JP2009119206A - 多層多孔足場及びその製造方法 - Google Patents

多層多孔足場及びその製造方法 Download PDF

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敏男 福田
Hironari Oura
裕就 大浦
Tomoyuki Uchida
智之 内田
Seiichi Ikeda
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Abstract

【課題】 組織再生のための多孔足場を構築するに際して、足場内部の孔密度の3次元的な空間分布をコントロールする。
【解決手段】 足場構造体の構成材料を溶解した溶液中に可溶性の粒を含ませた複合液を、該構成材料あるいは該可溶性の粒あるいはその両方の配合比率を変えて複数種類準備し、互いに配合比率の異なる前記複合液を使用して、可溶性の粒の含有量が異なる層が多層状に形成された多層構造体を得た後に、可溶性の粒を溶解して上記多層構造体中から除去する除去行程を備えることを特徴とし、該可溶性の粒のサイズあるいは含有量を変化させることによって,足場構造体中の孔密度の空間分布を3次元的にコントロールできる。これにより生体血管の多層構造を再現することや、足場表面への細胞接着性と足場の機械的特性の両立ないし独立した調整が可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、組織工学及び組織誘導再生において有用な多孔構造の多層足場及びその製造方法に関し、さらに詳しくは多層足場の各層に形成される孔について、その前後の層にかけて孔の傾斜を有する多層足場の製造方法に関する。
近年,臓器疾患を有する患者数が増加しているにも関わらず,臓器提供者(ドナー)が不足していることから,臓器の代替物としての人工組織を作り出す組織工学が注目されている.
組織工学では,細胞の増殖する足場としての多孔質な担体が非常に重要な意味を持つ.多孔足場には,細胞増殖にとって好適な多孔度と,組織としての形状を維持するための剛性が要求される.そして,細胞が担体の全体に増殖した後の剛性は人体の組織の剛性にできるだけ近いことが望ましい.
多孔足場を製造する方法として,これまでに電界紡糸(非特許文献1),三次元印刷(非特許文献2),ポロゲン抽出(特許文献1)といった方法が用いられている.その中でもポロゲン抽出は,ポロゲンの粒子サイズがそのまま孔のサイズに置き換わるため孔のサイズを定めやすいことと,任意形状の鋳型に応用できるため多孔足場の製造方法としてよく使われている.
ポロゲン抽出では,ポリマー溶液中におけるポロゲンの含有量がそのまま多孔足場の多孔度を決める.多孔度が上がると,当然足場のヤング率は下がる.従来のポロゲン抽出では,その大半が一様な多孔度の足場を造形していたため,足場全体にわたって多孔度が均一であった.
Kidoaki,S.et al.,Biomaterials 26:37 2005 Therriault,D.et al.,Advanced Materials 16:2007 2004 特許公表2005−523739
本発明では、組織再生のための足場の構築において、薄膜形状ないし複雑形状の足場にも対応し得る製造方法として、足場構造の内部に形成される孔の密度の空間分布を3次元的にコントロールすることを課題とする。
非特許文献1によってその製造方法が提案される電界紡糸法によれば、蜘蛛の巣状の微細な網目構造をスプレー状に吹き付けることができる。また条件を変えることで形成される網目構造を調整できる。従って、対象とする組織の形状に加工した鋳型(ロストワックス鋳型を含む)の表面に当該網目構造を積層する方法によって、異なった多孔構造が積層された多孔足場を形成できる。また薄膜構造の足場を形成できる。しかしながら当該方法では、網目構造を吹き付けることが必要であるため、起伏の激しい複雑形状の鋳型の表面に均一厚さの層を形成することは非常に困難である。
一方、特許文献1によれば、予め可溶性の微粒子の集合体を形成し、その内部に足場の構成材料を充填して硬化させ、最後に該可溶性微粒子を溶かし出すことで、立体的な多孔足場構造を得ることが出来る。また微粒子の集合体を、異なった粒径の可溶性微粒子によって構成することにより、多孔密度に偏りを伴う足場を形成することも可能である。しかしながら当該方法によっては、例えば非常に薄い膜状構造や、複雑に入り組んだ構造を形成することは鋳型(可溶性微粒子の集合体)の強度を確保する面からも、また鋳型に足場の構造材料を充填させる面からも困難である。
他方、非特許文献2によれば、CAD等でデザインした3次元データに基づいて、任意の3次元形状の足場を造形することが可能である。しかしながら、足場に要求される
