JP2009114945A - 直列4気筒型内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】負荷容量が互いに異なる軸受体を含む軸受構造を採用したうえで、クランクジャーナルと軸受体との衝突にともなう打音の発生を十分に抑制することのできる直列4気筒型内燃機関を提供する。
【解決手段】この直列4気筒型内燃機関においては、第1ベアリング51及び第2ベアリング52及び第3ベアリング53及び第5ベアリング55として、エンジン本体10からの潤滑油を周方向に流通させる油溝が内周面に形成されたものが用いられ、第4ベアリング54として、こうした油溝が内周面に形成されていないものが用いられ、これにより第4ベアリング54の負荷容量が第1ベアリング51及び第2ベアリング52及び第3ベアリング53及び第5ベアリング55の負荷容量よりも大きいものに維持される。
【選択図】図2

Description

本発明は、クランクシャフトの5つのクランクジャーナルのそれぞれを軸受体により支持する軸受構造の直列4気筒型内燃機関に関するものである。
こうした直列4気筒型内燃機関として、特許文献1に記載のものが知られている。
この内燃機関においては、変速機から最も遠い側から数えて2番目のクランクジャーナル(第2ジャーナル)及び変速機から最も遠い側から数えて4番目のクランクジャーナル(第4ジャーナル)をそれぞれ支持するクランクベアリングに他のクランクジャーナルを支持するクランクベアリングよりも大きな負荷がかかることに着目し、第2ジャーナル及び第4ジャーナルを支持するクランクベアリングの負荷容量を他のクランクジャーナルを支持するクランクベアリングの負荷容量よりも大きく設定するようにしている。
特開平8−277747号公報(段落[0004]及び[0022]及び[0023]及び図10参照)
ところで、上記内燃機関においては、クランクジャーナルとクランクベアリングとの接触に起因して比較的大きな打音の発生をまねくことが本発明者により確認されている。すなわち、特許文献1に記載の発明は、クランクジャーナルを介して内燃機関本体に加えられる力が全てのクランクジャーナルにおいて同じではないことに着目し、この力の大きさに基づいて軸受体を補強したものであるとはいえ、打音の発生の抑制が十分になされていない点において未だ改善の余地を残すものとなっている。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、負荷容量が互いに異なる軸受体を含む軸受構造を採用したうえで、クランクジャーナルと軸受体との衝突にともなう打音の発生を十分に抑制することのできる直列4気筒型内燃機関を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、クランクシャフトの5つのクランクジャーナルのそれぞれを軸受体により支持する直列4気筒型内燃機関において、前記5つの軸受体について、変速機から最も遠いところに位置する軸受体を第1軸受体とし、この第1軸受体に隣接して変速機側に位置する軸受体を第2軸受体とし、この第2軸受体に隣接して変速機側に位置する軸受体を第3軸受体とし、この第3軸受体に隣接して変速機側に位置する軸受体を第4軸受体とし、この第4軸受体に隣接して変速機から最も近いところに位置する軸受体を第5軸受体として、前記第4軸受体の負荷容量が前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体の負荷容量よりも大きく設定されることを要旨としている。
ここで、直列4気筒型内燃機関の4つのシリンダについて、変速機から最も遠いところに位置するシリンダを第1シリンダC1とし、この第1シリンダC1に隣接して変速機側に位置するシリンダを第2シリンダC2とし、この第2シリンダC2に隣接して変速機側に位置するシリンダを第3シリンダC3とし、この第3シリンダC3に隣接して変速機から最も近いところに位置するシリンダを第4シリンダC4とする。また同内燃機関の5つのクランクジャーナルについて、変速機から最も遠いところに位置するクランクジャーナルを第1ジャーナルJ1とし、この第1ジャーナルJ1に隣接して変速機側に位置するクランクジャーナルを第2ジャーナルJ2とし、この第2ジャーナルJ2に隣接して変速機側に位置するクランクジャーナルを第3ジャーナルJ3とし、この第3ジャーナルJ3に隣接して変速機側に位置するクランクジャーナルを第4ジャーナルJ4とし、この第4ジャーナルJ4に隣接して変速機から最も近いところに位置するクランクジャーナルを第5ジャーナルJ5とする。
本発明者によれば、直列4気筒型内燃機関において打音の発生する主な要因は、シリンダでの爆発にともない第4ジャーナルJ4が軸受体と衝突することにあるとの知見が得られている。その理由は、以下のように考えられている。
まず、直列4気筒型内燃機関においてのシリンダでの爆発にともなうクランクシャフトの変形挙動として本発明者により確認されているものについて、これを図1に基づいて説明する。なお、図1(A)はクランクシャフトを平面方向からみたときの各クランクジャーナルの関係を、図1(B)は図1(A)のV方向からみたときの各クランクジャーナルの関係をそれぞれ示している。また、同図における爆発直後の各クランクジャーナルの位置は、同ジャーナルが軸受体により支持されていない状態のものであって、爆発直前の位置との違いを際立たせるために実際のものよりも誇張して表現している。
第1シリンダC1での爆発が生じた直後、クランクシャフトは、第1ジャーナルJ1及び第3ジャーナルJ3及び第5ジャーナルJ5が爆発前と略同じところに位置し、第2ジャーナルJ2が右回りを回転方向とするクランクシャフトの中心軸に対して右下方向に位置し、第4ジャーナルJ4が右回りを回転方向とするクランクシャフトの中心軸に対して左上方向に位置する態様で、すなわち全体としてS字形状を描く態様で変形するようになる。このとき、クランクシャフトの中心軸に対して偏心する量は第2ジャーナルJ2よりも第4ジャーナルJ4の方が大きくなる。一方、第3シリンダC3または第4シリンダC4での爆発が生じた直後、クランクシャフトは、第4ジャーナルJ4のみが他のクランクジャーナルよりも突出してクランクシャフトの中心軸に対して略下方向に位置する態様で変形するようになる。なお、上記のものを含めて、「クランクシャフトの中心軸」は爆発にともなう負荷が加えられていないときの中心軸を示す。
そして、上記の変形態様によって裏付けられるように、第4ジャーナルJ4が軸受体と衝突する頻度は他のジャーナルが対応する軸受体と衝突する頻度よりも大きなものとなるため、これが直列4気筒型内燃機関において打音の発生する主な要因となる。なお、第1シリンダC1での爆発が生じた直後には、上述のように第2ジャーナルJ2もクランクシャフトの中心軸に対して偏心するものの、これが打音発生の要因の主たるものとはならないこと、すなわち打音を発生させることについて第4ジャーナルJ4の偏心よりも大きな影響力をもつものとはならないことも、本発明者により併せて確認されている。
上記発明では、以上の事項に基づいて第4軸受体の負荷容量を第1軸受体及び第2軸受体及び第3軸受体及び第5軸受体の負荷容量よりも大きく設定するようにしているため、すなわち第4軸受体の負荷容量を第1軸受体及び第3軸受体及び第5軸受体のみならず第2軸受体の負荷容量よりも大きく設定するようにしているため、クランクジャーナルと第4軸受体との衝突にともなう打音の発生を抑制することができるようになる。すなわち、直列4気筒型内燃機関において負荷容量が互いに異なる軸受体を含む軸受構造を採用したうえで、クランクジャーナルと軸受体との衝突にともなう打音の発生を十分に抑制することができるようになる。
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の直列4気筒型内燃機関において、前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体の負荷容量が同じ大きさに設定されることを要旨としている。
上記発明によれば、各軸受体の負荷容量が同じ大きさに設定される既存の直列4気筒型内燃機関において、第4軸受体の負荷容量を変更するだけで第4軸受体の負荷容量がその他の軸受体の負荷容量よりも大きい軸受構造を実現することが可能となるため、請求項1に記載の発明の実用性をより高いものにすることができるようになる。
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の直列4気筒型内燃機関において、前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体として同じ構造のものが用いられることを要旨としている。
上記発明によれば、各軸受体として同じ構造のものが用いられる既存の直列4気筒型内燃機関において、第4軸受体の構造を変更するだけで第4軸受体の負荷容量がその他の軸受体の負荷容量よりも大きい軸受構造を実現することが可能となるため、請求項1または2に記載の発明の実用性をより高いものにすることができるようになる。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の直列4気筒型内燃機関において、前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体と前記第4軸受体との負荷容量の違いが各軸受体の内周面における油溝の形成態様の違いのみによりもたらされることを要旨としている。
上記発明によれば、既存の直列4気筒型内燃機関において第4軸受体の構造とその他の軸受体の構造との間に違いをもたせるだけで、第4軸受体の負荷容量がその他の軸受体の負荷容量よりも大きい軸受構造を実現することが可能となるため、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の実用性をより高いものにすることができるようになる。
(5)請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の直列4気筒型内燃機関において、前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体として、内周面に油溝が存在しているものが用いられ、前記第4軸受体として、内周面に油溝が存在していないものが用いられることを要旨としている。
上記発明によれば、第4軸受体の内周面には油溝が形成されていないため、同軸受体の周方向の全体にわたり十分な油膜圧力を維持することができるようになる。従って、第4ジャーナルと軸受体との衝突に起因する打音の発生をより確実に抑制することができるようになる。
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の直列4気筒型内燃機関において、前記5つの軸受体は、クランクジャーナルの内燃機関側の半分を支持する上側軸受体と残りの半分を支持する下側軸受体とに分割される半割型のものであることを要旨としている。
