粘着剤に接着剤を含浸した粘着剤層より成る。
接合層4は、後述する1/4波長板1の製造方法における接着剤塗布工程において、第1の波長板2の表面に貼り合わされた粘着剤の表面に接着剤を塗布して、粘着剤中に接着剤を含浸して形成される。以後、接着剤を含浸した状態の粘着剤を粘着剤層と表す場合がある。
なお、本実施形態において、接着剤を塗布する動作は、接着剤を滴下する動作を含む。また、接着剤の含浸は、分散に読み替えることができる。
接合層4は、後述する1/4波長板1の製造方法における接着剤塗布工程において、第1の波長板2の表面に貼り合わされた粘着剤の表面に接着剤を塗布して、粘着剤中に接着剤を含浸して形成される。以後、接着剤を含浸した状態の粘着剤を粘着剤層と表す場合がある。
なお、本実施形態において、接着剤を塗布する動作は、接着剤を滴下する動作を含む。また、接着剤の含浸は、分散に読み替えることができる。
ここで、粘着剤とは、被接合物に接して圧力を加えることで被接合物同士を接合することができる感圧型接着剤のことを言う。したがって、接合によって粘着剤そのものの分子構造は変化しない。一方、接着剤とは、被接合物同士を接合した際に、紫外線や熱などの外部エネルギーによって分子構造が変化することで被接合物同士を接合するものを言う。
また、粘着剤は、粘着剤組成物が上下2枚のPETフィルムなどより成る剥離シート間に、所定の厚さに延伸された基材レスの両面接着テープ状または両面接着シート状の形態にしたものが用いられる。こうした粘着剤としては、日東電工(株)製の透明両面接着テープCS9621およびHJ−9150W、住友スリーエム(株)製の接着剤転写テープF−9460および8141、(株)サンエー化研製の粘着テープWR−B2などが挙げられる。
こうした両面接着テープ状または両面接着シート状の粘着剤は、接合に際して予め剥離シートを含み所望の外形形状に切断して用いられる。以後、両面接着テープ状または両面接着シート状の粘着剤が所望の外形形状に予め切断されたものを両面粘着シートと表す。粘着剤の好ましい厚みは5μm〜50μm程度である。
接着剤としては、一般的に光学部材の接着に用いられる接着剤であれば限定されないが、好ましい接着剤として、例えば(株)アーデル製の1液性光硬化型接着剤UT−20、サンライズMSI(株)製の紫外線硬化接着剤PHOTOボンド(登録商標)100およびPHOTOボンド(登録商標)400が挙げられる。
このようにして接合層4を形成する粘着剤および接着剤は、上記した粘着剤の内のいずれか一つの粘着剤と、上記した接着剤の内のいずれか一つの接着剤との、どんな組み合わせで用いてもよい。
このようにして接合層4を形成する粘着剤および接着剤は、上記した粘着剤の内のいずれか一つの粘着剤と、上記した接着剤の内のいずれか一つの接着剤との、どんな組み合わせで用いてもよい。
次に、このように構成された1/4波長板1(図1参照)の製造方法、すなわち第1の波長板2および第2の波長板3の接合方法について説明する。
1/4波長板1は、多数個取りが可能な大版の複屈折性を有する水晶基板2A,3Aを互いに接合した後に、所定の外形寸法に切断して完成する。
1/4波長板1は、多数個取りが可能な大版の複屈折性を有する水晶基板2A,3Aを互いに接合した後に、所定の外形寸法に切断して完成する。
水晶基板2Aおよび水晶基板3Aは、第1の波長板2および第2の波長板3を構成する基材であり、共に「横×縦」寸法が略40mm×40mmであり、接合、切断後に、外形形状が略4mm×4mmの1/4波長板1が、一度に50個程度完成する。
1/4波長板1の製造は、予め洗浄工程において洗浄された水晶基板2A,3Aと、水晶基板2A,3Aの外形形状(略40mm×40mm)に略合わせた形状に切断された両面粘着シートとを準備する。両面粘着シートとして、例えば、粘着剤の厚さが20μmの(株)サンエー化研製の粘着テープWR−B2を用いた。
接合は、先ず、定盤上に置かれた水晶基板2Aの上面に、両面粘着シートから一方の剥離テープを剥がして、露出した粘着剤面を水晶基板2A側にして水晶基板2Aの外周形状に合わせて載置する。そして、水晶基板2Aの表面に載置された粘着剤の表面(剥離テープ上)をローラーなどを用いて押圧力を付勢して、粘着剤を水晶基板2Aの表面に貼り合わせる(粘着剤貼り合せ工程)。
