JP2009216924A - 平版印刷版原版及び平版印刷版の作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】pH2〜10の現像液で現像可能であり、耐汚れ性および耐刷性が共に良好で、経時による耐汚れ性の低下が抑制された平版印刷版原版及び該原版を用いた平版印刷版の作製方法を提供する。
【解決手段】支持体上に、中間層とpH2〜10の現像液で現像可能な画像形成層とをこの順に有する平版印刷版原版であって、前記中間層が、前記支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つ有する繰り返し単位(a1)からなるブロックを含む共重合体を含有することを特徴とする平版印刷版原版及び該原版を用いた平版印刷版の作製方法。
【選択図】なし

Description

本発明は平版印刷版原版及び平版印刷版の作製方法に関し、特にpH10以下の水溶液による現像性に優れ、耐汚れ性及び耐刷性に優れた平版印刷版を与える平版印刷版原版及び該原版を用いた平版印刷版の作製方法に関する。
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインキを受容する親油性の画像部と、湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。平版印刷とは、水と印刷インキが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙などの被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(感光層、画像記録層と称することもある)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルムなどの原画を通した露光を行った後、画像記録層の画像部となる部分を残存させ、それ以外の不要な画像記録層をアルカリ性現像液または有機溶剤によって溶解除去し、親水性の支持体表面を露出させて非画像部を形成する方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
このように従来の平版印刷版原版の製版工程においては、露光の後、不要な画像記録層をアルカリ性現像液などによって溶解除去する工程が必要であるが、環境および安全上、より中性域に近い現像液での処理が望まれている。特に、近年、地球環境への配慮から湿式処理に伴って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな関心事となっており、上記課題の解決の要請は一層強くなってきている。
このような要請に応えるため、例えば、特許文献1には、支持体上に、画像記録層および保護層をこの順に有する平版印刷版原版を、画像様露光により露光部の画像記録層を硬化させた後、擦り部材を備えた自動処理機により、pH が2 〜 1 0 の現像液の存在下、擦り部材で版面を擦ることにより、保護層および非露光部の画像記録層を除去することを特徴とする平版印刷版の作製方法が記載されている。
他方、特許文献2には、支持体上に、(A) 重合開始剤、(B) 重合性化合物、および(C) 水またはアルカリ水溶液に可溶あるいは膨潤するバインダーポリマーを含有する画像記録層を有し、画像記録層またはその他の層に、少なくとも(a1)エチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する繰り返し単位と(a2)支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つ有する繰り返し単位とを有する共重合体を含む平版印刷版原版が記載されている。ここに記載の共重合体は、ランダム共重合体であり、また、この平版印刷版原版は実質的にアルカリ現像型である。
上記pH10以下の水溶液で現像可能な平版印刷版原版においては、pH10以下の水溶液による現像を可能にするために支持体の親水性を上げると、印刷中の湿し水により画像部が基板から剥離しやすく十分な耐刷性が得られず、逆に、支持体の親水性を下げると、印刷中に非画像部にもインクが付着するようになり、印刷汚れが発生してしまう。このように、pH10以下の水溶液で現像可能な平版印刷版原版においては、耐刷性と耐汚れ性の両立は極めて難しく、耐汚れ性が良好であり、且つ充分な耐刷性を有する平版印刷版を提供することができる平版印刷版原版が望まれている。
特開2007−58170号公報 特開2006−78999号公報
従って、本発明の目的は、pH2〜10の現像液で現像可能であり、耐汚れ性および耐刷性が共に良好で、経時による耐汚れ性の低下が抑制された平版印刷版原版を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討した結果、支持体表面と相互作用する官能基を有するブロックを含む共重合体を含有する中間層を用いることにより上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明は以下のとおりである。
(1) 支持体上に、中間層とpH2〜10の現像液で現像可能な画像形成層とをこの順に有する平版印刷版原版であって、前記中間層が、前記支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つ有する繰り返し単位(a1)からなるブロックを含む共重合体を含有することを特徴とする平版印刷版原版。
(2) 前記共重合体が、さらに、前記繰り返し単位(a1)が有する官能基と異なる、支持体表面と相互作用する官能基または親水性基を少なくとも1つ有する繰り返し単位(a2)を含むことを特徴とする前記(1)に記載の平版印刷版原版。
(3) 前記共重合体が、前記繰り返し単位(a1)からなるブロックおよび前記繰り返し単位(a2)からなるブロックを含むブロック共重合体であることを特徴とする前記(2)に記載の平版印刷版原版。
(4) 前記繰り返し単位(a1)中の支持体表面と相互作用する官能基が、リン酸エステル基若しくはその塩、ホスホン酸基若しくはその塩またはアンモニウム基であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
(5) 前記繰り返し単位(a2)中の親水性基が、スルホン酸基若しくはその塩、アミド基またはポリ(エチレンオキシ)基であることを特徴とする前記(2)〜(4)のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
(6) 前記共重合体が、さらに、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含有する繰り返し単位(a3)を含有することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
(7) 前記共重合体が、前記繰り返し単位(a1)からなるブロック、前記繰り返し単位(a2)からなるブロックおよび前記繰り返し単位(a3)からなるブロックを含むブロック共重合体であることを特徴とする前記(6)に記載の平版印刷版原版。
(8) 前記画像形成層が、(B)開始剤化合物、(C)重合性化合物および(D)バインダーを含有することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
(9) 前記画像形成層が、さらに(E)増感色素を含有することを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
(10) 前記(D)バインダーが、親水性基を有することを特徴とする前記(8)または(9)に記載の平版印刷版原版。
(11) 前記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の平版印刷版原版を、画像露光した後、pHが2〜10の現像液により非露光部の感光層を除去することを特徴とする平版印刷版の作製方法。
本発明によれば、pH2〜10の現像液で現像可能であり、耐汚れ性および耐刷性が共に良好で、経時による耐汚れ性の低下が抑制された平版印刷版原版を提供することができる。
本明細書中、一般式で表される化合物における基の表記に関して、置換あるいは無置換を記していない場合、当該基が更に置換基を有することが可能な場合には、他に特に規定がない限り、無置換の基のみならず置換基を有する基も包含する。例えば、一般式において、「Rはアルキル基、アリール基または複素環基を表す」との記載があれば、「Rは無置換アルキル基、置換アルキル基、無置換アリール基、置換アリール基、無置換複素環基または置換複素環基を表す」ことを意味する。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、中間層とpH2〜10の現像液で現像可能な画像形成層とをこの順に有し、前記中間層が、前記支持体表面と相互作用する官能基を有する繰り返し単位からなるブロックを含む共重合体を含有することを特徴とする。
〔中間層〕
以下に、中間層について詳細に説明する。
〔(A)支持体表面と相互作用する官能基を有する繰り返し単位からなるブロックを含む共重合体〕
本発明の平版印刷版原版の中間層に用いられる(A)支持体表面と相互作用する官能基を有する繰り返し単位からなるブロックを含む共重合体(以下、特定ブロック共重合体)とも云う)は、支持体表面と相互作用する官能基を有する繰り返し単位(以下、繰り返し単位(a1)とも云う)からなるブロックを少なくとも1つ有するものであればよい。
本発明の特定ブロック共重合体は、繰り返し単位(a1)からなるブロック以外に、特定ブロック共重合体の特性を害さない範囲で、如何なる繰り返し単位を含んでいてもよいが、繰り返し単位(a1)が有する官能基と異なる、支持体表面と相互作用する官能基または親水性基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。あるいは、エチレン性不飽和結合を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。これらの繰り返し単位からなるブロックを含むブロック共重合体がより好ましい。
本発明の特定ブロック共重合体中、繰り返し単位(a1)からなるブロックにおいては、その繰り返し単位の数(重合度)は、ブロックとして密集することのよる効果を発現する観点から、10以上が好ましく、15以上がより好ましく、20以上が更に好ましい。
支持体表面と相互作用する官能基を有する繰り返し単位における、支持体表面と相互作用する官能基としては、例えば、陽極酸化処理または親水化処理を施した支持体上に存在する金属、金属酸化物、水酸基などと共有結合、イオン結合、水素結合などを形成可能な基、あるいは、極性相互作用、ファンデルワールス相互作用などの相互作用が可能な基が挙げられる。
支持体表面と相互作用する官能基の具体例を以下に挙げる。
Figure 2009216924
上記式中、R11〜R13は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキニル基またはアルケニル基を表し、M1およびM2は、それぞれ独立に、水素原子、金属原子またはアンモニウム基を表し、X-はカウンターアニオンを表す。
支持体表面と相互作用する官能基としては、アンモニウム基、スルホン酸基もしくはその塩、リン酸エステルもしくはその塩、ホスホン酸基もしくはその塩、ホウ酸基、アセチルアセトン基などのβージケトン基、ピリジニウム基等のオニウム塩基などが好適である。
さらに好ましくは、スルホン酸基もしくはその塩、リン酸エステル基若しくはその塩、ホスホン酸基もしくはその塩である。
〔支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つ有する繰り返し単位(繰り返し単位(a1)〕
繰り返し単位(a1)としては、具体的には以下の式(A1a)または式(A1b)で示される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2009216924
式(A1a)及び式(A1b)において、R1a〜R3aは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、−CH−OH、−CH−OR112、−CH−O−CO−R112またはハロゲン原子を表す。X1aは、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR500−、−NR500−CO−または−CO−NR500−を表す。R500は、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。L1aは、−CO−、−O−、−NR500−、−S−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基またはこれらの組合せからなる二価の連結基を表す。Qは、支持体表面と相互作用する官能基を表す。R1b〜R3bは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、−CH−OH、−CH−OR112、−CH−O−CO−R112またはハロゲン原子を表す。L1bは、−CO−、−O−、−NR500−、−S−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基またはこれらの組合せからなる二価の連結基を表す。
式(A1a)及び式(A1b)において、
1a、R2a、R1b、R2bはそれぞれ水素原子、メチル基またはエチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
3a、R3bはそれぞれ水素原子、メチル基、−CH−OHまたは−CH−O−CO−(C1〜4アルキル)が好ましく、水素原子、メチル基、−CH−OHまたは−CH−O−CO−CHがより好ましい。
1aは−CO−O−または−CO−NR500−が好ましく、−CO−O−または−CO−NH−よりが好ましい。
1a、L1bは、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NR500−、−NR500−CO−、二価の脂肪族基またはこれらの組合せからなる二価の連結基が好ましく、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、二価の脂肪族基またはこれらの組合せからなる二価の連結基がより好ましい。
Qはリン酸エステルもしくはその塩、ホスホン酸基もしくはその塩、スルホン酸もしく
はその塩、イミノ二酢酸やフタル酸などのジカルボン酸もしくはその塩またはアンモニウム基が好ましく、リン酸エステルもしくはその塩、ホスホン酸基もしくはその塩またはアンモニウム基がより好ましい。
以下に、式(A1a)または式(A1b)で表される繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記の具体例において、エチレンオキシ基の繰り返し数が「4.5」とあるのは、エチレンオキシ基の繰り返し数が平均で4.5に相当する混合物であることを示す。
Figure 2009216924
本発明の特定ブロック共重合体の1つの好ましい態様は、前記繰り返し単位(a1)からなるブロックと、前記繰り返し単位(a1)が有する官能基と異なる、支持体表面と相互作用する官能基または親水性基を少なくとも1つ有する繰り返し単位(以下、繰り返し単位(a2)とも云う)を含む共重合体である。より好ましくは、繰り返し単位(a1)からなるブロックと繰り返し単位(a2)からなるブロックを含むブロック共重合体である。
親水性基を少なくとも1つ有する繰り返し単位としては、具体的には以下の式(A2a)または式(A2b)で示される繰り返し単位が好ましい。
Figure 2009216924
式(A2a)及び式(A2b)において、R1c〜R3cは、式(A1a)におけるR1a〜R3aと同義である。X1cは、式(A1a)におけるX1aと同義である。L
は、式(A1a)におけるL1aと同義である。R1d〜R3dは、式(A1b)におけるR1b〜R3bと同義である。L1dは、式(A1b)におけるL1bと同義である。Wは、スルホン酸もしくはその塩、カルボン酸もしくはその塩、アミド基、アンモニウム基またはポリ(エチレンオキシ)基を表す。
式(A2a)及び式(A2b)において、
1c、R2c、R1d、R2dはそれぞれ水素原子、メチル基またはエチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
3c、R3dはそれぞれ水素原子、メチル基、−CH−OHまたは−CH−O−CO−(C1〜4アルキル)が好ましく、水素原子、メチル基、−CH−OHまたは−CH−O−CO−CHがより好ましい。
1cは−CO−O−または−CO−NR500−が好ましく、−CO−O−または−CO−NH−よりが好ましい。
1c、L1dは、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NR500−、−NR500−CO−、二価の脂肪族基またはこれらの組合せからなる二価の連結基が好ましく、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、二価の脂肪族基またはこれらの組合せからなる二価の連結基がより好ましい。
Wは、スルホン酸もしくはその塩、カルボン酸もしくはその塩、アミド基またはアンモニウム基が好ましく、スルホン酸もしくはその塩、カルボン酸塩、アミド基またはアンモニウム基がより好ましい。
以下に、式(A2a)または式(A2b)で表される繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記の具体例において、エチレンオキシ基の繰り返し数が「4.5」とあるのは、エチレンオキシ基の繰り返し数が平均で4.5に相当する混合物であることを示す。
Figure 2009216924
Figure 2009216924
Figure 2009216924
繰り返し単位(a1)に含まれる支持体表面と相互作用する官能基と、繰り返し単位(a2)に含まれる支持体表面と相互作用する官能基官能基または親水性基との組合せとしては、以下の場合が好ましい。
繰り返し単位(a1)が、リン酸もしくはその塩またはホスホン酸もしくはその塩を含み、繰り返し単位(a2)が、スルホン酸もしくはその塩、カルボン酸もしくはその塩、アミド基、アンモニウム基またはポリ(エチレンオキシ)基を含む場合。
繰り返し単位(a1)が、スルホン酸もしくはその塩または硫酸エステルもしくはその塩を含み、繰り返し単位(a2)が、カルボン酸塩、アミド基、アンモニウム基またはポリ(エチレンオキシ)基を含む場合。
繰り返し単位(a1)がアンモニウム基を含み、繰り返し単位(a2)が、スルホン酸もしくはその塩、カルボン酸塩またはアミド基を含む場合。
繰り返し単位(a1)がイミノジ酢酸もしくはその塩を含み、繰り返し単位(a2)が、スルホン酸もしくはその塩、カルボン酸もしくはその塩、アミド基またはアンモニウム基を含む場合。
本発明の特定ブロック共重合体の他の好ましい態様は、前記繰り返し単位(a1)からなるブロックと、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含有する繰り返し単位(以下、繰り返し単位(a3)とも云う)を含む共重合体である。より好ましくは、繰り返し単位(a1)からなるブロックと繰り返し単位(a3)からなるブロックを含むブロック共重合体である。
本発明の特定ブロック共重合体の更に他の好ましい態様は、前記繰り返し単位(a1)からなるブロックと、繰り返し単位(a2)および繰り返し単位(a3)を含む共重合体である。より好ましくは、繰り返し単位(a1)からなるブロックと繰り返し単位(a2)からなるブロックと繰り返し単位(a3)からなるブロックを含むブロック共重合体である。
繰り返し単位(a3)としては、具体的には以下の式(A3a)〜(A3c)で示され
る繰り返し単位が好ましい。
Figure 2009216924
Figure 2009216924
式(A3a)〜(A3c)において、R1e〜R3eは、式(A1a)におけるR1a〜R3aと同義である。X1eは、式(A1a)におけるX1aと同義である。L1eは、式(A1a)におけるL1aと同義である。R4e〜R6eは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、−CH−OH、−CH−OR108、−CH−O−CO−R108、−CO−R108、−O−CO−R108、−CO−O−R108または−CO−N(R109)−R108を表す。あるいはR4eとR5eまたはR5eとR6eが互いに結合して環を形成してもよい。R1f〜R3fは、式(A1a)におけるR1a〜R3aと同義である。L1fは、式(A1a)におけるL1aと同義である。R4f〜R6fは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、−CH−OH、−CH−OR108、−CH−O−CO−R108、−CO−R108、−O−CO−R108、−CO−O−R108または−CO−N(R109)−R108を表す。あるいはR4fとR5fまたはR5fとR6fが互いに結合して環を形成してもよい。R101〜R103は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、−CH−OH、−CH−OR112、−CH−O−CO−R112またはハロゲン原子を表す。R104〜R106は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、−CH−OH、−CH−OR108、−CH−O−CO−R108、−CO−R108、−O−CO−R108、−CO−O−R108または−CO−N(R109)−R108を表す。あるいはR104とR105またはR105とR106が互いに結合して環を形成してもよい。R107は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を表す。R108は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表す。R109は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表す。R112は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を表す。L101は−CO−、−O−、−S−、−N(R109)−、−SO−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基またはこれらの組合せからなる二価の連結基を表す。L102は−CO−、−O−、−N(R109)−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基またはこれらの組合せからなる二価の連結基を表す。m101は0〜3の整数である。m102は1〜3の整数である。但し、m101+m102=3を満たす。m101が2以上のとき、複数のR107は同じでも異なっていても良い。m102が2以上のとき、複数のR104〜R106、L102はそれぞれ同じでも異なっていても良い。X101 は、−CO 、−PO、−O−PO、−SO または−O−SO を表す。Y101はn101価の連結基を表す。n101は1〜10の整数である。但し、m102×n101の値はゼロではない。
式(A3a)〜(A3c)において、
1e、R2e、R1f、R2fはそれぞれ水素原子、メチル基またはエチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
3e、R3fはそれぞれそれぞれ水素原子、メチル基、−CH−OHまたは−CH−O−CO−(C1〜4アルキル)が好ましく、水素原子、メチル基、−CH−OHまたは−CH−O−CO−CHがより好ましい。
1eは−CO−O−または−CO−NR500−が好ましく、−CO−O−または−CO−NH−よりが好ましい。
1e、L1fは−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NR500−、−NR500−CO−、二価の脂肪族基またはこれらの組合せからなる二価の連結基が好ましく、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、二価の脂肪族基またはこれらの組合せからなる二価の連結基がより好ましい。