(7)請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の直列4気筒型内燃機関において、前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体と前記第4軸受体との負荷容量の違いが各上側軸受体の内周面における油溝の形成態様の違いのみによりもたらされることを要旨としている。
上記発明によれば、各軸受体に油溝が設けられる既存の直列4気筒型内燃機関において、第4軸受体の油溝構造を変更するだけで第4軸受体の負荷容量がその他の軸受体の負荷容量よりも大きい軸受構造を実現することが可能となるため、請求項6に記載の発明の実用性をより高いものにすることができるようになる。
(8)請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の直列4気筒型内燃機関において、
前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体の上側軸受体として、内周面に油溝が存在しているものが用いられ、前記第4軸受体の上側軸受体として、内周面に油溝が存在していないものが用いられることを要旨としている。
(9)請求項9に記載の発明は、請求項6〜8のいずれか一項に記載の直列4気筒型内燃機関において、前記第4軸受体は、上側軸受体及び下側軸受体として内周面に油溝が存在していないものを備えるものであり、前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体は、上側軸受体として内周面に油溝が存在しているものを備えるものであり、これら4つの軸受体の上側軸受体において、クランクシャフトの回転方向後方側の端部から上側軸受体の周方向中心までの部位である周方向後部は、前記回転方向後方側の端部から当該周方向後部の中間部までにわたる領域であって前記油溝が存在しない部位を含む第1領域と、この第1領域から上側軸受体の周方向中心までにわたる領域であって前記油溝の存在により油膜圧力の大きさが前記第1領域においての油膜圧力よりも小さくなる第2領域とにより構成されるものであり、前記5つの軸受体においての上側軸受体と下側軸受体との合わせ面は、ピストンのストローク方向に対して実質的に直交する態様で設けられるものであって、前記クランクシャフトのねじり剛性は、前記第1軸受体または前記第2軸受体または前記第3軸受体または前記第5軸受体について、前記上側軸受体の第1領域に対するクランクジャーナルの衝突が生じる頻度を前記上側軸受体の第2領域に対するクランクジャーナルの衝突が生じる頻度よりも大きくする範囲内に設定されることを要旨としている。
本発明者によれば、第4軸受体の負荷容量を第1軸受体及び第2軸受体及び第3軸受体及び第5軸受体の負荷容量よりも大きく設定することにより、クランクジャーナルと軸受体との衝突にともなう打音の発生を抑制することが可能になるとはいえ、この効果をより顕著なものとするうえでは、第1軸受体または第2軸受体または第3軸受体または第5軸受体の上側軸受体とクランクジャーナルとの衝突に起因する打音の発生も無視できないものとなることが確認されている。また一方で、直列4気筒型内燃機関においては、クランクシャフトのねじり剛性と軸受体に対するクランクジャーナルの衝突位置との間に相関関係があり、これに基づいてねじり剛性の大きさを設定することにより、軸受体に対するクランクジャーナルの衝突位置を管理することが可能となることも併せて確認されている。
そして、上記発明では以上の事項に基づいて、クランクシャフトのねじり剛性として上側軸受体の第1領域に対するクランクジャーナルの衝突の発生頻度を上側軸受体の第2領域に対するクランクジャーナルの衝突の発生頻度よりも大きくする範囲内のものを設定するようにしているため、すなわち上側軸受体に対するクランクジャーナルの衝突を第2領域よりも油膜圧力の大きい第1領域において高い頻度をもって生じさせるべく、ねじり剛性の設定によりクランクジャーナルの挙動を管理するようにしているため、油溝が設けられた上側軸受体とクランクジャーナルとの衝突にともなう打音の発生について、これを的確に抑制することができるようになる。すなわち、負荷容量が互いに異なる軸受体を含む直列4気筒型内燃機関において、クランクジャーナルと軸受体との衝突にともなう打音発生の抑制にかかる効果をより顕著なものとすることができるようになる。なお、上記発明においての上側軸受体の第1領域及び第2領域は、上側軸受体と下側軸受体との合わせ面がピストンのストローク方向に対して実質的に直交する態様で設けられることによるクランクジャーナルと軸受体との関係を基準としている。
(10)請求項10に記載の発明は、請求項6〜8のいずれか一項に記載の直列4気筒型内燃機関において、前記第4軸受体は、上側軸受体及び下側軸受体として内周面に油溝が存在していないものを備えるものであり、前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体は、上側軸受体として内周面に油溝が存在しているものを備えるものであり、この油溝は、上側軸受体の一方の端部またはその近傍から上側軸受体の他方の端部またはその近傍までにわたり設けられるものであって、油溝の端部から周方向中心にかけて深さが徐々に大きくなるものであり、前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体の上側軸受体において、クランクシャフトの回転方向後方側の端部から上側軸受体の周方向中心までの部位である周方向後部は、前記回転方向後方側の端部から当該周方向後部の中間部までにわたる第1領域と、この第1領域から上側軸受体の周方向中心までにわたる第2領域とにより構成されるものであり、前記5つの軸受体においての上側軸受体と下側軸受体との合わせ面は、ピストンのストローク方向に対して実質的に直交する態様で設けられるものであって、前記クランクシャフトのねじり剛性は、前記第1軸受体または前記第2軸受体または前記第3軸受体または前記第5軸受体について、前記上側軸受体の第1領域に対するクランクジャーナルの衝突が生じる頻度を前記上側軸受体の第2領域に対するクランクジャーナルの衝突が生じる頻度よりも大きくする範囲内に設定されることを要旨としている。
上記発明では、クランクシャフトのねじり剛性として上側軸受体の第1領域に対するクランクジャーナルの衝突の発生頻度を上側軸受体の第2領域に対するクランクジャーナルの衝突の発生頻度よりも大きくする範囲内のものを設定するようにしているため、すなわち上側軸受体に対するクランクジャーナルの衝突を第2領域よりも油膜圧力の大きい第1領域において高い頻度をもって生じさせるべく、ねじり剛性の設定によりクランクジャーナルの挙動を管理するようにしているため、油溝が設けられた上側軸受体とクランクジャーナルとの衝突にともなう打音の発生について、これを的確に抑制することができるようになる。すなわち、負荷容量が互いに異なる軸受体を含む直列4気筒型内燃機関において、クランクジャーナルと軸受体との衝突にともなう打音発生の抑制にかかる効果をより顕著なものとすることができるようになる。なお、上記発明においての上側軸受体の第1領域及び第2領域も、上側軸受体と下側軸受体との合わせ面がピストンのストローク方向に対して実質的に直交する態様で設けられることによるクランクジャーナルと軸受体との関係を基準としている。
(11)請求項11に記載の発明は、請求項6〜10のいずれか一項に記載の直列4気筒型内燃機関において、前記5つの軸受体の下側軸受体として、内周面に油溝が存在していないものが用いられることを要旨としている。
上記発明によれば、各軸受体の下側軸受体として油溝の存在していないものが用いられるため、クランクジャーナルと下側軸受体との衝突にともなう打音の発生をより確実に抑制することができるようになる。
(12)請求項12に記載の発明は、請求項6〜11のいずれか一項に記載の直列4気筒型内燃機関において、前記5つの軸受体は、前記上側軸受体である上側ベアリングと前記下側軸受体である下側ベアリングとにより構成される半割型のクランクベアリングであることを要旨としている。
(13)請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の直列4気筒型内燃機関において、前記クランクベアリングが取り付けられる当該内燃機関の軸受構造体について、この軸受構造体は、内燃機関本体の一部として形成され且つ上側ベアリングが取り付けられる上側軸受構造体と、この上側軸受構造体に組み合わされ且つ下側ベアリングが取り付けられる下側軸受構造体とを含めて構成されるものであり、前記軸受構造体と前記クランクベアリングとの関係として、前記軸受構造体においての上側軸受構造体と下側軸受構造体との合わせ面と、前記クランクベアリングにおいての上側ベアリングと下側ベアリングとの合わせ面とが実質的に同一の平面上に存在するものが設定されることを要旨としている。
上記発明によれば、第4軸受体の負荷容量がその他の軸受体の負荷容量よりも大きい軸受構造を実現するうえで、軸受構造体に対するクランクベアリングの組み付け態様として一般的なものが採用されるため、すなわち同組み付け態様として例えば上側ベアリングと上側軸受構造体との相対的な回転位相を異ならせるといったものが採用されることはないため、請求項12に記載の発明の実用性をより高いものにすることができるようになる。
(14)請求項14に記載の発明は、クランクシャフトの5つのクランクジャーナルのそれぞれをクランクベアリングにより支持する直列4気筒型内燃機関において、前記5つのクランクベアリングについて、変速機から最も遠いところに位置するクランクベアリングを第1ベアリングとし、この第1ベアリングに隣接して変速機側に位置するクランクベアリングを第2ベアリングとし、この第2ベアリングに隣接して変速機側に位置するクランクベアリングを第3ベアリングとし、この第3ベアリングに隣接して変速機側に位置するクランクベアリングを第4ベアリングとし、この第4ベアリングに隣接して変速機から最も近いところに位置するクランクベアリングを第5ベアリングとして、前記第1ベアリング及び前記第2ベアリング及び前記第3ベアリング及び前記第5ベアリングとして、内周面に油溝が存在しているものが用いられ、前記第4ベアリングとして、内周面に油溝が存在していないものが用いられ、これにより前記第4ベアリングの負荷容量が前記第1ベアリング及び前記第2ベアリング及び前記第3ベアリング及び前記第5ベアリングの負荷容量よりも大きいものに維持されることを要旨としている。
上記発明によれば、クランクジャーナルと第4ベアリングとの衝突にともなう打音の発生を抑制することができるようになる。すなわち、直列4気筒型内燃機関において負荷容量が互いに異なる軸受体(クランクベアリング)を含む軸受構造を採用したうえで、クランクジャーナルとクランクベアリングとの衝突にともなう打音の発生を十分に抑制することができるようになる。また、第4ベアリングにおいて周方向の全体にわたり十分な油膜圧力が維持されるため、第4ジャーナルと第4ベアリングとの衝突に起因する打音の発生をより確実に抑制することができるようになる。また、各クランクベアリングに油溝が設けられる既存の直列4気筒型内燃機関において、第4ベアリングの油溝を省略するだけで上記作用効果を奏することが可能となるため、当該発明の実用性をより高いものにすることができるようになる。
