JP2009129768A - 膜電極接合体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極中の触媒の電解質膜中への移動を防止できる膜電極接合体を提供すること。
【解決手段】電解質膜1と、電解質膜1を両面から挟持する1組の触媒層4、5と、触媒層4、5の少なくとも一方と電解質膜1との間に介設された炭化水素イオン交換樹脂材料から形成された拡散防止部材2、3とを有する。Ptイオンが触媒層にて発生した後、電解質膜へ拡散する過程において、炭化水素イオン交換樹脂材料によりその拡散が抑制されるとの知見に基づき、炭化水素イオン交換樹脂材料から形成された拡散防止部材を触媒層及び電解質膜の間に介設することにより、触媒の拡散・移動を防止する構成を見出した。拡散防止部材はイオン交換樹脂材料から構成されるから、電池反応を阻害することがない。また、拡散防止部材はイオン交換樹脂材料から構成されているから、電池性能に大きな影響を与えないように、既存の電解質膜の一部を置換することも可能である。
【選択図】図1
【解決手段】電解質膜1と、電解質膜1を両面から挟持する1組の触媒層4、5と、触媒層4、5の少なくとも一方と電解質膜1との間に介設された炭化水素イオン交換樹脂材料から形成された拡散防止部材2、3とを有する。Ptイオンが触媒層にて発生した後、電解質膜へ拡散する過程において、炭化水素イオン交換樹脂材料によりその拡散が抑制されるとの知見に基づき、炭化水素イオン交換樹脂材料から形成された拡散防止部材を触媒層及び電解質膜の間に介設することにより、触媒の拡散・移動を防止する構成を見出した。拡散防止部材はイオン交換樹脂材料から構成されるから、電池反応を阻害することがない。また、拡散防止部材はイオン交換樹脂材料から構成されているから、電池性能に大きな影響を与えないように、既存の電解質膜の一部を置換することも可能である。
【選択図】図1
Description
本発明は、耐久性が高い膜電極接合体及びその製造方法に関する。
燃料電池は、プロトン伝導性をもつ電解質膜と、電解質膜の片面に設けられたアノード(−極)側電極と、電解質膜の他の片面に設けられたカソード(+極)側電極と、アノード側電極の外側に配置されたアノード側のガス拡散層と、カソード側電極の外側に配置されたカソード側のガス拡散層とで構成されている。
これらの電極は、電池反応を促進するPtなどの触媒を担持したカーボンブラック等のカーボン微小体と、このカーボン微小体と混在するプロトン伝導性を有するプロトン伝導性材料とから構成されている。
燃料電池の燃料ガスは、アノードの電極を通過するとき、カーボン微小体に担持されている触媒により酸化されてプロトン及び電子にされた後、そのプロトンは電解質膜に至る。電解質膜に到達したプロトンは、電解質膜中を対極であるカソードに向けて移動する。プロトンは、カソードに到達した後、カソードに供給された酸化剤ガスである空気(酸素)と、アノードからカソードに到達した電子とに基づいて、化学反応が進行して水を生成する。この反応により発電が進行する。
ところで、アノード及びカソード電極に用いられる触媒は電池反応に伴い、イオン化されて拡散し電解質膜にまで移動して析出する問題が知られている。触媒が電解質膜に移動すると、電極における触媒の量が減少し所定の性能の維持が困難になると共に、触媒の析出により電解質膜の劣化が進行するものと考えられるため、その対策が求められていた。
特許文献1に記載の燃料電池では、イオン交換膜と触媒層との間に触媒金属イオン拡散防止手段を形成することを特徴とする。触媒金属イオン拡散防止手段は、基材であるメッシュ状に編まれたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)繊維とそのPTFE繊維表面に被覆された還元剤である界面活性剤とにより構成されることが開示されている。基材としては、PTFE繊維の他にも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)繊維を使用したり、カーボン繊維などの導電性材料を使用することができる。還元剤としては、主に界面活性剤等を使用することができる。界面活性剤は、カチオン性、非イオン性、アニオン性のいずれも使用でき、その種類は問わない。
また、特許文献2に記載の燃料電池では、電極反応を促進する触媒金属とプロトン伝導性部材とを含む燃料電池用電極において、難溶性金属塩を含有することを特徴とする。難溶性金属塩を電極触媒層およびガス拡散層に含ませることによって、一定濃度範囲の金属イオンを電極触媒層やガス拡散層側から供給し、塩析と同様の原理(離液順列)で、触媒金属の溶出を防ぐことができると考えられる。また、ここで言う「塩析」とは、水溶液に他の物質を加えて、さきに溶けていた物質を析出する意味だけではなく、予め他の物質を加えることによって特定の物質を溶解させない意味も含む。
特許文献3に開示の燃料電池では、アノードのガス拡散層中にルテニウムを含む合金触媒を添加することを特徴とする。アノードガス拡散層中にRuを含む合金触媒を添加することによって、この添加された合金触媒中のRuを核として、アノード触媒層から溶出したRu成分を析出させてトラップさせ、アノードガス拡散層のガス通気孔中でのRu成分の析出を防ぐことができ、高電位運転におけるRu成分の析出に起因した発電性能の低下を抑制することができる。
特許文献文献4に記載の燃料電池では、運転方法の検討により燃料電池システムの耐久性を向上させている。燃料電池内に残留した酸化剤ガスの全部または一部を不活性ガスで置換し、スタック内には燃料ガスと不活性ガスを封入した状態で停止することにより、電極の電位を低く保つことが可能になり、酸化および溶解による劣化を抑制している。
特開2006−140087号公報
特開2006−196452号公報
