JP2022553192A - 癌ワクチン - Google Patents

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Abstract

本発明は、特に、癌の治療に使用するための、少なくともMAGED4Bタンパク質をコードする核酸ワクチンに関する。他の抗癌剤、特に免疫チェックポイント阻害薬との相乗的組み合わせについて記載される。癌ワクチンは、免疫応答を高めるための免疫学的に活性なフラグメント、およびFJX1などの追加の癌抗原をさらに含み得る。着目すべき特定の併用療法としては、免疫療法、放射線治療、標的療法および化学療法が挙げられる。【選択図】図1

Description

本発明は、核酸ベース癌ワクチン、その使用、癌、特に口腔癌の治療または予防方法、および関連併用療法に関する。発明者らは、いくつかの癌型に対する核酸ベース癌ワクチンの有用性を実証した。着目すべき特定の併用療法としては、免疫療法、放射線治療、標的療法および化学療法が挙げられる。
本発明は、特に、癌の治療に使用するための、少なくともMAGED4Bタンパク質をコードする核酸ワクチンに関する。他の抗癌剤、特に免疫チェックポイント阻害薬との相乗的組み合わせについて記載される。癌ワクチンは、免疫応答を高めるための免疫学的に活性なフラグメント、およびFJX1などの追加の癌抗原をさらに含み得る。
本明細書で記載のワクチンによる治療に好適な唯一の癌ではないが、着目すべき特定の癌の1種は、口腔癌および中咽頭癌である。口腔癌および中咽頭癌(一般的に、頭頸部癌;HNSCCと呼ばれる)は一緒のグループに分類される、世界中で6番目に多い癌である(年間の発生率は、口腔癌(OSCC)が275,000症例、中咽頭癌(OPSCC)が130,300症例と推定されている)。UKでは、HNSCCの発生率が1970年代の後期以来劇的に増加し(+92%)、7500症例/年になった;UKのOPSCCの発生率の増加は、ヒトパピローマ(HPV)感染症に関連しているが、OSCCの発生率の増加の原因は明確でなく、発生率は、大きく上昇を続けると推定されている。患者の管理は、多くの場合、手術および/または放射線治療とこれに続く再建術およびリハビリテーションを伴う高価な学際的手法により行われる。治療は、顕著な身体的および精神的病的状態をもたらし、多くの患者にとって、寿命を延長するものになり得ない。手術および放射線治療は、標準的治療のまま残されているが、改善にもかかわらず、顕著な病的状態および比較的変動しない約50~60%の5年生存率を伴う。既存の抗腫瘍免疫応答の増強に基づく、CTLA4およびPD1/PDL1に対する免疫チェックポイント阻害薬は、全ての癌型にわたって有効性を示し、HNSCC患者をα-PD1で治療する最近のKEYNOTE 012試験は、18%の奏効率をもたらした(J.Clin.Oncol.34,3838-3845(2016).British Journal of Cancer119,153-159(2018))。しかし、ほとんどの患者は、おそらく、充分に強力な既存の抗腫瘍免疫応答がないために、チェックポイント阻害剤療法に応答しない。HPV抗原を標的とするHPV促進HNSCCの治療に対する実験的手法がいくつかの会社により開発されている。これらには、ペプチドワクチン、mRNAおよびDNAワクチンが挙げられる。しかしながら、大部分の口腔癌および中咽頭癌は、HPV陰性であり、この患者群における生存率は、HPV陽性腫瘍の患者群よりもかなり低い。世界中で、年間、6,000,000人のHPV陰性HNSCC患者が治療を必要としている。この疾患では、従来、ワクチン接種手法が探求されてきたのは極めて少数に過ぎない。
それぞれの腫瘍ミュータノームに基づく患者特異的ワクチンの開発に対する興味深い将来性が存在するが、このような手法の高価であること、および技術的困難性は、たとえ成功しても、ほとんどの患者に利益をもたらす見込みはありそうにない。汎用癌ワクチンの製造のために患者間で共有される共通腫瘍抗原の特定は、安価で幅広く利用可能なOSCCの治療を提供することになろう。異なる型のTAAの内で、癌/精巣(CT)抗原は、極めて有望な治療標的であり、CT抗原に対する細胞性および液性免疫応答は、癌患者で高頻度に観察され、CT抗原発現と腫瘍免疫浸潤物の細胞溶解活性との間には相関が存在する。CT抗原の免疫原性および癌特異性は、それらを癌免疫療法のための優先的標的にし、それらの治療作用を種々の臨床設定において試験した。CT抗原ワクチンは通常、耐容性良好であり、現在、それらの治療効力を評価する多数の癌ワクチン接種試験が進行中である。口腔癌および中咽頭癌などの癌の治療または予防のために効果的に標的化され得る腫瘍抗原を特定することが必要とされている。
本発明者らはまた、本明細書で記載の癌抗原を発現する、または本明細書で記載の癌ワクチンによる治療に好適する可能性のある他の癌型も特定した。このような癌には、頭頸部癌、口腔癌、中咽頭癌、上咽頭癌、肺癌、乳癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、結腸癌、腎臓癌、胆管細胞癌腫、皮膚黒色腫、直腸癌、甲状腺癌、膀胱尿路上皮癌、腎癌および胃腺癌が挙げられる。当業者は、ワクチンの作用機序に基づいて、癌ワクチンが効果的である癌型をさらに認識するであろう。癌抗原が種々の癌型で発現される証拠は、図29に含まれる。
本明細書で主に関心のある癌抗原は、MAGED4B抗原である。これは、腫瘍細胞または癌関連細胞を含む1種または複数の癌に付随する細胞の表面上で発現し得る。本明細書で関心のある別の癌抗原は、FJX1抗原である。これらは、両方とも、同じ癌で発現され、例えば、1種または複数の癌細胞もしくは癌に付随する細胞の表面上で、または腫瘍の癌微小環境中で発現される。従って、ワクチンは、片方または両方の癌抗原を含み得る。
以前に、MAGED4Bおよび/またはワクチン接種のために、ペプチドがMHCクラスI分子と結合して、抗癌免疫応答を誘導できるようにそのタンパク質を切断することにより、FJX1タンパク質は小さいペプチドに分解できることが明らかにされた(WO2018/169385)。これらのペプチドは、MHCクラスI分子の溝が8~10アミノ酸またはそれより僅かに長いペプチドを許容し得るので、サイズに制限を課すMHCクラスI分子に結合できるものに限定される。
しかし、このようなペプチドは、患者が長続きする抗癌応答を誘導するのを支援するのに充分に持続的な免疫応答を活性化しないと考えられている。
MAGED4BおよびFJX1は両方とも、自己タンパク質であるので、これらの標的のいずれか1種または複数に対し成功する癌ワクチンの開発に伴う主要な問題は、ワクチン接種を必要とする患者がこれらの抗原に対し既に自己免疫寛容化されていることである。さらに、MHCクラスI分子のみの標的化は、抗癌応答をもたらすための十分な免疫応答を生じないことが明らかになった。このようなワクチン手法は、臨床的有効性に必要な、効力の高い、バランスのとれた、長続きするCD4プラスCD8 T細胞発現を誘発しない。これらの抗原が癌ワクチン用の良好な標的として特定されたにもかかわらず、残念なことに、この技術は、現在まで、臨床設定で使用され得るワクチンを産生しなかった。
さらに、小さいペプチドとしてワクチンを提供することにより、ワクチンは、極めて特殊な方式で機能し、集団の特定の部分にワクチンの有用性を限定できる、特定の型のヒト白血球抗原(HLA)を標的化する。従って、ペプチド由来のワクチンは、それを必要とする集団の部分を欠いている汎集団ワクチンを提供できず、これは、患者は、それらに好適するかどうかを調べるために試験される必要があることを意味する。
治療癌ワクチンは一般的に、3つの大きなハードル:低免疫原性;既発疾病負荷;および免疫抑制腫瘍微小環境、を克服する必要がある。MAGED4BおよびFJX1などの異常発現自己抗原は、このハードルに直面し、これらの自己抗原を認識する高親和性T細胞は、中枢性および末梢性免疫寛容機序により除去される。従って、ペプチドワクチンは、今のところ、十分に低い親和性のT細胞を活性化している。しかし、免疫応答を刺激するために必要な高用量の補助剤は、患者に対し顕著な副作用を有すると思われる。従って、MAGED4Bおよび/またはFJX1を発現している癌患者の腫瘍を除去するのを支援可能にする長期にわたり満たされていないニーズが未だに存在する。
これらの問題は、これらの抗原に対するワクチンは単独では、これらの患者の治療において、それ自体で、効果的でありそうにないという大きなリスクが存在したようなものである。しかし、本発明者らは、意外にも、良好な免疫応答を示し、臨床的有効性に必要なCD4プラスCD8 T細胞を生じ、さらに、特定の用途ではなく一般的な用途用であり得ることを意味する汎集団効果をもたらすワクチンを開発することが可能であることを見出した。さらに、本発明者らは、本発明のワクチンを使用する場合、癌に付随する細胞を標的化し、それを他の抗癌剤の効果から保護することにより、癌を追加の化学療法剤または免疫療法薬に対し、一般的に、より高い感受性にするいくつかの追加の有益な効果に気付いた。この刺激的な展開は、治療を必要としている患者の治療に大きな利益がある。
さらに、本明細書で記載の癌ワクチンは、追加の抗癌剤と相乗的に作用し得るといういくつかの証拠があり、これは、組み合わせの手法が癌の完全寛解を確実にするために臨床的に推奨されることが多いので、これらの癌型の治療における刺激的展開である。
成功裡に癌ワクチンを得るために、ワクチンは、細胞に入り、インビボで発現される必要があり、それにより主要組織適合性分子(MHC)上での抗原提示およびT細胞認識を可能にする。細胞傷害性T細胞(表面マーカーCD8を有する)のヘルパーT細胞(表面マーカーCD4を有する)に対する共誘導は、重要である。CD4+およびCD8+T細胞の両方は、いくつかのサブセットを含む。従って、およびDNAワクチンは、それを良好な臨床的候補であると考えることができる前に、多くの要件を満たさなければならい。
本発明者らは、関連モデルを用いて、ここで提示の前臨床データにより、所望の免疫応答が本発明のワクチンを用いて得られることを示した。特に、本発明者らは、ワクチン接種後のCD8+T細胞による効果的な腫瘍浸潤を示し、ワクチンの投与により刺激される可能性を有するが、一方で、新しく初回刺激を受けたT細胞の形成も誘発する、循環T細胞がヒト試料中に存在することを示した。データは、良好な発現および核酸ワクチンを遺伝子導入した細胞からのタンパク質の分泌を顕著に示し、これは、免疫監視機構に対し、その関連エピトープを提示するように適切にプロセッシングされる。さらに、マウスが、少なくとも1種のヒト抗原を発現している触知可能腫瘍を有するマウス腫瘍モデルでは、腫瘍サイズの減少に対するワクチンの影響を認めることができる。少なくともMAGED4Bタンパク質に関連する腫瘍は、特に高悪性度であると知られているので、このようなマウスモデルデータは、本発明者らを大いに勇気づける。
従って、本発明のワクチンは、腫瘍周辺の微小環境を変える能力を有することが示され、それを免疫系に「認識可能」にし、T細胞浸潤を許容し、腫瘍それ自体に対する免疫応答するのみでなく、全く意外にも、MAGED4Bタンパク質を同様に発現することが示された癌関連線維芽細胞に対してもさらに免疫応答する。従って、本発明によるワクチンは、免疫系および抗癌剤からこのような癌細胞を保護するように作用する腫瘍周辺の細胞を変える能力を有する。従って、本発明のワクチンは、広範囲に及ぶ癌微小環境の調節のための潜在的重要性を有し、腫瘍を免疫系に曝露し、腫瘍に対する免疫応答を強化し、従って、腫瘍細胞死を大きく支援する。
特に、本発明者らは、本発明のワクチンは、他の組織での発現のパターンが最小限であるので、身体中の正常組織に害を及ぼす可能性は極めて少ないことを見出した。従って、これは、このワクチンを臨床的に意義のあるものにする。従って、本発明は、腫瘍増殖を治療し、それに対し保護を提供する。
本発明の目的は、癌細胞、特に、口腔癌細胞および中咽頭癌細胞に対し適切な免疫応答を提供できる癌ワクチンを提供することである。
本発明は、核酸ワクチンの提供に関する。本明細書のいずれかの部分によるワクチンは、ワクチン組成物として配合し得る。核酸ワクチンは、癌の治療に使用するための癌ワクチンである。種々の代替ワクチンが記載される。本明細書で使用される場合、いずれかのタンパク質は、癌抗原として記載され得る。
癌ワクチンは、MAGED4Bタンパク質またはそのバリアントをコードする核酸を含み得る。これは、配列番号3または配列番号31に記載のような完全長タンパク質であってもよいが、これは、短縮または改変でき、それにより、十分な量のタンパク質が核酸により提供され、細胞内でタンパク質がプロセッシングされ、免疫系に提示されることを可能にする。好適な短縮化物は、配列番号35~配列番号37に記載されている。従って、MAGED4Bタンパク質は、本明細書に記載の完全長タンパク質の免疫原性フラグメントであり得る。配列MAGED4Bタンパク質は、さらに改変され、それにより、アミノ酸置換が作製される。このようなバリアント、改変および短縮化は、本明細書でさらに考察される。
既知のMAGED4Bのアイソフォーム(バリアント)は、配列番号41~配列番号43に記載されている。
別の定義では、癌ワクチンは、MAGED4Bタンパク質、またはそのバリアントおよび短縮バージョンをコードする核酸を含んでもよく、該核酸配列は、配列番号7、配列番号16、配列番号17、配列番号24、配列番号25または配列番号26に記載の通りである。バリアントおよび短縮化物は、本明細書で定義の通りである。
任意選択で、組成物はまた、FJX1タンパク質またはそのバリアントをコードする核酸を含み得る。タンパク質は、配列番号4もしくは配列番号33で記載される完全長タンパク質であってもよく、または短縮化もしくは改変されていてもよい。このようなバリアント、改変および短縮化は、本明細書でさらに考察される。
別の定義では、癌ワクチンは、FJX1タンパク質、またはそのバリアントおよび短縮バージョンをコードする核酸を含んでもよく、該核酸配列は、配列番号8、配列番号20または配列番号21に記載の通りである。バリアントおよび短縮化物は、本明細書で定義の通りである。
任意選択で、ワクチンが、MAGED4Bタンパク質またはそのバリアントをコードする核酸、およびFJX1タンパク質またはそのバリアントをコードする核酸を含む場合、これらは、別々に、すなわち、別々の核酸として提供されても、または同じ核酸上で同じまたは異なるプロモーターの制御下で提供されても、または2つのタンパク質の融合体として存在してもよい。
本発明は、核酸ワクチンの提供に関する。核酸は、FJX1タンパク質またはそのバリアントをコードする。タンパク質は、配列番号4もしくは配列番号33で記載される完全長タンパク質であってもよく、または短縮化もしくは改変されていてもよい。このようなバリアント、改変および短縮化は、本明細書でさらに考察される。任意選択で、組成物はまた、MAGED4Bタンパク質またはそのバリアントをコードする核酸も含み得る。タンパク質は、配列番号3もしくは配列番号31で記載される完全長タンパク質であってもよく、または短縮化(配列番号35~配列番号37に記載のものなど)もしくは改変されていてもよい。このような用語は、本明細書で考察される通りである。
本発明は、核酸ワクチン組成物の提供に関する。組成物は、MAGED4Bタンパク質またはそのバリアントをコードする核酸、およびFJX1タンパク質またはそのバリアントをコードする核酸を含み得る。核酸は、MAGED4BおよびFJX1タンパク質の両方を融合タンパク質としてコードし得る。組成物は、それを必要としている患者への別々の、同時のまたは逐次の投与のための、MAGED4Bタンパク質もしくはそのバリアントまたはFJX1タンパク質もしくはそのバリアントをそれぞれコードする2つの別々の核酸構築物であってよい。
別の定義では、癌ワクチンは、MAGED4Bタンパク質、またはそのバリアントおよび短縮バージョンをコードする核酸であって、配列番号7、配列番号16、配列番号17、配列番号24、配列番号25または配列番号26に記載の通りである核酸、およびこれと一緒に、FJX1タンパク質、またはそのバリアントおよび短縮バージョンをコードする核酸であって、配列番号8、配列番号20または配列番号21に記載の通りである核酸を含んでもよい。バリアントおよび短縮化物は、本明細書で定義の通りである。核酸は、別々であってもよく、または同じ核酸構築物上に存在してもよい。
融合タンパク質は、それらが単一ユニットとして転写および翻訳されるように連結され、単一のポリペプチドを産生する、別々のコード配列によりコードされる少なくとも2つのドメインからなるタンパク質である。従って、MAGED4Bタンパク質またはそのバリアントをコードする核酸、およびFJX1タンパク質またはそのバリアントをコードする核酸は、投与時に、それらは単一ポリペプチドとして産生されるように融合され得る。従って、融合タンパク質をコードする核酸では、融合タンパク質は、1つのプロモーターの制御下で発現される。融合体中の遺伝子の順番は、どちらかの方向、すなわち、FJX1タンパク質またはそのバリアントと、それに続くMAGED4Bタンパク質またはそのバリアント、またはその逆であり得る。MAGED4Bタンパク質またはそのバリアントが、FJX1タンパク質またはそのバリアントに先行することが好ましい場合がある。
本明細書で記載のいずれかの核酸ワクチン組成物が、ヘルパーモチーフをさらに含むことが好ましい場合がある。ヘルパーモチーフは、免疫応答を直接的に刺激する(例えば、DNA配列其れ自体で免疫応答を刺激できる)核酸配列、またはモチーフが免疫原性タンパク質またはそのフラグメントをコードする核酸配列として定義され得る。該ヘルパーモチーフは、核酸ワクチンによりコードされたタンパク質に対する免疫応答を高めるように作用する。好適なヘルパーモチーフは本明細書で考察される。1種のヘルパーモチーフは、DOMとして知られる破傷風毒素の免疫原性フラグメントである。
従って、癌ワクチンは、MAGED4Bタンパク質またはそのバリアントをコードする核酸をヘルパーモチーフと共に含み得る。ヘルパーモチーフは、本明細書で記載のいずれか好適なヘルパーモチーフであり得る。ヘルパーモチーフは、DOMであってよい。例示的ワクチンは、配列番号18または配列番号19に記載の配列またはそのバリアントもしくは短縮化物を含み得る。例示的ワクチンは、配列番号32に記載のタンパク質配列またはそのバリアントもしくは短縮化物をコードし得る。
あるいは、癌ワクチンは、FJX1タンパク質またはそのバリアントをコードする核酸をヘルパーモチーフと共に含み得る。ヘルパーモチーフは、本明細書で記載のいずれか好適なヘルパーモチーフであり得る。ヘルパーモチーフは、DOMであってよい。例示的ワクチンは、配列番号22または配列番号23に記載の配列またはそのバリアントもしくは短縮化物を含み得る。例示的ワクチンは、配列番号34に記載のタンパク質配列またはそのバリアントもしくは短縮化物をコードし得る。
さらに、癌ワクチンは、MAGED4Bタンパク質またはそのバリアントをコードする核酸およびFJX1タンパク質またはそのバリアントをコードする核酸をヘルパーモチーフと共に含み得る。ヘルパーモチーフは、本明細書で記載のいずれか好適なヘルパーモチーフであり得る。ヘルパーモチーフは、DOMであってよい。例示的ワクチンは、配列番号18または配列番号19に記載のMAGED4B配列またはそのバリアントもしくは短縮化物を含み得る。例示的ワクチンは、配列番号32に記載のMAGED4Bタンパク質配列またはそのバリアントもしくは短縮化物をコードし得る。例示的ワクチンは、配列番号22または配列番号23に記載の配列またはそのバリアントもしくは短縮化物を含み得る。例示的ワクチンは、配列番号34に記載のタンパク質配列またはそのバリアントもしくは短縮化物をコードし得る。
本明細書で記載の癌ワクチンが融合タンパク質を含む場合、コード配列間にリンカーを使用し得る。この融合体は、癌抗原MAGED4BとFJX1との間にあってもよく、または癌抗原とヘルパーモチーフとの間にあってもよい。任意の好適なリンカー配列を使用し得る。例示的リンカー配列は、配列番号5、6、10および11で与えられる。
癌抗原をコードする核酸配列は、シグナルまたはリーダー配列を含み得る。このような配列は、遺伝子導入細胞からのタンパク質の分泌を改善し得る。例示的リーダー配列は、配列番号1および27で与えられる。
本明細書で記載の癌ワクチンの核酸は、コード配列に動作可能に連結されたプロモーターをさらに含み、および任意選択で、コード配列の下流にポリアデニル化シグナルをさらに含み得る。好適なプロモーターおよびポリアデニル化シグナルは本明細書で記載される。好適なプロモーターは、配列番号9および配列番号15で記載の配列を含む。
本明細書で記載の癌ワクチンは、DNAワクチンまたはRNAワクチンであり得る。ワクチンはまた、本明細書で記載の非天然核酸であり得る。
本明細書で記載の癌ワクチンは、プラスミド、ミニサークル、一本鎖サークル、閉鎖型直鎖状DNAまたは一本鎖RNAを含む、任意の適切な核酸構築物として提示され得る。構築物は、コード配列の発現を促進するために、エンハンサーなどの任意の他の構成成分を含み得る。
これらのワクチンのいずれかは、以下でさらに記載される:
本明細書で記載の癌ワクチンは、ワクチン組成物として提供され得る。組成物は、いずれかの適切な賦形剤、または添加物が含まれ、これらは、緩衝液などを含めて正確なpHを確保することにより、ワクチン組成物を安定化し、貯蔵および輸送に適するようにする、および/または投与に適するようにするために供給され得る。
本明細書で記載の癌ワクチンは、ヒトを含む動物の癌を治療するために使用され得る。任意選択で、癌ワクチンは、ヒトの癌の治療に使用するためのものである。任意選択で、癌ワクチンは、飼育動物、家畜または野生動物などの非ヒト動物の癌の治療に使用するためのものである。好適な動物には、ネコおよびイヌ、モルモット、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、および非ヒト霊長類が挙げられ得る。非ヒト霊長類には、チンパンジーおよびサルが挙げられ得る。
また、想定されるのは、ヒトを含む動物の癌を治療する方法であり、該方法は、本明細書で記載の癌ワクチンをそれを必要としている患者に投与することを含む。好適な動物には、ネコおよびイヌ、モルモット、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、および非ヒト霊長類が挙げられ得る。非ヒト霊長類には、チンパンジーおよびサルが挙げられ得る。
本明細書で記載の癌ワクチンは、医薬に使用するためのもの、任意選択で、癌の治療または予防に使用するためのものであり得る。
本明細書で記載の癌ワクチンは、免疫系に対する腫瘍の曝露に使用するためのものであり得る。
本明細書で記載の癌ワクチンは、抗癌剤、任意選択で、チェックポイント阻害剤などの免疫療法に対して感作させるのに使用するためのものであり得る
本明細書で記載の癌ワクチンは、抗癌剤、任意選択で、チェックポイント阻害剤などの免疫療法、または化学療法と組み合わせて使用するためのものであり得る。
本明細書で記載の癌ワクチンは、CD8T細胞による浸潤に対し腫瘍に感作させる方法のためのものであり得、該方法は、ヒトまたは動物対象に対して癌ワクチンを投与することを含む。
本明細書で記載の治療方法は、抗癌剤、任意選択で、チェックポイント阻害剤などの免疫療法の使用をさらに含み得る。
本明細書で使用される場合、チェックポイント阻害剤は、PD-1、PD-L1、PD-L2またはCTLA-4の作用を遮断できる薬剤であり、任意選択で、該薬剤は抗体またはアプタマーである。
本明細書で記載の癌ワクチンは、チェックポイント阻害の有効性を高める方法において、それを必要としている患者に対し使用され得、該方法は、本明細書で記載の癌ワクチンをヒトまたは動物対象に投与することを含む。
本明細書で記載の癌ワクチンは、CD4およびCD8 T細胞を共誘発するために使用され得る。
本明細書で記載の癌ワクチン、使用および治療方法は、限定されないが、頭頸部癌、口腔癌、中咽頭癌、上咽頭癌、肺癌、乳癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、結腸癌、腎臓癌、胆管細胞癌腫、皮膚黒色腫、直腸癌、甲状腺癌、膀胱尿路上皮癌、腎癌および胃腺癌を含む多数の癌型の治療での使用に効果的であり得る。
本発明の第1の態様では、タンパク質MAGED4Bおよび/またはFJX1、またはそのバリアントをコードし、および破傷風毒素の免疫原性フラグメントをさらにコードする核酸を含む癌ワクチンが提供される。