法は数cmから数十cm程度と大きく、3次元造形装置によってはこのようなミクロ構造の形成とマクロ構造の形成を両立することは実用上困難である。
このため、複雑形状ないし薄膜構造の組織再生用足場を、足場内部の孔の密度分布を3次元的にコントロールした上で、造形する手法は従来では存在せず、その実現が望まれ
造を形成することや、足場の機械的コンプライアンスを生体組織に近づけることなどが可能となる。すなわち足場と生体の生理学的及び力学的なミスマッチに伴って生じる種々の機能障害を低減できる。
上記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、多孔構造を有する組織再生のための足場構造体であって、
異なる多孔密度を有する複数の層が重なり合った多層構造を備える、
ことを特徴とし、細胞の接着に好適な多孔構造と足場としての強度維持に好適な微孔構造を両立できる。
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の多孔構造を有する組織再生のための足場構造体であって、
当該多層構造は、さらに各層の内部において孔の密度分布に空間的な勾配を有する、
ことを特徴とし、それぞれの層が独立して,細胞の接着に好適な多孔構造と足場としての強度維持に必要な微孔構造を両立できる。
さらに請求項3記載の発明は、請求項1から請求項2記載の多孔構造を有する組織再生のための足場構造体であって、当該足場構造体はPLCL(Poly−L−lactide−co−ipsilon−caprolactone)により構成される、ことを特徴とし、組織にとって好適な細胞密度と強度を有するとともに,生体内移植後の分解性も兼ね備える。
請求項4記載の発明は、多孔構造を有する組織再生のための足場構造体の製造方法であって、
(1)当該足場構造体の構成材料を溶解した溶液中に可溶性の粒を含ませた複合液を、該構成材料あるいは該可溶性の粒あるいはその両方の配合比率を変えて、複数種類作成する準備行程と、
(2)互いに配合比率の異なる前記複合液を使用して、可溶性の粒の含有量が異なる層が多層状に形成された多層構造体を得る形成行程と、
(3)可溶性の粒を溶解して、上記多層構造中から除去する除去行程と、
を備えることを特徴とし、該可溶性の粒のサイズあるいは含有量を変化させることによって所望の多孔度および強度を達成できる製造方法である。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の多孔構造を有する組織再生のための足場構造体の製造方法であって、
当該形成行程において、
既に形成された層(以下、単に既形成層と称する)の表面に、さらなる層(以下、追加層と称する)を形成するために、前記複合液を接触させた場合において、当該複合液が既形成層の一部ないし全てを溶解し、これによって該既形成層と追加層の間で前記可溶性の粒の移動が行われる、
ことを特徴とし、該既形成層から追加層に向けて多孔度の勾配が自律的に生成される製造方法である。
請求項6記載の発明は、請求項4から請求項5記載の多孔構造を有する組織再生のための足場構造体の製造方法であって、
前記構成材料は、PLCL(Poly−L−lactide−co−ipsilon−caprolactone)である、
ことを特徴とし、可溶性の粒のサイズあるいは含有量を変化させることによって,多孔度及び孔のサイズが調節された生分解性ポリマーの製造方法である。
本発明によれば、組織再生のための多孔足場を構築するに際して、足場内部の孔密度の3次元的な空間分布をコントロールできる。これによれば、例えば生体動脈の多層
着に好適なした表面構造を形成することや、足場の機械的コンプライアンスを生体組織に近づけることなどが可能となる。すなわち足場と生体の生理学的及び力学的なミスマッチに伴って生じる種々の機能障害を低減
以下、本発明の最良の形態について詳細に説明する。
(多孔足場)
本発明の多孔足場は、組織再生の足場として使用することを目的とし、細胞の浸透や細胞外マトリックス並びに細胞成長因子の物理的な接着に必要な多孔構造を備え、当該多孔の濃度分布に関して空間的な傾斜性(偏り)を有するものとする。ここで本発明の足場は多層構造からなり、かかる空間的な傾斜性は、マクロ的には各層毎で多孔度を変化させることによって生じるものとし、かつミクロ的には単一の層内において多孔度に空間的な傾斜性(偏り)を持たせることによって生じるものとする。
