JP2009117086A - 温度調節機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電源体の過度の温度上昇や温度低下を抑制することができる温度調節機構を提供する。
【解決手段】 電源体(2)及び第1の液体(4a)を収容し、熱伝達部材と接触するケース(3)と、第1の液体よりも熱伝導率の低い第2の液体(4b)をケースに供給するとともに、ケースに供給された第2の液体をケースの外部に移動させるための駆動手段(5)とを有する。駆動手段は、ケースの内部を第1の液体で満たす第1の状態と、ケースのうち熱伝達部材と接触する側の領域に第2の液体の層を形成する第2の状態との間で動作する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電源体の過度の温度上昇や温度低下を抑制することのできる温度調節機構及び、この温度調節機構を備えた車両に関するものである。
従来、電気モータからの駆動力により走行するハイブリッド自動車、燃料電池車および電気自動車などがある。これらの車両では、電気モータに供給される電力を蓄える二次電池又は電気二重層キャパシタ(コンデンサ)が搭載されている。ここで、二次電池の性能や寿命は、環境温度に大きく依存し、特に、高温時に充放電を行うと、二次電池が劣化してしまうことがある。
そこで、高温時における二次電池の劣化を抑制するために、二次電池を冷却するための構成が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
ここで、図11に示すように、ケース111の内部に二次電池112及び液体113を収容した電池パック110を、車両本体(例えば、フロアパネル)200に接触させたものがある。この構成では、二次電池112で発生した熱を、液体113を介してケース111に伝達させ、ケース111から大気中に放出させたり、ケース111に接触した車両本体200に伝達させたりしている。これにより、二次電池112の温度上昇を抑制している。
特開平10−199497号公報 特開平10−208781号公報 特開平11−307139号公報
しかしながら、上述した電池パック110を車両本体200に接触させたままの構成では、以下に説明する不具合が生じてしまう。
図11に示す構成では、電池パック110が車両本体200に常に接触しているため、環境温度によっては、電池パック110が過度に冷却されたり、過度に加熱されたりしてしまうことがある。
例えば、冬においては、車両本体200の温度が氷点下に到達することがあり、この場合には、車両本体200に接触した電池パック110(二次電池112)が過度に冷却されてしまう。また、夏においては、車両本体200の温度が上昇し、車両本体200に接触した電池パック110が過度に加熱されてしまう。
ここで、二次電池においては、所定の温度範囲内において、十分な電池特性(充電特性や放電特性)を得ることができる。そして、二次電池の温度が上記温度範囲の下限値よりも低かったり、上限値よりも高かったりする場合には、十分な電池特性を得ることができない。
したがって、電池パック110を車両本体200に接触させたままの構成では、電池パック110の過度の冷却や加熱が生じ、十分な電池特性を得ることができないことがある。
そこで、本発明の目的は、電源体の過度の温度上昇や温度低下を抑制することができる温度調節機構と、この温度調節機構を備えた車両を提供することにある。
本発明は、電源体の温度調節に用いられる温度調節機構であって、電源体及び第1の液体を収容し、熱伝達部材と接触するケースと、第1の液体よりも熱伝導率の低い第2の液体をケースに供給するとともに、ケースに供給された第2の液体をケースの外部に移動させるための駆動手段とを有する。そして、駆動手段は、ケースの内部を第1の液体で満たす第1の状態と、ケースのうち熱伝達部材と接触する側の領域に第2の液体の層を形成する第2の状態との間で動作することを特徴とする。
ここで、第2の液体を、第1の液体よりも比重を大きくし、第2の状態において、ケースの下部に上記層を形成することができる。また、第2の液体を、第1の液体よりも比重を小さくし、第2の状態において、ケースの上部に上記層を形成することができる。
一方、ケースの内部において第1及び第2の液体を仕切るための仕切り部材を設け、ケースへの第2の液体の供給に応じて仕切り部材を弾性変形させて、ケースの内部に第2の液体の層を形成させることができる。ここで、ケースのうち熱伝達部材と接触する壁部に対して、ケースの内部における第1及び第2の液体の界面位置の変化に応じて、第1の液体との接触面積を連続的又は段階的に変化させる面を設けることができる。
また、ケース内の領域を、電源体及び第1の液体を収容する第1の領域と、第1及び第2の液体を収容可能な第2の領域とに仕切るための仕切り部材を設けることができる。
一方、駆動手段の駆動を制御する制御手段を設けることができる。この場合において、電源体及び熱伝達部材の温度に関する情報に基づいて、駆動手段の駆動を制御することができる。
駆動手段としては、第2の液体を移動させるためのポンプと、ケースの外部に移動した第2の液体を収容するための容器とで構成することができる。
本発明の温度調節機構は、車両に搭載することができる。この場合において、ケースを車両本体から離れた位置に配置し、熱伝達部材をケース及び車両本体に接触させることができる。また、熱伝達部材を車両本体とすることもできる。
本発明によれば、電源体の冷却を行いつつも、環境温度によって電源体の温度が過度に上昇したり低下したりするのを抑制することができる。
すなわち、本発明によれば、周辺環境によって熱伝達部材が過度に冷却又は加熱されても、ケースの内部に第2の液体の層を形成する(言い換えれば、第2の状態とする)ことで、熱伝達部材と、電源体に接触する第1の液体との間における熱移動を抑制できる。これにより、ケース内の電源体が過度に冷却又は加熱されるのを抑制することができる。また、電源体が発熱した場合には、ケースの内部を第1の液体で満たす(言い換えれば、第1の状態とする)ことより、第1の液体を介した放熱(冷却)を行うことができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
本発明の実施例1である温度調節機構の構成について、図1及び図2を用いて説明する。ここで、図1は、本実施例の電池パックの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、本実施例の温度調節機構の内部構成を示す概略図(A,B)である。
