JP2009108017A - 抗腫瘍ワクチン - Google Patents

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Abstract

【課題】 腫瘍に対するワクチン療法において、CD4CD25制御性T細胞による免疫抑制効果を調節可能なものを提供すること。
【解決手段】 腫瘍抗原に対する抗体を作成させるための免疫活性化剤と、GITRシグナルを起こさせるGITRシグナル発生剤とを含むことを特徴とする抗腫瘍ワクチンによって達成される。このとき、免疫活性化剤は、腫瘍抗原をコードする核酸(DNA)であり、GITRシグナル発生剤は、GITRLまたはGITRアゴニストポリペプチドをコードする核酸(DNA)であることが好ましい。このとき、適当な担体(金粒子)に上記両剤をコートしておき、遺伝子銃で投与することができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、生体内における抗原特異的免疫反応の活性化に関し、さらに詳しくは腫瘍特異的細胞障害性T細胞による抗腫瘍活性の増強に関する。
近年、ガンに対する治療法として、免疫療法が期待されている。免疫療法は、生体内の免疫システムを利用した治療法の一つである。免疫応答の誘起と制御は、Bリンパ球、Tリンパ球、抗体、及び抗原提示細胞(APC)の間の相互作用によって行われる。まず、外来抗原はAPCに取り込まれてプロセシングを受け、主要組織適合複合体(MHC)クラスI及びII分子に結合した状態でヘルパーT細胞に提示される。MHCに結合した外来抗原がヘルパーT細胞により認識されると、T細胞の活性化が起こり、サイトカインが分泌され、抗原で刺激されたB細胞が抗体産生細胞へと分化するのを助けると共に、キラーT細胞の分化を促す。B細胞から分泌された抗体、及び活性化されたT細胞によって、抗原を提示する細胞が排除され、外来抗原を排除する細胞性・体液性の反応が進行する。
腫瘍拒絶反応においては、細胞性免疫が極めて重要であり、これには主としてCD8細胞障害性T細胞(CTL)が大きな役割を果たしている。CD8CTLは、試験管内及び生体内において、直接的に腫瘍細胞を破壊する能力を持つエフェクター細胞である。CD8CTLが持つ細胞障害活性は、MHCクラスIに提示される抗原ペプチドに特異的に反応する。すなわち、CD8CTLが腫瘍細胞上のMHCクラスIにより提示される抗原を特異的に認識し、その腫瘍細胞を殺傷することによって腫瘍が排除される。
抗腫瘍免疫を活性化する方法の一つとして、腫瘍抗原を用いた癌ワクチン療法が期待されている。腫瘍抗原、すなわち腫瘍細胞上の標的分子をタンパク質やペプチドなどの形状で生体内に投与することにより、APCが腫瘍抗原を取り込み、HLAペプチド複合体をCD8CTLに提示することで、腫瘍特異的な細胞障害活性が引き起こされる。現在まで、様々な腫瘍抗原を用いた癌ワクチン療法に対する研究が試みられているが、癌患者に対する治療効果は、期待されるほどには認められていない。これは、現在までに同定されている腫瘍抗原の多くが自己抗原であるために、抗原反応性のCD8CTLが免疫寛容に陥っていることが大きな原因であると考えられる。
生体内において、CD4CD25制御性T細胞は、様々な免疫反応を抑制することにより、自己免疫寛容を誘導している。マウスにおいて、CD4CD25制御性T細胞を枯渇させると、自己抗原に対する自然発症性免疫とワクチンにより誘導される自己免疫を増強するという報告がある。また、自己抗原によりCD4CD25制御性T細胞を活性化すると、化学物質による腫瘍形成や腫瘍移植後の腫瘍転移を促進するという報告がある。ヒトにおいては、腫瘍局所においてCD8T細胞と比較して、CD4CD25制御性T細胞の割合が高い場合には、ガン治療の予後が悪いという報告がある。更に、自然発症性もしくはワクチンによるT細胞の誘導は、CD4CD25制御性T細胞群により調節されている。
以上のことから、アジュバントやワクチンによりCD4CD25制御性T細胞群の作用を調節することが抗腫瘍効果の増強には必須であると考えられている。この点に着目した研究としては、例えば非特許文献1及び2に開示されたものがある。非特許文献1には、抗CD25モノクローナル抗体(PC61)を用いて、CD4CD25制御性T細胞を減少させると、抗腫瘍効果の増強が観察されたことが開示されている。また、非特許文献2には、GITRアゴニスト的モノクローナル抗体(DTA−1)が、CD4CD25制御性T細胞の免疫抑制効果を減少させることが開示されている。
Onizuka S, Tawara I, Shimizu J, Sakaguchi S, Fujita T, Nakayama E. Tumor rejection by in vivo administration of anti-CD25 (interleukin-2 receptor a) monoclonal antibody. Cancer Res. 1999;59:3128-3133 Shimizu J, Yamazaki S, Takahashi T, Ishida Y, Sakaguchi S. Stimulation of CD25+CD4+ regulatory T cells through GITR breaks immunological self-tolerance. Nat. Immunol. 2002;3:135-142
