JP2009132603A - コンクリート基材の劣化防止方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水などの侵入(染みこみ)によるコンクリート基材の劣化、特に凍害、塩害、および中性化を防止する方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、コンクリート基材の劣化防止方法を提供し、該方法は、該コンクリート基材に、シラノール基またはシラノール基に変換可能な基を有する樹脂(a)を含む塗布液を付与する工程;該樹脂(a)を含む塗布液が付与された基材表面に、水溶性珪酸アルカリ化合物(b)を含む塗布液を付与する工程;そして該水溶性珪酸アルカリ化合物(b)を含む塗布液が付与された基材表面に、シリコネート系化合物(c)を含む塗布液を付与する工程;を包含する。
【選択図】なし

Description

本発明は、コンクリート基材の劣化防止方法に関する。
コンクリート基材は多孔質であり、例えば、降雨、降雪などによりこの孔内に水が浸入する場合が多い。そのため、酸性雨などにより、コンクリートの中性化が起こり、コンクリート基材の劣化が生じるという問題がある。さらに、コンクリート基材の孔内に浸入した水は、特に寒冷地において、凍結および融解を繰り返し、短期間でコンクリート基材を劣化させる。
さらに、寒冷地においては、道路などの凍結防止のために、道路に凍結防止剤(例えば、塩化カルシウムのような塩など)を散布することがある。このような塩が、コンクリート基材表面に付着すると、コンクリート基材の劣化が促進される。さらに、海に近い地域では、コンクリート基材の塩害が発生しやすい。
一般的に、コンクリート基材表面を被覆・保護して水などの浸入を防ぎ、あるいはコンクリート基材表面を強化するために、種々の処理が行われている。例えば、アクリル酸エステル系樹脂、ビニル系樹脂などのような合成樹脂と水溶性珪酸塩と含む塗料組成物を基材表面に付与することが行われている(特許文献1および2)。
しかし、これらの塗料組成物は、水などの浸入を充分に防ぐことができず、寒冷地で使用する場合には、凍結などによる劣化の防止が不充分である。
特開平7−144979号公報 特開平11−29746号公報
本発明の目的は、水などの侵入(染みこみ)によるコンクリート基材の劣化、特に凍害、塩害、および中性化を防止する方法を提供することにある。
本発明の第1のコンクリート基材の劣化防止方法は、該コンクリート基材に、シラノール基またはシラノール基に変換可能な基を有する樹脂(a)を含む塗布液を付与する工程;該樹脂(a)を含む塗布液が付与された基材表面に、水溶性珪酸アルカリ化合物(b)を含む塗布液を付与する工程;そして該水溶性珪酸アルカリ化合物(b)を含む塗布液が付与された基材表面に、シリコネート系化合物(c)を含む塗布液を付与する工程を包含する。
本発明の第2のコンクリート基材の劣化防止方法は、該コンクリート基材に、水溶性珪酸アルカリ化合物(b)を含む塗布液を付与する工程;該水溶性珪酸アルカリ化合物(b)を含む塗布液が付与された基材表面に、シラノール基またはシラノール基に変換可能な基を有する樹脂(a)を含む塗布液を付与する工程;そして該樹脂(a)を含む塗布液が付与された基材表面に、シリコネート系化合物(c)を含む塗布液を付与する工程を包含する。
1つの実施態様では、上記樹脂(a)は、シラノール基またはシラノール基に変換可能な基を有するアクリル系樹脂またはスチレン−アクリル系樹脂である。
本発明はまた、上記コンクリート基材の劣化防止方法に使用されるキットを提供し、該キットは、シラノール基またはシラノール基に変換可能な基を有する樹脂(a)を含む塗布液、水溶性珪酸アルカリ化合物(b)を含む塗布液、およびシリコネート系化合物(c)を含む塗布液を含有する。
本発明によれば、水などの侵入(染みこみ)によるコンクリート基材の劣化、特に凍害、塩害、および中性化を防止する方法を提供し得る。したがって、コンクリート基材の耐用期間を延ばすことができる。
