JP2009145196A - ペプチド低吸着領域を有する改質基板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、プロテインチップの基板として、タンパク質が結合しやすい基板の表面を改質する方法及び改質基板を提供する。
【解決手段】少なくとも片側表面上にイオン注入されたペプチド低吸着領域を有する改質基板によって解決することができる。具体的には、ペプチドの結合しやすい基板にイオン注入法により、選択的にイオンを注入することにより、ペプチドの吸着能を低下させ、プロテインアレイとして最適なペプチド吸着性の高い非改質領域とペプチド吸着能の低い改質領域を有する改質基板を提供することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ペプチド低吸着領域を有する改質基板及びその製造方法に関する。
バイオチップは、DNAチップ、プロテインチップ、細胞チップ、及び糖鎖チップなどの生化学的分析手法に用いられるチップの総称である。このようなバイオチップは複数のプローブを予め基板上に配置した後、検体を基板表面に接触させ、プローブと検体中のDNAやプロテインとを特異的に結合させることで検体の機能解析(診断)を行うことのできるものである。生体の先天的な情報を持つDNAや、DNAを設計図として実際の生体活動をつかさどるタンパク質等の機能解析が可能なことから、個々人に合致した迅速で的確な医療(テーラーメイド医療)時代の診断方法のツールとして期待されている。
例えば、プロテインチップでは、既知のプローブタンパク質を基板表面に予め配置し、それと特異的に結合する検体中のタンパク質を捕らえることで解析を行う。このようなプロテインチップをプロテインアレイとも呼ぶが、同一基板上に数種類のプローブを大量に配置すれば、一度の診断で並列的に大量(多種)の機能を知ることができるようになり、診断時間の大幅な短縮や検体量の節約が期待できる。そのためには、複数のプローブが表面に固定化された基板が必要であり、プローブを結合させる基板の開発、及び基板へのプローブの結合方法が精力的に研究されている。基板の材質としてスライドガラスやマイクロプレートを用い、表面をコーティング処理しタンパク質を結合する方法が検討されている。このような方法として、例えば、金表面を持つ基板上にアルカンチオールなどのチオール基を有する化合物を自己組織成長させてタンパク質を結合させる方法(特許文献1)が提案されているが、製造工程が複雑で材料費も高価であり実用的ではない。
一方、タンパク質が結合しやすい基板の材質として、例えばポリスチレンを用いることも考えられている。しかしながら、ポリスチレンは、安価な材料でありながら、タンパク質が結合する領域とタンパク質が結合しにくい領域を作製する表面改質の技術が確立していないため、多くのタンパク質を正確に結合させアレイ化することが困難であり、ポリスチレンを基板として用いたプロテインチップは、ほとんど報告されていない。
特表2001−50370号公報
本発明は、プロテインチップの基板として、タンパク質が結合しやすい基板の表面を改質する方法及び改質基板を提供する。特に、複雑な工程を必要とせず、生産性に優れ、高い信頼性を持つプロテインチップ用改質基板、及びその製造方法を提供することを目的とする。
従って、本発明は、少なくとも基板の片側表面上にイオン注入されたペプチド低吸着領域を有する改質基板に関する。
本発明による改質基板の好ましい態様においては、基板がポリスチレン、コラーゲン、及びフッ素系樹脂からなる群から選択される基板である。
本発明による改質基板の別の好ましい態様においては、注入されたイオンが、ヘリウムイオン、又はアルゴンイオンである。
また、本発明は、基板の選択された領域にイオンを注入することによる、ペプチド低吸着性の改質領域を有する改質基板を製造する方法に関する。
本発明による改質基板製造方法の好ましい態様においては、基板の選択された領域にイオンを注入する方法が、基板においてイオンを注入しない領域を被覆し、イオン注入を行う方法である。
本発明による改質基板製造方法の別の好ましい態様においては、イオン注入法がプラズマイオン注入法である。
本発明による改質基板製造方法の別の好ましい態様においては、基板の被覆が保護材による被覆であるか、又は基板の被覆がフォトレジストによる被覆である。
