JP2009139739A - 平版印刷版の製造方法、平版印刷版原版及び平版印刷版原版の積層体 - Google Patents

平版印刷版の製造方法、平版印刷版原版及び平版印刷版原版の積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】酸性〜弱アルカリ領域のpH領域の下でも現像可能であり、さらに合紙を用いずに積層した場合においても優れた耐傷性と耐接着性を有し、印刷性能に影響を与えない平版印刷版原版、その積層体及び平版印刷版の製造方法を提供すること。
【解決手段】親水性支持体上に感光層及び保護層をこの順に有する平版印刷版原版を画像露光する工程、及び、pH2〜10の現像液で保護層及び非露光部の感光層を除去する工程を含み、前記感光層が、(A)増感色素、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、及び、(D)バインダーポリマーを含有し、前記保護層の最外層が、親水性ポリマーと、シリカを含有する有機樹脂粒子と、を含有することを特徴とする平版印刷版の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は平版印刷版の製造方法、平版印刷版原版及び平版印刷版原版の積層体に関する。
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインキを受容する親油性の画像部と、湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。平版印刷とは、水と印刷インキが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙などの被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(感光層、画像記録層と称することもある)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルムなどの原画を通した露光を行った後、画像記録層の画像部となる部分を残存させ、それ以外の不要な画像記録層をアルカリ性現像液又は有機溶剤によって溶解除去し、親水性の支持体表面を露出させて非画像部を形成する方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
このように従来の平版印刷版原版の製版工程においては、露光の後、不要な画像記録層を現像液などによって溶解除去する工程が必要であるが、環境及び安全上、より中性域に近い現像液での処理や少ない廃液が課題として挙げられている。特に、近年、地球環境への配慮から湿式処理に伴って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな関心事となっており、上記課題の解決の要請は一層強くなってきている。
一方、近年、画像情報をコンピュータで電子的に処理し、蓄積し、出力する、デジタル化技術が広く普及してきており、このようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきている。これに伴い、レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術が注目されてきている。したがって、このような技術に適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題の一つとなっている。
しかし前述のように、現像処理工程は一般にpH10を超えるアルカリ水溶液で現像した後、水洗浴にてアルカリ剤を流し、その後、親水性樹脂を主とするガム液で処理するという3つの工程からなっており、そのため自動現像機自体も大きくスペースを取ってしまい、さらに現像廃液、水洗廃液、ガム廃液処理の問題等、環境及びランニングコスト面での課題を残している。したがって、現像液の低アルカリ化、処理工程の簡素化は、地球環境への配慮と省スペース、低ランニングコストへの適合化との両面から、従来にも増して強く望まれるようになってきている。
例えば、特許文献1には、pH10〜12.5のノニオン界面活性剤を含むアルカリ液での現像法が提案されているが、感光性組成物にアルカリ可溶ポリマーを含有するため、上記規定以下のpHでは現像できなくなるという問題がある。
一方、現像処理が簡便である光重合型の平版印刷版原版の製版作業における生産性としては、露光工程にかかる時間短縮が重要となってくる。露光工程には、通常、原版と原版の間に、原版同士の接着防止機能や、比較的軟らかい保護層の表面がアルミニウム支持体とこすれて生じるキズ防止機能を有する合紙が挿入された積層体として供給される。そのため、露光工程での合紙除去時間が非効率の原因となっていた。この露光工程での効率化を図るためには、原版間に合紙を挿入しない積層体を用いることで、合紙除去の工程を省略すればよく、このことから、平版印刷版原版同士の耐接着性と保護層表面がこれと接触するアルミニウム支持体とこすれて生じるキズについての改良が望まれていた。
特開2002−91016号公報 特許第2938397号公報
本発明は、酸性〜弱アルカリ領域のpH領域の下でも現像可能であり、さらに合紙を用いずに積層した場合においても優れた耐傷性と耐接着性を有し、印刷性能に影響を与えない平版印刷版原版、その積層体及び平版印刷版の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の上記課題は、以下の(1)、(11)、(12)に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である(2)〜(10)と共に以下に記載する。
(1) 親水性支持体上に感光層及び保護層をこの順に有する平版印刷版原版を画像露光する工程、及び、pH2〜10の現像液で保護層及び非露光部の感光層を除去する工程を含み、前記感光層が、(A)増感色素、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、及び、(D)バインダーポリマーを含有し、前記保護層の最外層が、親水性ポリマーと、シリカを含有する有機樹脂粒子と、を含有することを特徴とする平版印刷版の製造方法、
(2) 前記親水性ポリマーがポリビニルアルコールである、上記(1)に記載の平版印刷版の製造方法、
(3) 前記有機樹脂粒子を構成する有機樹脂が、ポリアクリル酸系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂、及び、メラミン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂である、上記(1)又は上記(2)に記載の平版印刷版の製造方法、
(4) 前記保護層が、さらに無機層状化合物を含有する、上記(1)〜上記(3)のいずれか1つに記載の平版印刷版の製造方法、
(5) 前記(D)バインダーポリマーが側鎖に親水基を有する線状ポリマーである、上記(1)〜上記(4)のいずれか1つに記載の平版印刷版の製造方法。
(6) 前記親水基が下記式<1>又は式<2>で表される、上記(5)に記載の平版印刷版の製造方法、
Figure 2009139739
式<1>及び式<2>中、R1、R2及びR4〜R6は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子又は1価の有機基を表す。R3及びR7は、各々独立に単結合又は2価の有機基を表す。また、R1〜R3のうち任意の2つあるいはR4〜R7のうち任意の2つが、互いに結合して環を形成してもよい。X-はアニオンを表す。*はバインダーポリマーに連結する位置を示す。
(7) 前記現像液が、下記式<3>〜式<6>のいずれかで表される界面活性剤を含有する、上記(1)〜上記(6)のいずれか1つに記載の平版印刷版の製造方法、
Figure 2009139739
式<3>〜式<6>中、R8はアルキル基を表し、R9、R10は各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、R11はアルキレン基を表し、Aは、カルボン酸イオンを含有する基を表す。R12は水素原子又はアルキル基を表し、R13、R14は各々独立にアルキレン基又はポリアルキレンオキシド基を表し、B、Cは各々独立にヒドロキシル基、カルボン酸基もしくはカルボン酸塩を含有する基を表す。R15、R16は各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、R17はアルキレン基を表し、Dはカルボン酸基もしくはカルボン酸塩を含有する基を表す。R18、R19、R20は各々独立に水素原子又はアルキル基を表す。ただし、R18、R19、R20が全て水素原子であることはない。
(8) 前記保護層及び非露光部の感光層の除去を、自動処理機により行う、上記(1)〜上記(7)のいずれか1つに記載の平版印刷版の製造方法、
(9) 前記平版印刷版原版を、レーザーで画像露光した後、加熱処理工程を経た後、なんらの水洗工程を経ることなく、擦り部材を備えた自動処理機により、保護層及び非露光部の感光層を除去する、上記(8)に記載の平版印刷版の製造方法、
(10) 前記自動処理機が擦り部材を備え、擦り部材が少なくとも2本の回転ブラシロールである、上記(8)又は上記(9)に記載の平版印刷版の製造方法、
(11) 親水性支持体上に、感光層及び保護層をこの順に有し、前記感光層は、(A)増感色素と、(B)重合開始剤と、(C)重合性化合物と、(D)バインダーポリマーとを含有し、pH2〜10の現像液で現像可能であり、前記保護層の最外層が、親水性ポリマーと、シリカを含有する有機樹脂粒子と、を含有することを特徴とする平版印刷版原版、
(12) 上記(11)に記載の平版印刷版原版を直接接触させて複数枚積層してなることを特徴とする平版印刷版原版の積層体。
本発明によれば、酸性〜弱アルカリ領域のpH領域の下でも現像可能であり、さらに合紙を用いずに積層した場合においても優れた耐傷性と耐接着性を有し、印刷性能に影響を与えない平版印刷版原版、その積層体及び平版印刷版の製造方法を提供することができた。
本発明の平版印刷版の製造方法は、親水性支持体上に感光層及び保護層をこの順に有する平版印刷版原版を画像露光する工程、及び、pH2〜10の現像液で保護層及び非露光部の感光層を除去する工程を含み、前記感光層が、(A)増感色素、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、及び、(D)バインダーポリマーを含有し、前記保護層の最外層が、親水性ポリマーと、シリカを含有する有機樹脂粒子と、を含有することを特徴とする。
また、本発明の平版印刷版原版は、親水性支持体上に、感光層及び保護層をこの順に有し、前記感光層は、(A)増感色素と、(B)重合開始剤と、(C)重合性化合物と、(D)バインダーポリマーとを含有し、pH2〜10の現像液で現像可能であり、前記保護層の最外層が、最外層に親水性ポリマーとシリカを含有する有機樹脂粒子とを含有することを特徴とする。
すなわち、本発明の平版印刷版の製造方法は、本発明の平版印刷版原版を画像露光する工程の後、pH2〜10現像液で保護層及び非露光部の感光層を工程を経ることにより得られる。
さらに、本発明の平版印刷版原版の積層体は、本発明の平版印刷版原版を直接接触させて複数枚積層してなることを特徴とする。
本明細書中、一般式で表される化合物において記載されている基は、さらに置換基を有することが可能な場合には、他に特に規定がない限り、無置換の基のみならず置換基を有する基も包含する。例えば、一般式において、「Rはアルキル基、アリール基又は複素環基を表す」との記載があれば、「Rは無置換アルキル基、置換アルキル基、無置換アリール基、置換アリール基、無置換複素環基又は置換複素環基を表す」ことを意味する。
また、本明細書において、「A〜B」と記載した場合には、特に断りのない限り、A以上B以下を示す。例えば、「350〜450nm」又は「350nm〜450nm」との記載は、いずれも350nm以上450nm以下を意味する。
1.平版印刷版原版
初めに、本発明に用いられる平版印刷版原版について詳細に説明する。
本発明に係る平版印刷版原版は、親水性支持体上に、感光層及び保護層をこの順に有し、感光層は(A)増感色素と、(B)重合開始剤と、(C)重合性化合物と、(D)バインダーポリマーとを含有し、pH2〜10の現像液で現像可能であり、保護層の最外層(最上層)が、親水性ポリマーとシリカを含有する有機樹脂粒子とを含有することを特徴とする。以下、保護層及び感光層についてそれぞれ詳述する。
1−1.保護層
(最外層としての保護層)
本発明の平版印刷版原版は、感光層の支持体とは反対側に、1層以上の保護層を有し、最外部に位置する保護層(以下、適宜、特定保護層と称する)は、シリカを含有する有機樹脂粒子(以下、適宜、シリカ含有有機樹脂粒子と称する)と、親水性ポリマーとを含有する。
本発明の平版印刷版原版における感光層(記録層又は画像記録層ともいう)は、以下に詳述するように、重合性ネガ型記録層であることから、通常、露光を大気中で行うために、画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や水分、塩基性物質等の低分子化合物の感光層(記録層)への混入を防止する目的で、該感光層(記録層)の上に、保護層を設けている。
このような目的のために設けられている保護層、特に最外部に位置する特定保護層に、親水性ポリマー、好ましくは、ポリビニルアルコールを主成分とする親水性ポリマーと、シリカを含有する有機樹脂粒子とを含有させることで、塗布液中での有機樹脂粒子の安定性が飛躍的に高まり、この塗布液を用いて作製した平版印刷版原版は、優れた膜強度を達成することができる。さらに、保護層にマット性を付与することができる。その結果、保護層は、感度の向上だけではなく、経時保存性の向上や、セーフライト適性の向上が達成できると共に、変形などによる劣化やキズの発生を抑制といった効果も期待できる。また、保護層に優れたマット性が付与されることから、本発明の平版印刷版原版を積層した場合、平版印刷版原版の保護層表面と隣接する平版印刷版原版の支持体裏面との接着及び、保護層表面と支持体裏面との間で生じるこすりキズを抑制することが可能となる。
なお、上記のように本発明に係る特定保護層は、マット性を付与しうることから、平版印刷版原版の最外層として存在することを要する。
また、本発明において保護層が単層の場合には当該層中に、また、保護層が積層構造を有する場合には、いずれかの保護層に、無機層状化合物(以下、本発明において雲母化合物ともいう。)を含有することが、酸素遮断性、外部圧力耐性、及び、耐接着性の諸特性を向上させるといった観点から好ましい。
以下、本発明に係る保護層に用いられる各成分について順次説明する。
(シリカ含有有機樹脂粒子)
本発明において、保護層の最外層には、シリカを含有する有機樹脂粒子(以下、シリカ含有有機樹脂粒子ともいう。)を含有する。有機樹脂粒子は、平版印刷版原版の保護層表面と隣接する平版印刷版原版の支持体裏面との接着及び、保護層表面と支持体裏面との間で生じるこすりキズを抑制する。このような、マット剤として働く粒子に望まれる基本的特性は、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、空気中の湿分や、温度によって、軟化したり、ベトついたりすることがない樹脂であって、最外部の保護層に添加することで、その表面に適当な凹凸を付与し、接着表面積を減少させるものが好ましい。
また、こすりキズ抑制の観点からは、マット粒子は、硬い支持体(例えば、Al)面とこすれた時に生じる応力を緩和できるものが好ましい。さらに、粒子は保護層の結着樹脂となる親水性ポリマー、好ましくは、保護層に汎用のポリビニルアルコールと親和性が高く、膜中によく混練され、かつ、被膜形成後においても、膜表面から脱離し難いものが好ましい。本発明においては、これらの観点から、添加粒子として、シリカ含有有機樹脂粒子を採用するものである。
本発明に係るシリカ含有有機樹脂粒子のコアとなる有機樹脂粒子を構成する有機樹脂としては、先に述べたような物性を有する樹脂であれば制限なく使用することができ、例えば、ポリアクリル酸系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、好ましい親水性ポリマーであるポリビニルアルコールとの親和性の観点から、ポリアクリル酸系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及びメラミン樹脂などが好ましい。
また、シリカ含有有機樹脂粒子のシリカ成分を形成する材料としては、アルコキシシロキサン系化合物の縮合物などのアルコキシシリル基を有する化合物、特に、ゾル−ゲル法にて使用するシロキサン系材料、具体的には、シリカゾル、コロイダルシリカ、シリカナノ粒子などのシリカ粒子などが好ましく挙げられる。
シリカ粒子の形状は特に限定されないが、球形もしくは鱗片形であることが好ましく、シリカ粒子の平均一次粒子径は、1〜500nmであることが好ましく、2〜300nmであることがより好ましく、5〜100nmであることがさらに好ましい。シリカ粒子の粒子径が上記範囲内であると、有機樹脂粒子の表面近傍に偏在化することから好ましい。
シリカ含有有機樹脂粒子は、その表面又は表面近傍にシリカを含有することが好ましく、有機樹脂粒子表面をシリカ層で表面被覆することによりシリカ含有有機樹脂粒子を得ることもできる。
また、シリカ含有有機樹脂粒子の構成としては、有機樹脂粒子表面にシリカ粒子が固体成分として付着しているものであっても、アルコキシシロキサン系化合物を縮合反応させて有機樹脂粒子表面にシロキサン系化合物層を形成したものであってもよい。
シリカの含有量は、有機樹脂粒子100重量部に対し、0.1重量部以上であることが好ましい。シリカの含有量は、有機樹脂粒子100重量部に対して0.1〜10重量部であることがより好ましく、さらに好ましくは0.2〜5重量部であり、特に好ましくは0.3〜3重量部である。
また、上述の通り、シリカ含有有機樹脂粒子は、有機樹脂粒子の表面にシリカが存在することが好ましい。なお、有機樹脂粒子の表面の全体にシリカが存在する必要はなく、少なくとも一部にシリカが存在していれば良い。
有機樹脂粒子の表面の少なくとも一部にシリカが存在することで、有機樹脂粒子表面における親水性ポリマー(好ましくはポリビニルアルコール)との親和性向上が達成され、外部応力を受けた場合でも粒子の脱落が抑制され、優れた耐傷性、耐接着性を維持することができるので好ましい。このため、本発明において、有機樹脂粒子の表面の少なくとも一部にシリカが存在する状態が好ましい。
シリカの表面被覆状態は、走査型電子顕微鏡(TEM)等による形態観察により確認することができ、また、シリカの被覆量は、蛍光X線分析などの元素分析によりSi原子を検知し、そこに存在するシリカの量を算出することで確認することができる。
また、本発明において、シリカ含有有機樹脂粒子をそのままの状態で走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、又は、スライス片の状態で透過型電子顕微鏡−エネルギ−分散型X線分析(TEM−EDX)にて観察することで、シリカ(例えば、コロイダルシリカ)がシリカ含有有機樹脂粒子表面付近に偏在していることを確認することもできる。
シリカによる有機樹脂粒子の表面被覆率は、0.3〜1であることが好ましく、より好ましくは0.4〜1であり、さらに好ましくは0.5〜1である。
表面被覆率は、(1−開口率)で与えられ、開口率は、例えば、特開2004−307837号公報の段落0080〜0083に記載の方法により測定できる。
シリカ含有有機樹脂粒子の製造方法としては特に制限はなく、シリカ粒子あるいはシリカ前駆体化合物を、有機樹脂粒子の原料となるモノマー成分と共存させて有機樹脂粒子形成と同時にシリカを含有させる方法であってもよく、また、有機樹脂粒子を形成した後、シリカ粒子を物理的に表面に付着させ、その後、固定化する方法であってもよい。
製造方法の一例を挙げれば、まず、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリル酸などの水溶性高分子やリン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどの無機系懸濁剤などから適宜選択される懸濁安定剤を含む水中に、シリカと、原料樹脂(より具体的には、前記した有機樹脂を構成する、懸濁重合が可能なモノマー、懸濁架橋が可能なプレポリマー、又は樹脂液などの原料樹脂)と、を添加、撹拌、混合して、シリカと疎水性原料樹脂とを分散させてなる懸濁液を調製する。その際、懸濁安定剤の種類、その濃度、撹拌回転数などを調節することにより、目的の粒径を有するエマルジョン(懸濁液)を形成することができる。次いで、この懸濁液を加温して反応を開始させ、樹脂原料を、懸濁重合又は懸濁架橋させることにより樹脂粒子を生成させる。このとき、共存するシリカが重合或いは架橋反応により硬化する樹脂粒子に、特に、その物性に起因して樹脂粒子表面近傍に、固定化される。その後、これを固液分離し、洗浄により粒子に付着している懸濁安定剤を取り除いて、乾燥させる。これにより、シリカが固定化された所望粒径の略球状の有機樹脂粒子が得られる。
このように、懸濁重合、或いは懸濁架橋の際に条件を制御して所望の大きさの樹脂を得ることもできるが、このような制御を厳密に行うことなくシリカ含有有機樹脂粒子を生成した後、メッシュ濾過法により所望の大きさのシリカ含有有機樹脂粒子を得ることもできる。
上記方法によりシリカ含有有機樹脂粒子を製造する際の混合物における原料の添加量としては、原料樹脂とシリカとの総量が100重量部の場合、まず、分散媒である水200〜800重量部に懸濁安定剤0.1〜20重量部を添加し、十分に溶解又は分散させ、その液中に、前記した100重量部の原料樹脂とシリカとの混合物を投入し、分散粒子が所定の粒度になるように撹拌速度を調整しながら撹拌し、この粒度調整を行った後に液温を30〜90℃に昇温し、1〜8時間反応させればよい。
シリカ含有有機樹脂粒子の製造方法については、前記した方法はその一例であり、例えば、特開2002−327036号公報、特開2002−173410号公報、及び、特開2004−307837号公報などに詳細に記載され、ここに記載の方法により得られるシリカ含有有機樹脂粒子はいずれも本発明に好適に使用することができる。
また、本発明に使用しうるシリカ含有有機樹脂粒子は市販品としても入手可能であり、具体的な例としては、シリカ/メラミン複合粒子としては、日産化学工業(株)製、オプトビーズ2000M、オプトビーズ3500M、オプトビーズ6500M、オプトビーズ10500M、オプトビーズ3500S、オプトビーズ6500Sが挙げられる。シリカ/アクリル複合粒子としては、根上工業(株)製、アートパールG−200透明、アートパールG−400透明、アートパールG−800透明、アートパールGR−400透明、アートパールGR−600透明、アートパールGR−800透明、アートパールJ−7Pが挙げられる。シリカ/ウレタン複合粒子としては、根上工業(株)製、アートパールC−400透明、C−800透明、P−800T、U−600T、U−800T、CF−600T、CF800T;大日精化(株)製、ダイナミックビーズCN5070D、ダンプラコートTHUが挙げられる。
本発明において、シリカ含有有機樹脂粒子の形状は、真球状形状が好ましいが、平板形状もしくは投影図が楕円形状となるような所謂紡錘形状であってもよい。
好ましい平均粒子径は1〜30μmφであり、よりに好ましくは、1.5〜20μmφであり、さらに好ましくは、2〜15μmφであり、特に好ましくは3〜10μmである。この範囲において十分なスペーサー機能、マット性能を発現することができ、保護層表面への固定化が容易で、外部からの接触応力に対しても優れた保持機能を有する。シリカ含有有機樹脂粒子の平均粒子径は、特定保護層の塗布厚よりも大きいことが好ましい。
本発明に係る特定保護層におけるシリカ含有有機樹脂粒子の好ましい添加量は、5〜1,000mg/m2であり、より好ましくは、7〜500mg/m2であり、さらに好ましくは、10〜200mg/m2である。
また、保護層全体に対する好ましい添加量としては、保護層全固形分に対し、0.5〜95重量%であることが好ましく、1〜50重量%であることがより好ましく、もっとも好ましくは2〜20重量%の範囲である。
(他の有機樹脂粒子)
本発明に係る特定保護層には、前記シリカ含有有機樹脂粒子に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、他の(シリカを含有しない)有機樹脂粒子を併用することができる。
併用可能な有機樹脂粒子としては、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリスチレン及びその誘導体、ポリアミド類、ポリイミド類、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、などのポリオレフィン類、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル類などの合成樹脂からなる粒子、及び、キチン、キトサン、セルロース、架橋澱粉、架橋セルロース等の天然高分子からなる粒子などが好ましく挙げられる。
これらの中でも、合成樹脂粒子は、粒子サイズ制御の容易さや、表面改質により所望の表面特性を制御し易いなどの利点がある。
このような、有機樹脂粒子の製造方法は、PMMAのような比較的に硬い樹脂では、破砕法による微粒子化も可能であるが、乳化・懸濁重合法により粒子を合成する方法が、粒子径制御の容易性、精度から現在主流に採用されている。
これら微粒子粉体の製造方法は、「超微粒子と材料」日本材料科学会編、裳華房1993年発刊、「微粒子・粉体の作製と応用」川口春馬監修、シーエムシー出版2005年発刊等に詳細に記載されている。
特定保護層においてシリカ含有有機樹脂粒子と併用可能な有機樹脂粒子は市販品としても入手可能であり、例えば、綜研化学(株)製、架橋アクリル樹脂MX−300、MX−500、MX−1000、MX−1500H、MR−2HG、MR−7HG,MR−10HG、MR−3GSN、MR−5GSN、MR−7G、MR−10G、MR−5C、MR−7GC、スチリル樹脂系のSX−350H、SX−500H;積水化成品工業(株)製、アクリル樹脂、MBX−5、MBX−8、MBX−12MBX−15、MBX−20,MB20X−5、MB30X−5、MB30X−8、MB30X−20、SBX−6、SBX−8、SBX−12、SBX−17;三井化学(株)製ポリオレフィン樹脂、ケミパールW100、W200、W300、W308、W310、W400、W401、W405、W410、W500、WF640、W700、W800、W900、W950、WP100などが挙げられる。
