JP2009123329A - 磁気ディスク - Google Patents

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Abstract

【課題】 例えば10nmあるいはそれ以下の浮上量で磁気ヘッドが浮上走行した場合であっても、フライスティクション障害や腐食障害などを防止することができ、故障が抑制され、安全性に優れる磁気ディスクを提供する。
【解決手段】 基板上に磁性層、保護層、潤滑層がこの順で成膜された磁気ディスクであって、拡張Fowkesの式により求められる前記磁気ディスク表面の表面自由エネルギーγSが0を超え24mN/m以下であり、かつ前記表面自由エネルギーγSを構成する、γSd(表面自由エネルギーの分散力成分)が0を超え17mN/m以下、γSp(表面自由エネルギーの双極子成分)が0を超え1mN/m以下、γSh(表面自由エネルギーの水素結合力成分)が0を超え6mN/m以下である磁気ディスクである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気記録装置(HDD、ハードディスクドライブ)等で使用される磁気ディスクに関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば10nm、あるいはそれ以下の浮上量で磁気ヘッドが浮上走行した場合であっても、フライスティクション障害や腐食障害などを防止することができ、故障が抑制され、安全性に優れる磁気ディスクに関するものである。
近年のHDD(ハードディスクドライブ)では、高記録容量化の可能な、LUL(Load Unload、ロードアンロード)方式が採用され始めている。LUL方式では、停止時には、磁気記録ヘッドを磁気ディスクの外に位置するランプと称される傾斜台に退避させておき、起動時には、磁気ディスクが回転開始した後に、磁気記録ヘッドをランプから磁気ディスク面上に滑動させてから記録再生を行うため、磁気ディスク上で磁気記録ヘッドが接触摺動することはない。
このLUL方式では、従来用いられていたCSS方式のように磁気ディスク面上に磁気記録ヘッドの接触摺動用領域(CSS領域)を設ける必要がないため、CSS方式に比べて記録再生用領域の面積を広く確保でき、磁気記録媒体の記録容量を増やせると云う利点がある。また、LUL方式では、磁気ディスクと磁気記録ヘッドとが接触しないので、CSS方式のように、接触吸着を防止するためのテクスチャを設ける必要がなく磁気ディスク表面を更に平滑化できる。したがって、磁気記録ヘッドの浮上量をCSS方式の場合よりも低下させて、磁気ディスクの記録密度を高めることができると云う利点もある。
このような磁気ディスクとしては例えば特許文献1に開示されているような磁気記録媒体が知られている。
ところで磁気記録装置(HDD)内では、使用されている各種の接着剤やプラスチック材料等の有機材料から、硫黄系有機化合物、塩素系有機化合物、フタル酸ジオクチル、アクリル酸、シロキサン等の揮発性有機系ガス、酸性ガス等が、ある程度の割合で放出されているため、例えば高温高湿環境下では、これらの有機系ガスまたは酸性ガス等が磁気記録媒体に吸着されやすいといった問題がある。また、潤滑層の潤滑剤と相互作用を起こして潤滑層を変質させ易いといった問題がある。
このような問題は、特に、磁気ヘッド浮上量の低下に伴って著しくなってきている。低浮上量(例えば10nm以下のような狭隘な浮上量)で磁気ヘッドが磁気ディスク面上を浮上走行すると、前記磁気ディスク面上に吸着してしまった有機化合物等や潤滑剤を磁気ヘッドがかき集め、磁気ヘッドの表面に移着、堆積しやすくなる。特に、NPABスライダー(負圧スライダー)を備える磁気ヘッドの場合、磁気ヘッド下面(磁気ディスク側の面)に強い負圧が生じるので、あたかも真空掃除機のごとく、磁気ディスク面上に吸着した有機化合物等や潤滑剤をかきあつめて、磁気ヘッド面に移着、堆積してしまい易いといった問題がある。
この移着状況が一定程度を超えるとフライスティクション現象と呼ばれる障害や腐食障害が発生する。フライスティクションとは、磁気記録ヘッドが浮上走行時に、浮上姿勢や浮上量に変調をきたす障害であり、不規則な再生出力変動が頻発する。場合によっては、浮上走行中に磁気記録媒体と接触し、クラッシュを起こして磁気ディスクを破壊してしまう。このフライスティクションは前駆症状なしに突発することが多く、制御の困難な障害の一つである。
従来のCSS方式では、起動、停止時におけるCSS動作により、磁気記録ヘッドに移着した潤滑剤、有機化合物等をクリーニングする作用があったため、これら障害は問題とはなっていなかった。
一方、LUL方式では磁気記録媒体と磁気記録ヘッドの摺動動作がないために、ヘッドに移着した潤滑剤、有機化合物等をクリーニングする機能がない。そのため、LUL方式では、特に磁気記録ヘッドに潤滑剤、有機化合物等が移着堆積し、フライスティクションが発生しやすく、またヘッド素子部が腐食されすい。さらにこの堆積が進むと、堆積物として媒体表面に落下し、保護膜に損傷を与え記録再生が不可能となる場合がある。また、CSS方式からLUL方式への移行に伴い、磁気記録ヘッドに浮上量が一段と低下(10nm以下)したため、これらヘッドへの移着堆積がいっそう促進されることとなった。
