JP2009143017A - 素子基板、及びその素子基板を有する記録ヘッド、ヘッドカートリッジ、記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 各ヒータに定電流を供給することで各ヒータに投入するエネルギーのばらつきを軽減する一方、各ヒータに投入するエネルギーを多段階に変化させることが可能な素子基板を提供する。
【解決手段】 素子基板であって、複数の記録素子と、前記複数の記録素子を駆動するために用いる定電流を発生する定電流源とを有する。また、前記定電流の電流値を決定し該電流値がそれぞれ異なる複数の電流値決定データを外部から入力して保持する保持回路と、前記保持回路に保持された複数の電流値決定データから電流値決定データを選択する選択回路と、を有する。また、前記定電流源は、前記選択回路により選択された電流値決定データに従って、前記複数の記録素子を駆動するために用いる定電流の電流値を切り替える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、インクを吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録ヘッド用の素子基板、及びその素子基板を有する記録ヘッド、ヘッドカートリッジ、記録装置に関する。
インクジェット記録方式は、ヒータや圧電素子などの記録素子を使い液体を吐出口から排出させ、記録媒体上の所定位置に液滴を着弾させる事で画像を形成する記録方式である。このため、各吐出口に対応して記録素子をインクジェット記録ヘッド用の素子基板上に配置し、出力する画像に応じて選択的に記録素子でインクを吐出するためのエネルギーを発生させて液滴を吐出している。
近年、インクジェット記録装置は、さらに高速で高画質に記録することが要求されている。このため、記録素子としてヒータを用いた記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置においてヒータを駆動する際、記録速度を向上するため、なるべく多くのヒータを同時に高速に駆動することが求められている。また、多数のヒータとその駆動回路は同一の素子基板上に形成されるが、1つの半導体ウェハから取得する素子基板の個数を増加させることでコストダウンすることが好ましい。このため、素子基板を小型化することも求められている。
ところが、素子基板では同時に駆動するヒータの数に対応した配線が必要となる。このため、同時に駆動するヒータの数を増やすと、素子基板の面積が限られている場合には、配線1本当たりの面積を減少させるために各配線を細くすることとなり配線抵抗が増加する。さらに、各配線を細くすることにより、同一素子基板内の各配線の配線抵抗のバラツキも増加することになる。このような問題は、素子基板を小型化する場合にも同様に生じ、配線抵抗が増加し、配線抵抗のバラツキも増加することになる。素子基板内では、ヒータとこのヒータに駆動電圧を印加するための配線は電源に対して直列に接続されているため、配線抵抗の増加と配線抵抗のバラツキの増加により、各ヒータに印加される電圧の変動割合が増加する。
ヒータに印加される電圧が、過小であればインクの吐出は不安定となり、過大であればヒータの使用可能期間を短くする原因となる。高画質に記録するためには、各ヒータに印加される電圧にバラツキがないことが望ましい。各ヒータに印加される電圧のバラツキが大きいと、インクの吐出が不安定となるヒータが存在する場合や、一部のヒータの使用可能期間が短くなる場合がある。
また、素子基板の外部での配線は、複数のヒータに対して共通となっているため、同時に駆動するヒータの数によって、共通の配線での電圧降下が異なる。
このような課題に対して、ヒータに定電流を供給することで各ヒータに投入するエネルギーのバラツキを軽減する回路を有する素子基板が開示されている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載されている主な素子基板及びその動作について図8を用いて説明する。
図8の素子基板は、基準電圧回路101、電流調整回路102、基準電流生成回路103、及び定電流源ブロック104とから構成されている。また、x個のヒータとこれらのヒータに対応するx個のスイッチング素子からなるm個のグループを有し、ヒータの総数は(x×m)個である。
