JP2009133415A - 波動歯車減速機及び伝達比可変操舵装置 - Google Patents

波動歯車減速機及び伝達比可変操舵装置 Download PDF

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知也 山川
Yuji Shimamoto
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Abstract

【課題】グリスにより十分に振動を低減しかつ、その低減効果を長期に亘って持続させることが可能な波動歯車減速機及び及びそれを用いた伝達比可変操舵装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の波動歯車減速機30によれば、両サーキュラスプライン31,32とフレクスプライン33との噛合部位から押し出されたグリスはサイドプレート70,70から抵抗を受けるのでダンピング効果が増大し、比較的ちょう度の大きいグリスであっても、十分に振動及び振動音を低減することができる。また、噛合状態にあった両サーキュラスプライン31,32とフレクスプライン33とが離れていく過程で、外側に押し出されていたグリスが、両サーキュラスプライン31,32とフレクスプライン33との間に引き戻されるから、振動の低減効果を長期に亘って持続させることができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、波動歯車減速機及びその波動歯車減速機を備えた伝達比可変操舵装置に関する。
従来のこの種の波動歯車減速機として、第1のサーキュラスプライン及び第2のサーキュラスプラインと、それらに対して部分的に噛合するフレクスプラインとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この波動歯車減速機では、第1及び第2のサーキュラスプラインとフレクスプラインとの間にグリスを介在させることで、噛み合い時の振動が低減することが知られている。
特開2006−44534号公報(段落[0017]、[0018]、第1図、第2図)
ところが、上述した従来の波動歯車減速機では、両サーキュラスプラインとフレクスプラインとの噛み合いによって逃げたグリスが、再び噛み合い部に戻り難い為、長時間の作動で振動の低減効果が徐々に低下する虞があった。
これに対し、噛み合い部から逃げたグリスが、再び噛み合い部に戻り易いように、ちょう度の大きい(低粘度の)グリスを使用することも考えられるが、ちょう度の大きいグリスはダンピング効果が小さく、十分に振動を低減することができない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、グリスにより十分に振動を低減しかつ、その低減効果を長期に亘って持続させることが可能な波動歯車減速機及び及びそれを用いた伝達比可変操舵装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る波動歯車減速機(30)は、剛性内歯歯車(32)と、その剛性内歯歯車(32)と同軸上かつ隣り合わせに配置されて、剛性内歯歯車(32)と歯数が異なるサブ剛性内歯歯車(31)と、剛性内歯歯車(32)及びサブ剛性内歯歯車(31)の内側に配置されかつ剛性内歯歯車(32)と歯数が異なる可撓性外歯歯車(33)と、さらにその内側に嵌合されて可撓性外歯歯車(33)を楕円形に変形させるウェーブジェネレータ(50)とを備え、可撓性外歯歯車(33)が剛性内歯歯車(32)及びサブ剛性内歯歯車(31)に対して部分的に噛合し、それらの噛合位置をウェーブジェネレータ(50)の回転により周方向に移動して、剛性内歯歯車(32)をサブ剛性内歯歯車(31)に対して差動させることが可能な波動歯車減速機(30)において、剛性内歯歯車(32)及びサブ剛性内歯歯車(31)の歯先径よりも小径な内径(R2)を有した円板状をなし、剛性内歯歯車(32)及びサブ剛性内歯歯車(31)の各外側端面にそれぞれ固定されかつ可撓性外歯歯車(33)の両端面にクリアランス(a)を介して対向した1対のサイドプレート(70,70)とを備え、クリアランスをaとし、ウェーブジェネレータ(50)の楕円の長軸(L1)方向における可撓性外歯歯車(33)の歯底径(R1)とサイドプレート(70,70)の内径(R2)との差をbとした場合に、0.5a≦(b/2)≦1.5a、の関係式を満たすように構成したところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載の波動歯車減速機(30)において、剛性内歯歯車(32)及びサブ剛性内歯歯車(31)と可撓性外歯歯車(33)との間に使用するグリスのちょう度を、JISK2220のちょう度番号00号〜2号としたところに特徴を有する。