さらに最近ではHDD(ハードディスクドライブ)等の磁気ディスク装置は飛行機内のように低気圧環境下での使用も多くなり、それに伴い、ヘッドの飛行安定性が問題となってきている。すなわち、磁気ヘッドの浮上量が気圧の変化により10nmからさらに下がり、かつ磁気ヘッドのエアベアリングスライダーの加工精度による浮上量のばらつきも加味されて、フライスティクション問題が頻発するようになってきている。
また、最近のHDD(ハードディスクドライブ)等の磁気ディスク装置は小型化され、デジタルカメラ、音楽再生プレーヤに内蔵されるようになってきており、あらゆる環境(前述のように飛行機内、山頂、高温、低温、高湿、低湿)、あらゆる使い方(据え置き型、携帯型)等の外圧が、磁気ディスク装置内のヘッドの浮上特性(安定飛行性)、磁気ディスク装置内部材からのアウトガスに影響するようになっている。
前記フライスティクション発生の原因としては、磁気ディスク表面の粗さ、潤滑層とヘッドとの相互作用(メニスカス力)、磁気ディスク装置からのアウトガスによるコンタミネーションの影響が考えられる。
特開2003―248917号公報
本発明は、このような事情のもとで、例えば10nm、あるいはそれ以下の浮上量で磁気ヘッドが浮上走行した場合であっても、フライスティクション障害や腐食障害などを防止することができ、故障が抑制され、安全性に優れる磁気ディスク、特にLUL方式HDDに好適な磁気ディスクを提供することを目的とするものである。
本発明者は、前記目的を達成するために、前記LUL方式で特に発生しやすいフライスティクション現象について、潤滑剤や、潤滑剤の膜厚、潤滑剤の密着性、あるいは保護層、磁気記録ヘッドの形状、浮上量などとの因果関係について研究した結果、フライスティクション現象が磁気ディスク表面の表面エネルギーと密接な関係にあることを見出した。すなわち、磁気ディスク表面の表面エネルギーを低減させ、磁気ディスク最表面に付着する有機物を最小限に抑えることが、フライスティクションに対して有効であることを発見した。
具体的には、フライスティクション障害および腐食障害を防止し、また優れたLUL耐久性を得るためには、磁気ディスクの最表面を所定程度に不活性化させることが重要であることを発見した。この際、単に磁気ディスク表面の表面自由エネルギーや臨界表面張力の所望値を特定すればよいというものではなく、これらを構成する各成分を合わせて所定としなければならないことを知見した。
磁気ディスク表面に付着、吸着しうる物質、あるいは潤滑剤は多種多様であるから、単に不活性の程度、あるいは、表面自由エネルギーの所望値といっても、それらの物質、化合物毎に、所望値が異なる訳である。ところが、予め、磁気ディスク表面に付着、吸着し得る個別の物質、化合物を事前に全て想定し、これら物質に対する不活性の程度を全て特定することは事実上不可能である。
本発明者は表面自由エネルギーを、特性に着目して各構成成分に分解し、各々の構成成分の所望値を、本発明の課題解決に好ましい所定値にできれば、いちいち予め個別の物質についての不活性程度の特定を要することなく、課題が解決できることを見出した。
また、本発明者は、本発明で特定される表面自由エネルギー、臨界表面張力を所望とするための手段として、磁気ディスク表面をハイドロフルオロエーテルを含む組成物で処理することが有効であることを見出した。具体的には、潤滑層まで成膜された磁気ディスクの表面上にハイドロフルオロエーテルを含む組成物を接触させる処理として実施することができる。
磁気ディスクにおける潤滑層成膜工程では、パーフルオロポリエーテル系潤滑剤をHFC(ハイドロフルオロカーボン)、PFC(パーフルオロカーボン)等のフッ素系溶媒に分散溶解させた溶液を調製し、この溶液中に、保護層まで成膜された磁気ディスクを浸漬し、ディップ法などにより塗布して潤滑層を成膜している。
磁気ディスク用途のパーフルオロポリエーテル系潤滑剤はフッ素を含有する主鎖部分と、この主鎖の末端に官能基として極性基を備える構造になっている。この極性基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、その他の極性基が用いられている。潤滑剤の主鎖部分が柔軟な構造となっているので好適な潤滑性能を示し、また、末端部分の極性基が分子間力等で保護層と密着する作用を示すので、磁気ディスク上に潤滑層(膜)として固定される。通常、末端の官能基として極性基を2〜4個有している。