好都合にも、2種の癌精巣抗原MAGED4BおよびFJX1は、OSCCで高頻度に発現されることが明らかになった。全体として、2種の抗原は、OSCC症例の96%においてRNAレベルで発現されている。さらに、本研究は、口腔異形成およびOSCC症例における両抗原のタンパク質レベルでの発現を確証し(10/10が陽性であった;各状態5症例)、非悪性口腔粘膜中では発現はなかった。健康な組織中のタンパク質レベルでの発現の試験は、低発現を示した。これらの発現データは、HLA-A2四量体(現時点でMAGED4Bに対してのみ利用可能である)および各抗原の全アミノ酸配列に対するオーバーラッピングペプチドプール(OPP)を用いたHPV非関連HNSCCの患者における抗原に対する既存の免疫の調査と類似であった。これらは、増殖させた腫瘍浸潤リンパ球を用いて血液および腫瘍の両方で測定された。循環MAGED4B四量体陽性CD8+T細胞を、同様に類似の頻度で四量体陽性である2/2増殖TILを有する5/7 HLA-A2患者(総CD8+T細胞の0.04~0.1%)で観察した。より高レベルのMAGED4B陽性CD8 T細胞(5~10倍)をHLA-A2陰性HLA-A1陽性TIL試料中でOPPを用いて検出し、HLA-A2制約を超える反応性を示した。FJX1に対して、CD8 T細胞の反応性を増殖TIL試料でOPPを用いて評価し、MAGED4B CD8 T細胞と共存するHLA-A1患者中のCD8の反応性を示した。患者のデータは、両抗原の強い免疫原性を示し、MAGED4Bの場合で極めて顕著であった。完全長MAGED4BおよびFJX1抗原をコードするDNAワクチン(例えば、本明細書で記載のp.Dom-MAGED4BFLおよびp.Dom-FJX1FL)が開発され、前臨床データは、MAGED4B/FJX1標的化DNAワクチンがこれらの抗原を発現している腫瘍の増殖を抑制する大きな潜在能力を有することを示している。
さらに好都合にも、破傷風菌の破傷風毒素の免疫原性フラグメントの提供は、樹状細胞の活性化を介して、腫瘍特異的CD4+およびCD8+T細胞応答の誘導に必要な強力なCD4+ヘルパーT細胞応答の誘導を支援できる(所謂、結合T細胞機序(linked T cell mechanism))。このようなCD4およびCD8エピトープは、広範なマウスおよびヒトMHCクラスII分子に結合できることが知られている。
本明細書で記載の癌ワクチンは、抗原特異的T細胞応答、特に、永続的応答に重要なCD4およびCD8T細胞応答を誘導でき、それにより、抗原を発現している腫瘍に対する免疫応答を誘発する。本明細書で記載の癌ワクチンは、追加でまたは代わりに、腫瘍微小環境に影響を及ぼすことができ、腫瘍の免疫可視性を高め、CD8 T細胞の腫瘍塊中への浸潤を促進し、それにより、単独でまたは前述の抗癌剤と組み合わせて、抗癌剤に対し、腫瘍細胞をより攻撃を受けやすくする。ワクチンは、腫瘍の微小環境を効果的に変更し、腫瘍に免疫攻撃をより受けやすくする。
腫瘍内T細胞の欠乏は、免疫チェックポイント阻害薬および他の免疫療法の癌患者における有効性に対する大きな障壁であり;これは、不十分な腫瘍免疫原性(すなわち、T細胞の欠乏)に、またはT細胞が腫瘍に浸潤できない(すなわち、T細胞が間違った場所にある)ことに起因し得る。発明者らは、本明細書で記載の癌ワクチンは腫瘍内T細胞を増大させることを明確に示した(図10BおよびC)。従って、本発明は、免疫チェックポイント阻害の有効性を高めることを必要としている患者において、それを実施する方法にまで及び、該方法は、本明細書で記載の癌ワクチンをヒトまたは動物対象に投与することを含む。本明細書で記載の癌ワクチンは、腫瘍を免疫系または抗癌剤に感作させるのに使用するためのものであり得る。ここで、本明細書で記載の癌ワクチンがチェックポイント阻害を生じさせることができる薬剤と共に使用される場合、極めて重要な相乗的効果が発生することを示すデータが提示される(図9B)。
本明細書で記載のワクチンは、誘導または誘発された免疫応答を生成し、これは、細胞性免疫応答であり得る。誘導または誘発された免疫応答は、インターフェロンガンマ(IFNγ)、および/または細胞傷害性T細胞のマーカーであるCD107a/bの誘導または分泌を含み得る(図21および22)。
特に、癌ワクチン中の抗原がMAGED4Bタンパク質抗原である場合、癌ワクチンは、さらに、発明者らによりこの抗原を発現することが示された癌関連線維芽細胞(CAF)に対する抗原特異的応答を誘導できる(図27および28)。ヒト腫瘍は、癌細胞は別にして、多くの異なる細胞型を含み、これには、癌関連線維芽細胞(CAF)、内皮細胞、免疫細胞、脂肪細胞、および周皮細胞が含まれ、これらは、微小環境を形成し、癌進行を促進する。従って、腫瘍微小環境中のこのような細胞を標的化する能力は、一般的に癌の治療に特に有用であり、其れ自体でMAGED4Bを発現する癌サブタイプに限定されない可能性がある。
全てのタイプの固形癌(腫瘍)は、CAFリッチサブグループを含み、これは、膵臓癌中の95%から、頭頸部癌中の約50%までの範囲である。腫瘍中のCAFの比率は、腫瘍の約25~50%であり、ほとんどの腫瘍がCAFリッチである膵臓癌などのいくつかの癌ではより高い場合がある。特に、癌中のCAF蓄積は、不十分な臨床転帰に関連し、CAFリッチ腫瘍は臨床的に高悪性度であり、治療に対し不十分に応答し、芳しくない生存率と関連している。これは、CAFが多くの「悪性腫瘍の特徴」を促進し、腫瘍増殖、浸潤、転移および血管新生を促進するためである。複数の癌型における一貫した知見は、CAFとCD8 T細胞との間の逆相関であり、これは、腫瘍免疫回避におけるCAFの果たす役割を示唆する。出願者らによるものを含む最近の研究は、CAFが腫瘍からCD8 T細胞を排除し、それにより、抗PD1/PDL1チェックポイント免疫療法(およびワクチンベース免疫療法;Ford et al.,Cancer Res 80,1846-1860(2020))に対する抵抗性を促進することを示した。いくつかの臨床試験は、抗PD1/PDL1に応答しない患者中でCAF遺伝子シグネチャーを特定した(Mariathasan,S.et al.,Nature 554,544-548(2018))。CAF媒介CD8 T細胞排除は、現在では、チェックポイント免疫療法抵抗性に対する主要な寄与因子として認識されており、CAFは、チェックポイント免疫療法応答率(現在、癌型全体で約20%である)を改善するための重要な免疫療法標的になっている。CAF標的化に対し示唆された治療の可能性には、CAF枯渇、CAF機能またはCAF正規化の阻害が含まれるが、しかし、CAFを特異的に標的化する以前の試みは、不成功であった。
発明者らがCAFは一貫してMAGED4Bを発現するように見えることを示したという事実は、非常に驚くべきことである。発現は、CAF集団全体にわたり均一に高く、腫瘍間で一致しており、分析したHNSCCの70%がMAGED4B陽性CAFを含んでいた。このCAFのMAGED4B発現は、scRNASeq HNSCCトランスクリプトームデータ(図28)(Puram et al.,Cell.2017;171(7):1611-1624、これは、HNSCC細胞によるMAGED4B発現も確認した)を分析することにより確認された。
CAFを特異的に標的化する免疫応答の生成は、極めて魅力的な治療法であり、ワクチン接種、例えば、FAP(線維芽細胞活性化タンパク質)に対するワクチン接種によりCAFを標的化する試みが以前に行われたことがある。しかし、FAPは、現在では、他の細胞型(多能性骨髄間質細胞など)により発現されることが既知であり、CAF特異的ではない。CAF特異的抗原はまだ特定されていないが、その1つを本発明の癌ワクチンが供給し得、この場合、癌ワクチンが供給する抗原は、MAGED4Bタンパク質またはそのバリアントである。
本発明は、他の抗癌剤、特に、標的療法、免疫療法および化学療法に対する応答性の回復、特に、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、CTLA-4阻害剤、TIM3阻害剤、LAG3阻害剤、TIGIT阻害剤などによるチェックポイント阻害、aCD40、aCD27、OX40などのT細胞アゴニスト、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞およびワクチンを含むT細胞ベース免疫療法に対する応答性の回復に有用なワクチンおよび方法に関する。
T細胞媒介腫瘍の除去は、T細胞受容体からのシグナルおよび腫瘍-抗原特異的T細胞のエフェクター機能を可能にする共刺激分子を必要とする。また、抗腫瘍免疫を抑制できる腫瘍微小環境内の多様な免疫抑制機序も存在する。この抑制を克服するためのモノクローナル抗体、特に、アゴニストAbと共に腫瘍壊死因子受容体(TNFR)ファミリーの標的化共刺激メンバーの使用は、T細胞機能を高め、有望な治療結果に繋がった。TNFRは、腫瘍特異的免疫応答を高めるための重要な標的であり得、特定のTNFRは、OX40、4-1BB、およびCD40を含む。
本明細書で記載の癌ワクチンは、単独でまたは化学療法、放射線治療、免疫療法、レーザー療法、標的療法および/または手術などの補助癌療法(これらの全ては、本明細書では抗癌剤として記載される)と組み合わせて、治療有効投与量で、投与できる。記載された癌ワクチンは、有益な効果、例えば、腫瘍サイズの減少、腫瘍増殖の速度の遅延化、転移の抑制もしくは遅延化、免疫応答もしくは抗癌治療に対する腫瘍の感作化、あるいは、必ずしも腫瘍を根絶することなく、全体臨床的状態の改善をもたらし得る。
併用療法に対し、特に意図されるのは、腫瘍細胞を標的にする細胞増殖抑制性および細胞傷害薬、血管新生を標的にする薬剤(血管新生阻害剤レンバチニブおよびソラフェニブなど)、癌細胞が特異的に発現するマーカーを標的にする薬剤(すなわち、HER2陽性細胞を標的にするハーセプチン)、マクロファージを標的にする免疫療法剤、T細胞チェックポイントまたはアゴニスト経路を標的にする免疫療法剤、キメラ抗原受容体(CAR T細胞)を発現するように遺伝子改変されたT細胞を用いる養子免疫細胞療法(ACT)、T細胞受容体(TCR)またはインビトロ増殖T細胞およびワクチンである。
本明細書で記載の組み合わせは、免疫チェックポイント阻害薬、例えば、細胞傷害性Tリンパ球結合タンパク質4(CTLA-4)、PD-1およびPDL-1に対して活性な薬剤をさらに含み得る。理由は、これらが、MHCクラス提示、T細胞提示および/または分化、およびサイトカイン、ケモカインまたは免疫細胞増殖および/または分化のためのシグナル伝達などの免疫系の要素の抑制を防ぎ得るためである。
従って、本明細書で記載の癌ワクチンは、CTLA-4、PD-1、PD-L1およびPD-L2に対する抗体などのチェックポイント阻害剤と組み合わせて、細胞性および液性免疫応答の両方の刺激を高め得るが、任意の好適な阻害剤を使用し得る。
従って、本明細書で記載の癌ワクチンは、腫瘍細胞を標的にする細胞増殖抑制性および細胞傷害薬、血管新生を標的にする薬剤、マクロファージを標的にする免疫療法剤、T細胞チェックポイントまたはアゴニスト経路を標的にする免疫療法剤、キメラ抗原受容体(CAR T細胞)を発現するように遺伝子改変されたT細胞を用いる養子免疫細胞療法(ACT)、T細胞受容体(TCR)またはインビトロ増殖T細胞、T細胞アゴニストおよびワクチンと組み合わせ得る。
MAGED4B抗原
MAGED4Bは、MAGE(メラノーマ抗原コード遺伝子)と呼ばれるスーパーファミリーの一部である。MAGEタンパク質は、MAGE相同ドメイン(MHD)として知られる保存されたドメインを共有する。
癌ワクチンは、MAGED4Bタンパク質またはそのバリアントをコードする核酸を含み得る。これは、配列番号3または配列番号31に記載のような完全長タンパク質であってもよいが、これは、短縮または改変でき、それにより、十分な量のタンパク質が核酸により提供され、細胞内でタンパク質がプロセッシングされ、免疫系に提示されることを可能にする。好適な短縮化物は、配列番号35~配列番号37に記載されている。従って、MAGED4Bタンパク質は、本明細書に記載の完全長タンパク質の免疫原性フラグメントであり得る。配列MAGED4Bタンパク質は、さらに改変され、それにより、アミノ酸置換が作製される。このようなバリアント、改変および短縮化物は、本明細書でさらに考察される。
別の定義では、癌ワクチンは、MAGED4Bタンパク質、またはそのバリアントおよび短縮バージョンをコードする核酸を含んでもよく、該核酸配列は、配列番号7、配列番号16、配列番号17、配列番号24、配列番号25または配列番号26に記載の通りである。バリアントおよび短縮化物は、本明細書で定義の通りである。
MAGED4Bタンパク質は、完全長MAGED4Bタンパク質配列を含むか、またはそれからなり得る。MAGED4Bタンパク質は、配列番号3もしくは配列番号31の配列、またはそのバリアントを含むか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、MAGED4Bタンパク質は、配列番号7、配列番号16、配列番号17、配列番号24、配列番号25もしくは配列番号26の配列またはそのバリアントを含むかまたはそれからなる核酸によりコードされ得る。
好都合にも、完全長抗原設計は、より広範な集団のカバー率を達成でき、この場合、それは、例えば、HLA-A2アレルなどのそれぞれのHLAアレルを標的化することに焦点を置いていない。
好都合にも、MAGED4Bタンパク質は短縮されていてもよい。短縮化は、MAGE相同ドメインの全てまたは一部または部分を除去する必要があり得る。2つの相同の潜在的領域がMAGED4Bタンパク質で見出されており、それらは、MAGEタンパク質全体にわたり共通であるので、両方が短縮化可能な領域である。2つの相同ドメインは、アイソフォーム1のアミノ酸412~500およびアミノ酸510~682で特定され、これは配列番号3で表される。この配列は、741アミノ酸長さである。両方の相同ドメインが除去される場合、これは、MAGED4Bの長さを260アミノ酸だけ縮小するはずであるが、それでも、その機能性免疫学的フラグメントを提供する。従って、完全長タンパク質の最大40%、任意選択で、最大50%を除去でき、残りの配列は、その場合でも、充分に免疫原性があり、ワクチンとしての役割を果たし得る。可能な短縮化物は、図16に示される。HLA-2定義エピトープRLSLLLVLなどのMHD由来の既知のエピトープが保持されるのが好ましい場合がある。これは、2つのMHDの間に位置する。示したように、ワクチン中のそれぞれのMHDがうまく除去されたが、どの部分が除去されてもよい。従って、短縮化バージョンのMAGED4Bは、MHDの一部または全部が除去された免疫学的フラグメントを含み得る。実際に、MHDの除去では、さらなる残基も短縮され得る。最小限でも、配列番号3で記載のMAGED4B配列の450個のアミノ酸が含まれる。免疫原性フラグメントは、少なくとも400、450、500、550、600、650または700アミノ酸長さまたはその間の任意の長さである。種々の短縮化物は、配列番号35~配列番号37に詳細に記載されている。他の短縮化物も可能である。発明者らは、MHDの除去は、免疫系がMAGED4B特異的エピトープをより明確に認識可能にし得ることを想定している。
ここでの研究は、MAGED4Bアイソフォーム1(配列番号3)をベースにしている。しかし、4種のアイソフォームが存在し、配列番号41~43に含まれる。これらの内で、アイソフォーム3(配列番号42)は、極めて希な選択的スプライシングであり、位置349にフレームシフトを有し、位置414で末端になる。配列番号42は、これらの選択的スプライシング、従って短縮化に起因して、配列番号3と85%同一の配列を有する。従って、別の定義では、短縮化物は、配列番号3で示される配列と、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%の配列同一性を有し得る。
本明細書で記載の癌ワクチンは、配列番号41~43で記載のMAGED4Bタンパク質のいずれか1つをコードする核酸を含み得る。これらは、配列番号3のバリアントである。
MAGED4Bのバリアントは、MAGED4Bの改変および/または短縮化バリアントを含み得る。特に、当業者は、配列のいくつかの改変またはバリアントが、非改変配列(すなわち、本明細書で記載のMAGED4B配列)と同じまたは実質的に類似の免疫原性機能をもたらす場合があることを理解するであろう。改変は、アミノ酸残基付加、置換、または欠失を含み得る。一実施形態では、改変は、20個以下のアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含み得るか、またはそれらからなり得る。別の実施形態では、改変は、15個以下のアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含み得るか、またはそれらからなり得る。別の実施形態では、改変は、10個以下のアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含み得るか、またはそれらからなり得る。別の実施形態では、改変は、8個以下のアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含み得るか、またはそれらからなり得る。別の実施形態では、改変は、6個以下のアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含み得るか、またはそれらからなり得る。別の実施形態では、改変は、5個以下のアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含み得るか、またはそれらからなり得る。別の実施形態では、改変は、4個以下のアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含み得るか、またはそれらからなり得る。別の実施形態では、改変は、3個以下のアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含み得るか、またはそれらからなり得る。別の実施形態では、改変は、2個以下のアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含み得るか、またはそれらからなり得る。別の実施形態では、改変は、1個以下のアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含み得るか、またはそれらからなり得る。アミノ酸残基の付加、置換、または欠失は、連続アミノ酸残基、複数のグループのアミノ酸残基、または非連続アミノ酸残基、またはこれらの組み合わせを含み得る。
MAGED4Bのバリアントは、配列番号3と少なくとも80%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、MAGED4Bのバリアントは、配列番号3と少なくとも85%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、MAGED4Bのバリアントは、配列番号3と少なくとも90%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、MAGED4Bのバリアントは、配列番号3と少なくとも95%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、MAGED4Bのバリアントは、配列番号3と少なくとも98%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、MAGED4Bのバリアントは、配列番号3と少なくとも99%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、MAGED4Bのバリアントは、配列番号3と少なくとも99.5%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。
核酸変化/改変は、配列番号7によりコードされるものと同じMAGED4Bタンパク質、またはその一部をコードするために、コドン冗長性を用いたヌクレオチドの保存的置換を含み得る。
また含まれるのは、配列番号7、配列番号16、配列番号17、配列番号24、配列番号25または配列番号26で開示される核酸またはそのバリアントである。バリアントは、これらの配列のいずれかの1つで示される配列と、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%の配列同一性を有し得る。これらのバリアントは、従って、タンパク質の上記短縮化物をカバーする。
癌ワクチンの核酸は、配列番号17に記載の配列などのように、コドン最適化され得る。コドン最適化配列は、同じペプチド配列をコードし得るが、ほとんどのアミノ酸が2つ以上のコドンによりコードされるという理由で、これが可能である。これは、核酸の合成を助けるために、またはホストゲノムとの完全な相同性を防ぐために、実施される。データで示されるように、コドン最適化ワクチンは、良好に機能した。コード配列は、安定性および高レベルの発現のために最適化できる。
MAGED4Bをコードする核酸のバリアントは、配列番号7と少なくとも80%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、MAGED4Bをコードする核酸のバリアントは、配列番号7と少なくとも85%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、MAGED4Bをコードする核酸のバリアントは、配列番号7と少なくとも90%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、MAGED4Bをコードする核酸のバリアントは、配列番号7と少なくとも95%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、MAGED4Bをコードする核酸のバリアントは、配列番号7と少なくとも98%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、MAGED4Bをコードする核酸のバリアントは、配列番号7と少なくとも99%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、MAGED4Bをコードする核酸のバリアントは、配列番号7と少なくとも99.5%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。
配列同一性は、少なくとも600個の連続ヌクレオチドまたはアミノ酸残基を超え得る。あるいは、配列同一性は、少なくとも700個の連続ヌクレオチドまたはアミノ酸残基を超え得る。あるいは、配列同一性は、全MAGED4B配列を超え得る。
配列同一性は、少なくとも400個の連続アミノ酸、少なくとも450個の連続アミノ酸、少なくとも500個の連続アミノ酸、または少なくとも550個の連続アミノ酸を超え得る。
別の実施形態では、MAGED4Bのバリアントは、配列番号3の短縮化配列を含み得るか、またはそれからなり得る。例えば、本明細書の配列番号3の配列は短縮化され得、それでも免疫原性を提供する。短縮化配列は、配列番号3の配列の少なくとも200個のアミノ酸を含み得る。短縮化配列は、配列番号3の配列の少なくとも300個のアミノ酸を含み得る。短縮化配列は、配列番号3の配列の少なくとも400個のアミノ酸を含み得る。短縮化配列は、配列番号3の配列の少なくとも500個のアミノ酸を含み得る。あるいは、短縮化配列は、配列番号3の配列の少なくとも600個のアミノ酸を含み得る。あるいは、短縮化配列は、配列番号3の配列の少なくとも700個のアミノ酸を含み得る。好適な短縮化物は、図16に示される。
FJX1抗原
癌ワクチンは、FJX1(4関節ボックスタンパク質1(Four-jointed box protein 1))タンパク質またはそのバリアントをコードする核酸を含み得るか、または追加で含み得る。タンパク質は、配列番号4もしくは配列番号33で記載される完全長タンパク質であってもよく、または短縮化もしくは改変されていてもよい。このようなバリアント、改変および短縮化物は、本明細書でさらに考察される。
別の定義では、癌ワクチンは、FJX1タンパク質をコードする核酸を含んでよく、または追加で含んでよく、該核酸配列は、配列番号8、配列番号20または配列番号21に記載の通りであるか、またはそのバリアントおよび短縮化バージョンである。バリアントおよび短縮化物は、本明細書で定義の通りである。
FJX1タンパク質は、完全長FJX1タンパク質配列を含むか、またはそれからなり得る。FJX1タンパク質は、配列番号4の配列、またはそのバリアントを含むか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、FJX1タンパク質は、配列番号8の配列、またはそのバリアントを含むか、またはそれからなる核酸によりコードされ得る。
前に考察したように、完全長抗原設計は、より広範な集団のカバー率を達成でき、この場合、それは、例えば、HLA-A2アレルなどのそれぞれのHLAアレルを標的化することに焦点を置いていない。
