JP2009109616A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】FFSモードでマルチドメイン構造の液晶表示装置において、「面押しムラ」が発生し難く且発生しても自然放置で容易に消失可能な構造を提供する。
【解決手段】液晶表示装置の片方の基板は、共通電極と、絶縁膜を介して共通電極の上に配されたストライプ状のパターンを有する画素電極Pと、画素電極Pの上に配され液晶を配向する配向層と、画素電極Pと共通電極との間に電圧を印加して液晶の配向状態を変化させる手段とを有する。画素電極Pは、そのストライプ状のパターンが中間の部分で折れ曲がった屈曲部PBと、屈曲部の両側から異なる方向に延びた延長部PWとに分かれている。配向層は、屈曲部に対応する領域9Bと延長部に対応する領域9Wとで液晶を異なる方向に配向させるように領域分割されている。
【選択図】図3
【解決手段】液晶表示装置の片方の基板は、共通電極と、絶縁膜を介して共通電極の上に配されたストライプ状のパターンを有する画素電極Pと、画素電極Pの上に配され液晶を配向する配向層と、画素電極Pと共通電極との間に電圧を印加して液晶の配向状態を変化させる手段とを有する。画素電極Pは、そのストライプ状のパターンが中間の部分で折れ曲がった屈曲部PBと、屈曲部の両側から異なる方向に延びた延長部PWとに分かれている。配向層は、屈曲部に対応する領域9Bと延長部に対応する領域9Wとで液晶を異なる方向に配向させるように領域分割されている。
【選択図】図3
Description
本発明は、FFS(Fringe Field Switching)モードの液晶表示装置に関する。詳しくは、FFSモードの視野角特性を改善したマルチドメイン構造の液晶表示装置に関する。さらに詳しくは、マルチドメイン構造で生じる「面押しムラ」の改善技術に関する。
従来の液晶表示装置は液晶の厚み方向(縦方向)に電圧を印加して表示する方式が主流であった。FFSモードはこれと異なり、液晶層と平行な方向(横方向)に電界を印加して液晶の配向状態のスイッチングを行う方式である。横方向電界駆動方式は縦方向電界駆動方式に比べ原理的に視野角が広いため(広視野角)現在盛んに開発されており、例えば以下の特許文献1に記載がある。
特開2005‐338264公報
FFSモードは画面を見る角度によって表示状態が変化してしまう視野角依存性がある。この視野角依存性を改善するために、マルチドメイン構造が提案されている。このマルチドメイン構造は画素電極を領域分割して電圧印加状態に変化をつけ、液晶を異なる方向に配向制御して視野角依存性を緩和するものである。
マルチドメイン構造の液晶表示装置は、領域分割された画素電極の境界で、面押しムラが発生するという課題がある。電圧を印加した状態で液晶表示装置(液晶パネル)の表面に指などで圧力を加えると、マルチドメインの境界部の配向状態が乱れ、リバースツイスト現象が発生し、ムラとして見えてしまう。以下本明細書ではこの配向の乱れを「面押しムラ」と呼ぶ。自然放置しただけではこの面押しムラは元に戻ることがなく、解決すべき課題となっている。
上述した従来の技術の課題に鑑み、本発明はFFSモードでマルチドメイン構造の液晶表示装置において、「面押しムラ」が発生し難く且発生しても自然放置で容易に消失可能な構造を提供することを目的とする。かかる目的を達成するために以下の手段を講じた。即ち本発明にかかる液晶表示装置は、所定の間隙を介して対向配置した一対の基板と、該間隙に配された液晶とからなり、片方の基板には、共通電極と、絶縁膜を介して共通電極の上に配されたストライプ状のパターンを有する画素電極と、該画素電極の上に配され液晶を配向する配向層と、該画素電極と該共通電極との間に電圧を印加して該液晶の配向状態を変化させる手段とを有し、前記画素電極は、そのストライプ状のパターンが中間の部分で折れ曲がった屈曲部と、該屈曲部の両側から異なる方向に延びた延長部とに分かれており、前記配向層は、該屈曲部に対応する領域と該延長部に対応する領域とで液晶を異なる方向に配向させるように領域分割されていることを特徴とする。