本発明者はこの極性基の存在に着目した。すなわち、潤滑層を構成する潤滑剤の末端基の極性基が完全に保護層側へ配向していれば、潤滑層表面にはパーフルオロポリエーテルの主鎖(フッ素など)が表面を被覆しているので、磁気ディスク表面は非常に低い表面自由エネルギー、非常に低い臨界表面張力を示すものと思われる。しかし、現実には保護層を構成する物質と潤滑剤との配向性、潤滑剤自身の立体構造等により、完全に末端基の極性基が保護層側に向かって配向していない。そのため、潤滑層成膜後の磁気ディスク表面には所定量の極性基が露見しているものと考えられる。
極性基が潤滑層表面、すなわち磁気ディスク表面に露見しているために、磁気ディスク表面の表面自由エネルギー、臨界表面張力が大きくなってしまい、所望の不活性化が妨げられていると考えられる。したがって、表面に露見している潤滑剤の官能基である極性基を不活性化させる処理を施せば、所望の不活性の程度が得られるのではないかと着目した。
このメカニズムは、HFE(ハイドロフルオロエーテル)の構造に由来すると思われる。すなわち、HFEはC2n+1−O−R(R=C2n+1)の構造式を持ち、C2n+1基とR(R=C2n+1)基の間にエーテル結合を有する。潤滑層まで成膜された磁気ディスクの表面にハイドロフルオロエーテルを接触させる処理を施すと、このエーテル結合基が、保護層表面に配向できなかったパーフルオロポリエーテル潤滑剤の末端官能基(極性基)と分子間力又は水素結合力により結合してしまい、実質的に磁気ディスク最表面はC2n+1基とR(R=C2n+1)基になっていると思われる。このため、露見していた極性基を不活性化できるものと思われる。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1) 基板上に磁性層、保護層、潤滑層がこの順で成膜された磁気ディスクであって、
拡張Fowkesの式により求められる前記磁気ディスク表面の表面自由エネルギーγSが0を超え24mN/m以下であり、かつ前記表面自由エネルギーγSを構成する、γSd(表面自由エネルギーの分散力成分)が0を超え17mN/m以下、γSp(表面自由エネルギーの双極子成分)が0を超え1mN/m以下、γSh(表面自由エネルギーの水素結合力成分)が0を超え6mN/m以下であることを特徴とする磁気ディスク(以下磁気ディスクIと称する)、
(2)基板上に磁性層、保護層、潤滑層がこの順で成膜された磁気ディスクであって、
Van−Ossの式により求められる前記磁気ディスク表面の表面自由エネルギーγSが0を超え22mN/m以下であり、かつ前記表面自由エネルギーγSを構成する、γSLWが0を超え17mN/m以下、γSが0を超え6mN/m以下、γSが0を超え1mN/m以下であることを特徴とする磁気ディスク(以下磁気ディスクIIと称する)、
(3)基板上に磁性層、保護層、潤滑層がこの順で成膜された磁気ディスクであって、
Zismanの式により求められる前記磁気ディスク表面の臨界表面張力γcが0を超え17mN/m以下であることを特徴とする磁気ディスク(以下磁気ディスクIIIと称する)、および
(4)さらに、Zismanの式により求められる磁気ディスク表面の臨界表面張力γcが0を超え17mN/m以下である上記(1)または(2)項に記載の磁気ディスク
を提供するものである。
本発明によれば、例えば10nm、あるいはそれ以下の浮上量で磁気ヘッドが浮上走行した場合であっても、フライスティクション障害や腐食障害などを防止することができ、故障が抑制され、安全性に優れる磁気ディスク、特にLUL方式HDDに好適な磁気ディスクを提供することができる。
本発明の磁気ディスクの層構成の1例を模式的に示す断面図である。
1 基板
2 非磁性金属層
2a シード層
2b 下地層
3 磁性層
4 保護層
5 潤滑層
10 磁気ディスク
本発明の磁気ディスクは、磁性層、保護層および潤滑層が、この順で成膜された磁気ディスクである。
前記保護層は、特に限定されないが、炭素系保護層とすることが好ましい。構造としては、アモルファス炭素からなる保護層とすることが好ましい。具体的には、アモルファスのダイヤモンドライク炭素保護層とすることができる。このような炭素系保護層とすることにより、好適なLUL耐久性が得られる。
本発明において、この炭素系保護層の膜厚は、1〜5nmであることが好ましい。1nm未満では、耐摩耗性に問題がある。炭素系保護層の膜厚に特に上限を設ける必要はないが、磁気的スペーシング改善を阻害しないよう、実用上、5nm以下とするのが好ましい。
また、炭素系保護層とする場合、組成としては、水素を含有させた水素化炭素保護層とすることが好適である。水素化炭素とすることで、保護性能が高く、また緻密な構造となるので、LUL方式用磁気ディスクとして好適である。この場合、水素の含有量は、HFS(水素前方散乱法)で測定した場合に、炭素系保護層全体に対して3原子%以上で、20原子%未満とするのが好ましい。炭素系保護層に対する水素の含有量が3原子%未満の場合、緻密性が低下する場合があり、また、硬度が低下する場合があるので、LUL起動時の撃力から磁性層を好適に保護できない場合がある。また、水素の含有量が20原子%以上の場合、ポリマー状の炭素成分が増大して、磁性層に対する保護層の付着性能が低下する場合があり、LUL起動時に保護層が剥がれる場合があるので好ましくない。
