JP2009133845A - ライニングタンクの非破壊検査方法 - Google Patents

ライニングタンクの非破壊検査方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009133845A
JP2009133845A JP2008281792A JP2008281792A JP2009133845A JP 2009133845 A JP2009133845 A JP 2009133845A JP 2008281792 A JP2008281792 A JP 2008281792A JP 2008281792 A JP2008281792 A JP 2008281792A JP 2009133845 A JP2009133845 A JP 2009133845A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tank
lining
lining tank
temperature
floating portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008281792A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5199833B2 (ja
Inventor
Kazuhiro Nishigori
和弘 西郡
Mitsuo Komiya
三男 小宮
Kentaro Samejima
健太郎 鮫島
Koji Ueda
幸治 上田
Hajime Tamura
元 田村
Takeyuki Suzuki
健之 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanto Chemical Co Inc
Nisso Engineering Co Ltd
Nippon Valqua Industries Ltd
Nihon Valqua Kogyo KK
Original Assignee
Kanto Chemical Co Inc
Nisso Engineering Co Ltd
Nippon Valqua Industries Ltd
Nihon Valqua Kogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanto Chemical Co Inc, Nisso Engineering Co Ltd, Nippon Valqua Industries Ltd, Nihon Valqua Kogyo KK filed Critical Kanto Chemical Co Inc
Priority to JP2008281792A priority Critical patent/JP5199833B2/ja
Publication of JP2009133845A publication Critical patent/JP2009133845A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5199833B2 publication Critical patent/JP5199833B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)

