JP2009144751A - 無段変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】無段変速機の変速比の変更の応答性を高め、騒音の発生を抑制する。
【解決手段】本無段変速機1は、変速比を無段階で変更することができる無段変速機である。無段変速機1は、動力伝達チェーン4と、動力伝達チェーン4が巻き掛けられた一対の可変径プーリ2,3とを有する。可変径プーリ2,3は、固定シーブ10と、可動シーブ11とを有する。これら両シーブ10,11は、プーリ本体28,30と、プーリ本体28,30に固定された動力伝達面形成部材29,31とを有している。動力伝達面形成部材29,31は、動力伝達チェーン4に係合する動力伝達面12を有する。プーリ本体28,30の剛性が、動力伝達面形成部材29,31の剛性よりも高くされている。
【選択図】図2

Description

本発明は、無段変速機に関する。
無段変速機は、例えば、一対の可変径プーリと、これらに巻き掛けられた動力伝達チェーンとを有している。可変径プーリは、互いに軸方向に対向する環状の一対のシーブを有している。一対のシーブは、互いに軸方向に相対移動可能とされ且つ互いに同行回転するようにされている。各シーブは、通例、単一部材により形成されている。また、一対の可変径プーリの有効径を変化させることにより、無段変速機の変速比を変化させることができるようにされている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2006−226451号公報
ところで、無段変速機の変速比を変更するときの応答性(以下、「変速のときの応答性」ともいう。)を向上することが要請されている。また、無段変速機の騒音の発生を抑制することも要請されている。
そこで、本発明の目的は、変速のときの応答性が良く、しかも、騒音の発生を抑制できる無段変速機を提供することである。
本願発明者は、鋭意研究の結果、プーリの剛性が変速のときの応答性に多大の影響を与えるという知見を得た。すなわち、プーリの剛性が低い場合、変速比を変更するときに、動力伝達チェーンにより押圧されたプーリが変形するので、このときの変形を利用することによって変速のときの応答性が良くなる。逆に、プーリの剛性が高い場合、動力伝達チェーンがプーリに噛み込むときの衝撃によるプーリの変形が小さく抑制されるので、騒音が小さくなる。
本発明はかかる知見に基づいてなされたものであり、変速比を無段階で変更することのできる無段変速機(1)において、動力伝達チェーン(4)と、動力伝達チェーンが巻き掛けられた一対の可変径プーリ(2,3)とを備え、上記一対の可変径プーリの少なくとも一方は、プーリ本体(28,30)と、プーリ本体に固定された動力伝達面形成部材(29,31)とを含み、この動力伝達面形成部材は、動力伝達チェーンに係合する動力伝達面(12)を有し、プーリ本体の剛性が、動力伝達面形成部材の剛性よりも高くされていることを特徴とする。
本発明によれば、動力伝達面の剛性を低くしてあるので、変速比を変更するときに、動力伝達チェーンにより押圧されたプーリの動力伝達面が変形し易い。その結果、このときの動力伝達面の変形を利用することによって、変速のときの応答性を向上することができる。変速のときの応答性を向上するために、変速比変更用動力(例えばプーリを軸方向に押す油圧力)を不必要に高くしなくてもよいので、変速比を変更するときの動力効率を高めることができる。また、変速比変更用動力の不足のために、変速のときの応答性が悪くなるようなことがない。
しかも、プーリ本体の剛性を高くすることにより、プーリ全体としては高い剛性を確保できる。その結果、例えば、動力伝達チェーンがプーリに噛み込むときの衝撃によるプーリ全体の変形が小さく抑制される。従って、振動や騒音を低減することができる。
なお、上記括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素の参照符号を示すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態では、無段変速機が、自動車のドライブトレーンに適用されている場合に則して説明する。なお、本発明の無段変速機は、例えば、自動車以外の用途の動力伝達装置に適用されてもよい。
図1は、本発明の一実施形態の無段変速機が適用されたドライブトレーンの概略構成を示す模式図である。図1を参照して、ドライブトレーン80は、エンジン81の出力軸82にクラッチ83を介して連結された無段変速機1と、デファレンシャル装置84と、駆動軸85と、駆動輪86とを備えている。