本発明に係る特定保護層に任意成分として含まれる他の有機樹脂粒子の真比重は、0.90〜1.30の範囲にあり、平均粒子径が2.0〜15μmであることが好ましく、真比重が、0.90〜1.20の範囲にあり、3.0〜12μmであることがより好ましい。
これらの粒子の保護層固形分中の含有量は、1.0〜30重量%が好ましく、2.0〜20重量%がより好ましい。また、必須成分であるシリカ含有有機樹脂粒子に対して、5.0〜50重量%の範囲であることが好ましい。
これら任意成分としての有機樹脂粒子は、これを併用することにより、表面マット効果、接着防止効果及び耐キズ性効果が向上するが、添加量が上記好ましい範囲を超えた場合には、感度低下や、保護層表面から有機粒子が離脱しやすくなるといった問題を生じる懸念がある。
(親水性ポリマー)
本発明の平版印刷版原版は、重合性ネガ型記録層(感光層)を有することから、酸素遮断性に優れた保護層を設けることが好ましい。
保護層を形成する結着樹脂としては、均一な皮膜を形成し得るものであれば特に制限はないが、除去性の観点から親水性ポリマーであることを要し、さらに、以下に詳述する観点から、水溶性ポリマーであることが好ましい。しかしながらこれに限定されるわけではなく、水不溶性ポリマーを本発明の効果を損なわない限りにおいて適宜選択して併用することも可能である。
保護層の結着樹脂として使用しうる各種ポリマーとしては、具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物、エチレン−ビニルアルコール共重合体、水溶性セルロース誘導体、ゼラチン、デンプン誘導体、アラビアゴム等の水溶性ポリマーや、ポリ塩化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリサルホン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、セロハン等のポリマー等が挙げられる。これらは、必要に応じて2種以上を併用して用いることもできる。
これらの中でも、保護層の形成に用いられる結着樹脂としては、感光層(記録層)との密着性に優れ、その表面(最表面)は他の材料との接着性が低く、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できるポリマーが好ましい。
このような観点から、保護層の結着樹脂成分としては親水性ポリマーの中でも水溶性ポリマーが好ましく、特に、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが好ましい。ポリビニルアルコールは優れた被膜形成性と比較的低接着性の表面を有する。
本発明において好ましい親水性ポリマーとして用いられるポリビニルアルコール(PVA)は、ケン化度85から99であることが好ましく、より好ましくは91.0〜99の化合物である。ケン化度がこの範囲であれば、必要な酸素遮断性と低接着性表面を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、いずれの構成を有していてもよい。すなわち、ポリビニルアルコールの一部が、エステル、エーテル及びアセタールなどで置換されているものでもよいし、また、一部が変性されていてもよいし、さらに、他の共重合成分を含むものであってもよい。
一般には、使用するPVAのケン化度が高い程、言い換えれば、未置換ビニルアルコール単位含率が高い程、酸素遮断性が高くなる。このため、本発明に係る保護層は、例えば、ケン化度が91以上のポリビニルアルコールを主成分とすることが好ましく、後述するように、さらに保護層のいずれかに無機層状化合物(雲母化合物)を併用することにより、保護層の酸素遮断性が一層向上する。
ポリビニルアルコールは、重合度が200〜2,400の範囲のものが好ましい。このようなポリマーは市販品としても入手可能であり、具体的には、(株)クラレ製の、PVA−102、PVA−103、PVA−104、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−120、PVA−124、PVA−117H、PVA−135H、PVA−HC、PVA−617、PVA−624、PVA−706、PVA−613、PVA−CS、PVA−CST;日本合成化学工業(株)製の、ゴーセノールNL−05、NM−11、NM−14、AL−06、P−610、C−500、A−300、AH−17;日本酢ビ・ポバール(株)製の、JF−04、JF−05、JF−10、JF−17、JF−17L、JM−05、JM−10、JM−17、JM−17L、JT−05、JT−13、JT−15等が挙げられる。
さらに、本発明において用いられる好ましい親水性ポリマーとしては、例えば、イタコン酸やマレイン酸変性のカルボキシ変性ポリビニルアルコールやスルホン酸変性ポリビニルアルコール等も好適なものとして挙げられ、これら酸変性ポリビニルアルコールも、より好ましく使用できる。
本発明に係る特定保護層の形成に好適に用いうる酸変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、(株)クラレ製の、KL−118、KM−618、KM−118、SK−5102、MP−102、R−2105;日本合成化学工業(株)製の、ゴーセナールCKS−50、T−HS−1、T−215、T−350、T−330、T−330H;日本酢ビ・ポバール(株)製の、AF−17、AT−17等が挙げられる。
親水性ポリマー(好ましくはポリビニルアルコール)は、保護層中の全固形分量に対して、35〜95重量%の範囲で含有されることが好ましく、40〜90重量%の範囲で含有されることがより好ましい。この含有量の範囲において、優れた被膜形成性と、それに起因する高感度化及び低接着性が達成され、積層した平版印刷版原版同士の接着を抑制する効果が発現する。
保護層を形成する親水性ポリマーは1種のみを用いてもよく、目的に応じて複数種を併用してもよい。例えば、PVAにポリビニルピロリドンを併用することで酸素透過性を制御することができる。複数種の親水性ポリマーを用いる場合においても、それらの総含有量が上記の重量範囲であることが好ましい。
保護層中の親水性ポリマー(好ましくはポリビニルアルコール)の塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。
本発明における保護層は、25℃−60%RH1気圧における酸素透過度が、0.5ml/m2・day以上100ml/m2・day以下であることが好ましく、この酸素透過度を達成する組成を選択することが好ましい。
(特定保護層形成用塗布液の調製)
本発明に係る特定保護層の形成にあたっては、シリカ含有有機樹脂粒子及び所望により併用される有機樹脂粒子は、粉体で供給されるものは、保護層の主成分であるポリビニルアルコールなどの親水性ポリマーの水溶液中に、直接添加して分散すればよい。分散方法としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、ボールミル、ペイントシェーカーなどの公知の簡易な分散機により分散する方法をとればよい。
<界面活性剤>
このとき、分散安定性向上の目的で所望により界面活性剤を加えることができる。分散安定性向上に用いる界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、何れも使用可能である。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルケニルエーテル類、ポリエチレングリコールアルキルエステル類、ポリエチレングリコールアリールエーテル類などが挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、アルキル又はアリールスルホン酸塩型、アルキル又はアリール硫酸エステル塩型、アルキル又はアリールリン酸塩エステル型、アルキル又はアリールカルボン酸塩型の界面活性剤が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩型、アルキルピリジニウム塩型、アルキルアンモニウム塩型界面活性剤が挙げられる。
より具体的には、これら界面活性剤のさらに多くの具体例については「最新・界面活性剤の機能創製・素材開発・応用技術」堀内照夫、鈴木敏幸編集、技術教育出版社に記載されるものを挙げることができる。
また、シリカ含有有機樹脂粒子として、三井化学(株)製ケミーパルシリーズの粒子を用いる場合、この粒子は、水に分散した状態で供給されるため、これらの分散物を直接、保護層水溶液中に添加撹拌し、保護層塗布液を作製することができる。
特定保護層には、前記各成分の他、本発明の効果を損なわない範囲において、種々の添加剤を目的に応じて添加することができる。
例えば、記録層(感光層)を露光する際に用いる光(本発明において好ましくは赤外光)の透過性に優れ、かつ、露光に関わらない波長の光を効率よく吸収しうる、着色剤(水溶性染料)を添加してもよい。これにより、感度を低下させることなく、セーフライト適性を高めることができる。
(保護層の層構成)
本発明の平版印刷版原版における保護層は単層構造であっても、複数の層を有する積層構造であってもよい。複数の層を有する場合には、最外層にシリカ含有有機樹脂粒子を含有することを要する。
(無機層状化合物(雲母化合物))
本発明の平版印刷版原版における保護層には、無機層状化合物(本発明において、雲母化合物ともいう。)を用いることが、酸素遮断性向上の観点から好ましい。雲母化合物を併用する場合、雲母化合物は保護層を構成する層のうち、いずれか一層に含まれていればよい。
例えば、単層構造の特定保護層のみを有する場合、これが最外層となるので、該保護層には、親水性ポリマー、シリカ含有有機樹脂粒子に加え、雲母化合物を添加すればよく、積層構造の保護層の場合には、その最外層は親水性ポリマーとシリカ含有有機樹脂粒子とを含有するが、雲母化合物は最外層(すなわち特定保護層)に含まれていても、感光層(記録層)近傍側の他の保護層中に結着樹脂、好ましくは親水性ポリマーとともに含まれていてもよい。
本発明において用いられる雲母化合物とは、例えば、一般式:A(B,C)2-5410(OH,F,O)2〔ただし、Aは、K、Na及びCaよりなる群から選択され、B及びCは、Fe(II)、Fe(III)、Mn、Al、Mg及びVよりなる群から選択され、Dは、Si又はAlである。〕で表される如き天然雲母、合成雲母等の雲母群が挙げられる。
本発明に用いうる雲母化合物は、天然雲母としては白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母及び鱗雲母が挙げられる。合成雲母としては、フッ素金雲母KMg3(AlSi310)F2、カリ四ケイ素雲母KMg2.5(Si410)F2等の非膨潤性雲母、及びNaテトラシリリックマイカNaMg2.5(Si410)F2、Na又はLiテニオライト(Na,Li)Mg2Li(Si410)F2、モンモリロナイト系のNa又はLiヘクトライト(Na,Li)1/8Mg2/5Li1/8(Si410)F2等の膨潤性雲母等が挙げられる。さらに、合成スメクタイトも有用である。
本発明においては、雲母化合物の中でも、フッ素系の膨潤性雲母が特に有用である。すなわち、この膨潤性合成雲母は、100〜150nm(10〜15Å)程度の厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘度鉱物より著しく大きい。その結果、格子層は正電荷不足を生じ、それを補償するために層間にNa+、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に、層間の陽イオンがLi+、Na+の場合、イオン半径が小さいため層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。膨潤性合成雲母はこの傾向が強く、本発明において有用であり、特に、均一な品質の粒子が入手容易であるという観点からも膨潤性合成雲母が好ましく用いられる。
本発明において使用される雲母化合物の形状としては、平板状の粒子形状を有するものが好ましく、有機樹脂粒子への吸着の観点からは、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性や活性光線の透過性を阻害しない限りにおいて大きいほどよい。したがって、アスペクト比は好ましくは20以上であり、より好ましくは100以上、特に好ましくは200以上である。なお、アスペクト比は粒子の長径に対する厚さの比であり、例えば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アスペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
本発明において保護層に使用される雲母化合物の粒子径は、その平均長径が好ましくは0.3〜20μm、より好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは1〜5μmである。また、該粒子の平均の厚さは、0.1μm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.05μm以下、特に好ましくは、0.01μm以下である。具体的には、例えば、代表的化合物である膨潤性合成雲母のサイズは、厚さが1〜50nm、面サイズ(長径)が1〜20μm程度である。
雲母化合物の保護層に含有される量は、雲母化合物がシリカ含有有機樹脂粒子と同一の層に含まれる場合には、シリカ含有有機樹脂粒子の添加量及び種類により変動するものの、一般的にはシリカ含有有機樹脂粒子の重量に対して雲母化合物の重量比(雲母化合物:シリカ含有有機樹脂粒子)が5:1から2:3の範囲であることが好ましく、4:1から1:1の範囲がより好ましい。
シリカ含有有機樹脂粒子に対し、上記範囲において、分散性向上効果及び支持体裏面と擦り合わせた時の耐キズ性の向上を両立することができる。複数種の雲母化合物を併用した場合でも、これらの雲母化合物の合計の量が上記の重量比であることが好ましい。
また、積層構造を有する保護層の場合、複数ある層のいずれかに雲母化合物を用いればよいが、当該層がシリカ含有有機樹脂粒子を含まない層である場合には、親水性ポリマー100重量部に対して、雲母化合物を5〜50重量部の割合で添加することが好ましい。
(保護層の形成)
本発明における保護層は、シリカ含有有機樹脂粒子を分散させた分散液と所望により併用される雲母化合物を分散させた分散液とを撹拌混合し、その分散液と、親水性ポリマー(好ましくは、ポリビニルアルコール)を含む結着樹脂成分(又は、親水ポリマー(好ましくはポリビニルアルコール)を含む結着樹脂成分を溶解した水溶液)と、を配合してなる保護層用塗布液を、感光層(記録層)上に塗布することで形成することができる。なお、保護層塗布液の調製時におけるシリカ含有有機樹脂粒子、雲母化合物及び親水性ポリマーの配合順序は、目的に応じて適宜変更することも可能である。具体的には、例えば、既述の如く、粉体で供給される粒子成分を、親水性ポリマー溶液中に直接添加して分散させることもできる。また、予め調製された粒子分散液に併用する他の粒子を直接添加して分散させることもできる。
なお、複数の層構成を有する保護層であって、雲母化合物が最外層ではなく、より感光層(記録層)の近傍に存在する層に添加される場合には、当該層には、シリカ含有有機樹脂粒子を配合する必要がないことから、最外層の保護層塗布液は既述のように調製し、雲母化合物を含む層は、以下に詳述する方法により雲母化合物を分散させた塗布液を用いて形成すればよい。
保護層に用いる雲母化合物の一般的な分散方法の例について述べる。まず、水100重量部に先に雲母化合物の好ましいものとして挙げた膨潤性雲母化合物を5〜10重量部添加し、充分水になじませ、膨潤させた後、分散機にかけて分散する。
ここで用いる分散機としては、機械的に直接力を加えて分散する各種ミル、大きな剪断力を有する高速撹拌型分散機、高強度の超音波エネルギーを与える分散機等が挙げられる。具体的には、ボールミル、サンドグラインダーミル、ビスコミル、コロイドミル、ホモジナイザー、ティゾルバー、ポリトロン、ホモミキサー、ホモブレンダー、ケディミル、ジェットアジター、毛細管式乳化装置、液体サイレン、電磁歪式超音波発生機、ポールマン笛を有する乳化装置等が挙げられる。上記の方法で分散した雲母化合物の2〜15重量%の分散物は高粘度或いはゲル状であり、保存安定性は極めて良好である。
この分散物を用いて保護層用塗布液を調製する際には、シリカ含有有機樹脂粒子やその他の有機樹脂粒子と併用する場合にはこれらの水分散物とを混合し、充分撹拌した後、親水性ポリマー(好ましくはポリビニルアルコール)を含む結着樹脂成分(又は、親水性ポリマー(好ましくはポリビニルアルコール)を含む結着樹脂成分を溶解した水溶液)と配合して調製するのが好ましい。同一層においてシリカ含有有機樹脂粒子などと共存しない場合には、この分散物と結着樹脂成分とを配合して調製すればよい。
この保護層用塗布液には、塗布性を向上させための界面活性剤や被膜の物性改良のための水溶性の可塑剤などの公知の添加剤を加えることができる。
水溶性の可塑剤としては、例えば、プロピオンアミド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーを加えることもできる。さらに、この塗布液には、感光層との密着性、塗布液の経時安定性を向上するための公知の添加剤を加えてもよい。
本発明に係る保護層の塗布方法は、特に制限されるものではなく、米国特許第3,458,311号明細書又は特開昭55−49729号公報に記載されている方法を適用することができる。
本発明に係る保護層の塗布量は、単層構造の保護層の場合、0.1g/m2〜4.0g/m2であることが好ましく、0.3g/m2〜3.0g/m2であることがより好ましい。この塗布量の範囲において、保護層の膜強度が良好に維持され、耐キズ性に優れる。また、露光により保護層に入射した光の透過性、酸素遮断性が適切な範囲に保たれるため、画質悪化やセーフライト適性が悪化する懸念もない。
保護層が積層構造を有する場合、シリカ含有有機樹脂粒子を含有する最外層の塗布量は、0.1g/m2〜3.0g/m2であることが好ましく、0.5g/m2〜2.0g/m2であることがさらに好ましい。最外層と感光層(記録層)との間に設けられる保護層の塗布量は0.1g/m2〜2.0g/m2であることが好ましく、0.2g/m2〜1.0g/m2であることがさらに好ましい。
保護層が積層構造を有する場合、最外層と感光層との間に設けられる層には、酸素遮断性に優れた親水性ポリマーと雲母化合物とを含有することが、酸素遮断性とマット性の両立という観点から好ましい。
1−2.感光層
本発明に係る平版印刷版原版の感光層(本発明において、記録層又は画像記録層ともいう。)は、(A)増感色素、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物及び(D)バインダーポリマーを含有する。好ましくは、さらに、連鎖移動剤を含有する。
以下に、感光層を構成する成分について、詳細に説明する。
(A)増感色素
本発明において、感光層に用いられる増感色素としては、画像露光に使用する光源の波長、用途等に応じて適宜選択されるものであり、特に限定されるものではない。例えば、赤外線吸収剤や、350nm〜450nmの光を吸収する増感色素等が好ましく挙げられる。
<赤外線吸収剤>
赤外線吸収剤は、赤外線レーザーに対する感度を高めるために用いられる成分である。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有している。本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760〜1,200nmに吸収極大を有する染料又は顔料であるのが好ましい。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号公報、特開昭59−84356号公報、特開昭60−78787号公報等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号公報、特開昭58−181690号公報、特開昭58−194595号公報等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号公報、特開昭58−224793号公報、特開昭59−48187号公報、特開昭59−73996号公報、特開昭60−52940号公報、特開昭60−63744号公報等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号公報等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許第434,875号明細書に記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号明細書に記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書に記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)に記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号の各公報に記載のピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報に記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号の各公報に記載のピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、上記赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
Figure 2009139739
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。さらに、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい一つの例として下記式(A−I)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 2009139739
式(A−I)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、X2−L1又は下記構造式(A−Ia)で示される基を表す。X2は、酸素原子、N−R3(R3は水素原子又は1価の有機基を表す。)又は硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環基又はヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。Xa-は後述するZa-と同義である。Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基又はハロゲン原子を表す。
Figure 2009139739
1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。感光層塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素原子数2以上の炭化水素基であることが好ましく、さらに、R1とR2とは互いに結合して5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環基、ナフタレン環基が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素原子数20以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対アニオンを示す。ただし、式(A−I)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、感光層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる式(A−I)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号[0017]〜[0019]に記載されたものを挙げることができる。
また、特に好ましい他の例としてさらに、前記した特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、ロソ顔料、ニトロ顔料、天然料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が挙げられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05〜1μmの範囲にあることがより好ましく、0.1〜1μmの範囲にあることがさらに好ましい。この範囲で、顔料分散物の感光層中での良好な安定性と均一性が得られる。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。赤外線吸収剤はマイクロカプセルに内包させて添加することもできる。
添加量としては、感光層の波長760nm〜1,200nmの範囲における極大吸収波長での吸光度が、反射測定法で0.1〜1.5の範囲にあるように添加することが好ましく、より好ましくは、0.2〜1.2の範囲、さらに好ましくは、0.3〜1.0の範囲である。この範囲で、感光層の深さ方向での均一な重合反応が進行し、良好な画像部の膜強度と支持体に対する密着性が得られる。
感光層の吸光度は、感光層に添加する赤外線吸収剤の量と感光層の厚みにより調整することができる。吸光度の測定は常法により行うことができる。測定方法としては、例えば、アルミニウム等の反射性の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版として必要な範囲において適宜決定された厚みの感光層を形成し、反射濃度を光学濃度計で測定する方法、積分球を用いた反射法により分光光度計で測定する方法等が挙げられる。
<350nm〜450nmの光を吸収する増感色素>
350nm〜450nmの光を吸収する増感色素としては、350〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素が好ましい。この様な増感色素としては、例えば、下記式(A−II)に示されるメロシアニン色素類、下記式(A−III)で示されるベンゾピラン類、クマリン類、下記式(A−IV)で示される芳香族ケトン類、下記式(A−V)で示されるアントラセン類等を挙げることができる。
