JP2009123312A - 対物レンズ - Google Patents
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Abstract
【課題】補償すべき位相差量を小さく抑えるとともに、電極の幅が細かくなりすぎることを防ぎ、電極の引き出し線の領域面積を小さくしたBD/HD互換レンズを実現する。
【解決手段】HDに必要な開口数(NA)の範囲において、BDとHDの基板厚の中間の非球面形状を持ち、BD専用のNA範囲においてはBD専用の非球面形状を持つ複合非球面レンズにより、BD再生時とHD再生時のHDの必要NA範囲の収差波面形状を同じ形状で符号が反転しただけの形状とする。さらにHDのNA範囲において、その収差波面の最大傾きが最小となるようなデフォーカスを与えた球面収差波面に対応して輪帯状透明電極パターンを最適化する。印加する位相差は、収差の整数波長分を無視した±1/2波長以内とし、同じ電圧を印加する輪帯状電極を、有効光束径範囲の内側から外側に一筆書き状に結線させながら配線を引き出す。
【選択図】図1
【解決手段】HDに必要な開口数(NA)の範囲において、BDとHDの基板厚の中間の非球面形状を持ち、BD専用のNA範囲においてはBD専用の非球面形状を持つ複合非球面レンズにより、BD再生時とHD再生時のHDの必要NA範囲の収差波面形状を同じ形状で符号が反転しただけの形状とする。さらにHDのNA範囲において、その収差波面の最大傾きが最小となるようなデフォーカスを与えた球面収差波面に対応して輪帯状透明電極パターンを最適化する。印加する位相差は、収差の整数波長分を無視した±1/2波長以内とし、同じ電圧を印加する輪帯状電極を、有効光束径範囲の内側から外側に一筆書き状に結線させながら配線を引き出す。
【選択図】図1
Description
本発明は光ディスクピックアップ用対物レンズに関し、特に1つの波長で基板厚や記録密度の異なる2種類の規格の光ディスクを再生することができる互換対物レンズに関するものである。
再生専用の音楽やビデオのコンテンツ配布を主たるアプリケーションとして始まったCDやDVDなどの光ディスクが、ダビングやビデオレコーディングなどの記録可能メディアとしても今日、幅広く普及している。さらに2011年の地上波アナログテレビ放送のデジタル化全面移行を控え、大画面の薄型ディスプレイの普及も加速してきており、ハイビジョン動画記録のニーズが高まっている。これを受け、Blu-ray Disc(以下BD)やHD DVD(以下HD)などの大容量光ディスクも記録型媒体が発売されるとともに、リリースされる再生用ビデオコンテンツも増えてきている。
BDは、波長405nmの青紫色半導体レーザを、開口数(NA)0.85の対物レンズで集光して信号再生を行う光ディスク媒体である。DVDと比べて波長が650nmより約0.6倍に短く、NAが0.6より1.4倍大きくなっていることから記録容量が1層あたり25GBと、DVDの約5倍に大容量化されている。一方で、NAが増大してもディスク傾きによって発生する収差の増大を抑えるため、ほこりや汚れの付着の影響を防ぐ透明基板の厚さがDVDの0.6mmから0.1mmまで薄くなっている。
一方でBDは、記録密度が非常に高い上に光が入射する側の透明基板の厚さが非常に薄いことから、DVDと異なる製造プロセス、製造装置が必要となる。このため設備投資を含めた媒体メーカーの製造コスト増大の問題が早くから指摘されており、基本的にDVDと同じ製造装置で製造できることを条件としてBD規格と並存する形でHDの規格が作成され、基本的に互換性のない2種類の媒体がほぼ時を同じくして開発、発売されることになった。HDは、BDと同じ405nmの青紫色半導体レーザを用いるが、NA0.65の対物レンズをDVDと同じ0.6mmの基板越しに記録膜に集光し、記録容量は1層あたり15GBである。
これら2種類の媒体の並存による市場の混乱を防ぐため、BDとHDにともに対応する光ディスク装置の開発もインターネットなどで発表されている。ここではBD専用レンズとHDレンズを2つ、レンズアクチュエータに搭載する構成となっている。このような構成の従来例は、たとえば特許文献1に述べられている。これは、DVDとCDの互換再生に関するものであり、赤色半導体レーザからの光を、回動型の2レンズアクチュエータに搭載したDVD専用レンズとCD専用レンズの切り替えにより、DVD再生とCD再生に対応するものである。
今日、DVD再生用光ピックアップでは赤色半導体レーザと波長780nmの赤外半導体レーザの両方が搭載され、CD再生には赤外半導体レーザが用いられている。これは赤色の波長では著しく反射率が低下し、赤外光でなければ再生ができないという性質をもったCD−Rディスクの再生が前提となっているためである。したがって現在のDVDピックアップでは、基本的にDVDとCDで再生する波長が異なることを利用した互換再生方式が用いられているが、DVDの開発当初はまだCD−R再生が必須とされていなかったため、赤色波長1色によるDVDとCDの互換再生方式が検討されたのである。したがって本発明で解決すべき青色1波長の光源によるBDとHDの互換再生は、DVD開発当初に検討された1波長の互換再生方式が応用できる可能性があるのである。
