JP2009145779A - 曲面状光干渉型赤外線カットフィルターの製造方法及びカットフィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】小型化されたデジタルカメラや携帯電話用カメラに対応できる赤外線カットフィルターの製造方法を提供する。
【解決手段】平面状の多層膜光干渉型赤外線カットフィルターを用意すること、
前記赤外線カットフィルターの少なくとも片面を、該赤外線カットフィルターよりも広い範囲に延在している支持体で支持し、前記赤外線カットフィルターが配されていない周囲部分を有する支持体/赤外線カットフィルター組み合わせ体を形成すること、
前記周囲部分を成形型に固定すること、
前記組み合わせ体を加熱し、支持体側が低圧側となるように組み合わせ体の両側で圧力差を生じさせて、該圧力差により前記組み合わせ体を曲面状に変形させること、
前記成形型から取り外し、曲面状に変形した赤外線カットフィルターを得ることを含む、曲面状光干渉型赤外線カットフィルターの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は曲面状光干渉型赤外線カットフィルターの製造方法及びその方法により製造される曲面状光干渉型赤外線カットフィルターに関する。
従来、デジタルカメラ等のカメラモジュールの光学系には、一または複数のレンズに加えて赤外線カットフィルターが不要な赤外線を除去する目的のために使用されている。デジタルカメラや携帯電話は近年小型化(薄型化)への市場要求が強く、それに搭載されるカメラモジュールにも一層の薄型化が望まれている。そのため、センサー(CCD/CMOSイメージセンサー)の小型化とともにカメラモジュールの全高は年々低くなり、センサーへの最大入射角は30度前後まで大きくなってきている。図1には、入射光の角度と、赤外線(IR)カットフィルター及びセンサー(CCD/CMOSイメージセンサー)の関係の略図を示している。図中、1は赤外線カットフィルターであり、2はセンサー(CCD/CMOSイメージセンサー)であり、入射角はθである。
赤外線カットフィルターとしては、光干渉型や吸収型の赤外線カットフィルター等が従来から知られている。光干渉型の赤外線カットフィルターは薄型にすることができるが、光線の入射角度によってフィルターの透過特性が変化してしまうため、以下に示すように従来から曲面を有する光干渉型の赤外線カットフィルターを提供する試みがなされていた。
特許文献1(特開平11−352324号公報)は「撮像素子と該撮像素子に被写体の像を結像させる撮像レンズとの間に配置される赤外カットフィルタの製造方法であって、該撮像レンズ側に凹面を向けて湾曲した光軸に対して回転対称となる曲面を有するほぼ均一な厚みの赤外カットフィルタを成型するように、形成された型内に、赤外線を吸収する物質を有するプラスチック材を充填した後、硬化させることを特徴とする赤外カットフィルタの製造方法」を記載している。
さらに、非特許文献1(Research Disclosure #439052)は入射角依存性の補正に好適なフィルターとして、その厚さに勾配を設けたフィルター及びその製造方法に記載されている。この文献は「厚さ4.2ミルのサンプルを、一方に直径1.75インチの開口を有する二枚の金属シート間にクランプした。フィルムは最初に加熱されそして0.75インチの高さを有する略半球状の表面に加圧成形された。成形後、測定されたフィルム厚みは半球のエッジ付近で3.5ミルであり、頂点部では1.5ミルにまで減少し、頂点部からフィルムの厚さが移動して好ましいフィルム厚さの増加を実現した。」と記載している。
特開平11−352324号公報 Research Disclosure #439052, Research Disclosure Journal, ISSN 0374-4353, published Nov. 2000, Kenneth Mason Publications Ltd.
