JP2009108129A - 燃料 - Google Patents

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光彰 大友
Hiroshi Miyagawa
浩 宮川
Makoto Koike
誠 小池
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Abstract

【課題】耐ノック性及び始動性を向上させる。
【解決手段】ノルマルパラフィン系及び/又はイソパラフィン系を主成分とした燃料種と、下記一般式(A)で表されるフラン化合物とを含有し、前記フラン化合物の体積混合割合はx<x<x(x:オクタン価が89以上となる前記フラン化合物の最小混合割合[体積%]、x:フラン化合物を含有した場合にフラン化合物を含有しない場合よりも吸気温度の低下幅が10℃以上となる前記フラン化合物の混合割合[体積%])の関係を満たす。

Figure 2009108129

【選択図】なし

Description

本発明は、火花点火機関等の内燃機関などに好適に用いることができる燃料に関する。
火花点火機関においては、使用する燃料のオクタン価(耐ノック性を示す数値)が重要なパラメータとなっており、高オクタン価の燃料を用いることで、ノックの制約を受けずに点火時期がMBT(最大トルクを発生する最小進角)の領域で運転でき、高効率、高出力化が可能となる。
従来は、市販のプレミアムガソリン等にみられるように、トルエンなどの芳香族化合物の割合を増したり、MTBE(メチルターシャルブチルエーテル)を混合する等により高オクタン価燃料が作製されてきた。ところが、トルエンなどの芳香族化合物は、原油成分から誘導される比較的高価な芳香族炭化水素であり、また、燃焼時のCOやNO、HCが増加することが懸念されている。また、MTBEは、土壌汚染の問題を招来することから現在では使用されていない。
バイオマス誘導燃料であるエタノールもオクタン価向上剤として用いられるものの、エタノールは水分の混合により相分離が発生しやすく、ガソリンの品質を低下させる、あるいは潜熱が大きいため低温時に燃料が充分に気化せずに始動性を悪化させるといった問題がある。
これら以外に、例えば、市販のガソリンに対してアルキニルアルコールやフラン等の有機化合物を混合した火花点火機関用燃料油組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。ここでは、点火性の向上と火炎伝播速度の上昇が図られるとされており、火炎伝播速度の上昇によりオクタン価も向上する。
また、炭素数4〜12のオレフィン系炭化水素等を50〜95容量%含有し、炭素数1〜8の含酸素炭化水素を5〜50容量%含有してなるガソリン組成物が開示されており(例えば、特許文献2参照)、含酸素炭化水素として、アルコール類やエーテル類、フラン等が挙げられている。
特開平5−32981号公報 特開平6−313178号公報
しかし、上記のように市販のガソリンに有機化合物を混合しただけの火花点火機関用燃料油組成物では、元々オクタン価の高い市販の燃料(ガソリン)に混合するため、それ程大きな効果は期待できない。また、フラン系の化合物は蒸発潜熱が大きいことから、フラン系化合物の混合割合が大きくなると、エタノールの場合と同様に、低温時の始動性を悪化させてしまう。
その一方で、フラン系化合物のように蒸発潜熱の大きい化合物の混合は、蒸発潜熱による筒内に吸入される吸入空気(吸気)の冷却が可能であり、吸気温度の低下はノックを起こし難くすることから、適度に吸気を冷却するように制御することは、耐ノック性を向上させる方法の1つとなる。
また、一般にパラフィン系の燃料、特にノルマルパラフィン系の燃料の場合、生産量は多く比較的安価であるものの、オクタン価が低いため、パラフィン系の燃料を用いた組成ではオクタン価を上げる技術が不可欠である。さらに、上記のように併用する化合物の潜熱の影響など、オクタン価向上効果が損なわれないための考慮も必要とされる。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、耐ノック性及び(特に低温環境下での)始動性の良好な燃料を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