そして、水晶基板2Aに載置された両面粘着シートの上面の剥離テープを剥がして粘着剤の上面側を露出させた後、その粘着剤の平面形状の中心部に接着剤を一点滴下する。接着剤として(株)アーデル製の1液性光硬化型接着剤UT−20を用いた。これにより接着剤が粘着剤の表面全域に浸透し、しかも粘着剤中に接着剤が略均一に含浸される(接着剤塗布工程)。
接着剤の塗布量(滴下量)は、0.53g程度である。この塗布量は、粘着剤の平面サイズが略40mm×40mmで、厚みが略20μmであることから、粘着剤の単位体積あたり0.0166g/mm3程度に相当する。
接着剤の塗布量が多いと、後述する基材貼り合せ工程において、接着剤が1/4波長板1の外周面、ひいては主面にこぼれ出して拭き取り作業が必要になる。また、少なすぎると耐溶剤性に劣り、接合面が剥がれ易くなる。
なお、粘着剤の平面サイズ(塗布面積)が50mm×50mm程度を超えるような大きさの場合には、接着剤を粘着剤の表面に、例えば螺旋状などに描画するようにして塗布するのが望ましい。こうすることによって、接着剤を粘着剤の表面全域に均一に塗布することができると共に、接着剤が粘着剤の表面に広がる時間を短くすることができる。
また、粘度の高い接着剤を用いた場合には、接着剤が粘着剤の表面全域に行き渡らない、あるいは粘着剤中に接着剤が略均一に含浸され難いなどの現象を招き易い。こうした現象に対応するためには、粘着剤の表面に接着剤を塗布した後、粘着剤が貼り合わされた水晶基板2Aを回転するのが好ましい。すなわち、接着剤をスピンコート法を用いて塗布するのが好ましい。
そして、水晶基板3Aを水晶基板2Aの外周形状に合わせて粘着剤上に、軽い押圧力を付勢しながら載置する。押圧力の付勢にはローラーを用いることもできる。これにより、水晶基板2Aと水晶基板3Aとが、接合層4を挟んで重ね合わされて仮接合された状態の1/4波長板ブロックが完成する。
そして、基材貼り合せ工程に移行する。
そして、基材貼り合せ工程に移行する。
基材貼り合せ工程では、接合層4を挟んで重ね合わされて、仮接合された状態の1/4波長板ブロックの本接合が行われる。基材貼り合せ工程には、ローラー貼り合わせ装置を用いることもできるが、本実施形態においては、接合面における気泡の発生をより防ぐことを目的に、真空貼り合わせ装置を用いた。
真空貼り合わせ装置は、図示しないが、少なくとも真空チャンバーおよび真空チャンバー内を真空引きする真空装置と、真空チャンバー内の底面側および上面側に配設された下側圧着板および上側圧着板と、少なくとも下側圧着板および上側圧着板のどちらか一方を鉛直方向に昇降する昇降装置を備えている。なお、下側圧着板および上側圧着板の対向面は、表面が平滑に仕上げられた平らな面で構成され、共に定盤としての機能を有する。
先ず、仮接合された状態の1/4波長板ブロックを、真空貼り合わせ装置の真空チャンバーに配設された下側圧着板上に載置する。この時、水晶基板2Aと水晶基板3Aとが粘着剤で仮固定されていることにより、改めて位置合わせする必要はない。
そして、真空装置を稼動して、真空チャンバー内を0.1MPa〜1.0MPa程度の真空度に真空引きする。なお、真空チャンバー内の温度は、25℃〜50℃の範囲内の温度に保持されているのが好ましい。
そして、真空装置を稼動して、真空チャンバー内を0.1MPa〜1.0MPa程度の真空度に真空引きする。なお、真空チャンバー内の温度は、25℃〜50℃の範囲内の温度に保持されているのが好ましい。
そして、所定の真空度に達した後、昇降装置を稼動して、下側圧着板と離間した状態の上側圧着板を下降して、上側圧着板が水晶基板3Aに当接する。その後、この状態から10N〜100Nの加圧力で、加圧時間10秒〜30秒の加圧を行う。この加圧力と加圧時間は、被接合物の面積などに応じてそれぞれの範囲内の組み合わせにより適宜決定される。
接合時における真空チャンバー内の真空度は、0.1MPa以下では接合面における気泡の発生を皆無にすることができない。一方、1.0MPa以上の真空度は、真空引き時間を引き延ばすことになりサイクルタイムが伸びて生産性が低下する。また、上側圧着板の加圧力および加圧時間は、それぞれの上限範囲を超えると、上側圧着板の押圧時に1/4波長板ブロックの外周にはみだした粘着剤が、元に戻りきれずに外形寸法を損なう。
