JP2009133300A - バルブタイミング調整装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】応答性が高く、高精度に従動軸の位相の制御が可能なバルブタイミング調整装置を提供する。
【解決手段】ベーンロータ50は、ボス部51とボス部51に一体に設けられるベーンとからなり、ハウジング11に形成された収容室35に収容されている。ベーン52に形成される孔55には、ハウジング11に対するベーンロータ50の相対回転を規制するストッパピストン80が往復移動可能に設けられている。ハウジング11の側壁としてのフロントプレート20には、ストッパピストン80の一端が嵌合可能な嵌合孔23、および大気に連通する大気通孔24が形成されている。嵌合孔23は、大気通孔24を経由して大気に連通している。そして、ストッパピストン80の一端が嵌合孔23に嵌合すると、ハウジング11に対するベーンロータ50の相対回転が規制される。
【選択図】図1
【解決手段】ベーンロータ50は、ボス部51とボス部51に一体に設けられるベーンとからなり、ハウジング11に形成された収容室35に収容されている。ベーン52に形成される孔55には、ハウジング11に対するベーンロータ50の相対回転を規制するストッパピストン80が往復移動可能に設けられている。ハウジング11の側壁としてのフロントプレート20には、ストッパピストン80の一端が嵌合可能な嵌合孔23、および大気に連通する大気通孔24が形成されている。嵌合孔23は、大気通孔24を経由して大気に連通している。そして、ストッパピストン80の一端が嵌合孔23に嵌合すると、ハウジング11に対するベーンロータ50の相対回転が規制される。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関(以下、「内燃機関」をエンジンという)の吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方の開閉タイミングを運転条件に応じて変更するためのバルブタイミング調整装置に関する。
従来、エンジンのクランクシャフトと同期回転するハウジングのタイミングプーリやチェーンスプロケットを介してカムシャフトを駆動し、圧力室としての進角油圧室および遅角油圧室に流入出する作動油の圧力によりクランクシャフトとカムシャフトとの位相差を制御するベーン式のバルブタイミング調整装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このようなベーン式のバルブタイミング調整装置では、通常、エンジン始動時、ベーンロータに設けられたストッパピストンがハウジングに形成された嵌合孔に嵌合しているため、ベーンロータのハウジングに対する相対回転が規制されている。これにより、エンジン始動直後におけるクランクシャフトからカムシャフトへの駆動力の安定した伝達、およびベーンロータとハウジングとの相対的な回転振動によって生じる打音の防止を図っている。
ところで、予期せぬエンジン停止時など、ストッパピストンがハウジングの嵌合孔に嵌合していない状態で運転を終了することがある。この場合、次の運転におけるエンジン再始動時、カムシャフトの変動トルクを利用してベーンロータを揺動させることによってストッパピストンをハウジングの嵌合孔に嵌合させ、ベーンロータのハウジングに対する相対回転を規制する必要がある。
従来のバルブタイミング調整装置では、通常、ハウジングの嵌合孔は作動油で満たされている。そのため、ストッパピストンが嵌合孔に嵌合するとき、ストッパピストンは嵌合孔内の作動油を油路側へ押し戻す。しかしながら、ストッパピストンの先端部の径が油路径に比べて大きい場合、ストッパピストンの嵌合時に作動油を押し戻すための圧力の損失が大きくなり、ストッパピストンの応答速度が低下する。例えば特許文献1に示されるような先端部の径が大きなストッパピストンの場合、特にエンジン始動時など作動油の粘度が増す低温時においてはストッパピストンの応答性が著しく悪化するおそれがある。
特開2003−201810号公報
そこで、本発明の目的は、応答性が高く、高精度に従動軸の位相の制御が可能なバルブタイミング調整装置を提供することにある。
請求項1記載の発明では、ベーンロータは、ベーン支持部とベーン支持部に一体に設けられるベーン部材とからなり、ハウジングに形成された収容室に収容されている。ベーン部材に形成される軸方向孔には、ハウジングに対するベーン部材の相対回転を規制する規制部材が往復移動可能に設けられている。ハウジングの側壁の一方には、規制部材の一端が嵌合可能な嵌合孔、および大気に連通する大気通孔が形成されている。嵌合孔は、大気通孔を経由して大気に連通している。そして、規制部材の一端が嵌合孔に嵌合すると、ハウジングに対するベーン部材すなわちベーンロータの相対回転が規制される。本発明の場合、嵌合孔が大気通孔を通じて大気開放され、嵌合孔内は作動油がない状態となっている。そのため、規制部材が嵌合孔に嵌合するとき、嵌合孔が大気開放されていない場合のように嵌合孔内の作動油を油路側へ押し戻す必要がなく、規制部材を嵌合孔に容易に嵌合させることができる。その結果、規制部材の応答性を高めることができ、ハウジングに対するベーンロータの相対回転を規制部材によって容易かつ高精度に規制することができる。したがって、バルブタイミング調整装置の応答性を高めることができ、高精度に従動軸の位相を制御することができる。
請求項2記載の発明では、大気通孔の径は、規制部材の嵌合孔に嵌合する側の端部の径、すなわち嵌合孔の径よりも小さく形成されている。これにより、大気通孔と嵌合孔との間に環状の段差面が形成されている。規制部材が嵌合孔に嵌合するとき、規制部材は、前記段差面に当接することによって、大気通孔を通じてハウジングの外部へ飛び出すことが規制される。したがって、嵌合孔を大気開放するために大気通孔を形成しても、大気通孔を通じた規制部材の飛び出しを防止することができる。
