JP2009118764A - センター入りグミキャンディおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】糖類、酸および該酸によって加水分解されたゲル化剤を含む液状のセンターならびに該センターを被覆するグミから構成され、前記センターの割合が3〜60重量%であることを特徴とするセンター入りグミキャンディ。該センター入りグミキャンディは、充填時に糖類、酸およびゲル化剤を含むセンターをグミで被覆してグミキャンディを得る工程、次いで、得られたグミキャンディを30〜90℃で加熱することで前記センター中のゲル化剤を酸加水分解させて前記センターを液状化させる工程を経て製造される。
【選択図】なし
Description
例えば、液状食品を含むセンター部分をシェル膜で被覆したセンター・イン・シェル構造のグミを簡単な方法で製造する方法の提案もなされている(例えば、特許文献2参照)。この方法ではセンターとなる液状の材料濃厚液がシェル中に封入され、センター中に含まれる多価金属イオンがシェル膜中のアルギン酸などのゲル化剤をゲル化することでシェル膜が固化され、センター・イン・シェル構造のグミキャンディが成型されている。しかしながら、ゼラチンを主成分としたグミキャンディにペクチンやアルギン酸のようなゲル化剤を付加すると、ゲル化剤に依存して、ゼラチンとゲル化剤が干渉しあい、ゼラチン独特の食感が発揮できない状態になってしまう。つまり、食感を損なわないままセンター入りグミキャンディを作製する技術に関しては、依然として解決されていないままである。さらに、多価金属イオンに依存してゲル化するゲル化剤の使用に限定されてしまうことで、単様な食感を有するグミキャンディへの応用にとどまってしまっている。
すなわち本発明の要旨は、
(1) 糖類、酸および該酸によって加水分解されたゲル化剤を含む液状のセンターならびに該センターを被覆するグミから構成され、前記センターの割合が3〜60重量%であることを特徴とするセンター入りグミキャンディ、
(2) 前記センターに配合される酸の割合が0.1〜30重量%の範囲である前記(1)記載のセンター入りグミキャンディ、
(3) 前記センターに酸100重量部に対してゲル化剤0.1〜30重量部を配合する前記(1)または(2)記載のセンター入りグミキャンディ、
(4) 前記センター中のゲル化剤が30〜90℃の範囲内で酸加水分解され得るゲル化剤である前記(1)〜(3)いずれか記載のグミキャンディ、
(5) 充填時に糖類、酸およびゲル化剤を含むセンターをグミで被覆してグミキャンディを得る工程、および
次いで、得られたグミキャンディを30〜90℃で加熱することで前記センター中のゲル化剤を酸加水分解させて前記センターを液状化させる工程
を有することを特徴とするセンター入りグミキャンディの製造方法
に関する。
本発明のセンター入りグミキャンディは、糖類、酸および該酸によって加水分解されたゲル化剤を含む液状のセンターならびに該センターを被覆するグミから構成され、前記センターの割合が3〜60重量%であることを特徴とする。かかる特徴を有することで、本発明のセンター入りグミキャンディが咀嚼された場合、液体ならではの高いフレーバーリリースが生じ、また咀嚼した際の食感の変化も楽しめるという優れた効果が奏される。
本発明で使用されるセンターの主な構成成分は、糖類、酸およびゲル化剤である。
まず、前記糖類と前記ゲル化剤を攪拌混合後、加熱溶解させる。加熱溶解させる温度としては、特に限定はない。
次いで、加熱溶解した溶液がゲル化しない程度の温度まで冷却をおこない、該溶液に対し0.1〜30.0%の重量となるように酸を攪拌混合する。
前記冷却温度としては、原料の種類と組み合わせにより一概に限定できないが、80℃以下であればよく、40〜60℃が好ましい。
なお、前記任意成分は、その種類により、上記の工程のうち適当な段階でセンター材料として混合すればよい。