FJX1のバリアントは、FJX1の改変および/または短縮化バリアントを含み得る。特に、当業者は、配列のいくつかの改変またはバリアントが、非改変配列(すなわち、本明細書で記載のFJX1配列)と同じまたは実質的に類似の免疫原性機能をもたらす場合があることを理解するであろう。改変は、アミノ酸残基付加、置換、または欠失を含み得る。一実施形態では、改変は、20個以下のアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含み得るか、またはそれらからなり得る。別の実施形態では、改変は、15個以下のアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含み得るか、またはそれらからなり得る。別の実施形態では、改変は、10個以下のアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含み得るか、またはそれらからなり得る。別の実施形態では、改変は、8個以下のアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含み得るか、またはそれらからなり得る。別の実施形態では、改変は、6個以下のアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含み得るか、またはそれらからなり得る。別の実施形態では、改変は、5個以下のアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含み得るか、またはそれらからなり得る。別の実施形態では、改変は、4個以下のアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含み得るか、またはそれらからなり得る。別の実施形態では、改変は、3個以下のアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含み得るか、またはそれらからなり得る。別の実施形態では、改変は、2個以下のアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含み得るか、またはそれらからなり得る。別の実施形態では、改変は、1個以下のアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含み得るか、またはそれらからなり得る。アミノ酸残基の付加、置換、または欠失は、連続アミノ酸残基、複数のグループのアミノ酸残基、または非連続アミノ酸残基、またはこれらの組み合わせを含み得る。
FJX1のバリアントは、配列番号4または配列番号33と少なくとも80%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、FJX1のバリアントは、配列番号4または配列番号33と少なくとも85%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、FJX1のバリアントは、配列番号4または配列番号33と少なくとも90%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、FJX1のバリアントは、配列番号4または配列番号33と少なくとも95%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、FJX1のバリアントは、配列番号4または配列番号33と少なくとも98%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、FJX1のバリアントは、配列番号4または配列番号33と少なくとも99%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、FJX1のバリアントは、配列番号4または配列番号33と少なくとも99.5%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。
核酸変化/改変は、配列番号8または配列番号20または配列番号21によりコードされるものと同じFJX1タンパク質、またはその一部をコードするために、コドン冗長性を用いたヌクレオチドの保存的置換を含み得る。
癌ワクチンの核酸は、配列番号21に記載の配列などのように、コドン最適化され得る。コドン最適化配列は、同じペプチド配列をコードし得るが、ほとんどのアミノ酸が2つ以上のコドンによりコードされるという理由で、これが可能である。これは、核酸の合成を助けるために、またはホストゲノムとの完全な相同性を防ぐために、実施される。
FJX1をコードする核酸のバリアントは、配列番号8と少なくとも80%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、FJX1をコードする核酸のバリアントは、配列番号8と少なくとも85%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、FJX1をコードする核酸のバリアントは、配列番号8と少なくとも90%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。 あるいは、FJX1をコードする核酸のバリアントは、配列番号8と少なくとも95%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、FJX1をコードする核酸のバリアントは、配列番号8と少なくとも98%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、FJX1をコードする核酸のバリアントは、配列番号8と少なくとも99%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、FJX1をコードする核酸のバリアントは、配列番号8と少なくとも99.5%の同一性を有する配列を含み得るか、またはそれからなり得る。このパラグラフ中の配列番号8は、配列番号20または配列番号21で置換できる。
配列同一性は、少なくとも300個の連続ヌクレオチドまたはアミノ酸残基を超え得る。あるいは、配列同一性は、少なくとも400個の連続ヌクレオチドまたはアミノ酸残基を超え得る。あるいは、配列同一性は、全FJX1配列を超え得る。
別の実施形態では、FJX1のバリアントは、配列番号4の短縮化配列を含み得るか、またはそれからなり得る。例えば、本明細書の配列番号4の配列は短縮化され得、それでも免疫原性を提供する。短縮化配列は、配列番号4の配列の少なくとも200個のアミノ酸を含み得る。短縮化配列は、配列番号4の配列の少なくとも300個のアミノ酸を含み得る。短縮化配列は、配列番号4の配列の少なくとも400個のアミノ酸を含み得る。従って、本明細書で開示されるいずれかの配列によるFJX1の免疫原性フラグメントも包含される。
MAGED4BとFJX1の併用
一実施形態では、核酸は、MAGED4BおよびFJX1の両方、またはそれらのバリアントをコードする。一実施形態では、核酸は、MAGED4BおよびFJX1の両方、またはそれらのバリアント、およびそれらの間のリンカーをコードする。
MAGED4BおよびFJX1抗原は、単一融合タンパク質としてコードされ得る、または別々の発現のためにコードされ得る。MAGED4Bは、FJX1に対しN末端にコードされ得る。
組み合わせは、MAGED4B-2Aペプチド-FJX1などの単一転写単位にまで及び得る。2A自己切断ペプチド、または2Aペプチドは、18~22アミノ酸長さのペプチドの部類であり、これは、細胞中でタンパク質の翻訳の間にリボソームスキップを引き起こすことができる。これらのペプチドは、DxExNPGPのコア部配列モチーフを共有し、広範囲のウィルスファミリーで認められる。それらは、ペプチド結合形成で失敗させることにより、ポリタンパク質の生成を支援する。
ヘルパーモチーフ
本明細書で記載の癌ワクチンは、ヘルパーモチーフを提供する核酸を有し得る。本明細書で使用されるヘルパーモチーフは、癌ワクチンの免疫原性を高める、または改善するモチーフである。これは、アジュバント、ヘルパーエピトープ、免疫原性フラグメント、サイトカインとして定義され得る。
細胞質ゾル核酸認識時の炎症性シグナルは、主要炎症促進性の経路の活性化を介して、それ自体免疫原性を高め得るが、これは、核酸ワクチンがCpGモチーフなどの配列モチーフであるヘルパーモチーフを含む場合、さらに刺激され得る。非メチル化CpGモチーフは、トール様受容体(TLR)9経由の自然免疫系の刺激を介して其れ自体免疫刺激効果を有し得る。
従って、ヘルパーモチーフは、発現の必要なく免疫系を刺激することが既知の核酸モチーフであり得る。
ヘルパーモチーフは、タンパク質もしくはポリペプチド、または免疫系を刺激するその免疫原性フラグメントをコードし得る。従って、ヘルパーモチーフは、細胞中で発現される。ヘルパーモチーフは、癌ワクチン抗原と同じ構築物中に存在し得るか、または別々の構築物として提供され得る。好都合にも、両方は、同じ核酸構築物上に一緒に提供され得る。両方が一緒に提供される場合、それらは、同じまたは異なるプロモーターの制御下にあってよい。好都合にも、これらは、転写性または翻訳性融合体として提供され得る。転写性融合体は、コード配列が結合されるのを可能とするが、ハイブリッドまたは融合タンパク質を産生しない。翻訳性融合体も提供され得、この場合、発現の産物は、ハイブリッドタンパク質である。これは、ワクチン接種に好ましい可能性がある。本明細書で記載のリンカー分子は、癌抗原とヘルパーモチーフを遺伝子融合、およびポリペプチド融合により一緒に結合するために使用され得る。
例えば、サイトカインまたはケモカインをコードする核酸配列はまた、核酸ワクチンと共にその構築物または別々の構築物に直接送達できる。これは、サイトカインまたはケモカインが癌ワクチンと同時に、および同じ領域に出現することを可能にする。好適な核酸は、インターロイキン(IL)-10、IL-12、樹状細胞標的化ケモカインMIP3α、もしくはIFNγ、または以降でさらに考察するもの、などのサイトカインまたはケモカインをコードする。従って、ヘルパーモチーフは、サイトカインをコードする核酸であってもよい。
さらに、核酸配列は、免疫系刺激剤をコードし得、これも、ワクチンと共に直接送達できる。これは、トラフィッキングシグナル(例えば、MHCクラスIトラフィッキングシグナル(MITD))などを含む配列を含み得る。
あるいは、ヘルパーモチーフは、粒子の形成によるなどの他の手段で免疫刺激を提供し得る。PVXCPは、ジャガイモウィルスXコートタンパク質をコードし、これは、同様にDOMに役立つ結合T細胞機序により免疫刺激を提供し、発現したポリペプチドの免疫原性を高める粒子の形成を可能にする。
さらなる例として、ヘルパーモチーフは、強力な免疫応答を誘導することが知られているタンパク質、ポリペプチド、またはその免疫原性フラグメントをコードし得る。本明細書で詳述のように、これは、破傷風毒素、特に、DOMの免疫原性フラグメントを含む。他の好適なヘルパーエピトープは、Escherichia coli熱不安定性毒素のBサブユニット、破傷風毒素のフラグメントC、ジフテリア毒素Bサブユニット、E.coli不安定毒素フラグメント、コレラ毒素フラグメント、OVAペプチドおよび/またはカルレティキュリン、HIVタンパク質NEF(負の調節因子)、HBV表面抗原、プロミスキャスCD4エピトープPADREから誘導され得る。
CpGモチーフ、MITD、PVXCPおよびMIP3αなどの種々のヘルパーモチーフが癌ワクチンと組み合わせて使用される例が本明細書で提示される。
好適なヘルパーモチーフは、Flt3L、Flt3L-Fc融合体、CD80、CD80-Fc融合体、OX40L、IL-15、4-1BBL、GM-CSF、CCL21a、IL-23、CCL27、CXCL10、CCL5、CCL3、LAG3、IL-15RA、CXCL10、CpG、E.coli不安定毒素フラグメント、コレラ毒素フラグメント、カルレティキュリン、HIV NEF、HBV sAg、PADRE、IRF1、CCL25、IL-33および/またはIL-28Bをコードする核酸配列を含む。
ヘルパーモチーフが本明細書に記載の破傷風毒素の免疫原性フラグメントである場合に、特定の結果が得られた。
破傷風毒素DOMの免疫原性フラグメント
破傷風毒素の免疫原性フラグメントは、完全長破傷風毒素の毒性機能を有し得ない。一実施形態では、破傷風毒素の免疫原性フラグメントは、ニューロン結合ドメインを含み得ない、または機能性結合ドメインを含み得ない。一実施形態では、破傷風毒素の免疫原性フラグメントは、破傷風毒素のp30 MHC IIエピトープを含み得るか、またはそれからなり得る。一実施形態では、破傷風毒素の免疫原性フラグメントは、DOMを含むか、またはDOMからなる。DOMは、配列番号2の配列、またはそのバリアントを含み得るか、またはそれからなり得る。
DOMは、破傷風菌(1)の破傷風毒素の免疫原性フラグメントであり、これは、痙性麻痺の原因であるニューロン結合ドメインを含まないので、ヒト使用では安全である。好都合にも、DOMは、「プロミスキャス」p30 MHC IIエピトープおよび場合によっては、他のCD4 T細胞エピトープを含む。p30は、一連のマウスおよびヒトMHCクラスII分子に結合でき、樹状細胞の活性化を介して、腫瘍特異的CD4およびCD8 T細胞応答の誘導に必要な強力なCD4+ヘルパーT細胞応答を誘導できる(所謂、結合T細胞機序(linked T cell mechanism))(2、3)。さらに好都合にも、DOMは、免疫優性のプロセスにより癌エピトープと競合できないいくつかの弱いCD8エピトープを有し、これは、癌抗原に対する強力なT細胞応答の誘導のために意図される本発明によるDNAワクチン中への包含のために、さらなる利点を提供する。
一実施形態では、本明細書でDOMへの言及は、別の選択肢では、別の破傷風毒素の免疫原性フラグメントによる置き換えであってもよい。特に、本明細書でDOMへの言及は、破傷風毒素のp30またはp2エピトープ、または他の破傷風毒素CD4ヘルパーエピトープの単独もしくは組み合わせによる置き換えであってもよい。
DOMは、本明細書で記載のいずれかの癌ワクチンと共にヘルパーモチーフとして存在してもよい。それは、強力な免疫応答の誘導に役立ち得るエピトープを含むので、ヘルパーエピトープとして記載されてもよい。ここで示すデータは、これを裏付ける(図11A)。
DNAワクチンの種々のアセンブリを図7に示す。
DOM、MAGED4BおよびFJX1の併用
一実施形態では、核酸は、MAGED4Bおよび/またはFJX1、またはそれらのバリアントと共にDOMをコードする。別の実施形態では、核酸は、MAGED4BおよびFJX1、またはそれらのバリアントと共にDOMをコードする。
一実施形態では、DOM、MAGED4BおよびFJX1は、単一融合タンパク質としてコードされる。別の実施形態では、DOMおよびMAGED4BまたはFJX1の1つは、単一融合タンパク質としてコードされる。
DOMは、MAGED4Bおよび/またはFJX1に対しN末端にコードされ得る。
DNAワクチンの種々のアセンブリを図7に示す。MAGED4B-2Aペプチド-FJX1などの単一転写単位を含む任意の好適なアセンブリが用いられ得る。
他の要素
次のセクションは、単一抗原または両方の抗原を含む、いずれの癌ワクチンが使用される場合であっても、該当する。
一実施形態では、リンカー残基は、DOM、MAGED4BおよびFJX1の抗原の1種または複数、または全ての間に提供され得る。リンカー残基は、ランダムアミノ酸配列、または動物モデルでのエピトープ予測コンピュータープログラムまたは実験に基づいて、非免疫原性となるように選択されたアミノ酸を含み得る。例えば、リンカーは、それがエピトープであることが予測されない、またはエピトープであることが既知でない場合(すなわち、エピトープ、例えば、人工エピトープ、天然で認められないエピトープ、に対する免疫応答を回避するために)、検討されない場合がある。リンカーは柔軟であり得る。リンカーは、K、G、PまたはSアミノ酸残基、またはこれらの組み合わせを含み得るか、またはこれらからなり得る。一実施形態では、リンカーは、Pおよび/またはPアミノ酸残基を含み得るか、またはこれらからなり得る。リンカー残基は、1~10アミノ酸長さであり得る。別の実施形態では、リンカー残基は、2~8アミノ酸長さであり得る。別の実施形態では、リンカー残基は、1~7アミノ酸長さであり得る。
MAGED4BおよびFJX1融合タンパク質は、MAGED4BとFJX1配列との間にリンカーを含み得る。MAGED4BとFJX1との間のリンカーは、約1~約10個のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、MAGED4BとFJX1との間のリンカーは、約1~約6個のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、MAGED4BとFJX1との間のリンカーは、約1~約5個のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、MAGED4BとFJX1との間のリンカーは、約2~約6個のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、MAGED4BとFJX1との間のリンカーは、約2~約5個のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、MAGED4BとFJX1との間のリンカーは、約3~約5個のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、MAGED4BとFJX1との間のリンカーは、約4~約6個のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、MAGED4BとFJX1との間のリンカーは、約5個のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。
MAGED4BとFJX1との間のリンカーは、G、S、T、およびAから選択される3~5個のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。MAGED4BとFJX1との間のリンカーは、Gおよび/またはS残基を含み得るか、またはそれからなり得る。一実施形態では、MAGED4BとFJX1との間のリンカーは、交互するGおよび/またはS残基を含み得るか、またはそれからなり得る。一実施形態では、MAGED4BとFJX1との間のリンカーは、GSGSG(配列番号6/リンカー2)を含み得るか、またはそれからなり得る。別のリンカーは、GGGGG(配列番号10)またはSSSSS(配列番号11)を含み得るか、またはそれからなり得る。グリシンおよびセリンアミノ酸は、リンカー中に含まれる場合、柔軟性であり、それらは、効率的発現のために、タンパク質に柔軟性を与える。
このようなリンカーの利点は、それらが、顕著に免疫原性ではなく、疑似エピトープを最小化することである(われわれは、MHC I予測アルゴリズムを使用して接合部ペプチドの非存在を予測した)。リンカーが柔軟性であることは、効率的翻訳およびMHCによる提示のためにプロテアソームプロセッシングを可能にする抗原の構造に大きく影響を与えないであろう。
MAGED4Bおよび/またはFJX1融合タンパク質と共にDOMをコードするある実施形態では、融合タンパク質は、DOMの配列と、MAGED4Bおよび/またはFJX1の配列との間に、リンカーを含み得る。DOMと、MAGED4Bおよび/またはFJX1配列との間のリンカーは、約1~約10個のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、DOMと、MAGED4Bおよび/またはFJX1配列との間のリンカーは、約1~約8個のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、DOMと、MAGED4Bおよび/またはFJX1配列との間のリンカーは、約2~約8個のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、DOMと、MAGED4Bおよび/またはFJX1配列との間のリンカーは、約4~約8個のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、DOMと、MAGED4Bおよび/またはFJX1配列との間のリンカーは、約5~約8個のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、DOMと、MAGED4Bおよび/またはFJX1配列との間のリンカーは、約6~約8個のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、DOMと、MAGED4Bおよび/またはFJX1配列との間のリンカーは、約7個のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、DOMと、MAGED4Bおよび/またはFJX1配列との間のリンカーは、約8個のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、DOMと、MAGED4Bおよび/またはFJX1配列との間のリンカーは、約9個のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、DOMと、MAGED4Bおよび/またはFJX1配列との間のリンカーは、約10個のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。
一実施形態では、DOMと、MAGED4Bおよび/またはFJX1との間のリンカーは、AAAGPGP(配列番号5/リンカー1)を含み得るか、またはそれからなり得る。DOMと、MAGED4Bおよび/またはFJX1との間のリンカーは、G、S、T、およびAから選択される3~10個のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。あるいは、DOMと、MAGED4Bおよび/またはFJX1との間のリンカーは、G、S、T、およびAから選択される3~5個のアミノ酸を含み得るか、またはそれからなり得る。一実施形態では、DOMと、MAGED4Bおよび/またはFJX1との間のリンカーは、交互するGおよび/またはS残基を含み得るか、またはそれからなり得る。一実施形態では、DOMと、MAGED4Bおよび/またはFJX1との間のリンカーは、GSGSG(配列番号6/リンカー2)を含み得るか、またはそれからなり得る。別のリンカーは、GGGGG(配列番号10)またはSSSSS(配列番号11)を含み得るか、またはそれからなり得る。
好都合にも、リンカーAAAGPGP(配列番号5/リンカー1)は、疑似エピトープの発生を最小化し、制限酵素Not I部位を挿入してクローニングを支援する。特に、MHC I予測アルゴリズムは、接合部ペプチドの非存在を予測するために利用された。さらに、リンカーは、柔軟性であり、効率的翻訳およびMHCによる提示のためにプロテアソームプロセッシングを可能にする抗原の構造に大きく影響を与えないであろう。
核酸は、分泌効力を高めるためのシグナルペプチドなどのリーダー配列をさらにコードし得る。リーダー配列は、mus IgHシグナルペプチド、またはその相同分子種などのIgHシグナルペプチドを含み得るか、またはそれからなり得る。リーダー配列は、配列MGWSCIIFFLVATATGVHS(配列番号1)、またはその機能的バリアントを含み得るか、またはそれからなり得る。リーダー配列は、DOM配列に対しN末端であり得、それと共に融合ペプチドの一部を形成する。
核酸は、1種または複数のプロモーターを含み得る。プロモーターは、真核生物プロモーターを含み得、核酸は任意選択で、T7などの原核生物プロモーターをさらに含み得る。一実施形態では、プロモーターは、二重真核生物/原核生物プロモーターである。プロモーターは、強力なプロモーターであり得る。一実施形態では、プロモーターは、ウィルスプロモーターである。プロモーターは、シミアンウィルス40初期プロモーター(SV40)サイトメガロウィルス最初期プロモーター(CMV)、T7、ヒトユビキチンCプロモーター(UBC)、ヒト伸長因子1αプロモーター(EF1A)、マウスホスホグリセリン酸キナーゼ1プロモーター(PGK)、およびCMV初期エンハンサー(CAGG)と結合したニワトリβ-アクチンプロモーターを含む群のいずれかから選択され得る。一実施形態では、プロモーターはCMVを含む。一実施形態では、プロモーターは、例えば、配列番号9に一致するCMV/T7デュアルプロモーターを含む。一実施形態では、プロモーターは、例えば、配列番号9、またはその機能性バリアントを含む、またはそれからなるCMV/T7デュアルプロモーターを含む。配列番号9のバリアントは、配列番号9と、少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%同一性を有し得る。
プロモーターは、発現される抗原性のタンパク質(例えば、DOM、MAGED4B、および/またはFJX1)に対しN末端にコードされ得る。これは、プロモーターがコード配列の上流にあることを意味することは理解されよう。プロモーターは、単に、コード配列に動作可能に連結されることが必要なだけである。
ある実施形態では、MAGED4BおよびFJX1は別々のポリペプチドとして発現され、核酸は、各ポリペプチドに対するプロモーターを含み得る。単一プロモーターは、発現される抗原の1種または複数、または全てに対し使用され得る。
核酸は、ポリA転写終結配列をコードし得る。一実施形態では、ポリA転写終結配列は、ポリアデニル化および終止の両方を促進する配列モチーフAAUAAAを含む哺乳動物ターミネーターである。哺乳動物ターミネーターは、SV40、hGH、BGH、およびrbGlobのいずれか1種であり得る。一実施形態では、ポリA転写終結配列は、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリA転写終結配列である。ポリアデニル化シグナルは、癌抗原のコード配列の下流であり得る。ポリアデニル化シグナルは、LTRポリアデニル化シグナル、ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、またはヒトβ-グロビンポリアデニル化シグナルであり得る。SV40ポリアデニル化シグナルは、pCEP4ベクター(Invitrogen,San Diego,CA)由来のポリアデニル化シグナルであり得る。