無段変速機1は、入力軸87と、出力軸88との間の変速比としての減速比iを、例えば3〜0.7程度の範囲で無段階に変更できるようになっている。
クラッチ83は、エンジン81の出力軸82と入力軸87との間に介在しており、接続状態、解除状態、および半クラッチ状態を実現する。
出力軸88は、ギヤ列89、デファレンシャル装置84および駆動軸85を介して、駆動輪86に、動力伝達可能に連結されている。ギヤ列89は、出力軸88と同行回転するギヤ90とこのギヤ90に噛み合い、デファレンシャル装置84のケースと同行回転するギヤ91とを含んでいる。
図2は図1の無段変速機1の断面図である。図1,図2を参照して、無段変速機1は、駆動側の可変径プーリ2と、従動側の可変径プーリ3と、これらの両可変径プーリ2,3間に巻き掛けられた無端状の動力伝達部材としての動力伝達チェーン4(以下では、単にチェーン4ともいう)とを有している。
可変径プーリ2は、入力軸87に同行回転するように取り付けられている。入力軸87は、エンジン81に動力伝達可能に連結されている。入力軸87は、ハウジング92により一対の軸受93,94を介して回転可能に支持されている。
図2を参照して、可変径プーリ2は、固定シーブ10と可動シーブ11とを備えている。固定シーブ10および可動シーブ11は、相対向する一対の動力伝達面12をそれぞれ有している。各動力伝達面12は、円錐面状の傾斜面を含んでいる。一対の動力伝達面12は、互いに逆向きに傾斜するテーパ状をなす。一対の動力伝達面12の間に、周溝14が区画されている。固定シーブ10および可動シーブ11は、周溝14にチェーン4を強圧に挟むことにより、チェーン4を保持するようになっている。
また、無段変速機1には、可変径プーリ2の周溝14の幅を変更するための駆動用アクチュエータとしての油圧シリンダ15が設けれている。油圧シリンダ15は、可変径プーリ2の可動シーブ11に接続されている。具体的には、可動シーブ11は、油圧シリンダ15の油室16の一部を区画するとともに、油圧シリンダ15の出力部材として機能する。油は、入力軸87に形成された油路17を通じて油室16内に、後述するようにして供給される。入力軸87の軸方向S2に可動シーブ11を移動させることにより、周溝14の溝幅を変化させるようになっている。その結果、入力軸87の径方向(図2において軸方向S2に直交する方向に相当する。)にチェーン4を移動させて、チェーン4に関する可変径プーリ2の有効径R2を、変更できるようになっている。ここで、有効径は、プーリ(例えば可変径プーリ2)の動力伝達面12におけるチェーン4との接触部分の回転半径である。
図1,図2を参照して、可変径プーリ3は、出力軸88に同行回転するように取り付けられている。出力軸88は、自動車の駆動輪86に動力伝達可能に連結されている。出力軸88は、ハウジング92により一対の軸受95,96を介して回転可能に支持されている。
可変径プーリ2と可変径プーリ3とは、入力軸87と出力軸88との違いを除いて、互いに同じに構成されている。なお、可変径プーリ3の部分については、可変径プーリ2において同じ機能を有する部分と同じ符号を付してある。以下、可変径プーリ3に関しては、可変径プーリ2との相違点を中心に説明する。
可変径プーリ3の可動シーブ11には、可変径プーリ3の周溝14の溝幅を変更するための駆動用アクチュエータとしての油圧シリンダ15が接続されている。油は、出力軸88に形成された油路18を通じて油室16内に、後述するようにして供給される。出力軸88の軸方向S3に可動シーブ11を移動させることにより、周溝14の溝幅を変化させるようになっている。溝幅を変化させるのに伴い、出力軸88の径方向にチェーン4を移動させて、可変径プーリ3のチェーン4に関する有効径R3を、変更できるようになっている。
無断変速機1が適用された自動車には、シフティングポンプとしての第1の油圧ポンプ19と、クランピングポンプとしての第2の油圧ポンプ20とが設けられている。第1および第2の油圧ポンプ19,20は、サーボポンプからなり、電動モータにより駆動される。駆動側の可変径プーリ2に設けられた油圧シリンダ15の油室16には、第1の油圧ポンプ19の吐出する流量の油が供給される。従動側の可変径プーリ3に設けられた油圧シリンダ15の油室16には、第2の油圧ポンプ20の吐出する流量から第1の油圧ポンプ19の吐出する流量を減じた流量の油が供給されるようになっている。
図1,図2を参照して、変速比を変更しようとするときには、油は、制御部の制御のもとで、可変径プーリ2および可変径プーリ3に流通するようになっている。例えば、可変径プーリ2の油室16内に高圧の油が供給され且つ可変径プーリ3の油室16内の油が排出されることで、可変径プーリ2の有効径R2が拡大すると共に可変径プーリ3の有効径R3が縮小する。その結果、入力軸87の回転数に対して出力軸88の回転数が相対的に大きくなる。