規制部材が往復移動可能に設けられている軸方向孔のうち、規制部材の嵌合孔に嵌合する側とは反対の端部とハウジングの側壁との間に形成される空間が閉塞されている場合、規制部材が嵌合孔に嵌合する方向に移動するとき、前記空間は、容積が拡大することにより圧力が低下する。そのため、規制部材は、嵌合孔に嵌合する方向に移動しにくくなる。一方、規制部材が嵌合孔から抜け出る方向へ移動するとき、前記空間は、容積が減少することにより圧力が増大する。そのため、規制部材は、嵌合孔から抜け出る方向へ移動しにくくなる。このように、前記空間が閉塞されていると、規制部材の円滑な往復移動が妨げられるおそれがある。
そこで、請求項3記載の発明では、ハウジングの側壁の他方、すなわち大気通孔が形成された側壁とは反対側の側壁に、大気に連通する排圧孔が形成されている。そして、軸方向孔は排圧孔を経由して大気に連通している。そのため、規制部材が軸方向孔の内側で往復移動しても、前記空間の圧力は大気圧と同等の圧力に維持される。これにより、規制部材は円滑に往復移動することができる。また、本発明では、軸方向孔は、ベーン部材が所定の角度範囲でハウジングに対し相対回転駆動されるとき、ベーン部材がいずれの位置にあっても、排圧孔を経由して大気に連通している。そのため、ベーン部材がいずれの位置にあっても、規制部材は円滑に往復移動することができる。したがって、規制部材の応答性をより高めることができ、ハウジングに対するベーンロータの相対回転を規制部材によって容易かつ高精度に規制することができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるバルブタイミング調整装置を図1〜5に示す。バルブタイミング調整装置10は、作動流体として作動油を用いる油圧制御式であり、吸気弁のバルブタイミングを調整する。
本発明の第1実施形態によるバルブタイミング調整装置を図1〜5に示す。バルブタイミング調整装置10は、作動流体として作動油を用いる油圧制御式であり、吸気弁のバルブタイミングを調整する。
図1に示すように、バルブタイミング調整装置10は、ハウジング11およびベーンロータ50などを備えている。ハウジング11は、側壁としてのフロントプレート20、周壁としてのシューハウジング30および側壁としてのチェーンスプロケット40を有している。フロントプレート20、シューハウジング30およびチェーンスプロケット40は、ボルト12によって同軸上に固定されている。これにより、シューハウジング30の軸方向両端にフロントプレート20およびチェーンスプロケット40が接続し、シューハウジング30、フロントプレート20およびチェーンスプロケット40によって収容室35が形成されている。チェーンスプロケット40は、図示しないチェーンにより図示しないエンジンの駆動軸としてのクランクシャフトと結合して駆動力が伝達され、クランクシャフトと同期して回転する。
従動軸としてのカムシャフト70は、ハウジング11を経由してクランクシャフトの駆動力が伝達される。カムシャフト70は、図示しない吸気弁を開閉駆動する。カムシャフト70は、チェーンスプロケット40に対し所定の位相差をおいて回転可能にチェーンスプロケット40に挿入されている。
ベーンロータ50は、収容室35に収容され、カムシャフト70の回転軸方向端面と接している。カムシャフト70およびベーンロータ50は、ボルト13により同軸上に固定されている。ベーンロータ50とカムシャフト70との回転方向の位置決めは、ベーンロータ50およびカムシャフト70に位置決めピン14をはめ込むことにより行われる。このような構成により、ベーンロータ50およびカムシャフト70は、ハウジング11に対して同軸に相対回転可能である。カムシャフト70、ハウジング11およびベーンロータ50は、図1に示す矢印Z方向から見て時計方向へ回転する。以下、この回転方向をクランクシャフトに対するカムシャフト70の進角方向とする。
図2に示すように、ハウジング11のシューハウジング30は、筒状の筒部31と、筒部31から径内方向へ延びるシュー32、33、34とを有している。シュー32、33、34は、略台形状に形成され、筒部31の回転方向にほぼ等間隔に配置されている。
ベーンロータ50は、ベーン支持部としてのボス部51と、ボス部51の外周側に回転方向へほぼ等間隔に配置されたベーン部材としてのベーン52、53、54とを有している。ベーン52、53、54は、ボス部51と一体に形成されている。ベーンロータ50は、ハウジング11に対し相対回転可能に収容室35に収容されている。ベーン52、53、54は、収容室35においてシュー32、33、34により回転方向に所定角度範囲で三箇所に形成されたベーン収容室351に、それぞれ回転可能に収容されている。
ベーンロータ50は、ベーン支持部としてのボス部51と、ボス部51の外周側に回転方向へほぼ等間隔に配置されたベーン部材としてのベーン52、53、54とを有している。ベーン52、53、54は、ボス部51と一体に形成されている。ベーンロータ50は、ハウジング11に対し相対回転可能に収容室35に収容されている。ベーン52、53、54は、収容室35においてシュー32、33、34により回転方向に所定角度範囲で三箇所に形成されたベーン収容室351に、それぞれ回転可能に収容されている。
ベーン52、53、54は、各ベーン収容室351を圧力室としての遅角油圧室と進角油圧室とに仕切っている。すなわち、シュー32とベーン52との間に遅角油圧室301が形成され、シュー33とベーン53との間に遅角油圧室302が形成され、シュー34とベーン54との間に遅角油圧室303が形成されている。また、シュー34とベーン52との間に進角油圧室311が形成され、シュー32とベーン53との間に進角油圧室312が形成され、シュー33とベーン54との間に進角油圧室313が形成されている。
