JP7434559B2 - 原子力発電所を制御する方法および制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、加圧水型原子炉を含む原子力発電所を制御するための方法に関する。
さらに本発明は、原子力発電所用の制御装置に関する。
配電網は、複数のタイプのエネルギ源で生成された電気エネルギの供給を受ける。
詳細には、例えば風力および太陽エネルギなどの再生可能なエネルギ源は、かなり不安定である。
したがって、配電網を安定化する目的で配電網の調節に、原子力発電所もまたさらに一層関与すべきである。
配電網の調節は、いくつかの配電網調節モード、すなわちネットワーク周波数をサポートするために数秒内の即時出力変更を提供する一次制御、追加のまたはより少ないエネルギに対する要求が遠隔指令され、遅くても15分以内に電気エネルギ変更を提供しなければならない二次制御または負荷追従運転、によって行なわれる。
三次制御モードは、出力の中期および長期修正を提供する。
現在、異なる調節モードについての原子力発電所の使用は、かなり複雑である。
例えば、原子力発電所事業者は、過去の経験に基づいてキセノン反応度を推定する。
欧州特許出願公開第0540951号明細書は、負荷追従運転中のホウ素濃度を最小限に抑えるように原子炉を制御するための方法および装置を開示している。
これに関して、主たる焦点は、ホウ酸および脱イオン水の注入を最小限に抑えるという目的と組合わせた、負荷追従運転中の軸方向出力分布および対応する軸方向キセノン振動の制御に合わせられる。
独国特許出願公開第102017205553号明細書は、負荷追従運転における原子力発電所のランプアップ期間中のキセノン濃度を予測する方法を開示する。
欧州特許第2686851号明細書は、負荷追従運転中に加圧水型原子炉を運転するための方法を開示する。
欧州特許出願公開第2157582号明細書は、キセノン振動を予測するための方法を開示する。
この目的で、キセノン振動を迅速に抑止するために原子炉の出力の軸方向分布が決定される。
欧州特許出願公開第0540951号明細書 独国特許出願公開第102017205553号明細書 欧州特許第2686851号明細書 欧州特許出願公開第2157582号明細書
以上を考慮して、本発明の目的は、多くの異なるネットワーク制御モードにおいて高い信頼性で動作可能である、原子炉を制御するための改良された方法を提供することにある。
一態様によると、出力を生成する炉心を有する加圧水型原子炉、炉心を蒸気発生器に連結する一次回路、炉心の出力を制御するために炉心内に移動させることのできる単数または複数の制御棒、炉心の反応度を制御するために一次回路内にホウ酸および/または脱イオン水を注入するための注入装置を含む原子力発電所を制御するための方法において、
原子炉の現在の出力を決定するステップと、
現在のキセノン濃度、現在のヨウ素濃度および/または現在のキセノン反応度を自動的に決定するステップと、
目標出力および目標出力までの出力ランプアップ期間についての出力勾配を得るステップと、
を含む方法であって、さらに、
部分出力よりも高い目標出力にランプアップするまで、原子炉が部分出力で機能する待機期間および/または残留待機期間を得るステップと、
待機期間および/または残留待機期間の終了時について、現在のキセノン濃度、現在のヨウ素濃度および得られた待機期間に基づいて、キセノン反応度および/またはキセノン濃度を計算するステップと、
出力ランプアップ期間の終了時について、キセノン反応度および/またはキセノン濃度を計算するステップと、
待機期間の終了時およびランプアップ期間の終了時における計算されたキセノン反応度および/またはキセノン濃度に基づいて、単数または複数の制御棒についての出力ランプアップの開始のための制御棒設定点を計算し、こうして制御棒を用いて出力ランプアップを行なうことができるようにするステップと、
待機期間中、待機期間および出力ランプアップの開始のための制御棒の設定点に基づいて単数または複数の制御棒を位置付けし、こうして単数または複数の制御棒が、待機期間の終了時において出力ランプアップ開始のための制御棒設定点に達するようにするステップと、
を含むことを特徴とする方法が提供される。
さらなる実施形態は、任意の技術的に実現可能な組み合わせによる、以下の特徴のうちの単数または複数のものに関する。
- 出力ランプアップ開始のための制御棒設定点の計算は、さらに、原子炉の単数または複数の反応度値および/または反応度係数、詳細には単数または複数の制御棒の単数または複数の反応度係数、単数または複数のL制御棒の反応度係数、現在の出力と目標出力の間の平均冷却材温度(ACT)の差に起因する反応度変化、現在の出力と目標出力の間の差に起因する反応度変化、および/または一次冷却流体中のホウ酸の係数と組合わせた注入されたホウ酸または脱イオン水の後続流の反応度寄与に基づいている。
- 出力ランプアップ開始のための制御棒設定点の計算は、さらに、制御棒の全出力設定点および/またはL制御棒の全出力設定点に基づいている。
- 待機期間が第1の既定の時間よりも長く、キセノン濃度の最大値までの上昇を可能にする場合には、該方法はさらに、キセノン濃度の増加に起因する反応度損失を補償するために、単数または複数の制御棒を炉心から外に移動させるステップと、待機期間の終了時の前に出力ランプアップの開始のための制御棒設定点まで炉心内に単数または複数の制御棒を移動させるステップと、を含む。
- 該方法はさらに、制御棒が炉心から外に移動するときに上方管理限界または全負荷位置に達する場合、原子炉を部分出力に維持してキセノン濃度の増加に起因する反応度損失を補償するため、詳細には原子炉の出力の制御可能性を保証するために、幾分かの脱イオン水を追加するステップを含む。
- 該方法はさらに、現在の制御棒位置、出力ランプアップの開始のための制御棒設定点および一次冷却流体中の現在のホウ酸濃度に基づいて、出力ランプアップ開始のための制御棒設定点まで単数または複数の制御棒が移動する制限時間を決定して、一次回路内への脱イオン水の注入により決定された制限時間の前に出力ランプアップ開始のための制御棒設定点まで単数または複数の制御棒を炉心内に移動させるステップと、一次回路に脱イオン水を追加するステップと、を含む。
- 制限時間はさらに、脱イオン水の最小供給量に基づいて決定される。
- 待機期間が第2の既定の時間よりも短く、第2の既定の時間が第1の既定の時間よりも長い場合、単数または複数の制御棒は、待機期間中にキセノン濃度がその最大値に達した後、キセノン濃度の減少に起因する反応度の増加を補償するために、炉心内に移動させられる。
- 待機期間が第2の既定の時間よりも短く、第2の既定の時間が第1の既定の時間よりも長い場合、該方法は、炉心内への移動中に制御棒が出力ランプアップ開始のための制御棒設定点に達するとき、一次回路にホウ酸を追加し、かつ出力ランプアップ開始のための制御棒設定点に制御棒を維持して、詳細には運転停止反応度を保証するステップをさらに含む。
- 待機期間が第2の既定の時間よりも長く、第2の既定の時間が第1の既定の時間よりも長い場合、該方法は、待機期間中にキセノン濃度がその最大に達した後、キセノン濃度の減少に起因する反応度の増加を補償するために一次回路内にホウ酸を追加するステップをさらに含み、ここで詳細には、制御棒は、待機期間の終了時の前に出力ランプアップ開始のための制御棒設定点への単数または複数の制御棒の炉心内への移動まで、上方管理限界または全出力位置にとどまる。
- 第1の既定の時間は、キセノン最大値から2時間後、またはキセノン最大値後のキセノン最大値までの待機時間の30%に対応する。
- 第1の既定の時間は6時間~10時間であり、かつ/または第2の既定の時間は20時間~60時間である。および/または、
- 出力ランプアップ開始のための制御棒設定点を計算する目的で目標出力まで出力をランプアップさせるために、待機期間の終了時およびランプアップ期間の終了時についてのキセノン反応度を含めた総反応度が計算される。
別の態様によると、出力を生成する炉心を有する加圧水型原子炉、炉心を蒸気発生器に連結する一次回路、炉心の出力を制御するために炉心内に移動させることのできる単数または複数の制御棒、炉心の反応度を制御するために一次回路内にホウ酸および/または脱イオン水を注入するための注入装置を含む原子力発電所用の制御装置において、
原子炉の現在の出力を決定し、
現在のキセノン濃度、現在のヨウ素濃度および/または現在のキセノン反応度を自動的に決定し、
目標出力および、目標出力までの出力ランプアップ期間についての出力勾配を得る、
ように適応された制御装置であって、さらに、
部分出力よりも高い目標出力にランプアップするまで原子炉が部分出力で動作する待機期間および/または残留待機期間を得、
待機期間および/または残留待機期間の終了時について、現在のキセノン濃度、現在のヨウ素濃度および得られた待機期間に基づいて、キセノン反応度および/またはキセノン濃度を計算し、
出力ランプアップ期間の終了時について、キセノン反応度および/またはキセノン濃度を計算し、
待機期間の終了時およびランプアップ期間の終了時における計算されたキセノン反応度および/またはキセノン濃度に基づいて、単数または複数の制御棒についての出力ランプアップの開始のための制御棒設定点を計算し、こうして制御棒を用いて出力ランプアップを行なうことができるようにし、
