JP2009128289A - 原子力プラントの圧力制御方法、その圧力制御装置及び原子力プラントの運転方法 - Google Patents

原子力プラントの圧力制御方法、その圧力制御装置及び原子力プラントの運転方法 Download PDF

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Abstract

【課題】給水温度の低下時で核燃料をさらに効率良く燃焼できる原子力プラントの圧力制御方法を提供する。
【解決手段】1つの運転サイクルは炉心から全制御棒が全引き抜きされた第2期間及びそれより前の第1期間を含む。給水温度が低下される第2期間での原子炉圧力制御を説明する。給水配管の給水温度計21から給水温度測定値T1が温度差分演算装置8に入力される。温度差分演算装置8はT1から第1期間の給水温度設定値T0aを減算し温度偏差ΔT2を求める。温度圧力変換装置7は、第2期間で原子炉圧力を一定に保持する関数を用いて、ΔT2から圧力補正値ΔP1を生成する。加算器4は第1期間の圧力設定値P0aにΔP1を加えて得られる圧力補正設定値AP0aを出力する。減算器5は主蒸気配管の圧力計22の圧力測定値P1からAP0aを減算する。弁開度変換装置9は減算器5の出力を基に蒸気加減弁14の開度を制御する。
【選択図】図2

Description

本発明は、原子力プラントの圧力制御方法、その圧力制御装置及び原子力プラントの運転方法に係り、特に、沸騰水型原子力発電プラントに適用するのに好適な原子力プラントの圧力制御方法、その圧力制御装置及び原子力プラントの運転方法に関する。
原子力プラント、例えば、沸騰水型原子力発電プラントにおいて、運転サイクル末期に給水温度を下げることにより炉心の反応度を増加させ、核燃料を有効に燃焼させることができる(特開平8−233989号公報及び特開2007−232500号公報参照)。
原子炉から吐出される主蒸気流量は、主に原子炉熱出力及び原子炉入口冷却材温度に依存して変化し、原子炉熱出力及び原子炉入口冷却材温度が減少した場合には減少する。原子炉熱出力の変化に対し、原子炉の圧力変動を抑制する制御方法が特開昭61−23995号公報で提案されている。
原子炉の炉心特性は給水温度または原子炉圧力に依存することが知られている。給水温度が減少した場合または原子炉圧力が増加した場合には原子炉熱出力が増加し、その逆の場合には原子炉熱出力が低下する。給水温度の減少または原子炉圧力の増加により原子炉熱出力が増加する理由は、炉心の蒸気体積率(ボイド率)が減少し、中性子を核燃料に含まれる核分裂性物質の核分裂に使用できる低速状態まで効率良く減速できることにある。このような特性を活用し、給水温度変化及び原子炉圧力変化により原子炉熱出力を変化させる運転方法が、特開昭62−204193号公報にて提案されている。
特開平8−233989号公報 特開2007−232500号公報 特開昭62−204193号公報 特開昭61−23995号公報
発明者らは、特開平8−233989号公報及び特開2007−232500号公報に記載されたように給水温度を低下させる制御を行う場合における原子炉の圧力制御について検討を行った。この結果、原子炉熱出力を設定出力に保持し給水温度を減少させるときに、従来の原子炉圧力制御方法を適用すると、原子炉から排出される主蒸気流量の減少により原子炉圧力が減少するという現象が生じることを新たに見出した。原子炉圧力の減少は、炉心の反応度を減少させる方向に寄与し、核燃料の効率的な燃焼を妨げることになる。
本発明の目的は、給水温度の低下時においても核燃料をさらに効率良く燃焼させることができる原子力プラントの圧力制御方法、その圧力制御装置及び原子力プラントの運転方法を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、原子炉の圧力及び原子炉から排出されてタービンに供給される蒸気の圧力のいずれかの圧力を測定し、タービンに供給される蒸気の流量を調節する蒸気加減弁の開度を、原子炉に供給される給水に係る給水温度信号、及び測定により得られた圧力信号に基づいて制御することにある。
蒸気加減弁の開度を、原子炉に供給される給水に係る給水温度信号、及び測定により得られた圧力信号に基づいて制御しているので、給水温度の低下による原子炉圧力の減少を抑制することができ、炉心反応度をさらに増加させることができる。
本発明によれば、給水温度の低下時においても核燃料をさらに効率良く燃焼させることができる。
上記した発明者らの検討結果を以下に詳細に説明する。一般的に原子力発電プラントでは、起動及び停止時を除き、原子炉圧力容器に供給する給水温度は、運転サイクルを通じてほぼ一定である。運転サイクル末期では炉心の反応度が低下し、その反応度が維持できなくなると原子炉熱出力が減少する傾向がある。運転サイクルの期間のうち全制御棒が炉心から全引抜されている期間を、運転サイクル末期という。運転サイクル末期において、給水温度を低下させた場合には炉心の反応度が増加し、核燃料を効率良く燃焼できることが知られている。
従来の原子炉圧力制御方法を用いて運転サイクル末期に給水温度を低下させた場合における、原子炉熱出力、給水温度、主蒸気流量及び原子炉圧力の時系列変化が、図4に模式的に示されている。図4は、給水温度が運転サイクル末期を除き215℃(給水温度はプラントにより184〜215℃と異なるが、国内でプラント数の多いBWR−5型プラント及び最新の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)の給水温度は215℃)で、運転サイクル末期で最終的に給水温度を195℃まで下げると想定した場合の運転例を示している。この運転例では、原子炉熱出力は運転サイクルを通して設定出力である定格出力に保持されているが、運転サイクル末期には原子炉熱出力を減少させることもある。
給水温度は炉心の反応度が十分に高いときには実質的に一定に保持され、原子炉熱出力は制御棒操作及び炉心流量の調節により制御される。炉心の反応度が小さくなった場合には、制御棒操作及び炉心流量の調節だけでは原子炉熱出力を設定出力に保持できなくなるため、給水温度を低下させる。
給水温度を低下させた場合には、炉心内で沸騰がおきづらくなり、蒸気体積率(ボイド率)が低下する。沸騰水型軽水炉(BWR)で一般的に使用されている核燃料(主にウラン235とウラン238の酸化物)では、中性子の速度がある程度遅い方が核分裂を起こしやすくなる。燃料棒の周りの冷却材は、密度の低い気相(蒸気)の状態よりも密度の高い液相(水)の状態の方が、中性子を効率良く減速できる。このため、ボイド率が小さくなる、すなわち、水が多くなると炉心の反応度が増加する。
したがって、運転サイクル末期に給水温度を低下させることによって、炉心の反応度を増加させ、核燃料を効率良く燃焼させることができる。
原子炉熱出力Q(W)が設定出力に一定に保持されている場合、主蒸気流量G(kG/S)の概略値は、原子炉入口冷却材エンタルピHin(J/kG)及び原子炉出口冷却材エンタルピHout(J/kG)に基づいて式(1)で算出できる。
