JP2009111793A - 電気音響変換器 - Google Patents

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肇 北村
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Abstract

【課題】ボイスコイルが略矩形環状に巻回された動電型の電気音響変換器において、安価な構成により、その耐衝撃性能を高める。
【解決手段】磁気回路ユニット18の一部を構成する略箱形のベース32を、その各コーナ部に切欠き部32aが形成された構成する。その上で、このベース32の底面壁32Aにおける各切欠き部32aの端面に、マグネット34の外周面に沿って上方へ折れ曲がるようにして延びる突起片32Cを形成する。そして、これら4つの突起片32Cとマグネット34の外周面との係合により、ベース32の底面壁32Aに沿った方向に関してマグネット34を位置決めする。これにより、電気音響変換器10を搭載した外部機器の落下等の際の衝撃荷重により、ベース32の底面壁32Aとマグネット34との間の接着層が剥がれて、マグネット34がベース32から脱落してしまうのを未然に防止する。
【選択図】図1

Description

本願発明は、いわゆる動電型の電気音響変換器に関するものであり、特に、ボイスコイルが略矩形環状に巻回された電気音響変換器に関するものである。
一般に、動電型スピーカ等の動電型の電気音響変換器は、ダイアフラムと、このダイアフラムの下面に固定されたボイスコイルと、このボイスコイルの下端部を収容する磁気間隙が形成された磁気回路ユニットと、この磁気回路ユニットとダイアフラムの外周縁部とを固定支持するフレームと、を備えた構成となっている。
「特許文献1」や「特許文献2」には、このような動電型の電気音響変換器において、そのボイスコイルとして略矩形環状に巻回されたものが記載されている。そして、これら各特許文献に記載された電気音響変換器においては、その磁気回路ユニットが、ボイスコイルを囲む略箱形のベース(「特許文献2」においては金属製ヨーク)と、このベースの底面壁の上面に接着固定されたマグネットと、このマグネットの上面に固定されたヨーク(「特許文献2」においてはプレート)とからなっている。
特開2007−60463号公報 特開2004−128822号公報
このようにボイスコイルが略矩形環状に巻回された電気音響変換器を採用すれば、その外形形状を略矩形に設定することができるので、この電気音響変換器を携帯電話機等の外部機器に搭載したときのスペース効率を高めることができる。
その際、上記「特許文献2」の図7に記載された電気音響変換器のように、その略箱形のベース(すなわち金属製ヨーク1)の構成を、底面壁および周面壁における各コーナ部に切欠き部がそれぞれ形成された構成とすれば、その周面壁における4つの直線状部分を曲げ加工により形成することが可能となる。そしてこれにより、略箱形のベースをプレス成形により形成するようにした場合に比して、これを安価にかつ寸法精度良く形成することが可能となる。
しかしながら、このような電気音響変換器においては、これを搭載した外部機器が床に落下した場合等には、その際の衝撃荷重により、ベースの底面壁とマグネットとの間の接着層(あるいはマグネットの表面に施されたメッキ層)が剥がれて、マグネットがベースから脱落してしまうおそれがある、という問題がある。
特に、略矩形環状に巻回されたボイスコイルを有する電気音響変換器においては、そのマグネットの外形形状が円形ではなく略矩形となるので、円環状に巻回されたボイスコイルを有する通常の電気音響変換器に比して、マグネットの脱落が発生しやすい、という問題がある。
しかも、近年の電気音響変換器においては、より高い音響特性が求められており、これを実現するため、マグネットをできるだけ大きくして、電気音響変換効率を高めるようにする傾向にある。このため、大型化したマグネットの慣性荷重により、接着層等が一層剥がれやすくなってしまう、という問題がある。
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ボイスコイルが略矩形環状に巻回された動電型の電気音響変換器において、安価な構成により、その耐衝撃性能を高めることができる電気音響変換器を提供することを目的とするものである。
本願発明は、ベースを曲げ加工により形成可能な構成とした上で、その構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
すなわち、本願発明に係る電気音響変換器は、
