JP4604216B2 - タンパク質の固定方法とタンパク質チップならびに細胞の固定方法および細胞チップ - Google Patents
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Description
さらにまた、この出願の発明は、細胞をも対象にして基板上の任意の領域に固定することのできる、新しい細胞の固定方法と細胞チップに関するものである。
そのためのツールとして、プロテインチップ(タンパク質チップ)が期待されており、盛んにその研究開発が行われている。そして、このプロテインチップにおいて、その基盤技術としてタンパク質を基板上に再現性よく固定するための技術開発も求められている。
現在、プロテインチップに関する技術としては、たとえば、抗原抗体反応を利用したタンパク質チップが提案されている(文献1)。このタンパク質チップは、インクジェットプリンタの原理で、平面状の基板上に抗原(または、抗体)が配列(スポッティング)されており、前記配列された抗原(または、抗体)と、蛍光試薬等で標識された抗体(または抗原)とによる抗原抗体反応を利用して形成されている。
また、電気化学的な手法を利用してタンパク質を解析するタンパク質チップも提案されている(文献2)。このタンパク質チップの場合には、電極としての機能を有する基板を用いて、この基板表面に予めタンパク質を固定させ、そして基板表面のタンパク質と特異的な結合を形成する電気化学活性物質で標識した試料タンパク質を電気化学的に検出することで目的とするタンパク質を解析している。
さらに、この出願の発明の発明者は、細胞を基板上に固定する方法として、電気化学的な接着方法も提案している(文献3)。この方法は、細胞非接着性タンパク質であるアルブミンを疎水性相互作用で基板に固定化して細胞非接着表面とし、基板近傍に配置した電極で電気化学的に活性酸化種を生成し、細胞非接着表面を細胞接着表面へと改質することで、細胞接着性タンパク質を介して基板上に細胞を固定することができ、細胞のパターン固定を可能としている。
しかしながら、上記文献1のタンパク質チップおよび文献2のタンパク質チップのいずれにおいても、<1>あらかじめ固定化しておく必要があるため、固定、乾燥、保存の過程においてタンパク質の失活が起こる可能性が高い、<2>比較的大掛かりな装置を用いる必要がある、<3>決まった量のタンパク質を再現性よく固定することができない、さらに、<4>微小な流路内等への固定化ができない、等という問題があった。
また、上記文献3の方法による細胞接着領域を形成した基板を利用して、タンパク質のパターン固定を試みたところ、タンパク質を安定に固定することはできなかった。実際、文献3による基板に、蛍光標識したタンパク質(プロテインAや抗体等)溶液に浸漬し、蛍光観察したところ、明確な蛍光シグナルを得ることができなかった。アルブミン以外のタンパク質非吸着性物質を用いた場合も、同様に安定にタンパク質を基板に固定することはできないという問題があった。
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの背景から、従来技術の問題点を解決し、試験の都度にタンパク質を固定し、時間をおかずに試験に供することを可能とし、これによって、タンパク質の失活を防ぎ、大掛かりな装置を必要とせず、タンパク質を再現性よく固定化することができ、しかも微小な流路内でもタンパク質を固定化することのできる、新しいタンパク質の固定方法とタンパク質チップを提供することを課題としている。
また、この出願の発明は、上記の固定化されるタンパク質を細胞接着タンパク質とすることで、細胞をも対象にして基板上の任意の領域に固定化することのできる、新しい細胞の固定方法と細胞チップを提供することを課題としている。
文献
文献1:特開2001−004630号公報
文献2:特開2001−242116号公報
文献3:Hirokazu Kaji,Masamitsu Kanada,Daisuke Oyamatsu,Tomokazu Matsue,and Matsuhiko Nishizawa,Langmuir 2004,20,p16−19
また、この出願の発明は、第2には、正電荷を帯びた基板表面は、カチオン性ポリマーで形成されているタンパク質の固定方法を、第3には、カチオン性ポリマーは、ポリエチレンイミンであるタンパク質の固定方法を、第4には、負電荷を帯びたタンパク質非吸着性物質は、グリコサミノグリカン、アルブミンおよびフィブリノーゲンからなる群の内少なくとも1つであるタンパク質の固定方法を、第5には、グリコサミノグリカンは、ヘパリン、ヘパリン誘導体およびヒアルロン酸からなる群の内少なくとも1つであるタンパク質の固定方法を提供する。
第6には、タンパク質非吸着性基板表面のタンパク質吸着性基板表面への改質は、基板近傍に配置した電極に酸化電位もしくは酸化電流を印加して生成される活性化学種によって行われるタンパク質の固定方法を提供し、第7には、活性化学種は、ハロゲン化物イオンを酸化させて生成された活性ハロゲン種であるタンパク質の固定方法を、第8には、活性ハロゲン種は、次亜臭素酸(HOBr)または次亜塩素酸(HOCl)であるタンパク質の固定方法を提供する。