しかしながら、未だに満足できる抗腫瘍活性を生じさせるワクチン療法に関する研究はなされていない。
本発明は上記した事情に鑑みたものであり、その目的は、腫瘍に対するワクチン療法において、CD4CD25制御性T細胞による免疫抑制効果を調節可能なものを提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、腫瘍抗原を免疫する際に、GITRシグナルを発する物質を共投与することにより、CD4CD25制御性T細胞の免疫抑制効果を制御できることを見出し、基本的には本発明を完成するに至った。
こうして、上記目的を達成するための第1の発明に係る抗腫瘍ワクチンは、腫瘍抗原に対する抗体を作成させるための免疫活性化剤と、GITRシグナルを起こさせるGITRシグナル発生剤とを含むことを特徴とする。
本発明において、前記免疫活性化剤が、前記腫瘍抗原をコードする核酸であることが好ましい。
また、本発明において、前記GITRシグナル発生剤が、GITRLまたはGITRアゴニストポリペプチドをコードする核酸であることが好ましい。
また、本発明において、前記免疫活性化剤が、前記腫瘍抗原をコードするDNAであり、前記GITRシグナル発生剤が、GITRLまたはGITRアゴニストポリペプチドをコードするDNAであって、両剤が遺伝子銃で使用可能な担体にコートされていることが好ましい。
また、本発明において、前記GITRシグナル発生剤が、GITRアゴニスト的抗体、またはGITRアゴニストであることが好ましい。
第2の発明に係る腫瘍治療方法は、哺乳類に対して、CD4CD25制御性T細胞の制御機構を調節しつつ、腫瘍抗原特異的CD8T細胞を誘導する方法であって、腫瘍抗原に対する抗体を作成させるための免疫活性化剤を投与する際に、GITRシグナルを起こさせるGITRシグナル発生剤を投与することを特徴とする。
本発明において、前記免疫活性化剤が、前記腫瘍抗原をコードする核酸であることが好ましい。
また、本発明において、前記GITRシグナル発生剤が、GITRLまたはGITRアゴニストポリペプチドをコードする核酸であることが好ましい。
また、本発明において、前記免疫活性化剤が、前記腫瘍抗原をコードするDNAであり、前記GITRシグナル発生剤が、GITRLまたはGITRアゴニストポリペプチドをコードするDNAであって、両剤を遺伝子銃に使用可能な担体にコートして、遺伝子銃で哺乳類に投与することが好ましい。
「腫瘍抗原」とは、細胞のガン化に伴って、その母細胞が保有する組織適合抗原、臓器・組織特異抗原など以外に新たに獲得され、免疫学的方法によって検出される抗原を意味する。本発明においては、腫瘍抗原は、腫瘍特異抗原(腫瘍細胞のみに存在し、他の正常細胞には見られない抗原)、または腫瘍関連抗原(他の臓器・組織あるいは異種異系の正常細胞に存在したり、発生・分化の途上において発現する抗原)を含む。ヒトの腫瘍抗原には、(1)遺伝子の構造や機能の変化によって発現する抗原(αFPやCEAなどの胎児性抗原、悪性黒色腫のMAGE抗原、異系の組織適合抗原、異所性ホルモン、形質細胞腫のイディオタイプ)、(2)腫瘍ウイルスやガン遺伝子産物(HTLVのTaxタンパク質、乳ガンにおけるErb−2)、(3)糖のガン性変化(血液型関連異常糖鎖、悪性黒色腫のガングリオシド、異好性抗原)などがある。本発明においては、いずれの腫瘍抗原を用いることもできるが、核酸によってコードされたタンパク性・ペプチド性のものが好ましく用いられる。また、腫瘍抗原が、タンパク性・ペプチド性の場合には、その腫瘍抗原全体を用いても良いが、抗原性が高いと認められる部分(特に、エピトープ)を用いることもできる。
「抗体」とは、抗原刺激の結果、免疫反応によって、B細胞の分化によって産生されるタンパク質を意味しており、ヒトでは、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMの5種類が認められる。本発明においては、抗腫瘍効果を示すものであれば、抗体の種類は特定しない。
「免疫活性化剤」とは、免疫反応を活性化することにより、腫瘍抗原に対する免疫を活性化させるための剤を意味している。ここで、「免疫を活性化させる」とは、腫瘍抗原に対する抗体産生、腫瘍抗原特異的なCD8T細胞の活性化などを意味している。免疫活性化剤としては、具体的には、腫瘍抗原そのもの、腫瘍抗原(の全部または一部)をコードした核酸(DNA、またはRNAが含まれるが、DNAが好ましく用いられる)が例示される。
「GITR」とは、グルココルチコイド誘導TNF受容体ファミリー関連遺伝子(Glucocorticoid-induced TNF receptor-family related gene)またはその産物であるタンパク質を意味している。GITRは、細胞表面の膜貫通タンパク質受容体であり、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリーの一員である。GITRは、非活性化T細胞上に構築的に存在することが示されており、GITRリガンド(GITRL)と称する別の膜貫通タンパク質に結合する。GITRに対するアゴニスト的(作動性)抗体であるDTA−1は、CD4CD25制御性T細胞の抑制活性を阻害することが知られており、これらの細胞の活性を制御することにおいてGITRに対して機能的な役割を示す。
