JP2009144485A - 遮音壁および同遮音壁に用いる遮音パネル - Google Patents

遮音壁および同遮音壁に用いる遮音パネル Download PDF

Info

Publication number
JP2009144485A
JP2009144485A JP2007325499A JP2007325499A JP2009144485A JP 2009144485 A JP2009144485 A JP 2009144485A JP 2007325499 A JP2007325499 A JP 2007325499A JP 2007325499 A JP2007325499 A JP 2007325499A JP 2009144485 A JP2009144485 A JP 2009144485A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sound insulation
insulation panel
sound
sound insulating
thin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007325499A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5001813B2 (ja
Inventor
Hidenari Kimura
秀成 木村
Satoshi Kaji
聡 梶
Toshio Fujii
俊夫 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Metal Products Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel and Sumikin Metal Products Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumikin Metal Products Co Ltd filed Critical Nippon Steel and Sumikin Metal Products Co Ltd
Priority to JP2007325499A priority Critical patent/JP5001813B2/ja
Publication of JP2009144485A publication Critical patent/JP2009144485A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5001813B2 publication Critical patent/JP5001813B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Devices Affording Protection Of Roads Or Walls For Sound Insulation (AREA)

Abstract

【課題】遮音パネルとして金属製の薄肉角パイプを用いることにより、軽量、且つシンプルな構成で剥落の虞もなく、それでいて所定の遮音効果を十分に発揮することができる、経済性及び施工性に優れた遮音壁および同遮音壁に用いる遮音パネルを提供する。
【解決手段】所定間隔で立てられた水平断面がH形の支柱1の隣り合う支柱1、1間に遮音パネル2を建て込んで構築された遮音壁10において、前記遮音パネル2は、金属製の薄肉角パイプ2aを中空構造のまま上下に複数積み重ねて構築されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、高速道路、一般道路、鉄道等の側部に沿って設置し、車両の走行に伴う騒音公害を防止するための遮音壁および同遮音壁に用いる遮音パネルの技術分野に属し、更に云えば、前記遮音パネルの改良技術に関する。
高速道路、一般道路、鉄道等の側部には、沿線地域住民への配慮から、車両の走行に伴う騒音公害を防止(緩和)するための遮音壁が設置されている。
前記遮音壁は、主として所定間隔で立てられた支柱と、隣り合う支柱間に建て込む遮音パネルとで構成され、前記遮音パネルには従来から所謂コンクリート遮音パネル(プレキャストコンクリート)が好適に採用されている(例えば、特許文献1〜3の[従来の技術]を参照)。
前記遮音パネルは、その使用目的、設置場所等に応じて多様化し、現在ではコンクリート製のほか、金属製、プラスチック製(特許文献2の[従来の技術]を参照)、木製(特許文献2を参照)、合成樹脂製(特許文献4を参照)など種々の材質より成る遮音パネルが開示され、実施に供されている。この中で、遮音性能は遮音パネルの重量が大きければ大きいほど効果が大きいという音響学の重量則、及び経済性を考慮し、現在でもコンクリート製の遮音パネルが好適に用いられていることは経験的事実の示すところである。