本発明は、フラン系化合物を用いて高オクタン価(耐ノック性向上)を実現しようとする場合に、フラン系化合物の蒸発潜熱を考慮して吸気冷却の効果を適度に利用するように組成することが、オクタン価(耐ノック性)の向上と始動性の安定化の点で有効であるとの知見を得、かかる知見に基づいて達成されたものである。
上記目的を達成するために、本発明の燃料は、ノルマルパラフィン系及び/又はイソパラフィン系を主成分とした燃料種と、下記一般式(A)で表されるフラン化合物(酸素原子及び不飽和5員環エーテル構造を有する炭化水素)とを含有し、前記フラン化合物の体積混合割合(x)が下記式(1)を満たす範囲となる構成としたものである。
Figure 2009108129
前記式(1)において、xは、オクタン価が89以上となる前記フラン化合物の最小混合割合[体積%]を表し、xは、フラン化合物を混合した場合にフラン化合物を混合しない場合よりも吸気温度の低下幅が10℃以上となる前記フラン化合物の混合割合[体積%]を表す。
Figure 2009108129

前記一般式(A)において、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、直鎖もしくは分岐のアルキル基、又はアルデヒド基を表す。
本発明の燃料においては、フラン構造を持つ炭化水素の混合を所定の体積混合割合(x)の範囲で行なうことで、燃料のオクタン価を高めると同時に、その潜熱で燃料が気化する際に筒内に吸入される空気の冷却が行なえるので、耐ノック性を効果的に向上させることができ、しかもその冷却を体積混合割合の範囲内で制御するので、冷却され過ぎてクランキングの時間が長くなることがなく、良好な始動性、特に低温環境下での始動性を保つことができる。
本発明の燃料において、オクタン価は下記式(2)により求められるf(x)で決まり、前記式(1)におけるxを、このf(x)の値を用いて決定することができる。
Figure 2009108129
前記式(2)において、x、y、z、A〜A、B〜B、Cは、それぞれ
x:前記フラン化合物の体積混合割合[体積%]、
y:前記フラン化合物を混合する前の前記燃料種のオクタン価、
z:前記フラン化合物を混合する前の前記燃料種中におけるノルマルパラフィン系及び/又はイソパラフィン系の体積混合割合[体積%]、
,A,A,B,B,B:フラン化合物の混合により定まる値
C:フラン化合物単体のオクタン価
を表す。
前記式(2)によりフラン化合物の体積混合割合xの下限xを決定することにより、混合する燃料種の組成やオクタン価との間で必要もしくは許容される混合量を決定でき、オクタン価を89以上に保った燃料が得られる。これにより、耐ノック性の向上効果が得られる。
本発明の燃料において、吸気温度の低下幅は、温度変化を表す下記式g(x)を用いた下記式(3)により求められるf(x)で決まり、前記式(1)におけるxを、このf(x)の値を用いて決定することができる。
Figure 2009108129
前記式(3)において、g(0)、x、a、b、c、a、b、c、及びdはそれぞれ、
g(0):フラン化合物を含有する前の燃料種による吸気の低下温度[℃]、
x:前記フラン化合物の体積混合割合[体積%]、
:前記フラン化合物の潜熱[kJ/kg]、
:前記フラン化合物の密度[kg/m]、
:前記フラン化合物の理論空燃費、
:前記フラン化合物を混合する前の前記燃料種の潜熱[kJ/kg]、
:前記フラン化合物を混合する前の前記燃料種の密度[kg/m]、
:前記フラン化合物を混合する前の前記燃料種の理論空燃費、
d:空気の比熱[J/g・K]、
を表す。
前記式(3)によりフラン化合物の体積混合割合xの上限xを決定することにより、混合する燃料種とフラン化合物との組合せに応じて、フラン化合物を混合した場合にフラン化合物を混合しない場合より低下する吸気温度(吸入される空気の温度)の低下幅を10℃までに留め得る混合量を決定でき、低温時でもクランキング時間が長くならず、ひいては始動性を損なわず、フラン化合物の混合によるオクタン価向上効果も図れる燃料が得られる。
