JP2009222938A - 平版印刷版原版 - Google Patents

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Abstract

【課題】 レーザーによる画像記録、およびpH2.0〜10.0の水性現像液による現像が可能であり、非画像部の汚れを防止し、耐刷性に優れる平版印刷版原版を提供する。
【解決手段】 支持体上に、青色レーザー露光または赤外線レーザー露光により画像記録可能な光重合型画像記録層、およびアクリロニトリルからなる繰り返し単位を含有するポリマーを主成分として含有する保護層を有し、画像露光した後、pHが2〜10の水溶液で現像することにより画像形成可能であることを特徴とする平版印刷版原版。
【選択図】なし

Description

本発明は平版印刷版原版に関する。詳しくは、レーザーによる画像記録が可能であり、pH2〜10の現像液で現像が可能な平版印刷版原版に関する。
一般に平版印刷版は、親油性の画像部と親水性の非画像部からなる表面を有する。平版印刷は、この版表面に湿し水と油性インキとを交互に与え、水と油が互いに反発する性質を利用して、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)とし、親油性の画像部のみにインキを受容させた後、紙等の被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の画像記録層(感光層、画像形成層とも云う)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルム等の原画を通した露光を行った後、画像部となる画像記録層を残存させ、それ以外の不要な画像記録層をアルカリ性現像液または有機溶剤によって溶解して除去することで親水性の支持体の表面を露出させて非画像部を形成する方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
従来の平版印刷版原版の製版工程においては、露光の後、不要な画像記録層を現像液等によって溶解除去する工程が必要であるが、このような付加的に行われる湿式処理を簡易化することが課題の一つとして挙げられている。簡易化の一つとして、中性に近い水溶液または単なる水で現像できることが望まれている。
一方、近年、画像情報を、コンピュータを用いて電子的に処理し、蓄積し、出力する、デジタル化技術が広く普及してきており、このようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきている。これに伴い、レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート技術が注目されてきている。従って、このような技術に適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題の一つとなっている。
上述のような背景から、現在、製版作業の簡易化とデジタル化の両面への適合が、従来にも増して、強く望まれるようになってきている。
これに対して、例えば、特許文献1には、親水性支持体上に、疎水性前駆体、親水性樹脂、光熱変換剤を含有する画像形成層を有する平版印刷版原版の画像形成層中に、さらにエチレンオキシド鎖を有する化合物を含有することによって、機上現像のほかに、水または適当な水溶液を現像液とする液体現像処理を施して印刷に用いることが可能であると記載されている。
また、特許文献2には、(i)親水性支持体、および(ii)ラジカル重合性エチレン状不飽和モノマー、ラジカル重合開始剤および赤外吸収染料を含有し、赤外レーザー露光により硬化し、しかも60質量%以上の水を含有し、pH2.0〜10.0の水性現像液で現像可能な親油性感熱層からなる平版印刷版原版を用意し、赤外レーザーで画像様に露光し、水性現像液で感熱層の未硬化領域を除くことからなる平版印刷版原版の処理方法が記載されている。
また、特許文献3には、支持体上に存在する、重合開始剤、重合性化合物、水またはアルカリ水溶液に可溶あるいは膨潤するバインダーポリマーを含有する画像記録層またはその他の層に、エチレン性不飽和結合、支持体表面と相互作用する官能基を有するバインダーポリマーを含有することにより、アルカリ現像液使用条件下において高感度、高耐刷で非画像部の耐汚れ性に優れる平版印刷版原版が得られると記載されている。また特許文献4には、支持体上に画像記録層を有する平版印刷版原版を画像露光した後、擦り部材を備えた現像処理部において、pHが2〜10の現像液の存在下で平版印刷版原版の画像記録層を擦り部材により擦って非露光部の画像記録層を除去する現像工程を含む平版印刷版の作製方法が記載されている。また特許文献5には、親水性支持体上に光重合層を設け露光した後、ガム液によって未露光部を除去する工程を含む印刷版の作製方法が記載されている。
しかしながら、pH2.0〜10.0の水性現像液に対する現像性を維持するために、画像記録層は親水性または高水浸透性であることが必要であるが、露光により硬化した画像記録層は耐水性や皮膜強度が不十分であり、支持体との接着性が低く、その結果耐刷性がいまだ不十分であった。また、耐刷性を向上させるために未露光膜の親水性を下げたり支持体との密着性を上げると、現像性が低下したり非画像部の耐汚れ性が悪化したりするという問題があった。
また、耐刷性向上のために、酸素遮断性の保護層素材として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリル酸等の水溶性アクリル樹脂、ゼラチン、アラビアゴム、セルロース系ポリマー(例:カルボキシメチルセルロース)およびこれらに雲母を添加した例等が挙げられる。(例えば、特許文献6〜8)。しかし、特に保護層として好適に使用されるポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース系ポリマー等の水溶性ポリマーおよびこれらに雲母を添加した場合には、良好な酸素遮断性は示すが、現像性、着肉性、非画像部の耐汚れ性、耐刷性が低下することが多く、この改善が重要な技術課題の一つとなっている。
特開2002−365789号公報 米国特許出願公開2004/0013968号明細書 特開2006−78999号公報 特開2006−39468号公報 国際公開第05/111727号パンフレット 特開平9−160226号公報 特開2001−171250号公報 特開2005−119273号公報
本発明は上記従来技術の欠点を改良するものである。
すなわち、本発明の目的は、pH2.0〜10.0の水性現像液で現像可能であり、且つ非画像部の汚れを防止し、耐刷性に優れる平版印刷版原版を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、繰り返し単位としてアクリロニトリルを含有するポリマーを含有する保護層を用いることによって、非画像部の汚れを防止性と耐刷性に優れる平版印刷版原版が得られることを見出し、本発明を完成した。
1.支持体上に、青色レーザー露光または赤外線レーザー露光により記録可能な光重合型画像記録層、およびアクリロニトリルからなる繰り返し単位を含有するポリマーを主成分として含有する保護層を有し、画像露光した後、pHが2〜10の水溶液で現像することにより画像形成可能であることを特徴とする平版印刷版原版。
2.前記ポリマーが、アクリロニトリルからなる繰り返し単位を90モル%以上含有することを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版。
3.前記ポリマーがラテックスであることを特徴とする前記1または2に記載の平版印刷版原版。
4.前記ラテックスの平均粒子径が3μm以下であることを特徴とする前記3に記載の平版印刷版原版。
5.前記画像記録層が、(A)ラジカル重合開始剤、(B)増感色素、および(C)ラジカル重合性化合物を含有することを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
6.前記画像記録層が、更に、(D)バインダーポリマーを含有することを特徴とする前記5に記載の平版印刷版原版。
7.前記画像記録層が、更に、(E)マイクロカプセルまたはミクロゲルを含有することを特徴とする前記6に記載の平版印刷版原版。
本発明によれば、青色レーザー露光または赤外線レーザー露光による画像記録、およびpH2.0〜10.0の水性現像液による現像が可能であり、且つ非画像部の汚れを防止し、耐刷性に優れる平版印刷版を提供できる。
[平版印刷版原版]
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、青色レーザー露光または赤外線レーザー露光により記録可能な光重合型画像記録層および繰り返し単位としてアクリロニトリルを含有するポリマーを主成分として含有する保護層を有し、画像露光した後、pHが2〜10の水溶液で現像して画像形成可能なものである。
〔画像記録層〕
本発明に用いられる画像記録層は、光重合型の画像記録層であれば何れも好適に使用することができる。中でもラジカル重合型の画像記録層が好ましく、さらにpH2〜10の水溶液により現像することが可能な画像記録層や印刷機上において印刷インキと湿し水により現像することが可能な画像記録層を使用する場合において本発明の効果が顕著に現れる。本発明に用いられる画像記録層は、ラジカル重合性化合物、増感色素、ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。更に、バインダーポリマー、マイクロカプセルまたはミクロゲルおよび必要によりその他の成分を含有してもよい。以下、画像記録層の構成成分について説明する。
(ラジカル重合性化合物)
本発明における画像記録層に用いるラジカル重合性化合物(以下単に、重合性化合物とも云う)は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。重合性化合物は、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの共重合体ならびにそれらの混合物などの化学的形態をもつ。重合性化合物の例としては、以下の一般式(1)〜(5)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009222938
式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立に1価の有機基を表す。Rとしては、好ましくは、水素原子またはアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基、メチル基の水素原子の一つをヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、チオール基、アルキルチオ基、アシルチオ基、スルホ基、カルボキシル基で置換した基がラジカル反応性の高いことからより好ましい。また、RまたはRとしては、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基がラジカル反応性の高いことから好ましい。
Xは酸素原子、硫黄原子、−N(R12)−または−C(R1213)−を表し、R12またはR13は1価の有機基を表す。ここで、R12またはR13で表される1価の有機基としては、アルキル基などが挙げられる。R12またはR13としては、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。R12またはR13はLを構成する原子と結合して環を形成してもよい。
ここで、有機基に導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
Lは、水素、フッ素、塩素、臭素、沃素、炭素、窒素、酸素、硼素、硫黄、リン、珪素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、銀、パラジウム、鉛、ジルコニウム、ロジウム、錫、白金、タングステンから構成されるn価の有機残基であり、水素、フッ素、塩素、臭素、沃素、炭素、窒素、酸素、硼素、硫黄、リン、珪素、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムから構成されるn価の有機残基であることが好ましく、水素、フッ素、塩素、臭素、沃素、炭素、窒素、酸素、硼素、硫黄、リン、珪素から構成されるn価の有機残基であることがより好ましい。
nは、自然数を表し、1以上100以下が好ましく、2以上80以下がより好ましく、3以上60以下が更に好ましい。
一般式(1)で表される重合性化合物の具体例としては、(a)不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、2−ヒドロキシメチルアクリル酸、α−ブロモアクリル酸、フマル酸、メサコン酸、マレイン酸など)や、(b)そのエステル類、(c)そのアミド類が挙げられ、好ましくは、(d)不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、(e)不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、(f)ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類あるいはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類あるいはエポキシ類との付加反応物、および単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、(g)イソシアネート基、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類あるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に(h)ハロゲン基、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類あるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、上記不飽和カルボン酸を、不飽和ケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトンなど)に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例として、アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド(EO)変性トリアクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号に記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号に記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートとヒドロキシ基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(A)で示されるヒドロキシ基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R4)COOCH2CH(R5)OH (A)
(ただし、R4およびR5は、HまたはCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号に記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた画像記録層を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号に記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号に記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号に記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に記載の光硬化性モノマーおよびオリゴマーも使用することができる。
Figure 2009222938
式(2)中、R〜Rはそれぞれ独立に1価の有機基を表す。R〜Rとしては、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基がより好ましい。R〜Rは任意の2つで環を形成しても良く、Lを構成する原子に連結して環を形成してもよい。
有機基に導入し得る置換基としては、一般式(1)と同様のものが例示される。また、Yは酸素原子、硫黄原子、−N(R12)−または−C(R1213)−を表す。R12、R13は一般式(1)のR12、R13と同義であり、好ましい例も同様である。
L、nは一般式(1)のL、nと同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(2)で表される重合性化合物の具体例としては、不飽和二重結合を有するアルコール(例えば、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、3-ブテン-1-オール、2-シクロヘキセン-1-オール、レチノール等)と単官能あるいは多官能カルボン酸(例えば、酢酸、安息香酸、マレイン酸、トリカルバリン酸、1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸等)とのエステル化合物、単官能あるいは多官能イソ(チオ)シアネート(例えば、ブチルイソシアネート、1,3-ビス(シソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、アリルイソチオシアネート、フェニルイソチオシアネート、フェニルイソシアネート、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)等)とのウレタン化合物、単官能あるいは多官能アルコール(例えば、エタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジオール、イノシトール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、キシリトール、デキストリン、フェノール、ビスフェノールA等)とのエーテル化合物、単官能あるいは多官能エポキシ化合物(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキサイド、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート等)との付加反応物、単官能あるいは多官能ハロゲン化アルキル(例えば、1,4-ジブロモブタン、マレイン酸 ビス(2-ブロモエチル)エステル等)または単官能あるいは多官能アルコールのスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸、トルエンスルホン酸等)とのエステルの置換反応物、不飽和二重結合を有するハロゲン化アルキル(例えば、アリルブロミド、4-ブロモ-1-ブテン、3-クロロ-2-メチルプロペンなど)や不飽和二重結合を有するアルコールのスルホン酸エステルと単官能あるいは多官能アルコール、単官能あるいは多官能アミン(例えば、ブチルアミン、エチレンジアミン、トリエチルアミン、ペンタエチレンヘキサミン、2,2’-オキシビス(エチルアミン)、モルホリン、ピペラジン、ピリジン、プロリン、4,4’-メチレンジアニリンなど)、単官能あるいは多官能ホスフィン、単官能あるいは多官能チオール、単官能あるいは多官能カルボニル化合物、単官能あるいは多官能カルボン酸塩等の求核性化合物との置換反応物、不飽和二重結合を有するアミン(例えば、アリルアミン、トリアリルアミン、ゲラニルアミン、N-エチル-2-メチルアリルアミンなど)と単官能あるいは多官能カルボン酸のアミド、単官能あるいは多官能イソシアネートのウレア、単官能あるいは多官能ハロゲン化アルキルや単官能あるいは多官能アルコールのスルホン酸エステルとの置換反応物、単官能あるいは多官能カルボニル化合物のイミン、単官能あるいは多官能スルホン酸のスルホンアミド、不飽和二重結合を有するイソ(チオ)シアネート(例えば、アリルイソシアネート、アリルイソチオシアネートなど)と単官能あるいは多官能アルコールとのウレタン、単官能あるいは多官能アミンとのウレア、単官能あるいは多官能カルボン酸とのアミド、単官能あるいは多官能チオールとの付加反応物、単官能あるいは多官能イソ(チオ)シアネートとの付加反応物が挙げられる。
Figure 2009222938
式(3)中、R〜Rはそれぞれ独立に1価の有機基を表す。R〜Rとしては、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基がより好ましい。R〜Rは任意の2つで環を形成しても良く、Lを構成する原子に連結して環を形成してもよい。
有機基に導入し得る置換基としては、一般式(1)と同様のものが例示される。また、Zは酸素原子、硫黄原子、−N(R12)−または−C(R1213)−を表す。R12、R13は一般式(1)のR12、R13と同義であり、好ましい例も同様である。
L、nは一般式(1)のL、nと同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(3)で表される重合性化合物の具体例としては、酢酸ビニル、酢酸イソプロペニル、1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸トリビニルなどの単官能あるいは多官能カルボン酸ビニルエステル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどのビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどのビニルエーテルアルコールと単官能あるいは多官能カルボン酸とのエステル、単官能あるいは多官能イソ(チオ)シアネートとのウレタン、単官能あるいは多官能ハロゲン化アルキルや単官能あるいは多官能アルコールのスルホン酸エステルとの置換生成物、単官能あるいは多官能エポキシとの付加生成物、2-クロロエチルビニルエーテルなどのビニルエーテルハロゲン化アルキルやp-トルエンスルホン酸ビニルオキシエチルエステルなどのビニルエーテルスルホン酸エステルと単官能あるいは多官能アルコール、単官能あるいは多官能アミン、単官能あるいは多官能ホスフィン、単官能あるいは多官能チオール、単官能あるいは多官能カルボニル化合物、単官能あるいは多官能カルボン酸塩等の求核性化合物との置換反応物、3-アミノ-1-プロパノールビニルエーテル、2-(ジエチルアミノ)エタノールビニルエーテルなどのビニルエーテルアミンと単官能あるいは多官能カルボン酸とのアミド、単官能あるいは多官能イソ(チオ)シアネートとのウレア、単官能あるいは多官能ハロゲン化アルキルとの置換生成物、単官能あるいは多官能スルホン酸とのスルホンアミド、N-ビニルルバゾール、N-ビニルピロリジノン、N-ビニルフタルイミド等の単官能あるいは多官能ビニルアミド、が挙げられる。
Figure 2009222938
式(4)中、R〜Rはそれぞれ独立に1価の有機基を表す。R〜Rとしては、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基がより好ましい。R〜Rはそれぞれ独立に1価の有機基か、Lに連結する2価の有機基を表し、1価の有機基としては、前述の1価の有機基が好ましく、2価の有機基としては、水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、ハロゲン、珪素、燐から構成される2価の有機基であることが好ましい。またR〜Rの任意の2つで環を形成しても良く、Lを構成する原子に連結して環を形成してもよい。
有機基に導入し得る置換基としては、一般式(1)と同様のものが例示される。
L、nは一般式(1)のL、nと同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(4)で表される重合性化合物の具体例としては、p-スチレンカルボン酸などのカルボキシル基含有スチレンやp-スチレンスルホン酸などのスルホ基含有スチレンと単官能あるいは多官能アルコールとのエステル、単官能あるいは多官能アミンとのアミド、p-ヒドロキシメチルスチレンやp-スチレンカルボン酸2-ヒドロキシエチルエステルやp-スチレンスルホン酸2-ヒドロキシエチルエステルなどのヒドロキシ基含有スチレンと単官能あるいは多官能カルボン酸とのエステル、単官能あるいは多官能イソ(チオ)シアネートとのウレタン、単官能あるいは多官能ハロゲン化アルキルや単官能あるいは多官能アルコールのスルホン酸エステルとの置換生成物、単官能あるいは多官能エポキシとの付加生成物、p-クロロメチルスチレンやp-スチレンカルボン酸2-クロロエチルエステルなどのハロゲン化アルキル基含有スチレンやp-トシルオキシメチルスチレンなどのスルホン酸エステル基含有スチレンと単官能あるいは多官能アルコール、単官能あるいは多官能アミン、単官能あるいは多官能ホスフィン、単官能あるいは多官能チオール、単官能あるいは多官能カルボニル化合物、単官能あるいは多官能カルボン酸塩等の求核性化合物との置換反応物、p-アミノメチルスチレンなどのアミノ基含有スチレンと単官能あるいは多官能カルボン酸とのアミド、単官能あるいは多官能イソ(チオ)シアネートとのウレア、単官能あるいは多官能ハロゲン化アルキルとの置換生成物、単官能あるいは多官能スルホン酸とのスルホンアミドが挙げられる。