本発明による改質基板製造方法の別の好ましい態様においては、基板がポリスチレン、コラーゲン、及びフッ素系樹脂からなる群から選択される基板である。
本発明による改質基板製造方法の別の好ましい態様においては、注入するイオンがヘリウムイオン、又はアルゴンイオンである。
本発明による改質基板製造方法の別の好ましい態様においては、プラズマイオン注入法におけるバイアス印加電圧の絶対値が1kV〜50kVの範囲である。
本明細書において、「ペプチド」とは、アミノ酸残基からなるものであればその長さは限定されず、合成することによって得ることのできる数個のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドから、生体内に存在する完全長のタンパク質までを含む。従って、本発明の改質基板を用いたプロテインチップには、タンパク質を結合させた酵素チップ、抗体チップ、プロテオームチップ、及び膜タンパク質チップ、並びにペプチドを結合させたペプチドチップが含まれる。
本発明によれば、基板の改質にイオン注入法を用いることで、基板と改質層の剥離が発生せず、ペプチドの固定化工程、洗浄工程においても高い信頼性を持ったプロテインチップを提供することが可能となる。また、イオン注入法として、特にプラズマイオン注入法を用いることにより、大面積処理が可能となるため、高い生産性を持った改質基板の製造方法を提供することが可能となる。
本発明の改質基板は、基板の少なくとも片面にイオンが注入された改質領域を有する基板であり、両面に改質領域を有する基板でもよい。表面の改質されていない未改質基板の一定の領域に、イオンを注入することによって、改質領域を作製することが可能である。この改質領域がペプチドの吸着量が非改質領域に比べ有意に差が出るペプチド低吸着領域であり、イオンが注入されていない非改質領域がペプチドの結合しやすいペプチド高吸着領域である。
本発明の改質基板の構造を、図1の断面図及び図2の平面図に従って模式的に説明する。改質基板1は、改質領域11及び非改質領域12からなる。非改質領域12は、イオンが注入されていない領域であり、ペプチドの吸着能が高い領域である。改質基板1の改質領域11を有する面における、非改質領域12の面積、位置、及び形態は、特に限定されるものではなく、任意の面積、位置及び形態をとることができる。一方、改質領域11は、イオンが注入された領域であり、ペプチドの吸着能が非改質領域と比べて有意に低い領域であるが、改質基板1の改質領域11を有する面における、改質領域11の面積、位置、及び形態も、特に限定されるものではなく、任意の面積、位置及び形態をとることができる。
例えば、改質基板1をプロテインチップとして用いる場合は、非改質領域12にペプチドを結合させることが好ましく、従って、図2に示す態様のように、その周囲が改質領域11に囲まれていることが好ましい。ペプチドの低吸着領域である改質領域11により周囲を囲まれていることによって、その特定の非改質領域に結合させたペプチドが、他の非改質領域に結合させたペプチドと明確に分離されるからである。このような態様の場合においても、非改質領域12の大きさ、形態及び数は限定されるものではなく、ペプチドを結合させることができる限り、任意の大きさ、形態及び数を取ることが可能である。改質領域11は、非改質領域12の周囲を囲んだ形態であることが好ましいが、非改質領域12に合わせて、任意に設定することが可能である。
イオンが注入された改質領域11の基板表面からの深さも、イオン注入領域においてペプチドの吸着性が低下する限り、特に限定されるものではなく、数nmから使用する基板の厚さにまでわたりイオンが注入されてもよいが、好ましくは5〜1000nm、より好ましくは10〜100nm、最も好ましくは20〜80nmである。
本発明の改質基板に用いる基板は、ペプチドを吸着することのできるものであれば、特に限定されないが、ペプチドを吸着しやすい材質からなるものが好ましく、例えば、ポリスチレン、コラーゲン、フッ素系樹脂又はセルロース樹脂が好ましい。また、好ましいタンパク吸着性の膜基板としては、ポリフッ化ビニリデン(Poly(vinylidene fluoride);以下、PVDFと称することがある)膜、ニトロセルロース膜、ナイロン膜、セルロース膜、酢酸セルロース膜、ポリエチレンテレフタレート膜、又はポリプロピレン膜、三酢酸セルロース膜を挙げることができる。