Figure 2009139739
式(A−II)中、AはS原子もしくはNR6を表し、R6は一価の非金属原子団を表し、Yは隣接するA及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、X1、X2はそれぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、あるいはX1、X2は互いに結合して色素の酸性核を形成してもよい。ここで、非金属原子団とは、非金属原子よりなるものであれば特に限定されず、複数の原子からなるものに限定されない。すなわち、本発明において、非金属原子団には、水素原子、ハロゲン原子も含まれる。
Figure 2009139739
式(A−III)中、=Zはオキソ基、チオキソ基、イミノ基又は上記部分構造式(A−III')で表されるアルキリデン基を表し、X1、X2は式(A−II)と同義であり、R7〜R12はそれぞれ独立に一価の非金属原子団を表す。
Figure 2009139739
式(A−IV)中、Ar3は芳香族基又はヘテロ芳香族基を表し、R13は一価の非金属原子団を表す。好ましいR13は芳香族基又はヘテロ芳香族基である。また、Ar3とR13が互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 2009139739
式(A−V)中、X3、X4、R14〜R21はそれぞれ独立に、1価の非金属原子団を表す。好ましいX3、X4はハメットの置換基定数が負の電子供与性基である。
式(A−II)から(A−V)における、X1からX4、R6からR21で表される一価の非金属原子団の好ましい例としては、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ビフェニル基等)、ヘテロアリール基(例えば、チオフェン、ピロール、フラン等)、アルケニル基(例えばビニル基、1−プロペニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、1−プロピニル基等)、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基などの窒素原子含有基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アルキルスルフィニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基(スルホナト基)、アルコキシスルホニル基などの硫黄原子含有基、ホスフォノ基(−PO32)及びその共役塩基基(ホスフォナト基)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)などの燐原子含有基等が挙げられ、一価の非金属原子団のうち、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基が特に好ましい。
式(A−II)に於けるYが隣接するA及び隣接炭素原子と共同して形成する色素の塩基性核としては、5、6、7員の含窒素あるいは含硫黄複素環が挙げられ、5又は6員の複素環が好ましい。
含窒素複素環の例としては、例えば、L. G. Brooker et al., J. Am. Chem. Soc., 73,5326-5358 (1951)及び参考文献に記載されるメロシアニン色素類における塩基性核を構成するものとして知られるものをいずれも好適に用いることができる。具体例としては、チアゾール類、ベンゾチアゾール類、ナフトチアゾール類、チアナフテノ−7’,6’,4,5−チアゾール類、オキサゾール類、ベンゾオキサゾール類、ナフトオキサゾール類、セレナゾール類、ベンゾセレナゾール類、ナフトセレナゾール類、チアゾリン類、2−キノリン類、4−キノリン類、1−イソキノリン類、3−イソキノリン類、ベンズイミダゾール類、3,3−ジアルキルインドレニン類、2−ピリジン類、4−ピリジン類等を挙げることができる。
また、含硫黄複素環の例としては、例えば、特開平3−296759号公報記載の色素類におけるジチオール部分構造を挙げることができる。具体例としては、ベンゾジチオール類、ナフトジチオール類、ジチオール類等を挙げることができる。
以上述べた複素環に関する説明に用いた記述は、便宜上、慣例上、複素環母骨格の名称を用いたが、増感色素の塩基性骨格部分構造をなす場合は例えばベンゾチアゾール骨格の場合は3−置換−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン基のように、不飽和度を一つ下げたアルキリデン型の置換基の形で導入される。
さらに、下記式(A−VI)〜(A−XII)で示される増感色素も用いることができる。
Figure 2009139739
式(A−VI)中、R1〜R14は各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。ただし、R1〜R10の少なくとも一つは炭素数2以上のアルコキシ基を表す。
式(A−VII)中、R15〜R32は各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。ただし、R15〜R24の少なくとも一つは炭素数2以上のアルコキシ基を表す。
Figure 2009139739
式(A−VIII)中、R1、R2及びR3は各々独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、−NR45基又は−OR6基を表し、R4、R5及びR6は各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、k、m及びnは各々独立に0〜5の整数を表す。
Figure 2009139739
式(A−IX)中、X1、X2はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、−CR1112−又は−NR13−を表す。ただし、少なくともいずれか一方は酸素原子、硫黄原子又は−NR13−である。Yは酸素原子、硫黄原子又は=NR14を表す。R1〜R14はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表す。あるいはR1〜R14はそれぞれ互いに結合して、脂肪族性又は芳香族性の環を形成していてもよい。
Figure 2009139739
式(A−X)中、A1及びA2は各々独立に炭素原子又はヘテロ原子を表す。Q1はA1、A2及びこれらに隣接する炭素原子とともに複素環を形成するのに必要な非金属原子団を表す。X1及びX2は各々独立にシアノ基又は置換カルボニル基を表すか、あるいはX1とX2とが互いに結合して環を形成していてもよい。
Figure 2009139739
式(A−XI)中、Xはそれぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子を表し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表す。
Figure 2009139739
式(A−XII)中、Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、Aは炭素数20以下のアリール基又はヘテロアリール基を表す。
350nmから450nmの波長域に吸収極大を持つ増感色素のうち、高感度の観点からより好ましい色素は下記式(A−XIII)で表される色素である。
Figure 2009139739
式(A−XIII)中、Aは芳香族環基又はヘテロ環基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子又はN−R3を表す。R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、あるいはAとR1又はR2とR3が互いに結合して、脂肪族性又は芳香族性の環を形成してもよい。
式(A−XIII)についてさらに詳しく説明する。R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、芳香族複素環残基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子を表す。
1、R2及びR3の好ましい例について具体的に述べる。
1、R2及びR3として好ましいアルキル基としては、炭素原子数20までの直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が好ましく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、イソペンチル基等を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
1、R2及びR3として好ましい置換アルキル基の置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基などの窒素原子含有基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アルキルスルフィニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基(スルホナト基)、アルコキシスルホニル基などの硫黄原子含有基、ホスフォノ基(−PO32)及びその共役塩基基(ホスフォナト基)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)などの燐原子含有基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
これらの置換基におけるアルキル基の例としては、前述のアルキル基と同様のものが挙げられる。これら置換基におけるアリール基の具体例としては、フェニル基、メトキシフェニル基、クロロフェニル基等を挙げることができる。
これら置換基におけるヘテロアリール基の例としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環もしくは多環芳香族環基が挙げられ、好ましいヘテロアリール基の例としては、例えば、チエニル基、フリル基、ピリル基、カルバゾリル基、アクリジル基等が挙げられ、これらは、さらにベンゾ縮環してもよく、また置換基を有していてもよい。
これら置換基におけるアルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基等が挙げられる。アシル基(G1CO−)におけるG1としては、水素並びに上記アルキル基、下記アリール基を挙げることができる。
これら置換アルキル基の置換基のうち、より好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基、アルケニル基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基などの窒素原子含有基、アルキルスルフィニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基(スルホナト基)、アルコキシスルホニル基などの硫黄原子含有基、ホスフォノ基(−PO32)及びその共役塩基基(ホスフォナト基)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)などの燐原子含有基等が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
上記置換基とアルキレン基を組み合わせることにより得られるR1、R2及びR3で表される置換アルキル基の好ましい具体例としては、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、2−オキソエチル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、ホスフォノブチル基、ベンジル基等を挙げることができる。
1、R2及びR3として好ましいアルケニル基としては、炭素数20までの直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基が好ましく、その具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基等が挙げられる。
1、R2及びR3として好ましい置換アルケニル基としては、上記アルケニル基の炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが挙げられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基並びに置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。置換アルケニル基の好ましい具体例としては、スチリル基、シンナミル基等が挙げられる。
1、R2及びR3として好ましいアリール基としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したもの等を挙げることができる。具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基を挙げることができ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
1、R2及びR3として好ましい置換アリール基としては、上記アリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが挙げられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基並びに置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、クロロフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メチルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。
1、R2及びR3として好ましい芳香族複素環残基としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環もしくは多環芳香族複素環基が挙げられる。芳香族複素環基の例としては、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサジン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フタラジン、フェナルザジン、フェノキサジン、フラザン、フェノキサジンや等のヘテロ環から誘導される基等を挙げれ、これらは、さらにベンゾ縮環してもよい。
1、R2及びR3として好ましい置換芳香族複素環残基としては、上記芳香族複素環残基の環形成原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが挙げられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基並びに置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
1、R2及びR3として好ましいアルコキシ基及びアルキルチオ基におけるアルキル基は、前記R1、R2及びR3として好ましいアルキル基に関して記載したものと同様である。
1、R2及びR3として好ましい置換アルコキシ基及び置換アルキルチオ基における置換アルキル基は、前記R1、R2及びR3として好ましい置換アルキル基に関して記載したものと同様である。
式(A−XIII)におけるAで表される芳香族環基及びヘテロ環基は、各々前記R1、R2及びR3に関して記載したアリール基及び芳香族複素環残基に関して記載したものと同様のものを包含する。
式(A−XIII)で表される増感色素は、上述の酸性核や活性メチレン基を有する酸性核と、芳香族環又はヘテロ環との縮合反応によって得られる。具体的には、特公昭59−28329号公報の記載を参照して合成することができる。
以下に、式(A−XIII)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、酸性核と塩基性核を結ぶ2重結合による異性体については、どちらか一方の異性体に限定されるものではない。
Figure 2009139739
Figure 2009139739
Figure 2009139739
Figure 2009139739
Figure 2009139739
増感色素について、その構造、単独使用か併用か、添加量等使用法の詳細は、平版印刷版原版の性能設計にあわせて適宜設定できる。
例えば、増感色素を2種以上併用することで、感光層を構成する組成物中での相溶性を高めることができる。増感色素の選択においては、感光性の他、使用する光源の発光波長でのモル吸光係数が重要な因子である。モル吸光係数の大きな色素を使用することにより、色素の添加量を比較的少なくできるので、経済的であり、かつ感光層の膜物性の点からも有利である。感光層の感光性、解像度、露光膜の物性は光源波長での吸光度に大きな影響を受けるので、これらを考慮して増感色素の添加量が適宜選択される。
ただし、例えば5μm以上の厚い膜を硬化せしめる目的に対しては、低い吸光度の方がかえって硬化度をあげられる場合もある。比較的薄い膜厚の平版印刷版原版の場合には、増感色素の添加量は、感光層の極大吸収波長での吸光度が、反射測定法で、好ましくは0.1から1.5の範囲、より好ましくは0.2から1.2の範囲、さらに好ましくは0.3〜1.0の範囲となるように設定する。通常、感光層の全固形分100重量部に対し、好ましくは0.05〜30重量部、より好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.2〜10重量部の範囲である。
(B)重合開始剤
本発明において、感光層に用いられる重合開始剤は、光又は熱エネルギーによりラジカルを発生し、重合性不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進する化合物である。重合開始剤は、公知のラジカル重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などから適宜選択して用いることができる。
重合開始剤としては、例えば、有機ハロゲン化合物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素化合物、ジスルホン化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物が挙げられる。
上記有機ハロゲン化合物としては、具体的には、若林等、"Bull. Chem. Soc. Japan", 42, 2924 (1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開53−133428号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号の各公報、M. P. Hutt, "Journal of Heterocyclic Chemistry", 1 (No.3) (1970)に記載の化合物が挙げられる。中でも、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物及びS−トリアジン化合物が好適である。
より好適には、すくなくとも一つのモノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基が、s−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体及びオキサジアゾール環に結合したオキサジアゾール誘導体が挙げられる。具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2―n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジンや下記化合物等が挙げられる。
Figure 2009139739
Figure 2009139739
上記カルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4'−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体等を挙げることができる。
上記アゾ化合物としては例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を使用することができる。
アジド化合物は、アジド基が直接又はカルボニル基又はスルホニル基を介して芳香環に結合している芳香族アジド化合物である。これらは光によりアジド基が分解して、ナイトレンを生じ、ナイトレンが種々の反応を起こして不溶化するものである。
好ましい芳香族アジド化合物としては、アジドフェニル、アジドスチリル、アジドベンザル、アジドベンゾイル及びアジドシンナモイルの如き基を1個又はそれ以上含む化合物が挙げられ、例えば、4,4’−ジアジドカルコン、4−アジド−4’−(4−アジドベンゾイルエトキシ)カルコン、N,N−ビス−p−アジドベンザル−p−フェニレンジアミン、1,2,6−トリ(4’−アジドベンゾキシ)ヘキサン、2−アジド−3−クロロ−ベンゾキノン、2,4−ジアジド−4’−エトキシアゾベンゼン、2,6−ジ(4’−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ジアジドベンゾフェノン、2,5−ジアジド−3,6−ジクロロベンゾキノン、2,5−ビス(4−アジドスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−アジドシンナモイル)チオフェン、2,5−ジ(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドフェニルメタン、1−(4−アジドフェニル)−5−フリル−2−ペンタ−2,4−ジエン−1−オン、1−(4−アジドフェニル)−5−(4−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4−ジエン−3−オン、1−(4−アジドフェニル)−3−(1−ナフチル)プロペン−1−オン、1−(4−アジドフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−プロパン−1−オン、1−(4−アジドフェニル)−5−フェニル−1,4−ペンタジエン−3−オン、1−(4−アジドフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−2−プロペン−1−オン、1−(4−アジドフェニル)−3−(2−フリル)−2−プロペン−1−オン、1,2,6−トリ(4’−アジドベンゾキシ)ヘキサン、2,6−ビス−(4−アジドベンジリジン−p−t−ブチル)シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドベンザルアセトン、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、4’−アジドベンザルアセトフェノン−2−スルホン酸、4,4’−ジアジドスチルベン−α−カルボン酸、ジ−(4−アジド−2’−ヒドロキシベンザル)アセトン−2−スルホン酸、4−アジドベンザルアセトフェノン−2−スルホン酸、2−アジド−1,4−ジベンゼンスルホニルアミノナフタレン、4,4’−ジアジド−スチルベン−2,2’−ジスルホン酸アニリド等を挙げることができる。
またこれらの低分子量芳香族アジド化合物以外にも特公昭44−9047号、同44−31837号、同45−9613号、同45−24915号、同45−25713号、特開昭50−5102号、同50−84302号、同50−84303号、同53−12984号の各公報に記載のアジド基含有ポリマーも好適である。
上記有機過酸化物としては、例えば、トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、3,3',4,4'−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
上記メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−4705号、特開平5−83588号の各公報に記載の種々のチタノセン化合物、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)フェニル)チタニウム、並びに特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報に記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号の各明細書等に記載の種々の化合物、具体的には、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ブロモフェニル))4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2'−ビス(o,o'−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−メチルフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
上記有機ホウ素化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837号、特開2002−107916号、特許第2764769号、特開2002−116539号の各公報、Martin Kunz, Rad Tech '98. Proceeding April, 19-22, 1998, Chicago等に記載の有機ホウ酸塩、特開平6−157623号、特開平6−175564号、特開平6−175561号の各公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体あるいは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号、特開平7−128785号、特開平7−140589号、特開平7−306527号、特開平7−292014号の各公報に記載の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が挙げられる。
