以下、本発明を、図1乃至図18に示された第1実施の形態、図19および図20に示された第2実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
図18は、作業機械としての油圧ショベル10を示し、下部走行体11に上部旋回体12が旋回可能に設けられ、この上部旋回体12上にキャブ13、作業装置14、エンジンなどの動力装置15が搭載されている。動力装置15は、上部カバー16およびサイドドア17などにより覆われている。サイドドア17は、後述するヒンジにより開閉自在に取付けられ、ラッチ装置により閉じ状態が保持される。
図1乃至図6は、一方のサイドドア17のドアパネル20を示し、図1、図3および図6に示されるように、このドアパネル20は、外側板21と、この外側板21に対し凹凸状にプレス成形されて外側板21の内側面に凹部を固定されるとともに凸部と外側板21との間に空間22を形成する内側板23と、これらの外側板21と内側板23との間の空間22に充填された発泡材24とを具備している。
外側板21は、内側板23の1.2〜5.0倍の板厚にする。言い換えれば、内側板23は、外側板21より薄い板厚の鉄板を用いる。例えば、外側板21を1.2mmの鉄板とした場合、内側板23は、相反する強度と加工性とを満足するために、0.8mmの鉄板を用いることが望ましい。
発泡材24は、図1および図6に示されるように内側板23の内面に貼付された未発泡状態のシート状の発泡素材24aを、外側板21と内側板23との間の空間22内で加熱して発泡させ、成形する。発泡素材24aは、発泡前厚さ1.5mmが発泡後厚さ22.0mm程度まで膨張可能で、20倍程度の体積膨張率を有する高発泡性のゴム系吸音材が望ましい。発泡素材24aの加熱は、焼付塗装用加熱設備を用いて、焼付塗装と同時に行なうことが望ましい。
図2および図4に示されるように、外側板21には、正6角形に形成された複数の通気穴25を通気穴25各辺の結合部を介してハニカム状に集合させた通気穴集合部としてのハニカム状通気穴集合部26が、穴加工により複数組設けられている。
図5に示されるように、内側板23は、凹状に成形されて外側板21に密着接合された凹部としての接合部27,28と、これらの接合部27,28に対し膨出成形された凸部29とを具備している。
内側板23の接合部27は、外側板21のハニカム状通気穴集合部26と対応して横方向に3列形成され、これらの接合部27には、外側板21のハニカム状通気穴集合部26より大きな通気用開口部30がそれぞれ穴加工により設けられている。
すなわち、外側板21のハニカム状通気穴集合部26と、内側板23の凹部としての接合部27に開口された通気用開口部30は、1対1で対応して複数組設けられているが、内側板23の通気用開口部30は、外側板21のハニカム状通気穴集合部26よりやや大きく形成されている。
図6乃至図8に示されるように、外側板21の周縁部31は、内側板23の周縁部32を包みこむように折返して押しつぶすようにヘミング加工する。すなわち、外側板21は、内側板23の周縁部32を包みこむように折返し平坦に押しつぶして形成された周縁部31により内側板23の周縁部32を咬込み結合するへミング加工部33を備えている。
図6に示されるように、内側板23の接合部27は、接着剤34により外側板21に接着され、この接着剤34によりへミング加工部33などにおいて外側板21と内側板23とを接合するとともにシールする。接着剤34は、粘性と熱硬化性を有するペーストタイプ構造用接着剤が望ましい。
図7および図8に示されるように、外側板21の周縁部31にて外側板21の角部の折返し部分、および中間折曲部の折返し部分をそれぞれ切欠いて、角部切欠き溝35および中間折曲部切欠き溝36が形成されている。外側板21の角部切欠き溝35と対応する内側板23の角部は、円弧状に成形されている。
図9は、ドアパネル20の分解斜視図を示し、外側板21と、この外側板21に対し位置決めされて外側板21の内側面に固定された内側板23との間で挟まれるようにして、ヒンジ取付用の内部補強板41が固定されている。