逆に、可変径プーリ3の油室16内に高圧の油が供給され且つ可変径プーリ2の油室16内の油が排出される場合には、入力軸87の回転数に対して出力軸88の回転数が相対的に小さくなる。
図3は、チェーン4の斜視図である。図4は、図2の可変径プーリ2およびチェーン4の要部の断面図である。図3、図4を参照して、チェーン4は、複数のリンク23と、これらのリンク23を相互に屈曲可能に連結する複数の第1のピン24および複数の第2のピン25とを有している。第1および第2のピン24,25は、複数のリンク23を相互に屈曲可能に連結する連結部材として機能する。第1および第2のピン24,25は、互いに対をなす。チェーン4全体で複数対の第1および第2のピン24,25が設けられている。第1および第2のピン24,25は、互いに転がり摺動接触する。転がり摺動接触とは、転がり接触および摺動接触の少なくとも一方を含む接触のことをいう。第1のピン24は第2のピン25よりも長くされており、第1のピン24の一対の端部には、動力伝達面26がそれぞれ設けられている。第1のピン24の一対の端部の動力伝達面26が、対応するシーブ10,11の動力伝達面12に接触状態で係合する。
図2,図4を参照して、可変径プーリ2の固定シーブ10は、当該固定シーブ10の環状の主体部からなるプーリ本体28と、動力伝達面12を形成する動力伝達面形成部材29とを有している。動力伝達面形成部材29は、プーリ本体28に固定されている。また、固定シーブ10は、入力軸87に同行回転し、且つ入力軸87に対する軸方向移動が規制されている。プーリ本体28が、入力軸87に固定されている。例えば、プーリ本体28と入力軸87とが一体に単一部材により形成されている。
図2を参照して、可変径プーリ2の可動シーブ11は、当該可動シーブ11の環状の主体部からなるプーリ本体30と、動力伝達面12を形成する動力伝達面形成部材31とを有している。動力伝達面形成部材31は、プーリ本体30に固定されている。また、可動シーブ11は、入力軸87に同行回転し且つ軸方向S2に移動可能に係合されている。具体的には、プーリ本体30の内周と入力軸87の外周とが互いに嵌合しており、プーリ本体30の内周と入力軸87の外周との間はシール部材により封止されている。
なお、固定シーブ10のプーリ本体28と、可動シーブ11のプーリ本体30とは、入力軸87に対する移動が規制されるか許容されるかの点を除いて同じに構成されている。また、固定シーブ10の動力伝達面形成部材29と、可動シーブ11の動力伝達面形成部材31とは、互いに同じに構成されている。固定シーブ10のプーリ本体28および動力伝達面形成部材29については、可動シーブ11において同じ機能を有する構成と同じ符号を付しておき、以下では、可動シーブ11を中心に説明する。
図4を参照して、本実施形態では、プーリ本体30の剛性が、動力伝達面形成部材31の剛性よりも高くされている。これにより、無段変速機1において変速比を変更するために要する動力を低減することができて、しかも、騒音の発生を抑制できる。
ここで、剛性としては、例えば、プーリ本体30および動力伝達面形成部材31の曲げ剛性およびねじれ剛性を含む。また、曲げ剛性およびねじれ剛性の比較には、プーリ本体30および動力伝達面形成部材31の材料の硬さを用いてもよい。この硬さとしては、プーリ本体30および動力伝達面形成部材31の材料の表面における予め定めた測定法に基づく硬さや、プーリ本体30および動力伝達面形成部材31の材料の縦弾性係数を例示できる。硬さと剛性とは、通例、互いに比例する。
具体的には、プーリ本体30は、相対的に高い硬さを有する部材、例えば硬さが相対的に高い鋼からなる。また、動力伝達面形成部材31は、相対的に低い硬さを有する部材、例えば硬さが相対的に低い鋼からなる。これにより、プーリ本体30の剛性を動力伝達面形成部材31の剛性よりも高くできる。また、プーリ本体30および動力伝達面形成部材31に、鋼を含む部材を用いることで、プーリ本体30および動力伝達面形成部材31の強度を確保できる。
図4を参照して、プーリ本体30は、対向面32を形成している。可動シーブ11のプーリ本体30の対向面32と、固定シーブ10のプーリ本体28の対向面32とが、軸方向S2に相対向しており、また、これら両対向面32は、軸方向S2に対して互いに逆向きに傾斜している。径方向内方に向かうにしたがって、両対向面32の間隔(軸方向S2に関する寸法)が狭くなっている。両対向面32は、テーパ状をなしている。各対向面32は、例えば円錐面に形成されている。プーリ本体28の対向面32に、動力伝達面形成部材29が固定されている。プーリ本体30の対向面32に、動力伝達面形成部材31が固定されている。テーパ状の両対向面32により、動力伝達面形成部材29,31を安定して受けることができる。その結果、騒音抑制に寄与する。