本発明の燃料は、ノックの発生、低温時のクランキングの発生及び発生時間が抑制され、耐ノック性及び始動性に優れた火花点火機関をはじめとする内燃システムを構築することができる。
本発明によれば、耐ノック性及び(特に低温環境下での)始動性の良好な燃料を提供することができる。
以下、本発明の燃料について詳細に説明する。
本発明の燃料は、ノルマルパラフィン系及び/又はイソパラフィン系を主成分として含む燃料種と、以下に示す一般式(A)で表されるフラン化合物とを含有し、前記フラン化合物の体積混合割合が下記式(1)を満たすように構成されたものである。
Figure 2009108129

:オクタン価が89以上となるフラン化合物の最小混合割合[体積%]
:フラン化合物を混合した場合にフラン化合物を混合しない場合よりも吸気温度の低下幅が10℃以上となるフラン化合物の混合割合[体積%]
一般にパラフィン系の燃料Aにこれとは異なるパラフィン系の燃料Bを混合しても、混合物のオクタン価はそれぞれのオクタン価と混合割合とから線形的に決まる。しかし、図1に示すように、燃料Aに燃料Bとオクタン価が等しいフラン構造を持つフラン系炭化水素Cを混合するとオクタン価が線形的に決まらず、フラン系炭化水素Cを混合した方が、燃料Bを混合した場合よりオクタン価が大きくなる。また、燃料Aとオクタン価が等しいがパラフィン系の燃料の割合の少ない燃料Dに対してフラン系炭化水素Cを混合した場合、オクタン価の向上効果は燃料Bを混合した場合よりは大きいものの、燃料Aにフラン系炭化水素Cを混合した場合より小さく、パラフィン系の燃料の割合が多い燃料に対してフラン系炭化水素を混合することでオクタン価の向上効果が大きくなり、耐ノック性をより向上させることができる。
その一方、オクタン価の向上する度合いをオクタン価向上度とし、オクタン価を燃料B又はフラン系炭化水素Cの混合割合により微分した値と定義すると、図2に示すように、燃料B又はフラン系炭化水素Cの混合割合が一定の値を超えた範囲では、フラン系炭化水素Cのオクタン価向上度は燃料Bのオクタン価向上度を下回る傾向にある。したがって、所定の混合割合でフラン系炭化水素Cを混合することがオクタン価の向上に有効である。
また、フラン構造を持つフラン系炭化水素は潜熱が大きいため、燃料が気化する際に筒内に吸入される空気の冷却が可能であり、この冷却効果によりノック抑制効果を高めることができる。その一方、フラン系炭化水素の混合割合が多くなって冷却効果が大きくなり過ぎると、低温時にクランキングの時間が長くなり始動性が悪化する傾向がある。そのため、所定の混合割合でフラン系炭化水素Cを混合することが始動性の安定化の点で有効である。
以上のように、本発明の燃料においては、フラン構造を持つフラン化合物の混合を所定の体積混合割合(x)の範囲で行なうことで、燃料のオクタン価の向上効果が高められると同時に、その潜熱で燃料が気化する際の吸入空気(吸気)の冷却が行なえるので、耐ノック性を効果的に向上させることができる。しかも、その冷却は体積混合割合の範囲内に抑えられるので、冷却され過ぎてクランキングの時間が長くなることがなく、良好な始動性、特に低温環境下での始動性を保つことができる。
本発明の燃料においては、上記のように、燃料種と併用するフラン化合物の体積混合割合xをx<x<xの範囲とする。体積混合割合xは、オクタン価が89以上となるフラン化合物の最小混合割合x以下であると、オクタン価が基準値とすべき89を下回ってしまい、耐ノック性が悪くなる。また、体積混合割合xがx以上になると、燃料が気化する際に吸入される空気の温度(吸気温度)がフラン化合物を混合しない場合に比べて10℃以上低下し、冷却効果が大き過ぎて低温時のクランキング時間が長くなり、更にはフラン化合物の混合によるオクタン価向上効果も低下するため、始動性(特に低温環境下での始動性)が悪化する。
前記式(1)中の最小混合割合xは、下記式(2)により求められるf(x)で決定することができる。
Figure 2009108129