特開2004−186050号公報
特開2005−71778号公報
しかしながら、特許文献1〜3に開示の燃料電池においては、反応に直接関与しない部材が用いられており、初期性能の低下が懸念される。また、特許文献4に開示の燃料電池においては、運転方法による回避であり、根本的な解決には至っていない。
本発明では上記実情に鑑み電極中に含まれる触媒の電解質膜中への移動を防止できる膜電極接合体及びその製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する請求項1に係る膜電極接合体の特徴は、電解質膜と、前記電解質膜を両面から挟持する1組の触媒層と、前記1組の触媒層の少なくとも一方と前記電解質膜との間に介設された炭化水素イオン交換樹脂材料を含むイオン交換樹脂材料から形成された拡散防止部材と、を有することにある。
上記課題を解決する請求項2に係る膜電極接合体の特徴は、電解質膜と、触媒を含み、前記電解質膜を両面から挟持する1組の触媒層と、を有し、前記1組の触媒層の少なくとも一方は、前記触媒と前記電解質膜との間に配置された炭化水素イオン交換樹脂材料を含むイオン交換樹脂材料から形成された拡散防止部材を含むことにある。
請求項3に係る膜電極接合体の特徴は、請求項1又は2において、前記拡散防止部材は触媒を含有することにある。
請求項4に係る膜電極接合体の特徴は、請求項1〜3の何れか1項において、前記触媒層は炭化フッ素系イオン交換樹脂材料を含むことにある。
請求項5に係る膜電極接合体の特徴は、請求項1〜4の何れか1項において、前記電解質膜は炭化フッ素系イオン交換樹脂材料を含むことにある。
上記課題を解決する請求項6に係る膜電極接合体の製造方法の特徴は、炭化水素イオン交換樹脂材料を含むイオン交換樹脂材料溶液を基材の表面に塗布して拡散防止部材を形成する拡散防止部材形成工程と、電解質膜の少なくとも一方の面に、前記拡散防止部材が形成された前記基材の表面を密着させた後に前記基材を剥離して前記拡散防止部材を転写する転写工程と、前記拡散防止部材が転写された前記電解質膜の両面に触媒層を形成する触媒層形成工程とを有することにある。
上記課題を解決する請求項7に係る膜電極接合体の製造方法の特徴は、触媒を含有する触媒材料を炭化フッ素系イオン交換樹脂材料を含有した状態で造粒して触媒含有粉末を得る造粒工程と、炭化水素イオン交換樹脂材料を含むイオン交換樹脂材料にて前記触媒含有粉末を被覆する被覆工程と、前記被覆された触媒含有粉末を製膜して電解質膜の表面に触媒層を形成する触媒層形成工程と、を有することにある。
前記請求項1に係る発明によれば、前記1組の触媒層の少なくとも一方及び前記電解質膜の間に介設された炭化水素イオン交換樹脂材料を含むイオン交換樹脂材料から形成された拡散防止部材を有することにより、触媒層から電解質膜への触媒の拡散が効果的に防止できる。
本発明者らは触媒層から電解質膜への触媒の拡散・移動について鋭意検討を行った結果、Ptなどの触媒に由来するイオン(Ptイオン)が触媒層にて発生した後、電解質膜へ拡散する流れが、炭化水素イオン交換樹脂材料を含むイオン交換樹脂材料により抑制されるとの知見を得た。本発明はこの知見に基づき完成したものであり、炭化水素イオン交換樹脂材料を含むイオン交換樹脂材料から形成された拡散防止部材を触媒層及び電解質膜の間に介設することにより、触媒の拡散・移動を防止する構成を見出した。拡散防止部材はイオン交換樹脂材料から構成されるから、電池反応を阻害することがない。また、拡散防止部材はイオン交換樹脂材料から構成されているから、電池性能に大きな影響を与えないように、拡散防止部材により既存の膜電極接合体の構成要素(例えば電解質膜や触媒層)の一部を置換することも可能である。
拡散防止部材は電解質膜の両面から挟持している触媒層のうちの少なくとも一方と電解質膜との間に設けることにより、触媒の拡散・移動を効果的に抑制できる。
また、請求項2に係る発明のように、触媒層内において、触媒層に含まれる触媒と電解質膜との間に拡散防止部材を配置することでも拡散・移動抑制効果が発揮される。つまり、触媒層内に存在する触媒の周囲に拡散防止部材を配置したり、触媒層内の電解質膜に接する側の近傍に拡散防止部材を配置することにより、拡散防止部材を触媒層から独立して配置しなくても触媒の拡散・移動を効果的に抑制できるものである。
前記請求項3に係る発明によれば、拡散防止部材に触媒を含有させることにより、拡散防止部材においても触媒層と同様の機能を発揮させるものである。特に、拡散防止部材に触媒層と同等の機能を付与することにより、拡散防止部材にて触媒層の一部を置換することもできる。
前記請求項4に係る発明によれば、前記触媒層は炭化フッ素系イオン交換樹脂材料を含むことにより、触媒層における耐酸化性を向上させることができる。また、前記請求項5に係る発明によれば、前記電解質膜は炭化フッ素系イオン交換樹脂材料を含むことにより、電解質膜における耐酸化性を向上させることができる。触媒層と電解質膜との間に拡散防止部材を介設しているから、触媒の拡散・移動については拡散防止部材にて防止できることになり、触媒層及び電解質膜には本来求められる電池反応の触媒作用などの実現のために構成の最適化を行うことができる。
前記請求項6に係る発明によれば、拡散防止部材形成工程により、拡散防止部材を電解質膜や触媒層とは独立して製造していることから、膜厚などをより精密に制御可能であり、触媒の拡散・移動を効果的に抑制できる。
前記請求項7に係る発明によれば、触媒層を製造する際に、まず、造粒工程にて触媒を含有する触媒材料を炭化フッ素系イオン交換樹脂材料を含有した状態で造粒して触媒含有粉末を得た後に、その触媒含有粉末の周りを炭化水素イオン交換樹脂材料を含むイオン交換樹脂材料にて被覆することで、請求項2に係る膜電極接合体を効率的に製造することができる。