多層膜フィルターをクランプして成形加工すると、球面状に二次成形加工されたフィルターが得られるが、クランプされていたエッジ部分には不要な平面状部分が残存する。カメラモジュール向け部品として要求されている小型化のためには、光学的には不要なエッジ部分を切除する等の再加工が必要となる。また、フィルターの球面状部分のエッジ部分近傍では、平面状部分と球面状部分との境界でフィルターが大きく変形するために大きな張力が生じ、フィルター形状が所望の曲面に成形できない虞がある。そのような場合には、球面状に成形された部位についてもフィルターの一部を切除する加工が必要となるばかりでなく、材料の無駄が多くなる。
本発明は、このような問題を解決することができる多層膜光干渉型赤外線カットフィルター及びその製造方法を提供する。
本発明は、1つの態様によると、平面状の多層膜光干渉型赤外線カットフィルターを用意すること、前記赤外線カットフィルターの少なくとも片面を、該赤外線カットフィルターよりも広い範囲に延在している支持体で支持し、前記赤外線カットフィルターが配されていない周囲部分を有する支持体/赤外線カットフィルター組み合わせ体を形成すること、前記周囲部分を成形型に固定すること、前記組み合わせ体を加熱し、支持体側が低圧側となるように組み合わせ体の両側で圧力差を生じさせて、該圧力差により前記組み合わせ体を曲面状に変形させること、前記成形型から取り外し、曲面状に変形した赤外線カットフィルターを得ることを含む、曲面状光干渉型赤外線カットフィルターの製造方法を提供する。
本発明は、別の態様において、上述の製造方法により製造された曲面状光干渉型赤外線カットフィルターを提供する。
本発明の製造方法では、平面状の多層膜光干渉型赤外線カットフィルターの中心部に近いほど二次成型による変形が大きくなるので、中心部が薄く、周辺部にいくほど厚い厚さの曲面状光干渉型赤外線カットフィルターが得られる。このようなフィルターは小型化されたカメラモジュールなどの光学装置に最適である。
また、赤外線カットフィルターを支持体で覆い、この支持体を成形型に固定するので、得られるフィルター自体は、従来法で製造したものと異なり、エッジ部分に光学的に不要な部分を有しない。
本発明の製造方法によると、略球面をなす曲面状に二次成型加工し、その頂部より順次厚さを変化させて入射角依存性を改善した干渉型赤外線カットフィルターが製造される。また、成型加工時に金型のキャビティーよりも小さいフィルターを加工するので、光学的機能エリアのみからなる小型のデジタルカメラモジュールに最適な干渉型赤外線カットフィルターを製造することができる。
以下において、本発明で得られる曲面状干渉型赤外線カットフィルターについて説明する。
本発明において加工に使用される平面状多層膜干渉型赤外線カットフィルターは、通常の多層膜干渉型赤外線カットフィルターでよい。このようなフィルターは、2種以上の屈折率の異なるポリマー物質の薄い層を交互に配置することで、光の干渉作用により赤外線の透過率を抑制するものである。このような平面状多層膜干渉型赤外線カットフィルターを構成するポリマーとして屈折率差の大きい2種類のポリマーが組み合わされて使用されており、例えばポリエチレンナフタレート(PEN)やポリメチルメタクリレート(PMMA)を好適に使用することができる。平面状多層膜干渉型赤外線カットフィルターは、特に限定されることはなく、たとえば、特開平4−295804号公報や特開平4−313704号公報に記載されるものなどが使用できる。
多層膜干渉型赤外線カットフィルターは入射角度によって、その光学特性が変わることが知られている。図2は入射角0度の場合及び25度の場合の多層膜干渉型赤外線カットフィルターの透過率vs波長の関係を示すグラフである。
入射角度が大きくなると、赤外線カット特性が短波長側へシフトする。例えば25度程度の入射角では25nm程度のシフトが観測されることが多い。このため特に小型化が加速的に進んでいる携帯電話用カメラ(即ち大きな入射角度を持つ撮像系)では、画像の中心部分と周辺部分で均一な色再現性が得にくいことがある。これを補正する手段として画像処理チップに色再現性を改善する機能が付加されているものがあるが、補正機能の限界及びコスト高の問題がある。本発明では、略球面をなす曲面状の多層膜干渉型赤外線カットフィルターとすることで入射角依存性が改善される。