Figure 2009222938
式(5)中、R〜Rはそれぞれ独立に1価の有機基を表す。R〜Rとしては、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アリール基がより好ましい。Rはそれぞれ独立に1価の有機基を表し、1価の有機基としては、前述の1価の有機基が好ましい。またRはLと共に環を形成してもよい。
有機基に導入し得る置換基としては、一般式(1)と同様のものが例示される。また、Wは酸素原子、硫黄原子、−N(R1213)−または−C(R1213)−を表す。R12、R13は一般式(1)のR12、R13と同義であり、好ましい例も同様である。
L、nは一般式(1)のL、nと同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(5)で表される重合性化合物の具体例としては、ビニルホスホン酸、メチル2-ホスホノアクリレートなどビニルホスホン酸と単官能あるいは多官能アルコールとのエステル、単官能あるいは多官能アミンとのアミド、ビス(2-ヒドロキシエチル)ビニルホスホン酸などのヒドロキシ基含有ビニルホスホン酸と単官能あるいは多官能カルボン酸とのエステル、単官能あるいは多官能イソ(チオ)シアネートとのウレタン、単官能あるいは多官能ハロゲン化アルキルや単官能あるいは多官能アルコールのスルホン酸エステルとの置換生成物、単官能あるいは多官能エポキシとの付加生成物、ビス(2-ブロモエチル)ビニルホスホン酸等のハロゲン化アルキル基含有ビニルホスホン酸やp-トシルオキシエチルビニルホスホン酸などのスルホン酸エステル基含有ビニルホスホン酸と単官能あるいは多官能アルコール、単官能あるいは多官能アミン、単官能あるいは多官能ホスフィン、単官能あるいは多官能チオール、単官能あるいは多官能カルボニル化合物、単官能あるいは多官能カルボン酸塩等の求核性化合物との置換反応物が挙げられる。
重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等使用方法の詳細は、平版印刷版原版の性能設計にあわせて適宜設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、画像記録層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、重合開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、後述の支持体や保護層等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
重合性化合物は、画像記録層の全固形分に対して、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは25〜75質量%の範囲で使用される。また、重合性化合物は単独で用いても、2種以上併用してもよい。そのほか、重合性化合物は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、耐かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な使用法を任意に選択できる。
(増感色素)
本発明の画像記録層に用いられる増感色素としては、画像露光に使用する光源の波長、用途等に応じて適宜選択されるものであり、特に限定されるものではない。例えば、赤外線吸収剤や、350nm〜450nmの光を吸収する増感色素等が好ましく挙げられる。
<赤外線吸収剤>
赤外線吸収剤は、赤外線レーザーに対する感度を高めるために用いられる成分である。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有している。本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料または顔料であるのが好ましい。
染料としては、市販の染料および例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許第434,875号に記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号に記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号に記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)に記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載のピリリウム系化合物、特開昭59−216146号に記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に記載のピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、上記赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特開2002−278057号に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
Figure 2009222938
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。さらに、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい一つの例として下記一般式(i)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 2009222938
一般式(i)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、X2−L1または下記構造式(ia)で示される基を表す。X2は、酸素原子、窒素原子または硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環基またはヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。Xa-は後述するZa-と同義である。Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基またはハロゲン原子を表す。
Figure 2009222938
1およびR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。画像記録層塗布液の保存安定性から、R1およびR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結合して5員環または6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環基、ナフタレン環基が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子または炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R、Rは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7およびR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対アニオンを示す。ただし、一般式(i)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、画像記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、およびスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、およびアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(i)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号の段落番号[0017]〜[0019]に記載されたものを挙げることができる。
また、特に好ましい他の例としてさらに、前記した特開2002−278057号に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、ロソ顔料、ニトロ顔料、天然料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1〜1μmの範囲にあることが好ましい。この範囲で、顔料分散物の画像記録層中での良好な安定性と均一性が得られる。
顔料を分散する方法としては、インキ製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。赤外線吸収剤はマイクロカプセルに内包させて添加することもできる。
添加量としては、画像記録層の波長760nm〜1200nmの範囲における極大吸収波長での吸光度が、反射測定法で0.1〜1.5の範囲にあるように添加することが好ましく、より好ましくは、0.2〜1.2の範囲、更に好ましくは、0.3〜1.0の範囲である。この範囲で、画像記録層の深さ方向での均一な重合反応が進行し、良好な画像部の膜強度と支持体に対する密着性が得られる。
画像記録層の吸光度は、画像記録層に添加する赤外線吸収剤の量と画像記録層の厚みにより調整することができる。吸光度の測定は常法により行うことができる。測定方法としては、例えば、アルミニウム等の反射性の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版として必要な範囲において適宜決定された厚みの画像記録層を形成し、反射濃度を光学濃度計で測定する方法、積分球を用いた反射法により分光光度計で測定する方法等が挙げられる。
<350nm〜450nmの光を吸収する増感色素>
350nm〜450nmの光を吸収する増感色素としては、350〜450nmの波長域に極大吸収を有する増感色素が好ましい。この様な増感色素としては、例えば、下記一般式(I)に示されるメロシアニン色素類、下記一般式(II)で示されるベンゾピラン類、クマリン類、下記一般式(III)で示される芳香族ケトン類、下記一般式(IV)で示されるアントラセン類等を挙げることができる。
Figure 2009222938
式(I)中、AはS原子もしくはNR6を表し、R6は一価の非金属原子団を表し、Yは隣接するAおよび隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、X1、X2はそれぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、あるいはX1、X2は互いに結合して色素の酸性核を形成してもよい。
Figure 2009222938
式(II)中、=Zはオキソ基、チオキソ基、イミノ基または上記部分構造式(I’)で表されるアルキリデン基を表し、X1、X2は一般式(I)と同義であり、R7〜R12はそれぞれ独立に一価の非金属原子団を表す。
Figure 2009222938
式(III)中、Ar3は芳香族基またはヘテロ芳香族基を表し、R13は一価の非金属原子団を表す。好ましいR13は芳香族基またはヘテロ芳香族基である。また、Ar3とR13が互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 2009222938
式(IV)中、X3、X4、R14〜R21はそれぞれ独立に、1価の非金属原子団を表す。好ましいX3、X4はハメットの置換基定数が負の電子供与性基である。
一般式(I)から(IV)における、X1からX4、R6からR21で表される一価の非金属原子団の好ましい例としては、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、t-ブチル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ビフェニル基等)、ヘテロアリール基(例えば、チオフェン、ピロール、フラン等)、アルケニル基(例えばビニル基、1−プロペニル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、1−プロピニル基等)、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基などの窒素原子含有基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アルキルスルフィニル基、スルホ基(−SO3H)およびその共役塩基基(スルホナト基)、アルコキシスルホニル基などの硫黄原子含有基、ホスフォノ基(−PO32)およびその共役塩基基(ホスフォナト基)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)などの燐原子含有基等が挙げられ、一価の非金属原子団のうち、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基が特に好ましい。
一般式(I)におけるYが隣接するAおよび隣接炭素原子と共同して形成する色素の塩基性核としては、5、6、7員の含窒素あるいは含硫黄複素環が挙げられ、5、6員の複素環好ましい。
含窒素複素環の例としては、例えば、L.G.Brooker et al.,J.Am.Chem.Soc.,73,5326−5358(1951)および参考文献に記載されるメロシアニン色素類における塩基性核を構成するものとして知られるものをいずれも好適に用いることができる。具体例としては、チアゾール類、ベンゾチアゾール類、ナフトチアゾール類、チアナフテノ−7’,6’,4,5−チアゾール類、オキサゾール類、ベンゾオキサゾール類、ナフトオキサゾール類、セレナゾール類、ベンゾセレナゾール類、ナフトセレナゾール類、チアゾリン類、2−キノリン類、4−キノリン類、1−イソキノリン類、3−イソキノリン類、ベンズイミダゾール類、3,3−ジアルキルインドレニン類、2−ピリジン類、4−ピリジン類等を挙げることができる。
また、含硫黄複素環の例としては、例えば、特開平3−296759号公報記載の色素類におけるジチオール部分構造をあげることができる。具体例としては、ベンゾジチオール類、ナフトジチオール類、ジチオール類等を挙げることができる。
以上述べた複素環に関する説明に用いた記述は、便宜上、慣例上、複素環母骨格の名称を用いたが、増感色素の塩基性骨格部分構造をなす場合は例えばベンゾチアゾール骨格の場合は3−置換−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン基のように、不飽和度を一つ下げたアルキリデン型の置換基の形で導入される。
さらに、下記一般式(V)〜(XI)で示される増感色素も用いることができる。
Figure 2009222938
式(V)中、R1〜R14は各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基またはハロゲン原子を表す。但し、R1〜R10の少なくとも一つは炭素数2以上のアルコキシ基を表す。
式(VI)中、R15〜R32は各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基またはハロゲン原子を表す。但し、R15〜R24の少なくとも一つは炭素数2以上のアルコキシ基を表す。
Figure 2009222938
式(VII)中、R1、R2およびR3は各々独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、−NR45基または−OR6基を表し、R4、R5およびR6は各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、k、mおよびnは各々0〜5の整数を表す。
Figure 2009222938
式(VIII)中、X1、X2はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、-CR11R12-またはNR13-を表す。但し、少なくともいずれか一方は酸素原子、硫黄原子またはNR13-である。Yは酸素原子、硫黄原子または=NR14を表す。R1〜R14はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表す。あるいはR1〜R14はそれぞれ互いに結合して、脂肪族性または芳香族性の環を形成していてもよい。
Figure 2009222938
式(IX)中、A1 およびA2 は各々炭素原子またはヘテロ原子を表す。Q1はA1 、A2 およびこれらに隣接する炭素原子とともに複素環を形成するのに必要な非金属原子団を表す。X1およびX2は各々シアノ基または置換カルボニル基を表すか、あるいはX1とX2 とが互いに結合して環を形成していてもよい。
Figure 2009222938
式(X)中、Xはそれぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表す。
Figure 2009222938
式(XI)中、Xは酸素原子または硫黄原子を表し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表し、Aは炭素数20以下のアリール基またはヘテロアリール基を表す。
350nmから450nmの波長域に吸収極大を持つ増感色素のうち、高感度の観点からより好ましい色素は下記一般式(XII)で表される色素である。
Figure 2009222938
式(XII)中、Aは芳香族環基またはヘテロ環基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子またはN−R3を表す。R1、R2およびR3はそれぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、あるいはAとR1またはR2とR3が互いに結合して、脂肪族性または芳香族性の環を形成してもよい。)
一般式(XII)について更に詳しく説明する。R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、芳香族複素環残基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子を表す。
1、R2およびR3の好ましい例について具体的に述べる。
1、R2およびR3として好ましいアルキル基としては、炭素原子数20までの直鎖状、分岐状または環状のアルキル基が好ましく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、イソペンチル基等を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
1、R2およびR3として好ましい置換アルキル基の置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基などの窒素原子含有基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アルキルスルフィニル基、スルホ基(−SO3H)およびその共役塩基基(スルホナト基)、アルコキシスルホニル基などの硫黄原子含有基、ホスフォノ基(−PO32)およびその共役塩基基(ホスフォナト基)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)などの燐原子含有基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
これらの置換基におけるアルキル基の例としては、前述のアルキル基と同様のものが挙げられる。これら置換基におけるアリール基の具体例としては、フェニル基、メトキシフェニル基、クロロフェニル基等を挙げることができる。
これら置換基におけるヘテロアリール基の例としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環もしくは多環芳香族環基が挙げられ、好ましいヘテロアリール基の例としては、例えば、チエニル基、フリル基、ピリル基、カルバゾリル基、アクリジル基等があげられ、これらは、さらにベンゾ縮環してもよく、また置換基を有していてもよい。
これら置換基におけるアルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基等が挙げられる。アシル基(G1CO−)におけるG1としては、水素ならびに上記アルキル基、下記アリール基を挙げることができる。
これら置換アルキル基の置換基の内、より好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基、アルケニル基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基などの窒素原子含有基、アルキルスルフィニル基、スルホ基(−SO3H)およびその共役塩基基(スルホナト基)、アルコキシスルホニル基などの硫黄原子含有基、ホスフォノ基(−PO32)およびその共役塩基基(ホスフォナト基)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3(alkyl)2)などの燐原子含有基等が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
上記置換基とアルキレン基を組み合わせることにより得られるR1、R2およびR3で表される置換アルキル基の好ましい具体例としては、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、2−オキソエチル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、ホスフォノブチル基、ベンジル基等を挙げることができる。
1、R2およびR3として好ましいアルケニル基としては、炭素数20までの直鎖状、分岐状または環状のアルケニル基が好ましく、その具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基等が挙げられる。
1、R2およびR3として好ましい置換アルケニル基としては、上記アルケニル基の炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが挙げられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基ならびに置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。置換アルケニル基の好ましい具体例としては、スチリル基、シンナミル基等が挙げられる。
1、R2およびR3として好ましいアリール基としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したもの等を挙げることができる。具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基を挙げることができ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
1、R2およびR3として好ましい置換アリール基としては、上記アリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが挙げられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基ならびに置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、クロロフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メチルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。