G=Q/(Hout−Hin) …(1)
冷却材エンタルピは、冷却材温度と原子炉圧力によって定まる物性値であり、その圧力が一定の条件下では冷却材の温度と共に増加する。BWRでは、原子炉出口冷却材エンタルピHoutは飽和蒸気のエンタルピでほぼ一定であるため、給水温度が低下して原子炉入口冷却材エンタルピHinが小さくなると主蒸気流量Gは減少することになる。例えば、給水温度が215℃の原子力発電プラントで、運転サイクル末期において給水温度が195℃まで20℃低下すると、主蒸気流量は約5%減少する。
給水温度低下時における原子炉圧力の減少幅は、システムの設計により異なるが、一般的には給水温度を20℃低下させた場合で1%弱である。
図5は、従来の原子炉圧力制御方法を用いた場合での主蒸気流量と原子炉圧力の関係を示している。従来の原子炉圧力制御方法には、原子炉ド−ム圧力を制御する方法、及びタ−ビン入口圧力を制御する方法の2つがある。どちらの制御方法においても、主蒸気流量が減少すると原子炉圧力は小さくなる。この現象は、主蒸気流量の減少時に原子炉圧力を速やかに静定させるために生じる。タ−ビン入口圧力を制御する方法では、原子炉からタ−ビン入口までの圧力損失も主蒸気流量に依存するため、主蒸気流量に対する原子炉圧力の変化が増大する。
なお、原子炉ド−ム圧力を制御する方法はABWRに適用されており、タ−ビン入口圧力を制御する方法はABWR以前のBWRで用いられている。ABWRは原子炉圧力がABWR以前のBWRよりも高いので、図5に示された原子炉ド−ム圧力を制御する方法はタ−ビン入口圧力を制御する方法に比べて原子炉圧力を高くなるように表示している。
以上に述べたように、発明者らは、従来の原子炉圧力制御方法を用いた場合において、給水温度の減少が、主蒸気流量の減少をもたらし、結果的に原子炉圧力の減少につながることを新たに見出した(図4参照)。原子炉圧力の減少により炉心内のボイド率が増加し、炉心の反応度が減少する。このような原子炉圧力の減少は、給水温度の低下による核燃料の燃焼効率の増加を抑制する方向に作用するのである。
発明者らは、新たに見出した従来の問題点、すなわち、給水温度の低下時に原子炉圧力が減少し、炉心内に存在する核燃料の効率の良い燃焼が阻害されるという問題点を改善するために、種々の検討を行った。この検討により、発明者らは、原子炉からタービンに導かれる主蒸気流量を調節する蒸気加減弁の開度を、給水温度に基づいて調節するという対応策を新たに見出した。この対応策によって、運転サイクル末期の給水温度が低下するときにおいても原子炉圧力の減少を抑制することができ、その給水温度低下時において炉心内の核燃料をさらに効率良く燃焼させることができる。この対応策の代表的な2つの例を以下に説明する。
第1の例を図6に示す。この第1の例は、原子力発電プラントの運転サイクル末期において給水温度を低下させ、この給水温度低下時に蒸気加減弁の開度調節により原子炉圧力を一定に保持するように制御する運転例である。図6は、第1の例における、原子炉熱出力、給水温度、主蒸気流量及び原子炉圧力のそれぞれの時系列変化を模式的に示している。第1例は、運転サイクル末期の給水温度低下時に原子炉圧力を一定に保持しているので、その給水温度低下時における原子炉圧力の減少が抑制される。このため、炉心の反応度の低下を抑制でき、炉心内の核燃料をさらに効率良く燃焼できる。
第2の例を図7に示す。この第2の例は、第1の例とは異なり、運転サイクル末期の給水温度低下時に蒸気加減弁の開度調節により原子炉圧力を増加させる運転例である。第1の例と第2の例は、蒸気加減弁の開度の調節度合いが異なる。図7は、第2の例における、原子炉熱出力、給水温度、主蒸気流量及び原子炉圧力のそれぞれの時系列変化を模式的に示している。第2の例は、第1の例よりも核燃料の燃焼効率を増大させるために、運転サイクル末期の給水温度低下時に、原子炉圧力を上昇させている。
上記の給水温度低下時における原子力圧力の上昇幅について説明する。従来の原子炉圧力制御方法でも、原子炉熱出力が上昇したときには原子炉圧力も上昇する。原子炉熱出力がある設定値以上に上昇した場合には、原子炉の健全性を確保するためスクラム(制御棒を一斉に挿入)により原子炉熱出力を低下させる。原子炉熱出力上昇によるスクラム時の原子炉圧力の上昇幅は、発生した事象によって異なるが、一例としては0.2MPa程度である。したがって、給水温度低下時の原子炉圧力の上昇幅は0.2MPa以下にすれば良い。
本発明の好適な一実施例である実施例1の原子炉圧力制御装置を、図1〜図3を用いて以下に説明する。本実施例の原子炉圧力制御装置1は、沸騰水型原子力発電プラントに適用される。この沸騰水型原子力発電プラントの構成の概要を、まず、説明する。原子炉10は、原子炉圧力容器(以下、RPVという)11、及びRPV11内に設けられた炉心12を有する。炉心12内には、複数の燃料集合体(図示せず)が装荷されている。
RPV11内の冷却水(冷却材)は、炉心12内で燃料集合体に含まれる核燃料物質の核分裂によって発生する熱で加熱され、一部が蒸気になる。この蒸気は、RPV11から排出されて主蒸気配管13を通ってタービン15に供給され、タービン15を回転させる。タービン15に連結された発電機が回転されて電力が発生する。タービン15から排出された蒸気は、復水器16で凝縮されて水になる。この凝縮水である給水が、給水ポンプ19で昇圧され、給水配管17を通ってRPV11に供給される。給水配管17を流れる間、給水は、低圧給水加熱器18及び高圧給水加熱器20によって加熱される。低圧給水加熱器18及び高圧給水加熱器20の加熱源は、主蒸気配管13及びタービン15から抽気される蒸気である。この抽気されて高圧給水加熱器に供給される蒸気の流量を調節することによって、給水配管17内を流れてRPV11に供給される給水の温度が制御される(図10参照)。
蒸気にならなかった大部分の冷却水は、RPV11内に設置された気水分離器(図示せず)によって蒸気から分離される。分離された冷却水は、RPV11と炉心12の間に形成されるダウンカマ(図示せず)内を下降して、RPV11に接続される再循環系配管(図示せず)内に流入する。この流入した冷却水は、再循環系配管に設けられた再循環ポンプ(図示せず)によって昇圧され、ダウンカマ内に配置されたジェットポンプ(図示せず)内に噴出される。このジェットポンプから吐出された冷却水は、炉心12に導かれる。
給水温度計21が高圧給水加熱器20より下流で給水配管17に設置される。タービン15に供給される主蒸気流量を調節する蒸気加減弁14が主蒸気配管13に設けられ、圧力計22も主蒸気配管13に設けられる。温度計21及び圧力計22が原子炉圧力制御装置1の入力端子に接続される。