具体的には、前記延長部は、該屈曲部の中心を対称軸としてその両側から対称的に延びており、前記液晶は、該屈曲部に対応する領域で該対称軸と平行に配向する一方、該延長部に対応する領域で該対称軸と直交して配向する。好ましくは、前記配向層は、少なくとも該屈曲部に対応する領域が、複数の溝を平行に配したグレーティング配向層である。この場合、前記グレーティング配向層は、複数の溝を被覆する様に配向被膜が形成されており、前記配向被膜は、液晶を基板に対して水平に配向する水平配向能を有し、前記液晶は該溝が伸びる方向と直交する方向に指向して水平配向する。好ましくは、前記画素電極は、ストライプ状のパターンが該屈曲部で共通接続されている。又該屈曲部に対応する領域を外部から遮閉する遮光帯が、一対の基板の片方に形成されている。
本発明によれば、液晶表示装置の画素はマルチドメイン構造を有し、画素電極のストライプ状のパターンの中間の部分が折れ曲がった屈曲部となっており、この屈曲部の両側から異なる方向にストライプ状のパターンが伸びた延長部となっている。これに合わせて配向層も、屈曲部に対応する領域と延長部に対応する領域とで液晶を異なる方向に配向させるように領域分割されている。かかる構成により、屈曲部で面押しムラの原因となる液晶のリバースツイストが生じても、速やかにこのリバースツイスト状態が消滅する。よって面押しムラは画面上に長い間残ることがないので、実用上面押しムラが全く問題のない液晶表示装置を提供することができる。
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、FFSモードの液晶表示装置の一般的な構成を示す模式図であり、(A)は1画素分の平面図、(B)は同じく1画素分の断面図である。
(A)に示すように、液晶表示装置を構成する基板の上には行状の走査線Xと列状の信号線Yが形成されている。走査線Xと信号線Yは格子状に交わっており、丁度1つの格子が1画素に対応している。画素には共通電極Cと画素電極Pが形成されている。画素電極Pは層間絶縁膜を介して共通電極Cの上に配されており、ストライプ上のパターンを有する。画素電極Pと共通電極Cとの間に電圧を印加して、横方向電界を液晶に加えその配向状態をスイッチングする。画素電極Pに電圧を印加するため、薄膜トランジスタ(TFT)が各画素に形成されている。TFTのゲート電極は対応する走査線Xに接続し、ソース電極は対応する信号線Yに接続し、ドレイン電極はコンタクトを介して対応する画素電極Pに接続している。各画素の共通電極は、共通の電位に接続している。
(B)に示すように、液晶表示装置は所定の間隙を介して対向配置した一対の基板1,2と、この間隙に配された液晶3とからなる。上部透明基板1はその表面に粘着剤4を介して偏光板5が貼り付けられている。上部透明基板1の内表面にはカラーフィルタ6と配向膜7が積層されている。
下部透明基板2には、前述した共通電極Cと、層間絶縁膜8を介して共通電極Cの上に配されたストライプ状のパターンを有する画素電極Pと、画素電極Pの上に配され液晶を配向する配向膜9(配向層)と、画素電極Pと共通電極Cとの間に電圧を印加して液晶層3の配向状態を変化させるスイッチング手段とを有する。本実施形態では前述したようにこのスイッチング手段は薄膜トランジスタ(TFT)である。薄膜トランジスタ(TFT)は層間絶縁膜10で被覆されており、コンタクトホール11を介して画素電極Pに接続している。具体的にはこの薄膜トランジスタ(TFT)はそのゲートGが走査線X(図示せず)に接続している。このゲートGの上にゲート絶縁膜12を介して半導体薄膜が形成されており、ソースとドレインに分かれている。ソースは前述したように信号線Yに接続し、ドレインはコンタクトホール11を介して画素電極Pに接続している。なお下部透明基板2の表面には偏光板13が取り付けられている。下部透明基板2から入射した光は液晶層3で透過率の変調を受けた後上部透明基板1側から透過光として出射される。
共通電位に接続された共通電極Cに対して画素電極P側に映像信号に応じた電圧を印加すると、液晶層3に横方向電界が加わり、その配向状態がスイッチングして透過光の透過率が映像信号に応じて変調を受ける。原理上液晶層3は横方向電界に応じて一方向に配向状態が変化するため、表示状態が観察する角度によって変化し、いわゆる視角依存性がある。