待機期間中、待機期間および出力ランプアップの開始のための制御棒の設定点に基づいて、単数または複数の制御棒を位置付けし、こうして単数または複数の制御棒が、待機期間の終了時において出力ランプアップ開始のための制御棒設定点に達する、
ように適応されていることを特徴とする制御装置が提供される。
実施形態によると、制御装置は、本明細書に開示されている方法を行なうように適応されている。
さらなる利点、特徴、態様および詳細は、従属クレーム、明細書および図面から明白である。
本発明の上述の特徴を詳細に理解できるように、以上で簡単に要約された本発明のより詳細な説明を、実施形態を参照して読むことができる。
しかしながら、本発明は他の同等に有効な実施形態を許容し得ることから、添付図面は本発明の典型的実施形態のみを例示しており、したがって、その範囲を限定するものとみなされるべきものではない、ということを指摘しておかなければならない。
添付図面は、本発明の実施形態に関係し、以下で説明される。
一実施形態に係る方法のフローチャートを概略的に示す。 原子炉の出力ランプに応じたキセノン反応度をグラフ表示する。 待機期間およびランプアップ期間中のキセノン反応度の計算の制御を概略的に示す。 現在のヨウ素およびキセノン値を決定するためのモデルを概略的に示す。 キセノン濃度を予測するためのモデルを概略的に示す。 キセノン最大値に対応する8時間未満である第1の待機期間についての時間全体にわたる、キセノン濃度および制御棒またはD制御棒の位置、ホウ酸供給量、脱イオン水供給量および原子炉の出力を伴うグラフを示し、D制御棒の位置は、二次モードでの運転と比べて後続するランプアップのために必要とされる値に実質的にとどまっている。 キセノン補償のために制御棒を使用することによりホウ酸および脱イオン水の注入を最小にした状態で8時間~およそ30時間という第2の待機期間についての時間全体にわたる、キセノン濃度および制御棒またはD制御棒の位置、ホウ酸供給量、脱イオン水供給量および原子炉の出力を伴うグラフを示す。 自動反応度収支を介してD制御棒および脱イオン水を抽出して調整済みの待機時間の終りにおいてランプアップのために必要とされる位置までそれらを戻すためキセノンを用いた拡張低出力運転(ELPO)のための全出力運転用の制御棒位置で、およそ30時間よりも長い第3の待機期間についての時間全体にわたる、キセノン濃度およびD制御棒の位置、ホウ酸供給量、脱イオン水供給量および原子炉の出力を伴うグラフを示す。 200の計算ステップでのキセノン予測の調整に基づくキセノン濃度の予測誤差を詳述するグラフを示す。 原子炉事業者用のプロセスコンピュータシステム上で原子炉の出力を増大させるための反応度管理の視覚化を示す。
図1は、加圧水型原子炉用の一実施形態に係る方法のフローチャートを概略的に示す。
原子炉3は、炉心内に燃料棒を含む原子炉圧力容器を含む。
原子炉3、詳細には原子炉圧力容器は、主冷却材ポンプ7によって冷却流体が内部で駆動される単数または複数の一次冷却流体回路5すなわち一次回路5に連結されている。
単数または複数の一次回路5は、燃料棒内の核燃料の核分裂によって生成された熱を、冷却流体と共に、単数または複数の熱交換器9に輸送する。
単数または複数の一次回路5内の圧力は、一次回路内を循環する水または冷却流体の蒸発が回避されるように非常に高くなっている。
単数または複数の熱交換器すなわち蒸気発生器9は、例えば、単数または複数の二次回路内を循環する水または二次冷却流体から蒸気を生成する。
蒸気は、次に、単数または複数の二次回路11を介して単数または複数の蒸気タービンに輸送され、そこで二次冷却流体から生成された蒸気は膨張し、電気エネルギを生成するために単数または複数の電気機械によって使用される回転を生成する。
二次冷却流体は凝縮させられて、熱交換器9へ戻される。
原子炉3は、原子炉3によって生成される出力を制御するために燃料棒間で駆動されるように適応された複数の棒を含む。
例えば、原子炉は、いわゆるL制御棒14とD制御棒16を含む。
L制御棒14は、主として、炉心内部の局所的出力密度または軸方向出力分布を制御するために具備されている。
D制御棒または制御棒16は、炉心の絶対出力を制御するために具備されている。
制御棒16は、中性子を吸収し、例えば原子炉内部の中性子束に対する影響のため、挿入深度に応じて、原子炉の出力生成を制御することができる。
したがって、制御棒16を使用することにより、原子炉3の出力を急速に適応させることができる。
制御棒16は、制御棒16のセット(またはバンク)の形で組織されている。
例えば、原子炉3は、各々3~8本の制御棒16を含む複数の制御棒16のセットを含み得る。
例えば制御棒16の自由端部がL制御棒14の自由端部に対応しているL制御棒、詳細には、L制御棒14の自由端部の位置と、制御棒16の完全に挿入された端部位置または下端部位置との間で、制御棒16またはD制御棒セットを移動させることが可能である。
L制御棒14および制御棒16の自由端部は、制御棒が原子炉3の頂部から挿入される場合、下端部に対応する。
一実施形態において、制御棒16端部の完全に挿入された端部位置は、原子炉3の炉心のほぼ底部である。
例えば、下端部位置は、制御棒16がおよそ300cm挿入されたところにある。
制御棒16およびL制御棒14の挿入深度は、炉心内に延在する自由端部に基づいて決定される。
この例においては、制御棒16およびL制御棒14は、頂部から原子炉3内に挿入されるとみなされている。
他のタイプの原子炉は、底部から挿入される制御棒16およびL制御棒14を有し得る。
このとき、完全に挿入された端部位置は、制御棒16の上端部位置である。
例えば、電気出力約1500MWのドイツ設計の典型的PWR(加圧水型原子炉)は、各々原子炉出力を制御するための4本の制御棒を伴う、4つの移動する制御棒16のセット(またはバンク)を有する。
このような原子炉は、約45本のL制御棒を伴う1セットのL制御棒を有し得る。
原子炉3の監視および制御のために、中性子束密度を連続的に検出するための複数の検出器が提供されており、ここで一実施形態によると、いわゆるSPND(自己出力型中性子検出器)ランス18内に、8×6個の検出器が具備されている。
軸方向出力分布および対応する軸方向キセノン振動をL制御棒で制御する方法は、実施形態によると、ドイツ設計のPWR内の「適応出力分布制御」で使用されることから、標準的な原子炉制御58の一部である。
この「適応出力分布制御」は、「軸方向2点キセノン計算」モジュール(上部炉心半分のための一方の点および下部炉心半分のための他方の点、入力はSPNDランス18によって与えられる。)によってトリガされる。
「適応出力分布制御」のダイナミクスは、必要とされるL制御棒の位置変化が負荷変化と並行してもたらされるような形で適応される。
したがって、この適応出力分布制御は、部分負荷における軸方向出力分布PDを制御するために使用されるL制御棒の位置の変化を補償するために、ホウ酸および脱イオン水のいかなる注入も実質的に必要としない。
換言すると、軸方向出力分布を制御するためのL制御棒の位置変化は、反応度に関して、原子炉出力の変化に起因する反応度効果によって補償される。
実施形態によると、制御棒16セットを相次いで挿入することができる。
制御棒セットまたは制御棒16は、軸方向出力分布に対してわずかな影響しか及ぼさない。
原子炉の出力、ひいては制御棒16の移動は、平均冷却材温度ACTの測定に応じて制御される。
BODE注入(ホウ酸および/または脱イオン水注入)の最小化は、本開示にしたがって行なわれ、複数の配電網関連制御モードに適応されている全反応度制御を用いて提供される。
さらに、原子炉は、例えば中性子束を介して、原子炉3の出力を検出するためのセンサ20を含む。
実施形態によると、原子炉3の出力は、発電機レベルで調節される出力を介して制御される。
このとき、制御棒16およびL制御棒14は、原子炉3の出力を発電機が必要とする出力に適応させるために移動させられる。
原子炉3の出力が適応される場合、一次冷却流体の温度も変更される。
より高い出力は、一次冷却流体のより高い温度を結果としてもたらす。
冷却流体の温度は、原子炉3の反応度に対しても効果を有する。
詳細には、キセノンおよび燃料の消費に起因する反応度の長期修正は、ホウ酸および/または脱イオン水の濃度を補正することによって制御される。
これら2つの流体のうちの一方のこの追加は、本開示においては、BODE添加または注入と呼ぶこともできると考えられる。
一次回路5内部のホウ酸は、中性子吸収材として作用する。
したがって、ホウ酸濃度が高くなると、出力または反応度は低下する。
反応度を増大させるためには、ホウ酸の濃度を減少させひいては反応度を増大させる目的で、一次回路5に対して脱イオン水が追加される。
一次回路5内に脱イオン水24および/またはホウ酸26を注入するために、別個のポンプ22、23が存在する。
ポンプ22は、一次回路5内に脱イオン水24を注入するために具備され、ポンプ23は、ホウ酸26を注入するために具備される。
脱イオン水24および/またはホウ酸26の量は、バルブ28、30および/またはポンプ22、23を用いて制御可能である。
ポンプ22、23は、BODE注入が必要とされる場合にのみ作動させられる。
原子炉の制御は、炉心内のキセノン135(以下ではキセノンまたはXeと呼ぶ)濃度の複雑な時間依存的関数に起因して、複雑なものになっている。
キセノンは、中性子毒または中性子吸収材として作用する。
キセノン値は、数時間のうちに変化する。