この内部補強板41は、中央部に凹凸部が繰返し形成された凹凸接合部42が設けられ、この凹凸接合部42の一端側および他端側にヒンジ取付面部43,44がそれぞれ連続的に形成され、これらのヒンジ取付面部43,44に隣接して、一方の位置決め用嵌合部45および他方の位置決め用嵌合部46が凹溝状に形成されている。
この内部補強板41に対し、内側板23のヒンジ取付側の凸部29には、中央部に凹凸部が繰返し形成された凹凸接合部47が設けられ、この凹凸接合部47の一端側および他端側にヒンジ取付窓48,49がそれぞれ開口され、これらのヒンジ取付窓48,49に隣接して、一方の位置決め用嵌合部51および他方の位置決め用嵌合部52が下方へ突出する突起状に形成されている。
内部補強板41は、一方の位置決め用嵌合部45と他方の位置決め用嵌合部46の大きさが異なる。同様に、内側板23は、一方の位置決め用嵌合部51と他方の位置決め用嵌合部52の大きさが異なる。内部補強板41と内側板23の一方の対応位置にそれぞれ設けられた一方の位置決め用嵌合部45と位置決め用嵌合部51は、相互に凹凸嵌合し、内部補強板41と内側板23の他方の対応位置にそれぞれ設けられた他方の位置決め用嵌合部46と位置決め用嵌合部52は、相互に凹凸嵌合する。
この内部補強板41の位置決め嵌合時に、内部補強板41の凹凸接合部42が、接着剤の塗布された内側板23の凹凸接合部47の裏面に密着されるとともに、内部補強板41のヒンジ取付面部43,44が内側板23のヒンジ取付窓48,49に位置合わせされるので、これらのヒンジ取付窓48,49を通して、内部補強板41のヒンジ取付面部43,44にヒンジ53,54をそれぞれ溶接付けして取付ける。
図9に示されるように、外側板21および内側板23には、ラッチ装置を取付けるための取付穴55a,55bが設けられている。
図10は、内部補強板41を組み込んだドアパネル20の製造方法を示し、(a)外側板21に対し凸状に膨出成形された内側板23の凸部29内に内部補強板41を位置決めして凹凸接合部42,47間に塗布された接着剤で接着する。外側板21と接合する内側板23および内部補強板41の接合部面にも、熱硬化性の接着剤34が塗布されている。(b)外側板21の周縁部31をへミング加工する途中の折曲かつ開放状態で、この外側板21の周縁部31内に接着剤塗布状態の内側板23を内部補強板41を介し嵌着して外側板21に対し内側板23および内部補強板41を位置決めする。(c)外側板21の周縁部31をへミング加工で内側板23の周縁部32を挟んで折返すことにより、外側板21の内側面に内側板23および内部補強板41を接合固定するとともにシールする。
図11に示されるように、内側板23は、凹状に形成されて外側板21に密着された接合部27に対し、凸部29が膨出成形されているが、この凸部29の中間部に段差状の補強変形部56が形成されている。内側板23の接合部27は、接着剤34により外側板21に接着され、接合部27に対する凸部29の立上り部分57は、連続的に円弧状に形成されている。
凸部29は、接合部27に対し膨出形成された第1段膨出部58と、この第1段膨出部58に対し補強変形部56を介して第1段膨出部58より小幅状に膨出形成された第2段膨出部59とを備えている。第2段膨出部59の高さは、第1段膨出部58の高さより大きく設定されている。
凸部29の補強変形部56、第1段膨出部58および第2段膨出部59は、図5および図8などに示されるように凹状の接合部27に沿って無端状に形成されている。
図12は、図11と対比させるために段差状の補強変形部56がない場合を示す参考図であり、図11に示されるように補強変形部56によって円弧状の立上り部分57が設置可能な場合は、外側板21に対し小さな角度θ1(<θ2)で立上がるが、段差状の補強変形部56があるため、凸部29を十分な高さH1(>H2)に設定することが可能となる。例えば、発泡材24の充填効率を考慮すると、H1は、21mmに設定することが望ましい。
図13に示されるように、内側板23の凸部29は、補強変形部56より接合部27側に位置する凹曲面状の第1段目コーナ部61と、補強変形部56を介して形成された凹曲面状の第2段目コーナ部62とを有し、第1段目コーナ部61の凹曲面と第2段目コーナ部62の凹曲面とが平面部を介することなく近接するように各コーナ部61,62の凹曲面間で補強変形部56が最狭小に形成された無平面部63を有する。