原子炉圧力制御装置1は、図2に示すように、圧力調整器2、給水温度設定器6、圧力補正信号生成装置25及び弁開度変換装置9を有する。圧力調整器2は、圧力設定器3、加算器4及び減算器5を有する。圧力補正信号生成装置25は温度圧力変換装置7及び温度差分演算装置8を有する。本実施例では、加算器4が圧力設定信号補正装置であり、減算器5及び弁開度変換装置9が開度制御信号生成装置を構成している。
温度差分演算装置8は、給水温度計21及び給水温度設定器6に接続される。温度差分演算装置8は、さらに、温度圧力変換装置7に接続される。加算器4は、温度圧力変換装置7及び圧力設定器3に接続され、さらに、減算器5に接続される。圧力計22は減算器5に接続される。減算器5は弁開度変換装置9に接続される。弁開度変換装置9は蒸気加減弁14に開度制御信号を出力する。
原子炉圧力制御装置1は、従来の原子炉圧力制御装置に、加算器4及び圧力補正信号生成装置25を追加した構成を有する。
ある1つの運転サイクルにおけるBWRの運転について説明する。原子炉の運転開始後、原子炉10は、炉心12から制御棒(図示せず)が引き抜かれることにより、臨界状態になって昇温昇圧が行われる。制御棒の引き抜き操作は、RPV11の底部に設けられた制御棒駆動機構(図示せず)により行われる。原子炉10の圧力及び原子炉10内の冷却水の温度がそれぞれ設定値に達した後、制御棒の引き抜き操作及び炉心12に供給される冷却水の流量(炉心流量)の制御によって、原子炉熱出力は、定格出力(100%出力)まで、上昇される。炉心流量の制御は、前述の再循環ポンプの回転数を調節することによって行われる。炉心流量が増大すると、原子炉熱出力は上昇する。原子炉熱出力が定格出力に達した後、再循環ポンプによる炉心流量の調整(増大または減少)によって原子炉熱出力は定格出力に保持される。
炉心流量の調整により原子炉熱出力が定格出力に保持できなくなったとき(例えば、炉心流量が100%まで増加したとき)、炉心流量がミニマムフローまで減少されて、炉心12から制御棒を引き抜く制御棒パターンチェンジが行われる。炉心流量がミニマムフローまで減少されたとき、原子炉熱出力は、例えば60%出力まで低下される。制御棒パターンチェンジが終了した後、炉心流量が増加され、原子炉熱出力は定格出力まで上昇される。その後、原子炉熱出力は、炉心流量が100%に達するまで、定格出力に保持される。上記の制御棒パターンチェンジが必要回数実行され、原子炉10は定格出力での運転を継続する。1つの運転サイクルにおいて、最後の制御棒パターンチェンジが実行されたとき、炉心12から全制御棒が全引き抜きされた状態になる。炉心12から全制御棒が全引き抜きされた状態になってから、原子炉10の運転が停止されるまでの期間が、運転サイクル末期(以下、第2期間という)である(図6参照)。
原子炉熱出力が定格出力に達してから、上記の最後の制御棒パターンチェンジが実行されるまでの期間は、少なくとも1本の制御棒が炉心12に挿入されており、運転サイクルの大部分を占めており、便宜的に第1期間という(図6参照)。この第1期間では、給水温度、原子炉圧力及び主蒸気流量がそれぞれ実質的に一定に保持される。主蒸気流量は、原子炉熱出力を定格出力に保持することによって、定格の主蒸気流量(100%主蒸気流量)に保持される。第1期間における給水温度及び原子炉圧力の各制御について説明する。
まず、給水温度制御について説明する。本実施例の原子炉圧力制御装置1が適用される沸騰水型原子力発電プラントは、図1に記載されていないが、図10に示すタービン15と高圧給水加熱器20に接続された抽気管26、抽気管26に設けられた抽気流量調節弁27、給水温度制御装置23及び抽気流量制御装置24を備えている。第1期間において、給水温度制御装置23は、給水温度の制御を行わない。原子炉の圧力がほぼ一定に制御されているため、抽気管26を通る抽気蒸気の圧力も第1期間中はほぼ一定値である。このことは、抽気蒸気の飽和温度もほぼ一定であることを意味する。この抽気蒸気によって加熱される給水の温度は、抽気蒸気の飽和温度に強く依存する傾向を持つため、特別な制御無しに給水温度は実質的に215℃に保持される。
第1期間における原子炉圧力制御について説明する。本実施例の原子炉圧力制御は、タ−ビン入口圧力を制御する方法である。温度圧力変換装置7は、図3に示す関数f1(給水温度低下時に原子炉圧力を一定に保持する関数)及び関数f2(給水温度上昇時に原子炉圧力を調整しない関数)を記憶している。なお、関数f1及びf4は、温度0℃及び圧力0MPaを通る傾きが同じ関数である。図3の横軸は温度(温度差分演算装置8の出力である温度偏差ΔT2)を示し、その縦軸は圧力を示している。関数f1は、給水温度を215℃から195℃まで20℃低下させたときに、従来の圧力制御方法において原子炉圧力が0.05MPa低下すると仮定し、第2期間における原子炉圧力を一定に保持するための関数である。
給水温度計21で測定された、高圧給水加熱器20の下流での給水温度の測定値T1、及び圧力計22で測定された主蒸気配管13内の主蒸気の圧力の測定値(圧力信号)P1は、それぞれ、原子炉圧力制御装置1に入力される。具体的には、給水温度の測定値T1は温度差分演算装置8に入力され、圧力測定値は減算器5に入力される。測定値T1は、給水に係る給水温度信号である。
温度差分演算装置8は、給水温度の測定値T1から、給水温度設定器6に設定されている第1給水温度設定値T0a(例えば215℃)を減算する。前述のように給水温度は実質的に215℃である。このため、温度差分演算装置8の出力である温度偏差ΔT2(=T1−T0a=0)は0℃となる。温度圧力変換装置7は、後述するように、その温度偏差ΔT2に基づいて圧力補正値(圧力補正情報)ΔP1を生成する。温度圧力変換装置7は、温度差分演算装置8から0℃を入力するので、0MPa(=ΔP1)を出力する。温度圧力変換装置7からの圧力補正値ΔP1(=0MPa)は加算器4に入力される。加算器4は、圧力補正値ΔP1と圧力設定器3の出力である圧力設定値P0aを加算して得られる圧力補正設定値(圧力設定補正信号)AP0a(=P0a+ΔP1)を出力する。圧力設定器3は、例えば、原子炉10の定格出力運転時、すなわち、主蒸気流量100%運転時におけるタービン入口圧力P0aから適切な圧力を減じた圧力P0a’を、圧力設定値(以下、タービン入口圧力設定値という)として設定している。タービン入口圧力P0aは、図5に示す特性のうち一点鎖線で示される特性の主蒸気流量100%に対する値である。温度圧力変換装置7の出力が0MPaであるので、加算器4は、タービン入口圧力設定値P0a’を圧力補正値ΔP1で実質的に補正せずそのまま圧力補正設定値AP0a(=P0a’)として出力する。加算器4から出力された圧力補正設定値AP0a(=P0a’)は加算器5に入力される。加算器5は、圧力測定値P1及び圧力補正設定値AP0aを入力して圧力測定値P1から圧力補正設定値AP0aを減算し、圧力偏差値ΔP2a(=P1−AP0a)を出力する。弁開度変換装置9は、圧力偏差値ΔP2aに基づいて蒸気加減弁14の開度調整量(開度制御信号)を求め、この弁開度調節量に基づいて蒸気加減弁14の開度を制御する。すなわち、圧力測定値P1が大きくΔP2aが大きければ蒸気加減弁14の開度を大きくし、圧力測定値P1が小さくΔP2aが小さければ蒸気加減弁14の開度を小さくする。このため、タービン入口の圧力(圧力計22の圧力測定値P1)がタービン入口圧力設定値P0a’になるように調節される。この圧力制御により、原子炉10の圧力は図5に示された二点鎖線によって定まる主蒸気流量100%に対する値となり、この値に第1期間の原子炉圧力が保持される。