また、炭素系保護層に窒素を含有させてなる窒化炭素保護層、水素化窒化炭素保護層とすると更に好ましい。窒素を含有させることにより、潤滑剤の末端極性基が保護層側に配向することを著しく促進することができるからである。そのため、本発明と組み合わせることで特に好ましい効果を得ることができる。炭素中における窒素の含有量はXPS(X線光電子分光法)で測定した場合に、炭素に対して4〜12原子%とすることができる。
本発明において、前記炭素系保護層はCVD法(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長法)で成膜された保護層であることが好ましい。中でも、プラズマを用いて原子を励起させる、プラズマCVD(P−CVD)により炭素系保護層を形成するのが好ましい。P−CVDで形成された炭素系保護層は緻密性と硬度が高く、LUL耐久性に優れるからである。P−CVDで炭素系保護層を形成する場合にあっては、反応性ガスとして炭化水素ガスを用いてダイヤモンドライク炭素を形成することが好ましい。
前記反応性ガスとしては、低級炭化水素を用いることが好ましい。中でも、低級飽和炭化水素、低級不飽和炭化水素、低級環式炭化水素のいずれかを用いることが好ましい。低級飽和炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、オクタン等を用いることができる。また、低級不飽和炭化水素としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、アセチレン等を用いることができる。また、低級環式炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、ナフタレン、シクロヘキサン等を用いることができる。なお、ここで言う低級とは、1分子当たりの炭素数が1〜10の炭化水素のことである。低級炭化水素を用いることが好ましい理由は、炭素数が増大するに伴い、ガスとして気化させて、成膜装置に供給することが困難となることに加え、プラズマ放電時の分解が困難となるからである。また、炭素数が増大すると、形成した保護層の成分に高分子の炭化水素成分が多く含有されやすくなり、保護層の緻密性と硬度を低下させるため好ましくない。この観点から、炭化水素として、低級炭化水素を用いることが好適である。中でもアセチレンを用いると、緻密かつ、高硬度の炭素系保護層を形成することができるので特に好ましい。
本発明においては、潤滑層は、末端基に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル潤滑剤を成膜した層とすることが好ましい。特に超臨界抽出法により所定に精製されたパーフルオロポリエーテル化合物とすることが好ましい。パーフルオロポリエーテル化合物の主鎖は直鎖構造を備え、磁気ディスク用に適度な潤滑性能を発揮するとともに、末端基に極性基として水酸基(OH)を備えることで、炭素系保護層に対して高い密着性能を発揮することができる。特に、炭素系保護層の表面に窒素を含有する場合にあっては、(N)と(OH)とが高い親和性を奏するので、高い潤滑層密着率を得ることができ、好適である。
なお、末端基に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル化合物としては、1分子中の水酸基の数が2個〜4個のものが好ましい。2個未満では、潤滑層の密着率が低下する場合があるため好ましくなく、4個を超えると、密着率が向上し過ぎる結果、潤滑性能を低下させる場合がある。潤滑層の膜厚は、0.5〜1.5nmの範囲内で適宜調節するとよい。0.5nm未満では潤滑性能が低下する場合があり、1.5nmを超えると、潤滑層密着率が低下する場合がある。
本発明においては、潤滑層を成膜したのちに、HFE(ハイドロフルオロエーテル)で潤滑層表面、すなわち、磁気ディスク表面を処理することが好ましい。具体的には潤滑層まで成膜された磁気ディスクにHFE(ハイドロフルオロエーテル)を接触させる処理を施すことが好ましい。例えば、気相法や浸漬法などで処理することができる。このように処理することで、磁気ディスクの潤滑層表面にHFE(ハイドロフルオロエーテル)が成膜される。
HFE(ハイドロフルオロエーテル)処理に用いるハイドロフルオロエーテル化合物は分子量が150〜400程度の化合物が好ましい。特に、分子量350以下のものを選択することが好適である。具体的には、C−O−CH及び/またはC−O−Cを好ましく用いることができる。また、ハイドロフルオロエーテルの表面張力は0を超え14mN/m以下とすることが好ましい。