Abstract

【課題】ライニング層の浮き部を精度良く検出する方法を提供すること。
【解決手段】剥離状態のライニング層に起因して発生する、ライニングタンク内表面または外表面への熱伝達速度の不均等による表面温度分布を、赤外線サーモグラフィを用いて測定することにより、該ライニング層の浮き部を検出することを特徴とするライニングタンクの非破壊検査方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ライニングタンクで発生するライニング層の浮き部(剥離部)を検出するライニングタンクの非破壊検査方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、前記浮き部を、赤外線サーモグラフィを用いて検出するライニングタンクの非破壊検査方法に関する。
従来、半導体製造における薬液供給システムなどに使用される薬液タンクは、通常は金属製の缶体とその内表面に接着剤層を介して設けられた樹脂ライニング層とから構成され、耐薬品性と純粋性とに優れることから、フッ素樹脂ライニングタンクが好適に使用されている。ここで純粋性とは、薬液タンク内表面の樹脂ライニング層中に、不純物および塗膜形成用モノマーなどの成分が実質上含有されず、薬液タンク内部の薬液中に該成分が溶出することが無く、薬液タンク内部の薬液が汚染されないことをいう。
しかしながら、薬液が長年にわたって少しずつ樹脂ライニング層を透過し、薬液タンクの缶体と樹脂ライニング層とを接着している接着剤が劣化することがある。前記接着剤が劣化すると樹脂ライニング層が缶体内表面から浮き上がり、浮き部が発生する。さらに、樹脂ライニング層を透過した薬液が缶体の金属部を腐食し、缶体内表面と樹脂ライニング層との間に腐食時に生じる水素ガスなどの反応ガスが溜まり、樹脂ライニング層の浮き部の発生が助長される。
樹脂ライニング層の浮き部の発生により、該ライニング層が破壊され、該ライニング層を透過した薬液が金属製の缶体と反応して反応物が発生することがある。そして、前記反応物が、樹脂ライニング層を透過して薬液内部に溶出すると、薬液の金属汚染につながる可能性がある。
この場合、半導体工場のラインがストップする事態になり大問題に発展する。このような事態を未然に、かつ完全に防止するため、ライニング層の缶体内表面からの浮き部がどの位置で、どの程度の範囲にまで進行しているかを検出することが求められている。
ライニング層の浮き部を検出する方法としては、ライニングタンクの蓋体を取り外し、必要に応じて該タンク内部の薬液を抜き取って、目視により該タンク内表面の状態を検査する「開放検査」が知られている。
しかしながら、上記手法はライニングタンクの開放が必要であり、該タンク内部への不純物の混入防止、薬液が揮発することによる環境汚染防止という観点から、該タンクの使用状況にかかわらず、該タンクを開放することは好ましくない。
さらに、使用中のライニングタンクの開放検査となると、該タンクの使用停止、薬液の抜き出し、該タンクの内部洗浄といった作業が必要となり、半導体工場のラインを長時間にわたりストップさせることになる。
また、ライニング層の浮き部を検出する別の手法として、ライニング層表面を叩き、その反響音によってライニング層内部の状況を判断する打診テスト法が知られている(例えば、特許文献1参照)。前記打診テスト法は、予めライニング層の劣化寿命を記憶した記憶手段の記録データと打診結果との比較により、ライニング層の寿命を予測することができるというものである。
しかしながら、上記打診テスト法によりライニング層の浮き部の位置および範囲を定量的に測定することは難しく、さらにライニングタンクの多くの箇所で打診する必要があり、測定に時間がかかるという問題がある。また、予めライニング層の劣化寿命を記憶した記憶手段の記録データと打診結果との比較によりライニング層の寿命を予測するため、比較データが無い場合は、ライニング層の浮き部の正確な検出は困難である。
一方、サーモグラフィを用いて内外部熱伝達の不均等による温度差を検知することにより、内部腐食状態を診断することを特徴とする腐食診断法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、上記腐食診断法は、母材の腐食に起因する熱伝導伝達の不均等を診断するものであり、樹脂ライニングされていない単一部材(母材のみ)からなる配管やタンクを対象としており、ライニングタンクについては何ら検討されていない。そこで、母材に樹脂ライニングされた薬液タンクのライニング層の浮き部を検出する方法としては、精度のさらなる改善の余地がある。
また、タンク側板にウレタンフォームを固着した液体貯蔵用ウレタン保温タンクにおいて、該タンク側板の腐食部をサーモカメラにより検出する方法が公開されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、上記特許文献3に記載の方法は、ウレタンフォーム層が含水した部位を検出するものであり、ライニング層の空間的な浮き上がりを検出する方法としては精度に劣るものである。また、劣化部の検出を容易にするため、測定対象物を加熱または冷却する方法についてはこれまでのところ具体的に検討されておらず、ライニング層の浮き部を検出する方法としては、さらなる改善の余地がある。
特開2001−141627号公報 特開昭63−250554号公報 特公昭57−047423号公報
本発明の課題は、上述のような薬液タンクにおいて、ライニング層の浮き部の検出方法における問題点を解決しようとするものである。すなわち、ライニングタンク内部に薬液が収容されているか否かにかかわらず、また、該タンクが使用中であるか否かにかかわらず、該タンクを開放したり、該タンク内部の薬液を抜き取ったりすることなく、ライニング層の浮き部を該タンク外部から精度良く、簡単に検出する方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、ライニングタンクを該タンク内側または外側から、加熱または冷却することにより、ライニング層の浮き部により発生する、ライニングタンク外表面または内表面への熱伝達速度の不均等による表面温度分布を、赤外線サーモグラフィを用いて測定することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[8]に関する。
[1]剥離状態のライニング層に起因して発生する、ライニングタンク内表面または外表面への熱伝達速度の不均等による表面温度分布を、赤外線サーモグラフィを用いて測定することにより、該ライニング層の浮き部を検出することを特徴とするライニングタンクの非破壊検査方法。
[2]前記ライニングタンク外表面を、加熱または冷却し、剥離状態のライニング層に起因して発生する、該タンク内表面への熱伝達速度の不均等による表面温度分布を、赤外線サーモグラフィを用いて測定することにより、該ライニング層の浮き部を検出することを特徴とする前記[1]に記載のライニングタンクの非破壊検査方法。
[3]加熱または冷却前の前記ライニングタンクのライニング層が剥離していない健全部における該タンク外表面の温度と、加熱または冷却後の該健全部における該タンク外表面の温度との差の絶対値が、1.5℃以上となるように、前記ライニングタンク外表面を加熱または冷却することを特徴とする前記[2]に記載のライニングタンクの非破壊検査方法。
[4]前記ライニングタンク外表面の温度よりも高温の加熱用媒体または低温の冷却用媒体を、該タンク外表面に接触させることによって、該タンク外表面を加熱または冷却することを特徴とする前記[2]または[3]に記載のライニングタンクの非破壊検査方法。
[5]前記加熱用媒体または前記冷却用媒体が、シート状物であることを特徴とする前記[4]に記載のライニングタンクの非破壊検査方法。
[6]前記ライニングタンクを開放することなく、収容物を該タンク内部へ供給することによって、該タンク内部から該タンク外表面を加熱または冷却することを特徴とする前記[1]に記載のライニングタンクの非破壊検査方法。
[7]前記収容物の温度と、収容物が供給される前の前記ライニングタンクのライニング層が剥離していない健全部における該タンク外表面の温度との差の絶対値が、1℃以上であることを特徴とする前記[6]に記載のライニングタンクの非破壊検査方法。
[8]前記ライニングタンクが、薬液供給システムに使用される薬液タンクであることを特徴とする前記[1]〜[7]の何れかに記載のライニングタンクの非破壊検査方法。
本発明によれば、ライニングタンク内部に薬液が収容されているか否かにかかわらず、また、該タンクが使用中であるか否かにかかわらず、該タンクを開放したり、該タンク内部の薬液を抜き取ったりすることなく、ライニング層の浮き部を該タンク外部から精度良く、簡単に検出する方法を提供することができる。
以下、本発明に係るライニングタンクの非破壊検査方法について、詳細に説明する。
本発明に係るライニングタンクの非破壊検査方法は、剥離状態のライニング層に起因して発生する、(A)ライニングタンク外表面からライニングタンク内表面への熱伝達速度の不均等による表面温度分布を、または(B)ライニングタンク内表面からライニングタンク外表面への熱伝達速度の不均等による表面温度分布を、赤外線サーモグラフィを用いて測定することにより、該ライニング層の浮き部を検出することを特徴とする。
以下、本発明の測定原理、測定対象であるライニングタンク、測定装置である赤外線サーモグラフィ、および好適に用いられる赤外線反射防止用マスキングテープについて説明した後、本発明に係るライニングタンクの非破壊検査方法の上記態様(A)および(B)について、詳細に説明する。
<測定原理:図1〜図4参照>
図1〜図4は、ライニングタンクにおけるライニング層の浮き部を非破壊的に検出する
、本発明に係るライニングタンクの非破壊検査方法を説明する模式縦断面図(図1、図2)および模式横断面図(図3、図4)である。
図1〜図4に示すように、ライニングタンク10の缶体30の内表面30Bに接着剤層70を介して接着されているライニング層20が、接着剤層70から剥離することによってライニング層20の一部が浮き上がる。このため、缶体30とライニング層20との間に、空気、薬液により缶体30が腐食したときに生じる水素ガスなどの反応ガス、薬液などの液体などが溜まった、空気・滲出液層40が形成される。
なお、以下の説明では、ライニングタンク10において、缶体30とライニング層20とが接着剤層70を介して堅固に接着している部分を健全部50ともいい、空気・滲出液層40が形成されている部分を浮き部60ともいう。
赤外線サーモグラフィ90は、ライニングタンク外表面10Aから放射されている赤外線を受動的に検出するため、ライニングタンク10を破壊するなどの影響を与えることはない。ところが、赤外線サーモグラフィ90は、ライニングタンク内表面10Bのライニング層20の状態を直接的には測定することができない。
しかしながら、ライニング層20の剥離に起因して発生した空気・滲出液層40が存在する場合、健全部50の熱伝導率と浮き部60の熱伝導率とでは、空気・滲出液層40の有無による違いがある。
すなわち、健全部50でのライニングタンク10の内外面を貫く方向Y((A)ライニングタンク外表面10A→缶体30→接着剤層70→ライニング層20→ライニングタンク内表面10B(図1)、または(B)ライニングタンク内表面10B→ライニング層20→接着剤層70→缶体30→ライニングタンク外表面10A(図2))と、
浮き部60でのライニングタンク10の内外面を貫く方向X((A)ライニングタンク外表面10A→缶体30→接着剤層70→空気・滲出液層40→ライニング層20→ライニングタンク内表面10B(図1)、または(B)ライニングタンク内表面10B→ライニング層20→空気・滲出液層40→接着剤層70→缶体30→ライニングタンク外表面10A(図2))とでは、