そして、再び上側圧着板を所定の位置に上昇させた後、真空装置の稼動を停止して、真空チャンバー内に大気を導入する。
そして、水晶基板2Aと水晶基板3Aとが接合層4を介して接合されて、一体化した1/4波長板ブロックは、真空貼り合わせ装置の真空チャンバー内から取り出されて、接着剤硬化工程に移行する。
そして、水晶基板2Aと水晶基板3Aとが接合層4を介して接合されて、一体化した1/4波長板ブロックは、真空貼り合わせ装置の真空チャンバー内から取り出されて、接着剤硬化工程に移行する。
接着剤硬化工程では、1/4波長板ブロックにエネルギー線としての紫外線を照射して、接合層4を形成する粘着剤に含浸された接着剤の硬化が行われる。これにより、水晶基板2Aと水晶基板3Aとが接合層4を介して接合された1/4波長板ブロックが完成する。
なお、水晶基板2Aと水晶基板3Aとを接合する基材貼り合せ工程において、加圧力または加圧時間が所定範囲を超えて、1/4波長板ブロックの外周および主面に接着剤がはみだした場合には、接着剤硬化工程に先立って、接着剤を拭き取ることが必要である。
なお、水晶基板2Aと水晶基板3Aとを接合する基材貼り合せ工程において、加圧力または加圧時間が所定範囲を超えて、1/4波長板ブロックの外周および主面に接着剤がはみだした場合には、接着剤硬化工程に先立って、接着剤を拭き取ることが必要である。
そして、水晶基板2Aと水晶基板3Aとが接合層4で接合された「横×縦」寸法が略40mm×40mmの1/4波長板ブロックを、ダイシングソーなどを用いて略4mm×4mm毎の四角形に切断して、第1の波長板2および第2の波長板3が接合層4で接合された多数の1/4波長板1が完成する。
完成した1/4波長板1は、入射光の偏光状態を直線偏光から円偏光、または円偏光から直線偏光に変える機能を有する。
完成した1/4波長板1は、入射光の偏光状態を直線偏光から円偏光、または円偏光から直線偏光に変える機能を有する。
また、完成した1/4波長板1は、単板タイプの波長板に比べて厚さが厚くなるので取り扱いがし易い。一方、このように製造された1/4波長板1は、第1の波長板2と第2の波長板3とが、粘着剤の表面に接着剤を塗布して粘着剤中に接着剤が含浸した接合層4を介して接合されているので、接着剤のみを用いた場合に発生し易い接合面における気泡の発生を防ぐと共に、接着剤の溢れもなく、外観欠点を低減することができる。
なお、完成した1/4波長板1には、接合された第1の波長板2の外側の面、又は/及び第2の波長板3の外側の面とに、透過率を向上させるための反射防止膜(AR膜)を設けるのが好ましい。
以上に説明した1/4波長板1の製造方法は、大版の複屈折性を有する水晶基板2A,3Aを互いに接合した後に、所定の外形寸法に切断して完成する場合で説明したが、予め略4mm×4mmの四角形に加工された第1の波長板2および第2の波長板3を接合層4で接合した場合の製造方法であってもよい。
以上に説明した1/4波長板1の製造方法は、大版の複屈折性を有する水晶基板2A,3Aを互いに接合した後に、所定の外形寸法に切断して完成する場合で説明したが、予め略4mm×4mmの四角形に加工された第1の波長板2および第2の波長板3を接合層4で接合した場合の製造方法であってもよい。
次に、第1の波長板2と第2の波長板3とが接合された1/4波長板1における接合層4の耐溶剤性試験を行った。
耐溶剤性試験は、完成した1/4波長板1の製造工程および取り扱い時などにおける汚れなどを取り除くために行われる洗浄や拭き取り作業などに対する接合層4の接合性能を確認するために行った。
耐溶剤性試験は、完成した1/4波長板1の製造工程および取り扱い時などにおける汚れなどを取り除くために行われる洗浄や拭き取り作業などに対する接合層4の接合性能を確認するために行った。
耐溶剤性試験は、完成した1/4波長板1と、接合層に粘着剤(厚さが20μmの(株)サンエー化研製の粘着テープWR−B2)のみを用いて作製した比較試料としての1/4波長板11(後述する図4参照)について行った。
溶剤としてエタノール、メタノール、エタノールとメタノールの混合液、アセトン、IPA(イソプロピルアルコール)、ジエチルエーテルとエタノールの混合液の6種類と、参考に温水90℃について確認した。なお、前記混合液における混合比は、いずれも50:50とした。