本発明の膜電極接合体及びその製造方法について実施形態に基づき以下詳細に説明を行う。なお、以下の説明にかかわらず、本発明の膜電極接合体及びその製造方法は発明の趣旨を逸脱しない範囲において、その構成を適宜変更することができることは言うまでもない。
(1)第1実施形態:膜電極接合体
本実施形態の膜電極接合体は電解質膜と触媒層と拡散防止部材とを有する。電解質膜及び触媒層は双方共に薄膜状の部材である。触媒層はアノード側とカソード側との2つがあり、その1組の触媒層により電解質膜を挟持する構造をもつ。詳細については後述する。
(1)第1実施形態:膜電極接合体
本実施形態の膜電極接合体は電解質膜と触媒層と拡散防止部材とを有する。電解質膜及び触媒層は双方共に薄膜状の部材である。触媒層はアノード側とカソード側との2つがあり、その1組の触媒層により電解質膜を挟持する構造をもつ。詳細については後述する。
拡散防止部材は電解質膜及び触媒層の間に介設される。拡散防止部材は、電解質膜の少なくとも一面側(すなわち、アノード側及びカソード側の触媒層のうちのいずれか一方の側の面)に配設されていれば充分であるが、両面側に設けられていることが望ましい。拡散防止部材の形態としては、電解質膜と触媒層との間のすべてに介設される形態(広がり方向の全部。つまり、薄膜状)を採用することが望ましいが、格子状、メッシュ状、散点状、縞状などの広がり方向の一部にのみ存在する形態を採用することもできる。電池反応を阻害することなく充分な触媒拡散防止効果を発揮するための拡散防止部材の積層方向における望ましい厚みとしては、1μm以上10μm以下を採用可能である。
拡散防止部材は炭化水素イオン交換樹脂材料を含むイオン交換樹脂材料から構成されている。拡散防止部材は炭化水素イオン交換樹脂材料を主要構成要素(例えば、質量基準で50%以上、60%以上、70%以上、80%以上又は90%以上)として有した上で、フッ素を構造中にもつ炭化フッ素系イオン交換樹脂材料を有することもできる。拡散防止部材はアノード側とカソード側とにおいて組成を変化させても良い。炭化フッ素系イオン交換樹脂材料の混合は拡散防止部材全体に均一に含有させても良いし、含有濃度を傾斜させても良い。含有濃度の傾斜を採用するときには電解質膜側について炭化水素イオン交換樹脂材料の構成割合を多くすることが望ましい。
拡散防止部材には後述する触媒層中に含むことができる触媒と同様の触媒を含有させることができる。触媒を含有させることにより、拡散防止部材を触媒層の一部として作用させることができる。この場合に、拡散防止部材及び触媒層を合わせた部材の厚み(又は含有する触媒の量)としては、拡散防止部材が無いとした場合に必要な触媒層の厚さ(又は含有する触媒の量)と同等にすることができる。なお、拡散防止部材に触媒を含有させない場合には拡散防止部材を電解質膜の一部として作用させることが望ましく、その場合には拡散防止部材及び電解質膜を合わせた部材の厚みを、拡散防止部材が無いとした場合に必要な電解質膜の厚さと同等にすることができる。
炭化水素イオン交換樹脂材料としては、炭素−炭素結合及び炭素−水素結合を主体として構成される高分子材料が例示できる。炭化フッ素系イオン交換樹脂材料は炭素−炭素結合の他、炭素−フッ素結合を有すると共に、必要に応じて炭素−水素結合を有することもできる。炭化水素イオン交換樹脂材料としては、ブロック共重合体として炭化フッ素系イオン交換樹脂材料を含む場合にフッ素原子を含むことを妨げない。
炭化水素イオン交換樹脂材料及び炭化フッ素系イオン交換樹脂材料を構成する高分子材料はプロトン伝導可能なイオン交換基をもつ。これらの高分子材料はプロトン伝導可能なイオン交換基を含有した単量体を重合することで製造可能であり、また、イオン交換基を有さない単量体を重合させて高分子化合物を得た後にイオン交換基を導入することで製造可能である。また、イオン交換基を有する単量体とイオン交換基を有しない単量体とを共重合させることもできる。炭化水素系のポリマーの分子量は、1万〜100万が好ましく、3万〜20万の方がより好ましい。分子量がこの下限以上にあると、充分な化学的安定性を発揮でき高い耐久性が実現できる。また、分子量がこの上限以下にあると、溶解性が高くなり、容易に溶液化できる。
単量体としては、重合反応を進行させる官能基としてのビニル基を含有する化合物が挙げられる。イオン交換基としては特に限定されず、スルホ基、ホスホ基、カルボニル基などが挙げられるが、導入の容易さや、プロトン伝導性の高さの観点からはスルホ基を採用することが望ましい。炭化水素材料を重合反応により形成するための単量体としては以下の単量体(及びそれらの混合物)が例示でき、このような単量体を任意の混合割合で混合し、ラジカル重合やイオン重合などにより重合させ、炭化水素系のポリマーを得ることができる。
・芳香族環を有するビニル基含有単量体
スチレン、αメチルスチレン、メチルスチレン、ジビニルベンゼン、クロロメチルスチレン、ベンジルメタクリレート、スチレンスルホン酸、pースチリルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらの少なくとも1種を採用できる。芳香族環はイオン交換基としてのスルホ基の導入が容易であることから、これらの単量体を主要成分として有することが望ましい。
・共重合可能な好ましいビニル基含有単量体
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、アクリロニトリル、酢酸ビニル、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリエトキシイソプロピルシラン、2ーアクリルアミドー2ーメチルプロパンスルホン酸などが挙げられ、これらの少なくとも1種を採用できる。また、アクリル酸、メタクリル酸のエステル誘導体(メチルエステルやエチルエステルなど)を採用することもできる。