図8の素子基板において、基準電圧回路101は、電流調整回路102の基準電圧(Vref)を生成する。
電流調整回路102は、基準電圧回路101の出力である基準電圧(Vref)をもとに、ヒータを駆動する電流値を決定する電流値決定データに応じた可変電流出力を生成する。この素子基板は、電圧変換の基本構成を抵抗値(R)とその2倍の抵抗値(2R)で構成されたR―2Rの抵抗配列で構成されるデジタルーアナログ変換回路を用いている。電流調整回路102は、シフトレジスタ(S/R)102aとラッチ回路(Latch)102bとで構成されるシリアルーパラレル変換回路と、R―2Rの抵抗配列とMOSトランジスタとからなる電流可変回路の2つのブロックから構成されている。
シリアルーパラレル変換回路は、クロック信号(CLK)に同期して電流値決定データ(DATA)を記録装置本体から取り込むシフトレジスタ(S/R)102aを有する。また、シフトレジスタ(S/R)102aから出力された電流値決定データをラッチ信号(LT)に同期してシリアルに取り込むラッチ回路(Latch)102bを有する。シフトレジスタ102aとラッチ回路102bは、電流可変回路が扱う信号のビット数に対応してn個ずつ設けられ、任意の電流値決定データを各ラッチ回路から出力することでシリアルーパラレル変換されて電流可変回路に出力される。
電流可変回路は、抵抗と、スイッチとして作用するMOSトランジスタとで構成されている。そして、抵抗値を“R”とする(n+1)個の抵抗ra1〜ran+1は接地端(GND)を一端として直列に接続されている。一方、抵抗ra1〜ran+1の2倍の抵抗値“2R”を有する抵抗rb1〜rbn+1の一端は、抵抗ra1〜ran+1の各接続点に接続されている。また、他端はMOSトランジスタ102−1a〜102−na、及び102−1b〜102−nbの各ソースにそれぞれ接続されている。
MOSトランジスタ102−1a〜102−na及びMOSトランジスタ102−1b〜102−nbの各ドレインは、基準電流出力端(Iref)及び基準電圧(Vref)に接続されている。一方、MOSトランジスタ102−1a〜102−naのゲートにはラッチ回路102bから電流値決定データが供給される。そして、MOSトランジスタ102−1a〜102−naと対をなすMOSトランジスタ102−1b〜102−nbのゲートにはラッチ回路102bから出力された電流値決定データをインバータ102cにより反転した信号が供給される。
MOSトランジスタ102−1a〜102−na及びMOSトランジスタ102−1b〜102−nbは、ソース及びドレイン間をオン/オフするスイッチとして機能し、ラッチ回路102bから出力された電流値決定データによって制御される。
オペアンプ102dはその正転入力端子(+)が基準電圧(Vref)及びMOSトランジスタ102−1b〜102−nbのドレインに接続されている。また、その反転入力端子(−)がMOSトランジスタ102−1a〜102−naのドレイン及び可変電流出力の出力用のMOSトランジスタ102eのソースに接続されている。なお、オペアンプ102dの出力端子はMOSトランジスタ102eのゲートに接続されている。そして、MOSトランジスタ102eは電流(Iref)の出力端子となり、基準電流生成回路103に出力される。
また、オペアンプ102dの反転入力端子(−)には、その信号電位が正転入力端子(+)に接続された基準電圧(Vref)と同電位となるような可変電流出力の出力用のMOSトランジスタ102eのソースからの出力が入力される。なお、オペアンプ102dからの出力は可変電流出力の出力用のMOSトランジスタ102eのゲートに入力され、そのソースからの出力を制御している。その結果、オペアンプ102dの反転入力端子(−)に接続されるMOSトランジスタ102−1a〜102−naのドレインにも基準電圧(Vref)が印加される。
一方、MOSトランジスタ102−1b〜102−nbのドレインには基準電圧(Vref)が入力される。MOSトランジスタ102−1a〜102−na及びMOSトランジスタ102−1b〜102−nbは、それぞれ対をなしており、それぞれのMOSトランジスタ対のゲートはインバータ102cを介して接続されている。このため、それぞれのMOSトランジスタ対においていずれかのMOSトランジスタは常にオンとなる。