溶剤としてエタノール、メタノール、エタノールとメタノールの混合液、アセトン、IPA(イソプロピルアルコール)、ジエチルエーテルとエタノールの混合液の6種類と、参考に温水90℃について確認した。なお、前記混合液における混合比は、いずれも50:50とした。
試験方法は、それぞれの溶液毎に3個ずつの1/4波長板1および1/4波長板11とを、それぞれ蓋付きシャーレーに入れた6種類の溶剤および温水中に浸漬し、0.5時間、1.5時間、2.5時間、5.5時間、22時間の経過時間毎に、接合層4への溶剤の侵食深さを工具顕微鏡を用いて測定した。
侵食深さは、平面が長方形の四辺における端面からの最大距離を計測した。なお、侵食部は接合層4が溶剤によって侵食された領域であり、接合層4が剥離された状態にあることを言う。
侵食深さは、平面が長方形の四辺における端面からの最大距離を計測した。なお、侵食部は接合層4が溶剤によって侵食された領域であり、接合層4が剥離された状態にあることを言う。
この耐溶剤性試験の結果、改めて図示しないが、6種類の溶剤および温水90℃の全てにおいて、1/4波長板1の接合層4が侵食されることはなく、22時間の経過後であっても、侵食深さは略0(ゼロ)であった。
一方、比較試料としての1/4波長板11の耐溶剤性試験における浸漬時間と侵食深さとの関係を示すグラフを、図2に示す。
一方、比較試料としての1/4波長板11の耐溶剤性試験における浸漬時間と侵食深さとの関係を示すグラフを、図2に示す。
図2に示すグラフは、横軸に浸漬時間(時間)を示し、縦軸に侵食深さ(mm)を示す。グラフ中に示す曲線A〜曲線Gは、曲線Aから順に温水90℃、IPA、エタノール、ジエチルエーテルとエタノールの混合液、エタノールとメタノールの混合液、メタノール、アセトンの溶剤における線図である。なお各線図は、3個の1/4波長板11の経過時間毎における測定平均値のプロット点を結んだ線図である。
図2において、曲線Aで示す温水90℃および曲線B〜曲線Fで示す溶剤(IPA、エタノール、ジエチルエーテルとエタノールの混合液、エタノールとメタノールの混合液、メタノール)は、共に浸漬時間が経過するに従って侵食深さが増加する傾向を示し、侵食深さは、温水90℃(曲線A)であっても0.23175mmであり、曲線Gで示すアセトンにおいては、5.5時間経過した時点で、4.149mmに達した。すなわち、粘着剤のみで形成された接合層は、耐溶剤性能に劣る。
図3は、アセトンに22時間浸漬後の1/4波長板1における部分測定画像であり、図4は、アセトンに5分間浸漬後の比較試料としての1/4波長板11における部分測定画像である。
なお、図3および図4に示す画像は、2枚の波長板2,3が積層された各1/4波長板の主面方向における外周端面部の部分測定画像である。
なお、図3および図4に示す画像は、2枚の波長板2,3が積層された各1/4波長板の主面方向における外周端面部の部分測定画像である。
図3において、αで示す線状域は光線の具合で多少滲んで見えるが、1/4波長板1の外周端面を示し、溶剤(アセトン)による接合層の侵食は認識されない。
一方、図4に示す接合層に粘着剤のみを用いた1/4波長板11においては、βで示す領域が溶剤(アセトン)により侵食された接合層の侵食部であり、5分間程度の経過時間において侵食深さは0.3mm程度であった。この1/4波長板11は、前記のように5.5時間経過した時点での侵食深さは、4.149mmである。
一方、図4に示す接合層に粘着剤のみを用いた1/4波長板11においては、βで示す領域が溶剤(アセトン)により侵食された接合層の侵食部であり、5分間程度の経過時間において侵食深さは0.3mm程度であった。この1/4波長板11は、前記のように5.5時間経過した時点での侵食深さは、4.149mmである。
以上の耐溶剤性試験の結果から、第1の波長板2と第2の波長板3とが接合層4を介して互いに接合された1/4波長板1は、接合層4が粘着剤の表面に接着剤を塗布して粘着剤中に接着剤が含浸した層で形成されることにより、優れた耐溶剤性能を備えている。したがって、製造工程および取り扱い時などにおける汚れなどを取り除くために行われる洗浄や拭き取り作業などの際に、溶剤が侵食するのを阻止して、接合面が剥離するのを防ぐことができる。
