JP2009125009A - 遺伝子解析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】キャピラリー管内に注入する前後で再結合DNAが発生しないようにして正確な 遺伝子分析を行う遺伝子解析方法を提供することを目的とする。
【解決手段】標識剤を修飾させた標的DNAと前記標的DNAと相補なDNAとが2本鎖を形成して担体に結合した複合体を形成させる第1のステップと、選択性分離フィルタで仕切られた密閉流路内にプローブDNAを高分子化合物に結合させたコンジュゲート体を充填させる第2のステップと、前記複合体を前記密閉流路内に注入する第3のステップと、前記複合体を前記密閉流路内で電気泳動させて前記選択性分離フィルタに前記複合体を捕捉させる第4のステップと、前記捕捉させた複合体から前記標的DNAを乖離させるための熱を与える第5のステップと、前記乖離した標的DNAの標識剤を検出する第6のステップからなる遺伝子解析方法。
【選択図】図5

Description

本発明は、DNAにおける一部の塩基配列の違いを検出する遺伝子解析方法に関するものである。
現在SNP(single nucleotide polymorphism;一塩基多型と呼ばれる。)が注目されている。このSNPは、ヒトや動物に普遍に見られるが、同じ種でも個体によりSNPが異なる。すなわちSNPの違いを調べることにより、各個人の疾患に対する罹患率や薬剤に対する効果や感受性を予測し、個人に合わせた医療を行うことが出来る。さらには、ヒトや動物の親子関係の特定ができると考えられる。
SNPを調べる方法として、アフィニティキャピラリー電気泳動法を利用した遺伝子診断装置と遺伝子診断方法がある。この方法は、まず、電荷を持たない高分子化合物と目的の1本鎖DNA(以下“標的DNA”と称する)に相補的な1本鎖DNA(以下“プローブDNA”と称する)とを結合させることで、キャピラリー管内で移動しない化合物(以下“コンジュゲート体”と称する)を作製する。
このコンジュゲート体を電気浸透流が起きないようにコーティングされたキャピラリー管に充填した後、陰極側から標的DNAを注入して電圧を印加する。このとき標的DNAにSNPを有するDNAはコンジュゲート体との結合強度が強く、SNPを有さないDNAはコンジュゲート体との結合強度が弱い。この両者の親和性の違いから標的DNAに含まれるSNPの有無を判別する(例えば、非特許文献1参照。)。
前記手法においては、標的DNAが1本鎖状態である必要があるが、標的DNAを得るために用いるPCR反応よって得られるPCR産物は2本鎖DNAの状態であるため、測定の前処理において2本鎖DNAを1本鎖DNAにする必要がある。そのため、PCR産物に変性剤を混合し熱変性処理を行った後キャピラリー管に注入していた。
しかし、キャピラリー管内では変性剤の濃度が薄まるため標的DNAと相補な1本鎖DNA(以下“相補DNA”と称する)が再び結合し、2本鎖に戻ったDNA(以下“再結合DNA”と称する)が生じる。そのため、この再結合DNAがピークとして検出され、検出すべき標的DNAのピークと分離することができず、正確なピーク面積が得られないので定量測定が出来ないという課題を有していた。そこで、キャピラリー管内において遅延用DNAコンジュゲート体を用いて相補DNAの電気泳動速度を遅延させることで、再結合DNAを抑制する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2002−340857号公報 Detection of single−base mutation by affinity capillary electrophoresis using a DNA−polyacrylamide conjyugate:Kae Sato,Akira Inoue,Kazuo Hosokawa,Mizuo Maeda:Electrophoresis 2005,(26)3076−3080
