JP2009142419A - 発煙消火装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】監視エリアの火災を検知したい箇所に感知部を簡単且つ容易に設置すると共に感知時間を短くして適切に消火可能とする。
【解決手段】噴出口14を備えた筐体12に燃焼により消火用エアロゾルを発生する固形消火剤28を収納する。筐体12には熱感知ケーブル20がコネクタ接続され、火災による熱を受けた際の絶縁被覆の溶融により一対の信号線を短絡状態に接触させる。筐体12の設けた点火回路部32は監視エリアに布設された熱感知ケーブル20の短絡を検出した時にヒータ30の通電過熱により固形消火剤28に点火して燃焼させ、噴射口14から監視エリアに消火用のエアロゾル60を噴出して消火させる。
【選択図】 図5

Description

本発明は、固形消火剤の燃焼により消火用エアロゾルを発生して火災を消火抑制する発煙消火装置に関する。
従来、ケーブルダクト、制御盤、機器筐体内などの閉鎖された密閉空間で発生した火災を消火抑制するため、固形消火剤に点火して燃焼させることで消火用エアロゾルを発生する発煙消火装置が知られている。
このような発煙消火装置にあっては、ケーブルダクトや機器内部の監視エリアに配置したスポット型の感知器により火災を検知した際に、発煙消火器の点火装置に電気信号を送り、固形消火剤に点火して燃焼させるようにしている。固形消火剤の燃焼により発生するエアロゾルは例えば塩化カリウムや臭化カリウムなどを主成分とし、それ以外に水、二酸化炭素及び窒素を含み、燃焼抑制作用により消火抑制を果たすことができる。
特開2005−503853号公報 特開平6−269513号公報
しかしながら、このような従来の発煙消火装置にあっては、監視エリアに感知器をスポット的に配置して火災を検知しているため、感知器の設置位置によって火災が発生した後の感知時間が影響される。例えばケーブルダクトの場合には、感知器の設置場所から離れた位置でケーブル火災が発生した場合、火災検知してエアロゾルが発生するまでの時間遅れが大きくなる。
また機器内部のように監視エリアの構造が複雑であったり、入り組んでいる閉鎖空間では、感知器や発煙消火装置の設置場所が制約を受け、火災を検出してエアロゾルが発生するまでに時間がかかる問題がある。
更に、油のような可燃性液体のような炎が瞬時に出る火災に比べ、ケーブル等が燃える火災では、炎が大きくならずに燻ぶり続けることがあり、温度が上がらずに火災の感知が遅れる可能性が否めない。
本発明は、監視エリアの火災を検知したい箇所に感知部を簡単且つ容易に設置すると共に感知時間を短くして迅速に消火可能とする発煙消火装置を提供することを目的とする。
本発明は発煙消火装置であって、
消火用エアロゾルを噴出する噴出口を備えた筐体と、
筐体に収納され、燃焼により消火用エアロゾルを発生する固形消火剤と、
監視エリアに布設され、火災による熱を受けた際の絶縁被覆の溶融により一対の信号線を短絡状態に接触させる監視エリアに布設された熱感知ケーブルと、
熱感知ケーブルの短絡を検出した時にヒータの通電過熱により固形消火剤に点火して燃焼させる点火回路部と、
を備えたことを特徴とする。
ここで、点火回路部は、熱感知ケーブルの短絡信号によりヒータを通電加熱するヒータ駆動回路を備える。
点火回路部は、
熱感知ケーブルの短絡信号によりヒータを通電加熱するヒータ駆動回路と、
固形消火剤の着火を検知する着火センサと、
着火センサの着火検知信号によりヒータへの通電を停止するヒータ駆動停止回路と、
を備えたことを特徴とする。
筐体は、
エアロゾルの噴出口を開口した筐体本体と、
筐体本体の内部に固形消火剤を収納した消火剤収納ケースと、
消火剤収納ケースから噴出されたエアロゾルを方向を変えて噴出口に導く煙道構造と、
を備える。煙道構造は、記煙道に金網又はフィルタを配置する。
本発明によれば、監視エリアに対し火災を検知するための熱感知ケーブルを自由に配置することができる。例えば機器内部のように監視エリアが複雑な構造であっても、フレキシブルな熱感知ケーブルであることから制約を受けることなく適切に配置できる。また火災の危険性のある場所に布線することで、火災の感知遅れがなく、火災を感知してからエアロゾルを噴出して消火するまでの時間を短くすることができる。