図2は、FFSモードの視角依存性を改善したマルチドメイン構造を示す模式的な平面図である。前述したように、画素は行状の走査線Xと列状の信号線Yとによって区画された格子状の領域に規定されている。画素にはストライプ状のパターンを有する画素電極Pが形成されている。この画素電極Pは画素の中央で上下に別れておりいわゆるマルチドメイン構造となっている。具体的には、画素電極Pは、そのストライプ状のパターンが中間の部分で折れ曲がった屈曲部PBと、屈曲部PBの両側から異なる方向に伸びた延長部PWとに分かれている。本明細書では上側延長部をPWUで表し、下側延長部をPWDで表し、両者を合わせて延長部PWと表記している。
電圧無印加状態で、液晶分子は紙面で上下方向にホモジニアス配向している。このホモジニアス配向は延長部PWで共通になっている。一方電圧を印加すると、上側延長部PWUでは液晶分子が反時計方向に回転して、液晶の配向状態がスイッチングする。一方下側延長部PWDでは電圧を印加すると液晶分子は時計方向に回転して液晶の配向状態がスイッチングする。この様に画素電極Pの上側延長部PWUと下側延長部PWDではストライプ状のパターンの伸びる方向が異なっているため、液晶分子の回転方向が互いに逆になり、異なる方向にツイスト配向する。したがって上側延長部PWUと下側延長部PWDで視角依存性が混合され、全体として視角依存性の緩和した表示が得られる。
以上の説明から明らかなように、マルチドメイン構造では、画素を上下2つのドメインに分割し、互いのドメインでストライプ状のパターンが異なる方向に伸長されている。このとき液晶の光学特性はドメイン境界部(即ち屈曲部PB)を対称軸として鏡面対称にすることが望ましい。このマルチドメイン構造により、2つのドメインで異なる回転方向に液晶分子がツイスト駆動され、中間調もしくは白表示時の視野角特性(カラーシフト)が改善できる。
このマルチドメイン構造を有する液晶パネルの画質を評価したところ、確かに視野角特性が改善されているが、マルチドメイン化による新たな不具合が発見されている。白レベルを表示した状態(電圧印加状態)でパネルに指で押すなどの外部圧力を加えると、画素の特に屈曲部PBに対応する領域で液晶分子が電界方向と逆に回転してしまう、いわゆるリバースツイスト現象が発生し、ムラとして見えてしまう。前述したように、本明細書ではこのムラを面押しムラと呼んでいる。この面押しムラは自然放置では元に戻ることがないため、画質を損なっており解決すべき課題となっている。図2に示すように、屈曲部PBでは液晶分子はどちらの方向にも回転しうるので、パネル表面に圧力を加えると屈曲部PBを起点にしてリバースツイストによるムラが発生してしまう。
図3は、本発明にかかる液晶表示装置の第1実施形態を示す要部平面図であり、面押しムラに対処した構造となっている。(A)に示すように、画素電極Pはマルチドメイン構造となっており、そのストライプ状のパターンが中間の部分で折れ曲がった屈曲部PBと、屈曲部PBの両側から異なる方向に伸びた延長部PWとに分かれている。
(B)は屈曲部PB周辺の液晶の配向状態を表す模式的な部分拡大平面図である。図示するように配向層9は、屈曲部PBに対応する領域9Bと延長部PWに対応する領域9Wとで液晶を異なる方向に配向させるように領域分割されている。
延長部PWは前述したように屈曲部PBの中心を対称軸としてその両側から対称的に伸びている。一方液晶分子は、屈曲部PBに対応する領域で対称軸と平行に配向する一方、延長部PWに対応する領域で対称軸と直交して配向している。電圧無印加状態でこの様な液晶分子の配向状態を実現するため、配向層9を領域分割的に形成している。
図2に示した参考例のように液晶分子を全画素領域に渡って上下方向に配向させた場合、一旦面押しムラが発生すると自然放置では消滅しない。これに対し、図3に示した様に液晶分子を屈曲部と延長部で分けて領域分割的に配向させると、電圧印加状態で面押しムラが発生しても、およそ3秒程度でほぼ消滅し、実用的にはなんら問題のないレベルに改善されている。
図4は、本発明にかかる液晶表示装置の第2実施形態を示す模式図である。理解を容易にするため、図3に示した第1実施形態と対応する部分には対応する参照番号を付してある。第1実施形態と同様に、本実施形態も液晶分子を屈曲部PBに対応する領域と延長部PWに対応する領域とで異なる方向に配向させており、効果的な面押しムラ対策を採用している。さらに追加対策として、画素電極Pのストライプ状のパターンを、屈曲部PBで共通接続している。この共通接続した電極パターンをPLで表している。この共通接続パターンPLを配置することにより、屈曲部PBにおける電界分布が安定し、白表示時(電圧印加時)における屈曲部PBの領域の液晶配向が安定することになる。このため外部から圧力がパネルに印加された場合、その圧力によって生じる面押しムラが自然放置にて速やかに解消することになる。