ダイアフラムと、このダイアフラムの下面に固定されたボイスコイルと、このボイスコイルの下端部を収容する磁気間隙が形成された磁気回路ユニットと、この磁気回路ユニットと上記ダイアフラムの外周縁部とを固定支持するフレームと、を備えてなる電気音響変換器において、
上記ボイスコイルが、略矩形環状に巻回されており、
上記磁気回路ユニットが、上記ボイスコイルを囲む略箱形のベースと、このベースの底面壁の上面に接着固定されたマグネットと、このマグネットの上面に固定されたヨークとを備えてなり、
上記ベースの底面壁および周面壁における各コーナ部に、切欠き部がそれぞれ形成されており、
上記ベースの底面壁における上記4箇所の切欠き部の端面のうち、対角線位置にある1対の切欠き部を含む少なくとも2つの切欠き部の端面に、上記マグネットの外周面に沿って上方へ折れ曲がるようにして延びる突起片がそれぞれ形成されており、
これら少なくとも2つの突起片と上記マグネットの外周面との係合により、上記ベースの底面壁に沿った方向に関して上記マグネットを位置決めするように構成されている、ことを特徴とするものである。
上記「突起片」は、マグネットの外周面に沿って上方へ折れ曲がるようにして延びるように形成されたものであれば、その形状や大きさ等の具体的な構成は特に限定されるものではない。
上記構成に示すように、本願発明に係る電気音響変換器は、動電型の電気音響変換器として構成されているが、そのボイスコイルが略矩形環状に巻回されているので、電気音響変換器の外形形状を略矩形に設定することが容易に可能となる。そしてこれにより、この電気音響変換器を携帯電話機等の外部機器に搭載したときのスペース効率を高めることができる。
また、本願発明に係る電気音響変換器は、その磁気回路ユニットが略箱形のベースを有しているが、このベースは、その底面壁および周面壁における各コーナ部に切欠き部がそれぞれ形成された構成となっているので、その周面壁における4つの直線状部分を曲げ加工により形成することが可能となる。このため、略箱形のベースをプレス成形により形成するようにした場合に比して、これを安価にかつ寸法精度良く形成することができる。
その上で、本願発明に係る電気音響変換器は、そのベースの底面壁における4箇所の切欠き部の端面のうち、対角線位置にある1対の切欠き部を含む少なくとも2つの切欠き部の端面に、マグネットの外周面に沿って上方へ折れ曲がるようにして延びる突起片がそれぞれ形成されており、これら少なくとも2つの突起片とマグネットの外周面との係合により、ベースの底面壁に沿った方向に関してマグネットを位置決めするように構成されているので、これを搭載した外部機器の落下等の際の衝撃荷重により、ベースの底面壁とマグネットとの間の接着層(あるいはマグネットの表面に施されたメッキ層)が剥がれて、マグネットがベースから脱落してしまうのを未然に防止することができる。
すなわち、ベースの底面壁とマグネットとの間の接着層等が最も剥がれやすいのは、ベースの底面壁に沿った方向の荷重が作用した場合であるが、本願発明に係る電気音響変換器は、その少なくとも2つの突起片の存在により、ベースの底面壁に沿った方向に関するマグネットの位置決めがなされているので、このような荷重が作用した場合であっても、マグネットがベースから脱落してしまうのを未然に防止することができる。
このように本願発明によれば、略矩形の外形形状を有する動電型の電気音響変換器において、安価な構成により、その耐衝撃性能を高めることができる。
しかも、本願発明に係る電気音響変換器においては、そのベースの一部を構成する少なくとも2つの突起片によりマグネットを位置決めするようになっているので、新たな部品を必要とすることなく上記作用効果を得ることができる。また、これら少なくとも2つの突起片の存在により、位置決め冶具を用いなくても、マグネットをベースに対して所定位置に装着することが容易に可能となる。
なお、本願発明において、少なくとも2つの突起片が、対角線位置にある1対の切欠き部の端面の2箇所にのみ形成されている場合であっても、ベースの底面壁に沿った荷重の作用する方向が限られていれば、所要の耐衝撃性能を確保することが可能である。また、これら1対の突起片の形状を適宜工夫することにより、ベースの底面壁に沿った荷重が作用する方向の如何にかかわらず、所要の耐衝撃性能を確保することも可能である。そして、突起片の形成箇所が3箇所になれば、耐衝撃性能をより高めることができ、突起片の形成箇所が4箇所になれば、耐衝撃性能を万全なものとすることができる。
上記構成において、各突起片とマグネットの外周面との間に接着剤が充填された構成とすれば、各突起片がマグネットの外周面と密着していなくても、接着剤の介在により、ベースの底面壁に沿った方向に関するマグネットの位置決めを図ることができる。そしてこれにより、各突起片の寸法精度の管理を緩和して、その形成を容易化することができる。