「GITRシグナル」とは、GITRLとGITRとが結合し、GITRが作動することにより、T細胞内に発せられる信号を意味している。本発明においては、このシグナルを具体的に電気信号等として取り出される必要はなく、GITRが作動したときに、次の過程を順次に経ることにより、結果的にCD4CD25制御性T細胞の抑制活性を阻害することができればよい。
「GITRシグナル発生剤」とは、GITRシグナルを起こさせるものを意味しており、具体的には、GITRL、GITRアゴニスト、アゴニスト的GITR抗体(ポリクローナル抗体、またはモノクローナル抗体が含まれるが、モノクローナル抗体が好ましく用いられる)が含まれる。
「GITRアゴニスト」とは、GITRシグナルを起こさせる作動剤のことを意味しており、非ペプチド性の化合物、またはポリペプチド性のGITRアゴニストポリペプチドが含まれる。
GITRLまたはGITRアゴニストポリペプチドは、核酸(DNAまたはRNA)によって、体内で発現可能な形として製造することができるので、体内投与の際に有利な形態となる。
免疫活性化剤として、腫瘍抗原をコードするDNAとし、GITRシグナル発生剤として、GITRLまたはGITRアゴニストポリペプチドをコードするDNAとして、両DNAが体内で発現可能な形態としておき、これを遺伝子銃で使用可能な担体にコートすることが好ましい形態となる。このとき、免疫活性化剤としてのDNAと、GITRシグナル発生剤としてのDNAとは、同じ分子(すなわち、一つのベクター中に腫瘍抗原をコードするDNAと、GITRLまたはGITRアゴニストポリペプチドをコードするDNAとの両方をコードしたもの)として構成することもできるし、別々の分子として構成することもできる。
「遺伝子銃」とは、ガスなどの圧力によって、細胞・組織・生体などの標的部位に核酸(DNAまたはRNA)を導入するための遺伝子導入法の一つである。核酸は、適当な担体(例えば、金粒子)の表面にコートされた状態で標的部位に打ち込まれる。
免疫活性化剤、またはGITRシグナル発生剤を生体内で発現可能な組換え組換えベクターとする場合には、そのようなベクターとしてプラスミド、ファージ、コスミド、ウイルス、及び本技術分野において従来用いられているその他のベクターを用いることができる。当業者であれば、例えば、edit. Sambrook et al., Molecular Cloning A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory (1989) N.Y.)、及び、edit. Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (1987) John Wiley & Sons等に記載された技術により、様々なプラスミド及びベクターを構築することができる。
遺伝子発現用に使用するプロモーター、ターミネーター等の宿主内における発現制御を行う因子は、当業者であれば宿主の種類及び目的に応じて公知の制御配列から適宜選択し、腫瘍抗原遺伝子・GITRL遺伝子・GITRアゴニストポリペプチド遺伝子の上流及び/または下流に配置することが可能である。このとき、腫瘍抗原遺伝子・GITRL遺伝子・GITRアゴニストポリペプチド遺伝子由来の制御配列を用いてもよいし、異種の制御配列を用いることもできる。また、必要に応じて、抗生物質耐性マーカー等のマーカーを発現ベクターに用いることもできる。本発明におけるワクチン(免疫活性化剤またはGITRシグナル発生剤であって、DNAから構成されるもの)は、プラスミドとしてそのまま使用可能であるが、リポソーム内へのパッケージ、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、アデノウイルス関連ベクター及びHVJベクター等の各種ウイルスベクターとして形成することができる(例えば、K. Adolph “ウイルスゲノム法” CRC Press, Florida (1996) 参照)。また、コロイド金粒子等の担体にコートして用いることができる。担体粒子をポリヌクレオチドでコートする技術は公知である(例えば、WO93/17706参照)。
本発明の抗腫瘍ワクチンは、いかなる方法により投与することもできるが、適当な非経口経路、例えば静脈内、腹腔内、皮下、皮内、脂肪組織内、乳腺組織内、吸入または筋肉内の経路を介して注射、注入、またはガス誘導性粒子衝撃法(電子銃等による)、点鼻薬等の形態での粘膜経路を介する方法等により投与することが好ましい。これらの投与方法うち、加速粒子による遺伝子形質転換技術は、米国特許第4,945,050号、第5,240,842号等にも記載されており、その改良法に基づく装置も市販されている(Biorad Laboratories)。
本発明における哺乳類の種類は特に限定されないが、例えばマウス、ラット、ウサギ、イヌ、猫、豚、ヒツジ、牛、馬、並びに、サル及びヒト等の霊長類が含まれる。これらのうち、ヒトがより好ましい。