(15)請求項15に記載の発明は、クランクシャフトの5つのクランクジャーナルのそれぞれを軸受体により支持する直列4気筒型内燃機関において、前記5つの軸受体について、変速機から最も遠いところに位置する軸受体を第1軸受体とし、この第1軸受体に隣接して変速機側に位置する軸受体を第2軸受体とし、この第2軸受体に隣接して変速機側に位置する軸受体を第3軸受体とし、この第3軸受体に隣接して変速機側に位置する軸受体を第4軸受体とし、この第4軸受体に隣接して変速機から最も近いところに位置する軸受体を第5軸受体として、前記5つの軸受体は、クランクジャーナルの内燃機関側の半分を支持する上側軸受体と残りの半分を支持する下側軸受体とに分割される半割型のものであって、上側軸受体と下側軸受体との合わせ面がピストンのストローク方向に対して実質的に直交する態様で設けられるものであり、前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体の前記上側軸受体は、内周面において一方の端部またはその近傍から他方の端部またはその近傍までにわたり油溝が設けられるものであり、前記第4軸受体の前記上側軸受体は、内周面において周方向中心またはその近傍からクランクシャフトの回転方向前方側の端部までにわたり油溝が設けられるものであることを要旨としている。
本発明者によれば、請求項1の効果において説明したように、第1シリンダでの爆発が生じた直後に第4ジャーナルがクランクシャフトの中心軸に対して左上方向に位置する態様でクランクシャフトが変形し、このときの第4ジャーナルと軸受体(第4軸受体の上側軸受体)との衝突が直列4気筒型内燃機関において打音の発生する主な要因となることが確認されている。また、この主な要因となる第4ジャーナルと第4軸受体との衝突は、第1シリンダでの爆発が生じた直後に第4ジャーナルがクランクシャフトの中心軸に対して左上方向に位置する態様でクランクシャフトが変形することによって裏付けられるように、上側軸受体の周方向中心またはその近傍よりもクランクシャフトの回転方向後方側において生じることも併せて確認されている。
そして、上記発明では以上の事項に基づいて、第4軸受体の上側軸受体において同軸受体の周方向中心またはその近傍からクランクシャフトの回転方向前方側の端部までにわたり油溝を設けるようにしているため、すなわち第4軸受体の上側軸受体の周方向中心またはその近傍から回転方向後方側の端部までの間において、油溝の存在による油膜圧力の低下を回避すべくこの範囲に油溝を設けないようにしているため、クランクジャーナルと第4軸受体との衝突にともなう打音の発生を的確に抑制することができるようになる。また、第1軸受体及び第2軸受体及び第3軸受体及び第5軸受体の上側軸受体において同軸受体の一方の端部またはその近傍から他方の端部またはその近傍までにわたり油溝を設けるとともに、第4軸受体の上側軸受体の周方向中心またはその近傍からクランクシャフトの回転方向前方側の端部までにわたり油溝を設けるようにしているため、各クランクジャーナルの潤滑性を的確に維持することができるようになる。すなわち上記発明によれば、直列4気筒型内燃機関において負荷容量が互いに異なる軸受体を含む軸受構造を採用したうえで、クランクジャーナルと軸受体との衝突にともなう打音の発生を十分に抑制することと、各クランクジャーナルの潤滑性を維持することとの両立を図ることができるようになる。なお、上記発明において第4軸受体の上側軸受体に設けられる油溝の位置は、上側軸受体と下側軸受体との合わせ面がピストンのストローク方向に対して実質的に直交する態様で設けられることによるクランクジャーナルと軸受体との関係を基準としている。
(16)請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の直列4気筒型内燃機関において、前記第4軸受体の上側軸受体は、内周面においてクランクシャフトの回転方向後方側の端部から周方向の30°〜60°の範囲内いずれかまでにわたる部位に油溝が存在していないものであることを要旨としている。
本発明者によれば、シリンダでの爆発にともなう第4軸受体に対するクランクジャーナルの衝突は、主に上記範囲において生じるものであることが確認されている。上記発明では、これに基づいて第4軸受体として同範囲に油溝の存在しないものを用いるようにしているため、第4軸受体に対するクランクジャーナルの衝突にともなう打音の発生をより確実に抑制することができるようになる。
(17)請求項17に記載の発明は、請求項15または16に記載の直列4気筒型内燃機関において、前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体の下側軸受体は、内周面の全体にわたり油溝が存在していないものであることを要旨としている。
上記発明によれば、第1軸受体及び第2軸受体及び第3軸受体及び第5軸受体の下側軸受体として油溝の存在しないものが用いられているため、クランクジャーナルと下側軸受体との衝突にともなう打音の発生をより確実に抑制することができるようになる。
(18)請求項18に記載の発明は、請求項15〜17のいずれか一項に記載の直列4気筒型内燃機関において、前記第4軸受体の上側軸受体は、内周面においてクランクシャフトの回転方向後方側の端部から周方向の中間部までにわたり油溝が存在していない第1領域と、内周面においてこの第1領域からクランクシャフトの回転方向前方側の端部までにわたり油溝が存在している第2領域とにより構成されるものであり、前記クランクシャフトのねじり剛性は、前記上側軸受体の第1領域に対するクランクジャーナルの衝突が生じる頻度を前記上側軸受体の第2領域に対するクランクジャーナルの衝突が生じる頻度よりも大きくする範囲内に設定されることを要旨としている。
上記発明では、クランクシャフトのねじり剛性として第4軸受体の上側軸受体の第1領域に対するクランクジャーナルの衝突の発生頻度を同上側軸受体の第2領域に対する衝突の発生頻度よりも大きくする範囲内のものを設定するようにしているため、すなわち上側軸受体に対するクランクジャーナルの衝突を第2領域よりも油膜圧力の大きい第1領域において高い頻度をもって生じさせるべく、ねじり剛性の設定によりクランクジャーナルの挙動を管理するようにしているため、第4軸受体の上側軸受体とクランクジャーナルとの衝突にともなう打音の発生について、これを的確に抑制することができるようになる。すなわち、負荷容量が互いに異なる軸受体を含む直列4気筒型内燃機関において、クランクジャーナルと軸受体との衝突にともなう打音発生の抑制にかかる効果をより顕著なものとすることができるようになる。
(19)請求項19に記載の発明は、請求項15〜18のいずれか一項に記載の直列4気筒型内燃機関において、前記5つの軸受体は、前記上側軸受体である上側ベアリングと前記下側軸受体である下側ベアリングとにより構成される半割型のクランクベアリングであり、このクランクベアリングが取り付けられる当該内燃機関の軸受構造体について、この軸受構造体は、内燃機関本体の一部として形成され且つ上側ベアリングが取り付けられる上側軸受構造体と、この上側軸受構造体に組み合わされ且つ下側ベアリングが取り付けられる下側軸受構造体とを含めて構成されるものであり、前記軸受構造体と前記クランクベアリングとの関係として、前記軸受構造体においての上側軸受構造体と下側軸受構造体との合わせ面と、前記クランクベアリングにおいての前記上側ベアリングと前記下側ベアリングとの合わせ面とが実質的に同一の平面上に存在するものが設定されることを要旨としている。
上記発明によれば、第4軸受体の負荷容量がその他の軸受体の負荷容量よりも大きい軸受構造を実現するうえで、軸受構造体に対するクランクベアリングの組み付け態様として一般的なものが採用されるため、すなわち同組み付け態様として例えば上側ベアリングと上側軸受構造体との相対的な回転位相を異ならせるといったものが採用されることはないため、請求項15〜18のいずれかに記載の発明の実用性をより高いものにすることができるようになる。
(20)請求項20に記載の発明は、請求項1〜19のいずれか一項に記載の直列4気筒型内燃機関において、前記クランクシャフトの5つのクランクジャーナルについて、変速機から最も遠いところに位置するクランクジャーナルを第1ジャーナルとし、この第1ジャーナルに隣接して変速機側に位置するクランクジャーナルを第2ジャーナルとし、この第2ジャーナルに隣接して変速機側に位置するクランクジャーナルを第3ジャーナルとし、この第3ジャーナルに隣接して変速機側に位置するクランクジャーナルを第4ジャーナルとし、この第4ジャーナルに隣接して変速機から最も近いところに位置するクランクジャーナルを第5ジャーナルとし、前記クランクシャフトの4つのクランクピンについて、変速機から最も遠いところに位置するクランクピンを第1ピンとし、この第1ピンよりも変速機側に位置するクランクピンを第2ピンとし、この第2ピンよりも変速機側に位置するクランクピンを第3ピンとし、この第3ピンよりも変速機側に位置するクランクピンを第4ピンとして、前記クランクシャフトは、内燃機関本体からの潤滑油を流通させる油路として、前記第1ジャーナルから前記第1ピンまでにわたり貫通する第1油路と、前記第2ジャーナルから前記第2ピンまでにわたり貫通する第2油路と、前記第3ジャーナルから前記第3ピンまでにわたり貫通する第3油路と、前記第5ジャーナルから前記第4ピンまでにわたり貫通する第4油路とが設けられることを要旨としている。
上記発明によれば、内燃機関本体からの潤滑油を流通させる油溝を第4軸受体に設けない構造を採用した場合においても、各クランクピンに潤滑油を適切に供給することができるようになる。
(21)請求項21に記載の発明は、請求項1〜20のいずれか一項に記載の直列4気筒型内燃機関において、当該内燃機関は、4つのシリンダとしてピストンのストロークがシリンダのボア径よりも大きく設定されたロングストローク型のものを備えることを要旨としている。
本発明者によれば、第4ジャーナルと軸受体との衝突にともなう打音の発生はシリンダの構造がロングストローク型の直列4気筒型内燃機関において顕著に現れることが確認されている。上記発明では、これに基づいて同内燃機関において第4軸受体の負荷容量をその他の軸受体の負荷容量よりも大きくするようにしているため、その実用性をより高いものにすることができるようになる。
(第1実施形態)
図2〜図6を参照して本発明の第1実施形態について説明する。
図2に示すように、直列4気筒型のエンジン1は、シリンダブロック及びシリンダヘッドからなるエンジン本体10と、混合気の爆発による燃焼圧力を通じて回転するクランクシャフト30とを含めて構成されている。
クランクシャフト30について、前側端部30Aにはタイミングチェーン91(またはタイミングベルト)が巻き掛けられ、また後側端部30Bには変速機92の入力軸が接続される。
