JP2009119903A - 燃料タンクの空気抜き装置および船舶 - Google Patents

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Abstract

【課題】新たなタンクを必要としないで、作業者の通行の妨げにならず、且つ、甲板に油汚れが発生するおそれを最少にすることができる燃料タンクの空気抜き装置、およびこれを装備した船舶を提供する。
【解決手段】燃料タンクの空気抜き装置100は、第1燃料タンク1および第2燃料タンク2を具備する船舶(図示しない)に装備されるものであって、第1燃料タンクの天板1aの略中央部に連通し、垂直に立ち上がる第1垂直管10と、第2燃料タンクの天板2aの略中央部に連通し、垂直に立ち上がる第2垂直管20と、第1垂直管10の先端11と第2垂直管20の中間部22とを連通する水平管40と、第2垂直管20の先端21に設置され、通気自在であって、海水の侵入を防止するエアーベントヘッド50と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は燃料タンクの空気抜き装置および船舶、特に、複数の燃料タンクを具備する船舶における燃料タンクの空気抜き装置、および当該空気抜き装置が設置された船舶に関する。
従来、船舶の燃料タンクには、内圧を調整する呼吸装置として、各燃料タンク毎に、その大きさにより各燃料タンク1本または船首尾方向に2本の空気抜き管が装備され、該空気抜き管は燃料タンクの直上の甲板を貫通して立ち上がり、その先端には、空気の流通を可能にすると共に、海水の侵入を防止するエアーベントヘッドが設置されていた。したがって、燃料タンクの数が多くなると、甲板には、多くの空気抜き管が立ち上がることになる。
このため、空気抜き管やエアーベントヘッドが作業者の通行や他の装置の作動の妨げになったり、給油中に排出される空気に含まれる燃料ミストが飛散して、周囲に油汚れが発生したり、船体の動揺によって、燃料が噴出や飛散して、周囲に油汚れが発生したり、さらに、装備品の数量が増すことによる装置購入コストが上昇するという問題があった。
そこで、複数の燃料タンクに連通する空気抜き管を集合して、甲板から立ち上がる空気抜き管を1本にする発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−90933号公報(第8−9頁、図3)
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、複数の燃料タンクのそれぞれに逆U字状の空気管兼オーバフロー管を設け、かかる複数の空気管兼オーバフロー管をオーバフロー主管に集約した後、かかるオーバフロー主管を、新たに設けた燃料油オーバーフロータンクに接続するものであるため、以下の問題があった。
(あ)燃料油オーバーフロータンクを新たに設けるため、そのためのスペースを確保する必要が生じる。
(い)各燃料タンク毎に2本の逆U字状の空気管兼オーバフロー管を設けるため、燃料タンクを甲板の直下に配置すると、空気管兼オーバフロー管が甲板を貫通して立ち上がり、作業者の通行の妨げになる。
(う)燃料油オーバーフロータンクに連通する空気管(先端にエアーベントヘッドが設置されている)の高さが低い場合には、燃料ミストの排気距離が短く、周囲に油汚れが発生するおそれがある。
本発明は上記問題を解決するものであって、新たなタンクを必要としないで、作業者の通行の妨げにならず、且つ、甲板に油汚れが発生するおそれを最少にすることができる燃料タンクの空気抜き装置、および当該空気抜き装置を装備した船舶を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る燃料タンクの空気抜き装置は、複数の燃料タンクを具備する船舶における、燃料タンクの空気抜き装置であって、
一方の燃料タンクの天板の略中央部に連通し、前記船舶の甲板上に立ち上がる第1垂直管と、
他方の燃料タンクの天板の略中央部に連通し、前記船舶の甲板上に立ち上がる第2垂直管と、
前記第1垂直管の先端と前記第2垂直管の中間部とを連通する、前記船舶の甲板に略平行な水平管と、
前記第2垂直管の先端に設置され、通気自在であって、海水の侵入を防止するエアーベントヘッドと、を有する。
(2)前記(1)において、前記船舶の船尾部に機関室が配置され、前記第2燃料タンクが前記機関室の甲板寄りの範囲で、側舷に沿って配置され、
前記機関室の船首側に貨物室が配置され、前記第1燃料タンクが前記貨物室の甲板寄りの範囲で、側舷に沿って配置され、
前記機関室の上方に船楼が配置され、前記第1垂直管が前記船楼の側壁に沿って立設することを特徴とする。
