JP2009108947A - 車両用駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ケースに延設部を設けてカウンタドライブギヤの軸受を保持・固定する場合に、駆動装置の軸方向長さを短縮することができる車両用駆動装置を提供すること。
【解決手段】本発明の駆動装置では、トランスアクスルケース80を内側に延設した延設部82aは、回転軸受26の幅よりも短く形成され、オイルポンプボディ32は、トランスアクスルケース80よりも強度が高い材料で形成された円筒形状部材であり、拡径された鍔部32aより外側に形成されてトランスアクスルケース80に当接する当接部32bを一端側に有するとともに、他端側に雄ネジが形成されたネジ部34を有し、オイルポンプボディ32が、延設部82aの内周に挿入され、当接部32bがトランスアクスルケース80に当接した状態で、ネジ部34に螺合したナット35により回転軸受26が固定されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両に搭載される駆動源から車両の駆動輪へ動力を伝達する車両用駆動装置に関する。
車両に搭載される駆動源から車両の駆動輪へ動力を伝達する駆動装置は、ケース(トランスアクスルケース)内に、各種ギヤ及びデファレンシャル装置を一括して組み込んだ、いわゆるトランクアクスルとして構成されている。そして、各種ギヤの中に、カウンタドライブギヤが含まれている。このカウンタドライブギヤは、軸受によって回転可能に支持されている。
ここで、カウンタドライブギヤを支持する軸受を固定する技術としては、例えば、特許文献1に開示されているように、ケースとは別体であってケース中央付近に固定されたサポート壁を利用するものがある。すなわち、ケースに固定されたサポート壁によって軸受を保持し、サポート壁に形成されたネジ部に対してナットを螺合させて、サポート壁に保持された軸受を固定している。
特開2000−220704号公報
しかしながら、上記した技術では、サポート壁が必要になってしまうため、駆動装置の部品点数が増えるとともに、駆動装置の軸方向長さが長くなってしまうという問題があった。ここで、サポート壁を設けずに、ケース後端(エンジン側と反対側)において、ケースを延設してその部分で軸受を保持することも可能である。ところが、このような延設部をケースに設ける場合、延設部にネジ部を形成してナットで軸受を固定することになるが、ネジ部が長くなってしまう。なぜなら、ケースは、通常、アルミニウム合金など強度があまり高くない材料で形成されているため、軸受を固定するために必要とされる強度を得るにはネジ部を長くする必要があるからである。このように、ケースに延設部を設けることにより、サポート壁を不要にすることはできるが、延設部に形成するネジ部が長くなってしまう。このため、ケースに延設部を設ける場合であっても、駆動装置の軸方向長さが長くなってしまうという問題は解消することができなかった。
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、ケースに延設部を設けてカウンタドライブギヤの軸受を保持・固定する場合に、駆動装置の軸方向長さを短縮することができる車両用駆動装置を提供することを課題とする。
上記問題点を解決するためになされた本発明に係る車両用駆動装置は、ケースの内側に延設された円筒形状の延設部と、前記延設部の外周に軸受を介して回転可能に支持されているカウンタドライブギヤと、各部にオイルを供給するオイルポンプと、を備える車両用駆動装置において、前記延設部は、前記軸受の幅よりも短く形成され、前記オイルポンプのケーシングは、前記ケースよりも強度が高い材料で形成された円筒形状部材を含み、拡径された鍔部より外側に形成されて前記ケースに当接する当接部を一端側に有するとともに、他端側に雄ネジが形成されたネジ部を有し、前記ネジ部を前記ケースの内側に位置させるように、前記ケーシングが、前記ケースの外側から前記延設部内周に挿入され、前記当接部が前記ケースに当接した状態で、前記ネジ部に螺合したナットにより前記軸受が固定されていることを特徴とする。
この車両用駆動装置では、ケースに円筒形状の延設部が形成されており、延設部の外周に軸受が配置され、その軸受によりカウンタドライブギヤが支持されている。そして、延設部は、この軸受の幅よりも短く形成されており、その内周側にオイルポンプのケーシングが挿入されている。このケーシングの一端(基端)にはケースに当接する当接部が形成され、他端(先端)にはネジ部が形成されている。このため、ケーシングのネジ部にナットを螺合させることにより、延設部の外周に配置された軸受を、ケースとナットとの間に固定することができる。