エンジン本体10には、4つのシリンダとして、変速機92から最も遠いところに位置する第1シリンダ11と、この第1シリンダ11に隣接して変速機92側に位置する第2シリンダ12と、この第2シリンダ12に隣接して変速機92側に位置する第3シリンダ13と、この第3シリンダ13に隣接して変速機92から最も近いところに位置する第4シリンダ14とが設けられている。各シリンダ11〜14内には、コネクティングロッド16を介してクランクシャフト30に連結されたピストン15が配置されている。また各シリンダ11〜14は、ピストン15のストロークがボア径よりも大きく設定されたロングストローク型のものとして構成されている。
クランクシャフト30には、5つのクランクジャーナルとして、変速機92から最も遠いところに位置する第1ジャーナル31と、この第1ジャーナル31に隣接して変速機92側に位置する第2ジャーナル32と、この第2ジャーナル32に隣接して変速機92側に位置する第3ジャーナル33と、この第3ジャーナル33に隣接して変速機92側に位置する第4ジャーナル34と、この第4ジャーナル34に隣接して変速機92から最も近いところに位置する第5ジャーナル35とが設けられている。また、4つのクランクピンとして、変速機92から最も遠いところに位置する第1ピン41と、この第1ピン41よりも変速機92側に位置する第2ピン42と、この第2ピン42よりも変速機92側に位置する第3ピン43と、この第3ピン43よりも変速機92側に位置する第4ピン44とが設けられている。また、クランクジャーナルとクランクピンとの間にはこれらを接続するクランクアーム45が設けられている。また、各クランクアーム45には回転のバランスをとるためのカウンタウエイト46が設けられている。
エンジン本体10には、各クランクジャーナルを回転可能な状態で支持する軸受部として、第1ジャーナル31を支持する第1軸受部21と、第2ジャーナル32を支持する第2軸受部22と、第3ジャーナル33を支持する第3軸受部23と、第4ジャーナル34を支持する第4軸受部24と、第5ジャーナル35を支持する第5軸受部25とが設けられている。
各軸受部21〜25は、エンジン本体10内のクランク室17を複数の室に区画する複数の隔壁26と、ボルト28を通じてこれに組み合わされるクランクキャップ27と、これら隔壁26及びクランクキャップ27に設けられるクランクベアリング51〜55(軸受体)とにより構成されている。すなわちエンジン本体10には、クランクジャーナルを支持するクランクベアリングとして、第1軸受部21の構成要素であって変速機92から最も遠いところに位置するクランクベアリング51(第1ベアリング51)と、第2軸受部22の構成要素であって第1ベアリング51に隣接して変速機92側に位置するクランクベアリング52(第2ベアリング52)と、第3軸受部23の構成要素であって第2ベアリング52に隣接して変速機92側に位置するクランクベアリング53(第3ベアリング53)と、第4軸受部24の構成要素であって第3ベアリング53に隣接して変速機92側に位置するクランクベアリング54(第4ベアリング54)と、第5軸受部25の構成要素であって第4ベアリング54に隣接して変速機92から最も近いところに位置するクランクベアリング55(第5ベアリング55)とが設けられている。なお、エンジン本体10の軸受構造体は、上側軸受構造体である隔壁26と下側軸受構造体であるクランクキャップ27とにより構成されている。
図3に示すように、クランクシャフト30にはエンジン本体10からの潤滑油をクランクジャーナルとクランクベアリングとのクリアランスからコネクティングロッドとコンロッドベアリングとのクリアランスまでにわたり流通させる油路として、次のものが設けられている。すなわち、第1ジャーナル31と第1ベアリング51とのクリアランスから第1ピン41とこれを支持するベアリングとのクリアランスに潤滑油を供給する第1油路61と、第2ジャーナル32と第2ベアリング52とのクリアランスから第2ピン42とこれを支持するベアリングとのクリアランスに潤滑油を供給する第2油路62と、第3ジャーナル33と第3ベアリング53とのクリアランスから第3ピン43とこれを支持するベアリングとのクリアランスに潤滑油を供給する第3油路63と、第5ジャーナル35と第5ベアリング55とのクリアランスから第4ピン44とこれを支持するベアリングとのクリアランスに潤滑油を供給する第4油路64とが設けられている。
第1油路61は、第1ジャーナル31を径方向に貫通する油路と、これに連通して第1ジャーナル31から第1ピン41までにわたりクランクアーム45を貫通する油路とにより構成されている。また第2油路62は、第2ジャーナル32を径方向に貫通する油路と、これに連通して第2ジャーナル32から第2ピン42までにわたりクランクアーム45を貫通する油路とにより構成されている。また第3油路63は、第3ジャーナル33を径方向に貫通する油路と、これに連通して第3ジャーナル33から第3ピン43までにわたりクランクアーム45を貫通する油路とにより構成されている。また第4油路64は、第5ジャーナル35を径方向に貫通する油路と、これに連通して第5ジャーナル35から第4ピン44までにわたりクランクアーム45を貫通する油路とにより構成されている。
各クランクベアリング51〜55は、エンジン本体10の隔壁26に取り付けられる半円形状のアッパベアリング56と、クランクキャップ27に取り付けられる半円形状のロアベアリング57とに分割される半割型のすべり軸受として構成されている。
次に図4及び図5を参照して、各軸受部21〜25によるクランクジャーナルの支持構造の詳細について説明する。なお図4は、図2のDA−DA線に沿うエンジン1の断面構造であって、第1軸受部21による第1ジャーナル31の支持構造を示す。また図5は、図2のDB−DB線に沿うエンジン1の断面構造であって、第4軸受部24による第4ジャーナル34の支持構造を示す。また、第2軸受部22及び第3軸受部23及び第5軸受部25によるクランクジャーナルの支持構造は、基本的には図4に示される第1軸受部21によるクランクジャーナルの支持構造と同様のものとなっている。また各図面において、矢印ACはクランクシャフト30の回転方向を、矢印ASはピストン15のストローク方向をそれぞれ示す。
各軸受部21〜25は上述のように、エンジン本体10の隔壁26と、これに組み合わされるクランクキャップ27と、隔壁26に取り付けられるアッパベアリング56と、クランクキャップ27に取り付けられるロアベアリング57とを構成要素としている。また、隔壁26とクランクキャップ27との合わせ面2Fと、アッパベアリング56とロアベアリング57との合わせ面5Fとが実質的に同一の平面上に存在する態様で、アッパベアリング56及びロアベアリング57のそれぞれが隔壁26またはクランクキャップ27に取り付けられている。さらに、合わせ面2F及び合わせ面5F(これら各面を含む一の平面)がピストン15のストローク方向ASに対して実質的に直交する態様で設けられる。
そして、以上の点については全ての軸受部21〜25に共通したものとなっており、その一方で第1軸受部21及び第2軸受部22及び第3軸受部23及び第5軸受部25と第4軸受部24とは、以下に説明する点において互いに異なる構造が採用されている。
すなわち、第4軸受部24の負荷容量を第1軸受部21及び第2軸受部22及び第3軸受部23及び第5軸受部25の負荷容量よりも大きなものにすべく、またこの負荷容量の違いを各クランクベアリングの負荷容量の違いのみによりもたらすべく、またこの負荷容量の違いを各クランクベアリングにおける油溝の形成態様の違いのみによりもたらすべく、第1軸受部21及び第2軸受部22及び第3軸受部23及び第5軸受部25のクランクベアリングとして、エンジン本体10からの潤滑油を周方向に流通させる油溝59が内周面に形成されたものが用いられるとともに、第4軸受部24の第4ベアリング54として、そうした油溝が内周面に形成されていないものが用いられている。
また、第1ベアリング51及び第2ベアリング52及び第3ベアリング53及び第5ベアリング55の負荷容量を同じ大きさにすべく、これらベアリングとして同じ構造のものが用いられている。
このようにエンジン1においては、第1ベアリング51〜第5ベアリング55として、油溝の形成態様が上記のごとく異なる点を除いて、内径及び外径及び厚さ及び幅が同じ大きさに設定されたものが用いられている。
図6及び図7を参照して、各ベアリング51〜55の詳細な構造について説明する。なお以降では、クランクベアリングにおける任意の位置を基準としたときに、周方向においてこの基準位置よりもクランクシャフト30の回転方向の前方を回転方向前方AFとし、同基準位置よりもクランクシャフト30の回転方向の後方を回転方向後方ARとする。
図6に示すように、第1ベアリング51及び第2ベアリング52及び第3ベアリング53及び第5ベアリング55のアッパベアリング56には、エンジン本体10の隔壁26内を経て供給される潤滑油をクランクジャーナルとのクリアランスに流通させる一対の油孔58と、この油孔58を通過した潤滑油を周方向に流通させる油溝59とが設けられている。一方、第1ベアリング51及び第2ベアリング52及び第3ベアリング53及び第5ベアリング55のロアベアリング57には、油孔58及び油溝59のいずれもが設けられていない。
上記油孔58の一方は、アッパベアリング56の周方向中心から回転方向後方ARに向けて30°までの範囲内に設けられ、また上記油孔58の他方は、アッパベアリング56の周方向中心から回転方向前方AFに向けて30°までの範囲内に設けられている。またここでは、各油孔58の位置がアッパベアリング56の周方向中心を基準として左右対称となるように設定されている。
油溝59は、アッパベアリング56の回転方向後方AR側の端部(後方側端部56R)からアッパベアリング56の回転方向前方AF側の端部(前方側端部56F)までにわたり設けられている。また油溝59の深さは、油溝59の端部から周方向の中心にかけて徐々に大きくなり、アッパベアリング56の周方向中心において最も大きくなる態様で設定されている。
図7に示すように、第4ベアリング54のアッパベアリング56には、エンジン本体10の隔壁26内を経て供給される潤滑油をクランクジャーナルとのクリアランスに流通させる一対の油孔58が設けられているとともに、油溝59に相当するものは設けられていない。一方、第4ベアリング54のロアベアリング57には、油孔58及び油溝59のいずれもが設けられていない。
上記油孔58の一方は、アッパベアリング56の周方向中心から回転方向後方ARに向けて30°までの範囲内に設けられ、また上記油孔58の他方は、アッパベアリング56の周方向中心から回転方向前方AFに向けて30°までの範囲内に設けられている。またここでは、各油孔58の位置がアッパベアリング56の周方向中心を基準として左右対称となるように設定されている。
ここで、図4及び図5を再度参照して、各軸受部21〜25における潤滑油の流通態様について説明する。
