JP2009144890A - 摩擦クラッチ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 中間ディスクが破損することを防止又は減少させ、高い動力伝達性能及び長寿命を有する摩擦クラッチ装置を提供する。
【解決手段】回転軸の周りに回転するフライホイールと、フライホイールに回動不可能に取り付けられ、フライホイールと共に回転するケーシングと、ケーシングに回動不可能に外縁部分が取り付けられ、ケーシングと共に回転する中間ディスクと、中間ディスクに圧接され中間ディスクと共に回転する摩擦ディスクと、クラッチスプリングと、クラッチスプリングによって付勢されることで摩擦ディスクを中間ディスクに圧接するプレッシャープレートと、を備えてなり、中間ディスクの少なくとも1枚が、回転軸に対して略垂直な平面に沿った主表面を有する素ディスクが重合した分割中間ディスクである、摩擦クラッチ装置である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、駆動側から被動側への動力伝達を断続する摩擦クラッチ装置に関し、より詳細には、四輪自動車や二輪車(オートバイや原動機付自転車等)等の動力発生源を有する乗物等に好適に用いられる摩擦クラッチ装置に関する。
摩擦クラッチ装置は、自動車のエンジンのような動力発生源からの動力を機械的接触により断続するものとして多用されてきた。摩擦クラッチ装置は、2面間の摩擦力によって動力を伝達するものであり、該2面間を接触させることで動力を伝達し、該2面間を切り離すことで動力の伝達を断絶する。この摩擦クラッチ装置は、動力の断続を円滑に行うことができること等から自動車(四輪自動車や二輪車を含む。)等に多用されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)。
特許文献2には、特許文献2の図1に示すように「摩擦クラッチ201は、クラッチカバー107と、エンジンの出力軸(クランクシャフト)に取りつけられるフライホイール103と、クラッチディスク13と、プレッシャープレート215と、ダイヤフラムスプリング117(クラッチスプリング)と、を備えてなる。そして、クラッチディスク13は、センターハブ15と摩擦ディスク11とを有している。ここでは摩擦ディスク11は、第1摩擦ディスク11a、第2摩擦ディスク11b及び第3摩擦ディスク11cの3枚によって構成されている」(段落番号0021)ものであり、そして「第1ミッドプレート12a、第2ミッドプレート12b及びフライホイール当接部材12cの外周面には、センターハブ15の軸(筒状部分15aの軸15rと一致する。)方向に沿ってスプライン軸の凸条が形成され、フライホイール103に固定されたクラッチカバー107の内周面には該凸条に嵌合する凹溝が形成され」(段落番号0025)ることで、第1ミッドプレート12a、第2ミッドプレート12b及びフライホイール当接部材12cがクラッチカバー107に対して回動(回転)不可能に取り付けられた摩擦クラッチ装置が開示されている。この特許文献2の摩擦クラッチ装置では、「プレッシャープレート215とフライホイール103との間に、第1摩擦ディスク11aと第1ミッドプレート12aと第2摩擦ディスク11bと第2ミッドプレート12bと第3摩擦ディスク11cとフライホイール当接部材12cが挟持されることで、フライホイール103からセンターハブ15へ動力が伝達される。」(段落番号0022)ものであり、第1ミッドプレート12a、第2ミッドプレート12b及びフライホイール当接部材12cの外周面に形成されたスプライン軸の凸条と、それに嵌合するクラッチカバー107の内周面に形成された凹溝と、の強度が、伝達可能な動力に大きな影響を与える(該強度が低ければ、互いに嵌合するスプライン軸の凸条と凹溝との一方又は両方が破損することで伝達可能な動力は低下する。)。
図11は、上述した特許文献2に開示されたものと同様の従来の摩擦クラッチ装置201を示す図(特許文献2の図1と同様の断面を示している。)であり、図12は図11のA−A断面図である。そして、図13は、図12中に点線の長方形Yで囲んだ部分の一部拡大図である。さらに、図14は、後述する中間ディスク102(図14(a))及び摩擦ディスク101(図14(b))の平面図(図11中、矢印Cによって観察方向を示す。)である。図11乃至図14を参照して従来の摩擦クラッチ装置201について説明する。
摩擦クラッチ装置201は、エンジンの出力軸(クランクシャフト)に取りつけられ回転軸15rの周りに回転するフライホイール103と、フライホイール103に回動不可能(回転軸15rの周りに回動不可能)に取り付けられ、フライホイール103と共に回転軸15rの周りに回転するケーシング107(クラッチカバーと呼ばれることがある)と、ケーシング107に回動不可能(回転軸15rの周りに回動不可能)に外縁部分が取り付けられ、ケーシング107と共に回転軸15rの周りに回転する中間ディスク102(特許文献2の摩擦クラッチ201においては第1ミッドプレート12a、第2ミッドプレート12b及びフライホイール当接部材12cが相当する。)と、中間ディスク102に圧接され中間ディスク102と共に回転軸15rの周りに回転する摩擦ディスク101(特許文献2の摩擦クラッチ201においては、第1摩擦ディスク11a、第2摩擦ディスク11b及び第3摩擦ディスク11cの3枚によって構成された摩擦ディスク11が相当する。)と、クラッチスプリング117と、クラッチスプリング117によって付勢されることで摩擦ディスク101を中間ディスク102に圧接するプレッシャープレート215と、を備えてなる。そして、ここでは中間ディスク102は、第1中間ディスク102a、第2中間ディスク102b及び第3中間ディスク102cの3枚のディスクによって構成されているが、これら3枚のディスク102a、102b、102cはいずれも同じものを用いている(いずれも同じものであるので、図14(a)には中間ディスク102として示している。)。なお、中間ディスク102として、ここでは第1中間ディスク102a、第2中間ディスク102b及び第3中間ディスク102cの3枚が配設されているが、中間ディスク102の枚数は1、2、3、4、5・・・のように様々変更され得る。また、摩擦ディスク101は、第1摩擦ディスク101a、第2摩擦ディスク101b及び第3摩擦ディスク101cの3枚によって構成されているが、これら3枚のディスク101a、101b、101cはいずれも同じものを用いている(いずれも同じものであるので、図14(b)には摩擦ディスク101として示している。)。そして、摩擦ディスク101として、ここでは第1摩擦ディスク101a、第2摩擦ディスク101b及び第3摩擦ディスク101cの3枚が配設されているが、摩擦ディスク101の枚数は1、2、3、4、5・・・のように様々変更され得る。
センターハブ15は、トランスミッションのメインシャフト(図示せず)が内挿固定される中空円筒形状をした筒状部分15a(該筒の軸は回転軸15rに一致する)と、筒状部分15aの軸(回転軸15rと一致)に対して略垂直な面に沿って筒状部分15aの外周面からのびるように形成された円盤部分15bと、を有している。筒状部分15aと円盤部分15bとは、クロムモリブデン鋼によって一体的に形成されている。なお、筒状部分15aの内周面には、トランスミッションのメインシャフト(図示せず)の外周面に形成されたスプライン軸の凸条に嵌合する凹溝が形成されている。そして、円盤部分15bは、筒状部分15aの軸(回転軸15rと一致)から所定半径の円盤形状を有しており、該円盤の外周面はスプライン軸にされている。該スプライン軸は、回転軸15r方向に沿って形成された凸条15sによって形成されている。そして、円盤部分15bの外周面に形成されたスプライン軸を構成する凸条15sは、摩擦ディスク101(第1摩擦ディスク101a、第2摩擦ディスク101b、第3摩擦ディスク101c)の内周面に形成された凹溝101mと嵌合するように形成されている。
このようにしてセンターハブ15に対して摩擦ディスク101(第1摩擦ディスク101a、第2摩擦ディスク101b、第3摩擦ディスク101c)が回転軸15rの周りに回動(回転)不可能に取り付けられている。なお、このようなセンターハブに対する摩擦ディスクの固定方法は従来から知られているものである。また、ここでは第1摩擦ディスク101a、第2摩擦ディスク101b、第3摩擦ディスク101cのいずれもCCコンポジットによって一体に形成されている。
ケーシング107は、無底有蓋(開放された下面にはフライホイール103が取り付けられており、上面は開口107hを有する。)の円筒形の容器を構成しており、上面には該円筒形の中心軸(回転軸15rと略一致する)を中心とした円形の開口107hが設けられている。
そして第1中間ディスク102a、第2中間ディスク102b及び第3中間ディスク102cのいずれにも、外周面に回転軸15r方向に沿ってスプライン軸の凸条102sが形成されると共に、フライホイール103に固定されたケーシング107の内周面には該凸条102sに嵌合する凹溝107mが形成されている。この凸条102sと凹溝107mとの嵌合により、第1中間ディスク102a、第2中間ディスク102b及び第3中間ディスク102cのいずれもケーシング107の回転軸15rの周りの回転に伴って一緒に回転するように固定されている(第1中間ディスク102a、第2中間ディスク102b及び第3中間ディスク102cのいずれもケーシング107に対して回転軸15rの周りに回動(回転)不可能に取り付けられている。なお、プレッシャープレート215も、これら第1中間ディスク102a、第2中間ディスク102b及び第3中間ディスク102cと同様に、ケーシング107に対して回転軸15rの周りに回動(回転)不可能に取り付けられている。)。このようなプレッシャープレート215、第1中間ディスク102a、第2中間ディスク102b及び第3中間ディスク102cの取付方法等については、既知のクラッチ装置(多板クラッチ装置)におけるものと同様である。なお、ここでは第1中間ディスク102a、第2中間ディスク102b及び第3中間ディスク102cのいずれもCCコンポジットによって一体に形成されている。