ここで、MOSトランジスタ102−1a〜102−na及びMOSトランジスタ102−1b〜102−nbがオン時のソースとドレイン間の抵抗が、rb1〜rbn+1の抵抗(2R)に対して無視できるほど小さいとする。すると、常にrb1〜rbn+1の一端には、MOSトランジスタ102−1a〜102−na又はMOSトランジスタ102−1b〜102−nbを介して、基準電圧(Vrer)が印加される。
ここで、抵抗rb1〜rbn+1に流れる電流I1〜Inは各々、I1=Vref/(2×R)、I2=Vref/(2×2×R)、……、In=Vref/(2n×R)となる。MOSトランジスタ102−1a〜102−naの内の電流値決定データのオン信号に対応したMOSトランジスタから、I1〜Inの内の対応する電流の合計が電流出力端子(Iout)に出力される。
上述のように、I1〜Inの各電流は1/2づつ重みづけされている。このため、MOSトランジスタ102−1a〜102−naに入力される電流値決定データを制御することにより2n種類の値をもつ電流を電流出力端子(Iout)より出力することができる。言い換えると、出力される基準電流(Iref)は0〜Vref/Rの範囲で2n段階に可変である。
なお、MOSトランジスタ102eのソースとGND間に抵抗値(R1)の抵抗Roffを接続することで、抵抗Roffの両端にVrefが印加され、Vref/R1の電流を常に流すことができる。従って、電流をVref/R1〜Vref/R1+Vref/Rの範囲で可変にすることができる。
図8から分かるように、基準電流(Iref)と定電流源106―1〜106−mはカレントミラー回路を構成し、基準電流(Iref)をもとに、定電流源106−1〜106−mより基準電流(Iref)に比例する定電流Ih1からIhmを出力する。
定電流源ブロック104は、x個のヒータとこのヒータに対応するx個のスイッチング素子とからなるm個のグループ1100−1〜1100−mと、各グループに対応したm個の定電流源106−1〜106−mからなる。なお、1101−11〜1101−mxの合計m×x個のヒータと、1102−11〜1102−mxの合計m×x個のスイッチング素子が含まれている。MOSトランジスタであるそれぞれのスイッチング素子は、制御回路からの制御信号により、電流の短絡/開放が制御される。各グループ内のスイッチング素子は対応する定電流源に対して、共通の接続端を介して共通に接続される。
そして、グループ内のスイッチング素子を制御信号によりオンまたはオフの制御をすることで、各ブロックに対応して設けられた定電流源106−1〜106−mの出力電流Ih1からIhmを所望のヒータへ投入している。
一方、インクを加熱して泡を発生させ、この泡によりインクを吐出口から吐出させるインクジェット記録方式において、泡を発生させるためのヒータの加熱の前に予備加熱を行う技術が開示されている(特許文献2参照)。この予備加熱を行うために用いられるパルスとして、図9(a)の一定の単一パルス、図9(b)の電圧が途中で変化する単一パルス、図9(c)の同一の電圧の複数のパルス、図9(d)の異なる電圧の複数のパルスを用いている。
図9(a)及び図9(c)で示されるような一定の電圧をパルス幅を変えてヒータへ印加する技術は、予備加熱の場合に限らずインクを吐出させる際の加熱の場合においても、従来から行われている。また、ヒータに定電流を供給することで各ヒータに投入するエネルギーを一定にする回路を有する素子基板においても従来から多くの場合において適用されてきた。一方、図9(b)及び図9(d)で示されるような途中で変化する電圧をヒータへ印加する技術をこのような素子基板に適用することが望まれている。途中で変化する電圧をヒータへ印加することにより、インクを吐出する上での様々な性能を向上できると考えられるためである。
特開2006−7763号公報
特開平05−193132号公報
しかしながら、図9(b)及び図9(d)で示されるような途中で変化する電圧をヒータへ印加する技術を、ヒータに定電流を供給することで各ヒータに投入するエネルギーのバラツキを軽減する回路を有する素子基板に適用することは困難である。
ここで、特許文献1の素子基板における電流値の制御動作を説明する。図10は、特許文献1の素子基板における電流調整回路102に入力される各種信号のタイミングチャートである。
