JP2009126972A - シリコーンコーティング組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 数平均粒子径20nm以下の酸化亜鉛超微粒子を均一分散させた透明性に優れる付加型硬化性シリコーンコーティング組成物、およびコーティング膜によって被覆されたプラスチック成形体を提供すること。
【解決手段】 加水分解性基とシロキサン基を有するシラン化合物で表面修飾された酸化亜鉛超微粒子とヒドロシリル基含有シロキサン化合物、アルケニル基含有シロキサン化合物を含有する付加型硬化性シリコーンコーティング組成物。必要に応じて白金触媒、および硬化遅延剤を含有してもよい。さらに該シリコーンコーティング組成物をコーティングし硬化させて得られたシリコーンコーティング膜被覆プラスチック成形体。酸化亜鉛超微粒子が互いに凝集することなく高含量で均一分散したコーティング膜が得られ、透明性、紫外線吸収性に優れる。
【選択図】 なし

Description

本発明は付加型硬化性シリコーンコーティング組成物、およびシリコーンコーティング膜によって被覆されたプラスチック成形体に関する。より詳しくは、シラン化合物で表面修飾された酸化亜鉛超微粒子を含有する付加型硬化性シリコーンコーティング組成物、およびシリコーンコーティング膜によって被覆されたプラスチック成形体に関する。
シリコーンコーティング組成物をコーティングし硬化させたシリコーンコーティング膜は、膜自身の透明性、耐磨耗性、耐薬品性、耐候性が優れているために、透明ハードコートとして用いられている。特に透明プラスチック樹脂にシリコーンコーティングすることによって、透明プラスチックの耐摩耗性、耐薬品性を改善することができ、ガラス並の耐摩耗性にすることも可能である。
透明プラスチック、特にポリカーボネートは、近年、その軽量性、耐衝撃性、安全性を活かして窓ガラス、特に自動車の窓ガラスに、ポリカーボネートの板状成形体を適用しようとする動きがある。窓ガラス用途には無機ガラス並の高度な耐候性が要求されるのであるが、ポリカーボネートは耐候性が十分ではなく、例えば成形体を屋外で長期使用するとポリマーの分解・劣化が進み物性、外観が損なわれることが知られている。
ポリカーボネート成形体の耐候性を向上させる目的で、従来から、該成形体とシリコーンコーティング膜の間にプライマー層として、紫外線吸収剤を添加したアクリル樹脂を用いることが提案されている(特許文献1)。また、ヒドロキシル基もしくはアルコキシシリル基を有した紫外線吸収剤を、ハードコート層に含有させる技術も提案されている(特許文献2、3)。しかしながら、耐候性は不十分でありさらなる耐候性の向上が求められている。
特開2003−342403 特開平2−242864 特開平2−117928
本発明が解決しようとする課題は、耐候性に優れたシリコーンコーティング組成物、およびシリコーンコーティング膜によって被覆されたプラスチック成形体を提供することにある。
本発明者らは、シラン化合物で表面被覆した酸化亜鉛をヒドロシリル基含有シロキサン化合物およびアルケニル基含有シロキサン化合物に配合すると、酸化亜鉛が数平均粒子径20nm以下の超微粒子であっても凝集することなく均一分散するため、透明性と紫外線遮蔽性に優れた硬化性組成物としてコーティング用途に適していることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本願は以下の構成を有するものである。
1)シラン化合物(A1)で表面修飾された酸化亜鉛超微粒子(A)とヒドロシリル基含有シロキサン化合物(B)、アルケニル基含有シロキサン化合物(C)とを含む付加型硬化性シリコーンコーティング組成物。(ただし、シラン化合物(A1)は式(1)
Figure 2009126972
(式中、Xは加水分解性基;Rは炭素数1〜18の1価の有機基またはシロキシ基;Rは炭素数1〜18の1価の有機基;Rは炭素数1〜18の1価の有機基;aは1、2、または3;bは0または2;cは、b=0のとき1でありb=2のとき0;dは0、1、または2であり、a+dは1、2、または3;nは0〜100までの整数をあらわす)であらわされる化合物である。)
2)酸化亜鉛超微粒子の数平均粒子径が1〜20nmである、1)に記載のコーティング組成物。
3)酸化亜鉛1モルに対してシラン化合物(A1)の量が0.01〜5モルの範囲にある、1)〜2)のいずれかに記載のコーティング組成物。
4)酸化亜鉛の含有量が0.1〜80wt%である、1)〜3)のいずれかに記載のコーティング組成物。
5)Xが炭素数3以下のアルコキシ基;Rがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロヘキシルメチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、ビニル基、3−アクリロキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基、アリル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、トリメチルシリルオキシ基からなる群より選ばれる1種以上の有機基;RおよびRがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロヘキシルメチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、ビニル基、3−アクリロキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基、アリル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基からなる群より選ばれる1種以上の有機基;aが1または2;nが0〜10までの整数である、1)〜4)のいずれかに記載のコーティング組成物。
6)コーティング組成物が白金触媒(D)を含有する、1)〜5)のいずれかに記載のコーティング組成物。
7)コーティング組成物が硬化遅延剤(E)を含有する、1)〜6)のいずれかに記載のコーティング組成物。
8)硬化後のコーティング膜の光線透過率が、340nmにおいて60%以下であり、550nmにおいて80%以上である、1)〜7)のいずれかに記載のコーティング組成物。