次に、完成した1/4波長板1の透過波面収差の確認を行った。
透過波面収差の確認は、干渉計および干渉縞解析装置を用い、完成した1/4波長板1と、新たに第1の波長板2と第2の波長板3を接着剤のみを用いて接着(接合)した比較試料としての1/4波長板について行った。比較試料としての1/4波長板は、(株)アーデル製の1液性光硬化型接着剤UT−20を用いて、公知の方法により接着した。なお、透過波面収差の確認は、それぞれの1/4波長板について50個ずつ行った。
透過波面収差の確認は、干渉計および干渉縞解析装置を用い、完成した1/4波長板1と、新たに第1の波長板2と第2の波長板3を接着剤のみを用いて接着(接合)した比較試料としての1/4波長板について行った。比較試料としての1/4波長板は、(株)アーデル製の1液性光硬化型接着剤UT−20を用いて、公知の方法により接着した。なお、透過波面収差の確認は、それぞれの1/4波長板について50個ずつ行った。
干渉計および干渉縞解析装置による透過波面収差の確認は、波長550nmにおけるPV値を測定した。
その結果、接合層4を介して接合した1/4波長板1のPV値(nm)は、50個の母集団における平均値:0.079、レンジ:0.032、標準偏差:0.007であった。一方、接着剤((株)アーデル製の1液性光硬化型接着剤UT−20)のみを用いて接合した比較サンプルの1/4波長板のPV値(nm)は、50個の母集団における平均値:0.099、レンジ:0.172、標準偏差:0.032であった。
その結果、接合層4を介して接合した1/4波長板1のPV値(nm)は、50個の母集団における平均値:0.079、レンジ:0.032、標準偏差:0.007であった。一方、接着剤((株)アーデル製の1液性光硬化型接着剤UT−20)のみを用いて接合した比較サンプルの1/4波長板のPV値(nm)は、50個の母集団における平均値:0.099、レンジ:0.172、標準偏差:0.032であった。
したがって、第1の波長板2と第2の波長板3とが、粘着剤に接着剤を含浸した接合層4により接合された1/4波長板1は、優れた透過波面収差が得られる。これは、接合層4に粘着剤を含むことにより、接合層4の厚みバラツキが抑えられることで第1の波長板2および第2の波長板3の歪みが矯正されることによるものと推測される。
このように、第1の波長板2と第2の波長板3とが接合層4を用いて接合された1/4波長板1は、優れた耐溶剤性能を有する他に、優れた透過波面収差を備えることができる。また、接合層4を用いた接合は、接着剤のみを用いた場合に発生し易い第1の波長板2と第2の波長板3とのズレや、接合層4における気泡の発生を防ぐと共に、接着剤の溢れもないので、外観欠点が低減した1/4波長板1が得られる。
以上のように構成および製造された1/4波長板1は、ブルーレイディスクやHD−DVDなどの次世代DVDレコーダーの光ピックアップに好適に用いることができる。
図5は、本実施形態に係る1/4波長板1を用いた光学ピックアップの概略光学構造を示す模式図である。なお、図5は、グレーティング(回析格子)、コリメータレンズおよび集光レンズなどのレンズ類、レーザ光源のレーザ出力を制御するためのフロントモニターなどを図示せずに、主要の基本光学素子のみで示す。
図5は、本実施形態に係る1/4波長板1を用いた光学ピックアップの概略光学構造を示す模式図である。なお、図5は、グレーティング(回析格子)、コリメータレンズおよび集光レンズなどのレンズ類、レーザ光源のレーザ出力を制御するためのフロントモニターなどを図示せずに、主要の基本光学素子のみで示す。
図5において、光ピックアップ100は、レーザ光源10、偏光分離素子としての偏光ビームスプリッタキューブ(以後、PBSと表す)20、1/4波長板30、反射ミラー40、信号検出用受光素子50を備えている。
また、レーザ光源10、PBS20、1/4波長板30、反射ミラー40は、光ディスク200に対してこの順序に配置されている。
また、レーザ光源10、PBS20、1/4波長板30、反射ミラー40は、光ディスク200に対してこの順序に配置されている。
この光ピックアップ100は、DVDレコーダーやDVDプレーヤーに組み込まれて、レーザ光源10より射出されたレーザ光のビームスポットを、光ディスク200の情報記録面に集光して情報データ(デジタルデータ信号)の読み出し、又は/及び情報記録面に情報データ(デジタルビット情報)の書き込みを行う電子機器装置である。