一実施形態では、核酸は、下記をコードするDNAである: DOM抗原、完全長MAGED4B抗原、および完全長FJX1抗原を含み、各抗原間にコード化リンカー残基を有する単一融合ポリペプチド;

N末端CMV/T7プロモーター;および
C末端ポリA配列。
別の実施形態では、核酸は、下記をコードするDNAである:
DOM抗原、および完全長MAGED4B抗原または完全長FJX1抗原の1つを含み、各抗原間にコード化リンカー残基を有する単一融合ペプチド;
N末端CMV/T7プロモーター;および
C末端ポリA配列。
理想的には、CMV/T7プロモーターは、CMVプロモーターで置換され得る。
核酸は、下記をコードするDNAであり得る:
ヘルパーモチーフおよびMAGED4B抗原を含む単一融合ポリペプチド;
作動可能に連結されたプロモーター;および
ポリAシグナル配列。
核酸は、下記をコードするDNAであり得る:
DOM抗原およびMAGED4B抗原を含む単一融合ポリペプチド;
作動可能に連結されたプロモーター;および
ポリAシグナル配列。
核酸は、本明細書で記載の配列番号2~4をコードする配列、またはそのバリアントを含み得る。別の実施形態では、核酸は、本明細書で記載の配列番号1~4をコードする配列、またはそのバリアントを含み得る。別の実施形態では、核酸は、本明細書で記載の配列番号2~6をコードする配列、またはそのバリアントを含み得る。別の実施形態では、核酸は、本明細書で記載の配列番号1~6をコードする配列、またはそのバリアントを含み得る。
MAGED4Bおよび/またはFJX1をコードする核酸は、インビボでの送達および発現に適切なバックボーンベクターで提供され得る。一実施形態では、バックボーンベクターは、pcDNA3.0ベクターを含む。
任意の好適な核酸構築物をワクチンに使用し得る。DNAワクチンの場合、DNAは、プラスミド、ミニサークル、一本鎖サークル、または閉鎖型直鎖状DNAの形態であり得る。閉鎖型直鎖状DNAは、細菌性配列を含まない可能性があり、DNAワクチンなどに使用するために設計された最小限のベクターであるので、好ましい。
一実施形態では、核酸は、本明細書に記載のpDOM MAGED4B-FJX1;pDOM MAGED4B、およびpDOM FJX1から選択されるベクターのいずれか1種を含み得る、またはそれからなり得る。
一実施形態では、核酸は、DB MAGED4B-FJX1;DB MAGED4B、およびDB FJX1から選択される構築物のいずれか1種を含み得る、またはそれからなり得る。これらは、DOMをさらに含み得る。これらの閉鎖型直鎖状DNA構造に関して、種々の構成が試験された;これらは図18に示されている。
一実施形態では、核酸は、配列番号12の配列を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、核酸は、配列番号13の配列を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、核酸は、配列番号14の配列を含み得るか、またはそれからなり得る。一実施形態では、核酸は、配列番号16の配列を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、核酸は、配列番号17の配列を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、核酸は、配列番号18の配列を含み得るか、またはそれからなり得る。一実施形態では、核酸は、配列番号19の配列を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、核酸は、配列番号20の配列を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、核酸は、配列番号21の配列を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、核酸は、配列番号22の配列を含み得るか、またはそれからなり得る。別の実施形態では、核酸は、配列番号23の配列を含み得るか、またはそれからなり得る。
核酸は、DNAを含み得るか、またはそれからなり得る。核酸は、mRNAまたは自己複製するRNAなどのRNAを含み得るか、またはそれからなり得る。本明細書で考察したように、人工核酸もまた想定される。
核酸は、直鎖状または、例えば、プラスミド中で、環状であり得る。核酸は、pcDNA3.0ベクターまたはその等価物などの哺乳動物発現ベクターの配列を含み得る。当業者は、いずれの適切な哺乳動物発現ベクターも、本明細書記載の発明による核酸を挿入するために使用し得ることを理解するであろう。ベクターは閉鎖型直鎖状DNAであるのが好ましい場合がある。
癌ワクチンは、組成物を含み得る。例えば、癌ワクチンは、薬学的に許容可能な核酸の形態で提供され得る。MAGED4Bおよび/またはFJX1抗原は、同じ組成物中で、ベクターなどの別々の核酸にコードされ得る。
追加の定義
本明細書で使用される場合、「コード配列」または「コード化」は、タンパク質またはそのフラグメントをコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNAまたはDNA分子)を意味し得る。コード配列は、核酸が投与される個体または哺乳動物の細胞中で発現を指示できるプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントに動作可能に連結された開始および終結シグナルをさらに含み得る。
本明細書で使用される場合、タンパク質に対する「フラグメント」または「免疫学的フラグメント」は、本明細書で開示の抗原と交差反応する哺乳動物中で免疫応答を誘発できるタンパク質またはそのポリペプチド部分を意味し得る。フラグメントは、本明細書で記載の種々のアミノ酸配列の少なくとも1種から選択されるポリペプチドフラグメントであり得る。タンパク質のフラグメントは、タンパク質の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%を含み得る。
本明細書で使用される場合、核酸またはタンパク質/ポリペプチド配列との関連における「同一性」は、その配列が、指定された領域にわたり、指定されたパーセンテージの、基準配列と同じ残基を有することを意味する。パーセンテージは、2個の配列を最も適切なように整列させ、2個の配列を指定領域にわたり比較し、同一の残基が両方の配列中で発生する位置の数を決定して一致した位置の数を得て、一致した位置の数を指定領域中の位置の総数で除算し、その結果に100を乗じて、配列同一性のパーセンテージを得ることにより、計算できる。任意選択で、本明細書で配列が参照される場合、好ましくは、少なくとも50%の同一性、55%、60%、65%、70%、75%、80%の配列同一性、85%、90%、93%、95%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列も、包含される。
本明細書で使用される場合、核酸は、一本鎖または二本鎖であり得、または二本鎖および一本鎖配列の両方の一部を含み得る。核酸は、DNA(cDNAを含む)、RNA、またはそのハイブリッドを含み得、核酸は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの組み合わせ、ならびに天然塩基(ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン)および非天然塩基(例えば、イノシン、キサンチンヒポキサンチン、イソシトシンおよびイソグアニン)を含む塩基の組み合わせを含み得る。核酸は、任意のヌクレオチドから構成され得る。これらのヌクレオチドは、天然、改変または人工であってもよい。ヌクレオチドは、重合してRNA、DNA、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、モルホリノ核酸、グリコール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)、ハイブリッドおよびこれらの混合物ならびに任意の他の人工(ゼノ)核酸を形成するように重合されてもよい。ポリヌクレオチドがDNAまたはその改変バージョン(すなわち、主鎖、糖残基または核酸塩基中に改変を有する)であるのが好ましい場合がある。ModRNAは、ワクチンを形成するために適切な核酸であると考えられる。
核酸は、任意の適切なフォーマットであってよく、必要とされ得る任意の追加の配列または要素を含み得る。核酸は、プラスミド(二本鎖環状)、ミニサークル、閉鎖型直鎖状DNA、一本鎖環状DNA、またはワクチンの細胞への送達に好適する任意の他の核酸構築物であり得る。核酸は、RNA、例えば、mRNA(メッセンジャーRNA)、自己複製するRNA、またはインビトロで樹状細胞に遺伝子導入するのに好適するものなどの非複製性mRNAであり得る。
本明細書で使用される場合、「作動可能に連結された」は、コード配列の発現が、空間的に連結されているプロモーターの制御下にあることを意味し得る。プロモーターは、その制御下のコード配列の5’(上流)または3’(下流)に配置できる。
本明細書で使用される場合、「プロモーター」は、細胞中のコード配列の発現を付与、活性化または強化できる合成または天然由来配列を意味する。プロモーターは、ウィルス、細菌性、真菌、植物、昆虫、および動物を含む由来限から誘導できる。プロモーターは、遺伝子構成要素の発現を、発現が起こる細胞、組織または臓器に対して、または誘発剤などの外部刺激に応答して、構成的にまたは差次的に調節できる。好適なプロモーターの例としては、lacオペレータープロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMVプロモーター、またはSV40プロモーター(例えば、pcDNA3.1、pVAX1、pVIVO2、pCI、pCMVおよびpSV2)が挙げられる。
用語「シグナルペプチド」および「リーダー配列」は、本明細書では同じ意味で用いられ、本明細書で記載のタンパク質のN末端に結合できるアミノ酸配列を意味する。シグナルペプチド/リーダー配列は通常、タンパク質の局在化を指示する。本明細書で使用されるシグナルペプチド/リーダー配列は、好ましくは、産生された細胞からのタンパク質の分泌を促進する。
本明細書で使用される場合、「免疫応答」は、免疫系、例えば、哺乳動物の免疫系の、抗原の導入に応答した活性化を意味する。免疫応答は、細胞性もしくは体液性応答、または両方の形態であり得る。誘発される免疫応答は、CD4+およびCD8+T細胞応答であるのが好ましい。
本明細書で使用される場合、「治療(Treatment)」または「治療(treating)」は、疾患の予防(preventing)、抑制(suppressing)、阻止(repressing)、または完全な除去(completely eliminating)の手段による疾患からの動物(ヒトを含む)の保護を意味し得る。疾患の予防は、疾患の発症の前に、本発明のワクチンを動物(例えば、ヒト)に投与することを含む。疾患の抑制は、疾患の誘導後で、臨床的所見の前に、本発明のワクチンを動物(ヒト)に投与することを含む。疾患の阻止は、臨床症状の出現後に、本発明のワクチンを動物(ヒト)に投与することを含む。
癌は、限定されないが、頭頸部癌、口腔癌、中咽頭癌、肺癌、乳癌、食道癌、上咽頭癌、胃癌、肝臓癌、結腸癌、腎臓癌、胆管細胞癌腫、皮膚黒色腫、直腸癌、甲状腺癌、膀胱尿路上皮癌、腎癌および胃腺癌を含む任意の癌であってよい。
癌ワクチンは、悪性細胞または癌細胞が発生するのを防ぐために使用され得る。いくつかの事例では、癌発生の前に細胞変化が検出でき、癌ワクチンは、癌の発生を防ぐために投与または使用される。従って、癌ワクチンは、前癌性細胞を治療するために使用され得る。さらに、細胞は、癌の表現型が獲得される前に、いくつかの表現型を経由して進行する場合がある。従って、癌の予防は、前癌性であるが侵襲的細胞型の治療を含み得る。例えば、口内の癌では、細胞は、限定されないが、口腔前癌病変(OPML):白斑症、紅板症、扁平苔癬、および口腔上皮異形成を含むいくつかの表現型を経由し得る。さらなる例としては、一部の肺癌は、限定されないが、扁平上皮異形成、異型腺腫様過形成、および/または扁平上皮内癌(CIS)を含むいくつかの表現型を経由し得る。
癌ワクチンは、腫瘍増殖を防止できる。癌ワクチンは、腫瘍増殖を低減できる。ワクチンは、腫瘍細胞の転移を防止できる。癌ワクチンは、腫瘍細胞の免疫回避を低減できる。ワクチンの癌抗原は、その抗原を発現する癌または腫瘍に向けられた、またはそれに対して反応性である免疫応答を誘導または誘発する。誘導または誘発された細胞性免疫応答は、インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)の誘導または分泌、および/またはパーフォリン/グランザイムを含む細胞溶解性顆粒の形成を含み得る。他の実施形態では、誘導または誘発された免疫応答は、その抗原を発現している腫瘍または癌の増殖を促進する1種または複数の免疫抑制因子、例えば、限定されないが、MHC提示を下方制御する因子、抗原特異的制御性T細胞(Treg)、PD-L1、FasL、IL-10およびTFGβなどのサイトカイン、腫瘍関連マクロファージ、癌関連線維芽細胞、免疫サプレッサー細胞、CTLA-4、PD-1、MDSC、MCP-1、および免疫チェックポイント分子により産生される可溶性因子を上方制御する因子を低減または阻害できる。
ワクチンは、ワクチンを投与された対象の細胞性免疫応答を、ワクチンを投与されない対象の細胞性免疫応答に比較して、約50倍~約6000倍、約50倍~約5500倍、約50倍~約5000倍、約50倍~約4500倍、約100倍~約6000倍、約150倍~約6000倍、約200倍~約6000倍、約250倍~約6000倍、または約300倍~約6000倍高め得る。
ワクチンは、ワクチンを投与された対象のインターフェロンガンマ(IFNγ)レベルを、ワクチンを投与されない対象のIFNγレベルに比較して、約50倍~約6000倍、約50倍~約5500倍、約50倍~約5000倍、約50倍~約4500倍、約100倍~約6000倍、約150倍~約6000倍、約200倍~約6000倍、約250倍~約6000倍、または約300倍~約6000倍高め得る。
癌ワクチンは、DNAであり得る。DNAワクチンは、染色体中へのその組み込みを阻止する要素または試薬をさらに含み得る。
癌ワクチンは、1種または複数の癌抗原のRNAであり得る。
本発明のワクチンは、ワクチンそれ自体が正常細胞に対し障害、疾病または死亡を生じないように安全であること;疾病に対し保護的であること;防御T細胞応答を誘導すること;ならびに投与の容易さ、少ない副作用、生物学的安定性、および特に閉鎖型直鎖状DNAが使用される場合、単回用量当たりの低価格を可能とすること、などの効果的なワクチンに必要な特徴を有し得る。
癌ワクチンは、1種または複数の免疫チェックポイント分子の1種または複数の阻害剤(すなわち、免疫チェックポイント阻害薬または「チェックポイント阻害剤」)をさらに含み得る。免疫チェックポイント阻害薬は、MHCクラス提示、T細胞提示および/または分化、B細胞提示および/または分化、いずれかのサイトカイン、ケモカインまたは免疫細胞増殖および/または分化のためのシグナル伝達などの免疫系のいずれかの成分の抑制を阻止する任意の核酸またはタンパク質である。癌ワクチンは抗体と共にCTLA-4、PD-1およびPDL-1などのチェックポイント阻害剤にさらに組み合わされて、細胞応答および免疫応答の刺激を高める。抗PD-1または抗PDL-1抗体の使用は、PD-1またはPDL-1によるT細胞抑制および応答抑制を防ぐ。
併用療法
癌ワクチンは、別の治療的に、または予防的に活性な成分と組み合わせて、ワクチンとして使用し得る。癌ワクチンは、アジュバントと組み合わせて、ワクチンとして使用し得る。
治療的に、または予防的に活性な薬剤は、いずれかの抗癌剤であり得る。
好適な抗癌剤としては、限定されないが、アルキル化剤、マスタードガス誘導体(メクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、メルファラン、およびイホスファミド)、エチレンイミン、アルキルスルホネート、ヒドラジンおよびトリアジン、ニトロソウレア、金属塩(カルボプラチン、シスプラチン、およびオキサリプラチンなど)、植物アルカロイド、ビンカアルカロイド、タキサン、ポドフィロトキシン、カンプトテシン(camptothecin)類似体、抗腫瘍抗生物質、アントラサイクリン、クロモマイシン、マイトマイシン、ブレオマイシン、代謝拮抗薬、葉酸拮抗薬、ピリミジン拮抗薬、プリン拮抗薬、アデノシンデアミナーゼ阻害剤、およびトポイソメラーゼ(IおよびII)阻害剤を含む化学療法剤が挙げられる。
好適な抗癌剤としては、限定されないが、免疫チェックポイント阻害薬、T細胞導入療法剤、養子免疫細胞療法剤、または免疫細胞療法剤、抗体療法剤、ワクチン、または免疫系調節剤を含む免疫療法剤が挙げられる。さらに意図されるのは、T細胞チェックポイントまたはアゴニスト経路を標的にする免疫療法、キメラ抗原受容体(CAR T細胞)を発現するように遺伝子改変されたT細胞を用いる養子免疫細胞療法(ACT)、T細胞受容体(TCR)またはインビトロ増殖T細胞である。
好適な抗癌剤としては、放射線治療または放射線類似作用物質、標的療法、手術またはレーザー療法が挙げられ得る。
好適な抗癌剤としては、標的療法が挙げられる。このような治療法は、治療される癌に依存し、何の遺伝子を癌細胞が発現しているかの分析を必要とし、またはどの遺伝子変異が変異誘発の根底にあるのかの再検討を必然的に伴い得る。いくつかの標的療法が本明細書で記載され、腫瘍細胞を標的にする細胞増殖抑制性および細胞傷害薬、血管新生を標的にする薬剤(血管新生阻害剤レンバチニブおよびソラフェニブなど)、癌細胞が特異的に発現するマーカーを標的にする薬剤(すなわち、HER2陽性細胞を標的にするハーセプチン)、マクロファージを標的にする療法剤、T細胞チェックポイントまたはアゴニスト経路を標的にする療法剤、などを含む。
追加でまたは代わりに、本発明による癌ワクチンは、単独で、またはチェックポイント阻害剤と組み合わせて癌の予防または治療のために使用され得る。チェックポイント阻害剤は、抗PD1結合分子を含み得る。この結合分子は、抗PD1抗体、またはそのフラグメントを含む。別の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗CTLA4結合分子を含み得る。
好都合にも、前臨床データは、MAGED4B/FJX1を標的化し、これらの抗原を発現している腫瘍の増殖を抑制する大きな潜在能力を有するDNAワクチンが、抗PD1または抗CTLA4結合分子などのチェックポイント阻害剤と組み合わせることにより、さらに強化され得ることを本明細書で実証している。
抗PD1結合分子は、抗体フラグメント、または抗体模倣体などの抗体または抗体バリアントを含み得る。抗体またはそのバリアントは、モノクローナルであってもよい。一実施形態では、抗体またはそのバリアントは、ニボルマブ、またはニボルマブと結合を競合する抗体またはそのバリアントを含み得るか、またはそれからなり得る。一実施形態では、抗体またはそのバリアントは、ニボルマブの6つの重鎖および軽鎖CDRを含み得る。代替的実施形態では、抗体またはそのバリアントは、ニボルマブの可変重鎖および軽鎖配列を含み得る。
抗CTLA4結合分子は、抗体フラグメント、または抗体模倣体などの抗体または抗体バリアントを含み得る。抗体またはそのバリアントは、モノクローナルであってもよい。一実施形態では、抗体またはそのバリアントは、イピリムマブ、またはイピリムマブと結合を競合する抗体またはそのバリアントを含み得るか、またはそれからなり得る。一実施形態では、抗体またはそのバリアントは、イピリムマブの6つの重鎖および軽鎖CDRを含み得る。代替的実施形態では、抗体またはそのバリアントは、イピリムマブの可変重鎖および軽鎖配列を含み得る。
一実施形態では、抗PD1または抗CTLA4結合分子などのチェックポイント阻害剤は、インビボ発現のためのチェックポイント阻害剤をコードする核酸の供給/投与により与えられ得る。チェックポイント阻害剤は、プラスミドでコードされ得る。チェックポイント阻害剤は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Perales-Puchalt et al.(Oncotarget.2019 Jan 1;10(1):13-16.doi:10.18632/oncotarget.26535)に記載される、DNAコードモノクローナル抗体(DMAb)を含み得る。
DNAコードモノクローナル抗体(DMAb)は、作製の困難さ、安定性、繰り返される問題である抗体投与のための頻繁な高投与量の要求および長時間の静脈内投与を克服するのに役立ち得る。人工的に設計されるDMAbは、MAbベース療法の設計および実施を簡略化できる。プラスミドDNA注入および電気穿孔を介して送達されたDMAbは、感染性疾患、癌ならびに心臓血管疾患の治療および予防のための前臨床モデルに使用された参照により本明細書に組み込まれる、Perales-Puchalt et al.(Oncotarget.2019 Jan 1;10(1):13-16.doi:10.18632/oncotarget.26535)およびDuperret EK et al.(Cancer Res.2018;78:6363-70)は、免疫チェックポイント遮断薬が、インビボで最適化および送達でき、抗CTLA4および抗PD1抗体の最適化、発現およびインビボ機能性特性評価により、さらにDMAb技術を進展させることを報告した。
使用は、混合製剤の形態であり得る。別の実施形態では、使用は、同時または逐次投与(例えば、別々に処方されるが、一緒に投与される)であり得る。一実施形態では、本発明によるワクチンは、チェックポイント阻害剤の前に投与され得る。
本発明の別の態様では、本明細書で記載の癌ワクチンの核酸によりコードされる融合ペプチドが提供される。
本発明の別の態様では、本明細書による癌ワクチンを含む組成物が提供される。
組成物は、例えばヒトなどの哺乳動物中で免疫原性であり得る。組成物は、薬学的に許容可能な担体を含み得る。組成物は、薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物であり得る。組成物は、癌の予防または治療での使用のためのものであり得る。
本発明の別の態様では、下記を含む、癌の治療または予防のためのキットが提供される:
-本明細書に記載の本発明による癌ワクチン;および
-抗PD1結合分子などのチェックポイント阻害剤。
本発明の別の態様では、下記を含む、癌の治療または予防のためのキットが提供される:
-本明細書に記載の本発明による第1の癌ワクチンであって、核酸がMAGED4Bをコードするワクチン;
-本明細書に記載の本発明による第2の癌ワクチンであって、核酸がFJX1をコードするワクチン;および
-任意に抗PD1結合分子などのチェックポイント阻害剤。
従って、下記を含む、癌の治療または予防のためのキットが提供され得る:
-MAGED4B抗原またはそのバリアントをコードする配列を含む癌ワクチン;および
-抗PD1結合分子などのチェックポイント阻害剤。
従って、下記を含む、癌の治療または予防のためのキットが提供され得る:
-第1の癌ワクチンであって、核酸がMAGED4Bまたはそのバリアントをコードするワクチン;および
-抗PD1結合分子などのチェックポイント阻害剤。
癌ワクチンは、1種または複数の免疫チェックポイント分子の1種または複数の阻害剤(すなわち、免疫チェックポイント阻害薬)をさらに含み得る。免疫チェックポイント阻害薬は、MHCクラス提示、T細胞提示および/または分化、いずれかのサイトカイン、ケモカインまたは免疫細胞増殖および/または分化のためのシグナル伝達などの免疫系のいずれかの成分の抑制を阻止する任意の核酸またはタンパク質であり得る。
免疫チェックポイント阻害薬は、抗体、そのバリアント、そのフラグメント、またはこれらの組み合わせをコードする1種または複数の核酸配列であり得る。他の実施形態では、免疫チェックポイント阻害薬は、抗体、そのバリアント、そのフラグメント、またはこれらの組み合わせであり得る。
免疫チェックポイント分子は、核酸配列、アミノ酸配列、小分子、またはこれらの組み合わせであり得る。
PD-1およびPD-L1
免疫チェックポイント分子は、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)、そのフラグメント、そのバリアント、またはこれらの組み合わせであり得る。PD-1は、PDCD1遺伝子によりコードされる細胞表面タンパク質である。PD-1は、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、T細胞およびプロB細胞上に発現され、従って、これらの細胞の運命および/または分化に寄与する。特に、PD-1は、T細胞制御因子のCD28/CTLA-4ファミリーの1型膜タンパク質であり、T細胞受容体(TCR)シグナルを負に調節し、それにより、免疫応答を負に調節する。PD-1は、CD8+T細胞応答を負に制御でき、従って、CD8媒介細胞傷害性を抑制し、腫瘍増殖を強化する。
