JP2009121997A - 質量分析における試料の調整方法 - Google Patents

質量分析における試料の調整方法 Download PDF

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幸平 芝本
Takashi Inaga
隆史 伊永
Masami Tani
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Abstract

【課題】従来のDrop法においては、イオン化基板上に試料分子が不均一にかつ非常に大きな堆積層数で堆積する。したがって、本願発明の課題は、従来のDrop法においては困難であったSALDI-MS法の性能を十分に引き出すことにある。
【解決手段】本願発明は、試料含有溶液をイオン化基板に滴下するのではなく、試料を溶媒に溶解させ、その溶液中にイオン化基板を浸す方法、すなわち、浸漬(Dip)法である。これにより、試料分子は、イオン化基板上に存在する吸着サイトに安定的に吸着する。
【選択図】 図5

Description

本願発明は、MALDI-MS(Matrix Assisted Laser Desorption/ Ionization-Mass Spectrometry:マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法)などに代表されるレーザー脱離イオン化質量分析法に関し、特に、該分析において使用する試料の調整方法に関するものである。
質量分析法は、分析化学において利用されるだけではなく、医学、生物学、生化学など多岐の分野において利用されている。その中でも、レーザー脱離イオン化−質量分析法(Laser Desorption/Ionization-Mass Spectrometry:LDI-MS)は、1980年代に注目され、主に金属や半導体などの表面分析に用いられてきた。レーザーを用いているため、レンズを用いて容易に集光することが可能であり、微小領域の分析が可能である。
また、試料を容易にイオン化することが可能であり、広範囲の試料種に対応することが可能である。
そのようなLDI-MS法において、マトリックス支援LDI-MS法(MALDI-MS法)の開発等、応用研究に多くの興味が集められたが、その性能を十分に引き出すことに対してはあまり注目されてこなかった。
特に試料の調整方法に対しては、イオン化基板上に試料を滴下(Drop)するという非常にシンプルな方法が最も一般的であり、ほとんど工夫がなされなかった。
また、MALDI-MS法の開発以降、マトリックス分子の添加による影響を除去するため、マトリックス分子の添加ではなく、表面の特性をエネルギー吸収体として利用し、試料分子を解離させず高感度に試料分子を検出する表面支援LDI-MS法(SALDI-MS法)が開発されたが、特に、このSALDI-MS法においては、試料の調整状況が測定結果に大きな影響を与えてしまう。
その理由は、Drop法により試料を準備した場合(特許文献1参照)、試料はその形態が不均一となるため、イオン化基板表面上に堆積される試料分子の数や密度などが再現できないほどに不規則になってしまうからである。このような状況では、イオン化基板から試料分子にイオン化に必要なエネルギーを与えるSALDI-MS法のイオン化機構において、そのイオン化効率に大きな影響が出ることが想像される。
図1にDrop法により試料を溶かした液体をイオン化基板に滴下した状況の模式図を示す。レーザーを照射すると、金コロイド粒子の表面には表面プラズモンにより励起された電子が生じる。その表面に直接的に接する試料は、エネルギー供給源と相互作用が可能であるため、イオン化に必要なエネルギー源である励起電子をその表面から受け取り、イオン化される。その外側の試料(第2層目以降)にもエネルギーは届くが、これは電子のやり取りではなく増強電場によるエネルギーとなり、その表面からの距離に対して指数関数的に減衰するため、積層数が多くなれば多くなるほど、試料分子にエネルギーは届かず、イオン化することはできない。また、金コロイド粒子に付着する試料の量も一定ではない。
例えば、我々が開発した表面プラズモン励起による金ナノ微粒子表面を利用した超高感度SALDI-MS法においてもその影響が現れた。金ナノ微粒子表面上に平均して1層程度の試料分子を吸着させた試料(図2B参照)と数10層、数100層・・など多量に堆積させた試料(図2A参照)を同条件でSALDI-MS測定したところ、その信号強度は、堆積層数に比例せず、むしろ1層程度吸着した基板において最も大きな信号強度が得られた(図3参照、試料は糖)。
この結果は、堆積した試料自身がイオン化基板表面からのエネルギー移動を受け、基板表面の極近傍でイオン化した試料分子の飛散が蓋を被せるようにして阻害されることを意味している。
特開平7−151714
従来法のDrop法においては、イオン化基板上に試料分子が不均一にかつ非常に大きな堆積層数で堆積する。したがって、本願発明の課題は、従来法のDrop法においては困難であったSALDI-MS法の性能を十分に引き出すことにある。
本願発明は、試料含有溶液をイオン化基板に滴下するのではなく、試料を溶媒に溶解させ、その溶液中にイオン化基板を浸す方法、すなわち、浸漬(Dip)法である。これにより、試料分子は、イオン化基板上に存在する吸着サイトに安定的に吸着する。Drop法においては試料溶液を乾燥させるため、乾燥する直前にはペースト状のような非常に高濃度溶液となり、試料分子同士で凝集を起こす。つまり、試料同士の分子間相互作用によりイオン化基板よりもむしろ試料分子への相互作用が強くなる場合があり、効率的なエネルギー供給がなされなくなる。一方で、Dip法においては、高濃度溶液になる過程がなく、いわゆる凝集を起こさない程度の濃度を維持したまま吸着させるため、上記のような問題が生じず、イオン化基板との相互作用により安定的にその表面に吸着することが出来る。そのため、効率的なエネルギー供給を実現することが可能となる。