次に、第2期間における給水温度制御及び原子炉圧力制御について説明する。第2期間の給水温度制御は、例えば、第2期間直前の215℃から195℃に向って徐々に減少するように設定された第2給水温度設定値T0bを用いて行われる。給水温度制御装置23は、このように温度が徐々に低下する第2給水温度設定値T0bを抽気流量制御装置24に出力する。抽気流量制御装置24がそのような第2給水温度設定値T0bに基づいて抽気流量調節弁27の開度を制御するので、第2期間における給水温度は、第2期間直前の215℃から徐々に低下し、原子炉10の運転停止直前では195℃になる。
第2期間における原子炉圧力制御について説明する。第1期間における原子炉圧量制御と同じように、給水温度計21で測定された給水温度測定値T1、及び圧力計22で測定された圧力測定値P1が、それぞれ、原子炉圧力制御装置1に入力される。給水温度測定値T1は、第2期間における上記の給水温度制御により、215℃未満に低下する。温度差分演算装置8は、給水温度測定値T1から、給水温度設定器6に設定されている第1給水温度設定値T0a(例えば215℃)を減算する。第2期間における給水温度が215℃未満になっているので、温度差分演算装置8で算出される温度偏差ΔT2は(T1−T0a)<0となる。この温度偏差ΔT2は、温度圧力変換装置7は、関数f1を用いて、その温度偏差ΔT2を圧力補正値ΔP1(>0)に変換する。すなわち、圧力補正値(圧力補正信号)ΔP1(>0)が生成される。このようにして、圧力補正信号生成装置25は圧力補正値ΔP1を生成する。加算器4は、圧力補正設定値AP0a(=P0a+ΔP1)を算出する。温度圧力変換装置7から入力する圧力補正値ΔP1が0より大きな正の値であるので、得られた圧力補正設定値AP0aは、圧力設定器3に設定されたタービン入口圧力設定値P0a’よりも大きくなる。加算器5は、算出した圧力偏差値ΔP2a(=P1−AP0a)を弁開度変換装置9に出力する。弁開度変換装置9は、圧力偏差値ΔP2aに基づいて生成される弁開度調節量(開度制御信号)により蒸気加減弁14の開度を制御する。第2期間では、給水温度低下によって主蒸気流量は減少する。主蒸気加減弁14の開度が同じであるとの条件下で主蒸気流量が少なくなると、蒸気が主蒸気加減弁14を通過するときの抵抗が小さいため、RPV11内の蒸気がより多く流出する。給水温度による圧力補正値ΔP1の生成を行わない場合には、その理由により原子炉の圧力が低下する。給水温度による圧力補正を実施することで、圧力補正設定値AP0aが増加するため、圧力偏差値ΔP2aは減少し、主蒸気加減弁14の開度が小さくなる。このため、原子炉の圧力低下を抑制できる。圧力補正設定値AP0aは、給水温度測定値T1が第1給水温度設定値T0aよりも小さくなるほど大きくなる。このため、第2期間における原子炉圧力は実質的に一定に保持される。
以上の圧力制御により、原子炉10の圧力は図5に示された二点鎖線によって定まる主蒸気流量100%に対する値になる。第2期間における原子炉圧力は、第1期間と同様に、この値に保持される。
上記の第2期間における原子炉圧力制御を、数値の一例を用いて、すなわち、給水温度が20℃低下して195℃になった場合について述べる。原子炉圧力制御装置1の温度差分演算装置8は、温度偏差ΔT2として−20℃(=195℃−215℃)を出力する。この温度偏差ΔT2を入力した温度圧力変換装置7は、関数f1を用いて温度偏差ΔT2をΔP1である+0.05MPaに変換する。このため、加算器4は、(P0a’+0.05)MPa(=AP0a)を出力する。さらに、減算器5から出力される圧力偏差値ΔP2aは、P1−(P0a+0.05)となる。弁開度変換装置9は、圧力偏差値ΔP2aであるP1−(P0a+0.05)を用いて蒸気加減弁14の開度を制御する。
加算器4、給水温度設定器6、温度圧力変換装置7及び温度差分演算装置8を有していない従来の原子炉圧力制御装置を用いた原子炉圧力制御では、給水温度が20℃低下することにより原子炉圧力が0.05MPa低下する。しかしながら、本実施例の原子炉圧力制御は、給水温度測定値T1(=195℃)に基づいて得られる温度偏差ΔT2を入力する温度圧力変換装置7から+0.05MPaのΔP1が出力されるので、圧力補正設定値AP0aを圧力設定値P0aよりも+0.05だけ増大することができる。本実施例の原子炉圧力制御は、そのような圧力補正設定値AP0aを用いることによって、従来の原子炉圧力制御で生じる0.05MPaの原子炉圧力の低下を相殺することができる。したがって、本実施例は、給水温度を低下させる制御を行う第2期間において、原子炉圧力を、第1期間と同じ原子炉圧力に保持することができる。
本実施例では、第2期間において給水温度を低下させる場合には関数f1を用いているが、逆に、温度差分演算装置8からの温度偏差ΔT2が正の値になる場合、すなわち、給水温度を上昇させる場合には、温度圧力変換装置7に記憶されている関数f2(図3参照)を用いる。この場合には、必ずしも、タービン入口圧力設定値P0a’を補正する必要はない。したがって、関数f2のように、温度差分演算装置8から出力される温度偏差ΔT2が正の値になる範囲では、温度圧力変換装置7から出力されるΔP1は0になる。ただし、給水温度が上がると原子炉熱出力が一定に保持されている場合でも主蒸気流量増加によって原子炉圧力が増加する。このため、給水温度が上昇する場合でも、原子炉圧力の増加を抑制する目的で、給水温度上昇時にもタービン入口圧力設定値P0a’を補正しても良い。この場合には、温度差分演算装置8から出力される温度偏差ΔT2が正の値になる範囲では、図3において破線で示す関数を用いて温度圧力変換装置7から負のΔP1を出力する。
本実施例は、運転サイクル末期である第2期間において、給水温度を低下させているので、炉心の反応度が増加し、炉心12内の核燃料を効率良く燃焼させることができる。
本実施例は、給水温度測定値T1に基づいてタービン入口圧力設定値P0a’を補正し、補正された設定値に基づいて蒸気加減弁14の開度を制御するので、第2期間、すなわち、給水温度を低下させる期間において、給水温度の低下による原子炉圧力の減少を抑制することができる。このため、本実施例は、原子炉圧力の減少抑制効果により、第2期間で単に給水温度を低下した場合よりも、炉心反応度をさらに増加させることができる。このため、単に給水温度を低下した場合に比べて、第2期間における炉心12内の核燃料をさらに効率良く燃焼させることができる。既存の沸騰水型原子力プラントに本実施例の原子炉圧力制御装置を適用する場合であってこの原子炉圧力制御装置がプログラム化されている場合には、本実施例は、既存の圧力設定器3の定数である圧力設定値を補正する機能を付加すればよいので、既存の原子炉圧力制御装置の改造が容易である。