本発明において用いられる抗腫瘍ワクチンの投与量は、疾患の種類、程度、性別、年齢、体重、投与経路等によって異なり、それぞれ適当な量を用いることができるが、通常は一回あたり0.001μg〜1000mg、好ましくは0.01μg〜10mg、より好ましくは0.1μg〜100μgを投与する。
本発明によれば、腫瘍に対するワクチン療法において、CD4CD25制御性T細胞による免疫抑制効果を調節可能な抗腫瘍ワクチン等を提供することができる。
次に、本発明の実施形態について、図表を参照しつつ説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
<材料及び方法>
マウス
雌性BALB/cマウスは7週齢〜10週齢のものを日本クレアから購入し、三重大学医学部動物センターにて飼育した。実験プロトコールについては、三重大学医学部の倫理委員会の承認を得た。
ガン細胞
CMS5は、BALB/c由来の細胞株を3−メチルコラントレンで誘導されたザルコーマ細胞株である。CMS5aは、CMS5から得られたサブクローン細胞株であり、変異MAPキナーゼ及び変異ERK2(mERK2)を発現する腫瘍細胞である。P1.HTRは、DBA/2由来の肥満細胞腫P815のサブクローン細胞株である。
遺伝子銃による免疫
プラスミドDNA(インジェクション当り1μg)をコートした金粒子を調製し、BALB/cマウスの剃毛した腹壁に注射した。注射には、ヘリオス・ジーン・ガン・システム(バイオラド社製)を使用した。注射時のヘリウムガス圧力は、350〜400psiとした。
抗体と試薬
CD8T細胞とCD4T細胞は、抗CD4抗体(GK1.5、ラットIgG2b)及び抗CD8抗体(19/178、ラットIgG2b)を尾静脈に投与することにより取り除いた。抗CD3モノクローナル抗体(mAb)(145−2C11、ハムスターIgG1)、FITC結合抗CD4mAb(GK1.5、ラットIgG2b)、抗CD8mAb(53−6.7、ラットIgG2a)、及びPE結合抗CD25mAb(3C7、ラットIgG2b)は、BDバイオサイエンスから購入した。合成mERK2136−144−9mペプチド(アミノ酸配列:QYIHSANVL)、及びHER2p63−71(T)ペプチド(アミノ酸配列:TYLPTNASL)は、宝酒造株式会社から購入した。CTLエピトープ9mを含むmERK2の領域をコードするcDNAは、pCAGGS−Newにクローニングし、エンドフリー・プラスミド・ミクシー・キット(キアゲン社)を用いて精製した。pCAGGS−Newは、阪大の宮崎博士からの提供を受けた。マウスGITRL cDNAは、後述のプライマーを用いて、マウス脾臓cDNAライブラリーから逆転写し、pCDNA3.1(インビトロージェン社)にクローニングした後、エンド・フリー・プラスミド・マクシー・キット(キアゲン社)にて精製した。
フローサイトメトリー及びテトラマー染色
細胞は、2%ウシ胎児血清を含むPBSに4℃にて15分間の処理を行い、表面を染色した後、FACS Calibur フローサイトメトリー(BDバイオサイエンス社)にて解析した。テトラマー染色は、既報(Nishikawa H, Sato E, Briones G, Chen LM, Matsuo M, Nagata Y, Ritter G, Jager E, Nomura H, Kondo S, Tawara I, Kato T, Shiku H, Old LJ, Galan JE, Gnjatic S. In vivo antigen delivery by a Salmonella typhimurium type III secretion system for therapeutic cancer vaccines. J Clin Invest. 2006;116:1946-1954)に従って実施した。簡単に説明すると、次の通りである。CD8T細胞をFITC−CD8モノクローナル抗体(BDバイオサイエンス社)にて4℃、15分間染色した後、PE標識9m−Kテトラマー(ルートビッヒ協会コア機関(Ludwig Institute Core Facility)のギルモア博士らによる調製)にて37℃、15分間染色した。細胞を洗浄後、細胞をFACSCalibur(BDバイオサイエンス社)にて解析した。
細胞の精製
脾細胞を抗CD8マイクロビーズ(ミルテニュイ・バイオテック社)と混合した後、MACSカラムを用いた陽性選択によりCD8T細胞を分離した。得られたCD8T細胞は、更に95%以上の純度となるまで精製した。いくつかの実験においては、これらのCD8T細胞は、更にFITC抗CD8染色及びPE−9m−Kテトラマー染色後にFACSAriaフローサイトメトリー(BDバイオサイエンス社)によりCD89m−KテトラマーT細胞に精製した。このCD4CD25T細胞の純度は、99%以上であった。CD4単離キット(ミルテニュイ・バイオテック社)を用いた陰性選択によりCD4T細胞を濃縮した後、FITC抗CD25抗体とPE抗CD4抗体を用いた染色処理し、FACSAriaフローサイトメトリー(BDバイオサイエンス社)にてCD4CD25T細胞を精製した。CD4CD25T細胞の純度は、99%以上であった。
酵素結合免疫スポット(ELISPOT)アッセイ