4e、R4fは水素原子、メチル基、−CH−OH、−CH−O−CO−(C1〜4アルキル)、−CO―O−(C1〜4アルキル)または−CO−NH−(C1〜4アルキル)が好ましく、水素原子、メチル基、−CH−OH、−CH−O−CO−CH、−CO−O−(C1〜2アルキル)または−CO−NH−(C1〜2アルキル)がより好ましい。
5e、R6e、R5f、R6fはそれぞれ水素原子、メチル基またはエチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
101、R102は水素原子、メチル基またはエチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
103は水素原子、メチル基、−CH−OHまたは−CH−O−CO−(C1〜4アルキル)が好ましく、水素原子、メチル基、−CH−OHまたは−CH−O−CO−CHがより好ましい。
104は水素原子、メチル基、−CH−OH、−CH−O−CO−(C1〜4アルキル)、−CO−O−(C1〜4アルキル)はたは−CO−NH−(C1〜4アルキル)が好ましく、水素原子、メチル基、−CH−OH、−CH−O−CO−CH、−CO−O−(C1〜2アルキル)または−CO−NH−(C1〜2アルキル)がより好ましい。
105、R106は水素原子、メチル基またはエチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
107は水素原子、C1〜4アルキル基、ベンジル基、(C1〜4アルキル置換)フェニルメチル基、(C1〜4アルコキシ置換)フェニルメチル基、(C1〜4アシルオキシ置換)フェニルメチル基または(C1〜4アルコキシカルボニル置換)フェニルメチル基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基またはベンジル基がより好ましい。
108はメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基またはフェニル基が好ましく、メチル基、エチル基またはn−プロピル基がより好ましい。
109は水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基またはフェニル基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基またはn−プロピル基がより好ましい。
101は、−CO−O−L0−、−CO−NH−L0−、−CO−NH−L0−、−二価の芳香族基−または−二価の芳香族基−L0−が好ましく、−CO−O−L0−または−CO−NH−L0−がより好ましい。ここでL0は、二価の脂肪族基、二価の芳香族基またはこれらの組合せを表す。
102は、下記のLa〜Lqが好ましく、La、Lb、Lf、Lg、Lh、Li、Lo、LpまたはLrがより好ましい。(L0は前記L0と同義である)
La:−L0−O−CO−
Lb:−L0−NH−CO−
Lc:−L0−O−
Ld:−L0−CO−O−
Le:−L0−O−CO−O−
Lf:−L0−O−CH
Lg:−L0−CO−O−CH
Lh:−L0−O−CO−O−CH
Li:−L0−O−CO−NH−L0−O−CO−
Lj:−L0−O−CO−L0−O−CO−
Lk:−L0−O−CO−L0−NH−CO−
Ll:−L0−CO−O−L0−O−CO−
Lm:−L0−CO−O−L0−NH−CO−
Ln:−L0−二価の芳香族基−
Lo:−O−CO−二価の芳香族基−
Lp:−O−CO−L0−二価の芳香族基−
Lq:−CO−O−二価の芳香族基−
Lr:−CO−O−L0−二価の芳香族基−
101、m102、n101については、m102×n101の値が1〜6になることが好ましく、1〜4になることがより好ましい。
101 は、−CO 、−PO、−O−POまたは−SO が好ましく、−CO 、―O−POまたは−SO がより好ましい。
101は通常、n101価の炭化水素残基であり、脂肪族、芳香族どちらの構造を含んでも良く、また直鎖状、分岐状、環状のどの構造を含んでも良い。環状の場合は単環、多環いずれでも良い。また、炭化水素残基を構成する炭素−炭素結合は−CO−、−O―、−S−、−N(R109)−、−SO−またはこれらの組合せからなる構造で中断されていても良い。
以下に、式(A3a)〜式(A3c)で表される繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009216924
Figure 2009216924
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本発明の特定ブロック共重合体は、具体的には、以下に示す構造を有する共重合体が例示されるが、これらに限定されるものではない。即ち、−[A1]x−(A2)y−(A3)z−、−[A1]x−[A2]y−、−[A1]x−[A3]y−、−[A1]x−[A2]y−[A1]z−、−[A2]x−[A1]y−[A2]z−、−[A1]x−[A2]y−[A3]z−、−[A1]x−[A3]y−[A2]z−、−[A3]x−[A1]y−[A2]z−等である。ここで、A1、A2、A3は、各々繰り返し単位を表し、[ ]はその繰り返し単位がブロックで存在することを表し、( )はその繰り返し単位がランダムに存在することを表す。x、y、及びzは繰り返し単位のモル%を表す。
例えば、上記において、A1が前記繰り返し単位(a1)を、A2が前記繰り返し単位(a2)を、A3が前記繰り返し単位(a3)を示すとすると、−[A1]x−(A2)y−(A3)z−で示される特定ブロック共重合体は、繰り返し単位(a1)をブロックとして、繰り返し単位(a2)および繰り返し単位(a3)をランダムに含む共重合体を表す。また、−[A1]x−[A2]y−[A3]z−で示される特定ブロック共重合体は、繰り返し単位(a1)、繰り返し単位(a2)および繰り返し単位(a3)を各々ブロックとして含むブロック共重合体を表す。
上記具体例においては、便宜上、3個までのブロックを有する共重合体を示したが、本発明の特定ブロック共重合体に含まれるブロックの数は、4個以上であってもよい。
本発明の特定ブロック共重合体において、繰り返し単位(a1)の含有量は、繰り返し単位の全モル数に対して3〜95モル%であり、好ましくは5〜90モル%であり、さらに好ましくは10〜80モル%である。繰り返し単位(a2)の含有量は、繰り返し単位の全モル数に対して1〜95モル%であり、好ましくは5〜90モル%であり、さらに好ましくは10〜85モル%である。繰り返し単位(a3)の含有量は、繰り返し単位の全モル数に対して0.5〜70モル%であり、好ましくは2〜65モル%であり、さらに好ましくは5〜60モル%である。
本発明の特定ブロック共重合体においては、その製造過程において用いられる開始剤、ドーマント剤、連鎖移動剤などに由来する成分を、共重合体の末端又は側鎖に含有していても良いし、あるいは、これらの成分を常法に従って除去して用いても良い。
以下に、本発明の特定ブロック共重合体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の具体例において、繰り返し単位の間に記載されているアルファベットについては、b、bは各繰り返し単位がブロックとして存在することを、b、rはbの左に記載の繰り返し単位がブロックとして存在し、rの両側に記載の繰り返し単位がランダムに存在することを示す。
Figure 2009216924
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本発明の特定ブロック共重合体は、一般的なブロック共重合体の製造方法に準じて常法により合成するができる。具体的には、リビングアニオン重合、リビングラジカル重合、リビングカチオン重合、逐次添加法、高分子反応法などの公知の方法から選択される任意の合成法が採用される。これらのうち、リビング重合法の詳細については、例えば「精密重合」(季刊化学総説18 日本化学会編)、「ラジカル重合ハンドブック」(NTS発行)などに記載されている。
前記繰り返し単位(a3)を有する特定ブロック共重合体も常法を適用して合成できる。具体的には、例えば以下のような方法が挙げられる。
前記(a1)に相当する単量体とともに、または前記(a1)および(a2)に相当する単量体とともに、前記(a3)に相当する単量体、具体的には、式(A3a)〜(A3c)に相当する単量体を用いて上記の方法に従って合成する方法。
前記(a1)に相当する単量体とともに、または前記(a1)および(a2)に相当する単量体とともに、前記(a3)に相当する単量体、具体的には、式(A3a)〜(A3c)の前駆体に相当する単量体を用いてブロック共重合体を合成し、その後、必要により試薬や触媒を添加して高分子反応を行い、エチレン性不飽和結合を生成させる方法。式(A3a)〜(A3c)の前駆体は、高分子反応でエチレン性不飽和化結合を生成させることができれば何でも良い。例えばOH、NH、SH等の活性水素、エポキシ、炭素−ハロゲン結合などエチレン性不飽和結合を有する試薬と反応し得る構造を有する化合物が挙げられる。また、前駆体は、加熱だけで分解、脱離などを伴いエチレン性不飽和結合を生成する場合もある。
前記(a1)および(a2)に相当する単量体を用いてブロック共重合体(以降、母ポリマーと称する)を合成した後、母ポリマーに、母ポリマー中に含まれる官能基と反応し得る官能基を有するエチレン性不飽和結合含有化合物を反応させることで、エチレン性不飽和結合を導入する方法。
上記母ポリマーが酸基を有する場合、塩基性基を有するエチレン性不飽和結合含有化合物により、前記(a1)中の酸基の一部および/または(a2)中の酸基の一部または全てを中和することで、エチレン性不飽和結合をイオン結合を介して導入する方法。但し、この方法は前記式(A3c)で示される繰り返し単位を導入する場合にのみ当てはまる。
以下に、本発明の特定ブロック共重合体の合成例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
合成例(1): ポリマー(A−1)の合成
コンデンサー、攪拌機を取り付けた反応容器に1−メチル−2−ピロリドン8g、2−シアノプロパンー2−イル ベンゾジチオエート0.045gを添加した。別途、ホスマーM(ユニケミカル社製)2.52g、V−601(和光純薬製)0.002gを1−メチル−2−ピロリドン24gに溶解した溶液A、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸13.26gを1−メチル−2−ピロリドン24gに溶解した溶液B、2−ヒドロキシエチルメタクリレート0.52gを1−メチル−2−ピロリドン24gに溶解した溶液Cを調製した。反応容器の内温を80℃に調整し、窒素気流下で溶液Aを2時間かけて滴下した。HPLC測定からホスマーMが完全に消費されたことを確認した後、引き続き溶液Bを2時間かけて滴下した。HPLC測定からアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が完全に消費されたことを確認した後、引き続き溶液Cを2時間かけて滴下した。滴下終了後さらに2時間加熱攪拌した。なお重合中、定期的に反応溶液をサンプリングし、プルランを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析を行ったところ、重合時間に対して分子量は増大していることを確認した。その後、反応溶液を室温まで冷却し、p−ベンゾキノン0.008g、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート2.48g、ジブチル錫ジラウレート0.01gを添加し、60℃で加熱攪拌を行った。4時間後、メタノール0.52gを添加し、未反応の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを失活させて室温まで反応溶液を冷却し、ポリマー(A−1)を得た。ポリマー(A−1)の分子量は、プルランを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の結果から8万であった。
合成例(2): ポリマー(A−6)の合成
コンデンサー、攪拌機を取り付けた反応容器に1−メチル−2−ピロリドン9g、2−フェニルプロパンー2−イル ベンゾジチオエート0.032gを添加した。別途、ホスマーPE(ユニケミカル社製)5.61g、V−601(和光純薬製)0.0017gを1−メチル−2−ピロリドン40gに溶解した溶液A、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸13.26gを1−メチル−2−ピロリドン40gに溶解した溶液Bを調製した。反応容器の内温を80℃に調整し、窒素気流下で溶液Aを2時間かけて滴下した。HPLC測定からホスマーPEが完全に消費されたことを確認した後、引き続き溶液Bを2時間かけて滴下した。滴下終了後さらに2時間加熱攪拌した。なお重合中、定期的に反応溶液をサンプリングし、プルランを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析を行ったところ、重合時間に対して分子量は増大していることを確認した。その後、反応溶液を0℃まで冷却し、攪拌しているところへ2−ジメチルアミノエチルメタクリレート1.26gを添加した。添加後さらに1時間攪拌し、反応溶液を室温に戻してポリマー(A−6)を得た。ポリマー(A−6)の分子量は、プルランを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の結果から13万であった。
本発明の平版印刷版原版の中間層は、通常、上記特定ブロック共重合体を適当な溶媒に溶解して中間層塗布液を調製し、支持体上に塗布することにより形成することができる。溶媒としては、水や、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、1−メトキシ−2−プロパノール、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒が挙げられ、特に水、アルコール類が好ましい。これらの溶媒は混合して用いることもできる。
中間層塗布液の濃度は、0.001〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%であり、さらに好ましくは0.05〜1質量%である。中間層塗布液には、必要に応じて後述する界面活性剤を添加してもよい。中間層塗布液を支持体に塗布するには、公知の種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。中間層の塗布量(固形分)は0.1〜200mg/m2が好ましく、1〜50mg/m2がより好ましい。
〔画像形成層〕
本発明の平版印刷版原版は、中間層の上に画像形成層を有する。画像形成層(以下、感光層とも云う)は、(A)増感色素、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物及び(D)バインダーポリマーを含有する。好ましくは、更に、連鎖移動剤を含有する。
以下に、画像形成層を構成する成分について、詳細に説明する。
(増感色素)
本発明の画像形成層に用いられる増感色素としては、画像露光に使用する光源の波長、用途等に応じて適宜選択されるものであり、特に限定されるものではない。例えば、赤外線吸収剤や、350nm〜450nmの光を吸収する増感色素等が好ましく挙げられる。
<赤外線吸収剤>
赤外線吸収剤は、赤外線レーザーに対する感度を高めるために用いられる成分である。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有している。本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料又は顔料であるのが好ましい。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許第434,875号に記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号に記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号に記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)に記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載のピリリウム系化合物、特開昭59−216146号に記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に記載のピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、上記赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特開2002−278057号に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
Figure 2009216924
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。さらに、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい一つの例として下記一般式(A)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 2009216924
一般式(A)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、X2−L1又は下記構造式(Ia)で示される基を表す。X2は、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環基又はヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。Xa-は後述するZa-と同義である。Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基又はハロゲン原子を表す。
Figure 2009216924
1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。感光層塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結合して5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環基、ナフタレン環基が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R、Rは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対アニオンを示す。ただし、一般式(I)で示されるシアニ
ン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、感光層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(I)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号の段落番号[0017]〜[0019]に記載されたものを挙げることができる。
また、特に好ましい他の例としてさらに、前記した特開2002−278057号に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオ
インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、ロソ顔料、ニトロ顔料、天然料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1〜1μmの範囲にあることが好ましい。この範囲で、顔料分散物の感光層中での良好な安定性と均一性が得られる。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。赤外線吸収剤はマイクロカプセルに内包させて添加することもできる。
添加量としては、感光層の波長760nm〜1200nmの範囲における極大吸収波長での吸光度が、反射測定法で0.1〜1.5の範囲にあるように添加することが好ましく、より好ましくは、0.2〜1.2の範囲、更に好ましくは、0.3〜1.0の範囲である。この範囲で、感光層の深さ方向での均一な重合反応が進行し、良好な画像部の膜強度と支持体に対する密着性が得られる。
感光層の吸光度は、感光層に添加する赤外線吸収剤の量と感光層の厚みにより調整することができる。吸光度の測定は常法により行うことができる。測定方法としては、例えば、アルミニウム等の反射性の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版として必要な範囲において適宜決定された厚みの感光層を形成し、反射濃度を光学濃度計で測定する方法、積分球を用いた反射法により分光光度計で測定する方法等が挙げられる。
<350nm〜450nmの光を吸収する増感色素>
350nm〜450nmの光を吸収する増感色素としては、350〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素が好ましい。この様な増感色素としては、例えば、下記一般式(I)に示されるメロシアニン色素類、下記一般式(II)で示されるベンゾピラン類、クマリン類、下記一般式(III)で示される芳香族ケトン類、下記一般式(IV)で示さ
れるアントラセン類等を挙げることができる。
Figure 2009216924
式(I)中、AはS原子もしくはNR6を表し、R6は一価の非金属原子団を表し、Yは隣接するAおよび隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し
、X1、X2はそれぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、あるいはX1、X2は互いに結合して色素の酸性核を形成してもよい。
Figure 2009216924
式(II)中、=Zはオキソ基、チオキソ基、イミノ基または上記部分構造式(I’)で表されるアルキリデン基を表し、X1、X2は一般式(I)と同義であり、R7〜R12はそ
れぞれ独立に一価の非金属原子団を表す。
Figure 2009216924
式(III)中、Ar3は芳香族基またはヘテロ芳香族基を表し、R13は一価の非金属原子団を表す。好ましいR13は芳香族基またはヘテロ芳香族基である。また、Ar3とR13
互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 2009216924
式(IV)中、X3、X4、R14〜R21はそれぞれ独立に、1価の非金属原子団を表す。好ましいX3、X4はハメットの置換基定数が負の電子供与性基である。
一般式(I)から(IV)における、X1からX4、R6からR21で表される一価の非金
属原子団の好ましい例としては、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、t-ブチル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ビフェニル基等)、ヘテロアリール基(例えば、チオフェン、ピロール、フラン等)、アルケニル基(例えばビニル基、1−プロペニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、1−プロピニル基等)、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基などの窒素原子含有基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アルキルスルフィニル基、スルホ基(−SO3H)およびその共役塩基基(スルホナト基)、アルコキシスルホニル基などの硫黄原子含有基、ホスフォノ基(−PO32)およびその共役塩基基(ホスフォナト基)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)などの燐原子含有基等が挙げられ、一価の非金属原子団のうち、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基が特に好ましい。
