JP2009137527A - コンプレッサトルク推定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】冷媒を圧送する固定容量式圧縮機5、放熱器6、膨張弁9、エバポレータ10を具備した冷凍サイクルと、膨張弁9までの高圧側冷媒圧力に相関のある物理量を検知する高圧側冷媒圧力検知手段7と、クラッチ制御信号を出力するクラッチ制御手段を備えた車両用空調システムのコンプレッサトルク推定装置であり、ニューラルネットワークの入力層Niに入る上記物理量及びクラッチ制御信号を参照し、予め定めた中間層Nmの重み係数の行列を物理量及び制御信号に各々乗じて予め定めた中間層Nmの定数の行列を加算して一つの中間層演算と成し、演算結果に出力層Noの重み係数の行列を乗じて予め定めた出力層Noの定数の行列を加算してコンプレッサトルク推定値を算出するメインコントローラ31を備えている。
【選択図】図2
Description
そして、このコンプレッサトルクを推定する手法では、正確なコンプレッサトルクの推定を行うために、二つのトルク推定手段を具備しているので、その分だけ、演算式の導出に工数がかかること、トルク推定値の判定が複雑になること、この判定を実トルクに基づいて行うと高コストになってしまうこと、といった問題があるうえ、線形式からなる演算式に不都合が生じた場合などに修整を施すと、他の推定結果にまで影響を及ぼしかねないという問題を有しており、これらの問題を解決することが従来の課題となっていた。
本発明の請求項6に係るコンプレッサトルク推定装置において、前記推定手段は、前記ニューラルネットワークの中間層への入力として、車速検出手段により検出した前記冷凍サイクルを搭載する車両の速度を付加して中間層の演算を行う構成としている。
本発明の請求項8に係るコンプレッサトルク推定装置において、前記推定手段は、前記ニューラルネットワークの中間層への入力として、スロットル開度検知手段により検知した前記車両のスロットル開度信号を付加して中間層の演算を行う構成としている。
図1は、本発明の一実施形態によるコンプレッサトルク推定装置を含む車両用空調システムを示しており、この車両用空調システムの冷凍回路は、固定容量式圧縮機5と、この固定容量式圧縮機5からの高圧冷媒及び外部空気の熱交換により冷媒を冷却する放熱器6と、固定容量式圧縮機5から吐出する高圧冷媒の圧力を検出する高圧側冷媒圧力検出手段7と、放熱器6から吐出される高圧冷媒を気液分離する気液分離器8と、この気液分離器8を通して送られてくる高圧冷媒を断熱膨張させる膨張弁9と、この膨張弁9から送られる冷媒により後述するように空調の空気を冷却するエバポレータ10を備えており、固定容量式圧縮機5は、プーリ2,2及びベルト3を介して伝達される車両のエンジン1の出力によって作動するようになっていて、クラッチコントローラ4によるクラッチ制御によってエンジン1と固定容量式圧縮機5との接続及び切断がなされるようになっている。
上記冷凍回路のエバポレータ10は、車室内へ空調の空気を送る通風ダクト11内に配置してあって、この通風ダクト11の入口側には、内気導入口12側からの空気導入量と外気導入口13側からの空気導入量との割合を制御する内外気切替ダンパ14が設けてあり、この内外気切替ダンパ14は、図示しないインテークダンパアクチュエータにより作動が制御されるものとなっている。この通風ダクト11において、導入された空気は、ブロワファン15によって吸引され、下流側のエバポレータ10に向けて圧送される。
このメインコントローラ31における本実施形態のコンプレッサトルク推定装置の推定手段では、図2に示すように、ニューラルネットワークによるコンプレッサトルクの推定を行う。
例えば、入力信号が0〜6000(rpm)の範囲で大きく変化するエンジン回転数であったり、あるいは、教師データが−10〜60℃のように大きな変化幅を持つ室温であったりする場合には、シグモイド関数等の変化幅とは大きく異なっているので、予め学習データの変化幅を考慮して正規化することで、学習速度を向上させたり、学習結果等の精度を高めたりすることができる。