そのようなもう1つの従来例が、たとえば特許文献2に述べられている。ここではDVDとCDの互換再生のために赤色半導体レーザからの光の一部を0次光として透過させ、一部を1次回折光として回折させるホログラム素子を対物レンズに一体とし、ホログラムを除いたレンズはDVDに最適化された形状として、0次光をDVDで集光できるようにし、回折光はCDに対してDVDとの基板厚差によって生じる球面収差を補償するようなホログラムの格子パターンとしている。これによって1つの波長で基板厚とNAの異なる2種類の光ディスクの再生互換を実現している。
また特許文献3には、赤色半導体レーザからの光をコリメータレンズで略平行光として対物レンズに入射させるときに、レーザとコリメータレンズとの間隔をCDとDVDの場合で可変とさせ、対物レンズに入射させる光の発散度合いを変化させることで、基板厚の違いによる球面収差を補償することが述べられている。特許文献4には、レンズの中心の光軸付近のCDで必要なNAの範囲のレンズ面形状をDVDとCDの中間の基板厚で最適化し、周辺部ではDVD専用の面形状で最適化したレンズを用いる方法が述べられている。さらに球面収差の補償については、液晶素子を用いることが、たとえば特許文献5に示されている。ここでは必ずしも2種類の光ディスクの基板厚差によって生じる球面収差を補償することに限定されているわけではないが、液晶を用いた一般的な球面収差の補償の方法が述べられている。
上記従来技術は、いずれもBD/HD互換に用いる上で必ずしも十分とはいえない。特許文献1をBD/HD互換に適用しようとすると、BD/HDそれぞれの専用の対物レンズを切り替えて用いることになるため、光学的な性能としては理想的である。しかし2つのレンズをアクチュエータに搭載すると、可動部の重量が重くなり、オートフォーカスやトラッキングの追随性能が十分でなくなり、転送速度の高速化において課題が残る。またトラッキング動作とレンズ切り替えの回動動作を兼用させるアクチュエータの場合、トラッキングに伴うレンズ移動の軌跡が円弧状になるため、回折素子などを用いて光検出器に光を分割して集光する場合などに検出器上の集光スポットの位置ずれなどを引き起こす。さらにサイズが大きくなり、スリム型ドライブなどに必要な小型化に適用するのが困難となる。
特許文献2をBD/HD互換に適用しようとすると、ホログラム素子の利用により、光学的にはBD/HDいずれのディスクに対しても理想的な波面精度を実現することが可能である。しかしながら常時BD用の集光スポットとHD用の集光スポットが発生し、いずれのディスクを再生する場合にも、再生していないディスクのための集光スポットが不要な迷光として存在することになる。このような光は、たとえば2層ディスクを再生する場合などに、さらにたくさんの迷光を発生させる要因となり、予期しない干渉効果などによって再生信号に外乱が混入する可能性がある。さらにBD再生時のHD用スポット光量、HD再生時のBD用スポット光量がそれぞれ損失となるため、光の利用効率が低減するという問題点もある。
特許文献3をBD/HD互換に適用しようとすると、コリメータレンズを可動させて、BDを再生する場合とHDを再生する場合で、対物レンズに入射する光の発散度合いを変化させることにより球面収差を補償する。その光学設計を十分精密に行えば、光学的には理想的な波面収差を実現できる。しかしBDとHDはDVDとCDに比べてNAが大きいため、補償すべき球面収差はNAの4乗に比例して大きい。このような球面収差を補償している状態で、対物レンズがトラッキング動作のためコリメータレンズの光軸から相対的に移動すると、それに伴うコマ収差の発生が無視できなくなる。
特許文献4をBD/HD互換に適用しようとすると、HD再生のNA範囲の非球面形状をBD専用レンズとHD専用レンズとの折衷的な形状とする必要がある。この場合、もともとBDもHDも青紫色波長において再生する光ディスクであるため、780nmで再生していたCDを650nmで再生することによってCD再生の必要NAを0.45より低く抑えることができたDVD/CD互換の場合より、互換をとるべき2つの光ディスクの必要NA比が大きく、残留収差が大きくなるという問題点がある。
BD/HD互換において特許文献5のように液晶素子を用いる場合、特許文献1において問題となった小型化には効果がある。またアクティブにBDとHDの波面を補正するため、特許文献2において問題となった迷光の問題も解決できる。さらに液晶素子を対物レンズと一体に構成することを前提と考えれば、特許文献3において問題となる、レンズシフトで発生するコマ収差の影響も解決できる。特許文献4の問題も基本的にアクティブに収差補正が行われることにより解消される。しかし液晶を用いてBD/HD互換を行う場合、補償すべき収差量が非常に大きいため、十分な収差性能を得るためには電極を非常に細かくするとともに、変化させる位相差を非常に大きくする必要がある。輪帯状の透明電極が細かくなると、そこから配線の引き出しの本数が多くなり、有効光束径の範囲内での、位相差発生に寄与できない領域が大きくなるという問題点がある。またあまり透明電極の幅が細くなると、製造が困難となる上、十分な電圧印加特性が得られなくなることも懸念される。さらに印加する位相差を大きくするために液晶層の厚さを大きくすると、応答性が遅くなるとともに、消費電力も増大するという問題がある。