本実施例は、圧力補正信号生成装置25を有するので、タービン入口圧力設定値P0a’の補正に用いる圧力補正値ΔP1を簡単に生成することができる。このため、タービン入口圧力設定値P0a’の補正が圧力補正値ΔP1を用いて容易に行うことができる。
以上に述べた本実施例の原子炉圧力制御装置1は、圧力測定値(圧力信号)P1に基づいて得られる、タービン15に供給される蒸気の流量を調節する蒸気加減弁14の開度を、給水の温度測定値T1により補正して、開度制御信号を生成し、この開度制御信号に基づいて蒸気加減弁14の開度を制御する構成を有する。後述の実施例2及び3の原子炉圧力制御装置1A及び1Bも、同様な開度制御の構成を有する。
沸騰水型原子力発電プラントでは、給水温度の低下を意図していない場合であっても、給水温度が完全には一定に保持されない。意図していない僅かな給水温度の変化に対しては、必ずしも給水温度を考慮して原子炉圧力を制御する必要がない。この原子力圧力制御は、給水温度を減少させる制御時においては、温度差分演算装置8の出力である温度偏差ΔT2が、0℃からある温度だけ低い第1温度以下になったときに、タービン入口圧力設定値P0a’を給水温度測定値T1で補正することによって可能になる。また、給水温度を減少させる制御時においては、温度差分演算装置8の出力である温度偏差ΔT2が、0℃からある温度だけ高い第2温度以上になったときに、タービン入口圧力設定値P0a’を給水温度測定値T1で補正することによって、意図しない僅かな給水温度変化に対応した原子炉圧力制御が可能になる。一般的な沸騰水型原子力発電プラントでは、最終段の高圧給水加熱器20の出口において、給水を加熱する蒸気と、加熱される給水の温度差を5℃程度見込んでいる。
第2期間で給水温度を低下させる本実施例では、温度圧力変換装置8は、図3に示す関数f1に基づいて、温度偏差ΔT2を圧力補正値ΔP1に変換する。このような本実施例は、第2期間では、温度偏差ΔT2が−5℃(第1温度)以下になったとき、温度圧力変換装置8が関数f1に対応した正の圧力値を有する圧力補正値ΔP1を加算器4に出力する。温度圧力変換装置8は、−5℃<ΔT2≦0℃の場合には圧力補正値ΔP1として0MPaを出力する。本実施例は、−5℃<ΔT2≦0℃の範囲において圧力が0MPaとなる不感帯を形成しているので、意図しない僅かな給水温度の変化に対してタービン入口圧力設定値P0a’の補正が行われない。
給水温度を上昇させる場合の原子炉圧力制御は、温度圧力変換装置8が、図3に示す関数f4に基づいて、温度偏差ΔT2を圧力補正値ΔP1に変換することによって行われる。このような関数f4を用いることによって、給水温度を上昇させる場合においては、温度偏差ΔT2が5℃(第2温度)以上になったとき、温度圧力変換装置8が関数f4に対応した正の圧力値を有する圧力補正値ΔP1を加算器4に出力する。温度圧力変換装置8は、0℃≦ΔT2<5℃の場合には圧力補正値ΔP1として0MPaを出力する。この例は、0℃≦ΔT2<5℃の範囲において圧力が0MPaとなる不感帯を形成しているので、意図しない僅かな給水温度の変化に対してタービン入口圧力設定値P0a’の補正が行われない。
温度圧力変換装置8が上記したように温度偏差ΔT2を圧力に変換する際に不感帯を形成した変換関数を用いることは、後述の実施例2〜6の各実施例に適用することが可能である。
給水配管17に複数の給水温度計が設置されている場合には、最も下流に位置している給水温度計の測定値T1を原子炉圧力制御装置1に入力することが望ましい。
図2には原子炉圧力制御装置1をハードイメージで記載しているが、図2に示した原子炉圧力制御装置1の機能をプログラム化し、この制御プログラムをコンピュータで実行し、本実施例の原子炉圧力制御を行ってもよい。
本発明の他の実施例である実施例2の原子炉圧力制御装置を、図8を用いて以下に説明する。本実施例の原子炉圧力制御装置1Aは、温度圧力変換装置7の出力である圧力補正値ΔP1を用いて圧力測定値P1を補正する構成を有している。
原子炉圧力制御装置1Aは、加算器4が圧力計22、温度圧力変換装置7及び減算器5に接続され、圧力設定器3が減算器5に直接接続されている部分が、原子炉圧力制御装置1と異なっている。原子炉圧力制御装置1Aは、圧力設定器3及び減算器5を有する圧力調節器2Aを備えている。本実施例では、加算器4は圧力信号補正装置であり、減算器5及び弁開度変換装置9が開度制御信号生成装置を構成する。原子炉圧力制御装置1Aの他の構成は、原子炉圧力制御装置1と同じである。加算器4は、圧力測定値P1に、温度圧力変換装置7から出力された圧力補正値ΔP1を加算し、圧力測定値P1を補正する。得られた圧力補正値AP1が減算器5に入力される。減算器5は、圧力補正値AP1からタービン入口圧力設定値P0a’を減算し、圧力偏差値ΔP2a(=AP1−P0a’)を出力する。弁開度変換装置9は、圧力偏差値ΔP2aに基づいて生成される弁開度調節量(開度制御信号)により蒸気加減弁14の開度を制御する。
本実施例も、給水温度の低下による原子炉圧力の減少を抑制することができ、実施例1で生じる効果を得ることができる。既存の沸騰水型原子力プラントに本実施例の原子炉圧力制御装置を適用する場合であってこの原子炉圧力制御装置の圧力調整器が物理的な回路構成になっている場合には、本実施例は、圧力調整器2Aの外で圧力測定値P1を補正しているので、既存の圧力調整器の改造が不要になり、改造範囲を限定することができる。
本発明の他の実施例である実施例3の原子炉圧力制御装置を、図9を用いて以下に説明する。本実施例の原子炉圧力制御装置1Bは、温度圧力変換装置7の出力である圧力ΔPを用いて、弁開度変換装置9から出力される弁開度調節量を補正する構成を有している。
原子炉圧力制御装置1Bは、加算器4を温度圧力変換装置7及び弁開度変換装置9に接続しており、圧力設定器3が減算器5に直接接続されている部分が、原子炉圧力制御装置1と異なっている。本実施例では、減算器5及び弁開度変換装置9が開度調節信号生成装置を構成し、加算器4が開度制御信号生成装置である。原子炉圧力制御装置1Bも、圧力設定器3及び減算器5を有する圧力調節器2Aを備えている。原子炉圧力制御装置1Bの他の構成は、原子炉圧力制御装置1と同じである。減算器5は、圧力測定値P1から圧力設定器3の出力であるタービン入口圧力設定値P0a’を減算して得られた圧力偏差値ΔP2aを出力する。弁開度変換装置9は、圧力偏差値ΔP2aに基づいて弁開度調節量(開度調節信号)を求め、この弁開度調節量を加算器4に出力する。加算器4は、温度圧力変換装置7から出力された圧力補正値ΔP1にその弁開度調節量を加算して(補正して)得られた補正弁開度調節量を出力する。蒸気加減弁14の開度は、補正弁開度調節量に基づいて制御される。本実施例では、補正弁開度調節量が開度制御信号である。