本発明のコンクリート基材の劣化防止方法は、コンクリート基材に、シラノール基またはシラノール基に変換可能な基を有する樹脂(a)を含む塗布液(以下、単に「塗布液(A)」という場合がある)を付与する工程;該樹脂(a)を含む塗布液が付与された基材表面に、水溶性珪酸アルカリ化合物(b)を含む塗布液(以下、単に「塗布液(B)」という場合がある)を付与する工程;そして該水溶性珪酸アルカリ化合物(b)を含む塗布液が付与された基材表面に、シリコネート系化合物(c)を含む塗布液(以下、単に「塗布液(C)」という場合がある)を付与する工程を包含する。
本発明の方法に用いられるコンクリート基材の種類、形状、大きさなどは特に限定されない。コンクリート基材としては、例えば、コンクリート板、コンクリート製の橋脚、建物の壁、道路、ダム、岸壁などが挙げられる。
本発明に用いられるシラノール基またはシラノール基に変換可能な基を有する樹脂(a)(以下、単に「シラノール基含有樹脂(a)」という場合がある)は、シラノール基またはシラノール基に変換可能な基を有する熱可塑性樹脂であれば特に限定されない。アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂などが、好ましく用いられる。上記シラノール基に変換可能な基としては、例えば、シラノール基の水酸基の部分がアルコキシ基、ハロゲン基など(これらは加水分解などにより水酸基に変換し得る)であるような基が挙げられる。上記アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂などの樹脂は、好ましくはカルボキシル基を含有する。
このようなシラノール基含有樹脂(a)は、例えば、エマルジョンの状態、あるいは溶媒に溶解または分散した状態で、好ましくは水性エマルジョンの状態で調製され、あるいは市販されている。このようなエマルジョンを、そのまま塗布液(A)として用いることができ、あるいは必要に応じて、水などの溶媒で適宜希釈して用いられる。
塗布液(A)は、シラノール基含有樹脂(a)を単独で含んでいてもよく、2種以上のシラノール基含有樹脂(a)を含んでいてもよい。
本発明に用いられる水溶性珪酸アルカリ化合物(b)は、水溶性の珪酸アルカリ化合物であれば特に限定されない。このような化合物は、一般にMO・nSiO(Mはアルカリ金属、nは通常2〜4の整数)で示される。水溶性珪酸アルカリ化合物(b)としては、例えば、珪酸ナトリウム(オルト珪酸ナトリウム、セスキ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウムなど)、珪酸リチウム、珪酸カリウムなどが挙げられる。これらのうちでもNaO・3SiOで示される珪酸ナトリウムが好ましく用いられる。
水溶性珪酸アルカリ化合物(b)は、多価金属イオンとの反応により、あるいは該化合物のアルカリ成分(M)を該化合物のシリカネットワーク中から除去することにより、不溶性の珪酸化合物を形成する。水溶性珪酸アルカリ化合物(b)の濃厚水溶液は一般に水ガラスと呼ばれ、市販されている。
塗布液(B)は、水溶性珪酸アルカリ化合物(b)を単独で含んでいてもよく、2種以上の水溶性珪酸アルカリ化合物(b)を含んでいてもよい。
本発明に用いられるシリコネート系化合物(c)は、珪酸塩化合物の1種である。シリコネート系化合物(c)は、R−Si−O−Si−R(Rは、それぞれ独立してメチル基、エチル基などのアルキル基および水素原子を示す)の構造を有し、各々のケイ素原子には2個の水酸基(−OH)が結合し、該水酸基の少なくとも1つの水素原子は、ナトリウム、カリウムなどの1価の陽イオンを形成し得る金属原子に置換されている化合物、すなわち、分子内にシリコネート基(−SiOM(Mは、ナトリウム、カリウムなどの1価の陽イオンを形成し得る金属原子を示す))を有する珪酸塩化合物である。
シリコネート系化合物(c)としては、例えば、ナトリウムメチルシリコネート、カリウムメチルシリコネートなどのメチルシリコネート、ナトリウムエチルシリコネートなどのエチルシリコネートなどが挙げられる。
本発明のコンクリート基材の劣化防止方法のうち、第1の方法では、コンクリート基材に、塗布液(A)、塗布液(B)、および塗布液(C)が、順次付与される。塗布液(A)は、乾燥したコンクリート基材または半乾燥状態のコンクリート基材に付与され得る。
