JP2009120192A - 自動車のインストルメントパネル及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】自動車のインストルメントパネル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】インストルメントパネル（３）の外皮即ち可視面は繊維材料で作られ、インストルメントパネルは、予備弱め線（４）によってインストルメントパネルに形成された膨張可能な安全バッグ用のトラップドア（２）を有し、トラップドアは、特に繊維材料外皮を含むと共に連結層（７）によって基材に連結された可視層（５）から成る。本発明の方法は、可視層を形成するステップと、連結層を介して可視層を基材上に配置するステップと、２つの連続した別々の切り込みによって膨張可能な安全バッグのトラップドアを輪郭づける予備弱め線を形成するステップとを有する。切り込みのうちの一方は第１の切れ目によって得られた溝の中に形成される。
【選択図】図５

Description

本発明は、自動車用のインストルメントパネルの製造方法であって、インストルメントパネルの可視面が繊維材料で作られ、膨張可能な安全バッグ用のトラップドアがインストルメントパネル、特にその本体に形成されるインストルメントパネル製造方法に関する。本発明は又、自動車のインストルメントパネルに関する。

自動車に装備された膨張可能な安全バッグ装置は、幾つかの基準を満たさなければならない。第１に、膨張可能な安全バッグ装置が収納されるインストルメントパネルの美的側面は、インストルメントパネルを形成するパネルに設けられ、安全バッグが飛び出るようにするトラップドアの存在にもかかわらず、保たれなければならない。第２に、これらバッグは、パネルの可視面からの妨害を最小限に抑えた状態でパネルを通って外部に向かって展開することができなければならない。換言すると、パネルの破損は、小綺麗で且つ整然としたものであり、見栄えが良く、しかも粒子が散らばらないようなものでなければならない。

この種のパネル又はインストルメントパネルを製造する技術では、パネルの目に見えない部分に例えばＵの形をした予備弱め線又は厚さ減少領域を切断形成することによりトラップドアをパネルの本体に形成する。このように、この予備弱め線は、トラップドアの輪郭を定めることになる。

しかしながら、可視面又は外皮（スキン）が繊維材料又は編織素材で作られているパネルの場合、この種の予備弱め線の形成は、実施が困難である。確かに、繊維材料は、繊維で構成され、これら繊維の間には、空いているスペース、即ち、実質的に占有されていない空間が存在しうる。繊維材料は、パネル本体を形成する発泡材料の層により基材に連結される。この結果、このパネルの目に見えない部分に予備弱め線を形成するには、厚さが互いに異なり、切断した場合の挙動が互いに異なる材料を切断する必要があり、かかる切断においては、一般に、レーザ切断の場合、例えば、目に見える編織素材の損傷が生じる。というのは、かかる目に見える編織素材表面の切断では、基材及び発泡材料の切断よりも必要とするエネルギが小さいからである。

さらに、繊維材料は、引裂強さが高いので、繊維材料には、その厚さが薄いにもかかわらず、予備弱め（あらかじめ弱体化すること）も又必要である。

編織素材を既に弱められた基材、即ち、溝を備えた基材に被着させる別の技術を提案することが考えられる。しかしながら、この技術は、満足の行くものではない。というのは、外皮を基材に取り付けるようになった発泡材料の発泡中、上述の発泡材料がこの溝の中に入り込み、その結果、目に見える表面上に漏れ及び（又は）目視欠陥が生じ、場合によっては、上述の溝によって輪郭づけられたトラップドアの不正確な展開が生じるからである。

本発明の目的は、上述の欠点を軽減し、膨張可能なバッグを備えた自動車用のインストルメントパネルを形成することができる方法であって、インストルメントパネルの可視面が、繊維材料であり、上述の膨張可能なバッグのトラップドアを輪郭づける予備弱め線を上述のインストルメントパネルの形成後に作り、その場合にインストルメントパネルの可視面を損傷せず、しかも、上述の予備弱め線により形成されたトラップドアの適当な展開を可能にするような方法を提案することにある。

この目的に鑑みて、本発明は、自動車のインストルメントパネルの製造方法であって、インストルメントパネルの外皮即ち可視面が、繊維材料で作られ、インストルメントパネルが、予備弱め線によってインストルメントパネルに形成された膨張可能な安全バッグ用のトラップドアを有し、トラップドアが、特に繊維材料外皮を含むと共に連結層によって基材に連結された可視層から成り、この方法が、
ｉ）可視層を形成するステップと、
ｉｉ）連結層を介して可視層を基材上に配置するステップと、
ｉｉｉ）２つの連続した別々の切り込みによって膨張可能な安全バッグのトラップドアを輪郭づける予備弱め線を形成するステップとを有し、切り込みのうちの一方は、第１の切れ目によって得られた溝の中に形成されることを特徴とする方法を提供することをその目的としている。