まず、図1を用いて、電池パック1の構成について説明する。第1のケース部材31は、上面に、後述する電池ユニット2を収容するための開口部31aを有している。また、第1のケース部材31の外側面には、第1のケース部材31(言い換えれば、電池ユニット2)の放熱性を向上させるための複数のフィン31bが形成されている。なお、フィン31bを設けなくてもよい。
ここで、フィン31bの数や、隣り合うフィン31bの間隔は適宜設定することができる。また、第1のケース部材31は、熱伝導性や耐食性等に優れた材料で形成することができる。例えば、後述する液体4a(図2参照)の熱伝導率と同等又はこれよりも高い熱伝導率を有する材料で形成することができる。具体的には、第1のケース部材31を金属(アルミニウム、銅又は鉄等)で形成することができる。
第1のケース部材31は、ネジ等の締結機構(不図示)によって車両本体(不図示)に固定される。これにより、第1のケース部材31の底面は、車両本体の表面に接触することになる。なお、車両本体としては、例えば、フロアパネルや、車両のフレームがある。
電池ユニット2は、複数の単電池20aからなる組電池(電源体)20と、各単電池20aの両端部を支持するための支持部材21とを有している。隣り合う単電池20aの端子部20bは、バスバー22によって電気的及び機械的に接続されている。また、組電池20には、正極用及び負極用の配線(不図示)が接続されており、これらの配線は、第1のケース部材31を貫通して、第1のケース部材31の外部に配置された電子機器(例えば、車両の走行に用いられるモータ)に接続されている。
ここで、本実施例では、単電池20aとして、円筒型の二次電池を用いている。二次電池としては、ニッケル−水素電池やリチウムイオン電池等がある。なお、単電池20aの形状は、円筒型に限るものではなく、角型等の他の形状であってもよい。また、本実施例では、二次電池を用いているが、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)や燃料電池を用いることもできる。ここでいう、二次電池等は、上述した電子機器の電源となる。
第2のケース部材32は、第1のケース部材31の開口部31aを塞ぐように配置され、ネジ等の締結機構(不図示)によって第1のケース部材31に固定される。これにより、電池ユニット2を収容するための密閉空間が形成される。ここで、第2のケース部材32は、熱伝導性や耐食性等に優れた材料で形成することができる。例えば、後述する液体4a(図2参照)の熱伝導率と同等又はこれよりも高い熱伝導率を有する材料で形成することができる。具体的には、第2のケース部材32を金属(アルミニウム、銅又は鉄等)で形成することができる。
第1及び第2のケース部材31,32によって囲まれた空間(電池ユニット2を収容する空間、以下、収容室ともいう)には、電池ユニット2の冷却に用いられる液体4aが充填される(図2(A)参照)。ここで、図2に示すケース3は、第1及び第2のケース部材31,32で構成されている。
図2に示すように、ケース3には、収容室3aにおける液体4a,4bの界面の位置を調節するための界面調節機構5が接続されている。界面調節機構5は、両端がケース3(収容室3a)に接続された配管50と、配管50の経路上に設けられたポンプ51、バルブ52及びリザーブタンク53とを有している。
配管50は、収容室3aの底面3b及び側面に接続されている。ここで、配管50の一端は、底面3bの中央部分に接続されている。底面3bは、収容室3aの側壁から配管50に向かって傾斜している。言い換えれば、底面3bは、重力方向(図2の上下方向)に対して傾斜している。
ここで、底面3bは、重力方向に対して傾斜する面を有していればよく、底面3bの形状はいかなる形状であってもよい。例えば、底面3bを円錐状としたり、多角錐状としたりすることができる。また、本実施例では、底面3bを、連続的な面で構成された傾斜面としているが、階段状の面とすることもできる。すなわち、収容室3aの下部空間における断面積(重力方向と直交する面内での面積)が、配管50側に向かって連続的又は段階的に小さくなるものであればよい。
本実施例では、ケース3のうち底面3bを構成する部分の厚さを、配管50との接続部分に向かって連続的に薄くしている。なお、ケース3のうち底面3bを構成する部分の厚さを略均一にしつつ、収容室3aの底面3bを傾斜面とすることもできる。また、底面3bを重力方向と直交する平坦な面で構成することもできる。
液体(第1の液体)4a及び液体(第2の液体)4bは、比重及び熱伝導率が互いに異なっている。具体的には、液体4bの比重は、液体4aの比重よりも大きくなっている。しかも、液体4bの熱伝導率は、液体4aの熱伝導率よりも低くなっている。液体4a,4bの比重を異ならせることにより、図2に示すように、2つの液体4a,4bを互いに分離させた状態にすることができる。また、液体4a,4bは、絶縁性を有している。
ここで、液体4aとしては、ATF(Automatic Transmission Fluid(登録商標)、比重:0.84〜0.87)を用いることができる。また、液体4bとしては、シリコンオイル(比重:0.94〜1.26)を用いることができる。なお、液体4a,4bは、上述した材料に限るものではなく、上述した比重及び熱伝導率の関係を満たすものであれば、いかなる材料を用いることもできる。
リザーブタンク53の側壁には、リザーブタンク53内における液体4bの界面(言い換えれば、液体4a及び液体4bの境界面)41の位置を検出するための2つの界面センサ54a,54bが設けられている。すなわち、界面センサ54a,54bは、リザーブタンク53において互いに異なる位置に設けられている。
次に、上述した界面調節機構5の動作について説明する。
図2(A)に示す状態では、収容室3aの全体に液体4aが収容されているとともに、配管50の一部及びリザーブタンク53の一部にも液体4aが収容されている。また、配管50及びリザーブタンク53における他の部分には、液体4bが収容されている。このとき、配管50における液体4bの界面42と、リザーブタンク53内における液体4bの界面41は、略等しい高さとなっている。また、界面42は、ケース3の底面に相当する位置にある。そして、界面41の位置は、界面センサ54aが設けられた位置となっている。
図2(A)に示す状態において、収容室3a内の液体4aは、収容室3aの内壁面全体及び電池ユニット2の外面に接触している。図2(A)に示す状態において、ポンプ51を駆動することにより、リザーブタンク53に収容された液体4bを、配管50を介して収容室3aに移動させると、界面42の位置が上昇して、図2(B)に示す状態となる。このとき、バルブ52は、開き状態となっている。また、界面42は、図2(B)に示すように、収容室3aの底面3bと、電池ユニット2の底部との間に位置している。