またスポット的な監視ではなく、ライン、面、或いは立体的な火災監視ができ、監視エリアの状況に適合させた最適な火災検知の形態をとることができる。
また監視エリアに自由に熱感知ケーブルを配置して火災を監視できることで、固形消火剤及び点火回路部を収納した筐体の設置場所を必要に応じて自由に決めて火災時に監視エリアに消火用エアロゾルを噴出させることができる。
図1は本発明による発煙消火装置の実施形態を示した説明図である。図1において、本実施形態の発煙消火装置10は前方に噴出口14を開口した筐体12を有し、筐体12の内部に、燃焼により消火用エアロゾルを発生する固形消火剤を収納している。筐体12の噴出口14には、支持フレーム15のビス17による固定で4ピンのコネクタ16が取り付けられている。
コネクタ16に対してはプラグ18を着脱することができ、プラグ18からは電源線22と熱感知ケーブル20が引き出されている。電源線22は発煙消火装置10に対し所定の直流電源電圧を供給する。
熱感知ケーブル20はビニールなどの樹脂で被覆した2本の撚られた信号線であり、発煙消火装置10による監視区域に布線され、2本の信号線に対し発煙消火装置10から電圧が印加されている。
通常監視時にあっては、熱感知ケーブル20の2本の信号線は例えばビニールなどにより絶縁体で被覆されているため、2本の信号線は接触することなく、電流は流れていない。火災が発生した場合には、火災による熱を受けて熱感知ケーブル20の信号線の絶縁被覆であるビニールが溶け、2本の信号線が接触して短絡状態となる。
このため熱感知ケーブル20の2本の信号線が閉回路を構成し、これを発煙消火装置10側に設けている後の説明で明らかにする点火回路部で検出して、収納している固形消火剤に点火して燃焼することにより、噴出口14よりエアロゾルを監視エリアに噴出させる。
図2は図1の実施形態の筐体内部構造を示した断面図であり、図2(A)が平面から見た断面図、図2(B)が側面から見た断面図を示している。
図2において、発煙消火装置10の筐体12は、外側に設けた噴出口14を開口した箱型の筐体本体24と、その内部に消火剤収納ケース26を組み込んでいる。消火剤収納ケース26は、図2(B)から明らかなように、後方に開口した箱型のケース部材であり、前部を取付片40により筐体本体24に固定した取付片40に対し、コネクタ16の支持フレーム15と共にビス17により固定している。
また消火剤収納ケース26の後部については、上下方向に屈曲した支持片36と側面を後方に延在した延在片44を形成し、筐体本体24の上下方向の内面及び後方の内面に対し、浮いた状態となるように消火剤収納ケース26を支持している。
ここで筐体本体24及び消火剤収納ケース26、更にコネクタ16の支持フレーム15は、固形消火剤28の燃焼によりエアロゾルを発生することから、固形消火剤28の燃焼による熱に耐える構造とするため金属材料で作られている。
消火剤収納ケース26の内部には固形消火剤28が収納され、固形消火剤28に対してはヒータ30が取り付けられている。
また筐体本体24の内部には点火回路部32が設けられている。点火回路部32に対しては、コネクタ16側より、図1に示した電源線22からの電源を送る信号線と、熱感知ケーブル20を接続するための信号線が接続され、またヒータ30に対する信号線も接続されている。
点火回路部32は、火災による熱感知ケーブル20の短絡を検出したときに、ヒータ30に通電して加熱することにより固形消火剤28に点火して燃焼させる。
本実施形態で使用する固形消火剤28は、燃焼により消火用のエアロゾルを発生し、エアロゾルは2μm程度の超微粒子であり、その主成分は金属の酸化物、炭酸塩あるいは燐酸塩あるいはその混合物を含有している。
具体的には、塩化カリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウムなどを主成分とし、これに窒素、二酸化炭素、水蒸気などが含まれている。このような主成分を持つエアロゾルにあっては、エアロゾルそのものに毒性がなく、環境に優しい発生ガスということができる。
また固形消火剤28の量は監視エリアの容積に応じて決まるものであるが、監視エリア1立方メートル当たりを消火するに必要なエアロゾルを発生するための固形消火剤28の重量は80グラム〜200グラム程度であり、これに基づき、消火対象とする監視エリアの容量に応じた量の固形消火剤28を消火剤収納ケース26に収納している。