また、このように各突起片とマグネットの外周面との間に接着剤が充填された構成とすることにより、マグネットとベースとの接着面積を増大させることができるので、ベースの底面壁と直交する方向に衝撃荷重が作用した場合におけるマグネットの脱落防止性能をも高めることができる。
上記構成において、各突起片が、ヨークの外周面に沿ってマグネットの上面よりも上方まで延びるように形成された構成とすれば、ヨークに対してもベースの底面壁に沿った方向に関する位置決めを行うことができる。そしてこれにより、ヨークおよびマグネット間の剥離についても、その発生を未然に防止することができる。
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
図1は、本願発明の一実施形態に係る電気音響変換器10を、上向きに配置した状態で示す平面図である。また、図2は、図1のII-II 線断面図であり、図3は、図1のIII-III 線断面図であり、図4は、図1のIV-IV 線断面詳細図である。
これらの図に示すように、この電気音響変換器10は、小型の動電型スピーカであって、携帯電話機等の外部機器に搭載された状態で使用されるようになっている。この電気音響変換器10は、平面視において左右方向にやや長い略矩形状の外形形状を有しており、その長辺方向の幅は20mm程度、短辺方向の幅は15mm程度の値に設定されている。
この電気音響変換器10は、ダイアフラム12と、このダイアフラム12の下面に固定されたボイスコイル14と、ダイアフラム12の外周縁部を固定支持するフレーム16と、ボイスコイル14の下端部を収容する磁気間隙が形成された磁気回路ユニット18と、ダイアフラム12を上方側から覆うカバー20と、フレーム16に固定された1対の端子部材22とを備えてなっている。
ダイアフラム12は、電気音響変換器10の外形形状よりも僅かに小さい略矩形状の外形形状を有している。このダイアフラム12は、ポリエーテルイミド等の樹脂製部材で構成されている。このダイアフラム12は、平板状に形成されているが、その外周縁近傍部位は、上向き円弧状の断面形状で略矩形環状に延びる上方膨出部12aとして形成されている。
ボイスコイル14は、その巻回形状が略矩形状に設定されている。このボイスコイル14のダイアフラム12に対する固定は、その上方膨出部12aの内周側近傍において接着により行われている。そして、このボイスコイル14は、該ボイスコイル14から延出する1対のコイル端末(図示せず)を介して、1対の端子部材22に電気的に接続されている。
フレーム16は、平面視において略矩形状の外形形状を有する樹脂製部材からなり、その外周縁部には、ダイアフラム12の外周縁部を固定支持するためのダイアフラム支持部16aが形成されている。このフレーム16には、ボイスコイル14の巻回形状よりもやや大きい略矩形状の中央開口部16bが形成されており、この中央開口部16bに磁気回路ユニット18が接着固定により装着されるようになっている。
1対の端子部材22は、インサート成形によりフレーム16と一体で形成された1対のランド部22Aと、フレーム16から下方へ突出する1対のコイルスプリング22Bとからなっている。1対のランド部22Aは、フレーム16における一方の短辺部分の下面に露出するようにして形成されている。また、1対のコイルスプリング22Bは、フレーム16における一方の短辺部分側の2箇所のコーナ部に配置されており、これらを介して外部機器との電気的接続を図るようになっている。
カバー20は、略逆トレー状に形成された鋼板で構成されており、平面視において略矩形状の外形形状を有している。このカバー20には、その複数箇所に放音孔20aが形成されている。そして、このカバー20は、その外周縁部において、フレーム16のダイアフラム支持部16aに接着固定されたダイアフラム12の外周縁部に接着固定されている。
図5は、磁気回路ユニット18を示す斜視図であり、図6は、その平面図である。
これらの図にも示すように、磁気回路ユニット18は、内磁型の磁気回路ユニットであって、ボイスコイル14を囲む略箱形のベース32と、このベース32の底面壁32Aの上面に接着固定されたマグネット34と、このマグネット34の上面に接着固定されたヨーク36とを備えてなっている。そして、この磁気回路ユニット18においては、そのベース32の周面壁32Bの内面とヨーク36の外周面との間に、上記磁気間隙が形成されるようになっている。