1、R2およびR3として好ましい芳香族複素環残基としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環もしくは多環芳香族複素環基が挙げられる。芳香族複素環基の例としては、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサジン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フタラジン、フェナルザジン、フェノキサジン、フラザン、フェノキサジンや等のヘテロ環から誘導される基等を挙げれ、これらは、さらにベンゾ縮環してもよい。
1、R2およびR3として好ましい置換芳香族複素環残基としては、上記芳香族複素環残基の環形成原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが挙げられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基ならびに置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
1、R2およびR3として好ましいアルコキシ基およびアルキルチオ基におけるアルキル基は、前記R1、R2およびR3として好ましいアルキル基に関して記載したものと同様である。
1、R2およびR3として好ましい置換アルコキシ基および置換アルキルチオ基における置換アルキル基は、前記R1、R2およびR3として好ましい置換アルキル基に関して記載したものと同様である。
一般式(XII)におけるAで表される芳香族環基およびヘテロ環基は、各々前記R1、R2およびR3に関して記載したアリール基および芳香族複素環残基に関して記載したものと同様のものを包含する。
一般式(XII)で表される増感色素は、上述の酸性核や活性メチレン基を有する酸性核と、芳香族環またはヘテロ環との縮合反応によって得られる。具体的には、特公昭59−28329号の記載を参照して合成することができる。
以下に、一般式(XII)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、酸性核と塩基性核を結ぶ2重結合による異性体については、どちらか一方の異性体に限定されるものではない。
Figure 2009222938
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増感色素について、その構造、単独使用か併用か、添加量等使用法の詳細は、平版印刷版原版の性能設計にあわせて適宜設定できる。
例えば、増感色素を2種以上併用することで、画像記録層を構成する組成物中での相溶性を高めることができる。増感色素の選択においては、感光性の他、使用する光源の発光波長でのモル吸光係数が重要な因子である。モル吸光係数の大きな色素を使用することにより、色素の添加量を比較的少なくできるので、経済的であり、かつ画像記録層の膜物性の点からも有利である。画像記録層の感光性、解像度、露光膜の物性は光源波長での吸光度に大きな影響を受けるので、これらを考慮して増感色素の添加量が適宜選択される。
但し、例えば5μm以上の厚い膜を硬化せしめる目的に対しては、低い吸光度の方がかえって硬化度をあげられる場合もある。比較的薄い膜厚の平版印刷版原版の場合には、増感色素の添加量は、画像記録層の極大吸収波長での吸光度が、反射測定法で、好ましくは0.1から1.5の範囲、より好ましくは0.2から1.2の範囲、更に好ましくは0.3〜1.0の範囲となるように設定する。通常、画像記録層の全固形分100質量部に対し、好ましくは0.05〜30質量部、より好ましくは0.1〜20質量部、更に好ましくは0.2〜10質量部の範囲である。
(ラジカル重合開始剤)
本発明の画像記録層に用いられるラジカル重合開始剤(以下単に、重合開始剤ともいう)は、光または熱エネルギーによりラジカルを発生し、重合性不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進する化合物である。重合開始剤は、公知のラジカル重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などから適宜選択して用いることができる。
重合開始剤としては、例えば、有機ハロゲン化合物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素化合物、ジスルホン化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物が挙げられる。
上記有機ハロゲン化合物としては、具体的には、若林等、"Bull.Chem.Soc.Japan"、42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開53−133428号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号、M.P.Hutt、"Journal of Heterocyclic Chemistry"、1(No.3)(1970)に記載の化合物が挙げられる。中でも、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物およびS−トリアジン化合物が好適である。
より好適には、すくなくとも一つのモノ、ジ、またはトリハロゲン置換メチル基が、s−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体およびオキサジアゾール環に結合したオキサジアゾール誘導体が挙げられる。具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2―n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジンや下記化合物等が挙げられる。
Figure 2009222938
Figure 2009222938
上記カルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドトキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(エチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体等を挙げることができる。
上記アゾ化合物としては例えば、特開平8−108621号に記載のアゾ化合物等を使用することができる。
上記有機過酸化物としては、例えば、トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、ターシルカーボネート、3,3',4,4'−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
上記メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−4705号、特開平5−83588号記載の種々のチタノセン化合物、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)フェニル)チタニウム、並びに特開平1−304453号、特開平1−152109号記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等に記載の種々の化合物、具体的には、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ブロモフェニル))4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2'−ビス(o,o'−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−メチルフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
上記有機ホウ素化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837号、特開2002−107916号、特許第2764769号、特開2002−116539号、Martin Kunz、Rad Tech'98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago等に記載の有機ホウ酸塩、特開平6−157623号、特開平6−175564号、特開平6−175561号に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体あるいは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号、特開平6−175553号に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号、特開平7−128785号、特開平7−140589号、特開平7−306527号、特開平7−292014号に記載の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が挙げられる。
上記ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号、特開2003−328465号等に記載の化合物が挙げられる。
上記オキシムエステル化合物としては、J.C.S. Perkin II、1653-1660 (1979)、J.C.S.Perkin II、 156-162(1979)、Journal of Photopolymer Science and Technology、202-232(1995)、特開2000−66385号、特開2000−80068号記載の化合物が挙げられる。具体例としては、下記の構造式で示される化合物が挙げられる。
Figure 2009222938
上記オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger、Photogr.Sci.Eng.、18、387(1974)、T.S.Bal et al.、Polymer、21、423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、特開平4−365049号等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同第4,069,056号に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号,580号、同第3,604,581号に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al.、Macromolecules、10(6)、1307(1977)、J.V.Crivello et al.、J.Polymer Sci.、Polymer Chem.Ed.、17、1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al.、Teh.Proc.Conf.Rad.Curing ASIA、p478 Tokyo、Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等が挙げられる。
本発明において、これらのオニウム塩化合物は酸発生剤ではなく、イオン性のラジカル重合開始剤として機能する。
好適に用いられるオニウム塩化合物は、下記一般式(RI−I)〜(RI−III)で表されるオニウム塩である。
Figure 2009222938
式(RI−I)中、Ar11は置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表す。好ましい置換基としては炭素数12以下のアルキル基、炭素数12以下のアルケニル基、炭素数12以下のアルキニル基、炭素数12以下のアリール基、炭素数12以下のアルコキシ基、炭素数12以下のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数12以下のアルキルアミノ基、炭素数12以下のジアルキルアミノ基、炭素数12以下のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数12以下のチオアルキル基、炭素数12以下のチオアリール基が挙げられる。Z11 -は1価の陰イオンを表し、具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも安定性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオンおよびスルフィン酸イオンが好ましい。
式(RI−II)中、Ar21およびAr22は、各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表す。好ましい置換基としては炭素数12以下のアルキル基、炭素数12以下のアルケニル基、炭素数12以下のアルキニル基、炭素数12以下のアリール基、炭素数12以下のアルコキシ基、炭素数12以下のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数12以下のアルキルアミノ基、炭素数12以下のジアルキルアミノ基、炭素数12以下のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数12以下のチオアルキル基、炭素数12以下のチオアリール基が挙げられる。Z21 -は1価の陰イオンを表す。具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオン、カルボン酸イオンが挙げられる。中でも、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。
式(RI−III)中、R31、R32およびR33は、各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を表す。中でも反応性、安定性の面から好ましいのは、アリール基である。置換基としては、炭素数12以下のアルキル基、炭素数12以下のアルケニル基、炭素数12以下のアルキニル基、炭素数12以下のアリール基、炭素数12以下のアルコキシ基、炭素数以下12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数12以下のアルキルアミノ基、炭素数12以下のジアルキルアミノ基、炭素数12以下のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数12以下のチオアルキル基、炭素数12以下のチオアリール基が挙げられる。Z31 -は1価の陰イオンを表す。具体例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオン、カルボン酸イオンが挙げられる。中でも安定性、反応性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。より好ましいものとして特開2001−343742号記載のカルボン酸イオン、特に好ましいものとして特開2002−148790号記載のカルボン酸イオンが挙げられる。
以下に、一般式(RI−I)〜(RI−III)で表されるオニウム塩の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009222938
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重合開始剤としては、特に反応性、安定性の面から、有機ハロゲン化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物が好ましく、より好ましくは有機ハロゲン化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、オニウム塩化合物である。
重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の含有量は、画像記録層全固形分に対し好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、更に好ましくは0.8〜20質量%である。
(バインダーポリマー)
本発明の画像記録層には、形成する画像記録層の皮膜特性向上などの目的で、必要に応じて、更にバインダーポリマーを使用することができる。
本発明に用いることができるバインダーポリマーは、従来公知のものを制限なく使用でき、皮膜性を有する線状有機ポリマーが好ましい。このようなバインダーポリマーの例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴムが挙げられる。
本発明に用いられるバインダーポリマーとしては、画像記録層がpH2〜10の現像液で現像可能という観点から、親水性基を有するバインダーポリマーが好ましい。
現像液に対する溶解性または分散性を向上させるためには、バインダーポリマーは、親水的な方が好ましいが、親油的なバインダーポリマーと親水的なバインダーポリマーを併用することも有効である。
親水基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、スルホ基、等の親水性基を有するものが好適に挙げられる。
バインダーポリマーは共重合体であることが好ましく、共重合体中の全共重合成分に占める前記親水性基を有する共重合成分の割合は、現像性の観点から、1〜70モル%が好ましい。現像性と耐刷性の両立を考慮すると、1〜50モル%がより好ましく、1〜30モル%が更に好ましい。
このようなバインダーポリマーの骨格としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれる高分子が好ましい。なかでも、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂等のビニル共重合体およびポリウレタン樹脂が特に好ましい。
本発明に好適なバインダーポリマーとして、アミノ基および/またはアンモニウム基を有するバインダーポリマー(以下、適宜、特定バインダーポリマーと称する。)が挙げられる。
本発明の特定バインダーポリマーは、ポリマー鎖の主鎖および/または側鎖部分にアミノ基および/またはアンモニウム基を有するポリマーであれば任意の化合物でよい。好ましくは、側鎖にアミノ基および/またはアンモニウム基を有するポリマーである。アミノ基およびアンモニウム基としては下記一般式(6)または(7)で表される構造が好ましい。側鎖に下記一般式(6)または(7)で表される基を有するバインダーポリマーとしては、一般式(6)または(7)で表される構造を含む繰返し単位を含む高分子化合物であれば、任意の化合物でよい。
Figure 2009222938
一般式(6)〜(7)中、R1、R2およびR4〜R6は、各々独立して1価の有機基を表す。R3およびR7は、各々単結合または2価の有機基を表す。また、R1〜R3のうち任意の2つあるいはR4〜R7のうち任意の2つは、互いに結合して環を形成してもよい。さらに、R1〜R3のうち任意の1つあるいはR4〜R7のうちの任意の1つが窒素原子と二重結合を形成してもよい。この場合、一般式(6)ではR1またはR2が、一般式(7)ではR4〜R6のうちの1つが存在しない構造となる。Xはアニオンを表す。*はバインダーポリマーに連結する位置を示す。
一般式(6)および(7)において、1価の有機基とは、水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲンおよびシリコンから選ばれる原子の少なくとも1種からなる1価の置換基である。また、2価の有機基とは、水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲンおよびシリコンから選ばれる原子の少なくとも1種からなる2価の連結基である。水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン、ケイ素から選ばれる原子の少なくとも1種からなる1価の置換基とは、−H、−F、−Cl、−Br、−I、>C<、=C<、≡C−、−O−、O=、−N<、−N=、≡N、−S−、S=、>S<、≡S≡、−P<、≡P<、>Si<、=Si<、≡Si−およびこれらを組み合わせて形成される置換基である。1価の置換基としては、水素原子、アルキル基〔例えば、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、クロロメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、N-(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、、p-メチルベンジル基等〕、アリール基〔例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、等〕、ヘテロアリール基〔例えば、チオフェン、フラン、ピラン、、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、カルバゾール、アクリジン、フラザン、フェノキサジン等のへテロ環から誘導される基〕、アルケニル基〔例えばビニル基、1-プロペニル基、2-クロロ-1-エテニル基等〕、アルキニル基〔例えば、エチニル基、1-プロピニル基、トリメチルシリルエチニル基等〕、ハロゲン原子〔-F、-Br、-Cl、-I〕、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アシル基、スルホ基(-SO3H)およびその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、ホスフォノ基(-PO32)およびその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(-OPO32)およびその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、等が挙げられ、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基が好ましい。2価の連結基は、特に限定されないが、アルキレン基、アリレン基およびエステル結合、アミド結合、エーテル結合などのヘテロ原子を含む連結基並びにこれらの組み合わせが好ましい。
一般式(6)中、pH2〜10の現像液での現像性の観点から、R1、R2がそれぞれ独立して水素原子、アルキル基またはアリール基であることが好ましい。R1、R2の炭素数の合計は0〜24がより好ましく、0〜12が更に好ましい。ただし、炭素数の合計が0の場合、R1、R2の両方が水素原子である。
また、一般式(7)中、pH2〜10の現像液での現像性の観点から、R4、R5、R6がそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、または、アリール基であることが好ましい。R4、R5、R6の炭素数の合計は0〜36がより好ましく、0〜18が更に好ましい。ただし、炭素数の合計が0の場合、R4、R5、R6の全てが水素原子である。
一般式(7)中、Xで表されるアニオンの具体例としては、ハロゲンアニオン、ハロゲンオキソ酸アニオン(ClO4 -, IO3 -, BrO3 -など)、ハロゲノ錯イオン(BF4 -, PF6 -, AlCl4 -など)、硫酸アニオン、硝酸アニオン、リン酸アニオン、ボレートアニオン、カルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、ホスホン酸アニオン、金属錯体アニオン([Fe(CN)6]-など)等が挙げられる。pH2〜10の現像液での現像性の観点から、中でも、ハロゲンアニオン、ハロゲノ錯イオン、ボレートアニオン、カルボン酸アニオン、スルホン酸アニオンが好ましく、ハロゲノ錯イオン、ボレートアニオン、スルホン酸アニオンが更に好ましい。
本発明のバインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性を有していることが好ましい。バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の主鎖中または側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよいし、高分子反応で導入してもよい。ポリマーの極性置換基と対荷電を有する置換基とエチレン性不飽和結合を有する化合物で塩構造を形成させて導入することができる。
分子の主鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、ポリ−1,4−ブタジエン、ポリ−1,4−イソプレン等が挙げられる。
分子の側鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドのポリマーであって、エステルまたはアミドの残基(−COORまたはCONHRのR)がエチレン性不飽和結合を有するポリマーを挙げることができる。
