JP2009109130A - 金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置 - Google Patents

金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置 Download PDF

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Abstract

【課題】金属板表面の塗膜の高速乾燥ができ、しかも、金属板幅方向での物質移動量の偏差(金属板幅方向における各位置での蒸発に伴う物質移動量の差)が小さく、ひいては金属板幅方向での塗膜の乾燥ムラが生じ難くて塗膜の均一乾燥ができる金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置を提供する。
【解決手段】乾燥室内に金属板を挟んで金属板の両側に配置され、ノズルより加熱ガスを金属板表面の塗膜に向けて吹付けて該塗膜を加熱して乾燥する風箱と、加熱ガスを前記風箱へ供給する手段とを有する金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置であって、前記風箱のノズルの先端部と金属板との距離(h)が前記ノズルの径(d)に対して10倍以下であると共に、前記風箱の金属板パスライン方向での長さ(L)が金属板の最大通板幅(W)に対して2/3以下であることを特徴とするもの等。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置に関する技術分野に属するものであり、特には、鋼板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置に関する技術分野に属するものである。
従来から、金属ストリップには、耐食性や耐指紋性等の特性向上を図るために化成処理等の後処理が施される。このため、金属ストリップの連続塗装ラインにおいては、金属ストリップに塗膜を塗布する後処理装置と、この塗膜を乾燥加熱する乾燥装置とが設けられている。
金属ストリップの連続塗装ラインでの塗膜の乾燥装置には、大きく分けて対流伝熱乾燥装置と放射伝熱乾燥装置がある。
放射伝熱乾燥装置には、近赤外線加熱装置や誘導加熱装置があり、塗膜表面からではなく、塗膜内部から乾燥される。放射伝熱乾燥装置の場合、熱により塗膜中水分が水蒸気へと相変化した後、塗膜内部から塗膜表面へ移動するため、水蒸気の吹出し跡が残り、不均一な皮膜となりやすい。
これに対し、対流伝熱乾燥装置は、バーナによる燃焼排ガスや、この燃焼排ガスと熱交換した高温空気、蒸気ヒータまたは電気ヒータにより加熱した高温空気を熱風ノズルから吹出すものである。熱風ノズルから吹出した燃焼排ガスまたは高温空気によって、金属ストリップ表面に形成された塗膜は、塗膜表面から水分が蒸発除去され、塗膜を形成する成分が軟化溶融して水蒸気の吹出し跡をふさぎ、均一な皮膜を形成する。
金属ストリップの連続塗装ラインでの塗膜形成においては、塗膜中水分を蒸発除去した後、塗膜を昇温して皮膜形成を進める必要がある。このため、塗膜中水分を高速乾燥し、高温下での皮膜形成のための時間をできるだけ長く取りたい。高速乾燥装置として、近赤外線加熱装置や誘導加熱装置の利用が考えられるが、これらの装置を用いた場合、上述の理由により不均一な皮膜となりやすい。これに対し、熱風等による対流伝熱乾燥装置の場合、均一な皮膜を形成できる。
特開平6-331271号公報には、被乾燥体(洗浄処理後の鋼板等)を乾燥する高速熱風乾燥装置が記載されている。この高速熱風乾燥装置は、被乾燥体に高速の熱風を吹付けて被乾燥体を乾燥するものである。この高速熱風乾燥装置では、熱風ノズルのスリットから吹出す熱風の吹出し速度や流量のバラツキを低減するという課題を解決するために、熱風ノズルがノズルボディとスリットを形成する上下一対の開口プレートとスリットの幅を調整する複数個の調整具とを有し、この調整具によりスリットの幅を調整することにより、熱風ノズルのスリットから吹出す熱風の吹出し速度や流量のバラツキを低減するようにしている。
特開平6-331271号公報
前記特開平6-331271号公報記載の高速熱風乾燥装置においては、前述のとおり、熱風を吹出す熱風ノズルとしてスリット型ノズルを使用している。スリット型ノズルを用いて高速乾燥を行う場合、円形ノズル(碁盤目配置または千鳥配置)を用いる場合よりも、高温および/または高速の熱風を用いる必要がある。そのため、耐熱性の高い高価な材料や、昇圧量の大きいブロワを使用しなければならず、ひいては高速熱風乾燥装置にかかるコストが上昇して経済性が低下する。
乾燥室(以下、炉ともいう)内に金属板(鋼板等)を挟んで金属板の両側に配置され、ノズルより加熱ガス(以下、熱風ともいう)を金属板表面の塗膜に向けて吹付けて該塗膜を加熱して乾燥する風箱と、加熱ガスを前記風箱へ供給する手段とを有する金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置により、金属板表面の塗膜を高速乾燥するにあたり、金属板から風箱までの距離を短くすると、炉内自由空間(金属板とノズル群の先端面との間を除いた炉内空間)が小さくなるため、金属板表面の塗膜への吹付け後ガスが他のノズルからの吹付け後ガス流れの邪魔になりやすい。従って、金属板幅方向における各位置での蒸発に伴う物質移動量の差(以下、金属板幅方向での物質移動量の偏差ともいう)が大きくなりやすく、ひいては金属板幅方向において塗膜の乾燥ムラが生じやすくて均一乾燥し難くなる。
これに対し、金属板から風箱までの距離を長くすると、金属板表面の塗膜への吹付け後ガスが炉内自由空間へ逃げることができるため、塗膜への吹付け後ガスが他のノズルからの吹付け後ガス流れの邪魔になることが低減される。従って、金属板幅方向での物質移動量の偏差が小さくなり、ひいては金属板幅方向において塗膜の乾燥ムラが生じ難くて均一乾燥しやすくなる。