試料分子がイオン化基板の表面積に対して十分に多い場合には、試料分子は、全面に単層吸着し、その後堆積する。
その試料分子と基板との吸着力は、堆積した試料分子との間の分子間力に対して大きいので、浸した後の基板表面を用いた溶媒で十分に洗浄すると、イオン化基板表面に吸着した分子以外の堆積した試料分子を除去することが可能となる。
図5には、Drop法とDip法の工程を対比して示す。左側のDrop法においては多量の試料が不均一に多層に金コロイドに付着し、乾燥によりそのまま固化する。
これに対し、図の右側のDip法においては、基板を試料溶液中に浸漬することにより、金コロイドに多層に付着するが、洗浄することにより、該コロイド表面に付着した第1層の試料以外は、すべてはぎ取られてしまう。これにより、一層の試料のみが金コロイドに固着されることになり、極めて高感度の検出を可能とした。
本願発明に係るDip法は、LDI-MS法において従来のDrop法に比べて、感度、試料分子の解離、定量性の議論において飛躍的にその性能を向上させる試料調整方法である。
以下に、本願発明を実施するための最良の形態を示す。
<試料の作製>
≪Dip法≫
試料を50μM程度になるように溶媒に溶かし、その試料溶液中にイオン化基板を浸してイオン化基板に試料を付着させ、試料を溶かした溶媒で洗浄をしたのちに自然乾燥させて作製した。
≪Drop法≫
試料(3×10-9mol:1μMを3μl)をイオン化基板に滴下し自然乾燥させて作製した。
<質量分析測定> 該試料を測定装置(図6参照)にセットし、マススペクトルを測定した。励起光は、Nd/YAGレーザーであり、図6の測定装置の左下から、斜めに照射し、プリズムで反射させ中央部の試料台を照射する。その後、試料台から反射された光を、プリズムを通し外へ導く。試料は、励起光により励起され、イオン化され、リニア飛行時間型質量分析計により測定された。<測定条件>測定条件は、以下のとおりである。
Nd:YAG 532 nm/10 Hz
加速電圧: 4.0 kV(1段目)
3.0 kV(2段目)
MCP電圧: 1.90 kV
飛行距離: 450 mm
検出器: MCP
真空度 1×10−4 Pa order
delay 0.4 μs
パルス幅 3 μs
データ積算 64 回平均
図7に、Dip法とDrop法によって作製した試料を、金ナノ微粒子を用いたSALDI-MS測定した結果を示す。この時、試料を単層膜と仮定すると、試料はレーザースポットあたりで数10から数100アトモル以下という非常に微量な試料となる。ごく微量試料にもかかわらず、そのMSスペクトルには、試料分子の分子イオンピークが非常に強く現れていた。
この結果を従来のDrop法と比較すると、まず、試料分子の検出限界が飛躍的に向上している。これは蓋となるイオン化しない試料分子を排除したためである。
次に、解離生成物が抑制されている。これは、試料分子同士の分子間力が働いている試料を排除し、イオン化基板表面に吸着している試料分子のみを試料としたため、SALDI効果を効率的に引き出せたためである。
試料の解離要因の一つには、試料分子間の分子間力が考えられているため、このDip法による試料の調整方法はこの点でも非常に有効である。
また、単層吸着を利用するため、試料の表面積から試料分子数を推測することが可能となる。従来法のDrop法では定量的な議論が不可能とされていたが、本Dip法では定量的な議論も可能となる。
図8には、試料分子としてAGIIを用いたときのMSスペクトルを示す。
AGII−(Pro+Phe)は、AGIIから(Pro+Phe)が分解した物質を表している。また、Au+、Au2+、Au3+は、金の1価の単一原子のイオン、1価の2原始クラスターイオン、1価の3原始クラスターイオンを表し、これらの信号のピークは基板由来以外のピークを検出していないことを表現している。
以上のことから、本Dip法は、LDI-MS法において従来のDrop法に比べて、感度、試料分子の解離、定量性の議論において飛躍的にその性能を向上させる試料準備方法であるといえる。
従来のDrop法による試料の一般的な付着状況模式図 従来のDrop法による多量の試料の付着状況模式図 従来のDrop法による少量の試料の付着状況模式図 試料が金コロイドに付着する量の違いによるスペクトル強度 本願発明に係るDip法による一層塗布の模式図 従来のDrop法と本願発明に係るDip法による行程比較図 質量分析装置 従来のDrop法と本願発明に係るDip法により作製した試料のスペクトル強度比較図1 従来のDrop法と本願発明に係るDip法により作製した試料のスペクトル比較図2

Claims (4)

  1. レーザー脱離イオン化質量分析法における試料の調整方法において、試料を溶媒に溶解させて溶液を作製し、該溶液中にイオン化基板を浸漬することにより、該試料をイオン化基板に固定することを特徴とするレーザー脱離イオン化質量分析法における試料の調整方法。
  2. 上記浸漬した後に、上記基板を該溶液から取り出し、洗浄することを特徴とする請求項1に記載のレーザー脱離イオン化質量分析法における試料の調整方法。
  3. 上記洗浄は、上記浸漬した溶媒により行うことを特徴とする請求項2に記載のレーザー脱離イオン化質量分析法における試料の調整方法。
  4. 上記イオン化基板は、シリコン基板上に金コロイドを付着したものであることを特徴とする請求項1に記載のレーザー脱離イオン化質量分析法における試料の調整方法。
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