エチレン性不飽和結合を有する残基(上記R)の例としては、−(CHCR=CR、−(CHO)CHCR=CR、−(CHCHO)CHCR=CR、−(CHNH−CO−O−CHCR=CR、−(CH−O−CO−CR=CRおよび(CHCHO)−X(式中、R〜Rはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基を表し、RとRまたはRとは互いに結合して環を形成してもよい。nは、1〜10の整数を表す。Xは、ジシクロペンタジエニル残基を表す。)を挙げることができる。
エステル残基の具体例としては、−CHCH=CH(特公平7−21633号公報に記載されている。)、−CHCHO−CHCH=CH、−CHC(CH)=CH、−CHCH=CH−C、−CHCHOCOCH=CH−C、−CHCH−NHCOO−CHCH=CHおよびCHCHO−X(式中、Xはジシクロペンタジエニル残基を表す。)が挙げられる。
アミド残基の具体例としては、−CHCH=CH、−CHCH−Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)、−CHCH−OCO−CH=CHが挙げられる。
架橋性を有するバインダーポリマーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接にまたは重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。または、ポリマー中の原子(例えば、官能性架橋基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。
バインダーポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。この範囲で、良好な感度と良好な保存安定性が得られる。
耐刷性向上という観点から、架橋性基は親水性基の近傍にあることが望ましく、親水性基と架橋性基が同一の重合単位上にあってもよい。
バインダーポリマーがアクリル樹脂である場合は、上記親水性基を有するユニット、架橋性基を有するユニット、または親水性基および架橋性基を有するユニットの他に、(メタ)アクリル酸アルキルまたはアラルキルエステルのユニットを有することが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、メチル基がより好ましい。(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
バインダーポリマーがウレタン樹脂である場合には、上記親水性基を有するユニット、架橋性基を有するユニット、または親水性基および架橋性基を有するユニットの他に疎水性ユニットを有することが好ましい。疎水性ユニットとしては、炭素数5以上のアルキル基、炭素数5以上のアルキレン基、アリール基、アリレン基が挙げられ、特に炭素数5以上のアルキレン基、アリレン基を主鎖骨格に有することが耐刷性の観点から特に好ましい。
バインダーポリマーは、質量平均モル質量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましく、また、数平均モル質量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。多分散度(質量平均モル質量/数平均モル質量)は、1.1〜10であるのが好ましい。
バインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよい。
バインダーポリマーは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。バインダーポリマーの含有量は、良好な画像部の強度と画像形成性の観点から、画像記録層の全固形分に対して、5〜75質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、10〜60質量%が更に好ましい。
また、重合性化合物およびバインダーポリマーの合計含有量は、画像記録層の全固形分に対して、80質量%以下であることが好ましい。80質量%を超えると、感度の低下、現像性の低下を引き起こす場合がある。より好ましくは35〜75質量%である。
以下に本発明に用いるバインダーポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。表中の分子量は、ポリスチレンを標準物質としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した質量平均モル質量(Mw)である。
Figure 2009222938
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(マイクロカプセルまたはミクロゲル)
本発明における画像記録層は、簡易な現像において良好な現像性を得るといった観点から、マイクロカプセルまたはミクロゲルを含有する態様をとることが好ましい。すなわち、画像記録層構成成分をマイクロカプセルやミクロゲルに内包させる態様である。
本発明で用いられるマイクロカプセルは、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、画像記録層の構成成分(前述の重合性化合物、増感色素、重合開始剤などの成分)の全てまたは一部をマイクロカプセルに内包させたものである。なお、画像記録層の構成成分は、マイクロカプセル外にも含有させることもできる。さらに、マイクロカプセルを含有する画像記録層は、疎水性の構成成分をマイクロカプセルに内包し、親水性の構成成分をマイクロカプセル外に含有することが好ましい態様である。
一方、本発明においては、画像記録層が、架橋樹脂粒子、すなわちミクロゲルを含有する態様であってもよい。このミクロゲルは、その中および/または表面に、画像記録層の構成成分の一部を含有することができる。特に、重合性化合物をその表面に有することによって反応性ミクロゲルとした態様が、画像形成感度や耐刷性の観点から特に好ましい。
画像記録層の構成成分をマイクロカプセル化、またはミクロゲル化する方法としては、公知の方法が適用できる。
例えば、マイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2800457号、同第2800458号明細書にみられるコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号の各明細書、特公昭38−19574号、同42−446号の各公報にみられる界面重合法による方法、米国特許第3418250号、同第3660304号明細書にみられるポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号明細書に見られるイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書に見られるイソシアナート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同第4087376号、同第4089802号の各明細書にみられる尿素―ホルムアルデヒド系または尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025445号明細書にみられるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号の各公報にみられるモノマー重合によるin situ法、英国特許第930422号、米国特許第3111407号明細書にみられるスプレードライング法、英国特許第952807号、同第967074号の各明細書にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、およびこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に、前述のバインダーポリマーに導入可能なエチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を有する化合物を導入してもよい。
一方、ミクロゲルを調製する方法としては、特公昭38−19574号、同42−446号明細書に記載されている界面重合による造粒、特開平5−61214号明細書に記載されているような非水系分散重合による造粒を利用することが可能である。但し、これらの方法に限定されるものではない。
上記界面重合を利用する方法としては、上述した公知のマイクロカプセル製造方法を応用することができる。
本発明に用いられる好ましいミクロゲルは、界面重合により造粒され3次元架橋を有するものである。このような観点から、使用する素材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、およびこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。
上記のマイクロカプセルやミクロゲルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましい。0.05〜2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
(共増感剤)
本発明の画像記録層には、感度を一層向上させる、または酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する連鎖移動剤または共増感剤などと呼ばれる公知の化合物を加えてもよい。
この様な化合物の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号、特開昭51−82102号、特開昭52−134692号、特開昭59−138205号、特開昭60−84305号、特開昭62−18537号、特開昭64−33104号、Research Disclosure 33825号記載の化合物、等が挙げられる。具体的には、トリエタノールアミン、N−フェニルグリシン、N−フェニルアスパラギン酸、およびp−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等のN,N−ジアルキルアニリン誘導体、等が挙げられる。
連鎖移動剤として作用する別の例としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が挙げられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、または、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成しうる。
本発明の画像記録層には、特に、チオール化合物(例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類、2−メルカプトベンズチアゾール類、2−メルカプトベンズオキサゾール類、3−メルカプトトリアゾール類、5−メルカプトテトラゾール類、等)を連鎖移動剤として好ましく用いることができる。
なかでも、特開2006−091479号公報などに記載の下記一般式(T)で表されるチオール化合物が特に好適に使用される。連鎖移動剤としてこのチオール化合物を用いることによって、臭気の問題、および画像記録層から蒸発や他の層への拡散による感度減少を回避し、保存安定性に優れ、さらには高感度で高耐刷の平版印刷版原版が得られる。
Figure 2009222938
一般式(T)中、Rは水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、AはN=C−N部分と共に炭素原子を有する5員または6員のヘテロ環を形成する原子団を表し、Aはさらに置換基を有してもよい。
さらに好ましくは下記一般式(TA)または一般式(TB)で表されるものが使用される。
Figure 2009222938
一般式(TA)および式(TB)中、Rは水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、Xは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシル基、アルキル基またはアリール基を表す。
以下に、一般式(T)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009222938
Figure 2009222938
Figure 2009222938
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Figure 2009222938
共増感剤または連鎖移動剤は、単独でまたは2種以上併用して用いることができる。
共増感剤または連鎖移動剤の使用量は画像記録層の全固形分に対し、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは1.0〜10質量%である。
(重合禁止剤)
画像記録層には、画像記録層の製造中または保存中において、重合性化合物の不要な熱重合を防止するために、少量の重合禁止剤を添加するのが好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好適に挙げられる。
重合禁止剤の添加量は、画像記録層の全固形分に対して、約0.01〜約5質量%が好ましい。
(界面活性剤)
画像記録層には、現像性の促進および塗布面状を向上させるために界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
本発明に用いられるノニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体が挙げられる。
本発明に用いられるアニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類が挙げられる。
本発明に用いられるカチオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
上記界面活性剤に関して、「ポリオキシエチレン」とあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等の「ポリオキシアルキレン」に読み替えることもでき、本発明においては、それらの界面活性剤も用いることができる。
更に好ましい界面活性剤としては、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系界面活性剤が挙げられる。このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン型;パーフルオロアルキルベタイン等の両性型;パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型;パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基および親水性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基および親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基を含有するウレタン等のノニオン型が挙げられる。また、特開昭62−170950号、同62−226143号および同60−168144号に記載のフッ素系界面活性剤も好適に挙げられる。
界面活性剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。界面活性剤の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜7質量%がより好ましい。
(親水性ポリマー)
画像記録層には、現像性の向上、マイクロカプセルまたはミクロゲルの分散安定性向上などのため、親水性ポリマーを含有させることができる。
親水性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、スルホ基、リン酸基等の親水性基を有するものが好適に挙げられる。
具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシピロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、加水分解度が60モル%以上、好ましくは80モル%以上である加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、ポリビニルピロリドン、アルコール可溶性ナイロン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンとのポリエーテル等が挙げられる。
親水性ポリマーの質量平均モル質量は、5000以上が好ましく、1万〜30万がより好ましい。親水性ポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよい。親水性ポリマーの含有量は、画像記録層全固形分の20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
(着色剤)
画像記録層には、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI45170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、および特開昭62−293247号に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料も好適に用いることができる。
着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。添加量は、画像記録層全固形分に対し、0.01〜10質量%が好ましい。
(焼き出し剤)
画像記録層には、焼き出し画像生成のため、酸またはラジカルによって変色する化合物を添加することができる。このような化合物としては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルーBOH(保土ケ谷化学(株)製)、オイルブルー#603、オイルピンク#312、オイルレッド5B、オイルスカーレット#308、オイルレッドOG、オイルレッドRR、オイルグリーン#502(以上オリエント化学工業(株)製)、スピロンレッドBEHスペシャル(保土ケ谷化学工業(株)製)、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシステアリルアミノ−4−p−N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等の染料やp,p',p"−ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)等のロイコ染料が挙げられる。
上記の他に、感熱紙や感圧紙用の素材として知られているロイコ染料も好適なものとして挙げられる。具体例としては、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチル)アミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)−フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メトキシ−7−アミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−ベンジルアミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7,8−ベンゾフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−ザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、などが挙げられる。
酸またはラジカルによって変色する化合物の好適な添加量は、画像記録層固形分に対して0.01〜15質量%である。
(高級脂肪酸誘導体)
画像記録層には、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体を添加し、塗布後の乾燥過程で画像記録層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、画像記録層の全固形分に対して、約0.1〜約10質量%が好ましい。
(可塑剤)
画像記録層は可塑剤を含有してもよい。可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカプリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレエート等の脂肪族二塩基酸エステル類;ポリグリシジルメタクリレート、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル等が好適に挙げられる。可塑剤の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、約30質量%以下が好ましい。
(無機微粒子)
画像記録層は、画像部の硬化皮膜強度向上のために、無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。無機微粒子は光熱変換性でなくても、皮膜の強化、表面粗面化による界面密着性の強化等のために用いられる。無機微粒子の平均粒径は、画像記録層中での分散安定性、十分な膜強度の保持、印刷時に汚れを生じにくい親水性に優れる非画像部の形成等の観点から、5nm〜10μmが好ましく、0.5〜3μmがより好ましい。無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。無機微粒子の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
(親水性低分子化合物)
画像記録層は、現像性向上のため、親水性低分子化合物を含有することができる。親水性低分子化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類およびそのエーテルまたはエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類およびその塩、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類およびその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類およびその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類およびその塩や、テトラエチルアミン塩酸塩等の有機4級アンモニウム塩等が挙げられる。
(感脂化剤)
本発明の平版印刷版原版では、着肉性向上のため、画像記録層にホスホニウム化合物を添加することができる。好適なホスホニウム化合物としては、特開2006−297907号公報に記載の下記一般式(K1)または特開2007−50660号公報に記載の下記一般式(K2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009222938
一般式(K1)において、R1〜R4は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、複素環基または水素原子を表す。R1〜R4の少なくとも2つが結合して環を形成してもよい。Xはカウンターアニオンを示す。
一般式(K2)において、Ar1〜Ar6は、各々独立してアリール基または複素環基を表し、Lは2価の連結基を表し、Xn−はn価のカウンターアニオンを表し、nは1〜3の整数を表し、mはn x m=2を満たす数を表す。ここでアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、ジメチルアミノフェニル基などが好適なものとして挙げられる。複素環基としては、ピリジル基、キノリル基、ピリミジニル基、チエニル基、フリル基などが挙げられる。Lは2価の連結基を表す。連結基中の炭素数は6〜15が好ましく、より好ましくは、炭素数6〜12の連結基である。Xn−はn価のカウンターアニオンを表し、好ましいものとしては、Cl、Br、Iなどのハロゲンアニオン、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、硫酸エステルアニオン、PF 、BF 、過塩素酸アニオンなどが挙げられる。中でも、Cl、Br、Iなどのハロゲンアニオン、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオンが特に好ましい。