また、対向面32が軸方向S2に対して傾斜する傾斜角度D1は、動力伝達面12が軸方向S2に対して傾斜する傾斜角度D2と等しくされている。この場合、動力伝達面形成部材31の肉厚を一定にしたときに、動力伝達面形成部材31を安定して受けることができる。
図4を参照して、動力伝達面形成部材31は、環状をなしている。動力伝達面形成部材31は、チェーン4と係合可能な動力伝達面12と、動力伝達面12の背面に設けられた固定面33とを有している。固定面33が、プーリ本体30の対向面32に固定されている。動力伝達面形成部材31の肉厚(動力伝達面12と固定面33との間隔)は、一定とされている。これにより、動力伝達面形成部材31を容易に形成できる。
動力伝達面形成部材31の軸方向寸法L1は、径方向に関する同じ位置において比較したときに、プーリ本体30の軸方向寸法L2よりも小さい(L1<L2)。このような軸方向寸法L1,L2の関係(L1<L2)は、動力伝達面12の全域において成り立っている。これにより、プーリ本体30の剛性が、動力伝達面形成部材31の剛性よりも確実に高くなる。
プーリ本体30は、動力伝達面形成部材31を面当たり状態で受けている。プーリ本体30の対向面32と、動力伝達面形成部材31の固定面33の全体とが、互いに面当たり状態で接触している。これにより、振動の減衰作用を確実に得ることができる。
図4を参照して、動力伝達面形成部材31の外周縁部34には、プーリ本体30に固定するために軸方向S2に延設された延設部35が設けられている。延設部35は、動力伝達面形成部材31と一体に単一部材により形成されている。延設部35を設けることにより、動力伝達面12に影響することなく、動力伝達面形成部材31をプーリ本体30に固定できる。
延設部35は、断面円形の筒状をなし、プーリ本体30の外周36に圧入状態で嵌合されている。嵌合することにより、振動の減衰作用を確実に得ることができる。これに加えて、圧入状態とされることにより、プーリ本体30および動力伝達面形成部材31を互いに固定できる。
延設部35は、圧入状態とされることに加えて、プーリ本体30の外周30において、周方向に均等に配置された複数カ所でねじ止めされている。例えば、固定ボルト37が、延設部35の挿通孔38を通して、プーリ本体30の外周36に形成されたねじ孔39にねじ嵌合されている。ねじ止めにより、プーリ本体30および動力伝達面形成部材31を互いに簡便且つ確実に固定できる。
図2を参照して、可動シーブ11のプーリ本体30の外周縁部には、動力伝達面12とは反対側へ向けて軸方向S2に延びる筒状部42が固定されている。筒状部42と入力軸87との間には、環状の隔壁部材43が介在している。この隔壁部材43は、入力軸87の軸方向S2に、入力軸87に対して相対移動を規制されている。可動シーブ11の筒状部42の内周と入力軸87の外周との間に形成される環状の室を、可動シーブ11のプーリ本体30の壁面44とこれに対向する隔壁部材43の壁面とによって軸方向S2に仕切ることにより、上述の油圧シリンダ15の油室16が形成されている。
図2を参照して、以上説明したように、本実施形態の無段変速機1は、変速比を無段階で変更することのできる無段変速機1において、動力伝達チェーン4と、動力伝達チェーン4が巻き掛けられた一対の可変径プーリ2,3とを備えている。上記一対の可変径プーリ2,3の少なくとも一方、例えば本実施形態では両方は、プーリ本体28,30と、プーリ本体28,30に固定された動力伝達面形成部材29,31とを含んでいる。これら動力伝達面形成部材29,31は、動力伝達チェーン4に係合する動力伝達面12を有している。プーリ本体28,30の剛性が、動力伝達面形成部材29,31の剛性よりも高くされていることを特徴としている。
本実施形態によれば、動力伝達面12の剛性を低くしてあるので、変速比を変更するときに、動力伝達チェーン4により押圧された可変径プーリ2,3の動力伝達面12が変形し易い。その結果、このときの動力伝達面12の変形を利用することによって、変速のときの応答性を向上することができる。変速のときの応答性を向上するために、変速比変更用動力(例えばプーリ2,3の可動シーブ11を軸方向S2,S3に押す油圧力)を不必要に高くしなくてもよいので、変速比を変更するときの動力効率を高めることができる。また、変速比変更用動力の不足のために、変速のときの応答性が悪くなるようなことがない。