9)1)〜8)のいずれかに記載されたコーティング組成物をプラスチック成形体にコーティングし硬化させた被覆プラスチック成形体。
10)プラスチック成形体が透明である、9)記載の被覆プラスチック成形体。
11)被覆プラスチック成形体のプラスチック成形体部分がポリカーボネート樹脂である、9)〜10)のいずれかに記載の被覆プラスチック成形体。
12)以下の工程によって製造する9)〜11)のいずれかに記載の被覆プラスチック成形体の製造方法:
(1)アルカリ金属水酸化物のアルコール溶液にカルボン酸亜鉛化合物を添加し、酸化亜鉛超微粒子を製造する工程;
(2)工程(1)で得られた酸化亜鉛超微粒子のアルコール分散液にシラン化合物(A1)を添加し、シラン化合物で表面修飾された酸化亜鉛超微粒子(A)を製造する工程;
(3)シラン化合物で表面修飾された酸化亜鉛超微粒子(A)をアルコールから分離し、洗浄する工程;
(4)シラン化合物で表面修飾された酸化亜鉛超微粒子(A)をヒドロシリル基含有シロキサン化合物(B)およびアルケニル基含有シロキサン化合物(C)、白金触媒(D)、硬化遅延剤(E)と混合しコーティング組成物を製造する工程
(5)工程(4)で得られたコーティング組成物をプラスチック成形体にコーティングし硬化させる工程。
13)工程(1)において、カルボン酸亜鉛化合物の濃度が0.01〜0.5mol/Lであることを特徴とする、12)に記載の被覆プラスチック成形体の製造方法。
14)工程(1)において、アルカリ金属水酸化物の使用量がカルボン酸亜鉛化合物1モルに対して1.5〜4モルの範囲である、12)または13)に記載の被覆プラスチック成形体の製造方法。
15)工程(2)の反応を80〜300℃かつ0.3〜20MPaの条件で実施する、12)〜14)のいずれかに記載の被覆プラスチック成形体の製造方法。
16)工程(4)において有機溶媒を使用する、12)〜15)のいずれかに記載の被覆プラスチック成形体の製造方法。
本発明の付加型硬化性シリコーンコーティング組成物は、酸化亜鉛超微粒子が凝集することなく均一分散しているため、透明でありながら紫外線を遮蔽することができる。そのため、本発明のシリコーンコーティング組成物によってコーティングすることによって、被覆された物質の色調を変化させることなく、耐候性を向上させることができる。そのため、樹脂ガラス用コーティング、フラットパネルディスプレイやパソコン、携帯電話等の電子機器のコーティング、建築物外壁用コーティング、自動車用コーティングなどに適している。
本発明のシリコーンコーティング膜によって被覆されたプラスチック成形体は、耐候性、耐摩耗性、耐薬品性に優れていることから、電子機器用素材、自動車用素材等に適している。
本発明の付加型硬化性シリコーンコーティング組成物は、シラン化合物(A1)で表面修飾された酸化亜鉛超微粒子(A)とヒドロシリル基含有シロキサン化合物(B)、アルケニル基含有シロキサン化合物(C)とを含む。ただし、シラン化合物(A1)は式(1)
Figure 2009126972
(式中、Xは加水分解性基;Rは炭素数1〜18の1価の有機基またはシロキシ基;Rは炭素数1〜18の1価の有機基;Rは炭素数1〜18の1価の有機基;aは1、2、または3;bは0または2;cは、b=0のとき1でありb=2のとき0;dは0、1、または2であり、a+dは1、2、または3;nは0〜100までの整数をあらわす)であらわされる化合物である。
シラン化合物(A1)
上記シラン化合物(A1)において加水分解性基Xとしては特に限定されないが、アルコキシ基、オキシム基、オキシカルボニル基、ハロゲン原子、水素原子などを挙げることができる。酸化亜鉛超微粒子表面を修飾する際の反応がマイルドである点でアルコキシ基、オキシム基、オキシカルボニル基が好ましく、入手性および価格の点でアルコキシ基がより好ましく、炭素数3以下のアルコキシ基がさらに好ましい。一分子中に複数のXが存在する場合、互いに同一でもよく異なっていてもよい。
上記シラン化合物(A1)のRは、炭素数1〜18の1価の有機基またはシロキシ基であり限定されないが、入手性および価格の点でメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロヘキシルメチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、ビニル基、3−アクリロキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基、アリル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、トリメチルシリルオキシ基からなる群より選ばれる1種以上の有機基が好ましい。一分子中に存在する複数のRは互いに同一でもよく異なっていてもよい。
上記シラン化合物(A1)のRは、炭素数1〜18の1価の有機基であり限定されないが、入手性および価格の点でメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロヘキシルメチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、ビニル基、3−アクリロキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基、アリル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基からなる群より選ばれる1種以上の有機基が好ましい。一分子中に存在する複数のRは互いに同一でもよく異なっていてもよい。
上記シラン化合物(A1)のRは、炭素数1〜18の1価の有機基であり限定されないが、入手性および価格の点でメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロヘキシルメチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、ビニル基、3−アクリロキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基、アリル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基からなる群より選ばれる1種以上の有機基が好ましい。一分子中に存在する複数のRは互いに同一でもよく異なっていてもよい。