以上の問題点に鑑み、本発明が解決すべき課題は、液晶素子などを対物レンズと一体として構成してBD/HD互換を実現するに際して、補償すべき位相差量を可能な限り小さく抑えるとともに、電極の幅が細かくなりすぎることを防ぎ、電極の引き出し線の領域面積を可能な限り小さくすることである。
上記課題を解決するために、本発明においては、上記特許文献4に示された、必要なNAの小さく基板厚が厚いディスクの基板厚と、必要なNAの大きく基板厚の薄いディスクの基板厚との中間の基板厚に対して上記小さいNAの範囲において球面収差が補償された非球面形状を有し、その外側かつ上記大きいNAの範囲において上記薄い基板厚に対して球面収差が補償された非球面形状を有する対物レンズを用いる。そしてさらにそこに、nはn≧2を満たす自然数、mは|m|≦n/2を満たす整数とするとき、m/n波長で与えられる位相差を与える輪帯領域を有し、位相差の符号を2種類の光ディスクを再生する場合で、実質的に反転させる手段を具備させる。
上記のような非球面形状の一様でないレンズに、位相シフタを具備させるレンズは、たとえば特開平10−255305号公報に開示されている。しかしこの従来例においては、2種類の光ディスクを再生する半導体レーザの波長が異なることを前提にすることによってそれぞれの光ディスクを再生する時の位相差を異ならせていたのに対して、本発明においては1つの半導体レーザの波長に対して2つの光ディスクを再生する場合に用いるものである。したがって基本的には位相差をアクティブに変化させることを前提とするが、そのとき位相差の絶対値をほぼ同じくし、符号のみ反転させるようにする。このようにすることによって、単一の液晶素子の電極パターンによって、2種類のディスクの球面収差を±1/2波長以内の位相シフトによって、補償することが可能となる。
また、本発明の一態様では、上記nの値を特に2とする。これによって位相シフトは、±1/2波長に限定される。位相シフトは波動性のある光波の位相を変化させることであるが、強度分布の変化を伴わない場合、1波長(一般には可干渉距離以内の整数波長)の位相シフトは実質的に何も変化を与えないのと等価な性質がある。したがって、たとえば2種類の光ディスクの一方に対して+1/2波長の位相シフトを与えることによって収差を低減できている場合に、これは−1/2波長の位相シフトと考えても実質的に等価である。なぜなら+1/2−(−1/2)=1となり、+1/2波長の位相シフトと−1/2波長の位相シフトの、位相シフト量の差が1波長であるからである。請求項1に述べたような2種類の基板厚の中間の基板厚で球面収差が補償される非球面形状のレンズによって、それぞれの基板厚の光ディスクを再生する場合に、発生する球面収差は、絶対値が等しく符号の異なる球面収差となる。したがってこのような符号の異なる収差に対しては+1/2波長の位相シフトでも−1/2波長の位相シフトでも実質的に等価となる1/2波長の位相シフタはともに有効なのである。この場合、請求項1に述べた2種類の光ディスクに対する位相差の符号の反転機能は液晶素子のようなアクティブ素子を必要としないという特徴がある。ただし効果はあるものの、BD/HD互換に対してはこれだけではその効果は不十分であり、これに加えて±1/2波長未満の位相シフトの併用も必要となる。
また、本発明の一態様では、位相シフトを液晶素子によって生じせしめる。これによって上述のように位相シフト量が±1/2波長に限定されることなく、より細かい位相段差をそれぞれの光ディスクで異なる値で与えることができ、収差補正の効果をより高めることができる。
本発明の他の態様では、+1/2波長の位相シフトと−1/2波長の位相シフトを生じる段差形状又は分布屈折率素子と液晶素子とを組み合わせて位相シフトを発生させることによって、液晶素子で印加する位相シフト量を小さくすることができる。段差形状又は分布屈折率素子によっては、位相シフト量が±1/2波長に限定されたが、アクティブな位相シフトとの併用により、位相シフトの範囲を±1/2未満の細かい位相シフト段差を実現できると同時に、アクティブな位相シフト量を±1/4波長未満の範囲に低減することが可能となる。なぜなら、たとえば1/4波長以上1/2波長未満の3/8波長のような位相差は、パッシブな1/2波長の位相シフトとの併用により、1/2−1/4=3/8のように、−1/4波長のアクティブな位相シフトによって実現が可能となるからである。液晶素子による位相シフトの電圧範囲を狭くできると、印加する信号電圧本数を減らすことができ、対物レンズをレンズアクチュエータに搭載する場合の配線数削減の効果がある。