一方、収容室3aへの液体4bの移動に応じて、収容室3a内の液体4aの一部は、配管50を介してリザーブタンク53に移動する。すなわち、収容室3aに液体4bが移動した量だけ、液体4aはリザーブタンク53に移動する。これにより、界面41の位置は、図2(A)に示す位置に対して下降する。このとき、界面41の位置は、界面センサ54bが設けられた位置となっている。
図2(B)に示す状態に到達すると、バルブ52は閉じ状態となることにより、収容室3aに収容された液体4bが配管50を介してリザーブタンク53に移動するのを阻止する。これにより、図2(B)に示す状態が維持される。
図2(B)に示す状態において、ポンプ51を駆動することにより、収容室3aの液体4bを、配管50を介してリザーブタンク53に移動させれば、図2(A)に示す状態に戻すことができる。ここで、液体4bを移動させる場合には、バルブ52は開き状態となる。また、上述したように、収容室3aの底面3bは傾斜面で構成されているため、収容室3aの液体4bを配管50に移動し易くしている。
本実施例では、図2(A)に示す状態における界面41の位置と、図2(B)に示す状態における界面41の位置とに、界面センサ54a,54bをそれぞれ配置している。ここで、界面41及び界面42は、互いに対応した関係を有しているため、2つの界面センサ54a,54bの出力を監視すれば、界面42の位置を確認することができる。すなわち、界面センサ54aの出力が得られれば、図2(A)に示す状態であることが分かり、界面センサ54bの出力が得られれば、図2(B)に示す状態であることが分かる。
上述した界面調節機構5の動作は、コントローラ(制御手段)によって制御される。この構成を図3に示す。
コントローラ100は、ポンプ駆動回路101を介してポンプ51の駆動を制御するとともに、バルブ駆動回路102を介してバルブ52の駆動を制御する。また、第1の温度センサ103は、電池ユニット2の温度を検出するためのセンサであり、この検出結果をコントローラ100に出力する。第2の温度センサ104は、車両本体の温度を検出するためのセンサであり、この検出結果をコントローラ100に出力する。また、コントローラ100には、界面センサ54a,54bの出力信号が入力される。
ここで、コントローラ100は、車両の走行状態を制御するためのコントローラとして兼用することができる。
また、第1の温度センサ103は、電池ユニット2の温度を直接的又は間接的に検出できるものであればよい。すなわち、第1の温度センサ103を電池ユニット2に直接、接触させて、電池ユニット2の温度を検出することもできるし、収容室3aに配置して電池ユニット2の温度を間接的に検出することもできる。
同様に、第2の温度センサ104は、車両本体の温度を直接的又は間接的に検出できるものであればよい。そして、第2の温度センサ104としては、車両に設けられた既存のセンサを用いることもできる。また、車室(乗員が乗車するスペース)内のエアコンの温度調節状態に基づいて、車両本体の温度を推定することも可能である。この場合には、第2の温度センサ104を設ける必要はない。
次に、図4に示すフローチャートを用いて、コントローラ100による界面調節機構5の駆動制御について説明する。
ステップS1において、コントローラ100は、第1の温度センサ103の出力に基づいて、電池ユニット2の温度を検出するとともに、第2の温度センサ104の出力に基づいて、車両本体の温度を検出する。ステップS2では、ステップS1で検出された電池ユニット2の温度が、上閾値よりも高いか否かを判別する。ここで、電池ユニット2の検出温度が上閾値よりも高い場合にはステップS3に進み、上閾値以下である場合にはステップS6に進む。
ここで、上閾値とは、電池ユニット2の温度上昇に伴う電池特性の劣化を抑制する観点から予め設定された温度であり、例えば、40℃に設定することができる。
ステップS3において、コントローラ100は、電池ユニット2の検出温度が車両本体の検出温度よりも低いか否かを判別する。ここで、電池ユニット2の検出温度が車両本体の検出温度よりも低い場合には、ステップS4に進み、高い場合にはステップS5に進む。
ステップS4において、コントローラ100は、ポンプ駆動回路101及びバルブ駆動回路102を介してポンプ51及びバルブ52を駆動することにより、界面調節機構5を図2(B)に示す状態(第2の状態)とする。
ここで、コントローラ100は、界面センサ54a,54bの出力に基づいて、界面調節機構5が予め図2(B)に示す状態であると判別すれば、この状態を維持する。また、界面センサ54a,54bの出力に基づいて、界面調節機構5が図2(A)に示す状態であると判別すれば、以下に説明する制御を行う。
コントローラ100は、ポンプ駆動回路101を介してポンプ51を駆動することにより、リザーブタンク53の液体4bを、配管50を介して収容室3aに移動させる。このとき、バルブ52を開き状態とする。
そして、界面センサ54a,54bの出力に基づいて、界面42が収容室3aの底面3bから離れたことを判別した時点で、ポンプ51の駆動を停止させる。そして、コントローラ100は、バルブ駆動回路102を介してバルブ52を閉じ状態に駆動する。これにより、界面調節機構5は、図2(B)に示す状態となる。これにより、本処理を終了する。
ステップS5において、コントローラ100は、ポンプ駆動回路101及びバルブ駆動回路102を介してポンプ51及びバルブ52を駆動することにより、界面調節機構5を図2(A)に示す状態(第2の状態)とする。
ここで、コントローラ100は、界面センサ54a,54bの出力に基づいて、界面調節機構5が予め図2(A)に示す状態であると判別すれば、この状態を維持する。また、界面センサ54a,54bの出力に基づいて、界面調節機構5が図2(B)に示す状態であると判別すれば、以下に説明する制御を行う。
コントローラ100は、バルブ駆動回路102を介してバルブ52を閉じ状態から開き状態に駆動する。また、コントローラ100は、ポンプ駆動回路101を介してポンプ51を駆動することにより、収容室3aの液体4bを、配管50を介してリザーブタンク53に移動させる。なお、ポンプ51を駆動せずに、バルブ52を開き状態とするだけで、収容室3a内の液体4bをリザーブタンク53に移動させることもできる。
そして、界面センサ54a,54bの出力に基づいて、界面42がケース3の底面に相当する位置に到達したと判別した時点で、ポンプ51の駆動を停止させる。このとき、バルブ52は開き状態のままとなっている。これにより、界面調節機構5は、図2(A)に示す状態となる。これにより、本処理を終了する。