シール部材15は、半径方向に向き合うシュー32、33、34とボス部51との間、ならびにベーン52、53、54とシューハウジング30の筒部31との間に配設されている。シール部材15は、シュー32、33、34の先端、およびベーン52、53、54の反ボス部51側端部に設けた溝にはめ込まれており、例えばばねなどによりボス部51の外周壁および筒部31の内周壁に向けて押し付けられている。この構成により、シール部材15は各遅角油圧室と各進角油圧室とを液密に保持し、各遅角油圧室と各進角油圧室との間に作動油が漏れることを防止している。
図1に示すように、ベーンロータ50は、ベーン52を軸方向に貫く軸方向孔としての孔55を有している。孔55には、規制部材としてのストッパピストン80、およびスプリング81が収容されている。ストッパピストン80は、略円筒状に形成され、孔55に軸方向へ往復移動可能に収容されている。スプリング81は、軸方向の一方の端部がチェーンスプロケット40に接し、他方の端部がストッパピストン80に接している。スプリング81は、軸方向へ伸びる力を有している。これにより、スプリング81は、ストッパピストン80をフロントプレート20側へ付勢している。
フロントプレート20のベーンロータ50側端面に形成された凹溝部21には、嵌合リング22が圧入保持されている。凹溝部21は、ベーンロータ50がハウジング11に対して相対回転するときにベーン52がとり得る最遅角位置と最進角位置との略中間位置に形成されている。嵌合リング22は、略円筒状に形成されている。嵌合リング22の略中心には、嵌合リング22を軸方向に貫く嵌合孔23が形成されている。すなわち、嵌合孔23は、ベーンロータ50がハウジング11に対して相対回転するときにベーン52がとり得る最遅角位置と最進角位置との略中間位置に形成されている。ストッパピストン80は、一端が嵌合孔23に嵌まり込むことにより嵌合リング22に嵌合可能である。
ストッパピストン80および嵌合リング22の嵌合側は、テーパ状に形成されている。そのため、ストッパピストン80は、嵌合リング22に滑らかに嵌合する。ストッパピストン80の外周に形成された油圧室82に供給される作動油の圧力は、嵌合リング22からストッパピストン80が抜け出す方向へ働く。ストッパピストン80は、油圧室82から受ける力とスプリング81の付勢力とのバランスにより、嵌合リング22に嵌合したり嵌合リング22から抜け出たりする。
凹溝部21には、フロントプレート20を板厚方向へ貫く大気通孔24が形成されている。これにより、嵌合リング22の嵌合孔23は、ベーン52とは反対側の端部が大気通孔24を経由して大気に連通している。すなわち、嵌合孔23は、大気開放されている。なお、嵌合孔23のベーン52側の端部は、収容室35に連通している。
図3に示すように、大気通孔24の径w1は、ストッパピストン80の嵌合孔23に嵌合する側の端部の径w2、すなわち嵌合孔23の径よりも小さく形成されている。これにより、大気通孔24と嵌合孔23との間には、環状の段差面25が形成されている。そのため、ストッパピストン80が嵌合孔23に嵌合する方向に移動するとき、ストッパピストン80は、段差面25に当接する。
図2および図3に示すように、チェーンスプロケット40のベーンロータ50側端面には、長溝部42が形成されている。長溝部42は、略円弧形状かつ所定の深さdで形成されている。長溝部42には、チェーンスプロケット40を板厚方向へ貫く排圧孔41が形成されている。これにより、ベーン52に形成された孔55は、長溝部42および排圧孔41を経由して大気に連通している。
長溝部42は、略円弧形状に形成されているため、図4に示すようにベーン52が最遅角位置にあっても孔55に連通している。また、長溝部24は、図5に示すようにベーン52が最進角位置にあっても孔55に連通している。すなわち、孔55は、ベーン52が最遅角位置から最進角位置までの所定の角度範囲でハウジング11に対して相対回転駆動されるとき、ベーン52がいずれの位置にあっても、長溝部42および排圧孔41を経由して大気に連通している。なお、図2、図4および図5においては、便宜上、フロントプレート20に設けられた嵌合孔23および大気通孔24を二点鎖線で示している。
上述のように、嵌合孔23は、ベーンロータ50がハウジング11に対して相対回転するときにベーン52がとり得る最遅角位置と最進角位置との略中間位置に形成されている。つまり、嵌合孔23は、ベーン52の可動範囲内に位置する。また、長溝部42も、ベーン52の可動範囲内に位置するように形成されている。そのため、ベーンロータ50がハウジング11に対して相対回転することにより、ベーン52が図4に示す最遅角位置と図5に示す最進角位置との間を移動しても、嵌合孔23および長溝部42は常にベーン52の外壁の内側に位置している。
図1に示すように、ベーンロータ50のフロントプレート20側の端面56、すなわちベーン52のフロントプレート20側の端面は、フロントプレート20に対して液密に摺動可能に接している。そのため、遅角油圧室301または進角油圧室311と嵌合孔23とが連通することはなく、遅角油圧室301または進角油圧室311から嵌合孔23および大気通孔24を通じた大気側への作動油の漏れは低減される。
また、同様にベーンロータ50のチェーンスプロケット40側の端面57、すなわちベーン52のチェーンスプロケット40側の端面は、チェーンスプロケット40に対して液密に摺動可能に接している。そのため、遅角油圧室301または進角油圧室311と長溝部42とが連通することはなく、遅角油圧室301または進角油圧室311から長溝部42および排圧孔41を通じた大気側への作動油の漏れは低減される。