本発明の目的は又、フォーム材料に接着されると共に連結層を介して基材に連結された繊維材料外皮で構成された自動車用インストルメントパネルであって、膨張可能な安全バッグのためのトラップドアを有するインストルメントパネルにおいて、トラップドアは、上述の方法の実施によりインストルメントパネルに形成された予備弱め線によって輪郭づけられていることを特徴とするインストルメントパネルを提供することにある。

本発明の内容は、非限定的な例として与えられ、添付の概略的な図面を参照して説明される好ましい実施形態を参照して行われる以下の説明により良好に理解されよう。

自動車のインストルメントパネル（３）の外皮即ち可視面が、繊維材料で作られ、インストルメントパネル（３）が、予備弱め線（４）によってインストルメントパネル（３）に形成された膨張可能な安全バッグ用のトラップドア（２）を有し、トラップドア（２）が、特に繊維材料外皮（１）を含むと共に連結層（７）によって基材（６）に連結された可視層（５）から成るインストルメントパネル（３）の製造方法は、
ｉ）可視層（５）を形成するステップと、
ｉｉ）連結層（７）を介して可視層（５）を基材（６）上に配置するステップと、
ｉｉｉ）２つの連続した別々の切り込み（８，９）によって膨張可能な安全バッグのトラップドア（２）を輪郭づける予備弱め線（４）を形成するステップとを有し、切り込み（８，９）のうちの一方は、第１の切れ目（８）によって得られた溝の中に形成されることを特徴とする。

繊維材料（又は編織素材）の外皮（１）は、例えば編組ポリエステル又はポリプロピレンで作られるのが良い。

予備弱め線（４）の形態は、インストルメントパネルを構成するパネルの形態及び製造業者によって特定される仕様に適合した形状のものであり、図１に示すようにＵ字形である。必要ならば、予備弱め線は、Ｈ形であっても良い。

予備弱め線を形成することは、２つの別々の切り込み（８，９）で形成されるので、各切り込みを切り込みが入れられるべき材料に適合させることが可能である。第１の切り込みは、第１の切れ目（８）により生じた溝内への、第２の切れ目のより正確な形成を可能にする所定の深さ及び厚さに応じて形成されるのが良く、第２の切れ目は、繊維材料外皮（１）まで延びるが、これを貫通することはない。

インストルメントパネル（３）全体を貫通してて繊維材料層（１）まで切れ目を入れるが、繊維材料層を貫通しないように予備弱め線（４）を形成することが確かに望ましく、その結果、上述の切れ目は、インストルメントパネル（３）の可視面上では目に見えず、他方、インストルメントパネルの可視面の弱めを行って膨張可能な安全バッグの展開を可能にするトラップドア（２）を形成するようにする。

より詳細に説明すると、本発明によれば、ステップｉｉｉ）の第１の切れ目（８）は、基材（６）を貫通し連結層（７）の厚さ全体にわたって延びるが、これを貫通することはないようにするのが良い。この切れ目の結果として得られる溝は、図４に示されている。

例えば図５に示すように、ステップｉｉｉ）の第２の切れ目（９）は、繊維材料（１）まで延びるが、これを貫通することはないようにするのが良い。繊維材料（１）は、その厚さ全体を貫通して切れ目が入れられることはなく、繊維材料に形成される切れ目は、これを貫通することはない。予備弱め線（４）を２つのステップで形成することにより得られる利点は、切れ目を入れた際に剛性が異なり且つ挙動が異なる材料をインストルメントパネル（３）の製造のために使用できるということにある。

本発明の方法によれば、可視層（５）を形成するステップｉ）は、繊維材料（１）を熱成形可能なフォーム材料（１０）に接着するステップと、次に、熱成形法により可視層（５）を形成するステップとから成るのが良い。熱成形可能なフォーム材料（１０）は、ホットメルト接着法により繊維材料（１）の層に接着された厚さが約２ミリメートルのポリオレフィンフォームであるのが良い。