ここで、ケーシングは、ケースよりも強度が高い材料で形成されているため、ケースにネジ部を形成する場合に比べ、ネジ部を短くすることができる。また、ナットの締結力を発生させるために、ケーシングのネジ部とは反対側に当接部を設けているが、この当接部はケーシングを径方向へ拡げて形成されている。このため、ケーシングに当接部を形成したことにより、ケーシングが軸方向へ長くなることはない。従って、ネジ部を短くすることができることにより、駆動装置の軸方向長さを短縮することができる。よって、この車両用駆動装置によれば、ケースに延設部を設けてカウンタドライブギヤの軸受を保持・固定しても、駆動装置の軸方向長さを短縮することができる。
本発明に係る車両用駆動装置においては、前記ケーシングの鍔部には、前記オイルポンプのギヤ機構が収容されるギヤ室が形成されていることが望ましい。
軸受を固定するため要求される強度をケーシングが得るためには、鍔部にある程度の肉厚が必要になる。そして、この車両用駆動装置では、その鍔部に、軸方向にスペースが必要なギヤ室が設けられている。従って、ギヤ室専用の軸方向スペースを新たに設ける必要がない。このため、駆動装置の軸方向長さをさらに短縮することができる。
本発明に係る車両用駆動装置においては、前記ケーシングの当接部は、前記鍔部よりも薄く形成されており、前記ケースの延設部の基端には、前記鍔部が配置される薄肉部と、前記当接部が配置される厚肉部とが設けられており、前記当接部に形成された貫通穴に挿通されたボルトが、前記厚肉部に形成されたねじ穴に螺合させることにより、前記ケーシングが前記ケースに固定されていることが望ましい。
このような構成により、軸受を固定するため要求される強度をケーシングが得るために必要となる鍔部の肉厚を確保することができる。また、ケーシングの当接部が鍔部よりも薄く形成されているため、ケースの延設部の基端部においては、鍔部が配置される部分が薄肉となる一方、当接部が配置される部分が厚肉となる。これにより、ケーシングをケースにボルトにより締結するために必要なケースの厚さを確保することができる。このように、上記のような構成にすることにより、各部に要求される強度を確保した上で、駆動装置の軸方向長さをさらに短縮することができる。
本発明に係る車両用駆動装置においては、前記ケーシングの内周側に配置され、前記オイルポンプのギヤ機構に接続された回転軸を有することが望ましい。
このように、オイルポンプのギヤ機構を駆動するための回転軸を、ケーシングの内周側に配置することにより、オイルポンプのギヤ機構を駆動するために新たなスペースを軸方向に設ける必要がなくなる。従って、駆動装置の軸方向長さをさらに短縮することができる。
本発明に係る車両用駆動装置においては、前記当接部は、前記ネジ部に螺合したナットと径方向で重なり合っていることが望ましい。
このように、当接部とネジ部に螺合したナットとが径方向で重なり合うことにより、ネジ部にナットを螺合して軸受を固定したときにケーシングの鍔部及び当接部に作用する力を小さくすることができる。これにより、ケーシングの鍔部及び当接部の肉厚を薄くすることができるため、駆動装置の軸方向長さをより一層短縮することができる。
本発明に係る車両用駆動装置においては、エンジンに連結される入力軸と、発電機と、プラネタリギヤ機構と、電動機とをさらに備え、前記発電機、前記プラネタリギア機構、前記カウンタドライブギヤ、前記オイルポンプは、エンジン側からこの順で前記入力軸と同軸上に配置され、前記電動機は、前記オイルポンプに対して前記カウンタドライブギヤの反対側で前記入力軸と並行する別軸上に配置され、前記入力軸は、前記ケーシングの内周を貫通し、その端部にて前記オイルポンプのギヤ機構に接続されていることが望ましい。
ハイブリッド車両用駆動装置には、発電機、プラネタリギア機構、カウンタドライブギヤ、オイルポンプが、エンジン側からこの順で入力軸と同軸上に配置され、電動機が、オイルポンプに対してカウンタドライブギヤの反対側で入力軸と並行する別軸上に配置され、入力軸が、ケーシングの内周を貫通し、その端部にてオイルポンプのギヤに接続されているものがある。そして、このような構成のハイブリッド車両用駆動装置に対して、本発明を適用することにより、ハイブリッド車両用駆動装置においてケースに延設部を設けてカウンタドライブギヤの軸受を保持・固定する場合に、駆動装置の軸方向長さを短縮することができる。