しかしながら、金属板から風箱までの距離を長くすると、より高温および/または高速の熱風(加熱ガス)を用いる必要があると共に、金属板を挟んで相対する風箱間の距離は大きくなり、乾燥室を大きくする必要がある。乾燥室を大きくすると、乾燥室の単位長さあたりの断熱材重量が増加し、熱容量が大きくなるため、乾燥室温度の応答性(熱慣性)が低下する。このため、目標の塗膜特性が異なる鋼板を連続処理し、乾燥条件が前後で異なる場合に、目標とする乾燥終了温度に対する温度制御性が低下し、ひいては製品の塗膜特性の確保が困難となる。更に、乾燥室建設コストの増加を招くという問題も生じる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、金属板表面の塗膜の高速乾燥ができ、しかも、金属板幅方向での物質移動量の偏差(金属板幅方向における各位置での蒸発に伴う物質移動量の差)が小さく、ひいては金属板幅方向での塗膜の乾燥ムラが生じ難くて塗膜の均一乾燥ができる金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。本発明によれば上記目的を達成することができる。
このようにして完成され上記目的を達成することができた本発明は、金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置に係わり、これは請求項1〜7記載の金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置(第1〜7発明に係る金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置)であり、それは次のような構成としたものである。
即ち、請求項1記載の金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置は、乾燥室内に金属板を挟んで金属板の両側に配置され、ノズルより加熱ガスを金属板表面の塗膜に向けて吹付けて該塗膜を加熱して乾燥する風箱と、加熱ガスを前記風箱へ供給する手段とを有する金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置であって、前記風箱のノズルの先端部と金属板との距離(h)が前記ノズルの径(d)に対して10倍以下であると共に、前記風箱の金属板パスライン方向での長さ(L)が金属板の最大通板幅(W)に対して2/3以下であることを特徴とする金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置である〔第1発明〕。
請求項2記載の金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置は、前記風箱のノズルが円形または多角形の孔の群により形成され、これらの孔の群が碁盤目または千鳥に配置されている請求項1記載の金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置である〔第2発明〕。
請求項3記載の金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置は、前記風箱のノズルの金属板パスライン方向でのノズル段数が4以上、幅方向でのノズル列数が4以上である請求項1または2記載の金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置である〔第3発明〕。
請求項4記載の金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置は、前記風箱の金属板パスライン方向での数が2以上であり、隣の風箱との隙間(z)が前記風箱のノズルの先端部と金属板との距離(h)との比(z/h)で1.0〜4.0である請求項1〜3のいずれかに記載の金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置である〔第4発明〕。
請求項5記載の金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置は、前記風箱の金属板に対向する面が平面形状をなし、前記風箱のノズルの先端部と金属板との距離(h)が金属板の幅方向で等しく、金属板パスライン方向で相違し、金属板パスライン方向で上流側から下流側になるに従って増大する請求項1〜4のいずれかに記載の金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置である〔第5発明〕。
請求項6記載の金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置は、前記風箱の金属板に対向する面が金属板パスライン方向で凸形状をなし、この面が金属板パスライン方向で曲面または複数平面からなる段差面もしくは2つ以上の傾斜面よりなる請求項1〜4のいずれかに記載の金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置である〔第6発明〕。
請求項7記載の金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置は、前記風箱の断面であって金属板パスライン方向と平行で且つ金属板と直交する断面の形状が矩形であり、前記風箱における加熱ガスの供給口が金属板パスライン方向での上流側または下流側の風箱端部の側面および/または背面に設けられ、前記矩形部の断面積(A)が前記風箱のノズル開口部面積の総和(S)との比(A/S)で1.0〜3.0である請求項1〜6のいずれかに記載の金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置である〔第7発明〕。
本発明に係る金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置によれば、金属板表面の塗膜の高速乾燥ができ、しかも、金属板幅方向での物質移動量の偏差(金属板幅方向における各位置での蒸発に伴う物質移動量の差)が小さく、ひいては金属板幅方向での塗膜の乾燥ムラが生じ難くて塗膜の均一乾燥ができる。