一方、ステップS6では、電池ユニット2の検出温度が下閾値よりも低いか否かを判別する。ここで、電池ユニット2の検出温度が下閾値よりも低い場合にはステップS7に進み、そうでない場合にはステップS5に進む。
ここで、上述した下閾値は、電池ユニット2の温度低下に伴う電池特性の劣化を抑制する観点から予め設定された温度であり、例えば、10℃に設定することができる。
ステップS7では、電池ユニット2の検出温度が車両本体の検出温度よりも高いか否かを判別する。ここで、電池ユニット2の検出温度が車両本体の検出温度よりも高い場合には、ステップS4に進み、そうでない場合にはステップS5に進む。
図2(A)に示す状態において、単電池20aにおける充放電によって、単電池20aが発熱すると、この熱は、液体4aを介してケース3に伝達される。そして、ケース3に伝達された熱は、外部に放出されることになる。ここで、ケース3の底面は車両本体に接触しているため、ケース3に伝達された熱の一部は、車両本体に伝達される。また、ケース3のうち車両本体に接触していない部分を介して、大気中に放出される。ここでは、ケース3の底面を介した放熱が効率良く行われることになる。
図2(A)に示す状態では、上述した放熱経路によって、電池ユニット2で発生した熱を放出(放熱)させることができ、電池ユニット2の温度上昇を抑制することができる。これにより、温度上昇に伴って、単電池20aの電池特性が劣化してしまうのを抑制することができる。
ここで、収容室3aにファンを設けることができる。そして、図2(A)に示す状態において、ファンを駆動(回転)させることにより、収容室3aの液体4aを強制的に流動(循環)させることができる。これにより、液体4aによる電池ユニット2の冷却効率を向上させることができる。
一方、図2(A)に示す状態において、車両本体が過度に冷却された場合には、車両本体に接触するケース3の底面が冷却されるとともに、収容室3a内の液体4aが冷却されることにより、電池ユニット2が過度に冷却されてしまう。これにより、単電池20aの電池特性が劣化してしまうことがある。
また、図2(A)に示す状態において、車両本体が過度に加熱された場合には、車両本体に接触するケース3の底面が加熱されるとともに、収容室3a内の液体4aが加熱されることにより、電池ユニット2が過度に加熱されてしまう。これにより、単電池20aの電池特性が劣化してしまうことがある。
そこで、本実施例では、図4を用いて説明したように、電池ユニット2の検出温度が上閾値よりも高く、車両本体の検出温度が電池ユニット2の検出温度よりも高い場合や、電池ユニット2の検出温度が下閾値よりも低く、車両本体の検出温度が電池ユニット2の検出温度よりも低い場合には、界面調節機構5を図2(B)に示す状態(第2の状態)としている。このとき、収容室3aにおける電池ユニット2及び底面3bの間には、液体4bからなる層が形成される。
ここで、液体4bは液体4aよりも熱伝導率が低いため、ケース3の底面部分と電池ユニット2との間における熱の移動を抑制することができる。これにより、ケース3の底面部分が車両本体によって冷却又は加熱された場合にも、電池ユニット2が過度に冷却されたり加熱されたりするのを抑制することができ、電池特性の劣化を抑制することができる。
また、本実施例では、ケース3(電池パック1)に界面調節機構5を接続しただけの簡単な構成とすることができる。
一方、第1のケース部材31は、図1に示すように、車両本体と接触する底面部分と、側面部分とが一体的に形成されているため、底面部分が過度に冷却された際に、側面部分も冷却されてしまうことがある。そこで、第1のケース部材31の底面部分及び側面部分を別体として構成し、底面部分及び側面部分が接触する部分に断熱部を設けることにより、側面部分が冷却されるのを抑制することができる。この断熱部は、底面部分及び側面部分の間における熱伝達を抑制する材料(断熱材料)で形成したものである。
次に、本実施例の変形例について、図5を用いて説明する。ここで、図5は、本変形例の温度調節機構の内部構成を示す概略図であり、図2に対応した図である。なお、実施例1で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一符号を用いている。
実施例1では、収容室3aの底面3bの中央部分に配管50を接続した構成であるが、本変形例では、収容室3aの側面に配管50を接続している。そして、本変形例では、収容室3aの底面3bを傾斜面で構成している。以下、本変形例のうち実施例1と異なる点について具体的に説明する。
本変形例において、収容室3aの底面3bは、図6に示すように、3つの傾斜面3b1〜3b3で構成されている。ここで、図6は、底面3bを、電池パック1の上側(第2のケース部材32側)から見たときの正面図である。
傾斜面3b1は、配管50との接続部分が最も低い位置となり、配管50から最も離れた部分が最も高い位置となるように形成されている。同様に、傾斜面3b2,3b3は、配管50との接続部分が最も低い位置となり、配管50から最も離れた部分が最も高い位置となるように形成されている。そして、傾斜面3b1〜3b3は、重力方向(図5の上下方向)に対して傾斜している。
底面3bを傾斜面3b1〜3b3で構成することにより、収容室3aに位置する液体4bを配管50に効率良く導くことができる。なお、底面3bは、上述した構成に限るものではなく、配管50に液体4bを効率良く導くことができるように、傾斜面を備えた構成とすれば、いかなる構成であってもよい。また、傾斜面のように連続的な面で構成する代わりに、階段状の面とすることもできる。
本変形例においても、実施例1と同様の制御(図4)が行われる。すなわち、図4のステップS5においては、図5(A)に示す状態に駆動され、図4のステップS4においては、図5(B)に示す状態に駆動される。これにより、実施例1と同様の効果を得ることができる。
ここで、図5(A)に示す状態では、バルブ52が閉じ状態となっており、リザーブタンク53内の液体4bが収容室3a側に移動するのを阻止している。そして、この状態では、ケース3の底面を介して車両本体への放熱が行われやすくなっている。また、図5(B)に示す状態では、バルブ52が開き状態となっており、リザーブタンク53内の界面41と、収容室3a内の界面42とが同じ高さに位置している。そして、この状態では、車両本体と電池ユニット2との間における熱伝達が行われ難くなっている。
図5(A)に示す状態から図5(B)に示す状態に切り換える場合には、バルブ52を開き状態とした上で、ポンプ51を駆動して収容室3a内の液体4bをリザーブタンク53側に移動させればよい。また、図5(B)に示す状態から図5(A)に示す状態に切り換える場合には、バルブ52を開き状態にすればよい。このとき、ポンプ51は、駆動してもよいし、駆動しなくてもよい。