ベース32は、鋼製であって、その底面壁32Aおよび周面壁32Bにおける各コーナ部には、切欠き部32aがそれぞれ形成されている。そして、これら各切欠き部32aの端面には、マグネット34の外周面に沿って上方へ折れ曲がるようにして延びる突起片32Cがそれぞれ形成されている。マグネット34は、比較的厚い略矩形板状に形成されており、その表面にはニッケルメッキが施されている。ヨーク36は、鋼製であって、比較的薄い略矩形板状に形成されており、マグネット34と略同じ外形形状を有している。
ベース32は、図6において2点鎖線で示すような、フープ材から繰り出されるウェブ鋼板2に対して、打ち抜き加工および曲げ加工を施した後、切断加工を施すことにより形成されるようになっている。
すなわち、ベース32の各周面壁32Bは、打ち抜き加工により形成された矩形張出し部2aを、曲げ加工により上方へ向けて直角に曲げ起こすことにより形成されるようになっている。そして、ウェブ鋼板2において、ベース32における各コーナ部の切欠き部32aから放射状に延び、ベース32とこれを囲むウェブ残部2bとを連結している4本の連結梁2cを、そのベース32側の端部近傍の位置(同図において破線Lで示す位置)で切断することにより、ベース32が略形成されるようになっている。その際、切断された連結梁2cにおけるベース32側の端部を、曲げ加工により上方へ向けて直角に曲げ起こすことにより、4箇所に突起片32Cが形成されたベース32が完成するようになっている。
これら4つの突起片32Cは、マグネット34の外周面と係合することにより、ベース32の底面壁32Aに沿った方向(すなわち水平方向)に関してマグネット34を位置決めするようになっている。その際、これら各突起片32Cとマグネット34の外周面との間には、僅かな隙間が不可避的に形成されるので、両者を一体化させるため、この隙間には接着剤Aが充填されている。
これら4つの突起片32Cは、いずれも同一形状で形成されており、その上方突出量は、その上端縁がボイスコイル14の下端縁よりもある程度下方に位置するような値に設定されている。そしてこれにより、ダイアフラム12の振動により下方変位するボイスコイル14に対して、その振動の最大振幅時においても各突起片32Cが干渉しないようになっている。
以上詳述したように、本実施形態に係る電気音響変換器10は、動電型スピーカとして構成されているが、そのボイスコイル14が略矩形環状に巻回されているので、電気音響変換器10の外形形状を略矩形に設定することが容易に可能となる。そしてこれにより、この電気音響変換器10を携帯電話機等の外部機器に搭載したときのスペース効率を高めることができる。
また、本実施形態に係る電気音響変換器10は、その磁気回路ユニット18が略箱形のベース32を有しているが、このベース32は、その底面壁32Aおよび周面壁32Bにおける各コーナ部に切欠き部32aがそれぞれ形成された構成となっているので、その周面壁32Bにおける4つの直線状部分を曲げ加工により形成することが可能となる。このため、略箱形のベース32をプレス成形により形成するようにした場合に比して、これを安価にかつ寸法精度良く形成することができる。
その上で、本実施形態に係る電気音響変換器10は、そのベース32の底面壁32Aにおける各切欠き部32aの端面に、マグネット34の外周面に沿って上方へ折れ曲がるようにして延びる突起片32Cがそれぞれ形成されており、これら4つの突起片32Cとマグネット34の外周面との係合により、ベース32の底面壁32Aに沿った方向に関してマグネット34を位置決めするように構成されているので、これを搭載した外部機器の落下等の際の衝撃荷重により、ベース32の底面壁32Aとマグネット34との間の接着層(あるいはマグネット34の表面に施されたメッキ層)が剥がれて、マグネット34がベース32から脱落してしまうのを未然に防止することができる。
すなわち、ベース32の底面壁32Aとマグネット34との間の接着層等が最も剥がれやすいのは、ベース32の底面壁32Aに沿った方向の荷重が作用した場合であるが、本実施形態に係る電気音響変換器10は、その4つの突起片32Cの存在により、ベース32の底面壁32Aに沿った方向に関するマグネット34の位置決めがなされているので、このような荷重が作用した場合であっても、マグネット34がベース32から脱落してしまうのを未然に防止することができる。
このように本実施形態によれば、略矩形の外形形状を有する動電型の電気音響変換器10において、安価な構成により、その耐衝撃性能を高めることができる。
しかも、本実施形態に係る電気音響変換器10においては、そのベース32の一部である4つの突起片32Cによりマグネット34の位置決めがなされる構成となっているので、新たな部品を必要とすることなく上記作用効果を得ることができる。また、これら4つの突起片32Cの存在により、位置決め冶具を用いなくても、マグネット34をベース32に対して所定位置に装着することが容易に可能となる。