本発明によれば、潤滑層の成膜後に、クリーンルーム中で磁気ディスクを加熱処理することが好ましい。この際、クリーン度は、日本工業規格(JIS)B9920でクラス6以上の清浄な雰囲気とする。クラス1〜6の清浄雰囲気で加熱処理することにより、パーフルオロポリエーテル主鎖末端極性基の保護層への配向を促進することができる。加熱処理温度は80℃〜150℃程度の範囲で実施することができる。この加熱処理を行う場合にあっては、潤滑層の成膜後であって、HFE(ハイドロフルオロエーテル)処理の前および/または後に実施することができる。好ましくは、HFE(ハイドロフルオロエーテル)処理の後に実施することが好適である。
本発明において、基板としてはガラス基板を用いることが好ましい。ガラス基板は、平滑かつ高剛性が得られるので、磁気的スペーシング、中でも、磁気ヘッドの浮上量を一層、安定的に低減できるので、本発明にとって特に好ましい。ガラス基板の材料としては、アルミノシリケートガラスが特に好ましい。アルミノシリケートガラスは化学強化により、高い剛性強度を得ることができる。
本発明において、磁気ディスク表面の表面粗さは、Rmaxで4nm以下、Raで0.4nm以下であることが好ましい。Rmaxが4nmを超えると、磁気的スペーシング低減を阻害する場合があるので好ましくない。ここでいう表面粗さとは、日本工業規格(JIS)B0601に定めるものである。
また、本発明において磁気記録層である磁性層としてはCoPt系強磁性層を用いることができる。磁性層は、基板上にスパッタリング法などの成膜方法で成膜することができる。
次に、本発明の磁気ディスクIにおいては、下記で説明する拡張Fowkesの式により求められる前記磁気ディスク表面の表面自由エネルギーγSが0を超え24mN/m以下であり、かつ前記表面自由エネルギーγSを構成する、γSd(表面自由エネルギーの分散力成分)が0を超え17mN/m以下、γSp(表面自由エネルギーの双極子成分)が0を超え1mN/m以下、γSh(表面自由エネルギーの水素結合力成分)が0を超え6mN/m以下である要件を満たすことが、本発明の目的を達成するために必要である。
〈拡張Fowkesの式〉
Fowkesにより1964年に提案された理論。表面張力を分散成分(London力のみ)、極性成分(Debye力や水素結合力を含む)に大きくわけると
γ=γd+γp …(1)
γd:分散成分
γp:極性成分
ここで固体と液体の接着仕事量(WSL:The Work of adhesion between Solid and Liquid)とすると
WSL=WSLd+WSLp …(2)
WSLd:接着仕事量の分散成分
WSL:接着仕事量の極性成分
ここで液体と固体の分散成分についてのみ幾何学平均をとると(2)から
WSLd=(γSd・γLd)0.5 …(3)
この式とDupre−Youngの式から
γL(1+COSθ)=2(γSd・γLd)0.5 …(4)
(4)式よりγSdを算出できる。
なおθは、液体と固体表面との接触角である(以下、同様)。
フォークスは相互作用として分散力だけしか考慮しなかったが、本発明では、永久極性効果や誘起極性効果などの極性に基づく分子間力による界面相互作用力γSp、および水素結合性相互作用力γShを考慮した拡張Fowkes式が用いられる。
WAB=γL(1+COSθ)=2(γSd・γLd)0.5+2(γSp・γLp)0.5+2(γSh・γLh)0.5
COSθ={2(γSd・γLd)0.5+2(γSp・γLp)0.5+2(γSh・γLh)0.5}/γL−1
γLd、γLp、γLhが既知の液体を用いて測定すれば、上記式は連立方程式となり、γSd,γSp、γShを決定することができる。
また、本発明の磁気ディスクIIにおいては、下記で説明するVan−Ossの式により求められる前記磁気ディスク表面の表面自由エネルギーγSが0を超え22mN/m以下であり、かつ前記表面自由エネルギーγSを構成する、γSLWが0を超え17mN/m以下、γSが0を超え6mN/m以下、γSが0を超え1mN/m以下である要件を満たすことが、本発明の目的を達成するために必要である。
〈Van−Ossの式〉
酸塩基のインタラクションを考慮しVan Ossが1987年に提案した理論。
γ=γLW+γab …(7)
γLW:Lifshitz−Van der Waals力(London力、Debye and Keesom力含む)
γab:酸塩基のインタラクション
Van Oss は γabを供与成分γと受理成分γの幾何学平均ととらえ(8)式を導き
γ=γLW+2(γ・γ0.5 …(8)
接着仕事量の式(3)、(4)から
WSLd=(γSd・γLd)0.5 …(3)
この式とDupre−Youngの式から
γL(1+COSθ)=2(γSd・γLd)0.5 …(4)
WAB=γL(1+COSθ)=2(γSLW・γLLW)0.5+2(γS・γL0.5+2(γS・γL0.5 …(9)
この(9)式を変形すると
cosθ={2(γSLW・γLLW)0.5+2(γS・γL0.5+2(γS・γL0.5}/γL−1 …(10)
また、γSは
γS=γSLW+γSA・B=γSLW+2√(γS・γS
[γSA・Bは、酸・塩基相互作用の表面エネルギーで
γSA・B=2√(γS・γS)]
となる。