また、第9には、上記第1から第8の発明のいずれかのタンパク質の固定方法を逐次的に行うことによって、タンパク質の固定領域を配列することを特徴とするタンパク質の固定方法を提供し、第10には、活性化学種に対して非感受性であるタンパク質非吸着性の基板表面修飾剤を基板表面に配列固定して、タンパク質の固定領域を設定するタンパク質の固定方法を、第11には、基板表面修飾剤は、ポリエチレングリコール重合体およびメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体の少なくともいずれかであるタンパク質の固定方法を提供する。
さらに、この出願の発明は、第12には、上記第1から第11の発明のいずれかのタンパク質の固定方法により作成されたタンパク質チップであって、タンパク質非吸着性の基板表面がタンパク質吸着性の基板表面に局所的に改質され、タンパク質が局所的に固定されていることを特徴とするタンパク質チップを提供し、第13には,基板には、微小流路および電極系が内蔵されているタンパク質チップを、第14には、内蔵されている電極系は、一対の電極からなる二極式であり、対極が白金であるタンパク質チップをも提供する。
そして、この出願の発明は、第15には、局所的に固定されたタンパク質は、抗体であるタンパク質チップを、第16には、局所的に固定されたタンパク質は、プロテインAまたはプロテインGであり、このプロテインAまたはプロテインGに抗体を結合させて、抗体が基板表面に固定されているタンパク質チップを提供し、第17には、局所的に固定されたタンパク質は、酵素であるタンパク質チップを提供する。
第18には、局所的に固定されたタンパク質は、細胞接着タンパク質であるタンパク質チップを、第19には、細胞接着タンパク質は、フィブロネクチン、コラーゲンおよびラミニンからなる群から少なくとも1つが選択されるタンパク質チップを提供する。
さらに、この出願の発明は、第20には、上記第18または第19の発明のタンパク質チップ上に細胞を接着させることを特徴とする細胞の固定方法を提供し、第21には、上記第20の発明の細胞の固定方法により作成された細胞チップであって、細胞が局所的に固定されていることを特徴とする細胞チップを提供する。
図2は、図1と同じ方法で、タンパク質としてMouse IgG(抗体)を固定させた状態を示した写真である。
図3は、基板に局所固定したプロテインAに2種類の抗体を結合させた状態を示した写真であり、(a)は抗体としてMouse IgGを、(b)は抗体としてHuman IgGを結合させた。
図4は、基板電極の一方の電極を作用極、もう一方の電極を対極、別途挿入した銀塩化銀電極を参照極とした実験系の模式図およびこれによって得られたサイクリックボルタモグラム(CV)を示した図である。
図5は、基板電極の一方の電極を作用極、もう一方の電極を参照極(兼対極)とした実験系の模式図およびこれによって得られたサイクリックボルタモグラム(CV)を示した図である。
図6は、図5の電極基板を用いて構成される微小流路を模式的に例示した図であり、(a)は微小流路チップ全体を例示した写真、(b)は微小流路チップを模式的に例示した平面図と断面図である。
図7は、図6の電極系を内蔵した微小流路を用いて、流路内の局所にタンパク質を固定した状態を示した写真であり、(a)は流路上壁に設置された電極を示し、(b)は流路底壁に固定されたタンパク質を示した。
図8は、基板に培養細胞(HeLa細胞)を局所固定した状態を示した写真であり、(a)はフィブロネクチンを蛍光標識して可視化したものであり、(b)はこの基板上でHeLa細胞を培養した結果の位相差顕微鏡写真像である。
図9は、図6の電極を内蔵した微小流路を用いて流路内の局所に培養細胞(Hela細胞)を培養させた状態を示した写真であり、(a)は流路上壁に設置された電極を示し、(b)は流路底壁に接着させた細胞を示した。
図10は、この出願の発明における微小流路チップを例示した図であり、(a)は微小流路チップの全体を例示した写真、(b)は微小流路チップを模式的に例示した断面図、(c)は微小流路チップを模式的に例示した平面図、(d)は微小流路チップの電極アレイを例示した平面図である。
図11は、この出願の発明における、微小流路チップを用いたサンドイッチイムノアッセイの工程を例示した概略図である。
図12は、図11におけるサンドイッチイムノアッセイの蛍光観察の結果を示した模式図とその観察写真である。
図13は、この出願の発明における、微小流路チップ上へのマルチ抗体パターニングの様子を示した図であり、(a)はその工程を例示した概略図、(b)は電極アレイ(流路天井部)を例示した平面写真、(c)は一種類目の抗体(Cy3−labeled mouse IgG)の反応の様子を示した写真、(d)一種類目の抗体とともに、二種類目の抗体(Cy2−labeled human IgG)の反応の様子を示した写真である。