また、同様にベーンロータ50のチェーンスプロケット40側の端面57、すなわちベーン52のチェーンスプロケット40側の端面は、チェーンスプロケット40に対して液密に摺動可能に接している。そのため、遅角油圧室301または進角油圧室311と長溝部42とが連通することはなく、遅角油圧室301または進角油圧室311から長溝部42および排圧孔41を通じた大気側への作動油の漏れは低減される。
図1に示すように、軸受16により回転を支持されているカムシャフト70の外周壁には、環状通路71、72、73が形成されている。カムシャフト70およびボス部51の内部には、通路821、三つの遅角通路305および三つの進角通路315が形成されている。通路821は環状通路71と接続し、遅角通路305は環状通路72と接続し、進角通路315は環状通路73と接続している。
図2に示すように、ベーンロータ50のボス部51の内部には通路822が形成されている。通路822は、通路821と油圧室82とを接続している。これにより、環状通路71と油圧室82とは、通路821、822を経由して連通する。また、ボス部51の内部には三つの遅角通路306が形成されている。そして、各遅角通路306は、遅角通路305と各遅角油圧室とを接続している。これにより、環状通路72と各遅角油圧室とは、遅角通路305、306を経由して連通する。さらに、ボス部51の内部には三つの進角通路316が形成されている。そして、各進角通路316は、進角通路315と各進角油圧室とを接続している。これにより、環状通路73と各進角油圧室とは、進角通路315、316を経由して連通する。
油圧室82は、通路822、821、環状通路71を経由して図示しないオイルポンプおよび図示しないオイルタンクに接続している。オイルポンプは、オイルタンクから汲み上げられた作動油を図示しない制御弁を介して油圧室82に供給する。油圧室82に作動油が供給されると、油圧室82の内圧が高まりストッパピストン80が嵌合リング22の嵌合孔23から抜け出す。これにより、ベーンロータ50は、フロントプレート20との連結が解除され、ハウジング11に対する相対的な回転が許容される。
油圧室82内の作動油が制御弁を介してオイルタンクへ排出されると、油圧室82の内圧が低下する。その結果、ストッパピストン80は、スプリング81の付勢力によりフロントプレート20側へ付勢される。
遅角油圧室301、302、303は、遅角通路306、305、環状通路72を経由してオイルポンプおよびオイルタンクに接続している。また、進角油圧室311、312、313は、進角通路316、315、環状通路73を経由してオイルポンプおよびオイルタンクに接続している。オイルポンプは、オイルタンクから汲み上げられた作動油を図示しない切換弁を介して遅角油圧室301、302、303または進角油圧室311、312、313に供給する。
遅角油圧室301、302、303は、遅角通路306、305、環状通路72を経由してオイルポンプおよびオイルタンクに接続している。また、進角油圧室311、312、313は、進角通路316、315、環状通路73を経由してオイルポンプおよびオイルタンクに接続している。オイルポンプは、オイルタンクから汲み上げられた作動油を図示しない切換弁を介して遅角油圧室301、302、303または進角油圧室311、312、313に供給する。
また、各遅角油圧室および各進角油圧室は、切換弁を介してオイルタンクに接続している。切換弁を切り換えることにより、各遅角油圧室または各進角油圧室の一方にオイルタンクから作動油が供給されるとともに、各遅角油圧室または各進角油圧室の他方からオイルタンクへ作動油が排出される。これにより、油圧バランスによってハウジング11に対するベーンロータ50の相対的な回転位置が変化し、図示しないクランクシャフトとカムシャフト70との位相が変更される。
次に、通常のエンジン始動時からエンジン停止時までにおける本実施形態の作動の一例について説明する。
図2に示すように、エンジン始動時、図示しないオイルポンプからの作動油は各遅角油圧室、各進角油圧室および油圧室82にまだ供給されておらず、ベーンロータ50はシューハウジング30に対して最遅角位置と最進角位置との略中間に位置した状態にある。この状態においてストッパピストン80は嵌合リング22の嵌合孔23に嵌合しているので、ベーンロータ50はフロントプレート20と連結されフロントプレート20に対する相対回転が規制されている。そのため、ベーンロータ50は、フロントプレート20すなわちハウジング11とともに回転する。ベーンロータ50がフロントプレート20に連結されていることによって、クランクシャフトからカムシャフト70に回転駆動力が安定して伝達される。また、カムシャフト70に正・負の変動トルクが生じてもベーンロータ50とハウジング11とは相対的な回転振動を発生することなく、打音の発生が防止される。
図2に示すように、エンジン始動時、図示しないオイルポンプからの作動油は各遅角油圧室、各進角油圧室および油圧室82にまだ供給されておらず、ベーンロータ50はシューハウジング30に対して最遅角位置と最進角位置との略中間に位置した状態にある。この状態においてストッパピストン80は嵌合リング22の嵌合孔23に嵌合しているので、ベーンロータ50はフロントプレート20と連結されフロントプレート20に対する相対回転が規制されている。そのため、ベーンロータ50は、フロントプレート20すなわちハウジング11とともに回転する。ベーンロータ50がフロントプレート20に連結されていることによって、クランクシャフトからカムシャフト70に回転駆動力が安定して伝達される。また、カムシャフト70に正・負の変動トルクが生じてもベーンロータ50とハウジング11とは相対的な回転振動を発生することなく、打音の発生が防止される。