改質領域に注入されるイオンは、基板においてペプチドの吸着を低下させることのできるイオンであれば、特に限定されるものではなく、金属イオン及び非金属イオンでもよい。好ましくは、非金属イオンであり、例えばヘリウムイオン、アルゴンイオン、ネオンイオン、クリプトンイオン、キセノンイオン、酸素イオン、及び窒素イオンを挙げることができ、より好ましくは、アルゴンイオン及びヘリウムイオンであり、最も好ましくはヘリウムイオンである。
本発明の改質基板は、例えばプロテインチップとして利用することができる。改質基板の非改質領域にペプチドを結合させ、プロテインチップを作製することができる。前記のようにペプチドとしては、合成されたペプチドを用いることも可能であるし、ヒト及びヒト以外の動物の生体から分離されたタンパク質を利用することも可能である。また、ヒト、ヒト以外の動物、並びに細菌及び酵母などから分離された遺伝子から、組み換えタンパク質を作製し、その組み換えタンパク質を用いることもできる。また、生物由来のタンパク質由来のアミノ酸配列以外に、変異の導入されたタンパク質やランダムに合成された人工的なアミノ酸配列からなるペプチドを用いることも可能である。
ペプチドの結合方法は、公知の方法を用いることができる。本発明の改質基板に用いる基板は、ペプチドが吸着しやすいものであるが、物理的吸着や化学的吸着を利用することによりペプチドを結合させることが可能である。また強制的にペプチドを結合させる方法としては、例えば、光リソグラフィー法、機械的マイクロスポッティング法、マイクロプリンティング法、エレクトロスプレイ法、及びインクジェットプリント法などを挙げることができる。
本発明の改質基板製造方法は、基板の特定の領域にイオンを注入することを特徴とするものである。イオン注入方法としては、特に限定されず、例えば、高エネルギーイオンビーム法及びプラズマイオン注入法を用いることが可能である。
高エネルギーイオンビーム法を用いた方法の場合、イオンビームは直進性を有するので、基板の改質したい領域にイオンビームをライン状に照射することによって、改質領域を作成することができる。また、改質領域と非改質領域を明確に分離して設けるためには、後述するように非改質領域を保護材やフォトレジストなどで被覆し、イオンビームを照射することも可能である。
プラズマイオン注入法は、基板の広い面積を短時間に処理することが可能であり、生産性の面で有利であり、好ましい。また、基板の改質したい領域にイオンを注入するためには、非改質領域とする領域を被覆し、イオンを注入することが好ましい。
本発明の改質基板製造方法において、基板を被覆する方法は、イオンの注入を防ぐことができる方法であれば、特に限定されない。例えば、基板表面に、予めパターン化された保護材を設置する方法、又はフォトリソグラフィー技術を用いフォトレジストによって被覆する方法を使用することができる。これらの方法によって基板表面を被覆し、イオン注入を行うことで、目的の箇所を改質領域とすることができる。
前記保護材の材質はイオンの注入を防ぐことができれば、特に限定されないが、プラズマによる高熱の影響を防ぐため、金属、ガラス等のマスクが好ましい。また、保護材には粘着テープを用いることもできる。粘着テープの材質も、イオンの注入を防ぐことができれば、特に限定されないが、同じくプラズマによる高熱の影響を防ぐため、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド等の耐熱性のあるフィルムを表面基材に用いた耐熱テープが好ましい。
フォトリソグラフィーに使用するレジスト材はネガ型でもポジ型でもよく、またスピンコーティングによって基板上に塗布してもドライレジストフィルムを基板上に加熱圧着してもよい。その後、所望のデザインを有する金属製のフォトマスクを介してレジスト膜に紫外線等をパターン照射し、フォトマスクを外し、ネガ型であれば照射されていない箇所を、ポジ型では照射された箇所を炭酸ナトリウム水溶液等で除去する。その後、レジストが除去された部分にイオン注入処理をし、最後にエタノール等の有機溶剤でレジスト層を除去することにより、目的の領域のみを改質した基板を得ることができる。