本発明に係る車両用駆動装置によれば、上記した通り、ケースに延設部を設けてカウンタドライブギヤの軸受を保持・固定する場合に、駆動装置の軸方向長さを短縮することができる。
以下、本発明の車両用駆動装置を具体化した最も好適な実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。本実施の形態は、フロントエンジン・フロントドライブ(FF)のハイブリッド車に搭載される横置式の駆動装置である。そこで、実施の形態に係る駆動装置について、図1〜図3を参照しながら説明する。図1は、実施の形態に係る駆動装置のスケルトン図である。図2は、実施の形態に係る駆動装置の概略構成を示す断面図である。図3は、オイルポンプ付近の拡大断面図である。
本実施の形態に係る駆動装置は、図1に示すように、エンジン(不図示)からの動力が入力される入力軸11と、モータジェネレータMG1と、モータジェネレータMG2と、モータジェネレータMG1、モータジェネレータMG2、及び入力軸11が接続されたプラネタリギヤ機構20と、入力軸11に接続されたオイルポンプ30と、プラネタリギヤ機構20に接続されたデファレンシャル装置40とを備えている。これにより、エンジンからの動力とモータジェネレータMG2からの動力とをプラネタリギヤ機構20及びデファレンシャル装置40を介して、駆動輪につながる駆動軸(出力軸)12に伝達することができるようになっている。
入力軸11は、エンジンのクランクシャフト(不図示)と同軸上(第一軸)に配置され、エンジン(不図示)からの動力がダンパ機構(不図示)を介して伝達されるようになっている。そして、入力軸11と同軸上、つまり第一軸にモータジェネレータMG1が配置されている。このモータジェネレータMG1は、電力の供給により駆動する電動機としての機能(力行機能)と、機械エネルギを電気エネルギに変換する発電機としての機能(回生機能)とを兼ね備えている。そして、モータジェネレータMG1は、主として発電機として作動するとともに、エンジンのスタータとしても使用される。モータジェネレータMG1としては、例えば、交流同期型のモータジェネレータを用いることができる。モータジェネレータMG1に電力を供給する電力供給装置としては、例えば、バッテリやキャパシタなどの蓄電装置、あるいは公知の燃料電池などを用いることができる。なお、本実施の形態におけるモータジェネレータMG1が、本発明の「発電機」に相当する。
モータジェネレータMG1は、後述するトランスアクスルケース80に固定されたステータ50と、回転自在なロータ51とを有している。ステータ50は、ステータコア52と、ステータコア52に巻回されたコイル53とを有している。ロータ51は、ロータコア54と、ロータコア54とともに回転するロータ軸13とを有している。これらステータコア52及びロータコア54は、それぞれ所定肉厚の電磁鋼板を、その厚さ方向に複数枚を積層して構成したものである。なお、複数の電磁鋼板は、入力軸11の軸方向に積層されている。
ここで、ロータ軸13は中空軸であり、その内部に入力軸11が配置されている。これら入力軸11とロータ軸13とは、相対回転可能に構成されている。そして、ロータ軸13を支持する軸受56,57がロータ51の内側に配置されている。
そして、モータジェネレータMG1と同軸上、つまり入力軸11と同軸上に、プラネタリギヤ機構20が配置されている。すなわち、プラネタリギヤ機構20も第一軸に設けられている。プラネタリギヤ機構20は、入力軸11の軸方向において、モータジェネレータMG1に隣接して配置されている。このプラネタリギヤ機構20は、いわゆるシングルピニオン構成のプラネタリギヤセットからなるものである。すなわち、プラネタリギヤ機構20は、サンギヤ21と、サンギヤ21と同軸上に配置されたリングギヤ22と、サンギヤ21及びリングギヤ22に噛合するプラネタリピニオンギヤ23を保持したプラネタリキャリヤ24とを有している。そして、サンギヤ21とロータ軸13とが連結され、プラネタリキャリヤ24と入力軸11とが連結(固定)されている。また、リングギヤ22には、カウンタドライブギヤ25が連結(固定)されている。そして、リングギヤ22及びカウンタドライブギヤ25は、回転軸受26に支持されている。なお、回転軸受26は、アンギュラコンタクトベアリングなどのように軸方向及び径方向移動を規制するベアリングであり、本発明の「軸受」に相当する。