しかも、プーリ本体28,30の曲げ剛性を相対的に高くすることにより、可変径プーリ2,3の全体としては高い曲げ剛性を確保できる。その結果、動力伝達チェーン4が可変径プーリ2,3に噛み込むときの衝撃によるプーリ2,3の全体の変形が小さく抑制される。従って、振動や騒音を低減することができる。
また、プーリ本体28,30の捩じり剛性を相対的に高くすることにより、可変径プーリ2,3の全体としては高い捩じり剛性を確保できる。その結果、例えば、エンジン側からのトルク変動その他の外乱によって可変径プーリ2,3がねじれ振動を起こすことが抑制される。従って、振動や騒音を低減することができる。
また、動力伝達面形成部材29,31とプーリ本体28,30との間において、振動が減衰するので、騒音の発生がより一層抑制される。また、動力伝達チェーン4が可変径プーリ2,3に噛み込むときに生じる振動が、相対的に低剛性の動力伝達面形成部材29,31から、相対的に高剛性のプーリ本体28,30へ伝わるときに、振動の減衰が大きいので、振動や騒音を低減するのに好ましい。
また、プーリ本体28,30の剛性が動力伝達面形成部材29,31の剛性よりも高いことが、両可変径プーリ2,3において実現されているので、変速比変更用動力の低減効果を確実に得ることができる。
図1を参照して、無段変速機1は、以下の車両用動力伝達装置97に適用されている。この車両用動力伝達装置97は、車両の駆動源としてのエンジン81の動力を駆動輪86に伝達する。車両用動力伝達装置97は、上記無段変速機1と、この無段変速機1の上記一対の可変径プーリ2,3の一方である可変径プーリ2と同行回転し車両の駆動源であるエンジン81の出力軸82に連結された入力軸87と、一対の可変径プーリ2,3の他方である可変径プーリ3と同行回転し駆動輪86に連結された出力軸88とを備えている。このように無段変速機1が車両用動力伝達装置97に適用されることにより、車両用動力伝達装置97における、ひいては自動車における消費エネルギーの低減に寄与し、また、騒音の発生の抑制に寄与することができる。
また、本実施形態の無段変速機1が適用された車両としての自動車には、可変径プーリ2,3の有効径R2,R3を変化させるための駆動用アクチュエータとしての油圧シリンダ15が設けられている。無段変速機1は、変速比を変更するための油圧シリンダ15に必要な動力を低減できるので、無段変速機1が適用された車両用動力伝達装置97や、自動車の消費エネルギーを低減できる。また、車両用動力伝達装置97や自動車の振動や騒音の発生を抑制することができる。
なお、上述の実施形態において、プーリ本体28,30の剛性が動力伝達面形成部材29,31の剛性よりも高いことが、可変径プーリ2,3の一方のみにおいて実現されることも考えられる。
また、延設部35は、動力伝達面形成部材31とは別体で形成されて動力伝達面形成部材31に固定されてもよい。延設部35を設けることにより、動力伝達面12に影響することなく、動力伝達面形成部材31をプーリ本体30に固定できる。延設部35は、圧入状態とされることと、ねじ止めされることとの何れか一方により固定されてもよい。
また、上述の実施形態において、駆動用アクチュエータとしては、上述の油圧シリンダ15に限らず、電動モータにより駆動されるボールねじ装置を用いてもよい。その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で種々の変更を施すことができる。
本発明の一実施形態の無段変速機が適用されたドライブトレーンの概略構成を示す模式図である。 図1の無段変速機の断面図である。 図2のチェーンの斜視図である。 図2の可変径プーリおよびチェーンの要部の断面図である。
符号の説明
1…無段変速機、2,3…可変径プーリ、4…動力伝達チェーン、12…動力伝達面、28,30…プーリ本体、29,31…動力伝達面形成部材

Claims (1)

  1. 変速比を無段階で変更することのできる無段変速機において、
    動力伝達チェーンと、動力伝達チェーンが巻き掛けられた一対の可変径プーリとを備え、
    上記一対の可変径プーリの少なくとも一方は、プーリ本体と、プーリ本体に固定された動力伝達面形成部材とを含み、
    この動力伝達面形成部材は、動力伝達チェーンに係合する動力伝達面を有し、
    プーリ本体の剛性が、動力伝達面形成部材の剛性よりも高くされていることを特徴とする無段変速機。
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