JP2009137582A - 車両の統合制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】フェイルセーフ性を向上させるとともに、車両制御機能の追加に容易に対応可能な、車両の統合制御システムを提供する。
【解決手段】統合制御システムは、運転者の操作に基づいて、駆動系を制御する主制御系(アクセル)と、制動系を制御する主制御系(ブレーキ)と、操舵系を制御する主制御系(ステア)と、車両の周囲の環境情報または運転者に関する情報に基づいて、各主制御系において用いられる情報を作成して出力するアドバイザユニットと、予め定められた挙動を車両に実現させるために各主制御系において用いられる情報を作成して出力するエージェントユニットと、現在の車両の動的状態に基づいて、各主制御系において用いられる情報を作成して出力するサポータユニットとを含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両に搭載された複数のアクチュエータを制御するシステムに関し、特に、相互に干渉する可能性を含む複数のアクチュエータを統合的に制御するシステムに関する。
最近、車両の運動を制御する運動制御装置を同じ車両に多種類搭載する傾向が増加している。しかし、種類が異なる運動制御装置は、それぞれによって実現される効果が互いに独立して車両に現れるとは限らず、相互に干渉する可能性がある。そのため、複数種類の運動制御装置を搭載するように車両を開発する場合には、それら運動制御装置間の連携・協調を十分に図ることが重要である。
たとえば、ある車両の開発過程において、複数の種類の運動制御装置を1台の車両に搭載することが必要である場合、それら運動制御装置を互いに独立して開発した後に、それら運動制御装置間の連携および協調を補充的にまたは追加的に実現することは可能である。
しかしながら、このような形で複数種類の運動制御装置を開発する場合には、それら運動制御装置間の連携および協調を図るために多くの手間と長い期間とが必要になることが多い。
車両に複数の種類の運動制御装置を搭載する形式として、それら運動制御装置が同じアクチュエータを共有する形式がある。この形式においては、それら運動制御装置が同時期に同じアクチュエータを作動させることが必要となったとき、このような競合をどのようにして解決するかという問題に直面する。
そして、前述のように、それら運動制御装置を互いに独立して開発した後にそれら運動制御装置間の連携および協調を補充的にまたは追加的に実現しようとする場合には、上述の問題を理想的に解決するのは困難である。現実には、それら運動制御装置のうちのいずれかを他より優先させるべく選択し、その選択された運動制御装置のみにそのアクチュエータを占有させることにより解決せざるを得ない場合がある。
車両を所望の挙動に動かすために、複数のアクチュエータを搭載した車両における上述した問題点に関する技術が、以下の公報に開示されている。
特開平5−85228号公報(特許文献1)は、開発期間を短縮し、車両の確実性、使用性およびサービスの容易性を向上させることのできる車両の電子装置を開示する。この車両の電子制御装置は、少なくともエンジン出力、駆動出力、制動工程に関して制御課題を実行する要素と、制御課題を実行する要素の協働を調整し運転者の意図に従って車両の運転特性を制御する要素とからなり、各要素が階層構造の形で配置されており、運転者の意図を対応する運転特性に変換する際に、階層レベルの少なくとも1つの調整要素が、次の階層レベルの要素に、従って運転者と車両のシステムの所定の下位システムにそれぞれ高位の階層レベルからこの下位システムに要求される特性を供給して作用することを特徴とするものである。
この車両の電子制御装置によると、システム全体を階層構造にすることによって、命令を上から下へだけに伝達することができる。運転者の意図を実行する命令はこの方向に伝
達される。それによって互いに独立した要素の分かりやすい構成が得られる。個々のシステムの結合はかなりの程度まで減少させることができる。個々の要素が互いに独立していることによって、これら個々の要素を同時に並行して開発することができる。それによって各要素を所定の目的に従って開発することができる。単に高位の階層レベルに対する小数のインターフェイスと低位の階層レベルに対するわずかなインターフェイスを考慮するだけでよい。それによって燃料消費、環境適合性、安全性および快適性などに対する要請に関して運転者と車両のシステムを全体として最適化することができる。その結果、開発期間を短縮し、車両の確実性、使用性およびサービスの容易性を向上させることのできる車両の電子装置を提供することができる。
特開2003−191774号公報(特許文献2)は、車両において複数種類の運動制御を実行するために複数のアクチュエータを統合的に制御する装置のソフトウエア構成を適正に階層化し、それにより、その階層構造を実用性の観点から最適化する統合型車両運動制御装置を開示する。この統合型車両運動制御装置は、運転者による車両の運転に関連する運転関連情報に基づいて複数のアクチュエータをコンピュータによって統合的に制御することにより、車両において複数種類の車両運動制御を実行する統合型車両運動制御装置であって、それのハードウエア構成とソフトウエア構成とのうちの少なくともソフトウエア構成が、運転者から複数のアクチュエータに向かう向きに階層化された複数の部分を含み、かつ、それら複数の部分は、(a)上位において、運転関連情報に基づいて目標車両状態量を決定する指令部と、(b)下位において、決定された目標車両状態量を指令部から指令として受け取り、その受け取った指令を複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つを介して実行する実行部とを含み、かつ、指令部は、各々が複数のアクチュエータを統合的に制御するための指令を発する上位指令部と下位指令部とを含み、かつ、その上位指令部は、運転関連情報に基づき、車両の動的挙動を考慮しないで第1の目標車両状態量を決定し、その決定された第1の目標車両状態量を下位指令部に供給し、一方、その下位指令部は、上位指令部から受け取った第1の目標車両状態量に基づき、車両の動的挙動を考慮して第2の目標車両状態量を決定し、その決定された第2の目標車両状態量を実行部に供給し、かつ、上位指令部、下位指令部および実行部は、それぞれ、ソフトウエア構成上互いに独立した複数のモジュールをコンピュータに実行させることにより、それぞれに与えられた固有の機能を実現するものである。
この統合型車両運動制御装置によると、それのハードウエア構成とソフトウエア構成とのうちの少なくともソフトウエア構成が、(a)運転者から複数のアクチュエータに向かう向きの上位において、運転関連情報に基づいて目標車両状態量を決定する指令部と、(b)下位において、その決定された目標車両状態量を指令部から指令として受け取り、その受け取った指令を複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つを介して実行する実行部とを含むように階層化される。すなわち、この装置によれば、それの少なくともソフトウエア構成が、指令部と実行部とが互いに分離されるように階層化されるのである。それら指令部と実行部とは、ソフトウエア構成上互いに独立させられているため、各々については、他方に影響を与えることなく、開発、設計、設計変更、デバック等の作業を行うことが可能となり、両方についての作業を互いに並行して行なうことも可能となる。その結果、統合型車両運動制御装置によれば、それの全体のソフトウエア構成に対して行うことが必要な作業の期間を容易に短縮可能となる。
特開平5−85228号公報 特開2003−191774号公報
しかしながら、特許文献1に開示された車両の電子制御装置においては、システム全体を階層構造としたため、高位の階層レベルにおけるシステムダウンの発生により車両全体の制御性が低下する。
特許文献2に開示された統合型車両運動制御装置においては、特許文献1における階層構造を具体的に開示したものであって、階層構造を実用性の観点から最適化している。より具体的には、ソフトウェア構成を少なくとも指令部と実行部とに互いに分離させて階層化している。このように独立性を持たせたので開発の並行処理等については有利であろうが、階層化という基本的な概念に依存する問題点は解決していない。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、従来のように車両全体の制御をたとえば1つのマスターECUにより実現しないで、統合制御を前提としつつも、フェイルセーフ性を向上させるとともに、車両制御機能の追加に容易に対応可能な、車両の統合制御システムを提供することである。
第1の発明に係る車両の統合制御システムは、自律的に動作する、操作要求に基づいて車両の走行状態を制御する複数の制御ユニットを含む車両の統合制御システムである。各制御ユニットは、少なくとも1つの制御ユニットに対する作動要求を検知するための検知手段と、検知された要求に基づいて制御目標を生成し、制御目標を用いて、各ユニット毎に対応付けされたアクチュエータを操作することにより車両を制御するための制御手段とを含む。システムはさらに、各制御ユニットと並列的に動作し、各制御ユニットにおいて作動要求または制御目標を必要に応じて変更するために用いられる情報を生成して、各制御ユニットに出力する処理ユニットを含む。
第1の発明によると、たとえば、複数の制御ユニットとして、駆動系制御ユニット、制動系制御ユニットおよび操舵系制御ユニットのいずれかを含む。駆動系制御ユニットは、検知手段により運転者の要求であるアクセルペダル操作を検知して、駆動基本ドライバモデルを用いてアクセルペダル操作に対応する駆動系の制御目標を生成して、制御手段により、アクチュエータであるパワートレーンが制御される。制動系制御ユニットは、検知手段により運転者の要求であるブレーキペダル操作を検知して、制動基本ドライバモデルを用いてブレーキペダル操作に対応する制動系の制御目標を生成して、制御手段により、アクチュエータであるブレーキ装置が制御される。操舵系制御ユニットは、検知手段により運転者の要求であるステアリング操作を検知して、操舵基本ドライバモデルを用いてステアリング操作に対応する操舵系の制御目標を生成して、制御手段により、アクチュエータであるステアリング装置が制御される。この車両の統合制御システムは、このような自律的に動作する、駆動系制御ユニットと制動系制御ユニットと操舵系制御ユニットとに並列的に動作する処理ユニットを有する。この処理ユニットは、たとえば、1)車両の周囲の環境情報または運転者に関する情報に基づいて、各制御手段において用いられる情報を生成して、各制御ユニットに出力したり、2)予め定められた挙動を車両に実現させるために各制御手段において用いられる情報を生成して、各制御ユニットに出力したり、3)現在の車両の動的状態に基づいて、各制御手段において用いられる情報を生成して、各制御ユニットに出力する。各制御ユニットにおいては、処理ユニットから運転者の要求以外に入力されたこれらの情報を車両の運動制御に反映させるか否か、反映させるのであればどの程度まで反映させるのかなどを判断したり、制御目標を補正したり、各制御ユニット間において情報を通信したりする。各制御ユニットは、自律的に動作しているので、最終的にそれぞれの制御ユニットで、検知手段が検知した運転者の操作情報、処理ユニットから入力された情報、各制御ユニット間で通信された情報により算出された最終的な駆動目標、制動目標および操舵目標に基づいて、パワートレーン、ブレーキ装置およびステアリング装置が制御される。このように、車両の基本動作である「走る」動作に対応する駆動系制御ユニット、「止まる」動作に対応する制動系制御ユニット、「曲がる」動作に対応する操舵系制御ユニットを、それぞれが独立して作動可能なように設けた。これらの制御ユニットに対して、並列的に、車両の環境に対応する運転操作、運転者の運転支援および車