本実施例も、給水温度の低下による原子炉圧力の減少を抑制することができ、実施例1で生じる効果を得ることができる。既存の沸騰水型原子力プラントに本実施例の原子炉圧力制御装置を適用する場合であってこの原子炉圧力制御装置の圧力調整器が物理的な回路構成になっている場合には、本実施例は、圧力調整器2Aの外で圧力測定値P1を補正しているので、既存の圧力調整器の改造が不要になり、既存の原子炉圧力制御装置において改造範囲を限定することができる。また、本実施例は、弁開度変換装置9の出力を圧力補正信号生成装置25の出力で補正するので、既存の原子炉圧力制御装置全体が物理回路として構成されている場合には、改造範囲が実施例1及び2における改造範囲よりも狭くなる。
本発明の他の実施例である実施例4の原子炉圧力制御装置を、図10を用いて以下に説明する。本実施例の原子炉圧力制御装置1は、実施例1の原子炉圧力制御装置1と同じ構成を有しており、温度差分演算装置8が給水温度計21ではなく給水温度制御装置23に接続されている。温度差分演算装置8は、給水温度制御装置23から出力される第1給水温度設定値T0a及び第2給水温度設定値T0bを入力する。
本実施例の原子炉圧力制御装置1が適用される沸騰水型原子力発電プラントは、実施例1で述べたように、タービン15と高圧給水加熱器20に接続された抽気管26、抽気管26に設けられた抽気流量調節弁27、給水温度制御装置23及び抽気流量制御装置24を備えている。第1期間及び第2期間におけるそれぞれの給水温度制御は、給水温度制御装置23を用いて実施例1と同様に行われる。
本実施例における第1期間及び第2期間での各原子炉圧力制御を以下に説明する。第1期間では、第1給水温度設定値T0aが給水温度制御装置23から温度差分演算装置8に入力されるので、温度差分演算装置8から出力される温度偏差ΔT2は0℃になる。したがって、実施例1で述べたように、加算器4はタービン入口圧力設定値P0a’を圧力補正設定値AP0aとしてそのまま出力する。弁開度変換装置9は、減算器5から入力する圧力偏差値ΔP2a(=P1−P0a’)に基づいて、開度制御信号である圧力偏差値ΔP2aを出力する。蒸気加減弁14の開度はこの圧力偏差値ΔP2aに基づいて制御され、結果として原子炉圧力が制御される。本実施例では、第1給水温度設定値T0aが給水に係る給水温度信号である。
第2期間の原子炉圧力制御は、給水温度制御装置23から第2給水温度設定値T0bを温度差分演算装置8に入力することによって行われる。第2給水温度設定値T0bは、給水温度設定器6から温度差分演算装置8に入力される第1給水温度設定値T0aよりも小さいので、温度偏差ΔT2は負の値になる。温度圧力変換装置7は、負の温度偏差ΔT2を、関数f1を用いて変換し、正の圧力補正値ΔP1を出力する。したがって、加算器4、減算器5及び弁開度変換装置9は、実施例1の第2期間における原子炉圧力制御と同様に機能し、第2期間における原子炉圧力を、第1期間における原子炉圧力と同じ圧力で実質的に一定に保持される。
本実施例は、実施例1で生じる効果を得ることができる。本実施例は、意図しない給水温度変化により原子炉圧力制御方法が変わる可能性を排除できる。本実施例においては、第2期間において給水温度制御装置23から出力される第2給水温度設定値T0bが変更されてから、実際に給水配管17内を流れる給水の温度がその設定値T0bまで低下するのにある程度のタイムラグが生じる。給水温度制御装置23から原子炉圧力制御装置1に変更された第2給水温度設定値T0bを送信するときには、このタイムラグを考慮すると良い。
本実施例では、本実施例は、実施例2及び3に適用することができる。すなわち、給水温度制御装置23から出力される第2給水温度設定値T0bを原子炉圧力制御装置1A及び1Bの各温度差分演算装置8に入力することによって、実施例4と同様な原子炉圧力制御を実現することができる。
本発明の他の実施例である実施例5の原子炉圧力制御装置を、図11を用いて以下に説明する。本実施例の原子炉圧力制御装置1は、実施例1の原子炉圧力制御装置1と同じ構成を有しており、加算器5がRPV11に設置された圧力計22Aに接続されている。本実施例の原子炉圧力制御装置1が適用される沸騰水型原子力発電プラントは、主蒸気配管13に圧力計22が設置されていなく、替りに、RPV11に圧力計22Aを設置している。このような構成は、原子炉ド−ム圧力を制御する原子炉圧力制御方法を実現する。ちなみに、実施例1から実施例4は、タ−ビン入口圧力を制御する原子炉圧力制御方法を実現する実施例である。本実施例において、圧力設定器3は、原子炉10の定格出力運転時、すなわち、主蒸気流量100%運転時における原子炉ドーム圧力P0bから適切な圧力を減じたものを圧力設定値(以下、原子炉ドーム圧力設定値という)P0b’として設定している。原子炉ドーム圧力P0bは、図5に示す特性のうち実線で示される特性の主蒸気流量100%に対する値である。
本実施例の原子炉圧力制御装置1が適用される沸騰水型原子力発電プラントは、ABWRを対象にしたプラントである。このプラントは、実施例1で述べた再循環系配管及び再循環ポンプの替りにRPV11の底部にインターナルポンプを設置している以外は図1に示す構成を有する。炉心12への冷却水の供給は、インターナルポンプによって行われる。
本実施例の第1期間及び第2期間における各原子炉圧力制御は、実施例1においてタービン入口圧力設定値P0a’が原子炉ドーム圧力設定値P0b’に替る以外は、実施例1と同じである。特に、加算器4及び減算器5における演算について説明する。
加算器4は、原子炉ドーム圧力設定値P0b’に圧力補正値ΔP1を加算して得られる圧力補正設定値AP0b(=P0b’+ΔP1)を出力する。減算器5は、圧力測定値P1から圧力補正設定値AP0bを減算し、圧力偏差値ΔP2b(=P1−AP0b)を出力する。弁開度変換装置9は、圧力偏差値ΔP2bに基づいて蒸気加減弁14の開度を制御する。本実施例の原子炉圧力制御方法は、第1期間及び第2期間における原子炉圧力を原子炉ドーム圧力設定値P0b’に対応した原子炉圧力に実質的に一定に保持する。本実施例も、実施例1で生じる効果を得ることができる。
実施例2から実施例4において、圧力設定器3に原子炉ドーム圧力設定値P0b’を設定し、減算器5にRPV11に設置した圧力計22Aで得られた圧力測定値を入力することによって、実施例5と同様な原子炉圧力制御を実行することができる。
実施例1から実施例5は、図6に示す前述の第1の例の原子炉圧力制御方法を実現する実施例である。これに対し、図7に示す前述の第2の例の原子炉圧力制御方法を実現する実施例を、以下に説明する。