・炭化フッ素系イオン交換樹脂材料
炭化フッ素系イオン交換樹脂材料は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフルオロライド、トリフルオロエチレンクロライド、ビニルフロライド、パーフルオロプロピルビニルエーテル、パーフルオロエチルビニルエーテル、2−ブロモ−1,1,2,2−テトラフルオロエチルトリフルオロビニルエーテルなどのフッ化物オレフィンの単独重合体乃至共重合体が挙げられる。また、これらとエチレンに代表されるオレフイン類との共重合体が挙げられる。これらの重合体に対して、イオン交換基を有する形態を採用できる。炭化フッ素系イオン交換樹脂材料の分子量は、1万〜100万が好ましく、3万〜20万がより好ましい。
・イオン交換基の導入
上述の炭化水素イオン交換樹脂材料及び炭化フッ素系イオン交換樹脂材料に対してイオン交換基を導入する方法を説明する。イオン交換基としてはプロトン伝導性を発揮できるものであれば、特に限定されないが、殊に、スルホン化によりスルホ基を導入することができる。クロルスルホン化、ホスホニウム化によりイオン交換基としてのスルホ基が容易に導入できる。
・芳香族環を有するビニル基含有単量体
スチレン、αメチルスチレン、メチルスチレン、ジビニルベンゼン、クロロメチルスチレン、ベンジルメタクリレート、スチレンスルホン酸、pースチリルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらの少なくとも1種を採用できる。芳香族環はイオン交換基としてのスルホ基の導入が容易であることから、これらの単量体を主要成分として有することが望ましい。
・共重合可能な好ましいビニル基含有単量体
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、アクリロニトリル、酢酸ビニル、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリエトキシイソプロピルシラン、2ーアクリルアミドー2ーメチルプロパンスルホン酸などが挙げられ、これらの少なくとも1種を採用できる。また、アクリル酸、メタクリル酸のエステル誘導体(メチルエステルやエチルエステルなど)を採用することもできる。
・炭化フッ素系イオン交換樹脂材料
炭化フッ素系イオン交換樹脂材料は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフルオロライド、トリフルオロエチレンクロライド、ビニルフロライド、パーフルオロプロピルビニルエーテル、パーフルオロエチルビニルエーテル、2−ブロモ−1,1,2,2−テトラフルオロエチルトリフルオロビニルエーテルなどのフッ化物オレフィンの単独重合体乃至共重合体が挙げられる。また、これらとエチレンに代表されるオレフイン類との共重合体が挙げられる。これらの重合体に対して、イオン交換基を有する形態を採用できる。炭化フッ素系イオン交換樹脂材料の分子量は、1万〜100万が好ましく、3万〜20万がより好ましい。
・イオン交換基の導入
上述の炭化水素イオン交換樹脂材料及び炭化フッ素系イオン交換樹脂材料に対してイオン交換基を導入する方法を説明する。イオン交換基としてはプロトン伝導性を発揮できるものであれば、特に限定されないが、殊に、スルホン化によりスルホ基を導入することができる。クロルスルホン化、ホスホニウム化によりイオン交換基としてのスルホ基が容易に導入できる。
これらによりプロトン伝導性が得られ、目的とするプロトン伝導性材料が合成される。スルホン化の方法については、特に限定しないが、イオン交換樹脂材料中に芳香族環を導入した上で、その芳香環にスルホ基を導入することが望ましい。その理由としては、濃硫酸やクロロスルホン酸などによるスルホン化処理が簡便であるからである。また、先述したように、予め単量体としてスルホ基などのイオン交換基を有する化合物を採用して重合反応を進行させることでもイオン交換基を導入することができる。
良好なるプロトン伝導性と耐久性と燃料電池出力性能とを考慮すると、スルホン基等のイオン交換基の必要量としては、炭化水素イオン交換樹脂材料の場合には、好ましくは0.3meq/g〜13meq/gであり、0.5meq/g〜8meq/gであり、より好ましくは0.6meq/g〜4meq/gである。炭化フッ素系イオン交換樹脂材料の場合には、好ましくは 0.3meq/g〜4meq/gであり、0.4meq/g〜3meq/gであり、より好ましくは0.6meq/g〜2meq/gである。イオン交換容量がこれらの上限以下であると、水に対する溶解性が小さくなり、耐久性が改善できる。一方、これらの下限以上であると、充分なプロトン伝導速度を得ることができ、燃料電池出力性能の向上が実現できる。
電解質膜としては特に限定しないが、前述した拡散防止部材を構成するイオン交換樹脂材料とは異なる材料から構成される膜である。そして、上述の拡散防止部材を構成する材料として説明した炭化水素イオン交換樹脂材料及び炭化フッ素系イオン交換樹脂材料から選択した1のイオン交換樹脂材料を単独で、又は、2以上のイオン交換樹脂材料の混合物から構成することができる。特に炭化フッ素系イオン交換樹脂材料を有することで耐久性が向上できる。例えば、ナフィオン(商標)からなる膜を採用可能である。
電解質膜の形態としては特に限定されず、その厚みとしても特に限定されない。なお、先に説明したように、拡散防止部材を電解質膜として作用させる場合には、拡散防止部材の分だけ電解質膜の厚みを減少させることができる。