PD-1は、2つのリガンド、PD-L1およびPD-L2を有し、これらは、B7ファミリーのメンバーである。PD-L1は、LPSおよびGM-CSF処理に応答してマクロファージおよび樹状細胞(DC)上で、ならびにTCR受容体シグナル伝達時にT細胞上で発現上昇している。PD-L1は、いくつかの腫瘍細胞株により発現される。
抗免疫チェックポイント分子抗体
免疫チェックポイント阻害薬は、抗体であり得る。抗体は、免疫チェックポイント分子と結合または反応できる。従って、抗体は、抗免疫チェックポイント分子抗体または免疫チェックポイント分子抗体とみなし得る。抗体は、癌ワクチン中に含まれる核酸配列によりコードされ得るか、または抗体として供給され得る。
抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体であり得る。抗体は、キメラ抗体、単鎖抗体、親和性成熟抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、または完全ヒト抗体である。
癌ワクチン構築物
癌ワクチンは、癌抗原をコードする核酸構築物を含み得る。核酸構築物は、1種または複数の異種核酸配列を組み込むまたは含むことができる。構築物は、機能する染色体外分子として細胞中に存在し得る。構築物は、好ましくは、閉鎖型直鎖状DNA分子である。
閉鎖型直鎖状DNAは通常、各末端で、共有結合で閉じた二本鎖DNAと理解されている。DNAの二本鎖部分は、従って、相補的である。変性されると、閉鎖型直鎖状DNAは、一本鎖サークルを形成し得る。DNAは、好みに応じて、十字型、ヘアピンまたはヘアピンループを含む、任意の好適な構造により各末端で閉じ得る。閉鎖型直鎖状DNAの末端は、非相補配列から構成される場合があり、従って、DNAを十字型、ヘアピンまたはヘアピンループの一本鎖配置にさせ得る。あるいは、配列は相補的であり得る。末端はプロテロメラーゼ酵素のための標的配列の一部により形成されるのが好ましい場合がある。プロテロメラーゼ標的配列は、DNAテンプレート中のその存在がプロテロメラーゼの酵素活性を可能にするいずれかのDNA配列である。プロテロメラーゼは、DNAの二本鎖部分を切断し、それらを再連結し、共有結合による閉止末端を残す。一般に、プロテロメラーゼ標的配列は、任意の完全な回文配列、すなわち、2回転対称、または完全な逆方向反復を有する任意の二本鎖DNA配列を含む。閉鎖型直鎖状DNAは、片方または両方の末端に、プロテロメラーゼ標的配列の部分を有し得る。この部分が、全二本鎖認識部位の一本鎖であることは効果的である。プロテロメラーゼ標的配列は、同じ同族のプロテロメラーゼを各末端に有し得るか、または各末端に対し異なるプロテロメラーゼを必要とし得る。種々のプロテロメラーゼ酵素の作用を介して構築された閉鎖型直鎖状DNAは、WO2010/086626、WO2012/017210およびWO2016/132129で以前に開示された。これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。インビトロDNA増幅とそれに続くプロテロメラーゼ酵素による切断を用いて構築された閉鎖型直鎖状DNAは、閉鎖型直鎖状DNAがインビトロの無細胞環境で産生され、商業製品用にスケールアップできるという利点を有する。これらの閉鎖型直鎖状DNAベクターは、ドギーボーンDNAまたはdbDNA(商標)として知られる。閉鎖型直鎖状DNAベクターは、出願者らの以前の方法を用いて、少なくとも1つのプロテロメラーゼ標的配列を有するDNAテンプレートのポリメラーゼベース増幅に基づいて、インビトロ、無細胞方式で作製し、さらに増幅したDNAをプロテロメラーゼで処理して閉鎖型直鎖状DNAを産生することが好ましい。
閉鎖型直鎖状DNAは、必要なプロテロメラーゼ標的配列を有するプラスミドの閉鎖型直鎖状DNAベクターへの変換により構築できるが、これは、効率的な産生方法ではない。
他の閉鎖型直鎖状DNAベクターは、PCR産物のキャッピング、およびMIDGE(minimalistic immunogenic defined gene expression)ベクターを含む種々のインビトロ戦略により構築されてきた。MIDGEは、プラスミドの細菌細胞からの単離後の原核生物および真核生物両方のバックボーンの消化と、それに続く、末端再充填のための必要なDNA配列のヘアピン配列への結紮により生成される。
プロテロメラーゼの作用に基づいて、細胞培養物中で、インビボで産生されるDNA「ミニストリング(ministring)」は、同様に、本発明中で使用するために好適するはずである閉鎖型直鎖状DNAベクターである。
好適であり得る他の形態の閉鎖型直鎖状DNAには、十字型構造を有する両端で閉じたものが含まれ、これも細胞培養物中で製造され得る。
閉鎖型直鎖状DNAは、製品の純度を保証するという理由で、無細胞系で製造されるのが好ましい可能性があり、別の方法の場合には、規制当局により、細胞法で製造された閉鎖型直鎖状DNAの厳密な精製が要求されるであろう。
核酸構築物は、核酸のコード配列の遺伝子発現のための調節エレメントを含み得る。調節エレメントは、プロモーター、エンハンサー、停止コドン、またはポリアデニル化シグナルであり得る。
本明細書に記載の癌ワクチンは、動物の細胞中で、動物の免疫応答を誘発するのに効果的な量で癌抗原を発現することができる。癌ワクチンは、癌抗原をコードする核酸を、その抗原の発現が生じる細胞に遺伝子導入するために有用であり得る。閉鎖型直鎖状DNAは、DNAワクチンのための効果的な構築物であること示されている。
ワクチンの調製方法
閉鎖型直鎖状DNA分子は、既知の装置および技術の組み合わせを用いて配合または製造できるが、それらは、WO2010/086626、WO2012/017210およびWO2016/132129に記載の無細胞合成方法を用いて製造されるのが好ましい。
標準的組換え技術を用いて、DNA構築物を調製できる。
他の態様
本発明の別の態様では、医薬として使用するための、本発明による癌ワクチンまたは組成物が本明細書で提供される。
本発明の別の態様では、対象の癌の治療または予防に使用するための、本発明による癌ワクチンまたは組成物が本明細書で提供される。
本発明の別の態様では、対象の癌の治療または予防方法が提供され、該方法は、本明細書に記載の本発明による癌ワクチンまたは組成物の投与を含む。
治療または予防される癌は、口腔癌および/または中咽頭癌であり得る。口腔癌および/または中咽頭癌は、HPV陰性または陽性口腔癌および/または中咽頭癌であり得る。一実施形態では、癌は口腔癌である。別の実施形態では、癌は中咽頭癌である。一実施形態では、癌は扁平上皮細胞癌である。別の実施形態では、治療される癌は肺癌または上咽頭癌であり得る。
癌は、MAGED4Bおよび/またはFJX1を発現している、または過剰発現している癌細胞により特徴付け得る。
癌は、MAGED4Bを発現している、または過剰発現している腫瘍関連細胞により特徴付け得る。
癌抗原の発現は、関連抗体を用いた生検材料または試料検出、および/または細胞中に存在するRNA配列の検出などの定型的方法により測定できる。
癌は、追加でまたは代わりに、MAGED4B過剰発現CAFと関連付けることにより特徴付け得る。このような細胞は、免疫系および他の抗癌剤から癌細胞を保護し得る。
癌細胞および癌関連細胞上の癌抗原の発現は、同じ組織または臓器由来の正常細胞と比較して決定し得る。従って、発現または過剰発現は、正常細胞に対する発現の比較レベルであり得る。
一実施形態では、対象は、治療または予防の前に、それらの癌性の組織または細胞中のMAGED4Bおよび/またはFJX1抗原の存在について試験される。別の実施形態では、対象は、治療または予防の前に、それらの癌性の組織または細胞中のMAGED4Bおよび/またはFJX1抗原のレベルについて試験される。対象は、それらの癌性の組織または細胞中にMAGED4Bおよび/またはFJX1抗原を有するかどうか、または相当する非癌性の組織または細胞に比べて、その過剰発現を有するかどうかに関し、治療または予防のために選択され得る。腫瘍周辺の細胞はまた、癌抗原発現、特に、MAGED4B発現について試験され得る。
当業者は、ワクチン投与経路および投与量に精通しているであろう。例えば、投与は、皮下、筋肉内、または静脈内であり得る。典型的な投与量は、投与される患者/対象当り、約4~8mgを、1回または複数の回であり得る。例えば、投与量は、治療効果が観察されるまで複数回投与され得る。一実施形態では、インビボ電気穿孔を用いて、細胞中への送達が、インビボまたはエクスビボで高められる。
対象は、哺乳動物であり得る。一実施形態では、対象はヒトである。別の実施形態では、対象は、飼育動物または家畜である。
本発明の別の態様では、MAGED4Bタンパク質またはそのバリアントまたは短縮化バージョンを含むポリペプチドが提供される。ポリペプチドは、ヘルパーモチーフとの融合体として提示され得る。ポリペプチドは、DOMとの融合体として提示され得る。例示的ポリペプチド配列は、配列番号32、35、36および37として本明細書で記載される。MAGED4B配列は、配列番号12によりコードされるように(この例ではDOMと融合)、FJX1と融合され得る。
癌ワクチン組成物
ワクチンは、組成物、任意選択で、医薬組成物の形態であり得る。医薬組成物は、約5ナノグラム~約10mgのワクチンを含み得る。いくつかの実施形態では、本発明による医薬組成物は、約25ナノグラム~約5mgのワクチンを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50ナノグラム~約1mgのワクチンのDNAを含む。
組成物は、処方目的のための他の添加物をさらに含み得、これは、投与方法により変わり得る。組成物が注射可能である場合には、それらは、無菌、発熱性物質不含および粒子不含である。好適な製剤は、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトールおよびラクトースを含み得る。いくつかの事例では、リン酸緩衝食塩水などの等張性溶液が好ましい。安定化剤は、ゼラチンおよびアルブミンを含み得る。
ワクチンは、許容可能な賦形剤をさらに含み得る。許容可能な賦形剤は、ビークル、アジュバント、担体、または希釈剤などの機能性分子であり得る。
ワクチン接種
本明細書で開示の癌ワクチンは、癌の治療または予防方法で使用するために提供される。本明細書で記載のワクチンは、治療的および/または予防的免疫応答を誘導するための、投与またはワクチン接種方法で使用するためのものであり得る。ワクチン接種プロセスは、動物中で、1種または複数の癌抗原に対し免疫応答を生成できる。ワクチンの投与は、細胞中で発現され、その結果、細胞表面に送達されると、免疫系が認識し、免疫応答を誘導する核酸分子としての1種または複数の癌抗原の遺伝子導入であり得る。
ワクチンは、免疫応答を誘発するために、動物、好ましくは哺乳動物に投与され得る。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類(特に、チンパンジーおよびサル)、雌ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、シカ、ラマ、アルパカ、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、マウス、ラット、および好ましくは、ヒト、イヌまたはネコであり得る。
ワクチン投与量は、1μg~10mgの活性成分/kg体重/時間であり得、および20μg~10mgの活性成分/kg体重/時間であり得る。ワクチンは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日毎に投与できる。効果的治療のためのワクチン投与回数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回またはそれを超える投与回数であり得る。
ワクチンは、「プライム・ブースト」法を用いて投与し得る。プライム・ブースト免疫法は、初回刺激とブースター投与の間の同じワクチンを用いた免疫のレジメンとして定義され得る。1回または複数回のブースター投与があり得る。実施例で使用される治療方法は、いくつかの事例で、プライム・ブースト法を使用した。
癌ワクチンは、経口、非経口、舌下、経皮、直腸内、経粘膜、局所、吸入経由、頬側投与経由、胸膜内、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内、くも膜下腔内、および関節腔内またはこれらの組み合わせを含む種々の経路により投与できる。ワクチンは、従来の注射器、無針注射器、「微粒子銃(microprojectile bombardment gone gun)」、またはタトゥー法(tattooing)、電気穿孔(「EP」)、「流体力学法」、または超音波などの他の物理的方法により投与できる。
癌ワクチンは、核酸である。それは、細胞の遺伝子導入に使用される適切な核酸送達方法を用いて送達し得る。核酸が最小限の形態(ミニサークルまたは閉鎖型直鎖状DNAなど)である場合は特に、ネイキッド核酸を使用し得る。しかし、核酸はまた、投与のために、例えば、異なる材料を用いて、「パッケージ化」され得る。これら材料には、脂質、直鎖および分枝ポリマー、および天然または合成起源のペプチド/タンパク質が含まれる。脂質/核酸の複合体化産物は、代表的層状または六角形構造を有するリポプレックスをもたらす。ポリマーおよび核酸は、何らの規則的内部構造を持たないで一緒に絡み合ったポリマー鎖を有するポリプレックスに複合体化し得る。ペプチド/タンパク質は、核酸と相互作用し、ペプチド/タンパク質の一次構造に応じて、繊維状または球状の形態を有する、無秩序ポリプレックスまたは秩序化人工ウィルスを形成する。あるいは、核酸は、ウィルス様粒子(VLP)などのウィルスコート中にパッケージ化され得るか、または実際に、レンチウィルス、レトロウィルス、およびアデノ随伴ウィルス(AAV)アデノウィルス、改変ワクシニアアンカラ(MVA)または腫瘍溶解性マラバMG1ラブドウィルスなどの任意の好適なウィルスベクター中にパッケージ化され得る。
癌ワクチンは、細胞に対しエクスビボで使用され得る。従って、好適な細胞を得ることができ、これは、自家または同種であり、インビトロで遺伝子導入され、その後、これらの細胞は、それを必要としている患者に供給できる。エクスビボ遺伝子導入のための好適な細胞には、ナチュラルキラー細胞または樹状細胞、自家または同種腫瘍細胞(通常、照射されている)などの任意の型の抗原提示細胞が挙げられる。自家細胞は、mRNAまたはDNAフォーマットの癌ワクチンを一過性に遺伝子導入され得る。癌抗原は、コドン最適化され、CD8+およびCD4+T細胞の両方に対し癌抗原ペプチドのMHC-IおよびMHC-II提示をもたらすヘルパーモチーフを含み得る結果として、患者に再導入後に、強力な腫瘍特異的免疫応答が達成され得る。
従って、本出願は、患者の癌の治療または予防のためにこれらの細胞を使用する前に、インビトロまたはエクスビボで細胞に遺伝子導入するための癌ワクチンの使用まで拡張される。このような細胞は、投与されると、遺伝子導入は一過性でよいので、もはや癌ワクチンを含まない。
データは、癌ワクチンと免疫チェックポイント阻害薬の組み合わせが、癌抗原単独を含むワクチンよりも、免疫系をより効率的に誘導し、実際に、これらの2種が相乗的に作用することを示す。このより多くの効率的免疫応答は、癌の治療において高められた効力を提供する。
定義
チェックポイント阻害剤療法は、ある種の癌免疫療法である。チェックポイント阻害剤は、腫瘍が其れ自体を免疫系による攻撃から保護するために使用できる免疫系の作用を刺激または抑制する免疫系の重要な制御因子である免疫チェックポイントを標的にする。チェックポイント療法は、阻害性チェックポイントを遮断して、免疫系の機能を回復できる。
用語「免疫原性」は、本発明のタンパク質または組成物に適用される場合、ヒトまたは動物体で免疫応答を誘発できることを意味する。免疫応答は、保護的であり得る。
用語「保護的」は、癌の予防、癌感染、伝染および/または進行のリスクの低減、癌の重篤度の低減、癌の治癒、症状の緩和、または癌もしくは癌症状の重篤度の低減を意味する。
用語「治療」は、癌の治癒、症状の緩和、または癌もしくは癌症状の重篤度の低減を意味する。
口腔癌の場合における用語「予防」は、口腔異形成症から口腔癌への変換の防止を意味する。
「抗体」により、我々は、実質的に完全な抗体分子、ならびにキメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体(少なくとも1個のアミノ酸が天然起源ヒト抗体に対して変異している)、単鎖抗体、二重特異性抗体、抗体重鎖、抗体軽鎖、抗体重鎖および/または軽鎖のホモダイマーおよびヘテロダイマー、ならびに抗原結合フラグメントおよびその誘導体を含める。特に、本明細書において使用される場合、用語「抗体」は、免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、すなわち、天然または部分的にもしくは完全に人工的に産生されたかどうかに関係なく、抗原に特異的に結合する抗原結合部位を含む分子を意味する。この用語はまた、抗体結合ドメインであるか、またはそれに相同である結合ドメインを有するいずれかのポリペプチドまたはタンパク質も包含する。これらは、天然源から誘導できるか、またはそれらは部分的にまたは完全に人工的に産生され得る。抗体の例は、免疫グロブリンアイソタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgDおよびIgA)およびそれらのアイソタイプサブクラス;Fab、scFv、Fv、dAb、Fdなどの抗原結合ドメインを含むフラグメント;およびディアボディである。抗体は、ポリクローナルであっても、またはモノクローナルであってもよい。モノクローナル抗体は、「mAb」と呼ばれることもある。
モノクローナルおよび他の抗体を用いて、組換えDNA技術を使って、元の抗体の特異性を保持する他の抗体またはキメラ分子を産生することが可能である。このような技術は、抗体の免疫グロブリン可変領域、またはCDRをコードするDNAを、異なる免疫グロブリンの定常領域、または定常領域+フレームワーク領域への導入を含み得る。例えば、EP-A-184187、GB2188638AまたはEP-A-239400を参照されたい。これらの特許は参照により本明細書に組み込まれる。抗体を産生するハイブリドーマまたは他の細胞を、遺伝子変異または他の変化に供し得、これは、産生された抗体の結合特異性を変える場合も、または変えない場合もある。
抗体は、いくつかの方法で改変され得るので、用語の「抗体」は、必要とされる特異性を有する結合ドメインを有する任意の特異的結合メンバーまたは物質を包含すると解釈されるべきである。従って、この用語は、天然または完全または部分的合成であるかどうかに関わらず、免疫グロブリン結合ドメインを含む任意のポリペプチドを含む、抗体、ヒト化抗体の抗体フラグメント、誘導体、機能的等価物および同族体を包含する。従って、別のポリペプチドに融合された免疫グロブリン結合ドメイン、または等価物を含むキメラ分子が包含される。キメラ抗体のクローニングおよび発現は、EP-A-0120694およびEP-A-0125023に記載されている。これらの特許は、参照により本明細書に組み込まれる。ヒト化抗体は、非ヒト、例えば、マウス抗体の可変領域およびヒト抗体の定常領域を有する改変抗体であってもよい。ヒト化抗体の作製方法は、例えば、米国特許第5,225,539号に記載されている。この特許は参照により本明細書に組み込まれる。
本開示の抗体は、未処理でも、または遺伝子改変されていてもよい。例えば、抗体は、完全にまたは部分的にグリコシル化されても、および/または補体、マクロファージなどのFcR含有エフェクターなどのヒトエフェクターシステムへの結合を高めるもしくは減らす、または半減期を延長するまたは短縮するために選択されてもよい。これらの改変は、有効性を改善するために、および場合によっては、毒性副作用を減らすためにも行うことができる。
完全抗体のフラグメントは、結合抗原の機能を実施できることが示された。本発明で使用するための結合分子の例は、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなるFabフラグメント;(ii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iii)単一抗体のVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント;(iv)VHドメインからなるdAbフラグメント;(v)単離CDR領域;(vi)F(ab’)2フラグメント、2個の結合Fabフラグメントを含む二価のフラグメント;(vii)単鎖Fv分子(scFv)、この場合、VHドメインおよびVLドメインは、2つのドメインが合体して抗原結合部位を形成可能とするペプチドリンカーにより結合される;(viii)二重特異的単鎖Fv二量体(PCT/US92/09965、参照により本明細書に組み込まれる);および(ix)「ディアボディ」、遺伝子融合により構築された多価または多重特異性フラグメント(WO94/13804、参照により本明細書に組み込まれる)である。
2つの配列の間のパーセント同一性の決定は、当業者に既知の数学的アルゴリズムを用いて達成できる。2つの配列を比較するための数学的アルゴリズムの例は、KarlinおよびAltschulアルゴリズム(Proc Natl Acad Sci USA.1990 Mar;87(6):2264-8)であり、KarlinおよびAltschul(Proc Natl Acad Sci USA.1993 Jun 15;90(12):5873-7)に記載のように修正されたものである。AltschulらのNBLASTおよびXBLASTプログラムは、このようなアルゴリズムを組み込み、標準パラメーターで使用され得る。
当業者は、本発明の一実施形態または態様の任意の特徴を、必要に応じ、他の本発明の実施形態または態様に適用可能であることを理解するであろう。
本明細書のいずれかの刊行物に対する参考文献は、米国特許権利化のみの目的のために、参照により組み込まれるとみなされるものとする。
本発明の実施形態が、添付の図面を参照しながら、例示の目的のみで、以降で記載される。