図3は、基板に保護材を被覆し、プラズマイオン注入法によりイオンを注入する本発明の改質基板製造方法の一態様を模式的に示したものである。プラズマイオン発生装置には金属製の処理容器21の中にキャンロール24が設置され、キャンロール24は、電源29に接続され、「−」極となるように配設されている。キャンロール24の周りに未改質基板2が未改質基板供給ロール23から供給される。保護材3は、予め、未改質基板に被覆されている。金属製の処理容器には、プラズマ生成ガス(例えば、酸素、窒素、アルゴンなど)導入口25とともに、容器内の環境を制御するための真空ポンプ27が取り付けられている。
処理容器内の空気を、真空ポンプを用いて除去した後、プラズマ生成ガスを導入し、ローラー24に負パルス電圧(例えばパルス幅2μs〜30μs、印加電圧−1kV〜−50kV、パルス繰返し1000〜数1000Hz)を印加すると、プラズマ生成ガスが、印加電圧により電子とイオンに分離する。未改質基板を取りまくプラズマ28中の電子は、マイナスの電荷を持つため、「−」極の未改質基板表面から反撥されて飛びのき、プラスの電荷を有するイオンのみが残り、負のパルス電位を持つ未改質基板の表面に衝突し、基板の内部に注入される。この際、未改質基板の保護材で覆われている領域には、イオンは注入されない。
この方法の特徴は、未改質基板を負のパルス電圧で印加した際に生成するイオンを含むプラズマ28がキャンロールの表面に沿って発生するため、キャンロール周囲の未改質基板に対しても、大面積処理が可能、すなわち一度に均等にイオンを注入することができ、生産性の向上に大きく役立つことができることである。
プラズマが注入された改質基板1は、基板回収ロール31によって巻き取られる。
本発明の改質基板の製造方法において用いることのできる未改質基板は、特に限定されず、プラスチックなどの硬質な基板でも、フレキシブルな基板でも使用することができるが、図3に示したような態様においてはフレキシブルなものが好ましく、ポリスチレン、コラーゲン、フッ素系樹脂、又はセルロース樹脂からなるフレキシブルな膜が好ましい。より好ましいタンパク吸着性の膜としては、PVDF膜、ニトロセルロース膜、ナイロン膜、セルロース膜、酢酸セルロース膜、ポリエチレンテレフタレート膜、又はポリプロピレン膜、三酢酸セルロース膜を挙げることができる。
プラズマイオン注入法に用いることのできるイオンは、イオン化でき、基板に注入されることによってペプチドの吸着能を低下させることのできるイオンであれば特に限定されるものではなく、金属イオン及び非金属イオンを用いることができる。好ましくは、非金属イオンであり、より好ましくは、ヘリウムイオン、アルゴンイオン、ネオンイオン、クリプトンイオン、キセノンイオン、酸素イオン、及び窒素イオンなどのガスイオンである。ガスイオンで形成された改質基板は、タンパク質に与える影響が小さい点で好ましい。
プラズマイオン注入に用いる基板に印加するバイアス電圧の絶対値は、1kV〜50kVの範囲が好ましい。1kVを下回るとプラズマイオン注入の効果が小さくなり、50kVを超えるとプラズマイオン注入工程中に放射線(X線)が発生する問題があり、生産性の面で適さない。
プラズマイオン注入の時間は、特に制限されないが、処理時間は10秒〜1000秒が好ましい。10秒より短いと改質効果が小さく、1000秒より長いと熱により基板が変形してしまう。処理時間のうち、パルスオンの時間がイオン注入の時間となる。パルス1周期に占めるパルスオンの時間(パルス幅)の割合をDuty比と称する。パルス幅も特に制限されないが、1μ秒〜10μ秒が好ましい。1μ秒より小さいとイオン注入効果が小さく、10μ秒より大きいと帯電してしまい、同じくイオン注入効果が小さくなる。
プラズマイオン注入時の処理容器21内のガス圧力は、0.005Pa〜10Paが好ましく、0.01Pa〜1Paがより好ましい。0.005Paより低いと、プラズマの生成が困難であり、10Paより高いとイオンエネルギーが小さくなり改質効果が期待できない。