また固形消火剤28の燃焼により発生したエアロゾルによる消火作用は、監視エリアを発生したエアロゾルで満たすことで、火災の発生により燃焼している燃焼の活性中心を消滅、抑制する作用により消火を行う。
固形消火剤28を収納した筐体12の内部には、消火剤収納ケース26の背後からその周囲を通って前方の噴出口14に至る煙道38が形成されている。このように背後から前方に回りこむ煙道の形成は、固形消火剤28と噴出口14との距離を離し、且つ炎の出る向きと噴出口が直線方向とならないよう煙道38を屈曲させた構成としたことで、固形消火剤28の燃焼による炎が外部に吹き出さないようにしている。
また固形消火剤28による炎の噴出を更に効果的に防止するためには、必要に応じて煙道部24の途中に金網などのエアロゾルだけを通過するような火炎噴出防止部材64を配置することが望ましい。本実施形態では、消火剤収納ケース26の後部開口34から延在した延在片44の内側に火炎噴出防止部材64を配置している。
図3は図2の消火剤収納ケースを取り出して示した説明図であり、図3(A)に平面図を、図3(B)に側面から見た断面図を示している。
図3において、消火剤収納ケース26は後方に開放した箱型のケース部材であり、前方側面に筐体本体に固定するための取付片40を固着し、後方は開放され、上下に取付片36を延在すると共に、後方に延在片44を延在している。
消火剤収納ケース26は内部に、図2に示したように固定消火剤28を収納し、火災検出時にヒータ30の通電加熱で点火して燃焼させ、この燃焼により加熱されることから、筐体本体24に対する接触を最小限に抑え、固形消火剤28の燃焼による熱が外側の筐体本体24に伝わり難い構造としている。
また消火剤収納ケース26に収納した固形消火剤28を燃焼した場合、燃焼による炎が噴き出すようになるが、消火剤収納ケース26にあっては、後方に開放した収納室46を形成して、ここに固形消火剤28を収納しているため、固形消火剤28の燃焼による炎は後方の開口から噴き出すことになり、噴き出した炎に伴うエアロゾルは、図2(B)に示すように後方から消火剤収納ケース26の周囲の側方及び上下の隙間となる煙道38を通って前方に移動して噴出口14から噴出されることになる。
このような後方から前方に至る煙道38の形成で、消火剤収納ケース26の開口部から噴き出した固形消火剤28の燃焼による炎は十分に抑制され、噴出口14から外部に噴き出して2次火災などを生ずる恐れはないようにしている。
図4は図2の点火回路部32の実施形態を示した回路図である。図4において、点火回路部32はコネクタ16により監視エリアに布線した熱感知ケーブル20を接続している。点火回路部32には、トランジスタQ1、リレーA、抵抗R1,R2,R3を備えたヒータ駆動回路が設けられている。
即ち、トランジスタQ1は抵抗R1,R2の分圧電圧を抵抗R3を介してベースに接続しており、熱感知ケーブル20に対しては抵抗R1,R2を介して電源電圧が常時、印加されている。
トランジスタQ1はPNPトランジスタであり、コレクタ側に負荷としてリレーAを接続しており、通常監視状態にあっては、熱感知ケーブル20は2本の信号線のビニールなどによる絶縁被覆で開放状態にあることから、電源から電流は流れず、トランジスタQ1はエミッタ,ベース間の電圧が0ボルトであることからオフ状態となっている。
リレーAは、その常開リレー接点a1を介してヒータ30を接続している。また、リレーAの常開リレー接点a2をトランジスタQ1のエミッタ,コレクタ間に接続し、ラッチ回路を形成している。更に、移報端子52に移報用のリレー接点a3を接続している。
火災による熱を受けて熱感知ケーブル20の絶縁被覆であるビニールが溶け、2本の信号線が接触状態になると、抵抗R1,R2を介して熱感知ケーブル20に電流が流れる。このため、抵抗R1に生ずる電圧によりトランジスタQ1のエミッタ、ベース間にバイアス電圧が加わり、これによってトランジスタQ1がオンしてリレーAを作動する。
リレーAが作動すると常開リレー接点a1が閉じ、ヒータ30に通電し、図2(B)に示すように、ヒータ30の通電による加熱で固形消火剤28に点火し、固形消火剤28の燃焼によりエアロゾルを発生して、警戒エリアに噴出させる。