請求項3の発明に係る波動歯車減速機(30)は、剛性内歯歯車(38)と、その内側に配置されかつ剛性内歯歯車(38)と歯数が異なる可撓性外歯歯車(33)と、さらにその内側に嵌合されて可撓性外歯歯車(33)を楕円形に変形させるウェーブジェネレータ(50)とを備え、可撓性外歯歯車(33)が剛性内歯歯車(38)に対して部分的に噛合し、それらの噛合位置をウェーブジェネレータ(50)の回転により周方向に移動して可撓性外歯歯車(33)と剛性内歯歯車(38)とを差動させることが可能な波動歯車減速機(30)において、剛性内歯歯車(38)の歯先径よりも小径な内径(R2)を有した円板状をなし、剛性内歯歯車(38)の両端面に固定されかつ可撓性外歯歯車(33)の両端面にクリアランス(a)を介して対向した1対のサイドプレート(70,70)を備え、クリアランスをaとし、ウェーブジェネレータ(50)の楕円の長軸(L1)方向における可撓性外歯歯車(33)の歯底径(R1)とサイドプレート(70,70)の内径(R2)との差をbとした場合に、0.5a≦(b/2)≦1.5a、の関係式を満たすように構成したところに特徴を有する。
請求項4の発明に係る伝達比可変操舵装置(20)は、請求項2に記載の波動歯車減速機(30)と、剛性内歯歯車(32)又はサブ剛性内歯歯車(31)の一方に固定されかつ車両(10)のハンドル(16)に連結された入力ハウジング(21)と、剛性内歯歯車(32)又はサブ剛性内歯歯車(31)の他方に固定されかつ車両(10)の転舵輪(11,11)にラックアンドピニオン機構を介して連結された出力軸(24)と、入力ハウジング(21)及び出力軸(24)と同軸上に回転軸が配置され、ウェーブジェネレータ(50)を回転駆動するためのモータ(25)とを備え、ハンドル(16)からラックアンドピニオン機構のピニオン(15)への操舵角の伝達比を車速に応じて変更するところに特徴を有する。
[請求項1の発明]
請求項1の構成によれば、ウェーブジェネレータの楕円の長軸方向で、剛性内歯歯車及びサブ剛性内歯歯車と可撓性外歯歯車との噛合により外側に押し出されたグリスは、剛性内歯歯車とサブ剛性内歯歯車とに固定された1対のサイドプレートから抵抗を受けつつ、1対のサイドプレートと可撓性外歯歯車の両端面との間へと流動するので、比較的ちょう度の大きい(低粘度の)グリスでも十分に振動及び振動音を低減することができる。
また、ウェーブジェネレータの回転により噛合位置が周方向に移動し、噛合状態にあった剛性内歯歯車及びサブ剛性内歯歯車と可撓性外歯歯車とが徐々に離れていく過程で、外側に押し出されていたグリスが、再び剛性内歯歯車及びサブ剛性内歯歯車と可撓性外歯歯車との間に引き戻される。これにより、剛性内歯歯車及びサブ剛性内歯歯車と可撓性外歯歯車との間に長期に亘ってグリスを保持することができる。
このように本発明によれば、グリスによって振動及び振動音を十分に低減しかつ、その低減効果を長期に亘って持続させることが可能である。また、グリス切れが防止されるので、波動歯車減速機の耐久性を向上することができる。
ここで、クリアランスをaとし、ウェーブジェネレータの楕円の長軸方向における可撓性外歯歯車の歯底径とサイドプレートの内径との差をbとした場合に、
0.5a>(b/2)
、の関係式が成立する構成では、噛合部位から押し出されたグリスがサイドプレートから受ける抵抗が小さくなるため、振動を十分に低減することができない。一方、
1.5a<(b/2)
、の関係式が成立する構成では、噛合部位から押し出されたグリスが、可撓性外歯歯車の内周面側に入り込んだりウェーブジェネレータと連れ回りして、剛性内歯歯車及びサブ剛性内歯歯車と可撓性外歯歯車との間に戻り難くなる。
従って、比較的ちょう度の大きいグリスによって良好な振動の低減効果を長期に亘って持続させるには、
0.5a≦(b/2)≦1.5a
、の関係式を満たすように構成する必要がある。
[請求項2の発明]