特開平10−37341号公報 特開平10−219631号公報 特開2001−40620号公報 特公昭61−54896号公報
遮音壁に用いる遮音パネルとしてコンクリート遮音パネルを使用する場合には以下の問題があった。
1)コンクリート遮音パネルは、部材単価は比較的安価であるものの重量が非常に大きいので、必然的に搬出時の運搬費が嵩む上に現場での取り扱いや施工に手間が掛かるという問題があった。ちなみに、一例として幅が90mm、高さが500mm、長さが3960mmの大きさのコンクリート遮音パネルは、約400kgにも及ぶ。
また、近年、都市の過密化により、高速道路、一般道路等の沿線の建物や住宅等も高層化し遮音壁の高さもより高くする必要に迫られているが、大重量のコンクリート遮音パネルの設置作業(積み重ね作業)は高所作業になればなるほど困難で危険を伴う作業となるという問題もあった。
2)コンクリート遮音パネルは、経年劣化やアルカリ脆化により亀裂が進展してコンクリート片が剥落するという問題があった。この問題は、地震が発生した場合には特に顕著となり、二次災害も懸念された。
また、近年、都市の過密化により、高架道路の下やその近辺に道路や住宅がある場合が珍しくなく、コンクリート片の剥落は、人命に関わる事故を発生させる虞があった。
ところで、上記特許文献4には、同文献4の第1図〜第4図に示したように、合成樹脂製の中空パイプ1内にモルタルより成る遮音材2を詰め、且つ中空パイプ1の両端にキャップ3を被着すると共に前記遮音材2内に棒材5aを埋設し、且つ棒材5aの両端をキャップ3に固着して遮音素材Aを形成し、その遮音素材Aを互いに接して複数本並べて成る遮音壁が開示されている(同文献4の特許請求の範囲を参照)。
この特許文献4に係る遮音壁は、合成樹脂製の中空パイプ1を遮音素材A(遮音パネル)に用いているので、非常に軽量で部材単価も比較的安価である。また、コンクリート片が剥落するというコンクリート遮音パネル特有の問題もない。よって、上記1)、2)の問題は生じない。
しかしながら、前記特許文献4に係る遮音壁は、非常に軽量な合成樹脂製の中空パイプ1を遮音パネルに用いているが故に、音響学の重量則より所定の遮音効果を発揮することができず、そのため、中空パイプ1内にモルタル2を充填すると共に棒材5aを埋設し、その両端にキャップ3を被せて遮音効果を発揮できるような構造で実施している。
よって、遮音パネルを構成する部材点数が多く、製造作業が非常に面倒な上にコストが嵩むという問題があった。この問題は、高速道路、一般道路等に沿って膨大な数量の遮音パネルを使用する遮音壁には特に甚大である。
また、前記中空パイプ1の両端にキャップ3で被せて実施しているので、当該中空パイプ1を上下に複数積み重ねて遮音パネルを構成すると、上下の中空パイプ1、1間のキャップ3を除く部位はキャップ3の肉厚分だけ隙間を生じるので、遮音壁として遮音効果を発揮するには明らかに不合理な構造であった。
そこで、本発明の目的は、遮音パネルとして金属製の薄肉角パイプを用いることにより、軽量、且つシンプルな構成で剥落の虞もなく、それでいて所定の遮音効果を十分に発揮することができる、経済性及び施工性に優れた遮音壁および同遮音壁に用いる遮音パネルを提供することにある。
本発明の次の目的は、コンクリート遮音パネルを建て込んだ既存の遮音壁について、コンクリート遮音パネルが経年劣化等して取り替えを必要とするような場合に、支柱をそのまま残して容易にコンクリート遮音パネルと代替することが可能な遮音パネルを提供することにある。
上記背景技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る遮音壁は、所定間隔で立てられた水平断面がH形の支柱の隣り合う支柱間に遮音パネルを建て込んで構築された遮音壁において、前記遮音パネルは、金属製の薄肉角パイプを中空構造のまま上下に複数積み重ねて構築されていることを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した遮音壁において、前記遮音パネルは、H形の支柱のフランジとの間に、固定部材を介在させて前記支柱に固定されていることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した遮音壁において、前記固定部材は角形鋼管であり、前記角形鋼管は前記H形の支柱のウエブに当接して立てられており、前記H形の支柱および遮音パネルとこれらを固定する前記固定部材によって、遮音壁の下端から上端までの間に音の透過部を有しないことを特徴とする。