またリレーAの作動によりリレー接点a2が閉じることで、リレーAを作動状態にラッチし、これによって、熱感知ケーブル20の短絡状態の変動による誤動作を防ぐようにしている。
更に、リレー接点a3が閉じることで、外部に対し消火動作が行われたことを示す移報信号を出力する。本実施形態の発煙消火装置10からの移報信号は、発煙消火装置10を組み込んでいる監視エリアに対応して適宜の表示や制御を可能とする。本実施形態の発煙防止装置10をオフィス機器として使用されている例えばコピー機に組み込んでいた場合には、移報信号によりコピー機の音響出力部や表示部を利用してコピー機内での火災発生と消火動作を警報し、同時に、火災の原因となったヒータなどに対するメインの電源を自動的に遮断するといった制御を行う。
図5は図2の点火回路部32の他の実施形態を示した回路図であり、図4のリレーに代えてトランジスタ駆動としたことを特徴とする。図5において、点火回路部32はコネクタ16により監視エリアに布線した熱感知ケーブル20を接続している。点火回路部32には、トランジスタQ1、Q2、Q3、抵抗R1,R2,R3、R4、R5、R6を備えたヒータ駆動回路が設けられている。
即ち、トランジスタQ1は抵抗R1,R2の分圧電圧を抵抗R3を介してベースに接続しており、熱感知ケーブル20に対しては抵抗R1,R2を介して電源電圧が常時、印加されている。
トランジスタQ1はPNPトランジスタであり、コレクタ側に負荷としてトランジスタQ2を接続している。トランジスタQ2のコレクタには電源Vccより抵抗R6を介してヒータ30が接続される。トランジスタQ3はトランジスタQ1をラッチするために並列接続され、そのベースを抵抗R6とヒータ30の間に抵抗R7を介して接続している。
通常監視状態にあっては、熱感知ケーブル20は2本の信号線のビニールなどによる絶縁被覆で開放状態にあることから、電源から電流は流れず、トランジスタQ1はエミッタ、ベース間の電圧がゼロボルトのためオフ状態となり、トランジスタQ2もオフしている。また、トランジスタQ3もエミッタ、ベース間がゼロボルトのため、オフとなっている。
火災による熱を受けて熱感知ケーブル20の絶縁被覆であるビニールが溶け、2本の信号線が接触状態になると、抵抗R1,R2を介して熱感知ケーブル20に電流が流れる。このため、抵抗R1に生ずる電圧によりトランジスタQ1のエミッタ、ベース間にバイアス電圧が加わり、これによってトランジスタQ1がオンし、トランジスタQ2をオンすることでヒータ30に通電し、図2(B)に示すように、固形消火剤28に点火し、固形消火剤28の燃焼によりエアロゾルを発生して、警戒エリアに噴出させる。
またトランジスタQ2のオンによりヒータ30に通電することでトランジスタQ3のエミッタ、ベース間にバイアス電圧が加わってオンし、これによって、熱感知ケーブル20の短絡状態の変動によりトランジスタQ1がオフとなっても、トランジスタQ3のオンによりトランジスタQ2のオンを維持し、誤動作を防ぐようにしている。
図6は本実施形態の動作を示した説明図である。図4または図5に示した点火回路部32による熱感知ケーブル20の火災による短絡状態を検出したヒータ30の通電加熱により、固形消火剤28が点火されて燃焼し、消火用のエアロゾルを発生する。
固形消火剤28の燃焼により発生したエアロゾルは、消火剤収納ケース26の後方の開口から噴き出した後、周囲の空洞である煙道38を通って前方に移動し、コネクタ16を配置している前方の噴出口14からエアロゾル48を監視エリアに噴出させる。
このとき、固形消火剤28による燃焼の炎は後方に噴き出し、前方に折り返している煙道38を迂回して外部に噴き出すようなことはない。また固形消火剤28の燃焼により消火剤収納ケース26が加熱されるが、筐体本体24に対する接触は取付片36、延在片44によりほぼ浮動状態に支持されて接触部分が少ないため、熱伝導による外側の筐体本体24の温度上昇が抑制されている。
図7は図2の点火回路部32の他の実施形態を示した回路図である。図7において、この実施形態の点火回路部32は、図5に示したトランジスタQ1、リレーA、抵抗R1,R2,R3、常開リレー接点a1,a2,a3を備えたヒータ駆動回路とすると、更に、トランジスタQ2、リレーB、常閉リレー接点b1、抵抗R4,R5、R6、及び着火センサ50を備えたヒータ駆動停止回路を設けている。