ライニングタンク10の(A)外表面10Aから内表面10B、または(B)内表面10Bから外表面10Aへの熱伝達速度の不均等が生じ、健全部50と浮き部60とで熱伝導率が異なってくる。
その結果、(A)ライニングタンク外表面10Aを加熱または冷却すると、ライニングタンク外表面10Aに温度分布ができ、間接的にライニング層20の剥離状態を測定することができる。従って、前記温度分布を測定することによって、浮き部60の位置および範囲をより精度よく検出することができる。
例示として、ライニングタンク外表面10Aの温度よりも高温の図示せぬ加熱用媒体を、ライニングタンク外表面10Aに接触させると、ライニングタンク外表面10Aの温度が上昇する。
一般に、浮き部60の熱伝導率は、健全部50の熱伝導率よりも小さい。このため、健全部50ではライニングタンク10の外表面10Aから内表面10Bへの熱の伝わりが速く、浮き部60ではその熱の伝わりが遅くなる。結果として、健全部50におけるライニングタンク外表面10Aの温度と比べ、浮き部60におけるライニングタンク外表面10Aの温度は一時的に高くなる。
また、(B)ライニングタンク内部150に、ライニングタンク外表面10Aの温度と温度差を有する収容物を供給すると、ライニングタンク内表面10Bにライニング層20の浮き部60が存在する場合には、ライニングタンク外表面10Aに温度分布ができ、間接的にライニング層20の剥離状態を測定することができる。従って、前記温度分布を測定することによって、浮き部60の位置および範囲をより精度よく検出することができる。
例示として、図2に示すように、ライニングタンク内部150にライニング外表面10Aの温度よりも低温の図示せぬ収容物を供給すると、該タンク外表面10Aの表面温度が変化する。
上記のように、一般に、浮き部60の熱伝導率は、健全部50の熱伝導率よりも小さい。このため、健全部50ではライニングタンク10の内表面10Bから外表面10Aへの熱の伝わりが速く、浮き部60ではその熱の伝わりが遅くなる。結果として、健全部50におけるライニングタンク外表面10Aの温度と比べ、浮き部60におけるライニングタンク外表面10Aの温度は高くなる。
従って、ライニングタンク外表面10Aから外方へ所定距離離間して設置した赤外線サーモグラフィ90を用いて、ライニングタンク外表面10Aの温度分布を測定することによって、ライニング層20における浮き部60の位置および範囲を精度良く検出することができる。
<ライニングタンク:図1〜図4参照>
本発明の測定対象であるライニングタンク10は、樹脂ライニング法により缶体30の内表面30Bおよび外表面30Aの何れか一方または双方に、接着剤層70を介して、ライニング層20が形成されたライニングタンクであれば特に制限されない。ライニング層20は、耐酸、耐アルカリ性などの耐薬品性に優れた樹脂からなる。なお、図1〜図4には、缶体30の内表面30Bにのみ、ライニング層20が形成されたライニングタンク10が図示されている。
接着剤層70を形成する接着剤としては、例えば、ゴム系、エポキシ系の接着剤が挙げられる。また、接着剤層70の肉厚は、ライニングタンク10の使用態様の如何によらず、ライニング層20を低コストで所定位置に張設・保持できる限り特に限定されないが、通常は0.1〜1mm、好ましくは0.3〜0.6mmの範囲にある。
缶体30の材質としては、耐腐食性、耐熱性および機械的強度が良好な材質であれば特に制限されず、例えば、ステンレス、炭素鋼、鉄が挙げられる。また、缶体30の肉厚は、通常は1〜10mm、好ましくは3〜6mmの範囲にある。缶体30の肉厚が前記範囲にあると、本発明の方法を好適に適用することができる。
ライニング層20を形成する、耐薬品性に優れた樹脂としては、例えば、フッ素樹脂が挙げられる。前記フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)が挙げられる。
また、ライニング層20の肉厚は、好ましくは2〜6mmの範囲にある。ライニング層20の肉厚が前記範囲にあると、本発明の方法を好適に適用することができる。
ライニング層20の肉厚が2mmより小さい場合、ライニングタンク外表面10Aに温度むらが出やすく、精度良く非破壊検査を実施しようとすると、(A)ライニングタンク外表面10Aの加熱もしくは冷却に必要となるエネルギー量が多くなる、または(B)ライニングタンク内部150に収容物を供給する際に、加熱もしくは冷却に必要となるエネルギー量が多くなることがある。
また、ライニング層の肉厚が6mmより大きい場合、(A)ライニングタンク外表面10Aから内表面10Bに、または(B)ライニングタンク内表面10Bから外表面10Aに熱が伝わりにくく、非破壊検査時に、ライニングタンク外表面10Aにおける温度分布が小さくなることがある。
<赤外線サーモグラフィ>
本発明で用いられる赤外線サーモグラフィ90は特に限定されず、例えば、「TVS−200EX」(日本アビオニクス(株)製)、「FSV−7000S」((株)アピステ製)などの市販品が挙げられる。
このような赤外線サーモグラフィ90は、ライニングタンク10の測定位置(検査部位)に合わせて必要により自由に移動させることができ、100V電源またはバッテリーがあればどこでも使用できる。このため、すでに使用中のライニングタンク10に対して、その使用を中止することなく、また、薬液を抜き取ることなく、浮き部60の検出を簡便に行うことができる。
赤外線サーモグラフィ90は、観察対象であるライニングタンク10の外表面10Aからの距離が、通常は0.1〜100m、好ましくは0.3〜3mの範囲に設置される。赤外線サーモグラフィ90の設置場所が前記範囲にあると、浮き部60の位置および範囲を精度よく検出することができる。
<赤外線反射防止用マスキングテープ:図4、図5参照>
一般に、ライニングタンク10の缶体30の放射率が0.5以下(例えば、ステンレスは文献値0.45)の低い物質を観察対象とする場合であって、かつ、該タンク10の外部(遠方)にヒト(観測者)などの赤外線発生源が存在する場合には、その赤外線発生源から該タンク外表面10Aに向かって放射される赤外線を、該タンク外表面10Aが反射することがある。
このため、反射した赤外線を赤外線サーモグラフィ90が感知してしまい、ライニングタンク外表面10Aの温度分布を正確に測定することが困難になる傾向にある。
そこで、(a)ライニングタンク外表面10Aの放射率が一定値以上になるように、例えば、該タンク外表面10Aに、図4および図5に示す赤外線反射防止用マスキングテープ80を貼付する、放射率の高いペンキなどを塗装する、または(b)測定装置である赤外線サーモグラフィ90と、測定対象のライニングタンク10とを含めた周囲全体を暗幕で囲うなどの方法を取ることができる。
これらの中では、赤外線反射防止用マスキングテープ80は、薄くかつ熱伝導率がよいため、ライングタンク外表面10Aにおける温度分布の測定精度に優れる。このため、ライニングタンク外表面10Aに赤外線反射防止用マスキングテープ80を貼付することが、測定精度および簡便性の観点から好ましい。
赤外線反射防止用マスキングテープ80は、耐熱性を有し、赤外線を反射しない傾向にあり、ライニングタンク外表面10Aから伝わる熱がより速く該マスキングテープ80表面に現れ、しかも、該タンク外表面10Aからの剥離性が良好で剥離後に糊残りの生じな
いものであれば特に限定されない。赤外線反射防止用マスキングテープ80としては、例えば、商品名「“スコッチ”印、表面保護用テープNo.341J」(住友スリーエム(株)製)などの市販品が挙げられる。
赤外線反射防止用マスキングテープ80の放射率は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.9以上の範囲にある。
赤外線反射防止用マスキングテープ80をライニングタンク外表面10Aに貼付することにより、ライニング層20の健全部50と浮き部60との境界が良好に判別でき、ライニング層20の浮き部60の位置および範囲をさらに精度良く検出することができる。
〔非破壊検査方法(A)〕
本発明に係るライニングタンクの非破壊検査方法(A)は、剥離状態のライニング層に起因して発生する、ライニングタンク外表面からライニングタンク内表面への熱伝達速度の不均等による表面温度分布を、赤外線サーモグラフィを用いて測定することにより、該ライニング層の浮き部を検出することを特徴とする(以下、単に「本発明(A)」とも記す)。
特に、ライニングタンク外表面を、加熱または冷却し、剥離状態のライニング層に起因して発生する、該タンク内表面への熱伝達速度の不均等による表面温度分布を、赤外線サーモグラフィを用いて測定することにより、該ライニング層の浮き部を検出することが好ましい。
<ライニングタンクの収容物:図1参照>
ライニングタンク10に収容される収容物としては、例えば、塩酸、硝酸、フッ酸、過酸化水素水などの薬液、水などの液体;空気、窒素などの気体が挙げられる。
上記収容物自体の温度は特に限定されず、例えば、非破壊検査直前において0〜50℃程度であることが多い。本発明(A)では、これら収容物の性状に悪影響を与えないような温度範囲でライニングタンク10の非破壊検査が実施される。
本発明(A)においては、ライニングタンク内部150全体が収容物(例えば、液体または気体)で満たされている場合は、測定対象のライニングタンク10の外表面10Aを部位に依らず均一に加熱または冷却することにより、健全部50におけるライニングタンク外表面50Xと、浮き部60におけるライニングタンク外表面60Xとの温度差を短時間に広げることができる。すなわち、ライニングタンク外表面10A全体を均一に加熱または冷却することが、該タンク10の表面温度分布を正確に測定する上で好ましい。
また、上述したように、半導体製造における薬液供給システムなどに使用されるライニングタンク10は、収容されている薬液の純粋性を保持することが必要となる。また、薬液の種類や状態などによっては、該薬液が缶体30に対して腐食性を有し、かつ人体などに対して毒性を有するため、環境汚染防止の観点からライニングタンク10を設置場所で開放することが困難になる場合がある。
このため、薬液供給システムが稼働中のライニングタンク10においては、該タンク10を開放せずに、ライニング層20の浮き部60を検出することが好ましい。
例えば、上記薬液の中では、特に塩酸、硝酸、フッ酸は、ライニング層20を透過しやすいため、ライニング層20に浮き部60が発生しやすい。さらに、前記薬液は金属製の缶体30に対して腐食性を有し、かつ人体に対して毒性を有するため、環境汚染防止の観点からライニングタンク10を設置場所で開放せずに(すなわち、該タンク10の図示せぬ蓋体を取り外さず、密閉状態で)、ライニング層20の浮き部60を検査することが好
ましい。
また、通常は、ライニングタンク10を製造する際に、接着不良によるライニング層20の浮き部60の有無を検査することが該タンク10の出荷前に行われる。このような場合には、ライニングタンク内部150の汚染を回避するという観点から、該タンク10を開放せずに、ライニング層20の浮き部60の有無を検査することが好ましい。
<ライニングタンクの使用状況>
ライニングタンク10の使用状況としては、例えば、
(1)収容物が空気であって、ライニングタンク内部150全体が空気で満たされ、ライニングタンク内表面10Bに接する相が気相の場合、
(2)収容物が空気以外の気体であって、ライニングタンク内部150全体が該収容物で満たされ、ライニングタンク内表面10Bに接する相が気相の場合、
(3)収容物が薬液、水その他の液体を含み、(3−1)ライニングタンク内部150の下部に液体110が収容されており、ライニングタンク内部150の上部が気体100で満たされている場合(図6)、(3−2)ライニングタンク内部150全体が液体110で満たされている場合(図示せず)がある。