図10には、クロック信号(CLK)、電流値決定データ(DATA)、ラッチ信号(LT)の入力波形が示されており、このタイミングチャートはヒータへ流れる電流値を1回設定するための1シーケンス分のタイミングを示している。図10によれば、クロック信号のパルスの立ち上がりに同期してnビットのシリアルデータ(D1、D2、D3、……、Dn)が電流値決定データとして入力される。nビットの電流値決定データはクロック信号のn回のパルスの立ち上がりに同期してシフトレジスタに入力される。シフトレジスタに格納されたnビットの電流値決定データは、ラッチ信号が“H”となるとラッチ回路によりラッチされる。そして、ラッチ回路からnビットの電流値決定データが、電流調整回路102のMOSトランジスタ102−1a〜102−naに対し同時に出力される。電流調整回路102はnビットの電流値決定データに応じてn個のMOSトランジスタ102−1a〜102−naのオンまたはオフの制御を行う。そして、そのnビットの電流値決定データにより選択されたMOSトランジスタから出力され、重み付けされた電流値を加算した電流が基準電流(Iref)となる。この基準電流は、クロック信号及び電流値決定データを入力してからラッチ信号が“H”となるまでの1回のシーケンスにより一回設定される。従って、所望の電流値に対応する電流値決定データを入力し、このシーケンスを繰り返すことで基準電流値を変更することができる。
図9(b)及び図9(d)のようにヒータに投入する電流値を変更させるためには、電流値決定データをMOSトランジスタへ出力してから所定時間内に変更後の電流値を設定するための電流値決定データをシフトレジスタに送信しておかなければならない。高速記録が求められている近年では吐出周波数が高くなり、吐出時間は数μsとなってきている。また、クロック信号の周波数を高くして短時間で電流値決定データを転送する場合、周波数が高くなると外部へ拡散するノイズが大きくなるため周波数を高くするには限界がある。このため、電流値決定データをMOSトランジスタへ出力してから所定時間内に変更後の電流値を設定するための電流値決定データをシフトレジスタに送信するのは困難である。
そこで、本発明は、各ヒータに定電流を供給することで各ヒータに投入するエネルギーのばらつきを軽減する一方、各ヒータに投入するエネルギーを多段階に変化させることが可能な素子基板を提供することを目的とする。また、その素子基板を有する記録ヘッド、ヘッドカートリッジ、記録装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、複数の記録素子と、前記複数の記録素子を駆動するために用いる定電流を発生する定電流源とを有する素子基板であって、
前記定電流の電流値を決定し該電流値がそれぞれ異なる複数の電流値決定データを外部から入力して保持する保持回路と、
前記保持回路に保持された複数の電流値決定データから電流値決定データを選択する選択回路と、
を有し、
前記定電流源は、前記選択回路により選択された電流値決定データに従って、前記複数の記録素子を駆動するために用いる定電流の電流値を切り替えることを特徴とする。
前記定電流の電流値を決定し該電流値がそれぞれ異なる複数の電流値決定データを外部から入力して保持する保持回路と、
前記保持回路に保持された複数の電流値決定データから電流値決定データを選択する選択回路と、
を有し、
前記定電流源は、前記選択回路により選択された電流値決定データに従って、前記複数の記録素子を駆動するために用いる定電流の電流値を切り替えることを特徴とする。
また、上記課題を解決するための別の本発明は、前記素子基板を有する記録ヘッド、ヘッドカートリッジ、記録装置である。
本発明によれば、各ヒータに定電流源から共通の電流値の電流を供給することで各ヒータに投入するエネルギーのばらつきを軽減する一方、各ヒータに投入するエネルギーを多段階に変化させることが可能になる。また、電流値決定データによって電流値を変更してから、電流値を変更するための電流値決定データを入力する時間を待つことなく、電流値を変更することが可能になる。このため、高い吐出周波数でヒータを駆動する場合に各ヒータに供給する電流の電流値を多段階に変化させることで、ヒータに投入するエネルギーの自由度を高くすることが可能となる。また、各ヒータに定電流源から共通の電流値の電流を供給するため、ヒータ以外の既成抵抗分による電圧降下による影響を受けないで済み、精度良くヒータに供給する電流を変更できる。