一般式(I)に於けるYが隣接するAおよび隣接炭素原子と共同して形成する色素の塩基性核としては、5、6、7員の含窒素あるいは含硫黄複素環が挙げられ、5、6員の複素環好ましい。
含窒素複素環の例としては、例えば、L.G.Brooker et al.,J.Am.Chem.Soc.,73,5326−5358(1951)および参考文献に記載されるメロシアニン色素類における塩基性核を構成するものとして知られるものをいずれも好適に用いることができる。具体例としては、チアゾール類、ベンゾチアゾール類、ナフトチアゾール類、チアナフテノ−7’,6’,4,5−チアゾール類、オキサゾール類、ベンゾオキサゾール類、ナフトオキサゾール類、セレナゾール類、ベンゾセレナゾール類、ナフトセレナゾール類、チアゾリン類、2−キノリン類、4−キノリン類、1−イソキノリン類、3−イソキノリン類、ベンズイミダゾール類、3,3−ジアルキルインドレニン類、2−ピリジン類、4−ピリジン類等を挙げることができる。
また、含硫黄複素環の例としては、例えば、特開平3−296759号公報記載の色素類におけるジチオール部分構造をあげることができる。具体例としては、ベンゾジチオール類、ナフトジチオール類、ジチオール類等を挙げることができる。
以上述べた複素環に関する説明に用いた記述は、便宜上、慣例上、複素環母骨格の名称を用いたが、増感色素の塩基性骨格部分構造をなす場合は例えばベンゾチアゾール骨格の場合は3−置換−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン基のように、不飽和度を一つ下げたアルキリデン型の置換基の形で導入される。
さらに、下記一般式(V)〜(XI)で示される増感色素も用いることができる。
Figure 2009216924
Figure 2009216924
式(V)中、R1〜R14は各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ
基又はハロゲン原子を表す。但し、R1〜R10の少なくとも一つは炭素数2以上のアルコ
キシ基を表す。
式(VI)中、R15〜R32は各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。但し、R15〜R24の少なくとも一つは炭素数2以上のアルコキシ基を表す。
Figure 2009216924
式(VII)中、R1、R2およびR3は各々独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アリー
ル基、アラルキル基、−NR45基または−OR6基を表し、R4、R5およびR6は各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、k、mおよびnは各々0〜5の整数を表す。
Figure 2009216924
式(VIII)中、X1、X2はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、-CR1112-又は-NR13-を表す。但し、少なくともいずれか一方は酸素原子、硫黄原子又は-NR13-である
。Yは酸素原子、硫黄原子又は=NR14を表す。R1〜R14はそれぞれ独立に水素原子又
は一価の非金属原子団を表す。あるいはR1〜R14はそれぞれ互いに結合して、脂肪族性
又は芳香族性の環を形成していてもよい。
Figure 2009216924
式(IX)中、A1 およびA2は各々炭素原子またはヘテロ原子を表す。Q1 はA1
2 およびこれらに隣接する炭素原子とともに複素環を形成するのに必要な非金属原子団を表す。X1およびX2は各々シアノ基または置換カルボニル基を表すか、あるいはX1
2 とが互いに結合して環を形成していてもよい。
Figure 2009216924
式(X)中、Xはそれぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表す。
Figure 2009216924
式(XI)中、Xは酸素原子または硫黄原子を表し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表し、Aは炭素数20以下のアリール基またはヘテロアリール基を表す。
350nmから450nmの波長域に吸収極大を持つ増感色素のうち、高感度の観点からより好ましい色素は下記一般式(XII)で表される色素である。
Figure 2009216924
式(XII)中、Aは芳香族環基またはヘテロ環基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子またはN−R3を表す。R1、R2およびR3はそれぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、あるいはAとR1またはR2とR3が互いに結合して、脂肪族性または芳香族性の環を形成
してもよい。)
一般式(XII)について更に詳しく説明する。R1、R2およびR3は、それぞれ独立
に、一価の非金属原子団を表し、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、芳香族複素環残基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子を表す。
1、R2およびR3の好ましい例について具体的に述べる。
1、R2およびR3として好ましいアルキル基としては、炭素原子数20までの直鎖状、分岐状または環状のアルキル基が好ましく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、イソペンチル基等を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
1、R2およびR3として好ましい置換アルキル基の置換基としては、水素を除く一価
の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基などの窒素原子含有基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アルキルスルフィニル基、スルホ基(−SO3H)およびその共役塩基基(スルホナト基)、アルコキシスルホニル基などの硫黄原子含有基、ホスフォノ基(−PO32)およびその共役塩基基(ホスフォナト基)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)などの燐原子含有基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
これらの置換基におけるアルキル基の例としては、前述のアルキル基と同様のものが挙げられる。これら置換基におけるアリール基の具体例としては、フェニル基、メトキシフェニル基、クロロフェニル基等を挙げることができる。
これら置換基におけるヘテロアリール基の例としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環もしくは多環芳香族環基が挙げられ、好ましいヘテロアリール基の例としては、例えば、チエニル基、フリル基、ピリル基、カルバゾリル基、アクリジル基等があげられ、これらは、さらにベンゾ縮環してもよく、また置換基を有していてもよい。
これら置換基におけるアルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基等が挙げられる。アシル基(G1CO−)におけるG1としては、水素ならびに上記アルキル基、下記アリール基を挙げることができる。
これら置換アルキル基の置換基の内、より好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基、アルケニル基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基などの窒素原子含有基、アルキルスルフィニル基、スルホ基(−SO3H)およびその共
役塩基基(スルホナト基)、アルコキシスルホニル基などの硫黄原子含有基、ホスフォノ基(−PO32)およびその共役塩基基(ホスフォナト基)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)などの燐原子含有基等が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
上記置換基とアルキレン基を組み合わせることにより得られるR1、R2およびR3で表
される置換アルキル基の好ましい具体例としては、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、2−オキソエチル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、ホスフォノブチル基、ベンジル基等を挙げることができる。
1、R2およびR3として好ましいアルケニル基としては、炭素数20までの直鎖状、
分岐状または環状のアルケニル基が好ましく、その具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基等が挙げられる。
1、R2およびR3として好ましい置換アルケニル基としては、上記アルケニル基の炭
素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが挙げられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基ならびに置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。置換アルケニル基の好ましい具体例としては、スチリル基、シンナミル基等が挙げられる。
1、R2およびR3として好ましいアリール基としては、1個から3個のベンゼン環が
縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したもの等を挙げることができる。具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基を挙げることができ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
1、R2およびR3として好ましい置換アリール基としては、上記アリール基の環形成
炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが挙げられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基ならびに置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、クロロフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メチルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。
1、R2およびR3として好ましい芳香族複素環残基としては、窒素、酸素、硫黄原子
の少なくとも一つを含有する単環もしくは多環芳香族複素環基が挙げられる。芳香族複素環基の例としては、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサジン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキ
サゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フタラジン、フェナルザジン、フェノキサジン、フラザン、フェノキサジンや等のヘテロ環から誘導される基等を挙げれ、これらは、さらにベンゾ縮環してもよい。
1、R2およびR3として好ましい置換芳香族複素環残基としては、上記芳香族複素環
残基の環形成原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが挙げられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基ならびに置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
1、R2およびR3として好ましいアルコキシ基およびアルキルチオ基におけるアルキ
ル基は、前記R1、R2およびR3として好ましいアルキル基に関して記載したものと同様
である。
1、R2およびR3として好ましい置換アルコキシ基および置換アルキルチオ基におけ
る置換アルキル基は、前記R1、R2およびR3として好ましい置換アルキル基に関して記
載したものと同様である。
一般式(XII)におけるAで表される芳香族環基およびヘテロ環基は、各々前記R1
、R2およびR3に関して記載したアリール基および芳香族複素環残基に関して記載したものと同様のものを包含する。
一般式(XII)で表される増感色素は、上述の酸性核や活性メチレン基を有する酸性核と、芳香族環またはヘテロ環との縮合反応によって得られる。具体的には、特公昭59−28329号の記載を参照して合成することができる。
以下に、一般式(XII)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、酸性核と塩基性核を結ぶ2重結合による異性体については、どちらか一方の異性体に限定されるものではない。
Figure 2009216924
Figure 2009216924
増感色素について、その構造、単独使用か併用か、添加量等使用法の詳細は、平版印刷版原版の性能設計にあわせて適宜設定できる。
例えば、増感色素を2種以上併用することで、感光層を構成する組成物中での相溶性を高めることができる。増感色素の選択においては、感光性の他、使用する光源の発光波長でのモル吸光係数が重要な因子である。モル吸光係数の大きな色素を使用することにより、色素の添加量を比較的少なくできるので、経済的であり、かつ感光層の膜物性の点からも有利である。感光層の感光性、解像度、露光膜の物性は光源波長での吸光度に大きな影響を受けるので、これらを考慮して増感色素の添加量が適宜選択される。
但し、例えば5μm以上の厚い膜を硬化せしめる目的に対しては、低い吸光度の方がかえって硬化度をあげられる場合もある。比較的薄い膜厚の平版印刷版原版の場合には、増感色素の添加量は、感光層の極大吸収波長での吸光度が、反射測定法で、好ましくは0.1から1.5の範囲、より好ましくは0.2から1.2の範囲、更に好ましくは0.3〜1.0の範囲となるように設定する。通常、感光層の全固形分100質量部に対し、好ましくは0.05〜30質量部、より好ましくは0.1〜20質量部、更に好ましくは0.2〜10質量部の範囲である。
(重合開始剤)
本発明の感光層に用いられる重合開始剤は、光または熱エネルギーによりラジカルを発生し、重合性不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進する化合物である。重合開始剤は、公知のラジカル重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などから適宜選択して用いることができる。
重合開始剤としては、例えば、有機ハロゲン化合物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素化合物、ジスルホン化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物が挙げられる。
上記有機ハロゲン化合物としては、具体的には、若林等、"Bull.Chem.So
c.Japan"、42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号、特
公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開53−133428号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号、M.P.Hutt、"Jour
nal of Heterocyclic Chemistry"、1(No.3)(1
970)に記載の化合物が挙げられる。中でも、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物およびS−トリアジン化合物が好適である。
より好適には、すくなくとも一つのモノ、ジ、またはトリハロゲン置換メチル基が、s−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体およびオキサジアゾール環に結合したオキサジアゾール誘導体が挙げられる。具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2―n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジンや下記化合物等が挙げられる。
Figure 2009216924
Figure 2009216924
上記カルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドトキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4'−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体等を挙げることができる。
上記アゾ化合物としては例えば、特開平8−108621号に記載のアゾ化合物等を使用することができる。
上記有機過酸化物としては、例えば、トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、ターシルカーボネート、3,3',4,4'−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
上記メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−4705号、特開平5−83588号記載の種々のチタノセン化合物、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)フェニル)チタニウム、並びに特開平1−304453号、特開平1−152109号記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等に記載の種々の化合物、具体的には、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ブロモフェニル))4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2'−ビス(o,o'−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−メチルフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
上記有機ホウ素化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837号、特開2002−107916号、特許第2764769号、特開2002−116539号、Martin Kunz、Rad Tech'98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago等に記載の有機ホウ酸塩、特開平6−157623号、特開平6−175564号、特開平6−175561号に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体あるいは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号、特開平6−175553号に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号、特開平7−128785号、特開平7−140589号、特開平7−306527号、特開平7−292014号に記載の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が挙げられる。
上記ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号、特開2003−328465号等に記載の化合物が挙げられる。
上記オキシムエステル化合物としては、J.C.S. Perkin II、1653-1660 (1979)、J.C.S.Perkin II、 156-162(1979)、Journal of Photopolymer Science and Technology、202-232(1995)、特開2000−66385号、特開2000−80068号記載の化合物が挙げられる。具体例としては、下記の構造式で示される化合物が挙げられる。
Figure 2009216924
上記オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger、Photogr.Sci.Eng.、18、387(1974)、T.S.Bal et al.、Polymer、21、423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、特開平4−365049号等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同第4,069,056号に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号,580号、同第3,604,581号に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al.、Macromolecules、10(6)、1307(1977)、J.V.Crivello et al.、J.Polymer Sci.、Polymer Chem.Ed.、17、1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al.、Teh.Proc.Conf.Rad.Curing ASIA、p478
Tokyo、Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等が挙げられる。
本発明において、これらのオニウム塩化合物は酸発生剤ではなく、イオン性のラジカル重合開始剤として機能する。
好適に用いられるオニウム塩化合物は、下記一般式(RI−I)〜(RI−III)で表されるオニウム塩である。
Figure 2009216924
式(RI−I)中、Ar11は置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表す。好ましい置換基としては炭素数12以下のアルキル基、炭素数12以下のアルケニル基、炭素数12以下のアルキニル基、炭素数12以下のアリール基、炭素数12以下のアルコキシ基、炭素数12以下のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数12以下のアルキルアミノ基、炭素数12以下のジアルキルアミノ基、炭素数12以下のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数12以下のチオアルキル基、炭素数12以下のチオアリール基が挙げられる。Z11 -は1価の陰イオンを表し、具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも安定性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオンおよびスルフィン酸イオンが好ましい。