キセノンは、核燃料の分裂連鎖に起因して生成され、中性子を吸収したときおよびキセノン減衰によって消滅する。
しかしながら、生成と中性子吸収は、時間的遅延を伴なって出現し、このため、原子炉の現在および将来の出力については、詳細には(BODE注入による)ホウ酸の濃度を介した制御棒16の位置の最適な制御のために、キセノンの現在の、過去のおよび将来の値を考慮に入れなければならない。
原子力発電所が長時間一定の出力で運転する場合、キセノン濃度は平衡または定常状態に達する。
キセノン反応度は、キセノン濃度の線形関数である。
図2は、部分出力で特定の時間運転する原子炉の2つの例を示している。
図2(a)では、出力Pは当初100%(すなわち原子炉の全出力)にあり、その後、全出力の30%まで削減される。
全出力の30%の部分出力は、その後約2時間維持され、それから点Aにおいて出力は全出力の98%までランプアップさせられる。
部分出力中、キセノン濃度は増大し、したがってキセノン反応度も増大する。
点Bにおいて、原子炉は全出力の98%の目標出力に達する。
ここで分かるように、キセノン反応度は、より多くの中性子を吸収し始め点Aの直後に反応度を減少させるキセノン135を原子炉がバーンオフさせるにつれて、ランプアップ時すなわち点Aと点Bの間で削減される。
図2(a)から分かるように、キセノンのバーンオフに起因する点Aと点Bの間のキセノン反応度の減少は約100pcmであり、これは、D制御棒または制御棒セットの長さの約20%の移動に対応する。
図2(b)では、出力Pは当初100%(すなわち原子炉の全出力)にあり、その後、全出力の30%まで削減される。
全出力の30%の部分出力は、その後約6時間維持され、それから点Aにおいて出力は全出力の98%までランプアップさせられる。
点Bにおいて、原子炉は全出力の98%の目標出力に達する。
ここで分かるように、キセノン反応度は、より多くの中性子を吸収し始め点Aの直後に反応度を減少させるキセノン135を原子炉がバーンオフさせるにつれて、ランプアップ時すなわち点Aと点Bの間で削減される。
図2(b)から分かるように、キセノンのバーンオフに起因する点Aと点Bの間のキセノン反応度の減少は約500pcmであり、これは、D制御棒または制御棒セットの長さの約100%の移動に対応する。
したがって、キセノン濃度、ひいてはキセノンに基づく反応度は、原子炉3の待機期間および先行する運転に大きく左右されることが分かる。
原子力発電所は、配電網のニーズに関連する複数の運転モードで運転可能である。
ネットワーク周波数をサポートするために数秒以内で即刻出力を提供する一次制御モードでは、グリッド周波数を安定化させるために0~15分(通常は数秒以内)、追加の出力が提供される。
一次制御は、標準周波数に対するグリッド周波数の偏差から演繹される。
二次制御モードは、遅くとも15分後に発電所から所要出力を提供する。
これは、負荷追従運転の名前でも呼ばれる。
二次制御モードでは、追加エネルギの要求は、段階的に変更可能である発電機の目標出力を介して遠隔的に指令される。
追加の電気エネルギは、遅くとも15分以内に提供されなければならない。
最大出力勾配dPG/dtおよび出力範囲のみが前もって知られている。
部分出力運転時間は、数時間であってよい。
出力変更は、確率論的に要求される。
二次制御では、P目標出力はいつ何時でも達成されなければならず、こうして、制御棒16は特定の予め定義されたまたは既定の位置を有していなければならない。
三次制御モードは、出力の中・長期的修正を提供する。
三次制御では、持続時間および所要出力は、グリッド事業者と原子炉事業者の間で決定される。
一次制御は、二次制御および三次制御と並行して適用可能である。
三次制御では、原子炉事業者とパワーグリッド事業者の間の合意にしたがって待機時間の後に出力ランプアップが実施される。
出力ランプアップは、現在の原子炉出力P、P目標出力および出力勾配dPG/dtとも呼ばれる出力ランプアップによって左右される。
上述のように、出力要求は、原子炉に対し発電機制御により提供される。
したがって、送電網に提供されなければならない出力勾配dPG/dtも、発電機制御によって提供される。
三次制御モードでは、これは、使用される値に対応し、二次制御モードでは、これは、最大出力勾配に対応する。
図1において、フローチャートには、複数の入力値、詳細には、センサ20を用いて測定される現在の原子炉出力P、例えば原子炉事業者により提供されるP目標出力32、P目標出力32への出力のランプアップまでの、例えば原子炉事業者によって提供される待機期間34、例えばボタン36によって活動化または非活動化され得るグリッド二次制御36、例えばボタン38により活動化または非活動化され得るグリッド一次制御38、自動的に決定される反応度係数40、および総反応度収支に基づいて制御棒セット設定点調整を活動化または非活動化するための制御設定値予測器の影響42が含まれる。
現在の原子炉出力Pは、他の手段を用いて、例えば発電機の出力を決定することによっても決定可能である。
反応度係数40は、各々の燃料要素サイクルについて行なわれる炉心設計計算によって提供される。
これらの係数は、原子炉制御のソフトウェア内の変数であり、燃料の燃焼を補償するために燃料要素サイクル全体で減少する、炉心の平衡ホウ素濃度に依存している。
換言すると、反応度係数は、炉心の平衡ホウ素濃度に基づいて計算される。
これらの変数は、それぞれ燃料要素の交換中または停止中にサービスユニットを介して設定される。
換言すると、原子炉3の平衡ホウ素濃度に基づいて各々の反応度係数を決定するために、特性曲線が使用される。
反応度係数40は、燃料要素サイクル中にゆっくりと変化する。
炉心の平衡ホウ素濃度は、長期間にわたる定常または一定の出力での原子炉3の運転中、詳細にはキセノン濃度が全出力で定常値に達するときに使用されているホウ酸の濃度である。
使用される複数の反応度係数については、以下で図10を用いて説明される。
反応度係数40は非常にゆっくりと変化することから、反応度収支の計算のためにはこれらを一定のものとみなすことができる。
換言すると、反応度係数は、現在の燃料要素サイクル(例えば1年)における「全負荷日数」、または関係するパラメータ(全負荷平衡条件下の基準ホウ素濃度など)により左右される変数であり、次の炉心の炉心設計に応じて燃料要素の交換中に原子炉制御のインタフェースまたはサービスユニットを介して1つの特性として設定され得る。
図1のフローチャートは、原子炉3、詳細には原子炉3の炉心内のキセノンおよびヨウ素の現在の濃度値が原子炉3の現在のおよび過去の出力Pに基づいて計算される現在値計算モジュール44を含む。
現在のキセノン値は、図1においてX値とも呼称され、現在のヨウ素値は、J値と呼称されている。
図4に示されているように、他の実施形態においては、キセノン反応度ρXeは、キセノン濃度の代りに提供されている。
図4は、原子炉の現在のおよび過去の出力Pに基づく、キセノンおよびヨウ素の現在の濃度値の計算を示す。
計算は、原子炉3のタイプおよび核燃料の装填に適応される。
入力値は、原子炉の現在の出力Pである。
ΓXe、λ、λXe、BXE、A、AXEとマーキングされたボックスは、公知のパラメータを用いた線形関数である。
バツ印の付いたボックスは、倍率器である。
原子炉3の出力Pの過去の値が、ヨウ素濃度に関して積分器45aによって考慮に入れられる。
換言すると、積分器は、ヨウ素生成とヨウ素減衰の間の差の積分を介して、現在のヨウ素濃度値を得る。
中性子吸収に起因するキセノン減衰およびキセノン損失は、直接的キセノン生成とヨウ素減衰に由来するキセノンとの合計から減算される。
積分器45bは、キセノン濃度勾配からキセノン濃度現在値を計算する。
図4に示されている実施形態においてはΓXeを用いて、計算から現在のキセノン反応度値ρXeが得られる。
例えばキセノンの反応度値は、単位pcm(パーセントミル)で与えられる。
図1中のフローチャートは、さらに、予測器モジュール46を含む。
予測器モジュールは、原子炉3内、詳細には原子炉3の原子炉炉心内のキセノン、詳細にはヨウ素の濃度の周期的予測を行なう。
予測器モジュール46は、待機期間について、詳細には残留待機期間の終了時およびランプアップ期間の終了時についてのキセノン濃度を予測する。
この目的のため、予測器モジュールは、現在値計算モジュール44からの現在のキセノンおよびヨウ素濃度、ランプアップに必要な時間△tランプアップ、および制御モジュール48からの待機期間およびランプアップ期間についての原子炉出力Pの設定値を得る。
制御モジュール48は、P目標出力の入力値、原子炉3が二次制御モードで機能すべきか否か(ブロック36から得られる)、原子炉3の残留待機期間および現在の出力Pに基づいて、キセノン予測に必要な全ての値を提供する。
予測器モジュール46の機能を、図3および図5に関して説明する。
予測器モジュール46は、キセノン濃度ひいてはキセノン反応度をインタラクティブに計算する。
一実施形態においては、さらに、ヨウ素濃度値も計算される。
ΓXe、λ、λXe、BXE、AJ、AXEとマーキングされたボックスは、公知のパラメータを用いた線形関数である。
バツ印の付いたボックスは、倍率器である。
ヨウ素濃度の時間依存性を考慮に入れるため、積分器48aが使用される。
換言すると、積分器は、ヨウ素生成とヨウ素減衰の間の差の積分を介して、ヨウ素濃度値を得る。
中性子吸収に起因するキセノン減衰およびキセノン損失は、直接的キセノン生成とヨウ素減衰に由来するキセノンとの合計から減算される。
