JP2009124190A - 同調回路およびこれを用いたラジオ受信機 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンデンサの容量値を小さくしてICチップに内蔵でき、かつ、2つの出力信号のレベル差を小さくすることができるπ型同調回路を提供する。
【解決手段】コイルLと2つのコンデンサC1,C2とをπ型に接続して成る同調回路において、コイルLの一端子に接続される入力容量Cinおよび第1のコンデンサC1の各容量値を加算した合計容量値と、コイルLの他端子に接続される第2のコンデンサC2の容量値とが同一となるようにすることで(C2=Cin+C1)、コイルLの一端子側における容量値と他端子側における容量値とが同一となってバランスがとれるようにし、2つのコンデンサC1,C2の容量値を小さくしても、π型同調回路の並列共振点における2つの出力信号のレベル差が小さくなるようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】コイルLと2つのコンデンサC1,C2とをπ型に接続して成る同調回路において、コイルLの一端子に接続される入力容量Cinおよび第1のコンデンサC1の各容量値を加算した合計容量値と、コイルLの他端子に接続される第2のコンデンサC2の容量値とが同一となるようにすることで(C2=Cin+C1)、コイルLの一端子側における容量値と他端子側における容量値とが同一となってバランスがとれるようにし、2つのコンデンサC1,C2の容量値を小さくしても、π型同調回路の並列共振点における2つの出力信号のレベル差が小さくなるようにする。
【選択図】 図1
Description
本発明は同調回路およびこれを用いたラジオ受信機に関し、特に、コンデンサおよびコイルをπ型に接続して成るπ型同調回路に関するものである。
ラジオ受信機などの無線受信装置では、目的周波数領域の信号だけを良好に受信し、目的周波数帯域以外の信号から妨害を受けないようにするために、フィルタを使って不要な周波数成分を除去する必要がある。その受信帯域選択フィルタの最も簡単なものとして、同調回路(LC共振回路)が用いられることがある。この同調回路の中には、コンデンサおよびコイルをπ型に接続して成るπ型同調回路が存在する(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−46182号公報
図6は、従来のπ型同調回路の構成例を示す図である。この図6に示すπ型同調回路は、共振回路1個だけの単同調回路である。図6に示すように、π型同調回路では、コイルLの一端子がコンデンサC1を介してグランド端子GNDに接地され、他端子がコンデンサC2を介して接地されている。一般的に、2つのコンデンサC1,C2は同じ容量値のものが使用される。また、コイルLの一端子が一方の出力端子OUT1に接続され、他端子が他方の出力端子OUT2に接続されている。入力端子INとコイルLの一端子との間には、入力容量Cinおよび信号源抵抗Rsが直列に接続されている。
π型同調回路の2つの出力端子OUT1,OUT2から出力される信号は、例えばラジオ受信機の次段に相当するミキサ(周波数変換回路)の差動増幅器に入力される。差動増幅器は、2つの入力端子から同一振幅(レベル)の信号(これをコモンモード信号という)が入力された場合には利得を持たないという、コモンモードリジェクションと呼ばれる性質を持つ。
このコモンモードリジェクションの特性を最大限に得るために、π型同調回路の2つの出力端子OUT1,OUT2から出力される信号が同一レベルとなるようにする必要がある。同一振幅でないと、コモンモードリジェクションの特性が得られなくなり、π型同調回路における2つの出力信号のレベル差が差動増幅器では差動入力になってしまう。そして、このレベル差が増幅されてノイズ特性に影響を与えてしまうからである。
π型同調回路の2つの出力端子OUT1,OUT2から出力される信号を同一レベルとするために、従来は、2つのコンデンサC1,C2として、入力容量Cinに比べて充分に大きな容量値を有するものを使用していた。このように大きな容量値のコンデンサC1,C2を用いれば、入力容量Cinの容量値を実質的に無視することが可能となるからである。
しかしながら、コンデンサC1,C2の容量値を大きくすると、これをICチップに内蔵するのが困難になるという問題があった。ICチップに内蔵できるようにコンデンサC1,C2の容量値を小さくすると、π型同調回路の2つの出力端子OUT1,OUT2から出力される信号のレベル差は大きくなってしまう。例えば、入力容量Cinの容量値が7pFのときに、コンデンサC1,C2の容量値をC1=C2=8pFとすると、図7に示すように、π型同調回路の並列共振点における2つの出力信号のレベル差は5dBもの大きさになってしまう。