当該多孔足場は、細胞の接着基質として作用し、細胞の成長を促し、細胞の生体内における機能を維持していく必要があるため、該多孔足場の構成材料は生体適合性に優れ、尚且つ生分解性を兼ね備えたものであることが好ましい。また該多孔足場は、移植後に生体内でその形状を保持するうえで好適な機械的特性、特に十分な強度を有することが必要である。例えば、足場内で成長している細胞によって加えられる収縮力に足場が耐えることなどが必要である。このことから、当該多孔足場の構成材料は、対象とする組織に応じて適切な強度を備える必要がある。
(基質材料)
本発明に好適な多孔足場の構成材料(以下、基質材料と称する)としては生体適合性と生分解性を備えた各種ポリマーが挙げられる。例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトンなどが利用できる。特に血管など機械的強度を要求される身体器官のための基質材料としては、PLCL(Poly−L−lactide−co−ipsilon−caprolactone)やPGS(Polygrycerol Sebacate)が好適である。
(多孔足場の形成方法)
本発明では、足場への孔の形成に際して、可溶微粒子を溶出することによって孔を形成する方法(以下、溶出法と称する)を採用する。
本発明の溶出法においては、まず対象とする身体器官に応じて選択的に決定された基質材料を溶剤に溶解するとともに、同溶液中に上記の可溶微粒子を混入させて、基質材料と可溶微粒子の混合液(以下、ポリマー溶液と称する)を作成する。かかるポリマー溶液は、可溶微粒子の混入割合を変化させたものを複数種類用意する。ここでの混入割合は、対象とする身体器官等によって随時決定する。
次に、鋳型或いは足場の核を成す基材の表面に当該ポリマー溶液を膜状に配置して、ポリマーを硬化させる。続いてこの膜構造をポリマー溶液中の可溶微粒子の混入割合を変化させながら多層状に形成する。必要とする多層膜構造を形成した後に、溶剤や加熱等の手段によって各層に含有された上記可溶微粒子を選択的に溶かして除去し、これによって、空間的に多孔の密度が異なる多孔足場を形成する。
ポリマー溶液を膜状に配置しながら多層を形成するための方法としては、底が平らなディッシュ等を注型鋳型として使用することや、刷毛やスプレー等を利用して鋳型や基材の表面にポリマー溶液を塗布することや、ディップコーティング法により鋳型や基材の表面にポリマー溶液をコートすることなどが挙げられる。
特にディップコーティングを行う場合には、ポリマー溶液の粘度を調整することで、形成される層の厚さを調整することが可能である。一例として、PLCLを多孔足場の基質材料として用い、ポリマー溶液の溶剤としてクロロホルムを使用する場合には、溶剤に対する基質材料の濃度を0〜25wt%、より好ましくは10〜20wt%とすることが好適である。
なお、ポリマー溶液を多層状に形成する際には、例えば第1層を形成した後に、第2層分のポリマー溶液を塗布した状態において、当該弟2層分のポリマー溶液に含まれる溶剤が、既に硬化状態にある上記の弟1層を0%から100%の範囲で溶解することができる(溶解の程度は、使用する材料の組み合わせと、第2層形成分のポリマー溶液が(硬化するまでの間)第1層に接触する時間に依存する)。この特性を利用することで、第1層に含まれていた可溶微粒子の一部が第2層へ移動する。これによって、第1層の層内と、第2層の層内のそれぞれにおいて、孔の密度分布に勾配(傾斜性)が生じる(一例として、第1層、第2層より高濃度の可溶微粒子を含む場合には、第1層の界面近傍の可溶微粒子が、第2層の界面近傍へ移動する)。すなわち、第1層と、第2層の形成に際して、可溶微粒子の濃度が異なるポリマー溶液を使用した場合、第1層と第2層の間で可溶微粒子の濃度が異なるだけでなく、第1層と第2層のそれぞれの層内においても可溶微粒子の濃度に勾配を生じることができる。この結果、第1層から第2層に掛けて、可溶微粒子の濃度勾配を連続的に変化させることが可能である。このことは第3層以降を形成した場合においても同様である。なお、3層以上を形成した場合においては、第1層に含まれる可溶微粒子を、第3層以降にまで拡散させることも可能であり、多層間に渡って連続的な多孔密度の濃淡を形成できる。多孔密度は、第1層から一方的に上昇させることも可能であり、一方的に降下させることも可能であり、あるいは多層の中で上昇や降下を繰り返すことも可能である。特に多層の中に無孔の層をいくつか介在させることなども可能である。
なお、前記の可溶微粒子の溶解過程では、該可溶微粒子のみが選択的に溶解されることが必要であり、基質材料が影響を受けてはならない。このためには、可溶微粒子のみを選択的に溶解できるような、可溶微粒子材料と基質材料と溶剤の組み合わせを選択することが必要である。あるいは、温度により可溶微粒子のみを選択的に溶解できるような、可溶微粒子材料と基質材料の組み合わせを選択することが必要である。
なお、上記において可溶微粒子の除去は、溶解によらずとも、振動や非接触破壊等の手段により行うことも可能である。