(3)また、本発明に係る燃料タンクの空気抜き装置は、複数の燃料タンクを具備する船舶における、燃料タンクの空気抜き装置であって、
一方の燃料タンクの天板の略中央部に連通し、前記船舶の甲板上に立ち上がる第1垂直管と、
他方の燃料タンクの天板の略中央部に連通し、前記船舶の甲板上に立ち上がる第2垂直管と、
前記第1垂直管の先端と前記第2垂直管の先端とを連通する、前記船舶の甲板に略平行な水平管と、
該水平管の中間部に連通し、前記船舶の甲板上に立ち上がる第3垂直管と、
前記第3垂直管の先端に設置され、通気自在であって、海水の侵入を防止するエアーベントヘッドと、を有する。
(4)前記(3)において、前記船舶の船尾部に機関室が配置され、前記第2燃料タンクが前記機関室の甲板寄りの範囲で、側舷に沿って配置され、
前記機関室の船首側に貨物室が配置され、前記第1燃料タンクが前記貨物室の甲板寄りの範囲で、側舷に沿って配置され、
前記機関室の上方に船楼が配置され、前記第3垂直管が前記船楼の側壁に沿って立設することを特徴とする。
(5)さらに、本発明に係る船舶は、前記(1)乃至(4)の何れかに記載の燃料タンクの空気抜き装置が装備されていることを特徴とする。
本発明に係る燃料タンクの空気抜き装置は以上の構成であるから、以下の効果を奏する。
(i)本発明に係る燃料タンクの空気抜き装置は、他方の燃料タンクに連通する1本の第2垂直管の先端と一方の燃料タンクに連通する1本の第1垂直管の中間部とが水平管によって連通され、共通の集合通気筒(コモンベントライザー)を形成し、その先端に1個のエアーベントヘッドを取り付けているから、作業者の通行や他の装置の作動の妨げにならない。そして、装備する部品点数が少ないから、装置購入コストを抑えることができる。
また、エアーベントヘッドを高い位置に配置することによって、排気距離が伸びるから、燃料ミストに除去率を向上させることができる。
さらに、一方の燃料タンクと他方の燃料タンクとが水平管によって連通しているから、一方の燃料タンクから燃料がオーバフローしても、オーバフローした燃料が他方の燃料タンクに流れ込むため、甲板上に燃料が噴出することがない。
(ii)第1垂直管が船楼の側壁に沿って立設する、すなわち、第1垂直管は貨物室の範囲に立設されないから、荷揚げ作業等の邪魔になることがない。
(iii)他方の燃料タンクに連通する1本の第2垂直管の先端と一方の燃料タンクに連通する1本の第1垂直管の先端とが水平管によって連通され、水平管の中間に第3垂直管が設置されて、共通の集合通気筒(コモンベントライザー)を形成し、その先端に1個のエアーベントヘッドを取り付けているから、前記(i)と同様の効果が得られる。
さらに、一方の燃料タンクから燃料がオーバフローしても、オーバフローした燃料は、一旦、水平管に流入するから、減速され、エアーベントヘッドに到達するおそれが少なくなる。
(iv)第3垂直管が船楼の側壁に沿って立設するから、前記(ii)と同様の効果が得られると共に、一方の燃料タンクの大きさに関わらず、所望の位置に第3垂直管を立設することができる。
(v)装備する燃料タンクの空気抜き装置が前記(i)〜(iv)の効果を奏するから、当該船舶も、前記(i)〜(iv)の効果を奏する。
[実施の形態1:燃料タンクの空気抜き装置]
図1は、本発明の実施の形態1に係る燃料タンクの空気抜き装置を説明するものであって、模式的に示した側面視の断面図である。
図1において、燃料タンクの空気抜き装置(以下、「空気抜き装置」と称する場合がある)100は、第1燃料タンク1および第2燃料タンク2を具備する船舶(図示しない)に装備されるものであって、第1燃料タンクの天板1aの略中央部に連通し、垂直に立ち上がる第1垂直管10と、第2燃料タンクの天板2aの略中央部に連通し、垂直に立ち上がる第2垂直管20と、第1垂直管10の先端11と第2垂直管20の中間部22とを連通する水平管40と、第2垂直管20の先端21に設置され、通気自在であって、海水の侵入を防止するエアーベントヘッド50と、を有する。
したがって、第1燃料タンク1および第2燃料タンク2は何れも、大気と連通しているから、給油時、温度変化、あるいは大気圧の変動等によって、当該タンク内に異常な圧力が発生することがない。
また、第1燃料タンク1および第2燃料タンク2とは、水平管40等を経由して互いに、連通しているから、一方のタンクから燃料油がオーバーフローしたとしても、オーバーフローした燃料油は他方のタンクに流入する。よって、周囲に噴出することがない。
さらに、エアーベントヘッド50を高い位置に配置することによって、排気距離が伸びるから、燃料ミストに除去率を向上させることができる。