金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置(以下、塗膜高速乾燥装置ともいう)により、金属板表面の塗膜を熱風で乾燥するに際し、塗膜を高速乾燥すると共に、金属板幅方向での物質移動量の偏差(金属板幅方向における各位置での蒸発に伴う物質移動量の差)を小さくすることは極めて重要である。塗膜高速乾燥装置としては、一般には、乾燥室内に金属板を挟んで金属板の両側に配置され、ノズルより加熱ガスを金属板表面の塗膜に向けて吹付けて該塗膜を加熱して乾燥する風箱と、加熱ガスを前記風箱へ供給する手段とを有するものが用いられる。かかる塗膜高速乾燥装置により、金属板表面の塗膜を高速乾燥するには、前記風箱のノズルの先端部と金属板との距離を短くしておくとよい。しかし、この距離を短くするために、単に風箱前面を金属板に近づけた場合には、金属板幅方向での物質移動量の偏差が大きくなり、ひいては金属板幅方向での塗膜の乾燥ムラが生じやすくて塗膜の均一乾燥ができなくなる。
本発明に係る塗膜高速乾燥装置は、前述のように、乾燥室内に金属板を挟んで金属板の両側に配置され、ノズルより加熱ガスを金属板表面の塗膜に向けて吹付けて該塗膜を加熱して乾燥する風箱と、加熱ガスを前記風箱へ供給する手段とを有する金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置であって、前記風箱のノズルの先端部と金属板との距離(h)が前記ノズルの径(d)に対して10倍以下であると共に、前記風箱の金属板パスライン方向での長さ(L)が金属板の最大通板幅(W)に対して2/3以下であることを特徴とする金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置である。
このように風箱のノズルの先端部と金属板との距離(h)がノズルの径(d)に対して10倍以下(h≦10d)であり、これにより塗膜の高速乾燥を達成することができる。
また、風箱の金属板パスライン方向での長さ(L)が金属板の最大通板幅(W)に対して2/3以下(L≦2W/3)であり、これにより、ノズルからの吹付け後の加熱ガスの流れのうち、パスライン方向への流れ成分を増やし、金属板幅方向への流れ成分を低減することが可能となる。従って、塗膜の高速乾燥の達成という点から前記のように風箱のノズルの先端部と金属板との距離hを短くする(h≦10dとする)ために、風箱前面を金属板に近づけた場合でも、金属板幅方向での物質移動量の偏差が小さく、ひいては金属板幅方向での塗膜の乾燥ムラが生じ難くて塗膜の均一乾燥ができる。
即ち、塗膜の高速乾燥の達成という点から風箱のノズルの先端部と金属板との距離を短くするために、単に風箱前面を金属板に近づけた場合には、金属板幅方向での物質移動量の偏差が大きくなるが、風箱の金属板パスライン方向での長さ(L)を金属板の最大通板幅(W)に対して2/3以下(L≦2W/3)の長さとした場合、風箱前面を金属板に近づけても、金属板幅方向での物質移動量の偏差が小さく、ひいては金属板幅方向において塗膜の乾燥ムラが生じ難くて塗膜の均一乾燥ができる。
従って、本発明に係る塗膜高速乾燥装置によれば、金属板表面の塗膜の高速乾燥をすることができ、しかも、金属板幅方向での物質移動量の偏差(金属板幅方向における各位置での蒸発に伴う物質移動量の差)が小さく、ひいては金属板幅方向での塗膜の乾燥ムラが生じ難くて塗膜の均一乾燥ができる。
また、風箱のノズルの先端部と金属板との距離(h)がノズルの径(d)に対して10倍以下(h≦10d)であるため、金属板から風箱前面までの距離を短くすることができ、ひいては乾燥室を小さくすることができる。このように乾燥室を小さくすることができると、乾燥室の単位長当たりの断熱材重量が低減し、熱容量が小さくなるため、乾燥室温度の応答性(熱慣性)が向上する。このため、目標の塗膜特性が異なる鋼板を連続処理し、乾燥条件が前後で異なる場合においても、目標とする乾燥終了温度に対する温度制御性が向上し、ひいては製品の塗膜特性の確保が容易となる。更に、乾燥室建設コストの低減がはかれる。
本発明に係る塗膜高速乾燥装置において、風箱のノズルの先端部と金属板との距離(h)をノズルの径(d)に対して10倍以下(h≦10d)としているのは、10d超にすると塗膜の乾燥速度が低下して、塗膜の高速乾燥が不十分となるからである。
風箱の金属板パスライン方向での長さ(L)を金属板の最大通板幅(W)に対して2/3以下(L≦2W/3)としているのは、2W/3超にすると、塗膜の高速乾燥性能を確保した上で、金属板幅方向での物質移動量の偏差を小さくすることが難しくなるからである。即ち、塗膜の高速乾燥のために前記のように風箱のノズルの先端部と金属板との距離hをh≦10dとするが、この場合に金属板幅方向での物質移動量の偏差を小さくすることが難しくなるからである。つまり、L>2W/3にすると、金属板幅方向での物質移動量の偏差が大きくなり、ひいては金属板幅方向での塗膜の乾燥ムラが生じやすくて塗膜の均一乾燥ができなくなるからである。
前記風箱のノズルの先端部と金属板との距離(h)が小さいほど、塗膜の乾燥速度が高くなり、より確実に塗膜の高速乾燥をすることができるので、このhはノズルの径(d)に対して9倍(9d)以下とすることが望ましく、更に8d以下とすることが望ましく、7d以下、6d以下とすることは更に望ましい。このhの下限値については特には限定されるものでないが、このhが小さくなりすぎると、金属板幅方向での物質移動量の偏差が増大し、金属板幅方向での塗膜の均一乾燥性が低下する傾向があり、hが大きいほど、より確実に金属板幅方向での物質移動量の偏差を小さくでき、金属板幅方向での塗膜の均一乾燥性を高くできるので、hの下限値を1dにすることが望ましく、更に2dにすることが望ましく、3d、4dとすることは更に望ましい。