本方法により、このようにして得られた貼り合わせ層の耐剥離性を増大させることができる。

この場合、可視層（５）の目に見える側を金型のマトリックス中に吸引することから成る熱成形法によって貼り合わせ層を形成する。この熱成形法は、例えば米国特許第３，９６２，３９２号明細書に記載されている形式のものであるのが良い。

可視層（５）の形成のための熱成形可能なフォーム材料（１０）のこの層の使用により、上述の作業を実施して最終形状をインストルメントパネル（３）の可視層（５）に与えることができる。また、熱成形可能なフォーム材料のこの層は、繊維材料外皮（１）の支持体として用いられ、他方、触ってみて比較的柔らかな感触をインストルメントパネル（３）に与える。

一般に、基材（６）を形成するために用いられる材料は、可視層（５）を形成するために用いられる材料よりも剛性が高く、その結果として、１回だけの切れ目を入れる作業で予備弱め線（４）を形成しても、正確な深さを持つ溝を得ることはできず、より重要なことには、目に見える側では見えないままの状態で外皮又は繊維材料（１）の目に見えない表面に達するに過ぎないような切れ目又は溝を制御された深さで形成することができない。確かに、基材は、これに切れ目を入れるためには、繊維材料外皮（１）に切れ目を入れるのに必要なエネルギよりも大きなエネルギを必要とする。しかしながら、このエネルギは、編織素材の脆さと両立せず、場合によっては、目に見える表面上に外観上の問題を生じさせる場合が多い。この理由で、本発明の方法では、基材（６）及び連結層（７）を貫通する溝を得るようにリーマ仕上げで第１の切れ目（８）を形成して、図５に示すように、次に、第２の切れ目（９）をレーザ切断し、第１の溝の長さに沿って追加の第２の溝を形成し、この溝は、構成材料が可視層（５）への溝の形成に小さなエネルギしか必要としない可視層（５）を貫通する。

好ましくは、第１の切れ目（８）の結果として得られる第１の溝は、第２の切れ目（９）により形成される溝の幅よりも大きな幅を有するのが良く、この幅の目的は、第２の溝の形成を容易にすることにある。

さらに、本発明の方法は、第１の切れ目（８）により形成された溝の中心軸線の一方の側から他方の側に交互に延びる線に沿って第２の切れ目（９）を形成するステップを有するのが良い。

これは、図２に詳細に示されているようにジグザグの線であるのが良く、この線は、３〜６ミリメートルの幅を有するのが良い。これにより、一方において、予備弱め線（４）をインストルメントパネル（３）の可視層（５）では気づかないようにし、他方、繊維材料外皮（１）の切り込みを容易にし、その結果、予備弱め線（４）の輪郭を辿る切り込みが達成されるようにするという利点が得られる。この結果、これにより、膨張可能な安全バッグの展開後に、目視外観が依然として見栄え良く、このようにして形成された切れ目による目視欠陥に気づかせないインストルメントパネル（３）が得られる。

さらに、この方法は、膨張可能な安全バッグのトラップドア（２）を輪郭づける予備弱め線（４）の領域の可視面（５）に局所熱処理を施すことにより予備弱め線（４）を補う弱め又は弱体化を実施するステップを更に有するのが良い。この種の熱処理では、予備弱め線（４）が形成された可視面（３）の領域に１００〜１３０℃の温度を及ぼすのが良い。

本発明によれば、ステップｉｉ）は、連結層（７）を構成する材料の現場発泡により可視層（５）を基材（６）上に配置するステップから成るのが良い。この連結層（７）は、ポリウレタンフォームで作られるのが良く、その厚さは、５〜８ミリメートル、それどころか１２ミリメートルであるのが良い。基材は、２〜３ミリメートルの厚さを有するのが良い。上述の連結層（７）が可視層（５）の熱成形可能なフォーム材料（１０）にくっつくように接着剤を用いるのが良い。

本発明の目的は又、フォーム材料に接着されると共に連結層を介して基材に連結された繊維材料外皮で構成された自動車用インストルメントパネル（３）であって、膨張可能な安全バッグのためのトラップドア（２）を有するインストルメントパネルにおいて、トラップドア（２）は、上述した方法の実施によってインストルメントパネル（３）に形成された予備弱め線（４）によって輪郭づけられていることを特徴とするインストルメントパネルを提供することによって達成される。