図14は、この出願の発明における、基板表面修飾基材(PEG重合体またはMPCポリマー)のパターンニングの工程を例示した概略図である。
図15は、基板表面修飾剤であるPEG重合体またはMPCポリマーをパターニングしたガラス基板上で細胞を培養した様子を示した写真であり、(a)はPEG重合体をパターニングしたガラス基板を示し、(b)はPEG重合体をパターニングしたガラス基板で3日間培養したHeLa細胞の様子を示し、(c)はMPCポリマーをパターニングした基板で1ヶ月培養したウシ大動脈由来血管内皮細胞の様子を示した。
図16は、基板表面修飾剤であるMPCポリマーの、活性酸化種(次亜臭素酸;HOBr)に対する耐久試験の様子を示した概略図と写真である。
図17は、この出願の発明における基板表面修飾剤処理(PEG重合体またはMPCポリマー)を施した微小流路チップを用いた、サンドイッチイムノアッセイを例示した図であり、(a)はサンドイッチイムノアッセイの工程を例示した概略図、(b)はMPCポリマーをパターニングした流路基板の平面写真、(c)は規定された領域のみに固定されたタンパク質を蛍光観察で確認した様子を示した写真である。
図18は、基板表面修飾剤を用いて、マルチ細胞パターニング培養の様子を例示した模式図である。
この出願の発明は、タンパク質非吸着性の基板表面の局所を改質してタンパク質を吸着させるタンパク質の固定方法とこの方法により作成されるタンパク質チップであることを特徴としている。具体的には、このタンパク質の固定方法は、正電荷を帯びた基板表面に負電荷を帯びたタンパク質非吸着性物質を積層して形成したタンパク質非吸着性表面を形成する工程と、タンパク質非吸着性表面を局所的にタンパク質吸着性表面に改質する工程と、局所的に改質した領域にタンパク質を吸着させる工程とを含むことを特徴としている。
ここで、「局所的」とは、通常はサブμmから数100μmのサイズであることを意味する。そして、基板の任意の箇所に限定してタンパク質非吸着性の基板表面をタンパク質吸着性の基板表面に改質することで、任意のタンパク質を基板に吸着させることができる領域をパターンニングできる。
また、正電荷を帯びた基板表面とするためには、カチオン性ポリマーを基板表面に被覆させ形成させることが好ましく、カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリオルニチン、ポリリジン等を用いることが好ましい。
この出願の発明において基板表面をタンパク質非吸着性にするために、基板表面に固定する負電荷を帯びたタンパク質非吸着性物質は、タンパク質が基板に吸着することを阻害する活性をもたらすものであれば、特に限定されるものではない。たとえば、具体例としては、アルブミン、フィブリノーゲン、グリコサミノグリカン等が使用でき、また、グリコサミノグリカンとしては、たとえば、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ヒアルロン酸等が使用できる。
すなわち、この出願の発明は、タンパク質は、通常、負電荷を帯びていることから、タンパク質を吸着固定させたい箇所には、正電荷を帯びた基板表面(たとえば、カチオン性ポリマーによって形成)を露出させてタンパク質接着性表面へと改質し、吸着固定させたくない箇所はタンパク質非吸着性の表面としている。こうすることで、負電荷のタンパク質を正電荷の基板上に静電相互作用で吸着固定することができる。一方で、表面が負電荷を帯びるようにするだけで、タンパク質非吸着性表面とすることができるわけでないことも判明した。そして、静電的反発だけでなく、タンパク質非吸着性物質固有の生理活性により、タンパク質の吸着が阻害されていることも考慮できる。
この出願の発明におけるタンパク質非吸着性の基板表面のタンパク質吸着性の基板表面への改質については、たとえば、基板近傍にマイクロ電極等の電極を配置し、この電極に酸化電位もしくは酸化電流を印加することで、電気化学的に活性化学種を局所的に生成させ、この活性化学種の利用によって、タンパク質が吸着することのできる領域を作ることができる。すなわち、基板の任意の箇所で、電極に酸化電位や酸化電流(あるいは、印加時間が短いのなら酸化パルスともいうことがある)を印加することによって、活性化学種が生成され、その箇所のみをタンパク質吸着性に変化(改質)させることができ、タンパク質が基板に吸着することができるようになる。この場合の電極のサイズは小さいため、これら一連の反応は上記のとおり局所的に行われる。もちろん、この電極は、任意の箇所に配置することができ、また複数の電極を配列させるように配置することもできる。さらに、その移動や動作等は、電極と連結されているコンピュータによって制御することもできる。この活性化学種によって、タンパク質非吸着性からタンパク質吸着性へと改質されるものとしては、たとえば、上記のとおり、アルブミン、ヘパリン、ヘパリン誘導体、フィブリノーゲン、ヒアルロン酸等が挙げられる。