触媒層としては、電池反応を触媒するPtなどの触媒と、その触媒を担持したカーボンブラック、活性炭、黒鉛等の導電性担体と、この導電性担体と混在するプロトン伝導性を有するイオン交換樹脂材料とをもつ。触媒としては特に限定されず、Pt、Pd、Rh、Ru、Irなどの貴金属触媒が挙げられる。導電性担体の形態としてはカーボンブラックなどの微粉末状の他、炭素繊維などのような繊維状を採用することもできる。イオン交換樹脂材料としては先述した炭化水素イオン交換樹脂材料及び炭化フッ素系イオン交換樹脂材料から選択した1のイオン交換樹脂材料を単独で、又は、2以上のイオン交換樹脂材料の混合物から構成することができる。特に炭化フッ素系イオン交換樹脂材料を有することで耐久性が向上できる。例えば、ナフィオン(商標)を採用可能である。
触媒層の形態としては特に限定されず、その厚みとしても特に限定されない。なお、先に説明したように、拡散防止部材に触媒を含有させて触媒層として作用させる場合には、拡散防止部材の分だけ触媒層の厚みや触媒層に含有させる触媒の量を減少させることができる。
(2)膜電極接合体の製造方法
本実施形態の膜電極接合体の製造方法は、拡散防止部材形成工程と転写工程と触媒層形成工程とを有する。
(2)膜電極接合体の製造方法
本実施形態の膜電極接合体の製造方法は、拡散防止部材形成工程と転写工程と触媒層形成工程とを有する。
拡散防止部材形成工程は拡散防止部材を構成するイオン交換樹脂材料を含むイオン交換樹脂材料溶液を基材の表面に塗布して製膜する工程である。基材としてはPTFE板などの表面エネルギーが小さく拡散防止部材の剥離が容易な材料から構成することができる。また、基材の表面形状がそのまま拡散防止部材の形状になるため、基材の表面はできるだけ滑らかな形態とすることが望ましい。基材表面へのイオン交換樹脂材料溶液の塗布は、コータを用いたり、スプレー装置により基材表面に噴霧したりすることで行うことができる。基材表面にイオン交換樹脂材料溶液を塗布した後、適正な方法により乾燥させることにより、拡散防止部材が得られる。乾燥は完全に行わずに後述する転写工程や触媒層形成工程後に行うこともできる。
転写工程は拡散防止部材形成工程により形成した拡散防止部材を電解質膜の表面に転写する工程である。転写工程は、電解質膜における拡散防止部材を介設する側の面に、拡散防止部材が形成された基材の表面を密着させた後に、基材のみを剥離するものである。
触媒層形成工程は、拡散防止部材を転写した電解質膜の表面に触媒層を形成する工程である。拡散防止部材を転写しない場合には電解質膜表面に直接触媒層を形成する。触媒層の形成方法としては特に限定されず、直接、触媒層を構成する材料の溶液乃至分散液を塗布したり、拡散防止部材形成工程と同様に、触媒層を構成する材料の溶液乃至分散液を何らかの基材上に塗布して触媒層を形成した上で電解質膜の表面に転写したりする方法が挙げられる。また、ガス拡散層の一面側に触媒層を構成する材料の溶液乃至分散液を塗布して触媒層を形成した後に、形成した触媒層を電解質膜に接するようにガス拡散層を電解質膜に接合する方法もある。ガス拡散層としては特に限定されず、カーボンペーパーやカーボンクロスなどを採用できる。
第1実施形態の膜電極接合体を製造する方法としては、ここで説明した本実施形態の製造方法以外にも一般的な製造方法を採用可能であることは言うまでもない。
(3)第2実施形態:膜電極接合体
本実施形態の膜電極接合体は電解質膜と触媒層とを有する。電解質膜については第1実施形態に係る部材と同様の構成が採用可能であるから、更なる説明は省略する。
(3)第2実施形態:膜電極接合体
本実施形態の膜電極接合体は電解質膜と触媒層とを有する。電解質膜については第1実施形態に係る部材と同様の構成が採用可能であるから、更なる説明は省略する。
触媒層は、触媒を含み、電解質膜を両面から挟持する1組の部材である点では第1実施形態における触媒層と同様の構成が採用できる。但し、第2実施形態における拡散防止部材を触媒層中に含む点で第1実施形態における触媒層と異なる。
1組の触媒層のうちの少なくとも一方は、含有する触媒と電解質膜との間に配置された拡散防止部材を含む。拡散防止部材はアノード、カソードのすべての触媒層に含まれることが望ましい。拡散防止部材の組成については第1実施形態におけるものと同様であるから、更なる説明は省略する。
拡散防止部材は触媒層中において含有される触媒(触媒層に含有される炭化フッ素系イオン交換樹脂材料などのイオン交換樹脂材料にて被覆されていてもよい)の周囲を包囲(被覆)するように含有させたり、触媒層中において、電解質膜に接する側に向けて含有量が多くなるように傾斜させて含有させるなどの構成を採用することにより、触媒層中に含まれる触媒と電解質膜との間に拡散防止部材を配置している。つまり、触媒層中に含まれる触媒がイオン化したときに、拡散により電解質膜に至るまでの間に拡散防止部材を配置し、イオン化した触媒が電解質膜に移動することを防止することができるように拡散防止部材を配置している。なお、拡散防止部材と触媒との間、すなわち、触媒に直接接する部位には炭化フッ素系イオン交換樹脂材料を介在させることが望ましい。
(4)膜電極接合体の製造方法
本実施形態の膜電極接合体の製造方法は造粒工程と被覆工程と触媒層形成工程とを有する。造粒工程は触媒を含有する触媒材料を炭化フッ素系イオン交換樹脂材料を含有した状態で造粒して触媒含有粉末を得る工程である。造粒方法は特に限定しない。例えば、噴霧乾燥法などが挙げられる。造粒に際し、炭化フッ素系イオン交換樹脂材料及び触媒と共にその他のイオン交換樹脂材料(炭化水素イオン交換樹脂材料など)を含有させることができる。炭化フッ素系イオン交換樹脂材料及びその他のイオン交換樹脂材料については第1実施形態にて説明した材料を使用することができるのでここでの説明を省略する。
(4)膜電極接合体の製造方法