しかしながら、前記従来の構成では、キャピラリー管内のみに遅延用DNAコンジュゲート体が充填されているため、キャピラリー管に注入する前のPCR産物には、再結合DNAが生じてしまうものがある。そのため、標的DNAと再結合DNAとが混在した試料がキャピラリー管に注入されるので、再結合DNAのピークと検出すべき標的DNAとのピークとを分離することができず、正確な遺伝子分析が出来ない課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、キャピラリー管内に注入する前後で再結合DNAが発生しないようにして正確な遺伝子分析を行う遺伝子解析方法を提供することを目的とする。
本発明の遺伝子解析方法によれば、再結合DNAの発生を完全に防止できるので、高精度な定量分析を行うことが出来る。
上記課題を解決するために本発明の遺伝子解析方法は、標識剤を修飾させた標的DNAと前記標的DNAと相補なDNAとが2本鎖を形成して担体に結合した複合体を形成させる第1のステップと、選択性分離フィルタで仕切られた密閉流路内にプローブDNAを高分子化合物に結合させたコンジュゲート体を充填させる第2のステップと、前記複合体を前記密閉流路内に注入する第3のステップと、前記複合体を前記密閉流路内で電気泳動させて前記選択性分離フィルタに前記複合体を捕捉させる第4のステップと、前記捕捉させた複合体から前記標的DNAを乖離させるための熱を与える第5のステップと、前記乖離した標的DNAの標識剤を検出する第6のステップからなることを特徴とするものである。
以下に、本発明の遺伝子解析方法の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
(実施の形態1)
<複合体の作製>
図1を用いて、本発明の実施の形態1における複合体の詳細を説明する。本発明の実施の形態1で解析する標的DNAは、植物、動物、また人の細胞や血液等から入手したDNAを鋳型に、PCR反応を利用して目的の部分を増幅したものである。
PCR増幅は図1(a)のように標的DNA111の一端の塩基配列を含むプライマー100(以後、“フォワード側プライマー”と称する。)には蛍光検出を行うための標識剤103(本実施例ではCy5を用いた。)を、相補DNA112の一端の塩基配列を含むプライマー101(以後、“リバース側プライマー”と称する。)には担体105と相補DNA112をアビジン−ビオチン結合させるため、biotin104を修飾させたものを用いる。こうしてPCR増幅して得た図1(b)に対し、アビジンが表面にコーティングされた担体105を結合させ、図1(c)に示す複合体110を作製する。
ここで、PCR産物に含まれる標的DNAは、目的の部分以外で同じ塩基配列が存在しない長さ以上で、1本鎖になったときに自己で高次構造を形成しない長さ以下である40塩基以上、200塩基以下が望ましい。
標識剤は、検出部で標的DNAを検出する際に標識となる物質であればよく、例えばCy5、FITC等の蛍光物質、ルテニウム等の発光物質が挙げられる。また、標識剤を用いず、吸光度で標的DNAを検出する手法を用いても良い。
担体105は、直径が後述する密閉流路301の内径以下であり、複合体となったときに電気泳動可能な物質が良い。具体的には、コロイド粒子、シリカビーズ、ポリマービーズ、磁気ビーズなどが挙げられる。なお、担体105は複合体として電気泳動しなくてはいけないから、担体105の持つ電荷量、サイズ、そして、電気泳動時の電場の強さ、緩衝液の粘性などに留意して陽極側の電極に複合体として電気泳動するような物質を選ぶ必要がある。
さらに、担体105とPCR産物との結合手法は、アビジンービオチン結合に限らず、アミノ結合、エステル結合、カルボニル結合、イミノ結合などを用いても良い。
<コンジュゲート体の作製>
次にコンジュゲート体の詳細について説明する。図2に示すようにコンジュゲート体110は電荷を持たない高分子化合物121と1本鎖DNA122(以下“プローブDNA”と称する)とが結合した構造をしている。ここで、プローブDNA122は標的DNAをプローブDNA122との結合力が強い結合型DNAと、プローブDNAとの結合力が弱い非結合型DNAに分離するよう設計される。このためプローブDNA122の配列は、標的DNA中のSNP部位を含む領域に相補な配列を有するように設計される。
また、プローブDNA122の長さは5塩基以下の場合は、標的DNAとの結合能力が十分でなく、19塩基以上の場合は標的DNAとの結合力が強すぎて、結合型DNAと非結合型DNAの両方と特異的に結合してしまうため好ましくない。よって、プローブDNA122は6塩基以上18塩基以下の長さが好ましい。
