JP2009121392A - 垂直軸風車 - Google Patents
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Abstract
【課題】揚力を発生させる部分と乱流を発生させる部分とを兼用させることを課題とするものであり、さらに、翼体自体の部品点数が少なく、構造が簡単で、より安価に製作することのできる垂直軸風車を提供するものである。
【解決手段】垂直軸2に対して複数個の翼体が周方向の等分位置に回転自在に取り付けられている。翼体6は薄板で形成され、回転方向における翼体6の両側部に対して、該翼体6の中央部分が垂直軸方向全域に亘って径方向外方に向って僅かに湾曲され、垂直軸2の周りの回転方向の翼体6の側部に、垂直軸方向全域に亘って翼体の外面に向けて湾曲して形成された湾曲部9が設けられている。湾曲部9は、空気の流れの上流では揚力発生と乱流発生させる機能を兼ねる。
【選択図】図3
【解決手段】垂直軸2に対して複数個の翼体が周方向の等分位置に回転自在に取り付けられている。翼体6は薄板で形成され、回転方向における翼体6の両側部に対して、該翼体6の中央部分が垂直軸方向全域に亘って径方向外方に向って僅かに湾曲され、垂直軸2の周りの回転方向の翼体6の側部に、垂直軸方向全域に亘って翼体の外面に向けて湾曲して形成された湾曲部9が設けられている。湾曲部9は、空気の流れの上流では揚力発生と乱流発生させる機能を兼ねる。
【選択図】図3
Description
本発明は、例えば、風力発電などの用途として好適で、回転軸が地面に対してほぼ垂直に設置された方式の垂直軸風車に関する。
従来提案されている垂直軸風車として、複数枚の対称翼型ブレードが、回転軸周りに配設され、該回転軸を中心に回転する垂直軸風車であって、該ブレードはその前縁に乱流形成促進部を有しているものが公知である(特許文献1)。特許文献1に記載のものは、乱流形成促進部が凹凸形状をなしているもので、ブレードの前縁近傍の層流気流が乱流となり、境界層剥離のタイミングが遅れブレードの後方にずれることにより、回転が起動され、ブレードの背面で剥離の少ない流れとなり推進力が発生し、旋回速度と流入速度の比である周速比を低く設定でき、低速でも高性能を発揮できるものである。
また、翼体に凹凸を設けることにより、境界層の剥離を空気の流れ方向の後方にずらす技術として、次のものが提案されている。例えば、ボス部周りに複数の翼を配設した軸流送風機において、各翼の負圧面の前縁部と外周部、もしくはそれらの一部に、空気の流れ方向と交差する複数の溝を形成した軸流送風機が公知である(特許文献2)。特許文献2に記載されているものは、複数の溝により、空気の流れ翼面境界層は層流から乱流への遷移が促進され、乱流境界層は層流境界層よりも剥離がしにくいために、送風性能を向上させるものである。
また、軸流送風機のファンにおいて、各々のファンブレードの先端部上下表面が細かい凹凸に仕上げられた軸流送風機のファンブレードが公知である(特許文献3)。特許文献3に記載のものは、ファンが高速回転した場合でも、細かい凹凸にあたった風が乱流に遷移し、乱流境界層を形成することで、気流の剥離をはじめる場所を流れの下流に移動させ、風特性を向上させるものである。
上記特許文献1に記載されているブレードは、所謂、流線形をなしており、空気の流れに対する揚力はこの流線形によって発生させているものである。
そこで、本発明は、揚力を発生させる部分と乱流を発生させる部分とを兼用させることを課題とするものであり、さらに、翼体自体の部品点数が少なく、構造が簡単で、より安価に製作することのできる垂直軸風車を提供するものである。
請求項1に係る垂直軸風車は、垂直軸に対して複数個の翼体が周方向の等分位置に回転自在に取り付けられたものであって、上記課題を解決するために、前記翼体は薄板で形成され、回転方向における前記翼体の両側部に対して、該翼体の中央部分が前記垂直軸方向全域に亘って径方向外方に向って僅かに湾曲され、前記垂直軸の周りの回転方向の前記翼体の側部に、垂直軸方向全域に亘って前記翼体の外面に向けて湾曲して形成された湾曲部が設けられたことを特徴とする。
請求項1に係る垂直軸風車によれば、翼体の外面の一側に湾曲部を形成することで、揚力を発生させる部分と乱流を発生させる部分とを湾曲部で兼用させることができる。しかも、1枚の板を湾曲して翼体を形成できるので、翼体自体の部品点数が少なく、構造が簡単で、より安価に製作することができる。
以下、本発明の実施形態に係る垂直軸風車を示す斜視図である。垂直軸風車1は、鉛直方向に向けて垂直軸2が設置され、垂直軸2と一体に回転可能に複数個の翼体が周方向の等分位置に取り付けられ、該垂直軸2を中心に回転するものである。本実施形態では、垂直軸2の上部寄りと下部寄りにそれぞれ互いに平行にブレード支持体3,3の中央部分が該垂直軸2と一体に固着され、ブレード支持体3,3の両側先端には、翼体6を備えたブレードユニット4,4が固定されている。また、垂直軸2の下端には発電機5が設置され、垂直軸2は直接的に回転可能或いは伝達機構を介して回転可能に設置されている。なお、実施形態では、垂直軸2の周りに2つのブレードユニット4を具備した場合を示しているが、2つ以上、例えば3つ或いは4つであってもよい。
ブレードユニット4は、翼体6と、翼体6の上端部を支持する天板7と、翼体の下端部を支持する底板8で構成されている。なお、上部のブレード支持体3の両側先端部がブレードユニット4,4の各天板7,7に固定され、下部のブレード支持体3の両側先端部がブレードユニット4,4の各底板8,8に固定されている(図1参照)。