積分器48bは、キセノン濃度勾配dXe/dtからキセノン現在濃度値ρXeを計算する。
予測開始にあたっては、現在のキセノン濃度値および現在のヨウ素濃度値を、予測器動作の始めに一度読取る。
ボックス48cは、以下で説明するように、特定の時間増分と共に各々の計算ステップをトリガする。
ΓXeを用いて、計算により、同じく以下で説明するように、待機期間の終了時またはランプアップの終了時についての予測されたキセノン反応度値ρXeが得られる。
実施形態によると、待機期間の終了時は、出力ランプアップの開始に対応する。
(残留)待機期間およびランプアップ期間は、計算を目的として、予め定義された数のステップに分割される。
一実施例によると、50~500、詳細には100~300のステップが用いられる。
図示された実施形態においては、待機期間およびランプアップについて、それぞれ200のステップが計算される。
このことはすなわち、待機期間およびランプアップ期間について、例えばランプアップ期間は待機期間よりも実質的に短かいことから、2つの後続する計算ステップ間の時間距離デルタTまたは△t増分が異なっている可能性があるということを意味している。
例えば、待機期間中のキセノン濃度および/またはキセノン反応度が、その最大値に達した後、つねに平衡状態に達する傾向を有することから、例えば40時間または100時間以上の待機期間の長さにも関わらず、固定された数の計算ステップを使用することができる。
待機期間がゼロである場合、例えば原子炉3が二次モードで運転させられる場合(以下参照)、ランプアップ期間についての予測のみが計算される。
計算を目的として、予測器モジュール46は、計算された予測キセノン濃度、キセノン反応度値および/またはヨウ素濃度値をそれぞれのメモリ内に記憶する。
一実施例において、キセノン濃度値および/またはキセノン反応度ρXeは、図3中、待機期間の終了時(図3の点Aを参照のこと)およびランプアップ期間後(点Bを参照のこと)について記憶される。
図5中の△t増分は、図1の△tランプアップおよび△t待期期間に対応する。
待機期間についての予測は、原子炉が二次制御モード(または図面中N-SRとマーキングされた負荷追従運転)ではなく三次制御モードで機能しなければならない場合にのみ行なわれる、ということに留意すべきである。
現在のヨウ素濃度および現在のキセノン濃度または反応度値は、それぞれ、待機期間が存在する場合、計算のための待機期間の始めについて、あるいは、ランプアップの始めについて(待機期間が無い場合または待機期間が経過した場合)、読取られる。
待機期間は時間が進むにつれて減少すること、すなわち、予測モジュール46がキセノン濃度、キセノン反応度および/またはヨウ素濃度値の完全な計算で再開する毎に、計算を目的とした始まりが進行する、ということに留意すべきである。
待機期間およびランプアップ期間についての原子炉出力Pの設定値に基づいて、詳細には待機期間後(図3および5中の点A)およびランプアップ期間後(図3および5中の点B)のキセノン反応度ρXeまたはキセノン濃度が記憶される。
ランプアップ期間後(点B)のキセノン濃度またはキセノン反応度ρXeおよび、ランプアップ期間または出力ランプアップ開始の前(点A;三次制御モードについては待機期間の終了時、または二次制御モードについては現在のキセノン濃度)のキセノン濃度またはキセノン反応度は、予測器46によって、ランプアップ期間中のキセノン濃度変化および/またはキセノン反応度変化△ρXeを決定するために使用される。
実施形態によると、予測器モジュール46は、待機期間および/またはランプアップ期間について、詳細には待機期間の終了時におけるヨウ素濃度をも計算する。
現在値計算モジュール44および予測器モジュール46および制御モジュール48は、デジタル原子炉制御システム内で自動的にかつ実時間で動作するタンデムモジュール50を共に形成している。
例えば、各々の現在値計算モジュール44および予測器モジュール46は、それぞれ、予測キセノン反応度および/または濃度値を50ミリ秒毎に計算する。
予測器モジュール46の新規予測は、それぞれ、更新された現在のキセノンおよびヨウ素濃度値に基づく。
各々についての、すなわち待機期間およびランプアップ期間についてのキセノン反応度の計算時間としては、200の計算ステップに基づいてそれぞれ約10秒が求められる。
このことはすなわち、三次制御に関連しては合計20秒、そして、より迅速な計算結果が望まれる二次確率制御に関連してはわずか10秒であることを意味する。
この方法の精度については、以下で論述する。
予測値により、ランプアップ段階中のキセノン反応度ρXeのサポートを計算することができる。
キセノン反応度および/またはキセノン濃度は、原子炉の出力およびその時間依存性変化にのみ左右されるということに留意すべきである。
このキセノン反応度または濃度の予測は、次のランプアップの前の最適な制御棒16位置を決定するために必要とされる全反応度収支の一部にすぎない。
予測モジュール46からのランプアップ中の予測キセノン反応度変化△ρXeは、反応度収支モジュール52に提供され、これにはさらに、反応度係数モジュール40により提供される反応度係数に基づくものである総反応度収支の一部分が考慮される。
詳しくは、出力ランプアップの開始のための、またはランプアップの始めにおける既定の制御棒設定点および/または総反応度収支を計算するためには、(キセノン以外の)以下の反応度効果のうちの単数または複数も考慮される。
詳細には、図10によると、反応度収支は原子炉事業者のために視覚化される。
(総)反応度収支は、反応度値に基づいて最適な制御棒16位置を決定するように適応され、こうして、原子炉は、制御棒16を用いて任意の時にまたは待機期間の後に、P目標出力に達することができるようになっている。
この最適な制御棒位置は、本出願において、出力ランプアップの開始のための既定の制御棒設定点とも呼ばれ得る。
その後、制御棒位置を、制御棒セット設定点調整54に提供することができる。
図10において、P目標出力は、原子炉3の最大許容出力である全負荷の100%に設定されている。
この目的で、ランプアップ中の予測キセノン反応度変化△ρXeをも考慮した総反応度(図10中のΣρ)は、最適なケースにおいてゼロでなければならない。
潜在的反応度ρ(可能な反応度)は、D制御棒または制御棒16の上昇(△D)に起因して増大する。
反応度ポテンシャルは、反応度係数モジュール40によって提供される反応度係数である制御棒の有効性ΓDM、およびL制御棒の下端部の下方のそれらの現在の挿入深度(△D)に基づいて計算され得、有効性ΓDMは、挿入深度に応じて変動する効率との関係において平均される。
反応度ポテンシャルpは、有効性ΓDMに現在の挿入深度(△D)を乗じることによって計算され、L制御棒の下端部まで制御棒またはD制御棒を上昇させることによって反応度ポテンシャルに対応する。
制御棒またはD制御棒は、図10中にVFA値として表示されているそれらの静止全出力(原子炉の)設定点(ここでは、制御マージンとしてL制御棒のおよそ45cm下方)まで上昇されるものとする。
これにより、考えられる反応度の増大は、反応度値ρVFAだけ低下することになる。
静止全出力設定点は、任意には、小さな出力変動を調節する目的で、制御棒を上昇させる可能性を全負荷の下でさえ提供するために使用される。
全負荷での制御棒の操作マージンの反応度ρVFAは、その挿入深度Γにおける反応度係数とは別個に考慮される。
反応度ポテンシャルρVFAは、L制御棒セット、詳細にはL制御棒の下端部までの全負荷設定点距離を有効性Γに乗じることによって計算される。
ここで、反応度係数である有効性Γは、反応度係数モジュール40によって提供される。
さらなる潜在的反応度値は、L制御棒の静止全出力設定点より下方のそれらの現在の挿入深度(△L)に起因するL制御棒の反応度ρであり得る。
L制御棒の有効性に対応する対応反応度係数(Γ)は、反応度係数モジュール40によって提供される。
L制御棒の移動は、主として、部分負荷における軸方向出力分布のピークトップ傾向に対抗するするために必要とされる。
反応度ポテンシャルρは、現在の挿入深度△Lを有効性Γに乗じることによって計算される。
別の値は、反応度係数モジュール40によって提供される、その反応度係数(Γ)を伴う、P目標出力(△P)までの原子炉出力の将来のランプアップに起因する反応度ρである。
その反応度係数Γを伴う、全負荷における基準温度に対する一次回路5の平均冷却材温度(ACT)の差(△ACT:当該実施例では全負荷でおよそ310℃)に起因する反応度ρACTは、反応度係数モジュール40により提供される。
一実施形態によると、反応度収支には、ホウ素濃度の関連反応度係数Γと組合された不感時間シミュレーションによって決定される化学的体積制御システムCVCSを介したBODE注入の不感時間効果によってひき起こされる反応度の影響ρCVCSも考慮され得る。
この実施例では、ホウ素濃度の反応度係数Γも、反応度係数モジュール40によって提供される。
詳細には制御棒またはD制御棒16を用いて、P目標出力までランプアップできるようにするためには、考慮対象の全ての反応度値の反応度合計Σρ=ρVFA+ρ+ρ+ρ+ρACT+ρXe+ρCVCSがゼロでなければならない。
反応度合計、反応度収支、最適な制御棒位置および/または出力ランプアップの開始のための既定の制御棒設定点を計算するためには、さらにより多くのまたはより少ない反応度値が存在していてよい。