本実施例及び変形例では、界面調節機構5を2つの状態の間で切り換えるようにしているが、これに限るものではなく、3つ以上の状態の間で切り換えるようにすることもできる。具体的には、界面41,42の位置を、3つ以上の位置で変化させることができる。この場合には、界面41の位置に応じて、界面センサを設ければよい。
このように界面41,42を複数の位置で変化させることにより、収容室3aの底面3bを介した放熱特性を段階的に変化させることができる。これにより、電池ユニット2の温度に応じた最適な冷却を行うことができる。
また、本実施例及び変形例では、リザーブタンク53に界面センサ54a,54bを設けたが、ケース3の収容室3aに界面センサ54a,54bを設けることもできる。この場合には、収容室3aにおける界面42の位置を直接監視することができる。
さらに、本実施例では、界面センサ54a,54bの出力に基づいて、収容室3aにおける界面42の位置を判別しているが、これに限るものではない。例えば、ポンプ51の駆動量を監視することにより、収容室3aにおける界面42の位置を判別することもできる。すなわち、ポンプ51の駆動量と液体4bの移動量を予め求めておけば、ポンプ51の駆動量に基づいて界面42の位置を判別することができる。
次に、本発明の実施例2である温度調節機構の構成について、図7及び図8を用いて説明する。ここで、図7は、本実施例における電池パックの外観斜視図(A)及び側面図(B)である。また、図8は、本実施例の温度調節機構の内部構成を示す概略図(A,B)である。なお、実施例1で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一符号を用いている。
実施例1では、ケース3の底面を車両本体に接触させて、ケース3の底面を介した放熱を主に行うようにしているが、本実施例では、ケース3の上面を介した放熱を主に行うようにしている。以下、実施例1と異なる点について説明する。
図7において、第2のケース部材32は、第1のケース部材31の開口部(図1に示す開口部31aに相当する)を覆う天板部32aと、天板部32aの四隅から重力方向に延びる脚部32bとを有している。各脚部32bの先端は、車両本体60に対して、ネジ等の締結機構によって固定される。
ここで、脚部32bの長さは、第1のケース部材31の高さよりも長くなるように設定されている。このため、第1及び第2のケース部材31,32を連結し、脚部32bを車両本体60に固定した場合には、図7(B)に示すように、第1のケース部材31の底面が車両本体60の表面から離れることになる。
また、ケース3の一部(第2のケース部材32)は、上述したように車両本体60に接触しているため、第2のケース部材32の熱は車両本体60に伝達され、車両本体60から外部(大気中)に放出される。このように、第2のケース部材32は、熱伝達部材としても機能する。
図8に示すように、ケース3には、収容室3aにおける界面42の位置を調節するための界面調節機構5が接続されている。界面調節機構5は、両端がケース3に接続された配管50と、配管50の経路上に設けられたポンプ51、バルブ52及びリザーブタンク53とを有している。また、リザーブタンク53の側壁には、リザーブタンク53内における界面41の位置を検出するための2つの界面センサ54a,54bが設けられている。
配管50は、収容室3aの上面3c及び側面に接続されている。ここで、配管50の一端は、上面3cの中央部分に接続されている。上面3cは、収容室3aの側壁から配管50に向かって傾斜している。言い換えれば、上面3cは、重力方向(図8の上下方向)に対して傾斜している。
ここで、上面3cは、重力方向に対して傾斜する面を有していればよく、上面3cの形状はいかなる形状であってもよい。例えば、上面3cを円錐状としたり、多角錐状としたりすることができる。また、本実施例では、上面3cを、連続的な面で構成された傾斜面としているが、階段状の面とすることもできる。すなわち、収容室3aの上部空間における断面積(重力方向と直交する面内での面積)が、配管50側に向かって連続的又は段階的に小さくなるものであればよい。一方、上面3cを、重力方向と直交する面で構成することもできる。
本実施例では、ケース3のうち上面3cを構成する部分、言い換えれば、第2のケース部材32の天板部32aにおける厚さを、配管50との接続部分に向かって連続的に薄くしている。なお、第2のケース部材32の天板部32aの厚さを略均一にしつつ、収容室3aの上面3cを傾斜面とすることもできる。
一方、本実施例では、収容室3a及びリザーブタンク53に収容される液体4a,4bの特性を、実施例1で説明した液体4a,4bの特性と異ならせている。以下、具体的に説明する。
液体4a及び液体4bは、比重及び熱伝導率が互いに異なっている。具体的には、液体4bの比重は、液体4aの比重よりも小さくなっている。しかも、液体4bの熱伝導率は、液体4aの熱伝導率よりも低くなっている。液体4a,4bの比重を異ならせることにより、図8に示すように、2つの液体4a,4bを互いに分離させた状態にすることができる。また、液体4a,4bは、絶縁性を有している。
ここで、液体4aとしては、ATF(Automatic Transmission Fluid(登録商標)を用いることができる。また、液体4bとしては、ブタン、イソブタン、ペンタンを用いることができる。なお、液体4a,4bは、上述した材料に限るものではなく、上述した比重及び熱伝導率の関係を満たすものであれば、いかなる材料を用いることもできる。
次に、上述した界面調節機構5の動作について説明する。
図8(A)に示す状態では、収容室3aの全体に液体4aが収容されているとともに、配管50の一部及びリザーブタンク53の一部にも液体4aが収容されている。また、配管50及びリザーブタンク53における他の部分には、液体4bが収容されている。このとき、配管50における液体4bの界面42と、リザーブタンク53内に位置する液体4bの界面41は、略等しい高さとなっている。また、界面42は、ケース3の上面に相当する位置にある。そして、界面41の位置は、界面センサ54aが設けられた位置となっている。
図8(A)に示す状態において、収容室3a内に位置する液体4aは、収容室3aの内壁面全体及び電池ユニット2の外面に接触している。図8(A)に示す状態において、ポンプ51を駆動することにより、収容室3aに収容された液体4aを、配管50を介してリザーブタンク53に移動させると、界面42の位置が下降して、図8(B)に示す状態となる。このとき、バルブ52は、開き状態となっている。また、図8(B)に示す状態において、界面42は、収容室3aの上面3cと、電池ユニット2の上部との間に位置している。