請求項2の発明によれば、グリスの流動性が比較的大きいので、噛合部位から押し出された後で、再び剛性内歯歯車及びサブ剛性内歯歯車と可撓性外歯歯車との間に戻り易くなる。
[請求項3の発明]
請求項3の構成によれば、ウェーブジェネレータの楕円の長軸方向で、剛性内歯歯車と可撓性外歯歯車との噛合により外側に押し出されたグリスは、剛性内歯歯車の両端面に固定された1対のサイドプレートから抵抗を受けつつ、1対のサイドプレートと可撓性外歯歯車の両端面との間へと流動するので、比較的ちょう度の大きいグリスでも十分に振動及び振動音を低減することができる。
また、ウェーブジェネレータの回転により噛合位置が周方向に移動し、噛合状態にあった剛性内歯歯車と可撓性外歯歯車とが徐々に離れていく過程で、外側に押し出されていたグリスが再び剛性内歯歯車と可撓性外歯歯車との間に引き戻される。これにより、剛性内歯歯車と可撓性外歯歯車との間に長期に亘ってグリスを保持することができる。
このように本発明によれば、グリスにより十分に振動を低減しかつ、その低減効果を長期に亘って持続させることが可能である。また、グリス切れが防止されるので、波動歯車減速機の耐久性を向上することができる。
ここで、クリアランスをaとし、ウェーブジェネレータの楕円の長軸方向における可撓性外歯歯車の歯底径とサイドプレートの内径との差をbとした場合に、
0.5a>(b/2)
、の関係式が成立する構成では、噛合部位から押し出されたグリスがサイドプレートから受ける抵抗が小さくなるため、振動の低減効果が小さくなる。一方、
1.5a<(b/2)
、の関係式が成立する構成では、噛合部位から押し出されたグリスが、可撓性外歯歯車の内周面側に入り込んだりウェーブジェネレータと連れ回りして、剛性内歯歯車と可撓性外歯歯車との間に戻り難くなる。
従って、比較的ちょう度の大きいグリスによって良好な振動の低減効果を長期に亘って持続させるには、
0.5a≦(b/2)≦1.5a
、の関係式を満たすように構成する必要がある。
[請求項4の発明]
請求項4の伝達比可変操舵装置は、上記した請求項2の発明に係る波動歯車減速機を備えているので、操舵フィーリングが向上すると共に、波動歯車減速機が車室内に搭載された場合でも高い静粛性を得ることができる。
以下、本発明に係る一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。図1に示すように、車両10のうち1対の前輪11,11(本発明に係る「転舵輪」に相当する)の間にはラック12が差し渡され、そのラック12の両端部がタイロッド13,13を介して各前輪11,11に連結されている。また、ラック12は、車両本体14に固定されたラックケース12Cに直動可能に収容され、そのラックケース12Cの中間部に備えたピニオン15と噛合している。
ピニオン15とハンドル16とは、ステアリングシャフト17によって連結されている。そのステアリングシャフト17は、ハンドル16側の第1ステアリングシャフト18と、ピニオン15側の第2ステアリングシャフト19とからなる。それら第1と第2のステアリングシャフト18,19の間に、本発明に係る伝達比可変操舵装置20が取り付けられている。伝達比可変操舵装置20は、図示しないエンジンルームと車室とを区画するコラム14Cより車室側に配置されている。
図2には、伝達比可変操舵装置20の詳細構造が示されている。同図に示すように、伝達比可変操舵装置20は、第1ステアリングシャフト18に連結された円筒ハウジング21(本発明の「入力ハウジング」に相当する)を備え、その円筒ハウジング21の内部にモータ25と波動歯車減速機30とが収容されている。また、円筒ハウジング21の上端部には、円環状のケーブルケース22が設けられ、このケーブルケース22内には、渦巻き状に巻回されたスパイラルケーブル23が収容されている。そして、スパイラルケーブル23の一端が端子金具23Tを介してモータ25に接続され、他端がケーブルケース22の外面に備えた図示しないコネクタを介して操舵制御装置60(図1参照)に接続されている。
図2に示すように、モータ25のステータ25Sは、円筒ハウジング21に固定され、そのステータ25Sの下端面から下方にロータ25Rが突出している。そして、そのロータ25Rが波動歯車減速機30に連結されている。