目標出力において、すなわちランプアップの後、これもゼロでなければならない。
したがって、ランプアップのための制御棒16の最適な位置は、反応度収支の計算のために決定され使用される。
したがって、実施形態によると、最適な制御棒位置または、出力ランプアップの開始のための既定の制御棒設定点は、総(予測)反応度に基づいて計算される。
例えば図10に示されているようにΣp=56pcmで、何らかの偏差が存在する場合、制御棒がランプアップのための最適な位置になく、詳細には制御棒セット設定点調整54に提供されているとき、必要とされるBODE注入の量は、kg単位および/またはkg/s単位(事業者が選好する通り)でBODEの量を決定するために、CVCSと共に一次回路の質量の合計との関係における一次方程式に変換した(簡略化した)混合方程式(以下参照)およびホウ素濃度Γの反応度係数に基づいて計算される。
ホウ酸関連混合方程式のための入力データとして、ホウ酸貯蔵タンク内のホウ素濃度cが必要とされる。
混合方程式は、以下の通りである。
Figure 0007434559000001
式中、Qは、注入されたホウ酸質量の量であり、Qは、脱イオン水質量の量で、cは、一次冷却流体中のホウ酸の濃度であり、△cは、一次冷却流体中のホウ酸濃度の変化であり、cは、注入されたホウ酸中のホウ酸濃度であり、cは、注入された脱イオン水中のホウ酸濃度であり、Mは、化学的体積制御システムCVCSと合わせた一次冷却流体の質量である。
例えば、注入されたホウ酸中のホウ酸濃度は約7000ppmであり、注入された脱イオン水中のホウ酸濃度は1000ppm(百万分率)未満である。
例えば質量Mは、310℃で約300tである。
概して、反応度係数モジュール40の反応度係数は、時間的遅延効果を全く有さないか、または時間に強く依存している。
反応度係数モジュール40内の反応度係数は、キセノン反応度係数についての係数を含まない。
実施形態によると、原子炉が、上述の考慮事項および係数から導出された三次制御モードで運転させられる場合、詳細には、例えばホウ酸または脱イオン水の注入を使用することによって、目標出力値までランプアップするために必要とされる出力ランプアップの開始のための既定の制御棒設定点まで制御棒16を運ぶのに必要であるランプアップ前の時間を決定する反応度収支モジュール52によって、時間基準が計算される。
例えば、この目的で、出力ランプアップ開始のための既定の制御棒設定点に達するための時間の計算のために、出力ランプアップ開始のための既定の制御棒設定点のみならず、現在の制御棒位置および上述の方程式(1)~(4)のうちの1つ以上に基づく一次冷却流体の混合物も、考慮に入れられる。
時間基準に達する場合、反応度収支モジュール52は、以下では第2および第3のサブモードと呼ばれている、浮動またはELPOモードを終結すべきであることを浮動/ELPOモジュール56に知らせるように適応される。
時間基準は、詳細には、反応度係数モジュール40によって提供される反応度係数および/または制御棒16の現在の設定に依存している。
いくつかの実施形態においては、セキュリティマージンを有するように、幾分かの追加時間が追加される。
選択された配電網運転モードを考慮して、以下の戦略および適応が自動的に使用される。
二次制御モードが選択される場合、例えばボタン36が活動化される場合、これは、待機時間がゼロでなければならない(N-SRはオンであり、待機時間はゼロである。)ことを意味し、原子炉は、任意の瞬間においてP目標出力に達しなければならず、これは予測不能である。
この目的で、制御棒16は、制御棒16の移動を通して任意の瞬間においてP目標出力に達することができるような形で調整されなければならない。
これは、キセノン反応度の一部分が最大の選択された出力勾配dPG/dtで出力のランプアップをサポートしていることを知るために出力のランプアップ中、詳細には出力のランプアップ中の始めと終りでキセノン反応度を予測することによって行なわれる。
二次制御モードでは、目標出力の達成が、ホウ酸および/または脱イオン水の追加の最小化と比べて優位にある。
例えば、部分負荷におけるキセノン最大値までのキセノンのビルドアップは、図6に示されているようにホウ酸注入が必要とされた後、脱イオン水によって補償されなければならない。
ホウ酸注入および脱イオン水注入は、詳細には、標準原子炉制御58によって自動的に行なわれ、これにより制御棒16は、制御棒セット設定点調整モジュール54により提供される調整済み設定点または位置に保たれ、これは反応度収支モジュール52により提供される。
換言すると、最適な制御棒位置または、出力ランプアップ開始のための既定の制御棒設定点は、制御棒設定点調整モジュール54により設定点として直接使用される。
二次制御モードでは、待機期間についてのキセノン反応度の予測を計算することは必要ではない。
図6では、二次モードおよび、三次モードの第1のサブモードについてのグラフが示されている。
脱イオン水注入および制御棒16の位置に関して、二次モードは、連続する太線60a、60bで示されている。
他の曲線またはグラフは、この特別な事例においては、以下で論述されている三次モードの第1のサブモードおよび二次モードについて等しいものである。
グラフ60bは、制御棒16の設定点およびその現在値を示す。
図6では、スケーリングに起因して、制御棒またはD制御棒16の位置の設定点および現在値を区別することはできない。
典型的には、制御棒16(DバンクまたはD制御棒セット)は、原子炉3の出力を削減する目的で下降させられた後、キセノンの燃焼効果の増大によりランプのためのキセノン反応度サポートが増大することから、反応度収支モジュール52を介して計算上の設定点にしたがったキセノン最大値まで、待機期間中に連続的にわずかに上昇させられる。
実施形態によると、三次制御モードは、原子炉が部分負荷で運転させられる待機期間に入ることによって検出され、こうして例えば、BODE注入のさらなる最小化が可能となり得る。
待機期間に応じて、原子炉は、単数または複数の、詳細には3つの異なるサブモードで制御可能である。
待機期間の始めは、出力が部分出力まで削減される時点として定義される。
例えば、部分出力は、原子炉の最大出力の30%~90%であってよい。
以下では、これら3つの異なるモードについて詳述する。
出力が削減されるとき、浮動/ELPOモジュール56は、調整された待機期間に応じて、どのサブモードが使用されるかを自動的に記憶する。
実施形態によると、浮動モードまたはELPO中の設定点の制御は、反応度収支52によって提供される設定点の制御よりも優位にある。
例えば、浮動/ELPOモジュール56が制御棒セット設定点調整モジュール54に対して、浮動モードまたはELPOモードのいずれが使用されるかの情報を提供した場合、これは、反応度収支モジュール52によって提供された設定点を無効にする。
換言すると、調整された待機時間に応じて、浮動/ELPOモジュール56は、制御棒セット設定点調整モジュール54に対して、浮動モードまたはELPOモードのいずれが使用されるかの情報を提供する。
このとき、制御棒セット設定点調整モジュールは、反応度収支モジュール52により提供された設定点を無視する。
例えば、部分負荷時間または部分負荷段階の持続時間に対応する待機期間tPLの場合、第1の既定の時間よりも小さい部分負荷において、第1のサブモードが使用される。
第1の既定の時間は、最大キセノン濃度に達するための時間に関係する。
すなわちこれは、およそ8時間のこの期間において、キセノンによる反応度損失のみが存在すると予期できるということを意味する。
いくつかの実施形態において、第1の既定の時間は、例えば、キセノン最大値後の2時間、またはキセノン最大値後のキセノン最大値までの待機時間の30%である。
図6に示されている一実施形態によると、制御棒設定点61(細線)は、待機時間の後にP目標出力に達することができるような形で決定される。
ここで、設定点61aは、出力ランプアップ後に目標出力に達することができるようにする制御棒の予測位置に対応する。
キセノン濃度に起因する反応度の減少は、二次制御モードと同様、原子炉制御58を介して脱イオン水を追加することによって補償される。
第1の線および第2の線は、ホウ酸および脱イオン水が一次回路に追加される段階を示す。
二次モードと比べて、出力ランプアップのための制御棒16(D制御棒セット)設定点に達するため(制御棒設定点61aに達する破線63bを参照)には、それらを引き戻さなければならない(こうしてキセノンビルドアップを補償する)ことから、脱イオン水の注入は、二次制御モードの上述の実施例と同様に、わずかに遅れて開始する(細線63a参照)。
ホウ酸注入は、標準原子炉制御58におけるキセノンビルドアップのシグナル伝達によって遮断される。
待機期間を考慮して、ここでは制御棒16についてのこの設定点には、待機期間の始めからの増大したバーンアップの効果に起因するキセノン最大値におけるランプアップのためのキセノン反応度サポートが考慮される。
三次制御モードの第1のサブモードの残りの曲線は、図2中の二次制御モードの曲線に対応する、すなわち、出力の削減中、現在の制御棒位置は、太線に対応する。
ホウ酸および脱イオン水の量は、制御棒セット設定点調整モジュール54によって提供される調整済み設定点に制御棒16を保つ標準原子炉制御58によって決定され、これは反応度収支モジュール52によって提供される。