(可溶微粒子)
上記の多孔形成に用いる可溶微粒子の構成材料(可溶微粒子材料と称する)は、本質的に生体に適合性を示し、無毒性であることが好ましい。かつ前記のように、該可溶微粒子材料は、基質材料に影響を及ぼすことなく、加熱や溶剤により選択的に溶解できる必要がある。
かかる可溶微粒子材料としては、水に可溶であることを特徴とする糖や塩化ナトリウムの結晶等が利用できる。
また可溶微粒子の直径は、足場に形成される孔の径に反映される。従って、足場に形成される孔の径を決定する上では、当該可溶微粒子の直径が一定の範囲に統一することが好ましい。異なった直径の可溶微粒子の集合から、特定範囲の微粒子を抽出するための方法としては、荒さの異なる2種類の篩を使用することなどが挙げられる。
以下では、本発明について、2層構造の多孔人工血管足場の製造を例に取り、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
まず本発明の 行程を実施するために必要となるロストワックスモデルを作成するべく、人の内径動脈分岐部における血管内腔領域の形状を模擬した内径約4〜6mm、長さ約6cmのY字形状を成す血管立体模型をパラフィンにより作成した。次に当該血管立体模型の周囲全体を覆うように形状を加工した外鋳型を作成した。なお、該外鋳型の形成に際しては、前記血管立体模型と当該外鋳型の間に、厚さ1mmの膜状の空隙が形成されるようにした。
次に、前記血管立体模型と前記外鋳型を組み合わせ、両者の間に生じた前記膜状の空隙にPVA(ポリビニルアルコール)を注型してこれを硬化させた。最後に、外鋳型を取り外すとともに、70□の加熱によりパラフィンからなる血管立体模型を溶融して除去することによって、血管構造を模擬したPVAからなる膜状のロストワックスモデルを作成した。
なお上記では、複雑形状の鋳型にPVAを注型することでロストワックスモデルを作成したが、これとは別に、前記血管立体模型の表面にPVAをディップコートして、該PVAの硬化後に該血管立体模型を除去する方法によっても同様な結果が得られることを実験により確認している。
次に、上記により得られたロストワックスモデルの表面にディップコートするためのポリマー溶液を準備した。以下、当該ポリマー溶液と当該ディップコート行程について説明する。
本実施例では、多層多孔足場の構成材料として生分解性を有することを特徴とするPLCLを選択し、当該PLCLと水溶性の塩微粒子をクロロホルムに混合することによって、前記のポリマー溶液を作成した。本実施例では2層構造の多孔足場を製造することを目的として、塩微粒子の配合量が異なる2種類のポリマー溶液を作成した。具体的には、足場の内層形成に使用するポリマー溶液1では、塩微粒子のPLCLに対する重量比を80:20とし、外層形成に使用するポリマー溶液2では、塩微粒子のPLCLに対する重量比を20:80とした。なお、準備した2種類のポリマー溶液において、PLCLのクロロホルムに対する重量比は共に5:100とした。前記塩微
次に、前記ロストワックスモデル全体を前記ポリマー溶液1に漬浸した後、鉛直方向に速度3.0mm/secで引き上げてディップコートを行った。ロストワックスモデルがポリマー溶液中から完全に引き上げられた後、当該ロストワックスモデルを大気中に2分間保持することでポリマー溶液中のクロロホルムを揮発させ、ポリマーを硬化させた。次に、再度該ロストワックスを前記ポリマー溶液1に漬浸して、同様な手順を反復実施し、ポリマー溶液1に対して合計6回目のディップコートを行った。なお、前記ロストワックスモデルの表面に均一にコーティングを施すべく、前半の3回のコーティングと、後半の3回のコーティングで、ロストワックスモデルの漬浸の向きを逆さとした。
合計6回のディップコーティングを終えた後には、ロストワックスモデルを10分間大気中にて保持し、クロロホルムを十分に揮発させた。
次に、ポリマー溶液1がコートされた前記ロストワックスモデルの全体を前記ポリマー溶液2に漬浸して、15秒間保持した後、鉛直方向に速度3.0mm/secで引き上げてディップコートを行った。ロストワックスモデルがポリマー溶液中から完全に引き上げられた後、当該ロストワックスモデルを大気中に2分間保持することでポリマー溶液中のクロロホルムを揮発させ、ポリマーを硬化させた。
上記において、15秒間に渡ってポリマー溶液中にロストワックスモデルを保持することで、ポリマー溶液1により形成された内層の表面近傍に含有される塩微粒子を内層の外部に拡散し流出させた。この塩微粒子は、ポリマー溶液2の塩微粒子の濃度を部分的に高めるため、結果、上記のポリマー溶液2に対するディップコーティングによって得られた層は、通常ポリマー溶液2により得られる層より高い塩粒子濃度を有した。これによって内層と外層の間に、塩微粒子の濃度に関する空間的な勾配(グラデーション)を持たせた。