頭頸部扁平上皮癌腫(HNSC)および他の着目すべき有望な癌型における標的抗原の過剰発現MAGED4BおよびFJX1療法の転写物は、頭頸部腫瘍では、隣接する正常組織に比べて、顕著に高レベルで発現される。他の癌型に関しては、MAGED4B発現はまた、肺腺癌(LUAD)、扁平上皮(LUSC)癌および胆管細胞癌腫(CHOL)中よりも有意に高く、一方、FJX1は、それぞれの隣接する正常組織に比較して、多くの腫瘍型で有意により高い。転写性データは、The Cancer Genome Atlas(TCGA)由来であり、Liら(2016)により処理され、オンラインで、cistrome.shinyapps.io/timerから公的に入手可能である。このデータは、標的癌抗原は、複数の癌で発現されることを示し、本明細書で記載のワクチンの有用性を示している。 MAGED4BおよびFJX1の両抗原は、HPV陰性扁平上皮細胞癌(SCC)、非悪性口腔癌異形成症および上咽頭癌中で強く発現する。MAGED4B(Novus-Bio:NBP1-89594)は、1:200希釈で染色された。FJX1(Novus-Bio:NBP1-59470)は、1:100希釈で染色された。染色は、DAKO自動免疫染色装置で実施した。精巣は、強力な発現を有する陽性対照の役割をする。口腔線維上皮性ポリープ(FEP)は、陰性対照の役割をし、非形成異常口腔組織中で低レベルの発現を示す。このデータは、標的癌抗原が、タンパク質として発現されることを確証する。 MAGED4B(D4B)は、HPV陰性HNSCC患者において免疫原性である。フローサイトメトリーにおいて、循環D4B特異的CD8 T細胞が、5/7 HLA-A2+HNSC患者で検出された(4例をここに示す)が、HLA-A2+健康ドナー(HD1)D4B501-509/HLA-A2-PE四量体染色では検出されなかった。染色は、Pool,UKで手術を受けている患者由来の末梢血単核球(PBMC)を用いて実施した。10個のPBMCを抗CD3(FITC:OKT3)、CD4(APC:OKT4)、CD8(PE-Cy7:SK1(BioLegend)、DAPI(生死染色)(Miltenyi)およびMAGED4B501-509四量体(PE)で染色した。UltraComp eBeads(Invitrogen)を補償のために用いて、FACSCantoでフローサイトメトリーを実施した。分析は、FlowJoを用いて実施した;ゲーティングを生死リンパ球およびCD8に設定し、その後四量体に設定した。四量体陽性CD8細胞がゲート中に示される。このデータは、確定されたHNSCCの患者では、ワクチン接種による増幅に利用できるT細胞のプールが存在することを確証する。さらに、これは、このようなT細胞単独の存在は、これらの個体では何らの病態も引き起こさず、それらは十分に機能的ではないが、そうでなければ、個体はこのような細胞を用いてそれらの腫瘍を制御するはずであることを示唆する有望なデータである。 標的抗原MAGED4BおよびFJX1の両方に特異的なCD8 T細胞。図4A:D4B501-509/HLA-A2四量体染色およびフローサイトメトリーを用いて、D4B特異的CD8 T細胞が、HLA-A2+HNSCC患者HN337の腫瘍浸潤リンパ球(TIL:6000IU/mlの組換え型ヒトIL-2で増殖)中で検出された。10個の増殖TILを、抗CD3(FITC:OKT3)、CD4(APC:OKT4)、CD8(PE-Cy7)(BioLegend)、DAPI(live/dead染色)(Miltenyi)およびMAGED4B501-509四量体(PE)で染色した。UltraComp eBeads(Invitrogen)を補償のために用いて、FACSCantoでフローサイトメトリーを実施した。FlowJoを用いて分析を実施した。ゲーティングを生死リンパ球に設定し、その後CD8+四量体に設定した。四量体陽性CD8細胞がゲート中に示される。図4B:HLA-A2陰性、HLA-A1陽性HN337腫瘍試料由来の増殖TIL中のIFNγ CD8 T細胞。抗CD3(クローンOKT3)と共に増殖したTILを、対照(ペプチドプールMAGED4B HLA-A2ペプチド)、抗原の全配列に対し11aaの重複部分を有する15マーペプチドからなるMAGED4Bペプチドプール(183個のペプチドプール)、HLA-A1のみに結合するFJX1ペプチドプール(NetMHC4.0、www.iedb.orgにより予測された)(FJX1 aa配列由来の15マーペプチドの3個:ARFADGTRACVRYGI;DLVQWTDLILFDYLT;WTDLILFDYLTANFD、太字はエピトープ)で8時間刺激し、細胞内IFNγ染色後に、フローサイトメトリーを実施した。フローのための抗体パネルは、抗CD3(FITC:OKT3)、CD8(PerCp-Cy5.5:RPA-T8)、抗CD56(PE:HCD56)、IFNγ(APC 4S.B3)(全てBioLegendから)およびZombi Aqua(live/dead染色)(Miltenyi)を、HuMan TrueStain(BioLegend)を用いてFc受容体ブロッキング後に適用した。ゲートは、プロットの上端に示す試薬で再刺激後のIFNγ CD8陽性T細胞の特異的集団を示す。これらの図のデータもまた、確定されたHNSCCの患者では、ワクチン接種による増幅に利用できるT細胞のプールが存在し、これらの細胞は腫瘍中にも見つけることができることを示す。さらに、これは、このようなT細胞単独の存在は、これらの個体では何らの病態も引き起こさず、それらは十分に機能的ではないが、そうでなければ、個体はこのような細胞を用いてそれらの腫瘍を制御するはずであることを示唆する有望なデータである。 標的抗原MAGED4BおよびFJX1の両方に特異的であるCD8 T細胞。図4A:D4B501-509およびFJX115-25 HLA-A2四量体染色およびフローサイトメトリーを用いて、MAGED4BおよびFJX1特異的CD8 T細胞が、HLA-A2+マレーシアOSCC患者06-0021-18の腫瘍浸潤リンパ球(TIL:6000IU/mlの組換え型ヒトIL-2で増殖)中で検出された。増殖TILを、抗CD3(FITC;SK7)、CD4(PerCp-Cy5.5;SK3)、CD8(BV510;RPA-T8)(BD Biosciences)FVS780(生存率染色)(BD Biosciences)およびMAGED4B501-509四量体(PE)で染色した。BD CompBeadを補償のために用いて、BD LSRFortessaでフローサイトメトリーを実施した。FACS Divaソフトウェアを用いて分析を実施した。ゲーティングを生死リンパ球に設定し、その後CD8+四量体に設定した。四量体陽性CD8細胞がゲート中に示される。このデータは、抗原特異的T細胞が腫瘍中で特定されたことを示す。これは、ワクチンによる新たな活性化および増殖に加えて、増殖に利用可能な細胞のプールが存在することをさらに示唆する。 標的抗原MAGED4Bに特異的なT細胞はHNSC患者でPD1を発現し、従って、抗PD1を用いて標的化できる。特異的T細胞は、MAGED4B501-509四量体を用いて、PBMCを使って循環中で検出された。四量体陽性集団の半分はまた、PD1+でもあった。この亜集団は、HLA*A2陰性HNSC患者中には存在しない(対照群)。パネルは、抗CD3(FITC;OKT3)、CD4(APC:OKT4)、CD8(PE-Cy7:SK1)、PD-1(PerCp-Cy5.5:EH12.2H7)、CD19(Pacific Blue:HIB19.11)およびCD14(Pacific Blue:HCD14)(BioLegend)、live/dead Violet(Pacific Blue)(Invitrogen)、およびMAGED4B501-509四量体(PE)からなる。UltraComp eBeads(Invitrogen)を補償のために用いて、FACSCantoでフローサイトメトリーを実施した。FlowJoソフトウェアを用いて分析を実施した。このデータは、HLA-2四量体の特異性を確認する。理由は、HLA-2陰性患者(HN366)では、それが機能しないためである。HLA-2陽性患者(HN364)では、このデータは、T細胞の抗原感受性を確証する。 頭頸部癌を標的にするためのMAGED4BおよびFJX1標的化DNAワクチンのアセンブリ。pDOM(対照)、単一抗原pDOM-MAGED4BおよびpDOM-FJX1を送達するワクチン、ならびに両抗原が同時に存在するpDOM-MAGED4B-FJX1ワクチンのワクチン構築物の図である。破傷風毒素遺伝子のDOMフラグメントおよび目的遺伝子(MAGED4BまたはFJX1)を7個のアミノ酸リンカー1(AAAGPGP)を使って連結した。融合遺伝子をCMV/T7デュアルプロモーターとBGHポリ(A)部位との間に挿入した。mus IgHシグナルペプチド(MGWSCIIFFLVATATGVHS)をコードするリーダー配列を構築物のN末端に挿入し、分泌の効力を高めた。目的遺伝子が融合MAGED4BおよびFJX1抗原をコードしている場合は、5個のアミノ酸リンカー2個(GSGSG)を適用してこれらの2個の遺伝子を連結した。NotIおよびHindIII制限酵素部位を用いてDOM1をpcDNA3.0ベクターに挿入し、pDOMベクターを生成した。MAGED4B、FJX1またはそれらの目的融合体のための遺伝子をNotIおよびXhoI制限酵素部位でpDOMベクター中に挿入し、DNAワクチンを生成した。本明細書で使用される場合、ベクターの用語中のpは、プラスミドベクターまたは構築物に関連する。 3群の5~6匹の非担腫瘍HHD(ヒトHLA-A2アレルを遺伝子導入)マウスを50マイクログラムのp.Dom-MAGED4B(A)、p.Dom-FJX1(B)またはp.Dom(C)のそれぞれを1日目にワクチン接種し、続けて、22日目に、同じDNAワクチンの追加抗原注射を電気穿孔により接種した。それらの免疫原性をIFNγ エリスポットにより評価した。35日目にマウス脾臓から単離したリンパ球をエリスポット培養皿に播種し、各標的抗原MAGED4BおよびFJX1のオーバーラッピングペプチドプールを使用して、応答する特異的T細胞を検出した。オーバーラッピングペプチドプールは、各抗原(183個のそれぞれのペプチドをMAGED4Bのためにプールし、107個のペプチドをFJX1のためにプールした)の全体配列に対し、11aaの重複部分を有する15マーのペプチドからなる。P30ペプチドをワクチン接種の標準として使用した。それぞれのペプチドを90%純度で、JPT、Germanyで生成した。エリスポットIFNγのために、BD Bioscienceによるエリスポットキットを、製造業者のプロトコルに従って使用した。それぞれの応答T細胞に対応するスポットを、AID エリスポットプレートリーダーシステムELR04およびソフトウェア(AID Autoimmun Diagnostika GmbH,Strassberg,Germany)で画像化し、計数した。このデータは、HAL-A2遺伝子導入マウス中の抗原の免疫原性を確認する。 DNAワクチンは、単独で、および抗PD1との組み合わせで治療薬として効果的である。図9Aは、治療戦略を示す。図で示したように、各群のマウス(6~10匹)を、MAGED4BおよびFJX1の両方を発現しているB16腫瘍でチャレンジし、その後、混合DNAワクチン(DV;p.Dom-MAGED4Bおよびp.Dom-FJX1;100μlの生理食塩水中の100μg/マウスの50μgを各脚部の筋肉内に注射した)、抗PD1抗体(200μg/注射、0.5mLの腹腔内投与)またはDVおよび抗PD-1の組み合わせで治療した。対照群は、対照IgG+pDOM(ベクターバックボーン)を投与された。腫瘍サイズを2~3日毎に測定し、各群の腫瘍サイズを図9Bに示す。図9C(平均+s.e.m):エリスポットアッセイは、DVおよびDV+α-PD1群で、特異的にMAGED4B特異的免疫応答を示したが、α-PD1または対照群では示されなかった:ワクチン接種動物から単離した脾細胞は、全抗原配列オーバーラッピングMAGED4Bペプチドライブラリー(一緒にプールした183個のペプチド15マー11aaの重複部分)で再刺激時にIFNγを分泌できる。図9Dは、図9Cと同様であるが、全抗原オーバーラッピングFJX1ペプチドライブラリーを使用した。このデータは、単剤療法(ワクチン単独)および併用療法(ワクチン+抗PD1)の相乗的効果の腫瘍進行に対する明確な影響を示す。特に、図9Cおよび9Dは、ワクチン接種が担腫瘍マウスの抗原特異的T細胞を増殖する-これらのマウスは腫瘍上の抗原に曝露されたが良好な免疫応答を開始できなかったことを示す。これは、ワクチンが免疫応答を改善でき、免疫系に腫瘍を効果的に「曝露する」という主張を裏付ける。 DNAワクチンは腫瘍増殖の抑制に効果的である。図10Aは、治療戦略、腫瘍体積の減少および作用機序を示す。図で示したように、各群のマウス(8~12匹)を、MAGED4BおよびFJX1の両方を発現している腫瘍でチャレンジし、その後、DNAワクチン(DV;p.Dom-MAGED4Bおよびp.Dom-FJX1;100μlの生理食塩水中の100μg/マウスの50μgを各脚部の筋肉内に注射した)で治療した。対照群は、pDOMベクターバックボーンを投与された。腫瘍サイズを2~3日毎に測定し、各群の腫瘍サイズを図10Aに示す(平均+s.e.m)。図10(B)は、細胞の写真である。右側パネルの腫瘍の染色は、DNAワクチンでワクチン接種後のT細胞浸潤を示し、左側パネルは、不十分な浸潤のpDOM対照腫瘍を示す(ヘマトキシリン&エオシン染色、元の倍率:x10対物レンズ)。図10Cは、フローサイトメトリー分析の結果を示し、ワクチン接種動物から改修した腫瘍中のCD4+およびCD8+免疫細胞の増加を対照動物と比較して示す。重要なことには、チェックポイントタンパク質PD1が、ワクチン接種動物から回収したCD4+およびCD8+免疫細胞中で顕著に上昇していることが明らかである。この試験は、高用量の腫瘍細胞を使用して、癌の進行を加速し、従って、特に、高悪性度の腫瘍モデルである。この場合も、ワクチン接種が担腫瘍マウスのT細胞を増殖し、それらに曝露されたにもかかわらず、腫瘍に対する良好な免疫応答を生じさせることができなかったことを示す。これは、ワクチンが免疫応答を改善でき、免疫系に腫瘍を効果的に「曝露する」という主張を裏付ける。 図11A-B。MAGED4BおよびFJX1標的化DNAワクチンの設計に不可欠な成分の実証両図では、治療戦略が示される。5匹の非担腫瘍C57BL/6マウスをp.Dom-MAGED4B-FJX1、pSP-MAGED4B-FJX1(DOMなし)、pDom-FJX1、pnoSPDOM-FJX1(リーダー/SPなし)のそれぞれ50μgで1日目にワクチン接種し、続けて、8日目に、同じDNAワクチンの追加抗原注射により接種した。それらの免疫原性をIFNγ エリスポットにより評価した。22日目にマウス脾臓から単離したリンパ球をエリスポット培養皿に播種し、各標的抗原MAGED4BおよびFJX1のオーバーラッピングペプチドプールを使用して、応答する特異的T細胞を検出した。オーバーラッピングペプチドプールは、各抗原(183個のそれぞれのペプチドをMAGED4Bのためにプールし、107個のペプチドをFJX1のためにプールした)の全体配列に対し、11aaの重複部分を有する15マーのペプチドからなる。DOM由来のP30ペプチドおよびMHCIIペプチドをワクチン接種の対照として使用した。図11Aは、DOM有りおよび無しの場合のデータを示す。DOM配列は、T細胞の誘導のために不可欠であることが示され、従って、MAGED4Bに対する応答を改善した。図11Bは、リーダー配列の有りおよび無しの場合のデータを示す。分泌のために、コードされた構築物の小胞体への発現を指示するリーダー配列もT細胞免疫を誘導するために不可欠である。それぞれのペプチドを90%純度で、JPT、Germanyで生成した。エリスポットIFNγのために、BD Bioscienceによるエリスポットキットを、製造業者のプロトコルに従って使用した。それぞれの応答T細胞に対応するスポットを、AID エリスポットプレートリーダーシステムELR04およびソフトウェア(AID Autoimmun Diagnostika GmbH,Strassberg,Germany)で画像化し、計数した。このデータは、一般に、FJX1応答がリーダー配列の含有により改善されることを示す。 融合抗原として直列形態の両抗原を標的化するDNAワクチンは、単一抗原標的化DNAワクチンと同等のT細胞応答を誘導する。治療戦略が示される。3群の5匹の非担腫瘍C57BL/6マウスをp.Dom-MAGED4B、pDOM-FJX1またはp.Dom-MAGED4B-FJX1のそれぞれ50μgで1日目にワクチン接種し、続けて、8日目に、同じDNAワクチンの追加抗原注射により接種した。それらの免疫原性をIFNγ エリスポットにより評価した。22日目にマウス脾臓から単離したリンパ球をエリスポット培養皿に播種し、各標的抗原MAGED4BおよびFJX1のオーバーラッピングペプチドプールを使用して、応答する特異的T細胞を検出した。オーバーラッピングペプチドプールは、各抗原(183個のそれぞれのペプチドをMAGED4Bのためにプールし、107個のペプチドをFJX1のためにプールした)の全体配列に対し、11aaの重複部分を有する15マーのペプチドからなる。DOM由来のP30ペプチドおよびMHCIIペプチドをワクチン接種の対照として使用した。両抗原を標的化するDNAワクチンは、類似の特異的T細胞応答を誘導する能力を示した。P値は、マン・ホイットニー分析により、GraphPad Prism8.0を用いて計算した。エリスポットIFNγのために、BD Bioscienceによるエリスポットキットを、製造業者のプロトコルに従って使用した。それぞれの応答T細胞に対応するスポットを、AID エリスポットプレートリーダーシステムELR04およびソフトウェア(AID Autoimmun Diagnostika GmbH,Strassburg,Germany)で画像化し、計数した。 癌を標的とする代替MAGED4BおよびFJX1標的化DNAワクチンのアセンブリpDOM(対照)、pMAGED4B/FJX1、pMAGED4B/FJX1-MITD、pPVXCP-MAGED4B/FJX1およびpMIP3α-MAGED4B/FJX1のワクチン構築物の図。代替融合パートナーは、MITD、PVXCP、およびMIP3αを含む。MITD(165bp)は、MHCI(HLA-A2)トラフィッキングシグナルをコードする。PVXCP(732bp)は、ジャガイモウィルスXコートタンパク質をコードする。MIP3α(252bp)は、マクロファージ炎症性タンパク質3アルファをコードする。MITD、PVXCPおよびMIP3α遺伝子は、ヒトコドン使用頻度で最適化し、GeneArt(Invitrogen)に発注した。遺伝子(融合パートナーのある場合とない場合)をCMV/T7デュアルプロモーターとBGHポリ(A)部位との間に挿入した。マウスIgHシグナルペプチド(MGWSCIIFFLVATATGVHS)をコードするリーダー配列を構築物のN末端に挿入し、分泌の効力を高めた。融合パートナーおよび目的遺伝子(MAGED4BまたはFJX1)を7個のアミノ酸リンカー1(AAAGPGP)を使って連結した。MITDを除いて、全ての他の融合パートナーを目的の遺伝子の上流に融合した。MITDを目的の遺伝子の下流に加えた。MAGED4B、FJX1またはそれらの目的融合体のための遺伝子をNotI、XhoIおよびXbaI制限酵素部位でpcDNA3ベクター中に挿入し、DNAワクチンを生成した。 C57BL/6マウスに対するMAGED4B特異的T細胞応答はDNAワクチンにより誘導された。治療戦略が示される。非担腫瘍C57BL/6マウスを、50μgのpDOMワクチン(3匹のマウス、陰性対照として)、50μgのpSP-MAGED4B(5匹のマウス)、50μgのpSP-MAGED4B-MITD(5匹のマウス)、50μgのpPVXCP-MAGED4B(5匹のマウス)、および50μgのpMIP3a-MAGED4B(5匹のマウス)で、1日目および8日目にワクチン接種した。22日目にマウス脾臓から単離したリンパ球をエリスポット培養皿に播種し、MAGED4Bのオーバーラッピングペプチドプールを使用して、応答する特異的T細胞を検出した。オーバーラッピングペプチドプール(OPP)は、全体配列に対し、11aaの重複部分を有する15マーのペプチドからなる(183個のそれぞれのペプチドをMAGED4Bのためにプールした)。BD BioscienceによるIFNγエリスポットキットを、製造業者のプロトコルに従って使用した。それぞれの応答T細胞に対応するスポットを、AID エリスポットプレートリーダーシステムELR04およびソフトウェア(AID Autoimmun Diagnostika GmbH,Strassburg,Germany)で画像化し、計数した。グラフは、各群におけるMAGED4B OPPに対する応答をそれぞれ示す。値は、応答から、刺激のない場合のスポットの数を減算した値とした。カットオフを2xバックグラウンドとして設定した(Irr OPP、赤色点線として示す)。P値はマン・ホイットニー検定により計算した。(Irr=無関係な)。このデータは、MAGED4Bの応答が、完全長タンパク質から生成でき、応答は、種々のヘルパーモチーフとの融合により改善できることを示す。 C57BL/6マウスに対するFJX1特異的T細胞応答はDNAワクチンにより誘導された。非担腫瘍C57BL/6マウスを、50μgのpDOMワクチン(3匹のマウス、陰性対照として)、50μgのpSP-FJX1(5匹のマウス)および50μgのpSP-FJX1-MITD(5匹のマウス)でワクチン接種した。ワクチン接種は、1日目に、i.m(筋肉内)投与された。14日目にマウス脾臓から単離したリンパ球をエリスポット培養皿に播種し、FJX1のオーバーラッピングペプチドプールを使用して、応答する特異的T細胞を検出した。オーバーラッピングペプチドプールは、全体配列に対し、11aaの重複部分を有する15マーのペプチドからなる(107個のそれぞれのペプチドをFJX1のためにプールした)。BD BioscienceによるIFNγエリスポットキットを、製造業者のプロトコルに従って使用した。それぞれの応答T細胞に対応するスポットを、AID エリスポットプレートリーダーシステムELR04およびソフトウェア(AID Autoimmun Diagnostika GmbH,Strassburg,Germany)で画像化し、計数した。グラフは、各群におけるFJX1 OPPに対する応答をそれぞれ示す。pSP-FJX1-MITDは、全ての群中で最強の応答を誘導した。それぞれのマウスの中央値+四分位間値(Interquartile)および応答を示す。結果は、刺激のない場合のスポットの数を減算することにより正規化した。カットオフを2xバックグラウンドとして設定した(Irr OPP、赤色点線として示す)。P値はマン・ホイットニー検定により計算した。1つの実験のみ示したが、理由は、パンデミックによるラボのシャットダウンによりこれらの実験の反復が制限されたためである。 全MAGED4Bアミノ酸配列および3種の短縮化フラグメントのアミノ酸配列マップ。メラノーマ関連抗原科のメンバーとして、MAGED4Bは、MAGE共通相同ドメインMAGED4B 412-682(配列番号3)を含む。確定HLA-A2エピトープRLSLLLVIL(MAGED4B 501-509)は、相同ドメインの内部に位置する。3個の短縮化MAGED4B配列は、次のように設計された:1)MAGED4B配列種類(v)1は、相同ドメインを含まないがRLSLLLVILを含む;2)MAGED4B.sv2は、RLSLLLVILを含む相同ドメインの後半(MAGED4B 510-682)を保持する;3)MAGED4B.sv3は、RLSLLLVILを含む相同ドメインの前半(MAGED4B 412-500)を保持する。従って、これらは全て、MAGED4Bの免疫原性フラグメントであり、本明細書で記載のワクチンでの使用に好適する。 図16で詳述したMAGED4Bのフラグメントは、免疫原性であることが示される。治療戦略が示される:4群の5匹の非担腫瘍C57BL/6マウスを50μgのp.Dom-MAGED4B(完全長)、p.DOM-MAGED4Bsv1、p.Dom-MAGED4Bsv2、p.Dom-MAGED4Bsv3のそれぞれを1日目にワクチン接種し、続けて、22日目に、同じDNAワクチンの追加抗原注射により接種した。それらの免疫原性をIFNγ エリスポットにより評価した。35日目にマウス脾臓から単離したリンパ球をエリスポット培養皿に播種し、MAGED4Bのオーバーラッピングペプチドプールを使用して、応答する特異的T細胞を検出した。オーバーラッピングペプチドプールは、全体配列に対し、11aaの重複部分を有する15マーのペプチドからなる(183個のそれぞれのペプチドをMAGED4Bのためにプールした)。破傷風DOM由来のP30ペプチドおよびMHCIIペプチドをワクチン接種の対照として使用した。p.Dom-MAGED4Bsv3は、p.Dom-MAGED4B(完全長)、p.Dom-MAGED4Bsv1、およびp.Dom-MAGED4Bsv2よりも有意に強力な特異的T細胞応答を誘導した。p.Dom-MAGED4Bsv1またはp.Dom-MAGED4Bsv2のどちらもp.Dom-MAGED4Bより良好に機能しなかった。P値は、1元配置分散分析により、GraphPad Prism8.0を用いて計算した。エリスポットIFNγのために、BD Bioscienceによるエリスポットキットを、製造業者のプロトコルに従って使用した。それぞれの応答T細胞に対応するスポットを、AID エリスポットプレートリーダーシステムELR04およびソフトウェア(AID Autoimmun Diagnostika GmbH,Strassburg,Germany)で画像化し、計数した。従って、MAGE相同ドメインは、ワクチンの活性に影響を与えることなく、全体または一部を除去できる。 ワクチン接種実験に使用される閉鎖型直鎖状DNA(dbDNA(商標))のベクターマップ。示されるのは、dbDNAの閉止端の配列である(プロテロメラーゼ標的配列TelRL由来のTelRまたはTelL)-これらは、一緒に全体配列を形成する標的配列の一部である。4種の構築物構成は、以下の通り:ベーシック0(最小限の構築物構成-CMVプロモーター、DOMおよび抗原融合体、SV40ポリAシグナル配列)他の全ての構築物がこれをベースにする。追加の他の構築物は次の通り:ベーシック1(プラスTE:トリプルエンハンサー);SV40 enh(プラスTEおよびSV40エンハンサー配列);CpG(プラスTEおよびCpGモチーフを有する配列の一部)。これらは、本明細書で記載のワクチン接種実験で使用される。 C57BL/6マウスにおいて、MAGED4B特異的T細胞応答は、ドギーボーン(DB)およびプラスミドDNAワクチンにより誘導される。非担腫瘍C57BL/6マウスを、50μgのpDOMプラスミドワクチン(3匹のマウス、陰性対照として)、25μgのDB-MAGED4B-CO(5匹のマウス)および25μgのpDOM-MAGED4Bプラスミド(5匹のマウス)でワクチン接種した。ワクチン接種は、1日目に、i.m(筋肉内)にEPで投与された。電気穿孔(EP)は、Ichor EP deviceによるTriGrid Delivery System(TDS-IM)を用いて、イソフルランで筋肉内麻酔したマウスに対し実施された。14日目にマウス脾臓から単離したリンパ球をエリスポット培養皿に播種し、MAGED4Bのオーバーラッピングペプチドプールを使用して、応答する特異的T細胞を検出した。オーバーラッピングペプチドプールは、全体配列に対し、11aaの重複部分を有する15マーのペプチドからなる(183個のそれぞれのペプチドをMAGED4Bのためにプールし、107個のそれぞれのペプチドをFJX1のためにプールした)。破傷風DOM由来のP30ペプチドおよびMHCIIペプチドを適正なワクチン接種の対照として使用した。この実験では、FJX1 OPPは、Irrペプチド対照としての役割を果たした。BD BioscienceによるIFNγエリスポットキットを、製造業者のプロトコルに従って使用した。それぞれの応答T細胞に対応するスポットを、AID エリスポットプレートリーダーシステムELR04およびソフトウェア(AID Autoimmun Diagnostika GmbH,Strassburg,Germany)で画像化し、計数した。グラフは、各群におけるp30およびMAGED4B OPPに対する応答をそれぞれ示す。それぞれのマウスの中央値+四分位間値および応答を示す。値は、応答から、刺激のない場合のスポットの数を減算した値とした。カットオフを2xバックグラウンドとして設定した(Irr OPP、赤色点線として示す)。P値はマン・ホイットニー検定により計算した。 