エンジン通常運転中、図示しない制御弁を切り換えることにより、オイルポンプから油圧室82へ作動油が供給される。油圧室82へ作動油が供給され油圧室82の内圧が高まると、ストッパピストン80が嵌合リング22の嵌合孔23から抜け出る。ストッパピストン80が嵌合孔23から抜け出ると、ベーンロータ50はフロントプレート20との連結を解除され、シューハウジング30に対して最遅角位置から最進角位置の角度範囲内で相対回転自在となる。このとき、オイルポンプから遅角油圧室301、302、303へ作動油が供給されると、遅角油圧室301、302、303において圧力が高まった作動油は、ベーン52、53、54を遅角方向へ押圧する。これにより、ベーンロータ50は、遅角方向へ回転駆動される。また、オイルポンプから進角油圧室311、312、313へ作動油が供給されると、進角油圧室311、312、313において圧力が高まった作動油は、ベーン52、53、54を進角方向へ押圧する。これにより、ベーンロータ50は、進角方向へ回転駆動される。
このように、オイルポンプから各遅角油圧室または各進角油圧室へ供給される作動油によって、ベーンロータ50のハウジング11に対する相対回転が制御される。これにより、図示しないクランクシャフトとカムシャフト70との位相が変更される。
ストッパピストン80が略中間位置すなわち嵌合孔23が形成されている位置よりも進角側に位置している状態でエンジン停止が指示された場合、油圧室82から作動油が排出されるとともに各遅角油圧室に作動油が供給される。図示しない制御弁を切り換えることにより、油圧室82から作動油が排出されて油圧室82の内圧が低下し、ストッパピストン80はスプリング81の付勢力によってフロントプレート20側へ付勢される。この状態で各遅角油圧室に作動油が供給されることによりベーンロータ50は遅角方向へ回転し、ストッパピストン80は嵌合孔23に嵌合する。
ストッパピストン80が嵌合孔23が形成されている位置よりも遅角側に位置している状態でエンジン停止が指示された場合、油圧室82から作動油が排出されるとともに各進角油圧室に作動油が供給される。これにより、ベーンロータ50は進角方向へ回転し、ストッパピストン80は嵌合孔23に嵌合する。
通常、このようにストッパピストン80を嵌合孔23に嵌合させた状態、すなわちベーンロータ50のハウジング11に対する相対回転が規制された状態で運転を終了し、運転再開時に備える。
通常、このようにストッパピストン80を嵌合孔23に嵌合させた状態、すなわちベーンロータ50のハウジング11に対する相対回転が規制された状態で運転を終了し、運転再開時に備える。
次に、予期しないエンジン停止後の運転再開時における本実施形態の作動を説明する。
予期しないエンジン停止時など、ストッパピストン80が嵌合孔23に嵌合していない状態で運転を終了することがある。この場合、次の運転におけるエンジン再始動時、油圧室82内に作動油があるとこの作動油は排出される。これにより、ストッパピストン80は、スプリング81の付勢力によってフロントプレート20側へ付勢される。また、このとき、カムシャフト70には変動トルクが発生する。これにより、ベーンロータ50は、遅角方向、進角方向へ揺動する。ベーンロータ50が遅角方向、進角方向へ揺動することにより、フロントプレート20側へ付勢されているストッパピストン80は、嵌合孔23に嵌合する。その結果、ベーンロータ50は、フロントプレート20と連結されフロントプレート20すなわちハウジング11に対する相対回転が規制される。
予期しないエンジン停止時など、ストッパピストン80が嵌合孔23に嵌合していない状態で運転を終了することがある。この場合、次の運転におけるエンジン再始動時、油圧室82内に作動油があるとこの作動油は排出される。これにより、ストッパピストン80は、スプリング81の付勢力によってフロントプレート20側へ付勢される。また、このとき、カムシャフト70には変動トルクが発生する。これにより、ベーンロータ50は、遅角方向、進角方向へ揺動する。ベーンロータ50が遅角方向、進角方向へ揺動することにより、フロントプレート20側へ付勢されているストッパピストン80は、嵌合孔23に嵌合する。その結果、ベーンロータ50は、フロントプレート20と連結されフロントプレート20すなわちハウジング11に対する相対回転が規制される。
以上説明したように、本発明の第1実施形態では、嵌合孔23が大気通孔24を通じて大気開放され、嵌合孔23内は作動油がない状態となっている。そのため、ストッパピストン80が嵌合孔23に嵌合するとき、嵌合孔が大気開放されていない場合のように嵌合孔内の作動油を油路側へ押し戻す必要がなく、ストッパピストン80を嵌合孔23に容易に嵌合させることができる。その結果、ストッパピストン80の応答性を高めることができ、ハウジング11に対するベーンロータ50の相対回転をストッパピストン80によって容易かつ高精度に規制することができる。したがって、バルブタイミング調整装置10の応答性を高めることができ、高精度にカムシャフト70の位相を制御することができる。
本発明の第1実施形態の場合、エンジン始動時など作動油の粘度が高い低温時においても、ストッパピストン80の応答性が高い。したがって、予期しないエンジン停止後の運転再開時においても、ハウジング11に対するベーンロータ50の相対回転をストッパピストン80によって容易に規制することができる。
また、本発明の第1実施形態では、大気通孔24の径w1は、ストッパピストン80の嵌合孔23に嵌合する側の端部の径w2、すなわち嵌合孔23の径よりも小さく形成されている。これにより、大気通孔24と嵌合孔23との間に環状の段差面25が形成されている。ストッパピストン80が嵌合孔23に嵌合するとき、ストッパピストン80は、段差面25に当接することによって、大気通孔24を通じてハウジング11の外部へ飛び出すことが規制される。したがって、嵌合孔23を大気開放するために大気通孔24を形成しても、大気通孔24を通じたストッパピストン80の飛び出しを防止することができる。