図5は、本発明にかかる液晶表示装置の第3実施形態を示す模式図である。理解を容易にするため、図4に示した第2実施形態と対応する部分には対応する参照番号を付してある。第2実施形態と同様に、この第3実施形態も液晶分子の配向が屈曲部PBに対応する領域と延長部PWに対応する領域とで異なるように配向制御している。さらに屈曲部PBに共通接続パターンPLを設けている。ここまでは第2実施形態と同じである。本実施形態はさらに遮光帯Sを一対の基板の少なくとも一方に設けている。この遮光帯Sは屈曲部PBに対応する領域を外部から遮光している。
前述したようにFFSモードの液晶表示装置では、画素電極と共通電極の間に横方向電界を発生させ、液晶分子を駆動することによって光学変調を行う。然るに屈曲部PBでは共通接続パターンPLが設けてあるため、正常な電界分布とならず、液晶分子を正常に駆動することが困難であり、表示コントラストが低下してしまう。この問題に対処するため、本実施形態では屈曲部PBの領域を遮光帯Sで外部から遮蔽し、非透過領域としている。これにより表示コントラストが改善される。この遮光帯Sは走査線Xと同一工程で形成することができる。あるいは対向基板側にブラックマスクを配置し、その一部を遮光帯Sに利用しても良い。
図6は、本発明にかかる液晶表示装置の第4実施形態を示す模式図である。理解を容易にするため、図3に示した第1実施形態と対応する部分には対応する表記を採用している。本実施形態では、配向層9は少なくとも屈曲部PBに対応する領域9Bが、複数の溝を平行に配したグレーティング配向層となっている。本実施形態では延長部PWに対応する領域9Wもグレーティング配向となっている。
グレーティング配向層には、複数の溝を被覆するように配向被膜が形成されている。この配向被膜は、液晶を基板に対して水平に配向する水平配向能を有する。液晶分子は溝が伸びる方向と直交する方向に指向して水平配向している。
具体的には、屈曲部PBに対応する領域9Bで、グレーティングの溝は左右方向に並んでいる。これにより液晶分子は溝の伸びる方向と直交する方向(即ち左右方向)に配向する。換言すると屈曲部PBに対応した領域9Bで、液晶分子は折れ曲がった画素電極Pの対称軸(中心線)と平行に配向する。
一方延長部PWと対応する領域9Wでは、グレーティングの溝は上下方向に並んでいる。この場合液晶分子は溝が伸びる方向(左右方向)と直交する上下方向に整列することになる。この様にして、液晶分子を屈曲部PBと延長部PWとで領域分割的に配向させることができる。なおグレーティングは絶縁膜に対するエッチングなどで形成できるため、溝の方向を領域分割的に異ならせることは容易である。
なお対向基板側も画素電極側の基板に合わせて分割配向としても良い。場合によっては対向基板側は分割配向にすることなく、通常のラビング配向を施しても良い。この場合には屈曲部PBに対応する領域9Bと延長部PWに対応する領域9Wとの境界で光漏れが生じる可能性がある。この光漏れを防ぐために、図5に示した第3実施形態と同様に遮光帯を設けても良い。
図7は、本発明にかかる液晶表示装置の第5実施形態を示す模式図である。理解を容易にするため、図6に示した第4実施形態と対応する部分には対応する参照番号を付けている。第4実施形態と異なる点は、屈曲部PBに対応する領域9Bで、グレーティング配向を採用する一方、延長部PWに対応する領域9Wではラビング配向を採用していることである。この場合も、対向基板側は分割配向するか、あるいは全面ラビング配向にする。対向基板側で全面ラビング配向を採用した場合、屈曲部PBと延長部PWの境界で光漏れを防ぐため、遮光帯を設けることが好ましい。
以下図8〜図13を参照して、第4実施形態及び第5実施形態で採用したグレーティング配向層を詳細に説明する。図8は、本発明に従った領域分割配向に好適なグレーティング配向方式の基本的な概念を示す模式図である。前述した様に本発明にかかる液晶表示装置は、基本的に所定の間隙を介して互いに接合した一対の基板と、この間隙に保持された液晶とを備えている。図8は、片方の基板とその表面近傍に存在する液晶分子を表している。少なくとも片方の基板には液晶分子を配向する配向層が形成されている。なお図示しないが一対の基板の一方には液晶に電圧を印加するための電極が形成されている。