このような無平面部63を形成するには、図14に示されるように、第2段目コーナ部62の凹曲面の曲率半径Rを、第1段目コーナ部61の凹曲面の曲率半径rより大きく設定し、かつ、第2段目コーナ部62の凹曲面の中心P62を、第1段目コーナ部61の凹曲面の中心P61よりコーナ内側に位置させることが望ましい。
図15は、図14と対比させるための参考図であり、第2段目コーナ部62aの凹曲面の曲率半径rを、第1段目コーナ部61の凹曲面の曲率半径rと等しく設定すると、各コーナ部61,62aの凹曲面間で補強変形部56が最大に拡大する平面部64が形成されてしまう。
図16に示されるように、内側板23は、外側板21に接着剤34により接着された接合部27中に、接着剤34を溜める接着剤溜め空間67を有する接着剤溜め部68を備えている。
この内側板23の接着剤溜め部68は、外側板21の通気穴25と合致する場所に設けられた通気用開口部30に沿って、縦方向の接合部27中に連続凸状に設けられている。
図17に示されるように、この接着剤溜め部68の接着剤溜め空間67は、高さh/幅w=1/2〜1/4に形成されたほぼ円弧状の断面であり、接着剤溜め部68が接合部27から立上がる立上部69の断面形状は、凹状の円弧断面に形成されている。
図5に示されるように、内側板23は、接合部27,28に対し膨出成形された凸部29を備えているが、その凸部29の中でも、通気用開口部30の上下部には、外側板21に連続的に接着された横方向の接合部27に沿って連続的に膨出成形された突状の補強用凸部29aが設けられ、さらに、この補強用凸部29aを横断する方向に凹状に強化用凹部70が形成されている。
次に、このドアパネル20の製造工程を説明する。
図1および図6に示されるように内側板23の凸部29内に発泡素材24aを貼付し、図10(a)に示されるように内側板23の一側の凸部29内にヒンジ取付用の内部補強板41を接合し、さらに、内側板23の凹部としての接合部27および内部補強板41に、外側板21との接着に必要な熱硬化性の接着剤34を塗布し、図10(b)に示されるように外側板21と内側板23とを位置決めして重ね合わせ、図10(c)に示されるように外側板21の周縁部31をへミング加工で内側板23の周縁部32を挟んで折返し、折つぶすことにより、外側板21の内側面に内側板23および内部補強板41を接合する。
そして、焼付塗装用加熱設備の加熱により、接着剤34を硬化させて外側板21に内側板23および内部補強板41を接着し、さらに、図1および図6に示されるように焼付塗装用加熱設備の加熱により発泡素材24aを発泡させて、空間22内に発泡材24を充填し、さらに、焼付塗装用加熱設備の加熱により、外側板21および内側板23の外表面に予め吹付けられた塗料を焼付ける。
例えば、接着剤34の熱硬化は、150℃で5分間の加熱をし、発泡材24の発泡は、150℃で20分間の加熱をし、焼付塗装は、180℃〜200℃で20分間の加熱をする。これらの加熱は、既存の焼付塗装用加熱設備を用いて行なうことができる。
最後に、図5に示されるように、内側板23のヒンジ取付窓48,49を通して、内部補強板41のヒンジ取付面部43,44にヒンジ53,54をそれぞれ隅肉溶接などで溶接付けして取付けるとともに、外側板21および内側板23の取付穴55a,55bにラッチ装置19を取付ける。
次に、図1乃至図18に示された第1実施の形態の効果を説明する。
図1および図6に示されるように、外側板21とこの外側板21より薄い内側板23とで形成された中空の閉断面構造により軽量化を図ることができるとともに、内側板23とこれより厚い(内側板23の1.2〜5.0倍の板厚を有する)外側板21とで形成された十分な高さをもった中空の閉断面構造により、外側からの衝撃に対して十分な強度を確保できる強固なドアパネルを安価に提供できる。
さらに、外側板21と内側板23との間に充填された発泡材24により振動を吸収して、ドアパネル自体から発生する音を効果的に減衰させることができ、すなわち音の減衰効果が高く、低騒音化を図ることができる。