したがって、γL、γLLW、γL、γLが既知の液体を用いて測定すれば、γSLW、γS、γS、γSを決定することができる。
さらに、本発明の磁気ディスクIIIにおいては、下記で説明するZismanの式により求められる前記磁気ディスク表面の臨界表面張力γcが0を超え、17mN/m以下である要件を満たすことが、本発明の目的を達成するために必要である。
〈Zismanの式〉
臨界表面張力(γc)を算出する手法として広く用いられている。固体表面にファンデルワールス力のみを持つ液体で既知の表面張力をもつ複数の液体を用い滴下直後の固体表面とのなす角(接触角θ)をそれぞれ実測する。液体の表面張力をx軸にCOSθをy軸にプロットすると右肩下がりの直線が得られる。(Zisman Plot)この直線がY=1(θ=0)となる場合の表面張力を臨界表面張力γcとして算出する。
また、前記の磁気ディスクIおよびIIは、それぞれ前記磁気ディスクIIIの要件を満たすことが好ましい。
このような本発明の磁気ディスクは、LUL方式のHDD用途の磁気ディスクとして好適に用いることができる。
図1は、本発明の磁気ディスクの層構成の1例を模式的に示す断面図である。この磁気ディスク10は、基板1と、この基板上に形成された磁性層3と、この磁性層3上に形成された保護層4と、この保護層4上に形成された潤滑層5とを少なくとも備える。この例においては、磁性層3と保護層4、保護層4と潤滑層5は接して形成されている。
なお、基板1と磁性層3との間には、シード層2aと下地層2bとから成る非磁性金属層2が形成されている。磁気ディスク10において、磁性層3以外は全て非磁性体である。
本発明の、基板上に磁性層、保護層、潤滑層がこの順で成膜された磁気ディスクは、前記潤滑層の成膜後に、磁気ディスク表面をハイドロフルオロエーテルを含む組成物で処理することにより製造される。
本発明の磁気ディスクの製造方法においては、前述のように、磁気ディスク表面上に潤滑層を成膜後、ハイドロフルオロエーテルを含む組成物で処理を行う前および/または後に、前記ディスクをクリーンルーム内で加熱処理することが好ましく、また、ハイドロフルオロエーテルとしては、分子量が150〜400であるものが好ましい。さらに、潤滑層としては、末端に極性基を有するパーフルオロポリエーテル化合物で成膜されてなるものが好ましく、保護層としては、プラズマCVD法で成膜されたアモルファス炭素保護層であることが好ましい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
図1に示す構成のLUL方式用磁気ディスクを作製した。
まず、アルミノシリケートガラスをディスク状に成形してガラスディスクを得、得られたガラスディスクに、研削、精密研磨、端面研磨、精密洗浄、化学強化を施すことにより、平坦かつ平滑な高剛性の磁気ディスク用ガラス基板を得た。このガラス基板の直径は65mm、内径は20mm、ディスク厚は0.635mmの2.5インチ型磁気ディスク用基板であった。
ここで、得られたガラス基板の表面粗さをAFM(原子間力顕微鏡)で観察したところ、Rmaxが3.96nm、Raが0.36nmの平滑な表面であることを確認した。
次に、静止対向型成膜装置を用いて、ガラス基板1上に、DCマグネトロンスパッタリングで順次、シード層2a、下地層2b、磁性層3の成膜を行なった。すなわち、まずスパッタリングターゲットとして、AlRu(Al:50原子%、Ru:50原子%)合金を用い、ガラス基板上1に、膜厚30nmのAlRu合金からなるシード層2aをスパッタリングで成膜した。ついで、スパッタリングターゲットとしてCrMo(Cr:80原子%、Mo:20原子%)合金を用い、シード層2a上に、膜厚20nmのCrMo合金からなる下地層2bをスパッタリングで成膜した。次いで、スパッタリングターゲットとしてCoCrPtB(Cr:20原子%、Pt:12原子%、B:5原子%、残部Co)合金からなるスパッタリングターゲットを用い、下地層2b上に、膜厚6nmの磁性層3を成膜した。この磁性層3は磁気記録に供される。
次に、磁性層3まで形成したディスク上に、プラズマCVD(P−CVD)を用いて、炭素、水素、窒素からなる炭素系保護層4を形成した。具体的には、反応性ガスとしてアセチレンと窒素を97%:3%の割合で混合した混合ガスを用い、磁性層3上に、膜厚4.5nmのプラズマCVDによる炭素保護層が形成されるように成膜を行なった。炭素系保護層形成時の成膜速度は1nm/sであった。また保護層形成に際し、高周波電力(周波数27MHz)を電極に印加しプラズマを発生させた。さらに−300Wのバイアスを印可した。保護層の膜厚は、透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察により、実膜厚を測定した。なお、この際、プラズマに電圧を印加する等して、IBD(Ion Beam Deposition)としてP−CVD成膜を行なってもよい。