塗布液(B)は、塗布液(A)との混合を避けるため、塗布液(A)が乾燥した後または半乾燥の状態となった後に付与される。塗布液(C)についても、塗布液(B)との混合を避けるため、塗布液(B)が乾燥した後または半乾燥の状態となった後に付与される。
本発明のコンクリート基材の劣化防止方法のうち、第2の方法では、コンクリート基材に、塗布液(B)、塗布液(A)、および塗布液(C)が、順次付与される。塗布液(B)は、乾燥したコンクリート基材または半乾燥状態のコンクリート基材に付与され得る。塗布液(A)および塗布液(C)についても、上記第1の方法と同様に、先に基材表面に付与した塗布液が、乾燥した後または半乾燥の状態となった後に付与される。
本発明の方法では、塗布液(A)、塗布液(B)、および塗布液(C)を付与する方法としては、特に限定されず、例えば、刷毛、ロールコーター、噴霧などによって付与される。
塗布液(A)、塗布液(B)、および塗布液(C)の付与量は、特に限定されず、コンクリート基材の種類、使用目的などによって適宜設定され得る。例えば、コンクリート基材の表面積1mあたり、シラノール基含有樹脂(a)が、好ましくは50g〜200g、より好ましくは80g〜160g、水溶性珪酸アルカリ化合物(b)が、好ましくは50g〜200g、より好ましくは80g〜160g、そしてシリコネート系化合物(c)が、好ましくは50g〜200g、より好ましくは80g〜160gとなるように、塗布液(A)、塗布液(B)、および塗布液(C)が付与され得る。
上記のように、本発明のコンクリート基材の劣化防止方法においては、第1の方法および第2の方法のいずれにおいても、最初に塗布液(A)および塗布液(B)のいずれかがコンクリート基材に付与され、次いで他方の塗布液(B)または塗布液(A)が付与される。その後、塗布液(C)が付与される。
このような順序で付与することにより、塗布液(A)中に含まれるシラノール基含有樹脂(a)および/または塗布液(B)中に含まれる水溶性珪酸アルカリ化合物(b)が、基材のコンクリートに化学的に結合するので密着性が高くなる。したがって、長期間、塗膜が剥離することなく、効果的に水などの浸入を防ぐことができる。第1の方法で塗布液を付与した方が、第2の方法で塗布液を付与するよりも、封孔性が高くなり、コンクリート基材の水密性に優れる。したがって、より塗膜の剥離が防止され、長期にわたって、水の浸入を防止することができる。
これに対して、コンクリート基材に、塗布液(A)および塗布液(B)を付与する前に塗布液(C)を付与すると、塗布液(A)中のシラノール基含有樹脂(a)および/または塗布液(B)中の水溶性珪酸アルカリ化合物(b)が、コンクリート基材に化学的に結合しない。したがって、形成された塗膜は、経時的に剥離しやすい。
本発明のキットは、上記シラノール基またはシラノール基に変換可能な基を有する樹脂(a)を含む塗布液、水溶性珪酸アルカリ化合物(b)を含む塗布液、およびシリコネート系化合物(c)を含む塗布液を含む。本発明のキットは、これらの塗布液の代わりに、樹脂(a)、水溶性珪酸アルカリ化合物(b)、およびシリコネート系化合物(c)の化合物自体あるいはその濃厚液状物を含み、さらにこれらを希釈して塗布液とするための溶媒を含んでいてもよい。本発明のキット中の各材料を、上記の方法で用いることにより、効果的にコンクリート基材の劣化防止が達成される。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
1辺が10cmの正方形板状のコンクリート基材を準備した。このコンクリート基材は、セメントと砂との質量比が1:2であり、水セメント比は40%であった。
このコンクリート基材に、塗布液(A)として、シラノール基含有スチレン−アクリル系樹脂エマルジョンを、固形分が35g/mとなるように塗布した。シラノール基含有スチレン−アクリル系樹脂エマルジョンを塗布した後、コンクリート基材を充分乾燥した。
次いで、この樹脂が塗布された基材表面に、塗布液(B)として、珪酸ナトリウム水溶液を、固形分が40g/mとなるように塗布した。次いで、このコンクリート基材を充分乾燥した。