配向層は、複数本の溝Mが平行に形成された基層と、これらの溝Mを被覆する被膜とからなる複合構造となっている。但し、複数本の溝Mは幾何学的に厳密に平行である必要は無く、本発明の作用効果を奏する範囲で概ね若しくは実質的に平行であればよい。各溝Mは所定の方向に沿って伸びており、且つ溝が伸びる所定の方向と直交する直交方向に沿って与えられたピッチで繰り返し配列されている。以下本明細書では、この所定方向を直線方向と呼ぶ場合がある。但し溝は必ずしも直線形状である必要は無く、曲線形状の場合もある。被膜は例えばポリイミド樹脂などの高分子フィルムからなり、電圧無印加の状態で液晶分子の長手方向を示す分子長軸を基板に対して平行に配向する水平配向能を有する。ストライプ状の溝(グレーティング)が形成された基層に高分子被膜を塗工すると、高分子鎖がグレーティングに沿って整列する。この整列した高分子鎖が液晶分子に対する配向規制力を与える。よってラビングを行うことなく液晶分子を配向制御することができる。これが被膜と基層の複合効果による配向制御である。処理条件にもよるが、図示の例では高分子鎖が溝Mの直線方向に沿って整列している。場合によっては基層の上で被膜が硬化する際の一軸延伸効果により、高分子鎖がグレーティングの直交方向に整列することも有り得る。
被膜と基層を重ねた複合構造の配向層は、グレーティングのアスペクト比に応じて、液晶分子に対し異なった配向制御を行う。このアスペクト比はグレーティングの配列ピッチに対するグレーティングの深さの比率を表している。本発明にかかる複合配向層はアスペクト比が所定の下限値より低いとき(グレーティング溝が浅いとき)液晶の分子長軸はランダムな方向で水平配向する性質がある。このランダム配向はポリイミド配向膜をラビングしないときに得られる配向状態と近似しており、溝が浅すぎてグレーティングの効果が現れていない。一方アスペクト比が所定の上限値より高いとき(グレーティング溝が深いとき)液晶の分子長軸は溝の直線方向に指向して(溝と平行に)水平配向する。この平行配向は従来のグレーティング配向で得られる状態と近似しており、専らグレーティングによる配向規制力(アンカリング力)が配向を支配しており、被膜と基層の複合効果は現れていない。
グレーティングのアスペクト比が下限値から上限値の間にあるとき(グレーティングが浅すぎず且つ深すぎず適切な形状にあるとき)、液晶の分子長軸は溝の直交方向に指向して水平配向する性質を有する。この直交配向はまさにグレーティング基層と配向被膜の複合効果により得られた新規な配向状態であり、且つ従来のグレーティングで得られる平行配向に比べ安定性及び一様性に優れている。本実施形態にかかる配向層は従来のグレーティング配向層に比べアスペクト比を低く抑えられるので、生産性の面で優れている。本実施形態にかかる液晶表示装置はアスペクト比が下限値と上限値の間に入るようにグレーティングを基層に形成し且つこれを配向被膜で覆っている。かかる構成とするとことで、従来に比して生産性が高く均一且つ安定な配向規制力を有し、高画質を確保可能な液晶表示装置を実現することができる。
図9は、液晶分子の配向状態を示す模式図であり、(A)は直交配向を表し、(B)は平行配向を表している。(A)及び(B)は共にグレーティングの直交方向に沿った断面図であり、配向層にはグレーティングに対応した凹凸が現れている。(A)に示すように直交配向では、液晶分子がグレーティングの直交方向と平行に整列している。(B)に示すように平行配向では、液晶分子がグレーティングの直線方向(紙面と垂直)に整列している。グレーティングのアスペクト比が下限値から上限値の間で適切に設定されているとき、液晶分子はグレーティング基層と水平配向被膜との複合効果により、(A)に示すように直交配向している。一方(B)に示すようにグレーティングのアスペクト比が上限値を超えてグレーティング単独のアンカリング効果が支配的になると、従来のグレーティング配向と同じように液晶分子は平行配向に遷移する。
図10は、グレーティング高さと液晶表示装置の黒輝度との関係を示すグラフである。ここで、この液晶表示装置は、上下の偏光板と液晶分子配向方向の関係が後述する図12(A)の模式図のようになっており、一方の基板はラビング配向によって、もう一方の基板はグレーティング配向により液晶分子を配向させている。液晶分子がホモジニアス配向しているのは、グレーティングに対して直交する方向にラビング方向を設定していることによる。グラフ中黒輝度は電圧無印加状態での液晶画面の輝度を表しており、液晶の配向状態を示す指標である。黒輝度が低いほど(画面が暗いほど)液晶の直交配向状態が均一且つ安定であることを表している。