エンジン1においてオイルポンプにより吐出された潤滑油は、エンジン本体10の油路を流通し、隔壁26内に設けられた油路26Aにたどりついた後、同油路26Aの出口を介して隔壁26とアッパベアリング56外周側との間に設けられた油路26Bに流れ込む。この油路26Bの潤滑油は、アッパベアリング56の油孔58のいずれかを介して各クランクベアリング51〜55と各クランクジャーナル31〜35とのクリアランスに流れ込む。そして、アッパベアリング56の内周面に油溝59が存在する第1軸受部21、第2軸受部22、第3軸受部23及び第5軸受部25においては、油孔58を通過した潤滑油の一部が油溝59を介して周方向に流通する。
[実施形態の効果]
以上詳述したように、本実施形態の直列4気筒型内燃機関(エンジン1)によれば以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態のエンジン1では、第4軸受部24の負荷容量を第1軸受部21及び第2軸受部22及び第3軸受部23及び第5軸受部25の負荷容量よりも大きく設定するようにしているため、すなわち第4軸受部24の負荷容量を第1軸受部21及び第3軸受部23及び第5軸受部25のみならず第2軸受部22の負荷容量よりも大きく設定するようにしている。これにより、第4軸受部24とクランクジャーナルとの衝突にともなう打音の発生を抑制することができるようになる。すなわち、エンジン1において負荷容量が互いに異なる軸受部を含む軸受構造を採用したうえで、クランクジャーナルと軸受部との衝突にともなう打音の発生を十分に抑制することができるようになる。
ちなみに、エンジン1において第4軸受部24の負荷容量を第1軸受部21または第2軸受部22または第3軸受部23または第5軸受部25の負荷容量と同じ大きさに設定した場合には、第1シリンダ11での爆発が生じた直後、第4ジャーナル34が右回りを回転方向とするクランクシャフト30の中心軸に対して左上方向に移動し、これにともない第4ベアリング54の周方向後部56Aに対して衝突する頻度が本実施形態の場合よりも大きくなる。
(2)本実施形態のエンジン1では、第1軸受部21及び第2軸受部22及び第3軸受部23及び第5軸受部25と第4軸受部24との負荷容量の違いが各クランクベアリングの負荷容量の違いのみによりもたらされるようにしている。これにより、既存の直列4気筒型内燃機関において第4ベアリング54の構造とその他のクランクベアリングの構造との間に違いをもたせるだけで、第4軸受部24の負荷容量がその他の軸受部の負荷容量よりも大きい軸受構造を実現することが可能となるため、当該エンジン1の実用性をより高いものにすることができるようになる。
(3)本実施形態のエンジン1では、第1ベアリング51及び第2ベアリング52及び第3ベアリング53及び第5ベアリング55の負荷容量について、これを同じ大きさに設定するようにしている。これにより、各クランクベアリングの負荷容量が同じ大きさに設定される既存の直列4気筒型内燃機関において、第4ベアリング54の負荷容量を変更するだけで第4軸受部24の負荷容量がその他の軸受部の負荷容量よりも大きい軸受構造を実現することが可能となるため、当該エンジン1の実用性をより高いものにすることができるようになる。
(4)本実施形態のエンジン1では、第1ベアリング51及び第2ベアリング52及び第3ベアリング53及び第5ベアリング55として同じ構造のものを用いるようにしている。これにより、各クランクベアリングとして同じ構造のものが用いられる既存の直列4気筒型内燃機関において、第4ベアリング54の構造を変更するだけで第4軸受部24の負荷容量がその他の軸受部の負荷容量よりも大きい軸受構造を実現することが可能となるため、当該エンジン1の実用性をより高いものにすることができるようになる。
(5)本実施形態のエンジン1では、第1ベアリング51及び第2ベアリング52及び第3ベアリング53及び第5ベアリング55として、エンジン本体10からの潤滑油を周方向に流通させる油溝59が内周面に形成されたものを用い、第4ベアリング54として、こうした油溝が内周面に形成されていないものを用いるようにしている。これにより、第4ベアリング54の周方向の全体にわたり十分な油膜圧力が維持されるため、第4ジャーナル34と第4ベアリング54との衝突に起因する打音の発生をより確実に抑制することができるようになる。すなわち、第1シリンダ11での爆発が生じた直後に、第4ジャーナル34が右回りを回転方向とするクランクシャフト30の中心軸に対して左上方向に移動し、これに起因して第4ジャーナル34と第4ベアリング54との衝突が生じることを確実に抑制することができるようになる。また、第3シリンダ13または第4シリンダ14での爆発が生じた直後に、第4ジャーナル34が他のクランクジャーナルよりも突出してクランクシャフト30の中心軸に対して略下方向に移動し、これに起因して第4ジャーナル34と第4ベアリング54との衝突が生じることについても確実に抑制することができるようになる。
(6)本実施形態のエンジン1では、第1ベアリング51及び第2ベアリング52及び第3ベアリング53及び第5ベアリング55と第4ベアリング54との負荷容量の違いが各クランクベアリングにおける油溝の形成態様の違いのみによりもたらされるようにしている。これにより、各クランクベアリングに油溝が設けられる既存の直列4気筒型内燃機関において、第4ベアリングに相当するクランクベアリングの油溝を省略するだけで第4軸受部24の負荷容量がその他の軸受部の負荷容量よりも大きい軸受構造を実現することが可能となるため、当該エンジン1の実用性をより高いものにすることができるようになる。
(7)本実施形態のエンジン1では、第1ベアリング51及び第2ベアリング52及び第3ベアリング53及び第5ベアリング55のロアベアリング57として油溝59が内周面に形成されていないものを用いるようにしている。これにより、ロアベアリング57とクランクジャーナルとの衝突にともなう打音の発生をより確実に抑制することができるようになる。
(8)本実施形態のエンジン1では、エンジン本体10に設けられた隔壁26と、これに組み合わされるクランクキャップ27と、隔壁26に取り付けられるアッパベアリング56と、クランクキャップ27に取り付けられるロアベアリング57とを各軸受部21〜25の構成要素とし、隔壁26とクランクキャップ27との合わせ面2Fとアッパベアリング56とロアベアリング57との合わせ面5Fとが実質的に同一の平面上に存在する態様で各軸受部21〜25にクランクベアリング51〜55を取り付けるようにしている。このように、第4軸受部24の負荷容量がその他の軸受部の負荷容量よりも大きい軸受構造を実現するうえで、軸受部に対するクランクベアリングの組み付け態様として一般的なものを採用するようにしているため、すなわち同組み付け態様として例えばアッパベアリングと隔壁との相対的な回転位相を異ならせるといったものを採用していないため、当該エンジン1の実用性をより高いものにすることができるようになる。
(9)本実施形態のエンジン1では、エンジン本体10からの潤滑油をクランクシャフト30内において流通させる油路として第1油路61〜第4油路64を設けるようにしている。これにより、油溝59が内周面に存在しない第4ベアリング54を用いる構造を採用したうえで、各クランクピンに潤滑油を適切に供給することができるようになる。
(10)本発明者によれば、第4ジャーナルとクランクベアリングとの衝突にともなう打音の発生はシリンダの構造がロングストローク型の直列4気筒型内燃機関において顕著に現れることが確認されている。そして本実施形態では、これに基づいてロングストローク型のシリンダを備えるエンジン1において、上記(1)〜(9)の構造を適用しているため、その実用性をより高いものにすることができるようになる。
[実施形態の変形例]
上記実施形態は、例えば以下に示すように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、アッパベアリング56に一対の油孔58を設けるようにしたが、これら油孔58のいずれか一方を省略することもできる。また、一方の油孔58の位置をアッパベアリング56の周方向中心から回転方向後方ARに向けて30°までの範囲内とし、他方の油孔58の位置をアッパベアリング56の周方向中心から回転方向前方AFに向けて30°までの範囲内としたが、各油孔58の位置をこれら範囲の外に設定することもできる。
・上記実施形態では、アッパベアリング56の後方側端部56Rから前方側端部56Fまでにわたり油溝59を設けるようにしたが、この油溝59の形成態様を例えば次のように変更することもできる。すなわち、後方側端部56R近傍から前方側端部56Fまでにわたり油溝59を設ける態様であって、後方側端部56Rを含む同端部56R近傍に油溝59が存在しない部位を設ける態様とすることでもできる。また、後方側端部56Rから前方側端部56F近傍までにわたり油溝59を設ける態様であって、前方側端部56Fを含む同端部56F近傍に油溝59が存在しない部位を設ける態様とすることでもできる。またあるいは、後方側端部56R近傍から前方側端部56F近傍までにわたり油溝59を設ける態様であって、後方側端部56Rを含む同端部56R近傍及び前方側端部56Fを含む同端部56F近傍に油溝59が存在しない部位を設ける態様とすることでもできる。
(第2実施形態)
図2〜図7を参照して本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態のエンジン1の構造は、前記第1実施形態のエンジン1において、先の[課題を解決するための手段]の欄の請求項9または10に関するものにおいて説明した内容に基づいて、クランクシャフト30のねじり剛性の設定を通じてクランクベアリングに対するクランクジャーナルの衝突位置を管理する構造をさらに加えたものとなっている。
上記欄においても述べたように、本発明者によれば、第4軸受部24の負荷容量を第1軸受部21及び第2軸受部22及び第3軸受部23及び第5軸受部25の負荷容量よりも大きく設定することにより、クランクジャーナルと軸受部との衝突にともなう打音の発生を抑制することが可能になるとはいえ、この効果をより顕著なものとするうえでは、油溝59が設けられるアッパベアリング56とクランクジャーナルとの衝突に起因する打音の発生も無視できないものとなることが確認されている。また一方で、エンジン1においては、クランクシャフト30のねじり剛性とクランクベアリングに対するクランクジャーナルの衝突位置との間に相関関係があり、これに基づいてねじり剛性の大きさを設定することにより、クランクベアリングに対するクランクジャーナルの衝突位置を管理することが可能となることも併せて確認されている。なお、ここでのクランクシャフト30のねじり剛性は、クランクシャフト全体としてのねじり剛性を示す。