以下に、本発明の具体的な実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、この明細書において、「記録」(以下、「プリント」とも称する)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、又は媒体の加工を行う場合も表すものとする。また、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
また、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成又は記録媒体の加工、或いはインクの処理に供され得る液体を表すものとする。インクの処理としては、例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固又は不溶化させることが挙げられる。
なお、説明に用いる「素子基板」とは、シリコン半導体からなる単なる基体を指し示すものではなく、各素子や配線等が設けられた基体を示すものである。
「素子基板上」とは、単に素子基板の表面上を指し示すだけでなく、素子基板の表面上、表面近傍の素子基体内部側をも示すものである。また、本発明でいう「作り込み」とは、別体の各素子を単に基体上に配置することを指し示している言葉ではなく、各素子を半導体回路の製造工程等によって素子基板上に一体的に形成、製造することを示すものである。
(実施例1)
図5は、本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置の構成の概要を示す外観斜視図である。
図5は、本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置の構成の概要を示す外観斜視図である。
図5に示すように、インクジェット記録装置(以下、記録装置という)は、インクジェット方式に従ってインクを吐出して記録を行う記録ヘッド3を搭載している。記録ヘッド3を搭載したキャリッジ2にキャリッジモータM1によって発生する駆動力を伝達機構4より伝え、キャリッジ2を主走査方向である矢印A方向に往復移動(往復走査)させる。この往復走査とともに、例えば、記録紙などの記録媒体Pを給紙機構5を介して給紙し、記録位置まで搬送し、その記録位置において記録ヘッド3から記録媒体Pにインクを吐出することで記録を行う。
記録装置のキャリッジ2には記録ヘッド3を搭載するのみならず、記録ヘッド3に供給するインクを収容するインクタンク6を装着する。このインクタンク6は、キャリッジ2に対して着脱可能になっている。
図5に示した記録装置はカラー記録が可能であり、そのためキャリッジ2にはマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のインクをそれぞれ収容した4つのインクタンクを搭載している。これら4つのインクタンクはそれぞれ独立に着脱可能である。
キャリッジ2と記録ヘッド3とは、両部材の接合面が適正に接触されて所要の電気的接続を達成維持できるようになっている。記録ヘッド3は、記録信号に応じてエネルギーを印加することにより、複数の吐出口からインクを選択的に吐出して記録する。特に、本実施例の記録ヘッド3は、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット方式を採用し、熱エネルギーを発生するためにヒータを備える。そのヒータに印加される電気エネルギーが熱エネルギーへと変換され、その熱エネルギーをインクに与えることにより生じる膜沸騰による気泡の成長、収縮によって生じる圧力変化を利用して、吐出口よりインクを吐出させる。この記録素子としてのヒータは各吐出口のそれぞれに対応して設けられ、記録信号に応じて対応するヒータにパルス電圧を印加することによって対応する吐出口からインクを吐出する。
図5に示されているように、キャリッジ2はキャリッジモータM1の駆動力を伝達する伝達機構4の駆動ベルト7の一部に連結されており、ガイドシャフト13に沿って矢印A方向に摺動自在に案内支持されるようになっている。したがって、キャリッジ2は、キャリッジモータM1の正転及び逆転によってガイドシャフト13に沿って往復走査する。また、キャリッジ2の主走査方向(矢印A方向)に沿ってキャリッジ2の位置を示すためのスケール8が備えられている。
また、記録装置には、記録ヘッド3の吐出口(不図示)が形成された吐出口面に対向してプラテン(不図示)が設けられており、キャリッジモータM1の駆動力によって記録ヘッド3を搭載したキャリッジ2が往復走査される。これと同時に、記録ヘッド3に記録信号を与えてインクを吐出することによって、プラテン上に搬送された記録媒体Pの全幅にわたって記録が行われる。