図3に示すように、波動歯車減速機30は、本発明の「サブ剛性内歯歯車」に相当する第1のサーキュラスプライン31と、本発明の「剛性内歯歯車」に相当する第2のサーキュラスプライン32とを同軸上に隣り合わせにして備えている。第1及び第2の両サーキュラスプライン31,32の内周面には複数の内歯がそれぞれ形成され、それらの歯数は、第1のサーキュラスプライン31より第2のサーキュラスプライン32の方が、1つ又は2つだけ少なくなっている。なお、第1と第2の両サーキュラスプライン31,32の歯底径及び歯先径は略同一になっている。また両サーキュラスプライン31,32の歯先の歯幅(歯すじ)方向で互いに近い側の端面はテーパ状に面取りされている。
第1のサーキュラスプライン31は、ステータ25Sの下端面に隣接配置され、円筒ハウジング21の内周面に圧入固定されている。一方、第2のサーキュラスプライン32は、第1のサーキュラスプライン31の下方に配置され、円筒ハウジング21の内周面に設けたメタル軸受32Jに回転可能に軸支されている。また、第2のサーキュラスプライン32の下面は、出力シャフト24の上端部に備えたフランジ24Fに連結され、その出力シャフト24の下端部が第2ステアリングシャフト19(図1参照)に連結されている。
図3に示すように、第1及び第2の両サーキュラスプライン31,32の内側には、本発明の「可撓性外歯歯車」に相当するフレクスプライン33が配置されている。フレクスプライン33は、両サーキュラスプライン31,32に比べて可撓性が高い材料で円筒状に形成されて、第1及び第2の両サーキュラスプライン31,32に跨って延びている。
フレクスプライン33の外周面には、第1のサーキュラスプライン31の内歯と同数の複数の外歯が形成されている。また、フレクスプライン33の外歯のうち歯幅方向における半分は第1のサーキュラスプライン31の内歯に対向する一方、残りの半分は第2のサーキュラスプライン32の内歯に対向している。そして、フレクスプライン33はその内側に備えたウェーブジェネレータ50により楕円形状に変形され、その楕円の長軸線上における2箇所でフレクスプライン33の外歯と、第1及び第2の両サーキュラスプライン31,32の内歯とが噛合している。なお、フレクスプライン33の歯先の歯幅方向の両端面はテーパ状に面取りされている。
ウェーブジェネレータ50は、楕円形剛性カム35の外側に可撓性ベアリング34を嵌合してなる。楕円形剛性カム35は、図4に示すように、円形に近い楕円形状になっている。なお、図4においてL1は、楕円形の長軸であり、L2は楕円形の短軸であり、L3は、フレクスプライン33が内接する真円である。楕円形剛性カム35の中心部には貫通孔35Aが形成され、その貫通孔35Aの内面には、一般的な回り止め用のスプライン35Sが形成されている。また、図3に示したモータ25のロータ25Rに固定された連結盤25Tの外周面にもスプライン(図示せず)が形成されている。そして、連結盤25Tを貫通孔35A内に嵌合して、ロータ25Rと楕円形剛性カム35とが一体回転可能に連結されている。
可撓性ベアリング34は、楕円形剛性カム35に比べて可撓性が高い材料で構成されたアウターリング40とインナーリング41とを有している。そして、それらアウターリング40とインナーリング41との間には、複数のベアリングボール42と共に、それら複数のベアリングボール42を周方向で均等配置した状態に保持するためのリテーナ43(図3参照)が収容されている。
インナーリング41は、楕円形剛性カム35の外周面に嵌合される一方、アウターリング40は、フレクスプライン33の内周面に嵌合されている。これにより、インナーリング41、アウターリング40及びフレクスプライン33がそれぞれ楕円形剛性カム35にほぼ相似した楕円形に変形している。
図3に示すように、可撓性ベアリング34の両側部には楕円プレート37,37が設けられている。楕円プレート37,37は、全体が楕円形剛性カム35に相似した楕円形状になっている。また、楕円プレート37,37及び楕円形剛性カム35には、それらを重ねた状態で軸方向に貫通した貫通孔36Aが形成されている。そして、両楕円プレート37,37と楕円形剛性カム35の楕円形の長軸同士を一致させた状態にして貫通孔36Aにリベット36を挿通し、それらリベット36をかしめて楕円プレート37,37が楕円形剛性カム35に固定されている。