この結果、本発明により、繊維材料外皮（１）を備え、膨張可能な安全バッグのためのトラップドア（２）を有するインストルメントパネル（３）、即ち、トラップドア（２）が見えず、トラップドア（２）が膨張可能な安全バッグの展開の際に振れ回り、上述のインストルメントパネル（３）に形成された予備弱め線（４）により定められる輪郭を辿る繊維材料外皮（１）のスリットが小綺麗であり且つ整然としているボードを容易に形成することができる。

当然のことながら、本発明は、図面に記載されると共に上述した実施形態には限定されない。特に種々のアイテムの構成の観点から又は技術的均等例の置き換えにより、本発明の保護範囲から完全に逸脱することなく、改造が可能である。

本発明の方法に従って製造されるインストルメントパネルに形成された予備弱め線の略図である。 図１に示す予備弱め線の細部の拡大図である。 本発明に従って製造されたインストルメントパネルの可視面の断面図である。 本発明の方法に従って最初の切断により形成された溝の中央平面に垂直な平面における断面図である。 本発明の方法に従って最初の切断により形成された溝の中央平面に垂直な平面における断面図である。

符号の説明

１ 外皮
２ トラップドア
３ インストルメントパネル
４ 予備弱め線
５ 可視層
７ 連結層
８，９ 切れ目
１０ 熱成形可能な材料

Claims (10)

1. 自動車のインストルメントパネル（３）の製造方法であって、前記インストルメントパネル（３）の外皮即ち可視面が繊維材料で作られ、前記インストルメントパネル（３）が、予備弱め線（４）によって前記インストルメントパネル（３）に形成された膨張可能な安全バッグ用のトラップドア（２）を有し、前記トラップドア（２）が、特に繊維材料外皮（１）を含むと共に連結層（７）によって基材（６）に連結された可視層（５）から成る方法であって、
   ｉ）前記可視層（５）を形成するステップと、
   ｉｉ）前記連結層（７）を介して前記可視層（５）を前記基材（６）上に配置するステップと、
   ｉｉｉ）２つの連続した別々の切り込み（８，９）によって前記膨張可能な安全バッグの前記トラップドア（２）を輪郭づける前記予備弱め線（４）を形成するステップとを有し、前記切り込み（８，９）のうちの一方は、第１の切れ目（８）によって得られた溝の中に形成される、
   ことを特徴とする方法。
2. 前記ステップｉｉｉ）の前記第１の切れ目（８）は、前記基材（６）を貫通し前記連結層（７）のほぼ厚さ全体にわたって延びるが、これを貫通することはない、
   請求項１記載の方法。
3. 前記ステップｉｉｉ）の第２の切れ目（９）は、前記繊維材料（１）まで延びるが、これを貫通することはない、
   請求項２記載の方法。
4. 前記可視層（５）を形成する前記ステップｉ）は、前記繊維材料（１）を熱成形可能なフォーム材料（１０）に接着するステップと、次に、熱成形法により前記可視層（５）を形成するステップとから成る、
   請求項３記載の方法。
5. 前記方法は、リーマ仕上げによって前記第１の切れ目（８）を形成するステップを有する、
   請求項１ないし４のいずれか１項に記載の方法。
6. 前記方法は、レーザにより前記第２の切れ目（９）を形成するステップを有する、
   請求項１ないし５のいずれか１項に記載の方法。
7. 前記方法は、前記第１の切れ目（８）により形成された前記溝の中心軸線の一方の側から他方の側に交互に延びるパターンに沿って前記第２の切れ目（９）を形成するステップを有する、
   請求項１ないし６のいずれか１項に記載の方法。
8. 前記方法は、前記膨張可能な安全バッグの前記トラップドア（２）を輪郭づける前記予備弱め線（４）の領域の前記可視面（５）の局所熱処理により前記予備弱め線（４）を補う弱化部を形成するステップを有する、
   請求項１ないし７のいずれか１項に記載の方法。
9. 前記ステップｉｉ）は、前記連結層（７）を構成する材料の現場発泡により前記可視層（５）を前記基材（６）上に配置するステップから成る、
   請求項１ないし８のいずれか１項に記載の方法。
10. フォーム材料に接着されると共に連結層を介して基材に連結された繊維材料外皮で構成された自動車用インストルメントパネル（３）であって、膨張可能な安全バッグのためのトラップドア（２）を有するインストルメントパネルにおいて、前記トラップドア（２）は、請求項１ないし９のいずれか１項に記載の方法の実施によって前記インストルメントパネル（３）に形成された予備弱め線（４）によって輪郭づけられている、
    ことを特徴とするインストルメントパネル。

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