前記風箱の金属板パスライン方向での長さ(L)が小さいほど、より確実に金属板幅方向での物質移動量の偏差を小さくでき、金属板幅方向での塗膜の均一乾燥性を高くできるので、このLは金属板の最大通板幅(W)に対して3/5(3W/5)以下とすることが望ましく、更にW/2以下とすることが望ましく、2W/5以下とすることは更に望ましい。このLの下限値については特には限定されるものでないが、このLが小さくなると、風箱1つ当たりの塗膜の乾燥性が低下するため、塗膜の高速乾燥性が低下し、塗膜の高速乾燥性を高めるためには風箱の金属板パスライン方向での数を増やす必要があり、ひいては乾燥室の金属板パスライン方向での長さを大きくしなければならず、Lが大きいほど、風箱1つ当たりの塗膜の乾燥性が高くなるため、塗膜の高速乾燥性が高くなり、風箱の金属板パスライン方向での数が少なくてよく、ひいては乾燥室の金属板パスライン方向での長さが小さくてよいので、Lの下限値をW/8にすることが望ましく、更にW/7にすることが望ましく、W/6とすることは更に望ましい。
本発明に係る塗膜高速乾燥装置において、風箱のノズルの形状および配置は特には限定されず、種々のものとすることができ、例えば、風箱のノズルが円形または多角形の孔の群により形成され、これらの孔の群が碁盤目または千鳥に配置されているものとすることができる〔第2発明〕。上記円形の孔は、断面が真円のものに限定されず、断面が楕円形のもの等も含む。上記多角形の孔は、断面が正三角形や正六角形等の正n角形のものに限定されず、正n角形でないn角形も含む。ノズルの径(d)は、断面が真円の場合、この真円の直径であり、断面が真円以外の形状の場合は真円とみなした(この形状のものを、その面積を変えずに真円とした)ときの該真円の直径である。即ち、ノズルの断面積(孔の面積、例えば断面が楕円形の場合は楕円の面積)をSとすると、ノズルの径(d)は、d=2×(S/π)1/2 である。
風箱のノズル数は特には限定されず、種々のノズル数とすることができ、例えば、金属板パスライン方向でのノズル段数が4以上、幅方向でのノズル列数が4以上であるものとすることができる〔第3発明〕。この例示した風箱の場合、多孔噴流による強制対流伝熱の形態を確実に形成することができる。
風箱の金属板パスライン方向での数が2以上であり、隣の風箱との隙間(z)が風箱のノズルの先端部と金属板との距離(h)との比(z/h)で1.0 〜4.0 である場合、より確実に、金属板表面の塗膜の高速乾燥をすることができると共に、金属板幅方向での物質移動量の偏差が小さくなり、ひいては金属板幅方向での塗膜の乾燥ムラが生じ難くて塗膜の均一乾燥をすることができる〔第4発明〕。z/hが1.0 未満の場合、金属板幅方向での物質移動量の偏差が小さくなる(ひいては金属板幅方向での塗膜の乾燥ムラが生じ難くて塗膜の均一乾燥をし得る)ことの確実性が低下し、z/hが4.0 超の場合、金属板表面の塗膜の高速乾燥をし得ることの確実性が低下するが、z/hが1.0 〜4.0 の場合、これらの確実性がいずれも高く、より確実に、金属板表面の塗膜の高速乾燥をすることができると共に、金属板幅方向での物質移動量の偏差が小さくなり、ひいては金属板幅方向での塗膜の乾燥ムラが生じ難くて塗膜の均一乾燥をすることができる。
風箱の金属板に対向する面が平面形状をなし、風箱のノズルの先端部と金属板との距離(h)が金属板の幅方向で等しく、金属板パスライン方向で相違し、金属板パスライン方向で上流側から下流側になるに従って増大するようにした場合、ノズルより吹出し金属板に衝突後のガスがパスライン方向に流れやすくなり、このため、風箱前面を金属板に近づけた場合でも、金属板幅方向での物質移動量の偏差をより確実に小さくすることができ、ひいては塗膜の均一乾燥をより確実にすることができるようになり、または、塗膜の高速乾燥性能および均一乾燥性能を確保した上で、風箱前面を金属板により近づけることができるようになり、ひいては乾燥室をより小さくすることができるようになり、あるいは、その両方ができるようになる〔第5発明〕。このような風箱の例を図10に示す。なお、図10において、相対する風箱の各々の前面の間の中央の直線は、走行する金属板(例えば鋼板)を示し、この金属板と風箱の前面との間の矢印線は、風箱のノズルより金属板に向けて吹付けた加熱ガスの流れとその方向を模式的に示すものである。
風箱の金属板に対向する面が金属板パスライン方向で凸形状をなし、この面が金属板パスライン方向で曲面または複数平面からなる段差面もしくは2つ以上の傾斜面よりなるようにした場合、上記の場合と同様に、ノズルより吹出し金属板に衝突後のガスがパスライン方向に流れやすくなり、このため、上記の場合と同様の作用効果を奏することができる〔第6発明〕。このような風箱の例を図11の(A)、(B)及び(C)に示す。なお、図11において、相対する風箱の各々の前面の間の中央の直線は、走行する金属板(例えば鋼板)を示し、この金属板と風箱の前面との間の矢印線は、金属板に衝突後のガスの金属板パスライン方向での流れとその方向を模式的に示すものである。
風箱の断面であって金属板パスライン方向と平行で且つ金属板と直交する断面の形状が矩形であり、風箱における加熱ガスの供給口が金属板パスライン方向での上流側または下流側の風箱端部の側面および/または背面に設けられ、前記矩形部の断面積(A)が風箱のノズル開口部面積の総和(S)との比(A/S)で1.0〜3.0であるようにした場合、風箱内ガス昇圧がしやすく、この昇圧に要するコストを小さくし得ると共に、乾燥室の厚み(金属板表面に垂直な方向での乾燥室の長さ)が小さくて乾燥室温度の応答性に優れ、目標の塗膜特性が異なるものを連続処理し、乾燥条件が前後で異なる場合の乾燥終了温度が安定するまでの運転時間が短く、この運転に要するコストを小さくし得、ひいては、塗膜の高速乾燥に係るランニングコストを小さくし得る〔第7発明〕。
即ち、風箱の矩形部の断面積(A)が風箱のノズルの開口部面積の総和(S)に対して小さい場合、風箱における加熱ガスの供給口から各ノズル部までのガス流速が速く、圧力損失が大きくなり、供給ガス圧力は増加し、このため、風箱内でのガス昇圧に要するランニングコストは増加する。一方、風箱の矩形部の断面積(A)が風箱のノズルの開口部面積の総和(S)に対して大きい場合、加熱ガスの供給口から各ノズル部までのガス流速が遅くなり、圧力損失が小さくなり、供給ガス圧力は抑えられ、このため、風箱内でのガス昇圧に要するランニングコストを小さくすることができる。しかし、風箱の矩形部の断面積(A)の増加は風箱の厚み(金属板表面に垂直な方向での風箱の長さ)の増加に直結し、ひいては乾燥室厚みが増加する。このため、乾燥室温度の応答性が低下し、目標の塗膜特性が異なるものを連続処理し、乾燥条件が前後で異なる場合の乾燥終了温度が安定するまでの運転時間が長くなる。