記録装置には、記録ヘッド3を搭載するキャリッジ2の記録動作のための往復運動の範囲外(記録領域外)の位置に、記録ヘッド3の吐出不良を回復するための回復装置10が配設されている。
回復装置10は、記録ヘッド3の吐出口面をキャップするキャッピング機構11と記録ヘッド3の吐出口面をクリーニングするワイピング機構12を備えている。そして、キャッピング機構11による吐出口面のキャッピングに連動して回復装置内の吸引手段(吸引ポンプ等)により吐出口からインクを強制的に排出させる。それによって、記録ヘッド3のインク流路内の粘度の増したインクや気泡等を除去するなどの吐出回復動作を行う。
また、非記録動作時等には、記録ヘッド3の吐出口面をキャッピング機構11によるキャッピングすることによって、記録ヘッド3を保護するとともにインクの蒸発や乾燥を防止することができる。一方、ワイピング機構12はキャッピング機構11の近傍に配され、記録ヘッド3の吐出口面に付着したインク滴を拭き取るようになっている。
また、記録装置では、キャッピング機構11に記録に関係しないインクを吐出することにより、予備吐出を行うことができる構成となっている。
これらキャッピング機構11を使用した吸引動作及び予備吐出動作、ワイピング機構12を使用したワイパー動作により、記録ヘッド3のインク吐出状態を正常に保つことが可能となっている。
図6は、図5に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。
図6に示すように、コントローラ600は、MPU601、所要のテーブル、その他の固定データを格納したROM602を有する。また、キャリッジモータM1の制御、搬送モータM2の制御、及び、記録ヘッド3の制御のための制御信号を生成する特殊用途集積回路(ASIC)603を有する。また、画像データの展開領域やプログラム実行のための作業用領域等を設けたRAM604を有する。また、MPU601、ASIC603、RAM604を相互に接続してデータの授受を行うシステムバス605を有する。さらに、以下に説明するセンサ群から入力されたアナログ信号をデジタル信号にA/D変換し、デジタル信号をMPU601に供給するA/D変換器606を有する。また、コントローラ600は、予備吐出時および記録時において、所定の時間間隔となるように前記複数のノズルを駆動する。
また、610は画像データの供給源となるコンピュータ等でありホストと総称される。ホスト610と記録装置との間ではインタフェース(I/F)611を介して画像データ、コマンド、ステータス信号等を送受信する。
さらに、620はスイッチ群であり、電源スイッチ621、プリント開始を指令するためのプリントスイッチ622、及び回復動作の起動を指示するための回復スイッチ623など、操作者による指令入力を受けるためのスイッチから構成される。630はホームポジションを検出するためのフォトカプラなどの位置センサ631、環境温度を検出するために記録装置の適宜の箇所に設けられた温度センサ632等から構成される装置状態を検出するためのセンサ群である。
さらに、640はキャリッジモータM1を駆動させるキャリッジモータドライバ、642は搬送モータM2を駆動させる搬送モータドライバである。
図5では、インクタンク6と記録ヘッド3とが分離された構成について示したが、本実施例はインクタンクと記録ヘッドとが一体に形成されたヘッドカートリッジであっても良い。
図7は、インクタンク6と記録ヘッド3とが一体的に形成されたヘッドカートリッジ100の構成を示す外観斜視図である。同図において、点線Kはインクタンク6と記録ヘッド3の境界線を示すものであるである。また、500は吐出口が複数配列してなるインク吐出口列である。インクタンク6に収容されるインクは、不図示のインク供給路を介して記録ヘッド3に供給される。ヘッドカートリッジ100には、キャリッジ2に搭載されたときに、キャリッジ2側から供給される電気信号を受け取るための電極(不図示)が設けられている。そして、この電気信号によって記録ヘッド3が駆動されて、吐出口列500の各吐出口から選択的にインクが吐出される。
図1は、本発明の素子基板における代表的な実施例である。