また、モータジェネレータMG1及びプラネタリギヤ機構20と同軸上(第一軸)に、プラネタリギヤ機構20に隣接してオイルポンプ30が配置されている。このオイルポンプ30は、公知の歯車ポンプであり、ケーシング内に備わるオイルポンプギヤ機構(ドライブギヤ、ドリブンギヤ、及びクレセント)を駆動させることにより油圧を発生させるものである。オイルポンプ30により発生させられた油圧によって、駆動装置各部の潤滑(特に、プラネタリギヤ機構20内の潤滑)やクラッチ動作が行われるようになっている。そして、オイルポンプ30は入力軸11に接続され、入力軸11からの回転動力によりオイルポンプギヤ機構が作動して油圧が発生するようになっている。このように、オイルポンプ30がプラネタリギヤ機構20の直近に配置されているため、オイルポンプ30からプラネタリギヤ機構20へオイルを供給するための油路構成が非常に簡素かつ短くなっている。
このように本実施の形態に係る駆動装置では、入力軸11と同軸上にエンジン側から順に、モータジェネレータMG1、プラネタリギヤ機構20、カウンタドライブギヤ25及びオイルポンプ30が配置されている。すなわち、第一軸に、入力軸11、モータジェネレータMG1、プラネタリギヤ機構20、カウンタドライブギヤ25及びオイルポンプ30が設けられている。
一方、入力軸11と並行する別軸上(第二軸)にモータジェネレータMG2が配置されている。このモータジェネレータMG2は、プラネタリギヤ機構20に対してモータジェネレータMG1とは軸方向で反対側に配置されている。このモータジェネレータMG2も、モータジェネレータMG1と同様、電力の供給により駆動する電動機としての機能(力行機能)と、機械エネルギを電気エネルギに変換する発電機としての機能(回生機能)とを兼ね備えている。モータジェネレータMG2は、主として電動機として作動する。そして、モータジェネレータMG2としては、例えば、交流同期型のモータジェネレータを用いることができ、電力供給装置としては、例えば、バッテリやキャパシタなどの蓄電装置、あるいは公知の燃料電池などを用いることができる。なお、本実施の形態におけるモータジェネレータMG2が、本発明の「電動機」に相当する。
モータジェネレータMG2は、後述するトランスアクスルケース80に固定されたステータ60と、回転自在なロータ61とを有している。ステータ60は、ステータコア62と、ステータコア62に巻回されたコイル63とを有している。ロータ61は、ロータコア64と、ロータコア64とともに回転するロータ軸14とを有している。これらステータコア62及びロータコア64は、それぞれ所定肉厚の電磁鋼板を、その厚さ方向に複数枚を積層して構成したものである。なお、複数の電磁鋼板は、軸方向に積層されている。そして、ロータ軸14は、軸受66,67に支持されている。ロータ軸14の端部には出力ギヤ68が取り付けられている。これにより、ロータ61が回転すると、ロータ軸14及び出力ギヤ68が回転する。そして、出力ギヤ68が、カウンタドライブギヤ25に噛合しており、モータジェネレータMG2の回転トルクがカウンタドライブギヤ25に伝達されるようになっている。
また、入力軸11と並行する別軸上(第三軸)にカウンタ軸15が設けられている。カウンタ軸15には、カウンタドリブンギヤ70及びファイナルドライブピニオンギヤ71が形成されている。そして、カウンタドリブンギヤ70がカウンタドライブギヤ25に噛合し、ファイナルドライブピニオンギヤ71がデファレンシャル装置40のファイナルリングギヤ44に噛合している。
ここで、カウンタドライブギヤ25は、上記したようにモータジェネレータMG2の出力ギヤ68にも噛合している。すなわち、カウンタドライブギヤ25は、出力ギヤ68及びカウンタドリブンギヤ70の両方に噛合している。このようにカウンタドライブギヤ25は、モータジェネレータMG2の減速機構の役割と入力軸11から駆動軸12へ動力を伝達するためのギヤ機構との役割の両方の役割を担っている。
そして、デファレンシャル装置40は、複数のピニオンギヤ42と、複数のピニオンギヤ42に噛合されたサイドギヤ43と、複数のピニオンギヤ42に結合されたファイナルリングギヤ44とを有している。このデファレンシャル装置40のサイドギヤ43に、駆動輪につながる駆動軸12が連結されている。
