JP2009105485A - ヒンジ機構および携帯端末 - Google Patents

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正巳 西田
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Abstract

【課題】回転とスライドが可能でメカ部品の露出を防止できるヒンジ機構、および該ヒンジ機構を用いた携帯端末を提供する。
【解決手段】第1筐体と第2筐体とが重ね合わせられる携帯端末の前記第1筐体の重ね合わせ側に固着される第1ユニットと、前記第2筐体の重ね合わせ側に固着される第2ユニットとを備え、該第1ユニットと第2ユニットとを接続したヒンジ機構について、前記第1ユニットと第2ユニットの間に中間ユニットを備え、前記第1ユニットに、前記中間体のスライド移動をガイドするガイド部を備え、前記中間ユニットに、前記ガイド部に係合してスライド移動するガイド係合部と、前記第2ユニットを回転可能に支持する回転支持部と、前記スライドや前記回転の際に前記第1筐体の重ね合わせ側面で前記第1ユニットが露出しないように該第1ユニットを被覆する被覆部とを備えた。
【選択図】図3

Description

この発明は、例えば第1筐体と第2筐体が回転およびスライド可能に連結された携帯電話機やPDA等の携帯端末に用いられるようなヒンジ機構および携帯端末に関する。
従来、携帯端末の1つである携帯電話機として、表示手段の設けられたカバー筐体と、入力キーが設けられた本体筐体とが、ヒンジ装置で接続された携帯電話機が提供されている。
このような携帯電話機は、通話機能だけでなく、インターネット機能やメール機能が付加されている。そして、最近では、テレビ放送の電波を受信してテレビ放送を視聴することができるテレビ機能の付加されたタイプも提供されている。
携帯電話機の表示手段は、通常縦長の画面で構成されている。しかし、テレビ放送を視聴する場合には横長の画面が好ましい。このため、携帯電話機としての従来の使いやすさと、テレビ放送の視聴しやすさの両方を確保するためには、表示手段を90度回転可能に構成することが好ましいこととなる。
このように表示手段を90度回転できるものとして、液晶表示部を縦長と横長とに切り替えることのできる折畳み式携帯電話が提案されている(特許文献1参照)。
この折畳み式携帯電話は、折りたたみ可能な第1の筐体3により液晶表示部2を90度回転可能に支持している。従って、閉状態から第1の筐体3を折りたたみ開閉すると、縦長画面を実現でき、さらに液晶表示部2を90度回転すると、横長画面を実現できる。
しかし、この方式は、第1の筐体3の存在により外観の見栄えが悪くなるものであった。
一方、従来から存在するヒンジ装置の延長線で考えると、液晶側とキー側をスライドさせる機構、および液晶側とキー側を回転させる機構を組み合わせることが考えられる。
しかし、スライド機構と回転機構を単純に組み合わせた場合、回転によってスライド機構が露出してしまう。これは、ある程度のスライド距離を確保しようとすると、携帯電話機の筐体幅よりも長いスライド機構が必要になることに起因する。
このようにスライド機構が露出すると、機器としての高級感が損なわれるという問題点がある。また、内部のメカ部品や接続ケーブルにゴミが付着する、あるいはいたずらされるといった原因により、ヒンジ装置が破損する問題が生じる。
特開2006−211576号公報
この発明は、上述した問題に鑑み、回転とスライドが可能でメカ部品の露出を防止できるヒンジ機構、および該ヒンジ機構を用いた携帯端末を提供することを目的とする。
この発明は、第1筐体と第2筐体とが重ね合わせられる携帯端末の前記第1筐体の重ね合わせ側に固着される第1ユニットと、前記第2筐体の重ね合わせ側に固着される第2ユニットとを備え、該第1ユニットと第2ユニットとを接続したヒンジ機構であって、前記第1ユニットと第2ユニットの間に中間ユニットを備え、前記第1ユニットに、前記中間体のスライド移動をガイドするガイド部を備え、前記中間ユニットに、前記ガイド部に係合してスライド移動するガイド係合部と、前記第2ユニットを回転可能に支持する回転支持部と、前記スライドや前記回転の際に前記第1筐体の重ね合わせ側面で前記第1ユニットが露出しないように該第1ユニットを被覆する被覆部とを備えたヒンジ機構であることを特徴とする。