前記センターを被覆するシェルとなるグミの主な構成成分は、ゼラチンと糖類である。
ゼラチンとしては、牛、豚、鶏、魚類などの皮、骨などから抽出したものを使用するのが一般的であるが、本発明はこれに限定するものではない。また、それぞれ酸処理、アルカリ処理といった処理方法の仕方で食感が変わってくる。本発明では、これら処理の異なる各種のゼラチンも当然使用できる。
前記ゼラチンの配合量は、グミ中において3〜20重量%が好ましく、7〜15重量%がより好ましい。
前記糖類の配合量は、グミ中において、80〜97重量%が好ましく、80〜90重量%がより好ましい。
ただし、酸味料としてクエン酸などの酸および前記ゲル化剤がグミ中に配合される場合、ゲル化剤100重量部に対する酸の配合量は10重量部以下であることが好ましく、4重量部以下であることがより好ましい。
例えば、適当な強度、例えば、ゼラチンを水に溶解し膨潤させて、適当な温度、例えば60℃付近で保温しておく。これとは別に、砂糖と水飴からなる糖液を作っておき、先の保温しておいたゼラチン溶液、必要であれば前記任意成分と攪拌混合することでグミ材料濃厚液とする。
なお、前記任意成分は、その種類により、上記の工程のうち適当な段階でセンター材料として混合すればよい。
本発明のセンター入りグミキャンディの製造方法は、
充填時に糖類、酸およびゲル化剤を含むセンターをグミで被覆してグミキャンディを得る工程、および
次いで、得られたグミキャンディを30〜90℃で加熱することで前記センター中のゲル化剤を酸加水分解させて前記センターを液状化させる工程
を有することを特徴とする。
また、本発明ではグミキャンディを成型した後にセンターを液状化させることができるため、液状化したセンターをグミで被覆している公知の製造方法と異なり、センターが液状であることが原因で生じる製造時の取り扱う難さがなく、液状感のコントロールが可能であるという利点がある。
本発明においては、充填時に糖類、酸およびゲル化剤を含むセンターをグミで被覆してグミキャンディを得る。
具体的には、前記センター材料濃厚液と、前記グミ材料濃厚液とを別々に調製し、それらを各種の成型方法に供してセンターをグミで被覆する。
また、前記充填時、スターチモールドにおいて、組成が同一または相違する複数のセンター材料濃厚液をグミ材料濃厚液で被覆した場合、少なくとも一つのセンター材料濃厚液がグミで被覆されていればよく、全てのセンター材料濃厚液がグミで完全に被覆されている必要はない。
また、センター材料濃厚液の充填方法、充填後のグミ中におけるセンター材料濃厚液の配置、形状について、特に限定はない。例えば、センター材料濃厚液の配置や充填量を均一にしてもよいが、偏在させることで噛み心地を変化させることが可能になる。また、複数のセンター材料濃厚液を用いる場合、各センター材料濃厚液中の酸の配合量を変えることで酸化加水分解の程度に違いが生じるため、噛み心地およびフレーバーリリースの変化を楽しむことができる。
<センター材料濃厚液の調製>
還元水飴200.0gおよび寒天3.0gを攪拌混合後、90℃で加熱溶解し60℃まで冷却後、クエン酸30.0gを添加し、固形分として70%になるよう水にて調整し、これを常温にて保持しておく。
砂糖200.0g、水飴200.0g、澱粉36.0gを攪拌混合後、110℃になるまで加熱濃縮する。これに、ゼラチン80.0gを水120.0gで膨潤し60℃保温にて溶解させた溶液を攪拌混合し、更にクエン酸10.0g、適量のグレープ香料を加えて攪拌混合した後、固形分として70%となるよう水にて調整し、これを70℃で保温しておく。