また、プローブDNA122の濃度は標的DNAの濃度に対して10〜600倍とするのが好ましい。これは10倍以下だと標的DNAがコンジュゲート体と十分に結合出来なくなり、600倍以上だと高濃度のプローブが必要となるので高価なコンジュゲートの作製が必要となるからである。
また、プローブDNAと結合させる高分子化合物は標的DNAの電気泳動速度に対して十分遅い速度で電気泳動する物質で構成されるものであり、例えば一般的に使用されるリニアポリマーであるアクリルアミドやポリエチレングリコールが挙げられる。また、高分子化合物の代わりにガラスビーズや磁気ビーズなどを使用しても良い。

<標的DNAの解析方法>
続いて、図3(a)から(b)を用いて標的DNAの解析方法について説明する。
(a)コンジュゲート体の充填
図3(a)に密閉流路にコンジュゲート体を充填する方法を示す。301〜304は密閉流路で、流路結合ユニット305によって結合される。流路結合ユニット305は密閉流路301〜304を結合させ、密閉流路301と密閉流路302の間に選択性分離フィルタ306を配置する役割を果たす。また、流路結合ユニット305付近には高温部307が配置されている。ここで、選択性分離フィルタ306には、孔径が担体105の直径よりも小さく、且つ標的DNA111を透過できるサイズのものを使用する。本実施例では、 本実施例では、孔径が5nmであるセルロース系の半透膜を使用した。流路結合ユニットを作製するためには、選択性分離フィルタ306は、薄い半透膜が適している。上記の他に、セルロース系膜か、合成高分子系膜の半透膜を使用することが出来る。孔径は、標的DNA111と担体105のサイズに応じて、適宜、変更すれば良い。
ここで、流路結合ユニット305について説明を加える。図4に、流路結合ユニット305の構成を示す。流路結合ユニット305は、密閉流路結合用の流路が形成された2個のブロックと選択性分離フィルタ306とから構成される。選択性分離フィルタ306はこの2つのブロックの間に配置されており、2つのブロックは選択性分離フィルタ306を挟んで互いに接合している。このブロックに用いる材料は、微細流路加工ができる材料であれば良い。例えば、アクリル、PP、PC、ガラスなどが挙げられる。なお、流路結合ユニットの挿入口310、311、315、316は密閉流路301から密閉流路304を挿入したときに隙間のないよう、パッキンを設けた構造が望ましい。
さて、図3(a)に戻り、説明を続ける。密閉流路301と密閉流路302の一端は緩衝液312の入った容器313、コンジュゲート体120の入った容器309のそれぞれ挿入されており、他の一端は流路結合ユニット305の挿入口310、挿入口311にそれぞれ接続されている。
密閉流路303と密閉流路304の一端は流路結合ユニット305の挿入口315、挿入口316にそれぞれ接続され、他の一端は密閉された液だめ容器317に挿入されている。密閉された液溜め容器317には外部からの指示で作動するポンプ318が接続されている。ポンプ318によって密閉された液溜め容器317の空気を吸引することで、密閉流路301〜304にコンジュゲート体120を充填できる。本実施例では、ポンプによる吸引によりコンジュゲート体120を密閉流路301〜密閉流路304に充填する方法を示すが、これに限定されるものでは無く、ポンプによる加圧、又は遠心力を用いた方法などを適宜用いればよい。
(b)複合体の注入
次に、図3(b)のように緩衝液312の入った容器313を複合体110の入った容器320に交換する。その後、ポンプ318によって密閉された液溜め容器317の空気を吸引することで密閉流路301内に複合体110を注入する。
以上のようにして、密閉流路301〜密閉流路304をコンジュゲート体120で満たし、密閉流路301の一端に複合体110を注入する。
(c)標的DNAの検出
次に、標的DNAの検出構成を図5に示す。これは、図3(b)から次のような変更を行うことで実現できる。まず、コンジュゲート体120の入った容器309と複合体110の入った容器320を、各々緩衝液312の入った容器313と容器314に交換する。この容器314には陽極側の電極321が、容器313には陰極側の電極322が設けられており、電源部323により電極321と電極322に電圧を印加するように構成されている。これらの電極に電圧が印加されれば、密閉流路301と密閉流路302とを利用して電気泳動を行うことができる。