前記式(2)において、xは、燃料中に混合されるフラン化合物の体積混合割合[体積%]を表す。yは、燃料中にフラン化合物を混合する前の燃料種のオクタン価を表し、複数種を混合した組成の場合は、混合状態でのオクタン価を表す。zは、燃料中にフラン化合物を混合する前の燃料種中におけるノルマルパラフィン系及び/又はイソパラフィン系の体積混合割合[体積%]を表す。
また、前記式(2)中のA,A,A,B,B,及びBは、各々、フラン化合物の混合により定まる値を表し、具体的には、燃料種へのフラン化合物の混合により得られたオクタン価向上効果を2次曲線で近似することにより求まるパラメータであり、Cはフラン化合物単体のオクタン価を表す。
ここで、A,A,A,B,B,及びBの算出例を以下に略説する。
ノルマルパラフィン系又はイソパラフィン系100%の燃料種にフラン化合物を混合した場合のオクタン価は2次曲線で近似できる。このとき、元のオクタン価が異なる3つの燃料種を用いた場合、これらの燃料種から3つの式ができ、それぞれ次の通りとなる。尚、下記式中、xはフラン化合物の混合割合、yはフラン化合物混合後のオクタン価を表す。
y=α1(x/100)21(x/100)+γ1
y=α2(x/100)22(x/100)+γ2
y=α3(x/100)23(x/100)+γ3
上記式の各係数を一般化すると、γはフラン化合物混合前のオクタン価となる。また、α、βは、実験点の近似式から求められ、図6に示す2−メチルフランの場合(点:実験値、実線:近似曲線)、次の値となる。
α1=-90.7、β1=103、α2=-93.9、β2=116、α3=-109、β3=150.9
このとき、α及びβもγの関係で表すと、2次関数で近似できる。
α=Aγ+Aγ+A、β=Bγ+Bγ+B
特に2−メチルフランの場合、図7及び図8のようになり、A,Bは次の値になる。
=−0.01448、A=2.779、A=223.5、B=0.01483、B=−3.832、B=327.4
従って、これを一般化して前記式(2)を用いてオクタン価を表すと、下記式Aが得られる。
f1(x) =(A1y2+A2y+A3)(x/100)2+ (B1y2+B2y+B3)(x/100) + y ・・・式A
特に2−メチルフランの場合、次のようになる。
f1(x) =(-0.01448y2+2.779y-223.5)(x/100)2+(0.01483y2-3.832y+327.4)(x/100)+y
ここまでは、元の燃料種がパラフィン系又はイソパラフィン系のみの場合であり、元の燃料種にパラフィン系又はイソパラフィン系以外の燃料種が混合されている場合は、フラン化合物によるオクタン価向上効果は小さくなりやすい。パラフィン系又はイソパラフィン系がない場合は、オクタン価は元の燃料種のオクタン価とフラン化合物単体のオクタン価との平均で決まり、そのときのオクタン価は下記式Bのようになる。
f1(x) =y(100-x)/100 + C(x/100) ・・・式B
特に2−メチルフランの場合、単体のオクタン価102より次のようになる。
f1(x) =y(100-x)/100 + 102(x/100)
一方、パラフィン系の割合がzの場合、パラフィン系のみの場合のオクタン価とパラフィン系がない場合のオクタン価との平均で決まる。従って、前記式A及び式Bを用いて、フラン化合物を混合した場合のオクタン価は下記式Cのようになる。
f1(x) = {(A1y2+A2y+A3)(x/100)2+(B1y2+B2y+B3)(x/100)+y}(z/100) + {y((100-x)/100)+C(x/100)}((100-z)/100) ・・・式C
特に2−メチルフランの場合、次のようになる。
f1(x) = {(-0.01448y2+2.779y-223.5)(x/100)2+(0.01483y2-3.832y+327.4)(x/100)+y}(z/100)+{y((100-x)/100)+102(x/100)}((100-z)/100)
上記において、f(x)は、いわゆるレギュラーガソリンのオクタン価89を超える割合、好ましくはいわゆるプレミアムガソリンのオクタン価96を超える割合を基準とし、前記式(2)から算出されるf(x)の値をこの基準に照らして最小の混合割合を決定することができる。