IFN−γを分泌するペプチド特異的CD8T細胞の個数は、既報に従ってELISPOTアッセイによって調べた。その方法を簡単に示すと以下の通りである。ラット抗マウスIFN−γ抗体(R4−6A2、ファルミンジェン(PharMingen)社製)をコートした96穴ニトロセルロースコート・マイクロタイタープレート(ミリポア社製)に、精製した1x10個のCD8T細胞を、mERK2136−144−9mまたはHER2p63−71(T)ペプチドでパルス刺激した1x10個のMMC−処理P1.HTRと共に24時間培養した。ビオチン化抗マウスIFN−γ(XMG1.2、ファルミンジェン社製)、アルカリフォスファターゼ結合ストレプトアビジン(マブテック(MABTECH)社製)、及びアルカリフォスファターゼ基質キット(バイオラド社製)を用いてスポットを発育させた後に、その数をカウントした。
腫瘍の誘導
5匹のマウスのそれぞれの右後背部の皮下に1x10個のCMS5aを含むPBS(0.2ml)を投与し、腫瘍の発育を1週間に渡って観察した。直径が5mmより大きな腫瘍を原発腫瘍として計数した。
増殖試験
9m単独またはGITRLと共に免疫したマウスから得られたCD89m−KテトラマーT細胞(1x10個)を、ワイルドタイプBALB/cマウス由来の放射能処理した脾臓のThy−1抗原提示細胞(APC)(5x10個)と共に、1μg/mlの抗CD3モノクローナル抗体の存在下、96穴フラット底プレートで培養した。
この培養系において、CD4CD25T細胞を加えた。72時間の培養時間のうち最後の6時間に、1穴あたり0.5μCiの[H]チミジンを添加することにより、細胞増殖を評価した。[H]チミジンの取り込みをシンチレーションカウンターにより測定した。
統計解析
統計的な有意差は、スチューデントt検定により評価した。
<試験結果>
抗原特異的CD8 T細胞の誘導は、GITRLの投与の有無によって評価した。
本発明者らは、抗原特異的CD8T細胞の初期または/及びメモリー反応をGITRシグナルが増強させるか否かを評価した。初回免疫、追加免疫、または両免疫におけるGITRシグナルの効果を調べた。BALB/cマウスに対して、CMS5に対する腫瘍拒絶抗原であるmERK2をコードしたプラスミドを単独で、またはマウスGITRLをコードしたプラスミドと共に、2回の免疫を行った。2回目の免疫から1週間後に脾臓からCD8T細胞を調製し、特異的T細胞の誘導をELISPOTアッセイによって評価した。図1(A)に示すように、マウスGITRLをコードしたプラスミドを初回免疫または初回免疫と追加免疫との両方で、mERK2をコードしたプラスミドと共に投与した群では、mERK2をコードしたプラスミドのみを投与した群に比べると、約10倍の特異的T細胞が誘導された。これに対し、追加免疫の際にmERK2をコードしたプラスミドとマウスGITRLをコードしたプラスミドを共に投与した群では、特異的CD8T細胞の誘導の効果は限定されたものとなった。
GITRLによるGITRシグナルは、GITRアゴニスト的モノクローナル抗体によるGITRシグナルに比べると、特異的T細胞の誘導を強めやすい。
従来の知見によれば、マウスに対して、ヒトgp100を免疫するときに、抗GITRアゴニスト的モノクローナル抗体(DTA−1)を共に投与すると、特異的T細胞の誘導が強化されることが知られている。この知見に基づき、我々は、GITRLシグナルが、DTA−1と同様に、特異的T細胞の誘導を強化するか否かを調べた。BALB/cマウスに対して、9mをコードしたプラスミドの単独投与、9mをコードしたプラスミドとマウスGITRLをコードしたプラスミドとの共投与、9mをコードしたプラスミドとDTA−1との共投与を2回に渡って免疫した。2回目の免疫から1週間後に脾臓からCD8T細胞を調製し、特異的T細胞の誘導をELISPOTアッセイによって評価した。驚いたことに、マウスGITRLをコードしたプラスミドを経由したGITRシグナルは、GITRアゴニスト的モノクローナル抗体によるGITRシグナルに比べると、細胞障害性T細胞(CTL)のエピトープである9m特異的CD8+T細胞の誘導について、より有効に働くことが分かった(図2)。
GITRLの共投与によって、投与された腫瘍細胞の拒絶は、CD8依存的に強化される。
次いで我々は、CMS5aモデル系における腫瘍からの回復能力を調べることにより、GITRシグナルが腫瘍拒絶効果の増強を示すか否かを調べた。BALB/cマウスに1x10個のCMS5a細胞を接種した。腫瘍接種と同日に、遺伝子銃によって、マウスに対する免疫を行った。腫瘍の増殖を見るために、腫瘍の大きさを1週間あたりに3回計測した。コントロール群に比べると、CTLエピトープ9mをコードしたプラスミドを免疫した群では、腫瘍増殖を遅延させたものの、CMS5a腫瘍を完全には排除できなかった。これに対し、CTLエピトープ9mをコードしたプラスミドとGITRLとを共免疫した群では、CMS5a腫瘍を排除することができた(図3(A))。
腫瘍退行を誘導するためのGITRシグナルを起こさせる共投与物のメカニズムを探るために、GITRシグナルを起こす物質を共投与された腫瘍細胞接種マウスからCD8T細胞またはCD4T細胞を取り除いたときの効果を確認した。抗CD8モノクローナル抗体を投与すると、GITRシグナルを起こす物質を共投与されたときの効果は、著しく減少した。これに対し、抗CD4モノクローナル抗体を投与した場合には、GITRシグナルを共投与されたときの腫瘍退行は影響を受けなかった(図3(B))。これらの結果より、GITRシグナルを起こす物質を共投与されたときの効果は、CD8依存的であることがわかった。