そして、第1垂直管10が第2垂直管20に集合され、共通の集合通気筒(コモンベントライザー)を形成し、その先端に1個のエアーベントヘッドを取り付けているから、装備する部品点数が抑えられ、装置購入コストを低く抑えることができる。
また、エアーベントヘッドを高い位置に配置することによって、排気距離が伸びるから、燃料ミストに除去率を向上させることができる。
また、エアーベントヘッド50は、コップ状のミスト受け81の内部に収容されている。したがって、給油の際、エアーベントヘッド50から燃料ミストを含む空気が排出されたとしても、燃料ミストはミスト受け81に捕捉され、大気中に散逸することが抑えられている。
なお、捕捉された燃料ミストはミスト受け81の底に接続されたミスト受け管82を経由して、ミスト溜まり部83に流入する。ミスト溜まり部83に溜まった燃料ミスト(液体になっている)は、第2燃料タンク2に戻してもよいし、廃棄してもよい。
さらに、給油用の液注入ライン90が設けられている。液注入ライン90は、受け入れた燃料油を第1燃料タンク1または第2燃料タンク2の一方または両方に、所望の量だけ補給するものである。
図1において、第1燃料タンク1が、船舶の船尾部に配置された機関室の甲板寄りの範囲で、側舷に沿って配置され、前記機関室の船首側に貨物室が配置され、第2燃料タンク2が前記貨物室の甲板寄りの範囲で、側舷に沿って配置されているとすると、第1垂直管10は、貨物室から離れた位置に立設されることになる。よって、荷揚げ等の作業の邪魔になることがない(実施の形態2参照)。
また、第1燃料タンクの天板1aおよび第2燃料タンクの天板2aは、当該船舶の甲板を形成する部材であってもよい。
[実施の形態2:船舶]
図2〜図4は、本発明の実施の形態2に係る船舶を説明するものであって、図2はその一部を模式的に示した側面視の断面図、図3はその一部を断面にして模式的に示した平面図、図4は模式的に示した正面視の断面図である。なお、実施の形態1と同じ部分または相当する部分にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図2および図3において、船舶200の船尾部に機関室202が配置され、第2燃料タンク2が機関室202の甲板寄りの範囲で、側舷に沿って配置されている。また、機関室202の船首側に貨物室203が配置され、貨物室203を挟むように側舷に沿ってバラストタンク201が配置されている。そして、バラストタンク201内に、第1燃料タンク1が配置されている。また、機関室202の上方には船楼205が設置されている。
なお、第1燃料タンク1の天板および第2燃料タンク2の天板は、船舶200の甲板204によって形成されているが、甲板204とは別個に、天板を設けてもよい。
そして、船舶200には、燃料タンクの空気抜き装置(以下、「空気抜き装置」と称する場合がある)300が装備されている。空気抜き装置300は、第1燃料タンクの甲板204(天板1aに同じ)の略中央部に連通し、垂直に立ち上がる第1垂直管10と、第2燃料タンクの甲板204(天板2aに同じ)の略中央部に連通し、垂直に立ち上がる第2垂直管20と、第1垂直管10の先端11と第2垂直管20の先端21とを連通する水平管40と、水平管40の中間部42に設置された第3垂直管30と、第3垂直管30の先端31に設置された、通気自在であって、海水の侵入を防止するエアーベントヘッド50と、を有する。
すなわち、水平管40は甲板204に近接して、これに平行して配置され、第3垂直管30は、船楼205の側壁に近接して、これに平行に立設している。
したがって、燃料タンクの空気抜き装置300は、第1垂直管10と第2垂直管20とが第3垂直管30に集合され、共通の集合通気筒(コモンベントライザー)を形成し、その先端に1個のエアーベントヘッドを取り付けているから、装備する部品点数が抑えられ、装置購入コストを低く抑えることができる。さらに、一方の燃料タンクから燃料油がオーバフローしても、オーバフローした燃料油は、一旦、水平管40に流入するから、一気にエアーベントヘッド50に到達することがなく、減速されて、エアーベントヘッド50から噴出するおそれが少なくなる。
以上より、船舶200は、第1垂直管10および第2垂直管20の数量が最少数に抑えられ、比較的短い水平管40が甲板204の近くに配置されるだけであるから、作業者の通行の妨げにならない。また、第3垂直管30が船楼205の側壁に近接しているから、荷揚げ作業等の邪魔になることがない。
そして、空気抜き装置300の奏する前記効果により、船舶200は装置購入コストが低く抑えられ、甲板204の汚れが防止されることになる。