本発明(A)においては、ライニングタンク内部150の収容物の状況が上記何れの場合であっても、本発明(A)の方法を適用することができ、ライニング層20の浮き部60の位置および範囲を精度良く検出することができる。
例えば、上記(3−1)の場合について、図6に図示するように、ライニングタンク内部150に所定の高さまで薬液が収容されている場合には、ライニングタンク内表面10Bに接する収容物が気体100である部位に対応するライニングタンク外表面120Aでも、ライニングタンク内表面10Bに接する収容物が液体110である部位に対応するライニングタンク外表面125Aでも、各外表面120Aまたは125Aを、それぞれ加熱または冷却することにより、ライニング層20の浮き部60の位置および範囲を精度良く検出することができる。
<加熱方法>
本発明(A)において、ライニングタンク10の非破壊検査に際し、ライニングタンク外表面10Aを加熱する方法としては、例えば、(a)該タンク外表面10Aの温度よりも高温の加熱用媒体を該タンク外表面10Aに接触させる方法、(b)ハロゲンヒーターなどで該タンク外表面10Aを輻射加熱する方法、(c)ドライヤーなどで該タンク外表面10Aを対流加熱する方法が挙げられる。
上記加熱用媒体としては、ライニングタンク外表面10A全体を均一に加熱することができれば特に制限されず、例えば、ライニングタンク10の曲面に沿って貼り付けられる程度の柔軟性を有するシート状物が挙げられる。前記シート状物としては、一定の温度に保持でき、柔軟性を有する樹脂材料からなるシート状物が取り扱い性に優れるため好ましく、具体的にはシリコンゴムシートやウレタンゴムシートが挙げられる。
上記加熱用媒体は、例えば、これを低温乾燥機内に設置したり、恒温槽などに浸漬させたりすることによって目的とする温度に設定することができる。また、上記加熱用媒体としては、該媒体内部に熱源を有するものを用いてもよく、例えば、ラバーヒーター(坂口電熱株式会社製サミコン230など)が挙げられる。
<冷却方法>
本発明(A)において、ライニングタンク10の非破壊検査に際し、ライニングタンク
外表面10Aを冷却する方法としては、例えば、(a)該タンク外表面10Aの温度よりも低温の冷却用媒体を該タンク外表面10Aに接触させる方法、(b)スポットクーラーなどで該タンク外表面10Aを対流冷却する方法、(c)アルコールなどの揮発性有機溶剤を塗布し、気化熱で冷却する方法が挙げられる。
上記冷却用媒体としては、ライニングタンク外表面10A全体を均一に冷却することができれば特に制限されず、ライニングタンク10の曲面に沿って貼り付けられる程度の柔軟性を有するシート状物が挙げられる。前記シート状物としては、一定の温度に保持でき、柔軟性を有する樹脂材料からなるシート状物が取り扱い性に優れるため好ましく、具体的にはシリコンゴムシートやウレタンゴムシートが挙げられる。
上記冷却用媒体は、例えば、これを恒温槽などに浸漬させることによって目的とする温度に設定することができる。
これらの加熱方法および冷却方法においては、何れも、温度が均一に設定された、(a)ライニングタンク外表面10Aの温度よりも高温の加熱用媒体または低温の冷却用媒体を、該タンク外表面10Aに接触させる方法が、該タンク外表面10A全体を温度むら無く、均一に加熱または冷却することができる。このため、ライニング層20の浮き部60の位置および範囲を精度良く検出できる。
≪加熱・冷却条件≫
(1)本発明(A)において、測定前(すなわち、加熱または冷却前)の健全部50におけるライニングタンク外表面50Xの温度(α0)と、測定時(すなわち、加熱または
冷却後)の健全部50におけるライニングタンク外表面50Xの温度(α1)との差の絶
対値(|α0−α1|)は、測定精度の向上、収容物およびライニング層20への悪影響の低減、ならびにエネルギー効率の向上などの観点から、好ましくは1.5℃以上、より好ましくは2〜30℃、さらに好ましくは5〜10℃の範囲にある。
(2)本発明(A)において、加熱または冷却後の健全部50におけるライニングタンク外表面50Xの温度(α1)と、加熱または冷却後の浮き部60におけるライニングタ
ンク外表面60Xの温度(β1)との差の絶対値(|α1−β1|)は、浮き部60の赤外
線サーモグラフィによる検出が正確かつ容易となり、計測の迅速化となるため、好ましくは0.3℃以上、より好ましくは1〜10℃、さらに好ましくは2〜5℃の範囲にある。
なお、上記温度差(|α1−β1|)は、缶体30の肉厚や材質などにより異なるが、経時的に縮まる(ゼロに近づく)。このため、ライニングタンク外表面10Aを加熱または冷却した後、赤外線サーモグラフィ90を用いて精度良く、効率的にライニング層20の浮き部60を検出することができる時間帯、すなわち、上記温度差(|α1−β1|)が最大となる時間帯において非破壊検査を行うことが望ましい。
具体的には、ライニングタンク外表面10Aを加熱または冷却した後、好ましくは直後〜10分以内、より好ましくは直後〜5分以内に、赤外線サーモグラフィ90を用いてライニングタンク外表面10Aの温度分布を測定することが望ましい。
(3)本発明(A)において、測定前(すなわち、加熱または冷却前)の健全部50におけるライニングタンク外表面50Xの温度(α0)と、上記加熱または冷却用媒体の温
度(γ0)との差の絶対値(|α0−γ0|)は、浮き部60の赤外線サーモグラフィ90
による検出が正確かつ容易となり、計測の迅速化となるため、好ましくは5℃以上、より好ましくは10〜50℃の範囲にある。
(4)上記加熱方法および冷却方法において、ライニングタンク外表面10Aの温度が
高くなり過ぎると、作業性および作業者の安全性の悪化、薬液およびライニング層20への悪影響の発生、ならびにエネルギー効率の悪化などのおそれがある。また、ライニングタンク外表面10Aの温度が低くなり過ぎると、ライニングタンク外表面10Aに結露が発生し、正確に表面温度分布を測定することができなくなるおそれがある。
このため、ライニングタンク10の設置場所や環境にもよるが、測定時のライニングタンク外表面10A温度が0〜80℃であれば、好適に非破壊検査を実施できる。
〔非破壊検査方法(B)〕
本発明に係るライニングタンクの非破壊検査方法(B)は、剥離状態のライニング層に起因して発生する、ライニングタンク内表面からライニングタンク外表面への熱伝達速度の不均等による表面温度分布を、赤外線サーモグラフィを用いて測定することにより、該ライニング層の浮き部を検出することを特徴とする(以下、単に「本発明(B)」とも記す)。
特に、ライニングタンクを開放することなく、収容物を該タンク内部へ供給することによって、該タンク内部から該タンク外表面を加熱または冷却することが好ましい。
なお、本発明(B)において、「収容物」とは、ライニングタンク外表面10Aを該タンク内部150から加熱または冷却するために用いられる、該タンク内部150に供給される検査用の収容物である。このような検査用の収容物は、通常はライニングタンク内部150の汚染のおそれがなく、非破壊検査後に該タンク内部150の洗浄を実質上必要としない収容物が用いられる。
<ライニングタンクの収容物:図2、図4参照>
本発明(B)においては、好ましくはライニングタンク10を開放することなく、該タンク外表面10Aの温度と温度差を有する収容物を測定対象の該タンク内部150へ供給することによって、より好ましくは該タンク10の図示せぬ蓋体を取り外すことなく、図示せぬ薬液供給ライン160を介して該収容物を該タンク内部150へ供給することによって、収容物が供給された部分の該タンク10の内表面10B全体を均一に加熱または冷却することができる。
このため、健全部50におけるライニングタンク外表面50Xと浮き部60におけるライニングタンク外表面60Xとの温度差を短時間に広げることができる。
特に、半導体製造における薬液供給システムなどに使用されるライニングタンク10は、収容されている薬液の純粋性を保持することが必要となる。また、薬液の種類や状態などによっては薬液が缶体30に対して腐食性を有し、かつ人体に対して毒性を有するため、環境汚染防止の観点からライニングタンク10を設置場所で開放することが困難になる場合がある。
このため、薬液供給システムが稼働中のライニングタンク10においては、収容されている薬液と同一の薬液を検査用(該タンク10の加熱または冷却用の)収容物として薬液供給ライン160を介して該タンク内部150に供給することにより、該タンク10を開放せずに、ライニング層20の浮き部60を検出することが好ましい。
ライニングタンク10に供給される収容物としては、例えば、塩酸、硝酸、フッ酸、過酸化水素水などの薬液、水などの液体;空気、窒素などの気体が挙げられる。これらの中では、ライニングタンク10の缶体30への熱の伝わり易さの観点から、前記収容物は液体であることが好ましい。
上記水としては、水道水でも純水でもよいが、純水を用いることがライニングタンク内部150の純粋性(非汚染性)を良好に保持できる点で好ましい。
上記薬液の中では、特に塩酸、硝酸、フッ酸は、ライニング層20を透過しやすいためライニング層20の浮き部60が発生しやすい。さらに、前記薬液は金属製の缶体30に対して腐食性を有し、かつ人体に対して毒性を有するため、環境汚染防止の観点からライニングタンク10を設置場所で開放せずに(すなわち、該タンクの図示せぬ蓋体を取り外さず、密閉状態で)、ライニング層20の浮き部60を検査することが好ましい。
また、通常は、ライニングタンク10を製造する際に、ライニング層20の接着不良による浮き部60の有無を検査することが該タンク10の出荷前に行われる。このような場合には、ライニングタンク10の取り扱い上の安全性、簡便性、該タンク内部150の低汚染性の観点から、上記収容物としては純水を用いることが好ましい。
さらに、ライニングタンク10を出荷する際には、純水を用いて該タンク内部150を洗浄することが行われる。このような場合には、ライニングタンク内部150の汚染を回避するという観点から、該タンク10を開放せずに、純水を用いて該タンク内部150を洗浄する際に、合わせてライニング層20の浮き部60を検査することが好ましい。
<加熱・冷却条件>
(1)本発明(B)において、収容物が供給される前の健全部50におけるライニングタンク外表面50Xの温度(α0)と、供給前の収容物の温度(γ0)との差の絶対値(|α0−γ0|)は、ライニングタンク10の缶体30の肉厚、ライニング層20の肉厚などにもよるが、測定精度の向上、検査時のエネルギー効率などの観点から、好ましくは1℃以上、より好ましくは3〜50℃、さらに好ましくは10〜20℃の範囲にある。
このとき、供給前の収容物の温度(γ0)は、収容物を安全に扱える温度であれば特に
限定されず、例えば、水の場合は5〜80℃であることが好ましい。また、塩酸、硝酸、フッ酸などの薬液を収容物とする半導体製造における薬液供給システムなどに使用される薬液タンクでは、薬液やライニング層20への悪影響を低減するため、供給前の収容物の温度(γ0)は、5〜40℃であることが好ましい。
(2)本発明(B)において、収容物が供給された後の健全部50におけるライニングタンク外表面50Xの温度(α1)と、収容物が供給された後の浮き部60におけるライ
ニングタンク外表面60Xの温度(β1)との差は、缶体30の肉厚、ライニング層20
の肉厚などにより異なるが、経時的に縮まる(ゼロに近づく)。
このため、ライニングタンク内部150に収容物を供給した後、赤外線サーモグラフィ90を用いて精度良く、効率的にライニング層20の浮き部60を検出することができる時間帯、すなわち、上記温度差(|α1−β1|)が最大となる時間帯において非破壊検査を行うことが望ましい。