上記一般式(K1)または(K2)で表されるホスホニウム化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2009222938
本発明に好適の用いられる感脂化剤として、上記ホスホニウム化合物の他に、次の含窒素低分子化合物が挙げられる。好ましい含窒素低分子化合物としては下記一般式(K3)の構造を有す。
Figure 2009222938
式中、R1〜R4は、それぞれ独立に置換または無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、複素環基または水素原子を表す。R1〜R4の少なくとも2つが結合して環を形成しても良い。Xはアニオンであり、PF 、BF 、またはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基ならびに複素環基から選ばれる置換基を有する有機スルホン酸アニオンを示す。
すなわち本発明に用いられる含窒素低分子化合物は、R1〜R4の少なくとも1つが水素原子であるアミン塩類、R1〜R4がいずれも水素原子でない第4級アンモニウム塩類でもよく、また下記一般式(K4)で示されるイミダゾリニウム塩類、下記一般式(K5)で示されるベンゾイミダゾリニウム塩類、下記一般式(K6)で示されるピリジニウム塩類、下記一般式(K7)で示されるキノリニウム塩類の構造でもよい。
Figure 2009222938
上記式中、RとRは、置換または無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、複素環基または水素原子を表す。Xはアニオンであり、前記一般式(K3)のXと同義である。
これらの中でも、第4級アンモニウム塩類、ピリジニウム塩類が好ましく用いられる。以下に、第4級アンモニウム塩類、ピリジニウム塩類の具体例を以下に示す。
Figure 2009222938
画像記録層への上記ホスホニウム化合物または含窒素低分子化合物の添加量は、画像記録層固形分の0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%が更に好ましく、0.1〜5質量%が最も好ましい。これらの範囲内で印刷途中の良好なインキ着肉性が得られる。
他にも、感脂化剤としては、アンモニウム基含有ポリマーも好適に使用できる。また、上記感脂化剤は、保護層に添加することもできる。
(画像記録層の形成)
本発明の画像記録層は、必要な上記各成分を溶剤に分散または溶解して塗布液を調製し、塗布される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独または混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
本発明の画像記録層は、同一または異なる上記各成分を同一または異なる溶剤に分散または溶解した塗布液を複数調製し、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成することも可能である。
画像記録層の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、良好な感度、良好な皮膜特性等を考慮して、一般的に0.3〜3.0g/m2が好ましい。
画像記録層の塗布には、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
〔保護層〕
本発明の保護層は、繰り返し単位としてアクリロニトリルを含有するポリマーを主成分として含有する。ここで、主成分として含有するとは、保護層を構成する固形分の60質量%以上であることを意味し、70質量%以上であることが好ましい。
保護層に関する前述の課題を解決するためには、画像記録層と保護層を積層する際、層間混合を防止することが重要である。このため、保護層に使用するアクリロニトリルを含むポリマーは、より高分子量であることまたはラテックスとして使用することが好ましい。
平版印刷版原版製造に関して、保護層の形成には塗布溶媒を水または水−有機溶剤混合系にすることが好適な形のひとつであり、アクリロニトリルを含むポリマーをラテックスとして使用することが特に好ましい。
しかし、前述のポリアクリロニトリルは水に不要であり、極性の高いポリマーであるため、安定な水分散物すなわちラテックスはいままで知られていなかった。そこで本発明者は、鋭意研究の結果、本発明の趣旨に従い、従来知られていなかったアクリロニトリルの単独重合体(ホモポリマー)のラテックス、または、繰り返し単位としてアクリロニトリルを高い含率で有するラテックスの合成法を同時に見出すに到った。
本発明の繰り返し単位としてアクリロニトリルを高い含率で有するラテックスは、特定のモノマー濃度、重合温度、開始剤種、開始剤濃度、界面活性剤種、界面活性剤濃度、その他の条件が満足されたときに、安定な分散安定性を発現する。
ラテックスの平均粒子径は、分散安定性の観点で、5μm以下が好ましく、4μm以下がより好ましく、3μm以下が特に好ましい。
上記ポリマー中のアクリロニトリル含有量は、60モル%以上含有することが好ましく、70モル%以上含有することがより好ましく、80モル%以上含有することが特に好ましく、90モル%以上含有することが最も好ましい。60モル%未満では、酸素遮断性の低下が大きくなり、良好な画像形成が得られない。
本発明のアクリロニトリルを含有するポリマーは、上記のアクリロニトリルの好適含有量を確保できる範囲内で、他の共重合成分を含有していてもよい。本発明で用いることができる他の共重合成分としては、(二元以上の)共重合が可能であれば特に限定されないが、例えば特公昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、(無水)マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、部分アミド化マレイン酸共重合体に使用されているモノマー、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、ビニル基を有する芳香族炭化水素環類、ビニル基を有するヘテロ芳香族環類、無水マレイン酸、イタコン酸エステル類、クロトン酸エステル類、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)クロトンニトリル、各種スチレン類、各種ベンゾイルオキシエチレン類、各種アセトキシエチレン類、ビニルカルバゾール類、ビニルピロリドン、等が挙げられる。
この中で、(メタ)アクリル酸、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のアルキルもしくはシクロアルキル(メタ)アクリレート、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のビシクロ環を有する(メタ)アクリレート、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のアラルキル(メタ)アクリレート、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のアリール(メタ)アクリレート、
(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよい炭素数1〜25の2級または3級のアルキルもしくはシクロアルキル(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよい炭素数1〜25の2級または3級のビシクロ環を有する(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよい炭素数1〜25の2級または3級のアラルキル(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよい炭素数1〜25の2級または3級のアリール(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよい炭素数1〜25の(メタ)アクリロイルモルホリン、
ビニル基を有する置換または無置換の炭素数1〜25の芳香族炭化水素環、ビニル基を有する置換または無置換の炭素数1〜25のヘテロ芳香族環、無水マレイン酸、置換または無置換の炭素数1〜25の(α−メチル−)スチレン、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、無水マレイン酸、置換または無置換の炭素数1〜25の部分エステル化マレイン酸共重合体、置換または無置換の炭素数1〜25の部分アミド化マレイン酸、メチルジャスモネート、
イタコン酸、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のイタコン酸アルキルもしくはシクロアルキルエステル、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のビシクロ環を有するイタコン酸エステル、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のイタコン酸アラルキルエステル、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のイタコン酸アリールエステル、
クロトン酸、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のクロトン酸アルキルもしくはシクロアルキルエステル、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のビシクロ環を有するクロトン酸エステル、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のクロトン酸アラルキルエステル、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のクロトン酸アリールエステル、
置換基を有していてもよい炭素数1〜25のベンゾイルオキシエチレン類、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のアセトキシエチレン類、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)クロトンニトリル、置換基を有していてもよい炭素数1〜25のビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、が好ましく、
中でも、(メタ)アクリル酸、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルもしくはシクロアルキル(メタ)アクリレート、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のビシクロ環を有する(メタ)アクリレート、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアラルキル(メタ)アクリレート、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアリール(メタ)アクリレート、
(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2級または3級のアルキルもしくはシクロアルキル(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2級または3級のビシクロ環を有する(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2級または3級のアラルキル(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2級または3級のアリール(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の(メタ)アクリロイルモルホリン、
ビニル基を有する置換または無置換の炭素数1〜20の芳香族炭化水素環、ビニル基を有する置換または無置換の炭素数の1〜20ヘテロ芳香族環、無水マレイン酸、置換または無置換の炭素数1〜20の部分エステル化マレイン酸共重合体、置換または無置換の炭素数1〜20の部分アミド化マレイン酸、置換または無置換の炭素数1〜20の(α−メチル−)スチレン類、メチルジャスモネート、
イタコン酸、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のイタコン酸アルキルもしくはシクロアルキルエステル、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のビシクロ環を有するイタコン酸エステル、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のイタコン酸アラルキルエステル、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のイタコン酸アリールエステル、
クロトン酸、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のクロトン酸アルキルもしくはシクロアルキルエステル、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のビシクロ環を有するクロトン酸エステル、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のクロトン酸アラルキルエステル、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のクロトン酸アリールエステル、
置換基を有していてもよい炭素数1〜20のベンゾイルオキシエチレン類、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアセトキシエチレン類、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)クロトンニトリル、がより好ましく、
特には、(メタ)アクリル酸、置換基を有していてもよい、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、直鎖または分岐のプロピル(メタ)アクリレート、直鎖または分岐のブチル(メタ)アクリレート、直鎖または分岐のペンチル(メタ)アクリレート、ノルマルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルマルヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノルマルオクチル(メタ)アクリレート、ノルマルデシル(メタ)アクリレート、ノルマルドデシル(メタ)アクリレート、
置換基を有していてもよいアダマンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルナンメチル(メタ)アクリレート、ノルボルネンメチル(メタ)アクリレート、置換基を有していてもよいベンジル(メタ)アクリレート、ナフチルメチル(メタ)アクリレート、アントラセンメチル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、置換基を有していてもよいフェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、
(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよいメチルもしくはジメチル(メタ)アクリルアミド、エチルもしくはジエチル(メタ)アクリルアミド、直鎖または分岐のプロピルもしくはジプロピル(メタ)アクリルアミド、直鎖または分岐のブチルもしくはジブチル(メタ)アクリルアミド、直鎖または分岐のペンチルもしくはジペンチル(メタ)アクリルアミド、ノルマルもしくはジノルマルヘキシル(メタ)アクリルアミド、シクロヘキシルもしくはジシクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、2−エチルヘキシルもしくはジ(2−エチルヘキシル)(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよいアダマンチル(メタ)アクリルアミド、ノルアダマンチル(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよいベンジル(メタ)アクリルアミド、ナフチルエチル(メタ)アクリルアミド、フェニルエチル(メタ)アクリルアミド、置換基を有していてもよいフェニルもしくはジフェニル(メタ)アクリルアミド、ナフチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ピペリジルアクリルアミド、ピロリジルアクリルアミド、
(α−メチル−)スチレン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、無水マレイン酸、メチルジャスモネート、(N−置換)マレイミド、イタコン酸、クロトン酸、置換基を有していてもよい、メチルクロトネート、エチル(クロトネート、直鎖または分岐のプロピルクロトネート、直鎖または分岐のブチルクロトネート、直鎖または分岐のペンチルクロトネート、ノルマルヘキシルクロトネート、シクロヘキシルクロトネート、ノルマルヘプチルクロトネート、2−エチルヘキシルクロトネート、ノルマルオクチルクロトネート、ノルマルデシルクロトネート、ノルマルドデシルクロトネート、置換基を有していてもよいアダマンチルクロトネート、イソボルニルクロトネート、ノルボルナンメチルクロトネート、ノルボルネンメチルクロトネート、置換基を有していてもよいベンジルクロトネート、ナフチルメチルクロトネート、アントラセンメチルクロトネート、フェニルエチルクロトネート、置換基を有していてもよいフェニルクロトネート、ナフチルクロトネート、
置換基を有していてもよいベンゾイルオキシエチレン、置換基を有していてもよいアセトキシエチレン、置換基を有していてもよいビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、等が好ましい。
また、上記のカルボキシル基は、金属塩となっていてもよい。
これらの置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアラルキル基、炭素数1〜20のアリール基、炭素数1〜20のアシルオキシ基、炭素数1〜20のアシル基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のアリールカルボニル基、炭素数1〜20のジアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、フリル基、フルフリル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロフルフリル基、アルキルチオ基、トリメチルシリル基、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、チエニル基、モルホリノ基、モルホリノカルボニル基、ビニル基、−SOM基(Mは、水素原子またはNa,K)、−COOM基(Mは、水素原子またはNa,K)、(メタ)アクリロイルオキシ基、フェニル基、等が好ましく、
更には、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基、炭素数1〜15のアラルキル基、炭素数1〜15のアリール基、炭素数1〜15のアシルオキシ基、炭素数1〜15のアシル基、炭素数1〜15のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜15のアリールカルボニル基、炭素数1〜15のジアルキルアミノ基、炭素数1〜15のアルキルアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、フリル基、フルフリル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロフルフリル基、アルキルチオ基、トリメチルシリル基、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、チエニル基、モルホリノ基、モルホリノカルボニル基、ビニル基、−SOM基(Mは、水素原子またはNa,K)、−COOM基(Mは、水素原子またはNa,K)、(メタ)アクリロイルオキシ基、フェニル基、等が好ましく、
特には、メチル基、エチル基、直鎖または分岐のプロピル基、直鎖または分岐のブチル基、直鎖または分岐のペンチル基、ノルマルヘキシル基、シクロヘキシル基、ノルマルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、ノルマルオクチル基、ノルマルデシル基、ノルマルドデシル基、メチルオキシ基、エチルオキシ基、直鎖または分岐のプロピルオキシ基、直鎖または分岐のブチルオキシ基、直鎖または分岐のペンチルオキシ基、ノルマルヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ノルマルヘプチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノルマルオクチルオキシ基、ノルマルデシルオキシ基、ノルマルドデシルオキシ基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、フェニル基、ナフチル基、
メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、直鎖または分岐のプロピルカルボニルオキシ基、直鎖または分岐のブチルカルボニルオキシ基、直鎖または分岐のペンチルカルボニルオキシ基、ノルマルヘキシルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、ノルマルヘプチルカルボニルオキシ基、2−エチルヘキシルカルボニルオキシ基、ノルマルオクチルカルボニルオキシ基、ノルマルデシルカルボニルオキシ基、ノルマルドデシルカルボニルオキシ基、
メチルカルボニル基(アセチル基)、エチルカルボニル基、直鎖または分岐のプロピルカルボニル基、直鎖または分岐のブチルカルボニル基、直鎖または分岐のペンチルカルボニル基、ノルマルヘキシルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、ノルマルヘプチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ノルマルオクチルカルボニル基、ノルマルデシルカルボニル基、ノルマルドデシルカルボニル基、
メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、直鎖または分岐のプロピルオキシカルボニル基、直鎖または分岐のブチルオキシカルボニル基、直鎖または分岐のペンチルオキシカルボニル基、ノルマルヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ノルマルヘプチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、ノルマルオクチルオキシカルボニル基、ノルマルデシルオキシカルボニル基、ノルマルドデシルオキシカルボニル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、
メチルもしくはジメチルアミノ基、エチルもしくはジアミノ基、直鎖または分岐のプロピルもしくはジプロピルアミノ基、直鎖または分岐のブチルもしくはジブチルアミノ基、直鎖または分岐のペンチルもしくはジペンチルアミノ基、ノルマルヘキシルもしくはジノルマルヘキシルアミノ基、シクロヘキシルもしくはジシクロヘキシルアミノ基、ノルマルヘプチルもしくはジノルマルヘプチルアミノ基、2−エチルヘキシルもしくはジ(2−エチルヘキシル)アミノ基、
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、フリル基、フルフリル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロフルフリル基、アルキルチオ基、トリメチルシリル基、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、チエニル基、モルホリノ基、モルホリノカルボニル基、ビニル基、−SOM基(Mは、水素原子またはNa,K)、−COOM基(Mは、水素原子またはNa,K)、(メタ)アクリロイルオキシ基、フェニル基、等が好ましい。