上記シラン化合物(A1)においてaは、1、2、または3であり、酸化亜鉛超微粒子に対する表面修飾の効率が高い点で好ましくは1または2であり;bは0または2であり;cは、bが0のとき1であり、bが2のとき0であり;dは0、1、2であり、a+dは1、2、または3である。またシラン化合物(A1)のnは、0〜100までの整数であり、入手性の点で好ましくは0〜10までの整数である。
上記シラン化合物(A1)としては単一の化合物を用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。シラン化合物(A1)の具体例としては、
Figure 2009126972
(式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはn−プロピル基、Phはフェニル基をあらわす)で示される化合物を挙げることができる。
酸化亜鉛1モルに対するシラン化合物(A1)のモル当量は特に限定されないが、0.01〜5モルの範囲にあることが好ましい。シラン化合物のモル当量が0.01モル未満であると、酸化亜鉛超微粒子の表面を修飾しきれず酸化亜鉛超微粒子同士の凝集が起こる恐れがある。また、シラン化合物のモル当量が5モル以上であると修飾剤量としては多すぎるため経済的ではなく、また酸化亜鉛を高含有量で有するシリコーンコーティング組成物およびコーティング膜を得ることができなくなる。
酸化亜鉛微粒子
本発明で用いる酸化亜鉛超微粒子は、シリコーンコーティング組成物としたときの透明性が高い点で、数平均粒子径が0.5〜20nmであることが好ましい。紫外線遮蔽能、透明性などに優れる点で、酸化亜鉛超微粒子の数平均粒子径は1〜10nmであることが好ましい。なお本発明において数平均粒子径とは、透過型電子顕微鏡観察から少なくとも100個以上の粒子径を測定して計算した値をさす。本発明で用いる酸化亜鉛超微粒子は、粒子径のそろった微細粒子が安価にかつ大量に得られる点で、後述する製造方法で合成されるものが好ましい。
本発明のシリコーンコーティング組成物100wt%中の酸化亜鉛の含有量は特に限定されず、目的に応じて調節可能であるが、酸化亜鉛超微粒子の有する紫外線吸収能が顕著な点および透明性の点で、0.1〜80wt%が好ましく、0.5〜70wt%がより好ましい。
ヒドロシリル基含有シロキサン化合物(B)
上記ヒドロシリル基含有シロキサン化合物(B)は、ヒドロシリル基(Si−H基)を一分子中に1個以上有するシロキサン化合物である。このヒドロシリル基含有シロキサン化合物(B)は、本発明のシリコーンコーティング組成物においてアルケニル基に対して付加反応(ヒドロシリル化)することによって架橋し、硬化物を形成するために必要な成分である。強固な硬化物を得ることができる点で、ヒドロシリル基含有シロキサン化合物(B)としては、1分子中に少なくとも2個以上のヒドロシリル基を有する化合物が好ましい。また分子内で付加反応を起こさない点で、その分子中にアルケニル基を有さないことが好ましい。またヒドロシリル基やアルケニル基以外の官能基がその分子中に存在しても構わないが、ヒドロシリル化反応を阻害する官能基が存在しないことが好ましい。ヒドロシリル化反応を阻害する官能基としては配位性の高い窒素原子、硫黄原子、リン原子、砒素原子を有する官能基が挙げられ、アミノ基、アミド基、ピリジル基、メルカプト基、スルホン基、スルホキシド基、ホスフィノ基等が挙げられる。
上記ヒドロシリル基含有シロキサン化合物(B)の具体例としては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、両末端トリメチルシリル−ポリ(メチルハイドロゲンシロキサン)、両末端トリメチルシリル−ジメチルシロキサン/メチルハイドロゲンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロゲンシリル−ポリ(ジメチルシロキサン)、両末端ジメチルハイドロゲンシリル−ジメチルシロキサン・メチルハイドロゲンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシリル−メチルハイドロゲンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシリル−メチルハイドロゲンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C)SiO3/2単位とからなる共重合体などが挙げられる。ヒドロシリル基含有シロキサン化合物(B)の分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網状構造のいずれであっても構わない。ヒドロシリル基含有シロキサン化合物(B)は単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。
上記のヒドロシリル基含有シロキサン化合物(B)の配合量は特に限定されないが、強固な硬化物が得られる点で、ヒドロシリル基含有シロキサン化合物(B)中のヒドロシリル基のモル数の合計が、シリコーンコーティング組成物中のアルケニル基のモル数の合計に対して、好ましくは0.5〜2モル当量、さらに好ましくは0.8〜1.2モル当量となるように配合することが好ましい。
アルケニル基含有シロキサン化合物(C)
本発明のアルケニル基含有シロキサン化合物(C)は、ヒドロシリル基含有シロキサン化合物(B)との付加反応によって結合を形成し硬化物となる。強固な硬化物が得られる点で一分子中にアルケニル基を2個以上有する化合物が好ましく、2〜20個有する化合物がより好ましく、2〜10個有する化合物がさらに好ましい。アルケニル基としては特に限定されないが、例えばビニル基、アリル基、ブテニル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられ、付加反応の反応性の点でビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基が好ましく、ビニル基が特に好ましい。
