JP2009112289A - キシロース発酵酵母およびそれを用いたエタノールの生産方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Pichia stipitis由来のXRおよび野生型または変異型XDH遺伝子をプラスミドの状態で、ならびにSaccharomyces cerevisiae由来のXK遺伝子を染色体組込みにより導入した遺伝子組換え酵母を用いてキシロースからエタノールを高効率に生産する方法。
【選択図】図1
Description
[1] XR遺伝子およびXDH遺伝子を含むプラスミドを含み、かつXK遺伝子が染色体組込みにより導入されている、キシロースからエタノールを高効率に生産できる遺伝子組換え酵母。
[2] XR遺伝子およびXDH遺伝子が酵母由来である、[1]の遺伝子組換え酵母。
[3] XR遺伝子およびXDH遺伝子が、Candida Shehatae、Pichia stipitis、およびPachysolen tannophilusからなる群から選択される酵母に由来する、[2]の遺伝子組換え酵母。
[5] XK遺伝子が、酵母または細菌由来である、[1]の遺伝子組換え酵母。
[6] XK遺伝子が、Candida Shehatae、Pichia stipitis、Pachysolen tannophilus、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccaromyces pombeまたはEscherichia coilからなる群から選択される酵母または細菌由来である、[5]の遺伝子組換え酵母。
[8] XR遺伝子およびXDH遺伝子がPichia stipitisに由来し、かつXK遺伝子がSaccharomyces cerevisiaeに由来する、[1]の遺伝子組換え酵母。
[9] XR遺伝子およびXDH遺伝子が過剰発現され、かつXK遺伝子が弱くかつ構成的に発現される、[1]〜[8]のいずれかの遺伝子組換え酵母。
[11] XDH遺伝子が、補酵素要求性をニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)型に改良した変異型XDH(配列番号1)をコードする、[1]〜[10]のいずれかの遺伝子組換え酵母。
[12] 遺伝子組換え酵母がSaccharomyces cerevisiaeより作製される、[1]〜[11]のいずれかの遺伝子組換え酵母。
[13] [1]〜[12]のいずれかの遺伝子組換え酵母を用いた、キシロースからエタノールを生産する方法。
野生型XR遺伝子を作製するため、GeneBankに登録されているPichia stipitis XR遺伝子(登録番号XM 001385144)(配列番号2)を参考にして、下記の二つのプライマーを設計した。尚、XR遺伝子の5’末端にHind III切断部位、3’末端にBamH I切断部位を認識する配列をプライマーに付加した。
5’-GCATaagcttATGCCTTCTATTAAGTTGAACTCTGG-3’(配列番号3)
5’-TAAggatccTTAGACGAAGGATAGGAATCTTGTCC-3’ (配列番号4)
PCRは、Blend Taq DNAポリメラーゼ(東洋紡株式会社)を用いて行った。10 pmolの各プライマーと100 ngのP. stipitis ゲノムDNAを用い、変性反応を94℃で30秒間、アニーリング反応を55℃で30秒間、伸長反応を72℃で1分間の条件でXR遺伝子を増幅した。得られたDNA断片を、プラスミドpPGKのHind III及びBamH I制限酵素切断部位に導入し、これをpPGK-XRと名付けた。さらにPGKプロモーター及びPGKターミネーター付きのXR断片をプラスミドYEpM4に導入し、これをYEpM4-PGK-XRと名付けた。
野生型XK遺伝子を作製するため、GeneBankに登録されているSaccharomyces cerevisiae XK遺伝子(NC_001139.7)(配列番号5)を参考にして、下記の二つのプライマーを設計した。尚、XK遺伝子の5’末端にEcoR I切断部位、3’末端にBamH I切断部位を認識する配列をプライマーに付加した。
5’-CATgaattcATGTTGTGTTCAGTAATTCAGAGACAGAC-3’(配列番号6)
5’-TAAggatccTTAGATGAGAGTCTTTTCCAGTTCGC-3’ (配列番号7)