具体的には、ライニングタンク内部150に収容物を供給した後、好ましくは収容物供給直後〜10分以内に、より好ましくは収容物供給直後〜3分以内に、赤外線サーモグラフィ90を用いて該タンク外表面10Aの温度分布を測定することが望ましい。
特に、収容物が液体の場合は、液体がライニングタンク内部150に供給されて該タンク内部150の液面が浮き部60に達した後、好ましくは液面が浮き部60に達した直後〜10分以内に、より好ましくは液面が浮き部60に達した直後〜5分以内に、さらに好ましくは液面が浮き部60に達してから2分後〜3分以内に、赤外線サーモグラフィ90を用いて該タンク外表面10Aの温度分布を測定することが望ましい。
(3)本発明(B)において、収容物が供給される前の健全部50におけるライニング
タンク外表面50Xの温度(α0)と、収容物が供給された後の健全部50における該タ
ンク外表面50Xの温度(α1)との差が大きいほど、該タンク外表面10Aの温度分布
が明確となり、ライニング層20の浮き部60の位置および範囲を精度良く検出することができる。
以下、実施例に基づいて本発明に係るライニングタンクの非破壊検査方法についてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[A1−1]
<ライニングタンク>
ライニングタンク10として、缶体30(容量300L、内径600mm、高さ1100mm、厚み4mm、材質SUS304製、熱伝導率16.3W/m・℃(20℃))の内表面30Bに、ライニング層20〔PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)からなる層(厚み2mm)〕が、ゴム系接着剤を介して形成されたフッ素樹脂ライニングタンクを用いた。
<浮き部:図7参照>
ライニングタンク外表面130Aに対応する位置にあるライニング層20を、完全に接着剤層70から剥離し、浮き部60を形成した。浮き部60は、横w:150mm×縦h
:100mm×ライニングタンク内方向の浮き上がりの高さt:5mmの大きさを有する。
<赤外線反射防止用マスキングテープ:図7参照>
浮き部60に対応する位置にあるライニングタンク外表面130Aを被覆するように、赤外線反射防止用マスキングテープ80として、放射率が0.95である「“スコッチ”印 表面保護用テープNo.341J」(住友スリーエム(株)製)を、ライニングタンク外表面10Aの附番81に示す位置に貼り付けた。
<赤外線サーモグラフィ>
赤外線サーモグラフィ90として、「TVS−200EX」(日本アビオニクス(株)製)を用い、分解能0.2℃に設定した。また、赤外線サーモグラフィ90は、ライニングタンク外表面10Aから1m離間した位置に設置した。
<加熱(冷却)用媒体>
加熱(冷却)用媒体としては、横500mm×縦200mm×厚み5mmのウレタンゴムシート(株式会社ミツミ製)を用いた。前記ウレタンゴムシートを予め所定の温度に設定された恒温槽に20分間浸漬して、表1中「ウレタンゴムシートの温度(γ0)」に記
載の温度に設定した。
<測定>
ライニングタンク内部150全体を空気で満たした。この状態での、健全部50におけるライニングタンク外表面50Xの表面温度(α0)を表1に示す。
次いで、上記ウレタンゴムシートを、浮き部60に対応するライニングタンク外表面130Aを被覆するように、該タンク外表面10Aの附番140で示す位置に100秒間接触させ、該タンク外表面10Aを加熱した(図7参照)。
次いで、上記ウレタンゴムシートを取り除き、赤外線サーモグラフィ90を用いて、ライニングタンク外表面10Aの温度分布の測定を開始した(図8は、測定開始直後の熱画像である)。ここで、上記ウレタンゴムシートを取り除いた直後の健全部50におけるラ
イニングタンク外表面50Xの表面温度(α1)、および浮き部60における該タンク外
表面60X(130A)の表面温度(β1)を表1に示す。
<評価>
浮き部60の位置および範囲を明確に特定できた場合を「A」、浮き部60の位置のみを特定できた場合を「B」、浮き部60の位置および範囲ともに特定できなかった場合を「C」とした。
評価結果を表1に示す。
[A1−2〜A1−9]
上記[A1−1]において、ウレタンゴムシートの温度(γ0)および加熱(冷却)前
の健全部50におけるライニングタンク外表面50Xの表面温度(α0)を表1に示す温
度に設定したこと以外は上記[A1−1]と同様にして、ライニング層20の浮き部60の測定および評価を行った。
測定結果および評価結果を表1に示す。
[A2−1〜A2−9]
上記[A1−1]において、ライニングタンク内部150全体を水で満たしたこと、ウレタンゴムシートの温度(γ0)および加熱(冷却)前の健全部50におけるライニング
タンク外表面50Xの表面温度(α0)を表2に示す温度に設定したこと以外は上記[A
1−1]と同様にして、ライニング層20の浮き部60の測定および評価を行った。
測定結果および評価結果を表2に示す。
[A3−1〜A3−9]
上記[A1−1]において、ライニングタンク10として、缶体30(容量2500L、内径1300mm、高さ2612mm、厚み4mm、材質SUS304製)の内表面30Bに、ライニング層20〔PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなる層(厚み3mm)〕が、エポキシ系接着剤を介して形成されたフッ素樹脂ライニングタンクを用いたこと、ウレタンゴムシートの温度(γ0)および加熱(冷却)前の健全部50における
ライニングタンク外表面50Xの表面温度(α0)を表3に示す温度に設定したこと以外
は上記[A1−1]と同様にして、ライニング層20の浮き部60の測定および評価を行った。
なお、上記フッ素樹脂ライニングタンクには、内径120mm×ライニングタンク内方向の浮き上がりの高さ2mmの大きさを有する浮き部60が形成されている。
測定結果および評価結果を表3に示す。
[A4−1〜A4−9]
上記[A3−1]において、ライニングタンク内部150全体を水で満たしたこと、ウレタンゴムシートの温度(γ0)および加熱(冷却)前の健全部50におけるライニング
タンク外表面50Xの表面温度(α0)を表4に示す温度に設定したこと以外は上記[A
3−1]と同様にして、ライニング層20の浮き部60の測定および評価を行った。
測定結果および評価結果を表4に示す。
[B1−1]
図5は、ライニングタンク10の浮き部60の一部(半分)60Aを被覆するように、
ライニングタンク外表面10Aに、赤外線反射防止用マスキングテープ80を附番81に示す位置に貼付した状態を示す説明図である。図4は、ライニングタンク10の模式横断面図である。図9は、満水直後のライニングタンク10の赤外線サーモグラフィ90による熱画像である。図10は、満水5分後のライニングタンク10の赤外線サーモグラフィ90による熱画像である。
<ライニングタンク>
ライニングタンク10として、缶体(容量200L、内径600mm、高さ1220mm、厚み4mm、材質SUS304製)の内表面30Bに、ライニング層20〔PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)からなる層(厚み2mm)〕が、ゴム系接着剤を介して形成されたフッ素樹脂ライニングタンクを用いた。このとき、健全部50におけるライニングタンク外表面50Xの初期温度(α0)は
、16℃であった。
<浮き部>
図5の附番60に示す位置に、バールを用いて故意にライニング層20の一部を接着剤層70から剥離して、空気・滲出液層40を作ることにより浮き部60を形成した。浮き部60の横断面図を図4に示す。空気・滲出液層40(ライニング層20の浮き部60)を形成した後、前記バールを引抜き、ライニング層20の一部を完全に接着剤層70から剥離した。浮き部60は、横w:150mm×縦h:370mm×ライニングタンク内方向の浮き上がりの高さt:20mmの大きさを有する。
<赤外線反射防止用マスキングテープ80>
図5に示すように、上記のように形成した浮き部60の幅wの半分(附番60Aで示す位置)を被覆するように、赤外線反射防止用マスキングテープ80として、放射率が0.95である「“スコッチ”印 表面保護用テープNo.341J」(住友スリーエム(株)製)を、ライニングタンク外表面10Aの附番81に示す位置に貼り付けた。
<収容物>
ライニングタンク10に供給する収容物としては、水道水(水温(γ0)10℃、供給
速度30L/min)を用いた。
<赤外線サーモグラフィ>
赤外線サーモグラフィ90としては、「TVS−200EX」(日本アビオニクス(株)製)を用い、分解能0.2℃に設定した。また、赤外線サーモグラフィ90は、ライニングタンク外表面10Aから2.7m離間した位置に設置した。
<測定>
上記の条件で、上記水道水をライニングタンク内部150に供給し、ライニングタンク外表面10Aの赤外線サーモグラフィ90による熱画像を観察した。
図9は、満水直後のライニングタンク10の赤外線サーモグラフィ90による熱画像である。赤外線反射防止用マスキングテープ80の貼付部81においては、健全部50と浮き部60Aとの境界が明瞭に現れているが、該マスキングテープ80の非貼付部82においては、健全部50と浮き部60Bとの境界がやや不明瞭であった。
図10は、満水5分後のライニングタンク10の赤外線サーモグラフィ90による熱画像である。赤外線反射防止用マスキングテープ80の貼付部81においては、浮き部60Aが完全に観察可能な結果となり、さらに浮き部60Aの先端が特定でき、浮き部60Aの位置および範囲を精度よく検出することができた。しかしながら、赤外線反射防止用マ
スキングテープ80の非貼付部82においては、浮き部60Bの境界がやや不明瞭であり、浮き部60Bを検出することは可能であるが、浮き部60Bの位置および範囲を精度よく検出するという観点からは、やや劣る結果となった。
[B2−1]
図11は、ライニングタンク10を開放することなく、すなわち、該タンク10の蓋体を取り外すことなく、薬液供給ライン160により上記水道水を該タンク内部150に供給し、該タンク内部150の水面170が浮き部60に達した1分後の該タンク外表面10Aの赤外線サーモグラフィ90による熱画像である。
<ライニングタンク>
ライニングタンク10として、缶体(容量300L、外径600mm、高さ1100mm、厚み4mm、材質SUS304製)の内表面30Bに、ライニング層20〔PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)からなる層(厚み2mm)〕が形成されたフッ素樹脂ライニングタンクを用いた。
上記フッ素樹脂ライニングタンクには、缶体30の底面から高さ455mmの位置に、横w:300mm×縦h:70mmの大きさを有する楕円の浮き部60が形成されている。このとき、健全部50におけるライニングタンク外表面50Xの初期温度(α0)は、
24.6℃であった。
<赤外線反射防止用マスキングテープ>
浮き部60全面を被覆するように、赤外線反射防止用マスキングテープ80として、放射率が0.95である「“スコッチ”印 表面保護用テープNo.341J」(住友スリーエム(株)製)を、ライニングタンク外表面10Aに貼り付けた。
<収容物>
ライニングタンク10に供給される収容物としては、水道水(水温(γ0)76.4℃
、供給速度30L/min)を用いた。
<赤外線サーモグラフィ>
赤外線サーモグラフィ90としては、「TVS−200EX」(日本アビオニクス(株)製、分解能0.1℃)を用いた。また、赤外線サーモグラフィ90は、ライニングタンク外表面10Aから2.7m離間した位置に設置した。
<測定>
上記の条件で、ライニングタンク10を開放することなく(すなわち、ライニングタンク10の蓋体を取り外すことなく)、薬液供給ライン160により上記水道水を該タンク内部150に供給し、該タンク外表面10Aの赤外線サーモグラフィによる熱画像を観察した。