本実施形態の膜電極接合体の製造方法は造粒工程と被覆工程と触媒層形成工程とを有する。造粒工程は触媒を含有する触媒材料を炭化フッ素系イオン交換樹脂材料を含有した状態で造粒して触媒含有粉末を得る工程である。造粒方法は特に限定しない。例えば、噴霧乾燥法などが挙げられる。造粒に際し、炭化フッ素系イオン交換樹脂材料及び触媒と共にその他のイオン交換樹脂材料(炭化水素イオン交換樹脂材料など)を含有させることができる。炭化フッ素系イオン交換樹脂材料及びその他のイオン交換樹脂材料については第1実施形態にて説明した材料を使用することができるのでここでの説明を省略する。
被覆工程は触媒含有粉末の周囲を拡散防止部材(炭化水素イオン交換樹脂材料を含むイオン交換樹脂材料)にて被覆する工程である。被覆の方法は特に限定されず、拡散防止部材を構成するイオン交換樹脂材料溶液中に造粒した触媒含有粉末を分散した分散液を用いて噴霧乾燥を行い再度造粒を行う方法や、撹拌機中にて触媒含有粉末を撹拌しながらイオン交換樹脂材料溶液を噴霧して造粒する方法などを挙げることができる。
触媒層形成工程は周囲を被覆した触媒含有粉末を何らかの分散媒中に分散させた後に塗布・製膜する方法や、粉末をそのまま加熱及び/又は加圧するなどの操作により製膜する工程である。触媒層の製膜は、電解質膜やガス拡散層の表面上にて直接行うこともできる。
また、製膜工程は先述の被覆工程と共に行うこともできる。すなわち、造粒工程にて造粒した触媒含有粉末を炭化水素イオン交換樹脂材料を含むイオン交換樹脂材料溶液中に分散させた分散液から直接、製膜を行うことにより、被覆工程と製膜工程とを同時に行うことができる。
第2実施形態の膜電極接合体を製造する方法としては、ここで説明した本実施形態の製造方法以外にも一般的な製造方法を採用可能であることは言うまでもない。
(実施例の膜電極接合体の製造)
図1に示す膜電極接合体を製造した。電解質膜1の両面に拡散防止部材2及び3が積層され、その外側に触媒層4及び5が積層されている。更にその外側にガス拡散層6及び7が積層されている。従って、触媒層4及び5の双方と電解質膜1との間の両方に拡散防止部材2及び3が介設された構成になっている。
・ガス拡散層の形成:市販のカーボンペーパー(TGP−H−60、東レ製、膜厚190μm)に、カーボンブラック(VXC−72R、キャボット製、比表面積380m2/g)100gとPTFE分散液(ポリフロンD−1、ダイキン工業製、固形分60質量%)166.7gと分散剤と純水とを混練したペーストを含浸した。80℃で1時間、予備乾燥を行った後、380℃で1時間焼成してガス拡散層とした。
・カソード側の触媒層の形成:カソード触媒として、白金担持カーボン(TEC10E70TPM、田中貴金属製、Pt67質量%)10g、フッ素系イオン交換樹脂(SS−1100/05、旭化成製、5質量%)82.5g、イオン交換水38gをサンドミル(直径2mmのジルコニアボール、周速15m/秒)にて1時間分散させてカソード触媒ペーストを得た。(イオン交換樹脂質量)/(白金担持カーボン中のカーボン質量)は1.25となった。得られたカソード触媒ペーストをガス拡散層の一面側にドクターブレードにて塗布した(ギャップ250μm、約1mgPt/cm2)。
・アノード側の触媒層の形成:アノード触媒として、白金ルテニウム担持カーボン(TEC62E58、田中貴金属製、Pt27.8質量%、Ru28.8質量%、Pt:Ru(原子数比)=1:2)10g、フッ素系イオン交換樹脂(SS−1100/05)108.5g、イオン交換水38gをサンドミル(直径2mmのジルコニアボール、周速15m/秒)にて1時間分散させてアノード触媒ペーストを得た。(イオン交換樹脂質量)/(白金ルテニウム担持カーボン中のカーボン質量)は1.25となった。得られたアノード触媒ペーストをガス拡散層の一面側に塗布した(拡散防止部材形成工程:ギャップ200μm、約0.25mgPt/cm2)。
・カソード側の拡散防止部材(触媒含有)の形成:カソード触媒として、白金担持カーボン10g、炭化水素イオン交換樹脂材料としての炭化水素アイオノマー(詳細は後述する、5質量%−水/エタノール(1/1)溶液)82.5g、イオン交換水38gをサンドミル(直径2mmのジルコニアボール、周速15m/秒)にて1時間分散させてカソード触媒ペーストを得た。(イオン交換樹脂質量)/(白金担持カーボン中のカーボン質量)は1.25となった。得られたカソード触媒ペーストを基材(PTFE製の板材)の一面側にドクターブレードにて塗布した(拡散防止部材形成工程:ギャップ250μm、約1mgPt/cm2)。
・アノード側の拡散防止部材(触媒含有)の形成:アノード触媒として、白金ルテニウム担持カーボン(TEC62E58、田中貴金属製、Pt27.8質量%、Ru28.8質量%、Pt:Ru(原子数比)=1:2)10g、炭化水素アイオノマー(5質量%−水/エタノール(1/1)溶液)108.5g、イオン交換水38gをサンドミル(直径2mmのジルコニアボール、周速15m/秒)にて1時間分散させてアノード触媒ペーストを得た。(イオン交換樹脂質量)/(白金担持カーボン中のカーボン質量)は1.25となった。得られたアノード触媒ペーストを基材(PTFE製の板材)の一面側にドクターブレードにて塗布した(拡散防止部材形成工程:ギャップ200μm、約0.25mgPt/cm2)。
・膜電極接合体の製造:反応面積100cm2に打ち抜いたカソード側及びアノード側拡散防止部材を12cm角に切り抜いた電解質膜としてのイオン交換樹脂膜(ゴア30−III−B、ジャパンゴアテックス製)の両面側に配置し、150℃、10MPaで1分間ホットプレスを行った(転写工程)。その後、基材を剥離した(転写工程)。
図1に示す膜電極接合体を製造した。電解質膜1の両面に拡散防止部材2及び3が積層され、その外側に触媒層4及び5が積層されている。更にその外側にガス拡散層6及び7が積層されている。従って、触媒層4及び5の双方と電解質膜1との間の両方に拡散防止部材2及び3が介設された構成になっている。