PCRは、Blend Taq DNAポリメラーゼ(東洋紡株式会社)を用いて行った。10 pmolの各プライマーと100 ngのS. cerevisiae ゲノムDNAを用い、変性反応を94℃で30秒間、アニーリング反応を54℃で30秒間、伸長反応を72℃で2分間の条件でXK遺伝子を増幅した。得られたDNA断片を、プラスミドpPGKのEcoR I及びBamH I制限酵素切断部位に導入し、これをpPGK-XKと名付けた。さらにPGKプロモーター及びPGKターミネーター付きのXK断片を染色体組込み型プラスミドpAUR101(タカラバイオ株式会社)に導入し、これをpAUR-PGK-XKと名付けた。
上記プラスミドYEpM4-PGK-XRとpAUR-PGK-XKに加えて、pPGK-WT(pPGKに野生型XDHを導入)またはpPGK-ARSdR(pPGKに変異型XDHを導入)(これら2つのプラスミドは京都大学牧野先生らから分与されたもの)をYEASTMAKER yeast transformation system 2(クロンテック社)を用いてリチウム酢酸法により酵母D452-2株に形質転換した。まずD452-2株をYEpM4-PGK-XRを用いて形質転換し、さらにpPGK-WTまたはpPGK-ARSdRを用いて形質転換した。YEpM4-PGK-XRとpPGK-WTが導入されたD452-2株を、pAUR101またはpAUR-PGK-XKを用いて形質転換して、それぞれ遺伝子組換え酵母D-WT株およびD-WT/XK株を作製した。また、YEpM4-PGK-XRとpPGK-ARSdRが導入されたD452-2株を、pAUR101またはpAUR-PGK-XKを用いて形質転換して、それぞれ遺伝子組換え酵母D-ARSdR株およびD-ARSdR/XK株を作製した。一方、酵素遺伝子を含まないYEpM4、pPGK、pAUR101を用いてD452-2株に形質転換してD-Vector株を作製し、コントロール株として用いた。
XRの活性測定は、反応によって生成されるNAD(P)Hの特異的な340 nmの吸収度の減少を30℃でモニターすることによって行った。200 mMのキシロース、および100μlの1.5 mM NAD(P)Hを含む50 mMリン酸バッファー(900μl)中において、1μmolのNAD(P) +を1分間に生成するために必要な量を、XRの1ユニットと定義した。
エタノール発酵実験のために、キシロース発酵酵母(D-WT株、D-ARSdR株、D-WT/XK株、およびD-ARSdR/XK株)とコントロール酵母(D-Vector株)を、2 %グルコースを含む栄養要求性培地(6.7 g/l yeast nitrogen base w/o amino acids、 20 g/l グルコース、2 g/l 検定したいアミノ酸を除いたdrop out mix : SCD培地)において30℃で48時間、好気的に培養した。遠心分離により集菌後、滅菌水で洗浄し、20 mlの発酵培地(0.5 %グルコースと1.5 %キシロースを含む栄養要求性培地)に適量を接種し(菌体量を統一)、50 mlのスクリューバイヤルにおいて緩やかに攪拌しながら30℃で嫌気的に培養した。
エタノール、グルコース、キシロース、キシリトール、他の副産物の濃度は高速液体クロマトグラフィー(HPLC; 日本分光株式会社)を用いて測定した。分離カラムはHPX-87Hカラム(Bio-Rad)を用い、HPLC装置は5 mM H2SO4で0.6 ml/minの流速で流し、65℃で運転した。酵母の増殖は分光光度計U-3000(日立)を用いて600 nmでの波長を測定した。解析の結果、これら全ての遺伝子組換え酵母間で増殖速度の違いはみられなかった。またこれら全ての遺伝子組換え酵母間において、グルコースは最初の12時間の間に全て消費した。
D-WT株は、D-Vector株よりもわずかにエタノール濃度が増加した(最終エタノール濃度 0.24%)。
D-WT/XK株は、D-ARSdR株よりも顕著にエタノール濃度が増加した(最終エタノール濃度 0.57%)。
最もキシロースからのエタノール発酵効率のよかったD-ARSdR/XK株では、全糖消費量からのエタノール収率は84%と非常に高かった。