特に、本実施形態に係る電気音響変換器10においては、そのベース32の底面壁32Aにおける各切欠き部32aの端面に突起片32Cがそれぞれ形成されているので、これら4つの突起片32Cにより、ベース32の底面壁32Aに沿った荷重が作用する方向の如何にかかわらず、耐衝撃性能を万全なものとすることができる。
また、本実施形態に係る電気音響変換器10においては、その各突起片32Cとマグネット34の外周面との間に接着剤Aが充填された構成となっているので、各突起片32Cがマグネット34の外周面と密着していなくても、接着剤Aの介在により、ベース32の底面壁32Aに沿った方向に関するマグネット34の位置決めを図ることができる。そしてこれにより、各突起片32Cの寸法精度の管理を緩和して、その形成を容易化することができる。
さらに、このように各突起片32Cとマグネット34の外周面との間に接着剤Aが充填された構成とすることにより、マグネット34とベース32との接着面積を増大させることができるので、ベース32の底面壁32Aと直交する方向に衝撃荷重が作用した場合におけるマグネット34の脱落防止性能をも高めることができる。
なお、上記実施形態においては、ベース32の底面壁32Aにおける各切欠き部32aの端面に突起片32Cがそれぞれ形成されているものとして説明したが、このように4箇所すべてに突起片32Cが形成された構成とする代わりに、そのうちの3箇所にのみ突起片32Cが形成された構成、あるいは、対角線位置にある2箇所にのみ突起片32Cが形成された構成とすることも可能である。このような構成を採用した場合においても、ベース32の底面壁32Aに沿った荷重の作用する方向が限られていれば、所要の耐衝撃性能を確保することが可能である。また、その際、各突起片32Cの構成を、マグネット34の外周面に沿って回り込んだ円弧状の断面形状を有する構成とする等、適宜工夫を施しておくようにすれば、ベース32の底面壁32Aに沿った荷重が作用する方向の如何にかかわらず、所要の耐衝撃性能を確保することも可能となる。
また、上記実施形態においては、ベース32の底面壁32Aにおける各切欠き部32aの端面に形成された突起片32Cが、マグネット34の外周面に沿って上方へ折れ曲がるようにして延びているものとして説明したが、このようにする代わりに、これら4箇所のうち1箇所または2箇所において、各突起片32Cがマグネット34の外周面に沿って上方へ折れ曲がることなく、そのままベース32の底面壁32Aに沿って延びるように形成された構成としておき、これらをフレーム16との位置決めを図るために用いるようにすることも可能である。
さらに、上記実施形態においては、マグネット34に特段の加工が施されることなく、このマグネット34と各突起片32Cとの係合が行われる構成となっているものとして説明したが、このマグネット34の各コーナ部に、各突起片32Cの断面形状に対応した断面形状で上下方向に延びる切欠き溝が形成された構成としておき、これら各切欠き溝に各突起片32Cが配置される構成とすることも可能である。このような構成を採用することにより、各突起片32Cとボイスコイル14との間の隙間に余裕ができるので、衝撃荷重が作用した場合における各突起片32Cとボイスコイル14との干渉を未然に防止することが可能となる。なお、この場合において、各突起片32Cは、その上端縁がヨーク36の下面と接触する構成となっていてもよいし接触しない構成となっていてもよい。
また、上記実施形態においては、ベース32における各周面壁32Bおよび各突起片32Cを形成する際、打ち抜き加工や曲げ加工を用いるものとして説明したが、このようにする代わりに鍛造や絞り加工等を用いることも可能である。
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
図7は、本変形例に係る電気音響変換器110の要部を示す、図4と同様の図である。
同図に示すように、本変形例に係る電気音響変換器110においては、そのベース132の各突起片132Cが、ヨーク136の外周面に沿ってマグネット34の上面よりも上方まで(具体的にはヨーク136の上面よりもやや下方の位置まで)延びるように形成されている。
これを実現するため、ヨーク136の外周面は、各コーナ部においてマグネット34の外周面と略面一になるように形成されている。また、ボイスコイル114は、各コーナ部において、上記実施形態のボイスコイル14よりも小さいコーナRとなるように巻回されている。そしてこれにより、ボイスコイル114を各突起片132Cよりも外周側に位置させるようにして、ボイスコイル114と各突起片32Cとの干渉を回避するようになっている。これに伴い、ダイアフラム112の上方膨出部112aも、各コーナ部においてやや小さいコーナRとなるように形成されている。