上記したように配置された駆動装置の各構成部品は、図2に示すように、中空のトランスアクスルケース80内に収容されて固定されている。このトランスアクスルケース80は、エンジンの外壁に取り付けられる。そして、トランスアクスルケース80は、エンジン側ハウジング81と、エクステンションハウジング82と、エンドカバー83とを有している。これらエンジン側ハウジング81、エクステンションハウジング82、及びエンドカバー83は、アルミニウムあるいはアルミニウム合金などの金属材料を成形加工したものである。
トランスアクスルケース80において、エンジン側から順に、エンジン側ハウジング81、エクステンションハウジング82、及びエンドカバー83が配置されている。そして、エンジン側ハウジング81の一方の開口端84とエンジンの外壁とが接触した状態で、エンジンの外壁とエンジン側ハウジング81とが相互に固定される。また、エンジン側ハウジング81の他方の開口端85と、エクステンションハウジング82の一方の開口端86とが接触した状態で、エンジン側ハウジング81とエクステンションハウジング82とが相互に固定されている。さらに、エクステンションハウジング82の他方の開口端87を塞ぐようにエンドカバー83が取り付けられて、エンドカバー83とエクステンションハウジング82とが相互に固定されている。このようにして、エンジン側ハウジング81、エクステンションハウジング82、及びエンドカバー83が一体化されて、トランスアクスルケース80が構成されている。
そして、モータジェネレータMG1がエンジン側ハウジング81に収容支持され、モータジェネレータMG2がエクステンションハウジング82に収容支持されている。つまり、エンジン側ハウジング81はモータジェネレータMG1のケースを兼ね、エクステンションハウジング82はモータジェネレータMG2のケースを兼ねている。そして、エンジン側ハウジング81により、ロータ軸13の軸受56,57が支持・固定されている。また、エクステンションハウジング82により、リングギヤ20及びカウンタドライブギヤ25の回転軸受26が支持・固定されている。このように、本実施の形態に係る駆動装置は、トランスアクスルケース80内に、プラネタリギヤ機構20及びデファレンシャル装置40を一括して組み込んだ、いわゆるトランクアクスルとして構成されている。
続いて、オイルポンプ30付近における各部品の配置及び構成、特に回転軸受26の取付(固定)構造について、図3を参照しながら詳細に説明する。図3に示すように、ロータ軸13の内部に配置された入力軸11のエンジン側とは反対の端部に、オイルポンプ30が設けられている。このオイルポンプ30は、オイルポンプボディ32と、オイルポンプボディ32に形成されたギヤ室31a内に配置されたオイルポンプギヤ機構31と、ギヤ室31aの開口を塞ぐオイルポンプカバー33とを有している。
ここで、オイルポンプ30の配置部分には、エクステンションハウジング82の延設部82aが形成されている。延設部82aは、プラネタリギヤ機構20に向かって、オイルポンプボディ32の外周を囲むように、後述するネジ部34付近まで延長され形成されている部分である。この延設部82aの外周面82bに、回転軸受26が配置されている。そして、延設部82aの長さは、回転軸受26の幅よりも短くなっている。
また、延設部82aの基端部には、後述する鍔部32aが配置される薄肉部82dと、後述する当接部32bが配置される厚肉部82eとが形成されている。厚肉部82eには、オイルポンプ30を固定するためのボルト36が螺合するネジ穴82cが複数形成されている。
そして、この延設部82aの内周側にオイルポンプボディ32が挿入されている。オイルポンプボディ32は、円筒形状をなしており、トランスアクスルケース80よりも強度の高い、鉄などの金属材料を加工したものである。オイルポンプボディ32は、基端部に拡径された鍔部32aと、鍔部32aのさらに外側に形成された当接部32bとを有するとともに、先端部に雄ネジが形成されたネジ部34を有している。当接部32bは、鍔部32aよりも薄く、オイルポンプボディ32が延設部82aの内周側に挿入された際に、エクステンションハウジング82(厚肉部82e)に当接するようになっている。なお、鍔部32aとエクステンションハウジング82(薄肉部82d)とは当接しないようになっている。
このオイルポンプボディ32の鍔部32aには、オイルポンプギヤ機構31を収容するギヤ室31aが形成されている。なお、ギヤ室31aは、オイルポンプカバー33に形成してもよいが、オイルポンプボディ32の鍔部32aに形成することにより、ギヤ室専用の軸方向スペースを新たに設ける必要がなくなる。なぜなら、回転軸受26を固定するためにオイルポンプボディ32に対して要求される強度を得るためには、鍔部32aにはある程度の肉厚(ギヤ室31aの幅寸法よりも厚い肉厚)が必要である。このため、鍔部32aは、ギヤ室31aの幅寸法よりも厚い肉厚を有しているからである。また、オイルポンプボディ32の当接部32bには、複数の貫通穴32cが形成されている。