レーザ光源10は、中心波長405nmの青色レーザを射出するレーザダイオードである。
PBS20は、2つの直角二等辺三角柱プリズムの斜面間に入射光(レーザ光)をP偏光(直線偏光)とS偏光(直線偏光)とに分離する偏光分離膜20aが設けられている。偏光分離膜20aは、例えばTiO2(酸化チタン)の高屈折率材料層と、SiO2(酸化ケイ素)より成る低屈折率材料層とが、交互に所定の層数成膜され、P偏光光を透過し、S偏光光を反射する機能を有する。このように構成されたPBS20は、偏光分離膜20aにレーザ光が45°の角度で入射するように配置されている。
PBS20は、2つの直角二等辺三角柱プリズムの斜面間に入射光(レーザ光)をP偏光(直線偏光)とS偏光(直線偏光)とに分離する偏光分離膜20aが設けられている。偏光分離膜20aは、例えばTiO2(酸化チタン)の高屈折率材料層と、SiO2(酸化ケイ素)より成る低屈折率材料層とが、交互に所定の層数成膜され、P偏光光を透過し、S偏光光を反射する機能を有する。このように構成されたPBS20は、偏光分離膜20aにレーザ光が45°の角度で入射するように配置されている。
1/4波長板30は、上記した第1の波長板2と第2の波長板3とが粘着剤に接着剤を含浸した接合層4を介して接合された1/4波長板1(図1参照)であり、入射するP偏光(直線偏光)を円偏光に変換する機能、および入射する円偏光を直線偏光に変換する機能を有する。
反射ミラー40は、1/4波長板30において円偏光に変換されて入射するレーザ光を、光ディスク200に向かって全反射する機能を有する。
反射ミラー40は、1/4波長板30において円偏光に変換されて入射するレーザ光を、光ディスク200に向かって全反射する機能を有する。
信号検出用受光素子50は、光ディスク200の情報記録面において反射されたレーザ光(戻り光)を受光するセンサーであり、受光したレーザ光に対応したデジタルデータ信号(情報データ)を図示しない制御回路に出力する機能を備えている。
なお、レーザ光源10から光ディスク200へ向かうレーザ光L1の光路を、図中に実線で示し、光ディスク200の情報記録面において反射され、信号検出用受光素子50に向かうレーザ光(戻り光)L2の光路を、図中に破線で示す。
このように構成された光ピックアップ100の動作を簡単に説明する。
レーザ光源10から射出されたレーザ光L1は、先ず、PBS20に入射する。PBS20に入射したレーザ光L1は、偏光分離膜20aに45°の角度で入射して、P偏光光(直線偏光光)とS偏光光(直線偏光光)とに分離され、P偏光光が透過され、S偏光光が反射される。そして、偏光分離膜20aを透過したP偏光光は、1/4波長板30に入射する。一方、偏光分離膜20aにおいて反射されたS偏光光は、共に図示しないフロントモニターに入射した後、制御回路においてレーザ光源10のレーザ出力の制御に利用される。
レーザ光源10から射出されたレーザ光L1は、先ず、PBS20に入射する。PBS20に入射したレーザ光L1は、偏光分離膜20aに45°の角度で入射して、P偏光光(直線偏光光)とS偏光光(直線偏光光)とに分離され、P偏光光が透過され、S偏光光が反射される。そして、偏光分離膜20aを透過したP偏光光は、1/4波長板30に入射する。一方、偏光分離膜20aにおいて反射されたS偏光光は、共に図示しないフロントモニターに入射した後、制御回路においてレーザ光源10のレーザ出力の制御に利用される。
1/4波長板30では、PBS20より入射したP偏光(直線偏光)のレーザ光L1が、円偏光に変換される。そして、反射ミラー40に入射する。
反射ミラー40では、1/4波長板30において円偏光に変換されて入射するレーザ光L1が、光ディスク200に向かって全反射される。
そして、反射ミラー40で反射された円偏光のレーザ光L1は、共に図示しないコリメータレンズで平行化され、さらに集光レンズで集光されて、光ピックアップ100から光ディスク200の情報記録面上に到達する。
反射ミラー40では、1/4波長板30において円偏光に変換されて入射するレーザ光L1が、光ディスク200に向かって全反射される。