珪酸ナトリウムが塗布された基材表面に、塗布液(C)として、メチルシリコネート水溶液を、固形分が40g/mとなるように塗布した。
このコンクリート基材を充分乾燥し、試験基材1を得た。
次いで、試験基材1への水の浸透状況を、以下の透水試験によって検証した。
(透水試験)
試験基材1を準備し、基材に水2mLを滴下した。滴下直後、30分後、2時間後、3時間後、4時間後、および20時間後の水の浸透状況を目視で観察し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
<評価基準>
染みなし(◎):水が試験基材に染みこまなかった。
染み小(○) :水が試験基材中にわずかに染みこんだ。
染み中(△) :滴下した水の半分程度が染みこんだ。
染み大(×) :滴下した水のほとんどが染みこんだ。
水消失(××):水が試験基材に完全に染みこみ、基材表面から水が消失した。
(実施例2)
実施例1において、塗布液(A)と塗布液(B)との塗布順序を入れ換えたこと以外は、実施例1と同様の手順で、試験基材2を得た。得られた試験基材2を用いて、実施例1と同様の透水試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、塗布液(B)および塗布液(C)を塗布せず、塗布液(A)のみを塗布したこと以外は、実施例1と同様の手順で、試験基材3を得た。得られた試験基材3を用いて、上記透水試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、塗布液(A)および塗布液(C)を塗布せず、塗布液(B)のみを塗布したこと以外は、実施例1と同様の手順で、試験基材4を得た。得られた試験基材4を用いて、上記透水試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1において、塗布液(A)および塗布液(B)を塗布せず、塗布液(C)のみを塗布したこと以外は、実施例1と同様の手順で、試験基材5を得た。得られた試験基材5を用いて、上記透水試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1において、塗布液(C)を塗布しなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で、試験基材6を得た。得られた試験基材6を用いて、上記透水試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例5)
実施例2において、塗布液(C)を塗布しなかったこと以外は、実施例2と同様の手順で、試験基材7を得た。得られた試験基材7を用いて、上記透水試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例6)
実施例1において、塗布液(B)を塗布しなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で、試験基材8を得た。得られた試験基材8を用いて、上記透水試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例7)
実施例2において、塗布液(A)を塗布しなかったこと以外は、実施例2と同様の手順で、試験基材9を得た。得られた試験基材9を用いて、上記透水試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例8)
実施例1で用いた塗布液(A)および塗布液(B)を、固形分が1:2の質量比で混合した。次いで、実施例1で用いたコンクリート基材に、得られた混合液を、固形分が40g/mとなるように塗布した。
この混合液を塗布した後、コンクリート基材を充分乾燥し、試験基材10を得た。得られた試験基材10を用いて、上記透水試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例9)
実施例1で用いた塗布液(A)および塗布液(C)を、固形分が2:1の質量比で混合した。次いで、実施例1で用いたコンクリート基材に、得られた混合液を、固形分が40g/mとなるように塗布した。