請求項4に記載した発明に係る遮音パネルは、請求項1〜3のいずれか一に記載した遮音壁に用いる遮音パネルであって、金属製の薄肉角パイプを中空構造のまま支柱間の上下に複数積み重ねて構成されていることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、請求項4に記載した遮音パネルにおいて、前記薄肉角パイプは、その上面に軸方向に連続する凹部又は凸部が形成され、下面に前記凹部又は凸部が嵌り合う形状の凸部又は凹部が形成されていることを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、請求項4又は5に記載した遮音パネルにおいて、前記薄肉角パイプは、肉厚が0.8mm〜1.6mmの鋼板で成形されていることを特徴とする。
請求項1〜請求項3に係る遮音壁、及び請求項4〜請求項6に係る遮音パネルによれば、遮音パネルを、金属製の薄肉角パイプを中空構造のまま用いて実施するので、下記する効果を奏する。
1)汎用されているコンクリート遮音パネルと比して、非常に軽量なので、必然的に搬出時の運搬費を大幅に削減でき、現場での取り扱いや施工をスムーズに行うことができる。これに伴い、近年需要が大きい高層の遮音壁にも労せず対応することができる。また、非常に軽量であるが故に、下部の遮音パネルを車両事故等の理由により交換する場合にも、コンクリート遮音パネルと比してスムーズ、且つ経済的に取り替え作業を行い得る。
2)汎用されているコンクリート遮音パネルと比して、経年劣化やアルカリ脆化により亀裂が生じて破片が落下する虞もなく、地震が発生した場合等に生じる二次災害も極力防止することができるので、安全性の点においても非常に優れている。また、車両衝突時に、コンクリート遮音パネルはコンクリートの破片が飛散することがあるが、金属製の薄肉角パイプは破片が飛散することがない。
3)上記特許文献4に係る遮音壁と比して、シンプルな構成で、製造作業も容易で、経済的である。また、扁平な薄肉角パイプを上下に隙間なく積み重ねて遮音パネルを構築することができるので、遮音壁としての遮音効果を十分に発揮することができる。
特に、請求項3に記載した遮音壁によれば、角形鋼管等の固定部材をH形の支柱のウエブに当接するように立てて実施するので、仮に、H形の支柱のフランジと遮音パネルとに僅かな隙間が生じて音漏れが発生したとしても、前記角形鋼管等の固定部材が前記H形の支柱のウエブにぴったり当接して音漏れを逃さないので遮音効果をさらに高めることができる。
4)また、金属製の薄肉角パイプを中空構造のまま遮音パネルに用いても十分に遮音性能を発揮できるので、シンプルな構成で効率よく遮音性能を発揮できると云える。
5)このように、軽量で使い勝手がよく、それでいて遮音性能に優れた薄肉角パイプは、標準仕様のH形鋼等を用いたH形の支柱に簡易に取り付けることができるので、例えば、既存の遮音壁に用いられているコンクリート遮音パネルが経年劣化等して取り替えを必要とするような場合に、H形の支柱をそのまま残して容易にコンクリート遮音パネルと代替することもできる。
6)その他、コンクリート遮音パネルと比して非常に軽量であるが故に、従来、搬出等の煩わしさを考慮して敬遠されていた6〜8m程度の長尺の遮音パネルを現場で容易に実現することができるので、例えば4m間隔で実施する場合と比してその分、支柱の本数等を削減することができ、経済的である。
本発明に係る遮音壁は、高速道路、一般道路、鉄道等の側部に、沿線地域住民への配慮から、車両の走行に伴う騒音公害を防止(緩和)するために設置されるもので、前記遮音壁の主たる構成部材である遮音パネルを、金属製の薄肉角パイプを中空構造のまま複数積み重ねて構築することにより、上記[発明が解決しようとする課題]の項で説明した問題点をすべて解消する遮音壁、すなわち、軽量、且つシンプルな構成で剥落の虞もなく、それでいて所定の遮音効果を十分に発揮することができる、経済性及び施工性に優れた遮音壁を実現する技術的思想に立脚している。以下、図面に基づいて実施例を説明する。
図1〜図8は、請求項1に記載した発明に係る遮音壁の実施例を示している。
この遮音壁10は、所定間隔(図示例では4m間隔)で立てられた水平断面がH形の支柱1…の隣り合う支柱1、1の間に遮音パネル2を建て込んで構築され、前記遮音パネル2は、金属製の薄肉角パイプ2aを中空構造のまま上下に複数(図示例では12段)積み重ねて構築されている(請求項1、4記載の発明)。
また、本実施例では、図4と図6が分かり易いように、前記遮音パネル2とH形の支柱1のフランジとの間に、固定部材(具体的には、角形鋼管3及び板ばね5)を介在させて前記支柱1に固定している(請求項2記載の発明)。