なお、この活性化学種としては、ハロゲン化物イオンを酸化させて生成した活性ハロゲン種であることが好ましい。ハロゲン化物イオンは、周期表17族(7B)に属するハロゲン元素のイオンのことであり、いずれのハロゲン化物イオンも利用することができる。具体的には、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)またはアスタチオン(At)のことである。活性ハロゲン種としては、次亜臭素酸(HOBr)または次亜塩素酸(HOCl)のいずれかであることがさらに好ましい。
そして、この出願の発明は、上記のとおりのタンパク質の固定方法を逐次的に行うことで、タンパク質の固定領域を所要のパターンに配列させることもできる。特に、上記のとおり、複数の電極を所要のパターンに配置して、逐次的に酸化電位もしくは酸化電流を印加することで、複数の、しかも任意のタンパク質を基板に吸着させることができる。このとき、タンパク質は、同一のものが複数吸着されていてもよいし、種類の異なる複数種類のタンパク質が吸着されていてもよい。
また、このとき、活性化学種を利用する場合には、さらに活性酸化種に対して非感受性であるタンパク質非吸着性の基板表面修飾剤(すなわち、活性酸化種でタンパク質吸着性に改質されない基板表面修飾剤)を、基板表面に配列固定することで、活性酸化種の生成条件(すなわち、酸化電位もしくは酸化電流の条件)に依存せずに、より効率よく、しかも正確に再現性よく、活性酸化種によって、タンパク質非吸着性からタンパク質吸着性へと改質する(活性酸化種感受性)、アルブミン、ヘパリン、ヘパリン誘導体、フィブリノーゲン、ヒアルロン酸等が固定された領域のみにタンパク質を固定することができる。
なお、活性酸化種に対して非感受性であるタンパク質非吸着性の基板表面修飾剤は、ポリエチレングリコール重合体(PEG重合体)およびメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体(MPCポリマー)の内少なくともいずれかであることが好ましい。また、これら基板表面修飾剤は、通常、長期間安定である。
具体的には、既にタンパク質が吸着されている基板に対して、タンパク質が吸着されていない任意の箇所に配置された電極に酸化電位(酸化パルス等)を印加して、活性化学種を生成させる。この活性化学種が、再び基板の任意の箇所(局所)をタンパク質吸着性の基板表面へと改質し、そこに新たなタンパク質を吸着させることによって、タンパク質を任意のパターンで基板に吸着させることができる。上記のとおり、この際の新たに吸着させるタンパク質の種類は、特に限定されるものではなく、先に吸着されているタンパク質の種類とは、同一のものでも、異なるものでもよい。つまり、研究、実験等の目的に合わせて、タンパク質の種類は、適宜に採択することができる。
たとえば、この出願の発明は、基板に吸着(固定)させるタンパク質として抗体を用いてタンパク質チップを作成し、このタンパク質チップを抗体チップとして免疫測定(イムノアッセイ)に応用することができる。また、このような抗体チップを作成する工程で、プロテインAまたはプロテインGを吸着させた後に抗体を結合させてもよい。このプロテインAやプロテインGは、抗体の定常領域(Fc部位)と結合するので、抗体を効果的に配向させることができ、作成される抗体チップを用いたイムノアッセイの感度と精度を向上させることができる。
さらに、上記のとおりの固定方法を逐次的に行って、抗体の固定領域が配列したタンパク質チップを作成することもできる。
この出願の発明は、基板に吸着させるタンパク質としては、フィブロネクチンやコラーゲンもしくはラミニン等の細胞接着タンパク質を用いることで、細胞が固定された細胞チップの作成への利用が可能となる。そして、このとき、基板表面修飾剤を併用することで、種々の細胞を培養するマルチ細胞パターニング培養や、長期パターン培養へ応用可能であると期待できる。
この出願の発明に用いることができる「細胞(培養細胞)」は、いかなる由来の細胞でもよく、たとえば植物細胞、昆虫細胞、動物細胞等が使用でき、また異種由来の細胞同士あるいは細胞とコラーゲンゲル膜、繭糸、ナイロンメッシュ等の非細胞との融合細胞でもよい。
もちろん、培養細胞は、初代細胞や株化細胞でもよい。特に動物細胞であることが好ましい。動物細胞における初代細胞としては、ニワトリ胚由来細胞(PSG)、ラット初代心筋細胞、ラット初代肝細胞、マウス初代骨髄細胞、ブタ初代肝細胞、ウシ血管内皮細胞、ヒト初代臍帯血細胞、ヒト初代骨髄造血細胞、後根神経節細胞(DRG)等のヒト初代神経細胞等が例示される。また、株化細胞では、チャイニーズハムスター卵巣細胞由来のCHO細胞、ヒト子宮ガン由来のHeLa細胞、ヒト肝ガン由来のHuh7細胞やHepG2細胞等、後根神経節細胞(DRG)等の神経細胞あるいは、心筋細胞や内皮細胞等も使用できる。また、これら細胞にプラスミド導入やウイルス感染等の遺伝子操作により得られた細胞もこの出願の発明に用いることができる。
また、これら細胞は、接着性細胞あるいは浮遊性細胞でもよいが、接着性細胞であることが、この出願の発明の効果をより顕著に得ることができるため好ましい。