その結果、水面170が浮き部60に達した後1分後は、浮き部60の位置および形状を熱画像により明確に特定することができた。また、水面170が浮き部60に達した後3分後も、浮き部60の位置および形状を熱画像により明確に特定することができた。さらに、水面170が浮き部60に達した後5分後においても、浮き部60の位置および形状を熱画像により明確に特定することができた。
結果を表5に示す。
[B2−2]
上記[B2−1]と同様のライニングタンク10において、上記[B2−1]と同様に
該タンク外表面10Aの熱画像を観察した。このとき、健全部50におけるライニングタンク外表面50Xの初期温度(α0)は25.8℃、該タンク10に供給される水道水の
水温(γ0)は41.2℃とした。
水面170が浮き部60に達した後1分後、3分後、5分後の何れにおいても、浮き部60の位置および形状を熱画像により明確に特定することができた。
結果を表5に示す。
[B2−3]
上記[B2−1]と同様のライニングタンク10において、上記[B2−1]と同様に該タンク外表面の熱画像を観察した。このとき、健全部50におけるライニングタンク外表面50Xの初期温度(α0)は23.2℃、該タンク10に供給される水道水の水温(
γ0)は水温25.9℃とした。
水面170が浮き部60に達した後1分後において、浮き部60の位置を検出することができたが、浮き部60の形状を明確に特定することはできなかった。しかしながら、水面170が浮き部60に達した後3分後において、浮き部60の位置および形状を熱画像により明確に特定することができた。さらに、水面170が浮き部60に達した後5分後においても、浮き部60の位置および形状を熱画像により明確に特定することができた。
結果を表5に示す。
[B2−4]
上記[B2−1]と同様のライニングタンク10において、上記[B2−1]と同様に該タンク外表面10Aの熱画像を観察した。このとき、健全部50におけるライニングタンク外表面50Xの初期温度(α0)は20.7℃、該タンク10に供給される水道水の
水温(γ0)は水温19.7℃とした。
水面170が浮き部60に達した後1分後において、浮き部60を検出することができなかった。しかしながら、水面170が浮き部60に達した後3分後において、浮き部60の位置を検出することができた。また、水面170が浮き部60に達した後5分後において、浮き部60を検出することはできなかった。
結果を表5に示す。
[B2−5]
上記[B2−1]と同様のライニングタンク10において、上記[B2−1]と同様に該タンク外表面10Aの熱画像を観察した。このとき、健全部50におけるライニングタンク外表面50Xの初期温度(α0)は20.8℃、該タンク10に供給される水道水の
水温(γ0)は水温17.9℃とした。
水面170が浮き部60に達した後1分後、3分後、5分後の何れにおいても、明確に熱画像により浮き部60の位置および形状を特定することができた。
結果を表5に示す。
[B2−6]
上記[B2−1]と同様のライニングタンク10において、上記[B2−1]と同様に該タンク外表面10Aの熱画像を観察した。このとき、健全部50におけるライニングタンク外表面50Xの初期温度(α0)は22.4℃、該タンク10に供給される水道水の
水温(γ0)は水温12.9℃とした。
水面170が浮き部60に達した後1分後、3分後、5分後の何れにおいても、明確に
熱画像により浮き部60の位置および形状を特定することができた。
結果を表5に示す。
[B3−1]
下記のライニングタンク10において、上記[B2−1]と同様に赤外線反射防止用マスキングテープ80を浮き部60全面が被覆されるように貼り付け、該タンク外表面10Aを赤外線サーモグラフィ90により熱画像を観察した。
<ライニングタンク>
ライニングタンク10として、缶体(容量2500L、内径1300mm、高さ2612mm、材質SUS304製、4mm厚)の内表面30Bに、ライニング層20〔PTFE(ポリテトラフルオロエチレン重合体)からなる層(厚み3mm)〕が、エポキシ系接着剤を介して形成されたフッ素樹脂ライニングタンクを用いた。
上記フッ素樹脂ライニングタンクには、缶体30の底面から高さ230mmの位置に、内径120mmの大きさを有する浮き部60が形成されている。このとき、健全部50におけるライニングタンク外表面50Xの初期温度(α0)は、27.1℃であった。
<収容物>
ライニングタンク10に供給される収容物としては、水道水(水温(γ0)61.2℃
、供給速度80L/min)を用いた。
<赤外線サーモグラフィ>
赤外線サーモグラフィ90としては、「TVS−200EX」(日本アビオニクス(株)製)を用い、分解能0.2℃に設定した。また、赤外線サーモグラフィ90は、ライニングタンク外表面10Aから2m離間した位置に設置した。
<測定>
上記の条件で、ライニングタンク10を開放することなく(すなわち、ライニングタンク10の蓋体を取り外すことなく)、薬液供給ライン160により上記水道水を該タンク内部150に供給し、該タンク外表面10Aの赤外線サーモグラフィ90による熱画像を観察した。
その結果、水面170が浮き部60に達した後1分後は、浮き部60の位置および形状を熱画像により明確に特定することができた。また、水面170が浮き部60に達した後3分後も、浮き部60の位置および形状を熱画像により明確に特定することができた。さらに、水面170が浮き部60に達した後5分後においても、浮き部60の位置および形状を熱画像により明確に特定することができた。
結果を表6に示す。
[B3−2]
上記[B3−1]と同様のライニングタンク10において、上記[B3−1]と同様に該タンク外表面10Aの熱画像を観察した。このとき、健全部50におけるライニングタンク外表面50Xの初期温度(α0)は27.1℃、該タンク10に供給される水道水の
水温(γ0)は水温40.0℃とした。
水面170が浮き部60に達した後1分後、3分後、5分後の何れにおいても、浮き部60の位置および形状を熱画像により明確に特定することができた。
結果を表6に示す。
[B3−3]
上記[B3−1]と同様のライニングタンク10において、上記[B3−1]と同様に該タンク外表面10Aの熱画像を観察した。このとき、健全部50におけるライニングタンク外表面50Xの初期温度(α0)は25.2℃、該タンク10に供給される水道水の
水温(γ0)は水温23.9℃とした。
その結果、水面170が浮き部60に達した後1分後は、浮き部60を検出することができなかった。しかしながら、水面170が浮き部60に達した後3分後は、浮き部60の位置を検出することができた。さらに、水面170が浮き部60に達した後5分後においては、浮き部60を検出することはできなかった。
結果を表6に示す。
[B3−4]
上記[B3−1]と同様のライニングタンク10において、上記[B3−1]と同様に該タンク外表面10Aの熱画像を観察した。このとき、健全部50におけるライニングタンク外表面50Xの初期温度(α0)は25.5℃、該タンク10に供給される水道水の
水温(γ0)は水温22.8℃とした。
その結果、水面170が浮き部60に達した後1分後は、浮き部60の位置を検出することができた。そして、水面170が浮き部60に達した後3分後は、浮き部60の位置および形状を熱画像により明確に特定することができた。しかしながら、水面170が浮き部60に達した後5分後は、浮き部60の位置を検出することができたが、浮き部60の形状を明確に特定することはできなかった。
結果を表6に示す。
[B3−5]
上記[B3−1]と同様のライニングタンクにおいて、上記[B3−1]と同様に該タンク外表面10Aの熱画像を観察した。このとき、健全部50におけるライニングタンク
外表面50Xの初期温度(α0)は25.3℃、該タンク10に供給される水道水の水温
(γ0)は水20.1℃とした。
その結果、水面170が浮き部60に達した後1分後、3分後の何れにおいても、浮き部60の位置および形状を熱画像により明確に特定することができた。しかしながら、水面170が浮き部60に達した後5分後は、浮き部60の位置を検出することができたが、浮き部60の形状を明確に特定することはできなかった。
結果を表6に示す。
[B3−6]
上記[B3−1]と同様のライニングタンク10において、上記[B3−1]と同様に該タンク外表面10Aの熱画像を観察した。このとき、健全部50におけるライニングタンク外表面10Aの初期温度(α0)は25.3℃、該タンク10に供給される水道水の
水温(γ0)は水温14.9℃とした。
その結果、水面170が浮き部60に達した後1分後、3分後、5分後の何れにおいても、浮き部60の位置および形状を熱画像により明確に特定することができた。
結果を表6に示す。
図1は、本発明の検査方法(A)の構成を示す模式縦断面図である。 図2は、本発明の検査方法(B)の構成を示す模式縦断面図である。 図3は、本発明の検査方法(A)の構成を示す模式横断面図である。 図4は、本発明の検査方法(B)の構成を示す模式横断面図である。 図5は、ライニングタンクの浮き部の一部(半分)を被覆するように、ライニングタンク外表面にマスキングテープを貼付した状態を示す説明図である。 図6は、本発明で用いられるライニングタンクの模式縦断面図であって、該タンク内部に所定の深さまで収容物が収容されている状態を示す説明図である。 図7は、[A1−1]で用いられるライニングタンクにおいて、マスキングテープおよびウレタンゴムシートの貼付状態を示す説明図である。 図8は、[A1−1]での測定開始直後の熱画像である。 図9は、[B1−1]における、満水直後のライニングタンク外表面に係る赤外線サーモグラフィの熱画像である。 図10は、[B1−1]における、満水5分後のライニングタンク外表面に係る赤外線サーモグラフィの熱画像である。 図11は、[B2−1]における、ライニングタンク内部の水面が浮き部に達した1分後の該タンク外表面に係る赤外線サーモグラフィの熱画像である。
符号の説明
10・・・・ライニングタンク
10A・・・ライニングタンク外表面
10B・・・ライニングタンク内表面
20・・・・ライニング層
30・・・・缶体
30A・・・缶体外表面
30B・・・缶体内表面
40・・・・空気・滲出液層
50・・・・健全部
50X・・・健全部におけるライニングタンク外表面
60・・・・浮き部
60A・・・浮き部の赤外線反射防止用マスキングテープ貼付部
60B・・・浮き部の赤外線反射防止用マスキングテープ非貼付部
60X・・・浮き部におけるライニングタンク外表面
70・・・・接着剤層
80・・・・赤外線反射防止用マスキングテープ
81・・・・赤外線反射防止用マスキングテープ貼付部
82・・・・赤外線反射防止用マスキングテープ非貼付部
90・・・・赤外線サーモグラフィ
100・・・ライニングタンク内部の空気などの気相部
110・・・ライニングタンク内部の薬液などの液相部
120A・・ライニングタンク内表面に接する相が気相部であるライニングタンク外表面125A・・ライニングタンク内表面に接する相が液相部であるライニングタンク外表面130A・・[A1−1]で形成された浮き部に対応するライニングタンク外表面
140・・・[A1−1]で使用されたウレタンゴムシート
150・・・ライニングタンク内部(薬液などの収容部)
160・・・薬液供給ライン
170・・・ライニングタンク内部における水面
t・・・・・ライニングタンク内方向の空気・滲出液層(浮き部)の高さ
h・・・・・ライニングタンク縦方向の空気・滲出液層(浮き部)の長さ
w・・・・・ライニングタンク横方向の空気・滲出液層(浮き部)の幅
X・・・・・浮き部でのライニングタンクの内外面を貫く方向
Y・・・・・健全部でのライニングタンクの内外面を貫く方向