本発明の他の態様では、液晶素子の透明電極を輪帯状に複数形成させるとともに、NAの小さいスポットで再生するディスクの必要NA範囲の80%以上100%以内の半径位置に、中心及びこのNA範囲外の電極を除いて、最も幅の広い輪帯があるようにさせる。球面収差を含む波面収差形状は、一般に対物レンズの有効光束の半径を1で規格化した動径半径座標ρを用いてW(ρ)=W40ρ4+W20ρ2で表される。ここでW40、W20はそれぞれ球面収差と、デフォーカス量を表すザイデルの収差係数である。デフォーカス量は光ディスクに集光するスポットの焦点位置を変えることで変化するので、実際上はフォーカスサーボのオフセットを可変させることで制御することができる。
このような波面収差を液晶素子などによって位相シフトを与えて補償するには、基本的には光軸に対して同心円状に区分された各輪帯領域に異なる位相差を与えて、必要なPeak to Peak値(以下P−P値)Wlimitの範囲内に収差を折りたためばよい。このとき、波面の傾きが大きいほど収差をWlimitの範囲内に折りたたむのに必要な透明電極の幅が狭くなる。電極の幅が狭くなると、電極が作製しにくくなるとともに電極からの漏れ電界によって必要な所望の位相分布からの誤差が発生しやすくなる。そこで、上記の電極幅をできるだけ広くするデフォーカス量を考えると、W(ρ)のρによる1次微分の絶対値の最大値が最小となるようにすればよい。後で示すように、このようになるとき、波面形状は開口の80%以上、100%以内の半径位置に極値がある形となる。補正波面収差に極値がある位置における透明電極の幅が、最も広くなるので、その結果、中心部及びHDの開口数より外の電極を除けば開口の80%以上100%以内の半径位置の電極が最も幅が広くなる。
通常は、収差の補正量をなるべく小さくするために、全体のRMS(Root Mean Square)値が最小となるデフォーカス位置とするが、このときρ=√2/2≒0.7であり、開口の約70%の位置である。したがってこの位置よりも外周寄りの半径位置で波面がピーク位置となるようなデフォーカス状態で波面収差を補正する方が、同じ波面収差P−P値に対する輪帯の最小幅を広くすることができる。さらにこのようにすると液晶素子とレンズ部がずれた場合のコマ収差の発生を最小限に抑えることができる。なぜなら補償される波面と補償する位相差の軸ずれに対する残留収差は、補償される波面の1次微分と軸ずれの積に比例するからである。すなわち波面の1次微分を最小とする波面形状であれば、軸ずれに対する残留収差発生の感度を低く抑えることができる。
輪帯状の透明電極に光束の外部から電圧を印加するために、同じく液晶素子上の透明電極によって光束内に配線される配線領域をなるべく小さくしたい。そのため、本発明の一態様では、同じ電圧を印加する複数の輪帯状電極への配線を共通化する配置としている。すなわち透明電極を輪帯状に複数形成するとともに、同じ電圧を印加すべき近接した内側の第1及び外側の第2の輪帯状電極とを略半径方向に直線的に結節する第1の結節電極を、前記第1及び第2の輪帯状電極の間にあって第1、第2の輪帯状電極とは異なる電圧を印加すべき第3の輪帯状電極に設けた欠損部を通して配線し、該第3の輪帯電極と近接し同じ電圧を印加する、第2の輪帯状電極の外側の第4の輪帯電極とを結節する第2の結節電極を、第2の輪帯状電極に設けた欠損部を通して第1の結節電極に略平行に隣接して配置し、以下同様にして同じ電圧を印加する複数の輪帯状電極を結節しながら、光を透過させる領域の外側に配線を引き出すように液晶素子内の透明電極を配置するのである。このようにすると、言わば同じ電圧を印加する各輪帯状電極を一筆書きのように配線することになるので、最終的に引き出される電極本数は、印加する電圧数だけの本数となる。
本発明により、液晶素子などを対物レンズと一体として構成してBD/HD互換を実現するに際して、補償すべき位相差量を可能な限り小さく抑えるとともに、電極の幅が細かくなりすぎることを防ぎ、電極の引き出し線の領域面積を可能な限り小さくすることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図を用いて説明する。
図1に、本発明による対物レンズの基本的な実施形態を示す。本発明に基づく対物レンズ109に青色レーザの平行光107,108を入射し、図1(a)はBD103に、図1(b)はHD106に集光している。対物レンズ109は、非球面レンズ101と液晶素子102によって構成されている。非球面レンズ101は、BD/HD共通領域104においては基板厚0.35mmに最適化された非球面レンズ形状であり、BD専用領域105では基板厚0.1mmに最適化された非球面レンズ形状となっている。ここで非球面レンズ101はBD/HD共通領域104とBD専用領域105で共通の第2面の非球面と、各領域において異なる非球面形状となっている第1面により構成されている。基板厚はBDでは0.1mm、HDでは0.6mmである。