このグラフはグレーティングのピッチをパラメータとしており、P1,P2,P3の順にピッチは大きくなる。3本の実線カーブはグレーティング自体の弾性歪効果(アンカリング力)で生じる配向状態を表している。前述したようにこの弾性歪効果は基本的に液晶分子をグレーティングに対して平行配向させる性質を有している。グラフから明らかなようにグレーティングが高くなるほど(溝が深くなるほど)グレーティング自体の弾性歪効果が強くなり、液晶は直交配向から平行配向に遷移し、全体的にはホモジニアス配向からツイスト配向に変化する。このように直交配向が失われることから黒輝度が上昇していく(画面が白く抜けていく)。
一方3本の点線カーブは、本実施形態固有の効果による配向状態を表している。本実施形態固有の効果は、基層のグレーティングによってポリイミド(PI)などからなる高分子被膜の高分子鎖を整列する効果であって、これにより液晶分子はグレーティングに対して直交配向する。グラフから明らかなように、グレーティングが高くなると(グレーティングが深くなると)その影響によってポリイミド(PI)被膜が整列するため、液晶分子は直交配向するようになり、黒輝度が下ってきて均一且つ安定した配向状態が得られるようになる。グレーティングが浅過ぎる場合、グレーティングによるPI被膜の高分子の整列効果が現れないため、液晶はランダム配向状態となり、黒輝度が上昇する。よって、グレーティングのアスペクト比に下限値が生じ、溝による高分子整列効果が表われる領域でグレーティングを形成する必要がある。
この様に本実施形態はグレーティング基層と高分子被膜の複合配向層による直交配向能が支配的な範囲を利用して、液晶分子の配向制御を行うものである。理論的にはグレーティングを高くするほど直交配向能も強くなると考えられるが、グレーティングを高くするほどそれ自身の平行配向能も強くなり、やがて直交配向能を打ち消して平行配向能が支配的になる。このためグレーティングのアスペクト比に上限値が生じ、平行配向能が支配的とならない領域でグレーティングを形成する必要がある。
図11はグレーティング高さとアンカリングエネルギーとの関係を示すグラフである。このアンカリングエネルギーはグレーティング自体の弾性歪効果の強さを表しており、これが大きくなるほど液晶の平行配向状態が安定化していく。グラフでは従来のラビング配向により得られるアンカリングエネルギーも表してある。このグラフはグレーティングピッチを2μm、3μm及び4μmに取ってパラメータにしている。グラフから明らかなように、グレーティングが高くなるほどアンカリングエネルギーが強くなり、液晶が平行配向していき、ラビング配向の状態に近づいていくことが分かる。本実施形態は、グレーティングによる被膜高分子に対する整列作用を利用するが、グレーティング自体による弾性歪効果は支配的とならないような領域にグレーティングのアスペクト比を抑える必要がある。
図12は、一対の基板に保持された液晶の配向状態を表した模式図である。図示するように、液晶の分子長軸は、一定の方向に整列して水平配向しており、本明細書ではこの配向状態をホモジニアス配向と呼ぶ場合がある。また液晶の分子長軸の整列方向を本明細書では配向方向と呼ぶ場合がある。よって本実施形態に固有の直交配向は、配向方向がグレーティングの直交方向に一致するホモジニアス配向である。
液晶表示装置は、配向層を用いて液晶を配向制御し且つ印加電圧を制御して配向状態を切換え、所望の画像表示を行う。配向状態の変化は例えば上下一対の偏光板で輝度変化に変換することができる。(A)は一対の偏光板のクロスニコル配置を表しており、上下の偏光板の透過軸が互いに直交している。入射側になる下側の偏光板の透過軸は液晶の配向方向と平行である。出射側となる偏光板の透過軸は液晶の配向方向と直交している。液晶が理想的なホモジニアス配向にあるとき、入射光は一対の偏光板によって完全に遮断され、漏れ光はゼロになる。よって黒表示が得られる。