さらに、この出願の発明は、基板に吸着させるタンパク質として酵素を用いてタンパク質チップとすることで、酵素反応を利用する生化学分析チップへの応用もできる。この酵素についても、特に制限されるものではなく、たとえば、ペルオキシダーゼやチロシキナーゼ、グルコースをはじめとする各種糖類の脱水素酵素等、各種の酵素が使用できる。
この出願の発明は、活性化学種を生成するための電気化学反応を制御して進行させるために必要な、作用電極および対極等からなる電極系を微小流路チップ内に内蔵することができ、微小流路内にも効率よくタンパク質を固定化させることができる。
この出願の発明における基板として用いる材料としては、たとえば、カチオン性ポリマーそのものはもちろん、半導体やガラス板、プラスチック板、金属薄膜がコーティングされた基板等、種々のものを利用することができ、特に限定されるものではない。
以上のような、この出願の発明によって、タンパク質の失活を防ぎ、従来と比べて小型かつ安価な電気化学システムを用いるため、大掛かりな装置を必要とせず、タンパク質を再現性よく固定化することができ、しかも微小な流路内でもタンパク質を固定化することができる。
このように、迅速、かつ、簡便に基板にタンパク質を固定することが可能となることで、病理診断、創薬、食品や環境の分析・検査、医用工学やセンサ工学等の幅広い分野領域に革新的なツールとして提供することができ、産業的にも、経済的にも大きな効果をもたらすことができる。そして、固定化されるタンパク質を細胞接着タンパク質とすることで、細胞を基板上の任意の領域に固定化することも可能となり、その活用範囲はより広がることになる。
次に実施例を説明し、さらに詳しくこの出願の発明について説明する。もちろん、以下の例によって発明が限定されることはない。
<I>タンパク質非吸着性物質として、ヘパリンを用いた場合
(1)基板の前処理
ガラス板を基板として用いた。この基板を洗浄し、10mg/mLポリエチレンイミン(PEI)水溶液に2時間浸し、PEI層を形成させた。次に、2mg/mLヘパリン水溶液に30分間浸すことによって、ヘパリンを静電相互作用によって基板表面に固定させ、基板表面をタンパク質非吸着性にした。
(2)電気化学的処理
25mM KBrを含むリン酸緩衝液中で、臭化物イオンの酸化電位(1.7V vs.Ag/AgCl)を印加したPtディスク型マイクロ電極(電極径:20μm)を基板近傍に配置し、活性ハロゲン種を生成させた。この処理で、PEI層が基板表面が露出し、後に固定するタンパク質のリンカー層として機能する。ここで、Ptディスク型マイクロ電極は作用極(WE)であり、銀/塩化銀電極(Ag/AgCl)を参照極(RE)、白金板を対極(CE)とする三極式の電極系にポテンショスタットを接続して行われた。
(3)タンパク質の固定
次に、公知の方法で蛍光標識したプロテインAの0.025mg/mL溶液に、基板を20分間浸漬し、洗浄後蛍光観察によりプロテインAが局所的に固定されていることを確認した。なお、図1に示したとおり、電位を印加する時間(5秒間、10秒間、20秒間、30秒間)で、プロテインAの吸着範囲(タンパク質の固定サイズ)が制御可能である。
基板に吸着(固定)させるタンパク質として、上記のプロテインA以外にも、各種抗体、各種細胞接着タンパク質が局所固定できた。たとえば、図2に示したとおり、Mouse IgG(抗体)を局所固定することができ、図1と同様に、その吸着範囲は、印加時間の長さに比例して拡大することを確認できた。
<II>タンパク質非吸着性物質として、アルブミンを用いた場合
上記実施例1と同様の実験手順で、タンパク質の基板への固定を行った。
結果は、図には示していないが、実施例1と同様に、タンパク質の固定ができ、また、電位を印加する時間で、プロテインAの吸着範囲(タンパク質の固定サイズ)が制御可能であることを確認できた。
実施例2:複数種類のタンパク質のパターンニング
実施例1の(2)および(3)の操作を2回繰り返し、2種類のタンパク質を同一の基板上に固定した。具体的には、まず、プロテインAの局所固定を介して蛍光標識したMouse IgGの固定化を行い(0.025mg/mL Mouse IgG溶液に20分間浸漬)、その後2mg/mLウシ血清アルブミン溶液に基板を30分間浸した。次に、再度プロテインAの局所固定を行った後に蛍光標識したHuman IgGの固定化を行った(0.025mg/mL Human IgG溶液に20分間浸漬)。
結果は、図3(a)(b)に示したとおり、同一の基板上に、Mouse IgGおよびHuman IgGそれぞれを固定化させることができた。
実施例3:電極系を一体化した基板を用いる活性ハロゲン種の生成
実施例1および2は、基板表面に近接させたPtディスク型マイクロ電極(電極径:20μm)を用いて電気化学処理を行っている。一方で、別の基板上に電極を作成しておき、これを実施例1(1)と同様に前処理を施したガラス基板にスペーサーを用いて対向させて電気化学処理を行う方法が、実用上望まれることがある。さらに、通常は別途用意される参照電極も電極基板に搭載されることが望ましい。そこで、実施例3として、1対の白金の電極がパターン化された基板のみを用いて活性ハロゲン種を電解生成し得ることを示した。