上記アルケニル基含有シロキサン化合物(C)の具体例としては、両末端トリメチルシリル−ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシリル−ポリ(メチルビニルシロキサン)、両末端トリメチルシリル−ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルビニルシリル−ポリ(ジメチルシロキサン)、両末端ジメチルビニルシリル−ポリ(メチルビニルシロキサン)、両末端ジメチルビニルシリル−ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルビニルシリル−ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、両末端トリビニルシリル−ポリ(ジメチルシロキサン)、R SiO0.5で示されるシロキサン単位;R SiO0.5で示されるシロキサン単位;R SiOで示されるシロキサン単位;およびSiOで示されるシロキサン単位からなるシロキサン共重合体、R SiO0.5で示されるシロキサン単位;R SiO0.5で示されるシロキサン単位;およびSiOで示されるシロキサン単位からなるシロキサン共重合体、R SiO0.5で示されるシロキサン単位:R SiOで示されるシロキサン単位:およびSiOで示されるシロキサン単位からなるシロキサン共重合体、RSiOで示されるシロキサン単位:RSiO1.5で示されるシロキサン単位:およびRSiO1.5で示されるシロキサン単位からなるシロキサン共重合体などが挙げられる。なお上記式中のRはアルケニル基以外の一価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基などが挙げられる。また、上記式中のRはアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。本発明においてアルケニル基含有シロキサン化合物(C)を使用する場合、単独で使用してもよく複数を組み合わせて使用してもよい。
アルケニル基含有シロキサン化合物(C)の配合量は特に限定されず、上述のようにシリコーンコーティング組成物中のヒドロシリル基のモル数の合計が、シリコーン組成物中のアルケニル基のモル数の合計に対して、好ましくは0.5〜2モル当量、さらに好ましくは0.8〜1.2モル当量となる範囲が好ましい。
透明プラスチック成形体
本発明で用いられるプラスチック成形体のプラスチックは特に限定されない。透明プラスチックの透明性としては、1mm厚の板の可視光透過率が60%以上であるものが好ましく、ヘイズ値は20%以下であることが好ましい。透明性が高いと樹脂ガラス代替の用途として好適に用いることができる。そのような透明プラスチックとしては、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレート)等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリノルボルネン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミドなどが挙げられる。透明性、価格、機械物性の面において、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。さらにはポリカーボネートがより好ましい。
白金触媒(D)
本発明において、付加反応(ヒドロシリル化)の効率を高める目的で触媒を含有させることができる。ヒドロシリル化反応の触媒としては従来一般的に知られている化合物を使用でき、遷移金属触媒、酸触媒などが挙げられる。なかでも触媒活性が高く少量で作用し、硬化後の着色がない点で白金触媒(D)が好ましい。白金触媒(D)としては特に限定されないが、具体例としては白金の単体;アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金を担持させたもの;塩化白金酸;塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体;白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl);白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO));白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh,Pt(PBu);白金−フォスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu));ジカルボニルジクロロ白金などが挙げられる。なお式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、p、qは正の整数を示す。白金触媒(D)は単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。なかでも、触媒活性の点から、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体が好ましく、白金−ビニルシロキサン錯体がより好ましい。
本発明のシリコーンコーティング組成物に白金触媒(D)を含有させる場合、添加量は特に限定されないが、硬化促進効果、硬化物に対する着色の度合い、および価格の点でヒドロシリル基含有シロキサン化合物(B)のヒドロシリル基1モルに対して10−10〜0.1モルが好ましく、10−8〜10−2モルがより好ましい。
硬化遅延剤(E)
本発明の付加型硬化性シリコーンコーティング組成物において、ヒドロシリル化の反応性を調整して貯蔵安定性を付与する目的で、硬化遅延剤(E)をさらに含有させることができる。硬化遅延剤(E)としては特に限定されず、従来一般的に使用されている化合物を使用可能であり、例えば脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物などを挙げることができる。これらのうち白金触媒を失活させずに反応性をコントロールできる点で、脂肪族不飽和結合を有する化合物が好ましく、プルパルギルアルコール類、エン−イン化合物類、マレイン酸エステル類がより好ましい。
硬化遅延剤(E)の使用量は特に限定されないが、上記白金触媒(D)1モルに対して0.1〜1000モルが好ましく、0.5〜100モルがより好ましい。