ここで、図3に高圧側冷媒圧力とコンプレッサトルクとの関係を示す。図3は、安定時データにおける高圧側冷媒圧力(MPa)とコンプレッサトルク(Nm)との関係を示したグラフである。このグラフから上記固定容量式圧縮機5を含む冷凍サイクルにおける高圧側冷媒圧力とコンプレッサトルクとの間には、かなり高い相関関係があることが判り、概ね95%以上の精度での相関が認められることから、高圧側冷媒圧力を用いたコンプレッサトルクの推定は、実現性が高いことが判る。
そこで、本実施形態では、コンプレッサトルク推定装置を含むメインコントローラ31が、ニューラルネットワークを用いて算出したコンプレッサトルク推定値の前回値を記憶するコンプレッサトルク推定値記憶手段を具備したものとし、コンプレッサトルク推定値の前回値の初期値を予め定めた任意の値としたうえで、コンプレッサトルク推定値記憶手段で記憶したコンプレッサトルク推定値の前回値Trq−1と、冷凍サイクルの高圧側冷媒圧力に相関のある物理量Phと、クラッチ制御信号CLとを参照して、コンプレッサのトルク推定値TRQを算出するようにした。
つまり、図2に示したように、入力パラメータとして、冷凍サイクルの高圧側冷媒圧力に相関のある物理量Phに、クラッチ制御信号CL,車速VS,エンジン回転数Ne,トルク推定値の前回値Trq−1を追加することで、コンプレッサトルクのリアルタイムの推定を実現した。
図4(b)示すように、破線で示すコンプレッサ推定トルクは、実線で示すコンプレッサ実トルクに対して精度よく追従していることが判る。これにより、メインコントローラ31における本実施形態のコンプレッサトルク推定装置では、運転中におけるコンプレッサトルクの推定がリアルタイムで可能であることが実証できた。
なお、コンプレッサトルク推定装置を含むメインコントローラ31が、高圧側冷媒圧力検出手段7により検出された冷媒圧力の前回値を記憶する高圧側冷媒圧力記憶手段を具備したものとし、高圧側冷媒圧力に相関のある物理量の前回値の初期値を予め定めた任意の値としたうえで、ニューラルネットワークの中間層Nmへの入力として、高圧側冷媒圧力記憶手段7により記憶した高圧側冷媒圧力に相関のある物理量の前回値を付加して中間層Nmの演算を行うようにしてもよく、この場合には、より一層精度の高いコンプレッサトルクの推定が可能になる。
上記した実施形態では、本発明のコンプレッサトルク推定装置を含む車両用空調システムの冷凍回路が、固定容量式圧縮機5を装備している場合を示しているが、これに限定されるものではなく、他の構成として例えば、図5に示すように、クラッチレスで且つ容量制御弁54を装着した外部可変容量式圧縮機55を用いてもよい。
4 クラッチコントローラ(クラッチ)
5 固定容量式圧縮機
6 放熱器
7 高圧側冷媒圧力検知手段
9 膨張弁
10 エバポレータ(蒸発器)
31 メインコントローラ(コンプレッサトルク推定手段)
32 外気温度センサ(外気温度検知手段)
35 車速センサ(車速検出手段)
36 エンジン回転数検出センサ(エンジン回転数検出手段)
55 外部可変容量式圧縮機
Ni ニューラルネットワークの入力層
Nm ニューラルネットワークの中間層
No ニューラルネットワークの出力層
Claims (9)
- 駆動源からクラッチを介して供給される出力により作動して冷媒を圧送する固定容量式圧縮機と、この固定容量式圧縮機から吐出する高温高圧の冷媒を冷却する放熱器と、この放熱器を通して送られてくる高圧冷媒を断熱膨張させる膨張弁と、前記冷媒の気化熱を利用して車室内に吹出す空気を冷却する蒸発器を具備した冷凍サイクルと、
この冷凍サイクル内の前記固定容量式圧縮機から下流に位置する前記膨張弁までの高圧側冷媒圧力に相関のある物理量を検知又は推定する高圧側冷媒圧力検知手段と、
クラッチ制御信号を出力して前記クラッチによる駆動源と固定容量式圧縮機との接続及び切断を制御するクラッチ制御手段を備えた車両用空調システムの前記固定容量式圧縮機のトルクを推定するコンプレッサトルク推定装置であって、