風箱矩形部の断面積(A)と風箱のノズルの開口部面積の総和(S)との比(A/S)が1.0 〜3.0 である場合、風箱内でのガス昇圧に要するランニングコストを小さくし得ると共に、乾燥室厚みが小さくて乾燥室温度の応答性に優れ、目標の塗膜特性が異なるものを連続処理し、乾燥条件が前後で異なる場合の乾燥終了温度が安定するまでの運転時間が短く、この運転に要するコストを小さくし得る。従って、塗膜の高速乾燥に係るランニングコストを小さくし得る。
このことを図を用いて以下説明する。図13に、流路比すなわち風箱矩形部の断面積Aと風箱のノズルの開口部面積の総和Sとの比(A/S)と所要ランニングコスト指数との関係を示す。なお、この図13において、ガス昇圧に要するコスト(実線)は、昇圧ランニングコスト指数(ノズル部必要昇圧量を1とする)を示し、乾燥室運転に要するコスト(点線)は、乾燥室温度非定常時間ランニングコスト指数(風箱矩形部断面積A=0のときの乾燥室安定に要するコストを1とする)を示すものである。乾燥装置所要ランニングコスト(一点鎖線)は、これら(昇圧ランニングコスト指数と乾燥室温度非定常時間ランニングコスト指数)の和(合計)を示すものである。
図13からわかるように、乾燥装置所要ランニングコストすなわち塗膜の乾燥に係るランニングコストを小さくし得る風箱の形状が存在し、流路比すなわち風箱矩形部の断面積Aと風箱のノズルの開口部面積の総和Sとの比(A/S)が1.0 〜3.0 となるようにすることが望ましく、そのようにすると、塗膜の乾燥に係るランニングコストを小さくすることができる。
このような風箱(第7発明に係る風箱)の例を図12に示す。なお、図12において、相対する風箱の各々の前面の間の中央の直線は、走行する金属板(例えば鋼板)を示し、この金属板と風箱の前面との間の矢印線は、風箱のノズルより金属板に向けて吹付けた加熱ガスの流れとその方向を模式的に示すものである。風箱端部の矢印線は、風箱端部の側面および背面に加熱ガスが導入される様子を模式的に示すものである。図12に示す風箱では、加熱ガスの供給口は金属板パスライン方向での上流側の風箱端部の側面および背面に設けられている。図12に示す風箱において、風箱端部の背面とは、上側の風箱では風箱の上部面、下側の風箱では風箱の下部面のことである。
本発明に係る金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置の一例を図1に示す。この塗膜の高速乾燥装置は、図1に示すように、後処理装置の出側に設置される。この塗膜の高速乾燥装置の乾燥室内には、金属板(例えば鋼板)に加熱ガスを吹付けるノズルを有する風箱が金属板を挟んで金属板の両側に配置されている。
本発明に係る金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置における風箱の形状や金属板パスライン方向での配置等の例を図2の(A)、(B)、(C)、(D)に示す。この風箱のノズルは、突出しておらず、風箱の前面部に設けられた円形の孔の群により形成され、これらの孔の群が千鳥に配置されている。風箱の金属板パスライン方向での数は3である。なお、図2の(A)は要部の斜視図、図2の(B)は側面図、図2の(C)は正面図、図2の(D)は上面図である。図2の(B)において、相対する風箱の各々の前面の間の中央の直線は、走行する金属板(例えば鋼板)を示し、この金属板と風箱の前面との間の線は、風箱のノズルより金属板に向けて吹付けた加熱ガスの流れを模式的に示すものである。
多孔噴流による強制対流伝熱による塗膜の乾燥形態を形成するには、噴流ガス衝突後に金属板に沿ったガス流れも塗膜の乾燥に寄与することから、金属板パスライン方向に複数のノズル段数を配置する必要がある。具体的には、金属板に噴流ガス衝突後、金属板に沿ったガス流れは直ちに風箱前面から逃れるため、上端の1段および下端の1段は除外し、その内側(上端の1段と下端の1段との間)に2個(2段)以上存在させることにより、多孔噴流強制対流伝熱による塗膜の乾燥形態が形成できる。よって、最低4段以上は必要である。
本発明において、金属板の種類は特には限定されず、金属板としては種々のものを用いることができ、例えば、鋼板、Al合金板、チタン板を用いることができる。金属板表面の塗膜の種類は特には限定されず、金属板表面の塗膜としては種々のものを用いることができ(対象とすることができ)、例えば、塗料を塗布してなる塗膜、リン酸塩処理液等の化成処理液を塗布してなる塗膜を用いることができる。
加熱ガスとは、金属板表面の塗膜を加熱して乾燥するためのガスのことである。加熱ガスの種類は特には限定されず、加熱ガスとしては種々のものを用いることができる。例えば、加熱された空気(空気を加熱したもの)、アルゴン等の不活性ガスを加熱したもの、バーナによる燃焼排ガス等を用いることができる。
本発明の実施例および比較例を以下説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
〔例1〕
塗膜高速乾燥装置(金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置)を、図1に示すように、後処理装置の出側に設置した。この塗膜高速乾燥装置の風箱のノズルは、風箱の前面部に設けられた円形の孔の群により形成され、これらの孔の群が千鳥に配置されている。ノズル間隔(ノズルと隣のノズルとの間の距離)は50mmである。なお、金属板としては鋼板を用いた。
この風箱のノズルの先端部と金属板(鋼板)との距離(h)は、風箱の前面と鋼板との距離に等しく、hである。この距離hは50mmとした。風箱のノズルの径(d)は10mmである。故に、この距離hは、ノズル径(d)の5倍であり、ノズル径(d)に対して10倍以下であるという本発明に係る塗膜高速乾燥装置での要件を満たしている。従って、塗膜を高速乾燥することができる条件となっている。