緩衝液312には、Tris−Borate(pH7.2〜pH8程度)緩衝液等を利用するのが適当である。また、緩衝液319には必要に応じてDNA結合制御剤が混入される。DNA結合制御剤としては、コンジュゲート体に対する標的DNAの結合を促進する塩化マグネシウム等の結合促進剤が挙げられる。結合促進剤としての他の電解質を選ぶことで、DNAに対する多様な泳動速度の制御が可能になるものである。
この状態で電源部323によって準備電圧を印加し、密閉流路301の一端に注入されている複合体110を陽極側の電極321の方向へ電気泳動させる。複合体110は選択性分離フィルタ306を透過することが出来ないため、選択性分離フィルタ306に捕捉される。この捕捉された複合体110に高温部307の温度を標的DNAが相補DNAから乖離する温度まで上昇させ、標的DNA111を担体105から乖離させる。このときの様子を図6に示す。
図6(a)は、高温部307の温度を標的DNAと相補DNAが乖離する温度まで上昇させる前の模式図である。この状態では、標的DNA111は担体105に結合された相補DNA112と2本鎖を形成しており、選択性分離フィルタ306に捕捉されている。
図6(b)は、高温部307の温度を標的DNAと相補DNAが乖離する温度まで上昇させた時の模式図である。標識剤と結合した標的DNA111は、乖離温度より高い熱を加えられたため、相補DNA112から分離する。この分離された標的DNA111は、サイズが小さくなるので、選択性分離フィルタ306を透過することが出来る。
高温部307で与える乖離温度は、次のようにして決める。2本鎖を乖離させる時の温度は94℃以上にすれば良いが、94℃より低い温度でも標的DNA111と相補DNA112の間で形成される2本鎖の融解温度以上であれば良い。高温部307はヒーターをサーミスタなどの温度測定素子でモニタリングしながら駆動させる構成が好ましいが、温度を標的DNA111と相補DNA112が乖離する温度まで上昇させることが出来る構成であれば別の構成に置き換えることも可能である。
次に、図5に戻り説明を続ける。高温部307により、相補DNA112から分離した標的DNA111は、選択分離フィルタ306を透過し、分離部324の方向へ電気泳動する。分離部324は、相補DNA112から乖離した標的DNA111を結合型DNAと非結合型DNAに分離する部分で、分離に最適な所定の温度に調整される。この時の温度はコンジュゲート体と標的DNA111の結合力の差に基づいて標的DNA111を結合型DNAと非結合型DNAとに分離できるように高温部307より低温且つ、15℃〜60℃の範囲で所定の温度プラスマイナス1℃以下に制御できるのが好ましい。また、分離部324はペルチェ素子を、サーミスタなどの温度測定素子でモニタリングしながら駆動して温度制御する構成が好ましいが、15℃〜60℃の範囲をプラスマイナス1℃以下の精度で温度制御できる構成であれば別の構成に置き換えることも可能である。
次に、標的DNA111の検出方法について説明する。標的DNA111の検出はフォワード側の5´末端に標識された蛍光色素Cy5に、検出部400内部のレーザー401(635nm)を照射して発せられる660nmの蛍光を、フォトダイオード402で検出することによって行われる。
レーザー401から照射される光(635nm)は、DNAを標識する蛍光物質Cy5の吸収波長域であり、蛍光物質Cy5を励起できる励起パワーが必要である。ダイクロイックミラー403は、波長635nm付近の光を反射し、波長670nm付近の光を透過する特性を持ち、励起光はダイクロイックミラー403で反射される。さらに、励起光は、対物レンズ404により集光され、密閉流路302中を電気泳動する標的DNA111へ照射される。
標的DNA111に修飾させた蛍光物質103は、励起光を照射され、蛍光を発する。蛍光は、対物レンズ404、ダイクロイックミラー403、集光レンズ405を通り、フォトダイオード402で受光され電気信号に変換される。電気信号はアンプ406によって増幅され、その後A/Dコンバータ407でディジタル変換して制御演算部325に取り込む。なお、制御演算部325はタイマ(図示なし)を内蔵しており、泳動開始時間からの経過時間を測定することが出来る。