本発明の付加型硬化性シリコーンコーティング組成物には、上記(A)〜(E)成分に加え、任意成分として、硬度・粘度を調節するために直鎖状の非反応性オルガノポリシロキサン、ケイ素原子数が2〜10個程度の直鎖状又は環状の低分子オルガノポリシロキサンなどを添加してもよい。さらに透明性に影響を与えない範囲で、強度を向上させるためにヒュームドシリカなどの無機質充填剤を配合してもよいし、必要に応じて波長調整剤、染料、顔料、難燃剤、耐熱剤、耐酸化劣化剤などを配合してもよい。
シリコーンコーティング組成物及び被覆プラスチック成形体の製造方法
本発明のシリコーンコーティング組成物及び被覆プラスチック成形体の製造方法としては、酸化亜鉛超微粒子の粒子径が小さく均一にコントロールされる点で、以下の工程(1)〜(5)が好ましい。
本発明の製造方法における工程(1)は、アルカリ金属水酸化物のアルコール溶液にカルボン酸亜鉛化合物を添加し、酸化亜鉛超微粒子を製造する工程である。カルボン酸亜鉛化合物としては限定されず、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、ラウリル酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、アジピン酸亜鉛、ヒドロキシ酢酸亜鉛などを挙げることができる。これらは水和物であってもよく、無水物であってもよい。入手性および価格の点で酢酸亜鉛および酢酸亜鉛二水和物が好ましい。工程(1)において使用するアルカリ金属水酸化物としては限定されないが、入手性と反応性の点でNaOHおよびKOHが好ましい。カルボン酸亜鉛化合物およびアルカリ金属水酸化物は単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。
工程(1)においてカルボン酸亜鉛化合物は単体で加えてもよく、アルコール溶液として加えてもよいが、反応がスムーズに進行する点でアルコール溶液として加えることが好ましい。カルボン酸亜鉛化合物の濃度については特に限定されないが、0.01〜0.5mol/Lであることが好ましく、0.02〜0.3mol/Lであることがより好ましい。0.01mol/Lより濃度が低いと得られる酸化亜鉛超微粒子の量が少ないため経済的でなく、0.5mol/Lより高いと酸化亜鉛超微粒子同士の凝集が起こりやすくなる。アルカリ金属水酸化物の使用量としては特に限定されないが、酸化亜鉛超微粒子の収率および純度の点で、カルボン酸亜鉛化合物1モルに対して1.5〜4モルとなる範囲が好ましく、1.8〜3モルとなる範囲がより好ましい。反応温度は特に限定されないが、経済性と酸化亜鉛微粒子の品質の点で0〜80℃が好ましく、20〜60℃の範囲がより好ましい。反応時間については特に限定されないが、以下に示すように反応液の見かけ上の変化から決定することができる。アルカリ金属水酸化物のアルコール溶液にカルボン酸亜鉛化合物を添加すると、最初は白色の濁りが生じるがしばらくすると無色透明となる。そのまま攪拌を続けると再び濁りが生じる。この無色透明段階の後に現れる濁りは酸化亜鉛超微粒子同士の凝集に起因するものであるため、反応液が無色透明の状態で次の工程に移るのが好ましい。濃度や反応温度、攪拌効率に左右されるため一概に決定することは困難であるが、反応時間としては3分〜5時間が好ましく、5分〜3時間がより好ましい。
工程(1)の溶媒としては、カルボン酸亜鉛化合物と金属水酸化物の両方を分散あるいは溶解させることができる点、および容易に再利用できる点で沸点100℃以下のアルコールが好ましく、脂肪族アルコールがより好ましい。ここで使用する溶媒としては、酸化亜鉛微粒子と表面修飾剤とを反応させる際の溶媒と同一であるものが、工程簡略化できる点で好ましい。すなわち、アルコール溶媒中、カルボン酸亜鉛化合物と金属水酸化物とを反応させて酸化亜鉛微粒子を製造し、溶媒置換を経ることなく連続して工程(2)へと進み、表面修飾剤と反応させることが可能となる。
本発明の製造方法における工程(2)は、上記工程(1)で得られた酸化亜鉛超微粒子のアルコール分散液にシラン化合物(A1)を添加し、シラン化合物(A1)で表面修飾された酸化亜鉛超微粒子(A)を製造する工程である。工程(2)の反応条件としては特に限定されないが、製造効率と経済性の兼ね合いから80〜300℃かつ0.2〜20MPaが好ましく、80〜250℃かつ0.2〜10MPaがより好ましく、100〜200℃かつ0.3〜2MPaがさらに好ましい。反応時間は特に限定されないが、5分以上12時間以内が好ましく、30分以上3時間以内が製造効率の点でより好ましい。
本発明の製造方法において工程(3)は、シラン化合物で表面修飾された酸化亜鉛超微粒子(A)をアルコールから分離し、洗浄する工程である。本工程によって、工程(1)で酸化亜鉛超微粒子を製造する際に副生したアルカリ金属の有機酸塩と、工程(2)において未反応のまま残ったシラン化合物(A1)とを除去することができる。工程(2)において表面修飾された酸化亜鉛超微粒子(A)はアルコールへの溶解性が低下しており沈殿として生成している場合が多いため、濾過や遠心分離で容易に分離することができる場合が多い。また、表面修飾酸化亜鉛超微粒子(A)が沈殿になっていない際には、反応溶液を濃縮し水等の高極性溶媒に注ぎ込むことで、修飾酸化亜鉛超微粒子(A)を沈殿として得ることができる。また、表面修飾酸化亜鉛超微粒子(A)の極性が極めて低い場合には、ヘキサン等の非極性溶媒で抽出することによって、アルコールから分離・洗浄することができる。洗浄する溶媒はアルコールや水等の高極性溶媒が好ましく、工程(1)や工程(2)で使用するアルコールがさらに好ましい。
本発明の製造方法において工程(4)は、シラン化合物で表面修飾された酸化亜鉛超微粒子(A)をヒドロシリル基含有シロキサン化合物(B)、および必要に応じてアルケニル基含有シロキサン化合物(C)、白金触媒(D)、硬化遅延剤(E)と混合する工程である。本工程において各成分を混合する方法としては特に限定されず、有機溶媒を用いて攪拌する方法、ホモジナイザー、ヘンシェルミキサー、ロールなどを用いて機械的に混合する方法、これらを組み合わせる方法などが挙げられる。シリコーン組成物をコーティングする際に粘度を調節する目的で溶媒を使用すると、容易に各成分を均一に混合できることから、有機溶媒を使用する方法が好ましい。使用する有機溶媒としては特に限定されないが、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトン、アセトフェノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、メタノール、エタノールなどを挙げることができる。