この風箱の幅は鋼板の幅(W)と等しく、Wとした。鋼板の幅は1800mmである。故に、鋼板の幅(W)も風箱の幅もWで、W=1800mmである。風箱の長さ、即ち、風箱の鋼板パスライン方向での長さ(L)は、W/6、W/3、W/2、2W/3、W(mm)等と変化させた。この中には、風箱の鋼板パスライン方向での長さ(L)が鋼板の最大通板幅(W)に対して2/3以下であるという本発明に係る塗膜高速乾燥装置での要件を満たすものと満たさないものとがある。風箱の厚み(鋼板表面に垂直な方向での風箱の長さ)は50mmとした。風箱の幅方向でのノズル列数は、35である。風箱のノズルの鋼板パスライン方向でのノズル段数(風箱1つ当たりのノズル段数)は、風箱の鋼板パスライン方向での長さ(L)と風箱の鋼板パスライン方向での数とによって変化させたが、全ノズル段数(ノズル段数の合計)は、いずれの場合も、同一であり、32となるようにした。
このような風箱を複数個設置した。即ち、風箱の鋼板パスライン方向での数を変化させた(1〜6個とした)。このとき、隣の風箱との隙間(z)が、風箱前面と鋼板との距離すなわち風箱のノズルの先端部と鋼板との距離(h)との比(z/h)で2.0 となるようにした。吹付け後のガスがこの隙間を介して風箱背面に排出される流れ形態となっている。
このような風箱を金属板(鋼板)の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置の風箱として設けた。そして、この高速乾燥装置を運転し、鋼板の幅方向での均一乾燥特性等を調べた。このとき、加熱ガスとしては、空気を200 ℃に加熱したものを用い、これを風箱へ供給した。風箱のノズルからの加熱ガスの噴流流速(ノズル先端部での加熱ガスの流速)は80m/sとなるようにした。鋼板を走行させながら、後処理装置により、鋼板表面に化成処理液(リン酸塩処理液)を塗布して塗膜(ウエット状態)を形成し、塗膜の高速乾燥装置により、鋼板表面の塗膜の乾燥を行った。この塗布量は、乾燥後の塗膜厚みが約4.0 μm となるような量にした。鋼板の走行速度は250 cm/sとした。なお、風箱のノズルからの加熱ガスの噴流流速は、風箱への加熱ガスの供給速度(単位時間当たりの供給量)/風箱のノズル数から求められるので、これにより確認した。
この結果を以下に説明する。図3に風箱周囲から吹出(噴出)するガス流線図〔風箱のノズルより噴出し鋼板へ吹付けられた加熱ガスの流れ(吹付け後の加熱ガスの流れ)〕を示す。図3の(A)は風箱長さL(パネル長)がW/4(即ち、鋼板の幅Wに対して1/4)の場合、図3の(B)は風箱長さLがW/2の場合、図3の(C)は風箱長さLがWの場合のガス流線図である。図3からわかるように、風箱長さLを長くすると、噴出(吹出)後のガスは風箱の周囲(風箱前面に相対する鋼板部の周囲)に向かって流れ、合流することで流量が増加し、端面(風箱前面に相対する鋼板部の端部)での吹出速度は増加する。更に、風箱端面の四隅では吹出流速が減衰する。なお、上記のガス流線図は、流体力学に基づくコンピュータ解析により求められたものである。
図4に板幅方向における風箱端面での吹出速度分布を示す。図4からわかるように、風箱長さL(パネル長)が長くなるに伴い、板幅方向における風箱端面でのガス吹出速度は大きくなり、中央部と端部の流速差が大きくなる。なお、上記のガス吹出速度は、熱線風速計を用いて測定した。
板幅方向での吹出流速比(板幅方向における風箱端面での吹出速度と板幅方向におけるガス吹出速度分布の内の最大速度との比)の板幅方向での分布を図5に示す。図5からわかるように、風箱長さL(パネル長)が長くなるに伴って、板幅方向での吹出流速が小さくなり、板幅方向における吹出流速比の差が大きくなり、流速偏差が増大する。
風箱での板幅方向における乾燥能力比(物質移動係数比)を図6に示す。鋼板幅方向の温度分布を均一にするためには、板幅方向物質移動係数の偏差を10%以内に抑える必要がある。図6からわかるように、風箱長さL(パネル長)を長くすると、板幅方向物質移動係数の偏差が10%以内となる有効幅が低減する。なお、上記の乾燥能力比(物質移動係数比)は、塗膜から液相分が完全になくなり、塗膜が完全に(100 %)乾燥するときの乾燥能力を1(100 %)とし、これに対する乾燥程度の割合(%)、即ち、〔100 ×(乾燥前の塗膜中液相分の量−乾燥処理後の塗膜中液相分の量)/乾燥前の塗膜中液相分の量〕である。ここで、乾燥前の塗膜中液相分の量は、乾燥前の塗膜の質量(鋼板1cm2 当たり)と完全に乾燥後の塗膜の質量(鋼板1cm2 当たり)の差から求めることができる。乾燥前の塗膜中液相分の量と乾燥処理後の塗膜中液相分の量の差(乾燥前の塗膜中液相分の量−乾燥処理後の塗膜中液相分の量)は、乾燥前の塗膜の質量(鋼板1cm2 当たり)と乾燥処理後の塗膜の質量(鋼板1cm2 当たり)の差から求めることができる。塗膜の質量(鋼板1cm2 当たり)は、塗膜を有する鋼板の質量(鋼板1cm2 当たり)とその基材(塗膜を有していない鋼板)の質量(鋼板1cm2 当たり)との差から求めることができる。上記乾燥能力比(物質移動係数比)は、これらを測定する(求める)ことにより、求めたものである。
風箱縦横比と、板幅方向での中央部と端部の物質移動係数の偏差が10%以内である有効幅比との関係を、図7に示す。高速乾燥装置の風箱の幅は、鋼板の蛇行等を考慮し、最大通板幅よりも5〜10%程度大きくする〔最大通板幅×(1+(0.05 〜0.1))程度の幅にする〕。よって、風箱幅の80%以上が物質移動係数偏差10%以内となるようにするには、風箱縦横比は2W/3以内にすればよい。
風箱を鋼板パスライン方向に複数個設置した場合の風箱間隔(z)すなわち風箱間の隙間(z)の影響を調べた。この結果を図8に示す。即ち、鋼板パスライン方向での吹出ガス流速分布に及ぼすボックス間隔(風箱間隔z)の影響を図8に示す。なお、この図8の場合、風箱長さLは 900mm(W/2)である。なお、上記のガス吹出速度は、前記図4の場合と同様の方法により測定して求めた。