図3は略球面状に二次成型された赤外線カットフィルターの断面図である。赤外線カットフィルター1は略球面状に成型されているので、入射光の光源が球面の中心である場合には入射角は0度となり、赤外線カット特性の短波長側へのシフトがなくなり、入射角依存性が改善される。
次に、入射光の光源が略球面状フィルターの球の中心よりも近くにある場合について検討する。図4は、屈折率n’の層/屈折率nの層/屈折率n’の層が順次に並んだ構成において、PQ面(屈折率n’/nの界面)で反射した光と、RS面(屈折率n/n’の界面)で反射した光の光路を示している。図4において、屈折率nの層の厚さをtとする。図中、光線LAがPQ面に入射し、その一部分が反射されてAE’で示す方向に進んでいき、その残りの部分は点Aにおいて屈折してABの方向に進んでいき、Bで反射し、Cにおいて屈折してCEの方向に進んでいく。LABCEとLAE’との光路差を計算すると以下のとおりとなる。CからAE’に垂線を下ろした点をC’とすると、2つの光線の幾何学的長さの差はρ=(AB+BC)−AC’である。AB+BC=2t/cosθ’, AC’=2tsinθtanθ’であり、それぞれを光学的長さに変えると、[AB+BC]op=2nt/cosθ’, [AC’]op=2n’tsinθtanθ’である。したがって、光路差ΔはΔ=2nt/cosθ’−2n’tsinθtanθ’である。ここで、n’sinθ=nsinθ’であるから、Δ=2nt/cosθ’(1−sin2θ)=2ntcosθ’となる。
図5は曲率半径がRである赤外線カットフィルターを構成する多層膜のうちの1層に対して光源Sから光が入射する場合の光路の概念図である。フィルターのエッジ部に向かって入射角θで入射する場合において、屈折率がnであり、厚さがtであり、また、屈折率差により屈折した光の角度をθ’とすると、PQ面で反射する光とRS面で反射する光の光路差は、上述のとおり、2ntcosθ’である。一方、フィルターの中心に向かって光源Sから入射する場合には、入射角は0度である。屈折率がnであり、厚さがt’であるとすると、PQ面で反射する光とRS面で反射する光の光路差は2nt’である。入射光の波長λに対してフィルターとして機能するためには、1/2λ=2ntcosθ’=2nt’を満たす必要があり、t=t’/cosθ’となる。すなわち、t>t’の関係を有し、中心から遠くにいくほど、θが大きくなるので、θ’も大きくなり、cosθ’が小さくなる。したがって、中心部が最も薄く、エッジ部へ向かうほど、厚みが厚い場合には、曲率半径Rが大きくても、曲率半径Rよりも近い距離にある光源に対して、想定される光線の入射角に対して、光路長差をほぼ一定にするフィルターとして機能することが解る。
上述のとおり、好適な赤外線カットフィルターは、多層膜ポリマー光干渉型赤外カットフィルターを曲面状に二次成型加工した際に、球形頂部を厚さの最薄部としてエッジ部に向けて光学的多層構造が壊れることなく緩やかに厚さが変化する小型化された赤外線カットフィルターである。ここで言及される厚さ変化とは撮像系の設計上重要となる光学長の変化を最小限に抑えたものであって、通常は10ミクロン以下であり、望ましくは5ミクロン以下とするものである。また、製造された曲面状の赤外線カットフィルターは、略球面状であり、そのエッジ部分に光学的にフィルター機能を妨げる部分がなく、すなわち、エッジ部分まで、加工品全体が良好なフィルター機能を備えたものであることが望まれている。