前記センター材料濃厚液とシェル材料濃厚液とを同心円ノズルを用いて15:85の重量比率で型内に充填しセンター・イン・シェル構造を得る。その後60℃にて約24時間加熱乾燥をおこない、常温になるまで冷却後、デパウダー、オイリングをおこないセンター入りグミキャンディを得た。このようにして得られたグミキャンディは、外観も良くセンターが液体でありながら高いフレーバーリリースを有していた。また、このグミキャンディを咀嚼した際には、センター液が口中に広がり、その後にゼラチン特有の弾力とコシのある食感の変化を楽しめるという、経時的な食感の変化が良好なものであった。上記のセンター入りグミキャンディのセンターをB型粘度計(東機産業株式会社製「TVB−10型粘度計」)にて測定したところ、粘度は4.78Pa・sであった(回転数:20rpm、Spindle No.H6)。
<センター材料濃厚液の調製>
還元水飴200.0gおよび寒天3.0gを攪拌混合後、90℃で加熱溶解し60℃まで冷却後、クエン酸30.0gを添加し、固形分として70%になるよう水にて調整し、これを常温にて保持しておく。
砂糖200.0g、水飴200.0g、澱粉36.0gを攪拌混合後、110℃になるまで加熱濃縮する。これに、ゼラチン80.0gを水120.0gで膨潤し60℃保温にて溶解させた溶液を攪拌混合し、さらにクエン酸10.0g、適量のグレープ香料を加えて攪拌混合した後、固形分として70%となるよう水にて調整し、これを70℃で保温しておく。
前記センター材料濃厚液とシェル材料濃厚液とを同心円ノズルを用いて15:85の重量比率で型内に充填しセンター・イン・シェル構造を得る。その後加熱せずに25℃にて約24時間間放置後、デパウダー、オイリングをおこないセンター入りグミキャンディを得た。このようにして得られたグミキャンディは、外観はよいがセンターの液体感が弱く、高いフレーバーリリース、咀嚼した際の食感の変化が乏しいものとなった。上記のセンター入りグミキャンディのセンターをB型粘度計(東機産業株式会社製TVB−10型粘度計)にて測定したところ、粘度は16.71Pa・sであった(回転数:20rpm、Spindle No.H6、以下、同じ)。
この数値から、得られた粘度は実施例1と比べて3倍以上もあることから、実施例1のグミキャンディのセンターは、顕著に液状化していることが分かった。また、比較例1で得られたグミキャンディを咀嚼してみたところ、実施例1で得られたグミキャンディと比べて、フレーバーリリースが少なく、経時的な食感の変化も少ないものであった。
<センター材料濃厚液の調製>
水飴200.0gおよびイオタカラギーナン0.5gを攪拌混合後、95℃で加熱溶解し60℃まで冷却後、クエン酸30.0g、コエンザイムQ10を0.5g、適量のグレープ香料、グレープ色着色料を添加し、固形分として70%になるよう水にて調整し、これを常温にて保持しておく。
砂糖200.0g、還元水飴200.0g、果糖ブドウ糖液糖100.0gを攪拌混合後、110℃になるまで加熱濃縮する。これに、ゼラチン70.0gを水98.0gで膨潤し60℃保温にて溶解させた溶液を攪拌混合し、さらにクエン酸15.0g、ブラックカーラント濃縮果汁15.0g、適量のカシス香料、黒色着色料を加えて攪拌混合した後、固形分として70%となるよう水にて調整し、これを70℃で保温しておく。
前記センター材料濃厚液とシェル材料濃厚液とを同心円ノズルを用いて30:70の重量比率で型内に充填しセンター・イン・シェル構造を得る。その後40℃にてグミ水分値が18%になるまで加熱乾燥をおこない、常温になるまで冷却後、デパウダー、オイリングをおこないセンター入りグミを得た。このようにして得られたグミキャンディは、センターが液体(粘度:10Pa・s以下)であり、高いフレーバーリリースを有し、咀嚼した際の経時的な食感の変化も良好で液体センター入りソフトカプセルのように嚥下し易いものであった。また、シェルとなるグミ部分が黒色であり光を遮断することから、コエンザイムQ10の分解を緩和する効果も期待できるものとなった。
<センター材料濃厚液の調製>