FJX1特異的T細胞応答は、ドギーボーン(DB)およびプラスミドDNAワクチンにより誘導された。非担腫瘍C57BL/6マウスを、50μgのpDOMプラスミドワクチン(3匹のマウス、陰性対照として)、25μgのDB-DOM-FJX1-CO(5匹のマウス)および25μgのpDOM-FJX1プラスミド(5匹のマウス)でワクチン接種した。ワクチンは、1日目に、i.m(筋肉内)にEPで投与された。EPは、筋肉内TriGrid Delivery System(TDS-IM;Ichor Medical System)を用いて、イソフルランで麻酔したマウスに対し実施された。14日目にマウス脾臓から単離したリンパ球をエリスポット培養皿に播種し、FJX1のオーバーラッピングペプチドプールを使用して、応答する特異的T細胞を検出した。オーバーラッピングペプチドプール(OPP)は、全体配列に対し、11aaの重複部分を有する15マーのペプチドからなる(183個のそれぞれのペプチドをMAGED4Bのためにプールし、107個のそれぞれのペプチドをFJX1のためにプールした)。破傷風DOM由来のP30ペプチドおよびMHCIIペプチドを適正なワクチン接種の対照として使用した。この実験では、MAGED4B OPPは、Irrペプチド対照としての役割を果たした。BD BioscienceによるIFNγエリスポットキットを、製造業者のプロトコルに従って使用した。それぞれの応答T細胞に対応するスポットを、AID エリスポットプレートリーダーシステムELR04およびソフトウェア(AID Autoimmun Diagnostika GmbH,Strassburg,Germany)で画像化し、計数した。グラフは、各群におけるp30ペプチドおよびFJX1 OPPに対する応答をそれぞれ示す。それぞれのマウスの中央値+四分位間値および応答を示す。値は、応答から、刺激のない場合のスポットの数を減算した値とした。カットオフを2xバックグラウンドとして設定した(Irr OPP、赤色点線として示す)。P値はマン・ホイットニー検定により計算した。 dbDNA DOM-MAGED4BおよびpDOM-MAGED4B DNAワクチンは、特異的CD4およびCD8 T細胞応答を誘導する。治療戦略が示される。非担腫瘍C57BL/6マウスを、50μgのpDOMプラスミドワクチン(3匹のマウス、陰性対照として)、10μgのDB-MAGED4B-CO(5匹のマウス)、10μgのpDOM-MAGED4B-COベーシック1(5匹のマウス)、10μgのDB-MAGED4B-CO SV40(5匹のマウス)、10μgのDB-MAGED4B-CO CpG(5匹のマウス)、および10μgのpDOM-MAGED4Bプラスミド(5匹のマウス)でワクチン接種した。ワクチンは、1日目および21日目に、i.m(筋肉内)にEPで投与された。EPは、筋肉内TriGrid Delivery System(TDS-IM;Ichor Medical System)を用いて、イソフルランで麻酔したマウスに対し実施された。12日目に採取した50μlの血液試料のインビトロ刺激後にFACSを実施した。最初に、採取血を赤血球可溶化バッファー(RBC溶解バッファー、BioLegend)で処理した白血球を1μMのMAGED4Bオーバーラッピングペプチドプール(OPP;96ウェルプレート中に、1μlの抗CD107a-FITCおよび抗CD107b-FITC(両方ともBioLegendより)を添加)で刺激し、37℃、5%CO中で一晩インキュベートした。翌日、細胞を洗浄し、抗CD3-PE、抗CD4-PEcy7、抗CD8-APCcy7、抗CD137(4-1BB)-APC、抗PD1-PerCPcy5(全てBioLegendより)、およびlive/dead-violet(Invitrogen)で染色した。OPPは、全体配列に対し、11aaの重複部分を有する15マーのペプチドからなる(183個のそれぞれのペプチドをMAGED4Bのためにプールした)。FACSCanto IIでフローサイトメトリーを実施した。FlowJoソフトウェアを用いて分析を実施した。応答をFACSを用いて評価した。CD107a/b+PD-1+ダブルポジティブT細胞および4-1BB+PD-1+ダブルポジティブT細胞は、細胞傷害性およびMAGED4B OPP特異的活性化集団をそれぞれ示す。pDOM、DB-MAGED4B-CO、DB-MAGED4B-COベーシック1、DB-MAGED4B-CO SV40、DB-MAGED4B-CO CpGおよびpDOM-MAGED4Bプラスミドでそれぞれワクチン接種した群からのMAGED4B OPPに対する応答は、この棒グラフにまとめた。中央値+四分位間値およびそれぞれのマウスの応答を示す。P値はクラスカル・ワリス検定により計算した。このデータは、MAGED4B抗原が異なる構成中に送達でき、その場合でも抗原経験CD4およびCD8 T細胞を誘導することを示している。COは、コドン最適化配列である。 ドギーボーンDOM-FJX1およびpDOM-FJX1 DNAワクチンは、特異的CD4およびCD8 T細胞応答を誘導する。治療戦略が示される。非担腫瘍C57BL/6マウスを、50μgのpDOMプラスミドワクチン(3匹のマウス、陰性対照として)、10μgのDB-FJX1-CO(5匹のマウス)、10μgのDB-FJX1-COベーシック1(5匹のマウス)、10μgのDB-FJX1-CO SV40(5匹のマウス)、10μgのDB-FJX1-CO CpG(5匹のマウス)、および10μgのpDOM-FJX1プラスミド(5匹のマウス)でワクチン接種した。ワクチンは、1日目および21日目に、i.m(筋肉内)にEPで投与された。EPは、筋肉内TriGrid Delivery System(TDS-IM;Ichor Medical System)を用いて、イソフルランで麻酔したマウスに対し実施された。12日目に採取した50μlの採取血血液試料のインビトロ刺激後にFACSを実施した。最初に、赤血球可溶化バッファー(RBC溶解バッファー、BioLegend)で処理した50μlの採取血を使用した。白血球を1μMのFJX1オーバーラッピングペプチドプール(OPP;96ウェルプレート中、同時に、1μlの抗CD107a-FITCおよび抗CD107b-FITC(両方ともBioLegendより)を添加)で刺激し、37℃、5%CO中で一晩インキュベートした。翌日、細胞を洗浄し、抗CD3-PE、抗CD4-PEcy7、抗CD8-APCcy7、抗CD137(4-1BB)-APC、抗PD1-PerCPcy5(全てBioLegendより)、およびlive/dead-violet(Invitrogen)で染色した。オーバーラッピングペプチドプールは、全体配列に対し、11aaの重複部分を有する15マーのペプチドからなる(107個のそれぞれのペプチドをFJX1のためにプールした)。FACSCanto IIでフローサイトメトリーを実施した。FlowJoソフトウェアを用いて分析を実施した。応答をFACSを用いて評価した。CD107a/b+PD-1+ダブルポジティブT細胞および4-1BB+PD-1+ダブルポジティブT細胞は、細胞傷害性およびFJX1 OPP特異的活性化集団をそれぞれ示す。pDOM、DB-FJX1-CO、DB-FJX1-COベーシック1、DB-FJX1-CO SV40、DB-FJX1-CO CpGおよびpDOM-FJX1プラスミドでそれぞれワクチン接種した群からのFJX1 OPPに対する応答は、この棒グラフにまとめた。中央値+四分位間値およびそれぞれのマウスの応答を示す。P値はクラスカル・ワリス検定により計算した。このデータは、FJX1抗原が異なる構成中に送達でき、その場合でも抗原経験CD4およびCD8 T細胞を誘導することを示している。COは、コドン最適化配列である。 ドギーボーンDOM-MAGED4BおよびpDOM-MAGED4B DNAワクチンは、特異的CD4およびCD8 T細胞応答を誘導する。治療戦略が示される。非担腫瘍C57BL/6マウスを、50μgのpDOMプラスミドワクチン(3匹のマウス、陰性対照として)、10μgのDB-MAGED4B-CO(5匹のマウス)、10μgのpDOM-MAGED4B-COベーシック1(5匹のマウス)、10μgのDB-MAGED4B-CO SV40(5匹のマウス)、10μgのDB-MAGED4B-CO CpG(5匹のマウス)、および10μgのpDOM-MAGED4Bプラスミド(5匹のマウス)でワクチン接種した。ワクチンは、1日目および21日目に、i.m(筋肉内)にEPで投与された。EPは、筋肉内TriGrid Delivery System(TDS-IM;Ichor Medical System)を用いて、イソフルランで麻酔したマウスに対し実施された。35日目にマウス脾臓から単離したリンパ球をエリスポット培養皿に播種し、MAGED4Bのオーバーラッピングペプチドプール(OPP)を使用して、応答する特異的T細胞を刺激した。OPPは、全体配列に対し、11aaの重複部分を有する15マーのペプチドからなる(183個のそれぞれのペプチドをMAGED4Bのためにプールした)。破傷風DOM由来のP30ペプチドおよびMHCIIペプチドをDOMヘルパー配列に対するCD4応答の誘導を評価するために使用した。BD BioscienceによるIFNγエリスポットキットを、製造業者のプロトコルに従って使用した。それぞれの応答T細胞に対応するスポットを、AID エリスポットプレートリーダーシステムELR04およびソフトウェア(AID Autoimmun Diagnostika GmbH,Strassburg,Germany)で画像化し、計数した。グラフは、p30ペプチド、Irr OPP(FJX1 OPP)、およびMAGED4B OPPに対する応答を示す。DB-MAGED4B-COベーシック0は、全ての群中で最強の応答を誘導した。それぞれのマウスの中央値+四分位間値(Interquartile)および応答を示す。カットオフを2xバックグラウンドとして設定し(Irr OPP)、点線として示す。値は、応答から、刺激のない場合のスポットの数を減算した値とした。スポット数/10細胞を示す。P値はマン・ホイットニー検定により計算した。このデータは、MAGED4B抗原が異なる構成中に送達でき、その場合でも抗原経験CD4およびCD8 T細胞を誘導することを示している。COは、コドン最適化配列である。 dbDNA(DB)DOM-FJX1およびプラスミド(p)DOM-FJX1 DNAワクチンは、特異的CD4およびCD8 T細胞応答を誘導する。治療戦略が示される。非担腫瘍C57BL/6マウスを、50μgのpDOMプラスミドワクチン(3匹のマウス、陰性対照として)、10μgのDB-FJX1-CO(5匹のマウス)、10μgのDB-FJX1-COベーシック1(5匹のマウス)、10μgのDB-FJX1-CO SV40(5匹のマウス)、10μgのDB-FJX1-CO CpG(5匹のマウス)、および10μgのpDOM-FJX1プラスミド(5匹のマウス)でワクチン接種した。ワクチンは、1日目および21日目に、i.m(筋肉内)にEPで投与された。EPは、筋肉内TriGrid Delivery System(TDS-IM;Ichor Medical System)を用いて、イソフルランで麻酔したマウスに対し実施された。35日目にマウス脾臓から単離したリンパ球をエリスポット培養皿に播種し、FJX1のオーバーラッピングペプチドプールを使用して、応答する特異的T細胞を検出した。オーバーラッピングペプチドプール(OPP)は、全体配列に対し、11aaの重複部分を有する15マーのペプチドからなる(107個のそれぞれのペプチドをFJX1のためにプールした)。破傷風DOM由来のP30ペプチドおよびMHCIIペプチドをDOMヘルパー配列に対するCD4応答の誘導を評価するために使用した。BD BioscienceによるIFNγエリスポットキットを、製造業者のプロトコルに従って使用した。それぞれの応答T細胞に対応するスポットを、AID エリスポットプレートリーダーシステムELR04およびソフトウェア(AID Autoimmun Diagnostika GmbH,Strassburg,Germany)で画像化し、計数した。グラフは、p30ペプチド、Irr OPP(MAGED4B OPP)、およびFJX1 OPPに対する応答を示す。全ての群が類似の結果であった。それぞれのマウスの中央値+四分位間値および応答を示す。カットオフを2xバックグラウンドとして設定し(Irr OPP)、点線として示す。カットオフを2xバックグラウンドとして設定し(Irr OPP)、点線として示す。値は、応答から、刺激のない場合のスポットの数を減算した値とした。スポット数/10細胞を示す。P値はマン・ホイットニー検定により計算した。このデータは、FJX1が複数の構成によりに送達でき、抗原特異的CD4およびCD8 T細胞を誘導できることを示している。 dbDNA(DB)DOM-MAGED4Bおよびプラスミド(p)DOM-MAGED4B DNAワクチンは、特異的T細胞応答を誘導する。治療戦略が示される。非担腫瘍C57BL/6マウスを、50μgのpDOMプラスミドワクチン(3匹のマウス、陰性対照として)、25μgのDB-MAGED4B-CO(6匹のマウス)、25μgのpDOM-MAGED4B-COベーシック1(6匹のマウス)、25μgのDB-MAGED4B-CO SV40(6匹のマウス)、および25μgのpDOM-MAGED4Bプラスミド(6匹のマウス)でワクチン接種した。ワクチンは、1日目および21日目に、i.m(筋肉内)にEPで投与された。EPは、筋肉内TriGrid Delivery System(TDS-IM;Ichor Medical System)を用いて、イソフルランで麻酔したマウスに対し実施された。35日目にマウス脾臓から単離したリンパ球をエリスポット培養皿に播種し、MAGED4Bのオーバーラッピングペプチドプール(OPP)を使用して、応答する特異的T細胞を刺激した。OPPは、全体配列に対し、11aaの重複部分を有する15マーのペプチドからなる(183個のそれぞれのペプチドをMAGED4Bのためにプールした)。BD BioscienceによるIFNγエリスポットキットを、製造業者のプロトコルに従って使用した。それぞれの応答T細胞に対応するスポットを、AID エリスポットプレートリーダーシステムELR04およびソフトウェア(AID Autoimmun Diagnostika GmbH,Strassburg,Germany)で画像化し、計数した。MAGED4B OPPに対する応答を示す。中央値+四分位間値およびそれぞれのマウスを示す。値は、応答から、刺激のない場合のスポットの数を減算した値とした。P値はマン・ホイットニー検定により計算した。 dbDNA(DB)DOM-FJX1およびプラスミド(p)DOM-FJX1 DNAワクチンは、特異的CD4およびCD8 T細胞応答を誘導する。治療戦略が示される。1日目および21日目に、非担腫瘍C57BL/6マウスを、50μgのpDOMプラスミドワクチン(3匹のマウス、陰性対照として)、10μgのDB-FJX1-CO(5匹のマウス)、10μgのDB-FJX1-COベーシック1(5匹のマウス)、10μgのDB-FJX1-CO SV40(5匹のマウス)、10μgのDB-FJX1-CO CpG(5匹のマウス)、および10μgのpDOM-FJX1プラスミド(5匹のマウス)でワクチン接種した。EPは、筋肉内TriGrid Delivery System(TDS-IM;Ichor Medical System)を用いて、イソフルランで麻酔したマウスに対し実施された。35日目にマウス脾臓から単離したリンパ球をエリスポット培養皿に播種し、FJX1のオーバーラッピングペプチドプールを使用して、応答する特異的T細胞を検出した。オーバーラッピングペプチドプールは、全体配列に対し、11aaの重複部分を有する15マーのペプチドからなる(107個のそれぞれのペプチドをFJX1のためにプールした)。BD BioscienceによるIFNγエリスポットキットを、製造業者のプロトコルに従って使用した。それぞれの応答T細胞に対応するスポットを、AID エリスポットプレートリーダーシステムELR04およびソフトウェア(AID Autoimmun Diagnostika GmbH,Strassburg,Germany)で画像化し、計数した。値は、応答から、刺激のない場合のスポットの数を減算した値とした。グラフは、FJX1 OPPに対する応答を示す。それぞれのマウスの中央値+四分位間値および応答を示す。 癌関連線維芽細胞 (CAF)は、MAGED4Bを発現する。HNSCC症例の免疫組織化学的分析であり、癌細胞および癌関連線維芽細胞中のMAGED4B発現を示し、後者は、強力な発現を示す。抗MAGED4Bモノクローナル抗体(Santa Cruz、G12;sc-393059)を1:50希釈でHNSCC組織に対し使用した。染色は、DAKO自動免疫染色装置(K4065)で実施した。Southampton総合病院(Southampton,UK)のPathology labで入手した6種の個別のHNSCC症例を提示する。 図28A-B。癌関連線維芽細胞(CAF)は、MAGED4Bを発現する。図28A:HNSCC患者試料のSmart-Seq分析から生成した公的に入手可能な単細胞RNA配列解析(scRNA-seq)データを用いて、異なる細胞型にわたるMAGED4B発現を評価した。細胞系統は、Puram et alCell.2017 Dec 14;171(7):1611-1624に記載のように特定した。図28B:線維芽細胞亜集団を、Seurat Rパッケージ(v3.2)に実装された、教師なし階層的クラスタリング(unsupervised hierarchical clustering)により特定した(Butler A et al,Nat Biotechnol.2018 Jun;36(5):411-420)。線維芽細胞亜集団マーカーMCAM、ACTA2およびPOSTINを、ウィルコクソン検定を用いて特定し、以前に肺癌線維芽細胞亜集団で特定し、異なる亜集団に注釈をつけたものと比較した(CJ Hanley et al,bioRxiv 2020.06.08.134270)。 MAGED4BおよびFJX1の両抗原は、結腸、前立腺、直腸、乳、肺および上咽頭癌で強力に発現される。標的タンパク質の発現レベルは、抗MAGED4B(1:100;Sigma Aldrich、カタログ番号#HPA003554)抗FJX1(1:200;Sigma Aldrich、カタログ番号#HPA059220)抗体を用い、Dakocytomation Envision+Dual Link System HRP(DAB+)キット(DAKO、カタログ番号#K4065)で以前に記載のように処理して、免疫組織化学的検査(IHC)により検出した。
配列
有望なDNAワクチン構成成分の配列、またはコード配列を以下に記載する。本発明のDNAワクチンは、以下に提供される核酸配列またはそのバリアントのいずれか1つを含み得る。代わりにまたは追加して、本発明のDNAワクチンは、以下に提供されるアミノ酸配列またはそのバリアントのいずれか1つをコードする核酸を含み得る。
図7で示すようにアセンブルされたDNAワクチン中の遺伝子のアミノ酸配列:

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本発明は以下を定める:
A.タンパク質MAGED4Bおよび/またはFJX1、またはそのバリアントをコードし、および破傷風毒素の免疫原性フラグメントをさらにコードする核酸を含む癌ワクチン。
B.MAGED4Bタンパク質が、配列番号3の配列、またはそのバリアントを含むか、またはそれからなる、項目Aに記載の癌ワクチン。
C.FJX1タンパク質が、配列番号4の配列、またはそのバリアントを含むか、またはそれからなる、項目Aまたは項目Bに記載の癌ワクチン。
D.破傷風毒素の免疫原性フラグメントが、破傷風毒素のp30 MHC IIエピトープを含むか、またはそれからなる、項目A~Cのいずれか1項に記載の癌ワクチン。
E.破傷風毒素の免疫原性フラグメントが、DOMを含むか、またはそれからなる、項目A~Dのいずれか1項に記載の癌ワクチン。
F.MAGED4BおよびFJX1抗原が、単一融合タンパク質としてコードされる、項目A~Eのいずれか1項に記載の癌ワクチン。
G.破傷風毒素の免疫原性フラグメント、MAGED4BおよびFJX1が、単一融合タンパク質としてコードされる、項目A~Fのいずれか1項に記載の癌ワクチン。
H.リンカー残基が、破傷風毒素の免疫原性フラグメント、MAGED4BおよびFJX1の抗原の1種もしくは複数、または全ての間に提供される、項目A~Gのいずれか1項に記載の癌ワクチン。
I.核酸が、分泌効力を高めるためのシグナルペプチドをさらにコードする、項目A~Hのいずれか1項に記載の癌ワクチン。
J.核酸が、1種または複数のプロモーターをさらにコードする、項目A~Iのいずれか1項に記載の癌ワクチン。
K.核酸が、ポリA転写終結配列をさらにコードする、項目A~Jのいずれか1項に記載の癌ワクチン。
L.核酸が、配列番号2~4をコードする配列、またはそのバリアントを含む、項目A~Kのいずれか1項に記載の癌ワクチン。
M.核酸が、配列番号1~6をコードする配列を含む、項目A~Lのいずれか1項に記載の癌ワクチン。
N.核酸が、配列番号12、13または14をコードする配列を含むか、またはそれからなる、項目A~Mのいずれか1項に記載の癌ワクチン。
O.項目A~Nのいずれか1項に記載の癌ワクチンを含む、組成物。
P.薬物として使用するための、項目A~Mのいずれか1項に記載の癌ワクチン、または項目Oに記載の組成物。
Q.対象の癌の治療または予防に使用するための、項目A~Mのいずれか1項に記載の癌ワクチン、または項目Oに記載の組成物。
R.対象の癌の治療または予防方法であって、項目A~Mのいずれか1項に記載の癌ワクチン、または項目Oに記載の組成物の対照への投与を含む、方法。
S.治療または予防される癌が、口腔癌および/または中咽頭癌である、項目Qに記載の使用のための癌ワクチンまたは組成物、または項目Rに記載の治療または予防方法。
T.癌ワクチンまたは組成物が、チェックポイント阻害剤の投与と組み合わせて対象に使用される、項目P、QまたはSのいずれか1項に記載の使用のための癌ワクチンまたは組成物、または項目RもしくはSに記載の治療または予防方法。
U.チェックポイント阻害剤が、抗PD1または抗CTLA4結合分子、または抗PD1または抗CTLA4結合分子をコードする核酸を含む、項目Tに記載の使用のための癌ワクチンまたは組成物、または項目Tに記載の方法。
V.癌の治療または予防のためのキットであって、
-項目A~Mのいずれか1項に記載の癌ワクチン;および
-抗PD1または抗CTLA4結合分子などのチェックポイント阻害剤、を含むキット。
W.癌の治療または予防のためのキットであって、
-核酸がMAGED4Bをコードする、項目A~Mのいずれか1項に記載の第1の癌ワクチン;
-核酸がFJX1をコードする、項目A~Mのいずれか1項に記載の第2の癌ワクチン;および任意選択で、
-抗PD1結合分子などのチェックポイント阻害剤、を含むキット。
本発明は広範に示されてきたが、本明細書に含まれる図で得られ、示されたデータのための材料および方法は以下で提供され、治療戦略などの事項に関する特定の情報は、図および凡例に含まれている。ここで提供される方法およびデータは、本発明を裏付けるためのものであり、例示的にいくつかの代替物ワクチン構築物などを示す。
実施例
実施例1:HPV-ve HNSCC中のMAGED4B/FJX抗原を標的にするDNAワクチンの免疫原性の評価
HPV非関連HNSCC患者の標的抗原発現および既存のT細胞応答
それぞれの腫瘍ミュータノームに基づく患者特異的ワクチンの開発に対する興味深い将来性が存在するが、このような手法の高価であること、および技術的困難性は、たとえ成功しても、ほとんどの患者に利益をもたらす見込みはありそうにない。汎用癌ワクチンの製造のために患者間で共有される共通腫瘍抗原の特定は、安価で幅広く利用可能なOSCCの治療を提供することになろう。異なる型のTAAの内で、癌/精巣(CT)抗原は、極めて有望な治療標的であり、CT抗原に対する細胞性および液性免疫応答は、癌患者で高頻度に観察され、CT抗原発現と腫瘍免疫浸潤物の細胞溶解活性との間には相関が存在する。CT抗原の免疫原性および癌特異性は、それらを癌免疫療法のための優先的標的にし、それらの治療作用を種々の臨床設定において試験した。CT抗原ワクチンは通常、耐容性良好であり、現在、それらの治療効力を評価する多数の癌ワクチン接種試験が進行中である。我々は、OSCCで高頻度に発現されることが分かっている2種の癌精巣抗原MAGED4BおよびFJX1を選択した。その後、我々は、これらのデータを、CGA(癌ゲノムアトラス)を用いて、データセットの分析にまで拡張し、その発現を確認した。全体として、2種の抗原は、OSCC症例の96%においてRNAレベルで発現されている。さらに、我々は、口腔異形成およびOSCC症例における両抗原のタンパク質レベルでの発現を確証し(10/10が陽性であった;各状態5症例)、非悪性口腔粘膜中では発現はなかった(図2)。健康な組織のタンパク質レベルでの発現データは、HLA-A2四量体(現時点でMAGED4Bに対してのみ利用可能である)および各抗原の全アミノ酸配列に対するオーバーラッピングペプチドプール(OPP)を用いたHPV非関連HNSCCの患者における抗原に対する既存の免疫の調査と類似であった。これらは、増殖させた腫瘍浸潤リンパ球を用いて血液および腫瘍の両方で測定された。循環MAGED4B四量体陽性CD8+T細胞を、同様に類似の頻度で四量体陽性である2/2増殖TILを有する4/6 HLA-A2患者(総CD8+T細胞の0.04~0.1%)(図3)で観察した(図4Aおよび図5)。より高レベルのMAGED4B陽性CD8 T細胞(5~10倍)をHLA-A2陰性HLA-A1陽性TIL試料中でOPPを用いて検出し、HLA-A2制約を超える反応性を示した(図4B)。従来、FJX1に対して、CD8 T細胞の反応性を増殖TIL試料でのみ、OPPを用いて評価し、MAGED4B CD8 T細胞と共存するHLA-A1患者中のCD8の反応性を示した(図4B)。患者のデータは、両抗原の強い免疫原性を示し、MAGED4Bの場合で極めて顕著であった。
