JP2009127755A - 樹脂製プーリ付軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】クリープの発生を抑制できて、加工も容易な樹脂製プーリ付軸受装置を提供すること。
【解決手段】外輪4の軸方向の両側の端面に、両端が外輪4の外周面につながる直線状の溝70,80を形成する。この溝70,80に、流動化した樹脂材料が充分に行き渡るように、射出成形により、外輪4とプーリ2とを一体成形する。
【選択図】図2
【解決手段】外輪4の軸方向の両側の端面に、両端が外輪4の外周面につながる直線状の溝70,80を形成する。この溝70,80に、流動化した樹脂材料が充分に行き渡るように、射出成形により、外輪4とプーリ2とを一体成形する。
【選択図】図2
Description
本発明は、転がり軸受と、樹脂製プーリとを備える樹脂製プーリ付軸受装置に関する。
従来、樹脂製プーリ付軸受装置としては、特開2001−317616号公報(特許文献1)に記載されているものがある。この樹脂製プーリ付軸受装置は、鋼製の転がり軸受と、この転がり軸受の外輪の外周に配置された樹脂製プーリとを備え、上記外輪と上記樹脂製プーリとは一体成形されている。
また、転がり軸受の外輪の外周面に、深さおよび幅が周方向の位置において変動する周方向に延在する環状溝を設けて、この環状溝に樹脂製プーリの一部を収容することにより、上記樹脂製プーリが上記外輪をクランプする力を大きくして、上記樹脂製プーリが上記外輪に対して相対回転(クリープ)しないようにしている。詳しくは、樹脂製プーリが回り出したとしても、上記環状溝の楔作用によって樹脂製プーリの回動を止めて、樹脂製プーリの恒久的な回動を防止するようにしている。
しかしながら、上記樹脂製プーリ付軸受装置では、外輪の外周面の全周にわたって加工が必要な上に、周方向のおいて深さおよび溝を変化させる必要があり、加工が困難で、加工工数が大きくなる。
特開2001−317616号公報
そこで、本発明の課題は、クリープの発生を抑制できて、加工も容易な樹脂製プーリ付軸受装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の樹脂製プーリ付軸受装置は、
内輪、外輪および転動体を有する転がり軸受と、
上記外輪の外周面に当接した内周面を有すると共に、上記外輪と一体成形された樹脂製の一体のプーリと
を備え、
上記外輪の軸方向の少なくも一方の端面は、直線状の溝を有し、
上記溝の両端は、上記外輪の外周面につながっており、
上記プーリの一部は、上記溝に入り込んでいることを特徴としている。
内輪、外輪および転動体を有する転がり軸受と、
上記外輪の外周面に当接した内周面を有すると共に、上記外輪と一体成形された樹脂製の一体のプーリと
を備え、
上記外輪の軸方向の少なくも一方の端面は、直線状の溝を有し、
上記溝の両端は、上記外輪の外周面につながっており、
上記プーリの一部は、上記溝に入り込んでいることを特徴としている。
本発明によれば、外輪の軸方向の少なくも一方の端面に形成される溝が、両端が外輪の外周面につながる一定の直線状の溝であって、従来例の環状溝のように、溝において、溝の深さおよび幅を変動させる必要がないから、溝を簡易に迅速に加工することができる。また、複数の外輪において、各外輪の軸方向の端面の径方向が、同一の直線上に位置するように、複数の外輪を配置して、その後、ミーリング等を、上記直線に平行に走らせるだけで、複数の外輪に、略同時に溝加工を施すことができる。
また、本発明によれば、従来と異なり、溝が周方向に延在していない(溝が周方向に非連続である)から、プーリが外輪に対して周方向に相対回転するのを抑制する効果を大きくすることができる。また、溝が単純な直線形状であるから、射出成形で、プーリを外輪と一体成形する際、樹脂材料が溝内を円滑に流動し易く、更には、溝の両端が外輪の周面につながって、溝の両端が開口しているから、樹脂材料が溝内を流動する際、溝内の空気が樹脂材料の溝内の流動を阻害することもない。したがって、射出成形時において、樹脂材料をより短時間で溝内に封入することができ、かつ、溝の内面と樹脂材料との間に隙間が生成することをより確実に防止することができる。したがって、クリープの発生を抑制する抑制効果を大きくすることができる。特に、鋼の線膨張係数と樹脂の線膨張係数の違いから、樹脂プーリと外輪との嵌合いが小さくなる高温領域において、クリープの発生を効果的に抑制できる。したがって、本発明によれば、クリープの発生を効果的に抑制できると共に、使用可能である温度を高くできる。