上述の通り、浮動/ELPOモジュール56は、制御棒セット設定点調整モジュール54に対し設定点を提供しない。
反応度収支モジュール52によって提供される出力ランプアップ開始のための既定の制御棒設定点が、使用される。
第3の線は、経時的なキセノン濃度を示し、第4の線は制御棒16の位置(センチメートル単位の炉心内へのそれらの挿入)を示し、第5の線は経時的な原子炉3の出力を示す。
この制御サブモードは、二次制御モードと類似の形で機能する。
この場合、Xe予測には、待機時間のみが考慮される。
これにより、原子炉事業者にとってのランプアップ段階における、例えば図10に示されている通りの反応度収支の視覚化は、待機時間の始めにおいてさえ、より正確である。
この実施例によると、キセノン最大値における原子炉3のランプアップをサポートするための予測キセノン反応度を含めた全反応度収支に基づくものである、待機期間の終了時についてのまたは終了時における制御棒設定点61aが示されている。
換言すると、それは、出力ランプアップの開始のための予測された制御棒設定点である。
部分出力モードに入るとき、原子炉3の出力を、ここでは全出力の約75%まで削減するために、制御棒またはD制御棒16は下降させられる。
図6から分かるように、キセノン濃度は待機期間中に上昇する。
これは、制御棒16が、予測設定値61に達した後、一次回路3に脱イオン水を追加することによって補償される。
遅くとも待機期間の終了時まで(ここで待機期間は約6時間である)、制御棒16は、出力ランプアップの開始のための位置で制御棒設定点61aに達する。
ランプアップ中、キセノン濃度は、以上ですでに説明した効果(すなわちキセノン135のバーンオフ)に起因して減少する。
目標出力に達した後にキセノン濃度はなおも減少するため、キセノン濃度の低下に起因する反応度を低下させるために一次回路にホウ酸が追加されることになる。
図7では、部分負荷における待機期間tPLは、例えば8時間という第1の既定の時間と、例えば約30時間という第2の既定の時間の間である。
このことはすなわち、キセノンによる反応度損失の後、反応度が得られ、これは、制御棒16を移動させてBODE注入を極端に最小限に抑えることによって補償可能である、ということが予期できることを意味している。
この目的で、第2のサブモード、いわゆる浮動モードが使用される。
第2の既定の期間(ここでは約30時間)は、長期部分負荷運転の間に、詳細にはELPOに関する異なる様相を考慮しなければならない時間、詳細には、最適化された燃料燃焼、およびペレットと被覆管の相互作用(PCI)に関して最適な条件付けされた炉心を有するためにD-セットまたは制御棒がその「全負荷位置」にある時間に対応する。
第2のサブモードでは、浮動/ELPOモジュール56は、制御棒セット設定点調整モジュール54に対して、第2のサブモードまたは浮動モードを使用すべきであることを知らせる。
実施形態によると、モジュール54は、第2のサブモードまたは浮動モードを使用すべきであるという情報を受信した時点で、標準原子炉制御58に対して、詳細には制御棒16の上方管理限界(UCL)および下方管理限界内で、キセノン濃度の変化を補償するためにBODEの注入を抑制するように指令する。
こうして、原子炉3の出力が一定である場合、キセノン濃度は、例えばACT制御を介して間接的に、標準原子炉制御58によって制御棒16を移動させることにより補償される。
換言すると、モジュール54は、反応度収支モジュール52により提供される設定点を無視する。
第2のサブモードまたは浮動モードについて、図7を用いて詳細に説明する。
第1の線および第2の線は、ホウ酸および脱イオン水が一次回路に追加される段階を示す。
通常の制御棒D-セット制御が、BODE注入の活動化に関して作動しないよう調整され、D-セットまたは制御棒が、キセノン反応度の変化を(例えば原子炉制御58内部のACT制御装置を介して)補償するべく移動することから、ホウ酸および脱イオン水の量は、前の事例に比べて極端に最小限に抑えられている。
実施形態によると、制御棒16は、標準原子炉制御内の調節用限界値の間で移動させられる(例えばUCLは、L制御棒セットの下端部への最小距離を保証するための「上方管理限界(upper control limit)」である)。
こうして、制御棒16の挿入が過度に少なくならないように保証される。
第3の線は、経時的なキセノン濃度を示し、第4の線は、制御棒16の位置(センチメートル単位の、炉心または原子炉炉心内へのそれらの挿入)を示し、第5の線は、経時的な原子炉3の出力を示す。
この第2のサブモードにおいては、キセノン濃度の増大は、制御棒16により補償される。
換言すると、制御棒16は、それらの上方管理限界UCLに達するまで、炉心から外に移動させられる。
キセノン濃度の増大をさらに補償する必要がなおもある場合、およそ6時間目~8時間目に一次回路に幾分かの脱イオン水が追加される。キセノン濃度グラフの最大値を参照のこと。
キセノン濃度がその最大値の後で減少する場合、総反応度は増大して、制御棒は、それらがおよそ15時間目に到達するおよそ300cmの深度まで、炉心内を下へと移動させられることになる。
この特殊な事例において、制御棒は、出力をP目標出力までランプアップさせるための既定の位置におよそ15時間目に到達する。
ここでは原子炉3の出力の100%であるP目標出力まで出力を増大させなければならない場合、制御棒16は上昇させられる。
同時に、キセノン濃度は減少し、こうして目標出力に達した後、キセノン濃度のさらなる減少は、ホウ酸の追加によって補償されることになる。
最小キセノン濃度の後、キセノン濃度は、約30時間後に平衡状態まで上昇する。
平衡状態でキセノンの生成は、中性子吸収およびキセノン減衰に起因するキセノンバーンオフに対応する。
上昇中、キセノンの濃度変化を補償するために再び脱イオン水が追加される。
斜線入り領域を用いて、制御棒が、その後のランプアップのために挿入された状態にとどまっている原子炉制御との比較が、図7から分かる。
図7中の実施例は、待機時間を考慮しない標準的調節と比較した最大のホウ酸および脱イオン水の減少を示す。
ホウ酸および脱イオン水の減少は、サイクルの終りが近づいたとき、すなわち燃料棒を新しいものに交換しなければならなくなる前に、脱イオン水の追加が極端に増大するにつれて、増大するという点に留意すべきである。
例えば、同じ効果を有するためには、脱イオン水の追加はサイクルの終りにおいて、サイクルの始めに比べ急激に高くなる(燃料要素サイクルの最後の20%においては10倍以上高くなる)。
こうして、一次回路5の冷却水の処理または再循環のためのコストが増大するか、またそうでなければ負荷の柔軟性が低下することになる。
図7中のこの実施例の場合よりも待機時間が短かくなると考えられ(例えば11時間)、制御棒が、単純にキセノン濃度の減少を補償することによって、出力ランプアップについての既定の制御棒設定点または出力ランプアップ開始のための制御棒設定点に到達しないと思われる場合、浮動/ELPOモジュール56は、反応度収支モジュール52からの信号、例えば浮動モードを終結するための終結信号「時間基準到達」を受信する。
これによって、制御は、標準原子炉制御58に引渡され、この標準原子炉制御58は、出力をランプアップさせるための待機期間の終了時まで、反応度収支モジュール52により提供される出力ランプアップ開始のための既定の制御棒設定点に制御棒16が達することができるように、さらなる脱イオン水を一次回路5に追加する目的で、バルブ28を制御するように適応されている。
換言すると、出力ランプアップ開始のための既定の制御棒設定点は、反応度収支52の結果にしたがって、かつキセノン予測モジュール46内の計算された待機時間を用いて、制御棒セット値調整54によって提供される。
待機時間が図7中のこの実施例の場合よりも長くなると考えられ(例えば20時間)、制御棒が出力ランプアップ開始のための既定の制御棒設定点を超えると思われる場合、既定の制御棒設定点は単純にキセノン濃度のさらなる減少を補償することによって反応度収支モジュール52により決定されることから、浮動/ELPOモジュール56は、例えば反応度収支モジュール52から信号を受信することによって、第2の「浮動」サブモードを終結させ、制御は標準原子炉制御58に引渡される。
これは、緊急停止時に炉心内に制御棒16をさらに挿入できるようにするために(停止時反応度を保証するため)に重要である。
換言すると、標準原子炉制御は、制御棒セット設定点調整54により提供されるその予測された設定点に比べた現在の制御棒位置によって提供される制御偏差にしたがってホウ酸注入を開始することから、制御棒16はさらに下降させられない。
図8において、部分負荷での待機期間tPLが第2の既定の時間、例えばおよそ30時間よりも長い場合、第3のサブモードが使用される。
第3のサブモードは、拡張低出力運転(ELPO)モードとも呼ばれる。
この第2の既定の期間(ここではおよそ30時間であるが、例えば60時間といったようにはるかに長いものであり得る)は、ELPOに関する異なる様相を考慮に入れなければならない時間に対応する。
すなわち、長期部分負荷運転中、Dセットは、最適化された燃料燃焼およびペレットと被覆管の相互作用(PCI)に関する最適な条件付けが行われた炉心を有するようにその「全負荷位置」にあることになる。
例えば、第2の既定の期間は、少なくとも30時間である。
第3のサブモードについて、図8を用いて説明する。
第1の線および第2の線は、ホウ酸および脱イオン水が一次回路に追加される段階を示す。