ここで、相補DNA112は担体105の影響により電気泳動しても選択性分離フィルタ306を透過できないので、標的DNA111が電気泳動途中に相補DNA112と再結合DNAを形成することがなくなり、検出部400では標的DNAのみを検出することが出来るため、高精度な定量分析が可能になる。
以下、本発明の実施の形態をより詳細に理解するために、本発明の具体的な実施例および従来技術による比較例との差異とその効果を詳細に説明する。
(実施例)
[PCR産物の調整]
PCRの増幅はTaKaRa Ex Taq(TaKaRa社製)を用いて増幅した。鋳型はras Mutant Set(TaKaRa社製)を用いた。フォワード側のプライマーDNAは蛍光色素、ここではCy5で標識した、5´−(Cy5)−GACTGAATATAAACTTGTGG−3´(フォワードプライマー、配列表1)を、リバース側のプライマーは5´−(biotin)−ATCGTCAAGGCACTCTTGCC−3´(リバースプライマー、配列表2)を、それぞれ終濃度500nMになるよう加えた。反応サイクルは以下の通りである。95℃−10分、(95℃−30秒、55℃−30秒、72℃−30秒)30サイクル、72℃−5分。これにより、60bpのPCR産物を作製した。
[PCR産物の精製]
前記PCR産物を Wizard SV Gel and Clean−UP Systemを用いて精製した。(収率30%、終濃度150nM)
[複合体の作製]
複合体の担体にはストレプトアビジンがコーティングされた平均粒径350nmの金コロイドを用いた。まず、1mLの金コロイドを、TTLバッファー(終濃度:100mM Tris−HCl(pH8.0)、0.1% Tween20、 1M LiCl)で洗浄後、20μLのTTLバッファーに置換した。その後、(100nMの)PCR産物を5μL添加し、室温で15分穏やかに振とうした。
次に反応物を、8000rpmで10分間遠心分離することで金コロイドを沈殿させ、上澄み液を除去した。その後、金コロイドを0.15M 水酸化ナトリウムで懸濁させ、洗浄した。その後再び、8000rpmで10分間遠心分離し、上澄みを除去してTTEバッファー(250mM Tris−HCl(pH8.0)、 0.1% Tween20、 20mM Na2EDTA(pH8.0))に溶解することで、目的物(複合体)を得た。
[緩衝液の調整]
Tris−Borate(pH7.4)終濃度50mMで使用した。
[コンジュゲート体の作製]
第1の標的DNAに相補的な塩基配列を持つアミノ化DNA(プローブ)を1mMになるように水またはTE(pH7.4)を加えて調整した。アミノ化DNA(プローブ)の配列は5´−ACCAGC−3´(配列表3)である。分子量20,000のNHS−PEGにDMSOを445μl加え、20℃で3時間振とう後、分子量10,000を分画する透析膜を用いて、一晩透析した後、乾燥した。コンジュゲート体120は100μMになるよう緩衝液で溶かした。
[SNP遺伝子の解析]
図5に示す方法により遺伝子解析を行った。密閉流路301〜304はコーティングされた内径100μmのキャピラリー管(大塚電子製)を使用した。また、選択性分離フィルタ306は公称孔径5nmのものを用いた。そして、ポンプ318によってコンジュゲート体を密閉流路302、密閉流路304内に、緩衝液を密閉流路301、密閉流路303内に充填し、続いて同じくポンプ318によって1cm/秒の速度で複合体を密閉流路301内に2秒間注入した。その後、電源部323によって電極321、電極322間へ20kVの電圧を印加して複合体を15分間電気泳動させ電源部の出力電圧を6kVに切替えた後、高温部307を95℃になるよう制御して1分間加熱した。
次に密閉流路301内の標的DNAを30℃に温度制御した分離部316中で電気泳動させ、前記標的DNAを前記コンジュゲート体に対する親和性の差によって、結合型DNAと非結合型DNAに分離した。検出部400では検出フィルタでレーザー401から照射される635nmの励起光をカットして標的DNAに標識しているCy5の660nmの蛍光をフォトダイオード402で検出してアンプ406で増幅し、A/Dコンバータ407でアナログ信号をディジタル化して制御演算部325に取り込んだ。