上記ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号公報、特開2003−328465号公報等に記載の化合物が挙げられる。
上記オキシムエステル化合物としては、J. C. S. Perkin II, 1653-1660 (1979)、J. C. S. Perkin II, 156-162 (1979)、Journal of Photopolymer Science and Technology, 202-232 (1995)、特開2000−66385号公報、特開2000−80068号公報記載の化合物が挙げられる。具体例としては、下記の構造式で示される化合物が挙げられる。
Figure 2009139739
上記オニウム塩化合物としては、例えば、S. I. Schlesinger, Photogr. Sci. Eng., 18, 387 (1974)、T. S. Bal et al., Polymer, 21, 423 (1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号公報等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、同第4,069,056号明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号明細書、米国特許第339,049号、同第410,201号,580号、同第3,604,581号の各明細書に記載のスルホニウム塩、J. V. Crivello et al., Macromolecules, 10(6), 1307 (1977)、J. V. Crivello et al., J. Polymer Sci., Polymer Chem.Ed., 17, 1047 (1979)に記載のセレノニウム塩、C. S. Wen et al., Teh. Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p.478, Tokyo, Oct. (1988)に記載のアルソニウム塩等が挙げられる。
本発明において、これらのオニウム塩化合物は酸発生剤ではなく、イオン性のラジカル重合開始剤として機能する。
好適に用いられるオニウム塩化合物は、下記式(RI−I)〜(RI−III)で表されるオニウム塩である。
Figure 2009139739
式(RI−I)中、Ar11は置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表す。好ましい置換基としては炭素数12以下のアルキル基、炭素数12以下のアルケニル基、炭素数12以下のアルキニル基、炭素数12以下のアリール基、炭素数12以下のアルコキシ基、炭素数12以下のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数12以下のアルキルアミノ基、炭素数12以下のジアルキルアミノ基、炭素数12以下のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数12以下のチオアルキル基、炭素数12以下のチオアリール基が挙げられる。Z11-は1価の陰イオンを表し、具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオンスルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも安定性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン及びスルフィン酸イオンが好ましい。
式(RI−II)中、Ar21及びAr22は、各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表す。好ましい置換基としては炭素数12以下のアルキル基、炭素数12以下のアルケニル基、炭素数12以下のアルキニル基、炭素数12以下のアリール基、炭素数12以下のアルコキシ基、炭素数12以下のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数12以下のアルキルアミノ基、炭素数12以下のジアルキルアミノ基、炭素数12以下のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数12以下のチオアルキル基、炭素数12以下のチオアリール基が挙げられる。Z21-は1価の陰イオンを表す。具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオン、カルボン酸イオンが挙げられる。中でも、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。
式(RI−III)中、R31、R32及びR33は、各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。中でも反応性、安定性の面から好ましいのは、アリール基である。置換基としては、炭素数12以下のアルキル基、炭素数12以下のアルケニル基、炭素数12以下のアルキニル基、炭素数12以下のアリール基、炭素数12以下のアルコキシ基、炭素数12以下のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数12以下のアルキルアミノ基、炭素数12以下のジアルキルアミノ基、炭素数12以下のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数12以下のチオアルキル基、炭素数12以下のチオアリール基が挙げられる。Z31-は1価の陰イオンを表す。具体例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオン、カルボン酸イオンが挙げられる。中でも安定性、反応性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。より好ましいものとして特開2001−343742号公報記載のカルボン酸イオン、特に好ましいものとして特開2002−148790号公報記載のカルボン酸イオンが挙げられる。
以下に、式(RI−I)〜(RI−III)で表されるオニウム塩の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009139739
Figure 2009139739
Figure 2009139739
Figure 2009139739
Figure 2009139739
Figure 2009139739
重合開始剤としては、特に反応性、安定性の面から、有機ハロゲン化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物が好ましく、より好ましくは有機ハロゲン化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、オニウム塩化合物である。
重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の含有量は、感光層全固形分に対し好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは0.8〜20重量%である。
(C)重合性化合物
本発明における感光層に用いる重合性化合物は、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。重合性化合物は、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの共重合体並びにそれらの混合物などの化学的形態をもつ。重合性化合物の例としては、以下の式(C−1)〜式(C−5)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009139739
式(C−1)中、Rl〜R3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は、1価の有機基を表す。R1としては、好ましくは、水素原子又はアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基、メチル基の水素原子の一つを水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、チオール基、アルキルチオ基、アシルチオ基、スルホ基、スルホン酸基、カルボキシル基で置換した基がラジカル反応性の高いことからより好ましい。また、R2又はR3としては、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基がラジカル反応性の高いことから好ましい。
Xは酸素原子、硫黄原子、−N(R12)−又は−C(R1213)−を表し、R12又はR13は水素原子、ハロゲン原子、又は、1価の有機基を表す。ここで、R12又はR13で表される1価の有機基としては、アルキル基などが挙げられる。R12又はR13としては、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。R12又はR13はLを構成する原子と結合して環を形成してもよい。
ここで、有機基に導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
Lは、水素、フッ素、塩素、臭素、沃素、炭素、窒素、酸素、硼素、硫黄、リン、珪素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、銀、パラジウム、鉛、ジルコニウム、ロジウム、錫、白金、タングステンから構成されるn価の有機残基であり、水素、フッ素、塩素、臭素、沃素、炭素、窒素、酸素、硼素、硫黄、リン、珪素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムから構成されるn価の有機残基であることが好ましく、水素、フッ素、塩素、臭素、沃素、炭素、窒素、酸素、硼素、硫黄、リン、珪素から構成されるn価の有機残基であることがより好ましい。
nは、自然数を表し、1以上100以下が好ましく、2以上80以下がより好ましく、3以上60以下がさらに好ましい。
式(C−1)で表される重合性化合物の具体例としては、(1)不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、2−ヒドロキシメチルアクリル酸、α−ブロモアクリル酸、フマル酸、メサコン酸、マレイン酸など)や、(2)そのエステル類、(3)そのアミド類が挙げられる。好ましくは、(4)不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、(5)不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、(6)ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類或いはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、(7)イソシアネート基、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類或いはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、さらに、(8)ハロゲン基、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類或いはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、上記不飽和カルボン酸を、不飽和ケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトンなど)に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例として、アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド(EO)変性トリアクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号の各公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報に記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。さらに、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報に記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(C−1’)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R4)COOCH2CH(R5)OH (C−1’)
(ただし、R4及びR5は、H又はCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号の各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号の各公報に記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。さらに、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号の各公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた感光層を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号の各公報に記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報に記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報に記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に記載の光硬化性モノマー及びオリゴマーも使用することができる。
Figure 2009139739
式(C−2)中、R1〜R5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は、1価の有機基を表す。R1〜R5としては、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基がより好ましい。R1〜R5は任意の2つで環を形成してもよく、Lを構成する原子に連結して環を形成してもよい。
有機基に導入し得る置換基としては、式(C−1)と同様のものが例示される。また、Yは酸素原子、硫黄原子、−N(R12)−又は−C(R1213)−を表す。R12、R13は式(C−1)のR12、R13と同義であり、好ましい例も同様である。
L、nは式(C−1)のL、nと同義であり、好ましい例も同様である。
式(C−2)で表される重合性化合物の具体例としては、不飽和二重結合を有するアルコール(例えば、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、3−ブテン−1−オール、2−シクロヘキセン−1−オール、レチノール等)と単官能或いは多官能カルボン酸(例えば、酢酸、安息香酸、マレイン酸、トリカルバリン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸等)とのエステル化合物、単官能或いは多官能イソ(チオ)シアネート(例えば、ブチルイソシアネート、1,3−ビス(シソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、アリルイソチオシアネート、フェニルイソチオシアネート、フェニルイソシアネート、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)等)とのウレタン化合物、単官能或いは多官能アルコール(例えば、エタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジオール、イノシトール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、キシリトール、デキストリン、フェノール、ビスフェノールA等)とのエーテル化合物、単官能或いは多官能エポキシ化合物(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキサイド、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート等)との付加反応物、単官能或いは多官能ハロゲン化アルキル(例えば、1,4−ジブロモブタン、マレイン酸ビス(2−ブロモエチル)エステル等)又は単官能或いは多官能アルコールのスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸、トルエンスルホン酸等)とのエステルの置換反応物、不飽和二重結合を有するハロゲン化アルキル(例えば、アリルブロミド、4−ブロモ−1−ブテン、3−クロロ−2−メチルプロペンなど)や不飽和二重結合を有するアルコールのスルホン酸エステルと単官能或いは多官能アルコール、単官能或いは多官能アミン(例えば、ブチルアミン、エチレンジアミン、トリエチルアミン、ペンタエチレンヘキサミン、2,2’−オキシビス(エチルアミン)、モルホリン、ピペラジン、ピリジン、プロリン、4,4’−メチレンジアニリンなど)、単官能或いは多官能ホスフィン、単官能或いは多官能チオール、単官能或いは多官能カルボニル化合物、単官能或いは多官能カルボン酸塩等の求核性化合物との置換反応物、不飽和二重結合を有するアミン(例えば、アリルアミン、トリアリルアミン、ゲラニルアミン、N−エチル−2−メチルアリルアミンなど)と単官能或いは多官能カルボン酸のアミド、単官能或いは多官能イソシアネートのウレア、単官能或いは多官能ハロゲン化アルキルや単官能或いは多官能アルコールのスルホン酸エステルとの置換反応物、単官能或いは多官能カルボニル化合物のイミン、単官能或いは多官能スルホン酸のスルホンアミド、不飽和二重結合を有するイソ(チオ)シアネート(例えば、アリルイソシアネート、アリルイソチオシアネートなど)と単官能或いは多官能アルコールとのウレタン、単官能或いは多官能アミンとのウレア、単官能或いは多官能カルボン酸とのアミド、単官能或いは多官能チオールとの付加反応物、単官能或いは多官能イソ(チオ)シアネートとの付加反応物が挙げられる。
Figure 2009139739
式(C−3)中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は、1価の有機基を表す。R1〜R3としては、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基がより好ましい。R1〜R5は任意の2つで環を形成してもよく、Lを構成する原子に連結して環を形成してもよい。
有機基に導入し得る置換基としては、式(C−1)と同様のものが例示される。また、Zは酸素原子、硫黄原子、−N(R12)−又は−C(R1213)−を表す。R12、R13は式(C−1)のR12、R13と同義であり、好ましい例も同様である。
L、nは式(C−1)のL、nと同義であり、好ましい例も同様である。
式(C−3)で表される重合性化合物の具体例としては、酢酸ビニル、酢酸イソプロペニル、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリビニルなどの単官能或いは多官能カルボン酸ビニルエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどのビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどのビニルエーテルアルコールと単官能或いは多官能カルボン酸とのエステル、単官能或いは多官能イソ(チオ)シアネートとのウレタン、単官能或いは多官能ハロゲン化アルキルや単官能或いは多官能アルコールのスルホン酸エステルとの置換生成物、単官能或いは多官能エポキシとの付加生成物、2−クロロエチルビニルエーテルなどのビニルエーテルハロゲン化アルキルやp−トルエンスルホン酸ビニルオキシエチルエステルなどのビニルエーテルスルホン酸エステルと単官能或いは多官能アルコール、単官能或いは多官能アミン、単官能或いは多官能ホスフィン、単官能或いは多官能チオール、単官能或いは多官能カルボニル化合物、単官能或いは多官能カルボン酸塩等の求核性化合物との置換反応物、3−アミノ−1−プロパノールビニルエーテル、2−(ジエチルアミノ)エタノールビニルエーテルなどのビニルエーテルアミンと単官能或いは多官能カルボン酸とのアミド、単官能或いは多官能イソ(チオ)シアネートとのウレア、単官能或いは多官能ハロゲン化アルキルとの置換生成物、単官能或いは多官能スルホン酸とのスルホンアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリジノン、N−ビニルフタルイミド等の単官能或いは多官能ビニルアミド、が挙げられる。
Figure 2009139739
式(C−4)中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は、1価の有機基を表す。R1〜R3としては、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基がより好ましい。R4〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は、1価の有機基か、Lに連結する2価の有機基を表し、1価の有機基としては、前述の1価の有機基が好ましく、2価の有機基としては、水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、ハロゲン、珪素、燐から構成される2価の有機基であることが好ましい。またR4〜R8の任意の2つで環を形成してもよく、Lを構成する原子に連結して環を形成してもよい。
有機基に導入し得る置換基としては、式(C−1)と同様のものが例示される。
L、nは式(C−1)のL、nと同義であり、好ましい例も同様である。
式(C−4)で表される重合性化合物の具体例としては、p−スチレンカルボン酸などのカルボン酸基含有スチレンやp−スチレンスルホン酸などのスルホン酸基含有スチレンと単官能或いは多官能アルコールとのエステル、単官能或いは多官能アミンとのアミド、p−ヒドロキシメチルスチレンやp−スチレンカルボン酸2−ヒドロキシエチルエステルやp−スチレンスルホン酸2−ヒドロキシエチルエステルなどの水酸基含有スチレンと単官能或いは多官能カルボン酸とのエステル、単官能或いは多官能イソ(チオ)シアネートとのウレタン、単官能或いは多官能ハロゲン化アルキルや単官能或いは多官能アルコールのスルホン酸エステルとの置換生成物、単官能或いは多官能エポキシとの付加生成物、p−クロロメチルスチレンやp−スチレンカルボン酸2−クロロエチルエステルなどのハロゲン化アルキル基含有スチレンやp−トシルオキシメチルスチレンなどのスルホン酸エステル基含有スチレンと単官能或いは多官能アルコール、単官能或いは多官能アミン、単官能或いは多官能ホスフィン、単官能或いは多官能チオール、単官能或いは多官能カルボニル化合物、単官能或いは多官能カルボン酸塩等の求核性化合物との置換反応物、p−アミノメチルスチレンなどのアミノ基含有スチレンと単官能或いは多官能カルボン酸とのアミド、単官能或いは多官能イソ(チオ)シアネートとのウレア、単官能或いは多官能ハロゲン化アルキルとの置換生成物、単官能或いは多官能スルホン酸とのスルホンアミドが挙げられる。
Figure 2009139739
式(C−5)中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は、1価の有機基を表す。R1〜R3としては、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基がより好ましい。R5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は、1価の有機基を表し、1価の有機基としては、前述の1価の有機基が好ましい。またR5はLと共に環を形成してもよい。
有機基に導入し得る置換基としては、式(C−1)と同様のものが例示される。また、Wは酸素原子、硫黄原子、−N(R12)−又は−C(R1213)−を表す。R12、R13は式(C−1)のR12、R13と同義であり、好ましい例も同様である。
L、nは式(C−1)のL、nと同義であり、好ましい例も同様である。
式(C−5)で表される重合性化合物の具体例としては、ビニルホスホン酸、メチル2−ホスホノアクリレートなどビニルホスホン酸と単官能或いは多官能アルコールとのエステル、単官能或いは多官能アミンとのアミド、ビス(2−ヒドロキシエチル)ビニルホスホン酸などの水酸基含有ビニルホスホン酸と単官能或いは多官能カルボン酸とのエステル、単官能或いは多官能イソ(チオ)シアネートとのウレタン、単官能或いは多官能ハロゲン化アルキルや単官能或いは多官能アルコールのスルホン酸エステルとの置換生成物、単官能或いは多官能エポキシとの付加生成物、ビス(2−ブロモエチル)ビニルホスホン酸等のハロゲン化アルキル基含有ビニルホスホン酸やp−トシルオキシエチルビニルホスホン酸などのスルホン酸エステル基含有ビニルホスホン酸と単官能或いは多官能アルコール、単官能或いは多官能アミン、単官能或いは多官能ホスフィン、単官能或いは多官能チオール、単官能或いは多官能カルボニル化合物、単官能或いは多官能カルボン酸塩等の求核性化合物との置換反応物が挙げられる。
重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等使用方法の詳細は、平版印刷版原版の性能設計にあわせて適宜設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、さらに、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、感光層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、重合開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、後述の支持体や保護層等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