前記ガイド部は、レール状の溝、あるいはレール状の突起など、スライド移動をガイドする部位で構成することができる。
前記ガイド係合部は、前記ガイド部に係合するレール、凸部、凹部、または接触面など、前記ガイド部に係合する適宜の形状に形成することができる。
前記回転支持部は、前記第2ユニットを回転可能に支持する軸孔など、前記第2ユニットを回転可能に支持する部位で構成することができる。
この発明により、スライド機構の一部となる第1ユニットが回転機構の動作によって露出することを被覆部により防止することができる。
この発明の態様として、前記中間体は、前記スライド移動の移動方向の一方に前記回転支持部が配置され、他方に前記被覆部が配置される構成とすることができる。
これにより、回転機構により第1ユニットと第2ユニットが回転支持部を中心に相対回転したときに、回転外周側となる前記他方を被覆部で被覆できる。従って、最も露出しやすい部分を被覆することができる。
またこの発明の態様として、前記中間ユニットは、前記回転支持部を挟んで前記被覆部と反対側に、前記スライド移動の移動方向へスライド可能な第2被覆部が備えられた構成とすることができる。
これにより、前記回転支持部を挟んで両側を被覆することができ、メカ部が露出することをより確実に防止できる。
またこの発明の態様として、前記第1ユニットに、前記第2ユニットのガイド部と平行な回転係止スライド許容ガイドと、該回転係止スライド許容ガイドの一端側で前記第2ユニットを回転許容する回転許容部とが備えられ、前記第2ユニットに、前記回転係止スライド許容ガイドに係合して非回転に回転規制された状態でスライド移動し、かつ、前記回転許容部に位置すると前記回転規制が解除されて回転許容されるスライド回転係合部が備えられ、前記第2被覆部は、前記回転係止スライド許容ガイドを収納する収納部が設けられた構成とすることができる。
前記回転係止スライド許容ガイドは、レール状の突起、またはレール状の溝など、スライド移動をガイドする部位で構成することができる。
前記回転許容部は、前記回転係止スライド許容ガイドに接触する接触面、凸部、あるいは凹部を備えるなど、前記回転係止スライド許容ガイドに係合してスライド移動可能で回転係止される適宜の形状に形成することができる。
この態様により、回転とスライド移動が可能であり、かつ、スライド移動中は回転しないヒンジ機構を提供することができる。従って、回転とスライドをメカニカルに関係付けた良好な操作性のヒンジ機構を提供することができる。さらに、この良好な操作性のヒンジ機構について、メカ部が露出することを効果的に防止することができる。
またこの発明の態様として、前記ヒンジ機構と、前記第1ユニットが装着される前記第1筐体と、前記第2ユニットが装着される前記第2筐体とを備え、前記第1筐体と前記第2筐体の少なくとも一方に、画像を表示する表示手段と入力操作を許容する入力手段の少なくとも一方を備えた携帯端末とすることができる。
これにより、メカ部の露出を防止できる携帯端末を提供することができる。
この発明により、回転とスライドが可能でメカ部品の露出を防止できるヒンジ機構、および該ヒンジ機構を用いた携帯端末を提供することができる。
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1は、携帯電話機1の各状態を斜視図により説明する説明図であり、図2は、携帯電話機1を正面側から見た分解斜視図であり、図3は、携帯電話機1を背面側から見た分解斜視図であり、図4は、正面側から見たヒンジ装置10の部分拡大分解斜視図であり、図5は、背面側から見たヒンジ装置10の部分拡大分解斜視図であり、図6はヒンジ装置10を正面側から見た斜視図であり、図7はヒンジ装置10を背面側から見た斜視図である。
図1に示すように、携帯電話機1は、長方形のキー側筐体5におけるキー配置面6側に、表示側筐体2の背面が重ね合わせられ、この状態でヒンジ装置10(図2参照)により接続されている。表示側筐体2の正面には、表示部3が設けられている。キー側筐体5のキー配置面6には、入力操作キーが複数配置されている。表示側筐体2の表示部3には、液晶表示装置などの表示装置が配置されている。
図2に示すように、ヒンジ装置10は、表示側筐体2に固定される表示側ユニット11、キー側筐体5に固定されるキー側ユニット14、および表示側ユニット11とキー側ユニット14を接続する中間ユニット13により主に構成されている。