このようなオイルポンプボディ32の内部には、入力軸11が配置されている。そして、この入力軸11の端部に、ギヤ室31aに収容されたオイルポンプギヤ機構31が取り付けられている。これにより、オイルポンプ30においては、入力軸11の回転がオイルポンプギヤ機構31に伝達されるようになっている。これにより、オイルポンプギヤ機構31を駆動するために新たなスペースを軸方向に設ける必要がなくなる。
そして、ギヤ室31aの開口は、オイルポンプカバー33によって塞がれている。このオイルポンプカバー33は、略円板状をなしたものである。オイルポンプカバー33の外周縁部には、複数のボルト穴33cが形成されている。そして、これらのボルト穴33cには、オイルポンプボディ32に形成された各貫通穴32cと一致させられた状態で、ボルト36が挿通されている。これらのボルト36は、エクステンションハウジング82に形成された各ネジ穴82cに螺合している。このボルト36の締結により、オイルポンプカバー33がオイルポンプボディ32に取り付けられるとともに、オイルポンプ30がエクステンションハウジング82に固定されている。
このようにして固定されたオイルポンプ30では、入力軸11の回転により、オイルポンプギヤ機構31が駆動されて、オイルを圧送することができるようになっている。オイルポンプ30から圧送されたオイルは、入力軸11内に形成された油路などを介してプラネタリギヤ機構20など駆動装置の構成部品に供給されるようになっている。
一方、オイルポンプボディ32の先端部に形成されたネジ部34には、ナット35が螺合している。ナット35は、オイルポンプボディ32の当接部32bと径方向でオーバーラップしている。ここで、オイルポンプボディ32が挿入されている延設部82aは、回転軸受26の幅よりも短く形成されている。このため、ネジ部34にナット35を締め付けることにより、延設部82aの外周面82bに設置された回転軸受26が、エクステンションハウジング82(延設部82aの基端部分)とナット35とに狭持されて固定されるようになっている。そして、ネジ部34はオイルポンプボディ32に形成されているため、ネジ部をエクステンションハウジング82に形成する場合に比べ、ネジ部34の長さが短くなっている。また、ナット35の締結力を発生させるために、ネジ部34とは反対側に当接部32bを設けているが、当接部32bはオイルポンプボディ32を径方向へ拡げて形成したものである。このため、オイルポンプボディ32に当接部32bを形成したことにより、オイルポンプボディ32が軸方向へ長くなることはない。従って、ネジ部34が短くなることにより、駆動装置の軸方向長さが短縮されている。
このようにして固定された回転軸受26は、カウンタドライブギヤ25、及びカウンタドライブギヤ25に一体化されたリングギヤ22を支持している。また、入力軸11を内装しているロータ軸13は、サンギヤ21が形成された軸部13aと、ロータコア54を保持するコア保持部13bとを有している。つまり、ロータ軸13は、軸部13aとコア保持部13bとで構成される2分割構造となっている。これにより、サンギヤ21が形成されている軸部13aのみを熱処理することができるため、軸部13aに対してコア保持部13bを取り付ける際に、かしめ処理を実施することができるようになっている。このため、ロータ軸の設計の自由度を向上させることができ、モータジェネレータMG1ひいては駆動装置の低コスト化を図ることができる。
そして、上記した構成を有する駆動装置は、車両全体を制御する電子制御装置により制御される。つまり、この電子制御装置に対して、イグニッションスイッチの信号、エンジン回転数センサの信号、ブレーキスイッチの信号、車速センサの信号、アクセル開度センサの信号、シフトポジションセンサの信号、モータジェネレータMG1,MG2の各回転数を検出するレゾルバの信号などが入力される。そうすると、電子制御装置により、それらの信号に基づいて駆動軸12に伝達すべき要求トルクが算出される。そして、この算出結果に基づいて、電子制御装置から、エンジンの吸入空気量及び燃料噴射量ならびに点火時期を制御する信号、モータジェネレータMG1,MG2の出力を制御する信号などが各部に出力され、駆動装置の全体的な動作が制御される。