まず、図4に示したとおり、基板電極の一方の電極を作用極(WE)、もう一方の電極を対極(CE)、別途挿入した銀塩化銀電極(Ag/AgCl)を参照極(RE)として、0.1M KClを含むリン酸緩衝液(0.1M、pH7.5)中でサイクリックボルタモメトリー(CV)を行った。この図4では、25mM KBr存在下の場合では、実線で示したとおり、臭化物イオン酸化の寄与が支配的である酸化電流が観測された。また、非存在化の場合では、点線で示したとおり、塩化物イオン酸化の寄与が支配的である酸化電流が観測された。
次いで、図5に示したとおり、基板電極の一方の電極を作用極(WE)、もう一方の電極を参照極(RE)(兼対極)として同様の溶液中でCVを行ったところ、KBr存在下では、臭化物イオン酸化の寄与が支配的である酸化電流、非存在化では塩化物イオン酸化の寄与が支配的である酸化電流が観測され、得られるCV形状は図4の場合と同等であった。すなわち、外部に参照極を別途用意せずとも、基板上の白金電極を参照極として用いる二極式の電気化学系でハロゲン化物イオンの酸化反応が制御可能であった。
この結果は、電極系の全てが微小な基板上に集積できることを示すものであり、この出願の発明のタンパク質チップや、その関連装置の構造を大幅に簡素化する効果を有する。
実施例4:微小流路内へのタンパク質の固定
本実施例における、微小流路が形成された基板は、図6に例示したとおり、実施例3の電極基板と、実施例1(1)と同様にヘパリンを固定化したガラス基板をPETフィルムのスペーサーを介して挟み込むことによって流路を形成させた。
この流路に25mM KBrを含むリン酸緩衝液を充填し、作用電極に臭化物イオンの酸化電位(2.2V vs.Pt)を印加してタンパク質吸着領域を形成した。次に、蛍光標識したプロテインAの0.025mg/mL溶液を10分間充填し、洗浄した後蛍光顕微鏡を用いて観察した。
結果は、図7に示したとおり、ヘパリンを固定化した基板上には、電極基板の電極位置と対応してタンパク質(プロテインA)を固定させることができた。
微小流路と組み合わせたタンパク質チップは、用いる溶液を少量とし、操作の連続性と再現性も向上させる効果を有する望ましい形態である。この実施例は、これまで極めて困難であった微小流路内への局所へのタンパク質固定を初めて実施したものであり、タンパク質チップが有する問題点を解決する効果を有する。
実施例5:細胞のパターンニング
基本的な操作は、実施例1の(2)(3)の操作と同様である。基板の表面に局所的に接着させるタンパク質として、細胞接着タンパク質であるフィブロネクチン(Fibronectin)をパターニング接着させた。
そして、フィブロネクチンをパターンニング接着させた箇所に培養細胞として、HeLa細胞(HeLa cell)を接種して培養すると、図8に示したとおり、このフィブロネクチンのパターン上にのみ選択的にHeLa細胞の接着を誘導することができた。図8(a)は、フィブロネクチンを蛍光標識して可視化している。図8(b)は、この基板上でHeLa細胞を培養した結果の位相差顕微鏡写真像である。
また、図には示していないが、同様の方法で、他の培養細胞、たとえば、神経細胞や心筋細胞、内皮細胞等の付着性細胞でもパターンニングが可能だった。
実施例6:微小流路内における細胞のパターンニング
図9に例示したように、実施例4で利用した装置と同様の装置、つまり電極基板と、ヘパリンを固定化したガラス基板をPETフィルムのスペーサーを介して挟み込むことによって流路を形成させたものを用いた。そして、細胞接着タンパク質であるフィブロネクチンを固定した後、培養細胞としてHeLa細胞を接種して培養した。
結果は、図9に示したとおりであった。この図9に示したとおり、基板の微小流路内の局所に、細胞(HeLa細胞)を接着することができた。このことから、細胞診断等の細胞チップを用いる応用には、この結果のような「その場固定」が重要であることを考慮すると、この出願の発明の細胞チップを細胞診断等にも十分に活用することができる。また、この出願の発明の細胞チップは、基礎生物学もしくは創薬等の応用研究の立場から、腫瘍細胞とT細胞との結合等の細胞間相互作用を研究、解析等のためのツールとしても活用できる。
実施例7:微小流路を有する基板(微小流路チップ)へのタンパク質の固定
(1)微小流路チップの作製
図10に示したように、一連の微細加工技術を用いてガラス基板上にPtをパターニングして、電極を内蔵する電極基板を作製した。この電極基板とガラス基板をスペーサー(シリコンラバー:厚さ50μm)を介して、挟み込むことによって流路を形成した。この流路内への送液は、インレットの細管を目的の溶液の入ったリザーバーに連結し、アウトレットで吸引することで行った。インレットのリザーバーには参照極として銀塩化銀電極を設置した。
(2)流路内へのタンパク質の固定化とイムノアッセイ
<A>抗体のパターンニング