重合性化合物は、感光層の全固形分に対して、好ましくは5〜80重量%、より好ましくは25〜75重量%の範囲で使用される。また、重合性化合物は単独で用いても、2種以上併用してもよい。そのほか、重合性化合物は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、耐かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な使用法を任意に選択できる。
(C)バインダーポリマー
本発明において、感光層に用いられるバインダーポリマーとしては、pHが2〜10好ましくは2.5〜8、さらに好ましくは3〜7.5の現像液に対する現像性の観点から、親水性基を有するバインダーポリマーが好ましい。より好ましくは、側鎖に親水性基を有する線状ポリマーである。
親水基としては、一価又は二価以上の親水性基から選ばれ、例えば、ヒドロキシ基、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基等のアルキレンオキシ基、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、これらアミノ基を酸で中和した塩、第四級アンモニウム基、アミド基、エーテル基、又はカルボン酸、スルホン酸、リン酸などの酸基を中和した塩、正に帯電した窒素原子を含有する複素環基が好ましく、特に第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、これらアミノ基を酸で中和した塩、第四級アンモニウム基、アミド基、ヒドロキシ基、−CH2CH2O−繰り返し単位又は、−CH2CH2NH−繰り返し単位、ピリジニウム基が好ましく、第三級アミノ基、第三級アミノ基を酸で中和した塩、第四級アンモニウム基が最も好ましい。
これらの中でも、アミノ基及び/又はアンモニウム基を有するバインダーポリマーが好ましく用いられる。
本発明に好適に使用されるアミノ基及び/又はアンモニウム基を有するバインダーポリマー(以下、適宜、「特定バインダーポリマー」と称する。)としては、ポリマー鎖の主鎖及び/又は側鎖部分にアミノ基及び/又はアンモニウム基を有するポリマーが例示できる。好ましくは、側鎖にアミノ基及び/又はアンモニウム基を有する線状ポリマーである。
また、下記式<1>又は式<2>で表される構造を側鎖に有するバインダーポリマーも好ましく用いられる。このようなポリマーとしては、式<1>又は式<2>で表される構造を含む繰返し単位を含む高分子化合物であれば、任意の化合物でよい。
Figure 2009139739
式<1>及び式<2>中、R1、R2及びR4〜R6は、各々独立して水素原子、ハロゲン原子、又は、1価の有機基を表す。R3及びR7は、各々独立に単結合又は2価の有機基を表す。また、R1〜R3のうち任意の2つあるいはR4〜R7のうち任意の2つは、互いに結合して環を形成してもよい。X-はアニオンを表す。*はバインダーポリマーに連結する位置を示す。
さらに、R1〜R3のうち任意の1つあるいはR4〜R7のうちの任意の1つが窒素原子と二重結合を形成してもよい。この場合、式<1>ではR1又はR2が、式<2>ではR4〜R6のうちの1つが存在しない構造となる。
3又はR7が窒素原子と二重結合を形成した場合、式<1>で表される繰り返し単位は、式<1’>で表され、式<2>で表される繰り返し単位は、式<2’>で表される。
Figure 2009139739
式<1’>及び式<2’>中、R3'及びR7'は、3価の有機基を表す。R1'、R4'及びR5'は、水素原子、ハロゲン原子又は1価の有機基を表す。X-はアニオンを表す。*はバインダーポリマーに連結する位置を示す。
1又はR4が窒素原子と二重結合を形成した場合、式<1>で表される繰り返し単位は式<1”>で表され、式<2>で表される繰り返し単位は式<2”>で表される。
Figure 2009139739
式<1”>及び式<2”>中、R3”及びR7”は、単結合又は2価の有機基を表す。R1”、R4”は、2価の有機基を表し、R5”は、水素原子、ハロゲン原子又は1価の有機基を表す。
-はアニオンを表す。*はバインダーポリマーに連結する位置を示す。
式<1>及び式<2>において、1価の有機基とは、水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン及びシリコンから選ばれる原子の少なくとも1種からなる1価の置換基である。また、2価の有機基とは、水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン及びシリコンから選ばれる原子の少なくとも1種からなる2価の連結基である。水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン、ケイ素から選ばれる原子の少なくとも1種からなる1価の置換基とは、−H、−F、−Cl、−Br、−I、>C<、=C<、≡C−、−O−、O=、−N<、−N=、≡N、−S−、S=、>S<、≡S≡、−P<、≡P<、>Si<、=Si<、≡Si−及びこれらを組み合わせて形成される置換基である。
式<1>及び式<2>において、R1、R2及びR4〜R6としては、水素原子、アルキル基〔例えば、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、クロロメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、N-(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、p-メチルベンジル基等〕、アリール基〔例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、等〕、ヘテロアリール基〔例えば、チオフェン、フラン、ピラン、、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、カルバゾール、アクリジン、フラザン、フェノキサジン等のへテロ環から誘導される基〕、アルケニル基〔例えばビニル基、1-プロペニル基、2-クロロ-1-エテニル基等〕、アルキニル基〔例えば、エチニル基、1-プロピニル基、トリメチルシリルエチニル基等〕、ハロゲン原子〔-F、-Br、-Cl、-I〕、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アシル基、スルホ基(-SO3H)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、ホスフォノ基(-PO32)及びその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(-OPO32)及びその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、等が挙げられ、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基が好ましい。
2価の連結基は、特に限定されないが、アルキレン基、アリーレン基及びエステル結合、アミド結合、エーテル結合などのヘテロ原子を含む連結基並びにこれらの組み合わせが好ましい。
式<1>中、pH2〜10の現像液での現像性の観点から、R1、R2がそれぞれ独立して水素原子、アルキル基又はアリール基であることが好ましい。R1、R2の炭素数の合計は0〜24がより好ましく、0〜12がさらに好ましい。ただし、炭素数の合計が0の場合、R1、R2の両方が水素原子である。
また、式<2>中、pH2〜10の現像液での現像性の観点から、R4、R5、R6がそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、又は、アリール基であることが好ましい。R4、R5、R6の炭素数の合計は0〜36が好ましく、0〜18がより好ましい。ただし、炭素数の合計が0の場合、R4、R5、R6の全てが水素原子である。
式<1>及び式<2>中、X-で表されるアニオンの具体例としては、ハロゲンアニオン、ハロゲンオキソ酸アニオン(ClO4 -、IO3 -、BrO3 -など)、ハロゲノ錯イオン(BF4 -、PF6 -、AlCl4 -など)、硫酸アニオン、硝酸アニオン、リン酸アニオン、ボレートアニオン、カルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、ホスホン酸アニオン、金属錯体アニオン([Fe(CN)6-など)等が挙げられる。pH2〜10の現像液での現像性の観点から、中でも、ハロゲンアニオン、ハロゲノ錯イオン、ボレートアニオン、カルボン酸アニオン、スルホン酸アニオンが好ましく、ハロゲノ錯イオン、ボレートアニオン、スルホン酸アニオンがさらに好ましい。
バインダーポリマーは共重合体であることが好ましく、共重合体の全共重合成分に占める前記親水性基を有する共重合成分の割合は、現像性の観点から、1〜70%が好ましい。現像性と耐刷性の両立を考慮すると、1〜50%がより好ましく、1〜30%がさらに好ましい。
さらに、本発明に用いられるバインダーポリマーは、現像性・耐汚れ性の観点から、カルボン酸基、リン酸基を実質的に含有しないものが好ましい。
バインダーポリマーの酸価(ポリマー1gあたりの酸含率を化学等量数で表したもの)は、0.3meq/g以下が好ましく、より好ましくは、0.1meq/g以下である。
また、本発明に用いられるバインダーポリマーは、水及びpH10を超えるの水溶液に対し不溶であることが好ましい。適切なバインダーポリマーの水に対する溶解度(飽和溶解時のバインダーポリマー濃度)は10重量%以下であり、より好ましくは1.0重量%以下である。なお、上記溶解度の測定温度は、製版時の通常の温度である25℃である。
このようなバインダーポリマーの骨格としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれる高分子が好ましい。中でも、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂等のビニル共重合体、ポリウレタン樹脂が特に好ましい。
本発明に用いられるバインダーポリマーは架橋性基を有することが好ましい。ここで架橋性基とは、平版印刷版原版を露光した際に感光層中で起こるラジカル重合反応の過程でバインダーポリマーを架橋させる基のことである。このような機能の基であれば特に限定されないが、例えば、付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和結合含有基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。また光照射によりラジカルになり得る官能基であってもよく、そのような架橋性基としては、例えば、チオール基、ハロゲン原子等が挙げられる。中でも、エチレン性不飽和結合含有基が好ましい。
架橋性基を有するバインダーポリマーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカル又は重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接に又は重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。又は、ポリマー中の原子(例えば、官能性架橋基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。架橋性基としてはラジカル重合性の不飽和二重結合を側鎖に有するものであれば特に限定されないが、(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基が好ましく用いられ、(メタ)アクリロイル基が耐刷性等の観点から特に好ましい。
バインダーポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.01〜10.0mmol、より好ましくは0.05〜5.0mmol、さらに好ましくは0.1〜2.0mmolである。
耐刷性向上という観点から、架橋性基は親水性基の近傍にあることが望ましく、親水性基と架橋性基が同一の重合単位上にあってもよい。
バインダーポリマーがアクリル樹脂である場合は、上記親水性基を有するユニット、架橋性基を有するユニット、又は親水性基及び架橋性基を有するユニットの他に、(メタ)アクリル酸アルキル又はアラルキルエステルのユニットを有することが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、メチル基がより好ましい。(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
バインダーポリマーがウレタン樹脂である場合には、上記親水性基を有するユニット、架橋性基を有するユニット、又は親水性基及び架橋性基を有するユニットの他に疎水性ユニットを有することが好ましい。疎水性ユニットとしては、炭素数5以上のアルキル基、炭素数5以上のアルキレン基、アリール基、アリーレン基が挙げられ、特に炭素数5以上のアルキレン基、アリーレン基を主鎖骨格に有することが耐刷性の観点から特に好ましい。
バインダーポリマーは、重量平均分子量が5,000以上であることが好ましく、1万〜30万であることがより好ましく、また、数平均分子量が1,000以上であることが好ましく、2,000〜25万であることがより好ましい。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であることが好ましい。
バインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよい。
バインダーポリマーは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。バインダーポリマーの含有量は、良好な画像部の強度と画像形成性の観点から、感光層の全固形分に対して、5〜75重量%が好ましく、10〜70重量%がより好ましく、10〜60重量%がさらに好ましい。
また、重合性化合物及びバインダーポリマーの合計含有量は、感光層の全固形分に対して、80重量%以下であることが好ましい。80重量%を超えると、感度の低下、現像性の低下を引き起こす場合がある。より好ましくは35〜75重量%である。
以下に本発明に好適に用いるバインダーポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。表中の分子量は、ポリスチレンを標準物質としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)である。
Figure 2009139739
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式<1>又は式<2>で表される構造を繰返し単位中に含む特定バインダーポリマ
ーの具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
表中の分子量はポリスチレンを標準物質としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量である。
また、PB−1〜PB−50bにおいて、化合物と共に記載される数値は各構成成分の反応比(モル%)であり、表中、PPGはポリプロピレングリコールを、PEGはポリエチレングリコールを表し、これに続く数字は平均分子量を表す。例えば「PPG1000」とは平均分子量1000のポリプロピレングリコールを表す。
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本発明においては、上記のようなアミノ基及び/又はアンモニウム基を有するバインダーポリマーを感光層に使用すると、親水性ポリマーを含有する保護層との密着性が改善され、保護層の耐傷性が向上する利点がある。これは、バインダーポリマーのカチオン又は塩基と親水性ポリマーのアニオン又は酸基との静電相互作用又は酸塩基相互作用に起因するものと思われる。
<その他の感光層構成成分>
本発明の感光層には、さらに、必要に応じて種々のその他の感光層構成成分(添加剤)を含有させることができる。以下、それらについて説明する。
〔共増感剤〕
感光層には、共増感剤を用いることができる。共増感剤とは、感光層に添加したときに、感光層の感度をさらに向上させることができる添加剤である。その作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。すなわち、先述の重合開始剤の光吸収により開始される光反応と、それに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、過酸化物、酸化剤、還元剤等)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。共増感剤は、大きくは、(a)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(b)酸化されて活性ラジカルを生成しうるもの、(c)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、もしくは連鎖移動剤として作用するもの、に分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては、通説がない場合も多い。
(a)還元されて活性ラジカルを生成する化合物
炭素−ハロゲン結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
窒素−窒素結合を有する化合物:還元的に窒素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。
酸素−酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や酸素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類等が好適に使用される。
(b)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には、例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成しうる。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化によりカルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成しうる。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1類、並びに、これらとヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類、及びN−OHをエステル化したオキシムエステル類を挙げることができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的は、アリールスルフィン酸ナトリウム等を挙げることができる。
(c)ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換もしくは連鎖移動剤として作用する化合物
ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換もしくは連鎖移動剤として作用する化合物としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンする事によりラジカルを生成しうる。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類等が挙げられる。
連鎖移動剤は感度及び保存安定性向上に寄与する。
連鎖移動剤としては、チオール化合物(例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類等)を好ましく用いることができる。中でも、下記式(T)で表されるチオール化合物が特に好適に使用される。連鎖移動剤としてこのチオール化合物を用いることによって、臭気の問題、及び感光層からの蒸発や他の層への拡散による感度減少を回避し、保存安定性に優れ、さらには高感度で高耐刷の平版印刷版原版が得られる。
Figure 2009139739
式(T)中、Rはアルキル基又はアリール基を表し、AはN=C−N部分と共に炭素原子を有する5員又は6員のヘテロ環を形成する原子団を表し、Aはさらに置換基を有してもよい。
さらに好ましくは下記式(TA)又は式(TB)で表されるものが使用される。
Figure 2009139739
式(TA)及び式(TB)中、Rはアルキル基又はアリール基を表し、Xは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシル基、アルキル基又はアリール基を表す。
以下に、式(T)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定され
るものではない。
Figure 2009139739
Figure 2009139739
連鎖移動剤の使用量は感光層の全固形分に対し、好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは0.1〜15重量%、さらに好ましくは1.0〜10重量%である。
共増感剤の他の具体的な例としては、特開平9−236913号公報中に感度向上を目的とした添加剤として記載されている化合物を挙げることができる。以下に、その一部を例示するが、本発明はこれらに限定されるものはない。
Figure 2009139739
共増感剤は、単独で又は2種以上併用して用いることができる。使用量は重合性化合物100重量部に対し、通常は0.05〜100重量部、好ましくは1〜80重量部、より好ましくは3〜50重量部である。
〔界面活性剤〕
感光層には、現像性の促進及び塗布面状を向上させるために界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
本発明に用いられるノニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体が挙げられる。
本発明に用いられるアニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類が挙げられる。
本発明に用いられるカチオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
上記界面活性剤に関して、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等の「ポリオキシアルキレン」に読み替えることもでき、本発明においては、それらの界面活性剤も用いることができる。
さらに好ましい界面活性剤としては、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤が挙げられる。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン型;パーフルオロアルキルベタイン等の両性型;パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型;パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基及び親水性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基及び親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基を含有するウレタン等のノニオン型が挙げられる。また、特開昭62−170950号、同62−226143号及び同60−168144号の各公報に記載のフッ素系界面活性剤も好適に挙げられる。
界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。界面活性剤の含有量は、感光層の全固形分に対して、0.001〜10重量%が好ましく、0.01〜7重量%がより好ましい。
〔親水性ポリマー〕
感光層には、現像性の向上、マイクロカプセルの分散安定性向上などのため、親水性ポリマーを含有させることができる。
親水性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、スルホン酸基、リン酸基等の親水性基を有するものが好適に挙げられる。
具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロース及びそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類及びそれらの塩、ポリメタクリル酸類及びそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、加水分解度が60モル%以上、好ましくは80モル%以上である加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、ポリビニルピロリドン、アルコール可溶性ナイロン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンとのポリエーテル等が挙げられる。
親水性ポリマーの重量平均分子量は、5,000以上が好ましく、1万〜30万がより好ましい。親水性ポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよい。親水性ポリマーの含有量は、感光層全固形分の20重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。
〔着色剤〕
感光層には、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI45170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、及び特開昭62−293247号公報に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料も好適に用いることができる。
着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。添加量は、感光層全固形分に対し、0.01〜10重量%が好ましい。
〔焼き出し剤〕