また、本発明の第1実施形態では、大気通孔24の径w1は、ストッパピストン80の嵌合孔23に嵌合する側の端部の径w2、すなわち嵌合孔23の径よりも小さく形成されている。これにより、大気通孔24と嵌合孔23との間に環状の段差面25が形成されている。ストッパピストン80が嵌合孔23に嵌合するとき、ストッパピストン80は、段差面25に当接することによって、大気通孔24を通じてハウジング11の外部へ飛び出すことが規制される。したがって、嵌合孔23を大気開放するために大気通孔24を形成しても、大気通孔24を通じたストッパピストン80の飛び出しを防止することができる。
さらに、本発明の第1実施形態では、チェーンスプロケット40に、大気に連通する排圧孔41が形成されている。そして、ストッパピストン80が往復移動可能に設けられている孔55は、排圧孔41を経由して大気に連通している。そのため、ストッパピストン80が孔55の内側で往復移動しても、孔55のうちのストッパピストン80とチェーンスプロケット40との間の空間の圧力は大気圧と同等の圧力に維持される。これにより、ストッパピストン80は円滑に往復移動することができる。また、孔55は、ベーン52が所定の角度範囲でハウジング11に対し相対回転駆動されるとき、ベーン52がいずれの位置にあっても、長溝部42および排圧孔41を経由して大気に連通している。そのため、ベーン52がいずれの位置にあっても、ストッパピストン80は円滑に往復移動することができる。したがって、ストッパピストン80の応答性をより高めることができ、ハウジング11に対するベーンロータ50の相対回転をストッパピストン80によって容易かつ高精度に規制することができる。
(第1参考例)
本発明の第1参考例によるバルブタイミング調整装置を図6〜8に示す。なお、上述の第1実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。第1参考例は、ベーンロータ50の端面56および端面57に凹部とシール部とを有する点、およびチェーンスプロケット40に長溝部42を有しない点で、第1実施形態と異なる。
本発明の第1参考例によるバルブタイミング調整装置を図6〜8に示す。なお、上述の第1実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。第1参考例は、ベーンロータ50の端面56および端面57に凹部とシール部とを有する点、およびチェーンスプロケット40に長溝部42を有しない点で、第1実施形態と異なる。
図6および図7に示すように、ベーン52は、ベーンロータ50のフロントプレート20に対向する端面56に、凹部521およびシール部522を有している。凹部521は、端面56に凹溝523を形成することによって設けられている。シール部522は、ボス部51からベーン52の外壁に沿ってコ字状に延び、ボス部51とともに凹部521を囲んでいる。また、シール部522は、シール部材15の三方を囲んでいる。シール部522は、フロントプレート20と液密に摺動可能に接している。これにより、遅角油圧室301と進角油圧室311との間の作動油の漏れを低減している。
同様に、ベーン53、54は、端面56に、それぞれ凹部531およびシール部532、凹部541およびシール部542を有している。シール部532、542は、フロントプレート20と液密に摺動可能に接している。これにより、遅角油圧室302と進角油圧室312との間の作動油の漏れ、および遅角油圧室303と進角油圧室313との間の作動油の漏れを低減している。
図8に示すように、ベーン52は、ベーンロータ50のチェーンスプロケット40に対向する端面57に、凹部524およびシール部525を有している。凹部524は、端面57に凹溝526を形成することによって設けられている。シール部525は、ボス部51からベーン52の外壁に沿ってコ字状に延び、ボス部51とともに凹部524を囲んでいる。また、シール部525は、シール部材15の三方を囲んでいる。シール部525は、チェーンスプロケット40と液密に摺動可能に接している。これにより、遅角油圧室301と進角油圧室311との間の作動油の漏れを低減している。
同様に、ベーン53、54は、端面57に、それぞれ凹部534およびシール部535、凹部544およびシール部545を有している。シール部535、545は、チェーンスプロケット40と液密に摺動可能に接している。これにより、遅角油圧室302と進角油圧室312との間の作動油の漏れ、および遅角油圧室303と進角油圧室313との間の作動油の漏れを低減している。
本参考例では、第1実施形態と同様、嵌合孔23は大気通孔24を経由して大気に連通している。また、第1実施形態と異なりチェーンスプロケット40に長溝部は形成されていないものの、第1実施形態と同様にチェーンスプロケット40を板厚方向へ貫く排圧孔41が形成されている。ベーン52は端面57に凹部524を有しているため、排圧孔41は、ベーン52が最遅角位置または最進角位置のどちらにあっても凹部524を経由して孔55に連通している。すなわち、孔55は、ベーン52が最遅角位置から最進角位置までの所定の角度範囲でハウジング11に対して相対回転駆動されるとき、ベーン52がいずれの位置にあっても、凹部524および排圧孔41を経由して大気に連通している。
嵌合孔23および排圧孔41は、ベーンロータ50がハウジング11に対して相対回転するときにベーン52がとり得る最遅角位置と最進角位置との略中間位置に形成され、ベーン52が最遅角位置と最進角位置との間のどの位置にあっても、常にベーン52の外壁の内側に位置している。