両の動的運動制御を自動的に行なえるように処理ユニットを付加している。このため、各制御ユニットの上位層に位置付けされるマスターとなる制御ユニットを有することなく、分散的な制御が可能になり、フェイルセーフ性を高めることができる。また、自律的に動作するので、各制御ユニットおよび処理ユニット単位での開発が可能である。たとえば、新規の運転支援機能を付加する際には、処理ユニットを追加するか、あるいは既に存在する処理ユニットを修正するのみで実現可能となる。その結果、従来のように車両全体の制御をたとえば1つのマスターECUにより実現しないで、統合制御を前提としつつも、フェイルセーフ性を向上させるとともに、車両制御機能の追加に容易に対応可能な、車両の統合制御システムを提供することができる。
第2の発明に係る車両の統合制御システムは、操作要求に基づいて車両の走行状態を制御する複数の制御ユニットと、車両の周囲の環境情報または運転者に関する情報に基づいて、各制御ユニットにおいて用いられる情報を生成して、各制御ユニットに出力する処理ユニットとを含む。各制御ユニットは、少なくとも1つの制御ユニットに対する作動要求を検知するための検知手段と、処理ユニットで生成された情報および検知された作動要求の少なくともいずれかを用いて、各ユニット毎に対応付けされたアクチュエータを操作するための制御目標に関する情報を算出するための算出手段とを含む。
第2の発明によると、たとえば、駆動系制御ユニットは、検知手段により運転者の要求であるアクセルペダル操作を検知して、駆動基本ドライバモデルを用いてアクセルペダル操作に対応する駆動系の制御目標を生成して、制御手段により、アクチュエータであるパワートレーンが制御される。制動系制御ユニットは、検知手段により運転者の要求であるブレーキペダル操作を検知して、制動基本ドライバモデルを用いてブレーキペダル操作に対応する制動系の制御目標を生成して、制御手段により、アクチュエータであるブレーキ装置が制御される。操舵系制御ユニットは、検知手段により運転者の要求であるステアリング操作を検知して、操舵基本ドライバモデルを用いてステアリング操作に対応する操舵系の制御目標を生成して、制御手段により、アクチュエータであるステアリング装置が制御される。このような自律的に動作する、この車両の統合制御システムは、このような自律的に動作する、駆動系制御ユニットと制動系制御ユニットと操舵系制御ユニットとに並列的に動作する処理ユニットを有する。この処理ユニットは、車両の周囲の環境情報または運転者に関する情報に基づいて、各制御手段において用いられる情報を生成して、各制御ユニットに出力する。たとえば、この処理ユニットは、車両の周囲の環境情報として車両が走行中の路面の摩擦抵抗値(μ値)や外気温などに基づいて車両の動作特性に対するリスクの度合いを表わす情報を生成したり、運転者を撮像して運転者の疲労状況に基づく運転者の操作に対するリスクの度合いを表わす情報を生成したりする。そのリスクの度合いを表わす情報が、各制御ユニットに出力される。各制御ユニットにおいては、処理ユニットから運転者の要求以外に入力されたリスクに関する情報を車両の運動制御に反映させるか否か、反映させるのであればどの程度まで反映させるのかなどの処理が行なわれる。このとき、制御目標を補正したり、各制御ユニット間において情報を通信したりする。各制御ユニットは、自律的に動作しているので、最終的にそれぞれの制御ユニットで、検知手段が検知した運転者の操作情報、処理ユニットから入力されたリスクに関する情報、各制御ユニット間で通信された情報により算出された最終的な駆動目標、制動目標および操舵目標に基づいて、パワートレーン、ブレーキ装置およびステアリング装置が制御される。このように、車両の基本動作である「走る」動作に対応する駆動系制御ユニット、「止まる」動作に対応する制動系制御ユニット、「曲がる」動作に対応する操舵系制御ユニットを、それぞれが独立して作動可能なように設けた。これらの制御ユニットに対して、車両の周囲の環境情報や運転者に関する情報に対するリスクや安定性に関する情報を生成して各制御ユニットに出力できる処理ユニットを付加している。このため、車両の周囲の環境情報や運転者の情報を付加して、高度の運転制御に容易に対応可能な、車両の統合制御システムを提供することができる。
第3の発明に係る車両の統合制御システムは、操作要求に基づいて車両の走行状態を制御する複数の制御ユニットと、予め定められた挙動を車両に実現させるために各制御ユニットにおいて用いられる情報を生成して、各制御ユニットに出力する処理ユニットとを含む。各制御ユニットは、少なくとも1つの制御ユニットに対する作動要求を検知するための検知手段と、処理ユニットで生成された情報および検知された作動要求の少なくともいずれかを用いて、各ユニット毎に対応付けされたアクチュエータを操作するための制御目標に関する情報を算出するための算出手段とを含む。
第3の発明によると、たとえば、第2の発明と同様に、駆動系制御ユニット、制動系制御ユニットおよび操舵系制御ユニットを有する。この車両の統合制御システムは、このような自律的に動作する、駆動系制御ユニットと制動系制御ユニットと操舵系制御ユニットとに並列的に動作する処理ユニットを有する。この処理ユニットは、予め定められた挙動を車両に実現させるために各制御手段において用いられる情報を生成して、各制御ユニットに出力する。たとえば、処理ユニットは、車両を自動的に運転する自動運転機能を実現するための情報を生成する。その自動運転機能を実現するための情報が、各制御ユニットに出力される。各制御ユニットにおいては、処理ユニットから運転者の要求以外に入力された自動運転機能を実現するための情報を車両の運動制御に反映させるか否か、反映させるのであればどの程度まで反映させるのかなど判断したり、制御目標を補正したり、各制御ユニット間において情報を通信したりする。各制御ユニットは、自律的に動作しているので、最終的にそれぞれの制御ユニットで、検知手段が検知した運転者の操作情報、処理ユニットから入力された自動運転機能を実現するための情報、各制御ユニット間で通信された情報により算出された最終的な駆動目標、制動目標および操舵目標に基づいて、パワートレーン、ブレーキ装置およびステアリング装置が制御される。このように、車両の基本動作である「走る」動作に対応する駆動系制御ユニット、「止まる」動作に対応する制動系制御ユニット、「曲がる」動作に対応する操舵系制御ユニットを、それぞれが独立して作動可能なように設けた。これらの制御ユニットに対して、車両を自動的に運転させるための自動運転機能を実現するための情報を生成して各制御ユニットに出力できる処理ユニットを付加している。このため、自動運転機能を実現するための情報を付加して、車両の自動運転機能を追加する場合などであっても、容易に対応可能な、車両の統合制御システムを提供することができる。
第4の発明に係る車両の統合制御システムは、操作要求に基づいて車両の走行状態を制御する複数の制御ユニットと、現在の車両の動的状態に基づいて、各制御ユニットにおいて用いられる情報を生成して、各制御ユニットに出力する処理ユニットとを含む。各制御ユニットは、少なくとも1つの制御ユニットに対する作動要求を検知するための検知手段と、処理ユニットで生成された情報および検知された作動要求の少なくともいずれかを用いて、各ユニット毎に対応付けされたアクチュエータを操作するための制御目標に関する情報を算出するための算出手段とを含む。
第4の発明によると、たとえば、第2の発明と同様に、駆動系制御ユニット、制動系制御ユニットおよび操舵系制御ユニットを有する。この車両の統合制御システムは、このような自律的に動作する、駆動系制御ユニットと制動系制御ユニットと操舵系制御ユニットとに並列的に動作する処理ユニットを有する。この処理ユニットは、現在の車両の動的状態に基づいて、各制御手段において用いられる情報を生成して、各制御ユニットに出力するする。たとえば、処理ユニットは、現在の車両の動的状態を把握して、各制御ユニットにおける目標値を修正するための情報を生成する。その目標値を修正するための情報が、各制御ユニットに出力される。各制御ユニットにおいては、処理ユニットから運転者の要求以外に入力された動的状態に基づく目標値を修正するための情報を車両の運動制御に反映させるか否か、反映させるのであればどの程度まで反映させるのかなどを判断したり、制御目標を補正する。たとえば、車両がスリップしているような状態(動的状態)であると、駆動系制御ユニットにおいて、目標値として大きな駆動トルクが算出されていたとしても、小さな駆動トルクに修正するようにして、さらなるスリップ状態になることを回避する。各制御ユニットは、自律的に動作しているので、最終的にそれぞれの制御ユニットで、検知手段が検知した運転者の操作情報、処理ユニットから入力された目標値を修正するための情報により算出された最終的な駆動目標、制動目標および操舵目標に基づいて、パワートレーン、ブレーキ装置およびステアリング装置が制御される。このように、車両の基本動作である「走る」動作に対応する駆動系制御ユニット、「止まる」動作に対応する制動系制御ユニット、「曲がる」動作に対応する操舵系制御ユニットを、それぞれが独立して作動可能なように設けた。これらの制御ユニットに対して、各制御ユニットの目標値を修正するための情報を生成して各制御ユニットに出力できる処理ユニットを付加している。このため、車両の動的状態を把握して、車両の動的状態に基づいて車両の挙動を安定化させる、車両の動的補償機能を追加する場合などであっても、容易に対応可能な、車両の統合制御システムを提供することができる。