一方、収容室3a内の液体4aがリザーブタンク53に移動することに応じて、リザーブタンク53内の液体4bの一部は、配管50を介して収容室3aに移動する。すなわち、収容室3aからリザーブタンク53に液体4aが移動した量だけ、液体4bはリザーブタンク53から収容室3aに移動する。これにより、界面41の位置は、図8(A)に示す位置に対して上昇する。このとき、界面41の位置は、界面センサ54bが設けられた位置となっている。
図8(B)に示す状態に到達すると、バルブ52は閉じ状態となることにより、リザーブタンク53内の液体4aが配管50を介して収容室3aに移動するのを阻止する。これにより、図8(B)に示す状態が維持される。
図8(B)に示す状態において、ポンプ51を駆動することにより、リザーブタンク53内の液体4aを、配管50を介して収容室3aに移動させれば、図8(A)に示す状態に戻すことができる。ここで、液体4aを移動させる場合には、バルブ52は開き状態となる。また、収容室3aの上面3cは傾斜面で構成されているため、収容室3a内の液体4bを配管50に移動し易くしている。なお、バルブ52を開き状態とするだけでも、図8(B)に示す状態から図8(A)に示す状態に切り換えることもできる。
本実施例では、図8(A)に示す状態における界面41の位置と、図8(B)に示す状態における界面41の位置とに、界面センサ54a,54bをそれぞれ配置している。ここで、界面41及び界面42は、互いに対応した関係を有しているため、2つの界面センサ54a,54bの出力を監視すれば、界面42の位置を確認することができる。すなわち、界面センサ54aの出力が得られれば、図8(A)に示す状態であることが分かり、界面センサ54bの出力が得られれば、図8(B)に示す状態であることが分かる。
上述した界面調節機構5の駆動は、実施例1で説明した場合(図3)と同様に、コントローラ100によって制御される。また、コントローラ100によって制御される処理は、図4に示したフローチャートと同様である。ここで、図4のステップS4においては、図8(B)に示す状態に駆動され、ステップS5においては、図8(A)に示す状態に駆動される。これにより、実施例1と同様の効果を得ることができる。
ここで、本実施例では、第2のケース部材32の脚部32bが車両本体60に固定されているため、主な熱の伝達経路は、第2のケース部材32を介して行われることになる。言い換えれば、図8に示すように、収容室3aの上面3cを介した熱の伝達が行われることになる。
このため、本実施例では、収容室3aの上部に液体4bの層を形成することにより、上面3c及び液体4aの間における熱伝達を抑制することができる。これにより、過度に冷却(又は加熱)された車両本体60によって、ケース3や電池ユニット2が過度に冷却(又は加熱)されてしまうのを抑制することができる。
一方、収容室3aの上部に液体4bの層を形成しないことにより、言い換えれば、収容室3aの全体を液体4aで満たすことにより、上面3c及び液体4aの間における熱伝達を許容することができる。これにより、電池ユニット2で発生した熱を、車両本体60に効率良く導くことができ、電池ユニット2の放熱を効率良く行うことができる。
また、本実施例では、図7(B)に示すように、第1のケース部材31の底面が車両本体60の表面から離れた位置に配置されているため、過度に冷却(又は加熱)された車両本体60によって第1のケース部材31が直接、冷却(又は加熱)されるのを防止することができる。すなわち、第1のケース部材31と車両本体60との間に空気層を形成することで、車両本体60の冷却(又は加熱)に伴って第1のケース部材31が冷却(又は加熱)されるのを抑制することができる。
次に、本発明の実施例3である温度調節機構の構成について、図9を用いて説明する。ここで、図9は、本実施例の温度調節機構における内部構成を示す概略図(A,B)である。なお、実施例1,2で説明した部材と同一の機能を有する部材については同一符号を用い、詳細な説明は省略する。
本実施例では、ケース3内に、電池ユニット2を収容する領域S1とは別の領域S2を設け、この領域S2において液体4a,4bの界面42の位置を変化させるようにしている。以下、本実施例の特徴的な構成について、具体的に説明する。
ケース3は、車両本体60上に配置された支持部材70によって支持されている。これにより、ケース3の底面は、車両本体60の表面から離れた位置に配置されている。
ケース3内には、ケース3内の領域を2つの領域S1,S2に仕切る仕切り部材80が配置されている。仕切り部材80は、熱伝導性や耐食性等に優れた材料、例えば、領域S1内の液体4aの熱伝導率と同等又はこれよりも高い熱伝導率を有する材料で形成することができる。具体的には、仕切り部材80を金属(銅、鉄やアルミニウム等)で形成することができる。
ここで、領域S1内には、電池ユニット2及び液体4aが収容されており、この液体4aは、電池ユニット2(単電池)の外周面とケース3の内壁面及び仕切り部材80に接触している。
領域S2内には、後述するように液体4aや液体4bが収容される。ここで、液体4a,4bは、比重及び熱伝導率が互いに異なっている。具体的には、液体4bの比重は、液体4aの比重よりも大きくなっている。しかも、液体4bの熱伝導率は、液体4aの熱伝導率よりも低くなっている。液体4a,4bの比重を異ならせることにより、図9に示すように、2つの液体4a,4bを互いに分離させた状態にすることができる。また、液体4a,4bは、絶縁性を有している。
ここで、液体4aとしては、ATF(Automatic Transmission Fluid(登録商標)、比重:0.84〜0.87)を用いることができる。また、液体4bとしては、シリコンオイル(比重:0.94〜1.26)を用いることができる。なお、液体4a,4bは、上述した材料に限るものではなく、上述した比重及び熱伝導率の関係を満たすものであれば、いかなる材料を用いることもできる。
一方、領域S2には、実施例1で説明した界面調節機構5が接続されている。すなわち、領域S2には、配管50が接続されており、配管50は実施例1と同様のリザーブタンク(不図示)に接続されている。なお、不図示ではあるが、配管50の経路上には、実施例1と同様のバルブやポンプが配置されている。
なお、図9では、配管50が車両本体60の下方に延びるように示しているが、実際には、ケース3と車両本体60との間に位置している。すなわち、界面調節機構5は、車両本体60上に配置されている。