ケーシング107の円形の開口107hの周囲に沿って短冊状(詳細には、回転軸15rの方向に頂点を向けた二等辺三角形、又は回転軸15rの方向が先細りになった等脚台形(等角台形)を略構成する両表面を有する。)の板ばねを構成するクラッチスプリング117が複数取りつけられている(短冊状のクラッチスプリング117それぞれは、ねじ部材118によってねじ部材118の中心軸を含む平面内において所定範囲内において回動可能(回動方向を図11中、矢印Eにて示した。)に取りつけられている。)。クラッチスプリング117の一端117a近傍はプレッシャープレート215の当接部216(窒化処理した炭素鋼によって形成されている。なお、当接部216以外のプレッシャープレート215はCCコンポジットによって形成されている。)に当接しており、それによってプレッシャープレート215をフライホイール103の方向へ付勢している。そして、この付勢力によりプレッシャープレート215とフライホイール103との間に、第1摩擦ディスク101aと第1中間ディスク102aと第2摩擦ディスク101bと第2中間ディスク102bと第3摩擦ディスク101cと第3中間ディスク102cが挟持されることで、フライホイール103からセンターハブ15へ動力が伝達される。即ち、この状態がクラッチがつながった状態(クラッチ入)であり、詳述すれば、回転するケーシング107の内周面に形成された凹溝107mと嵌合したスプライン軸の凸条102sを通じ、第1中間ディスク102a、第2中間ディスク102b及び第3中間ディスク102cが回転軸15rの周りに回転され、該回転される第1中間ディスク102a、第2中間ディスク102b及び第3中間ディスク102cに当接する摩擦ディスク101(第1摩擦ディスク101a、第2摩擦ディスク101b、第3摩擦ディスク101c)がこれら中間ディスク102(第1中間ディスク102a、第2中間ディスク102b及び第3中間ディスク102c)との摩擦によって回転軸15rの周りに回転されることで、フライホイール103からセンターハブ15へ動力が伝達される。
一方、クラッチスプリング117の他端117b近傍は、図示しないレリズベアリングに当接しており、同じく図示しないレリーズアームによって該レリーズベアリングがフライホイール103の方向へ移動されることでクラッチスプリング117の他端117bも該方向へ押され、それによってクラッチスプリング117の一端117a近傍が当接部216から離れ(前述のように、クラッチスプリング117は図11中、矢印E方向に回動可能である。)、プレッシャープレート215が摩擦ディスク101(第1摩擦ディスク101a)をフライホイール103の方向へ付勢する付勢力がなくなる。これによって、プレッシャープレート215とフライホイール103との間に、第1摩擦ディスク101aと第1中間ディスク102aと第2摩擦ディスク101bと第2中間ディスク102bと第3摩擦ディスク101cと第3中間ディスク102cが挟持されなくなり、フライホイール103からセンターハブ15へと動力が伝達されなくなる。即ち、この状態がクラッチが切れた状態(クラッチ断)である。
以上のように、回転するケーシング107に伴って回転する中間ディスク102(第1中間ディスク102a、第2中間ディスク102b及び第3中間ディスク102c)は、摩擦ディスク101(第1摩擦ディスク101a、第2摩擦ディスク101b、第3摩擦ディスク101c)との摩擦により摩擦ディスク101(第1摩擦ディスク101a、第2摩擦ディスク101b、第3摩擦ディスク101c)に回転(動力)を伝達することから、中間ディスク102(第1中間ディスク102a、第2中間ディスク102b及び第3中間ディスク102c)は摩擦クラッチ装置201の動力伝達に大きな役割を果たすものであり、中間ディスク102の強度は伝達可能な動力に大きな影響を与える。
一方、摩擦クラッチ装置201は、小型軽量で伝達可能な動力が大きく、高温域や高回転域において高い伝達動力を有するものへの要求があり、このような要求に応じるため中間ディスク102(第1中間ディスク102a、第2中間ディスク102b及び第3中間ディスク102c)や摩擦ディスク101(第1摩擦ディスク101a、第2摩擦ディスク101b、第3摩擦ディスク101c)をCCコンポジットにより形成することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2007−225083号公報(例えば、発明の詳細な説明中、段落番号0018〜0023、第1図、第3図等) 特開2005−155734号公報(例えば、発明の詳細な説明中、段落番号0020〜0025、第1図等) 特開2002−181072号公報(例えば、発明の詳細な説明中、段落番号0001〜0005、第15図等)
このような回転するケーシング107に伴って回転する中間ディスク102が、摩擦ディスク101との摩擦により摩擦ディスク101に回転(動力)を伝達する摩擦クラッチ装置201における伝達可能な回転(動力)は、中間ディスク102の強度に大きく依存する。
ケーシング107に伴って回転する中間ディスク102は、摩擦ディスク101に強く当接した状態で摩擦ディスク101と摩擦されたり、クラッチを断続することによって、ケーシング107と摩擦ディスク101との間で大きな応力を受ける。例えば、ケーシング107の内周面の凹溝107mに嵌入された中間ディスク102外周のスプライン軸(凸条102s)は、クラッチを短時間につなぐ操作(クラッチ断からクラッチ入)によって大きな引張力やせん断力等を受け、それによって破損することがあった。このため中間ディスク102が、摩擦クラッチ装置201における伝達可能な動力(能力)や寿命を決定することがあった。
このような中間ディスク102が摩擦クラッチ装置201の能力や寿命を決定することは、中間ディスク102と摩擦ディスク101との間で大きな摩擦力(即ち、動力の伝達力)を得ることができるCCコンポジット製の中間ディスク102や摩擦ディスク101を用いた場合に顕著である。CCコンポジットは、上述のように大きな摩擦力を得ることができる反面、鋼材のような粘りが少なく、折れや圧壊等のような破壊を生じやすい。
とりわけ小型軽量で伝達可能な動力が大きく高温域や高回転域において高い伝達動力を有する摩擦クラッチ装置201が求められる自動車レース等においては、CCコンポジット製の中間ディスク102や摩擦ディスク101を用いることが多く、これを過酷な条件(例えば、大きな動力を短時間で断続する操作が行われる条件。一例としては、発進加速を争うドラッグレース等。)で用いると、中間ディスク102(特に、外周のスプライン軸(凸条102s))が破損するという問題があった。
そこで、本発明においては、中間ディスクが破損することを防止又は減少させ、高い動力伝達性能及び長寿命を有する摩擦クラッチ装置を提供することを目的とする。
本発明のクラッチ装置(以下、「本装置」という。)は、回転軸の周りに回転するフライホイールと、フライホイールに回動不可能に取り付けられ、フライホイールと共に回転するケーシングと、ケーシングに回動不可能に外縁部分が取り付けられ、ケーシングと共に回転する中間ディスクと、中間ディスクに圧接され中間ディスクと共に回転する摩擦ディスクと、クラッチスプリングと、クラッチスプリングによって付勢されることで摩擦ディスクを中間ディスクに圧接するプレッシャープレートと、を備えてなり、中間ディスクの少なくとも1枚が、回転軸に対して略垂直な平面に沿った主表面を有する素ディスクが重合した分割中間ディスクである、摩擦クラッチ装置である。
本装置においては、上記した従来の摩擦クラッチ装置201と同様、次のようにクラッチ装置を構成する。
即ち、本装置においては、フライホイールが回転軸の周りに回転することで、フライホイールに(回転軸の周りに)回動不可能に取り付けられたケーシング(クラッチカバーと呼ばれることがある。)がフライホイールと共に回転軸の周りに回転する。そして、ケーシングに(回転軸の周りに)回動不可能に外縁部分が取り付けられた中間ディスクは、ケーシングの回転に伴って回転軸の周りに回転する。一方、摩擦ディスクは、中間ディスクに圧接されることで、回転軸の周りに回転する中間ディスクと共に回転軸の周りに回転する。そして、本装置は、クラッチスプリングとクラッチスプリングによって付勢されるプレッシャープレートとを備え、クラッチスプリングが付勢するプレッシャープレートが摩擦ディスクを中間ディスクに圧接することで、摩擦ディスクが回転軸の周りに回転される(クラッチ入)。そして、クラッチスプリングがプレッシャープレートを付勢する力を除去又は減少させることで、摩擦ディスクが回転軸の周りに回転する力を除去又は減少させることができる(クラッチ入→切)。なお、回転するフライホイールとは、フライホイールから摩擦ディスクへ動力が伝達されていない状態(即ち、クラッチが切れた状態)において、摩擦ディスクに対して相対的にフライホイールが回転することをいう。
そして、本装置においては、中間ディスクの少なくとも1枚が、回転軸に対して略垂直な平面に沿った主表面を有する素ディスクが重合した分割中間ディスクであることを特徴とする。
本発明者は、複数(2、3、4、・・・と2以上の整数であればよい)枚の素ディスクを重合させ中間ディスクを形成することにより、中間ディスクが破損することを防止又は減少させ、高い動力伝達性能及び長寿命を有する摩擦クラッチ装置とすることができることを見出した。即ち、このように中間ディスクを複数枚の素ディスクを重合させ形成することで、1枚のディスクによって構成する場合に比し中間ディスクが破損することを防止又は減少させることができる。
中間ディスクを複数枚の素ディスクを重合させ形成した分割中間ディスクとすることで中間ディスクの破損を防止又は減少させることができる理由は必ずしも明らかではないが、本発明者は次のように推測する。即ち、中間ディスクの上面(例えば、プレッシャープレート側の摩擦面)と中間ディスクの下面(例えば、フライホイール側の摩擦面)との間には、クラッチの断続操作に伴い大きなせん断力が作用する。このせん断力は中間ディスクの内部に繰り返しストレス(応力)を生じさせることで中間ディスクの強度低下をもたらし最終的には破壊を生じさせ得る。この上面と下面との間に作用するせん断力は、複数枚の素ディスクを重合させ形成した分割中間ディスクであれば、重合した素ディスク同士の間で緩和され得ると考えられ(素ディスクは回転軸に対して略垂直な平面に沿った主表面を有し、重合した複数枚の素ディスク同士は、この回転軸に対して略垂直な平面に沿った主表面同士が当接する。従って、上面と下面との間に強いせん断力が作用すると、重合した複数枚の素ディスク同士が、瞬間的に回転軸の周りに僅かに回動(該主表面同士が僅かに摺動)することで、このせん断力に基づくストレスを緩和するものと予想できる。)、該せん断力に対し分割中間ディスクは破壊されにくいものと予想できる。
なお、中間ディスクを複数枚の素ディスクを重合させ形成した分割中間ディスクとすることで中間ディスクの破損を防止又は減少させることができる上記の理由は、本発明者の推測であり、本発明はこの推測によって何ら限定されるものではない。
前記回転軸に沿った一方向と他方向とから摩擦ディスクに挟まれる中間ディスクを分割中間ディスクとするものであってもよい。
回転軸に沿った一方向(例えば、プレッシャープレートの方向)に存する摩擦ディスクと、回転軸に沿った他方向(例えば、フライホイールの方向)に存する摩擦ディスクと、に挟まれる中間ディスクは、中間ディスクの上面(例えば、プレッシャープレート側の摩擦面)と中間ディスクの下面(例えば、フライホイール側の摩擦面)との両面が摩擦ディスクに当接するので、中間ディスクの上面と中間ディスクの下面との間に非常に大きな応力(せん断力)が作用する。このためこれら両方向から摩擦ディスクに挟まれる中間ディスクは、破損しやすいことから、上述したように複数枚の素ディスクを重合させ形成した分割中間ディスクとすることで破損を防止又は減少させるようにしてもよい。
全ての分割中間ディスクを構成する素ディスクの厚みが略等しいもの(以下、「同一素ディスク使用本装置」という。)であってもよい。
こうすることで、1種類の素ディスクを準備しておくことで、素ディスクが重合した全ての分割中間ディスクを構成することができ、本装置の部品種類を減少させると共に、素ディスクの組み付けの順番等を気にすることなく本装置を組み立てることができるので製造、保守及び点検の作業を容易ならしめることができる。