作製した微小流路チップに、図11に例示したように、以下のステップでサンドイッチイムノアッセイを行った。
ポリエチレンイミン(PEI)水溶液(5mg/mL)を流路内に導入し、30分インキュベートした。
次に、ヘパリン水溶液(2mg/mL)を流路内に導入し、20分インキュベートすることで、ヘパリンを基板表面に静電相互作用によって固定した。
次に、25mM KBrを含むリン酸緩衝液を流路内に充填した後,作用電極に臭化物イオンの酸化電位(1.7V vs.Ag/AgCl)を、5秒または10秒印加し、基板に固定したPEI/ヘパリン層を改質した。
次に、プロテインA溶液(25μg/mL)を流路内に充填し、30分インキュベートすることで、基板に固定した。
次に、一次抗体溶液(ヤギ由来抗マウスIgG:25μg/mL)を流路内に導入し、30分インキュベートすることで抗体を基板上に固相化した。
次に、牛血清アルブミン(BSA)溶液(5mg/mL)を流路内に導入し、30分インキュベートすることでブロッキングした。
次に、抗原溶液(マウスIgG:25μg/mL)を流路内に導入し、30分インキュベートした。
次に、蛍光標識二次抗体溶液(FITC標識ヤギ由来抗マウスIgG:25μg/mL)を流路内に導入し、30分インキュベートした後、蛍光観察した。
結果は、図12に示したとおり、ヘパリンをパターン固定(パターンニング)した箇所のみで、抗体反応を確認することができた。また、反応時間に依存して、反応強度も向上することも確認できた。
<B>マルチ抗体のパターンニング
作製した微小流路チップに、図13(a)に例示したように、以下のステップでサンドイッチイムノアッセイを行った。なお、操作手順は、基本的には、上記<A>とほぼ同様である。
ポリエチレンイミン(PEI)水溶液(5mg/mL)を流路内に導入し、30分インキュベートした。
次に、ヘパリン水溶液(2mg/mL)を流路内に導入し、20分インキュベートすることで、ヘパリンを基板表面に静電相互作用によって固定した。
次に、25mM KBrを含むリン酸緩衝液を流路内に充填した後,作用電極に臭化物イオンの酸化電位(1.7V vs.Ag/AgCl)を10秒印加し、基板に固定したPEI/ヘパリン層を改質した。
次に、プロテインA溶液(25μg/mL)を流路内に充填し、30分インキュベートすることで、基板に固定した。
次に、一種類目の抗体(Cy3−labeled mouse:25μg/mL)を流路内に導入し、30分インキュベートすることで抗体を基板上に固相化した。
次に、牛血清アルブミン(BSA)溶液(5mg/mL)を流路内に導入し、30分インキュベートすることでブロッキングした。
次に、PEI/ヘパリン層の改質操作を行い、次いで、プロテインAの基板への固定操作も再度行った。
次に、二種類目の抗体(Cy2−labeled human IgG:25μg/mL)を流路内に導入し、30分インキュベートした後、蛍光観察した。
その結果、図13(b)(c)(d)に示したように、一種類目の抗体(Cy3−labeled mouse)および二種類目の抗体(Cy2−labeled human IgG)いずれにおいても、ヘパリンをパターン固定(パターンニング)した箇所のみで、抗体反応を確認することができた。
実施例8:基板表面修飾剤を用いてのタンパク質の固定
基板表面修飾剤であるポリエチレングリコール(PEG)やMPCポリマーは、活性酸化種である次亜臭素酸(HOBr)に対する耐性を有する長期間安定な表面修飾剤である。
この基板表面修飾剤であるPEGやMPCポリマーのパターニング方法について説明する。なお、ポリジメチルシロキサン(PDMS)スタンプは、フォトリソグラフィーによりフォトレジスト(膜厚9μm)をパターニングしたガラス基板を鋳型として作製した。
図14に示したように、このPDMSスタンプをガラス基板に置き、PEG(Poly(ethylene glycol)dimethacrylate)またはMPCポリマーの溶液を、毛細管現象を利用してスタンプの凹んだ部分と基板表面の隙間に流し込んだ。ここで、PEGの溶液は平均分子量550のPoly(ethylene glycol)dimethacrylate(99.5wt%)と光重合開始剤の2−hydroxy−2−methylpropiophenone(0.5wt%)の混合溶液を用いた。また、MPCポリマーは5wt%のエタノール溶液である。
PEGの溶液を流し込んだ場合には、UV照射(365nm,15mW/cm2,20sec)でポリマーを硬化させた後、PDMSスタンプを取り除いた。MPCポリマーの溶液の場合には、基板を20分乾燥させた後、スタンプを取り除いた。
図15は、PEGおよびMPCポリマーをパターニングしたガラス基板上で細胞を培養した様子を示した図である。細胞は、HeLa細胞またはウシ大動脈由来血管内皮細胞を用いて、公知の培養条件で培養した。結果、ガラス基板が露出している領域にのみ細胞の接着・伸展が観察された。特に、ウシ大動脈由来血管内皮細胞は、このパターンを維持したまま1ヶ月を超える長期培養が可能であった。
(1)微小流路チップにおけるタンパク質の固定