ヒータ駆動停止回路にあっては、トランジスタQ2のエミッタ、ベース間に抵抗R4,R5,R6を備えたバイアス回路を設け、抵抗R4と並列に着火センサ50を接続している。着火センサ50は、図2(B)に示した消火剤収納ケース26に収納した固形消火剤28の点火部分、即ちヒータ30を設けた部分の近傍に配置されており、固形消火剤28の燃焼による熱を受けると回路を切断する温度ヒューズなどを使用している。
トランジスタQ2はPNPトランジスタであり、そのコレクタにリレーBを接続している。リレーBは常閉リレー接点b1を持ち、常閉リレー接点b1はヒータ駆動回路に設けたリレーAに直列接続されている。
図6の点火回路部32の動作は次のようになる。監視エリアに設置している熱感知ケーブル20が火災による熱を受けて、絶縁被覆であるビニールが溶けて2本の信号線が短絡状態になると、抵抗R1,R2を介して電流が流れ、これによりトランジスタQ1がオンし、リレーAを作動し、常開リレー接点a1を閉じることでヒータ30に通電して固形消火剤28を点火し、燃焼させることで、エアロゾルを発生する。同時に常開リレー接点a2が閉じ、リレーAをラッチする。更にリレー接点a3を閉じて移報信号を出力する。
一方、ヒータ駆動停止回路のトランジスタQ2は、通常時は着火センサ50による抵抗R4の短絡でエミッタ、ベース間をゼロボルトとしてオフ状態にあり、リレーBは非作動状態にある。
この状態で火災検出によるヒータ30の通電で固形消火剤28が燃焼すると、この燃焼による熱を受けて着火センサ50の回路が温度ヒューズの溶断などにより開放される。着火センサ50が回路を開放すると、抵抗R4間に発生する電圧でトランジスタQ2のエミッタ、ベース間がバイアスされてオンし、リレーBを作動する。
リレーBが作動すると、その常閉リレー接点b1が開放し、リレーAをそれまでの作動状態から非作動状態に復旧させる。このため、常開リレー接点a1が開き、ヒータ30に対する通電を停止する。
即ち図6の点火回路部32によれば、一旦、ヒータ30の通電加熱で固形消火剤を燃焼した後に着火センサ50で燃焼を検出し、ヒータ30に対する通電を停止することで、不必要にヒータ30を加熱した状態を継続してしまうことを防止している。
図8は図2の点火回路部32の他の実施形態を示した回路図であり、図7のリレーに代えてトランジスタ駆動としたことを特徴とする。図8において、点火回路部32は、トランジスタQ1のコレクタと抵抗R4との間に着火センサ50を設けた以外の構成は図5の点火回路部32と同じになり、熱感知ケーブル20が火災による熱を受けて、絶縁被覆であるビニールが溶けて2本の信号線が短絡状態になった時のトランジスタQ1,Q2Q3のオンによるヒータ30の通電動作も同じである。
ヒータ30の通電で固形消火剤28が燃焼すると、燃焼による熱を受けて着火センサ50の回路が温度ヒューズの溶断などにより開放され、トランジスタQ2がオフとなり、ヒータ30に対する通電を停止し、不必要にヒータ30を加熱した状態を継続してしまうことを防止している。
図9は本実施形態の煙道38に配置する火炎噴出防止部材64の具体例を示した説明図である。図9(A)の火炎噴出防止部材64Aはガラスや磁器などの細径パイプ66を複数並べて炎の噴出しを抑制する。図9(B)の火炎噴出防止部材64Bは2枚の金網を分離配置して炎の噴出しを抑制する。図9(C)の火炎噴出防止部材64Aはガラスや磁器などのボール70を複数配置して炎の噴出しを抑制する。更に図9(D)の火炎噴出防止部材64Dは2枚の金網68の間にガラスや磁器などのボール70を複数配置して炎の噴出しを抑制する。
ここで本発明の発煙消火装置が設置される対象としては、制御盤や分電盤などの盤内、サーバマシン、化学実験用のドラフトチャンバ、エンジンルーム、コピー機、プリンタ、ケーブルダクト、モータ、バッテリユニット、清掃車、荷室などの閉鎖空間もしくは密閉空間などの様々な場所であり、特に分電盤やコピー機などの機器の内部に設置するような場合には、内部構造が複雑で且つ入り組んでいる閉鎖空間であったとしても、内部の配線や出火の危険のある機器の近くに簡単且つ容易に熱感知ケーブル20を引き回して、迅速且つ確実に火災を検出することができる。
またケーブルダクトのような出火の可能性のある配線部分については、監視対象となる配線と一緒に本実施形態の熱感知ケーブル20を設置することで、従来のスポット型の火災感知に比べ、ケーブルが発熱して異常発熱となった発火を伴わない火災初期の段階で、熱感知ケーブル20により火災を検知して、エアロゾルの発生により確実に消火することが可能となる。