また、本実施形態では、図3に示すように、可撓性ベアリング34のインナーリング41及びアウターリング40が、楕円形剛性カム35と略同一の幅(軸長)になっており、フレクスプライン33が、アウターリング40より両側方に幅広になっている。
これに対し、楕円プレート37,37は全体として平板状をなしており、楕円形剛性カム35の側面とインナーリング41の側面とに密着すると共に、アウターリング40の近傍まで延びている。これにより、インナーリング41が楕円プレート37,37の間に挟まれて楕円形剛性カム35に対して軸方向で固定されている。また、リテーナ43が楕円プレート37,37によって可撓性ベアリング34内に抜け止めされている。なお、楕円プレート37,37は、フレクスプライン33の内周面とアウターリング40及びリテーナ43に対して非接触となっている。
図3に示すように、連結盤25Tには、楕円形剛性カム35の幅と同一幅で大径部25T1が形成され、その大径部25T1の両端が段付き状に縮径した小径部25T2,25T2になっている。これに対し、各楕円プレート37の中心部には中心孔37Gが形成され、各楕円プレート37における中心孔37Gの開口縁が、連結盤25Tの両端部に備えた段差部に当接している。これにより、両楕円プレート37,37が連結盤25Tを軸方向で挟んで楕円形剛性カム35に抜け止めしている。
そして、楕円形剛性カム35がモータ25によって回転駆動されると、アウターリング40及びフレクスプライン33において楕円形の長軸が周方向で移動し、これに伴ってフレクスプライン33と両サーキュラスプライン31,32との噛合位置が周方向で移動していく。これにより、楕円形剛性カム35が1回転したときに、第2のサーキュラスプライン32が第1のサーキュラスプライン31に対して歯数の相違分だけ差動し、出力シャフト24が円筒ハウジング21に対して相対回転する。
その相対回転角度は、モータ25の回転角によって変更され、そのモータ25は、操舵制御装置60(図1参照)によって駆動制御されている。具体的には、操舵制御装置60は、図1に示すように、操舵角センサ61にて検出したハンドル16の操舵角と、車速センサ62にて検出した車速とを取り込み、伝達比可変操舵装置20が第1ステアリングシャフト18から第2ステアリングシャフト19に伝達する伝達比を決定する。そして、決定された伝達比と第1ステアリングシャフト18から伝達比可変操舵装置20に入力される入力操舵角とに基づいて、伝達比可変操舵装置20が第2ステアリングシャフト19に出力する出力操舵角を演算して、その出力操舵角に応じて操舵制御装置60がモータ25を駆動制御する。
ところで、本実施形態の波動歯車減速機30のうち、フレクスプライン33と両サーキュラスプライン31,32との間には、比較的ちょう度の大きい(低粘度の)グリスが使用されている。より具体的には、JIS K2220に規定されたちょう度番号で00号〜2号或いは、常温における動粘度が1000cSt以下のグリスが使用されている。
また、図3に示すように、両サーキュラスプライン31,32の各外側端面、即ち、第1のサーキュラスプライン31の上端面と、第2のサーキュラスプライン32の下端面とには、それぞれサイドプレート70,70が固定されている。両サイドプレート70,70は、両サーキュラスプライン31,32の歯先径よりも小径な内径R2(図5参照)を有した円板状をなしており、両サーキュラスプライン31,32の歯先側に形成された段差部に嵌合固定されている。
図5に示すように、ウェーブジェネレータ50の楕円の長軸方向、即ち、両サーキュラスプライン31,32とフレクスプライン33との噛合部位において、両サイドプレート70,70とフレクスプライン33の軸方向(歯幅方向)の両端面とは、クリアランスaを介して対向している。
また、比較的ちょう度の大きいグリスによって十分に振動を低減しかつ、そのグリスを両サーキュラスプライン31,32とフレクスプライン33との間に長期に亘って保持するために、クリアランスaと、ウェーブジェネレータ50の楕円の長軸方向におけるフレクスプライン33の歯底径R1とサイドプレート70,70の内径R2との差bとは、
0.5a≦(b/2)≦1.5a ・・・(1)
上記関係式(1)を満たす範囲でグリスのちょう度に応じて設定されている。
具体的には、グリスのちょう度が小さく(高粘度に)なるに従って、
(b/2)=0.5a
、に近づくように設定され、グリスのちょう度が大きく(低粘度に)なるに従って、