ベーン52のシール部522は、フロントプレート20に対して液密に摺動可能に接している。そのため、遅角油圧室301または進角油圧室311と嵌合孔23とが連通することはなく、遅角油圧室301または進角油圧室311から嵌合孔23および大気通孔24を通じた大気側への作動油の漏れは低減される。
同様に、ベーン52のシール部525は、チェーンスプロケット40に対して液密に摺動可能に接している。そのため、遅角油圧室301または進角油圧室311と排圧孔41とが連通することはなく、遅角油圧室301または進角油圧室311から排圧孔41を通じた大気側への作動油の漏れは低減される。
ベーン52のシール部522は、フロントプレート20に対して液密に摺動可能に接している。そのため、遅角油圧室301または進角油圧室311と嵌合孔23とが連通することはなく、遅角油圧室301または進角油圧室311から嵌合孔23および大気通孔24を通じた大気側への作動油の漏れは低減される。
同様に、ベーン52のシール部525は、チェーンスプロケット40に対して液密に摺動可能に接している。そのため、遅角油圧室301または進角油圧室311と排圧孔41とが連通することはなく、遅角油圧室301または進角油圧室311から排圧孔41を通じた大気側への作動油の漏れは低減される。
以上説明したように、第1参考例の場合、ベーン52、53、54には、凹部521、531、541および凹部524、534、544が設けられている。そのため、ベーン52、53、54とフロントプレート20とはシール部522、532、542で摺接し、ベーン52、53、54とチェーンスプロケット40とはシール部525、535、545で摺接する。すなわち、ベーン52、53、54とフロントプレート20、チェーンスプロケット40とが摺接する面積は小さい。そのため、ベーン52、53、54とフロントプレート20、チェーンスプロケット40との間に作動油があったとしても、作動油による抵抗は小さく、ベーンロータ50をハウジング11に対して容易に相対回転させることができる。特にエンジン始動時など低温時には作動油の粘度が高くなるが、第1参考例では、ベーン52、53、54とフロントプレート20、チェーンスプロケット40との間に粘度の高い作動油があったとしても、ベーンロータ50を容易に揺動および相対回転させることができる。したがって、ベーンロータ50の応答性を高めることができ、高精度にカムシャフト70の位相を制御することができる。
また、第1参考例では、嵌合孔23は大気通孔24を通じて大気開放され、孔55は排圧孔41を通じて大気開放されている。そのため、第1実施形態と同様、ストッパピストン80の応答性を高めることができる。
また、第1参考例では、嵌合孔23は大気通孔24を通じて大気開放され、孔55は排圧孔41を通じて大気開放されている。そのため、第1実施形態と同様、ストッパピストン80の応答性を高めることができる。
(第2参考例)
本発明の第2参考例によるバルブタイミング調整装置を図9〜11に示す。なお、第1参考例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。第2参考例では、ベーン53、54に設けられた凹部およびシール部の形状が第1参考例と異なる。
本発明の第2参考例によるバルブタイミング調整装置を図9〜11に示す。なお、第1参考例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。第2参考例では、ベーン53、54に設けられた凹部およびシール部の形状が第1参考例と異なる。
図10に示すように、ベーン53は、端面56に、凹部631およびシール部632を有している。シール部632は、ボス部51から径外方向へI字状に延びている。凹部631は、シール部632の両側に凹溝633を形成することによって設けられている。また、シール部632は、シール部材15の三方を囲んでいる。シール部632は、フロントプレート20と液密に摺動可能に接している。これにより、遅角油圧室302と進角油圧室312との間の作動油の漏れを低減している。
同様に、ベーン54は、端面56に凹部641およびシール部642を有している。シール部642は、フロントプレート20と液密に摺動可能に接している。これにより、遅角油圧室303と進角油圧室313との間の作動油の漏れを低減している。
同様に、ベーン54は、端面56に凹部641およびシール部642を有している。シール部642は、フロントプレート20と液密に摺動可能に接している。これにより、遅角油圧室303と進角油圧室313との間の作動油の漏れを低減している。
図11に示すように、ベーン53は、端面57に、凹部634およびシール部635を有している。シール部635は、ボス部51から径外方向へI字状に延びている。凹部634は、シール部635の両側に凹溝636を形成することによって設けられている。また、シール部635は、シール部材15の三方を囲んでいる。シール部635は、チェーンスプロケット40と液密に摺動可能に接している。これにより、遅角油圧室302と進角油圧室312との間の作動油の漏れを低減している。
同様に、ベーン54は、端面57に凹部644およびシール部645を有している。シール部645は、チェーンスプロケット40と液密に摺動可能に接している。これにより、遅角油圧室303と進角油圧室313との間の作動油の漏れを低減している。
同様に、ベーン54は、端面57に凹部644およびシール部645を有している。シール部645は、チェーンスプロケット40と液密に摺動可能に接している。これにより、遅角油圧室303と進角油圧室313との間の作動油の漏れを低減している。
図9、図10および図11に示す凹部521、シール部522、凹部524、シール部525は、第1参考例と同様の構成のため説明を省略する。