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、コンデンサの容量値を小さくしてICチップに内蔵でき、かつ、出力信号のレベル差を小さくすることができるπ型同調回路を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明では、コイルと2つのコンデンサとをπ型に接続して成る同調回路において、コイルの一端子に接続される入力容量および第1のコンデンサの各容量値を加算した合計容量値と、コイルの他端子に接続される第2のコンデンサの容量値とが同一となるようにした。
上記のように構成した本発明によれば、コイルの一端子側に接続される入力容量の容量値も含めて、一端子側における容量値と他端子側における容量値とが同一となってバランスがとられるので、2つのコンデンサの容量値を小さくしても、π型同調回路の並列共振点における2つの出力信号のレベル差を小さく抑えることができる。これにより、同調回路の次段に接続される差動増幅器のコモンモードリジェクションの特性を最大限に引き出すことができ、ノイズ特性を良好なものにすることができる。また、コンデンサの容量値が小さいので、これをICチップに内蔵することもできる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の同調回路を実施したπ型同調回路の構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態のπ型同調回路は、一端子が一方の出力端子OUT1に接続されるとともに他端子が他方の出力端子OUT2に接続されたコイルLと、コイルLの一端子とグランド端子GNDとの間に接続された第1のコンデンサC1と、コイルLの他端子とグランド端子GNDとの間に接続された第2のコンデンサC2とを備えている。
すなわち、図6に示した従来例と同様に、コイルLの一端子が第1のコンデンサC1を介してグランド端子GNDに接地され、他端子が第2のコンデンサC2を介して接地されている。また、コイルLの一端子が一方の出力端子OUT1に接続され、他端子が他方の出力端子OUT2に接続されている。入力端子INとコイルL一端子との間には、入力容量Cinおよび信号源抵抗Rsが直列に接続されている。
本実施形態では、入力容量Cinの容量値および第1のコンデンサC1の容量値を加算した合計容量値と、第2のコンデンサC2の容量値とがほぼ同一となるようにしている(Cin+C1≒C2)。好ましくは、入力容量Cinの容量値および第1のコンデンサC1の容量値を加算した合計容量値と、第2のコンデンサC2の容量値とを完全同一にする(Cin+C1=C2)。
例えば、π型同調回路を約104MHzで共振させたい場合、入力容量Cinの容量値が7pFであるとき、第1のコンデンサC1の容量値を3pFに設定したとする。この場合、第2のコンデンサC2の容量値は、C2=7+3=10pFに設定する。このようにすると、コイルLの一端子側に接続される入力容量Cinの容量値も含めて、一端子側における容量値と他端子側における容量値とが同一となってバランスがとれるので、図2に示すように、π型同調回路の並列共振点における2つの出力信号のレベル差は殆どなくなる。
また、π型同調回路を約62MHzで共振させたい場合、入力容量Cinの容量値が7pFであるとき、第1のコンデンサC1の容量値を21pFに設定したとする。この場合、第2のコンデンサC2の容量値は、C2=7+21=28pFに設定する。このようにすると、図3に示すように、π型同調回路の並列共振点における2つの出力信号のレベル差は殆どなくなる。同様に、他の周波数で共振させる場合も、Cin+C1=C2とすることにより、π型同調回路における2つの出力信号のレベル差を無視できるほど小さくすることができる。
図4は、π型同調回路を約62MHzで共振させたい場合に、従来のようにC1=C2(図4の例ではC1=C2=25pF)とした場合の特性を示す。図7と比べると分かるように、共振周波数が小さくなると出力信号のレベル差も小さくなるが、それでも1dB以上の無視できないほどの大きな値である。これに対して本実施形態によれば、どの周波数で共振させる場合にも、π型同調回路における2つの出力信号のレベル差を無視できるほど小さくすることができる。