式(RI−II)中、Ar21およびAr22は、各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表す。好ましい置換基としては炭素数12以下のアルキル基、炭素数12以下のアルケニル基、炭素数12以下のアルキニル基、炭素数12以下のアリール基、炭素数12以下のアルコキシ基、炭素数12以下のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数12以下のアルキルアミノ基、炭素数12以下のジアルキルアミノ基、炭素数12以下のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数12以下のチオアルキル基、炭素数12以下のチオアリール基が挙げられる。Z21 -は1価の陰イオンを表す。具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオン、カルボン酸イオンが挙げられる。中でも、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。
式(RI−III)中、R31、R32およびR33は、各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を表す。中でも反応性、安定性の面から好ましいのは、アリール基である。置換基としては、炭素数12以下のアルキル基、炭素数12以下のアルケニル基、炭素数12以下のアルキニル基、炭素数12以下のアリール基、炭素数12以下のアルコキシ基、炭素数以下12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数12以下のアルキルアミノ基、炭素数12以下のジアルキルアミノ基、炭素数12以下のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数12以下のチオアルキル基、炭素数12以下のチオアリール基が挙げられる。Z31 -は1価の陰イオンを表す。具体例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオン、カルボン酸イオンが挙げられる。中でも安定性、反応性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。より好ましいものとして特開2001−343742号記載のカルボン酸イオン、特に好ましいものとして特開2002−148790号記載のカルボン酸イオンが挙げられる。
以下に、一般式(RI−I)〜(RI−III)で表されるオニウム塩の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009216924
Figure 2009216924
Figure 2009216924
Figure 2009216924
Figure 2009216924
Figure 2009216924
重合開始剤としては、特に反応性、安定性の面から、有機ハロゲン化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物が好ましく、より好ましくは有機ハロゲン化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、オニウム塩化合物である。
重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の含有量は、感光層全固形分に対し好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、更に好ましくは0.8〜20質量%である。
(重合性化合物)
本発明における感光層に用いる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。重合性化合物は、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの共重合体ならびにそれらの混合物などの化学的形態をもつ。重合性化合物の例としては、以下の一般式(1)〜(5)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009216924
式(1)中、Rl〜R3はそれぞれ独立に1価の有機基を表す。R1としては、好ましく
は、水素原子またはアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基、メチル基の水素原子の一つを水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、チオール基、アルキルチオ基、アシルチオ基、スルホ基、スルホン酸基、カルボキシル基で置換した基がラジカル反応性の高いことからより好ましい。また、R2またはR3としては、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基がラジカル反応性の高いことから好ましい。
Xは酸素原子、硫黄原子、−N(R12)−または−C(R1213)−を表し、R12またはR13は1価の有機基を表す。ここで、R12またはR13で表される1価の有機基としては、アルキル基などが挙げられる。R12またはR13としては、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。R12またはR13はLを構成する原子と結合して環を形成してもよい。
ここで、有機基に導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
Lは、水素、フッ素、塩素、臭素、沃素、炭素、窒素、酸素、硼素、硫黄、リン、珪素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、銀、パラジウム、鉛、ジルコニウム、ロジウム、錫、白金、タングステンから構成されるn価の有機残基であり、水素、フッ素、塩素、臭素、沃素、炭素、窒素、酸素、硼素、硫黄、リン、珪素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムから構成されるn価の有機残基であることが好ましく、水素、フッ素、塩素、臭素、沃素、炭素、窒素、酸素、硼素、硫黄、リン、珪素から構成されるn価の有機残基であることがより好ましい。
nは、自然数を表し、1以上100以下が好ましく、2以上80以下がより好ましく、3以上60以下が更に好ましい。
一般式(1)で表される重合性化合物の具体例としては、(a)不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、2−ヒドロキシメチルアクリル酸、α−ブロモアクリル酸、フマル酸、メサコン酸、マレイン酸など)や、(b)そのエステル類、(c)そのアミド類が挙げられ、好ましくは、(d)不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、(e)不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、(f)ヒドロキシル基、アミ
ノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類或いはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、および単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、(g)イソシアネート基、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類或いはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に(h)ハロゲン基、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類或いはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、上記不飽和カルボン酸を、不飽和ケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトンなど)に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例として、アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド(EO)変性トリアクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号に記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号に記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(VM)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R4)COOCH2CH(R5)OH (VM)
(ただし、R4およびR5は、HまたはCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号に記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた感光層を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号に記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号に記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号に記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に記載の光硬化性モノマーおよびオリゴマーも使用することができる。
Figure 2009216924
式(2)中、R1〜R5はそれぞれ独立に1価の有機基を表す。R1〜R5としては、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基がより好ましい。R1〜R5は任意の2つで環を形成しても良く、Lを構成する原子に連結して環を形成しても良い。
有機基に導入し得る置換基としては、一般式(1)と同様のものが例示される。また、Yは酸素原子、硫黄原子、−N(R12)−または−C(R1213)−を表す。R12、R13は一般式(1)のR12、R13と同義であり、好ましい例も同様である。
L、nは一般式(1)のL、nと同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(2)で表される重合性化合物の具体例としては、不飽和二重結合を有するアルコール(例えば、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、3-ブテン-1-オール、2-シクロヘキセン-1-オール、レチノール等)と単官能或いは多官能カルボン酸(例えば、酢酸、安息香酸、マレイン酸、トリカルバリン酸、1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸等)とのエステル化合物、単官能或いは多官能イソ(チオ)シアネート(例えば、ブチルイソシアネート、1,3-ビス(シソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、アリルイソチオシアネート、フェニルイソチオシアネート、フェニルイソシアネート、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)等)とのウレタン化合物、単官能或いは多官能アルコール(例えば、エタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジオール、イノシトール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、キシリトール、デキストリン、フェノール、ビスフェノールA等)とのエーテル化合物、単官能或いは多官能エポキシ化合物(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキサイド、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート等)との付加反応物、単官能或いは多官能ハロゲン化アルキル(例えば、1,4-ジブロモブタン、マレイン酸 ビス(2-ブロモエチル)エステル等)又は単官能或いは多官能アルコールのスルホン酸(・BR>痰ヲば、メタンスルホン酸、
カンファースルホン酸、トルエンスルホン酸等)とのエステルの置換反応物、不飽和二重結合を有するハロゲン化アルキル(例えば、アリルブロミド、4-ブロモ-1-ブテン、3-クロロ-2-メチルプロペンなど)や不飽和二重結合を有するアルコールのスルホン酸エステルと単官能或いは多官能アルコール、単官能或いは多官能アミン(例えば、ブチルアミン、エチレンジアミン、トリエチルアミン、ペンタエチレンヘキサミン、2,2’-オキシビス(エチルアミン)、モルホリン、ピペラジン、ピリジン、プロリン、4,4’-メチレンジアニリンなど)、単官能或いは多官能ホスフィン、単官能或いは多官能チオール、単官能或いは多官能カルボニル化合物、単官能或いは多官能カルボン酸塩等の求核性化合物との置換反応物、不飽和二重結合を有するアミン(例えば、アリルアミン、トリアリルアミン、ゲラニルアミン、N-エチル-2-メチルアリルアミンなど)と単官能或いは多官能カルボン酸のアミド、単官能或いは多官能イソシアネートのウレア、単官能或いは多官能ハロゲン化アルキルや単官能或いは多官能アルコールのスルホン酸エステルとの置換反応物、単官能或いは多官能カルボニル化合物のイミン、単官能或いは多官能スルホン酸のスルホンアミド、不飽和二重結合を有するイソ(チオ)シアネート(例えば、アリルイソシアネート、アリルイソチオシアネートなど)と単官能或いは多官能アルコールとのウレタン、単官能或いは多官能アミンとのウレア、単官能或いは多官能カルボン酸とのアミド、単官能或いは多官能チオールとの付加反応物、単官能或いは多官能イソ(チオ)シアネートとの付加反応物が挙げられる。
Figure 2009216924
式(3)中、R1〜R3はそれぞれ独立に1価の有機基を表す。R1〜R3としては、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、ア
ルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基がより好ましい。R1〜R5は任意の2つで環を形成しても良く、Lを構成する原子に連結して環を形成しても良い。
有機基に導入し得る置換基としては、一般式(1)と同様のものが例示される。また、Zは酸素原子、硫黄原子、−N(R12)−または−C(R1213)−を表す。R12、R13は一般式(1)のR12、R13と同義であり、好ましい例も同様である。
L、nは一般式(1)のL、nと同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(3)で表される重合性化合物の具体例としては、酢酸ビニル、酢酸イソプロペニル、1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸トリビニルなどの単官能或いは多官能カルボン酸ビニルエステル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどのビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどのビニルエーテルアルコールと単官能或いは多官能カルボン酸とのエステル、単官能或いは多官能イソ(チオ)シアネートとのウレタン、単官能或いは多官能ハロゲン化アルキルや単官能或いは多官能アルコールのスルホン酸エステルとの置換生成物、単官能或いは多官能エポキシとの付加生成物、2-クロロエチルビニルエーテルなどのビニルエーテルハロゲン化アルキルやp-トルエンスルホン酸ビニルオキシエチルエステルなどのビニルエーテルスルホン酸エステルと単官能或いは多官能アルコール、単官能或いは多官能アミン、単官能或いは多官能ホスフィン、単官能或いは多官能チオール、単官能或いは多官能カルボニル化合物、単官能或いは多官能カルボン酸塩等の求核性化合物との置換反応物、3-アミノ-1-プロパノールビニルエーテ
ル、2-(ジエチルアミノ)エタノールビニルエーテルなどのビニルエーテルアミンと単官能或いは多官能カルボン酸とのアミド、単官能或いは多官能イソ(チオ)シアネートとのウレア、単官能或いは多官能ハロゲン化アルキルとの置換生成物、単官能或いは多官能スルホン酸とのスルホンアミド、N-ビニルルバゾール、N-ビニルピロリジノン、N-ビニルフタルイミド等の単官能或いは多官能ビニルアミド、が挙げられる。
Figure 2009216924
式(4)中、R1〜R3はそれぞれ独立に1価の有機基を表す。R1〜R3としては、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基がより好ましい。R4〜R8はそれぞれ独立に1価の有機基か、Lに連結する2価の有機基を表し、1価の有機基としては、前述の1価の有機基が好ましく、2価の有機基としては、水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、ハロゲン、珪素、燐から構成される2価の有機基であることが好ましい。またR4〜R8の任意の2つで環を形成しても良く、Lを構成する原子に連結して環を形成しても良い。
有機基に導入し得る置換基としては、一般式(1)と同様のものが例示される。
L、nは一般式(1)のL、nと同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(4)で表される重合性化合物の具体例としては、p-スチレンカルボン酸などのカルボン酸基含有スチレンやp-スチレンスルホン酸などのスルホン酸基含有スチレンと単官能或いは多官能アルコールとのエステル、単官能或いは多官能アミンとのアミド、p-ヒドロキシメチルスチレンやp-スチレンカルボン酸2-ヒドロキシエチルエステルやp-スチレンスルホン酸2-ヒドロキシエチルエステルなどの水酸基含有スチレンと単官能或いは多官能カルボン酸とのエステル、単官能或いは多官能イソ(チオ)シアネートとのウレタン、単官能或いは多官能ハロゲン化アルキルや単官能或いは多官能アルコールのスルホン酸エステルとの置換生成物、単官能或いは多官能エポキシとの付加生成物、p-クロロメチルスチレンやp-スチレンカルボン酸2-クロロエチルエステルなどのハロゲン化アルキル基含有スチレンやp-トシルオキシメチルスチレンなどのスルホン酸エステル基含有スチレンと単官能或いは多官能アルコール、単官能或いは多官能アミン、単官能或いは多官能ホスフィン、単官能或いは多官能チオール、単官能或いは多官能カルボニル化合物、単官能或いは多官能カルボン酸塩等の求核性化合物との置換反応物、p-アミノメチルスチレンなどのアミノ基含有スチレンと単官能或いは多官能カルボン酸とのアミド、単官能或いは多官能イソ(チオ)シアネートとのウレア、単官能或いは多官能ハロゲン化アルキルとの置換生成物、単官能或いは多官能スルホン酸とのスルホンアミドが挙げられる。
Figure 2009216924
式(5)中、R1〜R3はそれぞれ独立に1価の有機基を表す。R1〜R3としては、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基がより好ましい。R5はそれぞれ独立に
1価の有機基を表し、1価の有機基としては、前述の1価の有機基が好ましい。またR5
はLと共に環を形成しても良い。
有機基に導入し得る置換基としては、一般式(1)と同様のものが例示される。また、Wは酸素原子、硫黄原子、−N(R12)−または−C(R1213)−を表す。R12、R13は一般式(1)のR12、R13と同義であり、好ましい例も同様である。
L、nは一般式(1)のL、nと同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(5)で表される重合性化合物の具体例としては、ビニルホスホン酸、メチル2-ホスホノアクリレートなどビニルホスホン酸と単官能或いは多官能アルコールとのエステル、単官能或いは多官能アミンとのアミド、ビス(2-ヒドロキシエチル)ビニルホスホン酸などの水酸基含有ビニルホスホン酸と単官能或いは多官能カルボン酸とのエステル、単官能或いは多官能イソ(チオ)シアネートとのウレタン、単官能或いは多官能ハロゲン化アルキルや単官能或いは多官能アルコールのスルホン酸エステルとの置換生成物、単官能或いは多官能エポキシとの付加生成物、ビス(2-ブロモエチル)ビニルホスホン酸等のハロゲン化アルキル基含有ビニルホスホン酸やp-トシルオキシエチルビニルホスホン酸などのスルホン酸エステル基含有ビニルホスホン酸と単官能或いは多官能アルコール、単官能
或いは多官能アミン、単官能或いは多官能ホスフィン、単官能或いは多官能チオール、単官能或いは多官能カルボニル化合物、単官能或いは多官能カルボン酸塩等の求核性化合物との置換反応物が挙げられる。
重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等使用方法の詳細は、平版印刷版原版の性能設計にあわせて適宜設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、感光層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、重合開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、後述の支持体や保護層等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
重合性化合物は、感光層の全固形分に対して、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは25〜75質量%の範囲で使用される。また、重合性化合物は単独で用いても、2種以上併用してもよい。そのほか、重合性化合物は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、耐かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な使用法を任意に選択できる。
(バインダーポリマー)
本発明の感光層に用いられるバインダーポリマーとしては、pHが2〜10の現像液に対する現像性の観点から、親水性基を有するバインダーポリマーが好ましい。
親水性基としては、一価又は二価以上の親水性基から選ばれ、例えば、ヒドロキシ基、スルホン酸基、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基等のアルキレンオキシ基、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、これらアミノ基を酸で中和した塩、第四級アンモニウム基、アミド基、エーテル基、またはカルボン酸、スルホン酸、リン酸などの酸基を中和した塩、正に帯電した窒素原子を含有する複素環基が好ましく、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、これらアミノ基を酸で中和した塩、第四級アンモニウム基、アミド基、ヒドロキシ基、−CH2CH2O−繰り返し単位、−CH2CH2NH−繰り返し単位、スルホン酸基、スルホン酸塩基、ピリジニウム基がより好ましく、第三級アミノ基、第三級アミノ基を酸で中和した塩、第四級アンモニウム基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸塩基が特に好ましく、第三級アミノ基、第三級アミノ基を酸で中和した塩、第四級アンモニウム基が最も好ましい。