すなわち、f(x)の値が96を超える最小の混合割合をx1a、f(x)の値が89を超える最小の混合割合をx1bとした場合、前記式(1)において、体積混合割合xは、x>x1aの範囲が好ましく、少なくともx>x1bの範囲でフラン化合物を混合するとオクタン価の点で向上効果が得られる。
次に、前記式(1)中の混合割合xは、下記式(3)により求められるf(x)で決定することができる。
Figure 2009108129
前記式(3)において、g(x)は、フラン化合物を混合した燃料の潜熱による吸気の低下温度[℃]を表し、g(0)はフラン化合物を混合する前の燃料種による吸気の低下温度[℃]であり、フラン化合物の割合(x)が0(ゼロ)のときを意味する。つまり、f(x)は、フラン化合物の混合による冷却を考慮して決定されるものであり、フラン化合物を混合したことによってフラン化合物を混合していない場合より低下する吸気温度の低下幅を表す。
また、式(3)において、xは、燃料中に混合されるフラン化合物の体積混合割合[体積%]を表し、aはフラン化合物の潜熱[kJ/kg]を、bはフラン化合物の密度[kg/m]を、cはフラン化合物の理論空燃費を表す。また、aはフラン化合物を混合する前の燃料種の潜熱[kJ/kg]を、bはフラン化合物を混合する前の燃料種の密度[kg/m]を、cはフラン化合物を混合する前の燃料種の理論空燃費を表す。dは、空気の比熱[J/g・K]を表す。
なお、フラン化合物として複数種を併用する場合、フラン化合物の潜熱、密度、理論空燃比はそれぞれ、複数種のフラン化合物の混合状態での潜熱、密度、理論空燃比を表す。また、燃料種が複数種の混合である場合、燃料種の潜熱、密度、理論空燃比はそれぞれ、複数種のフラン化合物の混合状態での潜熱、密度、理論空燃比を表す。
本発明におけるフラン化合物及び燃料種の潜熱は、沸点における単位質量の液体を同温度の気体に変えるときに加えた熱量を測定することにより求められる値である。
本発明におけるフラン化合物、及びフラン化合物を混合する前の燃料種の密度は、それぞれ計算により求められる値である。
本発明におけるフラン化合物の理論空燃費は、空気中の酸素と燃料中のフラン化合物が過不足なく反応したときの空燃比(空気質量をフラン化合物の質量で除算したもの)であり、また、燃料種の理論空燃費は空気中の酸素と燃料種が過不足なく反応したときの空燃比(空気質量を燃料種質量で除算したもの)であり、いずれも算術により求められる値である。
フラン化合物は、潜熱が大きいため、燃料に混合することで吸気温度が低下し、耐ノック性を向上させるが、混合割合が大きすぎると低温始動性を悪化させるため、吸気温度の低下幅が10℃となる混合割合をx2b、吸気温度の低下幅が5℃となる混合割合をx2aとした場合、前記式(1)において、体積混合割合xは、x<x2aの範囲が好ましく、少なくともx<x2bの範囲でフラン化合物を混合すると吸気温度の過低下防止の点で効果が得られる。
以上の式(1)〜式(3)から、体積混合割合xは、x1b<x<x2bの範囲が好ましく、より好ましくはx1a<x<x2aの範囲とすることにより、フラン化合物を混合することによるオクタン価向上が図られ、低温始動性を大きく悪化させずに吸気温度を低下させることができ、耐ノック性をより向上させることができる。
ここで、本発明の燃料を構成する燃料種及びフラン化合物について詳述する。
(燃料種)
本発明の燃料は、ノルマルパラフィン系の少なくとも一種及び/又はイソパラフィン系の少なくとも一種を主成分とした燃料種を含有する。なお、「主成分」とは、燃料種中に占める割合が30容量%以上であることをさす。
前記ノルマルパラフィン系の燃料種は、直鎖状の分子構造を有する飽和直鎖炭化水素(ノルマルアルカン)であり、例えば、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、ノルマルノナン、ノルマルデカン、ノルマルウンデカン、ノルマルドデカン、ノルマルトリデカン、ノルマルブタン、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン等が挙げられる。
前記イソパラフィン系の燃料種は、分岐状の分子構造を有する飽和分岐炭化水素であり、例えば、2−メチルヘキサン、2−メチルヘプタン、2−メチルオクタン、2−メチルノナン、2−メチルデカン、2−メチルウンデカン、2,2,4−トリメチルペンタン等が挙げられる。