この事例においては、D-セットを「全負荷位置」まで引き戻すためにキセノンビルドアップ(部分負荷に達した後)が使用されることから、ホウ酸および脱イオン水の量も最小限に抑えられる。
換言すると、炉心はほぼ制御棒が無い状態である。
第3の線は、経時的なキセノン濃度を示し、第4の線は、制御棒16の位置(センチメートル単位の、炉心内へのそれらの挿入)を示し、第5の線は、経時的な原子炉3の出力を示す。
第3の三次サブモードでは、浮動/ELPOモジュール56は、反応度収支モジュール52の予測設定点と比べて制御棒設定値調整モジュール54との関係において優位である。
第3のサブモードでは、浮動/ELPOモジュール56は、制御棒セット設定点調整モジュール54に対して、第3のサブモードまたはELPOモードを使用すべきであることを知らせる。
実施形態によると、モジュール54は、第3のサブモードまたはELPOを使用すべきであるという情報を受信した時点で、制御棒16についての設定値が「全負荷位置」(ほぼ制御棒無しまたは全出力位置)であるべきであることを指令する。
こうして、原子炉3の出力が一定である場合、制御棒が全負荷に達した後、キセノン濃度は、例えばACT制御を介して間接的に、標準原子炉制御58によってBODE注入により補償される。
換言すると、モジュール54は、反応度収支モジュール52により提供される設定点を無視する。
第1のステップにおいて、制御棒は、下降させられるかまたは炉心内に挿入されて原子炉3の出力を削減する。
図8の実施例において、出力は、全出力の75%まで削減される。
その後、キセノン濃度は増大し、制御棒16は、キセノン濃度の増大に起因する反応度損失を補償するために炉心から外に引き戻される。
制御棒16は、その「全負荷位置」(ほぼ制御棒無し)または並行して上方管理限界UCLに達するまで、炉心から外に移動させられる。
キセノン濃度の増大のさらなる補償がなおも必要である場合には、一次回路に幾分かの脱イオン水が追加される。
6時間目~8時間目の間のキセノン濃度グラフの最大値を参照のこと。参照符号62を参照のこと。
キセノン濃度がその最大値の後に減少する時点で、総反応度が増加し、標準原子炉制御58によって一次回路5内にホウ酸が追加され、これは、制御棒セット設定点調整モジュール54の設定点「全負荷位置」および現在の制御棒16位置によって与えられる。
実施形態によると、ホウ酸は、非連続的に追加される。
ホウ酸は、キセノン濃度の平衡に達するまで、すなわちキセノン勾配がほぼゼロとなるまで、図8では参照符号64を有する期間中に、追加される。
待機期間の終了時の前に、制御棒16は、出力ランプアップのための既定の制御棒設定点まで移動させられなければならない。
したがって、待機期間終了時の前の適切な時点で、第3のサブモードまたはELPOモードは、反応度収支モジュール52から終結信号「時間基準到達」を受信することによって、浮動/ELPOサブモジュール56内で終結させられる。
その後、反応度収支モジュール52は、制御棒セット設定点調整モジュール54に対して、既定の制御棒位置またはランプアップ前の設定点に対応する制御棒16についての設定点を提供し、標準原子炉制御58は、脱イオン水を注入し、これにより制御棒16は、制御棒設定値調整54によって提供された出力ランプアップ開始のための既定の制御棒設定点まで移動させられる。
既定の制御棒設定値までの制御棒16の移動中に一次回路5に対して、脱イオン水が追加される。参照符号66参照。
この第3のサブモードにおいては、ペレットと被覆管の相互作用(PCI)に起因してかつ均質的に燃料棒のバーンオフを有する目的で、制御棒は炉心から外に移動させられる。
第3のサブモードまたはELPOサブモードは、一次冷却流体の混合物収支および反応度に基づいて反応度収支モジュール52により提供される信号「時間基準到達」の生成にしたがって、待機時間が終わる1時間前~3時間前に終結させられる。
制御棒16は、詳細には三次制御サブモードの各々において、調節下限LRLを超えない、ということに留意すべきである。
調節下限LRLは、原子炉の現在の出力Pに左右される。
現在の出力が高くなればなるほど、制御棒16を用いて任意の瞬間において原子炉を停止できるように、調節下限は高くなる。
以上ですでに論述したように、実施形態によると、反応度収支モジュール52はさらに、予測キセノン反応度および反応度係数モジュール40の反応度係数に基づいて、浮動またはELPOのいずれの三次制御モードを終結すべきであるかを決定する。
この目的で、反応度収支モジュール52は、現在の反応度係数、既定の制御棒設定点、現在の制御棒16位置および混合収支(以上で言及した簡略化した混合方程式(1)~(4)による)に基づいて、Dセットをランプアップのための必要とされる位置にもってくるのに必要な注入時間を決定する。
この必要な注入時間に許容誤差を加えたものが、残留待機時間よりも大きくなる場合、信号「時間基準到達」が活動状態になり、ELPOまたは浮動モードを終結させる。
原子炉制御58は、予測キセノン反応度値無しでも機能し、モジュール52、56および38無しでも機能する。
この場合、D制御棒セット設定点を、手動で設定しなければならない。
待機時間およびランプアップ時間の各々についての、200の計算ステップを伴うキセノン予測モジュールの精度は、15時間の部分負荷時間の実施例を用いて図9に示されている。
最上部から最下部へ、第2のサブモード(浮動モード)を用いる三次制御モードの実施例におけるキセノン濃度、予測誤差、制御棒またはD制御棒16の位置および、原子炉の出力を示す図9を見れば分かるように、予測誤差は、待機期間の終了時が近づくにつれて減少する。
これは、残留待機期間を用いて機能する、キセノン反応度の予測の周期的に反復される計算に起因するものである。
誤差は、調節の精密度に比較して実質的に低いものである。
待機時間の始めにおいてさえ、この計算誤差は、10pcmという値で、わずかである。
これは、制御棒セットの反応度係数が1.2pcm/cmである場合の、およそ8cmの制御棒セット偏差に匹敵する。
部分負荷における制御棒セットについての30cmという制御閾値と比べて、これは有意なものではない。
図10は、原子炉の事業者のための視覚化を示す。
視覚化はスクリーン上で提供されてよい。視覚化は、始めに論述した反応度収支の矢印に加えて、残留待機期間、ならびに配電網関連のサブモードELPOまたは浮動モードが設定されているか否かを示している。
さらに、図10は、P目標出力、タービン制御から導出される2.1%/分のランプアップ速度(PG-Grad=dPG/dt)を示す。
「Hd.SW-Fkt.」は、原子炉制御に対する予測器の影響をオフ切換えすべきである場合の、原子炉事業者に対する提案としての制御棒16についての手動式設定点を意味し、一方、「Hd.SW Fkt.actual value」は、制御棒16の原子炉制御における実際に有効な値である。
いくつかの実施形態によると、時間定数および制御強度帯域は、一次制御モードが選択された場合の原子炉の制御のために適応され得る。
実施形態によると、キセノン予測のための方法またはアルゴリズムは、計算ステップの最小化を可能にし、実時間デジタル原子炉制御への実装のために必要とされる予期されるランプアップ段階におけるキセノンの寄与を決定するために、選択された配電網制御モードに適応される。
実施形態中で使用されている方法は、ランプアップ段階におけるキセノンの寄与の第2の予測計算のための基礎として、現在のキセノンおよびヨウ素値の1回の計算とのタンデムキセノン計算による確率遠隔制御負荷変化を含めた全ての配電網関連制御モード(インハウス負荷への負荷遮断のような予期せぬ過渡的状態でさえも)を可能にする。
いくつかの実装例において、本明細書中に記載のいずれかの実施形態のいずれかの特徴を、本明細書中の他のいずれかの実施形態のいずれかの特徴と組合わせて使用することが可能である。
3 加圧水型原子炉
5 一次冷却流体回路
7 主冷却材ポンプ
9 熱交換器
11 二次回路
14 L制御棒
16 D制御棒
18 SPND(自己出力型中性子検出器)ランス
20 センサ
22 ポンプ
23 ポンプ
24 脱イオン水
26 ホウ酸
28 バルブ
30 バルブ
32 目標出力
34 待機期間
36 グリッド二次制御
38 グリッド一次制御
40 反応度係数モジュール
42 制御設定値予測器の影響
44 現在値計算モジュール
45a 積分器
45b 積分器
46 予測器モジュール
48 制御モジュール
48a 積分器
48b 積分器
48c ボックス
50 タンデムモジュール
52 反応度収支モジュール
54 制御棒セット設定点調整モジュール
56 浮動/ELPOモジュール
58 標準原子炉制御

Claims (17)

  1. 出力を生成する炉心を有する加圧水型原子炉(3)、前記炉心を蒸気発生器(9)に連結する一次回路(5)、前記炉心の出力を制御するために前記炉心内に移動させることのできる単数または複数の制御棒(16)、前記炉心の反応度を制御するために前記一次回路(5)内にホウ酸および/または脱イオン水を注入するための注入装置(22、23、24、26、28、30)を含む原子力発電所を制御するための方法において、一次回路(5)内で一次冷却流体が駆動され、前記方法が、
    前記原子炉(3)の現在の出力(P)を決定するステップと、
    現在のキセノン濃度および現在のヨウ素濃度を自動的に決定するステップと、