成膜された炭素系保護層4を調べたところ、アモルファスのダイヤモンドライク炭素保護層であることを確認した。組成を調べたところ、水素化窒化炭素であった。水素の含有量をHFS(水素前方散乱法)で調べたところ、水素化窒化炭素に対して水素が約15原子%含有されていた。窒素の含有量をXPS(X線光電子分光法)で調べたところ、炭素に対して8原子%含有されていた。
次に、炭素系保護層4を形成後、磁気ディスク表面を加熱超純水で洗浄後、更にイソプロピルアルコールにて洗浄し、仕上げ乾燥を行った。次いで、炭素系保護層4の上に、ディップ法を用いてPFPE(パーフルオロポリエーテル)化合物からなる潤滑層5を形成した。具体的には、パーフルオロポリエーテル主鎖の両末端に極性基として水酸基を有するアルコール変性パーフルオロポリエーテル潤滑剤を用いた。なお、不純物などを除去する目的で超臨界抽出法により精製した潤滑剤を用いた。潤滑層5をディップ法で成膜したのち乾燥させた。
次に、HFE(ハイドロフルオロエーテル)で表面処理した。具体的には、C−O−CHの構造を有するハイドロフルオロエーテル化合物からなる液体組成物を用いた。このハイドロフルオロエーテルの分子量は250である。また、表面張力は13.6mN/mである。このハイドロフルオロエーテル組成物を潤滑層5の表面に気相法で成膜(処理時間60秒)することにより、ハイドロフルオロエーテルを磁気ディスク表面に接触させた。
次に、磁気ディスク10を110℃にて60分間加熱処理した。この際、加熱処理は日本工業規格(JIS)B9920で定めるクリーン環境の清浄度クラス5の雰囲気で実施した。
以上のようにして磁気ディスク10を製造した。潤滑層5の膜厚は焼成後の膜厚で1.2nmであった。得られた磁気ディスク10の表面粗さをAFMで観察したところ、Rmaxが4nm、Raが0.4nmの平滑な表面であることを確認した。
また、グライドハイトを測定したところ4.5nmであった。磁気ヘッドの浮上量を安定的に10nm以下とする場合、磁気ディスクのグライドハイトは5nm以下であることが望ましい。
得られた磁気ディスク10の各種性能を以下のようにして評価分析した。
(1)表面張力測定
(イ)拡張Fowkesの式
液体として、テトラデカン(表面エネルギー;γLd26.7mN/m、γLp0mN/m、γLh0mN/m、γL26.7mN/m)、ヨウ化メチレン(表面エネルギー;γLd46.8mN/m、γLp4mN/m、γLh0mN/m、γL50.8mN/m)および水(γLd29.1mN/m、γLp1.3mN/m、γLh42.4mN/m、γL72.8mN/m)を用い、上記で得られた磁気ディスクにおける固体表面とのなす角(接触角)を測定した。その結果、テトラデカン60.0°、ヨウ化メチレン86.8°、水93.5°であった。
まず、テトラデカンを用いた場合について、γSdを求めた。
COS(60°)={2(γSd・26.7)0.5+2(γSp・0)0.5+2(γSh・0)0.5}/26.7−1
第2項、第3項が0であることから
これより、γSd=15.02mN/mである。
次にヨウ化メチレンを用いた場合について、γSpを求めた。
COS(86.8°)={2(15.02・46.8)0.5+2(γSp・4)0.5+2(γSh・0)0.5}/50.8−1
第3項が0であることから、γSp=0.023mN/mである。
次に水を用いた場合について、γShを求めた。
COS(93.5°)={2(15.02・29.1)0.5+2(0.023・1.3)0.5+2(γSh・42.4)0.5}/72.8−1
これより、γSh=4.07mN/mである。
したがって、
γS=γSd+γSp+γShより、γS=19.11mN/mである。
(ロ)Van Ossの式
液体として、テトラデカン(表面エネルギー;γL26.7mN/m、γLLW26.7mN/m、γL0.0mN/m、γL0.0mN/m)、水(表面エネルギー;γL72.8mN/m、γLLW21.8mN/m、γL25.5mN/m、γL25.5mN/m)、エチレングリコール(表面エネルギー;γL48.0mN/m、γLLW29.0mN/m、γL1.92mN/m、γL47.0mN/m)を用い、上記で得られた磁気ディスクにおける固体表面の接触角を測定した。その結果、テトラデカン60.0°、水93.5°、エチレングリコール74.5°であった。
まず、テトラデカンを用いた場合について、γSLWを求めた。
cos(60.0°)={2(γSLW・26.7)0.5+2(0・0)0.5+2(0・00.5)/26.7−1であり、γSLW=15.02mN/mである。
同様に水を用いた場合、
cos(93.5°)={2(15.02・21.8)0.5+2(γS・25.5)0.5+2(γS・25.5)0.5}/72.8−1
同様にエチレングリコールを用いた場合、
cos(74.5°)={2(15.02・29.0)0.5+2(γS・1.92)0.5+2(γS・47.0)0.5}/48−1
上記2式の連立方程式からγS=5.07mN/m、γS=0.88mN/mとなり、
またγSは