(比較例)
比較例として、従来の方法を用いて上記実施例と同じ標的DNAの解析を行った。
[PCR産物の調整]
PCRの増幅はTaKaRa Ex Taq(TaKaRa社製)を用いて増幅した。鋳型はras Mutant Set(TaKaRa社製)を用いた。フォワード側のプライマーDNAは蛍光色素、ここではCy5で標識した、5´−(Cy5)−GACTGAATATAAACTTGTGG−3´(フォワード側プライマー、配列表2)(配列表の番号は1から)を、リバース側のプライマーは5´−ATCGTCAAGGCACTCTTGCC−3´(リバース側プライマー、配列表3)を、それぞれ終濃度500nMになるよう加えた。反応サイクルは以下の通りである。95℃−10分、(95℃−30秒、55℃−30秒、72℃−30秒)30サイクル、72℃−5分。これにより、60bpのPCR産物を作製した。
なお、従来技術に対する本発明の新規な点は、標的DNAと相補DNAとが2本鎖を形成して担体に結合した複合体を形成させ、この複合体を密閉流路内の選択性分離フィルタで捕捉して加熱することにより、担体から標的DNAを分離させた後に電気泳動することにある。従来は、担体を相補DNAに結合させていないので、比較例においてもリバース側のプライマーに相補DNAと担体をアビジン結合させるためのビオチンは修飾させていない。
[PCR産物の変性]
比較例では前項の[PCR産物の調整]で出来たPCR産物を2本鎖から1本鎖にする変性処理が必要になる。PCR産物2μLに変性剤としてホルムアミドを40μLを加え、95℃で5分間熱した後、氷冷した。
[緩衝液の調整]
本発明の実施例と同じ緩衝液を使用した。
[コンジュゲート体の作製]
本発明の実施例と同じコンジュゲート体を使用した。
[SNP遺伝子の解析]
実施例と同様に、図5に示す方法により遺伝子解析を行った。まず、ポンプ318によってコンジュゲート体を密閉流路301内に充填する。その後、PCR産物をポンプ318によって1cm/秒の速度で密閉流路301内に2秒間注入してから、電極321、電極322間へ6kVの電圧を印加して密閉流路302内の標的DNAを30℃に温度制御した分離部324中で電気泳動させ、前記標的DNAを前記コンジュゲート体に対する親和性の差によって、結合型DNAと非結合型DNAに分離した。
その他は、上記実施例と同じ方法を用いた。
(実施例1と比較例の比較)
実施例1と比較例で得た検出波形から実施例1と比較例を比較する。
図7に比較例における遺伝子の検出波形を示し、図8に実施例における遺伝子の検出波形を示す。図7に示すように、プライマーのピーク202、非結合型DNAのピーク200、結合型DNAのピーク201の順に検出されているが、非結合型DNAと結合型DNAのピークの間に再結合DNAによるピーク203が検出されている。
ところが、実施例では、図8に見られるように、非結合型DNAのピーク200と結合型DNAのピーク201が検出されており、しかも両者は明確に分離されている。これは、本発明による選択性分離フィルタに捕捉し加熱することで、再結合DNA203の発生を防止できるため、再結合DNA203のピークが発生しないからである。
この結果から明らかなように、本発明による複合体を密閉流路内の選択性分離フィルタに捕捉し加熱する。その後、担体に結合した相補DNAから乖離した標的DNAを電気泳動させて分離することで、従来遺伝子解析の際課題となっていた再結合DNAピークを除去することが出来る。
さらに本実施例の新たな効果として、図8に見られるように、プライマーのピーク202も除去することができることにある。これは、本発明の実施例において、複合体を15分間電気泳動させて選択性分離フィルタに補足させる間に、プライマーが選択性分離フィルタを透過し、いち早く陽極側の電極321まで電気泳動されたためである。そのため、検出する前に検出領域を通過しているプライマーは検出波形に現れることが無い。本来、プライマーのピーク202は分析には関係の無いピークであるので、検出波形に現れないことが好ましい。この点でも、本発明は従来技術よりも優れた効果を有している。
本発明にかかる遺伝子解析方法は、簡便、迅速、正確に生体物質の状態を解析する方法として有用である。