前記遮音壁10(遮音パネル2)の背高は、設置場所、及び要求される遮音性能に応じて適宜設計変更されるが、通常2m〜5m程度で実施される。ちなみに、図示例に係る遮音壁10の背高(図2の符号H参照)は、地面上から3mで実施している。
前記H形の支柱1…は、隣り合う支柱1、1のウエブ同士を対面する配置で、一例として、その下端部を、地面下に埋設した鋼管11内にコンクリートを打設して成るコンクリート基礎ブロックに固定して立てられている(図2参照)。
前記H形の支柱1は、標準仕様のH形鋼が好適に使用される。ちなみに、図示例に係るH形の支柱1は、フランジ長が150mm、ウエブ長が150mmで、軸方向長さが3400mmのサイズのH形鋼が使用され、その下端部は400mm程度地中に埋設して立てられている。前記鋼管11の軸方向長さは、前記H形の支柱1と同程度の長さが使用されているが、使用する支柱1の長さ、埋設する地盤の性状等に応じて適宜設計変更される。 なお、前記H形の支柱1は勿論このサイズに限定されるものではなく、風圧や地震などに対し構造的安定性を損なわないよう、設置場所等に応じて適宜設計変更される。また、前記H形の支柱1は、図示例では4m間隔で立てられているが勿論これに限定されず、通常、4m〜8m程度の間隔で実施される。
次に、前記遮音パネル2を構成する金属製の薄肉角パイプ2aについて説明する。
この薄肉角パイプ2aは、一般に薄肉鋼板をプレス加工、或いはカシメ加工により中空構造の角形に成形されたものが好適に用いられる(図5参照)。
前記薄肉角パイプ2aは、肉厚が0.8mm〜1.6mmの鋼板で実施することが好ましい(請求項6記載の発明)。肉厚が0.8mm以下では剛性が不足するし、1.6mm以上ではコストが高くなり、また、重量も大きくなり実用的ではないからである。
ちなみに、図示例に係る前記薄肉角パイプ2aは、肉厚が0.8mm、高さ(H)が250mm、幅(B)が50mm、軸方向長さ(L)が3960mm、重量(質量)16.3kgのサイズが用いられている。なお、前記薄肉角パイプ2aのサイズは勿論これに限定されるものではなく、風荷重に対する耐力強度、要求される遮音性能、製造コスト、及び隣接する支柱1、1の間隔等に応じて適宜設計変更される。
但し、前記薄肉角パイプ2aの軸方向長さは、H形の支柱1、1間の溝内の一方へ片寄せした場合にも支柱1の溝内から抜け出ない設計寸法で実施することが施工上、及び安全上好ましい。また、前記薄肉角パイプ12の使用数量(段数)は、図示例では12段で実施しているが勿論これに限定されず、要求される遮音壁10の高さなどに応じて適宜設計変更される。
次に、前記遮音パネル2をH形の支柱1のフランジへ固定する手段について説明する。
本実施例では、図6〜図8に示したように、前記遮音パネル2と前記H形の支柱1のフランジとの間に、角形鋼管3及び板ばね5を介在させて固定しているが、固定手段はこれに限定されず、図12〜図14に示したように、角形鋼管3のみで固定して実施することもできる。
また、図示は省略するが、前記遮音パネル2(金属製の薄肉角パイプ2a)をH形の支柱1のフランジ間の溝内にぴったり納まる幅寸、すなわち前記ウエブ長に相当する長さ(本実施例では、150mm)で実施することはできる(必要に応じて薄型の板ばね使用可)。ただし、本実施例のように、金属製の薄肉角パイプ2aの幅寸を50mm程度で実施するのは、50mm程度を超える幅寸(例えば、150mm)では、剛性が不足する虞があり、また、コストが嵩み、重量も大きくなり実用的ではないからである。
本実施例に係る固定部材として使用する角形鋼管3は、遮音パネル2と同等高さで実施され、前記遮音パネル2(薄肉角パイプ2a)の両端部の裏側に沿い、且つ、その一側面が前記H形の支柱1のウエブへ当接するように立てられている。仮に、H形の支柱1の道路側のフランジと遮音パネル2とに僅かな隙間が生じて音漏れが発生したとしても、前記角形鋼管3が前記H形の支柱1のウエブにぴったり当接して音漏れを逃さないので遮音効果をさらに高めることができるからである(請求項3記載の発明)。
なお、前記固定部材は角形鋼管3に限定されるものではなく、前記遮音パネル2をH形の支柱1の溝内に鉛直方向に面一状態で位置決め可能な部材であれば、その材質、形態等は問わない。一例として、図示例に係る固定部材3は、前記H形の支柱1の溝内にほぼ納まる平断面形状で、地面上に露出するH形の支柱1と同程度の高さを有する角パイプが用いられている。また、前記板ばね5は格別新規ではなく、固定部材(角形鋼管)3、ひいては遮音パネル2のガタつきを確実に防止することを条件に、形成される隙間に応じて様々な形態の板ばね5が適宜選択して使用される。