第5の発明に係る車両の統合制御システムは、操作要求に基づいて車両の走行状態を制御する複数の制御ユニットと、車両の周囲の環境情報または運転者に関する情報に基づいて、各制御ユニットにおいて用いられる情報を生成して、各制御ユニットに出力する第1の処理ユニットと、予め定められた挙動を車両に実現させるために各制御ユニットにおいて用いられる情報を生成して、各制御ユニットに出力する第2の処理ユニットと、現在の車両の動的状態に基づいて、各制御ユニットにおいて用いられる情報を生成して、各制御ユニットに出力する第3の処理ユニットとを含む。各制御ユニットは、少なくとも1つの制御ユニットに対する作動要求を検知するための検知手段と、第1の処理ユニットで生成された情報および検知された作動要求の少なくともいずれかを用いて、各ユニット毎に対応付けされたアクチュエータを操作するための制御目標に関する第1の情報を算出するための第1の算出手段と、第2の処理ユニットで生成された情報および算出された第1の情報の少なくともいずれかを用いて、各ユニット毎に対応付けされたアクチュエータを操作するための制御目標に関する第2の情報を算出するための第2の算出手段と、第3の処理ユニットで生成された情報および算出された第2の情報の少なくともいずれかを用いて、各ユニット毎に対応付けされたアクチュエータを操作するための制御目標に関する第3の情報を算出するための第3の算出手段とを含む。
第5の発明によると、たとえば、第2の発明と同様に、駆動系制御ユニット、制動系制御ユニットおよび操舵系制御ユニットを有する。この車両の統合制御システムは、このような自律的に動作する、駆動系制御ユニットと制動系制御ユニットと操舵系制御ユニットとに並列的に動作する第1の処理ユニット、第2の処理ユニットおよび第3の処理ユニットを有する。この第1の処理ユニットは、車両の周囲の環境情報または運転者に関する情報に基づいて、各制御手段において用いられる情報を生成して、各制御ユニットに出力する。たとえば、この第1の処理ユニットは、車両の周囲の環境情報として車両が走行中路面の摩擦抵抗や外気温などに基づいて車両の動作特性に対するリスクの度合いを表わす情報を生成したり、運転者を撮像して運転者の疲労状況に基づく運転者の操作に対するリスクの度合いを表わす情報を生成したりする。そのリスクの度合いを表わす情報が、各制御ユニットに出力される。この第2の処理ユニットは、予め定められた挙動を車両に実現させるために各制御手段において用いられる情報を生成して、各制御ユニットに出力する。たとえば、第2の処理ユニットは、車両を自動的に運転する自動運転機能を実現するための情報を生成する。その自動運転機能を実現するための情報が、各制御ユニットに出力される。この第3の処理ユニットは、現在の車両の動的状態に基づいて、各制御手段において用いられる情報を生成して、各制御ユニットに出力するする。たとえば、第3の処理ユニットは、現在の車両の動的状態を把握して、各制御ユニットにおける目標値を修正するための情報を生成する。その目標値を修正するための情報が、各制御ユニットに出力される。各制御ユニットにおいては、これらの処理ユニットからそれぞれ出力された情報を車両の運動制御に反映させるか否か、反映させるのであればどの程度まで反映させるのかなどの処理が行なわれる。このとき、制御目標を補正したり、各制御ユニット間において情報を通信したりする。各制御ユニットは、自律的に動作しているので、最終的にそれぞれの制御ユニットで、これらの処理ユニットから入力された情報、各制御ユニット間で通信された情報により算出された最終的な駆動目標、制動目標および操舵目標に基づいて、パワートレーン、ブレーキ装置およびステアリング装置が制御される。このように、車両の基本動作である「走る」動作に対応する駆動系制御ユニット、「止まる」動作に対応する制動系制御ユニット、「曲がる」動作に対応する操舵系制御ユニットを、それぞれが独立して作動可能なように設けた。これらの制御ユニットに対して、車両の周囲の環境情報や運転者に関する情報に対するリスクや安定性に関する情報、車両を自動的に運転させるための自動運転機能を実現するための情報および各制御ユニットの目標値を修正するための情報を生成して各制御ユニットに出力できる処理ユニットを付加している。このため、高度の自動運転制御に容易に対応可能な、車両の統合制御システムを提供することができる。
第6の発明に係る車両の統合制御システムにおいては、第2〜5のいずれかの発明の構成に加えて、各ユニットは自律的かつ並列的に動作するものである。
第6の発明によると、車両の基本動作である「走る」動作に対応する駆動系制御ユニット、「止まる」動作に対応する制動系制御ユニット、「曲がる」動作に対応する操舵系制御ユニットを、それぞれが自律的かつ並列的に動作可能なように設けた。これらの制御ユニットに対して、さらに自律的かつ並列的に、処理ユニットを付加している。このため、マスターとなる制御ユニットを有することなく、分散的な制御が可能になり、フェイルセーフ性を高めることができる。また、自律的に動作するので、各制御ユニット単位および処理ユニット単位での開発が可能であるとともに、新規の運転支援機能を付加する際には、処理ユニットを追加するか既にある処理ユニットを修正するのみで実現可能となる。
第7の発明に係る車両の統合制御システムにおいては、第1、2、5または6の発明の構成に加えて、処理ユニットまたは第1の処理ユニットは、車両の周囲の環境情報を検知するための手段と、車両の運転者に関する情報を検知するための手段と、検知された情報を各制御手段において共通して用いられるように加工された情報を生成するための処理手段とを含む。
第7の発明によると、たとえば、処理ユニットまたは第1の処理ユニットは、車両の周囲の環境情報や車両の運転者に関する情報を検知して、各制御手段(駆動ユニットにおける制御手段、制動ユニットにおける制御手段および操舵ユニットにおける制御手段)において共通して用いられるように、たとえばリスクの度合いを表わすようにラベル化(抽象化)する加工を行なう。このようにすると、これらの基本制御ユニットで共通して使用することができ、制御ユニットにおいてデータ変換したりする必要がなくなる。
第8の発明に係る車両の統合制御システムにおいては、第7の発明の構成に加えて、処理手段は、各制御手段において、運転者の要求に対する補正の度合いを表わす情報を生成するための手段を含む。
第8の発明によると、たとえば、処理ユニットにおいて、各制御手段において共通して用いられるように、たとえばリスクの度合いを表わす情報であって、運転者の要求に対する補正の度合いを表わす情報を生成して、このような情報に基づいて、各制御ユニットにおいて目標値を生成することができる。
第9の発明に係る車両の統合制御システムにおいては、第1、3、5または6の発明の構成に加えて、処理ユニットまたは第2の処理ユニットは、車両を自動運転または擬似自動運転を実現させるための情報に基づいて、各制御手段において共通して用いられるように加工された情報を生成するための処理手段を含む。
第9の発明によると、処理ユニットまたは第2の処理ユニットは、車両を自動運転または擬似自動運転を実現させるための情報を検知して、各制御手段(駆動ユニットにおける制御手段、制動ユニットにおける制御手段および操舵ユニットにおける制御手段)において共通して用いられるように、自動運転機能を有効とするフラグを設けるとともに、自動運転のための目標値を加工する。このようにすると、このフラグに基づいて自動運転または擬似自動運転を行なうと判断された場合には、自動運転や擬似自動運転のための情報をこれらの基本制御ユニットで共通して使用することができ、制御ユニットにおいてデータ変換したりする必要がなくなる。なお、この擬似自動運転機能は、クルーズコントロール機能およびレーンキープアシスト機能などの自動運転に準ずる機能を含むものである。
第10の発明に係る車両の統合制御システムにおいては、第9の発明の構成に加えて、処理手段は、各制御手段において、制御目標に対する調停の度合いを表わす情報を生成するための手段を含む。
第10の発明によると、自動運転機能を有効とするフラグがセットされている場合において、運転者のアクセルペダル操作、ブレーキペダル操作およびステアリング操作に基づく目標値(駆動、制動および操舵)と、自動運転または擬似自動運転のための目標値(駆動、制動および操舵)とを調停して、目標値を定め、運転者の操作に基づく運転および自動運転との協調動作を実現できる。
第11の発明に係る車両の統合制御システムにおいては、第1、4、5または6の発明の構成に加えて、処理ユニットまたは第3の処理ユニットは、車両の現在の動的状態に基づいて、制御目標に合致した車両の挙動を実現させるために各制御手段において共通して用いられるように加工された情報を生成するための処理手段を含む。
第11の発明によると、たとえば、車両の現在の動的状態として、たとえば、車輪がスリップしているような状態であると、駆動系制御ユニットにおいて、目標値として大きな駆動トルクが算出されていたとしても、小さな駆動トルクに修正するようにして、さらなるスリップ状態になることを回避する。このような車両の動的補償を、制動系制御ユニットにおいても、操舵系制御ユニットにおいても、行なう。この場合に、各制御ユニットは、自律的に動作しているので、最終的にそれぞれの制御ユニットで、検知手段が検知した運転者の操作情報、処理ユニットから入力された情報により算出された最終的な駆動目標、制動目標および操舵目標に基づいて、パワートレーン、ブレーキ装置およびステアリング装置が制御される。
第12の発明に係る車両の統合制御システムにおいては、第11の発明の構成に加えて、処理手段は、各制御手段において、制御目標に対する調停の度合いを表わす情報を生成するための手段を含む。
第12の発明によると、運転者の操作に基づいて算出された目標値(駆動、制動および操舵)と、処理手段から入力されたその目標値を修正する情報とを調停して、最終的な目標値を算出することができる。
第13の発明に係る車両の統合制御システムにおいては、第1〜12のいずれかの発明の構成に加えて、駆動系制御ユニットと制動系制御ユニットとは、協働して所望の車両の挙動を実現するように、要求駆動力に対して、駆動力と制動力とが分配されるものである。
第13の発明によると、たとえば、要求駆動力を実現するためのアクチュエータとしては、駆動系のパワートレーン(エンジン、変速機を含む)と、制動系のブレーキ装置(ホイールブレーキ、補助ブレーキ)とがある。これらをそれぞれ自律的に制御する駆動系制御ユニットと制動系制御ユニットとは、協働して所望の車両の挙動を実現するように、要求駆動力に対して、駆動力と制動力とを分配する。このとき、各制御ユニットは自律的にかつ分散的に動作しているので、駆動系制御ユニットと制動系制御ユニットとの間で通信が行なわれ、駆動力と制動力とが分配される。
第14の発明に係る車両の統合制御システムにおいては、第1〜13のいずれかの発明の構成に加えて、各制御ユニットは、処理手段からの情報の反映を拒否するように制御するための手段をさらに含む。