9mをコードしたプラスミドとGITRLをコードしたプラスミドとを共免疫したマウスから調製された腫瘍抗原特異的CD8 T細胞は、CD4 CD25 制御性T細胞による抑制効果に対抗し得る。
最近の研究によれば、腫瘍部位には多数のCD4CD25制御性T細胞が存在しており、この制御性T細胞が抗腫瘍反応を起こすためのシグナルを押さえているらしい。GITRシグナルを起こす物質を共投与されたときの腫瘍退行効果について、GITRシグナルがCD4CD25制御性T細胞の抗腫瘍反応抑制活性に影響を与えるか否かを評価した。GITRシグナルがCD8T細胞を通して直接に作用するというデータに基づき、9mをコードするプラスミドとGITRLをコードするプラスミドとを共免疫されたマウスでは、抗原特異的CD8T細胞がCD4CD25制御性T細胞の抑制反応に対抗し得るのではないかと考えた。
BALB/cマウスに対し、9mをコードしたプラスミドのみの免疫(9m)、9mをコードしたプラスミドとマウスGITRLをコードしたプラスミドとの共免疫(9m+GITRL)を2回づつ行い、CD89mKテトラマーT細胞に該当する9m特異的T細胞(CTL)の個数を調べたところ、9mをコードしたプラスミドのみで免疫した群に比べると、9mをコードしたプラスミドとGITRLをコードしたプラスミドとの両方を免疫した群では、ELISPOTアッセイによれば、4倍の個数が認められた。CD8T細胞を調整した後、FACSAriaを用いて、CTLエピトープ9m特異的T細胞を精製したところ、純度は99%以上であった。BALB/cマウス(何の抗原免疫をしていないもの)の脾臓から調整した1x10個のCD4CD25制御性T細胞を、1x10個のCD89m−KテトラマーT細胞と、放射線処理後BALB/cマウスの脾臓から調整した5x10個のThy−1抗原提示細胞とに加え、抗CD3モノクローナル抗体と共に培養した。細胞増殖は、前述の方法に従って評価した。
CTLエピトープ9mをコードしたプラスミドのみで免疫したマウスから得られたCD89m−KテトラマーT細胞の増殖は、CD4CD25制御性T細胞によって、完全に抑制された。これに対し、CTLエピトープ9mとGITRLをコードしたプラスミドで免疫したマウスから得られたCD89m−KテトラマーT細胞の増殖能は維持されていた(図4)。上記2種類の抗原特異的CD8T細胞の表面抗原を調べたが、際だった相違は認められなかった。これらの結果より、初回及び追加免疫の際にGITRシグナルを起こす物質を共投与することにより、CD4CD25制御性T細胞の細胞増殖抑制効果を減少させられることがわかった。
<考察>
我々は、マウスGITRLをコードしたプラスミドを作成し、この分子の能力について、次の(1)〜(3)を評価した。(1)抗原特異的CD8T細胞の誘導が増強されるか否か、(2)腫瘍拒絶能力が増強されるか否か、及び(3)抗原特異的CD8T細胞がCD4CD25制御性T細胞の細胞増殖抑制効果に対抗しうるか否か。マウスに対して、CMS5aの腫瘍拒絶抗原であるmERK2とマウスGITRLとをコードしたプラスミドを初回及び追加免疫の際に用いたところ、10倍の抗原特異性CD8T細胞が誘導された(図1(A))。更に、CTLエピトープ9mとGITRLとをコードしたプラスミドを共免疫したところ、CTLエピトープ9mをコードしたプラスミドを単独で免疫した場合には得られなかったCMS5a腫瘍排除能が認められた(図3(A))。これらのデータは、GITRシグナルを生じさせるものを癌抗原と同時に投与することにより、癌ワクチンの効果を増強できることを示している。
CTLエピトープ9m特異的CD8T細胞を誘導させる場合に、GITRアゴニスト的モノクローナル抗体を通してGITRシグナルを生じさせる場合に比べると、GITRLをコードしたプラスミドを通してGITRシグナルを生じさせた方が、より効果が高いことがわかった(図2)。このことは、CTLエピトープとマウスGITRLとをコードしたプラスミドを同じ抗原提示細胞に取り込ませることが可能なヘリオス・ジーン・ガン・システムを用いたことに依るのかも知れない。つまり、モノクローナル抗体の場合には、全身投与となるために、GITRシグナルの作用がCTLエピトープを取り込んだ抗原提示細胞で働くとは限らないからである。今回のモノクローナル抗体の投与量が最適でなかったために、十分な効果が得られなかった可能性がある。しかし、GITRアゴニスト的抗体を過剰に投与すると、免疫寛容状態が崩れてしまい、致命的な自己免疫疾患を引き起こすことが知られている。このように、GITRシグナルの調節は難しいが、遺伝子銃(遺伝子銃)を用いることにより、ガン抗原を取り込んだ抗原提示細胞と同じ細胞中にGITRシグナルを生じさせることができるので、効果的であると考えられる。