同一素ディスク使用本装置の場合、中間ディスクが分割中間ディスクではない非分割中間ディスクを有し、非分割中間ディスクが素ディスクと同じ厚みであってもよい。
こうすることで、素ディスクが全ての分割中間ディスクを構成することができることに加え、中間ディスクが有する分割中間ディスクではない非分割中間ディスクも素ディスクによって構成することができるので、分割中間ディスクと非分割中間ディスクとを含む中間ディスク全部を素ディスクにより構成することによって、さらに部品種類を減少させると共に、製造、保守及び点検の作業を容易ならしめることができる。
本装置においては、中間ディスクの外面がスプライン軸の外面を形成することで中間ディスクがスプライン軸を構成すると共に、ケーシングの内面に該スプライン軸と嵌合する凹溝を形成し、該スプライン軸と該凹溝とが係合又は嵌合することで、ケーシングに中間ディスクが回動不可能に取り付けられるものであり、前記回転軸に対して垂直な平面による断面視である垂直断面視において、該スプライン軸の谷の底部分とケーシングの内面との間に隙間が形成されるもの(以下、「スプライン谷位置隙間形成本装置」という。)であってもよい。
ここにスプライン軸の谷とは、前記回転軸を中心とするスプライン軸の最大半径d1(山の頂が存する)と最小半径d2(谷の底が存する)との算術平均値より半径が小さい(かつ最小半径d2以上)部分をいう。そして、スプライン軸の山とは、前記回転軸を中心とするスプライン軸の最大半径d1(山の頂が存する)と最小半径d2(谷の底が存する)との算術平均値より半径が大きい(かつ最大半径d1以下)部分をいう。
このように中間ディスクの外面にスプライン軸の外面を形成し、ケーシングの内面に該スプライン軸と嵌合する凹溝を形成し、該スプライン軸と該凹溝とによってケーシングに中間ディスクが回動不可能に取り付けられるようにした場合、該垂直断面視において該スプライン軸の谷の底部分とケーシングの内面(該凹溝)とが衝突や当接することにより、そのケーシングの内面(該凹溝)と衝突や当接する該スプライン軸の谷の部分から中間ディスクが破損することがある。これを防止するため、該垂直断面視において該スプライン軸の谷の底部分とケーシングの内面との間に隙間が形成されるようにしてもよい。
スプライン谷位置隙間形成本装置の場合、前記垂直断面視におけるスプライン軸の谷がなめらかな線により形成されると共に、該谷の底部分が曲線により形成されるもの(以下、「スプライン谷なめらか本装置」という。)であってもよい。
中間ディスクの外面にスプライン軸の外面を形成し、ケーシングの内面に該スプライン軸と嵌合する凹溝を形成し、該スプライン軸と該凹溝とによってケーシングに中間ディスクが回動不可能に取り付けられるようにした場合、該凹溝に嵌合等する該スプライン軸の外面(爪形状)に大きな力が加わるためこの強度が重要である(特に、中間ディスクをCCコンポジットにて形成した場合、CCコンポジットは鋼材に比して粘りが少ないことから該スプライン軸の外面(爪形状)の強度が不足することがある。)。とりわけ該スプライン軸の外面(爪形状)は、該凹溝と嵌合等させるため複雑な形状となりがちであり、このため応力集中等が生じて破壊されやすい。これを防止又は減少させるため、前記垂直断面視におけるスプライン軸の谷がなめらかな線(連続して微分可能)により形成されると共に、谷の底部分が曲線(連続して微分可能な曲線(直線を除く)。例えば、円弧、楕円弧、放物線等)により形成されるようにしてもよい。
スプライン谷なめらか本装置の場合、前記垂直断面視におけるスプライン軸の最大半径d1から最小半径d2を減じた半径差(d1−d2)に対して60%〜110%の半径の円弧に前記曲線が略沿っているものであってもよい。
スプライン軸の谷の底部分が形成する曲線は、該スプライン軸の谷の底近傍に応力集中等が生じにくくするには円弧に沿うものとしてもよい。そして、該円弧の半径は、あまり大きいとスプライン軸の谷部分が大きくなりがちになり、あまり小さいと応力集中等を十分避けることができにくいので、これらを両立しうる範囲とされることが好ましく、前記垂直断面視におけるスプライン軸の最大半径d1から最小半径d2を減じた半径差(d1−d2)に対するスプライン軸の谷の底部分が形成する該円弧の半径(dd)の割合(100×dd/(d1−d2))は、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、最も好ましくは80%以上であり、好ましくは110%以下、より好ましくは105%以下、最も好ましくは100%以下である。
スプライン谷なめらか本装置の場合、前記曲線が、半径が3.85mm〜6.86mmの範囲にある円弧に略沿っているものであってもよい。
スプライン軸の谷の底部分が形成する曲線は、該スプライン軸の谷の底近傍に応力集中等が生じにくくするには円弧に沿うものとしてもよい。そして、該円弧の半径は、あまり大きいとスプライン軸の谷部分が大きくなりがちになり、あまり小さいと応力集中等を十分避けることができにくいので、これらを両立しうる範囲とされることが好ましく、該半径は、通常、好ましくは3.85mm以上、より好ましくは5.0mm以上、最も好ましくは5.4mm以上であり、好ましくは6.86mm以下、より好ましくは6.6mm以下、最も好ましくは6.4mm以下である。
スプライン谷位置隙間形成本装置の場合、前記垂直断面視におけるスプライン軸の山の頂部分とケーシングの内面との間に隙間が形成されるもの(以下、「スプライン山谷隙間形成本装置」という。)であってもよい。
スプライン谷位置隙間形成本装置において、中間ディスクの外面にスプライン軸の外面を形成し、ケーシングの内面に該スプライン軸と嵌合する凹溝を形成し、該スプライン軸と該凹溝とによってケーシングに中間ディスクが回動不可能に取り付けられると、該垂直断面視において該スプライン軸の山の頂部分とケーシングの内面とが衝突や当接することにより、そのケーシングの内面と衝突や当接する該スプライン軸の山の部分から中間ディスクが破損することがある。これを防止するため、該垂直断面視において該スプライン軸の山の頂部分とケーシングの内面との間に隙間が形成されるようにしてもよい。
スプライン山谷隙間形成本装置の場合、前記山が、前記回転軸を中心とした弧又は前記垂直断面視において前記回転軸に対して垂直な直線と該弧が交わる交点における該弧の接線に沿って形成された山頂近傍部分と、山頂近傍部分から両側に存する谷に向けてなめらかに連なる一対の両側部分と、を含むものであってもよい。
このように山頂近傍部分が、前記回転軸を中心とした弧又は線分(前記垂直断面視において前記回転軸に対して垂直な直線と該弧が交わる交点における該弧の接線)に沿って形成されるようにすれば、山頂近傍部分を比較的容易に形成することができる。例えば、弧に沿って山頂近傍部分を形成する場合であれば、前記回転軸を中心として中間ディスク形成部材を回転させつつ機械加工(例えば、切削加工)も容易に行うことができるし、線分に沿って山頂近傍部分を形成する場合であれば、中間ディスク形成部材を直線的に機械加工すれば足りる。そしてこのように山頂近傍部分を容易に形成すると共に、山頂近傍部分から両側に存する谷に向けてなめらか(連続して微分可能)に連なる一対の両側部分を形成することによって、スプライン軸の山において応力集中等を防止又は減少させ、中間ディスクの破損を防止又は減少させることができる。
スプライン山谷隙間形成本装置の場合、前記垂直断面視におけるスプライン軸の山がなめらかな線により形成されると共に、該山の頂部分が曲線により形成されるもの(以下、「スプライン山なめらか本装置」という。)であってもよい。
中間ディスクの外面にスプライン軸の外面を形成し、ケーシングの内面に該スプライン軸と嵌合する凹溝を形成し、該スプライン軸と該凹溝とによってケーシングに中間ディスクが回動不可能に取り付けられるようにした場合、該凹溝に嵌合等する該スプライン軸の外面(爪形状)に大きな力が加わるためこの強度が重要である(特に、中間ディスクをCCコンポジットにて形成した場合、CCコンポジットは鋼材に比して粘りが少ないことから該スプライン軸の外面(爪形状)の強度が不足することがある。)。とりわけ該スプライン軸の外面(爪形状)は、該凹溝と嵌合等させるため複雑な形状となりがちであり、このため応力集中等が生じて破壊されやすい。これを防止又は減少させるため、前記垂直断面視におけるスプライン軸の山がなめらかな線(連続して微分可能)により形成されると共に、山の頂部分が曲線(連続して微分可能な曲線(直線を除く)。例えば、円弧、楕円弧、放物線等)により形成されるようにしてもよい。
スプライン山なめらか本装置の場合、前記垂直断面視におけるスプライン軸の最大半径d1から最小半径d2を減じた半径差(d1−d2)に対して30%〜60%の半径の円弧に、前記頂部分の曲線が略沿ったものであってもよい。
スプライン軸の山の頂部分が形成する曲線は、該スプライン軸の山の頂近傍に応力集中等が生じにくくするには円弧に沿うものとしてもよい。そして、該円弧の半径は、あまり大きいとスプライン軸の山部分が大きくなりがちになり、あまり小さいと応力集中等を十分避けることができにくいので、これらを両立しうる範囲とされることが好ましく、前記垂直断面視におけるスプライン軸の最大半径d1から最小半径d2を減じた半径差(d1−d2)に対するスプライン軸の山の頂部分が形成する該円弧の半径(dt)の割合(100×dt/(d1−d2))は、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上、最も好ましくは40%以上であり、好ましくは60%以下、より好ましくは55%以下、最も好ましくは50%以下である。
スプライン谷位置隙間形成本装置の場合、前記垂直断面視におけるスプライン軸が凹溝と当接する面が、山の頂部分から該山の両側に存する谷に向けて幅広がりの一対の線分をなし、該一対の線分の一方が属する直線と他方が属する直線とが交点にて35〜80度の角度で交わり、前記回転軸に垂直な直線が該角度を二等分するよう該交点にて両直線に交わるものであってもよい。
前記垂直断面視におけるスプライン軸が凹溝と当接する面は、該凹溝と嵌合又は係合することによりケーシングに中間ディスクが回動不可能に取り付けられることから、前記回転軸を中心とする大きな力を受ける。前記回転軸を中心とする該面に作用するこの力は、該面に対して垂直に該面を押す分力(以下、「押圧成分」という。)と、該面に沿って山の頂方向に向かって該面を摺る分力(以下、「摺動成分」という。)と、に分解できる。そして、押圧成分の大きさと摺動成分の大きさは、前記回転軸を中心とする該面に作用する力(合力)の大きさに依存すると共に、押圧成分と摺動成分とがなす角(第1の角度という)に依存する。