次に、前記金属製の薄肉角パイプ2aを、中空構造のまま使用する意義について説明する。
図9と図10は、以下に示した種々の薄肉角パイプ2aについて、1/3オクターブバンド中心周波数(以下、単に周波数という)に対する音響透過損失をプロットしたグラフを示している。
図9中のラインKは、遮音壁要求性能に係る設置基準を示している。具体的に前記ラインKは、周波数が400Hzのときに音響透過損失が25dB以上で、周波数が1000Hzのときに音響透過損失が30dB以上が要求されることを示している。
図9中のラインXは、カシメ加工により成形した、肉厚1.0mm、高さ235mm、幅50mmで、長さ3960mmの薄肉角パイプ2aの内部に発泡ウレタンを密実に充填した供試材に係るグラフを示している。
図9中のラインAは、カシメ加工により成形した、肉厚1.0mm、高さ235mm、幅50mmで、長さ3960mm、即ち前記ラインXで用いた薄肉角パイプ2aと同形同大の薄肉角パイプ2aを中空構造のまま実施した供試材に係るグラフを示している。
両者を対比検討すると、薄肉角パイプ2aの内部に発泡ウレタンを密実に充填した供試材に係るラインXは、前記設置基準をクリアーしていないのに対し、薄肉角パイプ2aを中空構造のまま実施したラインAは、前記設置基準を大きくクリアーしているのが分かる。このように、薄肉角パイプ2aを遮音パネル2の構成部材として用いる場合、薄肉角パイプ2a内に充填材を詰めるよりはむしろ、中空構造のまま空気層を形成して実施する方が遮音性能が高いと推認される。
ちなみに、図10に係るラインBは、カシメ加工により成形した、肉厚1.2mm、高さ235mm、幅50mmで、長さ3960mmの薄肉角パイプ2aを中空構造のまま実施した供試材に係るグラフを示している。ラインCは、プレス加工により成形した、肉厚1.0mm、高さ250mm、幅50mmで、長さ3960mmの薄肉角パイプ2aを中空構造のまま実施した供試材に係るグラフを示している。ラインDは、プレス加工により成形した、肉厚0.8mm、高さ250mm、幅50mmで、長さ3960mmの薄肉角パイプ2aを中空構造のまま実施した供試材に係るグラフを示している。
これらのラインB、C、Dのいずれも、前記設置基準を大きくクリアーしていることから、前記薄肉角パイプ2aを中空構造のまま遮音壁に適用すると、その構造自体をシンプルな構成で実施できることはもとより、遮音性能も十分に発揮できることが分かる。
かくして、前記遮音壁10は、以下の手順で構築する。
先ず、地面に所定の間隔(例えば、4m間隔)でH形の支柱1…を立て、隣り合う支柱1、1間の溝内のほぼ中央部に、前記金属製の薄肉角パイプ2aを中空構造のまま上方から順次落とし込み、所定の高さまで複数段(例えば、12段)積み重ねて遮音パネル2を構成する。
次に、前記遮音パネル2(薄肉角パイプ2a)の両端部の裏側に前記角形鋼管3を当てがうと共に、当該遮音パネル2と角形鋼管3とが形成する隙間に板ばね5を差し込み、当該遮音パネル2を位置決め固定する。前記板ばね5は、前記角形鋼管3の軸方向に、遮音パネル2のガタつきを確実に防止するのに必要な間隔(本実施例では47cm程度の間隔)で取り付ける。
なお、前記金属製の薄肉角パイプ2aの積み重ね作業に際し、図11に示したように、当該角パイプ2a同士の間に、音漏れ防止として、材質がゴムや有機樹脂等の音漏れ防止パッキング6を挟み込んで実施すると、遮音性能をより向上させた遮音壁を構築することができる。
したがって、上記実施例1に係る遮音壁10は、遮音パネル2を、金属製(鋼製)の薄肉角パイプ2aを中空構造のまま用いて実施するので、下記する作用効果を奏する。
1)汎用されているコンクリート遮音パネルと比して、非常に軽量(一例として、コンクリート遮音パネルは幅90mm×高さ500mm×長さ3960mmのサイズで414kgであるのに対し、薄肉角パイプ2aは幅50mm×高さ250mm×長さ3960mmのサイズで16.3kg)なので、必然的に搬出時の運搬費を大幅に削減でき、現場での取り扱いや施工をスムーズに行うことができる。これに伴い、近年需要が大きい高層の遮音壁にも労せず対応することができる。また、非常に軽量であるが故に、下部の遮音パネルを車両事故等の理由により交換する場合にも、コンクリート遮音パネルと比してスムーズ、且つ経済的に取り替え作業を行うことができる。
2)汎用されているコンクリート遮音パネルと比して、経年劣化やアルカリ脆化により亀裂が生じて破片が落下する虞もなく、地震が発生した場合等に生じる二次災害も極力防止することができるので、安全性の点においても非常に優れている。
3)上記特許文献4に係る遮音壁と比して、シンプルな構成で、製造作業も容易で、経済的である。また、扁平な薄肉角パイプ2aを上下に隙間なく積み重ねて遮音パネル2を構築することができるので、遮音壁としての遮音効果を十分に発揮することができる。