本発明の製造方法において工程(5)は、工程(4)で得られたコーティング組成物をプラスチック成形体にコーティングし硬化させる工程である。プラスチック成形体へのコーティング方法は特に限定されないが、スプレーコート法、ディップコート法、フローコート法、バーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等の方法を、コーティングする成形体の形状に応じて適宜選択することができる。コーティング組成物の粘度が高く、使用したいコーティング法に適さない場合には、粘度を調整する為に有機溶媒を使用しても構わない。有機溶媒によっては、透明プラスチック成形体を溶解する可能性があるので適宜選択する必要がある。有機溶媒としては特に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトン、アセトフェノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、メタノール、エタノールなどを挙げることができる。これらの有機溶媒は、単独で使用してもよく複数を組み合わせて使用してもよい。
硬化後のコーティング膜の厚みは特に限定されないが、好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは2〜10μmである。20μmを超えると、熱硬化時に発生する応力のためにコーティング膜にクラックが発生したり、成形体との密着性が低下する原因になる。0.5μm未満では紫外線吸収能や耐摩耗性が不十分になる可能性があるので好ましくない。
本発明のコーティング組成物の硬化条件は特に限定されないが、硬化時間が短くて済むことから加熱することが好ましい。硬化温度としては特に限定されないが、30〜300℃が好ましく、50〜250℃がより好ましく、60〜200℃がさらに好ましい。30℃以下では十分に反応させるための反応時間が長くなり、300℃以上ではプラスチック成形物が劣化するため好ましくない。また加熱は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階又は連続的に温度を変化させてもよい。硬化時間は特に限定されないが、60〜150℃の場合には20分以上5時間未満が好ましく、40分以上3時間以内がさらに好ましい。
プライマー層
本発明のシリコーンコーティング膜とプラスチック成形体の間にプライマー層を設けてもよく、プライマー層としては特に限定されない。プライマー層を設けることによって、プラスチック成形体とシリコーンコーティング膜との密着性が高まる。また、プライマー層に紫外線吸収剤を添加したり、紫外線吸収能の高い樹脂を用いることにより、プラスチック成形体の耐候性を向上させることができる。
プライマー層に用いられる樹脂としては、特に限定されないが、アクリル樹脂が好ましい。アクリル樹脂を構成するモノマーとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレートおよびブチルメタクリレートを挙げることができる。これらのモノマーよりなる繰り返し単位を、樹脂中に50モル%以上含むものが好ましい。
アクリル樹脂を熱硬化型にしても構わない。熱硬化型にする際に用いる架橋性の反応基を持つビニル系モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等を挙げることができる。架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物、もしくはその誘導体を生成するポリイソシアネート化合物前駆体を挙げることができる。
上記アクリル樹脂の分子量は、重量平均分子量で20,000以上が好ましく、50,000以上がより好ましく、また、重量平均分子量で1千万以下のものが好ましく使用される。かかる分子量範囲の上記アクリル樹脂は、プライマー層としての密着性や強度などの性能が十分に発揮され好ましい。
プライマー層には、プラスチック成形体の耐候性を改良する目的で、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加剤を添加したり、プラスチック成形体もしくはハードコート層との密着性を向上させる目的でシランカップリング剤等を適量添加することができる。紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、ベンジリデンマロネート系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、金属酸化物微粒子類等が挙げられる。光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤、ニッケル錯体系光安定剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等の、アミノ基を有するシランカップリング剤を用いることができる。
光線透過率
本発明の硬化物は、粒子径が光の波長に対して十分小さい酸化亜鉛超微粒子が凝集することなく均一分散しているため、紫外線は吸収するが可視光は透過させる材料となる。膜厚5〜10μmのコーティング膜の光線透過率が、340nmにおいて60%以下であり、550nmにおいて80%以上であるものが、紫外線遮蔽透明コーティングなどの用途に有用である点で好ましく、340nmにおいて30%以下であり、550nmにおいて90%以上であるものがより好ましい。本発明の硬化物のヘイズは特に限定されないが、膜厚5〜10μmのコーティング膜を作製し測定した場合に1%未満であることが好ましい。1%以上である場合には透明性を要求する用途には使用し難い。
以下実施例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明確にするが、本発明はこれによって限定されるものではない。