表示側ユニット11は、略長方形の表示側プレート20により構成されている。
この表示側プレート20は、左右の長辺がコ字型に左右対称に屈曲されて側縁部21が形成され、この側縁部21の内側に平行なガイド溝21aが左右対称に形成されている。また、表示側プレート20の中央には、長手方向に伸びる凹部29が設けられている。
2つのガイド溝21aは、一直線状に形成されて互いに平行に対向配置されている。また、表示側プレート20の中央付近には、ガイド溝21aより短いガイドレール23が、ガイド溝21aと平行に2つ形成されている。この2つのガイドレール23は、互いに平行で間が等間隔となるように対向配置されている。
各ガイドレール23は、断面L字に形成された板部材22の方片が、表示側プレート20に形成されている溝穴27(図6参照)に挿入されて形成されている。この板部材22の反対側の方片は、表示側プレート20の裏側で装着片24として表示側プレート20に固着されている。この固着は、リベットによるはめ殺し、ネジ止め、あるいは接着といった適宜の方法で実施されている。
なお、ガイドレール23は、このように板部材22として取り付けるに限らず、一枚の鉄板を曲げ形成してガイドレール23を有する表示側プレート20を製造するなど、適宜の方法により形成すると良い。
また、表示側プレート20は、ガイドレール23の一端側に、回転許容空間28が設けられている。
このように形成された表示側プレート20は、表示側筐体2の裏面(キー側筐体5との重ねあわせ面)に形成された凹部2a(図3参照)に、ガイドレール23と反対側の面が固着される。
表示側筐体2の裏面には、凹部2aに続けてスライド許容凹部2bが設けられている。このスライド許容凹部2bは、カバープレート67がスライド移動してくることを許容するための空間を形成している。従って、このスライド許容凹部2bは、カバープレート67のスライド方向長さと同程度の長さか、それより少し短い程度の長さに構成されている。
中間ユニット13は、保持部材30と、レールカバー40と、スライドプレート60と、偏心カム70(図5参照)とで構成されている。
保持部材30は、基材部32の背面に円筒形の軸支持部33が立設されている。また、基材部32には、保持部材30をスライドプレート60に固定するための固定アーム31が設けられている。この固定アーム31に形成された穴にリベットRが差し込まれてスライドプレート60に保持部材30が固定される。なお、リベットRではなくネジ止めによってスライドプレート60に保持部材30を固定してもよい。
また、保持部材30には、ケーブル用穴34が設けられている。このケーブル用穴34は、軸支持部33の軸内孔35に連通している。従って、表示側プレート20の凹部29からケーブル用穴34および軸内孔35を通じて、表示側筐体2とキー側筐体5の各装置を有線で電気的に接続することができる。
レールカバー40は、左右両側部に表示側プレート20のガイド溝21aに係合してスライドするスライド突起41が形成されている。スライド突起41の内側には、表示側プレート20のガイドレール23を収納するレール収納凹部44が形成されている。
このレールカバー40は、ガイドレール23の対向幅よりも幅広に形成されており、表示側プレート20を、側縁部21間の全幅に渡って全体的に被覆できる大きさに形成されている。また、レールカバー40は、回転規制カム50の回動範囲のスライド方向端部から表示側プレート20のスライド方向端部までを被覆する長さに形成されている。このレールカバー40は、着色(若しくは塗装)されたプラスチック等の素材で構成されている。
レールカバー40の背面は、平面状のカバー表面42が設けられており、その一部に一定高さで段下げされた半円形の凹部43が形成されている。凹部43は、逆U字型に形成されており、保持部材30の軸支持部33が挿通される挿通許容部46が形成されている。
レールカバー40には、弦巻バネ49の一端が接続される。この弦巻バネ49の他端は、スライドプレート60の金属プレート61に接続される。これにより、レールカバー40が金属プレート61に対してスライド移動しても、弦巻バネ49によって元に戻る方向に付勢される。なお、この弦巻バネ49の他端は、金属プレート61ではなくカバープレート67に固定してもよい。また、この弦巻バネ49は、ねじりコイルバネ等、他の付勢手段によって構成してもよい。