同様な手順を反復実施し、ポリマー溶液2に対して合計6回目のディップコートを行った。ここで、ポリマー溶液2に対する2回目以降の合計5回のディップコートでは、ポリマー溶液2にロストワックスモデルを漬浸した後、その状態を保持することなく、即座に引き上げを行った。ここで、前記した塩微粒子の拡散流出は各コーティング時において常に生じるが、コーティングを重ねるごと塩微粒子の拡散量は徐々に低減されるため、塩微粒子の濃度に関して空間的な勾配(グラデーション)が形成される。
ポリマー溶液2に対する合計6回のディップコーティングのそれぞれの過程において、ポリマー溶液2にロストワックスモデルを漬浸する時間を調整することで、塩微粒子の濃度に関して空間的な勾配の傾きを調整できることを確認している。
なおポリマー溶液2に対するディップコーティングでは、前記ロストワックスモデルの表面に均一にコーティングを施すべく、前半の3回のコーティングと、後半の3回のコーティングで、ロストワックスモデルの漬浸の向きを逆さとした。ポリマー溶液2に対して合計6回のディップコーティングを終えた後には、ロストワックスモデルを10分間大気中にて保持し、クロロホルムを十分に揮発させた。
次に、上記によって得られた構造体を水に浸漬し、上記のように形成された内層と外層に含まれる塩微粒子と、PVAからなるロストワックスモデルとを、溶解ないし溶出して除去した。なお、当該構造体の水への浸漬時間は24時間とし、50□に保持することによって塩微粒子並びにロストワックスモデルの溶解を促した。
以上のプロセスによって、内層から外層にかけて孔の密度分布に傾斜性(勾配)を有する生分解性ポリマーPLCLから成る多孔多層人工血管足場を得た。
以上の実施例及び好ましい実施形態の説明は、特許請求の範囲によって定義される本発明を例示するものであって、限定するものと解釈すべきではない。容易に理解されるように、特許請求の範囲に記載の本発明から逸脱しない限りにおいて、多くの変更及び上記の特徴の組合せを利用する事ができる。そのような変更は、本発明の精神及び範囲からの逸脱と見なされるものではなく、そのような変更は全て特許請求の範囲に含まれる。
多層足場を構築する手順である。
符号の説明
1.ロストワックスモデル
2.内層

Claims (6)

  1. 多孔構造を有する組織再生のための足場構造体であって、
    異なる多孔密度を有する複数の層が重なり合った多層構造を備える、
    ことを特徴とする組織再生のための多孔足場。
  2. 請求項1記載の多孔構造を有する組織再生のための足場構造体であって、
    当該多層構造は、さらに各層の内部において孔の密度分布に空間的な勾配を有する、
    ことを特徴とする請求項1記載の多孔足場。
  3. 請求項1から請求項2記載の多孔構造を有する組織再生のための足場構造体であって、当該足場構造体はPLCL(Poly−L−lactide−co−ipsilon−caprolactone)により構成される、
    ことを特徴とする請求項1から請求項2記載の多孔足場。
  4. 多孔構造を有する組織再生のための足場構造体の製造方法であって、
    (1)当該足場構造体の構成材料を溶解した溶液中に可溶性の粒を含ませた複合液を、該構成材料あるいは該可溶性の粒あるいはその両方の配合比率を変えて、複数種類作成する準備行程と、
    (2)互いに配合比率の異なる前記複合液を使用して、可溶性の粒の含有量が異なる層が多層状に形成された多層構造体を得る形成行程と、
    (3)可溶性の粒を溶解して、上記多層構造中から除去する除去行程と、
    を備えることを特徴とする多孔足場の製造方法。
  5. 請求項4記載の多孔構造を有する組織再生のための足場構造体の製造方法であって、
    当該形成行程において、
    既に形成された層(以下、単に既形成層と称する)の表面に、さらなる層(以下、追加層と称する)を形成するために、前記複合液を接触させた場合において、当該複合液が既形成層の一部ないし全てを溶解し、これによって該既形成層と追加層の間で前記可溶性の粒の移動が行われる、
    ことを特徴とする請求項4記載の多孔足場の製造方法
  6. 請求項4から請求項5記載の多孔構造を有する組織再生のための足場構造体の製造方法であって、
    前記構成材料は、PLCL(Poly−L−lactide−co−ipsilon−caprolactone)である、
    ことを特徴とする請求項4から請求項5記載の多孔足場の製造方法。
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