この混合液を塗布した後、コンクリート基材を充分乾燥し、試験基材11を得た。得られた試験基材11を用いて、上記透水試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例10)
比較例8で得られた試験基材10の表面に、さらに、実施例1で用いた塗布液(C)を、固形分が40g/mとなるように塗布した。
塗布液(C)を塗布した後、コンクリート基材を充分乾燥し、試験基材12を得た。得られた試験基材12を用いて、上記透水試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例11)
実施例1で用いたコンクリート基材に、実施例1で用いた塗布液(B)を、固形分が40g/mとなるように塗布した。塗布液(B)を塗布した後、コンクリート基材を充分乾燥した。
次いで、塗布液(B)が塗布された基材表面に、比較例9で用いた混合液を、比較例9と同様の手順で塗布し、試験基材13を得た。得られた試験基材13を用いて、上記透水試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例12)
コンクリート基材に、実施例1で用いた塗布液(C)を、実施例1に準じた塗布量で塗布し、充分乾燥した。次いで、実施例1で用いた塗布液(A)または塗布液(B)を、実施例1に準じた塗布量で塗布し、充分乾燥した。乾燥後、塗布液(A)の塗膜または塗布液(B)の塗膜が剥離したため、実験を中止した。
これとは別に、塗布液(A)、塗布液(B)、および塗布液(C)を全て混合し、混合液を塗布することを試みた。しかし、混合液が分離し、安定な塗布液が得られなかったため、実験を中止した。
Figure 2009132603
表1に示すように、実施例1で得られた試験基材1では、水を滴下して20時間経過しても、コンクリート基材内部に水が染みこんでいないことがわかる。実施例2で得られた試験基材2では、水が染みこんだものの、染みこみ速度は遅く、20時間経過後も滴下した水の染みこみは、わずかであった。
一方、比較例1、2、4、5、および7〜11で得られた試験基材(試験基材3、4、6、7、および9〜13)では、滴下した水が、20時間以内に完全に、あるいはほとんどが染みこむことがわかる。
比較例3および6で得られた試験基材(試験基材5および8)については、透水試験に関しては良好な結果を示している。しかし、比較例3(試験基材5)では、塗布液(A)および塗布液(B)が塗布されていないので、経時的に塗膜が剥離しやすく、塩害および中性化を防止することができない。比較例6(試験基材8)では、塗布液(B)が塗布されていないので、基材表面の塗膜の塩基性の度合いが低く、そのため酸性雨などによる中性化を防止することができない。
(実施例3)
縦10cm、横10cm、および高さ40cmの直方体状のコンクリート基材を準備した。このコンクリート基材は、普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント株式会社製:密度3.15g/cmおよび粉末度3400cm/g)305質量部、粗骨材(大阪府高槻産:最大寸法20mm、密度2.69g/cm、吸水率0.81%、および粗粒率7.04)1030質量部、細骨材(大阪府木津川産:密度2.55g/cm、吸水率1.89%、および粗粒率2.86)783質量部、混和剤としてAE減水剤I種(株式会社エヌエムビー製:ポゾリスNo.70)0.763質量部およびAE助剤(株式会社エヌエムビー製:マイクロエア775S)0.421質量部、ならびに水道水174質量部を、混合し固化して得た。セメントと砂との質量比が1:6であり、水セメント比は57%であった。
このコンクリート基材表面に、実施例1で用いた塗布液(A)(シラノール基含有スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン)を、固形分が35g/mとなるように塗布した。シラノール基含有スチレン−アクリル系樹脂エマルジョンを塗布した後、コンクリート基材を充分乾燥した。