本発明の親水性基を有するバインダーポリマー(以下、適宜、親水性基含有バインダーポリマーと称する)は、ポリマー鎖の主鎖および/または側鎖部分に上記親水性基を有するポリマーであれば任意の化合物でよい。好ましくは、側鎖に上記親水性基を有するポリマーであり、より好ましくは側鎖に第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、これらアミノ基を酸で中和した塩、第四級アンモニウム基、アミド基、ヒドロキシ基、−CH2CH2O−繰り返し単位、−CH2CH2NH−繰り返し単位、スルホン酸基、スルホン酸塩基、ピリジニウム基を有するポリマーであり、特に好ましくは側鎖に下記一般式<1>または<2>で表されるアミノ基および/またはアンモニウム基を有するポリマーである。側鎖に下記一般式<1>または<2>で表される基を有するバインダーポリマーとしては、一般式<1>または<2>で表される構造を含む繰返し単位を含む高分子化合物であれば、任意の化合物でよい。
Figure 2009216924
一般式<1>〜<2>中、R1、R2およびR4〜R6は、各々独立して1価の有機基を表す。R3およびR7は、各々単結合または2価の有機基を表す。また、R1〜R3のうち任意の2つあるいはR4〜R7のうち任意の2つは、互いに結合して環を形成してもよい。さらに、R1〜R3のうち任意の1つあるいはR4〜R7のうちの任意の1つが窒素原子と二重結合を形成してもよい。この場合、一般式<1>ではR1またはR2が、一般式<2>ではR4〜R6のうちの1つが存在しない構造となる。Xはアニオンを表す。*はバインダーポリマーに連結する位置を示す。
一般式<1>および<2>において、1価の有機基とは、水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン及びシリコンから選ばれる原子の少なくとも1種からなる1価の置換基である。また、2価の有機基とは、水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン及びシリコンから選ばれる原子の少なくとも1種からなる2価の連結基である。水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン、ケイ素から選ばれる原子の少なくとも1種からなる1価の置換基とは、−H、−F、−Cl、−Br、−I、>C<、=C<、≡C−、−O−、O=、−N<、−N=、≡N、−S−、S=、>S<、≡S≡、−P<、≡P<、>Si<、=Si<、≡Si−およびこれらを組み合わせて形成される置換基である。1価の置換基としては、水素原子、アルキル基〔例えば、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、クロロメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、N-(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、、p-メチルベンジル基等〕、アリール基〔例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、等〕、ヘテロアリール基〔例えば、チオフェン、フラン、ピラン、、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、カルバゾール、アクリジン、フラザン、フェノキサジン等のへテロ環から誘導される基〕、アルケニル基〔例えばビニル基、1-プロペニル基、2-クロロ-1-エテニル基等〕、アルキニル基〔例えば、エチニル基、1-プロピニル基、トリメチルシリルエチニル基等〕、ハロゲン原子〔-F、-Br、-Cl、-I〕、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アシル基、スルホ基(-SO3H)およびその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、ホスフォノ基(-PO32)およびその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(-OPO32)およびその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、等が挙げられ、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基が好ましい。2価の連結基は、特に限定されないが、アルキレン基、アリーレン基およびエステル結合、アミド結合、エーテル結合などのヘテロ原子を含む連結基並びにこれらの組み合わせが好ましい。
一般式<1>中、pH2.0〜10.0の現像液での現像性の観点から、R1、R2がそれぞれ独立して水素原子、アルキル基またはアリール基であることが好ましい。R1、R2の炭素数の合計は0〜24がより好ましく、0〜12が更に好ましい。ただし、炭素数の合計が0の場合、R1、R2の両方が水素原子である。
また、一般式<2>中、pH2.0〜10.0の現像液での現像性の観点から、R4、R5、R6がそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、または、アリール基であることが
好ましい。R4、R5、R6の炭素数の合計は0〜36がより好ましく、0〜18が更に好ましい。ただし、炭素数の合計が0の場合、R4、R5、R6の全てが水素原子である。
一般式<1>〜<2>中、Xで表されるアニオンの具体例としては、ハロゲンアニオン、ハロゲンオキソ酸アニオン(ClO4 -, IO3 -, BrO3 -など)、ハロゲノ錯イオン(BF4 -,
PF6 -, AlCl4 -など)、硫酸アニオン、硝酸アニオン、リン酸アニオン、ボレートアニオン、カルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、ホスホン酸アニオン、金属錯体アニオン([Fe(CN)6]-など)等が挙げられる。pH2.0〜8.0の現像液での現像性の観点から、中でも、ハロゲンアニオン、ハロゲノ錯イオン、ボレートアニオン、カルボン酸アニオン、スルホン酸アニオンが好ましく、ハロゲノ錯イオン、ボレートアニオン、スルホン酸アニオンが更に好ましい。
本発明に用いられる親水性基含有バインダーポリマーは共重合体であることが好ましく、共重合体の全共重合成分に占める前記親水性基を有する共重合成分の割合は、現像性の観点から、1〜70%が好ましい。現像性と耐刷性の両立を考慮すると、1〜50%がより好ましく、1〜30%が更に好ましい。
さらに、本発明に用いられる親水性基含有バインダーポリマーは、現像性・耐汚れ性の観点から、カルボン酸基、リン酸基を実質的に含有しないものが好ましい。
親水性基含有バインダーポリマーの酸価(ポリマー1gあたりの酸含率を化学等量数で表したもの)は、0.3meq/g以下が好ましく、より好ましくは、0.1meq/g以下である。
また、本発明に用いられる親水性基含有バインダーポリマーは、水およびpH10以上の水溶液に対し不溶であることが好ましい。適切なバインダーポリマーの水に対する溶解度(飽和溶解時のバインダーポリマー濃度)は10質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下である。なお、上記溶解度の測定温度は、製版時の通常の温度である25℃である。
このようなバインダーポリマーの骨格としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれる高分子が好ましい。なかでも、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂等のビニル共重合体、ポリウレタン樹脂が特に好ましい。
本発明に用いられるバインダーポリマーは架橋性基を有することが好ましい。ここで架橋性基とは、平版印刷版原版を露光した際に感光層中で起こるラジカル重合反応の過程でバインダーポリマーを架橋させる基のことである。このような機能の基であれば特に限定されないが、例えば、付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。また光照射によりラジカルになり得る官能基であってもよく、そのような架橋性基としては、例えば、チオール基、ハロゲン基等が挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和結合基が好ましい。
架橋性基を有するバインダーポリマーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接にまたは重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。または、ポリマー中の原子(例えば、官能性架橋基に隣接する炭
素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。架橋性基としてはラジカル重合性の不飽和二重結合を側鎖に有するものであれば特に限定されないが、(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基が好ましく用いられ、(メタ)アクリロイル基が耐刷性等の観点から特に好ましい。
バインダーポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.01〜10.0mmol、より好ましくは0.05〜5.0mmol、更に好ましくは0.1〜2.0mmolである。
耐刷性向上という観点から、親水性基含有バインダーポリマーにおいては、架橋性基は親水性基の近傍にあることが望ましく、親水性基と架橋性基が同一の重合単位上にあってもよい。
バインダーポリマーがアクリル樹脂である場合は、上記親水性基を有するユニット、架橋性基を有するユニット、又は親水性基および架橋性基を有するユニットの他に、(メタ)アクリル酸アルキルまたはアラルキルエステルのユニットを有することが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜5のアルキル
基であり、メチル基がより好ましい。(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとしては、(
メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
バインダーポリマーがウレタン樹脂である場合には、上記親水性基を有するユニット、架橋性基を有するユニット、又は親水性基及び架橋性基を有するユニットの他に疎水性ユニットを有することが好ましい。疎水性ユニットとしては、炭素数5以上のアルキル基、炭素数5以上のアルキレン基、アリール基、アリーレン基が挙げられ、特に炭素数5以上のアルキレン基、アリーレン基を主鎖骨格に有することが耐刷性の観点から特に好ましい。
バインダーポリマーは、質量平均分子量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましく、また、数平均分子量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。多分散度(質量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であるのが好ましい。
バインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよい。
バインダーポリマーは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。バインダーポリマーの含有量は、良好な画像部の強度と画像形成性の観点から、感光層の全固形分に対して、5〜75質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、10〜60質量%が更に好ましい。
また、重合性化合物及びバインダーポリマーの合計含有量は、感光層の全固形分に対して、80質量%以下であることが好ましい。80質量%を超えると、感度の低下、現像性の低下を引き起こす場合がある。より好ましくは35〜75質量%である。
以下に本発明に用いるバインダーポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。表中の分子量は、ポリスチレンを標準物質としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した質量平均分子量(Mw)である。
Figure 2009216924
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一般式<1>または<2>で表される構造を繰返し単位中に含む特定バインダーポリマーの具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
表中の分子量はポリスチレンを標準物質としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した質量平均分子量である。
また、PB−1〜PB−50bにおいて、化合物と共に記載される数値は各構成成分の反応比(モル%)であり、表中また、PPGはポリプロピレングリコールを、PEGはポリエチレングリコールを表し、これに続く数字は平均分子量を表す。例えば「PPG1000」とは平均分子量1000のポリプロピレングリコールを表す。
Figure 2009216924
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本発明においては、上記のようなアミノ基および/またはアンモニウム基を有するバインダーポリマーを感光層に使用すると、本発明に係る酸変性ポリビニルアルコール含有保護層との密着性が改善され、保護層の耐傷性が向上する利点がある。これは、バインダーポリマーのカチオン又は塩基と酸変性ポリビニルアルコールのアニオン又は酸基との静電相互作用又は酸塩基相互作用に起因するものと思われる。
<その他の感光層構成成分>
本発明の感光層には、さらに、必要に応じて種々のその他の感光層構成成分(添加剤)を含有させることができる。以下、それらについて説明する。
(共増感剤)
感光層には、共増感剤を用いることができる。共増感剤とは、感光層に添加したときに、感光層の感度をさらに向上させることができる添加剤である。その作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。すなわち、先述の重合開始剤の光吸収により開始される光反応と、それに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、過酸化物、酸化剤、還元剤等)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。共増感剤は、大きくは、(a)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(b)酸化されて活性ラジカルを生成しうるもの、(c)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、もしくは連鎖移動剤として作用するもの、に分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては、通説がない場合も多い。
(a)還元されて活性ラジカルを生成する化合物
炭素−ハロゲン結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
窒素−窒素結合を有する化合物:還元的に窒素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。
酸素−酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や酸素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類等が好適に使用される。
(b)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には、例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成しうる。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化によりカルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成しうる。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1類、並びに、これらとヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類、およびN−OHをエステル化したオキシムエステル類をあげることができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的は、アリールスルフィン酸ナトリウム等を挙げることができる。
(c)ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換もしくは連鎖移動剤として作用する化合物
ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換もしくは連鎖移動剤として作用する化合物としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンする事によりラジカルを生成しうる。
連鎖移動剤は感度および保存安定性向上に寄与する。連鎖移動剤としては、チオール化合物(例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類等)を好ましく用いることができる。なかでも、下記一般式(T)で表されるチオール化合物が特に好適に使用される。連鎖移動剤としてこのチオール化合物を用いることによって、臭気の問題、および感光層からの蒸発や他の層への拡散による感度減少を回避し、保存安定性に優れ、さらには高感度で高耐刷の平版印刷版原版が得られる。
Figure 2009216924
一般式(T)中、Rは水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、AはN=C−N部分と共に炭素原子を有する5員または6員のヘテロ環を形成する原子団を表し、Aはさらに置換基を有してもよい。
さらに好ましくは下記一般式(TA)または一般式(TB)で表されるものが使用される。
Figure 2009216924
一般式(TA)および式(TB)中、Rは水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、Xは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシル基、アルキル基またはアリール基を表す。
以下に、一般式(T)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009216924
Figure 2009216924
Figure 2009216924
Figure 2009216924
Figure 2009216924
連鎖移動剤の使用量は感光層の全固形分に対し、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは1.0〜10質量%である。
共増感剤の他の具体的な例としては、特開平9−236913号中に感度向上を目的とした添加剤として記載されている化合物を挙げることができる。以下に、その一部を例示するが、本発明はこれらに限定されるものはない。
Figure 2009216924
共増感剤は、単独でまたは2種以上併用して用いることができる。使用量は重合性化合物100質量部に対し、通常は0.05〜100質量部、好ましくは1〜80質量部、より好ましくは3〜50質量部である。
(界面活性剤)
感光層には、現像性の促進および塗布面状を向上させるために界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
本発明に用いられるノニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体が挙げられる。
本発明に用いられるアニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル
塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類が挙げられる。
本発明に用いられるカチオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
上記界面活性剤に関して、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等の「ポリオキシアルキレン」に読み替えることもでき、本発明においては、それらの界面活性剤も用いることができる。
更に好ましい界面活性剤としては、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤が挙げられる。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン型;パーフルオロアルキルベタイン等の両性型;パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型;パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基および親水性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するウレタン等のノニオン型が挙げられる。また、特開昭62−170950号、同62−226143号および同60−168144号に記載のフッ素系界面活性剤も好適に挙げられる。
界面活性剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。界面活性剤の含有量は、感光層の全固形分に対して、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜7質量%がより好ましい。
(親水性ポリマー)
感光層には、現像性の向上、マイクロカプセルの分散安定性向上などのため、親水性ポリマーを含有させることができる。
親水性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、スルホン酸基、リン酸基等の親水性基を有するものが好適に挙げられる。
具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシピロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリ
マー類、ポリビニルアルコール類、加水分解度が60モル%以上、好ましくは80モル%以上である加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、ポリビニルピロリドン、アルコール可溶性ナイロン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンとのポリエーテル等が挙げられる。
親水性ポリマーの質量平均分子量は、5000以上が好ましく、1万〜30万がより好ましい。親水性ポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよい。親水性ポリマーの含有量は、感光層全固形分の20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
(着色剤)
感光層には、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI45170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、および特開昭62−293247号に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料も好適に用いることができる。
着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。添加量は、感光層全固形分に対し、0.01〜10質量%が好ましい。
(焼き出し剤)