なお図4及び図6の点火回路部にあっては、リレー接点による移報回路を備えているが、図5及び図7のトランジスタ駆動とした点火回路部についても、トランジスタ駆動による移報回路を設けるようにしても良い。
また本実施形態の点火回路部にあっては、火災による熱感知ケーブルの短絡を検出したときにヒータ通電により固形消火剤を直ぐに点火しているが、ケーブルの短絡検出信号を外部に出力して警報し、所定の遅延時問後にヒータに通電して固形消火剤に点火するような制御もできる。
これによって例えば本実施形態の発煙消火装置をコピー機に組み込んでいた場合、ケーブルの短絡検出信号をコピー機の制御部で受信した際に火災の警報表示を行い、「ピッピッピッ、コピー機内で火災が発生しました、10秒後に消火を起動します」などといった音声メッセージを出力し、10秒経過時にヒータ通電により固形消火剤に点火してエアロゾルを噴出させるようにしても良い。
また本実施形態は監視エリアの火災検知に熱感知ケーブル20を用いるものであれば、その筐体12側の構造としては上記の実施形態に限定されず、適宜の筐体構造を取ることができる。
また、上記の実施形態にあっては、筐体12を金属製としているが、筐体外部や内部に断熱材を装着すれば必ずしも金属製である必要はない。
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
本発明による発煙消火装置の実施形態を示した説明図 図1の実施形態の筐体内部構造を示した断面図 図2の消火剤収納ケースを取り出して示した説明図 図2の点火回路部の実施形態を示した回路図 図2の点火回路部の他の実施形態を示した回路図 本実施形態の動作を示した説明図 図2の点火回路部の他の実施形態を示した回路図 図2の点火回路部の他の実施形態を示した回路図 本実施形態の煙道に配置する火炎噴出防止部材の具体例を示した説明図
符号の説明
10:発煙消火装置
12:筐体
14:噴出口
15:支持フレーム
16:コネクタ
18:プラグ
20:熱感知ケーブル
22:電源線
24:筐体本体
26:消火剤収納ケース
28:固形消火剤
30:ヒータ
32:点火回路部
34:後部開口
36:支持片
38:煙道
40,42:取付片
44:延在片
46:収納室
50:着火センサ
52:移報端子
64,64A〜64D:火炎噴出防止部材
A,B:リレー
a1,a2:常開リレー接点
b1:常閉リレー接点
Q1〜Q3:トランジスタ
R1〜R7:抵抗

Claims (5)

  1. 消火用エアロゾルを噴出する噴出口を備えた筐体と、
    前記筐体に収納され、燃焼により前記消火用エアロゾルを発生する固形消火剤と、
    監視エリアに布設され、火災による熱を受けた際の絶縁被覆の溶融により一対の信号線を短絡状態に接触させる熱感知ケーブルと、
    前記熱感知ケーブルの短絡を検出した時にヒータの通電過熱により前記固形消火剤に点火して燃焼させる点火回路部と、
    を備えたことを特徴とする発煙消火装置。
  2. 請求項1記載の発煙消火装置に於いて、前記点火回路部は、前記感知ケーブルの短絡信号により前記ヒータを通電加熱するヒータ駆動回路を備えたことを特徴とする発煙消火装置。
  3. 請求項1記載の発煙消火装置に於いて、前記点火回路部は、
    前記熱感知ケーブルの短絡信号により前記ヒータを通電加熱するヒータ駆動回路と、
    前記固形消火剤の着火を検知する着火センサと、
    前記着火センサの着火検知信号により前記ヒータへの通電を停止するヒータ駆動停止回路と、
    を備えたことを特徴とする発煙消火装置。
  4. 請求項1記載の発煙消火装置に於いて、前記筐体は、
    前記エアロゾルの噴出口を開口した筐体本体と、
    前記筐体本体の内部に前記固形消火剤を収納した消火剤収納ケースと、
    前記消火剤収納ケースから噴出されたエアロゾルを前記噴出口に導く煙道構造と、
    を備えたことを特徴とする発煙消火装置。
  5. 請求項4記載の発煙消火装置に於いて、前記煙道構造は、前記煙道に金網又はフィルタを配置したことを特徴とする発煙消火装置。
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