図1の素子基板は、基準電圧回路101、電流調整回路105、基準電流生成回路103、及び定電流源ブロック104とから構成されている。また、x個のヒータとこれらのヒータに対応するx個のスイッチング素子からなるm個のグループを有し、ヒータの総数は(x×m)個である。ここでは、t種類の電流値の電流によってヒータを駆動する場合について説明する。なお、基準電圧回路101、基準電流生成回路103、及び定電流源ブロック104は、図8の素子基板と同一の構成となっているため、これらについての詳細な説明は省略する。
電流調整回路105には、新規の切替え回路が作り込まれている。この切替え回路は、外部から入力し、ヒータを駆動する電流値を決定するt種類の異なる電流値決定データ(DATA−1からDATA−t)を保持するためのデータ保持回路を有している。また、t種類の選択用データ(SWDATA−1からSWDATA−t)によってt種類の電流値決定データのいずれかを選択するための選択回路(Select)を有している。データ保持回路は、t個のシフトレジスタ(S/R)とこれに対応するt個のラッチ回路(Latch)を1個のグループとするn個のグループを有している。各グループのそれぞれのシフトレジスタにはそれぞれ対応した電流値決定データ(DATA−1〜DATA−t)が入力される。
図2は、データ保持回路のシフトレジスタ及びラッチ回路に印加される各信号のタイミングチャートである。図2には、クロック信号(CLK)、電流値決定データ(DATA−1からDATA−t)、ラッチ信号(LT)の入力波形が示されている。このタイミングチャートは、各ヒータに流れる電流の電流値を一回設定するための1シーケンス分のタイミングを示している。図2によれば、クロック信号のパルスの立ち上がりに同期してt種類の電流値決定データ(DATA−1からDATA−t)それぞれにより、nビットのシリアルデータ(D1−1…D1−n、D2−1…D2−n、…、Dt−1…Dt−n)が入力される。nビットの電流値決定データはクロック信号のn回目のパルスの立ち上がりに同期してパラレルにシフトレジスタに入力される。シフトレジスタに格納されたnビットの電流値決定データは、ラッチ信号が“H”となると、各シフトレジスタに対応する各ラッチ回路で、電流値決定データをラッチする。本実施例の素子基板においては、クロック信号とラッチ信号のそれぞれ1回ずつの入力によって、(t×n)個のシフトレジスタとラッチ回路が駆動する。
t個のラッチ回路で保持された電流値決定データは1個の選択回路に入力される。さらに、選択用データ(SWDATA−1〜SWDATA−t)により選択回路の出力が切り替わり、対応した電流値決定データ(DATA−1〜DATA−t)が出力される。選択回路の駆動を図3のタイミングチャートを用いて説明する。選択用データ(SWDATA−1〜SWDATA−t)が“H”になると、対応したラッチ回路から選択回路を介して対応するMOSトランジスタに電流値決定データが出力される。なお、Ihは、ヒータに流れる電流を示している。
このように、この実施例の素子基板は、一回の吐出時間よりも1シーケンス分の電流値決定データの転送時間を短くすることで、一回の吐出のためにヒータに供給する電流の電流値をt段階に変化させることが可能である。
(実施例2)
選択回路が、予め電流値決定データ(DATA−1〜DATA−t)を選択する順序を決めていた場合、SWDATAは1本でもよい。図4のタイミングチャートは、選択回路が予め電流値決定データを選択する順序を決めており、SWDATAが1本である場合のヒータに流れる電流とSWDATAのタイミングを示したタイミングチャートである。図4のタイミングチャートで示されるように、SWDATAの立ち上がりと同期して順番に電流値決定データ(DATA−1〜DATA−t)から選択され、電流値を可変することができる。別の表現をすると、選択用データを入力することに伴って、前記複数の電流値決定データから予め定められた記録データを選択し、電流値を可変する。
選択回路が、予め電流値決定データ(DATA−1〜DATA−t)を選択する順序を決めていた場合、SWDATAは1本でもよい。図4のタイミングチャートは、選択回路が予め電流値決定データを選択する順序を決めており、SWDATAが1本である場合のヒータに流れる電流とSWDATAのタイミングを示したタイミングチャートである。図4のタイミングチャートで示されるように、SWDATAの立ち上がりと同期して順番に電流値決定データ(DATA−1〜DATA−t)から選択され、電流値を可変することができる。別の表現をすると、選択用データを入力することに伴って、前記複数の電流値決定データから予め定められた記録データを選択し、電流値を可変する。