酸化亜鉛成分の含有量については誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)(島津製作所製 ICPS−8100)による元素分析から決定した。コーティング膜の透明性については、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製 300A)によるヘイズ測定、および紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製 V−560)による光線透過率によって評価した。酸化亜鉛超微粒子の数平均粒子径は、コーティング組成物を塊状に乾燥させ作製した硬化物から、ウルトラミクロトーム(ライカ製:ウルトラカットUCT)を用いて超薄切片を作製した後、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子製:JEM−1200EX)を用いて、倍率1万倍〜40万倍で酸化亜鉛超微粒子の分散状態を複数箇所で写真撮影し、得られたTEM写真において少なくとも100個以上の粒子で粒子径を測定することにより求めた。
(製造例1)
KOH897gをメタノール13.5Lに溶解させ、50L反応器に入れた。容器内を窒素置換し、溶液の温度を30℃に保ちながら攪拌した。酢酸亜鉛二水和物1773gを別の容器でメタノール24Lに溶解させ、上記KOH溶液に添加した。容器をメタノール2.5Lで洗い、定量的に移し1時間30℃で攪拌を行なうことにより、0.2M酸化亜鉛超微粒子メタノール分散液を製造した。
(製造例2)
1,1,3,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン(信越化学工業株式会社製:3.26mL,12mmol)の脱水トルエン(和光純薬工業株式会社製:4mL)溶液に、ビニルトリメトキシシラン(シグマアルドリッチジャパン株式会社製:1.53mL,10mmol)と白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体キシレン溶液(ユミコアプレシャスメタルズジャパン株式会社製:15μL,0.002mmol)の脱水トルエン(和光純薬工業株式会社製:2mL)溶液を滴下し、窒素下で80℃1時間攪拌を行なった。放冷後トルエンを留去し、下記のような構造式を有するトリシロキサン基含有シラン化合物(3.64g,9.8mmol)を収率98%で製造した。
Figure 2009126972
(式中、Meはメチル基をあらわす)
(製造例3)
製造例1で製造した0.2M酸化亜鉛超微粒子のメタノール分散液(200mL,40mmol)に製造例2で製造したトリシロキサン基含有シラン化合物(2.97g,8mmol)を加え、オートクレーブで120℃2時間加熱した。放冷後、シラン修飾酸化亜鉛超微粒子の沈殿を遠心分離機で分離し、減圧下室温で終夜乾燥した(3.67g)。元素分析の結果、Znの含有量は65.0%であり、酸化亜鉛の含有量を80.9%と計算した。
(実施例1)
製造例3で製造したシラン修飾酸化亜鉛超微粒子(0.1236g)をTHF(和光純薬工業株式会社製:1.0g)に加え、超音波洗浄機(アズワン株式会社製:USD−2)に5分かけシラン修飾酸化亜鉛超微粒子を分散させた。こうして得られたシラン修飾酸化亜鉛超微粒子分散液に、さらにヘキサン(和光純薬工業株式会社製:0.33g)、ビニル基含有ポリシロキサン(クラリアントジャパン株式会社製:MQV−7、0.631g)、0.3%白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体キシレン溶液(ユミコアプレシャスメタルズジャパン株式会社製:1.5μL)、10%マレイン酸ジメチルのキシレン溶液(1.6μL)を加え攪拌し、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(クラリアントジャパン株式会社製:MQH−8、0.3153g)を加え攪拌を行なった。攪拌した混合物の一部をポリカーボネート板(100mmx50mmx0.82mm)に垂らし、スピンコーター(ミカサ株式会社製:MIKASA SPINCOATER 1H−DX2)で4000rpmで60秒間回転させコーティングを行なった。また、混合物一部をガラス板(100mmx50mmx0.70mm)に垂らし、スピンコーターで4000rpmで60秒間回転させコーティングを行なった。コーティングしたポリカーボネート板およびガラス板を加熱(60℃で20分間、80℃で20分間、100℃で20分間、120℃で10分間、150℃で10分間)し硬化させ、酸化亜鉛超微粒子含有シリコーンコーティング膜被覆ポリカーボネート板およびガラス板を製造した。
得られたシリコーンコーティング膜の厚みは、ポリカーボネート板を用いた方は7.9μm、ガラス板の方は5.0μmであり、ヘイズは両方とも0.02%であった。シリコーンコーティング膜被覆ガラス板の光線透過率は、340nmで25%、550nmで92%であった。ポリカーボネート板自身に紫外線吸収能があるため(340nmの光線透過率は0%)、シリコーンコーティング膜被覆ポリカーボネート板の光線透過率の測定は行なわなかった。
(実施例2)
製造例3で製造したシラン修飾酸化亜鉛超微粒子を0.0615g用いた以外は実施例1と同様な方法で、コーティング組成物およびコーティング膜被覆ポリカーボネート板およびガラス板を製造した。コーティング組成物を塊状に乾燥させ作製した硬化物のTEM観察を行なったところ、シラン修飾酸化亜鉛超微粒子は凝集することなく均一に分散しており平均粒子径は4nmであることが分かった。
得られたシリコーンコーティング膜の厚みは、ポリカーボネート板を用いた方は6.4μm、ガラス板の方は4.1μmであり、ヘイズは両方とも0.00%であった。シリコーンコーティング膜被覆ガラス板の光線透過率は、340nmで50%、550nmで92%であった。ポリカーボネート板自身に紫外線吸収能があるため、シリコーンコーティング膜被覆ポリカーボネート板の光線透過率の測定は行なわなかった。
(比較例1)
シラン修飾酸化亜鉛超微粒子を用いなかったこと以外は、実施例1と同様な方法で、コーティング組成物およびシリコーンコーティング膜被覆ポリカーボネート板およびガラス板を製造した。得られたシリコーンコーティング膜の厚みは、ポリカーボネート板を用いた方は5.8μm、ガラス板の方は3.0μmであり、ヘイズは両方とも0.00%であった。シリコーンコーティング膜被覆ガラス板の光線透過率は、340nmで83%、550nmで92%であった。ポリカーボネート板自身に紫外線吸収能があるため、シリコーンコーティング膜被覆ポリカーボネート板の光線透過率の測定は行なわなかった。