XK遺伝子の発現量によるエタノールの発酵効率への影響を検討すべく、XK遺伝子をプラスミド上で過剰発現させた場合と、染色体に組み込んで構成的に発現させた場合における、エタノール発酵効率を比較した。プラスミド上でXKを発現させるために、pPGK-XKからPGKプロモーター及びPGKターミネーター付きのXK断片をプラスミドpESC-TRP(pPGKやYEpM4と同じくマルチコピーベクター)に導入してプラスミドを作製し、これをpESC-PGK-XKと名付けた。このpESC-PGK-XKとYEpM4-PGK-XR及びpPGK-WTの3つのプラスミドを酵母INVSc1に形質転換したI-WT/XK(ESC)株を作製した。また、pAUR-PGK-XK、YEpM4-PGK-XR及びpPGK-WTをINVSc1に形質転換してI-WT/XK(AUR)株を作製した。この両酵母株における酵素比活性の結果を図4に示した。I-WT/XK(ESC)株はI-WT/XK(AUR)株と比べて約3倍高いXK活性を示すことが分かった。XRとXDH活性に関しては両酵母株において違いは認められなかった。続いて両酵母株におけるエタノール発酵効率を比較した。これら酵母の培養方法やエタノール濃度の測定等は上記と同じ方法で実施した。
Claims (13)
- キシロースレダクターゼ遺伝子およびキシリトールデヒドロゲナーゼ遺伝子を含むプラスミドを含み、かつキシルロキナーゼ遺伝子が染色体組込みにより導入されている、キシロースからエタノールを高効率に生産できる遺伝子組換え酵母。
- キシロースレダクターゼ遺伝子およびキシリトールデヒドロゲナーゼ遺伝子が酵母由来である、請求項1記載の遺伝子組換え酵母。
- キシロースレダクターゼ遺伝子およびキシリトールデヒドロゲナーゼ遺伝子が、Candida Shehatae、Pichia stipitis、およびPachysolen tannophilusからなる群から選択される酵母に由来する、請求項2記載の遺伝子組換え酵母。
- キシロースレダクターゼ遺伝子およびキシリトールデヒドロゲナーゼ遺伝子が、Pichia stipitisに由来する、請求項3記載の遺伝子組換え酵母。
- キシルロキナーゼ遺伝子が、酵母または細菌由来である、請求項1記載の遺伝子組換え酵母。
- キシルロキナーゼ遺伝子が、Candida Shehatae、Pichia stipitis、Pachysolen tannophilus、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccaromyces pombeまたはEscherichia coilからなる群から選択される酵母または細菌由来である、請求項5記載の遺伝子組換え酵母。
- キシルロキナーゼ遺伝子が、Saccharomyces cerevisiaeに由来する、請求項6記載の遺伝子組換え酵母。
- キシロースレダクターゼ遺伝子およびキシリトールデヒドロゲナーゼ遺伝子がPichia stipitisに由来し、かつキシルロキナーゼ遺伝子がSaccharomyces cerevisiaeに由来する、請求項1記載の遺伝子組換え酵母。
- キシロースレダクターゼ遺伝子およびキシリトールデヒドロゲナーゼ遺伝子が過剰発現され、かつキシルロキナーゼ遺伝子が弱くかつ構成的に発現される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の遺伝子組換え酵母。
- キシロースレダクターゼ遺伝子、キシリトールデヒドロゲナーゼ遺伝子およびキシルロキナーゼ遺伝子がPGKプロモーターにより、それぞれ発現される、請求項9に記載の遺伝子組換え酵母。
- キシリトールデヒドロゲナーゼ遺伝子が、補酵素要求性をニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)型に改良した変異型キシリトールデヒドロゲナーゼ(配列番号1)をコードする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の遺伝子組換え酵母。
- 遺伝子組換え酵母がSaccharomyces cerevisiaeより作製される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の遺伝子組換え酵母。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の遺伝子組換え酵母を用いた、キシロースからエタノールを生産する方法。
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CN114008197A (zh) * | 2019-04-04 | 2022-02-01 | 布拉斯科公司 | 用于同时消耗木糖和葡萄糖以从第二代糖产生化学物质的代谢工程 |
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