また、これらの置換基は更に上記の置換基で置換されていてもよい。
アルコール系ヒドロキシ基はTgを低下させる場合があるため、好ましい置換基の例から除外される。
その他親水性を有するモノマーとして、燐酸、燐酸エステル、第4級アンモニウム塩、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸およびその塩、モルホリノエチル基等を含んだモノマー等も有用である。
また、上記のスルホ基、カルボキシル基は、金属塩となっていてもよい。
共重合するモノマーの種類数も特には限定されないが、1〜12種が好ましく、1〜8種がより好ましく、1〜5種が特に好ましい。
本発明のアクリロニトリルを含有するポリマーの保護層中での含有量は、保護層固形分の5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上が最も好ましい。この範囲で、良好な酸素遮断性および着肉性が得られる。
本発明の保護層には、アクリロニトリルを含有するポリマーの機能を妨げない範囲で、その他のポリマーを併用できる。併用できるポリマーとしては水溶性ポリマー、水不溶性ポリマーのいずれをも適宜選択することができる。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニルの部分鹸化物、エチレン−ビニルアルコール共重合体、水溶性セルロース誘導体、ゼラチン、デンプン誘導体、アラビアゴム等の水溶性ポリマーや、ポリ塩化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリサルホン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、セロハン等のポリマー等が挙げられる。これらは、必要に応じて2種以上を併用して用いることもできる。
上記材料中で比較的有用な素材としては、結晶性に優れる水溶性高分子化合物が挙げられる。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリル酸等の水溶性アクリル樹脂、ゼラチン、アラビアゴム等が好適であり、中でも、水を溶媒として塗布可能であり、且つ、印刷時における湿し水により容易に除去されるという観点から、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾールが好ましい。その中でも、ポリビニルアルコール(PVA)は、酸素遮断性、現像除去性等の基本的な特性に対して最も良好な結果を与える。
保護層に用い得るポリビニルアルコールは、必要な水溶性を有する実質的量の未置換ビニルアルコール単位を含有するかぎり、一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていてもよい。また、同様に一部が他の共重合成分を含有していてもよい。例えば、カルボキシル基、スルホ基等のアニオンで変性されたアニオン変性部位、アミノ基、アンモニウム基等のカチオンで変性されたカチオン変性部位、シラノール変性部位、チオール変性部位等種々の親水性変性部位をランダムに有す各種重合度のポリビニルアルコール、前記のアニオン変性部位、前記のカチオン変性部位、シラノール変性部位、チオール変性部位、更にはアルコキシル変性部位、スルフィド変性部位、ビニルアルコールと各種有機酸とのエステル変性部位、前記アニオン変性部位とアルコール類等とのエステル変性部位、エポキシ変性部位等種々の変性部位をポリマー鎖末端に有す各種重合度のポリビニルアルコール等も好ましく用いられる。
これら変性ポリビニルアルコールは71〜100モル%加水分解された重合度300〜2400の範囲の化合物が好適に挙げられる。具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105,PVA−110,PVA−117,PVA−117H,PVA−120,PVA−124,PVA124H,PVA−CS,PVA−CST,PVA−HC,PVA−203,PVA−204,PVA−205,PVA−210,PVA−217,PVA−220,PVA−224,PVA−217EE,PVA−217E,PVA−220E,PVA−224E,PVA−405,PVA−420,PVA−613,L−8等が挙げられる。また変性ポリビニルアルコールとしては、アニオン変性部位を有すKL−318、KL−118、KM−618、KM−118、SK−5102、カチオン変性部位を有すC−318、C−118、CM−318、末端チオール変性部位を有すM−205、M−115、末端スルフィド変性部位を有すMP−103、MP−203、MP−102、MP−202、高級脂肪酸とのエステル変性部位を末端に有すHL−12E、HL−1203、その他反応性シラン変性部位を有すR−1130、R−2105、R−2130等が挙げられる。
また保護層には層状化合物を含有してもよい。層状化合物とは薄い平板状の形状を有する粒子であり、例えば、下記一般式
A(B,C)2−510(OH,F,O)
〔ただし、AはLi,K,Na,Ca,Mg,有機カチオンの何れか、BおよびCはFe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、DはSiまたはAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群、式3MgO・4SiO・H2Oで表されるタルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、リン酸ジルコニウムなどが挙げられる。
保護層に用いられる天然雲母としては白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母および鱗雲母が挙げられる。また、合成雲母としては、フッ素金雲母KMg(AlSi10)F、カリ四ケイ素雲母KMg2.5Si10)F等の非膨潤性雲母、およびNaテトラシリリックマイカNaMg2.5(Si10)F、NaまたはLiテニオライト(Na,Li)MgLi(Si10)F、モンモリロナイト系のNaまたはLiヘクトライト(Na,Li)1/8Mg2/5Li1/8(Si10)F等の膨潤性雲母等が挙げられる。また合成スメクタイトも有用である。
上記の層状化合物の中でも、合成の層状化合物であるフッ素系の膨潤性雲母が、入手容易性、均一性の観点から特に有用である。すなわち、雲母、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト等の膨潤性粘土鉱物類等は、10〜15Å程度の厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘度鉱物より著しく大きい。その結果、格子層は正電荷不足を生じ、それを補償するために層間にLi+、Na+、Ca2+、Mg2+、アミン塩、第4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩およびスルホニウム塩等の有機カチオンの陽イオンを吸着している。これらの層状化合物は水により膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。ベントナイトおよび膨潤性合成雲母はこの傾向が強い。
層状化合物の形状としては、拡散制御の観点からは、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性や活性光線の透過性を阻害しない限りにおいて大きいほどよい。従って、アスペクト比は20以上であり、好ましくは100以上、特に好ましくは200以上である。なお、アスペクト比は粒子の長径に対する厚さの比であり、たとえば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アスペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
層状化合物の粒子径は、その平均径が1〜20μm、好ましくは1〜10μm、特に好ましくは2〜5μmである。粒子径が1μmよりも小さいと酸素や水分の透過の抑制が不十分であり、効果を十分に発揮できない。また20μmよりも大きいと塗布液中での分散安定性が不十分であり、安定的な塗布を行うことができない問題が生じる。また、該粒子の平均の厚さは、0.1μm以下、好ましくは、0.05μm以下、特に好ましくは、0.01μm以下である。例えば、無機質の層状化合物のうち、代表的化合物である膨潤性合成雲母のサイズは厚さが1〜50nm、面サイズが1〜20μm程度である。
このようにアスペクト比が大きい無機質の層状化合物の粒子を保護層に含有させると、塗膜強度が向上し、また、酸素や水分の透過を効果的に防止しうるため、変形などによる保護層の劣化を防止し、高湿条件下において長期間保存しても、湿度の変化による平版印刷版原版における画像形成性の低下もなく保存安定性に優れる。
保護層中の無機質層状化合物の含有量は、保護層に使用されるバインダーの量に対し、質量比で5/1〜1/100であることが好ましい。複数種の無機質の層状化合物を併用した場合でも、これら無機質の層状化合物の合計量が上記の質量比であることが好ましい。
保護層の他の組成物として、グリセリン、ジプロピレングリコール等を(共)重合体に対して数質量%相当量添加して可撓性を付与することができ、また、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤;アルキルアミノカルボン酸塩、アルキルアミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤を添加することができる。これら活性剤の添加量は(共)重合体に対して0.1〜100質量%添加することができる。
また、画像部との密着性を良化させるため、例えば、特開昭49−70702号公報および英国特許出願公開第1303578号明細書には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルション、水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体等を20〜60質量%混合させ、画像記録層上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。本発明においては、これらの公知の技術をいずれも用いることができる。
更に、保護層には、他の機能を付与することもできる。例えば、露光に用いられる赤外線の透過性に優れ、かつ、それ以外の波長の光を効率よく吸収しうる、着色剤(例えば、水溶性染料)の添加により、感度低下を引き起こすことなく、セーフライト適性を向上させることができる。
次に、保護層に用いる層状化合物の一般的な分散方法の例について述べる。まず、水100質量部に先に層状化合物の好ましいものとして挙げた膨潤性の層状化合物を5〜10質量部添加し、充分水になじませ、膨潤させた後、分散機にかけて分散する。ここで用いる分散機としては、機械的に直接力を加えて分散する各種ミル、大きな剪断力を有する高速攪拌型分散機、高強度の超音波エネルギーを与える分散機等が挙げられる。具体的には、ボールミル、サンドグラインダーミル、ビスコミル、コロイドミル、ホモジナイザー、ティゾルバー、ポリトロン、ホモミキサー、ホモブレンダー、ケディミル、ジェットアジター、毛細管式乳化装置、液体サイレン、電磁歪式超音波発生機、ポールマン笛を有する乳化装置等が挙げられる。上記の方法で分散した無機質層状化合物の5〜10質量%の分散物は高粘度あるいはゲル状であり、保存安定性は極めて良好である。この分散物を用いて保護層塗布液を調製する際には、水で希釈し、充分攪拌した後、バインダー溶液と配合して調製するのが好ましい。
この保護層塗布液には、塗布性を向上させためのアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤や皮膜の物性改良のため水溶性可塑剤などの公知の添加剤を加えることができる。水溶性の可塑剤としては、例えば、プロピオンアミド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーを加えることもできる。更に、この塗布液には、画像記録層との密着性、塗布液の経時安定性を向上するための公知の添加剤を加えてもよい。
このように調製された保護層塗布液を、支持体上に備えられた画像記録層の上に塗布し、乾燥することで保護層を形成する。塗布溶剤はバインダーとの関連において適宜選択することができるが、水溶性ポリマーを用いる場合には、蒸留水、精製水を用いることが好ましい。保護層の塗布方法は、特に制限されるものではなく、米国特許第3,458,311号明細書または特公昭55−49729号公報に記載されている方法など公知の方法を適用することができる。具体的には、例えば、保護層は、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等が挙げられる。
保護層の塗布量としては、乾燥後の塗布量で、0.01〜10g/mの範囲であることが好ましく、0.02〜3g/mの範囲がより好ましく、最も好ましくは0.02〜1g/mの範囲である。
〔支持体〕
本発明の平版印刷版原版に用いられる支持体は、特に限定されず、寸度的に安定な板状の親水性支持体であればよい。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記金属がラミネートされまたは蒸着された紙またはプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルムおよびアルミニウム板が挙げられる。中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
アルミニウム板は、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板および、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものを含む。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は10質量%以下が好ましい。完全に純粋なアルミニウム板は精錬技術上製造が困難であるので、微量の異元素を含有する合金板が好適に用いられる。アルミニウム板は、その組成が限定されるものではなく、公知公用のものを適宜利用することができる。アルミニウム板の厚さは0.1〜0.6mmが好ましく、0.15〜0.4mmがより好ましく、0.2〜0.3mmが更に好ましい。
アルミニウム板には、粗面化処理、陽極酸化処理等の表面処理を施すのが好ましい。表面処理により、親水性の向上および画像記録層との密着性の確保が容易になる。アルミニウム板の粗面化処理に先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するために界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
アルミニウム板表面の粗面化処理は種々の方法により行われ、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(電気化学的に表面を溶解させる粗面化処理)、化学的粗面化処理(化学的に表面を選択溶解させる粗面化処理)が挙げられる。機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等が挙げられる。電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流または直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
粗面化処理されたアルミニウム板は、必要に応じて、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてアルカリエッチング処理され、更に、中和処理された後、所望により、耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理には、多孔質酸化皮膜を形成させる種々の電解質が用いられる。一般的には、硫酸、塩酸、シュウ酸、クロム酸またはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80質量%溶液、液温度5〜70℃、電流密度5〜60A/d m2 、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であるのが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、良好な耐刷性と非画像部の良好な耐傷性等の観点から、1.0〜5.0g/m2が好ましく、1.5〜4.0g/m2がより好ましい。
支持体としては、上記のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板そのままでもよいが、上層との蜜着性、親水性、汚れ難さ、断熱性などの一層の改良のため、必要に応じて、公知の処理方法、例えば、特開2001−253181号や特開2001−322365号に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、マイクロポアの封孔処理、親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理などを適宜選択して行うことができる。。
封孔処理としては、水蒸気による封孔処理、フッ化ジルコン酸の単独処理、フッ化ナトリウムによる処理など無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、塩化リチウムを添加した蒸気封孔処理、熱水による封孔処理などが挙げられる。なかでも、無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、水蒸気による封孔処理および熱水による封孔処理が好ましい。
親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号および同第3,902,734号に記載されているようなアルカリ金属シリケート法がある。この方法においては、支持体をケイ酸ナトリウム等の水溶液で浸漬処理または電解処理する。そのほかに、特公昭36−22063号に記載されているフッ化ジルコン酸カリウムで処理する方法、米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号および同第4,689,272号に記載されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が挙げられる。
支持体としてポリエステルフィルムなど表面の親水性が不十分な支持体を用いる場合は、親水層を塗布して表面を親水性にすることが望ましい。親水層としては、特開2001−199175号に記載の、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウム、アンチモンおよび遷移金属から選択される少なくとも一つの元素の酸化物または水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層や、特開2002−79772号に記載の、有機親水性ポリマーを架橋あるいは疑似架橋することにより得られる有機親水性マトリックスを有する親水層や、ポリアルコキシシラン、チタネート、ジルコネートまたはアルミネートの加水分解、縮合反応からなるゾル−ゲル変換により得られる無機親水性マトリックスを有する親水層、あるいは、金属酸化物を含有する表面を有する無機薄膜からなる親水層が好ましい。中でも、珪素の酸化物または水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。
また、支持体としてポリエステルフィルム等を用いる場合には、支持体の親水性層側または反対側、あるいは両側に、帯電防止層を設けるのが好ましい。帯電防止層を支持体と親水性層との間に設けた場合には、親水性層との密着性向上にも寄与する。帯電防止層としては、特開2002−79772号に記載の金属酸化物微粒子やマット剤を分散したポリマー層等が使用できる。
支持体の中心線平均粗さは、画像記録層との良好な密着性、良好な耐刷性、良好な汚れ難さ等の観点から、0.10〜1.2μmが好ましい。また、支持体の色濃度は、画像露光時のハレーション防止による良好な画像形成性、現像後の良好な検版性等の観点から、反射濃度値として0.15〜0.65が好ましい。
〔下塗り層〕
平版印刷版原版においては、必要に応じて、画像記録層と支持体との間に下塗り層(中間層と呼ばれることもある。)が設けられる。下塗り層は、未露光部において、画像記録層の支持体からのはく離を生じやすくさせるため、現像性が向上する。また、赤外線レーザー露光の場合は、下塗り層が断熱層として機能することにより、露光により発生した熱が支持体に拡散せず効率よく利用されるようになるため、高感度化が図れるという利点がある。以下に、本発明の下塗り層に用いられる成分などについて説明する。
下塗り層用化合物としては、具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物等が好適に挙げられる。
最も好ましい下塗り層用化合物としては、吸着性基、親水性基、および架橋性基を有する高分子樹脂が挙げられる。この高分子樹脂は、吸着性基を有するモノマー、親水性基を有するモノマー、および架橋性基を有するモノマーを共重合してなることが好ましい。
下塗り層用の高分子樹脂は、親水性支持体表面への吸着性基を有することが好ましい。親水性支持体表面への吸着性の有無は、例えば、以下のような方法で判断できる。
試験化合物を易溶性の溶媒に溶解させた塗布夜を作製し、その塗布夜を乾燥後の塗布量が30mg/m2となるように支持体上に塗布・乾燥させる。次に、試験化合物を塗布した支持体を、易溶性溶媒を用いて十分に洗浄した後、洗浄除去されなかった試験化合物の残存量を測定して支持体吸着量を算出する。ここで残存量の測定は、残存化合物量を直接定量してもよいし、洗浄液中に溶解した試験化合物量を定量して算出してもよい。化合物の定量は、例えば、蛍光X線測定、反射分光吸光度測定、液体クロマトグラフィー測定などで実施できる。支持体吸着性がある化合物は、上記のような洗浄処理を行っても1mg/m2以上残存する化合物である。
親水性支持体表面への吸着性基は、親水性支持体表面に存在する物質(例えば、金属、金属酸化物)、あるいは官能基(例えば、ヒドロキシ基)と、化学結合(例えば、イオン結合、水素結合、配位結合、分子間力による結合)を引き起こすことができる官能基である。吸着性基は、酸基またはカチオン性基が好ましい。
酸基は、酸解離定数(pKa)が7以下であることが好ましい。酸基の例は、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシル基、−SO3H、−OSO3H、−PO32、−OPO32、−CONHSO2−、−SO2NHSO2、−COCH2COCH3が挙げられる。なかでも、−OPO32、およびPO32が特に好ましい。またこれら酸基は、金属塩であっても構わない。
カチオン性基は、オニウム基であることが好ましい。オニウム基の例は、アンモニウム基、ホスホニウム基、アルソニウム基、スチボニウム基、オキソニウム基、スルホニウム基、セレノニウム基、スタンノニウム基、ヨードニウム基が挙げられる。なかでも、アンモニウム基、ホスホニウム基、およびスルホニウム基が好ましく、アンモニウム基、およびホスホニウム基がさらに好ましく、アンモニウム基が最も好ましい。
下塗り層用化合物として好適な高分子樹脂を合成する際に用いられる、吸着性基を有するモノマーの特に好ましい例としては、下記一般式(U1)または一般式(U2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009222938
上記一般式(U1)および(U2)中、R1、R2、およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、または炭素原子数が1乃至6のアルキル基である。
1、R2、およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、または炭素原子数が1乃至6のアルキル基であることが好ましく、水素原子、または炭素原子数が1乃至3のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子、またはメチル基であることが最も好ましい。R2およびR3は、水素原子であることが特に好ましい。
Zは、親水性支持体表面に吸着する官能基であり、該吸着性の官能基については、前述した通りである。
一般式(U1)および(U2)において、Lは、単結合、または2価の連結基である。