より具体的には、エンジンから出力される動力(トルク)を駆動軸12に伝達する場合には、エンジンのトルクが入力軸11を介してプラネタリキャリヤ24に伝達される。そして、プラネタリキャリヤ24に伝達されたトルクは、リングギヤ22、カウンタドライブギヤ25、カウンタドリブンギヤ70、カウンタ軸15、ファイナルドライブピニオンギヤ71、及びデファレンシャル装置40を介して駆動軸12に伝達され、駆動力が発生する。
このとき、エンジンのトルクをプラネタリキャリヤ24に伝達する際に、モータジェネレータMG1が発電機として機能し、モータジェネレータMG1によって発生させられた電力が蓄電装置(不図示)に充電される。
一方、モータジェネレータMG2を電動機として駆動させ、その動力を駆動軸12に伝達させる場合には、モータジェネレータMG2の動力(トルク)が、ロータ軸14を介して出力ギヤ68に伝達されると、出力ギヤ68の回転が減速されてカウンタドライブギヤ25に伝達される。そして、エンジンのトルクとカウンタドライブギヤ25にて合成され、その合成されたトルクがカウンタドリブンギヤ70、カウンタ軸15、ファイナルドライブピニオンギヤ71、及びデファレンシャル装置40を介して駆動軸12に伝達されて、駆動力が発生する。
このようにして動力が伝達される際に、本実施の形態に係る駆動装置では、カウンタドライブギヤ25が回転軸受26により支持されて回転する。この回転軸受26は、エクステンションハウジング82の延設部82aの外周面82bに配置され、延設部82aの内周側に配置されたオイルポンプボディ32のネジ部34にナット35を螺合させることにより固定されている。そして、ネジ部34は、上記したように、従来のようにエクステンションハウジング82(トランスアクスルケース80)にネジ部を形成する場合に比べ、短くなっている。また、オイルポンプボディ32が軸方向へ長くなることもない。従って、駆動装置の軸方向長さを短縮することができる。すなわち、本実施の形態に係る駆動装置によれば、延設部82aを設けてカウンタドライブギヤ25の回転軸受26を保持・固定しても、駆動装置の軸方向長さを短縮することができる。
また、オイルポンプギヤ機構31を収容するギヤ室31aが、オイルポンプボディ32の鍔部32aに形成されているため、ギヤ室専用の軸方向スペースを新たに設ける必要がない。このため、駆動装置の軸方向長さをさらに短縮することができる。
また、オイルポンプボディ32の当接部32bは、鍔部32aよりも薄く形成されており、延設部82aの基端部には、鍔部32aが配置される薄肉部82dと、当接部32bが配置される厚肉部82eとが設けられている。このため、回転軸受26を固定するために要求されるオイルポンプボディ32及びエクステンションハウジング82の強度を保ったまま、駆動装置の軸方向長さを短縮することができる。
また、オイルポンプボディ32の内周側に、オイルポンプギヤ機構31に接続された入力軸11を配置されているため、オイルポンプギヤ機構31を駆動するために新たなスペースを軸方向に設ける必要がない。このため、駆動装置の軸方向長さをさらに短縮することができる。
さらに、オイルポンプボディ32の当接部32bが、ネジ部34に螺合したナット35と径方向でオーバーラップしているので、ネジ部34にナット35を螺合させて回転軸受26を固定したときに鍔部32a及び当接部32bに作用する力を小さくすることができる。これにより、鍔部32a及び当接部32bの肉厚を薄くすることができるため、駆動装置の軸方向長さをより一層短縮することができる。
以上、詳細に説明したように本実施の形態に係る駆動装置によれば、エクステンションハウジング82の延設部82aに配置した回転軸受26を、オイルポンプボディ32に形成したネジ部34にナット35を螺合させて固定している。そして、オイルポンプボディ32の材質は、エクステンションハウジング82の材質よりも強度が高いため、エクステンションハウジング82にネジ部を形成する場合に比べ、ネジ部34の長さを短くすることができる。これにより、延設部82aを設けてカウンタドライブギヤ25を支持する回転軸受26を保持・固定する場合であっても、駆動装置の軸方向長さを短縮することができる。
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。例えば、上記した実施の実施の形態では、カウンタドライブギヤ25にモータジェネレータMG2の出力ギヤ68を噛合させているが、図4に示すように、出力ギヤ68がカウンタドリブンギヤ70に噛合するにモータジェネレータMG2を配置することもできる。