次に、本発明の特徴部分である翼体6について説明する。図2は主として翼体6を示す垂直軸風車1の平面図である。翼体6は、樹脂製あるいは金属製の薄板で構成されている。翼体6は、回転方向における翼体6の両側部に対して、中央部分が上下方向全域(垂直軸2方向全域)に亘って径方向外方に向って僅かに湾曲され、垂直軸2周りの回転方向に向いた側部に、垂直軸2方向全域に亘って、例えば、楕円の一部のように、翼体6の外面に向けて湾曲して形成された湾曲部9が設けられている。また、回転方向において後方となる他方の側部は、翼体6の内面に向けて折り返し部分(結果的に翼体6の他側縁となる)が丸みを有するようにして形成された折返部10が設けられている。なお、図2に示すように、本実施形態では、湾曲部9は翼体6の外面の一側縁に沿った円筒形状をなしたものとなっている。しかしながら、本発明において、湾曲部9は円筒形状をなすものに限らず、回転方向における翼体6の側部に垂直軸2方向に全域に亘って湾曲部9が形成されていればよく、その後面側(翼体6の中央側)が開放されたものであってもよい。
次に、風に対する翼体6の作用について説明する。図2おいて、矢印で示すように、空気の流れの向きは右から左に向けて流れている。図2において、下側に図示されている翼体を6aとし、上側に図示されている翼体を6bとする。翼体6aは、空気の流れにおいて上流側に湾曲部9が向いており、翼体6aの裏面を通過する空気の流れ11aの速さは、湾曲部9によって流れの向きが外側に向けられる翼体6bの外面を通過する空気の流れの速さ11bよりも大きい。よって、圧力差によって空気の流れに垂直な方向に揚力が発生する。この揚力の周方向成分が回転力(回転の駆動力)となる。一方、翼体6bは、空気の流れにおいて下流側に湾曲部9が向いており、湾曲部9が空気の流れによって抗力を受け(11c)、抗力の周方向成分が回転力(回転の駆動力)となる。
また、図3に示すように、垂直軸風車が回転すると、低速回転時及び高速回転時の両方において、湾曲部9の後面から後方において空気の流れに乱流が発生する。このため、翼体6の外面に乱流境界層ができ上がり、境界層剥離が翼体6の後方にずれることになり、風車として高性能を発揮することができる。
図4は翼体6に対する空気の相対速度が低速である時の空気の流れを示す図である。図5は翼体6に対する空気の相対速度が高速である時の空気の流れを示す図である。なお、図4及び図5で乱流境界層は3/4円形の矢印で示されている部分である。図4に示すように、翼体6と空気との相対速度が低速である時には、乱流境界層が翼体6の外面方向に大きな厚みで形成される。これに対して、図5に示すように、翼体6と空気との相対速度が高速である時には、低速時と比較して乱流境界層が翼体6の外面方向に小さい厚みで形成される。このように、本発明の翼体6は、低速時と高速時とで乱流境界層の形状が変化し、翼体6に対する空気の相対速度に応じて最適の乱流境界層が自動的に形成されるのである。
以上に説明したように、本発明によれば、翼体の外面の一側に湾曲部9を形成することで、揚力を発生させる部分と乱流を発生させる部分とを湾曲部9で兼用させることができ、しかも、1枚の板を湾曲して翼体6を形成できるので、翼体自体の部品点数が少なく、構造が簡単で、より安価に製作することができる。
1 垂直軸風車
2 垂直軸
3 ブレード支持体
4 ブレードユニット
5 発電機
6 翼体
7 天板
8 底板
9 湾曲部
10 折返部
11a 湾曲部が空気の上流に向いた場合の翼体裏面の空気の流れ
11b 湾曲部が空気の上流に向いた場合の翼体外面の空気の流れ
11c 湾曲部が空気の下流に向いた場合の湾曲部に働く空気の流れ
2 垂直軸
3 ブレード支持体
4 ブレードユニット
5 発電機
6 翼体
7 天板
8 底板
9 湾曲部
10 折返部
11a 湾曲部が空気の上流に向いた場合の翼体裏面の空気の流れ
11b 湾曲部が空気の上流に向いた場合の翼体外面の空気の流れ
11c 湾曲部が空気の下流に向いた場合の湾曲部に働く空気の流れ
Claims (1)
- 垂直軸に対して複数個の翼体が周方向の等分位置に回転自在に取り付けられた垂直軸風車において、
前記翼体は薄板で形成され、回転方向における前記翼体の両側部に対して、該翼体の中央部分が前記垂直軸方向全域に亘って径方向外方に向って僅かに湾曲され、前記垂直軸の周りの回転方向の前記翼体の側部に、垂直軸方向全域に亘って前記翼体の外面に向けて湾曲して形成された湾曲部が設けられたことを特徴とする垂直軸風車。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007298062A JP2009121392A (ja) | 2007-11-16 | 2007-11-16 | 垂直軸風車 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007298062A JP2009121392A (ja) | 2007-11-16 | 2007-11-16 | 垂直軸風車 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009121392A true JP2009121392A (ja) | 2009-06-04 |
Family
ID=40813801
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007298062A Pending JP2009121392A (ja) | 2007-11-16 | 2007-11-16 | 垂直軸風車 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009121392A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013087632A (ja) * | 2011-10-13 | 2013-05-13 | Sinfonia Technology Co Ltd | 垂直軸形風車の直線翼、直線翼垂直軸形風車 |
-
2007
- 2007-11-16 JP JP2007298062A patent/JP2009121392A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013087632A (ja) * | 2011-10-13 | 2013-05-13 | Sinfonia Technology Co Ltd | 垂直軸形風車の直線翼、直線翼垂直軸形風車 |
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