    目標出力および目標出力までの出力ランプアップ期間についての出力勾配(dPG/dt)を得るステップと、
    を含む方法であって、さらに、
    部分出力よりも高い目標出力にランプアップが開始されるまで、前記原子炉(3)が前記部分出力で機能する待機期間および/または残留待機期間を得るステップと、
    前記待機期間および/または残留待機期間の終了時について、前記現在のキセノン濃度、前記現在のヨウ素濃度および前記得られた待機期間および/または残留待機期間に基づいて、キセノン反応度および/またはキセノン濃度を計算するステップと、
    前記出力ランプアップ期間の終了時について、前記キセノン反応度および/または前記キセノン濃度を計算するステップと、
    前記待機期間の前記終了時および前記ランプアップ期間の前記終了時における前記計算されたキセノン反応度および/またはキセノン濃度に基づいて、前記単数または複数の制御棒(16)についての出力ランプアップの開始のための制御棒設定点を計算し、こうして制御棒(16)を用いて出力ランプアップを行なうことができるようにするステップと、
    前記待機期間中、前記待機期間および前記出力ランプアップの前記開始のための前記制御棒の設定点に基づいて前記単数または複数の制御棒(16)を位置付けし、こうして前記単数または複数の制御棒が、前記待機期間の終了時において前記出力ランプアップ開始のための前記制御棒設定点に達するようにするステップと、を含み、前記待機期間が、第1の既定の時間よりも長く、前記キセノン濃度の最大値までの増加を可能にする場合には、前記方法が、
    前記キセノン濃度の前記増加に起因する反応度損失を補償するために、前記単数または複数の制御棒(16)を前記炉心から外に移動させるステップと、
    前記待機期間の終了時の前に出力ランプアップの前記開始のための前記制御棒設定点まで前記炉心内に前記単数または複数の制御棒(16)を移動させるステップと、をさらに含むことを特徴とする方法。
  2. 前記出力ランプアップ開始のための前記制御棒設定点の前記計算が、さらに、前記原子炉の単数または複数の反応度値および/または反応度係数に基づいている、請求項1に記載の方法。
  3. 前記原子炉の単数または複数の反応度値および/または反応度係数が、前記単数または複数の制御棒の単数または複数の反応度係数、単数または複数のL制御棒の反応度係数、前記現在の出力と前記目標出力の間の平均冷却材温度(ACT)の差に起因する第1の反応度変化、前記現在の出力(P)と前記目標出力の間の差に起因する第2の反応度変化、および/または一次冷却流体中の前記ホウ酸の前記反応度係数と組合わせた注入されたホウ酸または脱イオン水の後続流の反応度寄与である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記出力ランプアップ開始のための前記制御棒設定点の前記計算が、さらに、前記制御棒(16)の全出力設定点および/またはL制御棒の前記全出力設定点に基づいている、請求項1または2に記載の方法。
  5. 前記制御棒(16)が、前記炉心から外に移動するときに上方管理限界または全負荷位置に達する場合、原子炉(3)を部分出力に維持して前記キセノン濃度の前記増加に起因する前記反応度損失を補償するため、脱イオン水を追加するステップを含む、請求項1から4のいずれか一つに記載の方法。
  6. 前記現在の制御棒位置、前記出力ランプアップの前記開始のための前記制御棒設定点および前記一次冷却流体中の現在のホウ酸濃度に基づいて、前記出力ランプアップ開始のための前記制御棒設定点まで単数または複数の制御棒(16)が移動する制限時間を決定して、
    前記一次回路内への脱イオン水の注入により前記決定された制限時間の前に前記出力ランプアップ開始のための前記制御棒設定点まで前記単数または複数の制御棒(16)を前記炉心内に移動させるステップと、
    前記一次回路(5)に脱イオン水を追加するステップと、
    をさらに含む、請求項1から5のいずれか一つに記載の方法。
  7. 前記制限時間が、さらに、前記脱イオン水の最小供給量に基づいて決定される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記待機期間が、第2の既定の時間よりも短かく、前記第2の既定の時間が前記第1の既定の時間よりも長い場合、前記単数または複数の制御棒(16)は、前記待機期間中に前記キセノン濃度がその最大値に達した後、前記キセノン濃度の減少に起因する前記反応度の増加を補償するために、前記炉心内に移動させられる、請求項1から7のいずれか一つに記載の方法。
  9. 前記待機期間が、第2の既定の時間よりも短かく、前記第2の既定の時間が前記第1の既定の時間よりも長い場合、前記炉心内への前記移動中に前記制御棒(16)が前記出力ランプアップ開始のための前記制御棒設定点に達するとき、前記一次回路にホウ酸を追加し、かつ前記出力ランプアップ開始のための前記制御棒設定点に前記制御棒(16)を維持するステップをさらに含む、請求項1から5または8のいずれか一つに記載の方法。
  10. 前記待機期間が、第2の既定の時間よりも長く、前記第2の既定の時間が前記第1の既定の時間よりも長い場合、前記待機期間中に前記キセノン濃度がその最大に達した後、前記キセノン濃度の減少に起因する前記反応度の増加を補償するために前記一次回路(5)内にホウ酸を追加するステップをさらに含む、請求項1から7のいずれか一つに記載の方法。
  11. 前記第2の既定の時間が、20時間~60時間である、請求項8から10のいずれか一つに記載の方法。
  12. 前記制御棒は、前記待機期間の前記終了時の前に前記出力ランプアップ開始のための制御棒設定点への前記単数または複数の制御棒(16)の炉心内への前記移動まで、上方管理限界または全負荷位置にとどまる、請求項10に記載の方法。
  13. 前記第1の既定の時間が、キセノン最大値濃度に達した時間から2時間後、またはキセノン最大値濃度に達した時間後のキセノン最大値濃度に達した時間までの前記待機期間の30%に対応する、請求項1から12のいずれか一つに記載の方法。
  14. 前記第1の既定の時間が、6時間~10時間である、請求項1から13のいずれか一つに記載の方法。
  15. 前記出力ランプアップ開始のための前記制御棒設定点を計算する目的で前記目標出力まで前記出力をランプアップさせるために、前記待機期間の前記終了時および前記ランプアップ期間の前記終了時についてのキセノン反応度を含めた総反応度が計算される、請求項1から14のいずれか一つに記載の方法。
  16. 出力を生成する炉心を有する加圧水型原子炉(3)、前記炉心を蒸気発生器(9)に連結する一次回路(5)、前記炉心の出力を制御するために前記炉心内に移動させることのできる単数または複数の制御棒(16)、前記炉心の反応度を制御するために前記一次回路(5)内にホウ酸および/または脱イオン水を注入するための注入装置(22、23、24、26、28、30)を含む原子力発電所用の制御装置において、一次回路(5)内で一次冷却流体が駆動され、前記制御装置が、
    前記原子炉(3)の現在の出力(P)を決定し、
    現在のキセノン濃度および現在のヨウ素濃度を自動的に決定し、
    目標出力および、目標出力までの出力ランプアップ期間についての出力勾配(dPG/dt)を得る、
    ように適応された制御装置であって、さらに、
    部分出力よりも高い目標出力にランプアップが開始されるまで前記原子炉(3)が前記部分出力で動作する待機期間および/または残留待機期間を得、
    前記待機期間および/または残留待機期間の終了時について、前記現在のキセノン濃度、前記現在のヨウ素濃度および前記得られた待機期間および/または残留待機期間に基づいて、キセノン反応度および/またはキセノン濃度を計算し、
    前記出力ランプアップ期間の終了時について、前記キセノン反応度および/または前記キセノン濃度を計算し、
    前記待機期間の前記終了時および前記ランプアップ期間の前記終了時における前記計算されたキセノン反応度および/またはキセノン濃度に基づいて、前記単数または複数の制御棒(16)についての出力ランプアップの開始のための制御棒設定点を計算し、こうして制御棒(16)を用いて出力ランプアップを行なうことができるようにし、
    前記待機期間中、前記待機期間および前記出力ランプアップの前記開始のための前記制御棒の設定点に基づいて、前記単数または複数の制御棒(16)を位置付けし、こうして前記単数または複数の制御棒が、前記待機期間の終了時において前記出力ランプアップ開始のための前記制御棒設定点に達するように適応されており、前記待機期間が、第1の既定の時間よりも長く、前記キセノン濃度の最大値までの増加を可能にする場合には、前記制御装置が、
    前記キセノン濃度の前記増加に起因する反応度損失を補償するために、前記単数または複数の制御棒(16)を前記炉心から外に移動し、
    前記待機期間の終了時の前に出力ランプアップの前記開始のための前記制御棒設定点まで前記炉心内に前記単数または複数の制御棒(16)を移動するようにさらに適応されていることを特徴とする制御装置。
  17. 請求項1から15のいずれか一つに記載の方法を行なうように適応されている、請求項16に記載の原子力発電所用の制御装置。
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