特に、角形鋼管3をH形の支柱1のウエブに当接するように立てて実施しているので、仮に、H形の支柱1のフランジと遮音パネル2とに僅かな隙間が生じて音漏れが発生したとしても、前記角形鋼管3が前記H形の支柱1のウエブにぴったり当接して音漏れを逃さないので遮音効果をさらに高めることができる。
4)上記段落[0021]で説明したように、金属製の薄肉角パイプ2aを中空構造のまま遮音パネルに用いても十分に遮音性能を発揮できるので、シンプルな構成で効率よく遮音性能を発揮できると云える。
5)このように、軽量で使い勝手がよく、それでいて遮音性能に優れた薄肉角パイプ2aは、標準仕様のH形鋼等を用いたH形の支柱1に簡易に取り付けることができるので、例えば、既存の遮音壁に用いられているコンクリート遮音パネルが経年劣化等して取り替えを必要とするような場合に、H形の支柱1をそのまま残して容易にコンクリート遮音パネルと代替することもできる。
図15と図16は、請求項1に記載した発明に係る遮音壁の異なる実施例を示している。この実施例2に係る遮音壁20は、上記実施例1に係る遮音壁10と比して、遮音パネルを構成する金属製の薄肉角パイプの断面形状のみが相違する。すなわち、この実施例2に係る遮音パネル12を構成する前記薄肉角パイプ12aは、図15に示したように、その上面に軸方向に連続する凹部12b(又は凸部)を形成し、下面に前記凹部12b(又は凸部)が嵌まり合う形状の凸部12c(又は凹部)を形成して実施しており(請求項5記載の発明)、図16に示したように複数積み重ねて遮音パネル2を構築している。
なお、前記凹部12b又は凸部12cの形状は図示例に限定されるものではなく、互いに嵌合可能な形状であればよい。また、図示例の構成とは逆に、その上面に凸部12cを形成し下面に当該凸部12cが嵌まり合う凹部12bを形成して実施することもできる。但し、最下段に設ける薄肉角パイプ12aの下面、及び最上段に設ける薄肉角パイプ12aの上面は、それぞれ扁平形状で実施することが好ましい。
したがって、この実施例2に係る遮音壁20は、上記実施例1に係る遮音壁10の作用効果(段落[0023]参照)に加えて、薄肉角パイプ12aの積み重ね作業を遂行するにあたり、薄肉角パイプ12aの凸部12cと凹部12bとを嵌め合わせることで簡易に位置決めできる施工上の利点があるほか、遮音壁20を正面方向から見て、僅かな隙間さえ生じさせない遮音パネル12を構築でき、前記図11に示したような音漏れ防止パッキング6を使用することもなく、遮音性能をより向上させた遮音壁を構築できる。
以上に実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
例えば、図17に示したように、遮音壁10(20)の設置部位に盛土等がある場合には、隣り合う支柱1、1間の溝内に、先ず、必要な高さの土留め板4を落とし込み、次いで薄肉角パイプ2a(12a)を順次に積み重ねる等の工夫は適宜行われる。
本発明に係る遮音壁の全体構造を示した斜視図である。 本発明に係る遮音壁を示した立断面図である。 図2の平面図である。 図3の枢要部を示した拡大図である。 実施例1に係る遮音壁に用いる金属製の薄肉角パイプを示した斜視図である。 実施例1に係る遮音壁の端部構造を一部分解して示した斜視図である。 実施例1に係る遮音壁の端部構造を表側面から見た斜視図である。 実施例1に係る遮音壁の端部構造を裏側面から見た斜視図である。 種々の金属製の薄肉角パイプについて、1/3オクターブバンド中心周波数に対する音響透過損失をプロットしたグラフである。 種々の金属製の薄肉角パイプについて、1/3オクターブバンド中心周波数に対する音響透過損失をプロットしたグラフである。 実施例1に係る遮音壁の第1バリエーションの端部構造を一部分解して示した斜視図である。 実施例1に係る遮音壁の第2バリエーションの端部構造を一部分解して示した斜視図である。 実施例1に係る遮音壁の第2バリエーションの端部構造を表側面から見た斜視図である。 実施例1に係る遮音壁の第2バリエーションの端部構造を裏側面から見た斜視図である。 実施例2に係る遮音壁に用いる金属製の薄肉角パイプを示した斜視図である。 実施例2に係る遮音壁の端部構造を表側面から見た斜視図である。 その他の実施例に係る遮音壁を示した立断面図である。
符号の説明
1 H形の支柱
2 遮音パネル
2a 金属製の薄肉角パイプ
3 固定部材(押さえパイプ)
4 土留め板
5 板ばね
6 音漏れ防止パッキング
10 遮音壁
11 鋼管(コンクリート基礎ブロック)
12 遮音パネル
12a 金属製の薄肉角パイプ
20 遮音壁

