JP2009115015A - 密閉型圧縮機および密閉型圧縮機用管状シェルの製管方法 - Google Patents
密閉型圧縮機および密閉型圧縮機用管状シェルの製管方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】密閉型圧縮機用管状シェルの製造方法は、矩形状素材3の両側縁にY字開先を形成する第1工程と、前記Y字開先のV字部が、外周になるように略筒状体4に成型する第2工程と、略筒状体4を縮径する第3工程と、筒状体5の前記Y字開先のルート部をプラズマによるキーホール溶接する第4工程と、前記Y字開先のV字部をMAC溶接によって肉盛溶接する第5工程と、前記第4工程で形成された裏ビードを除去する第6工程と、を有する。
【選択図】図4
Description
また、二酸化炭素(CO2)などの冷媒ガスを使う密閉型圧縮機では、当該冷媒ガスの圧力が高いため、管状シェルの板厚を厚くすることが必要となり、板厚の厚い板材同士の安定した溶接が必須になっている。そこで、板厚の厚い板材同士の片面溶接において、良好な裏波ビードが得られ、多層盛りパス数が少なく溶接歪みの発生しにくい溶接方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
(あ)SUS304等に比較して、溶融した際の粘性が低く、また、熱伝導率が大きな軟鋼においては、入熱量を多くした場合、「溶け落ち」が発生するという問題があった。このため、6mmを超える板厚の軟鋼では安定した溶接ができない。
(い)Y字形開先のV形部の底部が、シーリング溶接によって閉塞(第2ステップ)されているため、裏波溶接後に多重盛りをする際(第4ステップ)、プラズマ溶接を用いると、ガスを貫通させない「なめつけ溶接」になり、チップの消耗を早めるだけでなく、溶接速度も遅いことから生産性が悪い。
(え)厚板の溶接では裏側にビードを安定的に形成することが、つまり、きっちりガスを貫通させると共に、溶融金属を溶け落ちさせないことが、品質安定につながるため、内側に裏ビードなどの突起が形成されると、内径精度を向上するための拡管処理の邪魔になると共に、管状シェルの内部に配置される機器(圧縮要素やモータなどの駆動要素)の組込みに問題が出てくる。
矩形状素材の両側縁を、該両側縁が当接された際にY字開先を形成するように加工する第1工程と、
前記Y字開先のV字部が、外周になるように略筒状に成型する第2工程と、
前記成型された略筒状体を金型内で押圧して縮径する第3工程と、
前記Y字開先のルート部をキーホール溶接する第4工程と、
前記Y字開先のV字部を肉盛溶接する第5工程と、
前記第4工程で形成された裏ビードを除去する第6工程と、
を有する。
前記管状シェルが、前記密閉型圧縮機用管状シェルの製管方法によって製管されたものであることを特徴とする。
また、本発明に係る密閉型圧縮機は、これを構成する管状シェルが本発明に係る密閉型圧縮機用管状シェルの製管方法によって製管されるから、溶接信頼性が高いという効果を奏する。
図1は本発明の実施の形態1に係る密閉型圧縮機の構成を模式的に示す側面視の断面図である。図1において、密閉型圧縮機(以下、「圧縮機」と称す)100は、圧縮機本体1と、圧縮機本体1の入り口側に設けられた液だめ容器2と、からなる。
圧縮機本体1は、管状シェル1cと、管状シェル1cの両端をそれぞれ閉塞するアッパーシェル1eおよびボトムシェル1fと、管状シェル1cの内部に収納された圧縮機構1aおよび圧縮機構1aを駆動する電動機1bと、を有している。このとき、管状シェル1cの側面には、液だめ容器2に連通する吸引パイプ1gが接続され、アッパーシェル1eには吐出パイプ1dが設置されている。
なお、圧縮機100は、たとえば給湯用圧縮機として使用されるものであって、二酸化炭素(CO2)などの冷媒ガスを使用するため、管状シェル1cの設計圧は、空調用で使用されるR−410A冷媒における設計圧(4MPa以下)の4倍近くとなり、6mm以上の板厚が必要となっている。
図2〜図5は本発明の実施の形態2に係る密閉型圧縮機用管状シェルの製造方法を工程を追って模式的に示す平面図および斜視図である。
開先巾が8mmでは溶接部の凹み部の巾が10〜12mm程度となる。MAG溶接Mにより巾13mm程度の肉盛溶接が必要となる。したがって、MAG溶接Mによる肉盛溶接を1回で完了するために、開先巾は8mm以下が望ましい。また、溶接方向はプラズマ溶接での溶接方向と対向するようにするのが望ましい。
(第8工程)放射状に等しい距離だけ移動する複数の駒50を具備するエキスパンダ(型式を限定するものではない)によって拡管し、内径精度を確保する(図6参照)。
なお、前記第7工程と第8工程とは何れが先に実施されてもよい。また、溶接不良部が発生しない場合や、既に内径精度が確保されている場合には、前記第7工程や第8工程を省略することができる。