図5は、上記のように構成した本実施形態のπ型同調回路を適用したラジオ受信機の一部(フロントエンド部の)構成例を示す図である。図5において、アンテナ入力部2は、アンテナ1で受信した高周波信号を高周波増幅回路3に入力するものである。このアンテナ入力部2は、アンテナ1とのインピーダンスマッチングをとるための整合回路を備えている。
また、アンテナ入力部2は、目的とする受信周波数帯域以外の妨害信号を排除するためのフィルタ回路(高周波増幅回路3に対して「入力側フィルタ」と呼ぶ)も備えている。入力側フィルタは、イメージ妨害に代表されるスプリアス受信やインタ・モジュレーションを避けるために、受信妨害を引き起こす不要な周波数帯域の信号を排除する。ただし、できるだけ損失を抑えるとともに雑音指数を低くするために、周波数選択性は比較的広帯域なものが用いられる。
高周波増幅回路3は、アンテナ入力部2から入力された高周波信号を増幅し、その結果を受信帯域選択フィルタ4に供給する。受信帯域選択フィルタ4(高周波増幅回路3に対して「出力側フィルタ」と呼ぶ)は、アンテナ入力部2の入力側フィルタに比べて妨害排除能力を高くするために、通過帯域が狭く設定されている。そのため、ここでの損失が大きくなる。そこで、雑音指数を低くするために、受信帯域選択フィルタ4の前段に高周波増幅回路3を設け、所要の感度性能を確保するのに必要なレベルまで高周波信号を増幅する。
受信帯域選択フィルタ4は、目的の周波数帯域の信号だけを良好に受信し、それ以外の周波数帯域の信号から妨害を受けないようにするために、不要な周波数成分を除去する。この受信帯域選択フィルタ4として、本実施形態のπ型同調回路を用いる。例えばFM放送のように目的の受信周波数帯域が広い場合には、周波数選択度の良好な(通過帯域が狭くQが高い)π型同調回路を用い、目的周波数に合わせて同調周波数を可変にする方式が理想的である。
ミキサ5は、図示しない発振回路から与えられる局部発振周波数の信号を用いて、受信帯域選択フィルタ4を通過した目的受信周波数の高周波信号を、中間周波信号(IF信号)に変換する。ミキサ5の次段には、図示しないIF段の構成が接続される。
なお、ここでは本実施形態のπ型同調回路を受信帯域選択フィルタ4(出力側フィルタ)に用いる例について説明したが、アンテナ入力部2(入力側フィルタ)に用いても良い。
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、2つのコンデンサC1,C2の容量値を小さくしても、π型同調回路の並列共振点における2つの出力信号のレベル差を1dB以下の極めて小さな値に抑えることができる。これにより、2つのコンデンサC1,C2をCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のICチップに内蔵することができ、かつ、π型同調回路の次段に接続される差動増幅器のコモンモードリジェクションの特性を最大限に引き出すことができ、ノイズ特性を良好なものにすることができる。
なお、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明のπ型同調回路は、例えばラジオ受信機などの無線受信装置において、目的周波数帯域の信号だけを良好に受信して不要な周波数成分を除去する目的のフィルタとして利用することが可能である。
2 アンテナ入力部(入力側フィルタ)
3 高周波増幅器
4 受信帯域選択フィルタ(出力側フィルタ)
5 ミキサ
L コイル
C1,C2 コンデンサ
Cin 入力容量
3 高周波増幅器
4 受信帯域選択フィルタ(出力側フィルタ)
5 ミキサ
L コイル
C1,C2 コンデンサ
Cin 入力容量
Claims (3)
- 一端子が一方の出力端子に接続されるとともに、他端子が他方の出力端子に接続されたコイルと、
上記コイルの一端子とグランド端子との間に接続された第1のコンデンサと、
上記コイルの他端子と上記グランド端子との間に接続された第2のコンデンサとを備え、
上記コイルの一端子と入力端子との間に接続された入力容量の容量値および上記第1のコンデンサの容量値を加算した合計容量値と、上記第2のコンデンサの容量値とを同一にしたことを特徴とする同調回路。 - 請求項1に記載の同調回路であって目的の周波数帯域に同調した高周波信号を出力する同調回路と、
上記同調回路を通過した高周波信号を中間周波信号に変換する周波数変換回路とを備えたことを特徴とするラジオ受信機。 - 請求項1に記載の同調回路であって目的の周波数帯域に同調した高周波信号を出力する同調回路と、
上記同調回路を通過した高周波信号を増幅する高周波増幅回路とを備えたことを特徴とするラジオ受信機。
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