そして、本実施形態のエンジン1では以上の事項に基づいて、クランクシャフト30のねじり剛性としてアッパベアリング56の第1領域56C(図7参照)に対するクランクジャーナルの衝突の発生頻度をアッパベアリング56の第2領域56Dに対するクランクジャーナルの発生頻度よりも大きくする範囲内のものを設定するようにしている。具体的には、アッパベアリング56においての後方側端部56Rから周方向中心までの部位である周方向後部56Aについて、後方側端部56Rから後方中間部56Bまでにわたる部位を第1領域56Cとし、同後方中間部56B(第1領域56Cの端)からアッパベアリング56の周方向中心までにわたる部位であって、クランクジャーナルとの間にて得られる油膜圧力が第1領域56Cのものよりも小さくなる部位を第2領域56Dとして、クランクジャーナルがアッパベアリング56に対して衝突する部位を極力第1領域56Cに限られたものとすべく、クランクシャフト30のねじり剛性の大きさを設定するようにしている。すなわち、アッパベアリング56に対するクランクジャーナルの衝突を第2領域56Dよりも油膜圧力の大きい第1領域56Cにおいて高い頻度をもって生じさせるべく、混合気の爆発にともなうクランクジャーナルの挙動(クランクシャフト30の変形態様)をクランクシャフト30のねじり剛性の設定を通じて管理するようにしている。
なお、ここでの第1領域56Cは、油溝59が存在しているもののその深さが第2領域56Dのものよりも十分に小さいことにともない、クランクジャーナルとの間に得られる油膜圧力が油溝の存在しない部位においての油膜圧力と同程度またはそれに近い大きさとなる領域を示す。すなわち、アッパベアリング56の周方向後部56Aにおいて十分な大きさの油膜圧力が得られることにより打音の発生を抑制することのできる範囲について、これを第1領域56Cとして設定することができる。また、アッパベアリング56の第1領域56C及び第2領域56Dにかかる区分は、隔壁26とクランクキャップ27との合わせ面2Fとアッパベアリング56とロアベアリング57との合わせ面5Fとが実質的に同一の平面上に存在する態様でクランクベアリング51〜55が各軸受部21〜25に取り付けられることと、合わせ面2F及び合わせ面5Fがピストン15のストローク方向ASに対して実質的に直交する態様で設けられることとにより規定されるクランクベアリングとクランクジャーナルとの関係を基準としている。
ここで、上記衝突態様を維持することのできるねじり剛性の限界値、すなわち上記衝突態様を維持することのできるねじり剛性のうちで最も小さいものである境界剛性NYは、エンジン1の最大燃焼圧力とシリンダのボア径とピストンのストロークの二乗との積による値(剛性相関値NX)の関数であることが本発明者により確認されている。なお上記最大燃焼圧力は、例えば実測により得られる燃焼圧力に基づいて定めることができる。
本実施形態のエンジン1においては、上記境界剛性NYと剛性相関値NXとの関係に基づいて、エンジン1の最大燃焼圧力及びシリンダのボア径及びピストンのストロークに適合した境界剛性NYを決定し、この境界剛性NYとそのときのクランクシャフト30のねじり剛性とを比較し、その結果においてねじり剛性が境界剛性NYを下回る場合にはクランクシャフト30の構造(例えば、クランクアーム45やカウンタウエイト46の形状)についての設計変更を行うことにより、実際のねじり剛性として境界剛性NYを上回るものを確保するようにしている。一方で、境界剛性NYと実際のねじり剛性との比較結果を通じて、ねじり剛性が境界剛性NYを上回るものであることが確認された場合には、既に設定されているクランクシャフト30の構造を採用することが許容される。
[実施形態の効果]
以上詳述したように、本実施形態の直列4気筒型内燃機関(エンジン1)によれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(10)の効果に加えて、以下に示す効果が得られるようになる。
(11)本実施形態のエンジン1によれば、クランクシャフト30のねじり剛性としてアッパベアリング56の第1領域56Cに対するクランクジャーナルの衝突の発生頻度を第2領域56Dに対する衝突の発生頻度よりも大きくする範囲内のものを設定するようにしているため、油溝59が設けられたアッパベアリング56とクランクジャーナルとの衝突にともなう打音の発生について、これを的確に抑制することができるようになる。すなわち、互いに負荷容量が互いに異なる第1軸受部21及び第2軸受部22及び第3軸受部23及び第5軸受部25と第4軸受部24とを含むエンジン1において、クランクベアリングとクランクジャーナルとの衝突にともなう打音発生の抑制にかかる効果をより顕著なものとすることができるようになる。
[実施形態の変形例]
上記実施形態は、例えば以下に示すように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、アッパベアリング56の後方側端部56Rから前方側端部56Fまでにわたり油溝59を設ける構造のもと、アッパベアリング56を第1領域56Cと第2領域56Dとに区分し、そのうえでアッパベアリング56に対するクランクジャーナルの衝突態様として上述したものを維持すべくクランクシャフト30のねじり剛性を設定したが、第1領域56C及び第2領域56Dの内容を例えば次のように変更することもできる。すなわち、アッパベアリング56における油溝59の形成態様として、後方中間部56Bから後方側端部56Rまでにわたり油溝59が存在しない部位を設ける態様を採用し、周方向後部56Aにおける同油溝59が存在しない部位を第1領域56Cとし、周方向後部56Aにおけるその他の部位を第2領域56Dとしたうえで、アッパベアリング56の第1領域56Cに対するクランクジャーナルの衝突の発生頻度を第2領域56Dに対する衝突の発生頻度よりも大きなものとすべくクランクシャフト30のねじり剛性を設定することもできる。
(第3実施形態)
図8及び図9を参照して本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態のエンジン1の構造は、前記第1実施形態のエンジン1において、先の[課題を解決するための手段]の欄の請求項15または16に関するものにおいて説明した内容に基づいて、第4ベアリング54の構造に変更を加え、さらにクランクシャフト30のねじり剛性の設定を通じてクランクベアリングに対するクランクジャーナルの衝突位置を管理する構造を加えたものとなっている。
上記欄においても述べたように、本発明者によればエンジン1において、第4ジャーナル34のクランクベアリングとして第1ベアリング51または第2ベアリング52または第3ベアリング53または第5ベアリング55と同じ構造のものが用いられる場合には、第4ジャーナル34と同ベアリングとの衝突が打音の発生の主な要因となることが確認されている。
そして、本実施形態のエンジン1では以上の事項に基づいて、第4ベアリング54のアッパベアリング56において油孔58から前方側端部56Fまでにわたり油溝59を設けるようにしているため、すなわちアッパベアリング56の第1領域56C(図9参照)において、油溝59の存在による油膜圧力の低下を回避すべくこの第1領域56Cに油溝59を設けないようにしているため、第4ベアリング54と第4ジャーナル34との衝突にともなう打音の発生を的確に抑制することができるようになる。具体的には、アッパベアリング56においての後方側端部56Rから周方向中心までの部位である周方向後部56Aについて、後方側端部56Rから後方中間部56Bまでにわたる部位であって後方側端部56Rから周方向の60°までの部位を第1領域56Cとし、同後方中間部56B(第1領域56Cの端)からアッパベアリング56の周方向中心までにわたる部位を第2領域56Dとして、第1領域56Cに油溝59を設けないようにしている。
またさらに本実施形態のエンジン1では、前記第2実施形態でのねじり剛性の設定態様に準じて、クランクシャフト30のねじり剛性として第4ベアリング54のアッパベアリング56の第1領域56Cに対する第4ジャーナル34の衝突の発生頻度をアッパベアリング56の第2領域56Dに対する第4ジャーナル34の衝突の発生頻度よりも大きくする範囲内のものを設定するようにしている。すなわち、第4ベアリング54のアッパベアリング56に対する第4ジャーナル34の衝突を第2領域56Dよりも油膜圧力の大きい第1領域56Cにおいて高い頻度をもって生じさせるべく、混合気の爆発にともなう第4ジャーナル34の挙動(クランクシャフト30の変形態様)をクランクシャフト30のねじり剛性の設定を通じて管理するようにしている。なお、アッパベアリング56の第1領域56C及び第2領域56Dにかかる区分は、隔壁26とクランクキャップ27との合わせ面2Fとアッパベアリング56とロアベアリング57との合わせ面5Fとが実質的に同一の平面上に存在する態様でクランクベアリング51〜55が各軸受部21〜25に取り付けられることと、合わせ面2F及び合わせ面5Fがピストン15のストローク方向ASに対して実質的に直交する態様で設けられることとにより規定されるクランクベアリングとクランクジャーナルとの関係を基準としている。
図9に示すように、第4ベアリング54の油溝59は、アッパベアリング56に設けられた上側油溝59Aと、この上側油溝59Aに連通する態様でロアベアリング57に設けられた下側油溝59Bとにより構成されている。すなわち、第4ベアリング54のアッパベアリング56には、エンジン本体10の隔壁26内を経て供給される潤滑油をクランクジャーナルとのクリアランスに流通させる一つの油孔58と、この油孔58を通過した潤滑油を周方向に流通させる上側油溝59Aとが設けられている。またロアベアリング57には、合わせ面5Fにおいて上側油溝59Aと連通し、アッパベアリング56からの潤滑油を周方向に流通させる下側油溝59Bが設けられている。
油孔58は、アッパベアリング56の周方向中心から回転方向後方ARに向けて30°までの範囲内に設けられている。また油溝59は、油孔58からロアベアリング57の中間部までにおけるおよそ180°の範囲にわたり設けられている。また下側油溝59Bは、クランクシャフト30の中心軸の下方及びその近傍に位置するロアベアリング57の部位、すなわち第3シリンダ13または第4シリンダ14での爆発にともない第4ジャーナル34が衝突するおそれのあるロアベアリング57の部位を除く態様で設けられている。また油溝59の深さは、油溝59の端部から周方向の中心にかけて徐々に大きくなり、同中心において最も大きくなる態様で設定されている。
[実施形態の効果]
以上詳述したように、本実施形態の直列4気筒型内燃機関(エンジン1)によれば以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態のエンジン1によれば、第4ベアリング54のアッパベアリング56として第1領域56Cに油溝59が存在しないものを用いるようにしているため、第4ベアリング54と第4ジャーナル34との衝突にともなう打音の発生を的確に抑制することができるようになる。