Lは、2価の脂肪族基(アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(アリレン基、置換アリレン基)、または2価の複素環基であるか、あるいはそれらと、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ(−NH−)、置換イミノ(−NR−、Rは脂肪族基、芳香族基または複素環基)、またはカルボニル(−CO−)との組み合わせであることが好ましい。
前記2価の脂肪族基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。2価の脂肪族基の炭素原子数は、1乃至20が好ましく、1乃至15がさらに好ましく、1乃至10が最も好ましい。また、2価の脂肪族基は、不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。さらに、2価の脂肪族基は、置換基を有していてもよく、その置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、芳香族基、複素環基が挙げられる。
前記2価の芳香族基の炭素原子数は、6乃至20が好ましく、6乃至15がさらに好ましく、6乃至10が最も好ましい。また、2価の芳香族基は、置換基を有していてもよく、その置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族基、芳香族基、複素環基が挙げられる。
前記2価の複素環基は、複素環として5員環または6員環を有することが好ましい。また、複素環に他の複素環、脂肪族環または芳香族環が縮合していてもよい。2価の複素環基は、置換基を有していてもよく、その置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R、Rは脂肪族基、芳香族基または複素環基)、脂肪族基、芳香族基、複素環基が挙げられる。
本発明において、Lは、複数のポリオキシアルキレン構造を含む二価の連結基であることが好ましい。ポリオキシアルキレン構造は、ポリオキシエチレン構造であることがさらに好ましい。言い換えると、Lは、−(OCH2CH2n−(nは2以上の整数)を含むことが好ましい。
一般式(U1)において、Xは、酸素原子(−O−)、またはイミノ(−NH−)である。Xは、酸素原子であることがさらに好ましい。
一般式(U2)において、Yは炭素原子または窒素原子である。Y=窒素原子でY上にLが連結し四級ピリジニウム基になった場合、それ自体が吸着性を示すことからZは必須ではなく、Zが水素原子でもよい。
以下に、一般式(U1)または一般式(U2)で表される代表的な化合物の例を示す。
Figure 2009222938
下塗り層用化合物として好適な高分子樹脂は親水性基を有することが好ましく、この親水性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、スルホ基、リン酸基等が好適に挙げられる。なかでも、高親水性を示すスルホ基が好ましい。
スルホ基を有するモノマーの具体例としては、メタリルオキシベンゼンスルホン酸,アリルオキシベンゼンスルホン酸,アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、メタリルスルホン酸、アクリルアミドt−ブチルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(3−アクリロイルオキシプロピル)ブチルスルホン酸のナトリウム塩、アミン塩が挙げられる。なかでも、親水性能および合成の取り扱いから、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩が好ましい。
これらは下塗り層用化合物として好適な高分子樹脂を合成する際に好適に用いられる。
本発明における下塗り層用の高分子樹脂は架橋性基を有することが好ましい。架橋性基によって画像部との密着の向上が得られる。下塗り層用の高分子樹脂に架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の側鎖中に導入したり、高分子樹脂の極性置換基と対荷電を有する置換基とエチレン性不飽和結合を有する化合物で塩構造を形成させたりして導入することができる。
分子の側鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドのポリマーであって、エステルまたはアミドの残基(−COORまたはCONHRのR)がエチレン性不飽和結合を有するポリマーを挙げることができる。
エチレン性不飽和結合を有する残基(上記R)の例としては、−(CH2nCR1=CR23、−(CH2O)nCH2CR1=CR23、−(CH2CH2O)nCH2CR1=CR23、−(CH2nNH−CO−O−CH2CR1=CR23、−(CH2n−O−CO−CR1=CR23、および(CH2CH2O)2−X(式中、R1〜R3はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基を表し、R1とR2またはR3とは互いに結合して環を形成してもよい。nは、1〜10の整数を表す。Xは、ジシクロペンタジエニル残基を表す。)を挙げることができる。
エステル残基の具体例としては、−CH2CH=CH2(特公平7−21633号公報に記載されている。)、−CH2CH2O−CH2CH=CH2、−CH2C(CH3)=CH2、−CH2CH=CH−C65、−CH2CH2OCOCH=CH−C65、−CH2CH2NHCOO−CH2CH=CH2、およびCH2CH2O−X(式中、Xはジシクロペンタジエニル残基を表す。)が挙げられる。
アミド残基の具体例としては、−CH2CH=CH2、−CH2CH2O−Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)、−CH2CH2OCO−CH=CH2が挙げられる。
下塗り層用の高分子樹脂の架橋性基を有するモノマーとしては、上記架橋性基を有するアクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドが好適である。
下塗り層用高分子樹脂中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、高分子樹脂1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。この範囲で、良好な感度と汚れ性の両立、および良好な保存安定性が得られる。
下塗り層用の高分子樹脂は、質量平均モル質量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましく、また、数平均モル質量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。多分散度(質量平均モル質量/数平均モル質量)は、1.1〜10であるのが好ましい。
下塗り層用の高分子樹脂は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよいが、ランダムポリマーであるのが好ましい。
下塗り用の高分子樹脂は単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の下塗り層は、生版経時における汚れ防止するため、第2級または第3級アミンや重合禁止剤を含有することができる。第2級または第3級アミンとしては、イミダゾール、4−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、トリス(2−ヒドロキシー1−メチル)アミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、1,5,7−トリアザビシクロ[4,4,0]デカ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、1,10−フェナントロリン、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ビフェニル、ジフェニルアミン、1,3−ジフェニルグアニジン、4−フェニルピリジン、N,N’−エチレンビス(2,2,5,5−テトラメチルピロリジン)などが挙げられる。
重合禁止剤としては、公知の熱重合禁止剤が挙げられる。なかでも好ましい重合禁止剤は、フェノール系ヒドロキシ基含有化合物、キノン化合物類、N−オキシド化合物類、ピペリジン−1−オキシル フリーラジカル化合物類、ピロリジン−1−オキシル フリーラジカル化合物類、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン類、ジアゾニウム化合物類、カチオン染料類、スルフィド基含有化合物、ニトロ基含有化合物、およびFeCl3 、CuCl2 等の遷移金属化合物からなる群より選択される化合物である。上記の化合物のなかでも特にキノン化合物類が好適である。キノン化合物類の具体例としては、1,4−ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン、クロラニル、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン、ナフトキノン、2−フルオロ−1,4−ナフトキノン、2−ヒドロキシエチル−1,4−ナフトキノン、アントラキノン、1,2,4−トリヒドロキシアントラキノン、2,6−ジヒドロキシアントラキノン、などが挙げられる。
下塗り層へのこれらの化合物の添加量は、下塗り層構成成分の10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がさらに好ましく、30〜70質量%が最も好ましい。
また、前記汚れ防止に効果のある化合物として、アミノ基または重合禁止能を有する官能基と、アルミニウム支持体表面と相互作用する基とを有する化合物を用いることもできる。アルミニウム支持体表面と相互作用する基としては、トリアルコキシシリル基、オニウム基、またはフェノール性ヒドロキシ基、カルボキシル基、−SO3H、−OSO3H、−PO32、−OPO32、−CONHSO2−、−SO2NHSO2−およびCOCH2CO−から選ばれる酸基もしくはその金属塩などが挙げられる。
アミノ基とアルミニウム支持体表面との相互作用基を有する化合物の例としては、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンと酸との塩、4−アザ−1−アゾニアビシクロ[2,2,2]オクタン構造を少なくとも1つ有する化合物(例えば、1−メチル−4−アザ−1−アゾニアビシクロ[2,2,2]オクタン=p−トルエンスルホナート)、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、1,3−プロパンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、などが挙げられる。重合禁止能を有する官能基とアルミニウム支持体表面と相互作用する基を有する化合物としては、2−トリメトキシシリルプロピルチオ−1,4−ベンゾキノン、2、5−ビス(トリメトキシシリルプロピルチオ)−1,4−ベンゾキノン、2―カルボキシアントラキノン、2−トリメチルアンモニオアントラキノン=クロリドなどが挙げられる。
下塗り層用塗布液は、上記下塗り用の高分子樹脂および必要な添加物を有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトンなど)および/または水に溶解して得られる。下塗り層用塗布液には、赤外線吸収剤を含有させることもできる。
下塗り層用塗布液を支持体に塗布する方法としては、公知の種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/m2であるのが好ましく、1〜30mg/m2であるのがより好ましい。
〔バックコート層〕
支持体に表面処理を施した後または下塗り層を形成させた後、必要に応じて、支持体の裏面にバックコートを設けることができる。
バックコートとしては、例えば、特開平5−45885号に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号に記載されている有機金属化合物または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。中でも、Si(OCH3 4 、Si(OC2 5 4 、Si(OC3 7 4 、Si(OC4 9 4 等のケイ素のアルコキシ化合物を用いることが原料を安価で入手しやすい点で好ましい。
〔製版方法〕
(画像露光)
本発明の平版印刷版原版は、350〜1200nmに発振波長を有するレーザーで画像露光を行うことが好ましい。
350nm〜450nmの入手可能なレーザー光源としては以下のものを利用することができる。
ガスレーザとして、Arイオンレーザ(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザ(356nm、351nm、10mW〜1W)、He−Cdレーザー(441nm、325nm、1mW〜100mW)、固体レーザーとして、Nd:YAG(YVO4)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355nm、5mW〜1W)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm、10mW)、半導体レーザー系として、KNbO3リング共振器(430nm、30mW)、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)、その他、パルスレーザとしてN2レーザ(337nm、パルス0.1〜10mJ)、XeF(351nm、パルス10〜250mJ)。特にこの中でAlGaInN半導体レーザー(市販InGaN系半導体レーザー400〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
走査露光方式の平版印刷版原版露光装置としては、露光機構として内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式があり、光源としては上記光源の中で連続発振可能なものが好ましく利用することができる。現実的には平版印刷版原版(以下感材ともいう)の感度と製版時間の関係で、以下の露光装置が特に好ましい。
・内面ドラム方式で総出力20mW以上の半導体レーザーとなる様に、ガスレーザあるいは固体レーザー光源を1個以上使用するシングルビーム〜トリプルビームの露光装置 ・フラットベッド方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜10本)の露光装置。
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜9本)の露光装置。
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(10本以上)の露光装置。
以上のようなレーザー直描型の平版印刷版原版においては、一般に感材感度X(J/cm2)、感材の露光面積S(cm2)、レーザー光源1個のパワーq(W)、レーザー本数n、全露光時間t(s)との間に式(eq 1)が成立する。
X・S=n・q・t (eq 1)
i)内面ドラム(シングルビーム)方式の場合:
レーザー回転数f(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)の間には一般的に式(eq 2)が成立する。
f・Z・t=Lx (eq 2)
ii)外面ドラム(マルチビーム)方式の場合:
ドラム回転数F(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 3)が成立する。
F・Z・n・t=Lx (eq 3)
iii)フラットヘッド(マルチビーム)方式の場合:
ポリゴンミラーの回転数H(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 4)が成立する。
H・Z・n・t=Lx (eq 4)
実際の印刷版原版に要求される解像度(2560dpi)、版サイズ(A1/B1、副走査長42inch)、20枚/1時間程度の露光条件と本発明に係る平版印刷版原版の感光特性(感光波長、感度:約0.1mJ/cm2)を上記式に代入することで、本発明に係る平版印刷版原版においては総出力20mW以上のレーザーを用いたマルチビーム露光方式との組み合わせが特に好ましいことが理解できる。さらに操作性、コスト等を掛け合わせることにより外面ドラム方式の半導体レーザーマルチビーム(10本以上)露光装置との組み合わせが最も好ましいことになる。
平版印刷版原版の画像露光は、赤外線レーザーで行うこともできる。本発明に用いられる赤外線レーザーは、特に限定されないが、波長760〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザーおよび半導体レーザーが好適に挙げられる。赤外線レーザーの出力は、100mW以上であるのが好ましい。また、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザーデバイスを用いるのが好ましい。1画素あたりの露光時間は、20μ秒以内であるのが好ましい。また、照射エネルギー量は、10〜300mJ/cm2 であるのが好ましい。
本発明に使用可能な他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視および紫外の各種レーザーランプ、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等がある。
(加熱)
本発明の平版印刷版原版は、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面を加熱してもよい。この様な加熱により、画像記録層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や感度の安定化といった利点が得られる。さらに、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱もしくは全面露光を行う事も有効である。通常現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行う事が好ましい。温度が高すぎると、非画像部迄がかぶってしまう等の問題を生じることがある。現像後の加熱には非常に強い条件を利用する。通常は200〜500℃の範囲である。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じることがある。
本発明においては、上記の通り、露光工程の後、直ちに現像処理を行ってもよいが、露光工程と現像工程との間に加熱処理工程を設けることもできる。この加熱処理は、耐刷性を向上させ、さらに画像硬化度の版面内での均一性を高める効果があり、その条件はそれら効果のある範囲で適宜設定することができる。加熱手段としては、慣用の対流オーブン、IR照射装置、IRレーザー、マイクロ波装置、ウィスコンシンオーブン等を挙げることができる。具体的には、版面到達温度が70〜150℃の範囲で、1秒〜5分間の間で保持することにより行うことができる。好ましくは80℃〜140℃で5〜1分間、より好ましくは90℃〜130℃で10〜30秒間である。この範囲で、上記の効果を効率よく得られ、また熱による印刷版の変形などの悪影響が無い点で好ましい。
本発明においては上述の露光工程、好ましくは加熱処理工程の後に、現像処理工程が施され平版印刷版を得る。露光工程に用いられるプレートセッタ、加熱処理に用いられる加熱処理手段および現像処理工程に使用される現像装置はお互いに接続されて、自動的に連続処理されることが好ましい。具体的にはプレートセッタと、現像装置がコンベアなどの運搬手段によって結合されている製版ラインである。プレートセッタと現像装置の間に加熱処理手段が入っていても良く、加熱手段と現像装置は一体の装置となっていてもよい。
使用する平版印刷版原版が作業環境における周囲の光の影響を受け易い場合は、上記の製版ラインがフィルターまたはカバーなどで遮光されていることが好ましい。
画像形成した後、紫外線光などの活性光線で全面露光を行い、画像部の硬化促進を行ってもよい。全面露光時の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、水銀灯、ガリウム灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、各種レーザー光などが挙げられる。さらに、十分な耐刷性を得るためには全面露光量としては少なくとも10mJ/cm2以上が好ましく、より好ましくは100mJ/cm2以上である。
上記全面露光時に同時に加熱を行ってもよく、加熱を行うことによりさらに耐刷性の向上が認められる。加熱装置としては、慣用の対流オーブン、IR照射装置、IRレーザー、マイクロ波装置、ウィスコンシンオーブン等を挙げることができる。このとき版面温度は好ましく30℃〜150℃、より好ましくは35〜130℃、更に好ましくは40〜120℃である。
(現像処理)
本発明の平版印刷版原版の製版方法として、上述のようにレーザーで画像様に露光し必要に応じて版全面を加熱した後に、擦り部材を備えた自動処理機により、pHが2〜10の現像液の存在下、擦り部材で版面を擦ることにより、非露光部の画像記録層を除去して平版印刷版を得ることが好ましい。
本発明において用いられる現像液は、例えば、水単独または水を主成分(水を60質量%以上含有)とする水溶液が好ましく、特に、一般的に公知の湿し水と同様な組成の水溶液、界面活性剤(アニオン系、ノニオン系、カチオン系等)を含有する水溶液や、水溶性高分子化合物を含有する水溶液が好ましい。特に、界面活性剤と水溶性高分子化合物の両方を含有する水溶液が好ましい。現像液のpHは、より好ましくは3〜8、さらに好ましくは4〜7である。
本発明に用いられるアニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類およびアルキルナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
本発明に用いられるカチオン系界面活性剤としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本発明に用いられるノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型の高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー等や、多価アルコール型のグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。
本発明においては、ソルビトールおよび/またはソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー、多価アルコールの脂肪酸エステルがより好ましい。
また、水に対する安定な溶解性あるいは混濁性の観点から、本発明の現像液に使用するノニオン系界面活性剤としては、HLB(Hydorophile−Lipophile
Balance)値が、6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。
またアセチレングリコール系とアセチレンアルコール系のオキシエチレン付加物、フッ素系、シリコン系等の界面活性剤も同様に使用することができる。
本発明の現像液に使用する界面活性剤としては、抑泡性の観点から、ノニオン性界面活性剤が特に好適である。
界面活系剤は、単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。界面活系剤の現像液中における含有量は、0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%である。
また、本発明の現像液に用いられる水溶性高分子化合物としては、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、繊維素誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)およびその変性体、プルラン、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドおよびアクリルアミド共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