本発明の樹脂製プーリ付軸受装置によれば、外輪の軸方向の少なくも一方の端面に形成される溝が、両端が外輪の外周面につながる直線状の溝であって、溝の深さおよび幅を変動させる必要がないから、溝を簡易に迅速に加工することができる。例えば、複数の外輪において、各外輪の軸方向の端面の径方向が、同一の直線上に位置するように、複数の外輪を配置して、その後、ミーリング等を、上記直線に平行に走らせるだけで、複数の外輪に、略同時に溝加工を施すことができる。
また、本発明の樹脂製プーリ付軸受装置によれば、溝が直線状であるから、射出成形で、プーリを外輪と一体成形する際、樹脂材料が溝内を円滑に流動し易く、かつ、溝の両端が開口しているから、樹脂材料が溝内を流動する際、溝内の空気が樹脂材料の溝内の流動を阻害することもない。したがって、射出成形時において、樹脂材料をより短時間で溝内に封入することができ、かつ、溝の内面と樹脂材料との間に隙間が生成することをより確実に防止することができて、プーリが外輪をクランプする力をより大きくすることができる。したがって、クリープの発生を抑制する抑制効果を大きくすることができ、特に、鋼の線膨張係数と樹脂の線膨張係数の違いから、樹脂プーリと外輪との嵌合いが小さくなる高温領域において、クリープの発生を効果的に抑制できる。したがって、クリープの発生を効果的に抑制できると共に、使用可能である温度を高くすることができる。
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態の樹脂製プーリ付軸受装置の軸方向の断面図である。
この樹脂製プーリ付軸受装置は、転がり軸受の一例としての玉軸受1と、樹脂製プーリの一例としての一体のフェノール樹脂製プーリ2とを備える。
上記玉軸受1は、軸受鋼製の外輪4と、軸受鋼製の内輪5と、複数の玉6とを有する。上記複数の玉6は、外輪4の軌道溝と内輪5の軌道溝との間に、保持器7によって保持された状態で、周方向に互いに間隔をおいて配置されている。
上記フェノール樹脂製プーリ2(以下、単に、プーリ2という)の材質は、母材(主成分)であるレゾール型フェノール樹脂に、強化繊維やガラス繊維や球状シリカ粉末等を混合してなっている。上記プーリ2は、外輪4の外周面10に当接した内周面11を有している。上記プーリ2と、外輪4とは、射出成形によって一体成形されている。上記プーリ2の外周側には、図示しないベルトを取り付ける複数のベルト取り付け溝15が形成されている。
尚、図1において、玉6の軸方向の両端部には、シール部材21,22が配置されている。このシール部材21,22は、外輪4および内輪5の軌道溝や玉6を外部に対してシールすると共に、玉軸受1の内部のグリース等の潤滑剤が、外部に漏洩することを防止している。
図2は、図1における外輪4周辺の拡大断面図である。詳しくは、図2は、以下に説明する溝70を、その溝70の延在方向に対して垂直に二等分する垂直二等分線と、玉軸受1の軸方向とを含む平面で、玉軸受1を切断したときの断面図である。
図2に示すように、上記外輪4の軸方向の一方の側の端面は、軸方向の外方に開口する溝70を有し、外輪4の軸方向の他方の側の端面は、軸方向の外方に開口する溝80を有している。上記軸方向の一方の側の端面に形成された溝70,および、軸方向の他方の側の端面に形成された溝80には、プーリ2の一部分が隙間なく入り込んでいる。
尚、詳述しないが、図2において、41は、シール部材21の芯金部を示し、42は、シール部材21の弾性部を示している。また、51は、シール部材22の芯金部を示し、52は、シール部材22の弾性部を示している。上記シール部材21は、径方向の一端部が外輪4の内周面のシール取付溝に嵌入固定されている一方、径方向の他端部を構成する弾性部42のシールリップが、内輪5の外周面に対して摺動するようになっている。また、上記シール部材22は、径方向の一端部が外輪4の内周面のシール取付溝に嵌入固定されている一方、径方向の他端部を構成する弾性部52のシールリップが、内輪5の外周面に対して摺動するようになっている。
図3は、射出成形前の玉軸受1を、軸方向の上記一方の側の外方から見たときの端面図である。尚、図3において、参照番号90は、外輪4の外周側の面取り部分を示している。また、図3において、AA線を含むと共に、紙面に垂直な平面で切断した断面図が、図1および図2における外輪4の断面図に相当している。