一方、前記垂直断面視におけるスプライン軸が凹溝と当接する面は、通常、前記垂直断面視において山の頂部分から該山の両側に存する谷に向けて幅広がりの一対の線分をなし、該一対の線分の一方が属する直線と他方が属する直線とが交点にて所定の角度(第2の角度という。0度以上180度未満)で交わり、前記回転軸に垂直な直線が該角度を二等分するよう該交点にて両直線(該一対の線分の一方が属する直線と、他方が属する直線と、の両直線)に交わる。このとき第1の角度は第2の角度と所定の関係を有しており、第2の角度が小さいと押圧成分が大きくなると共に摺動成分が小さくなり、逆に、第2の角度が大きいと押圧成分が小さくなると共に摺動成分が大きくなる。このためケーシングに回動不可能に取り付けた中間ディスクのうち、スプライン軸が凹溝と当接する面が破損(例えば、破壊や圧壊等)しないようにするためには、第2の角度を所定範囲内の角度とすることが好ましい。該所定範囲(第2の角度の範囲)としては、好ましくは35度以上、より好ましくは45度以上、最も好ましくは50度以上であり、好ましくは80度以下、より好ましくは75度以下、最も好ましくは70度以下である。
スプライン谷位置隙間形成本装置の場合、前記垂直断面視において、前記凹溝の山の頂部分と中間ディスクの外縁部分との間に隙間が形成されるものであり、凹溝の山が、前記回転軸を中心とした弧又は前記垂直断面視において前記回転軸に対して垂直な直線と該弧が交わる交点における該弧の接線に沿って形成された山頂近傍部分と、山頂近傍部分から前記凹溝の山の両側に存する谷に向けてなめらかに連なる一対の両側部分と、を含むものであってもよい。
ここに凹溝の山とは、前記回転軸を中心とする凹溝の最大半径D1(凹溝の谷の底が存する)と最小半径D2(凹溝の山の頂が存する)との算術平均値より半径が小さい(かつ最小半径D2以上)部分をいう。そして、凹溝の谷とは、前記回転軸を中心とする凹溝の最大半径D1(凹溝の谷の底が存する)と最小半径D2(凹溝の山の頂が存する)との算術平均値より半径が大きい(かつ最大半径D1以下)部分をいう。
中間ディスクの外面にスプライン軸の外面を形成し、ケーシングの内面に該スプライン軸と嵌合する凹溝を形成し、該スプライン軸と該凹溝とによってケーシングに中間ディスクが回動不可能に取り付けられるようにした場合、該垂直断面視において前記凹溝の山の頂部分と中間ディスクの外縁部分とが衝突や当接することにより、その中間ディスクの外縁部分と衝突や当接するケーシングの内面(凹溝の山)からケーシングが破損等することがある。これを防止するため、該垂直断面視において前記凹溝の山の頂部分と中間ディスクの外縁部分との間に隙間が形成されるようにしてもよい。
そして、凹溝の山の山頂近傍部分が、前記回転軸を中心とした弧又は線分(前記垂直断面視において前記回転軸に対して垂直な直線と該弧が交わる交点における該弧の接線)に沿って形成されるようにすれば、山頂近傍部分を比較的容易に形成することができる。例えば、弧に沿って山頂近傍部分を形成する場合であれば、前記回転軸を中心としてケーシング形成部材を回転させつつ機械加工(例えば、切削加工)を容易に行うことができるし、線分に沿って山頂近傍部分を形成する場合であれば、ケーシング形成部材を直線的に機械加工すれば足りる。そしてこのように前記凹溝の山頂近傍部分を容易に形成すると共に、前記凹溝の山頂近傍部分から前記凹溝の山の両側に存する前記凹溝の谷に向けてなめらか(連続して微分可能)に連なる一対の両側部分を形成することによって、ケーシングの凹溝の山においても応力集中等を防止又は減少させ、ケーシングの破損等を防止又は減少させることができる。
スプライン谷位置隙間形成本装置の場合、前記垂直断面視におけるスプライン軸の最大半径d1から最小半径d2を減じた半径差(d1−d2)の最小半径d2に対する割合が3%〜6%であってもよい。
中間ディスクの外面にスプライン軸の外面を形成し、ケーシングの内面に該スプライン軸と嵌合する凹溝を形成し、該スプライン軸と該凹溝とによってケーシングに中間ディスクが回動不可能に取り付けられるようにした場合、前記垂直断面視におけるスプライン軸の最大半径d1から最小半径d2を減じた半径差(d1−d2)の最小半径d2に対する割合(即ち、100×(d1−d2)/d2)は、あまり大きいと摩擦面の最大直径が稼げないため同じクラッチ外形であると伝達性能が小さくなり(慣性重量を軽減してパワーロスを抑えるためにはクラッチの外形はできるだけ小さいすることが好ましく、クラッチの伝達性能は、摩擦部の平均直径(ただし平均直径=(外径+内径)/2)の2乗に比例する。)、逆に、あまり小さいとスプライン軸の歯部斜面の距離が小さくなり歯部の面圧が過大になり面圧破壊を生じやすくなるので、これらを両立する範囲とされることが好ましく、該割合は、通常、好ましくは3%以上、より好ましくは4%以上、最も好ましくは5%以上であり、好ましくは6%以下、より好ましくは5.8%以下、最も好ましくは5.7%以下である。
本装置においては、摩擦ディスクを複数備えると共に、摩擦ディスクの中心部分に回動不可能に装着され伝達動力を出力するセンターハブを備えるものであり、センターハブの外周にスプライン軸を形成すると共に、摩擦ディスクの内周に該スプライン軸と嵌合する凹溝を形成することで、摩擦ディスクにセンターハブが回動不可能に装着され、センターハブに対する摩擦ディスクの前記回転軸方向への相対的移動を摩擦ディスクに当接することで制限するリング部材が、隣接する摩擦ディスクの間のセンターハブの外周に前記回転軸方向の異なる位置に複数配設されるものであってもよい。
伝達動力を出力するセンターハブの外周にスプライン軸を形成すると共に、複数の摩擦ディスクの内周に該スプライン軸と嵌合する凹溝を形成することで、複数の摩擦ディスクにセンターハブが回動不可能に装着される摩擦クラッチ装置は公知であるが(例えば、特許文献1(特開2007−225083号公報)参照)、このようなセンターハブのスプライン軸と摩擦ディスクの内周の凹溝とが嵌合することで摩擦ディスクにセンターハブが回動不可能に装着される場合、センターハブに対する摩擦ディスクの前記回転軸方向への相対的移動は許容されているため、センターハブに対する摩擦ディスクの前記回転軸方向への相対的位置を保持する手段を要する。
これまでの従来の摩擦クラッチ装置においては、隣接する摩擦ディスク同士の前記回転軸方向の間には、通常1枚の中間ディスクのみが介在するものであったことから、隣接する摩擦ディスク同士はあまり離れていなかった。このため、センターハブに対する摩擦ディスクの前記回転軸方向への相対的位置を摩擦ディスクに当接することで制限する制限手段を、隣接する摩擦ディスクの間のセンターハブの外周に1個所(即ち、該1個所の制限手段が、該隣接する摩擦ディスクの両方に当接する。)設けることで該相対的位置は問題(例えば、センターハブのスプライン軸と摩擦ディスクの内周の凹溝とが外れる等)ない範囲に保持されていた。
これに対し、本装置においては、中間ディスクのうち分割中間ディスクは、素ディスクを重合させ形成することから前記回転軸方向への寸法(厚み)が増加することがあり、分割中間ディスクを挟むように配設された隣接する摩擦ディスクの間のセンターハブの外周に1個所のみ制限手段を設けることでは該相対的位置は問題ない範囲に保持することができない場合が生じ得る。
そこで、本装置においては、センターハブに対する摩擦ディスクの前記回転軸方向への相対的移動を摩擦ディスクに当接することで制限するリング部材(制限手段)が、隣接する摩擦ディスクの間のセンターハブの外周に前記回転軸方向の異なる位置に複数(通常は2であり、そのうちの1が該隣接する摩擦ディスクの一方に当接し、他の1が他方に当接する。)配設されるようにして、該相対的位置が問題ない範囲に保持されるようにしてもよい。
なお、本装置においては、摩擦ディスク及び中間ディスクの一部又は全部をCCコンポジットによって形成してもよい。
CCコンポジット(Carbon fiber Carbon composite)は、熱硬化性のフラン樹脂かフェノール樹脂、熱可塑性樹脂においてピッチを含浸させた炭素繊維中間基材を、不活性雰囲気中で高温に熱して炭化・黒鉛化させたものや、特許第1822657号に記載されているものを例示することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。しかしながら、これらによって本発明は何ら制限されるものではない。
図1は、一例の本発明の摩擦クラッチ装置(本装置)11を示す図(図1中、線Fの左部分は正面図であり、線Fの右部分は端面図を示している。)であり、図2は本装置1の端面図である。なお、図1の線Fの右部分に示された端面図と、図2と、はいずれも回転軸15rを含む平面による切断面を示している(即ち、線Fは回転軸15rと同一直線上に存する。)。図3は、図1及び図2中のG−G断面位置(回転軸15rに対して垂直な平面による断面視である。)におけるケーシング17と中間ディスク12(12a1)との状態を示す一部拡大断面図(図3(b)は図3(a)の長方形Jにて囲まれた領域を拡大したものである。)である。図4は、中間ディスク12を構成する汎用ディスク501の平面図であり、具体的には、図4(a)は汎用ディスク501を回転軸15rの延長線上から見たところを示し、図4(b)は図4(a)の長方形Jにて囲まれた領域を拡大したものである。図5は、G−Gにおけるケーシング17の端面図であり、具体的には、図5(a)はG−G断面におけるケーシング17を回転軸15rの延長線上から見たところを示し、図5(b)は図5(a)の長方形Jにて囲まれた領域を拡大したものである。そして、図6は、センターハブ15に装着されたリング部材601を示すための図1及び図2におけるK−K端面図(センターハブ15とそれに装着されたリング部材601以外のものは省略した。)である。また、これらの図面中には、図示及び理解を容易にするためにレリーズベアリングやそれを動作させるためのレリーズアーム等については図示を省略している。
図1乃至図6を参照して、本装置1について説明する。
本装置1は、図11乃至図14に示した従来の摩擦クラッチ装置201と同様、レース用の四輪自動車に搭載される摩擦クラッチ装置であり、本装置1に関する以下の説明において従来の摩擦クラッチ装置201と同様の要素については同じ参照番号を付して説明する。
本装置1は、該自動車のエンジンの出力軸(クランクシャフト)に取りつけられ回転軸15rの周りに回転するフライホイール103と、フライホイール103に回動不可能(回転軸15rの周りに回動不可能)に取り付けられ、フライホイール103と共に回転軸15rの周りに回転するケーシング17と、ケーシング17に回動不可能(回転軸15rの周りに回動不可能)に外縁部分が取り付けられ、ケーシング17と共に回転軸15rの周りに回転する中間ディスク12と、中間ディスク12に圧接され中間ディスク12と共に回転軸15rの周りに回転する摩擦ディスク11と、クラッチスプリング117と、クラッチスプリング117によって付勢されることで摩擦ディスク11を中間ディスク12に圧接するプレッシャープレート215と、を備えてなる。
そして、中間ディスク12は、第1中間ディスク12a、第2中間ディスク12b及び第3中間ディスク12cによって構成されており、さらに第1中間ディスク12aは、第1中間第1素ディスク12a1と第1中間第2素ディスク12a2とが重合して形成されており、同様に、第2中間ディスク12bは、第2中間第1素ディスク12b1と第2中間第2素ディスク12b2とが重合して形成されている。ここに第1中間第1素ディスク12a1と第1中間第2素ディスク12a2と第2中間第1素ディスク12b1と第2中間第2素ディスク12b2と第3中間ディスク12cの5枚のディスクはいずれも同じ汎用ディスク501(該5枚のディスクのいずれも径も厚みも同じであり、同じ材質で形成されている。)を用いており、換言すれば5枚の汎用ディスク501を用いて中間ディスク12は形成されている(汎用ディスク501は特に図4を参照されたい。)。