本発明による製造方法は、上述のとおりの赤外線カットフィルターを製造することが可能である。図6は本発明の曲面状赤外線カットフィルターの製造方法の工程図を示す。まず、円形の平面状光干渉型赤外線カットフィルター1を用意し、フィルター1の直径よりも大きな内径を有する平面形状が円形のキャビティ(貫通孔もしくは凹部)を備えた金型を用意する。金型は必要な強度と耐熱性を有する任意の材料から構成することができ、例えば鉄やアルミニウムなどから作製することができる。この金型は下部金型3と上部金型3’からなる。下部金型3の上に支持体4を置き、その上に、キャビティの中心と、フィルター1の中心とが合うようにして、フィルター1を配置する。次に、フィルター1の上に支持体4’を覆い(必要に応じて行う任意工程)、上部金型3’を下部金型3と合わせるように上方に配置する(図6の(a))。なお、支持体4の上にフィルター1と支持体4’とを重ねた組み合わせ体を予め用意しておき、その組み合わせ体をキャビティに位置合わせして配置しても良い。支持体4、4’としては、加熱及び加圧時に変形する可とう性フィルム、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルム、或いは、エラストマーフィルム等が使用できる。支持体4としては単層のフィルムや複数のフィルムを積層させた多層フィルムを使用することができるし、必要に応じてその表面に各種の表面処理層、例えば帯電防止処理やシリコーン等の吸着性の層を付加したものを使用できる。フィルター1の最外層の材質よりも軟質で自己吸着層を有する膜、例えばシリコーン膜、を表面に有するフィルムを支持体として使用すると、フィルターを安定的に支持体に保持できるだけでなく、曲げ加工中にフィルターと支持体が相互に擦れあってフィルターが傷つくことを防止できる。二次加工時には支持体もフィルターと同時に変形する必要があるので、支持体としてプラスチックフィルムを使用する場合は、フィルターと軟化点、Tgや融点の近いプラスチックからなる材料を使用することが好ましい。次に、上部金型3’と下部金型3とで支持体4,4’を挟みこんで固定する。このとき、支持体4,4’とフィルター1との組み合わせ体のうち、フィルター1の周辺部分で、フィルター1が配されておらず実質的に支持体4,4’のみからなる周囲部分を固定し、フィルターが金型3及び3’間に挟まれないようにする。(クレームをサポートするように適宜修正願います)次いで、フィルター1と支持体4、4’との組み合わせ体を加熱し、金型3及び3’の間で、加圧ガスなどによって下方から圧力を加え、又は、真空ポンプなどによって上方で減圧し、また、その両方の手段によって、圧力差を生じさせる。これにより、フィルター1は支持体4、4’とともに略球面状に変形する(図6の(b))。圧力を維持した状態で室温まで成形品を冷却し、金型3及び3’から取り外し、曲面状フィルター1を得ることができる。加圧に使用するガスは支持体や金型に影響を与えないものであれば良く、例えば大気や窒素ガスを使用することができる。曲面に加工するときは、加圧によって加工すると減圧による場合に比べてより大きい圧力を加えることができる。加工するフィルムの剛性が大きい場合や、フィルムの大きさに比べて変形量が大きい場合には、加圧による加工が好適に使用できる。フィルターは、容易に変形しかつその変形状態を安定化させるために、フィルター材料のTgよりも高い温度に加熱することが好ましい。また、加熱によりフィルターの光学特性を棄損しないために、加熱温度はフィルター材料や支持体の溶融温度よりも低い温度であることが好ましい。
図7は、別のタイプの金型を用いた場合の本発明の曲面状赤外線カットフィルターの製造方法の工程図を示す。加工工程は図6に示す場合とほぼ同様であるが、上部金型3’が球面状の凹部を有している。このため、球面状の表面に沿って加工ができるので、得られる曲面状フィルターの曲率半径Rの制御が容易である。なお、球面状の凹部を有する金型は上部金型であっても、下部金型であってもよい。また、凹部を球面状以外の曲面状、例えば曲面の曲率が連続的に変化する非球面形状、にすることで、球面状以外の所望の曲面形状を有するフィルターを作製することができる。
図6及び7に示すような成型方法を用いることで、成型後全面にわたって光学的に使用可能な略球面をなす曲面状フィルターを得ることができる(光学的に不連続かつ不要な周辺部分が存在しない)。また、この方法によれば成型加工中においてもフィルターにはある程度移動する自由度があり、応力の集中による光学層の構造的乱れを有効に防ぐことができる。さらに、支持体(たとえば、フィルム)を適当な強度を持つものとすることで、支持体によるバックアップのみで球面加工することが可能である(図6)。このため、非接触で加熱を行うタイプのヒーター(IRヒーター、ハロゲンヒータ等)を上部金型と下部金型の両側に配置すると、効率的に加熱を行うことができるので、短時間での昇温が可能となり、結晶構造へのダメージを抑制することができる。また支持体(たとえば、フィルム)をフィルターの両側に配置すると、カバーされた状態での成型加工となるため、フィルターは加工雰囲気に暴露されることがなく異物による汚染を防止できる。