図1および図6に示されるように、内側板23の凹状に成形された接合部27に対して凸部29を膨出成形することで、内側板23は、外側板21より薄い板厚であっても、凹凸構造により剛性を増すように成形して、強度を上げることができる。
特に、内側板23は、外側板21に密着された接合部27に対し膨出成形された凸部29を備え、この凸部29は、接合部27に対し膨出形成された第1段膨出部58と、この第1段膨出部58に対し第1段膨出部より小幅状に膨出形成された第2段膨出部59とを備えたので、単に凸部を形成した内側板より、第1段膨出部58と第2段膨出部59との2段構造により強度の向上を図ることができ、ドアパネル全体の強度、剛性を高めることができ、かつ外側板21に対し十分な高さを有する第2段膨出部59の内部で発泡材24を最大限に発泡させて充填することができるので、発泡材24の充填効率を高めることができるとともに、発泡材24によりドアパネル自体が発生する音の高い減衰能力を確保できる。
例えば、内側板23の厚さを一般的な0.6mmから0.8mmに上げ、内側板23の凹凸変形量すなわち凸部29の高さH1を、発泡材24の発泡高さの上限手前である21mmに設定することで、ドアパネル全体の重量と剛性、および発泡材24の充填状況などを最適な形状とすることができる。
図6および図7に示されるように、内側板23の周縁部32を包みこむように外側板21の周縁部31を折返し押しつぶして形成されたヘミング加工部により、内側板23より板厚の厚い外側板21であっても、一定形状のヘミング加工部33を得ることができ、安定した品質の折返結合部を得ることができる。
すなわち、外側板21の周縁部により内側板23の周縁部を咬込み結合するへミング加工部33は、内側板23の周縁部を包みこむように折返して平坦に押しつぶされたので、外側板21の折曲げ加工部を円形断面に膨出させる従来のへミング仕上より、外側板21のへミング加工部33の形状を安定させ、均一な品質を保つことができる。
このとき、外側板21の角部および中間折曲部では外側板21の周縁部を折返す加工も容易でないが、図7および図8に示されるように角部切欠き溝35により外側板21の角部の折返し部分を切欠いたので、また中間折曲部切欠き溝36により外側板21の中間折曲部の折返し部分を切欠いたので、外側板21の角部および中間折曲部でも、外側板21の周縁部31を折返して平坦に押しつぶす加工を容易にかつ正確にできる。
図6に示されるように、外側板21と内側板23とを、接着剤34による接着と、外側板21のへミング加工部33とにより、確実に一体化できる。
図7に示されるように、外側板21の角部切欠き溝35と対応する内側板23の角部を円弧状に成形したので、内側板23の角部が外側板21の角部切欠き溝35から突出することを防止できる。
図8に示されるように、内側板23の通気用開口部30は、外側板21のハニカム状通気穴集合部26より大きく設けられたので、外側板21の内側面に内側板23を一体化する際に製造上の公差が生じても、すなわち、プレス成形品の形状公差の大きさにより外側板21および内側板23の位置合わせが正確でなくても、外側板21のハニカム状通気穴集合部26は、通気用開口部30の範囲内でずれるので、内側板23が外側板21のハニカム状通気穴集合部26を塞ぐことを防止でき、外側板21および内側板23の通気用の開口面積が損なわれることがなく、所定の開口面積を確保できるとともに、外側板21および内側板23の位置合わせを容易にでき、製造時の作業性も向上できる。
複数組のハニカム状通気穴集合部26および通気用開口部30により、十分な通気用の開口面積を確保できる。
外側板21および内側板23の2重構造のドアパネルにおいて、内側板23の限られた通気用開口部30に対し、外側板21にハニカム状に高密度に開口可能な通気穴25により、開口面積効率の高いハニカム状通気穴集合部26を形成できるとともに、このハニカム状通気穴集合部26は、正6角形に形成された複数の通気穴25を通気穴各辺の結合部を介してハニカム状に集合させたので、各通気穴25間の結合部強度を確保しつつ、その結合部を細くして流体抵抗を小さくすることが可能であり、通気穴25間の結合部が空気流れを阻害することに因る乱流の発生を、丸穴や4角穴を集合させた通気穴集合部より低減できる。