また、摩擦ディスク11は、第1摩擦ディスク11a、第2摩擦ディスク11b及び第3摩擦ディスク11cの3枚によって構成されているが、これら3枚のディスク11a、11b、11cはいずれも同じものを用いている。
これら汎用ディスク501(第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2、第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2及び第3中間ディスク12c)と、第1摩擦ディスク11a、第2摩擦ディスク11b及び第3摩擦ディスク11cと、のいずれもCCコンポジットによって一体に形成されている(なお、これらのディスクをCCコンポジットにより形成する方法は、既知の方法に従って適宜行うことができるが、例えば、特許文献3(特開2002−181072号公報)の段落番号0025(特許文献3における摩擦ディスク11の形成方法)に記載の方法によってもよい。)。
センターハブ15は、図11乃至図14に示した従来の摩擦クラッチ装置201と同様、トランスミッションのメインシャフト(図示せず)が内挿固定される中空円筒形状をした筒状部分15a(該筒の軸は回転軸15rに一致する)と、筒状部分15aの軸(回転軸15rと一致)に対して略垂直な面に沿って筒状部分15aの外周面からのびるように形成された円盤部分15bと、を有している。筒状部分15aと円盤部分15bとは、クロムモリブデン鋼(具体的には、JISG4105におけるSCM420)によって一体的に形成されている。なお、筒状部分15aの内周面には、トランスミッションのメインシャフト(図示せず)の外周面に形成されたスプライン軸の凸条に嵌合する凹溝が形成されている。そして、円盤部分15bは、筒状部分15aの軸(回転軸15rと一致)から所定半径の円盤形状を有しており、該円盤の外周面はスプライン軸にされている。該スプライン軸は、回転軸15r方向に沿って形成された凸条115s(図1、図2及び図6参照)を有している。そして、円盤部分15bの外周面に形成されたスプライン軸を構成する凸条115sは、摩擦ディスク11(第1摩擦ディスク11a、第2摩擦ディスク11b、第3摩擦ディスク11c)の内周面に形成された凹溝11m(摩擦クラッチ装置201の凹溝101mと同様のもの)と嵌合するように形成されている。
このようにしてセンターハブ15に対して摩擦ディスク11(第1摩擦ディスク11a、第2摩擦ディスク11b、第3摩擦ディスク11c)が回転軸15rの周りに回動(回転)不可能に取り付けられている。
そして、円盤部分15bの外周面に形成されたスプライン軸を構成する凸条115sと、摩擦ディスク11(第1摩擦ディスク11a、第2摩擦ディスク11b、第3摩擦ディスク11c)の内周面に形成された凹溝11mと、が嵌合することのみでは、凸条115sに対する凹溝11mの回転軸15r方向への相対的な移動は自由であるので、摩擦ディスク11(第1摩擦ディスク11a、第2摩擦ディスク11b、第3摩擦ディスク11c)から円盤部分15bが不意に抜け落ちる等のことを防止するため、摩擦ディスク11(第2摩擦ディスク11b、第3摩擦ディスク11c)に当接することで該相対的な移動を制限するリング部材601、603が、センターハブ15の外周に回転軸15r方向の異なる位置に2本配設されている(リング部材601は第2摩擦ディスク11bに当接し、リング部材603は第3摩擦ディスク11cに当接する。)。
ケーシング17は、無底有蓋(開放された下面にはフライホイール103が取り付けられており、上面は開口17hを有する。)の円筒形の容器を構成しており、上面には該円筒形の中心軸(回転軸15rと略一致する)を中心とした円形の開口17hが設けられている。また、ケーシング17の側面には、ケーシング17の内部と外部とを連通させる多数(具体的にはここでは200個)の連通孔17kが穿設されているが(特に、図1の線F左部分の正面図を参照されたい)、この多数の連通孔17kは、本装置1のケーシング17内部にて発生したダスト(例えば、プレッシャープレート215、摩擦ディスク11及び中間ディスク12相互間の摩擦等により生じる粉体等)をケーシング17外部に排出するために設けられている。
そして、第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2、第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2及び第3中間ディスク12cを構成する汎用ディスク501は、外周面に回転軸15r方向に沿って複数(ここでは40個)のスプライン軸の凸条501sが形成される(特に図4参照)と共に、フライホイール103に固定されたケーシング17の内周面には該凸条501sに嵌合する凹溝17mが形成されている。この凸条501sと凹溝17mとの嵌合により、第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2、第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2及び第3中間ディスク12cのいずれもケーシング17の回転軸15rの周りの回転に伴って一緒に回転するように固定されている(第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2、第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2及び第3中間ディスク12cのいずれもケーシング17に対して回転軸15rの周りに回動(回転)不可能に取り付けられている。なお、プレッシャープレート215も、これら第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2、第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2及び第3中間ディスク12cと同様に、ケーシング17に対して回転軸15rの周りに回動(回転)不可能に取り付けられている。)。
ケーシング17の円形の開口17hの周囲に沿って短冊状(詳細には、回転軸15rの方向に頂点を向けた二等辺三角形、又は回転軸15rの方向が先細りになった等脚台形(等角台形)を略構成する両表面を有する。)の板ばねを構成するクラッチスプリング117が複数配設されている。クラッチスプリング117それぞれは、ねじ部材118によってねじ部材118の中心軸を含む平面内において所定範囲内において回動可能(回動方向を図1及び図2中、矢印Eにて示した。)に取りつけられている。クラッチスプリング117の一端117a近傍は当接部216に当接しており、それによってプレッシャープレート215をフライホイール103の方向へ付勢している。なお、ねじ部材118のフライホイール103側の端部118aがプレッシャープレート215に衝突(当接)しないようにプレッシャープレート215に凹部215c(逃げ。なお、端部118aとプレッシャープレート215との間の回転軸15r方向への距離がクラッチをつないだ時に2〜4mm程度(ここではクラッチをつないだ時に約2.5mm、クラッチをきった時に約0.5mm)となるよう凹部215cは形成されている。)を設けており、凹部215cを設けたことでプレッシャープレート215の内径を小さくすることができるので、プレッシャープレート215が摩擦ディスク11や中間ディスク12を押圧する面積を増加させ、プレッシャープレート215、摩擦ディスク11及び中間ディスク12の摩耗を抑制することができる。また、プレッシャープレート215や中間ディスク12が外周に有する凸条(ケーシング17の内周面に形成された凹溝17mと嵌合する。)に大きな応力が加わった際、凸条から内周に至るクラックの発生を防止又は減少させることができる(外径と内径との差、即ち幅が、内径が小さくなることで増加するので、その幅方向に生じるクラックが減少する。)。
そして、この付勢力によりプレッシャープレート215とフライホイール103との間に、第1摩擦ディスク11aと第1中間ディスク12a(第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2)と第2摩擦ディスク11bと第2中間ディスク12b(第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2)と第3摩擦ディスク11cと第3中間ディスク12cが挟持されることで、フライホイール103からセンターハブ15へ動力が伝達される。即ち、この状態がクラッチがつながった状態(クラッチ入)であり、詳述すれば、回転するケーシング17の内周面に形成された凹溝17mと嵌合したスプライン軸の凸条501sを通じ、第1中間ディスク12a(第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2)と第2中間ディスク12b(第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2)と第3中間ディスク12cとが回転軸15rの周りに回転され、該回転される第1中間ディスク12a(第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2)、第2中間ディスク12b(第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2)及び第3中間ディスク12cに当接する摩擦ディスク11(第1摩擦ディスク11a、第2摩擦ディスク11b、第3摩擦ディスク11c)がこれら第1中間ディスク12a(第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2)、第2中間ディスク12b(第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2)及び第3中間ディスク12cとの摩擦によって回転軸15rの周りに回転されることで、フライホイール103からセンターハブ15へ動力が伝達される。
一方、クラッチスプリング117の他端117b近傍は、図示しないレリーズベアリングに当接しており、同じく図示しないレリーズアームによって該レリーズベアリングがフライホイール103の方向へ移動されることでクラッチスプリング117の他端117bも該方向へ押され、それによってクラッチスプリング117の一端117a近傍がプレッシャープレート215の当接部216から離れ(前述のように、クラッチスプリング117は図1及び図2中、矢印E方向に回動可能である。)、プレッシャープレート215が摩擦ディスク11(第1摩擦ディスク11a)をフライホイール103の方向へ付勢する付勢力がなくなる。これによって、プレッシャープレート215とフライホイール103との間に、第1摩擦ディスク11aと第1中間ディスク12a(第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2)と第2摩擦ディスク11bと第2中間ディスク12b(第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2)と第3摩擦ディスク11cと第3中間ディスク12cが挟持されなくなり、フライホイール103からセンターハブ15へと動力が伝達されなくなる。即ち、この状態がクラッチが切れた状態(クラッチ断)である。