(比較例2)
酸化亜鉛超微粒子として市販の酸化亜鉛超微粒子(シグマアルドリッチジャパン株式会社製 Zinc oxide nanopowder:0.01g)を用いた以外は実施例1と同様な方法で、コーティング組成物およびコーティング膜被覆ポリカーボネート板およびガラス板を製造した。得られたシリコーンコーティング膜の厚みは、ポリカーボネート板を用いた方は8.8μm、ガラス板の方は3.9μmであった。シリコーンコーティング膜被覆ポリカーボネート板のヘイズは12.6%、シリコーンコーティング膜被覆ガラス板のヘイズは12.7%であった。シリコーンコーティング膜被覆ガラス板の光線透過率は、340nmで64%、550nmで73%であった。ポリカーボネート板自身に紫外線吸収能があるため、シリコーンコーティング膜被覆ポリカーボネート板の光線透過率の測定は行なわなかった。

Claims (16)

  1. シラン化合物(A1)で表面修飾された酸化亜鉛超微粒子(A)とヒドロシリル基含有シロキサン化合物(B)、アルケニル基含有シロキサン化合物(C)とを含む付加型硬化性シリコーンコーティング組成物。(ただし、シラン化合物(A1)は式(1)
    Figure 2009126972
    (式中、Xは加水分解性基;Rは炭素数1〜18の1価の有機基またはシロキシ基;Rは炭素数1〜18の1価の有機基;Rは炭素数1〜18の1価の有機基;aは1、2、または3;bは0または2;cは、b=0のとき1でありb=2のとき0;dは0、1、または2であり、a+dは1、2、または3;nは0〜100までの整数をあらわす)であらわされる化合物である。)
  2. 酸化亜鉛超微粒子の数平均粒子径が1〜20nmである、請求項1に記載のコーティング組成物。
  3. 酸化亜鉛1モルに対してシラン化合物(A1)の量が0.01〜5モルの範囲にある、請求項1〜2のいずれかに記載のコーティング組成物。
  4. 酸化亜鉛の含有量が0.1〜80wt%である、請求項1〜3のいずれかに記載のコーティング組成物。
  5. Xが炭素数3以下のアルコキシ基;Rがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロヘキシルメチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、ビニル基、3−アクリロキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基、アリル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、トリメチルシリルオキシ基からなる群より選ばれる1種以上の有機基;RおよびRがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロヘキシルメチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、ビニル基、3−アクリロキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基、アリル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基からなる群より選ばれる1種以上の有機基;aが1または2;nが0〜10までの整数である、請求項1〜4のいずれかに記載のコーティング組成物。
  6. コーティング組成物が白金触媒(D)を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載のコーティング組成物。
  7. コーティング組成物が硬化遅延剤(E)を含有する、請求項1〜6のいずれかに記載のコーティング組成物。
  8. 硬化後のコーティング膜の光線透過率が、340nmにおいて60%以下であり、550nmにおいて80%以上である、請求項1〜7のいずれかに記載のコーティング組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載されたコーティング組成物をプラスチック成形体にコーティングし硬化させた被覆プラスチック成形体。
  10. プラスチック成形体が透明である、請求項9記載の被覆プラスチック成形体。
  11. 被覆プラスチック成形体のプラスチック成形体部分がポリカーボネート樹脂である、請求項9〜10のいずれかに記載の被覆プラスチック成形体。
  12. 以下の工程によって製造する請求項9〜11のいずれかに記載の被覆プラスチック成形体の製造方法:
    (1)アルカリ金属水酸化物のアルコール溶液にカルボン酸亜鉛化合物を添加し、酸化亜鉛超微粒子を製造する工程;
    (2)工程(1)で得られた酸化亜鉛超微粒子のアルコール分散液にシラン化合物(A1)を添加し、シラン化合物で表面修飾された酸化亜鉛超微粒子(A)を製造する工程;
    (3)シラン化合物で表面修飾された酸化亜鉛超微粒子(A)をアルコールから分離し、洗浄する工程;
    (4)シラン化合物で表面修飾された酸化亜鉛超微粒子(A)をヒドロシリル基含有シロキサン化合物(B)およびアルケニル基含有シロキサン化合物(C)、白金触媒(D)、硬化遅延剤(E)と混合しコーティング組成物を製造する工程
    (5)工程(4)で得られたコーティング組成物をプラスチック成形体にコーティングし硬化させる工程。
  13. 工程(1)において、カルボン酸亜鉛化合物の濃度が0.01〜0.5mol/Lであることを特徴とする、請求項12に記載の被覆プラスチック成形体の製造方法。
  14. 工程(1)において、アルカリ金属水酸化物の使用量がカルボン酸亜鉛化合物1モルに対して1.5〜4モルの範囲である、請求項12または13に記載の被覆プラスチック成形体の製造方法。
  15. 工程(2)の反応を80〜300℃かつ0.3〜20MPaの条件で実施する、請求項12〜14のいずれかに記載の被覆プラスチック成形体の製造方法。
  16. 工程(4)において有機溶媒を使用する、請求項12〜15のいずれかに記載の被覆プラスチック成形体の製造方法。
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