感光層には、焼き出し画像生成のため、酸またはラジカルによって変色する化合物を添加することができる。このような化合物としては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルーBOH(保土ケ谷化学(株)製)、オイルブルー#603、オイルピンク#312、オイルレッド5B、オイルスカーレット#308、オイルレッドOG、オイルレッドRR、オイルグリーン#502(以上オリエント化学工業(株)製)、スピロンレッドBEHスペシャル(保土ケ谷化学工業(株)製)、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシステアリルアミノ−4−p−N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等の染料やp,p',p"−ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)等のロイコ染料が挙げられる。
上記の他に、感熱紙や感圧紙用の素材として知られているロイコ染料も好適なものとして挙げられる。具体例としては、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチル)アミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)−フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メトキシ−7−アミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−ベンジルアミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−ザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、などが挙げられる。
酸またはラジカルによって変色する化合物の好適な添加量は、感光層固形分に対して0.01〜15質量%である。
(熱重合防止剤)
感光層には、感光層の製造中または保存中において、重合性化合物の不要な熱重合を防止するために、少量の熱重合防止剤を添加するのが好ましい。
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好適に挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、感光層の全固形分に対して、約0.01〜約5質量%が好ましい。
(高級脂肪酸誘導体)
感光層には、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体を添加し、塗布後の乾燥過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、感光層の全固形分に対して、約0.1〜約10質量%が好ましい。
(可塑剤)
感光層は可塑剤を含有してもよい。可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレー
ト、オクチルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカプリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレエート等の脂肪族二塩基酸エステル類;ポリグリシジルメタクリレート、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル等が好適に挙げられる。可塑剤の含有量は、感光層の全固形分に対して、約30質量%以下が好ましい。
(無機微粒子)
感光層は、画像部の硬化皮膜強度向上のために、無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。無機微粒子は光熱変換性でなくても、皮膜の強化、表面粗面化による界面密着性の強化等のために用いられる。無機微粒子の平均粒径は、感光層中での分散安定性、十分な膜強度の保持、印刷時に汚れを生じにくい親水性に優れる非画像部の形成等の観点から、5nm〜10μmが好ましく、0.5〜3μmがより好ましい。無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。無機微粒子の含有量は、感光層の全固形分に対して、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
(親水性低分子化合物)
感光層は、現像性向上のため、親水性低分子化合物を含有することができる。親水性低分子化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類およびそのエーテルまたはエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類およびその塩、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類およびその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類およびその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類およびその塩や、テトラエチルアミン塩酸塩等の有機4級アンモニウム塩等が挙げられる。
(感光層の形成)
感光層の形成には、いくつかの態様を用いることができる。一つは、例えば、特開2002−287334号に記載のごとく、感光層構成成分を適当な溶媒に溶解して塗布する態様でる。使用する溶剤としては、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシ・BR>Gチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができる。溶剤は単独でまたは混合して使用される。もう一つは、例えば、特開2001−277740号、特開2001−277742号に記載のごとく、感光層構成成分をマイクロカプセルに内包させて感光層に含有させる態様(マイクロカプセル型感光層)である。マイクロカプセル型感光層においては、構成成分をマイクロカプセル外にも含有させることもできる。マイクロカプセル型感光層においては、疎水性の構成成分をマイクロカプセルに内包させ、親水性構成成分をマイクロカプセル外に含有させることが
より好ましい態様である。
上記の感光層構成成分をマイクロカプセル化する方法としては、公知の方法が適用できる。例えばマイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2800457号、同第2800458号に記載のコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号、特公昭38−19574号、同42−446号に記載の界面重合法による方法、米国特許第3418250号、同第3660304号に記載のポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号に記載のイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号に記載のイソシアナート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同第4087376号、同第4089802号に記載の尿素―ホルムアルデヒド系または尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025445号に記載のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号に記載のモノマー重合によるin situ法、英国特許第930422号、米国特許第3111407号に記載のスプレードライング法、英国特許第952807号、同第967074号に記載の電解分散冷却法などが挙げられる。
本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、及びこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレア及びポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を有する化合物を導入してもよい。
マイクロカプセルの平均粒径は、良好な解像度と経時安定性の観点から、0.01〜3.0μmが好ましい。0.05〜2.0μmがより好ましく、0.10〜1.0μmが更に好ましい。
また、本発明においては、上述した感光層構成成分、特に好ましくは赤外線吸収剤を樹脂微粒子に内包されている態様とすることもできる。
このような態様は、構成成分を溶媒に溶解した後、高分子溶液(好ましくは高分子水溶液)とホモジナイザー等を用いて混合して得られる樹脂微粒子分散液を調製し、これを用いることにより達成できる。
この際用いることができる溶媒としては、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)、ジイソプロピルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ジクロロエタン、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。溶剤は、単独でまたは混合して使用される。
高分子としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリメタクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、アクリル酸−アクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウムコポリマー等が挙げられる。
感光層塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
感光層は、同一または異なる成分を同一または異なる溶剤に分散または溶解した塗布液を複数調製し、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成することもできる。
感光層の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、良好な感度、良好な皮膜特性等を考慮して、一般的に0.3〜3.0g/m2が好ましい。
感光層の塗布には、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
(支持体)
本発明の平版印刷版原版に用いられる支持体は、特に限定されず、寸度的に安定な板状の親水性支持体であればよい。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記金属がラミネートされまたは蒸着された紙またはプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルムおよびアルミニウム板が挙げられる。中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
アルミニウム板は、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板及び、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものを含む。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は10質量%以下が好ましい。完全に純粋なアルミニウム板は精錬技術上製造が困難であるので、微量の異元素を含有する合金板が好適に用いられる。アルミニウム板は、その組成が限定されるものではなく、公知公用のものを適宜利用することができる。アルミニウム板の厚さは0.1〜0.6mmが好ましく、0.15〜0.4mmがより好ましく、0.2〜0.3mmが更に好ましい。
アルミニウム板には、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すのが好ましい。表面処理により、親水性の向上および感光層との密着性の確保が容易になる。アルミニウム板の粗面化処理に先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するために界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
アルミニウム板表面の粗面化処理は種々の方法により行われ、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(電気化学的に表面を溶解させる粗面化処理)、化学的粗面化処理(化学的に表面を選択溶解させる粗面化処理)が挙げられる。機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等が挙げられる。電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流または直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
粗面化処理されたアルミニウム板は、必要に応じて、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてアルカリエッチング処理され、更に、中和処理された後、所望により、耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理には、多孔質酸化皮膜を形成させる種々の電解質が用いられる。一般的には、硫酸、塩酸、シュウ酸、クロム酸またはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80質量%溶液、液温度5〜70℃、電流密度5〜60A/d m2 、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であるのが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、良好な耐刷性と非画像部の良好な耐傷性等の観点から、1.0〜5.0g/m2が好ましく、1.5〜4.0g/m2がより好ましい。
支持体としては、上記のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板そのままでもよいが、上層との蜜着性、親水性、汚れ難さ、断熱性などの一層の改良のため、必要に応
じて、公知の処理方法、例えば、特開2001−253181号や特開2001−322365号に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、マイクロポアの封孔処理、親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理などを適宜選択して行うことができる。
封孔処理としては、水蒸気による封孔処理、フッ化ジルコン酸の単独処理、フッ化ナトリウムによる処理など無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、塩化リチウムを添加した蒸気封孔処理、熱水による封孔処理などが挙げられる。なかでも、無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、水蒸気による封孔処理および熱水による封孔処理が好ましい。
親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号および同第3,902,734号に記載されているようなアルカリ金属シリケート法がある。この方法においては、支持体をケイ酸ナトリウム等の水溶液で浸漬処理または電解処理する。そのほかに、特公昭36−22063号に記載されているフッ化ジルコン酸カリウムで処理する方法、米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号および同第4,689,272号に記載されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が挙げられる。
支持体としてポリエステルフィルムなど表面の親水性が不十分な支持体を用いる場合は、親水層を塗布して表面を親水性にすることが望ましい。親水層としては、特開2001−199175号に記載の、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウム、アンチモンおよび遷移金属から選択される少なくとも一つの元素の酸化物または水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層や、特開2002−79772号に記載の、有機親水性ポリマーを架橋あるいは疑似架橋することにより得られる有機親水性マトリックスを有する親水層や、ポリアルコキシシラン、チタネート、ジルコネートまたはアルミネートの加水分解、縮合反応からなるゾル−ゲル変換により得られる無機親水性マトリックスを有する親水層、あるいは、金属酸化物を含有する表面を有する無機薄膜からなる親水層が好ましい。中でも、珪素の酸化物または水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。
また、支持体としてポリエステルフィルム等を用いる場合には、支持体の親水性層側または反対側、あるいは両側に、帯電防止層を設けるのが好ましい。帯電防止層を支持体と親水性層との間に設けた場合には、親水性層との密着性向上にも寄与する。帯電防止層としては、特開2002−79772号に記載の金属酸化物微粒子やマット剤を分散したポリマー層等が使用できる。
支持体の中心線平均粗さは、感光層との良好な密着性、良好な耐刷性、良好な汚れ難さ等の観点から、0.10〜1.2μmが好ましい。また、支持体の色濃度は、画像露光時のハレーション防止による良好な画像形成性、現像後の良好な検版性等の観点から、反射濃度値として0.15〜0.65が好ましい。
(バックコート層)
支持体に表面処理を施した後または中間層を形成させた後、必要に応じて、支持体の
裏面にバックコートを設けることができる。
バックコートとしては、例えば、特開平5−45885号に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号に記載されている有機金属化合物または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。中でも、Si(OCH3 4 、Si(OC2 5 4 、Si(OC3 7 4 、Si(O
4 9 4 等のケイ素のアルコキシ化合物を用いることが原料を安価で入手しやすい点で好ましい。
(保護層)
本発明の平版印刷版原版には、露光時の重合反応を妨害する酸素の拡散侵入を遮断するため、感光層上に保護層(酸素遮断層)を設けることが好ましい。本発明に用いられる保護層は25℃、1気圧下における酸素透過性Aが1.0≦A≦20(mL/m2・day
)であることが好ましい。酸素透過性Aが1.0(mL/m2・day)未満で極端に低
い場合は、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。逆に、酸素透過性Aが20(mL/m2・day)を超えて高すぎる場合は感度の低下を招く。酸素透過性Aは、より好ましく
は1.5≦A≦12(mL/m2・day)、更に好ましくは2.0≦A≦10.0(m
L/m2・day)の範囲である。また、保護層に望まれる特性としては、上記酸素透過
性以外に、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることである。この様な保護層に関する工夫が従来なされており、米国特許第3,458,311号、特公昭55−49729号に詳しく記載されている。
保護層の材料としては例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドなどのような水溶性ポリマーが挙げられ、これらは単独または混合して使用できる。これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。
保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を有していても良い。ポリビニルアルコールの具体例としては加水分解度が71〜100モル%、重合繰り返し単位数が300から2400の範囲のものをあげることができる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられ、これらは単独または混合して使用できる。好ましい態様としては、ポリビニルアルコールの保護層中の含有率が20〜95質量%、より好ましくは30〜90質量%である。
また、公知の変性ポリビニルアルコールも好ましく用いることができる。例えば、カルボキシル基、スルホ基等のアニオンで変性されたアニオン変性部位、アミノ基、アンモニウム基等のカチオンで変性されたカチオン変性部位、シラノール変性部位、チオール変性部位等種々の親水性変性部位をランダムに有す各種重合度のポリビニルアルコール、前記のアニオン変性部位、前記のカチオン変性部位、シラノール変性部位、チオール変性部位、更にはアルコキシル変性部位、スルフィド変性部位、ビニルアルコールと各種有機酸とのエステル変性部位、前記アニオン変性部位とアルコール類等とのエステル変性部位、エポキシ変性部位等種々の変性部位をポリマー鎖末端に有す各種重合度のポリビニルアルコール等が挙げられる。
ポリビニルアルコールと混合して使用する成分としてはポリビニルピロリドンまたはその変性物が酸素遮断性、現像除去性といった観点から好ましく、保護層中の含有量は3.5〜80質量%、好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは15〜30質量%である。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ防止性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。上記ポリビニルアルコール(PVA)等の高分子化合物の分子量は、2000〜1000万の範囲のものが使用でき、好ましくは2万〜300万範囲のものである。
保護層の他の組成物として、グリセリン、ジプロピレングリコール等を高分子化合物に対して数質量%添加して可撓性を付与することができ、また、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤;アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルアミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤を高分子化合物に対して数質量%添加することができる。
また、感光層との密着性や、耐傷性も平版印刷版原版の取り扱い上極めて重要である。すなわち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の感光層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。これに対し、これら2層間の接着性を改良すべく種々の提案がなされている。例えば米国特許出願番号第292,501号、同第44,563号には、主にポリ
ビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョンまたは水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、感光層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用することができる。このような保護層の塗布方法については、例えば米国特許第3,458,311号、特公昭55−49729号に詳しく記載されている。
さらに、本発明の平版印刷版原版における保護層には、酸素遮断性や感光層表面保護性を向上させる目的で、無機質層状化合物を含有させることも好ましい。
ここで無機質層状化合物とは、薄い平板状の形状を有する粒子であり、例えば、式:A(B,C)2-5410(OH,F,O)2〔ただし、AはK,Na,Caの何れか、BおよびCはFe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、DはSiまたはAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群、式:3MgO・4SiO・H2Oで表されるタルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、りん酸ジルコニウムなどが挙げられる。