Claims (8)

  1. 剥離状態のライニング層に起因して発生する、ライニングタンク内表面または外表面への熱伝達速度の不均等による表面温度分布を、赤外線サーモグラフィを用いて測定することにより、該ライニング層の浮き部を検出することを特徴とするライニングタンクの非破壊検査方法。
  2. 前記ライニングタンク外表面を、加熱または冷却し、剥離状態のライニング層に起因して発生する、該タンク内表面への熱伝達速度の不均等による表面温度分布を、赤外線サーモグラフィを用いて測定することにより、該ライニング層の浮き部を検出することを特徴とする請求項1に記載のライニングタンクの非破壊検査方法。
  3. 加熱または冷却前の前記ライニングタンクのライニング層が剥離していない健全部における該タンク外表面の温度と、加熱または冷却後の該健全部における該タンク外表面の温度との差の絶対値が、1.5℃以上となるように、前記ライニングタンク外表面を加熱または冷却することを特徴とする請求項2に記載のライニングタンクの非破壊検査方法。
  4. 前記ライニングタンク外表面の温度よりも高温の加熱用媒体または低温の冷却用媒体を、該タンク外表面に接触させることによって、該タンク外表面を加熱または冷却することを特徴とする請求項2または3に記載のライニングタンクの非破壊検査方法。
  5. 前記加熱用媒体または前記冷却用媒体が、シート状物であることを特徴とする請求項4に記載のライニングタンクの非破壊検査方法。
  6. 前記ライニングタンクを開放することなく、収容物を該タンク内部へ供給することによって、該タンク内部から該タンク外表面を加熱または冷却することを特徴とする請求項1に記載のライニングタンクの非破壊検査方法。
  7. 前記収容物の温度と、収容物が供給される前の前記ライニングタンクのライニング層が剥離していない健全部における該タンク外表面の温度との差の絶対値が、1℃以上であることを特徴とする請求項6に記載のライニングタンクの非破壊検査方法。
  8. 前記ライニングタンクが、薬液供給システムに使用される薬液タンクであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のライニングタンクの非破壊検査方法。
JP2008281792A 2007-11-02 2008-10-31 ライニングタンクの非破壊検査方法 Active JP5199833B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008281792A JP5199833B2 (ja) 2007-11-02 2008-10-31 ライニングタンクの非破壊検査方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007286003 2007-11-02
JP2007286003 2007-11-02
JP2008281792A JP5199833B2 (ja) 2007-11-02 2008-10-31 ライニングタンクの非破壊検査方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009133845A true JP2009133845A (ja) 2009-06-18
JP5199833B2 JP5199833B2 (ja) 2013-05-15