(b/2)=1.5a
、に近づくように設定される。
なお、本実施形態では、ウェーブジェネレータ50の楕円の短軸方向におけるフレクスプライン33の歯先径は、サイドプレート70,70の内径R2以上となるように構成されている(図6(B)参照)。
本実施形態の構成に関する説明は以上である。次に本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態の波動歯車減速機30では、上述したようにフレクスプライン33と可撓性ベアリング34のアウターリング40とが、ウェーブジェネレータ50、即ち、楕円形剛性カム35の楕円形状に相似した楕円形に変形する。そして、楕円形剛性カム35がモータ25により回転駆動されると、アウターリング40及びフレクスプライン33における楕円形の長軸位置が回転し、これに伴ってフレクスプライン33と両サーキュラスプライン31,32との噛合位置が周方向で移動していく。これにより、両サーキュラスプライン31,32とが歯数の相違分だけ差動する。
さて、楕円形剛性カム35の長軸方向において、両サーキュラスプライン31,32とフレクスプライン33とが噛合すると、図6(A)の矢印で示したように、フレクスプライン33の両端面側にグリスが押し出される。このとき、グリスはサイドプレート70,70から抵抗を受けつつ押し出されるのでダンピング効果が増大し、ちょう度番号00号〜2号のような、比較的ちょう度の大きい(低粘度の)グリスであっても、十分に振動及び振動音を低減することができる。
また、楕円形剛性カム35の回転により噛合位置が周方向に移動し、噛合状態にあった両サーキュラスプライン31,32とフレクスプライン33とが徐々に離れていく過程で、フレクスプライン33の両端面側に押し出されていたグリスが、図6(B)の矢印で示すように両サーキュラスプライン31,32とフレクスプライン33との間に引き戻される。これは、噛合状態にあった両サーキュラスプライン31,32とフレクスプライン33との間に隙間ができることにより、グリスに対して吸引力が働くからであると推測される。これにより、両サーキュラスプライン31,32とフレクスプライン33との間に長期に亘ってグリスを保持することができる。
即ち、本実施形態の波動歯車減速機30によれば、グリスによって振動及び振動音を十分に低減しかつ、その低減効果を長期に亘って持続させることが可能である。また、グリス切れが防止されるので、波動歯車減速機30の耐久性を向上することができる。また、この波動歯車減速機30を備えた伝達比可変操舵装置20によれば、波動歯車減速機30における振動及び振動音の発生自体を抑えることができるから、操舵フィーリングが向上すると共に、波動歯車減速機30が車室内に配置された場合でも高い静粛性を得ることができる。
なお、クリアランスaと、歯底径R1と内径R2との差bとが、上記関係式(1)を満たさない構成では、振動の低減効果とその持続性とのうちの何れかが十分に満たされない。即ち、
0.5a>(b/2)
上記関係式を満たす構成では、噛合部位から押し出されたグリスがサイドプレート70,70から受ける抵抗が小さ過ぎて、振動を十分に低減することができない。一方、
1.5a<(b/2)
上記関係式を満たす構成では、噛合部位から押し出されたグリスがフレクスプライン33の内周面側に入り込んだり、ウェーブジェネレータ50と連れ回りして、両サーキュラスプライン31,32とフレクスプライン33との間に戻り難くなる。
従って、本実施形態のように比較的ちょう度の大きい(具体的には、ちょう度番号00号〜2号)グリスによって良好な振動の低減効果を長期に亘って持続させるには、上記関係式(1)を満たすように構成する必要がある。
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)前記実施形態では、第1及び第2のサーキュラスプライン31,32を備え、それら両サーキュラスプライン31の外側端面に1対のサイドプレート70,70を固定していたが、図7に示すように、フレクスプライン33とは歯数が異なるサーキュラスプライン38を1つだけ備え、そのサーキュラスプライン38の両端面に1対のサイドプレート70,70を固定した構成でもよい。このような構成であっても、グリスによる振動及び振動音を十分に低減しかつ、その低減効果を長期に亘って持続させることが可能である。