標的細胞へのGITRLの導入効果を増強するために、mERK2から得られた腫瘍特異的CTLエピトープ9mをコードしたミニジーンプラスミドを作成し、mERK2の全配列を用いた場合のCD4ヘルパーT細胞の活性化を避けた。また、抗CD4モノクローナル抗体を用いることにより、免疫操作を行っている間のCD4T細胞を排除した。CTLエピトープ9mとマウスGITRLとをコードしたミニジーンプラスミドで免疫したマウスと、抗CD4モノクローナル抗体を投与したマウスでは、抗原特異的CD8T細胞の誘導増強には影響が認められなかったことから、GITRLは直接的にCD8T細胞に作用していると考えられた。この仮説は、GITRLの共投与による腫瘍排除能力の増強が抗CD8モノクローナル抗体によって完全に抑制されたことによっても裏づけられる。これに対し、抗CD4モノクローナル抗体を投与した場合には、GITRLの共投与による腫瘍排除能力の増強効果には、影響が見られなかった(図3(B))。
抗CD25モノクローナル抗体が抗原特異的活性化T細胞を排除している可能性は残るものの、上記データによれば、GITRLは抗原特異的CD8T細胞に対して直接的に作用し、CD4T細胞、特にCD4CD25制御性T細胞には関与が少ないことがわかった。今回得られたデータは、GITR刺激がCD8CD25T細胞の増殖活性を増強させ、CD4CD25T細胞の増殖活性は刺激しないという従来の知見と一致するものである。一方、GITRアゴニスト的モノクローナル抗体を用いたDNA免疫による特異的T細胞の誘導は、CD4T細胞の除去によって減少することが知られている。このことは、遺伝子銃を用いたときのGITRシグナルと、モノクローナル抗体を用いたときのGITRシグナルとが、異なる形態を取っていることを示しているのかも知れない。
最近になって、異種DNA免疫単独の場合に比べると、異種DNA免疫とGITRアゴニスト的モノクローナル抗体とを組み合わせることによって、抗原特異的CD8T細胞の誘導が増強されること、及びGITRアゴニスト的モノクローナル抗体(DTA−1)は初回免疫ではなく、追加免疫の際に共投与することによって、その効果が認められることが示された。更に、初回免疫及び追加免疫の両方にDTA−1を投与すると、細胞死を誘導してしまうことも示されている。この知見は、今回の我々の結果とは、著しい対比を示すものである。本研究では、遺伝子銃モデルを用いることにより、更に良好な結果を得ることができた。マウスに対して、ヒトHER2をコードしたプラスミドを単独で或いはマウスGITRLをコードしたプラスミドと共に2回の免疫を行うことにより、HER2とマウスGITRLとをコードしたプラスミドを追加免疫のときにのみ投与した場合に比べると、HER2特異的CD8T細胞の増強が認められた。
これに対しマウスに、HER2とマウスGITRLとをコードしたプラスミドを初回及び追加免疫の際、または初回免疫の際に用いた場合には、HER2特異的CD8T細胞は減少した。これらのデータは従来の知見と矛盾しないものであり、GITRシグナルを臨床的に用いる場合には、重要な知見となる。ヒト腫瘍抗原はほとんどの場合に自己抗原なので、本研究で用いたヒト腫瘍抗原に関する実験系は臨床応用に際して非常に重要なものである。異種抗原とマウス腫瘍自己抗原とを用いた場合の免疫反応の相違は、GITRシグナルを同時に生じさせたときに(特に低濃度の抗CD3抗体を用いた場合)、ほぼ適当な抗原刺激が認められるという従来の知見と同様に、もっともらしい。
驚くべきことに本研究では、9mとGITRLとをコードしたプラスミドで免疫したマウスから得られたCTLエピトープ9m特異的CD8T細胞は、CD4CD25制御性T細胞による免疫抑制反応に対抗し得ること、及びCD4CD25制御性T細胞の腫瘍局所への浸潤にも対抗して腫瘍拒絶効果を発揮し得ることがわかった。GITRによる刺激によってCD4CD25制御性T細胞の活性が抑制されてしまうという可能性も否定はできないが、GITRシグナルは培養期ではなく免疫時にのみ作用していることから考えると、GITRシグナルはCD4CD25制御性T細胞に対して直接に作用するのではなく、CTLエピトープ9m特異的CD8T細胞に作用を及ぼすものと考えられた。現在までに同定されているほとんどのヒト腫瘍抗原は自己抗原であることからすると、CD4CD25制御性T細胞による免疫抑制活性を打破することは、非常に重要なポイントである。全身的にCD4CD25制御性T細胞の活性を落としてしまい、非特異的な制御メカニズムを阻害してしまうと、自己免疫疾患を生じさせてしまう。そこで、CD4CD25制御性T細胞を調節しつつ、抗原特異的なCD8T細胞に対抗する制御性T細胞のみを抑制することが癌ワクチンの開発にとって重要である。
このように本実施形態によれば、腫瘍に対するワクチン療法において、CD4CD25制御性T細胞による免疫抑制効果を調節可能なものを提供することできた。
抗原特異的CD8T細胞の誘導は、GITRLを共投与することによって増強されることを示すグラフである。 (A)BALB/cに対して、mERK2をコードするプラスミドを単独で投与、またはマウスGITRLをコードするプラスミドを共投与したときの結果を示す。CD8T細胞は、2度目の免疫から1週間後に脾臓から調製し、特異的T細胞の誘導は、ELISPOTアッセイにより調べた。標的細胞は、mERK2136−144−9m−パルス投与P1.HTR(黒棒)またはHER2p63−71(T)−パルス投与P1.HTR(白棒)である。 (B)BALB/cに対して、9mをコードするプラスミドを単独で投与、またはマウスGITRLをコードするプラスミドを共投与したときの結果を示す。ランゲルハンス細胞におけるGITRLの発現は、フローサイトメトリーによって調べた。 これらの実験は、2回〜4回に渡って、同様の結果が得られた。データは、平均値±SDで示した。