4つの突起片132Cは、マグネット34の外周面およびヨーク136の外周面と係合することにより、ベース132の底面壁32Aに沿った方向(すなわち水平方向)に関してマグネット34およびヨーク136を位置決めするようになっている。その際、これら各突起片132Cとマグネット34の外周面およびヨーク136の外周面との間には、僅かな隙間が不可避的に形成されるので、これらを一体化させるため、この隙間には接着剤Aが充填されている。
なお、本変形例におけるベース132の各突起片132Cは、上記実施形態におけるベース32の各突起片32Cよりも上方突出量が大きくなっているが、これを実現するためには、図6において、4本の連結梁2cの切断位置を、破線Lで示す位置よりもベース32側の端部からさらに離れた位置に設定するようにすればよい。
本変形例の構成を採用することにより、ヨーク136に対してもベース132の底面壁32Aに沿った方向に関する位置決めを行うことができる。そしてこれにより、ヨーク132およびマグネット34間の剥離についても、その発生を未然に防止することができる。
なお、上記実施形態および変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
上記実施形態および変形例においては、電気音響変換器10、110がスピーカであるものとして説明したが、レシーバ等のようなスピーカ以外の電気音響変換器である場合においても、上記実施形態等と同様の構成を採用することにより上記実施形態等と同様の作用効果を得ることが可能である。
本願発明の一実施形態に係る電気音響変換器を、上向きに配置した状態で示す平面図 図1のII-II 線断面図 図1のIII-III 線断面図 図1のIV-IV 線断面詳細図 上記電気音響変換器の磁気回路ユニットを示す斜視図 上記磁気回路ユニットを示す平面図 上記実施形態の変形例に係る電気音響変換器の要部を示す、図4と同様の図
符号の説明
2 ウェブ鋼板
2a 矩形張出し部
2b ウェブ残部
2c 連結梁
10、110 電気音響変換器
12、112 ダイアフラム
12a、112a 上方膨出部
14、114 ボイスコイル
16 フレーム
16a ダイアフラム支持部
16b 中央開口部
18 磁気回路ユニット
20 カバー
20a 放音孔
22 端子部材
22A ランド部
22B コイルスプリング
32、132 ベース
32A 底面壁
32B 周面壁
32C、132C 突起片
32a 切欠き部
34 マグネット
36、136 ヨーク
A 接着剤

Claims (3)

  1. ダイアフラムと、このダイアフラムの下面に固定されたボイスコイルと、このボイスコイルの下端部を収容する磁気間隙が形成された磁気回路ユニットと、この磁気回路ユニットと上記ダイアフラムの外周縁部とを固定支持するフレームと、を備えてなる電気音響変換器において、
    上記ボイスコイルが、略矩形環状に巻回されており、
    上記磁気回路ユニットが、上記ボイスコイルを囲む略箱形のベースと、このベースの底面壁の上面に接着固定されたマグネットと、このマグネットの上面に固定されたヨークとを備えてなり、
    上記ベースの底面壁および周面壁における各コーナ部に、切欠き部がそれぞれ形成されており、
    上記ベースの底面壁における上記4箇所の切欠き部の端面のうち、対角線位置にある1対の切欠き部を含む少なくとも2つの切欠き部の端面に、上記マグネットの外周面に沿って上方へ折れ曲がるようにして延びる突起片がそれぞれ形成されており、
    これら少なくとも2つの突起片と上記マグネットの外周面との係合により、上記ベースの底面壁に沿った方向に関して上記マグネットを位置決めするように構成されている、ことを特徴とする電気音響変換器。
  2. 上記各突起片と上記マグネットの外周面との間に接着剤が充填されている、ことを特徴とする請求項1記載の電気音響変換器。
  3. 上記各突起片が、上記ヨークの外周面に沿って上記マグネットの上面よりも上方まで延びるように形成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の電気音響変換器。
JP2007282513A 2007-10-30 2007-10-30 電気音響変換器 Pending JP2009111793A (ja)

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