第14の発明によると、たとえば、制御ユニットにおいては、自己以外の外部の処理ユニットからの情報に基づいて行なわれる、たとえば制御目標値の補正を行なわないようにできる。このようにすると、たとえば、反映させたい場合にのみ、処理手段から入力された情報に基づいて、目標値を修正することができる。
第15の発明に係る車両の統合制御システムにおいては、第3〜5のいずれかの発明の構成に加えて、各制御ユニットは、処理ユニット、第2の処理ユニットまたは第3の処理ユニットに対して、情報を出力するための手段をさらに含む。
第15の発明によると、たとえば、各制御ユニットは、処理ユニットまたは第2の処理ユニットである、たとえば自動運転機能ユニットに、運転支援を委託する要求情報を出力して、自動運転や擬似自動運転を行なうようにできる。
第16の発明に係る車両の統合制御システムにおいては、第1〜15のいずれかの発明の構成に加えて、各制御ユニットは、各々のECUで実現され、各ECUにおいて、運転者の要求である上位制御階層から各アクチュエータである下位制御階層への演算が実行されるものである。
第16の発明によると、たとえば、各制御ユニットは、各々のECUで、自律的かつ並列的に演算が実行される。すなわち、駆動系、制動系および操舵系のぞれぞれで、運転者の要求である上位制御階層(アクセルペダル操作量、ブレーキペダル操作量、ステアリング操作量)から各アクチュエータである下位制御階層への演算が独立して行なわれる。なお、ECUとは、Electronic Control Unitであって、コンピュータ全般を示すものである。
第17の発明に係る車両の統合制御システムにおいては、第1〜15のいずれかの発明の構成に加えて、駆動系制御ユニットは第1のECUにより実現され、制動系制御ユニットは第2のECUにより実現され、操舵系制御ユニットは第3のECUにより実現され、各ECUにおいて、運転者の要求である上位制御階層から各アクチュエータである下位制御階層への演算が実行され、処理ユニットは、ECUとは異なる第4のECUにより実現され、第1〜第3のECUは、並列的に動作が制御され、第4のECUは、第1〜第3のECUの上位制御階層側にインターフェイスを介して接続される。
第17の発明によると、たとえば、処理ユニットは、第1〜第3のECUとは異なる第4のECUにより実現される。第1〜第3のECUは、並列的に動作が制御されており、
第4のECUは、第1〜第3のECUの上位制御階層側にインターフェイスを介して接続される。このため、各制御ユニットの上位階層側に処理ユニットからの情報が入力されることにより、検知手段により検知された運転者の要求の階層レベルに、車両の周囲の環境情報、運転者に関する情報が入力されるので、演算される制御目標値に容易に反映させることができる。
本発明によれば、従来のように車両全体の制御をたとえば1つのマスターECUにより実現しないで、統合制御を前提としつつも、フェイルセーフ性を向上させるとともに、車両制御機能の追加に容易に対応可能な、車両の統合制御システムを提供することができる。
本実施の形態に係る車両の統合制御システムが搭載された車両のブロック図である。 本実施の形態に係る車両の統合制御システムの構造概念図である。 主制御系(1)の構造概念図である。 主制御系(1)における信号の入出力図である。 主制御系(2)における信号の入出力図である。 主制御系(3)における信号の入出力図である。 本実施の形態の変形例に係る車両の統合制御システムの構造概念図(その1)である。 本実施の形態の変形例に係る車両の統合制御システムの構造概念図(その2)である。 本実施の形態の変形例に係る車両の統合制御システムの構造概念図(その3)である。 本実施の形態の変形例に係る車両の統合制御システムの構造概念図(その4)である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る車両の統合制御システムのブロック図を説明する。この車両の統合制御システムは、内燃機関(エンジン)を駆動源とする車両に搭載されている。なお、駆動源は、エンジンなどの内燃機関に限定されず、電気モータのみやエンジンと電気モータとの組合せであってもよく、電気モータの動力源は、二次電池や燃料電池であってよい。
この車両は、前後左右にそれぞれ車輪100を備える。図1において「FL」は左前輪、「FR」は右前輪、「RL」は左後輪、「RR」は右後輪をそれぞれ示す。
この車両は、動力源としてエンジン140を搭載している。このエンジン140の運転状態は、運転者によるアクセルペダル(車両の駆動に関して運転者が操作する対象の一例である)200の操作量に応じて電気的に制御される。エンジン140の運転状態は、また、必要に応じて、運転者によるアクセルペダル200の操作(以下、「駆動操作」または「加速操作」という)とは無関係に自動的に制御される。
このようなエンジン140の電気制御は、たとえば、図示しないが、エンジン140の吸気マニホールド内に配置されたスロットルバルブの開度(すなわち、スロットル開度)の電気制御により実現したり、エンジン140の燃焼室に噴射される燃料の量の電気制御により実現することが可能である。
この車両は、左右前輪が転動輪、左右後輪が駆動輪である後輪駆動式である。そのため、エンジン140は、トルクコンバータ220、トランスミッション240、プロペラシャフト260およびデファレンシャル280と、各後輪とともに回転するドライブシャフト300とをそれらの順に介して各後輪に連結されている。トルクコンバータ220、トランスミッション240、プロペラシャフト260およびデファレンシャル280は、左右後輪に共通の伝達要素である。
トランスミッション240は、図示しない自動変速機を備えている。この自動変速機は、エンジン140の回転速度をトランスミッション240のアウトプットシャフトの回転速度に変速する際の変速比を電気的に制御する。
車両は、運転者により回転操作されるステアリングホイール440を備えている。そのステアリングホイール440には、操舵反力付与装置480により、運転者による回転操作(以下、「操舵」という)に応じた反力が操舵反力として電気的に付与される。その操舵反力の大きさは電気的に制御可能とされている。
左右前輪の向きすなわち前輪舵角は、フロントステアリング装置500によって電気的に変化させられる。フロントステアリング装置500は、運転者によりステアリングホイール440が回転操作された角度すなわち操舵角に基づいて前輪舵角を制御し、また、必要に応じ、その回転操作とは無関係に自動的に前輪舵角を制御する。すなわち、本実施の形態においては、ステアリングホイール440と左右前輪とが機械的には絶縁されているのである。
左右後輪の向きすなわち後輪舵角も、前輪舵角と同様に、リヤステアリング装置520によって電気的に変化させられる。
各車輪100には、その回転を抑制するために作動させられるブレーキ560が設けられている。各ブレーキ560は、運転者によるブレーキペダル(車両の制動に関して運転者が操作する対象の一例である)580の操作量に応じて電気的に制御され、また、必要に応じ、自動的に各車輪100ごとに個別に制御される。
この車両においては、各車輪100が、各サスペンション620を介して車体(図示しない)に懸架されている。各サスペンション620の懸架特性は、個別に電気的に制御可能となっている。
以上のように説明した車両の各構成要素は、それを電気的に作動させるために作動させられる以下のアクチュエータを備えている。
(1)エンジン140を電気的に制御するためのアクチュエータ
(2)トランスミッション240を電気的に制御するためのアクチュエータ
(3)操舵反力付与装置480を電気的に制御するためのアクチュエータ
(4)フロントステアリング装置500を電気的に制御するためのアクチュエータ
(5)リヤステアリング装置520を電気的に制御するためのアクチュエータ
(6)各ブレーキ560に個別に関連して設けられ、各ブレーキ560により各車輪100に加えられる制動トルクを個別に電気的に制御するための複数のアクチュエータ
(7)各サスペンション620に個別に関連して設けられ、各サスペンション620の懸架特性を個別に電気的に制御するための複数のアクチュエータ
図1に示すように、車両の統合制御システムは、以上のように説明した複数のアクチュエータに接続された状態で車両に搭載されている。この運動制御装置は、図示しないバッテリ(車両電源の一例である)から供給される電力により作動させられる。
さらに、これらに加えて、アクセルペダル200にアクセルペダル反力付与装置を設けて、そのアクセルペダル反力付与装置を電気的に制御するためのアクチュエータを設けるようにしてもよい。
図2に、車両の統合制御システムの構造概念図を示す。この車両の統合制御システムは、たとえば、駆動系制御ユニットとしての主制御系(1)、制動系制御ユニットとしての主制御系(2)および操舵系制御ユニットとしての主制御系(3)の、これらの基本制御ユニットから構成される。
駆動系制御ユニットである主制御系(1)においては、検知された運転者の要求であるアクセルペダル操作に基づいて、駆動基本ドライバモデルを用いてアクセルペダル操作に対応する駆動系の制御目標が生成されて、アクチュエータが制御される。主制御系(1)においては、運転者のアクセルペダル操作量(ストローク)を検知するための検知センサからの入力信号を駆動基本モデルを用いて解析して目標前後加速度Gx*(DRV0)を算出する。主制御系(1)においては、アドバイザユニットからの情報に基づいて、目標前後加速度Gx*(DRV0)が補正機能ブロックで補正される。さらに、主制御系(1)においては、エージェントユニットからの情報に基づいて、目標前後加速度Gx*(DRV0)が調停機能ブロックで調停される。さらに、主制御系(1)においては、主制御系(2)との間で駆動トルクと制動トルクが分配されて、駆動側の目標駆動トルクτx*(DRV0)が算出される。さらに、主制御系(1)においては、サポータユニットからの情報に基づいて、目標駆動トルクτx*(DRV0)が調停機能ブロックで調停され、目標駆動トルクτx*(DRV)が算出される。この目標駆動トルクτx*(DRV)を発現するようにパワートレーン(140,220,240)が制御される。
制動系制御ユニットである主制御系(2)においては、検知された運転者の要求であるブレーキペダル操作に基づいて、制動基本ドライバモデルを用いてブレーキペダル操作に対応する制動系の制御目標が生成されて、アクチュエータが制御される。