Claims (6)

  1. 所定間隔で立てられた水平断面がH形の支柱の隣り合う支柱間に遮音パネルを建て込んで構築された遮音壁において、
    前記遮音パネルは、金属製の薄肉角パイプを中空構造のまま上下に複数積み重ねて構築されていることを特徴とする、遮音壁。
  2. 前記遮音パネルは、H形の支柱のフランジとの間に、固定部材を介在させて前記支柱に固定されていることを特徴とする、請求項1に記載した遮音壁。
  3. 前記固定部材は角形鋼管であり、前記角形鋼管は前記H形の支柱のウエブに当接して立てられており、前記H形の支柱および遮音パネルとこれらを固定する前記固定部材によって、遮音壁の下端から上端までの間に音の透過部を有しないことを特徴とする、請求項1又は2に記載した遮音壁。
  4. 請求項1〜3のいずれか一に記載した遮音壁に用いる遮音パネルは、金属製の薄肉角パイプを中空構造のまま支柱間の上下に複数積み重ねて構成されていることを特徴とする、遮音パネル。
  5. 前記金属製の薄肉角パイプは、その上面に軸方向に連続する凹部又は凸部が形成され、下面に前記凹部又は凸部が嵌り合う形状の凸部又は凹部が形成されていることを特徴とする、請求項4に記載した遮音パネル。
  6. 前記金属製の薄肉角パイプは、肉厚が0.8mm〜1.6mmの鋼板で成形されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載した遮音パネル。
JP2007325499A 2007-12-18 2007-12-18 遮音壁および同遮音壁に用いる遮音パネル Active JP5001813B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007325499A JP5001813B2 (ja) 2007-12-18 2007-12-18 遮音壁および同遮音壁に用いる遮音パネル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007325499A JP5001813B2 (ja) 2007-12-18 2007-12-18 遮音壁および同遮音壁に用いる遮音パネル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009144485A true JP2009144485A (ja) 2009-07-02
JP5001813B2 JP5001813B2 (ja) 2012-08-15