本発明の製造方法において、二次加工の際の加熱時に、フィルターを均一に加熱することが望ましい。もし、フィルターが不均一に加熱されると、より高温に加熱された箇所のみが大きく変形することで、得られる曲面状フィルターの波長特性が乱れることがあるからである。接触型ヒーターを用いた場合には、金型自体が加熱されるので、金型の近傍のフィルター部分のみ(すなわち、エッジ部の近傍のみ)が過度に加熱され、中心部付近の層の厚みの変化が表面付近の層の変化に比べて小さくなり、波長特性が乱れることがある。一方、非接触で加熱する場合、支持体ならびにフィルターを均一に加熱することができる。そのため、フィルターの各層が均一に変形できるので、フィルター特性を損なわずに二次加工できるので好ましい。
本発明の1つの態様において、ヒーターを一方の金型に配置し、他方の金型に加圧もしくは減圧機構を設けることができる。一方の金型にヒーター及び減圧もしくは加圧機構の両方を配置する場合に、減圧もしくは加圧機構を実現するために金型のキャビティーを密閉するときに、ヒーター付近の金型のキャビティーの密閉が困難になることがある。しかし、ヒーターと、減圧もしくは加圧機構とを別々に配置することで、減圧もしくは加圧機構を容易に実現することができる。
実施例-1
3M製多層膜ポリマー光干渉型赤外線カットフィルター(DIS FILTER 66010XT-RO25-05(外径φ25mm、厚さ75μm)を、2枚の厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムで挟み込み、アルミニウム製の金型にセットした。金型は、縦横50x50mm、厚さ25mmの下部金型と、下部金型と同じ外寸を有し厚さ3mmの上部金型から構成され、上部金型と下部金型とは四角に配されたボルトで固定される。金型には球面状の凹部はなく、その下部金型面にはφ30mmの凹部が設けられ、上部金型にはφ30mmの貫通穴が加工されている。PETフィルムで挟まれたフィルターがセットされた金型上部より赤外線(IR)ヒータにて、赤外線カットフィルター及びPETフィルムを加熱した。加熱の際に、ヒータをフィルムからおよそ50mm離れた位置に配置し、ヒータに140Vの電圧を印加し、60秒保持したのち、ヒータを止めた。その後、下部金型の円筒形状の凹部に設けられた圧空ポートより0.05MPaを与えることで二次成型加工を行った。加圧した状態を10秒保持してフィルムを冷却したのち、金型からフィルムを取り出した。ここで、ヒータはElstein製Ceramic focus infrared radiator FISを用いた。なお、φ5mm程度の小さいサイズの場合はFintech製ハロゲンヒータ 形式 HSH-35/f15/24-75が好適である。
成型の結果、図8に示すような略球面をなす曲面状フィルターを得た。直径が25mm、高さhが1.7mm、中心部の厚さtCが62μm、エッジ部の厚さTEが64μmの寸法であった。中心部とエッジ部の厚さの違いによるバンドシフト(光学特性のシフト)は10nmであった。このフィルターは扇部の角度αが15.49度であり、15度の入射角で10nmシフトする特性があることから、図9に示すような光学系(入射角θ30.49度、フィルターサイズφ25mm)に好適であることがわかる。
実施例-2