したがって液晶素子102が駆動されていない場合には、BD103に集光するときには、BD専用領域105の光線107は収差なく集光されるが、共通領域104の光線108には基板厚誤差0.1−0.35=−0.25mmに相当する球面収差が発生する。また同様にして、HD106に集光するときには、BD専用領域105の光線107は基板厚誤差0.6−0.1=0.5mm、共通領域104の光線108は基板厚誤差0.6−0.35=0.25mmに相当する球面収差が発生する。しかしここでは液晶素子102に適当な電圧を印加することにより、共通領域の光線108の収差がともに良好に補償されている。HD再生時のBD専用領域の光線は基板厚誤差0.5mmという大きな球面収差が発生しており、集光スポットの周辺に拡散することによって信号再生に影響しない。
図2は、上記の非球面レンズ101を用いてBDを再生する時のNA0.65範囲の波面収差を示す図である。横軸は有効光束内の規格化動径半径、縦軸が収差である。複数のプロット線は凡例に示すようにディスク上のデフォーカスを変えた場合の波面収差プロファイルを示している。ここで、上記の非球面レンズ101を用いて、HDを再生する場合のHDのNA範囲の波面収差は、非球面レンズ101のこの範囲の対応基板厚がBDとHDの中間となっていることから、BDで発生するHDのNA範囲の球面収差と符号が反転するだけで、同じ収差形状となる。
これらのような波面収差を、輪帯状の透明電極を有する液晶素子により一定のP−P値になるように補償する場合には、波面の傾斜が大きいほど、電極の幅が狭くなる。したがってあまり電極幅が狭くなりすぎないようにするには、なるべく波面の傾斜が小さい波面形状であることが望ましい。収差論において3次球面収差に対して最良像点を与えるデフォーカスは、開口の最外周において波面収差値が軸上と等しくなる形状となることから、図に示した波面収差形状においては、デフォーカス−0.0125mmの場合に近い。この場合、必要とされる収差の補正量は図に示す中で最も小さいが、最外周の規格化動径半径1の付近での傾斜が大きい。他の波面形状を含めて比較する中で、波面の最大傾きが最も小さくなるのはデフォーカス−0.02mm近傍となっている。このとき規格化半径1における波面傾斜と、規格化半径0.8以下での最大波面傾斜がほぼ等しくなっている。したがって、このような波面に対して収差補償を行った方が、収差補正量は大きいものの、最短電極幅は最も広くできるのである。
図3に、これを数値的に表にして示す。ここでは図2の波面を含む複数のデフォーカス波面に対して、波面の傾きの最大値と、その波面傾きにおいてP−P値0.1λとなる輪帯幅(規格化最短電極幅)、そのときの輪帯の分割数、波面収差が極値をとる規格化動径半径位置(波面収差極値半径位置)、HDの必要NA範囲の補償後のHDとBDそれぞれのRMS波面収差を表にして示している(ただし以下、λは光の波長とする)。波面傾きは半径あたりの位相変化量を波長単位で、規格化最短電極幅は動径半径で規格化した輪帯幅である。
この結果から、最も最短電極幅の広いのは、図2で説明した通り、デフォーカス−0.02mmの波面であり、この時の補償後のRMS波面収差はBDで約0.021λ、HDで約0.028λにできることがわかる。このとき波面収差極値半径位置は約0.9であり、ほぼ0.8と1.0の中間、すなわち小さいNAで再生するディスクの必要な再生NA範囲の80%から100%の範囲内に極値があることを示している。また表には波面収差極値半径位置が0.8及び1.0となるDefocus状態、すなわちDefocusが−0.01524mm、−0.02646mmの場合も追記している。このDefocusの範囲においては、いずれも補正前にほぼ最良像点を与えるDefocus位置−0.0125mmにおいて補正する場合よりも、規格化最短電極幅が広くなっていることがわかる。したがって、このような範囲に極値があるような球面収差の波面に対して収差を補正するような電極配置であれば、その電極幅をなるべく広く確保することが可能となり、収差の補正量が大きいBD/HD互換の目的に対して液晶素子を適用することが可能となる。
波面収差極値半径位置が0.8(Defocus-0.01524mm)から1.0(Defocus-0.02646mm)の範囲にあれば、図3の表における規格化最短電極幅が約0.008以上となり最良像点位置(Defocus-0.0125mm)における規格化電極幅0.006257の約1.3倍とすることができ、製造上顕著な歩留まり改善が期待できる。たとえば対物レンズの有効光束径3mmφとすれば、規格化電極幅0.006257の電極幅は約9μmとなるのに対して、規格化電極幅0.008の電極幅は12μmにもなる。製造上この効果は非常に大きく、この範囲であれば量産に耐える歩留まりが期待できる。