制動系制御ユニットである主制御系(2)においては、検知された運転者の要求であるブレーキペダル操作に基づいて、制動基本ドライバモデルを用いてブレーキペダル操作に対応する制動系の制御目標が生成されて、アクチュエータが制御される。主制御系(2)においては、運転者のブレーキペダル操作量(踏力)を検知するための検知センサからの入力信号を制動基本モデルを用いて解析して目標前後加速度Gx*(BRK0)を算出する。主制御系(2)においては、アドバイザユニットからの情報に基づいて、目標前後加速度Gx*(BRK0)が補正機能ブロックで補正される。さらに、主制御系(1)においては、エージェントユニットからの情報に基づいて、目標前後加速度Gx*(BRK0)が調停機能ブロックで調停される。さらに、主制御系(2)においては、主制御系(1)との間で駆動トルクと制動トルクとが分配されて制動側の目標制動トルクτx*(BRK0)が算出される。さらに、主制御系(2)においては、サポータユニットからの情報に基づいて、目標制動トルクτx*(BRK0)が調停機能ブロックで調停され、目標制動トルクτx*(BRK)が算出される。この目標制動トルクτx*(BRK)を発現するようにブレーキ560のアクチュエータが制御される。
操舵系制御ユニットである主制御系(3)においては、検知された運転者の要求であるステアリング操作に基づいて、操舵基本ドライバモデルを用いてステアリング操作に対応する操舵系の制御目標が生成されて、アクチュエータが制御される。
操舵系制御ユニットである主制御系(3)においては、検知された運転者の要求であるステアリング操作に基づいて、操舵基本ドライバモデルを用いてステアリング操作に対応する操舵系の制御目標が生成されて、アクチュエータが制御される。主制御系(3)においては、運転者のステアリング角度を検知するための検知センサからの入力信号を操舵基本モデルを用いて解析して目標タイヤ角を算出する。主制御系(3)においては、アドバイザユニットからの情報に基づいて、目標タイヤ角が補正機能ブロックで補正される。さらに、主制御系(3)においては、エージェントユニットからの情報に基づいて、目標タイヤ角が調停機能ブロックで調停される。さらに、主制御系(3)においては、サポータユニットからの情報に基づいて、目標タイヤ角が調停機能ブロックで調停され、目標タイヤ角が算出される。この目標タイヤ角を発現するようにフロントステアリング装置500およびリヤステアリング装置520のアクチュエータが制御される。
さらに、この車両の統合制御システムにおいては、このような自律的に動作する、主制御系(1)(駆動系制御ユニット)と、主制御系(2)(制動系制御ユニット)と、主制御系(3)(操舵系制御ユニット)とに並列的に複数の処理ユニットを有する。第1の処理ユニットはアドバイザ機能を有するアドバイザユニットであって、第2の処理ユニットはエージェント機能を有するエージェントユニットであって、第3の処理ユニットはサポータ機能を有するサポータユニットである。
アドバイザユニットは、たとえば、車両の周囲の環境情報または運転者に関する情報に基づいて、各主制御系において用いられる情報を生成して、各主制御系に出力する。エージェントユニットは、予め定められた挙動を車両に実現させるために各主制御系において用いられる情報を生成して、各主制御系に出力する。サポータユニットは、現在の車両の動的状態に基づいて、各主制御系において用いられる情報を生成して、各主制御系に出力する。各主制御系においては、アドバイザユニット、エージェントユニットおよびサポータユニットから入力されたこれらの情報(運転者の要求以外の情報)を車両の運動制御に反映させるか否か、反映させるのであればどの程度まで反映させるのかなどを判断したり、制御目標を補正したり、各制御ユニット間において情報を通信したりする。各主制御系は、自律的に動作しているので、最終的にそれぞれの制御ユニットで、検知した運転者の操作情報、アドバイザユニット、エージェントユニットおよびサポータユニットから入力された情報、各主制御系間で通信された情報により算出された最終的な駆動目標、制動目標および操舵目標に基づいて、パワートレーンのアクチュエータ、主ブレーキのアクチュエータおよびステアリングのアクチュエータを制御する。
さらに詳しくは、アドバイザユニットは、車両の周囲の環境情報として車両が走行中路面の摩擦抵抗値(μ値)や外気温などに基づいて車両の動作特性に対するリスクの度合いを表わす情報を生成したり、運転者を撮像して運転者の疲労状況に基づく運転者の操作に対するリスクの度合いを表わす情報を生成したりする。そのリスクの度合いを表わす情報が、各主制御系に出力される。このリスクの度合いを表わす情報は、どの主制御系でも使用できるようにアドバイザユニットで処理されている。各主制御系においては、アドバイザユニットから運転者の要求以外に入力されたリスクに関する情報を車両の運動制御に反映させるか否か、反映させるのであればどの程度まで反映させるのかなどの処理が行なわれる。
さらに詳しくは、エージェントユニットは、車両を自動的に運転する自動運転機能を実現するための情報を生成する。その自動運転機能を実現するための情報が、各主制御系に出力される。各主制御系においては、処理ユニットから運転者の要求以外に入力された自動運転機能を実現するための情報を車両の運動制御に反映させるか否か、反映させるのであればどの程度まで反映させるのかなどの処理が行なわれる。
さらに詳しくは、サポータユニットは、現在の車両の動的状態を把握して、各主制御系における目標値を修正するための情報を生成する。その目標値を修正するための情報が、各主制御系に出力される。各主制御系においては、処理ユニットから運転者の要求以外に入力された動的状態に基づく目標値を修正するための情報を車両の運動制御に反映させるか否か、反映させるのであればどの程度まで反映させるのかなどの処理が行なわれる。
図2に示すように、主制御系(1)、主制御系(2)および主制御系(3)の基本制御ユニット、アドバイザユニット、エージェントユニットおよびサポータユニットの支援ユニットは、いずれも自律的に動作するように構成されている。主制御系(1)をPT(Power Train)系と、主制御系(2)をECB(Electronic Controlled Brake)系と、主制御系(3)をSTR(Staring)系と記載し、アドバイザユニットの一部とエージェント
ユニットの一部とをDSS(Driving Support System)系と記載し、アドバイザユニットの一部とエージェントユニットの一部とサポータユニットの一部とをVDM(Vehicle Dynamics Management)系と記載している。また、図2に示すなかで、エージェントユニット(自動運転機能)から主制御系(1)、主制御系(2)および主制御系(3)で実行されている制御に対して介入する介入制御も行なわれる。
図3を参照して、主制御系(1)(駆動系制御ユニット)について、さらに詳しく説明する。なお、この図3以降においては、変数のラベル名称が異なる場合があるが、これによる本発明の本質的な相違は存在しない。詳しくは、たとえば、図2においてはインターフェイスがGx*(加速度)であるが、図3以降においてはインターフェイスがFx(駆動力)としている。これは、F(力)=m(質量)×α(加速度)であって、車両質量(m)が、この発明においては制御対象ではなく可変であると想定していない。そのため、図2のGx*(加速度)と図3以降のFx(駆動力)とで本質的な相違がないといえる。
駆動系を制御するユニットである主制御系(1)においては、共有情報(9)である車速や変速機の変速比などの情報が入力され、これらの情報と駆動基本ドライバモデルとを用いて、駆動基本ドライバモデル出力として、目標前後方向加速度を表わすFxp0が算出される。算出されたFxp0は、アドバイザユニットから入力される、リスクなどに抽象化されたリスク度合い情報(指標)である環境状態(6)を用いて、補正機能ユニット(2)によりFxp1に補正される。補正機能ユニット(2)からエージェントユニット(7)へ自動運転機能の実現に対する委託意思を表わす情報が出力される。また、補正機能ユニット(2)にて補正されたFxp1と、エージェントユニットから入力される、自動運転機能ユニット(7)を実現するための情報とを用いて、調停機能ユニット(3)によりFxp2に調停される。
駆動系を制御するユニットである主制御系(1)と制動系を制御するユニットである主制御系(2)との間では、駆動トルクと制動トルクとの分担割合が算出され、駆動ユニット側である主制御系(1)においては駆動系のFxp3が算出される。この分配機能ユニット(4)から、主制御系(2)へFxBが出力されるとともに、エージェントユニット(7)に駆動アベイラビリティ、サポータユニットであるダイナミクス(8)に目標値が出力される。
調停機能ユニット(5)において、分配機能ユニット(4)から出力されたFxp3と、サポータユニットであるダイナミクス補償(8)からのFxp_vdmとを用いて、調停機能ユニット(5)によりFxp4に調停される。この調停されたFxp4に基づいて、パワートレーンが制御される。
このように図3に示すものが、主制御系(2)にも主制御系(3)にも存在する。ここでは、主制御系(2)にも主制御系(3)については図5〜図6を用いてさらに詳しく説明するため、図3の主制御系(1)に対応する主制御系(2)を示す図および主制御系(3)を示す図については、説明しない。
図4〜図6に、さらに詳しい主制御系(1)、主制御系(2)および主制御系(3)の制御構造を示す。
図4に、主制御系(1)の制御構造を示す。図4に示すように、駆動系制御を担当する主制御系(1)においては、以下の手順により制御が行なわれる。
駆動基本ドライバモデル(1)において、アクセルペダル開度(pa)などのHMI(Human Machine Interface)入力情報や、共有情報(9)である車速(spd)、変速機の変速比(ig)などから、基本駆動ドライバモデル出力(Fxp0)を算出する。このときの演算式は、関数fを用いて、Fxp0=f(pa,spd,ig)で表わされる。
補正機能ユニット(2)において、アドバイザユニットからの環境情報(6)(たとえば、リスクなどという概念に抽象化された情報)であるRisk_Idx[n]に基づいて、Fxp0を補正してFxp1を出力する。このときの演算式は、関数fを用いて、Fxp1=f(Fxp0,Risk_Idx[n])で表わされる。
より具体的には、たとえば、Fxp11=Fxp0×Risk_Idx[n]で算出される。Risk_Idx[1]=0.8、Risk_Idx[2]=0.6、Risk_Idx[3]=0.5等のようにアドバイザユニットからリスクの度合いが入力される。
また、車両状態(10)からの安定性などという概念に抽象化された情報に基づいて、Fxp0を補正したFxp12を算出する。このとき、たとえば、Fxp12=Fxp0×Stable_Idx[n]で算出される。Stable_Idx[1]=0.8、Stable_Idx[2]=0.6、Stable_Idx[3]=0.5等である。
これらの、Fxp11とFxp12とは、より小さいほうが選択されて、Fxp1として出力されるようにしてもよい。