3M製多層膜ポリマー光干渉型赤外線カットフィルター(DIS FILTER 66010XD-RO20-05(外径φ20mm、厚さ65μm)を2枚の厚さ25μmのPETフィルムで挟み込み、アルミニウム製の金型にセットした。金型の寸法は、実施例1と同様であった。下部金型には開口径φ30mmで深さ6mmの球面状の凹部(球面加工直径φ43.5mm)が設けられており、上部金型にはφ30mmの貫通穴が加工されている。PETフィルムで挟まれたフィルターがセットされた金型上部より、IRヒータにて赤外線カットフィルター及びPETフィルムを加熱した。加熱の際に、ヒータをフィルムからおよそ50mm離れた位置に配置し、ヒータに140Vの電圧を印加し、60秒保持したのち、ヒータを止めた。その後、下部金型の球面状の凹部に設けられた真空ポートより−0.006MPaの減圧状態とし二次成型加工を行った。減圧した状態を10秒保持してフィルムを冷却したのち、金型からフィルムを取り出した。ここで、ヒータはElstein製Ceramic focus infrared radiator FISを用いた。φ5mm程度の小さいサイズの場合は Fintech製ハロゲンヒータ 形式 HSH-35/f15/24-75が好適である。
成型の結果、図8に示すような略球面をなす曲面状フィルターを得た。直径が20mm、高さhが1.0mm、中心部の厚さtCが62μm、エッジ部の厚さTEが63.5μmの寸法であった。中心部とエッジ部の厚さの違いによるバンドシフト(光学特性のシフト)は15nmであった。このフィルターは扇部の角度αが11.42度であり、15度の入射角で10nmシフトする特性があることから、図9に示すような光学系(入射角θ33.92度、フィルターサイズφ20mm)に好適であることがわかる。
入射光の角度と、赤外線(IR)カットフィルター及びセンサー(CCD/CMOSイメージセンサー)の関係の略図を示す。 入射角0度の場合及び25度の場合の多層膜干渉型赤外線カットフィルターの透過率vs波長の関係を示すグラフである。 球面状に二次成型された赤外線カットフィルターの断面図である。 屈折率n’の層/屈折率nの層/屈折率n’の層が順次に並んだ構成における光路を示す。 曲率半径がRである赤外線カットフィルターを構成する多層膜のうちの1層に対して光源Sから光が入射する場合の光路の概念図である。 本発明の曲面状赤外線カットフィルターの製造方法の工程図を示す。 別のタイプの金型を用いた場合の本発明の曲面状赤外線カットフィルターの製造方法の工程図を示す。 実施例において製造した球面状フィルターの断面図を示す。 実施例において製造した球面状フィルターを用いた光学系の略図を示す。

Claims (5)

  1. 平面状の多層膜光干渉型赤外線カットフィルターを用意すること、
    前記赤外線カットフィルターの少なくとも片面を、該赤外線カットフィルターよりも広い範囲に延在している支持体で支持し、前記赤外線カットフィルターが配されていない周囲部分を有する支持体/赤外線カットフィルター組み合わせ体を形成すること、
    前記周囲部分を成形型に固定すること、
    前記組み合わせ体を加熱し、支持体側が低圧側となるように組み合わせ体の両側で圧力差を生じさせて、該圧力差により前記組み合わせ体を曲面状に変形させること、
    前記成形型から取り外し、曲面状に変形した赤外線カットフィルターを得ることを含む、曲面状光干渉型赤外線カットフィルターの製造方法。
  2. 前記赤外線カットフィルターの両面に、該カットフィルターよりも広い範囲に延在している支持体で覆い、支持体/カットフィルター/支持体の組み合わせ体を形成する、請求項1記載の製造方法。
  3. 前記成形型は下部金型及び上部金型からなり、下部金型と上部金型との間に前記周囲部分を挟んで成形型に固定する、請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 前記成形型は下部金型及び上部金型からなり、下部金型又は上部金型のいずれかが曲面状の凹部を有し、該曲面状の表面に沿って、フィルターが加工される、請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の方法により製造される曲面状光干渉型赤外線カットフィルターであって、球形頂部を厚さの最薄部としてエッジ部に向けて光学的多層構造を維持して厚さが変化している赤外線カットフィルター。
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