また、上記した実施の形態では、回転軸受26としてテーパーベアリングを例示しているが、もちろんアンギュラボールベアリングなどのボールベアリングを使用することもできる。
また、上記した実施の形態では、フロントエンジン・フロントドライブ(FF)車に搭載される横置式の駆動装置に本発明を適用したものを例示したが、本発明はリヤエンジン・リヤドライブ(RR)車に搭載される横置式の駆動装置に対しても適用することができる。
実施の形態に係る駆動装置のスケルトン図である。 実施の形態に係る駆動装置の概略構成を示す断面図である。 オイルポンプ付近の拡大断面図である。 電動機の配置を変更した駆動装置のスケルトン図である。
符号の説明
11 入力軸
12 駆動軸(出力軸)
13 ロータ軸
14 ロータ軸
15 カウンタ軸
20 プラネタリギヤ機構
25 カウンタドライブギヤ
26 回転軸受
30 オイルポンプ
31 オイルポンプギヤ機構
31a ギヤ室
32 オイルポンプボディ
32a 鍔部
32b 当接部
32c 貫通穴
33 オイルポンプカバー
33c ボルト穴
34 ネジ部
35 ナット
36 ボルト
40 デファレンシャル装置
80 トランスアクスルケース
82 エクステンションハウジング
82a 延設部
82b 外周面
82c ネジ穴
82d 薄肉部
82e 厚肉部
MG1 モータジェネレータ(発電機)
MG2 モータジェネレータ(電動機)

Claims (6)

  1. ケースの内側に延設された円筒形状の延設部と、前記延設部の外周に軸受を介して回転可能に支持されているカウンタドライブギヤと、各部にオイルを供給するオイルポンプと、を備える車両用駆動装置において、
    前記延設部は、前記軸受の幅よりも短く形成され、
    前記オイルポンプのケーシングは、前記ケースよりも強度が高い材料で形成された円筒形状部材を含み、拡径された鍔部より外側に形成されて前記ケースに当接する当接部を一端側に有するとともに、他端側に雄ネジが形成されたネジ部を有し、
    前記ネジ部を前記ケースの内側に位置させるように、前記ケーシングが、前記ケースの外側から前記延設部内周に挿入され、前記当接部が前記ケースに当接した状態で、前記ネジ部に螺合したナットにより前記軸受が固定されている
    ことを特徴とする車両用駆動装置。
  2. 請求項1に記載する車両用駆動装置において、
    前記ケーシングの鍔部には、前記オイルポンプのギヤ機構が収容されるギヤ室が形成されている
    ことを特徴とする車両用駆動装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載する車両用駆動装置において、
    前記ケーシングの当接部は、前記鍔部よりも薄く形成されており、
    前記ケースの延設部の基端には、前記鍔部が配置される薄肉部と、前記当接部が配置される厚肉部とが設けられており、
    前記当接部に形成された貫通穴に挿通されたボルトが、前記厚肉部に形成されたねじ穴に螺合されることにより、前記ケーシングが前記ケースに固定されている
    ことを特徴とする車両用駆動装置。
  4. 請求項1から請求項3に記載するいずれか1つの車両用駆動装置において、
    前記ケーシングの内周側に配置され、前記オイルポンプのギヤ機構に接続された回転軸を有する
    ことを特徴とする車両用駆動装置。
  5. 請求項1から請求項4に記載するいずれか1つの車両用駆動装置において、
    前記当接部は、前記ネジ部に螺合したナットと径方向で重なり合っている
    ことを特徴とする車両用駆動装置。
  6. 請求項1から請求項5に記載するいずれか1つの車両用駆動装置において、
    エンジンに連結される入力軸と、発電機と、プラネタリギヤ機構と、電動機とをさらに備え、
    前記発電機、前記プラネタリギア機構、前記カウンタドライブギヤ、前記オイルポンプは、エンジン側からこの順で前記入力軸と同軸上に配置され、
    前記電動機は、前記オイルポンプに対して前記カウンタドライブギヤの反対側で前記入力軸と並行する別軸上に配置され、
    前記入力軸は、前記ケーシングの内周を貫通し、その端部にて前記オイルポンプのギヤ機構に接続されている
    ことを特徴とする車両用駆動装置。
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