さらに、この補正機能ユニット(2)においては、運転者がクルーズコントロールスイッチを押した場合などにおいては、エージェント機能である自動運転機能ユニット(7)へ委託意思情報を出力することもできる。また、このとき、反力制御可能なアクセルペダルである場合には、このようなアクセルペダルに対する運転者の操作に基づいて、運転者の自動運転意思を判定して、エージェント機能である自動運転機能ユニット(7)へ委託意思情報を出力することもできる。
調停機能ユニット(3)においては、補正機能ユニット(2)から出力されたFxp1とエージェントユニットの自動運転機能ユニット(7)からの出力Fxaとの調停を実行して、分配ユニット(4)にFxp2を出力する。ここで、調停機能は、たとえば、自動運転機能ユニット(7)からの出力であるFxaが有効であることを示す付加情報(フラグ、available_status flag)を伴う場合、自動運転機能ユニット(7)からの出力であるFxaを最優先で選択してFxp2を算出する。他の場合には、補正機能ユニット(2)からの出力であるFxp1を選択してFxp2を算出したり、補正機能ユニット(2)からの出力であるFxp1に予め定められた反映度でFxaを反映させたFxp2を算出するようにしてもよい。このときの演算式は、より大きな値を選択する関数maxを用いて、たとえば、Fxp2=max(Fxp1,Fxa)で表わされる。
分配機能ユニット(4)においては、主として、駆動系制御ユニットである主制御系(1)と制動系制御ユニットである主制御系(2)との分配演算を行なう。分配機能ユニット(4)は、演算の結果である駆動系への分配分については、調停機能ユニット(5)へFxp3を出力し、演算の結果である制動系への分配分については、主制御系(2)へFxBを出力する。また、主制御系(1)の制御対象であるパワートレーンが出力可能な駆動源の情報である駆動アベイラビリティFxp_availを、エージェントユニットである自動運転機能ユニット(7)およびサポータユニットであるダイナミクス補償(8)へ、それぞれ出力する。このときの演算式は、関数fを用いて、Fxp3←f(Fxa,Fxp2)、FxB=f(Fxa,Fxp2)で表わされる。
調停機能ユニット(5)においては、分配機能ユニット(4)から出力されたFxp3とサポータユニットのダイナミクス補償機能ユニット(8)からの出力Fxp_vdmとの調停を実行して、パワートレーン制御部にFxp4を出力する。ここで、調停機能は、たとえば、ダイナミクス補償機能ユニット(8)からの出力であるFxp_vdmが有効であることを示す付加情報(フラグ、vdm_status flag)を伴う場合、ダイナミクス補償機能ユニット(8)からの出力であるFxp_vdmを最優先で選択してFxp4を算出する。他の場合には、分配機能ユニット(4)からの出力であるFxp3を選択してFxp4を算出したり、分配機能ユニット(4)からの出力であるFxp3に予め定められた反映度でFxp_vdmを反映させたFxp4を算出するようにしてもよい。このときの演算式は、たとえば、Fxp4=f(Fxp3,Fxp_vdm)で表わされる。
図5に、主制御系(2)の制御構造を示す。図5に示すように、制動系制御を担当する主制御系(2)においては、以下の手順により制御が行なわれる。
制動基本ドライバモデル(1)’において、ブレーキペダル踏力(ba)などのHMI入力情報や、共有情報(9)である車速(spd)、車両に作用している横方向G(Gy)などから、基本制動ドライバモデル出力(Fxb0)を算出する。このときの演算式は、関数fを用いて、Fxb0=f(pa,spd,Gy)で表わされる。
補正機能ユニット(2)’において、アドバイザユニットからの環境情報(6)(たとえば、リスクなどという概念に抽象化された情報)であるRisk_Idx[n]に基づいて、Fxb0を補正してFxb1を出力する。このときの演算式は、関数fを用いて、Fxb1=f(Fxb0,Risk_Idx[n])で表わされる。
より具体的には、たとえば、Fxb11=Fxb0×Risk_Idx[n]で算出される。Risk_Idx[1]=0.8、Risk_Idx[2]=0.6、Risk_Idx[3]=0.5等のようにアドバイザユニットからリスクの度合いが入力される。
また、車両状態(10)からの安定性などという概念に抽象化された情報に基づいて、Fxb0を補正したFxb12を算出する。このとき、たとえば、Fxb12=Fxb0×Stable_Idx[n]で算出される。Stable_Idx[1]=0.8、Stable_Idx[2]=0.6、Stable_Idx[3]=0.5等である。
これらの、Fxb11とFxb12とは、より大きいほうが選択されて、Fxb1として出力されるようにしてもよい。具体的には、ミリ波レーダにより検知された前方走行車両との車間距離、ナビゲーション装置により検知された次のコーナまでの距離等に応じて出力を補正する場合がある。
調停機能ユニット(3)’においては、補正機能ユニット(2)’から出力されたFxb1とエージェントユニットの自動運転機能ユニット(7)からの出力Fxbaとの調停を実行して、分配ユニット(4)’にFxb2を出力する。ここで、調停機能は、たとえば、自動運転機能ユニット(7)からの出力であるFxbaが有効であることを示す付加情報(フラグ、available_status flag)を伴う場合、自動運転機能ユニット(7)からの出力であるFxbaを最優先で選択してFxb2を算出する。他の場合には、補正機能ユニット(2)’からの出力であるFxb1を選択してFxb2を算出したり、補正機能ユニット(2)’からの出力であるFxb1に予め定められた反映度でFxbaを反映させたFxb2を算出するようにしてもよい。このときの演算式は、より大きな値を選択する関数maxを用いて、たとえば、Fxb2=max(Fxb1,Fxba)で表わされる。
分配機能ユニット(4)’においては、主として、駆動系制御ユニットである主制御系(1)と制動系制御ユニットである主制御系(2)との分配演算を行なう。主制御系(1)の分配機能ユニット(4)に対応するものである。分配機能ユニット(4)’は、演算の結果である制動系への分配分については、調停機能ユニット(5)’へFxb3を出力し、演算の結果である駆動系への分配分については、主制御系(1)へFxPを出力する。また、主制御系(2)の制御対象であるブレーキが出力可能な情報である制動アベイラビリティFxb_availを、エージェントユニットである自動運転機能ユニット(7)およびサポータユニットであるダイナミクス補償(8)へ、それぞれ出力する。このときの演算式は、関数fを用いて、Fxb3←f(Fxba,Fxb2)、FxP=f(Fxba,Fxb2)で表わされる。
調停機能ユニット(5)’においては、分配機能ユニット(4)’から出力されたFxb3とサポータユニットのダイナミクス補償機能ユニット(8)からの出力Fxb_vdmとの調停を実行して、ブレーキ制御部にFxb4を出力する。ここで、調停機能は、たとえば、ダイナミクス補償機能ユニット(8)からの出力であるFxb_vdmが有効であることを示す付加情報(フラグ、vdm_status flag)を伴う場合、ダイナミクス補償機能ユニット(8)からの出力であるFxb_vdmを最優先で選択してFxb4を算出する。他の場合には、分配機能ユニット(4)’からの出力であるFxb3を選択してFxb4を算出したり、分配機能ユニット(4)’からの出力であるFxb3に予め定められた反映度でFxb_vdmを反映させたFxb4を算出するようにしてもよい。このときの演算式は、より大きな値を選択する関数maxを用いて、たとえば、Fxb4=max(Fxb3,Fxb_vdm)で表わされる。
図6に、主制御系(3)の制御構造を示す。図6に示すように、操舵系制御を担当する主制御系(3)においては、以下の手順により制御が行なわれる。
操舵基本ドライバモデル(1)”において、ステアリング操舵角(sa)などのHMI入力情報や、共有情報(9)である車速(spd)、車両に作用している横方向G(Gy)などから、基本操舵ドライバモデル出力(Δ0)を算出する。このときの演算式は、関数fを用いて、Δ0=f(sa,spd,Gy)で表わされる。
補正機能ユニット(2)”において、アドバイザユニットからの環境情報(6)(たとえば、リスクなどという概念に抽象化された情報)であるRisk_Idx[n]に基づいて、Δ0を補正してΔ1を出力する。このときの演算式は、関数fを用いて、Δ1=f(Δ0,Risk_Idx[n])で表わされる。
より具体的には、たとえば、Δ11=Δ0×Risk_Idx[n]で算出される。Risk_Idx[1]=0.8、Risk_Idx[2]=0.6、Risk_Idx[3]=0.5等のようにアドバイザユニットからリスクの度合いが入力される。
また、車両状態(10)からの安定性などという概念に抽象化された情報に基づいて、Δ0を補正したΔ12を算出する。このとき、たとえば、Δ12=Δ0×Stable_Idx[n]で算出される。Stable_Idx[1]=0.8、Stable_Idx[
2]=0.6、Stable_Idx[3]=0.5等である。
これらの、Δ11とΔ12とは、より小さいほうが選択されて、Δ1として出力されるようにしてもよい。
さらに、この補正機能ユニット(2)”においては、運転者がレーンキープアシストスイッチを押した場合などにおいては、エージェント機能である自動運転機能ユニット(7)へ委託意思情報を出力することもできる。さらに、この補正機能ユニット(2)”においては、横風などの外乱に応じて出力を補正する場合がある。
調停機能ユニット(3)”においては、補正機能ユニット(2)”から出力されたΔ1とエージェントユニットの自動運転機能ユニット(7)からの出力Δaとの調停を実行して、調停ユニット(5)”にΔ2を出力する。ここで、調停機能は、たとえば、自動運転機能ユニット(7)からの出力であるΔaが有効であることを示す付加情報(フラグ、available_status flag)を伴う場合、自動運転機能ユニット(7)からの出力であるΔaを最優先で選択してΔ2を算出する。他の場合には、補正機能ユニット(2)”からの出力であるΔ1を選択してΔ2を算出したり、補正機能ユニット(2)”からの出力であるΔ1に予め定められた反映度でΔaを反映させたΔ2を算出するようにしてもよい。このときの演算式は、たとえば、Δ2=f(Δ1,Δa)で表わされる。
調停機能ユニット(5)”においては、調停機能ユニット(3)”から出力されたΔ2とサポータユニットのダイナミクス補償機能ユニット(8)からの出力Δ_vdmとの調停を実行して、ステアリング制御部にΔ4を出力する。ここで、調停機能は、たとえば、ダイナミクス補償機能ユニット(8)からの出力であるΔ_vdmが有効であることを示す付加情報(フラグ、vdm_status flag)を伴う場合、ダイナミクス補償機能ユニット(8)からの出力であるΔ_vdmを最優先で選択してΔ4を算出する。他の場合には、調停機能ユニット(3)”からの出力であるΔ2を選択してΔ4を算出したり、調停機能ユニット(3)”からの出力であるΔ2に予め定められた反映度でΔ_vdmを反映させたΔ4を算出するようにしてもよい。このときの演算式は、より大きな値を選択する関数maxを用いて、たとえば、Δ4=max(Δ2,Δ_vdm)で表わされる。