図4にRMS波面収差が最小となる、最良像点(デフォーカス−0.0125mm)における球面収差波面に対して、波面収差P−P値が0.1λとなるように輪帯状の電極パターンを有する液晶素子により収差を補償する場合の、(a)補正前波面、(b)液晶補正位相差、(c)補正後波面を示す。図5は同様にして、本発明の電極配置による液晶素子を用いて、HD再生のNAの80%以上100%以内の範囲に波面の極値が生じるようなデフォーカスを与えた収差波面の補償を行う場合の結果である。ここで(a)はHDのNAの範囲、(b)(c)はBDのNA範囲を示している。また図4、図5ともBD再生の場合であるが、HD再生時のHDのNA範囲の収差は前に述べたように、これらに対して符号が反転するだけであるので、以下の説明はHD再生時に対しても成り立つ。
ここで図4と図5を比較すると、図5の場合の方が電極数が増えて液晶補正位相差の段数が増えているものの、1段の最短幅は広くなっていることがわかる。またここでは、液晶で印加する位相差は補正すべき波面のP−P値が1λを超える場合でも±0.5λ以内となるように整数の位相差を除去して補正すべき位相差を決めている。これは、整数波長の位相差は、その位相差がレーザ光の可干渉距離以内であれば、その位相差がないのと等価であるためである。そのように整数波長の位相差を除去して印加する位相差を決めると、同じ電圧を共通に与える領域ができることから、印加する位相差のダイナミックレンジを狭くでき、印加する電圧数を少なくすることができる。また図4(b)では規格化動径半径(Radius)0.55、図5(b)では0.65の位置に中心を除いて最も幅の広い電極があることがわかる。ここで図示している横軸はBDのNA範囲における規格化動径半径であるので、HDのNA範囲の動径半径としてはNA比(0.85/0.65)で割ると、この位置は図4(b)では0.72、図5(b)では0.85となってHDの必要NAの80%以上100%以内の半径位置にあることがわかる。
本発明においては、電極最短幅を広くする代わりに、図3に示したように電極数は増大する。このような多数の電極を、特許文献5に示した従来例のように1本ずつ有効光束径の範囲から引き出すようなことをすると、引き出し配線の領域が大きくなり、収差の補正性能が低下することが懸念される。そこで、本発明においては、図6の模式図に示すように、同じ電圧を印加する領域を接続しながら異なる電圧を印加する電極と重なりあうことのないように引き出す形とした。図6(a)は5本の異なる電圧を印加する電極を並べて配置した場合の模式図であり、図6(b)はその1本を抜き出して示した模式図である。ただしここでは電極の幅や間隔は実際のものを反映していない。このようにすることによって、5種類の電圧であれば5本の配線だけを引き出すことができるようになり、電極引き出し領域による無効領域を最小限に抑えることができる。ただし、用いる透明電極の電気抵抗が配線の長さに比べて大きい場合は、配線の長さによる電圧降下を考慮して、電極の配置を補正すればよい。
また以上の実施形態において、用いる液晶素子としては図7,8,9に示すような形態のものを用いればよい。図7は液晶素子の断面図、図8は斜視図、図9は構成する基板の分解図である。液晶素子は基本的にガラス基板701,702,703の3枚の基板によって構成され、液晶704,705をそれらの間隙に相互に直交する方向に配向させて封入されている。液晶に面した基板面には透明電極706,707,708,709がそれぞれパターニングされている。ガラス基板701,702の電極706,709は異方性導電性接着剤714,715により中央のガラス基板703上の電極に導通され、すべての電極配線は最終的にガラス基板703の両面の図示しない端子部からフレキシブルプラスチックケーブルなどを通じて外部に配線される。710,711,712,713は液晶素子を封入している封止材である。
図8,9において電極パターンは簡単のため概略図のみを示しているが、実際上は図5(b)に示した電圧分布を与えられる輪帯状の電極パターンが図6のような配置の引き出し線とともに、電極706又は707の一方、及び電極708,709の一方にパターニングされている。それぞれ他方はバイアス電圧を与える一様な単一の電極構造か、又はBD/HD互換のために補正する球面収差とは異なる収差を補正するための電極として用いることができる。ただし2枚の電極は以下に示す理由により同じパターンであることが望ましい。液晶層が2層あるのは、通常、液晶によって収差が補正されるのは予め決められた一方向の直線偏光成分のみとなるためである。
光ディスクのピックアップにおいては半導体レーザから対物レンズへの光路中に、ディスクからの反射光を光検出器に導くためのビームスプリッタを配置する必要があるが、記録用のピックアップでは特にこれを偏光ビームスプリッタとし、合わせて偏光ビームスプリッタと対物レンズの間の光路に1/4波長板を配置する。これによって半導体レーザからの光をほぼ100%近い効率で偏光ビームスプリッタを透過させるとともに、ディスクからの反射光をほぼ100%近い効率で偏光ビームスプリッタを反射させることにより、無偏光のビームスプリッタを用いる場合より光利用効率を高くすることができる。