・ガス拡散層の形成:市販のカーボンペーパー(TGP−H−60、東レ製、膜厚190μm)に、カーボンブラック(VXC−72R、キャボット製、比表面積380m2/g)100gとPTFE分散液(ポリフロンD−1、ダイキン工業製、固形分60質量%)166.7gと分散剤と純水とを混練したペーストを含浸した。80℃で1時間、予備乾燥を行った後、380℃で1時間焼成してガス拡散層とした。
・カソード側の触媒層の形成:カソード触媒として、白金担持カーボン(TEC10E70TPM、田中貴金属製、Pt67質量%)10g、フッ素系イオン交換樹脂(SS−1100/05、旭化成製、5質量%)82.5g、イオン交換水38gをサンドミル(直径2mmのジルコニアボール、周速15m/秒)にて1時間分散させてカソード触媒ペーストを得た。(イオン交換樹脂質量)/(白金担持カーボン中のカーボン質量)は1.25となった。得られたカソード触媒ペーストをガス拡散層の一面側にドクターブレードにて塗布した(ギャップ250μm、約1mgPt/cm2)。
・アノード側の触媒層の形成:アノード触媒として、白金ルテニウム担持カーボン(TEC62E58、田中貴金属製、Pt27.8質量%、Ru28.8質量%、Pt:Ru(原子数比)=1:2)10g、フッ素系イオン交換樹脂(SS−1100/05)108.5g、イオン交換水38gをサンドミル(直径2mmのジルコニアボール、周速15m/秒)にて1時間分散させてアノード触媒ペーストを得た。(イオン交換樹脂質量)/(白金ルテニウム担持カーボン中のカーボン質量)は1.25となった。得られたアノード触媒ペーストをガス拡散層の一面側に塗布した(拡散防止部材形成工程:ギャップ200μm、約0.25mgPt/cm2)。
・カソード側の拡散防止部材(触媒含有)の形成:カソード触媒として、白金担持カーボン10g、炭化水素イオン交換樹脂材料としての炭化水素アイオノマー(詳細は後述する、5質量%−水/エタノール(1/1)溶液)82.5g、イオン交換水38gをサンドミル(直径2mmのジルコニアボール、周速15m/秒)にて1時間分散させてカソード触媒ペーストを得た。(イオン交換樹脂質量)/(白金担持カーボン中のカーボン質量)は1.25となった。得られたカソード触媒ペーストを基材(PTFE製の板材)の一面側にドクターブレードにて塗布した(拡散防止部材形成工程:ギャップ250μm、約1mgPt/cm2)。
・アノード側の拡散防止部材(触媒含有)の形成:アノード触媒として、白金ルテニウム担持カーボン(TEC62E58、田中貴金属製、Pt27.8質量%、Ru28.8質量%、Pt:Ru(原子数比)=1:2)10g、炭化水素アイオノマー(5質量%−水/エタノール(1/1)溶液)108.5g、イオン交換水38gをサンドミル(直径2mmのジルコニアボール、周速15m/秒)にて1時間分散させてアノード触媒ペーストを得た。(イオン交換樹脂質量)/(白金担持カーボン中のカーボン質量)は1.25となった。得られたアノード触媒ペーストを基材(PTFE製の板材)の一面側にドクターブレードにて塗布した(拡散防止部材形成工程:ギャップ200μm、約0.25mgPt/cm2)。
・膜電極接合体の製造:反応面積100cm2に打ち抜いたカソード側及びアノード側拡散防止部材を12cm角に切り抜いた電解質膜としてのイオン交換樹脂膜(ゴア30−III−B、ジャパンゴアテックス製)の両面側に配置し、150℃、10MPaで1分間ホットプレスを行った(転写工程)。その後、基材を剥離した(転写工程)。
反応面積100cm2に打ち抜いたカソード側及びアノード側触媒層(ガス拡散層付)を、転写したカソード側及びアノード側拡散防止部材の外側に配置して更に140℃、10MPaで3分間ホットプレスを行い、実施例の膜電極接合体とした(触媒層形成工程)。
・炭化水素アイオノマーの製造
窒素置換設備、撹拌機、温度計、還流冷却管、加熱装置等の備わった重合反応層に、溶媒としてのキシレン200mLを仕込み90℃に保持した。次に、単量体としてのスチレン200mLに重合開始剤としての過酸化ベンゾイル0.2gを混合溶解した溶液を3時間要して滴下した。
・炭化水素アイオノマーの製造
窒素置換設備、撹拌機、温度計、還流冷却管、加熱装置等の備わった重合反応層に、溶媒としてのキシレン200mLを仕込み90℃に保持した。次に、単量体としてのスチレン200mLに重合開始剤としての過酸化ベンゾイル0.2gを混合溶解した溶液を3時間要して滴下した。
滴下終了後、更に1時間90℃で保持した。次に室温まで冷却させ、この溶液を大量のメタノール中に滴下し、生成したポリマーを結晶化させた。結晶化した沈殿物をろ過精製後、110℃で3時間乾燥し、乾燥した粉末状の炭化水素系ポリマーを得た。
このポリマーの分子量をGPCにて測定したところ、Mw124000であった。
次に1000mLフラスコ中にて、先に合成した炭化水素ポリマー150gを1,2−ジクロロエタン500mLに溶解させて60℃で加熱撹拌を行った。その中にクロロスルホン酸を30mL滴下し、60℃で1時間保持した。ここで得られたクロロスルホン化ポリマーを1,2−ジクロロエタンで洗浄し、さらにイオン交換水で洗浄し、室温で1時間イオン交換水に浸漬して水素化した。その後、真空凍結乾燥により粉末状の炭化水素アイオノマー(イオン交換樹脂)を得た。炭化水素アイオノマーを水/エタノール(1/1)溶液に溶解させ5%溶液を作製した。
(比較例の膜電極接合体の製造)
アノード側及びカソード側の拡散防止部材にて採用した炭化水素アイオノマーに代えて炭化フッ素系イオン交換樹脂材料(SS-1100/05、5重量%、旭化成製)とした以外は実施例と同様の構成及び方法にて膜電極接合体を製造し、比較例の膜電極接合体とした。