砂糖80.0g、還元水飴85.0gおよび寒天3.0gを攪拌混合後、95℃で加熱溶解し60℃まで冷却後、クエン酸20.0g、適量のリナロール、赤色着色料を添加し、固形分として70%になるよう水にて調整し、これを常温にて保持しておく。
砂糖200.0g、還元水飴200.0g、果糖ブドウ糖液糖100.0gを攪拌混合後、110℃になるまで加熱濃縮する。これに、ゼラチン80.0gを水120.0gで膨潤し60℃保温にて溶解させた溶液を攪拌混合し、さらにクエン酸10.0g、適量のピーチ香料を加えて攪拌混合した後、固形分として70%となるよう水にて調整し、これを70℃で保温しておく。
前記センター材料濃厚液とシェル材料濃厚液とを同心円ノズルを用いて20:80の重量比率で型内に充填しセンター・イン・シェル構造を得る。その後40℃にてグミ水分値が18%になるまで加熱乾燥をおこない、常温になるまで冷却後、デパウダー、オイリングをおこないセンター入りグミキャンディを得た。このようにして得られたグミキャンディは、センターが液体(粘度:10Pa・s以下)であることからリラクゼーション効果があるとされるリナロールの香りを十分感じることができると共に、咀嚼した際の経時的な食感の変化も良好なものであった。
<センター材料濃厚液Aの調製>
還元水飴200.0gおよび寒天0.5gを攪拌混合後、90℃で加熱溶解し60℃まで冷却後、クエン酸23.0gを添加し、固形分として70%になるよう水にて調整し、これを常温にて保持しておく。
還元水飴200.0gおよびカラギーナン3.0gを攪拌混合後、90℃で加熱溶解し、クエン酸0.5gを添加し、固形分として70%になるよう水にて調整し、これを常温にて保持しておく。
砂糖200.0g、還元水飴200.0g、澱粉36.0g、ペクチン3.0gを攪拌混合後、110℃になるまで加熱濃縮する。これに、ゼラチン80.0gを水120.0gで膨潤し60℃保温にて溶解させた溶液を攪拌混合し、さらにクエン酸10.0g、適量のグレープ香料を加えて攪拌混合した後、固形分として70%となるよう水にて調整し、これを70℃で保温しておく。
前記センター材料濃厚液AおよびBとシェル材料濃厚液とを3重の同心円ノズルを用いてセンター材料濃厚液Aが中心部にくるように、10:15:75の重量比率で型内に充填しセンター・イン・シェル構造を得る。その後60℃にて約72時間加熱乾燥を行い、常温になるまで冷却後、デパウダー、オイリングをおこない2種類のセンターを有するグミキャンディを得た。このようにして得られたグミキャンディは、外観もよく、咀嚼した際の経時的な食感の変化が良好なだけでなく、2種類のセンターが液化しており(粘度:10Pa・s以下)、かつその液化の程度も異なるため、実施例1のものに比べて噛み心地がより複雑なものであり、また高いフレーバーバーリリースを有したものであった。
Claims (5)
- 糖類、酸および該酸によって加水分解されたゲル化剤を含む液状のセンターならびに該センターを被覆するグミから構成され、前記センターの割合が3〜60重量%であることを特徴とするセンター入りグミキャンディ。
- 前記センターに配合される酸の割合が0.1〜30重量%の範囲である請求項1記載のセンター入りグミキャンディ。
- 前記センターに酸100重量部に対してゲル化剤0.1〜30重量部を配合する請求項1または2記載のセンター入りグミキャンディ。
- 前記センター中のゲル化剤が30〜90℃の範囲内で酸加水分解され得るゲル化剤である請求項1〜3いずれか記載のグミキャンディ。
- 充填時に糖類、酸およびゲル化剤を含むセンターをグミで被覆してグミキャンディを得る工程、および
次いで、得られたグミキャンディを30〜90℃で加熱することで前記センター中のゲル化剤を酸加水分解させて前記センターを液状化させる工程
を有することを特徴とするセンター入りグミキャンディの製造方法。
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