(a)本発明の実施の形態1における鋳型DNAとプライマーの構成図(b)本発明の実施の形態1におけるPCR産物の構成図(c)本発明の実施の形態1における複合体の構成図 本発明の実施の形態1におけるコンジュゲート体の構成図 (a)本発明の実施の形態1におけるコンジュゲート体の充填を示す図(b)本発明の実施の形態1における複合体の注入示す図 本発明の実施の形態1における流路結合ユニットの構成を示す図 本発明の実施の形態1における標的DNA検出の構成を示す図 (a)高温部による温度を上昇させる前の標的DNAの模式図(b)高温部による温度を上昇させた後の標的DNAの模式図 比較例における検出波形を示す図 実施例における検出波形を示す図
符号の説明
100 フォワード側プライマー
101 リバース側プライマー
102 鋳型DNA
103 標識剤
104 biotin
105 担体
110 複合体
111 標的DNA
112 相補DNA
120 コンジュゲート体
121 高分子化合物
122 プローブDNA
200 非結合型DNA
201 結合型DNA
202 プライマー
203 再結合DNA
301 密閉流路
302 密閉流路
303 密閉流路
304 密閉流路
305 流路結合ユニット
306 選択性分離フィルタ
307 高温部
309 コンジュゲート体を入れる容器
310 流路結合ユニットの挿入口
311 流路結合ユニットの挿入口
312 緩衝液
313 緩衝液を入れる容器
314 緩衝液を入れる容器
315 流路結合ユニットの挿入口
316 流路結合ユニットの挿入口
317 密閉された液だめ容器
318 ポンプ
320 複合体を入れる容器
321 陽極側の電極
322 陰極側の電極
323 電源部
324 分離部
325 制御演算部
401 レーザー
402 フォトダイオード
403 ダイクロックミラー
404 対物レンズ
405 集光レンズ
406 アンプ
407 A/Dコンバータ

Claims (9)

  1. 標識剤を修飾させた標的DNAと前記標的DNAと相補なDNAとが2本鎖を形成して担体に結合した複合体を形成させる第1のステップと、
    選択性分離フィルタで仕切られた密閉流路内にプローブDNAを高分子化合物に結合させたコンジュゲート体を充填させる第2のステップと、
    前記複合体を前記密閉流路内に注入する第3のステップと、
    前記複合体を前記密閉流路内で電気泳動させて前記選択性分離フィルタに前記複合体を捕捉させる第4のステップと、
    前記捕捉させた複合体から前記標的DNAを乖離させるための熱を与える第5のステップと、
    前記乖離した標的DNAの標識剤を検出する第6のステップからなる遺伝子解析方法。
  2. 前記第1のステップにおける前記複合体が、前記相補なDNAの末端が前記担体に結合している請求項1に記載の遺伝子解析方法。
  3. 前記担体のサイズが前記密閉流路の内径よりも小さい請求項1に記載の遺伝子解析方法。
  4. 前記第5のステップにおける複合体から前記標的DNAを乖離させるための熱が、前記2本鎖の融解温度以上である請求項1に記載の遺伝子解析方法。
  5. 前記プローブDNAが前記標的DNAのSNP部位を含む塩基配列と相補な塩基配列を持つ請求項1に記載の遺伝子解析方法。
  6. 前記標識剤が蛍光物質あるいは発光物質である請求項1に記載の遺伝子解析方法。
  7. 前記選択性分離フィルタの孔径が前記担体の直径よりも小さい請求項1に記載の遺伝子解析方法。
  8. 前記選択性分離フィルタの孔径は前記標的DNAが透過できるサイズである請求項1に記載の遺伝子解析方法。
  9. 前記担体を構成している分子が直鎖状でない請求項1に記載の遺伝子解析方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013141332A1 (ja) 2012-03-22 2013-09-26 和光純薬工業株式会社 インターカレーターを用いた変異遺伝子の識別検出方法
WO2013141331A1 (ja) 2012-03-22 2013-09-26 和光純薬工業株式会社 マイクロサテライト領域を有するdnaの検出方法

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