イオン注入法による注入されるイオンの注入された改質領域の深さは、基板にペプチド吸着が抑制される深さであればよいが、この効果を得られるイオン層の深さは、数nm〜1000nm程度であり、好ましくは5〜200nm、より好ましくは10〜100nm、もっと好ましくは20〜80nmである。1000nmより深くても効果の差が見られず、プラズマイオン注入法では1000nm以上の深さにイオンを注入することは困難である。
イオン注入による基板の表面層の改質の原理は、完全に解明されているわけではないが、以下のように推論することができる。しかしながら、本発明は以下の推論によって限定されるものではない。ひとつは、イオンが基板に注入され添加されたことにより起こる、基板表面の結晶構造の変化による効果が考えられる。また、もうひとつは、イオンが基板表面を通過することにより、基板表面に微少な穴が開き吸着面積が減少することによる効果が考えられる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1》
基板にバイオラッド・ラボラトリーズ社製PVDFメンブレン(Immun−Blot PVDF Membrane,Catalog162−0176)1cm×2cmを用い、プラズマイオン注入を行った。基板上には予め5mm角の耐熱テープ(リンテック社製Adwill C−206)を5mm間隔になるように貼付し、プラズマイオン注入後に耐熱テープを剥離し、改質領域と非改質領域(テープ貼付箇所)を設けた基板を作製した。プラズマイオン注入の実験条件は、以下のとおりとした。
・プラズマイオン注入装置:ロック技研工業株式会社製、巻取り式真空装置(処理容器:ステンレス製、ロール:ステンレス製、窓部:ガラス製)
・プラズマイオン種:アルゴン
・バイアス印加電圧(絶対値):25kV
・パルス幅:5μ秒
・Duty比:0.5%
・処理時間:3分
《実施例2》
基板に高研社製のコラーゲン膜(品番:CM−6)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施した。
《実施例3》
基板にポリスチレン(オー・ジー社製65μmポリスチレンフィルム)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施した。
《実施例4》
プラズマイオン注入の基板に印加するバイアス電圧を1kVとしたこと以外は、実施例1と同様にして実施した。
《実施例5》
プラズマイオン種をヘリウムとした以外は、実施例1と同様にして実施した。
《実施例6》
プラズマイオン種をヘリウムとした以外は、実施例4と同様にして実施した。
《実施例7》
基板の被覆の手段として、5mm間隔で5mm角の穴を設けた厚さ18μmの銅箔を、保護材として基板上に両面テープで固定し、それを介してプラズマイオン注入を行ったこと以外は、実施例1と同様にして実施した。
《実施例8》
基板の被覆の手段として、旭化成社製ネガ型ドライレジストフィルムAQ-2558を用いた。実施例1で用いたPVDFメンブレン基材とドライレジストフィルムAQ-2558を110℃にて加熱圧着した。その後、ミタニマイクロニクス社製フォトマスク(3mm厚のガラス板に、5mm間隔で5mm角穴を紫外線が透過するようクロムを蒸着した板)を介して、紫外線(照度100mW/cm、光量400mJ/cm)を照射した。フォトマスクを外した後、1%(w/v)の炭酸ナトリウム水溶液に5分間浸し、紫外線が照射されていない箇所のドライレジストフィルムを溶解した。基板のドライレジストフィルムAQ-2558側から実施例1と同様にプラズマイオン注入することにより、ドライレジストフィルムAQ-2558が残っていない箇所(PVDFメンブレン剥き出し面)を改質した。その後、基材をエタノールに5分間浸漬することにより、残っているドライレジストフィルムAQ-2558を除去してパターン化された基板を作製した。
《比較例1》
プラズマイオン注入のかわりに、スパッタリング(下記条件)にて銀を150nm製膜したこと以外は、実施例1と同様にして実施した。
・スパッタリングガス:アルゴン
・ガス圧:0.5Pa
・RF(高周波)電力:2.3W/cm
前記の実施例1〜8及び比較例1により得られた改質領域及び非改質領域を有する改質基板について、以下の試験1によりペプチドの吸着性を試験した。また、試験2により改質領域の強度を試験した。
《試験1》