以上のような構造を有する統合制御システムを搭載した車両の動作について説明する。
車両の走行中には、運転者は自己の感覚器官(主として視覚)が取得した情報に基づいて、車両の基本動作である「走る」動作に対応する駆動系制御ユニット、「止まる」動作に対応する制動系制御ユニット、「曲がる」動作に対応する操舵系制御ユニットを、制御するために、アクセルペダル200、ブレーキペダル580およびステアリングホイール440を操作する。基本的に、運転者は、これらのHMI入力により車両を制御する。なお、補助的にトランスミッション240の変速比を変更するために運転者が自動変速機のシフトレバーを操作する場合もある。
通常、車両が走行しているときに、運転者の感覚器官からの情報以外に、車両に設けられた様々な装置により、多種類の車両の周囲の環境情報が検知される。その一例として、ミリ波レーダにより検知される前方車両との車間距離、ナビゲーション装置により検知される現在車両位置および前方の道路状態(コーナ、渋滞等)、Gセンサにより検知される路面の勾配状態(平坦路、登坂路、降坂路)、外気温センサにより検知される車両の外気温、通信機能つきナビゲーション装置により受信される現在走行位置における局地天候情報および路面の抵抗係数(路面凍結による低μ路状態等)、ブラインドコーナセンサにより検知される前方車両走行状態、車外カメラにより撮像されて画像処理されることにより検知されるレーンキープ状態、車内カメラにより撮像されて画像処理されることにより検知される運転者の運転状態(運転姿勢、覚醒状態、居眠り状態)、ステアリングホイールに設けられた圧力センサにより運転者の手の握力を検知して分析することにより検知される運転者の居眠り状態などの情報である。これらの情報には、車両の周囲の環境情報と、運転者自身についての状態とがある。いずれの情報も、運転者の感覚器官により検知できる情報ではない点が重要である。
さらに、車両に設けられたセンサにより、車両の動的状態(ダイナミクス状態)が検知される。その一例として、車輪速度Vw、前後方向の車両の速度Vx、前後方向加速度Gx、横方向加速度Gy、ヨーレートγなどがある。
この車両には、運転者の運転を支援するための運転支援システムとして、クルーズコントロールシステムとレーンキープアシストシステムとを搭載している。これらのシステムは、エージェントユニットにより制御される。エージェントユニットがさらに発展すると、このような擬似自動運転を実現するのみならず、さらには、将来的には完全なる自動運転を実現することもありうる。そのような場合であっても、本実施の形態に係る統合制御システムの適用が可能である。特に、そのような自動運転システムの実現においては、主制御系(1)である駆動系制御ユニット、主制御系(2)である制動系制御ユニット、主制御系(3)である操舵系制御ユニット、アドバイザユニットおよびサポータユニットは、修正することなく、エージェントユニットの自動運転機能を高度自動運転機能を有するものに変更するだけで実現可能である。
車両の運転中において、たとえば現在走行中の道路の前方にコーナがあるときを想定する。なお、このコーナは運転者の視覚により捕らえることができず運転者がこのコーナの存在を認識していない。このときに、車両のアドバイザユニットにおいてはナビゲーション装置からの情報に基づいて、このコーナの存在を検知している。
このように想定された場合において、運転者がアクセルペダル200を踏み込んで加速しようとすると、その後このコーナで運転者は車両を減速させるためにブレーキペダル580を踏むことになる。主制御系(1)でアクセルペダル開度(pa)、車速(spd)、変速機の変速比(ig)などから、基本駆動ドライバモデル出力Fxp0が、Fxp0=f(pa,spd,ig)で算出される。このままでは、このFxP0に基づいて要求駆動トルクが大きく算出されてエンジン140のスロットルバルブが開かれたりトランスミッション240のギヤ比がダウンシフトされて車両が加速する。しかしながら、アドバイザユニットは、前方コーナの存在によるリスクの度合いRisk_Idx[n]を演算して、補正機能ユニット(2)に出力する。このため、補正機能ユニット(2)においては、運転者がアクセルペダル200を踏んで期待したほどの加速度を発現しないように、補正される。
さらに、このときに、路面が凍結状態であって大きな車両前後方向加速度により横滑りを起こす可能性があることをサポータユニットが検知していると、安定性に関するリスクの度合いStable_Idx[n]を演算して、補正機能ユニット(2)に出力する。このため、このような場合においては、補正機能ユニット(2)においては、運転者がアクセルペダル200を踏んで期待したほどの加速度を発現しないように、補正される。
また、車両がスリップしていることを検知すると、サポータユニットにおいて、駆動トルクを低く調停するような信号が調停機能ユニット(5)に出力される。このような場合には、サポータユニットからのFxp_vdmが優先的に採用され、車両がこれ以上スリップしないようにパワートレーンが制御される。このため、たとえ運転者が大きくアクセルペダル200を踏んでいても、運転者がアクセルペダル200を踏んで期待したほどの加速度を発現しないように、調停される。
以上のようにして、本実施の形態に係る車両の統合制御システムによると、駆動系制御ユニットである主制御系(1)においては、運転者の要求であるアクセルペダル操作を検知して、駆動基本ドライバモデルを用いてアクセルペダル操作に対応する駆動系の制御目標が生成されて、駆動アクチュエータであるパワートレーンが制御される。制動系制御ユニットである主制御系(2)においては、運転者の要求であるブレーキペダル操作を検知して、制動基本ドライバモデルを用いてブレーキペダル操作に対応する制動系の制御目標が生成されて、制動アクチュエータであるブレーキ装置が制御される。操舵系制御ユニットである主制御系(3)においては、運転者の要求であるステアリング操作を検知して、操舵基本ドライバモデルを用いてステアリング操作に対応する操舵系の制御目標が生成されて、アクチュエータであるステアリング装置が制御される。これらの制御ユニットは自律的に動作する。
このような自律的に動作するこれらの駆動系制御ユニットと制動系制御ユニットと操舵系制御ユニットとに加えて、アドバイザユニット、エージェントユニットおよびサポータユニットをさらに備えた。アドバイザユニットは、車両の周囲の環境情報または運転者に関する情報に基づいて、制御ユニットにおいて用いられる情報を生成して、各制御ユニットに出力する。アドバイザユニットは、車両の周囲の環境情報として車両が走行中路面の摩擦抵抗や外気温などに基づいて車両の動作特性に対するリスクの度合いを表わす情報や、運転者を撮像して運転者の疲労状況に基づく運転者の操作に対するリスクの度合いを表わす情報を、各制御ユニットで共通して使用できるように加工して生成したりする。エージェントユニットは、予め定められた挙動を車両に実現させるために各制御ユニットにおいて用いられる情報を生成して、各制御ユニットに出力する。エージェントユニットは、車両を自動的に運転する自動運転機能を実現するための情報を生成する。その自動運転機能を実現するための情報が、各制御ユニットに出力される。サポータユニットは、現在の車両の動的状態に基づいて、各制御ユニットにおいて用いられる情報を生成して、各制御ユニットに出力する。サポータユニットは、現在の車両の動的状態を把握して、各制御ユニットにおける目標値を修正するための情報を生成する。
各制御ユニットにおいては、アドバイザユニット、エージェントユニットおよびサポータユニットからそれぞれ出力された情報を車両の運動制御に反映させるか否か、反映させるのであればどの程度まで反映させるのかなどの調停処理が行なわれる。これらの制御ユニットや、アドバイザユニット、エージェントユニットおよびサポータユニットは、自律的に動作する。最終的には、それぞれの制御ユニットで、アドバイザユニット、エージェントユニットおよびサポータユニットから入力された情報、各制御ユニット間で通信された情報により算出された最終的な駆動目標、制動目標および操舵目標に基づいて、パワートレーン、ブレーキ装置およびステアリング装置が制御される。
このように、車両の基本動作である「走る」動作に対応する駆動系制御ユニット、「止まる」動作に対応する制動系制御ユニット、「曲がる」動作に対応する操舵系制御ユニットを、それぞれが独立して作動可能なように設けた。これらの制御ユニットに対して、車両の周囲の環境情報や運転者に関する情報に対するリスクや安定性に関する情報、車両を自動的に運転させるための自動運転機能を実現するための情報および各制御ユニットの目標値を修正するための情報を生成して各制御ユニットに出力できる、アドバイザユニット、エージェントユニットおよびサポータユニットを付加している。このため、高度の自動運転制御に容易に対応可能な、車両の統合制御システムを提供することができる。
なお、いずれの場合であっても、運転者の操作を最優先として、アドバイザユニット、エージェントユニットおよびサポータユニットからのフラグがリセットされている場合には、これらの運転支援ユニットからの信号を用いた制御が行なわれない。
<変形例>
以下、図7〜図10を参照して、本発明の実施の形態の4つの変形例について説明する。いずれの変形例においても、駆動系制御ユニットである主制御系(1)、制動系制御ユニットである主制御系(2)、操舵系制御ユニットである主制御系(3)を有する点では、図2に示した制御構成と同じである。
図7に第1の変形例を示す。この第1の変形例は、駆動系制御ユニットである主制御系(1)および制動系制御ユニットである主制御系(2)が有していた分配機能ユニットを、サポータユニットに集約して配置した。そのため、サポータユニットにおいては、ダイナミクス補償機能と分配機能とを併せて実行することになる。
図8に第2の変形例を示す。この第2の変形例は、第1の変形例のように、駆動系制御ユニットである主制御系(1)および制動系制御ユニットである主制御系(2)が有していた分配機能ユニットを、サポータユニットに集約して配置したことに加えて、アベイラビリティをサポータユニットから出力するようにした。そのため、サポータユニットにお
いては、ダイナミクス補償機能と分配機能とを併せて実行することになるとともに、エージェントユニットに、駆動アベイラビリティ、制動アベイラビリティおよび操舵アベイラビリティを出力することになる。