このような光学系においては、偏光ビームスプリッタから1/4波長板までの光路では往路と復路で直線偏光の偏光方向が直交することになるため、ここに液晶素子を配置すると往路にしか収差補償を作用させられないことになる。これは復路に作用させるのではディスク上のスポットが収差で劣化するため、往路か復路かいずれかのみに作用させるならば往路に作用させなければ液晶の意味がないためである。しかし復路で作用しないことになると、光ディスクの記録膜で反射してから再び対物レンズを透過して戻る過程において生じる球面収差がまったく補正されないまま、検出系に光が戻ることになる。これは焦点ずれ信号やトラッキング信号などの劣化を招き、安定なサーボ制御の障害となる可能性がある。特にBD/HD互換においては収差の補正量が、単なる基板厚誤差補償などと比べて大きいため、その影響が深刻となる。そこで、ここでは往路に加えて復路でも収差の補償を行うため、液晶層を2層にして相互に直交する方向にラビング処理により配向させて、両方の直線偏光成分の収差補償を行う。そのため、それぞれの液晶を挟む2つの電極パターンは、他方の液晶を挟む電極パターンと同一かつ位置ずれがないように配置される必要がある。
BD、HDともに2層ディスクの規格があり、これらの再生を行う上ではBD/HD互換の球面収差補正パターン以外の収差補正パターンとしては、通常の球面収差パターンとするのが妥当である。2層間の収差補正であれば、たとえばBDの場合、層間隔25μmであるから、球面収差量は約0.8λp−p程度である。したがって本発明のような細かい電極構造でない従来の電極パターンのままでもさしつかえない。
また上記で述べたように、2層の液晶素子を用いる場合には、ピックアップ光学系の偏光ビームスプリッタから対物レンズまでの間に1/4波長板を挿入することが必須となる。1/4波長板の位置が液晶素子に対して対物レンズ側になるか、偏光ビームスプリッタ側になるかは原理的にはどちらでも同じであるが、2つの液晶素子に作用する透明電極の相対的な位置ずれがある場合を考慮すると、液晶素子を透過するときに光が直線偏光となるように、1/4波長板は対物レンズ側に挿入するようにした方がよい。このときは図7のガラス基板701又は702のうち、対物レンズ側になる方を1/4波長板とすればよい。1/4波長板を波長以下の周期構造による構造異方性を用いたものを用いれば、ガラス基板上の誘電体格子のパターニングで実用できる。
また図9において電極707’,708’は、ガラス基板703にそれぞれ対向するガラス基板701,702の表面の電極706,709から図示しない異方性導電性接着剤を介してガラス基板703に導通させる電極端子である。なお、これらの電極は、実際上は本発明の収差補償を行うための複数の電極配線を代表して簡略化した模式図である。
図10に、本発明による対物レンズの第2の実施例を示す。図10は図1に対応して、(a)がBD、(b)がHDを再生している状態を示している。ここでは非球面レンズに、輪帯状の溝のついた非球面レンズ1001を用いている。この溝は、溝の外を透過する光に対して、溝の中を透過する光の位相差を波長の1/2だけ進める機能を有するような深さにしてある。具体的にはレンズ材料の屈折率をnとするとき、λ/{2(n−1)}で与えられる深さとすればよい。
このようにすることによる効果を、図11を用いて説明する。すでに述べたように本発明においては、非球面レンズのHD再生の必要NAの範囲において、BDとHDの基板厚の中間の基板厚において球面収差が補償されるような非球面形状としている。このため図示するように、図6(a)のBD再生時の波面収差と、図6(b)のHD再生時の波面収差は、HDの必要NA範囲において収差の波面形状が等しく符号のみが反転した波面収差となる。このとき、整数波長の位相ずれは、半導体レーザ光源の可干渉距離の範囲内において、存在しないのと等価であるため、元の波面からBD/HDそれぞれ黒の矢印で示すように収差をシフトして考えることができる。さらにそこで収差が0.5λ以上の範囲において、段差形状を用いてBDの収差を白抜きの矢印で示すように0.5λシフトさせるとすると、同じ波長で再生するHDも同様にしてこの段差形状により0.5λシフトすることになる。
ここでBDと同様にシフトの方向を図中マイナス方向と考えた場合、そのままでは収差が増大する方向であるかのようでありながら、上記の「整数波長の位相シフトは存在しないのと同じ」という論理を適用して、マイナス0.5λと同時にプラス1λのシフトを与えるのと等価と考えられるので、結局プラス0.5λの位相シフトと等価になるのである。このため、HDにおいても白抜き矢印の方向に収差波面がシフトし、0.5λの位相シフトによりBDでもHDでも波面収差を0.5λp−pの範囲に低減することが可能となるのである。もちろんこのままではBD/HD互換のための収差補正としては不十分であるので、図10に示したように、これに加えて液晶素子により収差補正を行うのである。