アノード側及びカソード側の拡散防止部材にて採用した炭化水素アイオノマーに代えて炭化フッ素系イオン交換樹脂材料(SS-1100/05、5重量%、旭化成製)とした以外は実施例と同様の構成及び方法にて膜電極接合体を製造し、比較例の膜電極接合体とした。
(試験)
実施例及び比較例の膜電極接合体を用いてショートスタックを作成し、発電評価を行った。試験条件は、電池温度65℃、水素空気極露点=65/65℃、電流密度0.4A/cm2と0A/cm2との間をそれぞれ3分間、水素利用率75%、空気利用率50%(0.4A/cm2時)で2000時間評価した。2000時間後におけるそれぞれの0.4A/cm2時の電圧は、図2に示すように、実施例が0.739V、比較例が0.706Vであり、実施例の方が性能を維持していることが分かった。また、初期性能は共に0.752Vであり、実施例の構成による初期性能低下はなかった。
実施例及び比較例の膜電極接合体を用いてショートスタックを作成し、発電評価を行った。試験条件は、電池温度65℃、水素空気極露点=65/65℃、電流密度0.4A/cm2と0A/cm2との間をそれぞれ3分間、水素利用率75%、空気利用率50%(0.4A/cm2時)で2000時間評価した。2000時間後におけるそれぞれの0.4A/cm2時の電圧は、図2に示すように、実施例が0.739V、比較例が0.706Vであり、実施例の方が性能を維持していることが分かった。また、初期性能は共に0.752Vであり、実施例の構成による初期性能低下はなかった。
また、各膜電極接合体の断面についてEPMAを用いて測定を行い、電解質膜におけるPtバンドの形成状況を確認した。その結果、図3から明らかなように、実施例の膜電極接合体の電解質膜A1中における触媒のPt析出バンドA2は、比較例の膜電極接合体の電解質膜B1中における触媒のPt析出バンドB2と比較して、非常に少なくなっているのが確認できた。図3においては、電解質膜が実施例ではA1、比較例ではB1に位置し、拡散防止部材及び触媒層が実施例ではA3(アノード:燃料極)及びA4(カソード:空気極)、比較例の相当する部材(触媒層を2層積層したもの)はB3(アノード:燃料極)及びB4(カソード:空気極)に位置し、ガス拡散層が実施例ではA5(アノード:燃料極)及びA6(カソード:空気極)、比較例ではB5(カソード:空気極)に位置している。
以上の結果から、炭化水素アイオノマー(炭化水素イオン交換樹脂材料)を含んだ拡散防止部材を電解質膜及び触媒層の間に介設することにより、Ptが電解質膜に拡散・移動することが抑制でき、耐久性能が向上した。また、電池の初期性能には影響を与えることが無かった。
1…電解質膜 2、3…拡散防止部材 4、5…触媒層 6、7…ガス拡散層
Claims (7)
- 電解質膜と、
前記電解質膜を両面から挟持する1組の触媒層と、
前記1組の触媒層の少なくとも一方と前記電解質膜との間に介設された炭化水素イオン交換樹脂材料を含むイオン交換樹脂材料から形成された拡散防止部材と、を有することを特徴とする膜電極接合体。 - 電解質膜と、
触媒を含み、前記電解質膜を両面から挟持する1組の触媒層と、を有し、
前記1組の触媒層の少なくとも一方は、前記触媒と前記電解質膜との間に配置された炭化水素イオン交換樹脂材料を含むイオン交換樹脂材料から形成された拡散防止部材を含むことを特徴とする膜電極接合体。 - 前記拡散防止部材は触媒を含有する請求項1又は2に記載の膜電極接合体。
- 前記触媒層は炭化フッ素系イオン交換樹脂材料を含む請求項1〜3の何れか1項に記載の膜電極接合体。
- 前記電解質膜は炭化フッ素系イオン交換樹脂材料を含む請求項1〜4の何れか1項に記載の膜電極接合体。
- 炭化水素イオン交換樹脂材料を含むイオン交換樹脂材料溶液を基材の表面に塗布して拡散防止部材を形成する拡散防止部材形成工程と、
電解質膜の少なくとも一方の面に、前記拡散防止部材が形成された前記基材の表面を密着させた後に前記基材を剥離して前記拡散防止部材を転写する転写工程と、
前記拡散防止部材が転写された前記電解質膜の両面に触媒層を形成する触媒層形成工程と、を有することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。 - 触媒を含有する触媒材料を炭化フッ素系イオン交換樹脂材料を含有した状態で造粒して触媒含有粉末を得る造粒工程と、
炭化水素イオン交換樹脂材料を含むイオン交換樹脂材料にて前記触媒含有粉末を被覆する被覆工程と、
前記被覆された触媒含有粉末を製膜して電解質膜の表面に触媒層を形成する触媒層形成工程と、を有することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
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JP2007304634A JP2009129768A (ja) | 2007-11-26 | 2007-11-26 | 膜電極接合体及びその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009081129A (ja) * | 2007-09-07 | 2009-04-16 | Toray Ind Inc | 水素燃料電池用膜電極複合体 |
JP2011070925A (ja) * | 2009-09-25 | 2011-04-07 | Nissan Motor Co Ltd | 電解質膜−電極接合体 |
-
2007
- 2007-11-26 JP JP2007304634A patent/JP2009129768A/ja active Pending
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