Family

ID=40865834

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008281792A Active JP5199833B2 (ja) 2007-11-02 2008-10-31 ライニングタンクの非破壊検査方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5199833B2 (ja)
TW (1) TWI402499B (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011137635A (ja) * 2009-12-25 2011-07-14 Shinko Inspection & Service Co Ltd 熱流束導出方法、この導出方法を含む傷部検出方法、及びこの検出方法を用いた傷部検出装置
JP2013036811A (ja) * 2011-08-05 2013-02-21 Tosoh Corp 配管内部被覆層の剥離箇所検出方法
JP2016138770A (ja) * 2015-01-26 2016-08-04 Jfeスチール株式会社 内面塩化ビニルライニング鋼管の接着力の検査方法及び検査システム
JP7024028B1 (ja) 2020-09-11 2022-02-22 東芝プラントシステム株式会社 残液量の検出装置、検出システム、及び検出方法

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5747423B2 (ja) * 1976-12-09 1982-10-08
JPS62179647A (ja) * 1986-02-03 1987-08-06 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 高温容器の内壁部欠陥検査装置
JPS63159741A (ja) * 1986-12-23 1988-07-02 Hitachi Plant Eng & Constr Co Ltd 配管の腐食部分の検出方法
JPS63250554A (ja) * 1987-04-08 1988-10-18 Fujita Corp 腐食診断法及び診断装置
JPH08145922A (ja) * 1994-11-25 1996-06-07 Nkk Corp 塗覆装材の欠陥検査方法
JPH08334485A (ja) * 1995-06-09 1996-12-17 Natl Aerospace Lab 放射温度計による流体通路検査方法
JPH11211682A (ja) * 1998-01-29 1999-08-06 Hitachi Plant Eng & Constr Co Ltd 配管の加熱または冷却治具
JP2001141627A (ja) * 1999-11-12 2001-05-25 Toyo Tire & Rubber Co Ltd 樹脂ライニング層の寿命予測法と寿命予測装置
JP2003121424A (ja) * 2001-10-19 2003-04-23 Hitachi Ltd ライニング配管の検査方法および装置
JP2004361132A (ja) * 2003-06-02 2004-12-24 Mitsubishi Gas Chem Co Inc ライニングの剥離検査方法

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5747423B2 (ja) * 1976-12-09 1982-10-08
JPS62179647A (ja) * 1986-02-03 1987-08-06 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 高温容器の内壁部欠陥検査装置
JPS63159741A (ja) * 1986-12-23 1988-07-02 Hitachi Plant Eng & Constr Co Ltd 配管の腐食部分の検出方法
JPS63250554A (ja) * 1987-04-08 1988-10-18 Fujita Corp 腐食診断法及び診断装置
JPH08145922A (ja) * 1994-11-25 1996-06-07 Nkk Corp 塗覆装材の欠陥検査方法
JPH08334485A (ja) * 1995-06-09 1996-12-17 Natl Aerospace Lab 放射温度計による流体通路検査方法
JPH11211682A (ja) * 1998-01-29 1999-08-06 Hitachi Plant Eng & Constr Co Ltd 配管の加熱または冷却治具
JP2001141627A (ja) * 1999-11-12 2001-05-25 Toyo Tire & Rubber Co Ltd 樹脂ライニング層の寿命予測法と寿命予測装置
JP2003121424A (ja) * 2001-10-19 2003-04-23 Hitachi Ltd ライニング配管の検査方法および装置
JP2004361132A (ja) * 2003-06-02 2004-12-24 Mitsubishi Gas Chem Co Inc ライニングの剥離検査方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011137635A (ja) * 2009-12-25 2011-07-14 Shinko Inspection & Service Co Ltd 熱流束導出方法、この導出方法を含む傷部検出方法、及びこの検出方法を用いた傷部検出装置
JP2013036811A (ja) * 2011-08-05 2013-02-21 Tosoh Corp 配管内部被覆層の剥離箇所検出方法
JP2016138770A (ja) * 2015-01-26 2016-08-04 Jfeスチール株式会社 内面塩化ビニルライニング鋼管の接着力の検査方法及び検査システム
JP7024028B1 (ja) 2020-09-11 2022-02-22 東芝プラントシステム株式会社 残液量の検出装置、検出システム、及び検出方法
JP2022047346A (ja) * 2020-09-11 2022-03-24 東芝プラントシステム株式会社 残液量の検出装置、検出システム、及び検出方法

Also Published As

Publication number Publication date
TWI402499B (zh) 2013-07-21
TW200931010A (en) 2009-07-16
JP5199833B2 (ja) 2013-05-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5199833B2 (ja) ライニングタンクの非破壊検査方法
JP6815816B2 (ja) 放射性物質密封容器のガス漏洩検知方法及び装置並びにプログラム
US20070177788A1 (en) System and method for detecting wafer failure in wet bench applications
US9816936B2 (en) Chemical exposure indication device
US5868882A (en) Polymer protected component
US20220099557A1 (en) Corrosion resistance test method for coated metal material and water-containing material for use therein
KR20150080513A (ko) 저장조 내의 재료의 중량을 모니터링하기 위한 시스템 및 방법
WO2010008068A1 (ja) 超音波探傷装置
CN111982425A (zh) 锂离子电池气密性检测方法及装置
JP2001304937A (ja) 液面検出装置及び方法
US11821583B2 (en) Monitoring system
KR102213701B1 (ko) 온도 감지 장치 및 이를 이용한 온도 감지 시스템
US20100242576A1 (en) Underwater method and apparatus for detecting leaks in a metallic tank or pit liner plate
TWI311697B (ja)
JP2004518090A (ja) 腐食性流体に使用される容器のポートのシールシステム
JP5974434B2 (ja) 配管内部被覆層の剥離箇所検出方法
US10429265B2 (en) Component device and method for detecting a damage in a bonding of a component device
JP2002106800A (ja) 流体漏洩検知システム
JP5689236B2 (ja) 熱交換器へのスケールの付着防止方法及び熱交換器
JP4979635B2 (ja) 気密判定装置及び気密判定方法
CN114690048A (zh) 薄膜电池的检查装置以及制造方法
JP2008166131A (ja) 燃料電池スタックの漏れ検査方法および漏れ検査装置、ならびに燃料電池スタック
EP3120131B1 (en) Corrosion sensor for heat exchangers
US20190131157A1 (en) Apparatus and system for detecting wafer damage
US20180245968A1 (en) Kitchen Scale

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110825

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20120220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121023

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121024

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121220

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130115

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130208

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160215

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5199833

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250