表面修飾剤としてMPCポリマーを微小流路チップの基板にパターン固定し、また、活性酸化種で改質するヘパリンをパターン固定した。
図16に示すように、基板上に作製したMPCポリマーとヘパリンの境界領域をマイクロ電極で生成した次亜臭素酸で処理した。すると、PEI/ヘパリン層のみが改質され、したがって、これらの基板表面修飾剤で流路チップ上を予めパターニングしておくことで、意図しない領域へのタンパク質の吸着を防ぐことができる。
(2)微小流路チップにおけるイムノアッセイ
次に、図17に示すように、予めMPCポリマーをパターニングしたガラス基板を用いて微小流路チップを作製した。
そして、この微小流路チップに実施例7(2)で示した操作を適用し、イムノアッセイを行った。
結果は、MPCポリマーで被覆していない領域でのみ蛍光が検出され、上述したように意図しない領域へのタンパク質吸着を抑制できた。これらの基板表面修飾剤は長期間安定であるため、図18に示したように、種々の細胞を培養するマルチ細胞パターニング培養や、長期パターン培養へ応用可能であると期待できる。
また、この出願の発明によって、上記の固定化されるタンパク質を細胞接着タンパク質とすることで、細胞をも対象にして基板上の任意の領域に固定化することもできる。
Claims (21)
- 正電荷を帯びた基板表面に負電荷を帯びたタンパク質非吸着性物質を積層して形成したタンパク質非吸着性表面を形成する工程と、タンパク質非吸着性表面を局所的にタンパク質吸着性表面に改質する工程と、局所的に改質した領域にタンパク質を吸着させる工程とを含むことを特徴とするタンパク質の固定方法。
- 正電荷を帯びた基板表面は、カチオン性ポリマーで形成されている請求項1に記載のタンパク質の固定方法。
- カチオン性ポリマーは、ポリエチレンイミンである請求項1または2に記載のタンパク質の固定方法。
- 負電荷を帯びたタンパク質非吸着性物質は、グリコサミノグリカン、アルブミンおよびフィブリノーゲンからなる群の内少なくとも1つである請求項1から3いずれかに記載のタンパク質の固定方法。
- グリコサミノグリカンは、ヘパリン、ヘパリン誘導体およびヒアルロン酸からなる群の内少なくとも1つである請求項4に記載のタンパク質の固定方法。
- タンパク質非吸着性基板表面のタンパク質吸着性基板表面への改質は、基板近傍に配置した電極に酸化電位もしくは酸化電流を印加して生成される活性化学種によって行われる請求項1から5いずれかに記載のタンパク質の固定方法。
- 活性化学種は、ハロゲン化物イオンを酸化させて生成された活性ハロゲン種である請求項6に記載のタンパク質の固定方法。
- 活性ハロゲン種は、次亜臭素酸(HOBr)または次亜塩素酸(HOCl)である請求項7に記載のタンパク質の固定方法。
- 請求項1から8いずれかに記載のタンパク質の固定方法を逐次的に行うことによって、タンパク質の固定領域を配列することを特徴とするタンパク質の固定方法。
- 活性化学種に対して非感受性であるタンパク質非吸着性の基板表面修飾剤を基板表面に配列固定して、タンパク質の固定領域を設定する請求項6から9いずれかに記載のタンパク質の固定方法。
- 基板表面修飾剤は、ポリエチレングリコール重合体およびメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体の少なくともいずれかである請求項10に記載のタンパク質の固定方法。
- 請求項1から11いずれかに記載のタンパク質の固定方法により作成されたタンパク質チップであって、タンパク質非吸着性の基板表面がタンパク質吸着性の基板表面に局所的に改質され、タンパク質が局所的に固定されていることを特徴とするタンパク質チップ。
- 基板には、微小流路および電極系が内蔵されている請求項12に記載のタンパク質チップ。
- 内蔵されている電極系は、一対の電極からなる二極式であり、対極が白金である請求項13に記載のタンパク質チップ。
- 局所的に固定されたタンパク質は、抗体である請求項12から14いずれかに記載のタンパク質チップ。
- 局所的に固定されたタンパク質は、プロテインAまたはプロテインGであり、このプロテインAまたはプロテインGに抗体を結合させて、抗体が基板表面に固定されている請求項12から14いずれかに記載のタンパク質チップ。
- 局所的に固定されたタンパク質は、酵素である請求項12から14いずれかに記載のタンパク質チップ。
- 局所的に固定されたタンパク質は、細胞接着タンパク質である請求項12から14いずれかに記載のタンパク質チップ。
- 細胞接着タンパク質は、フィブロネクチン、コラーゲンおよびラミニンからなる群から少なくとも1つが選択される請求項18に記載のタンパク質チップ。
- 請求項18または19に記載のタンパク質チップ上に細胞を接着させることを特徴とする細胞の固定方法。
- 請求項20に記載の細胞の固定方法により作成された細胞チップであって、細胞が局所的に固定されていることを特徴とする細胞チップ。
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