(2)本実施形態のエンジン1では、第1ベアリング51及び第2ベアリング52及び第3ベアリング53及び第5ベアリング55のアッパベアリング56に油溝59を設けるとともに、第4ベアリング54のアッパベアリング56にも油溝59を設けるようにしている。これにより、各クランクジャーナルの潤滑性を的確に維持することができるようになる。すなわち、エンジン1において負荷容量が互いに異なる軸受部を含む軸受構造を採用したうえで、軸受部と各クランクジャーナルとの衝突にともなう打音の発生を十分に抑制することと、各クランクジャーナルの潤滑性を維持することとの両立を図ることができるようになる。
(3)本実施形態のエンジン1では、クランクシャフト30のねじり剛性として第4ベアリング54のアッパベアリング56の第1領域56Cに対する第4ジャーナル34の衝突の発生頻度を第2領域56Dに対する衝突の発生頻度よりも大きくする範囲内のものを設定するようにしているため、第4ベアリング54と第4ジャーナル34との衝突にともなう打音の発生について、これを的確に抑制することができるようになる。すなわち、負荷容量が互いに異なる軸受部を含むエンジン1において、クランクベアリングとクランクジャーナルとの衝突にともなう打音発生の抑制にかかる効果をより顕著なものとすることができるようになる。
(4)本実施形態のエンジン1では、第4ベアリング54のロアベアリング57の一部に下側油溝59Bを設けるようにしているものの、クランクシャフト30の中心軸の下方及びその近傍に位置するロアベアリング57の部位、すなわち第3シリンダ13または第4シリンダ14での爆発にともない第4ジャーナル34が衝突するおそれのあるロアベアリング57の部位には、下側油溝59Bが存在しないようにしている。これにより、第4ベアリング54のロアベアリング57に下側油溝59Bを設ける構造を採用したうえで、第4ベアリング54に対する第4ジャーナル34の衝突にともなう打音の発生を的確に抑制することができるようになる。
(5)本実施形態のエンジン1では、第1ベアリング51及び第2ベアリング52及び第3ベアリング53及び第5ベアリング55のロアベアリング57として油溝59の存在しないものを用いるようにしている。これにより、ロアベアリング57とクランクジャーナルとの衝突にともなう打音の発生をより確実に抑制することができるようになる。
(6)本発明者によれば、クランクジャーナルとクランクベアリングとの衝突にともなう打音の発生はシリンダの構造がロングストローク型の直列4気筒型内燃機関において顕著に現れることが確認されている。そして本実施形態では、これに基づいてロングストローク型のシリンダを備えるエンジン1において、上記(1)〜(5)の構造を適用しているため、その実用性をより高いものにすることができるようになる。
[実施形態の変形例]
上記実施形態は、例えば以下に示すように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、第4ベアリング54のアッパベアリング56において後方側端部56Rから周方向の60°までの部位を第1領域56Cとし、この第1領域56Cに油溝59を設けない構造を採用したが、第1領域56Cの範囲は、後方側端部56Rから周方向の30°〜60°の範囲内いずれかまでの間で適宜変更することができる。
・上記実施形態では、クランクシャフト30の油路構造として図3に例示した構造を採用したが、これに代えて例えば、第3ジャーナル33を基準として各油路構造が左右対称となる構造を採用することもできる。具体的には、第3油路63に代えて、第4ジャーナル34と第4ベアリング54とのクリアランスから第3ピン43とこれを支持するベアリングとのクリアランスに潤滑油を供給する油路であって、第4ジャーナル34を径方向に貫通する油路と、これに連通して第4ジャーナル34から第3ピン43までにわたりクランクアーム45を貫通する油路とにより構成される油路を設けることもできる。
(その他の実施形態)
その他、上記各実施形態に共通して変更することのできる形態を以下に示す。
・上記各実施形態では、各軸受部21〜25の下側軸受構造体として軸受部毎に設けられるクランクキャップ27を採用したが、これに代えて各軸受部21〜25に共通する一体のものを採用することもできる。
・上記各実施形態では、クランクジャーナル31〜35の各軸受部21〜25として、クランクベアリング51〜55を介してクランクジャーナル31〜35を支持するものを想定したが、各軸受部の構造はこれに限られるものではない。例えば、クランクベアリングを介することなく隔壁26及びクランクキャップ27またはこれに相当する構造体によって直接的にクランクジャーナルを支持する構造を採用することもできる。
・上記各実施形態では、ロングストローク型のシリンダを備える直列4気筒型内燃機関として本願発明を具体化した場合について説明したが、シリンダの構造がロングストローク型以外もの(ショートストローク型あるいはスクエア型)であっても直列4気筒型内燃機関であれば本願発明の適用は可能であり、その場合においても上記各実施形態の作用効果に準じた作用効果が奏せられるようになる。
混合気の爆発にともなうクランクシャフトの変形態様の一例を示す概念図。 本発明の直列4気筒型内燃機関にかかる第1実施形態について、ピストンストローク方向に沿う同内燃機関の断面構造を示す断面図。 同実施形態のクランクシャフトの正面構造を示す正面図。 同実施形態の直列4気筒型内燃機関について、図2のDA−DA線に沿う断面構造を示す断面図。 同実施形態の直列4気筒型内燃機関について、図2のDB−DB線に沿う断面構造を示す断面図。 同実施形態のクランクシャフトの第1ジャーナルまたは第2ジャーナルまたは第3ジャーナルまたは第5ジャーナルを支持するクランクベアリングについて、径方向に沿う断面構造を示す断面図。 同実施形態のクランクシャフトの第4ジャーナルを支持するクランクベアリングについて、径方向に沿う断面構造を示す断面図。 本発明の直列4気筒型内燃機関にかかる第3実施形態について、図2のDB−DB線に沿う断面構造を示す断面図。 同実施形態のクランクシャフトの第4ジャーナルを支持するクランクベアリングについて、径方向に沿う断面構造を示す断面図。
符号の説明
1…エンジン、10…エンジン本体、11…第1シリンダ、12…第2シリンダ、13…第3シリンダ、14…第4シリンダ、15…ピストン、16…コネクティングロッド、17…クランク室、21…第1軸受部、22…第2軸受部、23…第3軸受部、24…第4軸受部、25…第5軸受部、26…隔壁(上側軸受構造体)、26A…油路、26B…油路、27…クランクキャップ(下側軸受構造体)、28…ボルト、2F…合わせ面、30…クランクシャフト、30A…前側端部、30B…後側端部、31…第1ジャーナル、32…第2ジャーナル、33…第3ジャーナル、34…第4ジャーナル、35…第5ジャーナル、41…第1ピン、42…第2ピン、43…第3ピン、44…第4ピン、45…クランクアーム、46…カウンタウエイト、51…第1ベアリング(第1軸受体)、52…第2ベアリング(第2軸受体)、53…第3ベアリング(第3軸受体)、54…第4ベアリング(第4軸受体)、55…第5ベアリング(第5軸受体)、56…アッパベアリング(上側軸受体)、56A…周方向後部、56B…後方中間部、56C…第1領域、56D…第2領域、56F…前方側端部、56R…後方側端部、57…ロアベアリング(下側軸受体)、58…油孔、59…油溝、59A…上側油溝、59B…下側油溝、5F…合わせ面、61…第1油路、62…第2油路、63…第3油路、64…第4油路、91…タイミングチェーン、92…変速機。

Claims (21)

  1. クランクシャフトの5つのクランクジャーナルのそれぞれを軸受体により支持する直列4気筒型内燃機関において、
    前記5つの軸受体について、変速機から最も遠いところに位置する軸受体を第1軸受体とし、この第1軸受体に隣接して変速機側に位置する軸受体を第2軸受体とし、この第2軸受体に隣接して変速機側に位置する軸受体を第3軸受体とし、この第3軸受体に隣接して変速機側に位置する軸受体を第4軸受体とし、この第4軸受体に隣接して変速機から最も近いところに位置する軸受体を第5軸受体として、
    前記第4軸受体の負荷容量が前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体の負荷容量よりも大きく設定される
    ことを特徴とする直列4気筒型内燃機関。
  2. 請求項1に記載の直列4気筒型内燃機関において、
    前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体の負荷容量が同じ大きさに設定される
    ことを特徴とする直列4気筒型内燃機関。
  3. 請求項1または2に記載の直列4気筒型内燃機関において、
    前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体として同じ構造のものが用いられる
    ことを特徴とする直列4気筒型内燃機関。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の直列4気筒型内燃機関において、
    前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体と前記第4軸受体との負荷容量の違いが各軸受体の内周面における油溝の形成態様の違いのみによりもたらされる
    ことを特徴とする直列4気筒型内燃機関。
  5. 請求項4に記載の直列4気筒型内燃機関において、
    前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体として、内周面に油溝が存在しているものが用いられ、
    前記第4軸受体として、内周面に油溝が存在していないものが用いられる
    ことを特徴とする直列4気筒型内燃機関。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の直列4気筒型内燃機関において、
    前記5つの軸受体は、クランクジャーナルの内燃機関側の半分を支持する上側軸受体と残りの半分を支持する下側軸受体とに分割される半割型のものである
    ことを特徴とする直列4気筒型内燃機関。
  7. 請求項6に記載の直列4気筒型内燃機関において、
    前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体と前記第4軸受体との負荷容量の違いが各上側軸受体の内周面における油溝の形成態様の違いのみによりもたらされる
    ことを特徴とする直列4気筒型内燃機関。
  8. 請求項7に記載の直列4気筒型内燃機関において、
    前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体の上側軸受体として、内周面に油溝が存在しているものが用いられ、
    前記第4軸受体の上側軸受体として、内周面に油溝が存在していないものが用いられる
    ことを特徴とする直列4気筒型内燃機関。
  9. 請求項6〜8のいずれか一項に記載の直列4気筒型内燃機関において、
    前記第4軸受体は、上側軸受体及び下側軸受体として内周面に油溝が存在していないものを備えるものであり、