この図8からわかるように、風箱間隔zが100mm の場合は、単一風箱や風箱間隔zが200mm の場合と吹出速度分布が異なり、局部的に流速が低下し、全体平均流速も低下する。そのため、中央部から端部方向に乾燥能力が低下せず、局部的な乾燥ムラを発生する可能性がある。
そこで、風箱間隔zを風箱のノズル先端部と鋼板との距離hで除した値(z/h)と、風箱端面の平均吹出速度の縦横比〔鋼板幅方向と平行面をなす風箱端面の平均吹出速度(W速度)と鋼板パスライン方向と平行面をなす風箱端面の平均吹出速度(L速度)との比=W速度/L速度(W/L)〕との関係を調査した。この結果を図9に示す。図9からわかるように、z/hが1.0 未満の場合には、板幅方向での吹出速度が急激に低下し、鋼板パスライン方向への吹出速度が増加し、鋼板幅方向乾燥能力偏差が大きくなる。一方、z/hが2.0 以上の場合には、鋼板パスライン方向面に対し板幅方向面の吹出速度が上回り、z/hが4.0 以上の間隔では、ほぼ吹出速度の縦横比は一定となる。このため、z/hで4.0 以上となる風箱間隔zでは、乾燥能力(高速乾燥特性)が低下するのみとなる。よって、均一乾燥と高速乾燥を両立するには、z/hで1.0 〜4.0 となる風箱間隔zを確保することが重要である。なお、上記風箱端面の平均吹出速度は、鋼板面と水平かつ風箱端面と直角方向の速度成分の平均値である。上記吹出速度は、前記図4の場合と同様の方法により測定して求めた。
上記の例においては、いずれの場合も、風箱のノズルの先端部と金属板(鋼板)との距離(h)がノズル径(d)の5倍であり、風箱のノズルの先端部と金属板との距離(h)がノズルの径(d)に対して10倍以下であるという本発明に係る塗膜高速乾燥装置での要件を満たしており、鋼板表面の塗膜の高速乾燥ができた。これらの例の中、風箱の金属板パスライン方向での長さ(L)が金属板の最大通板幅(W)に対して2/3以下であるという本発明に係る塗膜高速乾燥装置での要件を満たしている場合は、いずれの場合も、金属板(鋼板)幅方向での物質移動量の偏差が小さく、ひいては金属板幅方向での塗膜の乾燥ムラが生じ難くて塗膜の均一乾燥ができた。従って、本発明に係る塗膜高速乾燥装置での要件を満たすものは、金属板表面の塗膜の高速乾燥ができ、しかも、金属板幅方向での物質移動量の偏差が小さく、ひいては金属板幅方向での塗膜の乾燥ムラが生じ難くて塗膜の均一乾燥ができることが確認された。
〔例2〕
塗膜高速乾燥装置(金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置)を、例1の場合と同様、図1に示すように、後処理装置の出側に設置した。この塗膜高速乾燥装置の風箱のノズルは、風箱の前面部に設けられた円形の孔の群により形成され、これらの孔の群が碁盤目に配置されている。ノズル間隔(ノズルと隣のノズルとの間の距離)は80mmである。金属板としては、例1の場合と同様、鋼板を用いた。
この風箱のノズル先端部と金属板(鋼板)との距離(h)は、風箱の前面と鋼板との距離に等しく、hである。この距離hは80mmとした。風箱のノズルの径(d)は、10mmである。故に、この距離hは、ノズル径(d)の8倍であり、ノズル径(d)に対して10倍以下であるという本発明に係る塗膜高速乾燥装置での要件を満たしている。従って、塗膜を高速乾燥することができる条件となっている。
この風箱の幅は鋼板の幅(W)と等しく、Wとした。鋼板の幅は1600mmである。故に、鋼板の幅(W)も風箱の幅もWで、W=1600mmである。風箱の長さ、即ち、風箱の鋼板パスライン方向での長さ(L)は、800mm であって、L=W/2である。この長さLは風箱の鋼板パスライン方向での長さ(L)が鋼板の最大通板幅(W)に対して2/3以下であるという本発明に係る塗膜高速乾燥装置での要件を満たしている。風箱の厚み(鋼板表面に垂直な方向での風箱の長さ)は50mmとした。風箱の幅方向でのノズル列数は、31である。風箱のノズルの鋼板パスライン方向でのノズル段数(風箱1つ当たりのノズル段数)は、16である。後述のように鋼板パスライン方向での風箱の数は2であるので、全ノズル段数(ノズル段数の合計)は、32である。
このような風箱を複数個設置した。鋼板パスライン方向での風箱の数は2である。鋼板の両側に配置された風箱の合計は4ということになる。このとき、風箱間隔zを120mm とし、z/hで 120mm/80mm=1.5 になるように風箱を配置した。
このような風箱を金属板(鋼板)の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置の風箱として設けた。そして、この高速乾燥装置を運転した。このとき、加熱ガスとしては、例1の場合と同様、空気を200 ℃に加熱したものを用い、これを風箱へ供給した。風箱のノズルからの加熱ガスの噴流流速(ノズル先端部での加熱ガスの流速)は、例1の場合と同様、80m/sとなるようにした。例1の場合と同様、鋼板を走行させながら、後処理装置により、鋼板表面に化成処理液(リン酸塩処理液)を塗布して塗膜(ウエット状態)を形成し、塗膜の高速乾燥装置により、鋼板表面の塗膜の乾燥を行った。この塗布量は、例1の場合と同様、乾燥後の塗膜厚みが4.0 μm となるような量にした。鋼板の走行速度は、例1の場合と同様、250cm /sとした。
上記高速乾燥装置の運転の結果、鋼板表面の塗膜の高速乾燥ができ、しかも、鋼板幅方向での物質移動量の偏差が小さく、ひいては鋼板幅方向での塗膜の乾燥ムラが生じ難くて塗膜の均一乾燥ができることが確認された。
なお、上記の例1〜2の場合、金属板としては鋼板を用い、鋼板の走行速度は250 cm/sとし、加熱ガスとしては空気を200 ℃に加熱したものを用い、加熱ガスの噴流流速は80m/sとし、後処理装置では鋼板表面にリン酸塩処理液を塗布し、風箱の鋼板パスライン方向での数は2以上としたが、金属板としてAl合金板やチタン板を用いる場合も、鋼板の走行速度を50〜350 cm/sとする場合も、加熱ガスとして空気を100 〜500 ℃に加熱したものを用いる場合も、加熱ガスの噴流流速を20〜150 m/sとする場合も、後処理装置で鋼板表面に塗料を塗布する場合も、風箱の鋼板パスライン方向での数を1とする場合も、上記の例1〜2の場合と同様の傾向の結果が得られる。そして、本発明に係る塗膜高速乾燥装置での要件を満たすものは、金属板表面の塗膜の高速乾燥ができ、しかも、金属板幅方向での物質移動量の偏差が小さく、ひいては金属板幅方向での塗膜の乾燥ムラが生じ難くて塗膜の均一乾燥ができる。