ノルマルパラフィン系、イソパラフィン系の燃料からの分類については、分離、定量が難しいが、例えば、分岐パラフィンとノルマルパラフィンとに分離するガスクロ法(但し、分岐パラフィン及びノルマルパラフィンのみからなる燃料の場合)や、オレフィンを含む場合はオレフィンと他の炭化水素とに分離する日本石油学会が開発したHPLC法、電場イオン化質量分析法、などにより行なえる。
後述のフラン化合物を混合する前の燃料種(二種以上混合の場合は混合状態の燃料)のオクタン価の範囲としては、50〜80が好ましく、50〜70がより好ましい。燃料種のオクタン価は前記範囲内であると、燃料種自体のオクタン価がそれ程高くなくても、フラン化合物との混合による効果、特に耐ノック性及び低温始動性の向上効果をより高めることができる。なお、オクタン価は、常法により求められる。
後述のフラン化合物を混合する前の燃料種(二種以上混合の場合は混合状態の燃料)の潜熱の範囲としては、200〜300[kJ/kg]が好ましく、250〜300[kJ/kg]がより好ましい。燃料種の潜熱が前記範囲内であると、フラン化合物による冷却効果が大きくかつ単位質量当たりの冷却効果が大きい点で有利である。
燃料種の燃料中における含有割合としては、燃料の全体積に対して、70〜95体積%が好ましく、85〜95体積%がより好ましい。燃料種の含有割合が前記範囲内であると、耐ノック性を効果的に向上でき、始動性を悪化させない点で有利である。
(フラン化合物)
本発明の燃料は、下記一般式(A)で表されるフラン化合物の少なくとも一種を含有する。このフラン化合物は、構造中に酸素原子と不飽和5員環エーテル構造とを有する炭化水素である。
Figure 2009108129

前記一般式(A)において、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、直鎖もしくは分岐のアルキル基、又はアルデヒド基を表す。
〜Rで表される「直鎖もしくは分岐のアルキル基」は、直鎖状もしくは分岐状のいずれであってもよく、炭素数1〜2のアルキル基が好ましい。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基などが挙げられる。中でも、特にメチル基が好ましい。
中でも、前記一般式(A)において、R、R、R、及びRが、各々独立に、水素原子、メチル基、エチル基を表す場合がより好ましい。
更には、前記一般式(A)は、Rがメチル基であって、Rが水素原子であって、Rが水素原子であって、及びRが水素原子である場合が好ましい。
前記一般式(A)で表されるフラン化合物の具体例としては、2−メチルフラン、フラン、2,5−ジメチルフラン、フルフラールなどを挙げることができる。
フラン化合物の潜熱(二種以上を併用する場合は混合状態での潜熱)としては、300〜500kJ/kgの範囲が好ましく、300〜400kJ/kgの範囲がより好ましい。フラン化合物の潜熱が前記範囲内であると、吸気を冷やしすぎることのない範囲で効果的にオクタン価を向上させることができる点で有利である。
フラン化合物の燃料中における含有割合としては、燃料の全体積に対して、5〜30体積%が好ましく、5〜20体積%がより好ましい。フラン化合物の含有割合が前記範囲内であると、耐ノック性を効果的に向上でき、しかも潜熱で冷却され過ぎてクランキングの時間が長くなることがなく、良好な始動性、特に低温環境下での始動性を得ることができる。
また、本発明の燃料には、本発明の効果を損なわない範囲で、前記燃料種及び前記一般式(A)で表されるフラン化合物以外に、必要に応じて、オレフィン、アロマ、シクロアルカン、酸化防止剤、洗浄剤などの他の成分を混合してもよい。
以下、フラン化合物の体積混合割合が既述の式(1)を満たす本発明の燃料について、フラン化合物として2−メチルフランを用いた場合を一例に具体的に説明する。
2−メチルフランを用いた場合、前記式(2)で表されるオクタン価f(x)は次のようになる。
(x)={(−0.01448y+2.779y−223.5)(x/100)+(0.01483y−3.832y+327.4)(x/100)+y}(z/100)+{y((100−x)/100)+102(x/100)}((100−z)/100)