感光層には、焼き出し画像生成のため、酸又はラジカルによって変色する化合物を添加することができる。このような化合物としては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルーBOH(保土ヶ谷化学工業(株)製)、オイルブルー#603、オイルピンク#312、オイルレッド5B、オイルスカーレット#308、オイルレッドOG、オイルレッドRR、オイルグリーン#502(以上オリエント化学工業(株)製)、スピロンレッドBEHスペシャル(保土ヶ谷化学工業(株)製)、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシステアリルアミノ−4−p−N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等の染料やp,p',p"−ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)等のロイコ染料が挙げられる。
上記の他に、感熱紙や感圧紙用の素材として知られているロイコ染料も好適なものとして挙げられる。具体例としては、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチル)アミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)−フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メトキシ−7−アミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−ベンジルアミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−ザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、などが挙げられる。
酸又はラジカルによって変色する化合物の好適な添加量は、感光層固形分に対して0.01〜15重量%である。
〔熱重合防止剤〕
感光層には、感光層の製造中又は保存中において、重合性化合物の不要な熱重合を防止するために、少量の熱重合防止剤を添加するのが好ましい。
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好適に挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、感光層の全固形分に対して、約0.01〜約5重量%が好ましい。
〔高級脂肪酸誘導体〕
感光層には、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体を添加し、塗布後の乾燥過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、感光層の全固形分に対して、約0.1〜約10重量%が好ましい。
〔可塑剤〕
感光層は可塑剤を含有してもよい。可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカプリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレエート等の脂肪族二塩基酸エステル類;ポリグリシジルメタクリレート、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル等が好適に挙げられる。可塑剤の含有量は、感光層の全固形分に対して、約30重量%以下が好ましい。
〔無機微粒子〕
感光層は、画像部の硬化皮膜強度向上のために、無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム又はこれらの混合物が好適に挙げられる。無機微粒子は光熱変換性でなくても、皮膜の強化、表面粗面化による界面密着性の強化等のために用いられる。無機微粒子の平均粒径は、感光層中での分散安定性、十分な膜強度の保持、印刷時に汚れを生じにくい親水性に優れる非画像部の形成等の観点から、5nm〜10μmが好ましく、0.5〜3μmがより好ましい。無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。無機微粒子の含有量は、感光層の全固形分に対して、20重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。
〔親水性低分子化合物〕
感光層は、現像性向上のため、親水性低分子化合物を含有することができる。親水性低分子化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類及びそのエーテル又はエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類及びその塩、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類及びその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類及びその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類及びその塩や、テトラエチルアミン塩酸塩等の有機4級アンモニウム塩等が挙げられる。
(感光層の形成)
感光層の形成には、いくつかの態様を用いることができる。一つは、例えば、特開2002−287334号公報に記載のごとく、感光層構成成分を適当な溶媒に溶解して塗布する態様である。使用する溶剤としては、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができる。溶剤は単独で又は混合して使用される。もう一つは、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、感光層構成成分をマイクロカプセルに内包させて感光層に含有させる態様(マイクロカプセル型感光層)である。マイクロカプセル型感光層においては、構成成分をマイクロカプセル外にも含有させることもできる。マイクロカプセル型感光層においては、疎水性の構成成分をマイクロカプセルに内包させ、親水性構成成分をマイクロカプセル外に含有させることがより好ましい態様である。
上記の感光層構成成分をマイクロカプセル化する方法としては、公知の方法が適用できる。例えばマイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2800457号明細書、同第2800458号明細書に記載のコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号明細書、特公昭38−19574号公報、同42−446号公報に記載の界面重合法による方法、米国特許第3418250号明細書、同第3660304号明細書に記載のポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号明細書に記載のイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書に記載のイソシアナート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同第4087376号、同第4089802号の各明細書に記載の尿素−ホルムアルデヒド系又は尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025445号明細書に記載のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号公報、同51−9079号公報に記載のモノマー重合によるin situ法、英国特許第930422号明細書、米国特許第3111407号明細書に記載のスプレードライング法、英国特許第952807号明細書、同第967074号明細書に記載の電解分散冷却法などが挙げられる。
本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、及びこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレア及びポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を有する化合物を導入してもよい。
マイクロカプセルの平均粒径は、良好な解像度と経時安定性の観点から、0.01〜3.0μmが好ましい。0.05〜2.0μmがより好ましく、0.10〜1.0μmがさらに好ましい。
また、本発明においては、上述した感光層構成成分、特に好ましくは赤外線吸収剤を樹脂粒子に内包されている態様とすることもできる。
このような態様は、構成成分を溶媒に溶解した後、高分子溶液(好ましくは高分子水溶液)とホモジナイザー等を用いて混合して得られる樹脂粒子分散液を調製し、これを用いることにより達成できる。
この際用いることができる溶媒としては、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)、ジイソプロピルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ジクロロエタン、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。溶剤は、単独で又は混合して使用される。
高分子としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリメタクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、アクリル酸−アクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウムコポリマー等が挙げられる。
感光層塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50重量%である。
感光層は、同一又は異なる成分を同一又は異なる溶剤に分散又は溶解した塗布液を複数調製し、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成することもできる。
感光層の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、良好な感度、良好な皮膜特性等を考慮して、一般的に0.3〜3.0g/m2が好ましい。
感光層の塗布には、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
1−3.支持体
本発明に用いられる支持体は、特に限定されず、寸度的に安定な板状の親水性支持体であればよい。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルム及びアルミニウム板が挙げられる。中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
アルミニウム板は、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板及び、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものを含む。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は10重量%以下が好ましい。完全に純粋なアルミニウム板は精錬技術上製造が困難であるので、微量の異元素を含有する合金板が好適に用いられる。アルミニウム板は、その組成が限定されるものではなく、公知公用のものを適宜利用することができる。アルミニウム板の厚さは0.1〜0.6mmが好ましく、0.15〜0.4mmがより好ましく、0.2〜0.3mmがさらに好ましい。
アルミニウム板には、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すのが好ましい。表面処理により、親水性の向上及び感光層との密着性の確保が容易になる。アルミニウム板の粗面化処理に先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するために界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
アルミニウム板表面の粗面化処理は種々の方法により行われ、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(電気化学的に表面を溶解させる粗面化処理)、化学的粗面化処理(化学的に表面を選択溶解させる粗面化処理)が挙げられる。機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等が挙げられる。電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流又は直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
粗面化処理されたアルミニウム板は、必要に応じて、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてアルカリエッチング処理され、さらに、中和処理された後、所望により、耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理には、多孔質酸化皮膜を形成させる種々の電解質が用いられる。一般的には、硫酸、塩酸、シュウ酸、クロム酸又はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80重量%溶液、液温度5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であるのが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、良好な耐刷性と非画像部の良好な耐傷性等の観点から、1.0〜5.0g/m2が好ましく、1.5〜4.0g/m2がより好ましい。
支持体としては、上記のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板そのままでもよいが、上層との蜜着性、親水性、汚れ難さ、断熱性などの一層の改良のため、必要に応じて、公知の処理方法、例えば、特開2001−253181号公報や特開2001−322365号公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、マイクロポアの封孔処理、親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理などを適宜選択して行うことができる。
封孔処理としては、水蒸気による封孔処理、フッ化ジルコン酸の単独処理、フッ化ナトリウムによる処理など無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、塩化リチウムを添加した蒸気封孔処理、熱水による封孔処理などが挙げられる。中でも、無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、水蒸気による封孔処理及び熱水による封孔処理が好ましい。
親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号及び同第3,902,734号の各明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケート法がある。この方法においては、支持体をケイ酸ナトリウム等の水溶液で浸漬処理又は電解処理する。そのほかに、特公昭36−22063号公報に記載されているフッ化ジルコン酸カリウムで処理する方法、米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号及び同第4,689,272号の各明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が挙げられる。
支持体としてポリエステルフィルムなど表面の親水性が不十分な支持体を用いる場合は、親水層を塗布して表面を親水性にすることが望ましい。親水層としては、特開2001−199175号公報に記載の、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウム、アンチモン及び遷移金属から選択される少なくとも一つの元素の酸化物又は水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層や、特開2002−79772号公報に記載の、有機親水性ポリマーを架橋あるいは疑似架橋することにより得られる有機親水性マトリックスを有する親水層や、ポリアルコキシシラン、チタネート、ジルコネート又はアルミネートの加水分解、縮合反応からなるゾル−ゲル変換により得られる無機親水性マトリックスを有する親水層、あるいは、金属酸化物を含有する表面を有する無機薄膜からなる親水層が好ましい。中でも、珪素の酸化物又は水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。
また、支持体としてポリエステルフィルム等を用いる場合には、支持体の親水性層側又は反対側、あるいは両側に、帯電防止層を設けるのが好ましい。帯電防止層を支持体と親水性層との間に設けた場合には、親水性層との密着性向上にも寄与する。帯電防止層としては、特開2002−79772号公報に記載の金属酸化物微粒子やマット剤を分散したポリマー層等が使用できる。
支持体の中心線平均粗さは、感光層との良好な密着性、良好な耐刷性、良好な汚れ難さ等の観点から、0.10〜1.2μmが好ましい。また、支持体の色濃度は、画像露光時のハレーション防止による良好な画像形成性、現像後の良好な検版性等の観点から、反射濃度値として0.15〜0.65が好ましい。
1−4.下塗り層
本発明に係る平版印刷版原版においては、必要に応じて、感光層と支持体との間に下塗り層を設けることができる。下塗り層は、露光部においては支持体と感光層との密着性を強化する機能を、また、未露光部においては、感光層の支持体からのはく離を生じやすくさせる機能を有するため、現像性が向上する。また、赤外レーザーによる画像露光の場合、下塗り層が断熱層として機能することにより、画像露光により発生した熱が支持体に拡散せず、効率よく利用されるため、高感度化が図れるという利点がある。
下塗り層としては、具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報に記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物等が好適に挙げられる。
下塗り層には、親水性基を有する公知の樹脂を用いることもできる。そのような樹脂の具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロース及びそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニルマレイン酸コポリマー類、スチレンーマレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類及びそれらの塩、ポリメタクリル酸類及びそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、加水分解度が60モル%以上、好ましくは80モル%以上である加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマー及びポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、ポリビニルピロリドン、アルコール可溶性ナイロン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンとのポリエーテル等が挙げられる。
下塗り層に用いられる高分子化合物(下塗り層用高分子化合物)は、支持体表面への吸着性を有することが好ましい。支持体表面への吸着性の有無に関しては、例えば以下のような方法で判断できる。
試験化合物を易溶性の溶媒に溶解させた塗布液を作製し、その塗布液を乾燥後の塗布量が30mg/m2となるように支持体上に塗布・乾燥させる。次に試験化合物を塗布した支持体を、易溶性溶媒を用いて十分に洗浄した後、洗浄除去されなかった試験化合物の残存量を測定して支持体吸着量を算出する。ここで残存量の測定は、残存化合物量を直接定量してもよいし、洗浄液中に溶解した試験化合物量を定量して算出してもよい。化合物の定量は、例えば蛍光X線測定、反射分光吸光度測定、液体クロマトグラフィー測定などで実施できる。支持体吸着性がある化合物は、上記のような洗浄処理を行っても1mg/m2以上残存する化合物である。
下塗り層用高分子化合物に、支持体表面への吸着性を付与するには、吸着性基の導入により行うことができる。支持体表面への吸着性基は、支持体表面に存在する物質(例えば、金属、金属酸化物)あるいは官能基(例えば、水酸基)と、化学結合(例えば、イオン結合、水素結合、配位結合、分子間力による結合)を引き起こすことができる官能基である。吸着性基は、酸基又はカチオン性基が好ましい。
酸基は、酸解離定数(pKa)が7以下であることが好ましい。酸基の例は、フェノール性水酸基、カルボキシル基、−SO3H、−OSO3H、−PO32、−OPO32、−CONHSO2−、−SO2NHSO2−及びCOCH2COCH3を含む。リン酸基(−OPO32、―PO32)が特に好ましい。またこれら酸基は、金属塩であっても構わない。
カチオン性基は、オニウム基であることが好ましい。オニウム基の例は、アンモニウム基、ホスホニウム基、アルソニウム基、スチボニウム基、オキソニウム基、スルホニウム基、セレノニウム基、スタンノニウム基、ヨードニウム基を含む。アンモニウム基、ホスホニウム基及びスルホニウム基が好ましく、アンモニウム基及びホスホニウム基がさらに好ましく、アンモニウム基が最も好ましい。
下塗り層用高分子化合物に吸着性基を導入するには、吸着性基を有するモノマーが用いられる。吸着性基を有するモノマーの好ましい例としては、下記式(E−1)又は式(E−2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009139739
式(E−1)及び式(E−2)において、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数が1乃至6のアルキル基である。R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数が1乃至6のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素原子数が1乃至3のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子又はメチル基であることが最も好ましい。R2及びR3は、水素原子であることが特に好ましい。
Xは、酸素原子(−O−)又はイミノ(−NH−)である。Xは、酸素原子であることがさらに好ましい。
Lは、2価の連結基である。Lは、2価の脂肪族基(アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基)、2価の芳香族基(アリーレン基)又は2価の複素環基であるか、あるいはそれらと、酸素原子(−〇−)、硫黄原子(―S―)、イミノ(−NH−)、置換イミノ(−NR−、Rは脂肪族基、芳香族基又は複素環基)又はカルボニル(−CO−)との組み合わせであることが好ましい。
脂肪族基は、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1乃至20が好ましく、1乃至15がより好ましく、1乃至10がさらに好ましい。脂肪族基は、不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、芳香族基及び複素環基を含む。
芳香族基の炭素原子数は、6乃至20が好ましく、6乃至15がより好ましく、6乃至10がさらに好ましい。芳香族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を含む。
複素環基は、複素環として5員環又は6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族環が縮合していてもよい。複素環基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R、Rは脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を含む。
Lは、複数のポリオキシアルキレン構造を含む二価の連結基であることが好ましい。ポリオキシアルキレン構造は、ポリオキシエチレン構造であることがさらに好ましい。言い換えると、Lは、−(OCH2CH2n−(nは2以上の整数)を含むことが好ましい。
Zは、親水性支持体表面に吸着する官能基である。吸着性の官能基については、前述した通りである。
Yは、炭素原子又は窒素原子である。Yが窒素原子でY上にLが連結し四級ピリジニウム基になった場合、それ自体が吸着性を示すことからZは必須ではない。
以下に、式(E−1)又は式(E−2)で表される代表的なモノマーの具体例を示す。
Figure 2009139739
下塗り層に用いられる高分子化合物(下塗り層用高分子化合物)は、さらに親水性基を有することが好ましい。親水性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、スルホン酸基、リン酸基等が好適に挙げられる。
本発明において、感光層に、側鎖にカチオン性基を有するバインダーポリマーを用いる場合には、これと相互作用する下塗り層用高分子化合物の親水性基としては、カルボキシル基、カルボキレート基、スルホン酸基、リン酸基などのアニオン性基が好ましい。
本発明で用いられる下塗り層用高分子化合物は、さらに架橋性基を有することが好ましい。架橋性基によって画像部との密着性の向上が得られる。下塗り層用高分子化合物に架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の側鎖中に導入したり、高分子化合物の極性置換基と対荷電を有する置換基とエチレン性不飽和結合を有する化合物で塩構造を形成させたりして導入することができる。
分子中にエチレン性不飽和結合を有するモノマーの例としては、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミドであって、エステル又はアミドの残基(−COOR又は−CONHRのR)がエチレン性不飽和結合を有するモノマーを挙げることができる。