本発明に係る金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置によれば、金属板表面の塗膜の高速乾燥ができ、しかも、金属板幅方向での物質移動量の偏差(金属板幅方向における各位置での蒸発に伴う物質移動量の差)が小さく、ひいては金属板幅方向での塗膜の乾燥ムラが生じ難くて塗膜の均一乾燥ができる。このとき、金属板表面の塗膜に向けて吹付ける加熱ガスを従来よりも高温にする必要がなく、また、加熱ガスを従来よりも高速で吹付ける必要もない。従って、本発明に係る金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置は、鋼板等の金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置として好適に用いることができ、加熱ガスの高温化および/または高速化による経済性の低下を招くことなく、金属板表面の塗膜の高速乾燥性および塗膜の均一乾燥性の向上がはかれて有用である。
本発明に係る金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置の一例を示す模式図である。 本発明に係る金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置における風箱の形状や金属板パスライン方向での配置例を示す模式図であって、図2の(A)は斜視図、図2の(B)は側面図、図2の(C)は正面図、図2の(D)は上面図である。 風箱周囲から吹出(噴出)するガスの流れ(ガス流線)を示す模式図であって、図3の(A)はパネル長(風箱長さ)LがW/4(鋼板の幅Wに対して1/4)の場合、図3の(B)はパネル長LがW/2の場合、図3の(C)はパネル長LがWの場合のガス流線を示す図である。 本発明の実施例および比較例に係る風箱の板幅方向における噴出流速の分布(風箱の板幅方向における位置と噴出流速との関係)を示す図である。 本発明の実施例および比較例に係る風箱の板幅方向における噴出流速比の分布(風箱の板幅方向における位置と噴出流速比との関係)を示す図である。 本発明の実施例および比較例に係る風箱での板幅方向における物質移動係数比の分布(風箱の板幅方向での位置と物質移動係数比との関係)を示す図である。 乾燥風箱縦横比と均一乾燥幅比との関係を示す図である。 風箱の板幅方向における噴出流速の分布(風箱の板幅方向における位置と噴出流速との関係)を示す図である。 風箱隙間・ノズル距離比(z/h)と噴出速度比との関係を示す図である。 本発明の第5発明に係る風箱の例を示す模式図である。 本発明の第6発明に係る風箱の例〔(A)、(B)、(C)の3例〕を示す模式図である。 本発明の第7発明に係る風箱の例を示す模式図である。 流路比(A/S)と所要ランニングコスト指数との関係を示す図である。

Claims (7)

  1. 乾燥室内に金属板を挟んで金属板の両側に配置され、ノズルより加熱ガスを金属板表面の塗膜に向けて吹付けて該塗膜を加熱して乾燥する風箱と、加熱ガスを前記風箱へ供給する手段とを有する金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置であって、前記風箱のノズルの先端部と金属板との距離(h)が前記ノズルの径(d)に対して10倍以下であると共に、前記風箱の金属板パスライン方向での長さ(L)が金属板の最大通板幅(W)に対して2/3以下であることを特徴とする金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置。
  2. 前記風箱のノズルが円形または多角形の孔の群により形成され、これらの孔の群が碁盤目または千鳥に配置されている請求項1記載の金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置。
  3. 前記風箱のノズルの金属板パスライン方向でのノズル段数が4以上、幅方向でのノズル列数が4以上である請求項1または2記載の金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置。
  4. 前記風箱の金属板パスライン方向での数が2以上であり、隣の風箱との隙間(z)が前記風箱のノズルの先端部と金属板との距離(h)との比(z/h)で1.0〜4.0である請求項1〜3のいずれかに記載の金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置。
  5. 前記風箱の金属板に対向する面が平面形状をなし、前記風箱のノズルの先端部と金属板との距離(h)が金属板の幅方向で等しく、金属板パスライン方向で相違し、金属板パスライン方向で上流側から下流側になるに従って増大する請求項1〜4のいずれかに記載の金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置。
  6. 前記風箱の金属板に対向する面が金属板パスライン方向で凸形状をなし、この面が金属板パスライン方向で曲面または複数平面からなる段差面もしくは2つ以上の傾斜面よりなる請求項1〜4のいずれかに記載の金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置。
  7. 前記風箱の断面であって金属板パスライン方向と平行で且つ金属板と直交する断面の形状が矩形であり、前記風箱における加熱ガスの供給口が金属板パスライン方向での上流側または下流側の風箱端部の側面および/または背面に設けられ、前記矩形部の断面積(A)が前記風箱のノズル開口部面積の総和(S)との比(A/S)で1.0〜3.0である請求項1〜6のいずれかに記載の金属板の連続塗装ラインでの塗膜の高速乾燥装置。
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