ケース3のうち、領域S2を形成する側壁には、熱伝達板(熱伝達部材)90が接触している。この熱伝達板90は、車両本体60の表面にも接触している。熱伝達板90は、熱伝導性や耐食性等に優れた材料、例えば、領域S1内の液体4aの熱伝導率と同等又はこれよりも高い熱伝導率を有する材料で形成することができる。具体的には、熱伝達板90を金属(銅、鉄やアルミニウム等)で形成することができる。
本実施例において、ケース3の領域S1内には、常に液体4aが充填されていることになる。また、ケース3の領域S2では、上述した界面調節機構を駆動することによって、界面42の位置を変化させることができる。この界面調節機構の駆動は、実施例1(図3)と同様にコントローラ100によって行うことができる。
すなわち、図9(A)に示す状態において、界面調節機構のポンプを駆動することにより、リザーブタンク内の液体4bを領域S2内に移動させれば、図7(B)に示す状態とすることができる。このとき、領域S2内の液体4aは、配管50を介してリザーブタンクに移動する。
また、図9(B)に示す状態において、界面調節機構のポンプを駆動することにより、領域S2内の液体4bをリザーブタンクに移動させれば、図9(A)に示す状態とすることができる。このとき、リザーブタンク内の液体4aは、配管50を介して領域S2内に移動することになる。
本実施例でも、実施例1と同様に、リザーブタンクやケース3内(領域S2内)に界面センサを設けることにより、領域S2内における界面42の位置を検出することができる。また、ポンプの駆動量を検出することで、領域S2内における界面42の位置を判別することもできる。
図9(A)に示す状態では、領域S2内の全体に液体4aが充填されている。ここで、電池ユニット2が充放電等によって発熱した場合には、この熱が電池ユニット2に接触する液体4aに伝わる。そして、液体4aの熱は、液体4aの自然対流により仕切り部材80に伝達され、仕切り部材80を介して、領域S2内の液体4aに伝達される。
なお、領域S1内に撹拌部材を配置して、液体4aを強制的に流動させるようにしてもよい。これにより、電池ユニット2の冷却効率を向上させることができる。
また、領域S2を形成するケース3の側壁には、熱伝達板90が接触しているため、領域S2内の液体4aに伝達された熱は、熱伝達板90を介して車両本体60に伝達されることになる。また、ケース3内の液体4aの熱は、ケース3を介して大気中にも放出される。なお、電池ユニット2で発生した熱の多くは、熱伝達板90を介して車両本体60に伝達される。
上述したように、電池ユニット2で発生した熱は、液体4a及びケース3を介して大気中に放出(放熱)されたり、ケース3及び熱伝達板90を介して車両本体60に伝達されたりする。これにより、充放電等に伴う電池ユニット2の温度上昇を抑制することができ、電池特性の劣化を抑制することができる。
図9(A)に示す状態において、車両本体60が過度に冷却された場合には、熱伝達板90を介してケース3が過度に冷却され、電池ユニット2の温度が過度に低下してしまうおそれがある。また、車両本体60が過度に加熱された場合には、熱伝達板90を介してケース3が過度に加熱され、電池ユニット2の温度が過度に上昇してしまうおそれがある。
なお、本実施例の構成では、ケース3が、支持部材70によって車両本体60の表面から離れた位置に配置されているため、ケース3の底面が過度に冷却又は加熱されるのを抑制することができる。ここで、支持部材70を、断熱性を有する材料で構成することができる。
本実施例では、車両本体60が過度に冷却又は加熱された場合には、図9(B)に示すように、領域S2内を液体4bで満たすことにより、領域S1及び熱伝達板90の間における熱移動を抑制するようにしている。これにより、車両本体60に接続された熱伝達板90が過度に冷却又は加熱された場合でも、領域S1内の液体4a及び電池ユニット2が過度に冷却又は加熱されるのを抑制することができる。
すなわち、領域S2内を液体4bで満たした場合には、液体4aが収容されている場合に比べて、熱伝導率を低くすることができるため、熱伝達板90の冷却又は加熱によって、領域S1内の液体4a及び電池ユニット2が過度に冷却又は加熱されるのを抑制することができる。これにより、過度の冷却又は加熱に伴う電池特性の劣化を抑制することができる。
本実施例における界面調節機構の駆動も、実施例1で説明した方法(図4参照)と同様に行うことができる。すなわち、図4のステップS4においては、図9(B)に示す状態に駆動され、ステップS5においては、図9(A)に示す状態に駆動される。
なお、本実施例では、領域S2の全体に液体4aを収容した場合と、領域S2の全体に液体4bを収容した場合とで切り換えているが、これに限るものではない。具体的には、領域S2内における界面42の位置を段階的に変化させることができる。これにより、電池ユニット2の段階的な温度調節(放熱)を行うことができる。
また、本実施例では、液体4bは、液体4aに対して比重を大きく、かつ熱伝導率を低くしているが、これに限るものではない。例えば、液体4aを、液体4bに対して比重を小さく、熱伝導率を低くすることもできる。この場合には、図4のステップS4においては、図9(A)に示す状態に駆動され、ステップS5においては、図9(B)に示す状態に駆動される。
次に、本発明の実施例4である温度調節機構の構成について、図10を用いて説明する。ここで、図10は、本実施例の温度調節機構における内部構成を示す概略図(A,B)である。なお、上述した実施例1で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一符号を用いる。
本実施例の温度調節機構は、実施例1で説明した温度調節機構と概ね同様である。すなわち、本実施例では、ケース3の底面が車両本体に接触しており、ケース3の底面を介した放熱を行うことができる構成となっている。以下、実施例1と異なる点について、具体的に説明する。
ケース3には、収容室3a内の領域を2つの領域に仕切るための仕切り部材81が配置されている。仕切り部材81の端部(外縁部)は、ケース3の内壁に固定されている。また、仕切り部材81は、弾性変形が可能な材料(例えば、樹脂)によって形成されている。ここで、仕切り部材81の材料としては、熱伝導性の優れた材料を用いることが好ましい。
図10(A)に示す状態では、収容室3aの全体に液体4aが収容されている。このとき、仕切り部材81は、収容室3aの底面3bに接触している。図10(A)に示す状態では、ケース3から外部への放熱を効率良く行うことができる。ここで、撹拌部材を用いて液体4aを強制的に流動させてもよい。この場合には、電池ユニット2の冷却効率を向上させることができる。