次いで、この塗布液(A)が塗布された基材表面に、実施例1で用いた塗布液(B)(珪酸ナトリウム水溶液)を、固形分が40g/mとなるように塗布した。次いで、このコンクリート基材を充分乾燥した。
次いで、この塗布液(B)が塗布された基材表面に、実施例1で用いた塗布液(C)(メチルシリコネート水溶液)を、固形分が40g/mとなるように塗布した。
塗布液(A)、(B)、および(C)が塗布されたコンクリート基材を充分乾燥し、試験基材14を得た。この試験基材14を用いて、中性化促進試験および凍結融解試験を行った。
(中性化促進試験)
中性化促進試験を、JIS A 1153に準じて行った。すなわち、試験基材14を、CO濃度5%および湿度65%RH雰囲気下に置き、26週間、中性化深さを観察した。結果を図1に示す。
(凍結融解試験)
凍結融解試験を、JIS A 1148に準じて行った。すなわち、試験基材14を、水中に浸漬し、−18℃と20℃と間の温度に、1.5時間〜2時間間隔で300サイクル繰り返し、試験基材14の相対動弾性係数を求めた。結果を図2に示す。
(比較例13)
実施例3で得られたコンクリート基材に塗布液(A)〜(C)を塗布することなく、コンクリート基材をそのまま用いた(試験基材15)こと以外は、実施例3と同様の手順で中性化促進試験および凍結融解試験を行った。結果を図1および図2に示す。
図1に示すように、本発明の方法で塗布液を塗布した試験基材14は、塗布液を塗布していない試験基材15と比較して、中性化深さが小さいことがわかる。すなわち、本発明の方法で塗布されたコンクリート基材は、中性化が抑制されていることがわかる。
さらに、図2に示すように、本発明の方法で塗布液を塗布した試験基材14は、塗布液を塗布していない試験基材15と比較して、相対動弾性係数の低下の割合が小さいことがわかる。すなわち、本発明の方法で塗布されたコンクリート基材は、凍結融解の繰り返しによるコンクリート基材の劣化が抑制されていることがわかる。
本発明によれば、水などの侵入(染みこみ)によるコンクリート基材の劣化、特に凍害、塩害、および中性化を防止する方法を提供し得る。したがって、コンクリート基材の耐用期間を大幅に延ばすことができる。
実施例3で得られた試験基材14および比較例13で得られた試験基材15について、試験期間と中性化深さとの関係を示すグラフである。 実施例3で得られた試験基材14および比較例13で得られた試験基材15について、凍結融解サイクル数と相対動弾性係数との関係を示すグラフである。

Claims (4)

  1. コンクリート基材の劣化防止方法であって、
    該コンクリート基材に、シラノール基またはシラノール基に変換可能な基を有する樹脂(a)を含む塗布液を付与する工程;
    該樹脂(a)を含む塗布液が付与された基材表面に、水溶性珪酸アルカリ化合物(b)を含む塗布液を付与する工程;そして
    該水溶性珪酸アルカリ化合物(b)を含む塗布液が付与された基材表面に、シリコネート系化合物(c)を含む塗布液を付与する工程;
    を包含する、方法。
  2. コンクリート基材の劣化防止方法であって、
    該コンクリート基材に、水溶性珪酸アルカリ化合物(b)を含む塗布液を付与する工程;
    該水溶性珪酸アルカリ化合物(b)を含む塗布液が付与された基材表面に、シラノール基またはシラノール基に変換可能な基を有する樹脂(a)を含む塗布液を付与する工程;そして
    該樹脂(a)を含む塗布液が付与された基材表面に、シリコネート系化合物(c)を含む塗布液を付与する工程;
    を包含する、方法。
  3. 前記樹脂(a)が、シラノール基またはシラノール基に変換可能な基を有するアクリル系樹脂またはスチレン−アクリル系樹脂である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のコンクリート基材の劣化防止方法に使用されるキットであって、シラノール基またはシラノール基に変換可能な基を有する樹脂(a)を含む塗布液、水溶性珪酸アルカリ化合物(b)を含む塗布液、およびシリコネート系化合物(c)を含む塗布液を含有する、キット。
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