ここで、x、y、zは、下記の通りである。
x:2−メチルフランの体積混合割合[体積%]
y:2−メチルフランを混合する前の燃料種のオクタン価
z:2−メチルフランを混合する前の燃料種中におけるノルマルパラフィン系及び/又はイソパラフィン系の体積混合割合[体積%]
燃料種として、オクタン価60のパラフィン系100%燃料(燃料1)、オクタン価80のパラフィン系100%燃料(燃料2)、オクタン価90のパラフィン系100%燃料(燃料3)、及びオクタン価90のパラフィン系46%燃料(燃料4)を準備し、それぞれに2−メチルフランを混合したときのオクタン価を図3に示す。図3は、実験値と計算値(理論値)を示すものであるが、計算値は実験値とほぼ一致している。
このとき、上記したように、オクタン価としてはプレミアムガソリンのオクタン価96を超える場合、又はレギュラーガソリンのオクタン価89を超える場合が基準になり、これにより最小の混合割合が決定される。すなわち、f(x)が96を超える最小混合割合をx1aとし、89を超える最小混合割合をx1bとすると、2−メチルフランの体積混合割合xは、好ましくはx>x1bの範囲、より好ましくはx>x1aの範囲でフラン化合物を混合することによりオクタン価の向上効果が得られる。具体的には、図3から、例えば燃料2の場合、x>8.3(x1b)の範囲が好ましく、より好ましくはx>15.9(x1a)の範囲である。
また、2−メチルフランは潜熱が大きいため、燃料種と混合することにより吸気温度が低下し、耐ノック性を向上させ得る一方、混合割合が多すぎることによる低温始動性の悪化を防ぐため、 2−メチルフランを用いた場合、前記式(3)で表されるオクタン価f(x)は次のようになる。
(x)=g(x)−g(0) ・・・(3)
g(x)={340×0.00091x+270×0.00069(100−x)}/[ 0.717{10×0.00091x+15×0.00069((100−x)/100)}]
ここで、上記の燃料種のうち、2−メチルフラン混合前の燃料種がイソオクタン80体積%及びノルマルへプタン20体積%である燃料2(オクタン価80)について、2−メチルフランを混合したときの、2−メチルフランの混合割合に対する吸気温度f(x)の変化を図4に示す。また、吸気温度の低下とクランキング時間との関係を図5に示す。
図5に示すように、通常環境の場合は、吸気温度がフラン化合物を含有しない通常の火花点火機関用の燃料使用時よりも10℃低下するのみであれば、低温始動性限界を下回らず、低温始動性に大きな支障を来すことはなく、冬季(気温5℃程度)でも、吸気温度がフラン化合物を含有しない通常の火花点火機関用の燃料使用時よりも5℃低い程度であれば、低温始動性に大きな支障はないものと考えられる。このようにして、2−メチルフランの体積混合割合xの上限xを、図4から10℃低下したときと5℃低下したときの混合割合を読み取って決定することができる。このとき、フラン化合物を混合した場合にフラン化合物を混合しない場合よりも吸気温度の低下幅f(x)が5℃となる混合割合をx2a、吸気温度f(x)が10℃となる混合割合をx2bとすると、2−メチルフランの体積混合割合xは、好ましくはx<x2bの範囲、より好ましくはx<x2aの範囲で、フラン化合物を混合したときの吸気温度の低下による耐ノック性の向上効果が得られる。具体的には、図4から、例えば燃料2の場合、x<48.0(x2b)の範囲が好ましく、より好ましくはx<24.7(x2a)の範囲である。
以上から、体積混合割合xは、x1b<x<x2bの範囲が好ましく、より好ましくはx1a<x<x2aの範囲が好ましいが、例えば燃料2に2−メチルフランを混合した場合では、上記のようにx1a=15.9、x1b=8.3、x2a=24.7、x2b=48.0であるので、8.3<x<48.0の範囲が好ましく、より好ましくは15.9<x<24.7の範囲である。
燃料2に2−メチルフランを混合した前記燃料組成では、前記混合割合の範囲において、燃料のオクタン価を高めると同時に吸気の冷却が適切な範囲で行なわれ、耐ノック性が効果的に向上し、しかも良好な始動性、特に低温環境下での始動性が得られた。