本発明の一実施形態に係る車両の概念図 伝達比可変操舵装置の側断面図 波動歯車減速機の拡大側断面図 波動歯車減速機のウェーブジェネレータの正面図 波動歯車減速機をウェーブジェネレータの楕円の長軸で切断した側断面図 (A)波動歯車減速機の噛合部位における拡大側断面図、(B)波動歯車減速機の非噛合部位における拡大側断面図 変形例に係る波動歯車減速機の側断面図
符号の説明
10 車両
11,11 前輪(転舵輪)
15 ピニオン
16 ハンドル
20 伝達比可変操舵装置
21 円筒ハウジング(入力ハウジング)
24 出力シャフト
25 モータ
30 波動歯車減速機
31 第1のサーキュラスプライン(サブ剛性内歯歯車)
32 第2のサーキュラスプライン(剛性内歯歯車)
33 フレクスプライン(可撓性外歯歯車)
38 サーキュラスプライン(剛性内歯歯車)
50 ウェーブジェネレータ
60 操舵制御装置
70,70 サイドプレート
R1 フレクスプラインの歯底径
R2 サイドプレートの内径

Claims (4)

  1. 剛性内歯歯車と、その剛性内歯歯車と同軸上かつ隣り合わせに配置されて、前記剛性内歯歯車と歯数が異なるサブ剛性内歯歯車と、前記剛性内歯歯車及び前記サブ剛性内歯歯車の内側に配置されかつ前記剛性内歯歯車と歯数が異なる可撓性外歯歯車と、さらにその内側に嵌合されて前記可撓性外歯歯車を楕円形に変形させるウェーブジェネレータとを備え、
    前記可撓性外歯歯車が前記剛性内歯歯車及び前記サブ剛性内歯歯車に対して部分的に噛合し、それらの噛合位置を前記ウェーブジェネレータの回転により周方向に移動して、前記剛性内歯歯車を前記サブ剛性内歯歯車に対して差動させることが可能な波動歯車減速機において、
    前記剛性内歯歯車及び前記サブ剛性内歯歯車の歯先径よりも小径な内径を有した円板状をなし、前記剛性内歯歯車及び前記サブ剛性内歯歯車の各外側端面にそれぞれ固定されかつ前記可撓性外歯歯車の両端面にクリアランスを介して対向した1対のサイドプレートとを備え、
    前記クリアランスをaとし、
    前記ウェーブジェネレータの楕円の長軸方向における前記可撓性外歯歯車の歯底径と前記サイドプレートの内径との差をbとした場合に、
    0.5a≦(b/2)≦1.5a
    、の関係式を満たすように構成したことを特徴とする波動歯車減速機。
  2. 前記剛性内歯歯車及び前記サブ剛性内歯歯車と前記可撓性外歯歯車との間に使用するグリスのちょう度を、JIS K2220のちょう度番号00号〜2号としたことを特徴とする請求項1に記載の波動歯車減速機。
  3. 剛性内歯歯車と、その内側に配置されかつ前記剛性内歯歯車と歯数が異なる可撓性外歯歯車と、さらにその内側に嵌合されて前記可撓性外歯歯車を楕円形に変形させるウェーブジェネレータとを備え、
    前記可撓性外歯歯車が前記剛性内歯歯車に対して部分的に噛合し、それらの噛合位置を前記ウェーブジェネレータの回転により周方向に移動して前記可撓性外歯歯車と前記剛性内歯歯車とを差動させることが可能な波動歯車減速機において、
    前記剛性内歯歯車の歯先径よりも小径な内径を有した円板状をなし、前記剛性内歯歯車の両端面に固定されかつ前記可撓性外歯歯車の両端面にクリアランスを介して対向した1対のサイドプレートを備え、
    前記クリアランスをaとし、
    前記ウェーブジェネレータの楕円の長軸方向における前記可撓性外歯歯車の歯底径と前記サイドプレートの内径との差をbとした場合に、
    0.5a≦(b/2)≦1.5a
    、の関係式を満たすように構成したことを特徴とする波動歯車減速機。
  4. 請求項2に記載の波動歯車減速機と、
    前記剛性内歯歯車又は前記サブ剛性内歯歯車の一方に固定されかつ車両のハンドルに連結された入力ハウジングと、
    前記剛性内歯歯車又は前記サブ剛性内歯歯車の他方に固定されかつ前記車両の転舵輪にラックアンドピニオン機構を介して連結された出力軸と、
    前記入力ハウジング及び前記出力軸と同軸上に回転軸が配置され、前記ウェーブジェネレータを回転駆動するためのモータとを備え、
    前記ハンドルから前記ラックアンドピニオン機構のピニオンへの操舵角の伝達比を車速に応じて変更することを特徴とする伝達比可変操舵装置。
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