実施例2:DNAワクチン効力/免疫原性に関する前臨床データ
ワクチン設計
HPV+癌では、免疫原性ウィルス抗原をコードするDNAワクチンは、大きく進歩し、子宮頸部腫瘍のランダム化2b相臨床試験の最近の結果は、疾患の病理組織学的退行を示す。DNAワクチン接種のための我々の手法は、破傷風毒素ドメイン(Dom)の免疫原性配列の存在下で、腫瘍特異的ペプチドまたは抗原を送達することであった。ワクチン設計は、癌患者において、CD8+T細胞の最適誘導のための結合CD4 T細胞を提供することを目標としており、免疫寛容を破壊する効力の高い戦略である。第2相臨床データは、DNAワクチン接種が、ワクチン後に検出され、臨床的有用性を示す腫瘍抗原(癌胎児抗原;CEA)に対するCD8 T細胞応答により、腫瘍組織の末梢性免疫寛容を克服できることを示唆している。従って、我々は、DOMベース設計を、完全長MAGED4BおよびFJX1抗原をコードするDNAワクチン(p.Dom-MAGED4BFLおよびp.Dom-FJX1FL)を生成するために適用した。ここで、我々は、完全長抗原設計が、より広範な集団のカバー率を達成でき、それぞれのHLAアレル(HLA-A2)を標的化することに焦点を置かないように最適化した。
マウスモデル
免疫原性のために、HLA-A2遺伝子導入マウスHHDを腫瘍チャレンジなしで使用した。B16/F10に、ヒトHLA-A2、MAGED4Bおよび、FJX1構築物を遺伝子導入し、HNSCCにおけるこれらの抗原の発現を模倣し、HLA-A2遺伝子導入ヒト化マウスモデル(B6.Cg-Tg(HLA-A/H2-D)2Enge/J)で使用される。腫瘍を皮下に投与した。
各ワクチンの免疫原性を確認し、続けて、単一用量のワクチンを電気穿孔により非担腫瘍マウスに投与した(図7)。各抗原の全体配列をカバーするオーバーラッピングペプチドプール(OPP)(MAGED4B 183ペプチド;FJX1 107ペプチド)を用いて抗原特異的T細胞応答を測定した。
腫瘍チャレンジ実験では、腫瘍が3日目に触知できる(サイズ)場合に、マウスにワクチン接種した。DNAワクチンは、抗PD1(インビボMab抗マウスPD1(BioXcellからのRMP1-14、BEO146)抗PD1は対照薬の役割を果たす)と共にまたはそれなしに、3週間隔で2回、混合物として投与した。実験は、OPPを上記のように用いて免疫原性測定と並行実施した。DNAワクチンは、対照DNAワクチン(p.Domバックボーン)に対する抗PD1と類似のレベルで腫瘍増殖を低減/抑制でき、一緒に組み合わせると、顕著な相乗作用を生ずる(図9B)。データは、MAGED4B特異的T細胞の誘導および抗PD1と組み合わせ時のMAGED4B特異的T細胞の増加の実証に対応した(図9C)まとめると、前臨床データは、MAGED4B/FJX1を標的化したDNAワクチンが、これらの抗原を発現している腫瘍の増殖を抑制する大きな潜在能力を有し、これは、抗PD1と組み合わせることにより、さらに強化できることを実証している。
実施例3:代替遺伝子融合パートナー-ヘルパーモチーフ-MITD、PVXCP、MIP3α
標的抗原のC末端に結合させたMHCクラスIトラフィッキングシグナル(MITD)は、MHCIおよびMHCIIエピトープの両方の提示を促進し、CD4およびCD8 T細胞のポリエピトープ増殖に繋がることが示された(Kreiter S,et al.J Immunol.2008;180(1):309-18)。
PVXCP(ジャガイモウィルスXコートタンパク質)は、ヘルパー配列であり、DOMヘルパー配列に類似の結合T細胞ヘルプの機序を介して融合癌抗原に対するT細胞応答の誘導を高めることが示された(Savelyeva N et al Nature biotechnology.2001;19(8):760-4,and Stegantseva MV et al,Cancer immunology,immunotherapy :CII.2020)。
ケモカインMIP3αに融合された抗原は、ケモカイン受容体CCR6を介して未成熟DCに向かうことが示された(Biragyn A et al.J Immunol.2001;167(11):6644-53)。受容体媒介取り込み後に、融合抗原は、MHCクラスIおよびIIの両方により提示され、顕著なCD4+およびCD8+T細胞応答を活性化する(Biragyn A et al.Blood.2004;104(7):1961-9,Biragyn A,et al.J Immunol.2007;179(2):1381-8)。
これらの融合体は、図13に示され、この図表の説明はさらなる情報を提供する。
融合構築物とヘルパーモチーフのアセンブリ
MITD(165bp)は、HLA-A2トラフィッキングシグナルをコードする。PVXCP(732bp)は、ジャガイモウィルスXコートタンパク質をコードする。MIP3α(252bp)は、マクロファージ炎症性タンパク質3アルファをコードする。MITD、PVXCPおよびMIP3α遺伝子は、コドン最適化し、GeneArt(Invitrogen)により合成した。マウス(mus)IgHシグナルペプチド(MGWSCIIFFLVATATGVHS)をコードするリーダー配列を各構築物のN末端に挿入し、其れ自体のシグナルペプチドを有するMIP3α融合構築物を別として、分泌の効力を高めた。融合パートナーおよび目的遺伝子(MAGED4BまたはFJX1)を7個のアミノ酸リンカー(AAAGPGP)と連結した。MITD以外を、他の全ての融合パートナーを標的癌抗原癌抗原の上流に融合した(図13)。MITD配列を抗原配列の下流に添加した。MAGED4B、FJX1またはそれらの目的融合体のための遺伝子をNotI、XhoIおよびXbaI制限酵素部位でpcDNA3ベクター中に挿入し、DNAワクチン構築物を生成した。
DOMおよび異なる融合ヘルパーモチーフパートナーを含む融合構築物の免疫原性の評価:
DNAワクチン単独または電気穿孔との組み合わせの免疫原性の評価用汎用ワクチン接種プロトコルは、プライム/ブーストであった(図17;21~26)(特異的ワクチン構築物は、各図表の説明中に示される):
3群の5~6匹の非担腫瘍HHD(ヒトHLA-A2アレルを遺伝子導入)マウスを50μgのp.Dom-MAGED4B、p.Dom-FJX1またはp.Domのそれぞれを1日目にワクチン接種し、続けて、22日目に、同じDNAワクチンの追加抗原注射を電気穿孔により接種した。それらの免疫原性をIFNγ エリスポットにより評価した。35日目にマウス脾臓から単離したリンパ球をエリスポット培養皿に播種した(図8)。図21~26の実験では、dbDNAワクチンの可変投与量は、図表の説明に示した。
図11、12、14の実験では、ワクチン接種は、1日目および8日目に投与され、エリスポット用の脾臓を22日目に採取した(特異的ワクチン構築物は、各図表の説明中に示される)。
図15、19、20では、汎用(特異的ワクチン構築物は各図表の説明中に示される)プロトコルによる刺激のみの後で評価された:非担腫瘍C57B/6マウスは、50μgのpDOMプラスミドワクチン(3匹のマウス、陰性対照として)、25μgのDB-DOM-FJX1-CO(5匹のマウス)および25μgのpDOM-FJX1プラスミド(5匹のマウス)でワクチン接種した。ワクチンは、1日目に、i.m(筋肉内)にEPで投与された。図15の実験では、マウスは50μgのDNAワクチンを投与された。14日目にマウス脾臓から単離したリンパ球をエリスポット培養皿に播種した。
本明細書で使用される汎用エリスポットプロトコル:
製造業者のプロトコル(BD Bioscience)に従ってIFNγ エリスポットを行った。手短に説明すると、リンパ球をワクチン接種マウスの脾臓からLymphoprep(商標)を用いて単離し、2.5x10個の細胞/ウェルで、エリスポット培養皿に播種した。各標的抗原MAGED4BまたはFJX1のためのオーバーラッピングペプチドプール(OPP)を最終濃度の1μMまで加え、37℃、10%FCS、20mMのL-グルタミン、10U/mlのペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI中の5%で40時間インキュベートした。各抗原の全体配列のためのオーバーラッピングペプチドプールは、11aaの重複部分を有する15マーのペプチドからなり;183個のペプチドをMAGED4Bのためにプールし、107個のペプチドをFJX1のためにプールした(JPT、Germany)。FJX1 OPPは、MAGED4B標的化ワクチンのための陰性対照として機能し、逆もまた同じである。それぞれの応答T細胞に対応するスポット形成単位(SFU)を、AID エリスポットプレートリーダーシステムELR04およびソフトウェア(AID Autoimmun Diagnostika GmbH,Strassburg,Germany)で画像化し、計数した。グラフはPRISM graphPadパッケージを用いて作成した。
実施例4:CAF上のMAGED4B抗原の特定
HNSCC症例の免疫組織化学的分析であり、癌関連線維芽細胞ならびに癌細胞中の強力なMAGED4B発現を示す。高pH(トリスEDTA(pH(9)))バッファーを用いて抗原回収後、抗MAGED4Bモノクローナル抗体(Santa Cruz、G12;sc-393059)を1:50希釈でHNSCC組織に対し使用した。脱パラフィン、再水和、抗原回収、およびIHC染色を、Dako PT Link Autostainerを用いて実施した(EnVision FLEX Target Retrieval Solution,High pH(Agilent Dako)およびCellular Pathology Department of University Hospital of Southampton NHS TrustのDAKO Auto-stainer Link48を使用して)。DAKO Envision FLEX Mouseリンカーを切片に15分間適用した;DAKO Envision FLEX HRP(20分)およびDAKO Substrate Working Solution(10分)を適用し、その後、DAKO Envision FLEXヘマトキシリンで5分間、対比染色した。画像を、WISH LabでZEISS Axioスキャナーを用いて取得した。
6種の個別のHNSCC症例が提示される(図27)。
HNSCCの10症例の分析により、9/10症例で、MAGED4Bの腫瘍細胞発現が確認された。腫瘍細胞発現のレベルをH Score(染色強度(スコア0~3)と、陽性細胞のパーセンテージ(スコア0~100)の積)を用いて評価した;可能な最大のスコアは、300、すなわち、強力な染色を示す100%の腫瘍細胞となる。特に、(および意外にも)、MAGED4の高い発現はまた、CAF中(7/10症例)でも観察され、下表中でCAF+として示される。CAF染色は、陽性または陰性として評価した。我々は、scRNASeq HNSCCトランスクリプトームデータ(これは、HNSCC細胞によるMAGED4B発現も確認した)を分析することによりCAF MAGED4B発現を確認した(図28A)。単細胞RNAseq(scRNASeq)は、個々の細胞のトランスクリプトームを定量化するための強力な方法として登場し、適切なプロトコルは、Andrews,T and Hemberg,M,Molecular Aspects of Medicine Volume 59,February 2018,Pages 114-122に概説されている。
Figure 2022553192000020

この表は、腫瘍細胞の染色の強度を示す。CAF+は、CAF中のMAGED4Bに対する強力な染色を示す。
実施例5:腫瘍および正常組織中のMAGED4B発現の特定
これらの試験は、腫瘍および正常の両組織試料中でMAGED4BおよびFJX1発現を評価するように設計された。OSCC患者由来の腫瘍生検試料および正常組織マイクロアレイ試料を取得し、免疫組織化学的検査分析に供した。両抗原の強力な発現がOSCC患者由来の全試料で明らかであった。HPV-HNSCCを用いた5/5試料および各抗原に対する口腔形成異常組織中の5/5(Southampton,UKコホート)。28個の試料の抗原発現を評価し、28/28試料がMAGED4B陽性で、27/28試料がFJX1陽性であった(マレーシアコホート)。
加えて、肺癌の患者由来の5個の試料(LUADの3個、LUSCの2個の試料)は、MAGED4Bの強力な発現を示した。
これらの2種の抗原のいずれかを標的化する適合性が、健康な組織中で無発現/無視できる程度の発現を示した分析で示唆され、TMA試料における低染色により確認された(データは示さず)。従って、ワクチンが正常組織に対して免疫応答を誘導することは予測されない。
この研究は、マレーシアおよびUKの患者由来の複数のHPV-ve HNSCC試料中の両抗原の発現を確定し、非形成異常口腔組織を含む大部分の臓器の組織マイクロアレイパネルにおける好ましい組織発現パターンを確認した。
Southampton OSCC患者試料では:試料は、製造業者の説明書に従い、自動化Dako自動免疫染色装置を用いて染色した。
Figure 2022553192000021
OSCC患者のマレーシアコホートでは、FFPEブロックが特定され、4μmの切片を正に帯電したスライドガラス上に作成した。手短に説明すると、切片からのワックスを65℃で10分間融解し、続いて、キシレン代用品で5分間の洗浄を2回行うことにより脱パラフィンした。その後、切片を段階的エタノール(100%エタノールx2、95%エタノールx2、70%エタノールx1)中で再水和し、蒸留水中で少なくとも30秒間洗浄した。続けて、それを熱誘導抗原回収(MAGED4Bに対しクエン酸緩衝液pH6;FJX1に対しトリスEDTAバッファーpH9)を99℃で20分間行った。Dako cytomation Envision+Dual Link System HRP(DAB+)キットからのDual Endogenous Enzyme Blocking Reagent中で切片を室温下10分間インキュベートすることにより、非特異的結合をブロックした。その後、切片を抗MAGED4B(1:100希釈)および抗FJX1抗体(1:200希釈)と共に4℃で16時間インキュベートした。インキュベーション後、切片を洗浄し、ペルオキシダーゼ標識ポリマー(ヤギ抗マウスおよびヤギ抗ウサギに結合)と共に室温で30分間インキュベートした。ヘマトキシリンにより比染色し、段階的エタノールで脱水後に、それぞれの抗体に対する陽性結合が、DAB+発色基質を有し、カバーガラスを取り付けた顕微鏡下で明らかになった。
Figure 2022553192000022
この研究は以下を確認した:
UKおよびマレーシアかたのHNSCC/OSCC患者試料中の両抗原の強力な発現。
肺癌試料もまた、MAGED4B(FJX1は分析せず)の強力な発現を示し、TCGAデータベースを用いて生成した過剰発現データを確認した(TGL-100_001-R TCGAで詳細に記載)。
これらのデータは、好ましい組織発現パターン;腫瘍における強力な発現および健康な組織中の低/無発現を示す利用可能なRNAseqデータと広範囲に対応する。
実施例6:B16マウスモデルでの前臨床研究
本明細書で記載のワクチンを用いた治療的ワクチン接種の腫瘍進行に対する影響を示すために、抗原を発現するB16モデルを採用して、HLA-A2遺伝子導入AADマウスの皮下にチャレンジした。5日目のデュアルワクチンによるワクチン接種の前の5日間で腫瘍を確立し、投与の約10日目に測定可能になると、腫瘍体積評価を開始することが可能であった。ワクチン治療と抗PD-1の効果の組み合わせも評価した。
ワクチン単剤療法は、対象と比較して、腫瘍増殖を遅らせ、この効果は、抗PD-1との組み合わせ時にさらに顕著に高められた。免疫組織化学的検査による腫瘍の評価により、デュアルワクチンでワクチン接種したマウスでは、pDOM対照ワクチン接種マウスに比べて、増大したT細胞浸潤物が明らかであることが示された。フローサイトメトリーは、これらの浸潤物が、pDOM対照に比べて、増大した数の活性化CD4+およびCD8+T細胞を含んでいたことをさらに示した。T細胞疲弊マーカーPD-1の発現の増大は、PD-1阻害とワクチン接種との組み合わせが有益であり得ることを示した。
この研究は、PD-1阻害と組み合わせた新規抗原MAGED4Bおよび/またはFJX1を標的とするワクチン接種がT細胞媒介腫瘍攻撃を効果的に誘導できるという我々が提案した作用機序を支持する。
筋肉内(i.m)注射による2回分のワクチンの効力を、AADマウス(HLA-A2+/Kb+)を用いて、BAMモデル(MAGED4BおよびHLA-A2を発現するように遺伝子改変されたB16メラノーマ腫瘍)またはBAFモデル(huFJX1およびHLA-A2を発現するように遺伝子改変されたB16メラノーマ腫瘍)で試験した。BAM細胞は、MAGED4BおよびヒトFJX1に対し95%の相同性を有するマウスFJX1の発現を確証した。BAF細胞は、huFJX1の発現を確証した。
ヒトHLA-A2遺伝子を発現しているB16F10メラノーマ細胞株は、Professor Eric Tartour(Universite Paris Descartes,Paris)から譲り受けた。この細胞株は、10%加熱不活性化した胎児ウシ血清、ペニシリン/ストレプトマイシン(100U/ml)および1mg/mlのG418を補充したRPMI1640中で培養された。B16F10/HLA-A2は、マウスFJX1を内因性に発現することが検証され、ヒトMAGED4B(B16F10/HLA-A2/MAGED4B、「BAM」)を発現するように改変された。同時に、B16F10/HLA-A2は、ヒトFJX1(B16F10/HLA-A2/FJX1、「BAF」)を発現するように改変された。これらの細胞株中でのHLA-A2の発現は、ヒトHLA-A2-PE(クローンBB7.2)-結合抗体を用いてフローサイトメトリーにより確認された。MAGED4BおよびFJX1発現レベルは、注文製作抗MAGED4Bおよび抗FJX1抗体をそれぞれ用いて、ウェスタンブロッティングにより確認された。
DNAワクチンの免疫原性および有効性は、Jackson Laboratory,USAから購入した、キメラHLA-A2.1/H2-Dd MHCクラスI分子を発現している遺伝子導入マウスB6.Cg-Immp2lTg(HLA-A/H2-D)2Enge/J)(AADマウスとしても知られる)で試験された。AADマウスは、その後の実験での使用のために、動物実験室で飼育された。
マウスは、BAM細胞株(10細胞)で0日目にチャレンジされ、その後、無菌生理食塩水中のワクチン(50μgの各ワクチン)または50μgのpDOM DNAワクチン対照(筋肉内)で5日目に触知できる腫瘍を観察後(平均で25mmの測定値)、ワクチン接種された。pDOM対照は、破傷風毒素DOMヘルパー配列のみを発現した。追加抗原注射を12日目に投与した。マウスを屠殺するまで腫瘍増殖を監視し、免疫組織化学的検査およびフローサイトメトリーにより腫瘍のT細胞浸潤を評価した。腫瘍容量は、次式を用いて評価した:体積=1/2(長さx幅)。プラスミドベースワクチンの結果を図9および10に示す。

Claims (28)

  1. MAGED4Bタンパク質またはそのバリアントをコードする核酸を含む癌ワクチン。
  2. 前記MAGED4Bタンパク質が、配列番号3、31、41、42または43のいずれか1つで示される配列、または免疫学的に活性なその短縮化バージョン、任意選択で、配列番号35~配列番号37のいずれか1つで示される配列、と少なくとも85%の配列同一性を有する、請求項1に記載の癌ワクチン。
  3. 前記短縮化バージョンが、一方または両方のMAGE相同ドメインの少なくとも一部の除去を含む、請求項1または請求項2に記載の癌ワクチン。
  4. 前記核酸配列が、配列番号7、配列番号16、配列番号17、配列番号24、配列番号25または配列番号26のいずれか1つで示される配列、と少なくとも85%の配列同一性を有する、請求項1~3のいずれかに記載の癌ワクチン。
  5. ヘルパーモチーフをさらに含み、任意選択で、前記ヘルパーモチーフが免疫応答を刺激するタンパク質をコードする、請求項1~4のいずれかに記載の癌ワクチン。
  6. 前記ヘルパーモチーフが、タンパク質の免疫学的フラグメント、任意選択で、ヘルパーエピトープをコードする、請求項5に記載の癌ワクチン。
  7. 前記ヘルパーモチーフが、破傷風毒素の免疫原性フラグメント、任意選択で、破傷風毒素のp30 MHCIIエピトープである、請求項5または請求項6に記載の癌ワクチン。
  8. 前記ヘルパーモチーフがDOMである、請求項7に記載の癌ワクチン。
  9. 前記癌ワクチンが、FJX1タンパク質またはそのバリアントをコードする核酸をさらに含む、請求項1~8のいずれかに記載の癌ワクチン。
  10. 前記FJX1タンパク質が、配列番号4または配列番号33で示される配列、またはその短縮化バージョンと少なくとも85%の同一性を有し、および任意選択で、配列番号8、配列番号20または配列番号21に記載の核酸配列と少なくとも85%の同一性を有する核酸によりコードされる、請求項9に記載の癌ワクチン。
  11. 前記MAGED4BおよびFJX1が、同じ核酸により融合タンパク質としてコードされ、任意選択で、前記融合タンパク質がタンパク質の免疫学的フラグメントをさらに含む、請求項9または請求項10に記載の癌ワクチン。
  12. 前記融合タンパク質が、MAGED4Bおよび/またはFJX1および/または前記タンパク質の免疫学的なフラグメントの間に、1種または複数のリンカータンパク質を含む、請求項11に記載の癌ワクチン。
  13. 少なくとも1種の核酸が、シグナルペプチドをコードする、請求項1~12のいずれかに記載の癌ワクチン。
  14. 前記核酸が、DNAである、請求項1~13のいずれかに記載の癌ワクチン。
  15. 前記DNAが、プラスミド、閉鎖型直鎖状DNA、ミニサークルDNAまたは一本鎖環状DNAである、請求項14に記載の癌ワクチン。
  16. 前記核酸が、コード配列に動作可能に連結されたプロモーターをさらに含み、任意選択で、前記コード配列の下流にポリアデニル化シグナルをさらに含む、請求項14または請求項15に記載の癌ワクチン。
  17. 前記核酸が、RNA、任意選択で、メッセンジャーRNAまたは自己増幅型RNAである、請求項1~13のいずれか1項に記載の癌ワクチン。
  18. 医薬に使用するための、任意選択で、癌の治療または予防に使用するための、請求項1~17のいずれか1項に記載の癌ワクチン。
  19. 前記免疫系への腫瘍の曝露に使用するための、請求項1~17のいずれか1項に記載の癌ワクチン。
  20. 抗癌剤、任意選択で、免疫チェックポイント阻害薬に対し腫瘍を感作させるのに使用するための、請求項1~17のいずれか1項に記載の癌ワクチン。
  21. 前記ワクチンが、抗癌剤、任意選択で、免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせて使用するためのものである、請求項18、19または20で請求される使用するための癌ワクチン。
  22. 請求項1~17のいずれか1項に記載の癌ワクチンを投与することを含む、それを必要としている患者を治療する方法。
  23. 請求項1~17のいずれか1項に記載のワクチンをヒトまたは動物対象に投与することを含む、CD8T細胞による浸潤に腫瘍を感作させる方法。
  24. 前記方法が、抗癌剤、任意選択で、免疫チェックポイント阻害薬の使用をさらに含む、請求項22または請求項23に記載の方法。
  25. 前記チェックポイント阻害剤が、PD-1、PD-L1、PD-L2またはCTLA-4の作用を遮断できる薬剤であり、任意選択で、前記薬剤が抗体またはアプタマーである、請求項20もしくは21に記載の使用または請求項24に記載の方法。
  26. 前記癌が、頭頸部癌、口腔癌、中咽頭癌、上咽頭癌、肺癌、乳癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、結腸癌、腎臓癌、胆管細胞癌腫、皮膚黒色腫、直腸癌、甲状腺癌、膀胱尿路上皮癌、腎癌および胃腺癌のいずれか1種または複数である、請求項1~25のいずれかに記載の癌ワクチン、使用または方法。
  27. 本発明のワクチンによる治療のために癌を選択する方法であって、癌に、MAGED4B単独の、またはFJX1と組み合わせての発現が付随しているかどうかを判定することを含む、方法。
  28. 請求項1~17のいずれか1項に記載の癌ワクチンをヒトまたは動物対象に投与することを含む、免疫チェックポイント阻害の効力を高めることを必要としている患者で、それを実施する方法。

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