γS=γSLW+γSA・B=γSLW+2√(γS・γS
したがって、γS=15.02+2(5.07×0.88)0.5=19.25mN/mとなる。
(ハ)Zismanの式
液体として、下記の表面張力を有する無極性(ファンデルワールス)アルカンを用い、上記磁気ディスクにおける固体表面との接触角を求めた。
表面張力(mN/m) 接触角[θ](度)
ペンタン 18.25 37.7
ヘキサン 20.4 40.1
オクタン 21.8 52.8
デカン 23.9 59.6
ドデカン 25.4 66.3
テトラデカン 26.7 66.5
ヘキサデカン 27.6 73.0
接触角のcosθを各液体の表面張力に対してプロットして、直線近似して、近似式y=−0.0546x+1.8173(R=0.9641、y:cosθ、x:液体の表面張力)を得た。この近似式において、cosθが1となる表面張力を臨界表面張力(γc)とした。このγcは14.96mN/mであった。
なお、接触角は以下の方法により測定した。
磁気ディスク10の表面に上記液体を1μl滴下し、滴下10秒後に接触角を測定した。2回測定を行い、この平均値を接触角とした。
(2)フライスティクション試験
同様の磁気ディスク10を100枚製作し、浮上量が10nmの磁気ヘッドで、これら100の磁気ディスクの全面グライド検査を行った。フライスティクション障害が発生すると、磁気ヘッドに設置されたPZTセンサ(ピエゾ素子)でモニタしているグライド信号が磁気ディスクの全トラックで突然発散するので、オシロスコープによる観察でその発生を判別できる。また、フライスティクションが発生した場合、検査の合格率が激減するので、フライステクションの発生傾向は、検査合格率によって分かる。
なお、フライスティクション試験の合格率(歩留まり)は、高ければ高い程、低コストとなるので望ましいが、90%以上であれば問題とされない。フライスティクション試験通過率が80%の場合、コストの上昇はあるが、許容範囲内である。 フライスティクション試験の結果を表1に示す。
(3)LUL耐久性試験
LUL耐久性試験は、5400rpmで回転する2.5インチ型HDDと、浮上量が10nmの磁気ヘッドを用いて行なった。なお、磁気ヘッドのスライダーはNPAB(負圧型)スライダーを用い、再生素子はGMR型素子を用いた。磁気ディスク10をこのHDDに搭載し、前述の磁気ヘッドによりLUL動作を連続して行なう。HDDが故障することなく耐久したLUL回数を測定することにより、LUL耐久性を評価した。LUL耐久性試験の結果を表1に示す。
比較例1
実施例1における磁気ディスクの作製において、HFE(ハイドロフルオロエーテル)で表面処理しなかったこと以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
実施例2〜4
実施例1における磁気ディスクの作製において、HFE(ハイドロフルオロエーテル)による処理時間を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様に実施した。その結果を表1に示す。
Figure 2009123329
本発明の磁気ディスクは、例えば10nm、あるいはそれ以下の浮上量で磁気ヘッドが浮上走行した場合であっても、フライスティクション障害や腐食障害などを防止することができ、故障が抑制され、安全性に優れたものであり、特にLUL方式のHDDに好適に用いられる。

Claims (4)

  1. 基板上に磁性層、保護層、潤滑層がこの順で成膜された磁気ディスクであって、
    拡張Fowkesの式により求められる前記磁気ディスク表面の表面自由エネルギーγSが0を超え24mN/m以下であり、かつ前記表面自由エネルギーγSを構成する、γSd(表面自由エネルギーの分散力成分)が0を超え17mN/m以下、γSp(表面自由エネルギーの双極子成分)が0を超え1mN/m以下、γSh(表面自由エネルギーの水素結合力成分)が0を超え6mN/m以下であることを特徴とする磁気ディスク。
  2. 基板上に磁性層、保護層、潤滑層がこの順で成膜された磁気ディスクであって、
    Van−Ossの式により求められる前記磁気ディスク表面の表面自由エネルギーγSが0を超え22mN/m以下であり、かつ前記表面自由エネルギーγSを構成する、γSLWが0を超え17mN/m以下、γSが0を超え6mN/m以下、γSが0を超え1mN/m以下であることを特徴とする磁気ディスク。
  3. 基板上に磁性層、保護層、潤滑層がこの順で成膜された磁気ディスクであって、
    Zismanの式により求められる前記磁気ディスク表面の臨界表面張力γcが0を超え17mN/m以下であることを特徴とする磁気ディスク。
  4. さらに、Zismanの式により求められる磁気ディスク表面の臨界表面張力γcが0を超え17mN/m以下である請求項1または2に記載の磁気ディスク。
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