図3に示すように、上記溝70は、直線形状を有し、溝70の両端は、外輪4の外周面83に開口していて外輪4の外周面83につながっている。また、図3に示すように、直線状の溝70を、その延在方向に対して垂直に二等分する線と、軸方向とを含む断面図において、溝70は、面取り部の径方向の最内方の部分よりも径方向の内方に位置している。また、図2に示すように、溝70は、プーリ2の径方向の最内方の部分よりも径方向の外方に位置している。
また、図示しないが、上記外輪4の軸方向の一方の側の端面85(図2、図3参照)は、4つの溝70を有し、これら4つの溝70は、周方向に等間隔に配置されている。
再度、図2を参照して、外輪4の軸方向の他方の側の端面に形成された溝80は、外輪4の軸方向の一方の側の端面に形成された溝70と同一の形状および大きさを有している。上記他方の側の端面は、4つの溝80を有し、これら4つの溝80は、周方向に等間隔に配置されている。上記外輪4の上記一方の側の端面に形成された溝70と、外輪4の他方の側の端面に形成された溝80とは、軸方向に重なっている。
上記実施形態の樹脂製プーリ付軸受装置を、例えば、以下のように形成する。
先ず、図示しない回転刃が外輪4の軸方向を含む平面内に略位置している状態で、上記回転刃を玉軸受1の外輪4の一方および他方の端面に接触させた上、上記回転刃を直線上を移動させて、外輪4の軸方向の一方および他方の端面の夫々に、周方向に等間隔に、両端が外輪4の外周面83につながる4つの溝70,80を形成する。
次に、都合8つの溝70,80が形成された外輪4と、複数の玉6、保持器7、内輪5およびシール部材21,22を組み付けて玉軸受1を形成する。
その後、金型の所定の箇所に、上記玉軸受1を配置した後、上記金型内に、熱可塑性樹脂であるフェノール樹脂を主成分とする樹脂材料を加熱して流動化させた上、金型内に射出する。この際、流動化した上記樹脂材料を、上記各溝70,80全体に行き渡らせる。
その後、金型を冷やして、上記樹脂材料を硬化させた後、離型して、玉軸受1と一体になったフェノール樹脂製のプーリ2を成形する。
その後、プーリ2および玉軸受1からなるアッセンブリに、周知の後処理を行って、樹脂製プーリ付軸受装置の形成を完了する。
上記実施形態の樹脂製プーリ付軸受装置によれば、外輪4の軸方向の少なくも一方の端面に形成される溝70,80が、両端が外輪4の外周面につながる直線状の溝であって、従来例の環状溝のように、溝において、溝の深さおよび幅を変動させる必要がないから、溝70,80を簡易に迅速に加工することができる。また、複数の外輪4に略同時に溝加工を施すことができる。詳しくは、複数の外輪4において、各外輪4の軸方向の端面の径方向が、同一の直線上に位置するように、複数の外輪4を配置して、その後、ミーリング等を、上記直線に平行に走らせるだけで、複数の外輪4に、略同時に溝加工を施すことができる。
また、上記実施形態の樹脂製プーリ付軸受装置によれば、従来と異なり、溝70,80が周方向に延在していない(溝70,80が周方向に非連続である)から、プーリ2が外輪4に対して周方向に相対回転するのを抑制する効果を大きくすることができる。また、上記溝70,80が直線状であるから、射出成形で、プーリ2を外輪4と一体成形する際、樹脂材料が溝70,80内を円滑に流動し易く、かつ、溝70,80の両端が開口しているから、樹脂材料が溝70,80内を流動する際、溝70,80内の空気が樹脂材料の溝70,80内の流動を阻害することがない。したがって、射出成形時において、樹脂材料をより短時間で溝内に封入することができ、かつ、溝70,80の内面と樹脂材料との間に隙間が生成することをより確実に防止することができて、プーリ2が外輪4をクランプする力をより大きくすることができる。したがって、従来の樹脂製プーリ付軸受装置と比較して、クリープの発生を抑制する抑制効果を大きくできる。特に、鋼の線膨張係数と樹脂の線膨張係数の違いから、樹脂製のプーリ2と外輪4との嵌合いが小さくなる高温領域において、クリープの発生を効果的に抑制できる。したがって、クリープの発生を効果的に抑制できると共に、使用可能である温度を高くすることができる。
尚、上記実施形態の樹脂製プーリ付軸受装置では、両端が外輪4の外周面に開口する直線状の溝70,80を、外輪4の軸方向の両側の端面に形成したが、この発明では、両端が外輪の外周面に開口する直線状の溝を、外輪の軸方向の一方の側の端面のみに形成しても良い。