さらに、船舶200は、バラストタンク201の内部に第1燃料タンク1が収容されているから、機関室202や貨物室203の容積を減らすことなく、積載する燃料の量を確保することができる。特に、かかる配置は、二重船穀化によって、機関室202に並べて配置された第2燃料タンクの容量が低減した場合に、該低減した容量を補うための燃料タンクの配置形態として有効である。
本発明は以上の構成であるから、様々な大きさで各種形態の燃料タンクに設置することができる燃料タンクの空気抜き装置として広く利用することができる。そして、タンカーや貨物船に限定されることなく、艦船、客船、さらに特殊船等に搭載される燃料タンクの空気抜き装置として広く利用することができる。
本発明の実施の形態1に係る燃料タンクの空気抜き装置を説明するものであって、模式的に示した側面視の断面図。 本発明の実施の形態2に係る船舶を説明する一部を示した側面視の断面図。 本発明の実施の形態2に係る船舶を説明する一部を示した平面図。 本発明の実施の形態2に係る船舶を説明する正面視の断面図。
符号の説明
1 第1燃料タンク
1a 天板
2 第2燃料タンク
2a 天板
10 第1垂直管
11 先端
20 第2垂直管
21 先端
22 中間部
30 第3垂直管
31 先端
40 水平管
42 中間部
50 エアーベントヘッド
81 ミスト受け
82 ミスト受け管
83 ミスト溜まり部
90 液注入ライン
100 燃料タンクの空気抜き装置(実施の形態1)
200 船舶(実施の形態2)
201 バラストタンク
202 機関室
203 貨物室
204 甲板
205 船楼
300 燃料タンクの空気抜き装置 (実施の形態2)

Claims (5)

  1. 複数の燃料タンクを具備する船舶における、燃料タンクの空気抜き装置であって、
    一方の燃料タンクの天板の略中央部に連通し、前記船舶の甲板上に立ち上がる第1垂直管と、
    他方の燃料タンクの天板の略中央部に連通し、前記船舶の甲板上に立ち上がる第2垂直管と、
    前記第1垂直管の先端と前記第2垂直管の中間部とを連通する、前記船舶の甲板に略平行な水平管と、
    前記第2垂直管の先端に設置され、通気自在であって、海水の侵入を防止するエアーベントヘッドと、
    を有する燃料タンクの空気抜き装置。
  2. 前記船舶の船尾部に機関室が配置され、前記第2燃料タンクが前記機関室の甲板寄りの範囲で、側舷に沿って配置され、
    前記機関室の船首側に貨物室が配置され、前記第1燃料タンクが前記貨物室の甲板寄りの範囲で、側舷に沿って配置され、
    前記機関室の上方に船楼が配置され、前記第1垂直管が前記船楼の側壁に沿って立設することを特徴とする請求項1記載の燃料タンクの空気抜き装置。
  3. 複数の燃料タンクを具備する船舶における、燃料タンクの空気抜き装置であって、
    一方の燃料タンクの天板の略中央部に連通し、前記船舶の甲板上に立ち上がる第1垂直管と、
    他方の燃料タンクの天板の略中央部に連通し、前記船舶の甲板上に立ち上がる第2垂直管と、
    前記第1垂直管の先端と前記第2垂直管の先端とを連通する、前記船舶の甲板に略平行な水平管と、
    該水平管の中間部に連通し、前記船舶の甲板上に立ち上がる第3垂直管と、
    前記第3垂直管の先端に設置され、通気自在であって、海水の侵入を防止するエアーベントヘッドと、
    を有する燃料タンクの空気抜き装置。
  4. 前記船舶の船尾部に機関室が配置され、前記第2燃料タンクが前記機関室の甲板寄りの範囲で、側舷に沿って配置され、
    前記機関室の船首側に貨物室が配置され、前記第1燃料タンクが前記貨物室の甲板寄りの範囲で、側舷に沿って配置され、
    前記機関室の上方に船楼が配置され、前記第3垂直管が前記船楼の側壁に沿って立設することを特徴とする請求項3記載の燃料タンクの空気抜き装置。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載の燃料タンクの空気抜き装置が装備されていることを特徴とする船舶。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016185780A (ja) * 2015-03-27 2016-10-27 三菱重工業株式会社 液化ガス収容タンク、および、船舶
JP2018122682A (ja) * 2017-01-31 2018-08-09 ホクシン産業株式会社 燃料油移送装置

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