Clontech Laboratories社製Stabilized Streptavidin-HRP(Horseradish Peroxidase)タンパク質をTween20添加リン酸緩衝生理食塩水(NaHPO20mM,NaCl500mM,Tween20(関東化学社製)0.1%)中に希釈して希釈HRPタンパク質を作製し、作製した希釈HRPタンパク質を10μL取り出し、基板上の非改質領域及び改質領域にそれぞれ固定化(24時間)した。その後、前記Tween20添加リン酸緩衝生理食塩水を用いて、基板を洗浄(5分間洗浄×6回)した。その後、検出液〔Clontech Laboratories社製 Stabilized Peroxide Solution:Clontech Laboratories社製 Luminol/Enhancer Solution:超純水=1:1:2(体積比)〕を、洗浄後の基板上の非改質領域と改質領域にそれぞれ滴下した。滴下後1時間後に滴下した検出液を取り出し、島津製作所社製 UV-VIS-NIR SCANNING SPECTROPHOTOMETER UV-3101PCを用いて検出液の吸光度を測定し、非改質領域と改質領域におけるHRPタンパク質の吸着を確認した。検出液の吸光度が大きいほど、タンパク質の吸着率が多いことを示す。
[試験結果]
結果を表1に示す。
Figure 2009145196
いずれの実施例においても非改質領域と比較して、改質領域での吸光度が低下しており、イオン注入により、基板におけるタンパク質の吸着能が低下していることが確認された。
《試験2》
イオン注入後の基板を前述のTween20添加リン酸緩衝生理食塩水にて洗浄後、旭化成社製ベンコットM-3を用いて基板表面を3回拭いて、改質領域の強度を確認した。
実施例1〜8においては、改質領域における改質面の剥離などの強度の低下は見られなかった。比較例1においては、銀の膜の剥離が観察された。
本発明の改質基板は、プロテインチップを作製するための、基板として使用することができる。
本発明の改質基板の横断面を模式的に示す説明図である。 本発明の改質基板において、改質領域を有する面を模式的に示す説明図である。 プラズマイオン注入法によりイオンを注入する本発明の改質基板製造方法の一態様を模式的に示す説明図である。
符号の説明
1・・・改質基板;
2・・・未改質基板;
3・・・保護材;
11・・・改質領域;
12・・・非改質領域;
21・・・処理容器;
22・・・窓;
23・・・基板供給ロール;
24・・・キャンロール;
25・・・プラズマ生成ガス導入口;
26・・・調圧バルブ;
27・・・真空ポンプ;
28・・・プラズマ;
29・・・電源;
31・・・基板回収ロール。

Claims (11)

  1. 少なくとも基板の片側表面上にイオン注入されたペプチド低吸着領域を有する改質基板。
  2. 基板がポリスチレン、コラーゲン、及びフッ素系樹脂からなる群から選択される基板である、請求項1に記載の改質基板。
  3. 注入されたイオンが、ヘリウムイオン、又はアルゴンイオンである、請求項1又は2に記載の改質基板。
  4. 基板の選択された領域にイオンを注入することによる、ペプチド低吸着性の改質領域を有する改質基板を製造する方法。
  5. 基板の選択された領域にイオンを注入する方法が、基板においてイオンを注入しない領域を被覆し、イオン注入を行う方法である、請求項4に記載の改質基板製造方法。
  6. イオン注入法がプラズマイオン注入法である、請求項5に記載の改質基板製造方法。
  7. 基板の被覆が保護材による被覆である、請求項5又は6に記載の改質基板製造方法。
  8. 基板の被覆がフォトレジストによる被覆である、請求項5又は6に記載の改質基板製造方法。
  9. 基板がポリスチレン、コラーゲン、及びフッ素系樹脂からなる群から選択される基板である、請求項4〜8のいずれか一項に記載の改質基板の製造方法。
  10. 注入するイオンがヘリウムイオン、又はアルゴンイオンである、請求項4〜9のいずれか一項に記載の改質基板製造方法。
  11. プラズマイオン注入法におけるバイアス印加電圧の絶対値が1kV〜50kVの範囲である、請求項6〜10のいずれか一項に記載の改質基板製造方法。
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