また、上記実施形態の樹脂製プーリ付軸受装置では、両端が外輪4の外周面に開口する直線状の溝70,80を、外輪4の軸方向の両側の端面に、周方向に等間隔に4つ形成したが、この発明では、両端が外輪の外周面に開口する直線状の溝を、外輪の軸方向の少なくとも一方の側の端面に、一つまたは周方向に等間隔に3つまたは5つ以上形成しても良い。
また、上記実施形態の樹脂製プーリ付軸受装置では、両端が外輪4の外周面に開口する直線状の溝70,80を、外輪4の軸方向の両側の端面に、周方向に等間隔に4つ形成したが、この発明では、両端が外輪の外周面に開口する直線状の溝を、外輪の軸方向の少なくとも一方の側の端面に、等間隔でない状態で複数形成しても良い。
また、上記実施形態の樹脂製プーリ付軸受装置では、外輪4の軸方向の一方の側の端面に存在する溝70と、外輪4の軸方向の他方の端面に存在する溝80とが、軸方向に重なるように、外輪4の軸方向の両側の端面に、各端面に4つずつ溝70,80を形成したが、この発明では、外輪の軸方向の一方の側の端面に存在する溝と、外輪の軸方向の他方の端面に存在する溝とが、軸方向に重なっていない状態で、外輪の軸方向の両側の端面に、溝を形成しても良い。
また、上記実施形態の樹脂製プーリ付軸受装置では、フェノール樹脂を主成分とするプーリ2を採用したが、本発明で使用できるプーリが、フェノール樹脂を主成分とするプーリに限定されないことは言うまでもない。例えば、本発明では、PPS(ポリフェニレンスルファイド)樹脂を主成分とする樹脂材料からなるプーリ等、フェノール樹脂を主成分とする樹脂材料以外の樹脂材料からなる樹脂製プーリを用いても良い。
尚、上記実施形態の樹脂製プーリ付軸受装置では、転がり軸受が玉軸受1であったが、この発明では、転がり軸受は、ころ軸受等、玉軸受以外の転がり軸受であっても良いことは、言うまでもない。
1 玉軸受
2 フェノール樹脂製プーリ
4 外輪
5 内輪
6 玉
7 保持器
70,80 溝
83 外輪の外周面
85 外輪の軸方向の一方の側の端面
2 フェノール樹脂製プーリ
4 外輪
5 内輪
6 玉
7 保持器
70,80 溝
83 外輪の外周面
85 外輪の軸方向の一方の側の端面
Claims (1)
- 内輪、外輪および転動体を有する転がり軸受と、
上記外輪の外周面に当接した内周面を有すると共に、上記外輪と一体成形された樹脂製の一体のプーリと
を備え、
上記外輪の軸方向の少なくも一方の端面は、直線状の溝を有し、
上記溝の両端は、上記外輪の外周面につながっており、
上記プーリの一部は、上記溝に入り込んでいることを特徴とする樹脂製プーリ付軸受装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007303957A JP2009127755A (ja) | 2007-11-26 | 2007-11-26 | 樹脂製プーリ付軸受装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007303957A JP2009127755A (ja) | 2007-11-26 | 2007-11-26 | 樹脂製プーリ付軸受装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009127755A true JP2009127755A (ja) | 2009-06-11 |
Family
ID=40818894
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007303957A Pending JP2009127755A (ja) | 2007-11-26 | 2007-11-26 | 樹脂製プーリ付軸受装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009127755A (ja) |
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2007
- 2007-11-26 JP JP2007303957A patent/JP2009127755A/ja active Pending
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