    前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体は、上側軸受体として内周面に油溝が存在しているものを備えるものであり、
    これら4つの軸受体の上側軸受体において、クランクシャフトの回転方向後方側の端部から上側軸受体の周方向中心までの部位である周方向後部は、前記回転方向後方側の端部から当該周方向後部の中間部までにわたる領域であって前記油溝が存在しない部位を含む第1領域と、この第1領域から上側軸受体の周方向中心までにわたる領域であって前記油溝の存在により油膜圧力の大きさが前記第1領域においての油膜圧力よりも小さくなる第2領域とにより構成されるものであり、
    前記5つの軸受体においての上側軸受体と下側軸受体との合わせ面は、ピストンのストローク方向に対して実質的に直交する態様で設けられるものであって、
    前記クランクシャフトのねじり剛性は、前記第1軸受体または前記第2軸受体または前記第3軸受体または前記第5軸受体について、前記上側軸受体の第1領域に対するクランクジャーナルの衝突が生じる頻度を前記上側軸受体の第2領域に対するクランクジャーナルの衝突が生じる頻度よりも大きくする範囲内に設定される
    ことを特徴とする直列4気筒型内燃機関。
  10. 請求項6〜8のいずれか一項に記載の直列4気筒型内燃機関において、
    前記第4軸受体は、上側軸受体及び下側軸受体として内周面に油溝が存在していないものを備えるものであり、
    前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体は、上側軸受体として内周面に油溝が存在しているものを備えるものであり、
    この油溝は、上側軸受体の一方の端部またはその近傍から上側軸受体の他方の端部またはその近傍までにわたり設けられるものであって、油溝の端部から周方向中心にかけて深さが徐々に大きくなるものであり、
    前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体の上側軸受体において、クランクシャフトの回転方向後方側の端部から上側軸受体の周方向中心までの部位である周方向後部は、前記回転方向後方側の端部から当該周方向後部の中間部までにわたる第1領域と、この第1領域から上側軸受体の周方向中心までにわたる第2領域とにより構成されるものであり、
    前記5つの軸受体においての上側軸受体と下側軸受体との合わせ面は、ピストンのストローク方向に対して実質的に直交する態様で設けられるものであって、
    前記クランクシャフトのねじり剛性は、前記第1軸受体または前記第2軸受体または前記第3軸受体または前記第5軸受体について、前記上側軸受体の第1領域に対するクランクジャーナルの衝突が生じる頻度を前記上側軸受体の第2領域に対するクランクジャーナルの衝突が生じる頻度よりも大きくする範囲内に設定される
    ことを特徴とする直列4気筒型内燃機関。
  11. 請求項6〜10のいずれか一項に記載の直列4気筒型内燃機関において、
    前記5つの軸受体の下側軸受体として、内周面に油溝が存在していないものが用いられる
    ことを特徴とする直列4気筒型内燃機関。
  12. 請求項6〜11のいずれか一項に記載の直列4気筒型内燃機関において、
    前記5つの軸受体は、前記上側軸受体である上側ベアリングと前記下側軸受体である下側ベアリングとにより構成される半割型のクランクベアリングである
    ことを特徴とする直列4気筒型内燃機関。
  13. 請求項12に記載の直列4気筒型内燃機関において、
    前記クランクベアリングが取り付けられる当該内燃機関の軸受構造体について、この軸受構造体は、内燃機関本体の一部として形成され且つ上側ベアリングが取り付けられる上側軸受構造体と、この上側軸受構造体に組み合わされ且つ下側ベアリングが取り付けられる下側軸受構造体とを含めて構成されるものであり、
    前記軸受構造体と前記クランクベアリングとの関係として、前記軸受構造体においての上側軸受構造体と下側軸受構造体との合わせ面と、前記クランクベアリングにおいての上側ベアリングと下側ベアリングとの合わせ面とが実質的に同一の平面上に存在するものが設定される
    ことを特徴とする直列4気筒型内燃機関。
  14. クランクシャフトの5つのクランクジャーナルのそれぞれをクランクベアリングにより支持する直列4気筒型内燃機関において、
    前記5つのクランクベアリングについて、変速機から最も遠いところに位置するクランクベアリングを第1ベアリングとし、この第1ベアリングに隣接して変速機側に位置するクランクベアリングを第2ベアリングとし、この第2ベアリングに隣接して変速機側に位置するクランクベアリングを第3ベアリングとし、この第3ベアリングに隣接して変速機側に位置するクランクベアリングを第4ベアリングとし、この第4ベアリングに隣接して変速機から最も近いところに位置するクランクベアリングを第5ベアリングとして、
    前記第1ベアリング及び前記第2ベアリング及び前記第3ベアリング及び前記第5ベアリングとして、内周面に油溝が存在しているものが用いられ、前記第4ベアリングとして、内周面に油溝が存在していないものが用いられ、これにより前記第4ベアリングの負荷容量が前記第1ベアリング及び前記第2ベアリング及び前記第3ベアリング及び前記第5ベアリングの負荷容量よりも大きいものに維持される
    ことを特徴とする直列4気筒型内燃機関。
  15. クランクシャフトの5つのクランクジャーナルのそれぞれを軸受体により支持する直列4気筒型内燃機関において、
    前記5つの軸受体について、変速機から最も遠いところに位置する軸受体を第1軸受体とし、この第1軸受体に隣接して変速機側に位置する軸受体を第2軸受体とし、この第2軸受体に隣接して変速機側に位置する軸受体を第3軸受体とし、この第3軸受体に隣接して変速機側に位置する軸受体を第4軸受体とし、この第4軸受体に隣接して変速機から最も近いところに位置する軸受体を第5軸受体として、
    前記5つの軸受体は、クランクジャーナルの内燃機関側の半分を支持する上側軸受体と残りの半分を支持する下側軸受体とに分割される半割型のものであって、上側軸受体と下側軸受体との合わせ面がピストンのストローク方向に対して実質的に直交する態様で設けられるものであり、
    前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体の上側軸受体は、内周面において一方の端部またはその近傍から他方の端部またはその近傍までにわたり油溝が設けられるものであり、
    前記第4軸受体の上側軸受体は、内周面において周方向中心またはその近傍からクランクシャフトの回転方向前方側の端部までにわたり油溝が設けられるものである
    ことを特徴とする直列4気筒型内燃機関。
  16. 請求項15に記載の直列4気筒型内燃機関において、
    前記第4軸受体の上側軸受体は、内周面においてクランクシャフトの回転方向後方側の端部から周方向の30°〜60°の範囲内のいずれかまでにわたる部位に油溝が存在していないものである
    ことを特徴とする直列4気筒型内燃機関。
  17. 請求項15または16に記載の直列4気筒型内燃機関において、
    前記第1軸受体及び前記第2軸受体及び前記第3軸受体及び前記第5軸受体の下側軸受体は、内周面の全体にわたり油溝が存在していないものである
    ことを特徴とする直列4気筒型内燃機関。
  18. 請求項15〜17のいずれか一項に記載の直列4気筒型内燃機関において、
    前記第4軸受体の上側軸受体は、内周面においてクランクシャフトの回転方向後方側の端部から周方向の中間部までにわたり油溝が存在していない第1領域と、内周面においてこの第1領域からクランクシャフトの回転方向前方側の端部までにわたり油溝が存在している第2領域とにより構成されるものであり、
    前記クランクシャフトのねじり剛性は、前記上側軸受体の第1領域に対するクランクジャーナルの衝突が生じる頻度を前記上側軸受体の第2領域に対するクランクジャーナルの衝突が生じる頻度よりも大きくする範囲内に設定される
    ことを特徴とする直列4気筒型内燃機関。
  19. 請求項15〜18のいずれか一項に記載の直列4気筒型内燃機関において、
    前記5つの軸受体は、前記上側軸受体である上側ベアリングと前記下側軸受体である下側ベアリングとにより構成される半割型のクランクベアリングであり、
    このクランクベアリングが取り付けられる当該内燃機関の軸受構造体について、この軸受構造体は、内燃機関本体の一部として形成され且つ上側ベアリングが取り付けられる上側軸受構造体と、この上側軸受構造体に組み合わされ且つ下側ベアリングが取り付けられる下側軸受構造体とを含めて構成されるものであり、
    前記軸受構造体と前記クランクベアリングとの関係として、前記軸受構造体においての上側軸受構造体と下側軸受構造体との合わせ面と、前記クランクベアリングにおいての上側ベアリングと下側ベアリングとの合わせ面とが実質的に同一の平面上に存在するものが設定される
    ことを特徴とする直列4気筒型内燃機関。
  20. 請求項1〜19のいずれか一項に記載の直列4気筒型内燃機関において、
    前記クランクシャフトの5つのクランクジャーナルについて、変速機から最も遠いところに位置するクランクジャーナルを第1ジャーナルとし、この第1ジャーナルに隣接して変速機側に位置するクランクジャーナルを第2ジャーナルとし、この第2ジャーナルに隣接して変速機側に位置するクランクジャーナルを第3ジャーナルとし、この第3ジャーナルに隣接して変速機側に位置するクランクジャーナルを第4ジャーナルとし、この第4ジャーナルに隣接して変速機から最も近いところに位置するクランクジャーナルを第5ジャーナルとし、
    前記クランクシャフトの4つのクランクピンについて、変速機から最も遠いところに位置するクランクピンを第1ピンとし、この第1ピンよりも変速機側に位置するクランクピンを第2ピンとし、この第2ピンよりも変速機側に位置するクランクピンを第3ピンとし、この第3ピンよりも変速機側に位置するクランクピンを第4ピンとして、
    前記クランクシャフトは、内燃機関本体からの潤滑油を流通させる油路として、前記第1ジャーナルから前記第1ピンまでにわたり貫通する第1油路と、前記第2ジャーナルから前記第2ピンまでにわたり貫通する第2油路と、前記第3ジャーナルから前記第3ピンまでにわたり貫通する第3油路と、前記第5ジャーナルから前記第4ピンまでにわたり貫通する第4油路とが設けられる
    ことを特徴とする直列4気筒型内燃機関。
  21. 請求項1〜20のいずれか一項に記載の直列4気筒型内燃機関において、
    当該内燃機関は、4つのシリンダとしてピストンのストロークがシリンダのボア径よりも大きく設定されたロングストローク型のものを備える
    ことを特徴とする直列4気筒型内燃機関。
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