上記雲母群においては、天然雲母としては白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母および鱗雲母が挙げられる。また、合成雲母としては、フッ素金雲母KMg3 (AlSi310
)F2、カリ四ケイ素雲母KMg2.5 Si410)F2等の非膨潤性雲母、およびNaテトラシリリックマイカNaMg2.5 (Si410)F2、NaまたはLiテニオライト(Na,Li)Mg2 Li(Si410)F2、モンモリロナイト系のNaまたはLiヘクトラ
イト(Na,Li)1/8 Mg2 /5Li1/8 (Si410)F2等の膨潤性雲母等が挙げられる。更に合成スメクタイトも有用である。
本発明においては、上記の無機質層状化合物の中でも、合成の無機質層状化合物で
あるフッ素系の膨潤性雲母が特に有用である。すなわち、この膨潤性合成雲母や、モンモ
リロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト等の膨潤性粘度鉱物類等は、10〜15Å程度の厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘度鉱物より著しく大きい。その結果、格子層は正電荷不足を生じ、それを補償するために層間にNa+、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在し
ている陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に層間の陽イオンがLi+ 、Na+ の場合、イオン半径が小さいため層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。ベントナイトおよび膨潤性合成雲母はこの傾向が強く、本発明において有用であり、特に膨潤性合成雲母が好ましく用いられる。
本発明で使用する無機質層状化合物の形状としては、拡散制御の観点からは、厚さは
薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性や活性光線の透過性を阻害しない限りにおいて大きいほどよい。従って、アスペクト比は20以上であり、好ましくは100以上、特に好ましくは200以上である。なお、アスペクト比は粒子の長径に対する厚さの比であり、たとえば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アスペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
本発明で使用する無機質層状化合物の粒子径は、その平均長径が0.3〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは1〜5μmである。また、該粒子の平均の厚さは、0.1μm以下、好ましくは、0.05μm以下、特に好ましくは、0.01μm以下である。例えば、無機質層状化合物のうち、代表的化合物である膨潤性合成雲母の
サイズは厚さが1〜50nm、面サイズが1〜20μm程度である。
このようにアスペクト比が大きい無機質層状化合物の粒子を保護層に含有させると、
塗膜強度が向上し、また、酸素や水分の透過を効果的に防止しうるため、変形などによる保護層の劣化を防止し、高湿条件下において長期間保存しても、湿度の変化による平版印刷版原版における画像形成性の低下もなく保存安定性に優れる。
保護層中の無機質層状化合物の含有量は、保護層に使用されるバインダーの量に対し、質量比で5/1〜1/100であることが好ましい。複数種の無機質層状化合物を併用
した場合でも、これら無機質層状化合物の合計の量が上記の質量比であることが好まし
い。
次に、保護層に用いる無機質層状化合物の一般的な分散方法の例について述べる。まず、水100質量部に先に無機質層状化合物の好ましいものとして挙げた膨潤性の層状化合物を5〜10質量部添加し、充分水になじませ、膨潤させた後、分散機にかけて分散する。ここで用いる分散機としては、機械的に直接力を加えて分散する各種ミル、大きな剪断力を有する高速攪拌型分散機、高強度の超音波エネルギーを与える分散機等が挙げられる。具体的には、ボールミル、サンドグラインダーミル、ビスコミル、コロイドミル、ホモジナイザー、ティゾルバー、ポリトロン、ホモミキサー、ホモブレンダー、ケディミル、ジェットアジター、毛細管式乳化装置、液体サイレン、電磁歪式超音波発生機、ポールマン笛を有する乳化装置等が挙げられる。上記の方法で分散した無機質層状化合物の5〜10質量%の分散物は高粘度あるいはゲル状であり、保存安定性は極めて良好である。この分散物を用いて保護層塗布液を調製する際には、水で希釈し、充分攪拌した後、バインダー溶液と配合して調製するのが好ましい。
この保護層塗布液には、上記無機質層状化合物の他に、塗布性を向上させるための界面活性剤や皮膜の物性を改良するための水溶性可塑剤など公知の添加剤を加えることができる。水溶性可塑剤としては、例えば、プロピオンアミド、シクロヘキサンジオール、グ
リセリン、ソルビトール等が挙げられる。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーを
加えることもできる。さらに、この塗布液には、感光層との密着性、塗布液の経時安定性を向上するための公知の添加剤を加えてもよい。
このように調製された保護層塗布液を、感光層の上に塗布し、乾燥して保護層を形成する。塗布溶剤はバインダーとの関連において適宜選択することができるが、水溶性ポリマーを用いる場合には、蒸留水、精製水を用いることが好ましい。保護層の塗布方法は、特に制限されるものではなく、米国特許第3,458,311号または特公昭55−
49729号に記載されている方法など公知の方法を適用することができる。具体的
には、例えば、保護層は、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等が挙げられる。
保護層の塗布量は、乾燥後の塗布量で、0.05〜10g/m2の範囲であるこ
とが好ましく、無機質層状化合物を含有する場合には、0.1〜0.5g/m2の範囲
であることがより好ましく、無機質層状化合物を含有しない場合には、0.5〜5g
/m2の範囲であることがより好ましい。
〔平版印刷版の作製方法〕
本発明の平版印刷版の作製方法は、本発明に係る平版印刷版原版を、画像露光した後、pHが2〜10の現像液により非露光部の感光層を除去することを特徴とする。
(画像露光)
平版印刷版原版は、線画像、網点画像等を有する透明原画を通して画像露光されるかデジタルデータによるレーザー光走査等で画像露光される。350〜1200nmに発振波長を有するレーザーで画像を行うことが好ましい。
350nm〜450nmの入手可能なレーザー光源としては以下のものを利用することができる。
ガスレーザとして、Arイオンレーザ(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザ(356nm、351nm、10mW〜1W)、He−Cdレーザー(441nm、325nm、1mW〜100mW)、固体レーザーとして、Nd:YAG(YVO4)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355nm、5mW〜1W)、Cr:Li
SAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm、10mW)、半導体レーザー系として、KNbO3リング共振器(430nm、30mW)、導波型波長変換素子とAlGaAs
、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)、その他、パルスレーザとしてN2レーザ(337nm、パルス0.1〜1
0mJ)、XeF(351nm、パルス10〜250mJ)。特にこの中でAlGaInN半導体レーザー(市販InGaN系半導体レーザー400〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
走査露光方式の平版印刷版原版露光装置としては、露光機構として内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式があり、光源としては上記光源の中で連続発振可能なものが好ましく利用することができる。現実的には平版印刷版原版(以下感材ともいう)の感度と製版時間の関係で、以下の露光装置が特に好ましい。
・内面ドラム方式で総出力20mW以上の半導体レーザーとなる様に、ガスレーザあるいは固体レーザー光源を1個以上使用するシングルビーム〜トリプルビームの露光装置 ・フラットベッド方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜10本)の露光装置。
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザある
いは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜9本)の露光装置。
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(10本以上)の露光装置。
以上のようなレーザー直描型の平版印刷版原版においては、一般に感材感度X(J/cm2)、感材の露光面積S(cm2)、レーザー光源1個のパワーq(W)、レーザー本数n、全露光時間t(s)との間に式(eq 1)が成立する。
X・S=n・q・t (eq 1)
i)内面ドラム(シングルビーム)方式の場合:
レーザー回転数f(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)の間には一般的に式(eq 2)が成立する。
f・Z・t=Lx (eq 2)
ii)外面ドラム(マルチビーム)方式の場合:
ドラム回転数F(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 3)が成立する。
F・Z・n・t=Lx (eq 3)
iii)フラットヘッド(マルチビーム)方式の場合:
ポリゴンミラーの回転数H(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 4)が成立する。
H・Z・n・t=Lx (eq 4)
実際の印刷版原版に要求される解像度(2560dpi)、版サイズ(A1/B1、副走査長42inch)、20枚/1時間程度の露光条件と本発明に係る平版印刷版原版の感光特性(感光波長、感度:約0.1mJ/cm2)を上記式に代入することで、本発明
に係る平版印刷版原版においては総出力20mW以上のレーザーを用いたマルチビーム露光方式との組み合わせが特に好ましいことが理解できる。さらに操作性、コスト等を掛け合わせることにより外面ドラム方式の半導体レーザーマルチビーム(10本以上)露光装置との組み合わせが最も好ましいことになる。
平版印刷版原版の画像露光は、赤外線レーザーで行うこともできる。本発明に用いられる赤外線レーザーは、特に限定されないが、波長760〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザーおよび半導体レーザーが好適に挙げられる。赤外線レーザーの出力は、100mW以上であるのが好ましい。また、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザーデバイスを用いるのが好ましい。1画素あたりの露光時間は、20μ秒以内であるのが好ましい。また、照射エネルギー量は、10〜300mJ/cm2 であるのが好ましい。
本発明に使用可能な他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視および紫外の各種レーザーランプ、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等がある。
本発明において用いられる現像液は、pHが2〜10の水溶液である。例えば、水単独
または水を主成分(水を60質量%以上含有)とする水溶液が好ましく、特に、一般的に公知の湿し水と同様組成の水溶液、界面活性剤(アニオン系、ノニオン系、カチオン系、両性等)を含有する水溶液や、水溶性高分子化合物を含有する水溶液が好ましい。特に、界面活性剤と水溶性高分子化合物の両方を含有する水溶液が好ましい。現像液のpHは、好ましくは3〜8、より好ましくは4〜7である。
現像液に用いられるアニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類およびアルキルナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
現像液に用いられるカチオン系界面活性剤としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
現像液に用いられるノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型の高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー等や、多価アルコール型のグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。
これらの中でもソルビトールおよび/またはソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー、多価アルコールの脂肪酸エステルがより好ましい。ノニオン性界面活性剤は、抑泡性の観点から好ましい。
また、水に対する安定な溶解性あるいは混濁性の観点から、現像液に使用するノニオン系界面活性剤としては、HLB(Hydorophile−Lipophile Balance)値が、6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。
またアセチレングリコール系とアセチレンアルコール系のオキシエチレン付加物、フッ素系、シリコーン系等の界面活性剤も同様に使用することができる。
本発明に用いられる両性界面活性剤としては、2-アルキルイミダゾリン誘導体、アルキ
ルアミノ酢酸塩、アルキルイミノジ酢酸塩、アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノシプロピオン酸塩、アルキルジメチルアンモニオ酢酸塩、アルキルアミドプロピルジメチルアンモニオ酢酸塩、アルキルスルホベタイン、アルキルジアミノエチルグリシン塩、アルキルホスホベタイン等が挙げられる。本発明においては、アルキルアミノ酢酸塩、アルキルイミノジ酢酸塩、アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩、アルキルジメチルアンモニオ酢酸塩、アルキルアミドプロピルジメチルアンモニオ酢酸塩が好ましく、アルキルジメチルアンモニオ酢酸塩、アルキルアミドプロピルジメチルアンモニオ酢酸塩がより好ましい。
本発明に用いられる現像液は、窒素原子含有の界面活性剤を含むことが好ましい。窒素原子含有の界面活性剤としては、下記式<3>〜<6>で表されるいずれかの化合物が好ましい。
Figure 2009216924
式<3>中、R8はアルキル基を表し、R9、R10は各々水素原子またはアルキル基を表し、R11はアルキレン基を表し、Aはカルボン酸基を表す。
式<4>中、R12は、水素原子またはアルキル基、R13、R14は各々アルキレン基またはポリアルキレンオキシド基を表し、B、Cは各々ヒドロキシル基、カルボン酸基またはカルボン酸塩基を表す。
式<5>中、R15、R16は各々水素原子またはアルキル基を表し、R17はアルキレン基を表し、Dはカルボン酸基またはカルボン酸塩基を表す。
式<6>中、R18、R19、R20は各々水素原子またはアルキル基を表す。但し、R18、R19、R20が全て水素原子であることはない。
上記式<3>〜<6>において、R8〜R10、R12、R15、R16、R18〜R20で表されるアルキル基は、直鎖でも分枝鎖でもよく、鎖中に連結基を有していてもよく、また置換基を有していてもよい。連結基としては、エステル結合、アミド結合、エーテル結合などのヘテロ原子を含むものが好ましい。置換基としては、−COO-、−OH
、−COOH、−COO-(Mは、金属イオンまたはアンモニウムイオン等の対カ
チオンを表す)などが好ましい。R11、R13、R14で表されるアルキレン基は、直鎖でも分枝鎖でもよく、鎖中に連結基を有していてもよく、また置換基を有していてもよい。連結基としては、エステル結合、アミド結合、エーテル結合などのヘテロ原子を含むものが好ましい。置換基としては、−COO-、−OH、−COOH、−COO-(Mは、金属イオンまたはアンモニウムイオン等の対カチオンを表す)などが好ましい。R13、R14で表されるポリアルキレンオキシド基においては、その繰り返し単位数が大きくなるにしたがって親水度が高まり、水中での安定性が高まる傾向にある。繰り返し単位数は2〜30が好ましく、5〜20がより好ましい。R13、R14が共にポリアルキ
レンオキシド基を表す場合、各々の繰り返し単位数は同じでも異なってもよい。
式<3>〜<6>で表される窒素原子含有の界面活性剤において、総炭素数が大きくなると疎水部分が大きくなり、水系の現像液への溶解が困難となる。この場合、溶解を助けるアルコール等の溶解助剤を水に混合することにより、良化はするが、総炭素数値が大きくなりすぎた場合、適正量の界面活性剤を溶解することはできない場合がある。式<3>においては、R8〜R11の炭素数の総和は好ましくは8〜25、より好ましくは11〜21である。式<4>においては、R12〜R14の炭素数の総和は好ましくは8〜25、より好ましくは11〜22である。式<5>においては、R15〜R17の炭素数の総和は好ましくは8〜30、より好ましくは9〜23である。式<6>において、R18〜R20の炭素数の総和は好ましくは8〜22、より好ましくは10〜20である。
また、総炭素数は、感光層の成分、とりわけバインダーポリマーの影響をうけることがある。バインダーポリマーの親水度が高い場合、総炭素数は比較的小さいものが好ましい傾向にあり、バインダーの親水度の低い場合、総炭素数は比較的大きいものが好ましい傾向にある。
式<3>〜<6>で表される界面活性剤の代表的な具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009216924
Figure 2009216924
上記窒素含有界面活性剤を含む現像液は、アミノ基および/またはアンモニウム基を有するバインダーポリマーを含む感光層を有する平版印刷版原版の現像処理に用いると、特
に好ましい結果をもたらす。即ち、この現像液は、感光層の非画像部から除去されたバインダーポリマーを安定に分散することができるので、現像液中に沈澱したりあるいは非画像部に再吸着して印刷汚れを引き起すことがない。
界面活性剤は、単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。現像液中の界面活性剤の量は、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%である。
現像液に用いられる水溶性高分子化合物としては、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、繊維素誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)およびその変性体、プルラン、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドおよびアクリルアミド共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
上記大豆多糖類は、公知ものが使用でき、例えば市販品として商品名ソヤファイブ(不二製油(株)製)があり、各種グレードのものを使用することができる。好ましくは、10質量%水溶液の粘度が10〜100mPa/secの範囲にあるものである。
上記変性澱粉も、公知のものが使用でき、トウモロコシ、じゃがいも、タピオカ、米、小麦等の澱粉を酸または酵素等で1分子当たりグルコース残基数5〜30の範囲で分解し、更にアルカリ中でオキシプロピレンを付加する方法等で作ることができる。
水溶性高分子化合物は2種以上を併用することもできる。水溶性高分子化合物の現像液中における含有量は、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量
%である。
また、現像液は、有機溶剤を含有しても良い。有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、アイソパーE、H、G(エッソ化学(株)製)、ガソリン、灯油等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)、極性溶剤が挙げられる。
極性溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、メチルフェニルカルビノール、n−アミルアルコール、メチルアミルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、乳酸メチル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート、レブリン酸ブチル等)、その他(トリエチルフォスフェート、トリクレジルホスフェート、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン等)等が挙げられる。
上記有機溶剤が水に不溶な場合は、界面活性剤等を用いて水に可溶化して使用することも可能である。現像液が有機溶剤を含有する場合、安全性、引火性の観点から、溶剤の濃
度は40質量%未満が望ましい。
現像液は更に、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、無機酸、無機塩などを含有することができる。
防腐剤としては、フェノールまたはその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンズトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン、グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、ニトロブロモアルコール系の2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3ジオール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−プロパノール等が好ましく使用できる。
キレート化合物としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類あるいはホスホノアルカントリカルボン酸類を挙げることができる。上記キレート剤のナトリウム塩、カリウム塩の代りに有機アミンの塩も有効である。
消泡剤としては一般的なシリコーン系の自己乳化タイプ、乳化タイプ、ノニオン系界面活性剤のHLBが5以下の化合物等を使用することができる。シリコーン消泡剤が好ましい。その中で乳化分散型および可溶化等がいずれも使用できる。
有機酸としては、クエン酸、酢酸、蓚酸、マロン酸、サリチル酸、カプリル酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸などが挙げられる。有機酸は、そのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩の形で用いることもできる。
無機酸および無機塩としては、リン酸、メタリン酸、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ニッケルなどが挙げられる。
現像液は、任意の温度で使用できるが、好ましくは10℃〜50℃である。