エチレン性不飽和結合を有する残基(上記R)の例としては、−(CH2nCR1=CR23、−(CH2O)nCH2CR1=CR23、−(CH2CH2O)nCH2CR1=CR23、−(CH2nNH−CO−O−CH2CR1=CR23、−(CH2n−O−CO−CR1=CR23、及び−(CH2CH2O)2−X(式中、R1〜R3はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基を表し、R1とR2又はR3とは互いに結合して環を形成してもよい。nは、1〜10の整数を表す。Xは、ジシクロペンタジエニル残基を表す。)を挙げることができる。
エステル残基の具体例としては、−CH2CH=CH2、−CH2CH2O−CH2CH=CH2、−CH2C(CH3)=CH2、−CH2CH=CH−C65、−CH2CH2OCOCH=CH−C65、−CH2CH2NHCOO−CH2CH=CH2、及び−CH2CH2O−X(式中、Xはジシクロペンタジエニル残基を表す。)が挙げられる。
アミド残基の具体例としては、−CH2CH=CH2、−CH2CH2O−Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)、−CH2CH2OCO−CH=CH2が挙げられる。
下塗り層用高分子化合物中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、高分子化合物1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。この範囲で、良好な感度と耐汚れ性の両立、及び良好な保存安定性が得られる。
下塗り層用高分子化合物としては、吸着性基を有するモノマー単位及び親水性基を有するモノマー単位を有するポリマーが好ましく、吸着性基を有するモノマー単位、親水性基を有するモノマー単位及び架橋性基を有するモノマー単位を有するポリマーが特に好ましい。
下塗り層用高分子化合物の好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限られたものではない。
Figure 2009139739
Figure 2009139739
Figure 2009139739
さらに、特開2005−125749号公報に記載の、エチレン性不飽和結合を含有する繰り返し単位などを含む共重合体も好ましく用いることができる。
下塗り層用高分子化合物は、重量平均分子量が5,000以上が好ましく、1万〜30万がより好ましく、また、数平均分子量が1,000以上が好ましく、2,000〜25万がより好ましい。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.1〜10が好ましい。
下塗り層用高分子化合物は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよいが、ランダムポリマーであるのが好ましい。
下塗り層用高分子化合物は単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/m2が好ましく、1〜30mg/m2がより好ましい。
1−5.バックコート層
支持体に表面処理を施した後又は下塗り層を形成させた後、必要に応じて、支持体の裏面にバックコートを設けることができる。
バックコートとしては、例えば、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されている有機金属化合物又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。中でも、Si(OCH34、Si(OC254、Si(OC374、Si(OC494等のケイ素のアルコキシ化合物を用いることが原料を安価で入手しやすい点で好ましい。
2.平版印刷版の製造方法
本発明の平版印刷版の製造方法を以下に詳細に説明する。
本発明の平版印刷版の製造方法は、親水性支持体上に感光層及び保護層をこの順に有する平版印刷版原版を画像露光する工程、及び、pH2〜10の現像液で保護層及び非露光部の感光層を除去する工程を含み、前記感光層が、(A)増感色素、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、及び、(D)バインダーポリマーを含有し、前記保護層の最外層が、親水性ポリマーと、シリカを含有する有機樹脂粒子とを含有することを特徴とする。
すなわち、本発明の平版印刷版原版を画像露光した後、pHが2〜10の現像液で保護層及び非露光部の感光層を除去して、親水性支持体上に画像を形成する。
平版印刷版原版は、線画像、網点画像等を有する透明原画を通して画像露光されるかデジタルデータによるレーザー光走査等で画像露光される。望ましい露光光源の波長は350nm〜450nmである。
350nm〜450nmの入手可能なレーザー光源としては以下のものを利用することができる。
ガスレーザーとして、Arイオンレーザー(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザー(356nm、351nm、10mW〜1W)、He−Cdレーザー(441nm、325nm、1mW〜100mW)、固体レーザーとして、Nd:YAG(YVO4)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355nm、5mW〜1W)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm、10mW)、半導体レーザー系として、KNbO3リング共振器(430nm、30mW)、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)、その他、パルスレーザーとしてN2レーザー(337nm、パルス0.1〜10mJ)、XeF(351nm、パルス10〜250mJ)。特にこの中でAlGaInN半導体レーザー(市販InGaN系半導体レーザー400〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
走査露光方式の平版印刷版原版露光装置としては、露光機構として内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式があり、光源としては上記光源の中で連続発振可能なものが好ましく利用することができる。現実的には平版印刷版原版(以下感材ともいう)の感度と製版時間の関係で、以下の露光装置が特に好ましい。
・内面ドラム方式で総出力20mW以上の半導体レーザーとなる様に、ガスレーザーあるいは固体レーザー光源を1個以上使用するシングルビーム〜トリプルビームの露光装置。
・フラットベッド方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜10本)の露光装置。
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜9本)の露光装置。
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(10本以上)の露光装置。
以上のようなレーザー直描型の平版印刷版原版においては、一般に感材感度X(J/cm2)、感材の露光面積S(cm2)、レーザー光源1個のパワーq(W)、レーザー本数n、全露光時間t(s)との間に式(eq 1)が成立する。
X・S=n・q・t (eq 1)
i)内面ドラム(シングルビーム)方式の場合:
レーザー回転数f(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)の間には一般的に式(eq 2)が成立する。
f・Z・t=Lx (eq 2)
ii)外面ドラム(マルチビーム)方式の場合:
ドラム回転数F(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 3)が成立する。
F・Z・n・t=Lx (eq 3)
iii)フラットヘッド(マルチビーム)方式の場合:
ポリゴンミラーの回転数H(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 4)が成立する。
H・Z・n・t=Lx (eq 4)
実際の印刷版原版に要求される解像度(2,560dpi)、版サイズ(A1/B1、副走査長42inch)、20枚/1時間程度の露光条件と本発明に係る平版印刷版原版の感光特性(感光波長、感度:約0.1mJ/cm2)を上記式に代入することで、本発明に係る平版印刷版原版においては総出力20mW以上のレーザーを用いたマルチビーム露光方式との組み合わせが特に好ましいことが理解できる。さらに操作性、コスト等を掛け合わせることにより外面ドラム方式の半導体レーザーマルチビーム(10本以上)露光装置との組み合わせが最も好ましいことになる。
平版印刷版原版の画像露光は、赤外線レーザーで行なうこともできる。
本発明に用いられる赤外線レーザーは、特に限定されないが、波長760〜1,200nmの赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーが好適に挙げられる。赤外線レーザーの出力は、100mW以上であるのが好ましい。また、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザーデバイスを用いるのが好ましい。1画素あたりの露光時間は、20μ秒以内であるのが好ましい。また、照射エネルギー量は、10〜300mJ/cm2であるのが好ましい。
本発明に使用可能な他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視及び紫外の各種レーザーランプ、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等がある。
本発明において用いられる現像液は、pHが2〜10の水溶液である。例えば、水単独又は水を主成分(水を60重量%以上含有)とする水溶液が好ましく、特に、一般的に公知の湿し水と同様組成の水溶液、界面活性剤(アニオン系、ノニオン系、カチオン系等)を含有する水溶液や、水溶性高分子化合物を含有する水溶液が好ましい。特に、界面活性剤と水溶性高分子化合物の両方を含有する水溶液が好ましい。現像液のpHは、好ましくは2.5〜8、さらに好ましくは3〜7.5である。
現像液に用いられるアニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類及びアルキルナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
現像液に用いられるカチオン系界面活性剤としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
現像液に用いられるノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型の高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー等や、多価アルコール型のグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。
これらの中でもソルビトール及び/又はソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー、多価アルコールの脂肪酸エステルがより好ましい。ノニオン性界面活性剤は、抑泡性の観点から好ましい。
また、水に対する安定な溶解性あるいは混濁性の観点から、現像液に使用するノニオン系界面活性剤としては、HLB(Hydorophile−Lipophile Balance)値が、6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。
またアセチレングリコール系とアセチレンアルコール系のオキシエチレン付加物、フッ素系、シリコーン系等の界面活性剤も同様に使用することができる。
本発明に用いられる現像液は、窒素原子含有の界面活性剤を含むことが好ましい。窒素原子含有の界面活性剤としては、下記式<3>〜式<6>で表されるいずれかの化合物が好ましい。
Figure 2009139739
式<3>中、R8はアルキル基を表し、R9、R10は各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、R11はアルキレン基を表し、Aはカルボン酸イオンを含有する基を表す。
式<4>中、R12は、水素原子又はアルキル基、R13、R14は各々独立にアルキレン基又はポリアルキレンオキシド基を表し、B、Cは各々独立にヒドロキシル基、カルボン酸基もしくはカルボン酸塩を含有する基を表す。
式<5>中、R15、R16は各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、R17はアルキレン基を表し、Dはカルボン酸基もしくはカルボン酸塩を含有する基である。
式<6>中、R18、R19、R20は各々独立に水素原子又はアルキル基を表す。ただし、R18、R19、R20が全て水素原子であることはない。
上記式<3>〜<6>において、R8〜R10、R12、R15、R16、R18〜R20で表されるアルキル基は、直鎖でも分枝鎖でもよく、鎖中に連結基を有していてもよく、また置換基を有していてもよい。連結基としては、エステル結合、アミド結合、エーテル結合などのヘテロ原子を含むものが好ましい。置換基としては、−COO-、−OH、−COOH、−COO-+(M+は、金属イオン又はアンモニウムイオン等の対カチオンを表す)などが好ましい。R11、R13、R14で表されるアルキレン基は、直鎖でも分枝鎖でもよく、鎖中に連結基を有していてもよく、また置換基を有していてもよい。連結基としては、エステル結合、アミド結合、エーテル結合などのヘテロ原子を含むものが好ましい。置換基としては、−COO-、−OH、−COOH、−COO-+(M+は、金属イオン又はアンモニウムイオン等の対カチオンを表す)などが好ましい。R13、R14で表されるポリアルキレンオキシド基においては、その繰り返し単位数が大きくなるにしたがって親水度が高まり、水中での安定性が高まる傾向にある。繰り返し単位数は2〜30が好ましく、5〜20がより好ましい。R13、R14が共にポリアルキレンオキシド基を表す場合、各々の繰り返し単位数は同じでも異なってもよい。A、B、C、Dで表される、カルボン酸イオンを含有する基、ヒドロキシル基を含有する基、カルボン酸基を含有する基又はカルボン酸塩を含有する基、エチレンオキサイド基を含有する基、カルボン酸アニオン、又はオキサイドアニオン(O-)を含有する基を表す。
式<3>〜式<6>で表される窒素原子含有の界面活性剤において、総炭素数が大きくなると疎水部分が大きくなり、水系の現像液への溶解が困難となる。この場合、溶解を助けるアルコール等の溶解助剤を水に混合することにより、良化はするが、総炭素数値が大きくなりすぎた場合、適正量の界面活性剤を溶解することはできない場合がある。式<3>においては、R8〜R11の炭素数の総和は好ましくは8〜25、より好ましくは11〜21である。式<4>においては、R12〜R14の炭素数の総和は好ましくは8〜25、より好ましくは11〜22である。式<5>においては、R15〜R17の炭素数の総和は好ましくは8〜30、より好ましくは9〜23である。式<6>において、R18〜R20の炭素数の総和は好ましくは8〜22、より好ましくは10〜20である。
また、総炭素数は、感光層の成分、とりわけバインダーポリマーの影響をうけることがある。バインダーポリマーの親水度が高い場合、総炭素数は比較的小さいものが好ましい傾向にあり、バインダーの親水度の低い場合、総炭素数は比較的大きいものが好ましい傾向にある。
式<3>〜式<6>で表される界面活性剤の代表的な具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009139739
上記窒素含有界面活性剤を含む現像液は、アミノ基及び/又はアンモニウム基を有するバインダーポリマーを含む感光層を有する平版印刷版原版の現像処理に用いると、特に好ましい結果をもたらす。すなわち、この現像液は、感光層の非画像部から除去されたバインダーポリマーを安定に分散することができるので、現像液中に沈澱したりあるいは非画像部に再吸着して印刷汚れを引き起すことがないので好ましい。
界面活性剤は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。現像液中の界面活性剤の量は、好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%である。
現像液に用いられる水溶性高分子化合物としては、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、繊維素誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)及びその変性体、プルラン、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びアクリルアミド共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
上記大豆多糖類は、公知ものが使用でき、例えば市販品として商品名ソヤファイブ(不二製油(株)製)があり、各種グレードのものを使用することができる。好ましくは、10重量%水溶液の粘度が10〜100mPa/secの範囲にあるものである。
上記変性澱粉も、公知のものが使用でき、トウモロコシ、じゃがいも、タピオカ、米、小麦等の澱粉を酸又は酵素等で1分子当たりグルコース残基数5〜30の範囲で分解し、さらにアルカリ中でオキシプロピレンを付加する方法等で作ることができる。
水溶性高分子化合物は2種以上を併用することもできる。水溶性高分子化合物の現像液中における含有量は、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。
また、現像液は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、アイソパーE、H、G(エッソ化学(株)製)、ガソリン、灯油等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)、極性溶剤が挙げられる。
極性溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、メチルフェニルカルビノール、n−アミルアルコール、メチルアミルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、乳酸メチル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート、レブリン酸ブチル等)、その他(トリエチルフォスフェート、トリクレジルホスフェート、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン等)等が挙げられる。
上記有機溶剤が水に不溶な場合は、界面活性剤等を用いて水に可溶化して使用することも可能である。現像液が有機溶剤を含有する場合、安全性、引火性の観点から、溶剤の濃度は40重量%未満が望ましい。
現像液はさらに、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、無機酸、無機塩などを含有することができる。
防腐剤としては、フェノール又はその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンズトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン、グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、ニトロブロモアルコール系の2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−プロパノール等が好ましく使用できる。
キレート化合物としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類あるいはホスホノアルカントリカルボン酸類を挙げることができる。上記キレート剤のナトリウム塩、カリウム塩の代りに有機アミンの塩も有効である。
消泡剤としては一般的なシリコーン系の自己乳化タイプ、乳化タイプ、ノニオン系界面活性剤のHLBが5以下の化合物等を使用することができる。シリコーン消泡剤が好ましい。その中で乳化分散型及び可溶化等がいずれも使用できる。
有機酸としては、クエン酸、酢酸、蓚酸、マロン酸、サリチル酸、カプリル酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸などが挙げられる。有機酸は、そのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩の形で用いることもできる。
無機酸及び無機塩としては、リン酸、メタリン酸、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ニッケルなどが挙げられる。
現像液は、任意の温度で使用できるが、好ましくは10℃〜50℃である。
上記の現像液は、露光されたネガ型平版印刷版原版の現像液及び現像補充液として用いることができ、後述の自動処理機に適用することが好ましい。自動処理機を用いて現像する場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。本発明の平版印刷版の製造方法においてもこの補充方式が好ましく適用される。
本発明において、平版印刷版原版を画像露光後に現像液で保護層及び非露光部の感光層を除去する工程は、自動処理機により行うことが好ましい。また、本発明において、平版印刷版原版を、レーザーで画像露光した後、加熱処理工程を経た後、なんらの水洗工程を経ることなく、スリ部材を備えた自動処理機により、保護層及び非露光部の感光層を除去することが好ましい。
さらに、本発明において、前記自動処理機が擦り部材を備え、擦り部材が少なくとも2本の回転ブラシロールであることが好ましい。以下に詳述する。
本発明におけるpH2〜10の現像液による現像処理は、現像液の供給手段及び擦り部材を備えた自動処理機により好適に実施することができる。自動処理機としては、例えば、画像露光後の平版印刷版原版を搬送しながら擦り処理を行う、特開平2−220061号公報、特開昭60−59351号公報に記載の自動処理機や、シリンダー上にセットされた画像露光後の平版印刷版原版をシリンダーを回転させながら擦り処理を行う、米国特許5148746号、同5568768号、英国特許2297719号の各明細書に記載の自動処理機等が挙げられる。中でも、擦り部材として、回転ブラシロールを用いる自動処理機が特に好ましい。
本発明に使用する回転ブラシロールは、画像部の傷つき難さ、さらには、平版印刷版原版の支持体の腰の強さ等を考慮して適宜選択することができる。回転ブラシロールとしては、ブラシ素材をプラスチック又は金属のロールに植え付けて形成された公知のものが使用できる。例えば、特開昭58−159533号公報、特開平3−100554号公報に記載のものや、実公昭62−167253号公報に記載されているような、ブラシ素材を列状に植え込んだ金属又はプラスチックの溝型材を芯となるプラスチック又は金属のロールに隙間なく放射状に巻き付けたブラシロールが使用できる。
ブラシ素材としては、プラスチック繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロン6.6、ナイロン6.10等のポリアミド系、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル等のポリアクリル系、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系の合成繊維)を使用することができ、例えば、繊維の毛の直径は20〜400μm、毛の長さは5〜30mmのものが好適に使用できる。
回転ブラシロールの外径は30〜200mmが好ましく、版面を擦るブラシの先端の周速は0.1〜5m/secが好ましい。回転ブラシロールは、複数本用いることが好ましい。
回転ブラシロールの回転方向は、平版印刷版原版の搬送方向に対し、同一方向であっても、逆方向であってもよいが、2本以上の回転ブラシロールを使用する場合は、少なくとも1本の回転ブラシロールが同一方向に回転し、少なくとも1本の回転ブラシロールが逆方向に回転することが好ましい。これにより、非画像部の感光層の除去がさらに確実となる。さらに、回転ブラシロールをブラシロールの回転軸方向に揺動させることも効果的である。
本発明においては、現像処理後の平版印刷版を、引き続いて、水洗、乾燥、不感脂化処理することも任意に可能である。不感脂化処理では、公知の不感脂化液を用いることができる。
本発明の平版印刷版原版から平版印刷版の製造方法においては、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、平版印刷版原版全面を加熱してもよい。この様な加熱により、感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や感度の安定化といった利点が得られる。さらに、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱もしくは全面露光を行う事も有効である。通常現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行う事が好ましい。温度が高すぎると、非画像部迄がかぶってしまう等の問題を生じることがある。現像後の加熱には非常に強い条件を利用する。通常は200〜500℃の範囲である。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じることがある。
本発明においては、上記の通り、露光工程の後、直ちに現像処理を行ってもよいが、露光工程と現像工程との間に加熱処理工程を設けることもできる。この加熱処理は、耐刷性を向上させ、さらに画像硬化度の版面内での均一性を高める効果があり、その条件はそれら効果のある範囲で適宜設定することができる。加熱手段としては、慣用の対流オーブン、IR照射装置、IRレーザー、マイクロ波装置、ウィスコンシンオーブン等を挙げることができる。具体的には、版面到達温度が70〜150℃の範囲で、1秒〜5分間の間で保持することにより行なうことができる。好ましくは80〜140℃で5秒〜1分間、より好ましくは90〜130℃で10〜30秒間である。この範囲で、上記の効果を効率よく得られ、また熱による印刷版の変形などの悪影響が無い点で好ましい。