そして、反射ミラー40で反射された円偏光のレーザ光L1は、共に図示しないコリメータレンズで平行化され、さらに集光レンズで集光されて、光ピックアップ100から光ディスク200の情報記録面上に到達する。
そして、光ディスク200の情報記録面上に到達したレーザ光L1は、情報記録面で反射される。そして、光ディスク200で反射された円偏光のレーザ光は、戻り光のレーザ光L2として、再び光ピックアップ100に入射する。
光ピックアップ100に入射したレーザ光L2は、集光レンズ、コリメータレンズを介して、反射ミラー40に入射する。反射ミラー40では、入射したレーザ光L2が1/4波長板30に向かって全反射され、1/4波長板30に入射する。
光ピックアップ100に入射したレーザ光L2は、集光レンズ、コリメータレンズを介して、反射ミラー40に入射する。反射ミラー40では、入射したレーザ光L2が1/4波長板30に向かって全反射され、1/4波長板30に入射する。
1/4波長板30では、入射した円偏光のレーザ光L2が、S偏光(直線偏光)に変換されて、PBS20に向かって射出される。
そして、1/4波長板30においてS偏光に変換されたレーザ光L2は、PBS20に入射する。PBS20に入射したレーザ光L2は、偏光分離膜20aに45°の角度で入射して、信号検出用受光素子50に向かって反射される。
そして、1/4波長板30においてS偏光に変換されたレーザ光L2は、PBS20に入射する。PBS20に入射したレーザ光L2は、偏光分離膜20aに45°の角度で入射して、信号検出用受光素子50に向かって反射される。
そして、偏光分離膜20aで反射されたS偏光のレーザ光L2は、信号検出用受光素子50に入射する。
信号検出用受光素子50では、入射したレーザ光L2が、各種信号や情報データに変換される。そして、その各種信号および情報データに基づいて、制御回路や各種アクチュエータにより、焦点位置調整やトラッキング調整などの自動制御が行われて、光ディスク200に記録されているデジタルデータ信号の読み出し(再生)が行われたり、デジタルビット情報の書き込みが行われたりする。
信号検出用受光素子50では、入射したレーザ光L2が、各種信号や情報データに変換される。そして、その各種信号および情報データに基づいて、制御回路や各種アクチュエータにより、焦点位置調整やトラッキング調整などの自動制御が行われて、光ディスク200に記録されているデジタルデータ信号の読み出し(再生)が行われたり、デジタルビット情報の書き込みが行われたりする。
なお、光ピックアップ100は、レーザ光源10とPBS20との間に、レーザ光を平行化するコリメータレンズや3つのビームに分割するグレーティング(回析格子)を配置することができる。また、レーザ光源10から射出されるレーザ光をS偏光に変換して用いる場合には、1/2波長板を配置することができる。
以上のように、第1の波長板2と第2の波長板3とが、粘着剤の表面に接着剤を塗布して粘着剤中に接着剤が含浸した接合層4を介して互いに接合された1/4波長板1(1/4波長板30)を用いた光ピックアップ100は、優れた透過波面収差が得られるので、レーザ光源10から射出されたレーザ光を、光ディスク200の情報記録面に集光して情報データ(デジタルデータ信号)の読み出し、および情報記録面に情報データ(デジタルビット情報)の書き込みを行う際に、情報の劣化を抑えた光ピックアップ100が得られる。よって、ハイビジョンなどの高画質化に伴って、ますます厳しくなる透過波面収差規格に対応することが可能となる。
なお、光ピックアップ100において、1/4波長板30(1/4波長板1)が中心波長405nmの青色波長帯に対応した構成の場合で説明したが、中心波長660nmの赤色波長帯に対応した1/4波長板、あるいは中心波長785nmの赤外波長帯に対応した1/4波長板であってもよい。こうした1/4波長板1の波長域は、各波長板の板厚および位相差を適宜調整することで可能となる。なお、前者の1/4波長板は、赤色半導体レーザを配置したDVD機器の光ピックアップに好適に利用することができる。また、後者の1/4波長板は、赤外半導体レーザを配置したCD機器の光ピックアップに好適に利用することができる。