図12に、本実施例による位相シフト量分布を示す。ここでは図5(a)に示したHD必要NA範囲の収差波面を補正する場合を示している。図12(a)が段差形状による位相シフトであり、これに加えて液晶で印加する位相シフトを図12(b)に示す。図5(b)と比較すると、電極の幅は変わらないものの、液晶で印加すべき電圧のレベル数は5レベルとなり、図5(b)の10レベルの半分となることがわかる。これによる補正後の波面は図5(c)と同じである。これにより液晶への印加電圧レベル数を減らすことができ、液晶素子への配線数が少なくなるととともに、液晶素子の光が入射する領域からの配線の引き出し本数が減り、引き出し電極領域の面積も少なくなり、収差低減の効果も高くできる。このような位相段差は必ずしもレンズ表面の溝でなくてもよく、液晶素子の基板ガラスの表面に誘電体材料を蒸着、又はスパッタリングすることなどによっても等価な効果を生じさせることができる。
また図12(b)ではBD再生時の液晶による位相シフト量を示したが、HD再生時にはこれと同じ波形で符号を反転させた位相シフトを与えればよいことは言うまでもない。また中心を除いて最も幅の広い輪帯電極の位置は、図5(b)と同様にBDのNA範囲における規格化動径半径において約0.65、すなわちHDのNA範囲において85%の位置にある。
本発明によれば、BD/HD互換レンズが提供可能となり、大容量光ディスクの規格が2つに分裂したことによる市場の混乱をなくし、消費者の懸念を払拭して、ハイビジョンビデオ市場を活性化することができる。
101…非球面レンズ、102…液晶素子、103…BD、104…BD/HD共通領域、105…BD専用領域、106…HD、107,108…平行光、109…対物レンズ、701,702,703…ガラス基板、704,705…液晶、706,707,707’,708,708’,709…透明電極、710,711,712,713…封止材、714,715…異方性導電性接着剤、1001…輪帯状溝つき非球面レンズ、1002…液晶素子
Claims (6)
- 半導体レーザからの光を、第1の記録密度と第1の基板厚を有する第1の光ディスクと、前記第1の記録密度より低い第2の記録密度と前記第1の基板厚より厚い第2の基板厚を有する第2の光ディスクとに選択的に集光する対物レンズであって、
前記第1の光ディスクへの集光に必要な第1の開口数を有し、
前記第2の光ディスクへの集光に必要な前記第1の開口数より小さい第2の開口数の範囲において、前記第1の基板厚と前記第2の基板厚の中間の基板厚に対して球面収差が補償された非球面形状を有し、
前記第2の開口数の範囲より外縁側かつ前記第1の開口数以内の範囲において前記第1の基板厚に対して球面収差が補償された非球面形状を有し、
前記第2の開口数の範囲において、透過光に対して、前記半導体レーザの波長の略m/nの位相差を与える輪帯領域を有し、前記位相差の符号を前記第1の光ディスクと前記第2の光ディスクで実質的に反転させる手段を一体として形成したことを特徴とする対物レンズ。(ただしnはn≧2を満たす自然数、mは|m|≦n/2を満たす整数) - 請求項1に記載の対物レンズであって、n=2であり、前記位相差を、当該対物レンズを構成する光学素子表面に設けた段差形状によって発生させたことを特徴とする対物レンズ。
- 請求項1に記載の対物レンズであって、前記位相差を前記対物レンズに一体として構成された液晶素子によって発生させ、前記半導体レーザからの光を前記第1の光ディスクに集光する場合と、前記第2の光ディスクに集光する場合とで、前記液晶素子内に設けられた透明電極に印加する電圧を異ならしめることを特徴とする対物レンズ。
- 請求項1に記載の対物レンズであって、前記位相差を、前記対物レンズに一体として構成された液晶素子と、+1/2波長又は−1/2波長の位相シフトを生じる段差形状又は分布屈折率素子によって発生させ、前記半導体レーザからの光を前記第1の光ディスクに集光する場合と、前記第2の光ディスクに集光する場合とで、前記液晶素子内に設けられた透明電極に印加する電圧を異ならしめることを特徴とする対物レンズ。
- 請求項3又は4に記載の対物レンズであって、前記透明電極が輪帯状に複数形成されており、前記第2の開口数の80%以上100%以内の半径位置に、中心部及び前記第2の開口数外の電極を除いて、最も幅の広い輪帯電極があることを特徴とする対物レンズ。
- 請求項3又は4に記載の対物レンズであって、前記透明電極を輪帯状に複数形成するとともに、同じ電圧を印加すべき近接した内側の第1及び外側の第2の輪帯状電極を略半径方向に直線的に結節する第1の結節電極を、前記第1及び第2の輪帯状電極の間にあって前記第1及び第2の輪帯状電極とは異なる電圧を印加すべき第3の輪帯状電極に設けた欠損部を通して配線し、該第3の輪帯電極と近接し同じ電圧を印加する、前記第2の輪帯状電極の外側の第4の輪帯電極とを結節する第2の結節電極を、前記第2の輪帯状電極に設けた欠損部を通して前記第1の結節電極に略平行に隣接して配置し、以下同様にして同じ電圧を印加する複数の輪帯状電極を結節しながら、光を透過させる領域の外側に配線を引き出すように前記液晶素子内の透明電極を配置したことを特徴とする対物レンズ。
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