Family

ID=40915400

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007325499A Active JP5001813B2 (ja) 2007-12-18 2007-12-18 遮音壁および同遮音壁に用いる遮音パネル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5001813B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101147670B1 (ko) 2011-09-19 2012-05-21 (주) 태평양지질 프리캐스트 스트립을 이용한 방음벽 기초대 및 이를 포함하는 방음벽 구조물
JP2016148239A (ja) * 2015-02-05 2016-08-18 日鐵住金建材株式会社 遮音板の組み合わせ探索プログラム及びそのシステム、遮音板の組み合わせ設計方法
JP2017145608A (ja) * 2016-02-17 2017-08-24 備讃商事株式会社 防音パネル

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5273511U (ja) * 1975-11-28 1977-06-01
JPH08284119A (ja) * 1995-04-11 1996-10-29 Takiron Co Ltd 遮音壁
JP2004132018A (ja) * 2002-10-09 2004-04-30 Tokyo Seiko Co Ltd 遮音壁
JP2005350923A (ja) * 2004-06-09 2005-12-22 Sankyo Alum Ind Co Ltd パネル体

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5273511U (ja) * 1975-11-28 1977-06-01
JPH08284119A (ja) * 1995-04-11 1996-10-29 Takiron Co Ltd 遮音壁
JP2004132018A (ja) * 2002-10-09 2004-04-30 Tokyo Seiko Co Ltd 遮音壁
JP2005350923A (ja) * 2004-06-09 2005-12-22 Sankyo Alum Ind Co Ltd パネル体

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101147670B1 (ko) 2011-09-19 2012-05-21 (주) 태평양지질 프리캐스트 스트립을 이용한 방음벽 기초대 및 이를 포함하는 방음벽 구조물
JP2016148239A (ja) * 2015-02-05 2016-08-18 日鐵住金建材株式会社 遮音板の組み合わせ探索プログラム及びそのシステム、遮音板の組み合わせ設計方法
JP2017145608A (ja) * 2016-02-17 2017-08-24 備讃商事株式会社 防音パネル

Also Published As

Publication number Publication date
JP5001813B2 (ja) 2012-08-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Sezen et al. Performance of reinforced concrete buildings during the August 17, 1999 Kocaeli, Turkey earthquake, and seismic design and construction practise in Turkey
KR101767677B1 (ko) 스틸 콘크리트 합성기둥구조
US20140007527A1 (en) Barrier Wall and Method of Forming Wall Panels Between Vertical Wall Stiffeners with Support Members Extending Partially Through the Wall Panels
KR100802515B1 (ko) 한 쌍의 강재빔을 포함하는 프리캐스트 합성보를 이용한합성바닥판구조
JP5001813B2 (ja) 遮音壁および同遮音壁に用いる遮音パネル
KR100815230B1 (ko) 복부에 관통홀이 형성된 한 쌍의 강재빔을 포함하는프리캐스트 합성보를 이용한 합성바닥판 구조 및 그시공방법
EP0843045B1 (en) Acoustic insulating panel
KR101356245B1 (ko) 층고절감형 3층 4단 콘크리트 슬래브 장스판 공작물 주차장
JP5997010B2 (ja) 橋脚の上縁拡幅構造及び上縁拡幅方法
KR102382352B1 (ko) 합성기둥 및, 합성기둥 구조체
KR102309544B1 (ko) 건축물의 기둥과 보 연결 구조 및 이를 이용한 건축물의 시공방법
CA3055844A1 (en) Temporary exterior noise interruption pollution wall
JP5448193B2 (ja) 仮設屋根支持構造
KR100379783B1 (ko) 춤이 깊은 건축용 합성 데크플레이트
KR20110119470A (ko) 다중강성의 지주를 갖는 방음벽
KR101008962B1 (ko) 연속 경량성형재에 의한 비연속 중공슬래브, 및 비연속 중공슬래브의 시공을 위한 연속 경량성형재와 하프pc슬래브
CN201024713Y (zh) 新型建筑物隔震结构
JP2007023712A (ja) 形鋼を用いた柱状構造体、橋脚又は基礎杭及び、その製作方法
WO2013010217A1 (en) Noise abatement panel
KR102137389B1 (ko) 지하박스구조물의 비개착 보강연결구조 및 그 시공방법
CN105421687A (zh) 一种钢筋混凝土楼梯隔震方式与施工方法
CN202850247U (zh) 隔声模块及带隔声模块的内嵌桁架结构的吸隔声复合结构
JP4427601B1 (ja) 懸架式防音壁構築構造
JP6818503B2 (ja) 建物
JP4885039B2 (ja) 軽量盛土構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120426

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120508

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120518

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5001813

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150525

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350