上記した一例では、2−メチルフランを用いた場合を中心に説明したが、2−メチルフラン以外の他のフラン化合物を用いた場合も同様である。また、燃料種についても前記燃料1〜燃料4を用いた場合を一例に示したが、これらの燃料以外の他の燃料種(ノルマルパラフィン系及び/又はイソパラフィン系を主成分とした燃料種)を用いた場合も同様である。
フラン化合物の混合割合とオクタン価との関係を説明するためのグラフである。 フラン化合物の混合割合とオクタン価向上度との関係を示すグラフである。 2−メチルフランを混合したときのf(x)〔オクタン価〕を示すグラフである。 オクタン価80のパラフィン系100%(イソオクタン80体積%、ノルマルへプタン20体積%)燃料に2−メチルフランを混合したときの吸入空気の温度変化を示すグラフである。 フラン化合物を含有しない通常の火花点火機関用の燃料使用時を基準とした場合の吸気温度の低下と低温時クランキング時間との関係を示すグラフである。 2−メチルフランを混合した場合のパラフィン系100%燃料のオクタン価を示すグラフである。 2−メチルフランを混合したときのγとαとの関係を示すグラフである。 2−メチルフランを混合したときのγとβとの関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. ノルマルパラフィン系及び/又はイソパラフィン系を主成分とした燃料種と、下記一般式(A)で表されるフラン化合物とを含有し、前記フラン化合物の体積混合割合が下記式(1)を満たす燃料。
    Figure 2009108129


    :オクタン価が89以上となる前記フラン化合物の最小混合割合[体積%]
    :フラン化合物を混合した場合にフラン化合物を混合しない場合よりも吸気温度の低下幅が10℃以上となる前記フラン化合物の混合割合[体積%]
    Figure 2009108129


    〔R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、直鎖もしくは分岐のアルキル基、又はアルデヒド基を表す。〕
  2. 前記xは、下記式(2)により求められるオクタン価〔f(x)〕で表されることを特徴とする請求項1に記載の燃料。
    Figure 2009108129


    x:前記フラン化合物の体積混合割合[体積%]
    y:前記フラン化合物を混合する前の前記燃料種のオクタン価
    z:前記フラン化合物を混合する前の前記燃料種中におけるノルマルパラフィン系及び/又はイソパラフィン系の体積混合割合[体積%]
    ,A,A,B,B,B:フラン化合物の混合により定まる値
    C:フラン化合物単体のオクタン価
  3. 前記xは、下記式(3)により求められる吸気温度の低下幅〔f(x)〕で表されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料。
    Figure 2009108129


    g(0):フラン化合物を混合する前の燃料種による吸気の低下温度[℃]
    x:前記フラン化合物の体積混合割合[体積%]
    :前記フラン化合物の潜熱[kJ/kg]
    :前記フラン化合物の密度[kg/m
    :前記フラン化合物の理論空燃費
    :前記フラン化合物を混合する前の前記燃料種の潜熱[kJ/kg]
    :前記フラン化合物を混合する前の前記燃料種の密度[kg/m
    :前記フラン化合物を混合する前の前記燃料種の理論空燃費
    d:空気の比熱[J/g・K]
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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GB2466713A (en) * 2008-12-31 2010-07-07 Shell Int Research Gasoline compositions

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