図9に示されるように、ドアパネル20の外側板21に対して内側板23が膨出された凸部29にて内側板23と外側板21との間で固定された内部補強板41によって、凸部29での強度を補強でき、特に、この内部補強板41は、内側板23に対し凹凸嵌合により位置決めされたので、製造時に凹凸嵌合しておきさえすれば、正確に内部補強板41の位置を制御でき、最も効率的に補強が効いてくる位置に内部補強板41を正確に位置決め固定することができる。
すなわち、一方の位置決め用嵌合部45,51の凹凸嵌合と他方の位置決め用嵌合部46,52の凹凸嵌合とにより、内側板23に対する長尺の内部補強板41の位置決めを容易かつ確実にできる。
一方の位置決め用嵌合部45,51と他方の位置決め用嵌合部46,52は大きさが異なるので、内部補強板41の向きが異なると、内側板23の位置決め用嵌合部51,52と内部補強板41の位置決め用嵌合部45,46の位置合わせができなくなることから、方向性を有する内部補強板41を内側板23内に正確に組込むことができる。
内側板23に開口されたヒンジ取付窓48,49を通して内部補強板41のヒンジ取付面部43,44にヒンジ53,54を溶接付したので、内側板23にヒンジ53,54を取付ける場合よりもヒンジ53,54の取付強度を向上できる。
図10に示されるように、外側板21の周縁部31をへミング加工する途中の折曲かつ開放状態で外側板21の周縁部31内に接着剤塗布状態の内側板23を内部補強板41を介し嵌着して位置決めし、外側板21の周縁部31をへミング加工で内側板23の周縁部32を挟んで折返すことにより外側板21の内側面に内側板23および内部補強板41を固定したので、外側板21のへミング加工途中の周縁部31を内側板23の位置決めに有効利用しながら、外側板21に対し凹凸状に成形された内側板23の凸部29での強度を内部補強板41により確保できるドアパネルの製造方法を提供できる。
図11に示されるように、外側板21と内側板23とで形成される中空の閉断面構造により十分な強度を確保できるとともに、内側板23は、外側板21に密着された接合部27に対し膨出成形された凸部29の中間部に補強変形部56を段差状に形成したので、図12に示されるように単に凸部29を形成した内側板23より、強度の向上を図ることができ、ドアパネル全体の強度を向上できる。
図1および図11に示されるように、接合部27に対し連続的に円弧状に形成された第1段膨出部58の立上り部分57の、外側板21に対する角度θ1を図12の角度θ2より小さくすることができるので、内側板23の接合部27を接着剤34により外側板21に接着したときに発生した余分な接着剤34が凸部29内に流出しても、第1段膨出部58の立上り部分57と外側板21との間に十分な厚みの接着剤34を残留させて、接着剤34の凸部29内への拡大を防止できるとともに、残留形状の厚い固化した接着剤34により、外側板21に対する内側板23の接着強度を高めることができる。
図1および図11に示されるように、第1段膨出部58に対し段差状に膨出形成された第2段膨出部59の高さを、第1段膨出部58の高さより大きく設定することで、凸部29の高さH1を容易に稼ぐことができ、負荷方向に対する断面2次モーメントは高さH1の3乗に比例するため、構造的に強度を強化しつつ、第2段膨出部59の内部に十分な発泡空間を確保できる。
図5に示されるように、接合部27と、この接合部27に沿って無端状に形成された凸部29および補強変形部56は、相互に補強し合って、内側板23の強度を全体にわたって向上させることができる。