また、光ピックアップ100において、積層波長板として1/4波長板30の場合を説明したが、粘着剤に接着剤を含浸した接合層4を用いて接合する積層波長板であれば、1/2(λ/2)波長板であってもよい。1/2波長板は、レーザ光源10から射出されるレーザ光をS偏光に変換して用いる場合に好適に用いることができる。
さらに、光ピックアップ100において、1/4波長板30を青色半導体レーザに対応したDVDレコーダーの光ピックアップに用いた場合を説明したが、青色半導体レーザ対応の高密度DVD光ディスク、赤色半導体レーザ対応のDVD光ディスクおよび赤外半導体レーザに対応したCDディスクのいずれに対しても光情報の記録/再生を行うことが可能な3波長対応の光ピックアップの場合であってもよい。
以上のように粘着剤に接着剤が含浸した接合層4を介して互いに接合された光学素子としては、1/4波長板および1/2波長板などの積層波長板の他に、複数の各種プリズムを接合した偏光ビームスプリッタ、貼り合わせタイプのローパスフィルタ、あるいは水晶位相差板が接合された偏光変換素子などが挙げられる。これらの光学素子であっても、1/4波長板1の場合と同様の効果が得られる。
また、1/4波長板1を構成する第1の波長板2および第2の波長板3として、水晶板を用いた場合で説明したが、水晶板に代えてニオブ酸リチウム、チリ硝石、方解石、ルチル、KDP(KH2PO4)、ADP(NH4H2PO4)などの複屈折性を有する材料を用いることもできる。但し、強度面やコスト面から水晶板を用いるのが最も好ましい。
1,11,30…光学素子および積層波長板としての1/4波長板、2…複屈折性を有する透明結晶基材としての第1の波長板、3…複屈折性を有する透明結晶基材としての第2の波長板、4…接合層、10…レーザ光源、20…偏光ビームスプリッタキューブ(PBS)、20a…偏光分離膜、40…反射ミラー、50…信号検出用受光素子、100…光ピックアップ、200…光ディスク、α,β…侵食部(剥離部)。
Claims (4)
- 複数の透明結晶基材が接合層を介して互いに接合された光学素子であって、
粘着剤の表面に接着剤を塗布し、前記接着剤を含浸した前記粘着剤で形成された前記接合層を備えたこと特徴とする光学素子。 - 請求項1に記載の光学素子であって、
前記透明結晶基材が複屈折性を有する水晶板より成り、複数の前記水晶板が積層された積層波長板であることを特徴とする光学素子。 - 第1の透明結晶基材と第2の透明結晶基材とが接合層を介して互いに接合された光学素子の製造方法であって、
前記第1の透明結晶基材の表面に両面接着シート状の粘着剤を貼り合わせる粘着剤貼り合せ工程と、
前記粘着剤の表面に接着剤を塗布して前記粘着剤中に前記接着剤を含浸する接着剤塗布工程と、
前記接着剤が塗布された前記粘着剤の表面に前記第2の透明結晶基材を貼り合わせる基材貼り合せ工程と、
互いに貼り合された前記透明結晶基材にエネルギー線を照射して前記粘着剤中に含浸した前記接着剤を硬化する接着剤硬化工程と、
を備えたことを特徴とする光学素子の製造方法。 - 請求項3に記載の光学素子の製造方法であって、
前記接着剤の塗布量が、前記粘着剤の単位体積あたり0.0166g/mm3程度であることを特徴とする光学素子の製造方法。
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JP2012145844A (ja) * | 2011-01-13 | 2012-08-02 | Seiko Epson Corp | 偏光変換素子、偏光変換ユニット、投射装置、及び偏光変換素子の製造方法 |
JP2016194441A (ja) * | 2015-03-31 | 2016-11-17 | 大日本印刷株式会社 | センサモジュール及びその取付方法、並びにセンサモジュールが取り付けられた構造物 |
-
2007
- 2007-12-18 JP JP2007325578A patent/JP2009145799A/ja not_active Withdrawn
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Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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