上記大豆多糖類は、公知ものが使用でき、例えば市販品として商品名ソヤファイブ(不二製油(株)製)があり、各種グレードのものを使用することができる。好ましく使用できるものは、10質量%水溶液の粘度が10〜100mPa/secの範囲にあるものである。上記変性澱粉も、公知のものが使用でき、トウモロコシ、じゃがいも、タピオカ、米、小麦等の澱粉を酸または酵素等で1分子当たりグルコース残基数5〜30の範囲で分解し、更にアルカリ中でオキシプロピレンを付加する方法等で作ることができる。
水溶性高分子化合物は2種以上を併用することもできる。水溶性高分子化合物の現像液中における含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%である。
また、本発明の現像液は、有機溶剤を含有してもよい。含有可能な有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、アイソパーE、H、G(エッソ化学(株)製)、ガソリン、灯油等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)や、極性溶剤が挙げられる。
極性溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、メチルフェニルカルビノール、n−アミルアルコール、メチルアミルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、乳酸メチル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート、レブリン酸ブチル等)、その他(トリエチルフォスフェート、トリクレジルホスフェート、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン等)等が挙げられる。
また、上記有機溶剤が水に不溶な場合は、界面活性剤等を用いて水に可溶化して使用することも可能である。現像液が有機溶剤を含有する場合は、安全性、引火性の観点から、溶剤の濃度は40質量%未満が望ましい。
本発明の現像液には上記の他に、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、無機酸、無機塩などを含有することができる。
防腐剤としては、フェノールまたはその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンズトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン、グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、ニトロブロモアルコール系の2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−プロパノール等が好ましく使用できる。
キレート化合物としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類あるいはホスホノアルカントリカルボン酸類を挙げることができる。上記キレート剤のナトリウム塩、カリウム塩の代りに有機アミンの塩も有効である。
消泡剤としては一般的なシリコン系の自己乳化タイプ、乳化タイプ、ノニオン系界面活性剤のHLBが5以下等の化合物を使用することができる。シリコン消泡剤が好ましい。その中で乳化分散型および可溶化等がいずれも使用できる。
有機酸としては、クエン酸、酢酸、蓚酸、マロン酸、サリチル酸、カプリル酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸などが挙げられる。有機酸は、そのアルカリ金属塩またはアンモウム塩の形で用いることもできる。
無機酸および無機塩としては、リン酸、メタリン酸、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ニッケルなどが挙げられる。
上記の現像液は、露光された平版印刷版原版の現像液および現像補充液として用いることができ、後述の自動処理機に適用することが好ましい。自動処理機を用いて現像する場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液または新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。本発明の平版印刷版原版の製版方法においてもこの補充方式が好ましく適用される。
本発明におけるpH2〜10の水溶液による現像処理は、現像液の供給手段および擦り部材を備えた自動処理機により好適に実施することができる。自動処理機としては、例えば、画像露光後の平版印刷版原版を搬送しながら擦り処理を行う、特開平2−220061号、特開昭60−59351号各公報に記載の自動処理機や、シリンダー上にセットされた画像露光後の平版印刷版原版を、シリンダーを回転させながら擦り処理を行う、米国特許5148746号、同5568768号、英国特許2297719号に記載の自動処理機等が挙げられる。なかでも、擦り部材として、回転ブラシロールを用いる自動処理機が特に好ましい。
本発明に好ましく使用できる回転ブラシロールは、画像部の傷つき難さ、さらには、平版印刷版原版の支持体の腰の強さ等を考慮して適宜選択することができる。回転ブラシロールとしては、ブラシ素材をプラスチックまたは金属のロールに植え付けて形成された公知のものが使用できる。例えば、特開昭58−159533号公報や、特開平3−100554号公報記載のものや、実公昭62−167253号公報に記載されているような、ブラシ素材を列状に植え込んだ金属またはプラスチックの溝型材を芯となるプラスチックまたは金属のロールに隙間なく放射状に巻き付けたブラシロールが使用できる。
ブラシ素材としては、プラスチック繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロン6.6、ナイロン6.10等のポリアミド系、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル等のポリアクリル系、および、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系の合成繊維)を使用することがで、例えば、繊維の毛の直径は、20〜400μm、毛の長さは、5〜30mmのものが好適に使用できる。回転ブラシロールの外径は、30〜200mmが好ましく、版面を擦るブラシの先端の周速は、0.1〜5m/secが好ましい。回転ブラシロールは、2本以上の複数本用いることが好ましい。
本発明に用いる回転ブラシロールの回転方向は、本発明の平版印刷版原版の搬送方向に対し、同一方向であっても、逆方向であってもよいが、図1に例示した自動処理機のように、2本以上の回転ブラシロールを使用する場合は、少なくとも1本の回転ブラシロールが、同一方向に回転し、少なくとも1本の回転ブラシロールが、逆方向に回転することが好ましい。これにより、非画像部の画像記録層の除去が、さらに確実となる。さらに、回転ブラシロールを、ブラシロールの回転軸方向に揺動させることも効果的である。
上記現像液は、任意の温度で使用できるが、好ましくは10℃〜50℃である。
本発明においては、上記のように処理した平版印刷版を、引き続いて、水洗、乾燥処理、不感脂化処理することも任意に可能である。不感脂化処理では、公知の不感脂化液を用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔アクリロニトリル含有ポリマーラテックスの合成例〕
以下に、高アクリロニトリル含量のポリマーラテックスの合成例を示すが、本発明に用いるアクリロニトリル含有ポリマーはこれらに限定されるものではない。
(合成例−1)
メカニカルスターラーを備え付けた200ml三口フラスコに、水85g、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)0.3g、アクリロニトリル5gを添加した。次いで、系内を窒素フロー(流量:10ml/min.)し、70℃に昇温した。
KPS(過硫酸カリウム)0.27gの水溶液(10ml)を70℃で2時間かけて添加し、KPS滴下終了後、更に70℃で1時間攪拌し、ラテックスを得た(固形分:4.16質量%)。平均粒子径125nm、アクリロニトリル含率=100モル%。
(合成例−2)
重合モノマーをアクリロニトリル4.75g(89.5mmol)およびジビニルベンゼン0.25g(1.92mmol)に代えたほかは、合成例―1と同様にしてラテックスを得た(固形分:4.50質量%)。平均粒子系172nm、アクリロニトリル含率=97.9モル%。
(合成例−3)
重合モノマーをアクリロニトリル4.75g(89.52mmol)およびメチルメタクリレート0.25g(2.50mmol)に代えたほかは、合成例―1と同様にしてラテックスを得た(固形分:4.70質量%)。平均粒子径76nm、アクリロニトリル含率=97.3モル%。
(比較合成例−1)
重合モノマーをメタクリル酸エチル5.00gに代えたほかは、合成例―1と同様にしてラテックスを得た(固形分:5.34質量%)。平均粒子径76nm、アクリロニトリル含率=0モル%。
平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA、LA−910)を用いて、定法により測定した。
〔平版印刷版原版の作製〕
[実施例1]
(1)支持体の作製
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm)を用いアルミ表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/mであった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温は50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dmであった。その後、スプレーによる水洗を行った。
更に、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dmの条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。この板を15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dmで2.5g/mの直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥し、アルミニウム支持体1を作製した。この基板の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。更に、下記下塗り液(1)を乾燥塗布量が6mg/mになるよう塗布して支持体とした。
−下塗り液(1)−
・下塗り化合物(1)(Mw:60,000) 0.017g
・メタノール 9.00g
・水 1.00g
Figure 2009222938
(2)画像記録層および保護層の形成
上記下塗り層形成済みの支持体上に、下記組成の画像記録層塗布液1をバー塗布した後、100℃で60秒間オーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/mの画像記録層を形成した。引き続き、下記組成の保護層塗布液を前記画像記録層上にバー塗布し、120℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.160g/mの保護層を形成することで平版印刷版原版を得た。
なお、画像記録層塗布液1は、下記感光液およびミクロゲル液(1)を塗布直前に混合し、攪拌することにより得た。
−感光液−
・バインダーポリマー(1) 0.177g
・ラジカル重合開始剤(I−26) 0.142g
・赤外線吸収剤(1) 0.0308g
・重合性化合物(アロニックスM−215(東亜合成(株)製) 0.319g
・ホスホニウム化合物(1) 0.035g
・フッ素系界面活性剤(1) 0.004g
・アニオン系界面活性剤 0.125g
(パイオニンA−24−EA(竹本油脂(株)製、40質量%水溶液)
・メチルエチルケトン 2.554g
・1−メトキシ−2−プロパノール 7.023g
−ミクロゲル液(1)−
・ミクロゲル分散液(1) 1.800g
・水 1.678g
−ミクロゲル分散液(1)の合成−
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N、75質量%酢酸エチル溶液)10.0g、重合性化合物としてアロニックスM−215(東亜合成(株)製)6.00g、パイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.12gを酢酸エチル16.67gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分および水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で2時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度を、21質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、ミクロゲル分散液(1)を得た。平均粒径は0.23μmであった。
なお、前記感光液に使用する各化合物の構造を以下に示す。
Figure 2009222938
−保護層塗布液−
・合成例―1のラテックス 4.01g
・ノニオン系界面活性剤 0.013g
(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)
・イオン交換水 6.0g
[実施例2〜3]
実施例1において、保護層塗布液のラテックスの種類、ラテックス使用量、および保護層の乾燥塗布量を表1のように代えたほかは、実施例1と同様にして平版印刷版原版を作製した。
[比較例1]
保護層塗布液を下記塗布液に代えたほかは、実施例1と同様にして平版印刷版原版を作製した。
−比較例1の保護層塗布液−
・下記無機粒子分散液(1) 1.5g
・ポリビニルアルコール 0.08g
(PVA105、(株)クラレ製、ケンカ度98.5モル%、重合度500)
・ノニオン系界面活性剤 0.01g
(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)
・イオン交換水 6.0g
−無機粒子分散液(1)の調製−
イオン交換水193.6gに合成雲母ソマシフME−100(コープケミカル(株)製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散した。得られた分散無機粒子のアスペクト比は100以上であった。
[比較例2]
実施例1において、保護層塗布液中の合成例―1のラテックスを比較合成例−1のラテックスに代えたほかは、実施例1と同様にして平版印刷版原版を作製した。
〔平版印刷版原版の評価〕
(製版)
得られた平版印刷版原版を水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。
その後、下記水溶液Bを現像液として用い、図1に示す構造の自動現像処理機にて、現像処理を実施し平版印刷版(加熱なし)を作製した。自動現像処理機は、回転ブラシロールを2本有し、1本目の回転ブラシロールは、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径90mmのブラシロールで、搬送方向と同一方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.94m/sec)させ、2本目の回転ブラシロールは、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径60mmのブラシロールで、搬送方向と反対方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.63m/sec)させた。平版印刷版原版の搬送は、搬送速度100cm/minにて実施した。
水溶液Bは、循環ポンプによりスプレーパイプからシャワーリングして、版面に供給した。水溶液Bのタンク容量は、10リットルであった。
−水溶液B(pH7.5)−
・水 100.00g
・ポリオキシエチレンナフチルエーテル 0.50g
(オキシエチレン平均数n=13)
・ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 0.50g
・第1リン酸アンモニウム 0.05g
・クエン酸 0.05g
一方、レーザー露光後、30秒以内に平版印刷版原版をオーブンに入れ、熱風を吹き付けて平版印刷版原版の全面を加熱し、110℃で15秒間保持した。その後、30秒以内に、上記と同様の現像処理を実施し平版印刷版(加熱あり)を作製した。
また、上記平版印刷版原版をアルミクラフト紙で包装して60℃のオーブン中に3日間放置した。その後、上記と同様にレーザー画像様露光して現像処理を実施し、平版印刷版(強制保存)を作製した。
(印刷評価)
次いで、平版印刷版(加熱なし)、平版印刷版(加熱あり)、平版印刷版(強制保存)を、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mに取り付け、湿し水(EU−3(富士フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、毎時6000枚の印刷速度で印刷を行い、耐刷性および耐汚れ性を下記のように評価した。結果を表1に示す。
(1)耐刷性
上記の印刷を行い、印刷枚数が増加すると、徐々に画像記録層が磨耗しインキ受容性が低下するため、印刷物におけるインキ濃度が低下した。同一露光量(エネルギー密度)で露光した印刷版において、インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により耐刷性を相対評価した。すなわち、比較例1を基準(100)とし、以下の式に従い計算した。数字が大きいことは耐刷性が高いことを表している。
耐刷性=(対象平版印刷版の耐刷枚数)/(基準平版印刷版の耐刷枚数)×100
(2)耐汚れ性
印刷開始後500枚目の印刷物を抜き取り、印刷物の非画像部に付着しているインキ濃度により耐汚れ性を相対評価した。すなわち、比較例1を基準(100)とし、以下の式に従い計算した。数字が大きいことは非画像部に付着しているインキ濃度が低いこと、すなわち耐汚れ性が良好であることを表す。
耐汚れ性=(基準平版印刷版の非画像部インキ濃度)/(対象平版印刷版の非画像部インキ濃度)×100
Figure 2009222938
[実施例4]
(平版印刷版原版4の作製)
実施例1で用いたのと同じ陽極酸化処理済みのアルミニウム支持体1上に、以下の組成を有する下塗り液2を塗布し、100℃にて3分間乾燥した。得られた下塗り層の塗布量は、10mg/mであった。
―下塗り液2−
・高分子化合物(PA−1)(20質量%NMP溶液) 2.5g
(以下に合成法を示す。Mw:10万)
・N−メチルピロリドン 49.0g
・メタノール 450.0g
・水 1.5g
<高分子化合物(PA−1)の合成>
300mLの三口フラスコに、ホスマーPE(ユニケミカル社製):11.93g、N−メチルピロリドン(NMP):112.77gを秤量し、50℃にて攪拌した。ここに2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸:28.19gを少量づつ加えて完全に溶解させた。反応混合物を74℃まで昇温した後、窒素ガスを流しながら30分間攪拌を続けた。この反応混合物に2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル:0.137gとNMP:5.05gの混合溶液を加え、窒素ガスを流しながら74℃にて2時間攪拌した。2時間後、更に2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル:0.039gとNMP:2.53gの混合溶液を加えてそのまま2時間攪拌を行った。反応混合物を室温まで冷却し未中和高分子化合物(1)のNMP溶液を得た。未中和高分子化合物(1)のNMP溶液中の酸価は、1.28mmol/gであった。
未中和高分子化合物(1)のNMP溶液:50gを100mL三口フラスコに秤量し、室温にて攪拌した。ここに、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート:3.96gを加え、室温にて30分間攪拌し高分子化合物(PA−1)のNMP溶液を得た。次に高分子化合物(PA−1)の濃度をNMPにより20質量%に調整した。
上記のようにして得られた下塗り層上に、以下の組成を有する画像記録層塗布液2を塗布し、80℃にて1分間乾燥した。得られた画像記録層の塗布量は、1.2g/mであった。
−画像記録層塗布液2−
・バインダーポリマー(例示化合物P−3) 0.54g
・重合性化合物(イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート) 0.48g
(アロニックスM−315、東亜合成(株)製)
・下記増感色素(1) 0.06g
・下記重合開始剤(1) 0.10g
・下記共増感剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
〔顔料:15質量部、分散剤としてアリルメタクリレート/メタクリル酸
(80/20)共重合体:10質量部、溶剤としてシクロヘキサノン/
メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15
質量部/20質量部/40質量部〕
・メチルエチルケトン 4.80g
・ジメチルスルホキシド 4.80g
Figure 2009222938
画像記録層上に、実施例1と同様に保護層塗布液を塗布し、平版印刷版原版を作製した。
(平版印刷版原版の評価)
上記平版印刷版原版の画像露光には、出力100mWの405nm半導体レーザーを用い、露光後の現像処理には下記水溶液Aを現像液として用いた以外は、実施例1と同様にして、平版印刷版(加熱なし)、平版印刷版(加熱あり)および平版印刷版(強制保存)を作製した。
実施例1と同様に、これらの印刷版を用いて印刷し、耐刷性および耐汚れ性を評価した。結果を表1に示す。
―水溶液A(pH8.0)−
・水 100.00g
・ベンジルアルコール 1.00g
・ポリオキシエチレンナフチルエーテル 1.00g
(オキシエチレン平均数n=13)
・ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 0.50g
・エチレングリコール 0.50g
・第1リン酸アンモニウム 0.05g
・クエン酸 0.05g
表1から、本発明の平版印刷版原版はいずれも、耐汚れ性、耐刷性に優れ、平版印刷版原版として実用上十分な諸性能を示した。また、この特性は経時保存後でも維持されていることが明らかである。
自動現像処理機の構造を説明するための図である。
符号の説明
1:回転ブラシロール
2:受けロール
3:搬送ロール
4:搬送ガイド板
5:スプレーパイプ
6:管路
7:フィルター
8:給版台
9:排版台
10:現像液タンク
11:循環ポンプ
12:版

Claims (7)

  1. 支持体上に、青色レーザー露光または赤外線レーザー露光により記録可能な光重合型画像記録層、およびアクリロニトリルからなる繰り返し単位を含有するポリマーを主成分として含有する保護層を有し、画像露光した後、pHが2〜10の水溶液で現像することにより画像形成可能であることを特徴とする平版印刷版原版。
  2. 前記ポリマーが、アクリロニトリルからなる繰り返し単位を90モル%以上含有することを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版。
  3. 前記ポリマーがラテックスであることを特徴とする請求項1または2に記載の平版印刷版原版。
  4. 前記ラテックスの平均粒子径が3μm以下であることを特徴とする請求項3に記載の平版印刷版原版。
  5. 前記画像記録層が、(A)ラジカル重合開始剤、(B)増感色素、および(C)ラジカル重合性化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  6. 前記画像記録層が、更に、(D)バインダーポリマーを含有することを特徴とする請求項5に記載の平版印刷版原版。
  7. 前記画像記録層が、更に、(E)マイクロカプセルまたはミクロゲルを含有することを特徴とする請求項6に記載の平版印刷版原版。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2014002835A1 (ja) * 2012-06-29 2016-05-30 富士フイルム株式会社 現像処理廃液濃縮方法及び現像処理廃液のリサイクル方法

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