(B)は一対の偏光板のパラニコル配置を表している。このパラニコル条件は上下の偏光板の透過軸が共に液晶の配向方向と平行である。この場合入射光はそのまま吸収を受けることなく出射する。よって白表示が得られる。電圧無印加状態でパラニコル配値を採用したとき、ノーマリホワイト表示となる。逆にクロスニコル配置を採用したとき、電圧無印加状態でノーマリブラック表示となる。
図13は、本実施形態の効果を示すグラフであり、図12(A)の配向モデルで且つ異なるグレーティングピッチで作成した液晶表示装置のサンプルにつき、グレーティング高さと黒輝度との関係を測定した結果を表している。横軸にグレーティング高さをμm単位で取り、縦軸に黒輝度をnit単位で取ってある。溝の配列ピッチが5μmのサンプルでは、グレーティング高さが0.3〜0.7μmの範囲で黒輝度が沈んでおり、安定且つ均一な直交配向が得られることが分かる。グレーティング高さが0.3μm以下になるとランダム配向となって黒輝度が上昇してしまう。またグレーティング高さが0.7μmを超えると直交配向が失われ平行配向に移行するので、黒輝度が上昇する。
グレーティングの配列ピッチが4μmのサンプルでは、グレーティング高さ(溝の深さ)が0.2〜0.7μmの範囲で均一且つ安定した直交配向状態が得られた。またグレーティングの配列ピッチが3μmのサンプルでは、グレーティング高さが0.4〜0.7μmの範囲で黒輝度が低くなり、均一且つ安定した直交配向が得られている。加えてグレーティングピッチが1μmのサンプルでは、グレーティング高さ(溝の深さ)が0.1μmを超えた領域で、黒輝度が低くなり安定した直交配向が得られている。
図13の結果を見ると、一般的な傾向として、アスペクト比が0.05〜0.5の範囲で均一且つ安定な直交配向が得られることが推定できる。好ましくは、溝の配列ピッチを1μm〜5μmの範囲に形成したとき、溝の深さを0.1〜0.7μmの範囲に形成することで、液晶の分子長軸が溝の直交方向に指向して水平配向するようになる。
1・・・上部透明基板、2・・・下部透明基板、3・・・液晶層、7・・・配向膜、9・・・配向膜、C・・・共通電極、P・・・画素電極、X・・・走査線、Y・・・信号線、PB・・・屈曲部、PW・・・延長部、S・・・遮光帯
Claims (6)
- 所定の間隙を介して対向配置した一対の基板と、該間隙に配された液晶とからなり、
片方の基板には、共通電極と、絶縁膜を介して共通電極の上に配されたストライプ状のパターンを有する画素電極と、該画素電極の上に配され液晶を配向する配向層と、該画素電極と該共通電極との間に電圧を印加して該液晶の配向状態を変化させる手段とを有し、
前記画素電極は、そのストライプ状のパターンが中間の部分で折れ曲がった屈曲部と、該屈曲部の両側から異なる方向に延びた延長部とに分かれており、
前記配向層は、該屈曲部に対応する領域と該延長部に対応する領域とで液晶を異なる方向に配向させるように領域分割されていることを特徴とする
液晶表示装置。 - 前記延長部は、該屈曲部の中心を対称軸としてその両側から対称的に延びており、
前記液晶は、該屈曲部に対応する領域で該対称軸と平行に配向する一方、該延長部に対応する領域で該対称軸と直交して配向することを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。 - 前記配向層は、少なくとも該屈曲部に対応する領域が、複数の溝を平行に配したグレーティング配向層であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
- 前記グレーティング配向層は、複数の溝を被覆する様に配向被膜が形成されており、
前記配向被膜は、液晶を基板に対して水平に配向する水平配向能を有し、
前記液晶は該溝が伸びる方向と直交する方向に指向して水平配向することを特徴とする請求項3記載の液晶表示装置。 - 前記画素電極は、ストライプ状のパターンが該屈曲部で共通接続されていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
- 該屈曲部に対応する領域を外部から遮閉する遮光帯が、一対の基板の片方に形成されていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
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2007
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