図13および図14に示されるように、内側板23は、外側板21に密着された凹状の接合部27に対し膨出形成された凸部29の中間部に段差状に形成された補強変形部56を備え、この補強変形部56より接合部27側に位置する第1段目コーナ部61の凹曲面と、補強変形部56を介して形成された第2段目コーナ部62の凹曲面とが、平面部を介することなく近接するように各コーナ部61,62の凹曲面間で補強変形部56が最狭小に形成された無平面部63を有するので、図15に示されるように第1段目コーナ部61の凹曲面と第2段目コーナ部62aの凹曲面とを平面部64で離間させる場合の不連続性を解消でき、外周縁部を固定した板金材料から内側板23を圧延成形するとき、図14に示されるように連続的な第2段目コーナ部62の凹曲面から第1段目コーナ部61の凹曲面へと板金材料が流れやすく、コーナ部のプレス成形性を向上できる。
図14に示されるように、第1段目コーナ部61の凹曲面の曲率半径rより大きな曲率半径Rを有する第2段目コーナ部62の凹曲面は、第1段目コーナ部61の凹曲面より緩やかに開放された曲面であるので、図15に示されるような拡大された平面部64を有する補強変形部56より、この第2段目コーナ部62の凹曲面での材料流れが円滑になり、かつ、第2段目コーナ部62の凹曲面の中心P62は、第1段目コーナ部61の凹曲面の中心P61よりコーナ内側に位置するので、第2段目コーナ部62の凹曲面が第1段目コーナ部61の凹曲面に近接して、内側板23を圧延成形するときの第2段目コーナ部62から第1段目コーナ部61への材料流れが円滑になる。
図16および図17に示されるように、外側板21に接着剤34により接着された内側板23の接合部27中に、接着剤34を溜める接着剤溜め空間67を有する接着剤溜め部68を設けたので、外側板21に内側板23を押圧して密着させたとき、外側板21と内側板23の接合部27との間から押出された接着剤34は、接着剤溜め部68内の接着剤溜め空間67に残留して、この接着剤34が硬化したときの接合力を保持できる。
縦方向の接合部27中に連続的に設けられた接着剤溜め部68は、サイドドアとして用いるときに上下方向の柱としても機能し、上下方向の荷重に対する強度を向上できる。
酷暑仕様で外側板21の通気穴25と合致する場所に内側板23の通気用開口部30を設けた場合は、この通気用開口部30に沿って接合部27中に連続凸状に設けられた内側板23の接着剤溜め部68によって接着剤を残留させるので、少ない接着面積でも接着剤34による接合力を保持して確実な強度向上を図ることができるとともに、通気用開口部30に沿って接合部27中に連続凸状に設けられた内側板23の接着剤溜め部68により、接合部27の強度も向上して、開口部の周辺での強度低下を防止できる。
高さ/幅=1/2〜1/4に形成されたほぼ円弧状断面の接着剤溜め空間67は、高さが抑えられた偏平状の空間であるため、外側板21と内側板23の接合部27間から接着剤溜め空間67に押出された接着剤34が、押出された箇所に留まって固化するので、接着剤34による接合力を確実に保持できる。
図17に示されるように、凹状の円弧断面に形成された接着剤溜め部68の立上部69と、外側板21との間には、漸次拡大する僅かな隙間が形成されるので、この立上部69の隙間に接着剤34が均一に留まりやすく、接着剤34による接合力を確実に保持できる。
図5に示されるように、外側板21に連続的に接着された内側板23の接合部27に沿って、連続的に膨出成形された突状の補強用凸部29aにより、外側板21に接着された内側板23の強度を向上させる補強ができるとともに、補強用凸部29aを横断する方向に凹状に形成された強化用凹部70により、補強用凸部29aによる補強をより強固なものにすることができ、要するに、相互に交差する方向性の補強用凸部29aと強化用凹部70とで内側板23に複雑な凹凸形状を付けることにより、内側板23の補強をより強固なものにすることができる。
次に、図19および図20は、本発明の第2実施の形態を示し、この実施の形態は、要するに、図1乃至図18に示された実施の形態における酷暑対策用の外側板21のハニカム状通気穴集合部26および内側板23の通気用開口部30を有さないサイドドア17であり、内側板23の接合部27は、広い面積で外側板21の裏面に接着されるので、強度は向上している。凸部29の中間部に補強変形部56を段差状に形成するなどの構造は、図1乃至図18に示された実施の形態と同様であるから、同一符号を付して、その説明を省略する。
本発明は、図18または図21に示された油圧ショベルなどの作業機械のドアパネルに利用可能である。