以上説明したように、第2参考例の場合も、第1参考例のように各ベーンの回転軸方向両端に凹部が形成されている。そのため、各ベーンとハウジング11の内壁面とは、ベーンに設けられたシール部で摺接する。すなわち、ベーンとハウジング11の内壁面とが摺接する面積は小さい。第2参考例の場合、ベーンとハウジング11の内壁面とが摺接する面積は、第1参考例と比べ、より小さい。そのため、ベーンとハウジング11の内壁面との間に作動油があったとしても、作動油による抵抗はより小さく、ベーンロータ50をハウジング11に対して容易に相対回転させることができる。
以上説明したように、第2参考例の場合も、第1参考例のように各ベーンの回転軸方向両端に凹部が形成されている。そのため、各ベーンとハウジング11の内壁面とは、ベーンに設けられたシール部で摺接する。すなわち、ベーンとハウジング11の内壁面とが摺接する面積は小さい。第2参考例の場合、ベーンとハウジング11の内壁面とが摺接する面積は、第1参考例と比べ、より小さい。そのため、ベーンとハウジング11の内壁面との間に作動油があったとしても、作動油による抵抗はより小さく、ベーンロータ50をハウジング11に対して容易に相対回転させることができる。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、排圧孔に連通する長溝部が略円弧形状に形成される構成を示した。本発明の他の実施形態では、長溝部の形状は円弧形状に限らず、どのような形状に形成されてもよい。また、長溝部の深さは、任意の深さに設定してもよい。
また、本発明の他の実施形態では、ストッパピストンおよび嵌合リングの嵌合孔は、テーパ状ではなく、ストレート状に形成されていてもよい。
上述の実施形態では、排圧孔に連通する長溝部が略円弧形状に形成される構成を示した。本発明の他の実施形態では、長溝部の形状は円弧形状に限らず、どのような形状に形成されてもよい。また、長溝部の深さは、任意の深さに設定してもよい。
また、本発明の他の実施形態では、ストッパピストンおよび嵌合リングの嵌合孔は、テーパ状ではなく、ストレート状に形成されていてもよい。
上述の実施形態または参考例では、フロントプレートに嵌合リングを設け、ストッパピストンを嵌合リングに形成された嵌合孔へ嵌合させる構成を示した。本発明の他の実施形態では、フロントプレートとは反対側のチェーンスプロケットに嵌合リングを設け、ストッパピストンをチェーンスプロケット側へ嵌合させる構成としてもよい。同様に、排圧孔については、チェーンスプロケットではなくフロントプレートに形成する構成としてもよい。
上述の実施形態または参考例では、ハウジングの内壁に嵌合リングを設け、嵌合リングに形成された嵌合孔にストッパピストンを嵌合させる構成を示した。本発明の他の実施形態では、ハウジングの内壁に嵌合リングを設置せず、ハウジング自体に大気に連通する嵌合孔を形成し、この嵌合孔にストッパピストンを嵌合させる構成としてもよい。
上述の実施形態または参考例では、バルブタイミング調整装置をエンジンの吸気弁に適用する例について説明した。しかし、本発明によるバルブタイミング調整装置は排気弁に適用してもよい。
10:バルブタイミング調整装置、11:ハウジング、20:フロントプレート(側壁、ハウジング)、23:嵌合孔、24:大気通孔、30:シューハウジング(周壁、ハウジング)、35:収容室、40:チェーンスプロケット(側壁、ハウジング)、51:ボス部(ベーン支持部)、52、53、54:ベーン(ベーン部材)、55:孔(軸方向孔)、70:カムシャフト(従動軸)、80:ストッパピストン(規制部材)、301、302、303:遅角油圧室(圧力室)、311、312、313:進角油圧室(圧力室)
Claims (3)
- 内燃機関の駆動軸から吸気弁または排気弁の少なくともいずれか一方を開閉駆動する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記吸気弁または排気弁の少なくともいずれか一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、
前記駆動軸または前記従動軸の一方とともに回転し、周壁と回転軸方向両端で前記周壁と接続する側壁とを有し、前記周壁および前記両側壁により収容室を形成するハウジングと、
前記収容室に収容され、前記駆動軸または前記従動軸の他方とともに回転するベーン支持部と、
前記収容室に収容され、前記ベーン支持部に一体に設けられ、前記収容室の圧力室に流入出する作動流体の圧力により所定の角度範囲で前記ハウジングに対し相対回転駆動されるベーン部材と、
前記ベーン部材に形成される軸方向孔に往復移動可能に設けられ、前記ハウジングに対する前記ベーン部材の相対回転を規制する規制部材とを備え、
前記ハウジングの前記側壁の一方に、前記規制部材の一端が嵌合可能な嵌合孔、および大気に連通する大気通孔が形成され、
前記嵌合孔は、前記大気通孔を経由して大気に連通し、
前記規制部材の前記一端が前記嵌合孔に嵌合すると、前記ハウジングに対する前記ベーン部材の相対回転が規制されることを特徴とするバルブタイミング調整装置。 - 前記大気通孔の径は、前記規制部材の前記一端の径よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項1記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記ハウジングの前記側壁の他方に、大気に連通する排圧孔が形成され、
前記軸方向孔は、前記ベーン部材が前記所定の角度範囲で前記ハウジングに対し相対回転駆動されるとき、前記ベーン部材がいずれの位置にあっても、前記排圧孔を経由して大気に連通していることを特徴とする請求項1または2記載のバルブタイミング調整装置。
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2008
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