105 電流調整回路
106 定電流源
1101 ヒータ
106 定電流源
1101 ヒータ
Claims (10)
- 複数の記録素子と、前記複数の記録素子を駆動するために用いる定電流を発生する定電流源とを有する素子基板であって、
前記定電流の電流値を決定し該電流値がそれぞれ異なる複数の電流値決定データを外部から入力して保持する保持回路と、
前記保持回路に保持された複数の電流値決定データから電流値決定データを選択する選択回路と、
を有し、
前記定電流源は、前記選択回路により選択された電流値決定データに従って、前記複数の記録素子を駆動するために用いる定電流の電流値を切り替えることを特徴とする素子基板。 - 前記選択回路により選択された電流値決定データに従って、前記定電流を発生するための基準電流を生成し、該基準電流を前記定電流源に供給する基準電流生成回路をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の素子基板。
- 前記選択回路は、前記複数の電流値決定データから電流値決定データを選択するための情報を有する選択用データを外部から入力し、該選択用データに従って電流値決定データを選択することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の素子基板。
- 前記選択回路は、前記複数の電流値決定データに対応する複数の前記選択用データのうちのいずれの選択用データを入力するかに従って電流値決定データを選択することを特徴とする請求項3に記載の素子基板。
- 前記選択回路は、前記選択用データを入力することに伴って、前記複数の電流値決定データから予め定められた記録データを選択することを特徴とする請求項3に記載の素子基板。
- 前記保持回路は、前記複数の電流値決定データのビット数に対応するビット数の複数のシフトレジスタと、前記シフトレジスタそれそれに対応するラッチ回路とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の素子基板。
- 前記素子基板は、インクジェット記録ヘッド用の素子基板であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の素子基板。
- 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の素子基板を有することを特徴とする記録ヘッド。
- 請求項8に記載の記録ヘッドとインクを収容したインクタンクとを有することを特徴とするヘッドカートリッジ。
- 請求項8に記載の記録ヘッドまたは請求項9に記載のヘッドカートリッジを有することを特徴とする記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007320063A JP2009143017A (ja) | 2007-12-11 | 2007-12-11 | 素子基板、及びその素子基板を有する記録ヘッド、ヘッドカートリッジ、記録装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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JP2009143017A true JP2009143017A (ja) | 2009-07-02 |
Family
ID=40914237
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2009143017A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014024324A (ja) * | 2012-06-20 | 2014-02-06 | Canon Inc | 記録ヘッド用基板、記録ヘッド及び記録装置 |
-
2007
- 2007-12-11 JP JP2007320063A patent/JP2009143017A/ja not_active Withdrawn
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