本実施例の原子炉圧力制御装置は、実施例1の原子炉圧力制御装置1において、温度圧力変換装置7に記憶する関数f1を図3に示す関数f3に替えた構成を有する。本実施例の原子炉圧力制御装置における他の構成は、原子炉圧力制御装置1と同じである。本実施例の原子炉圧力制御装置における圧力設定器3、加算器4、減算器5、給水温度設定器6、温度圧力変換装置7、温度差分演算装置8及び弁開度変換装置9の各機能は、実施例1の原子炉圧力制御装置1のそれらと同じである。圧力設定器3は、タービン入口圧力設定値P0a’を設定している。本実施例は、温度圧力変換装置7に記憶されている関数f3の傾きが原子炉圧力制御装置1の温度圧力変換装置7に記憶されている関数f1の傾きよりも大きいので、同じ値の温度偏差ΔT2に対して温度圧力変換装置7から出力される圧力補正値ΔP1は、ΔT2<0の範囲で、本実施例のほうが大きくなる。このため、本実施例の第2期間における圧力制御において、加算器4から出力される圧力補正設定値AP0aは、実施例1の第2期間で加算器4から出力される圧力補正設定値AP0aよりも大きくなる。本実施例は、図7に示すように、第2期間における原子炉圧力を第1期間における原子炉圧力よりも大きくすることができ、さらに、第2期間の終了時に向って増大させることができる。このような本実施例は、実施例1よりも、炉心12内の核燃料の燃焼効率を増大させることができる。
本実施例で実施される、図7に示す前述の第2の例の原子炉圧力制御方法は、前述の実施例2から実施例5においも、温度圧力変換装置7に関数f1の替りに関数f3を記憶させることによって同様に実現できる。
本実施例において、圧力設定器3に原子炉ドーム圧力設定値P0b’を設定し、減算器5にRPV11に設置した圧力計22Aで得られた圧力測定値を入力することによって、実施例5と同様な原子炉圧力制御を実行することができる。
第2期間における原子炉圧力は、図4に示す従来例よりも大きければ図6に示す実施例1における原子炉圧力よりも低くなるように制御してもよい。このような原子炉圧力制御によって第2期間における核燃料の燃焼効率を従来例よりも大きくすることができる。その原子炉圧力制御は、例えば、原子炉圧力制御装置1において、温度圧力変換装置7に記憶する、温度を圧力に変換する関数を、関数f1の傾きをさらに小さくしかつ傾きが0より大きな関数にすればよい。
本発明の好適な一実施例である原子炉圧力制御装置を適用した沸騰水型原子力発電プラントの構成図である。 図1に示す原子炉圧力制御装置の詳細構成図である。 図2に示す温度圧力変換装置で用いられる温度−圧力変換関数の一例を示す説明図である。 従来の原子炉圧力制御方法を実行した場合における沸騰水型原子力プラントの運転例を示す説明図である。 従来の原子炉圧力制御方法を実行した場合におけるを用いた場合の主蒸気流量とタービン入口圧力及び原子炉圧力の関係を示す特性図である。 本発明の原子炉圧力制御方法の一例を実行した場合における沸騰水型原子力プラントの運転例を示す説明図である。 本発明の原子炉圧力制御方法の他の例を実行した場合における沸騰水型原子力プラントの運転例を示す説明図である。 本発明の他の実施例である実施例2の原子炉圧力制御装置の詳細構成図である。 本発明の他の実施例である実施例3の原子炉圧力制御装置の詳細構成図である。 本発明の他の実施例である実施例4の原子炉圧力制御装置の詳細構成図である。 本発明の他の実施例である実施例5の原子炉圧力制御装置の詳細構成図である。
符号の説明
1,1A,1B…原子炉圧力制御装置、2…圧力調整器、3…圧力設定器、4…加算器、5…減算器、6…給水温度設定器、7…温度圧力変換装置、8…温度差分演算装置、9…弁開度変換装置、10…原子炉、13…主蒸気配管、14…蒸気加減弁、15…タ−ビン、16…復水器、17…給水配管、20…高圧給水加熱器、21…給水温度計、22,22A…圧力計、23…給水温度制御装置、24…抽気流量制御装置、25…圧力補正信号生成装置、26…抽気管、27…抽気流量調節弁。

Claims (25)

  1. 原子炉の圧力及び前記原子炉から排出されてタービンに供給される蒸気の圧力のいずれかの圧力を測定し、前記タービンに供給される前記蒸気の流量を調節する蒸気加減弁の開度を、前記原子炉に供給される給水に係る給水温度信号、及び測定により得られた圧力信号に基づいて制御することを特徴とする原子力プラントの圧力制御方法。
  2. 原子力プラントの一つの運転サイクルが前記給水の温度を減少させる第2期間及びこの第2期間より前の第1期間を含んでおり、前記給水温度信号及び前記圧力信号に基づいた前記蒸気加減弁の開度制御を、前記第2期間において実施する請求項1に記載の原子力プラントの圧力制御方法。
  3. 原子炉の圧力及び前記原子炉から排出されてタービンに供給される蒸気の圧力のいずれかの圧力を測定し、
    測定により得られた圧力信号に基づいて得られる、前記タービンに供給される前記蒸気の流量を調節する蒸気加減弁の開度を、前記原子炉に供給される給水に係る給水温度信号により補正して、開度制御信号を生成し、
    前記開度制御信号に基づいて前記蒸気加減弁の開度を制御することを特徴とする原子力プラントの圧力制御方法。
  4. 原子力プラントの一つの運転サイクルが前記給水の温度を減少させる第2期間及びこの第2期間より前の第1期間を含んでおり、前記補正された開度に基づいた前記蒸気加減弁の開度制御を、前記第2期間において実施する請求項3に記載の原子力プラントの圧力制御方法。
  5. 前記第1期間は前記原子炉の炉心に制御棒が挿入されている期間であり、前記第2期間は前記炉心から全制御棒が全引抜されている期間である請求項2または請求項4に記載の原子力プラントの圧力制御方法。
  6. 前記給水温度信号は、前記給水の温度を測定して得られる給水温度信号、及び前記給水温度の制御に用いられる、給水温度制御装置から出力される給水温度設定信号のいずれかである請求項1または請求項3に記載の原子力プラントの圧力制御方法。
  7. 前記給水温度信号は、前記第2期間において前記給水の温度を測定して得られる給水温度信号、及び前記第2期間における前記給水温度の制御に用いられる、給水温度制御装置から出力される給水温度設定信号のいずれかである請求項2または請求項4に記載の原子力プラントの圧力制御方法。
  8. 前記開度制御信号の生成は、前記給水温度信号に基づいて前記第1期間における原子炉圧力制御に用いられる圧力設定信号を補正し、補正された圧力設定信号、及び測定により得られた前記圧力信号に基づいて行われる請求項4に記載の原子力プラントの圧力制御方法。
  9. 前記圧力設定信号の補正は、前記給水温度信号及び前記第1期間における給水温度設定信号に基づいて圧力補正信号を生成し、前記圧力補正信号に基づいて前記圧力設定信号を補正することによって行われる請求項8に記載の原子力プラントの圧力制御方法。
  10. 前記開度制御信号の生成は、前記給水温度信号に基づいて測定により得られた前記圧力信号を補正し、補正された前記圧力信号、及び前記第1期間における原子炉圧力制御に用いられる圧力設定信号に基づいて行われる請求項4に記載の原子力プラントの圧力制御方法。