上記の現像液は、露光されたネガ型平版印刷版原版の現像液および現像補充液として用いることができ、後述の自動処理機に適用することが好ましい。自動処理機を用いて現像する場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液または新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。本発明の平版印刷版の作製方法においてもこの補充方式が好ましく適用される。
本発明におけるpH2〜10の現像液による現像処理は、現像液の供給手段および擦り部材を備えた自動処理機により好適に実施することができる。自動処理機としては、例えば、画像露光後の平版印刷版原版を搬送しながら擦り処理を行う、特開平2−220061号、特開昭60−59351号に記載の自動処理機や、シリンダー上にセットされた画像露光後の平版印刷版原版をシリンダーを回転させながら擦り処理を行う、米国特許5148746号、同5568768号、英国特許2297719号に記載の自動処理機等が挙げられる。なかでも、擦り部材として、回転ブラシロールを用いる自動処理機が特に好ましい。
本発明に使用する回転ブラシロールは、画像部の傷つき難さ、さらには、平版印刷版原版の支持体の腰の強さ等を考慮して適宜選択することができる。回転ブラシロールとしては、ブラシ素材をプラスチックまたは金属のロールに植え付けて形成された公知のものが使用できる。例えば、特開昭58−159533号、特開平3−100554号に記載のものや、実公昭62−167253号に記載されているような、ブラシ素材を列状に植え込んだ金属またはプラスチックの溝型材を芯となるプラスチックまたは金属のロールに隙間なく放射状に巻き付けたブラシロールが使用できる。
ブラシ素材としては、プラスチック繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロン6.6、ナイロン6.10等のポリアミド系、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル等のポリアクリル系、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系の合成繊維)を使用することができ、例えば、繊維の毛の直径は20〜400μm、毛の長さは5〜30mmのものが好適に使用できる。
回転ブラシロールの外径は30〜200mmが好ましく、版面を擦るブラシの先端の周速は0.1〜5m/secが好ましい。回転ブラシロールは、複数本用いることが好ましい。
回転ブラシロールの回転方向は、平版印刷版原版の搬送方向に対し、同一方向であっても、逆方向であってもよいが、図1に例示した自動処理機のように、2本以上の回転ブラシロールを使用する場合は、少なくとも1本の回転ブラシロールが同一方向に回転し、少なくとも1本の回転ブラシロールが逆方向に回転することが好ましい。これにより、非画像部の感光層の除去がさらに確実となる。さらに、回転ブラシロールをブラシロールの回転軸方向に揺動させることも効果的である。
本発明においては、現像処理後の平版印刷版を、引き続いて、水洗、乾燥、不感脂化処理することも任意に可能である。不感脂化処理では、公知の不感脂化液を用いることができる。
本発明の平版印刷版原版から平版印刷版の作製方法においては、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、平版印刷版原版全面を加熱してもよい。この様な加熱により、感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や感度の安定化といった利点が得られる。さらに、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱もしくは全面露光を行う事も有効である。通常現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行う事が好ましい。温度が高すぎると、非画像部迄がかぶってしまう等の問題を生じることがある。現像後の加熱には非常に強い条件を利用する。通常は200〜500℃の範囲である。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じることがある。
本発明においては、上記の通り、露光工程の後、直ちに現像処理を行ってもよいが、露光工程と現像工程との間に加熱処理工程を設けることもできる。この加熱処理は、耐刷性を向上させ、さらに画像硬化度の版面内での均一性を高める効果があり、その条件はそれら効果のある範囲で適宜設定することができる。加熱手段としては、慣用の対流オーブン、IR照射装置、IRレーザー、マイクロ波装置、ウィスコンシンオーブン等を挙げることができる。具体的には、版面到達温度が70〜150℃の範囲で、1秒〜5分間の間で保持することにより行なうことができる。好ましくは80℃〜140℃で5〜1分間、より好ましくは90℃〜130℃で10〜30秒間である。この範囲で、上記の効果を効率よく得られ、また熱による印刷版の変形などの悪影響が無い点で好ましい。
本発明においては上述の露光工程、好ましくは加熱処理工程の後に、現像処理工程が施され平版印刷版を得る。露光工程に用いられるプレートセッタ、加熱処理に用いられる加熱処理手段および現像処理工程に使用される現像装置はお互いに接続されて、自動的に連続処理されることが好ましい。具体的にはプレートセッタと、現像装置がコンベアなどの運搬手段によって結合されている製版ラインである。プレートセッタと現像装置の間に加熱処理手段が入っていても良く、加熱手段と現像装置は一体の装置となっていても良い。
使用する平版印刷版原版が作業環境における周囲の光の影響を受け易い場合は、上記の製版ラインがフィルターまたはカバーなどで遮光されていることが好ましい。
画像形成した後、紫外線光などの活性光線で全面露光を行い、画像部の硬化促進を行っても良い。全面露光時の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、水銀灯、ガリウム灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、各種レーザー光などが挙げられる。さらに、十分な耐刷性を得るためには全面露光量としては少なくとも10mJ/cm2以上が好ましく、より好ましくは100mJ/cm2以上である。
上記全面露光時に同時に加熱を行ってもよく、加熱を行うことによりさらに耐刷性の向上が認められる。加熱装置としては、慣用の対流オーブン、IR照射装置、IRレーザー、マイクロ波装置、ウィスコンシンオーブン等を挙げることができる。このとき版面温度は好ましく30℃〜150℃、より好ましくは35〜130℃、更に好ましくは40〜120℃である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〜10及び比較例1〕
〔平版印刷版原版1の作製〕
(支持体の作製)
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm3)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20質量%硝酸水溶液に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dm2であった
。その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dm2の条件で、硝酸電解と
同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。この板を15質量%硫酸水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dm2で2.5g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥し
た。 このようにして得た支持体表面の中心線平均粗さRa(JIS B0601)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
(中間層の形成)
上記支持体上に、下記組成の中間層塗布液(1)をバー塗布した後、80℃、10秒オーブン乾燥し、乾燥塗布量が10mg/m2の中間層を形成した。
<中間層塗布液(1)>
・下記ポリマー(A−1) 0.017g
・メタノール 9.00g
・水 1.00g
Figure 2009216924
(感光層および保護層の形成)
上記中間層上に、下記組成の感光層塗布液(1)をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.1g/m2の感光層を形成し、この上に下記組成の保護層塗布液(1)を、乾燥塗布量が0.75g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、125℃、70秒間乾燥して保護層を形成し、平版印刷版原版1を得た。
<感光層塗布液(1)>
・下記バインダーポリマー(1) 0.48g
(平均分子量8万、酸価0meq/g)
・下記重合性化合物(1) 0.54g
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート;日本化薬(株)製SR39
・下記増感色素(1) 0.06g
・下記重合開始剤(1) 0.08g
・下記共増感剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、
溶剤: シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メト
キシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・下記フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物 0.04g
(旭電化工業(株)製、プルロニックL44)
・テトラエチルアミン塩酸塩 0.01g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
Figure 2009216924
<保護層塗布液(1)>
ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度500) 40g
ポリビニルピロリドン(分子量5万) 5g
ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1))(分子量7万) 0.5g
界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.5g
水 950g
〔平版印刷版原版2〜10および比較用平版印刷版原版1の作製〕
使用する素材を下記表1に記載するものに変更する以外は平版印刷版原版1と同様にして、平版印刷版原版2〜10および比較用平版印刷版原版1を得た。
バインダーポリマー(2)
ポリビニルアルコール(分子量:5万、けん化度:55%)
バインダーポリマー(3)
ポリビニルブチラール(分子量:8万、ブチラール比:65モル%、アセテート比:<1モル%)
バインダーポリマー(4)
メタクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体(分子量:4万、モル比:30/70)
バインダーポリマー(5)
Figure 2009216924
重合性化合物(2)
イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート(アロニックスM−315、東亜合成(株)製)
Figure 2009216924
Figure 2009216924
比較用ポリマー(1)
下記繰り返し単位からなるランダム共重合
Figure 2009216924
〔露光、現像および印刷〕
上記平版印刷版原版1〜10および比較用平版印刷版原版1について、FUJIFILM Electronic Imaging Ltd. 製Violet半導体レーザープレートセッターVx9600(InGaN系半導体レーザー 405nm±10nm発光/出力30mWを搭載)により画像露光した。画像は、解像度2438dpiで、富士
フイルム(株)製FMスクリーン(TAFFETA 20)を用い、50%の平網を版面露光量0.05mJ/cm2で描画した。
その後、下記組成の現像液1を用い、図1に示す構造の自動現像処理機にて、現像処理を実施し平版印刷版(加熱なし)を作製した。現像液のpHは4.6であった。自動現像処理機は、回転ブラシロールを2本有する自動処理機であり、回転ブラシロールとしては、1本目のブラシロールに、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径90mmのブラシロールを用い、搬送方向と同一方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.94m/sec)させ、2本目のブラシロールには、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径60mmのブラシロールを用い、搬送方向と反対方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.63m/sec)させた。平版印刷版原版の搬送は、搬送速度を種々変化させて実施した。
現像液は、循環ポンプによりスプレーパイプからシャワーリングして、版面に供給した。現像液のタンク容量は、10リットルであった。
現像液1
・水 100.00g
・ベンジルアルコール 1.00g
・ポリオキシエチレンナフチルエーテル 1.00g
(オキシエチレン平均数n=13)
・ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 0.50g
・アラビアガム 1.00g
・エチレングリコール 0.50g
・第1リン酸アンモニウム 0.05g
・クエン酸 0.05g
・エチレンジアミンテトラアセテート4ナトリウム塩 0.05g
次いで、平版印刷版を、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mに取り付け、湿し水(EU−3(富士フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、毎時6000枚の印刷速度で印刷を行った。
〔評価〕
耐刷性、耐汚れ性及び経時後の耐汚れ性を下記のように評価した。結果を表2に示す。<耐刷性>
上記の印刷を行い、印刷枚数が増加すると、徐々に感光層が磨耗しインキ受容性が低下するため、印刷物におけるインキ濃度が低下した。インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により耐刷性を評価した。即ち、比較例1の印刷枚数(1万枚)を基準(100)とし、以下の式に従い計算して相対評価した。数字が大きいことは耐刷性が高いことを表している。
耐刷性=(対象平版印刷版の耐刷枚数)/(基準平版印刷版の耐刷枚数)×100
<耐汚れ性>
印刷開始後500枚目の印刷物を抜き取り、非画像部に付着しているインキ濃度により耐汚れ性を相対評価した。即ち、比較例1を基準(100)とし、以下の式に従い計算した。数字が大きいことは非画像部に付着しているインキ濃度が低いこと、即ち耐汚れ性が良好であることを表す。
耐汚れ性=(基準平版印刷版使用印刷物の非画像部インキ濃度)/(対象平版印刷版使用印刷物の非画像部インキ濃度)×100
<経時後の耐汚れ性>
上記平版印刷版原版を60℃で3日間保管し、その後同様に、露光、現像、印刷を行い、耐汚れ性評価を行った。ただし、比較例1(経時なし)の耐汚れ性を基準(100)とした。
Figure 2009216924
〔実施例11〜20及び比較例2〕
上記平版印刷版原版1〜10および比較用平版印刷版原版1を、実施例1と同様にレーザー画像様露光後、30秒以内にオーブンに入れ、熱風を吹き付けて平版印刷版原版の全面を加熱し、110℃で15秒間保持した。その後、30秒以内に、実施例1と同様の現像処理を実施し平版印刷版(加熱あり)を作成し、実施例1と同様にして耐刷性、耐汚れ性、経時後の耐汚れ性の評価を行った。ただし、基準とした比較例2(経時なし)の印刷枚数は1.5万枚であった。結果を表2に示す。
Figure 2009216924
〔実施例21〜30及び比較例3〕
〔平版印刷版原版11の作製〕
(中間層の形成)
前記記平版印刷版原版1の作製において使用した支持体上に、下記組成の中間層塗布液(2)をワイヤーバーにて塗布し、100℃10秒間乾燥した。塗布量は10mg/mであった。
<中間層塗布液(1)>
・上記ポリマー(A−1) 0.05g
・メタノール 27g
・イオン交換水 3g
(感光層の形成)
上記中間層上に、下記組成の感光層塗布液(2)をワイヤーバーを用いて乾燥後の塗布量が0.9g/m2となるように塗布し、温風式乾燥装置にて115℃で34秒間乾燥して感光層を形成した。
<感光層塗布液(2)>
・下記バインダーポリマー(6) 0.623g
・下記重合開始剤(3) 0.155g
・下記重合性化合物(5) 0.428g
・下記増感色素(4) 0.038g
・銅フタロシアニン顔料分散物 0.159g
・共増感剤A:上記共増感剤(1) 0.015g
・共増感剤B:下記共増感剤(5) 0.081g
・熱重合禁止剤 0.0012g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・フッ素系界面活性剤 0.0081g
(メガファックF −1 7 6 、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 5.856g
・メタノール 2.733g
・1−メトキシ−2−プロパノール 5.886g
(保護層の形成)
上記感光層上に、下記組成の保護層塗布液(2)を、乾燥塗布量が1.2g/mとなるようにバーを用いて塗布した後、125℃、70秒で間乾燥して保護層を形成し、平版印刷版原版11を得た。
<保護層塗布液(2)>
・下記雲母分散液(1) 13.00g
・ポリビニルアルコール(けん化度98モル%、重合度500) 1.30g
・2−エチルヘキシルスルホコハク酸ソーダ 0.20g
・ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1))(分子量7万) 0.050g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.050g
・水 133.00g
雲母分散液(1)の調製
水368gに合成雲母(ソマシフME−100、コープケミカル(株)製、アスペクト比:1000以上)32gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)0.5μmになるまで分散し、雲母分散液(1)を得た。
〔平版印刷版原版12〜20および比較用平版印刷版原版2の作製〕
使用する素材を下記表3に記載するものに変更する以外は平版印刷版原版1と同様にして、平版印刷版原版12〜20および比較用平版印刷版原版2を得た。
Figure 2009216924
Figure 2009216924
Figure 2009216924
〔露光、現像および印刷〕
上記平版印刷版原版11〜20および比較用平版印刷版原版2について、水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。
その後、現像液を下記現像液2に変更する以外は実施例1と同様にして現像処理を実施し、平版印刷版(加熱なし)を作製した。
現像液2
・水 100.00g
・N−ラウリルジメチルベタイン 10.00g
(竹本油脂(株)製、パイオニンC157K)
・アラビアガム 3.50g
・ポリスチレンスルホン酸 1.00g
・第1リン酸アンモニウム 0.05g
・クエン酸 0.05g
・エチレンジアミンテトラアセテート4ナトリウム塩 0.05g
(リン酸を用いてpHを5.0に調整)
〔評価〕
得られた平版印刷版を、実施例1と同様にして、耐刷性、耐汚れ性及び経時後の耐汚れ性の評価を行った。ただし、基準とした比較例3(経時なし)の印刷枚数は1万枚であった。結果を表3に示す。
Figure 2009216924
〔実施例31〜40及び比較例4〕
上記平版印刷版原版11〜20および比較用平版印刷版原版2を、実施例21と同様にレーザー画像様露光後、30秒以内にオーブンに入れ、熱風を吹き付けて平版印刷版原版の全面を加熱し、110℃で15秒間保持した。その後、30秒以内に、実施例21と同様の現像処理を実施し平版印刷版(加熱あり)を作成し、実施例21と同様にして耐刷性、耐汚れ性、経時後の耐汚れ性の評価を行った。ただし、基準とした比較例4(経時なし)の印刷枚数は1.5万枚であった。結果を表4に示す。
Figure 2009216924
以上の結果から、本発明の平版印刷版原版は、耐汚れ性および耐刷性が共に良好で、且つ、経時による耐汚れ性の低下が大幅に改良されていることがわかる。
自動現像処理機の構造を説明するための図である。
符号の説明
1:回転ブラシロール
2:受けロール
3:搬送ロール
4:搬送ガイド板
5:スプレーパイプ
6:管路
7:フィルター
8:給版台
9:排版台
10:現像液タンク
11:循環ポンプ
12:版

Claims (11)

  1. 支持体上に、中間層とpH2〜10の現像液で現像可能な画像形成層とをこの順に有する平版印刷版原版であって、前記中間層が、前記支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つ有する繰り返し単位(a1)からなるブロックを含む共重合体を含有することを特徴とする平版印刷版原版。
  2. 前記共重合体が、さらに、前記繰り返し単位(a1)が有する官能基と異なる、支持体表面と相互作用する官能基または親水性基を少なくとも1つ有する繰り返し単位(a2)を含むことを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版。
  3. 前記共重合体が、前記繰り返し単位(a1)からなるブロックおよび前記繰り返し単位(a2)からなるブロックを含むブロック共重合体であることを特徴とする請求項2に記載の平版印刷版原版。
  4. 前記繰り返し単位(a1)中の支持体表面と相互作用する官能基が、リン酸エステル基若しくはその塩、ホスホン酸基若しくはその塩またはアンモニウム基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  5. 前記繰り返し単位(a2)中の親水性基が、スルホン酸基若しくはその塩、アミド基またはポリ(エチレンオキシ)基であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  6. 前記共重合体が、さらに、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する繰り返し単位(a3)を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  7. 前記共重合体が、前記繰り返し単位(a1)からなるブロック、前記繰り返し単位(a2)からなるブロックおよび前記繰り返し単位(a3)からなるブロックを含むブロック共重合体であることを特徴とする請求項6に記載の平版印刷版原版。
  8. 前記画像形成層が、(B)開始剤化合物、(C)重合性化合物および(D)バインダーを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  9. 前記画像形成層が、さらに(E)増感色素を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  10. 前記(D)バインダーが、親水性基を有することを特徴とする請求項8または9に記載の平版印刷版原版。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の平版印刷版原版を、画像露光した後、pHが2〜10の現像液により非露光部の感光層を除去することを特徴とする平版印刷版の作製方法。
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