GITRアゴニスト的モノクローナル抗体を経由したGITRシグナルに比べると、GITRLを経由したGITRシグナルの方が、特異的T細胞の誘導効果が強いことを示すグラフである。 BALB/cマウスに対して、9mをコードしたプラスミドを単独で免疫、またはマウスGITRLをコードしたプラスミドと共に免疫した。右端の群には、抗GITRアゴニスト的モノクローナル抗体(DTA−1)を共投与した。CD8T細胞は、2度目の免疫から1週間後に脾臓から調製し、特異的T細胞の誘導は、ELISPOTアッセイにより調べた。標的細胞は、図1に示したものと同じである。実験は、2回実施し、同様の結果を得た。データは、平均値±SDで示した。
GITRLの共投与により、CD8T細胞依存的に腫瘍拒絶効果が認められたことを示すグラフである。 (A)BALB/cマウスに対して1x10個のCMS5aを皮下投与し、9mをコードするプラスミドを単独で免疫、またはマウスGITRLをコードするプラスミドを共投与した。 (B)BALB/cマウスに対して1x10個のCMS5aを皮下投与し、9mをコードするプラスミドを単独で免疫、またはマウスGITRLをコードするプラスミドを共投与した。このとき、抗CD4モノクローナル抗体(GK1.5)、または抗CD8モノクローナル抗体(Lyt−2.2)を投与した群を設けた。 各群には5匹のマウスを使用した。マウスは、1週間について、3度の観察を行った。実験は、2回〜4回行い、同様の結果を得た。データは、平均値±SDで示した。
9mとGITRLをコードしたプラスミドで免疫したマウスから得られた腫瘍抗原特異的CD8T細胞が、CD4CD25制御性T細胞の免疫抑制効果に対抗し得ることを示すグラフである。 BALB/cマウスに対して、9mをコードしたプラスミドを単独で、またはマウスGITRLをコードしたプラスミドと共に、2回投与した。CD89m−KテトラマーT細胞は、FACSAriaセルソーターによって分離した。BALB/cマウスから脾臓由来CD4CD25制御性T細胞を調製し、1x10個のCD89m−KテトラマーT細胞と、5x10個の放射能処理後BALB/cマウスの脾臓由来Thy−1抗原提示細胞との培養系に加え、CD3モノクローナル抗体存在下で培養した。実験は2回実施し、同様の結果を得た。データは、平均値±SDで示した。

Claims (9)

  1. 腫瘍抗原に対する抗体を作成させるための免疫活性化剤と、GITRシグナルを起こさせるGITRシグナル発生剤とを含むことを特徴とする抗腫瘍ワクチン。
  2. 前記免疫活性化剤が、前記腫瘍抗原をコードする核酸であることを特徴とする請求項1に記載の抗腫瘍ワクチン。
  3. 前記GITRシグナル発生剤が、GITRLまたはGITRアゴニストポリペプチドをコードする核酸であることを特徴とする請求項1または2に記載の抗腫瘍ワクチン。
  4. 前記免疫活性化剤が、前記腫瘍抗原をコードするDNAであり、前記GITRシグナル発生剤が、GITRLまたはGITRアゴニストポリペプチドをコードするDNAであって、両剤が遺伝子銃で使用可能な担体にコートされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の抗腫瘍ワクチン。
  5. 前記GITRシグナル発生剤が、GITRアゴニスト的抗体、またはGITRアゴニストであることを特徴とする請求項1または2に記載の抗腫瘍ワクチン。
  6. 哺乳類に対して、CD4CD25制御性T細胞の制御機構を調節しつつ、腫瘍抗原特異的CD8T細胞を誘導する方法であって、腫瘍抗原に対する抗体を作成させるための免疫活性化剤を投与する際に、GITRシグナルを起こさせるGITRシグナル発生剤を投与することを特徴とする腫瘍治療方法。
  7. 前記免疫活性化剤が、前記腫瘍抗原をコードする核酸であることを特徴とする請求項7に記載の腫瘍治療方法。
  8. 前記GITRシグナル発生剤が、GITRLまたはGITRアゴニストポリペプチドをコードする核酸であることを特徴とする請求項6または7に記載の腫瘍治療方法。
  9. 前記免疫活性化剤が、前記腫瘍抗原をコードするDNAであり、前記GITRシグナル発生剤が、GITRLまたはGITRアゴニストポリペプチドをコードするDNAであって、両剤を遺伝子銃に使用可能な担体にコートして、遺伝子銃で哺乳類に投与することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一つに記載の腫瘍治療方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2013031882A1 (ja) * 2011-08-31 2015-03-23 国立大学法人三重大学 がん治療用ワクチン製剤

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