  11. 前記圧力信号の補正は、前記給水温度信号及び前記第1期間における給水温度設定信号に基づいて圧力補正信号を生成し、前記圧力補正信号に基づいて前記圧力信号を補正することによって行われる請求項10に記載の原子力プラントの圧力制御方法。
  12. 前記開度制御信号の生成は、測定された前記圧力信号及び前記第1期間における原子炉圧力制御に用いられる圧力設定信号に基づいて前記蒸気加減弁の弁開度調節信号を生成し、前記給水温度信号に基づいて前記弁開度調節信号を補正することによって行われる請求項4に記載の原子力プラントの圧力制御方法。
  13. 前記圧力設定信号の補正は、前記給水温度信号及び前記第1期間における給水温度設定信号に基づいて圧力補正信号を生成し、前記圧力補正信号に基づいて前記弁開度調節信号を補正することによって行われる請求項12に記載の原子力プラントの圧力制御方法。
  14. 前記第2期間における原子炉圧力が実質的に一定になるように、前記蒸気加減弁の開度制御が行われる請求項2または請求項4に記載の原子力プラントの圧力制御方法。
  15. 前記第2期間における原子炉圧力が前記第2期間の終了時点に向かって増加するように、前記蒸気加減弁の開度制御が行われる請求項2または請求項4に記載の原子力プラントの圧力制御方法。
  16. 前記圧力補正信号の生成は、温度と圧力の関数情報、前記給水温度信号及び前記給水温度設定信号を用いて行われる請求項9、請求項11及び請求項13のいずれか1項に記載の原子力プラントの圧力制御方法。
  17. 前記関数情報は、前記給水温度信号と前記給水温度設定信号の差の絶対値が0℃以上5℃未満であるとき、前記圧力補正信号を0にする関数情報である請求項16に記載の原子力プラントの圧力制御方法。
  18. 原子炉の圧力及び前記原子炉から排出されてタービンに供給される蒸気の圧力のいずれかを測定することによって得られる圧力信号、及び前記原子炉に供給される給水に係る給水温度信号をそれぞれ入力し、前記タービンに供給される前記蒸気の流量を調節する蒸気加減弁の開度を制御する開度制御信号を、入力する前記給水温度信号及び前記圧力信号に基づいて生成することを特徴とする原子力プラントの圧力制御装置。
  19. 原子炉の圧力及び前記原子炉から排出されてタービンに供給される蒸気の圧力のいずれかを測定することによって得られる圧力信号、及び前記原子炉に供給される給水に係る給水温度信号をそれぞれ入力し、入力する前記圧力信号に基づいて得られる、前記タービンに供給される前記蒸気の流量を調節する蒸気加減弁の開度を、入力する前記給水温度信号に基づいて補正することによって、前記蒸気加減弁の開度を制御する開度制御信号を生成することを特徴とする原子力プラントの圧力制御装置。
  20. 前記蒸気加減弁の開度の補正による前記開度制御信号の生成を行う、圧力補正信号生成装置、圧力設定信号補正装置及び開度制御信号生成装置を備え、
    前記圧力補正信号生成装置が、前記給水の温度を減少させる第2期間及びこの第2期間より前の第1期間を含む原子力プラントの一つの運転サイクルにおける前記第2期間での前記給水温度の制御に用いられる給水温度設定信号、及び前記給水温度信号に基づいて、圧力補正信号を生成し、
    前記圧力設定信号補正装置が、前記第1期間における原子炉圧力制御に用いられる圧力設定信号を前記圧力補正信号に基づいて補正することにより圧力設定補正信号を生成し、
    前記開度制御信号生成装置が、前記圧力設定補正信号及び入力する前記圧力信号に基づいて前記開度制御信号を生成する請求項19に記載の原子力プラントの圧力制御装置。
  21. 前記蒸気加減弁の開度の補正による前記開度制御信号の生成を行う、圧力補正信号生成装置、圧力信号補正装置及び開度制御信号生成装置を備え、
    前記圧力補正信号生成装置が、前記給水の温度を減少させる第2期間及びこの第2期間より前の第1期間を含む原子力プラントの一つの運転サイクルにおける前記第2期間での前記給水温度の制御に用いられる給水温度設定信号、及び前記給水温度信号に基づいて、圧力補正信号を生成し、
    前記圧力信号補正装置が、入力する前記圧力信号を前記圧力補正信号に基づいて補正することにより補正された圧力信号を生成し、
    前記開度制御信号生成装置が、前記補正された圧力信号及び前記第1期間における原子炉圧力制御に用いられる圧力設定信号に基づいて前記開度制御信号を生成する請求項19に記載の原子力プラントの圧力制御装置。
  22. 前記蒸気加減弁の開度の補正による前記開度制御信号の生成を行う、圧力補正信号生成装置、開度調節信号生成装置及び開度制御信号生成装置を備え、
    前記圧力補正信号生成装置が、前記給水の温度を減少させる第2期間及びこの第2期間より前の第1期間を含む原子力プラントの一つの運転サイクルにおける前記第2期間での前記給水温度の制御に用いられる給水温度設定信号、及び前記給水温度信号に基づいて、圧力補正信号を生成し、
    前記開度調節信号生成装置が、入力する前記圧力信号及び前記第1期間における原子炉圧力制御に用いられる圧力設定信号に基づいて前記蒸気加減弁の開度調節信号を生成し、
    前記開度制御信号生成装置が、前記開度調節信号を前記圧力補正信号に基づいて補正することによって前記開度制御信号を生成する請求項19に記載の原子力プラントの圧力制御装置。
  23. 前記給水温度信号は、前記第2期間において前記給水の温度を測定して得られる給水温度信号、及び前記第2期間における前記給水温度の制御に用いられる、給水温度制御装置から出力される給水温度設定信号のいずれかである請求項20ないし請求項22のいずれか1項に記載の原子力プラントの圧力制御装置。
  24. 原子炉に供給する給水の温度を減少させる第2期間及びこの第2期間より前の第1期間を含む原子力プラントの一つの運転サイクルにおける前記第1期間では、前記給水の温度及び前記原子炉の圧力が実質的に一定に保持され、
    前記第2期間では、前記原子炉からタービンに供給される蒸気の流量を調節する蒸気加減弁の開度を、前記原子炉の圧力及び前記原子炉から排出されてタービンに供給される蒸気の圧力のいずれかを測定することによって得られる圧力信号、及び前記給水に係る給水温度信号に基づいて制御することを特徴とする原子力プラントの運転方法。
  25. 原子炉に供給する給水の温度を減少させる第2期間及びこの第2期間より前の第1期間を含む原子力プラントの一つの運転サイクルにおける前記第1期間では、前記給水の温度及び前記原子炉の圧力が実質的に一定に保持され、
    前記第2期間では、前記原子炉の圧力及び前記原子炉から排出されてタービンに供給される蒸気の圧力のいずれかの測定によって得られた圧力信号に基づいて得られる、前記蒸気の流量を調節する蒸気加減弁の開度を、前記原子炉に供給される給水に係る給水温度信号により補正して、開度制御信号を生成し、
    前記開度制御信号に基づいて前記蒸気加減弁の開度を制御することを特徴とする原子力プラントの運転方法。
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