図4に示すように、第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2、第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2及び第3中間ディスク12cを構成する汎用ディスク501は、前述のように外周面に回転軸15r方向に沿ってスプライン軸の凸条501sが形成されており、かかる凸条501sの頂部分503は回転軸15rから半径d1の円弧上に略存するよう該円弧に沿って形成されると共に、該スプライン軸の谷505の底部分507は回転軸15rから半径d2の円弧上に略存する(無論、d1>d2)。
図7は図4(b)の一部拡大図であり、図7及び図4(b)を参照して該スプライン軸の形状について詳しく説明する。回転軸15rを中心とする半径d1の円弧R1に沿って頂部分503が形成されると共に、回転軸15rを中心とする半径d2の円弧R2上に存するよう底部分507が形成されている(d1>d2)。ここに回転軸15rを中心とする半径da(但し、daはd1とd2との算術平均値である。即ち、da=(d1+d2)/2である。)の円弧R3よりも外側部分901(円弧R3の外側かつ円弧R1の内側に存する部分)が該スプライン軸の「山」であり、円弧R3よりも内側部分903(円弧R3の内側かつ円弧R2の外側に存する部分)が該スプライン軸の「谷」である。
谷505は、円弧(半径dd)に沿った底部分507近傍の円弧部分509aと、谷505の両側に存する山506から線分に沿って底部分507方向に向かう一対の線分部分509bと、円弧部分509aと線分部分509bとがなめらか(角をとって丸められた部分。連続して微分可能。)に連なるように形成された一対の遷移部分509cと、を有してなる。一対の線分部分509bがなす角度M1は約69度とされている。
山506は、回転軸15rから半径d1の円弧R1上に略存するよう該円弧R1に沿って形成された頂部分503と、頂部分503の両側に存する谷505から線分に沿って頂部分503に向かう一対の線分部分510と、頂部分503と線分部分510とがなめらか(角をとって丸められた部分。連続して微分可能。)に連なるように形成された一対の遷移部分512と、を有してなる。一対の線分部分510がなす角度M2は約60度とされている。
また、(円弧R3上にて)互いに連結された線分部分509bと線分部分510とは、一直線上に略存している。
図8は図5(b)の一部拡大図であり、図8及び図5(b)を参照してケーシング17の内周面に形成された凹溝17mの形状について詳しく説明する。
回転軸15rを中心とする半径D2の円弧R4に沿って頂部分17pが形成されると共に、回転軸15rを中心とする半径D1の円弧R5上に存するよう底部分17qが形成されている(無論、D1>D2)。ここに回転軸15rを中心とする半径Da(但し、DaはD1とD2との算術平均値である。即ち、Da=(D1+D2)/2である。)の円弧R6よりも外側部分951(円弧R6の外側かつ円弧R5の内側に存する部分)が凹溝17mの「谷」であり、円弧R6よりも内側部分953(円弧R6の内側かつ円弧R4の外側に存する部分)が凹溝17mの「山」である。ここに、D1>D2であり、かつD1>d1>D2>d2である。
谷801は、円弧(半径Dd)に沿った底部分17q近傍の円弧部分801aと、谷801の両側に存する山821から線分に沿って底部分17q方向に向かう一対の線分部分801bと、円弧部分801aと線分部分801bとがなめらか(角をとって丸められた部分。連続して微分可能。)に連なるように形成された一対の遷移部分801cと、を有してなる。一対の線分部分801bがなす角度M4は約60度(角度M2と略等しい)とされている。
山821は、回転軸15rから半径D2の円弧R4上に略存するよう該円弧R4に沿って形成された頂部分17pと、頂部分17pの両側に存する谷801から線分に沿って頂部分17pに向かう一対の線分部分821bと、頂部分17pと線分部分821bとがなめらか(角をとって丸められた部分。連続して微分可能。)に連なるように形成された一対の遷移部分821cと、を有してなる。一対の線分部分821bがなす角度M5は約69度(角度M1と略等しい)とされている。
また、(円弧R6上にて)互いに連結された線分部分801bと線分部分821bとは、一直線上に略存している。
そして、図3(b)に示すように、スプライン軸の谷505の底部分507とケーシング17の内面との間に隙間701が形成されていると共に、スプライン軸の山の頂部分503とケーシング17の内面との間に隙間703が形成されている。
以上のような本発明の摩擦クラッチ装置(本装置)11を実際の四輪自動車に搭載して耐久実験(実施例)を行った。該四輪自動車は、具体的には、車両重量:約1250kg、エンジン出力:約800馬力の競技用自動車を用いた。また、本装置1においては2枚のディスクに分割されている中間ディスクである第1中間ディスク12a(第1中間第1素ディスク12a1と第1中間第2素ディスク12a2との2枚に分割されている。)と第2中間ディスク12b(第2中間第1素ディスク12b1と第2中間第2素ディスク12b2との2枚に分割されている。)とがいずれも一枚のもので形成された図11乃至図14の従来の摩擦クラッチ装置201を該四輪自動車に搭載して耐久実験(比較例)を同様に行った。なお、用いた従来の摩擦クラッチ装置201においては、第1中間ディスク102aは、第1中間第1素ディスク12a1(ここでは厚み5.5mm)と第1中間第2素ディスク12a2(ここでは厚み5.5mm)との2枚が重合して形成された第1中間ディスク12a(厚み約11mm)と寸法(厚み約11mm、径)や材質(CCコンポジット)が同じものとし、第2中間ディスク102bは、第2中間第1素ディスク12b1(ここでは厚み5.5mm)と第2中間第2素ディスク12b2(ここでは厚み5.5mm)との2枚が重合して形成された第2中間ディスク12b(厚み約11mm)と寸法(厚み約11mm、径)や材質(CCコンポジット)が同じものとし、そして第3中間ディスク102c(ここでは厚み5.5mm)は第3中間ディスク12c(ここでは厚み5.5mm)と寸法(厚み、径)や材質(CCコンポジット)が同じものとした。
実施例及び比較例とも、静止状態の該四輪自動車においてエンジンの回転数を約毎分7000回転に上昇させ、クラッチを急激につなぐ操作(クラッチペダルを急激にはなす操作であり、所謂、ドラッグレース等で頻繁に行われる。)を繰り返した。
比較例では、7回の操作を行ったところクラッチがつながらなくなったためクラッチを分解観察し、第1中間ディスク102a、第2中間ディスク102b及び第3中間ディスク102cのいずれもスプライン軸の凸条102sが根本から破断していることを確認した。
実施例では、20回の操作を行ってもクラッチ操作に関する異常は認められなかったので耐久実験を終了し、クラッチを分解観察した。耐久実験を終えた本装置1に装着されていた第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2、第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2及び第3中間ディスク12cのいずれにもクラックや破断の発生は認められず、本装置1の高い耐久性が明らかになった。
上記の耐久実験を終えた本装置1に装着されていた第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2、第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2、第3中間ディスク12c、プレッシャープレート215、フライホイール103、第1摩擦ディスク11a、第2摩擦ディスク11b、第3摩擦ディスク11cの摩耗状態を観察した。図9はこれらの摩耗状態を示す一部断面図であり、具体的には、図9(a)は、耐久実験前の本装置1の断面図(図1の右半分と同じ断面であり、これらのものの厚み(単位:mm)を図中に書き入れたものである。)であり、図9(b)は、耐久実験後の本装置1から取り出したこれらのものの断面図(厚みの単位はmm)である(なお、図示や理解を容易にするため、図中において厚みを示す数字と図示した厚みとは整合していない。)。
図9に示した結果から、同じ中間ディスク12を構成する第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2、第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2、第3中間ディスク12cの5枚についても、プレッシャープレート215に近いものの方が摩耗されやすいことが理解される。同様に、同じ摩擦ディスク11を構成する第1摩擦ディスク11a、第2摩擦ディスク11b、第3摩擦ディスク11cの3枚についても、プレッシャープレート215に近いものの方が摩耗されやすいことが理解される。このことはクラッチ操作によりクラッチをつなぐ際、クラッチスプリング117がプレッシャープレート215をフライホイール103側に押圧すると、その押圧力は、プレッシャープレート215から第1摩擦ディスク11a、第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2、第2摩擦ディスク11b、第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2、第3摩擦ディスク11c、第3中間ディスク12cの順に伝達される。このためこの順番に従って摩耗が進行するものと考えられ、その結果が、プレッシャープレート215に近いものの方が摩耗されやすいという現象となって現れるものと推測できる。このことは同一のディスクにおいても、プレッシャープレート215に近い摩擦面と、それとは反対のフライホイール103に近い摩擦面と、の間で摩擦の強さや摩擦発生時期に差があり、この差によって該同一のディスク内にストレス(応力)を生じさせ、該同一のディスクの破壊等を生じさせ得ると予測できる。この予測は、本装置1において中間ディスクを複数枚の素ディスクを重合させ形成した分割中間ディスクとすることで中間ディスクの破損を防止又は減少させることができることを支持する。即ち、同一のディスクにおいて、プレッシャープレート215に近い摩擦面と、それとは反対のフライホイール103に近い摩擦面と、の間で摩擦の強さや摩擦発生時期に差が存する場合、中間ディスクの上面(例えば、プレッシャープレート側の摩擦面)と中間ディスクの下面(例えば、フライホイール側の摩擦面)との間に生じるストレスは、回転軸に対して略垂直な平面に沿った主表面を有する重合した複数枚の素ディスク同士が瞬間的に回転軸の周りに僅かに回動(該主表面同士が僅かに摺動)することで緩和され得ると予想でき、このため分割中間ディスクは破壊されにくく高い強度を有し得るものと考えられる。