本発明においては上述の露光工程、好ましくは加熱処理工程の後に、現像処理工程が施され平版印刷版を得る。露光工程に用いられるプレートセッタ、加熱処理に用いられる加熱処理手段及び現像処理工程に使用される現像装置はお互いに接続されて、自動的に連続処理されることが好ましい。具体的にはプレートセッタと、現像装置がコンベアなどの運搬手段によって結合されている製版ラインである。プレートセッタと現像装置の間に加熱処理手段が入っていてもよく、加熱手段と現像装置は一体の装置となっていてもよい。
使用する平版印刷版原版が作業環境における周囲の光の影響を受け易い場合は、上記の製版ラインがフィルター又はカバーなどで遮光されていることが好ましい。
画像形成した後、紫外線光などの活性光線で全面露光を行い、画像部の硬化促進を行ってもよい。全面露光時の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、水銀灯、ガリウム灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、各種レーザー光などが挙げられる。さらに、十分な耐刷性を得るためには全面露光量としては少なくとも10mJ/cm2以上が好ましく、より好ましくは100mJ/cm2以上である。
上記全面露光時に同時に加熱を行ってもよく、加熱を行うことによりさらに耐刷性の向上が認められる。加熱装置としては、慣用の対流オーブン、IR照射装置、IRレーザー、マイクロ波装置、ウィスコンシンオーブン等を挙げることができる。このとき版面温度は好ましく30〜150℃、より好ましくは35〜130℃、さらに好ましくは40〜120℃である。
以下、実施例によって本発明を説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例において、「部」とは、特に断りのない限り、「重量部」を意味する。
(シリカ含有有機樹脂粒子の水分散物の作製)
(1)オプトビーズ6500M水分散物の調製
純水74重量部中に、分散安定性向上を目的として、ノニオン界面活性剤(日本エマルジョン(株)製、エマレックス710)を3.0重量部とカルボキシメチルセルロース(第一工業製薬(株)セロゲンPR)を3.0重量部とを添加し、溶解した。この水溶液に、シリカ複合架橋メラミン樹脂粒子(日産化学工業(株)製、オプトビーズ6500M、平均粒子径6.5μm)20.0重量部を加え、(株)日本精機製作所製エースホモジナイザーで、10,000rpmで、15分間分散し、オプトビーズ6500M水分散物を得た。
(2)アートパールJ−7P水分散物1の調製
上記オプトビーズ6500M水分散物の、オプトビーズ6500Mに代えて、シリカ複合架橋アクリル樹脂粒子(根上工業(株)製アートパールJ−7P、平均粒子径6.6μ)20.0重量部を添加したほかは、(1)6500M水分散物の調製と同様にしてアートパールJ−7水分散物1を得た。
(3)アートパールJ−7P水分散物2の調製
分散安定性向上を目的として、ノニオン界面活性剤(日本エマルジョン(株)製、エマレックス710)を3.0重量部と雲母分散物(コープケミカル(株)MEB−3L 固形分濃度3.4%)を77.0重量部添加し、混合した。この水溶液に、シリカ複合架橋アクリル樹脂粒子(根上工業(株)製アートパールJ−7P、平均粒子径6.6μm)を20重量部加え、(株)日本精機製作所製エースホモジナイザーで、10,000rpmで、15分間分散し、アートパールJ−7水分散物2を得た。
(4)アートパールU−800T水分散物の調製
上記オプトビーズ6500M水分散物の、オプトビーズ6500Mに代えて、シリカ複合架橋ウレタン樹脂粒子(根上工業(株)製アートパールU−800T、平均粒子径6.9μm)20.0重量部を加えたほかは、(1)6500M水分散物の調製と同様にしてアートパールU−800T水分散物を得た。
なお、上記オプトビーズ6500M、アートパールJ−7P、アートパールU−800Tについて、TEM観察及び蛍光X線分析を行い、表面にシリカが存在していることを確認した。
(支持体1の作製)
厚さ0.30mm、幅1030mmのJIS A 1050アルミニウム板を用いて、以下に示す表面処理を行った。
<表面処理>
表面処理は、以下の(a)〜(f)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理及び水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
(a)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26重量%、アルミニウムイオン濃度6.5重量%、70℃でエッチング処理を行い、アルミニウム板を5g/m2溶解した。その後水洗を行った。
(b)温度30℃の硝酸濃度1重量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5重量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後水洗した。
(c)60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。この時の電解液は、硝酸1重量%水溶液(アルミニウムイオン0.5重量%、アンモニウムイオン0.007重量%含む)、温度30℃であった。交流電源は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが2msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で250C/cm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後水洗を行った。
(d)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26重量%、アルミニウムイオン濃度6.5重量%でスプレーによるエッチング処理を35℃で行い、アルミニウム板を0.2g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の除去と、生成したピットのエッジ部分を溶解し、エッジ部分を滑らかにした。その後水洗した。
(e)温度60℃の硫酸濃度25重量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5重量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーによる水洗を行った。
(f)硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5重量%含む)、温度33℃、電流密度が5(A/dm2)で、50間陽極酸化処理を行った。その後水洗を行った。この時の陽極酸化皮膜重量が2.7g/m2であった。
このようにして得られたアルミニウム支持体の表面粗さRa(中心線平均粗さ)は0.27μm(測定機器;東京精密(株)製サーフコム、蝕針先端径2ミクロンメーター)であった。
次に、下記下塗り液(1)を乾燥塗布量が10mg/m2になるよう塗布して、乾燥し、以下の実施例に用いる支持体を作製した。
〔下塗り液(1)〕
・下記の下塗り化合物(1) 0.017重量部
・メタノール 9.00重量部
・水 1.00重量部
Figure 2009139739
(平版印刷版原版の作製)
<平版印刷版原版Aの作製>
上記の下塗り層を付与した支持体上に、感光層(画像記録層)塗布液(1)をバー塗布した後、100℃、75秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m2の感光層(画像記録層)を形成して、その上に、さらに下記組成の保護層塗布液(1)を乾燥時の塗布量が0.5g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、100℃90秒の条件にてオーブンで乾燥し、平版印刷版原版Aを得た。
感光層(画像記録層)塗布液(1)は下記感光液(1)及びマイクロカプセル液(1)を塗布直前に混合し、撹拌することにより得た。
〔感光液(1)〕
・バインダーポリマー(1)(重量平均分子量:80,000) 0.162重量部
・下記重合開始剤(1) 0.100重量部
・下記赤外線吸収剤(1) 0.020重量部
・重合性化合物、アロニックスM−315(東亞合成(株)製) 0.385重量部
・下記フッ素系界面活性剤(1) 0.044重量部
・メチルエチルケトン 1.091重量部
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609重量部
Figure 2009139739
Figure 2009139739
Figure 2009139739
Figure 2009139739
〔マイクロカプセル液(1)〕
・下記の通り合成したマイクロカプセル(1) 2.640重量部
・水 2.425重量部
〔マイクロカプセル(1)の合成〕
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井田ケミカル(株)製、タケネートD−110N、75%酢酸エチル溶液)10重量部、アロニックスM−215(東亞合成(株)製)6.00重量部、及びパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.12重量部を酢酸エチル16.67重量部に溶解した。水相成分としてPVA−205の4重量%水溶液37.5重量部を調製した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25重量部に添加し、室温で30分撹拌後、40℃で2時間撹拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度を、15重量%になるように蒸留水を用いて希釈した。平均粒径は0.2μmであった。
〔保護層塗布液(1)〕
・ポリビニルアルコール(6%水溶液) 2.24重量部
(CKS50、(株)日本合成化学製、ケン化度98.5%、重合度300)
・界面活性剤 2.15重量部
(日本エマルジョン(株)製、エマレックス710、1%水溶液)
・雲母分散液(3.4%水分散物) 3.75重量部
((株)コープケミカル製、鱗状合成雲母(ソマシフMEB3L))
・シリカ含有有機樹脂粒子の水分散物(表2記載種) 表2記載量
・蒸留水 10.60重量部
<平版印刷版原版Bの作製>
上記支持体に、下記組成の感光層(画像記録層)塗布液(2)をバー塗布した後、100℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.4g/m2の感光層(画像記録層)を形成し、この上に上記組成よりなる保護層塗布液(1)を、乾燥塗布重量が0.5g/m2となるように塗布し、120℃で1分間乾燥して平版印刷版原版Bを得た。
〔感光層(画像記録層)塗布液(2)〕
・上記バインダーポリマー(1) 2.0重量部
・重合性化合物(イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート) 1.5重量部
(東亞合成(株)製、アロニックスM−315)
・下記(1)で表される化合物 0.15重量部
・下記(2)で表される化合物 0.20重量部
・下記(3)で表される化合物 0.4重量部
・エチルバイオレット 0.1重量部
・熱重合禁止剤 0.1重量部
(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.02重量部
・テトラエチエルアミン塩酸塩 0.06重量部
・1−メトキシ−2−プロパノール 17.5重量部
・メチルエチルケトン 19.0重量部
Figure 2009139739
<平版印刷版原版Cの作製>
上記の下塗り層を付与した支持体上に、下記組成の感光層(画像記録層)塗布液(3)をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.1g/m2の感光層(画像記録層)を形成した。
〔感光層(画像記録層)塗布液(3)〕
・上記構造のバインダーポリマー(1)(平均分子量8万) 0.54重量部
・重合性化合物(イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート) 0.40重量部
(東亞合成(株)製、アロニックスM−315)
・重合性化合物 0.08重量部
(高エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート)
(日本化薬(株)製、SR9035、EO付加モル数15、分子量1,000)
・下記増感色素(1) 0.06重量部
・下記重合開始剤(2) 0.18重量部
・下記連鎖移動剤(1) 0.07重量部
・ε−フタロシアニン顔料の分散物 0.40重量部
(顔料:15重量部、分散剤(バインダーポリマー(1)):10重量部、溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15重量部/20重量部/40重量部)
・熱重合禁止剤 0.01重量部
(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
・上記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001重量部
・ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物 0.04重量部
(旭電化工業(株)製、プルロニックL44)
・テトラエチルアミン塩酸塩 0.01重量部
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5重量部
・メチルエチルケトン 8.0重量部
Figure 2009139739
下記組成の保護層塗布液(2)を、乾燥塗布量が0.5g/m2となるようにバーを用いて塗布し、平版印刷版原版Aの作製と同様にして、平版印刷版原版Cを得た。
〔保護層塗布液(2)〕
・雲母分散液(3.4%水分散物) 13.0重量部
((株)コープケミカル製、鱗状合成雲母(ソマシフMEB3L))
・ポリビニルアルコール(CKS50)、6%水溶液 21.7重量部
((株)日本合成化学製、ケン化度 98.5%、重合度300)
・ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ソーダ 0.2重量部
・界面活性剤 0.05重量部
(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)
・シリカ含有有機樹脂粒子の水分散物(表2記載種) 表2記載量
・水 133重量部
<平版印刷版原版Dの作製>
感光層(画像記録層)塗布液(1)の重合性化合物アロニックスM−315をPLEX6661−O(Rohm GmbH&KG製、7,7,9−トリメチル−4,13−ジオキソ−3,14−ジオキサ−5,12−ジアザヘキサデカン−1,16−ジイルジメタクリレート)に代え、バインダーポリマー(1)を以下のポリマーに代え,さらにクリスタルバイオレット(保土ヶ谷化学工業(株))を0.05重量部加えた塗布液をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.1g/m2の感光層(画像記録層)を形成した。
Figure 2009139739
形成された感光層上に下記組成の酸素遮断層用塗布液2をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃75秒間乾燥させた。この酸素遮断層の全塗布量は(乾燥後の被覆量)は0.5g/m2であった。
〔酸素遮断層用塗布液2〕
・合成雲母(8%水分散液) 250重量部
(ソマシフME−100、コープケミカル(株)製)
・ポリビニルアルコール 82重量部
(CKS−50:ケン化度99モル%、重合度300、日本合成化学工業(株)製)
・界面活性剤−1(BASF社製、プルロニックP−84) 2.5重量部
・界面活性剤−2(日本エマルジョン(株)製、エマレックス710) 5重量部
・純水 1259重量部
形成された酸素遮断層上に下記組成の保護層塗布液(3)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃60秒間乾燥させた。この保護層の全塗布量は(乾燥後の被覆量)は0.5g/m2であった。
これにより平版印刷版原版Dを得た。
〔保護層塗布液(3)〕
・ポリビニルアルコール 5.8重量部
(CKS−50:ケン化度99モル%、重合度300、日本合成化学工業(株)製)
・第一工業製薬(株)セロゲンPR 2.4重量部
・界面活性剤−1(日本エマルジョン(株)製、エマレックス710) 0.5重量部
・シリカ含有粒子の水分散物(表2記載種) 表2記載量
・純水 138.4重量部
(処理液の作製)
下記の表1に組成を示した処理液を作製した。表中の単位は[重量部]である。ここで、処理液のpHは、燐酸、水酸化ナトリウムを用いて7に調整した。
Figure 2009139739
(評価方法)
(1)製版評価
<製版−1:平版印刷版原版A、D>
得られた平版印刷版原版は、露光、現像処理、乾燥の順で処理された。ここで、感材によって、露光に用いるセッターを変えている。用いたセッターと平版印刷版原版の関係は、下記に示す通りである。
露光に用いた光源(セッター):赤外線半導体レーザー(Creo社製Trendsetter3244VX)
Creo社製Trendsetter3244VX:水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載にて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2,400dpiの条件で画像様露光を行った。
露光後、加熱処理、水洗処理は行わず、30秒以内に富士フイルム(株)製自動現像機(自動処理機)LP−1310HIIを用い搬送速度(ライン速度)2m/分、現像温度30℃で現像処理した。現像液としては、表1に示す処理液を用いた。なお、前記自動現像機は擦り部材を備えており、該擦り部材により、保護層及び非露光部の感光層を除去した。また、該擦り部材は、2本の回転ロールブラシにより構成した。
<製版−2:平版印刷版原版B、C>
得られた平版印刷版原版は、露光、プレヒート、現像処理、乾燥の順で処理された。ここで、感材によって、露光に用いるセッターを変えている。用いた、セッターと平版印刷版原版の関係は、下記に示す通りである。
露光に用いた光源(セッター):405nm半導体レーザー
405nm半導体レーザー:出力30mWのを用いて、エネルギー密度5mJ/cm2、解像度2,400dpiの条件にて画像様露光を行った。
次に、露光された感材を30秒以内にオーブンに入れ、熱風を吹き付けて平版印刷版原版の全面を加熱し、110℃に、15秒間保持した。その後、水洗処理は行わず、30秒以内に表1に示す処理液を用いて上記現像処理した。現像に用いる処理機は、富士フイルム(株)製自動現像機(自動処理機)LP1250PLXと用いて、現像処理を実施した。処理液の液温は25℃の条件で行った。現像浴の入口から出口の通過時間は15秒に設定した。2本の回転ブラシで版面を擦りながら現像し、回転ブラシは搬送方向に対して順転方向に280mm/秒の速度で回転させた。現像槽から排出された平版印刷版原版は自然乾燥により乾燥させた。
(2)耐キズ性の評価
得られた平版印刷版原版20枚の間に合紙を挟むことなく積層して積層体を形成した。この積層体を、既にカセットにセットしてある本発明の平版印刷版原版の上にエッジから5cmずらして(積層した20枚の版材がカセット内の版材のエッジから5cm外側へ飛び出した状態で)重ねた後、飛び出した20枚の版材のエッジを水平方向に押し込んで、積層した20枚の一番下の版の裏面アルミニウム支持体が、カセット中の最上の平版印刷版原版の保護層表面をこするようにしながら、カセット内へ設置した。この保護層表面を、アルミニウム支持体裏面でこすられた版材を、耐キズ性の評価用版材とした。
この版材をそれぞれ上記の製版条件で175線50%の平網画像を出力した。得られた平版印刷版の平網画像中に発生したキズの有無を目視評価した。
評価は1〜5の官能評価で行い、3が実用下限レベル、2以下は実用上不可レベルとした。
(3)平版印刷版原版同士の接着の評価
得られた平版印刷版原版(10×10cm)3枚を、25℃75%RHの環境下で2時間調湿後、3枚の原版を同方向に合紙の挟み込みのない状態で順次重ねて積層体を得た。この積層体を、アルミニウムラミネート層を有するクラフト紙で密閉包装し、4kgの荷重をかけた状態で、30℃環境下5日間放置した。その後の積層体について、平版印刷版原版の感光層(記録層)側表面(保護層表面)と隣接する平版印刷版原版の支持体側表面との接着状態を評価した。
平版印刷版原版同士の接着は、1〜5の官能評価で行い、3が実用下限レベル、2以下は実用上不可レベルとした。以上の結果を表2に示す。
(4)印刷性評価(印刷性評価(印刷時の非画像部汚れ))
得られた平版印刷版原版30枚を25℃75%RHの環境下で2時間調湿後、3枚の原版を同方向に合紙の挟み込みのない状態で順次重ねて積層体を得た。この積層体を、アルミニウムラミネート層を有するクラフト紙で密閉包装し、45℃環境下1日間放置した後30℃環境下1日放置した。その後、上記製版方法で製版した後。ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付けた。湿し水(EU−3(富士フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、湿し水とインキを供給した後、毎時6,000枚の印刷速度で印刷を500枚行った。汚れなかったものは○、汚れたものは×で表す。
Figure 2009139739
上記結果より、本発明のシリカ含有有機樹脂粒子を添加したものは、合紙なくとも耐傷性、接着性に優れる事がわかる。さらに、印刷性能においても接着跡等の汚れの発生もなく良好な印刷物が得られ、印刷品質に優れる事が分かる。

Claims (12)

  1. 親水性支持体上に感光層及び保護層をこの順に有する平版印刷版原版を画像露光する工程、及び、
    pH2〜10の現像液で保護層及び非露光部の感光層を除去する工程を含み、
    前記感光層が、(A)増感色素、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、及び、(D)バインダーポリマーを含有し、
    前記保護層の最外層が、親水性ポリマーと、シリカを含有する有機樹脂粒子と、を含有することを特徴とする
    平版印刷版の製造方法。
  2. 前記親水性ポリマーがポリビニルアルコールである、請求項1に記載の平版印刷版の製造方法。
  3. 前記有機樹脂粒子を構成する有機樹脂が、ポリアクリル酸系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂、及び、メラミン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂である、請求項1又は2に記載の平版印刷版の製造方法。
  4. 前記保護層が、さらに無機層状化合物を含有する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の平版印刷版の製造方法。
  5. 前記(D)バインダーポリマーが側鎖に親水基を有する線状ポリマーである、請求項1〜4のいずれか1つに記載の平版印刷版の製造方法。
  6. 前記親水基が下記式<1>又は式<2>で表される、請求項5に記載の平版印刷版の製造方法。
    Figure 2009139739
    式<1>及び式<2>中、R1、R2及びR4〜R6は、各々独立に水素原子又は1価の有機基を表す。R3及びR7は、各々独立に単結合又は2価の有機基を表す。また、R1〜R3のうち任意の2つあるいはR4〜R7のうち任意の2つが、互いに結合して環を形成してもよい。X-はアニオンを表す。*はバインダーポリマーに連結する位置を示す。
  7. 前記現像液が、下記式<3>〜式<6>のいずれかで表される界面活性剤を含有する、請求項1〜6のいずれか1つに記載の平版印刷版の製造方法。
    Figure 2009139739
    式<3>〜式<6>中、R8はアルキル基を表し、R9、R10は各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、R11はアルキレン基を表し、Aは、カルボン酸イオンを含有する基を表す。R12は水素原子又はアルキル基を表し、R13、R14は各々独立にアルキレン基又はポリアルキレンオキシド基を表し、B、Cは各々独立にヒドロキシル基、カルボン酸基もしくはカルボン酸塩を含有する基を表す。R15、R16は各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、R17はアルキレン基を表し、Dはカルボン酸基もしくはカルボン酸塩を含有する基を表す。R18、R19、R20は各々独立に水素原子又はアルキル基を表す。ただし、R18、R19、R20が全て水素原子であることはない。
  8. 前記保護層及び非露光部の感光層の除去を、自動処理機により行う、請求項1〜7のいずれか1つに記載の平版印刷版の製造方法。
  9. 前記平版印刷版原版を、レーザーで画像露光した後、加熱処理工程を経た後、なんらの水洗工程を経ることなく、擦り部材を備えた自動処理機により、保護層及び非露光部の感光層を除去する、請求項8に記載の平版印刷版の製造方法。
  10. 前記自動処理機が擦り部材を備え、擦り部材が少なくとも2本の回転ブラシロールである、請求項8又は9に記載の平版印刷版の製造方法。
  11. 親水性支持体上に、感光層及び保護層をこの順に有し、
    前記感光層は、(A)増感色素と、(B)重合開始剤と、(C)重合性化合物と、(D)バインダーポリマーとを含有し、pH2〜10の現像液で現像可能であり、
    前記保護層の最外層が、親水性ポリマーと、シリカを含有する有機樹脂粒子と、を含有することを特徴とする
    平版印刷版原版。
  12. 請求項11に記載の平版印刷版原版を直接接触させて複数枚積層してなることを特徴とする平版印刷版原版の積層体。
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