図9に第3の変形例を示す。この第3の変形例は、第2の変形例のように、駆動系制御ユニットである主制御系(1)および制動系制御ユニットである主制御系(2)が有していた分配機能ユニットを、サポータユニットに集約して配置してアベイラビリティをエージェント機能に出力するようにしたことに加えて、調停機能をサポータユニットに集約して配置した。そのため、サポータユニットにおいては、ダイナミクス補償機能と分配機能とを併せて実行して、エージェントユニットに、駆動アベイラビリティ、制動アベイラビリティおよび操舵アベイラビリティを出力することになるとともに、調停機能を実現することになる。
図10に第4の変形例を示す。この第4の変形例は、図2に示した実施の形態におけるアドバイザユニットとエージェントユニットとを1つのユニットに集約したものである。したがって、このアドバイザ+エージェントユニットは、アドバイザ機能とエージェント機能とを併せて実行する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 車輪、140 エンジン、200 アクセルペダル、220 トルクコンバータ、240 トランスミッション、260 プロペラシャフト、280 デファレンシャル、300 ドライブシャフト、440 ステアリングホイール、480 操舵反力付与装置、500 フロントステアリング装置、520 リヤステアリング装置、560 ブレーキ、580 ブレーキペダル、620 サスペンション。

Claims (19)

  1. 自律的に動作する、操作要求に基づいて車両の走行状態を制御する複数の制御ユニットを含む車両の統合制御システムであって、
    各前記制御ユニットは、
    少なくとも1つの制御ユニットに対する作動要求を検知するための検知手段と、
    検知された要求に基づいて制御目標を生成し、前記制御目標を用いて、各ユニット毎に対応付けされたアクチュエータを操作することにより前記車両を制御するための制御手段とを含み、
    前記システムはさらに、
    各前記制御ユニットと並列的に動作し、各前記制御ユニットにおいて前記作動要求または前記制御目標を必要に応じて変更するために用いられる情報を生成して、各前記制御ユニットに出力する処理ユニットを含み、
    前記処理ユニットは、前記車両の周囲の環境情報、運転者に関する情報、車両を自動運転または擬似自動運転を実現させるための情報、および、現在の前記車両の動的状態の少なくとも1つを各前記制御ユニットにおいて共通して用いられるように加工することによって、各前記制御ユニットに出力する前記情報を生成する、車両の統合制御システム。
  2. 車両の統合制御システムであって、
    操作要求に基づいて車両の走行状態を制御する複数の制御ユニットと、
    前記車両の周囲の環境情報または運転者に関する情報に基づいて、各前記制御ユニットにおいて共通して用いられるように加工された、各前記制御ユニットにおいて用いられる情報を生成して、各前記制御ユニットに出力する処理ユニットとを含み、
    各前記制御ユニットは、
    少なくとも1つの制御ユニットに対する作動要求を検知するための検知手段と、
    前記処理ユニットで生成された情報および前記検知された作動要求の少なくともいずれかを用いて、各ユニット毎に対応付けされたアクチュエータを操作するための制御目標に関する情報を算出するための算出手段とを含む、車両の統合制御システム。
  3. 車両の統合制御システムであって、
    操作要求に基づいて車両の走行状態を制御する複数の制御ユニットと、
    各前記制御ユニットにおいて共通して用いられるように加工された、予め定められた挙動を前記車両に実現させるために各前記制御ユニットにおいて用いられる情報を生成して、各前記制御ユニットに出力する処理ユニットとを含み、
    各前記制御ユニットは、
    少なくとも1つの制御ユニットに対する作動要求を検知するための検知手段と、
    前記処理ユニットで生成された情報および前記検知された作動要求の少なくともいずれかを用いて、各ユニット毎に対応付けされたアクチュエータを操作するための制御目標に関する情報を算出するための算出手段とを含む、車両の統合制御システム。
  4. 車両の統合制御システムであって、
    操作要求に基づいて車両の走行状態を制御する複数の制御ユニットと、
    現在の前記車両の動的状態に基づいて、各前記制御ユニットにおいて共通して用いられるように加工された、各前記制御ユニットにおいて用いられる情報を生成して、各前記制御ユニットに出力する処理ユニットとを含み、
    各前記制御ユニットは、
    少なくとも1つの制御ユニットに対する作動要求を検知するための検知手段と、
    前記処理ユニットで生成された情報および前記検知された作動要求の少なくともいずれかを用いて、各ユニット毎に対応付けされたアクチュエータを操作するための制御目標に関する情報を算出するための算出手段とを含む、車両の統合制御システム。
  5. 車両の統合制御システムであって、
    操作要求に基づいて車両の走行状態を制御する複数の制御ユニットと、
    前記車両の周囲の環境情報または運転者に関する情報に基づいて、各前記制御ユニットにおいて共通して用いられるように加工された、各前記制御ユニットにおいて用いられる情報を生成して、各前記制御ユニットに出力する第1の処理ユニットと、
    各前記制御ユニットにおいて共通して用いられるように加工された、予め定められた挙動を前記車両に実現させるために各前記制御ユニットにおいて用いられる情報を生成して、各前記制御ユニットに出力する第2の処理ユニットと、
    現在の前記車両の動的状態に基づいて、各前記制御ユニットにおいて共通して用いられるように加工された各前記制御ユニットにおいて用いられる情報を生成して、各前記制御ユニットに出力する第3の処理ユニットとを含み、
    各前記制御ユニットは、
    少なくとも1つの制御ユニットに対する作動要求を検知するための検知手段と、
    前記第1の処理ユニットで生成された情報および前記検知された作動要求の少なくともいずれかを用いて、各ユニット毎に対応付けされたアクチュエータを操作するための制御目標に関する第1の情報を算出するための第1の算出手段と、
    前記第2の処理ユニットで生成された情報および前記算出された第1の情報の少なくともいずれかを用いて、各ユニット毎に対応付けされたアクチュエータを操作するための制御目標に関する第2の情報を算出するための第2の算出手段と、
    前記第3の処理ユニットで生成された情報および前記算出された第2の情報の少なくともいずれかを用いて、各ユニット毎に対応付けされたアクチュエータを操作するための制御目標に関する第3の情報を算出するための第3の算出手段とを含む、車両の統合制御システム。
  6. 前記複数の制御ユニットの各々、および、前記処理ユニットまたは前記第1から第3の処理ユニットの各々は、自律的かつ並列的に動作する、請求項2〜5のいずれかに記載の車両の統合制御システム。
  7. 前記処理ユニットまたは前記第1の処理ユニットは、
    前記車両の周囲の環境情報を検知するための手段と、
    前記車両の運転者に関する情報を検知するための手段と、
    前記検知された情報を各前記制御ユニットにおいて共通して用いられるように加工された情報を生成するための処理手段とを含む、請求項1、2、5または6に記載の車両の統合制御システム。
  8. 前記処理手段は、各前記制御ユニットにおいて、前記運転者の要求に対する補正の度合いを表わす情報を生成するための手段を含む、請求項7に記載の車両の統合制御システム。
  9. 前記処理ユニットまたは前記第2の処理ユニットは、
    前記車両を自動運転または擬似自動運転を実現させるための情報に基づいて、各前記制御ユニットにおいて共通して用いられるように加工された情報を生成するための処理手段を含む、請求項1、3、5または6に記載の車両の統合制御システム。
  10. 前記処理手段は、各前記制御ユニットにおいて、前記制御目標に対する調停の度合いを表わす情報を生成するための手段を含む、請求項9に記載の車両の統合制御システム。
  11. 前記処理ユニットまたは前記第3の処理ユニットは、
    前記車両の現在の動的状態に基づいて、制御目標に合致した車両の挙動を実現させるために各前記制御ユニットにおいて共通して用いられるように加工された情報を生成するための処理手段を含む、請求項1、4、5または6に記載の車両の統合制御システム。
  12. 前記処理手段は、各前記制御ユニットにおいて、前記制御目標に対する調停の度合いを表わす情報を生成するための手段を含む、請求項11に記載の車両の統合制御システム。
  13. 前記複数の制御ユニットは、駆動系制御ユニットおよび制動系制御ユニットを含み、
    前記駆動系制御ユニットと前記制動系制御ユニットとは、協働して所望の車両の挙動を実現するように、要求駆動力に対して、駆動力と制動力とが分配される、請求項1〜12のいずれかに記載の車両の統合制御システム。
  14. 各前記制御ユニットは、前記処理手段からの情報の反映を拒否するように制御するための手段をさらに含む、請求項1〜13のいずれかに記載の車両の統合制御システム。
  15. 各前記制御ユニットは、前記処理ユニット、前記第2の処理ユニットまたは前記第3の処理ユニットに対して、情報を出力するための手段をさらに含む、請求項3〜5のいずれかに記載の車両の統合制御システム。
  16. 前記各制御ユニットは、各々のECUで実現され、前記各ECUにおいて、運転者の要求である上位制御階層から各アクチュエータである下位制御階層への演算が実行される、請求項1〜15のいずれかに記載の車両の統合制御システム。
  17. 前記複数の制御ユニットは、駆動系制御ユニット、制動系制御ユニット、および、操舵系制御ユニットを含み、
    前記駆動系制御ユニットは第1のECUにより実現され、
    前記制動系制御ユニットは第2のECUにより実現され、
    前記操舵系制御ユニットは第3のECUにより実現され、
    各前記ECUにおいて、運転者の要求である上位制御階層から各アクチュエータである下位制御階層への演算が実行され、
    前記処理ユニットは、前記ECUとは異なる第4のECUにより実現され、
    前記第1〜第3のECUは、並列的に動作が制御され、
    前記第4のECUは、前記第1〜第3のECUの上位制御階層側にインターフェイスを介して接続される、請求項1〜15のいずれかに記載の車両の統合制御システム。
  18. 前記処理ユニットまたは前記第1の処理ユニットが、各前記制御ユニットに出力する情報は、リスクの度合いを表わす情報を含む、請求項2または5に記載の車両の統合制御システム。
  19. 前記処理ユニットと前記複数の制御ユニットとは、自律的に動作する、請求項1に記載の車両の統合制御システム。
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