また、図9に示した結果から、プレッシャープレート215、第1摩擦ディスク11a、第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2、第2摩擦ディスク11b、第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2、第3摩擦ディスク11c、第3中間ディスク12c及びフライホイール103のいずれも、回転軸15rに対して略垂直な平面に沿って摩耗している(図9(b)に示す摩耗後の面が、回転軸15rに対して略垂直な平面に沿っている。)。
このことは図10に示す一部のディスクが金属(鋼材)製の摩擦クラッチ装置におけるディスクの摩耗状態とは顕著に異なる。図10の摩擦クラッチ装置は、プレッシャープレート1215、第1中間ディスク1002a、第2中間ディスク1002b及びフライホイール103が金属(鋼材)製であり、第1摩擦ディスク11a、第2摩擦ディスク11b及び第3摩擦ディスク11cは本装置1と同様にCCコンポジットによって形成されている。図10は、使用に伴うこれらの摩耗状態を示す一部断面図であり、具体的には、図10(a)は、使用前の断面図であり、図10(b)は、使用後の摩擦クラッチ装置から取り出したこれらのものの断面図である。上述した図9(b)に示したようにプレッシャープレート215、第1摩擦ディスク11a、第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2、第2摩擦ディスク11b、第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2、第3摩擦ディスク11c、第3中間ディスク12c及びフライホイール103のいずれも、回転軸15rに対して略垂直な平面に沿って摩耗しているのに対し、図10(b)に示すようにプレッシャープレート1215、第1摩擦ディスク11a、第1中間ディスク1002a、第2摩擦ディスク11b、第2中間ディスク1002b、第3摩擦ディスク11c及びフライホイール103のいずれもが回転軸15rに対して略垂直な平面に沿って摩耗していない(図10(b)に示す摩耗後の面が、回転軸15rに対して略垂直な平面に対して傾いている。)。このような回転軸15rに対して略垂直な平面に対して傾いた摩擦面(摩耗面)を有するこれら第1摩擦ディスク11a、第1中間ディスク1002a、第2摩擦ディスク11b、第2中間ディスク1002b及び第3摩擦ディスク11cは、この順番に従って再び組み付けないと、隣接する摩擦面同士がうまく面接触できないため種々の問題(伝達力低下等)を生じる(このことは図10に示す一部のディスクが金属(鋼材)製の摩擦クラッチ装置の保守整備等を困難にする。)。
これに対し本装置1において、プレッシャープレート215、第1摩擦ディスク11a、第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2、第2摩擦ディスク11b、第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2、第3摩擦ディスク11c、第3中間ディスク12c及びフライホイール103のいずれも、回転軸15rに対して略垂直な平面に沿って摩耗することは、第1摩擦ディスク11a、第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2、第2摩擦ディスク11b、第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2、第3摩擦ディスク11c、第3中間ディスク12cの順番を気にすることなく再び組み付けることができ(隣接する摩擦面同士がうまく面接触できる。)、本装置1の保守整備等を容易にすることができる。そればかりか、上述のようにプレッシャープレート215に近いものの方が摩耗されやすいので、第1摩擦ディスク11a、第2摩擦ディスク11b、第3摩擦ディスク11c同士間、第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2、第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2、第3中間ディスク12c同士間においてローテーションをすることでこれらディスクの寿命を延ばすこともできる。
さらに本装置1では、プレッシャープレート215(当接部216以外)、第1摩擦ディスク11a、第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2、第2摩擦ディスク11b、第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2、第3摩擦ディスク11c、第3中間ディスク12cのいずれもCCコンポジットにて形成しているので、次のような利点も有する。
(1)CCコンポジットは金属(特に鋼材)に比して比重が小さく、クラッチ装置の軽量化に資することができる。
(2)摩擦ディスクと中間ディスクとの摩擦が、金属とCCコンポジットとが摩擦する場合よりも、CCコンポジット同士の摩擦の方が半クラッチ操作を容易にする。
(3)摩擦ディスクと中間ディスクとの摩擦が、金属とCCコンポジットとが摩擦する場合よりも、CCコンポジット同士の摩擦の方が伝達力を大きくすることができる。
(4)摩擦面に金属を用いると、過酷な半クラッチ操作等によって温度が上昇すると歪みが生じることでクラッチ操作(特に、クラッチ切り操作)が不確実になるが、CCコンポジットの場合にはそのような歪みが生じることなく、確実なクラッチ操作が可能である。
以上説明したように、本装置1は、回転軸15rの周りに回転するフライホイール103と、フライホイール103に回動不可能に取り付けられ、フライホイール103と共に回転するケーシング17と、ケーシング17に回動不可能に外縁部分が取り付けられ、ケーシング17と共に回転する中間ディスク12(第1中間ディスク12a、第2中間ディスク12b、第3中間ディスク12c)と、中間ディスク12に圧接され中間ディスク12と共に回転する摩擦ディスク11(第1摩擦ディスク11a、第2摩擦ディスク11b、第3摩擦ディスク11c)と、クラッチスプリング117と、クラッチスプリング117によって付勢されることで摩擦ディスク11を中間ディスク12に圧接するプレッシャープレート215と、を備えてなり、中間ディスク12(第1中間ディスク12a、第2中間ディスク12b、第3中間ディスク12c)の少なくとも1枚(ここでは第1中間ディスク12aと第2中間ディスク12bとの2枚)が、回転軸15rに対して略垂直な平面に沿った主表面を有する素ディスク(第1中間ディスク12aにおいては第1中間第1素ディスク12a1と第1中間第2素ディスク12a2とであり、第2中間ディスク12bにおいては第2中間第1素ディスク12b1と第2中間第2素ディスク12b2とが該当する。)が重合した分割中間ディスクである、摩擦クラッチ装置である。
そして本装置1においては、前記回転軸15rに沿った一方向と他方向とから摩擦ディスク11に挟まれる中間ディスク12を分割中間ディスクとするものである。具体的には、分割中間ディスクたる第1中間ディスク12aは、前記回転軸15rに沿った一方向から第1摩擦ディスク11aにそして他方向から第2摩擦ディスク11bに挟まれる。同様に、分割中間ディスクたる第2中間ディスク12bは、前記回転軸15rに沿った一方向から第2摩擦ディスク11bにそして他方向から第3摩擦ディスク11cに挟まれる。
さらに本装置1においては、全ての分割中間ディスク(第1中間ディスク12aと第2中間ディスク12b)を構成する素ディスク(第1中間第1素ディスク12a1、第1中間第2素ディスク12a2、第2中間第1素ディスク12b1、第2中間第2素ディスク12b2)の厚みが略等しい(ここでは素ディスクの全部が、同じ汎用ディスク501によって形成される。)ものである。
また本装置1においては、中間ディスク12(第1中間ディスク12a、第2中間ディスク12b、第3中間ディスク12c)が分割中間ディスク(第1中間ディスク12a、第2中間ディスク12b)ではない非分割中間ディスクたる第3中間ディスク12cを有し、非分割中間ディスクたる第3中間ディスク12cが素ディスクと同じ厚みである(ここでは第1中間第1素ディスク12a1と第1中間第2素ディスク12a2と第2中間第1素ディスク12b1と第2中間第2素ディスク12b2と第3中間ディスク12cの5枚のディスクのいずれも同じ汎用ディスク501で構成される。)。
本装置1においては、中間ディスク12の外面がスプライン軸の外面を形成することで中間ディスク12がスプライン軸を構成すると共に、ケーシング17の内面に該スプライン軸と嵌合する凹溝17mを形成し、該スプライン軸と該凹溝17mとが係合又は嵌合することで、ケーシング17に中間ディスク12が回動不可能に取り付けられるものであり、前記回転軸15rに対して垂直な平面による断面視である垂直断面視(例えば、図3)において、該スプライン軸の谷505の底部分507とケーシング17の内面との間に隙間701が形成されるものである。
そして、前記垂直断面視(例えば、図3)におけるスプライン軸の谷505がなめらかな線(連続して微分可能。導関数が連続する。)により形成されると共に、該谷505の底部分507が曲線により形成されるものである。具体的には、谷505は、円弧(半径dd)に沿った底部分507近傍の円弧部分509aと、谷505の両側に存する山506から線分に沿って底部分507方向に向かう一対の線分部分509bと、円弧部分509aと線分部分509bとがなめらか(角をとって丸められた部分。連続して微分可能。)に連なるように形成された一対の遷移部分509cと、を有してなる。
さらに本装置1においては、前記垂直断面視(例えば、図3)におけるスプライン軸の最大半径d1(ここでは121.48mm)から最小半径d2(ここでは115.16mm)を減じた半径差(d1−d2)(ここでは6.32mm)に対して60%〜110%の半径(ここでは半径dd=6mm)の円弧に前記曲線が略沿っているものである(100×6/6.32=約95%)。
本装置1においては、前記曲線が、半径が3.85mm〜6.86mmの範囲(ここでは半径dd=6mm)にある円弧に略沿っているものである。
本装置1においては、前記垂直断面視(例えば、図3)におけるスプライン軸の山506の頂部分503とケーシング17の内面との間に隙間703が形成されるものである。
前記山506が、前記回転軸15rを中心とした弧R1に沿って形成された山頂近傍部分たる頂部分503と、山頂近傍部分たる頂部分503から両側に存する谷505に向けてなめらか(連続して微分可能。導関数が連続する。)に連なる一対の両側部分(ここでは線分部分510と遷移部分512とにより構成される。)と、を含むものである。
なお、前記垂直断面視(例えば、図3)におけるスプライン軸の山506がなめらかな線(連続して微分可能。導関数が連続する。)により形成されると共に、該山506の頂部分503が曲線(弧R1に沿った曲線)により形成されるものである。