ニューラルネットワークの入力層に与えられる前記冷凍サイクルの高圧側冷媒圧力に相関のある物理量及び前記クラッチに対する制御信号を参照し、ニューラルネットワークの予め定めた中間層における重み係数の行列を前記物理量及び制御信号にそれぞれ乗じると共に予め定めた中間層の定数の行列を加算して、少なくとも一つの中間層演算と成し、この少なくとも一つの中間層演算の結果にニューラルネットワークの出力層の重み係数の行列を乗じると共に予め定めた出力層の定数の行列を加算することで、コンプレッサのトルク推定値を算出する推定手段を備えていることを特徴とするコンプレッサトルク推定装置。 - 外部制御信号により任意に容量を可変として冷媒を圧送するべく作動する外部可変容量式圧縮機と、この外部可変容量式圧縮機から吐出する高温高圧の冷媒を冷却する放熱器と、この放熱器を通して送られてくる高圧冷媒を断熱膨張させる膨張弁と、前記冷媒の気化熱を利用して車室内に吹出す空気を冷却する蒸発器を具備した冷凍サイクルと、
この冷凍サイクル内の前記外部可変容量式圧縮機から下流に位置する前記膨張弁までの高圧側冷媒圧力に相関のある物理量を検知又は推定する高圧側冷媒圧力検知手段と、
容量制御信号を出力して任意に容量を変えるべく容量制御する容量制御手段を備えた車両用空調システムの前記外部可変容量式圧縮機のトルクを推定するコンプレッサトルク推定装置であって、
ニューラルネットワークの入力層に与えられる前記冷凍サイクルの高圧側冷媒圧力に相関のある物理量及び前記外部可変容量式圧縮機に対する制御信号を参照し、ニューラルネットワークの予め定めた中間層における重み係数の行列を前記物理量及び制御信号にそれぞれ乗じると共に予め定めた中間層の定数の行列を加算して、少なくとも一つの中間層演算と成し、この少なくとも一つの中間層演算の結果にニューラルネットワークの出力層の重み係数の行列を乗じると共に予め定めた出力層の定数の行列を加算することで、コンプレッサのトルク推定値を算出する推定手段を備えていることを特徴とするコンプレッサトルク推定装置。 - 前記推定手段は、ニューラルネットワークを用いて算出したコンプレッサトルク推定値の前回値を記憶するコンプレッサトルク推定値記憶手段を具備し、コンプレッサトルク推定値の前回値の初期値を予め定めた任意の値としたうえで、前記コンプレッサトルク推定値記憶手段で記憶したコンプレッサトルク推定値の前回値と、高圧側冷媒圧力に相関のある物理量と、前記制御信号とを参照して、コンプレッサのトルク推定値を算出する請求項1又は2に記載のコンプレッサトルク推定装置。
- 前記推定手段は、前記高圧側冷媒圧力検出手段により検出された冷媒圧力の前回値を記憶する高圧側冷媒圧力記憶手段を具備し、高圧側冷媒圧力に相関のある物理量の前回値の初期値を予め定めた任意の値としたうえで、前記ニューラルネットワークの中間層への入力として、前記高圧側冷媒圧力記憶手段により記憶した高圧側冷媒圧力に相関のある物理量の前回値を付加して中間層の演算を行う請求項1〜3のいずれか一つの項に記載のコンプレッサトルク推定装置。
- 前記推定手段は、前記ニューラルネットワークの中間層への入力として、エンジン回転数検出手段により検出した前記圧縮機の駆動源であるエンジンの回転数を付加して中間層の演算を行う請求項1〜4のいずれか一つの項に記載のコンプレッサトルク推定装置。
- 前記推定手段は、前記ニューラルネットワークの中間層への入力として、車速検出手段により検出した前記冷凍サイクルを搭載する車両の速度を付加して中間層の演算を行う請求項1〜5のいずれか一つの項に記載のコンプレッサトルク推定装置。
- 前記推定手段は、前記ニューラルネットワークの中間層への入力として、放熱器送風量検知手段により検知又は推定した前記冷凍サイクルの放熱器への送風量に相関のある物理量を付加して中間層の演算を行う請求項1〜6のいずれか一つの項に記載のコンプレッサトルク推定装置。
- 前記推定手段は、前記ニューラルネットワークの中間層への入力として、スロットル開度検知手段により検知した前記車両のスロットル開度信号を付加して中間層の演算を行う請求項1〜7のいずれか一つの項に記載のコンプレッサトルク推定装置。
- 前記推定手段は、前記ニューラルネットワークの中間層への入力として、外気温度検知手段により検知した外気温度に相関のある物理量を付加して中間層の演算を行う請求項1〜8のいずれか一つの項に記載のコンプレッサトルク推定装置。
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