なお、ルート部を仮止め溶接した場合(特許文献1参照)、仮止め溶接でフィラーを挿入すると、部分的にビードが発生し、キーホール溶接がうまくいかないことがあった。一方、本発明においては、筒状体5を押さえながら仮止め溶接なしで、プラズマによるキーホール溶接を実施するため、フィラー投入の有無に関わらず、仮止め溶接のビード割れ等の問題が発生しない。
また、MAG溶接はTIG溶接に比較して溶接巾が広いため、1回の肉盛り溶接によって、先行するキーホール溶接の際に形成された凹みをカバーすることができる。
図7〜図9は本発明の実施の形態2に係る密閉型圧縮機用管状シェルの製造方法の実施例における溶接部であって、(a)は外側から見た側面図、(b)は断面図である。実施例は、板厚6mmの軟鋼材によって管状シェルの製作を行った。このとき、Y開先の面取り部C3は、巾6mmとし、ルート長さは3mmとした。ロールベンドの際、すべり防止として、ロール表面に凸凹を設けたが、特に、ロール終端部に凸凹が転写される。
従来のスリッタカット面では凸凹が溶接の際、ガスの貫通に影響を与え、溶接品質への影響が考えられるが、本発明のY字開先の場合には、スリッタカット面が溶接中心部より外れているため、影響がなかった。
溶接速度250mm/分で行うと、表ビードの凹み巾は8〜10mm程度となり、肉盛溶接巾は12mm程度必要となる。
なお、図中、破線は前工程のプラズマ溶接のビード外観Kを表し、実線はMAG溶接により生じたビード外観mを表し、また、黒丸FはMAG溶接のエンド処理で溶接フィラーの抜けた跡を示し、溶接すると必ず出るものである。
肉盛溶接は強度確保を目的に行うが、プラズマ溶接で発生する可能性があるピンホールなどによる洩れ不良発生を抑えてくれる役目もあり、洩れ品質確保(洩れない品質の確保に同じ)の面でも効果がある。
さらに、裏ビード除去はフライス刃を使い、切削巾をプラズマ溶接による凹み巾以下を確保した。そうすることにより全周に渡って板厚6mmを確保することができた。
Claims (9)
- 筒状の管状シェルと、該管状シェルの両端をそれぞれ閉塞するアッパーシェルおよびボトムシェルと、前記管状シェルの内部に収納された圧縮機構および該圧縮機構を駆動する電動機と、を有する密閉型圧縮機における密閉型圧縮機用管状シェルの製管方法であって、
矩形状素材の両側縁を、該両側縁が当接された際にY字開先を形成するように加工する第1工程と、
前記Y字開先のV字部が、外周になるように略筒状に成型する第2工程と、
前記成型された略筒状体を金型内で押圧して縮径する第3工程と、
前記Y字開先のルート部をキーホール溶接する第4工程と、
前記Y字開先のV字部を肉盛溶接する第5工程と、
前記第4工程で形成された裏ビードを除去する第6工程と、
を有する密閉型圧縮機用管状シェルの製管方法。 - 前記Y字開先のV字部の開き巾を8mm以下とし、前記Y字開先のルート部の長さを5mm以下とすることを特徴とする請求項1記載の密閉型圧縮機用管状シェルの製管方法。
- 前記第6工程における裏ビード除去の加工巾が、前記第5工程における肉盛溶接による肉盛り溶接巾以下であることを特徴とする請求項1または2記載の密閉型圧縮機用管状シェルの製管方法。
- 前記第4工程が、非消耗電極を使用するプラズマ溶接であることを特徴とする請求項1または2記載の密閉型圧縮機用管状シェルの製管方法。
- 前記第5工程が、MAG(Metal Active Gas)溶接であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の密閉型圧縮機用管状シェルの製管方法。
- 前記第5工程における肉盛溶接の開始位置および終了位置を、それぞれ前記第4工程におけるキーホール溶接の終了位置および開始位置に略一致させることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の密閉型圧縮機用管状シェルの製管方法。
- 前記第5工程で発生した溶接不良部を切除する工程を有することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の密閉型圧縮機用管状シェルの製管方法。
- 前記第5工程の後、エキスパンダによって拡管する工程を有することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の密閉型圧縮機用管状シェルの製管方法。
- 筒状の管状シェルと、該管状シェルの両端をそれぞれ閉塞するアッパーシェルおよびボトムシェルと、前記管状シェルの内部に収納された圧縮機構および該圧縮機構を駆動する電動機と、を有する密閉型圧縮機であって、
前記管状シェルが、請求項1乃至8の何れかに記載の密閉型圧縮機用管状シェルの製管方法によって製管されたものであることを特徴とする密閉型圧縮機。
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