図10(A)に示す状態において、ポンプ51を駆動することにより、リザーブタンク53内の液体4bを収容室3a内に移動させることにより、図10(B)に示す状態とすることができる。このとき、バルブ52は、開き状態となっている。リザーブタンク53内の液体4bが収容室3aに移動すると、仕切り部材81が弾性変形することによって、収容室3aの下部には、液体4bの層が形成される。このとき、仕切り部材81は、電池ユニット2に接触しないようになっている。
ここで、液体4a,4bは、熱伝導率が互いに異なっている。具体的には、液体4bの熱伝導率は、液体4aの熱伝導率よりも低くなっている。本実施例では、上述したように仕切り部材81を設けているため、液体4a,4bの比重を異ならせなくてもよい。すなわち、液体4a,4bとして、比重が近似した液体を用いたり、実施例1で説明した比重関係とは逆の関係となる液体を用いたりすることができる。すなわち、本実施例の構成では、液体4a,4bとして、熱伝導率の差が最も大きくなるものを選択することができる。
また、液体4aは、絶縁性を有する液体を用いる必要があるが、液体4bについては、仕切り部材81によって電池ユニット2と隔離されているため、絶縁性を有する液体でなくてもよい。なお、本実施例においては、液体4aとして、ATF(Automatic Transmission Fluid(登録商標)を用い、液体4bとしては、シリコンオイルを用いている。
図10(B)に示すように、収容室3aの下部に液体4bの層を形成することにより、液体4a及び車両本体の間における熱伝達を抑制することができる。これにより、車両本体が過度に冷却又は加熱された場合において、液体4a及び電池ユニット2が過度に冷却又は加熱されるのを抑制することができる。これにより、過度の冷却又は加熱に伴う電池特性の劣化を抑制することができる。
本実施例における界面調節機構の駆動も、実施例1で説明した界面調節機構の駆動(図4参照)と同様である。すなわち、図4のステップS4においては、図10(B)に示す状態に駆動され、ステップS5においては、図10(A)に示す状態に駆動される。これにより、実施例1と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施例では、収容室3aの底面3bを介して車両本体への放熱を行う構成としているが、これに限るものではない。具体的には、上述した実施例2に示す構成(図8参照)にも適用することができる。この場合には、収容室3aの上部に仕切り部材81を配置し、収容室3aの上部に熱伝導率の低い側の液体の層を形成するようにすればよい。
本発明の実施例1における電池パックの構成を示す分解斜視図である。 実施例1の温度調節機構の内部構成を示す概略図(A,B)である。 実施例1の温度調節機構の動作制御を行うための構成を示すブロック図である。 実施例1の温度調節機構の動作制御を示すフローチャートである。 実施例1の変形例である温度調節機構の内部構成を示す概略図(A,B)である。 実施例1の変形例におけるケースの底面の構成を示す正面図である。 本発明の実施例2における電池パックの構成を示す外観斜視図(A)及び側面図(B)である。 実施例2の温度調節機構の内部構成を示す概略図(A,B)である。 本発明の実施例3である温度調節機構の内部構成を示す概略図(A,B)である。 本発明の実施例4である温度調節機構の内部構成を示す概略図(A,B)である。 従来の電池パックの配置を示す概略図である。
符号の説明
1:電池パック
2:電池ユニット(電源体)
3:ケース
4a,4b:液体
5:界面調節機構(駆動手段)
51:ポンプ
52:バルブ
53:リザーブタンク(容器)

Claims (12)

  1. 電源体の温度調節に用いられる温度調節機構であって、
    前記電源体及び第1の液体を収容し、熱伝達部材と接触するケースと、
    前記第1の液体よりも熱伝導率の低い第2の液体を前記ケースに供給するとともに、前記ケースに供給された前記第2の液体を前記ケースの外部に移動させるための駆動手段とを有し、
    前記駆動手段は、前記ケースの内部を前記第1の液体で満たす第1の状態と、前記ケースのうち前記熱伝達部材と接触する側の領域に前記第2の液体の層を形成する第2の状態との間で動作することを特徴とする温度調節機構。
  2. 前記第2の液体は、前記第1の液体よりも比重が大きく、前記第2の状態において、前記ケースの下部に前記層を形成することを特徴とする請求項1に記載の温度調節機構。
  3. 前記第2の液体は、前記第1の液体よりも比重が小さく、前記第2の状態において、前記ケースの上部に前記層を形成することを特徴とする請求項1に記載の温度調節機構。
  4. 前記ケースの内部において前記第1及び第2の液体を仕切るための仕切り部材を有し、
    前記仕切り部材は、前記ケースへの前記第2の液体の供給に応じて弾性変形して、前記第2の液体の層を形成させることを特徴とする請求項1に記載の温度調節機構。
  5. 前記ケースは、前記熱伝達部材と接触する壁部において、前記ケースの内部における前記第1及び第2の液体の界面位置の変化に応じて、前記第1の液体との接触面積を連続的又は段階的に変化させる面を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の温度調節機構。
  6. 前記ケース内の領域を、前記電源体及び前記第1の液体を収容する第1の領域と、前記第1及び第2の液体を収容可能な第2の領域とに仕切るための仕切り部材を有することを特徴とする請求項1に記載の温度調節機構。
  7. 前記駆動手段の駆動を制御する制御手段を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の温度調節機構。
  8. 前記制御手段は、前記電源体及び前記熱伝達部材の温度に関する情報に基づいて、前記駆動手段の駆動を制御することを特徴とする請求項7に記載の温度調節機構。
  9. 前記駆動手段は、
    前記第2の液体を移動させるためのポンプと、
    前記ケースの外部に移動した前記第2の液体を収容するための容器とを有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の温度調節機構。
  10. 請求項1から9のいずれか1つに記載の温度調節機構を備えたことを特徴とする車両。
  11. 前記ケースが、車両本体から離れた位置に配置されており、
    前記熱伝達部材が、前記ケース及び前記車両本体に接触していることを特徴とする請求項10に記載の車両。
  12. 前記熱伝達部材が車両本体であることを特徴とする請求項10に記載の車両。
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