また、本装置1においては、前記垂直断面視(例えば、図3)におけるスプライン軸が凹溝17mと当接する面が、山506の頂部分503から該山506の両側に存する谷505に向けて幅広がりの一対の線分510をなし、該一対の線分510の一方が属する直線と他方が属する直線とが交点にて35〜80度(ここでは角度M2=約60度)の角度で交わり、前記回転軸15rに垂直な直線(図7中、点線Zにて示した。)が該角度(角度M2)を二等分するよう該交点にて両直線に交わるものである。
本装置1においては、前記垂直断面視(例えば、図3)において、前記凹溝17mの山821の頂部分17pと中間ディスク12の外縁部分との間に隙間701が形成されるものであり、凹溝17mの山821が、前記回転軸15rを中心とした弧R4に沿って形成された山頂近傍部分たる頂部分17pと、山頂近傍部分たる頂部分17pから前記凹溝17mの山821の両側に存する谷801に向けてなめらか(連続して微分可能。導関数が連続する。)に連なる一対の両側部分(線分部分821bと遷移部分821cとにより構成される。)と、を含むものである。
加えて、本装置1においては、前記垂直断面視(例えば、図3)におけるスプライン軸の最大半径d1(ここでは121.48mm)から最小半径d2(ここでは115.16mm)を減じた半径差(d1−d2)(ここでは6.32mm)の最小半径d2(ここでは115.16mm)に対する割合が3%〜6%である(100×6.32/115.16=約5.5%)。
本装置1においては、摩擦ディスク11(第1摩擦ディスク11a、第2摩擦ディスク11b、第3摩擦ディスク11c)を複数(ここでは3枚)備えると共に、摩擦ディスク11の中心部分に回動不可能に装着され伝達動力を出力するセンターハブ15とを備えるものであり、センターハブ15の外周にスプライン軸(凸条115sを有する)を形成すると共に、摩擦ディスク11の内周に該スプライン軸と嵌合する凹溝11mを形成することで、摩擦ディスク11にセンターハブ15が回動不可能に装着され、センターハブ15に対する摩擦ディスク11の前記回転軸15r方向への相対的移動を摩擦ディスク11に当接することで制限するリング部材601、603が、隣接する摩擦ディスク11(ここでは具体的には第2摩擦ディスク11bと第3摩擦ディスク11c)の間のセンターハブ15の外周(円盤部分15bの外周)に前記回転軸15r方向の異なる位置に複数(ここでは2)配設されるものである。
また、本装置1においては、前記垂直断面視(例えば、図3)におけるスプライン軸の最大半径d1(ここでは121.48mm)から最小半径d2(ここでは115.16mm)を減じた半径差(d1−d2)(ここでは6.32mm)に対して30%〜60%の半径の円弧に、谷801の円弧部分801aは沿っている(具体的には、円弧部分801aの半径Ddは約3mmであり、100×3/6.32=約47%)。半径差(d1−d2)に対する谷801の円弧部分801aの半径Ddの割合(100×Dd/(d1−d2))は、あまり大きいと凹溝17mの谷801が大きくなりがちになり、あまり小さいと応力集中等を十分避けることができにくいので、これらを両立しうる範囲とされることが好ましく、通常、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上、最も好ましくは40%以上であり、好ましくは60%以下、より好ましくは55%以下、最も好ましくは50%以下である。
本発明の摩擦クラッチ装置(本装置)を示す図(線Fの左部分は正面図であり、線Fの右部分は端面図を示している。)である。 本装置の端面図である。 図2のG−G断面位置におけるケーシングと中間ディスクとの状態を示す一部拡大断面図である。 中間ディスクを構成する汎用ディスクの平面図である。 G−G断面におけるケーシングの端面図である。 センターハブに装着されたリング部材を示すための図2におけるK−K端面図である。 図4(b)の一部拡大図である。 図5(b)の一部拡大図である。 本装置の摩耗状態を示す一部断面図である。 一部のディスクが金属(鋼材)製の摩擦クラッチ装置におけるディスクの摩耗状態を示す一部断面図である。 従来の摩擦クラッチ装置を示す図である。 図11のA−A断面図である。 図12中の長方形Yで囲んだ部分の一部拡大図である。 中間ディスク(図14(a))及び摩擦ディスク(図14(b))の平面図である。
符号の説明
1 本装置
11 摩擦ディスク
11a 第1摩擦ディスク
11b 第2摩擦ディスク
11c 第3摩擦ディスク
11m 凹溝
12 中間ディスク
12a 第1中間ディスク
12a1 第1中間第1素ディスク
12a2 第1中間第2素ディスク
12b 第2中間ディスク
12b1 第2中間第1素ディスク
12b2 第2中間第2素ディスク
12c 第3中間ディスク
15 センターハブ
15a 筒状部分
15b 円盤部分
15r 回転軸
17 ケーシング
17h 開口
17k 連通孔
17m 凹溝
17p 頂部分
17q 底部分
102a 第1中間ディスク
102b 第2中間ディスク
102c 第3中間ディスク
102s 凸条
103 フライホイール
115s 凸条
117 クラッチスプリング
117a 一端
117b 他端
118 ねじ部材
118a 端部
201 従来の摩擦クラッチ装置
215 プレッシャープレート
215c 凹部
216 当接部
501 汎用ディスク
503 頂部分
505 谷
506 山
507 底部分
509a 円弧部分
509b 線分部分
509c 遷移部分
510 線分部分
512 遷移部分
501s 凸条
601、603 リング部材
701、703 隙間
801 谷
801a 円弧部分
801b 線分部分
801c 遷移部分
821 山
821b 線分部分
821c 遷移部分
901 外側部分
951 外側部分
953 内側部分
1002a 第1中間ディスク
1002b 第2中間ディスク
1215 プレッシャープレート

Claims (16)

  1. 回転軸の周りに回転するフライホイールと、
    フライホイールに回動不可能に取り付けられ、フライホイールと共に回転するケーシングと、
    ケーシングに回動不可能に外縁部分が取り付けられ、ケーシングと共に回転する中間ディスクと、
    中間ディスクに圧接され中間ディスクと共に回転する摩擦ディスクと、
    クラッチスプリングと、
    クラッチスプリングによって付勢されることで摩擦ディスクを中間ディスクに圧接するプレッシャープレートと、
    を備えてなり、
    中間ディスクの少なくとも1枚が、回転軸に対して略垂直な平面に沿った主表面を有する素ディスクが重合した分割中間ディスクである、摩擦クラッチ装置。
  2. 前記回転軸に沿った一方向と他方向とから摩擦ディスクに挟まれる中間ディスクを分割中間ディスクとするものである、請求項1に記載の摩擦クラッチ装置。
  3. 全ての分割中間ディスクを構成する素ディスクの厚みが略等しいものである、請求項1又は2に記載の摩擦クラッチ装置。
  4. 中間ディスクが分割中間ディスクではない非分割中間ディスクを有し、
    非分割中間ディスクが素ディスクと同じ厚みである、請求項3に記載の摩擦クラッチ装置。
  5. 中間ディスクの外面がスプライン軸の外面を形成することで中間ディスクがスプライン軸を構成すると共に、ケーシングの内面に該スプライン軸と嵌合する凹溝を形成し、該スプライン軸と該凹溝とが係合又は嵌合することで、ケーシングに中間ディスクが回動不可能に取り付けられるものであり、
    前記回転軸に対して垂直な平面による断面視である垂直断面視において、該スプライン軸の谷の底部分とケーシングの内面との間に隙間が形成されるものである、請求項1乃至4のいずれか1に記載の摩擦クラッチ装置。
  6. 前記垂直断面視におけるスプライン軸の谷がなめらかな線により形成されると共に、該谷の底部分が曲線により形成されるものである、請求項5に記載の摩擦クラッチ装置。
  7. 前記垂直断面視におけるスプライン軸の最大半径d1から最小半径d2を減じた半径差(d1−d2)に対して60%〜110%の半径の円弧に前記曲線が略沿っているものである、請求項6に記載の摩擦クラッチ装置。
  8. 前記曲線が、半径が3.85mm〜6.86mmの範囲にある円弧に略沿っているものである、請求項6に記載の摩擦クラッチ装置。
  9. 前記垂直断面視におけるスプライン軸の山の頂部分とケーシングの内面との間に隙間が形成されるものである、請求項5乃至8のいずれか1に記載の摩擦クラッチ装置。
  10. 前記山が、前記回転軸を中心とした弧又は前記垂直断面視において前記回転軸に対して垂直な直線と該弧が交わる交点における該弧の接線に沿って形成された山頂近傍部分と、山頂近傍部分から両側に存する谷に向けてなめらかに連なる一対の両側部分と、を含むものである、請求項9に記載の摩擦クラッチ装置。
  11. 前記垂直断面視におけるスプライン軸の山がなめらかな線により形成されると共に、該山の頂部分が曲線により形成されるものである、請求項9に記載の摩擦クラッチ装置。
  12. 前記垂直断面視におけるスプライン軸の最大半径d1から最小半径d2を減じた半径差(d1−d2)に対して30%〜60%の半径の円弧に、前記頂部分の曲線が略沿ったものである、請求項11に記載の摩擦クラッチ装置。
  13. 前記垂直断面視におけるスプライン軸が凹溝と当接する面が、山の頂部分から該山の両側に存する谷に向けて幅広がりの一対の線分をなし、該一対の線分の一方が属する直線と他方が属する直線とが交点にて35〜80度の角度で交わり、前記回転軸に垂直な直線が該角度を二等分するよう該交点にて両直線に交わるものである、請求項5乃至12のいずれか1に記載の摩擦クラッチ装置。
  14. 前記垂直断面視において、前記凹溝の山の頂部分と中間ディスクの外縁部分との間に隙間が形成されるものであり、
    凹溝の山が、前記回転軸を中心とした弧又は前記垂直断面視において前記回転軸に対して垂直な直線と該弧が交わる交点における該弧の接線に沿って形成された山頂近傍部分と、山頂近傍部分から前記凹溝の山の両側に存する谷に向けてなめらかに連なる一対の両側部分と、を含むものである、請求項5乃至13のいずれか1に記載の摩擦クラッチ装置。
  15. 前記垂直断面視におけるスプライン軸の最大半径d1から最小半径d2を減じた半径差(d1−d2)の最小半径d2に対する割合が3%〜6%である、請求項5乃至14のいずれか1に記載の摩擦クラッチ装置。
  16. 摩擦ディスクを複数備えると共に、摩擦ディスクの中心部分に回動不可能に装着され伝達動力を出力するセンターハブを備えるものであり、
    センターハブの外周にスプライン軸を形成すると共に、摩擦ディスクの内周に該スプライン軸と嵌合する凹溝を形成することで、摩擦ディスクにセンターハブが回動不可能に装着され、
    センターハブに対する摩擦ディスクの前記回転軸方向への相対的移動を摩擦ディスクに当接することで制限するリング部材が、隣接する摩擦ディスクの間のセンターハブの外周に前記回転軸方向の異なる位置に複数配設されるものである、請求項1乃至15のいずれか1に記載の摩擦クラッチ装置。
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