スライドプレート60は、金属プレート61とカバープレート67とがスライド方向である上下(図2の右上から左下)に接続されて構成されている。金属プレート61とカバープレート67の両側部には、前記表示側プレート20のガイド溝21aに係合するスライドレール62,68が左右対称にそれぞれ形成されている。これにより、スライドレール62,68が表示側プレート20のガイド溝21a内で上下方向にスライド移動可能となり、表示側プレート20とスライドプレート60のスムーズなスライド移動が実現される。そして、この表示側プレート20とスライドプレート60の重ね合わせの隙間部分に、回転規制カム50が挟み込まれる配置関係となる。
また、カバープレート67は、表示側プレート20とほぼ同じ幅であり、表示側プレート20のスライド方向長さの半分程度または半分強の長さに構成されている。また、カバープレート67は、着色(若しくは塗装)されたプラスチック等の素材で構成されている。なお、カバープレート67は、表示側プレート20と同じ素材で構成してもよく、表示側プレート20と一体形成してもよい。
これにより、カバープレート67は、表示側プレート20を、ガイド溝21aが設けられている側縁部21間の全幅に渡って全体的に被覆することができる。従って、カバープレート67は、ガイドレール23も被覆することができ、メカ部が露出することを防止する目隠しプレート(blind Plate)として機能する。
金属プレート61の中央には、回転規制カム50の円筒形の軸支部54を挿通する軸孔63が形成されている。また、軸孔63の近傍位置に、偏心カム70の回転規制突起75を挿通する挿通孔64(図4参照)が設けられている。
金属プレート61の裏面には、偏心カム70が固定される。この偏心カム70は、略ドーナツ型で内周(挿通孔77)と外周が偏心して構成されており、片面に回転規制突起75が形成されている。偏心カム70の外周には、3箇所に凹部71,72,73が形成されている。この偏心カム70は、4つのリベットRでスライドプレート60の金属プレート61に非回転に固着される。
キー側ユニット14は、主に回転規制カム50と回転アシストユニット80とで構成されている。
回転規制カム50は、略小判型に形成されており、外周部に2つのガイド側面51が中心から等間隔で互いに平行に形成されている。この2つのガイド側面51の間の長さは、ガイドレール23の対向間の幅とほぼ同一あるいは僅かに短い長さに構成されている。従って、ガイド側面51がガイドレール23に対して平行な状態になると、回転規制カム50はガイドレール23の対向間に入ってスライド移動できる。
また、回転規制カム50の他の外周部(2箇所)は円弧状に形成された係合側面53が設けられており、その一方にレールカバー40側へ向かって凸となる円弧状の凸部52が設けられている。対向配置された2つの係合側面53は、回転規制カム50の軸心を通る直径の長さが、ガイドレール23の対向間の幅よりも長くなるように構成されている。従って、ガイド側面51がガイドレール23に対して平行でない状態では、ガイドレール23の対向間に回転規制カム50が入り込めずスライド規制される。
また、係合側面53の端部から端部までの幅は、ガイドレール23の対向間の幅とほぼ同一あるいは僅かに短い長さに構成されている。従って、回転規制カム50が回転していくと、一方の係合側面53の両端が、対向配置されているガイドレール23の内側に位置する状態になる。このとき、回転規制カム50がガイドレール23の対向間に入ってスライド移動できる状態になる。
回転規制カム50の中央には、片面側へ突出する円筒形の軸支部54が設けられている。この軸支部54の内側の孔は貫通している。この軸支部54は、スライドプレート60の軸孔63、摺動リング59、偏心カム70の挿通孔77、および摺動リング79に挿通される。
また、回転規制カム50の軸支部54側の面には、半円形の回転規制溝56が形成されている。この回転規制溝56は、凹状であり、偏心カム70の回転規制突起75が係合する。このため、回転規制突起75は回転規制溝56内で半円形に180度回転可能となり、それ以外は回転不可能となる。
なお、この実施例では一方向へ180°回転する構成としたが、両方向へ180°(つまり±180°)回転する構成にしてもよい。この場合、回転規制溝56を軸支部54の全周に形成して円形とし、偏心カム70の回転規制突起75が左右どちらでも回転できるようにすれば良い。そして、±180度の位置で軸支部54を係止する回転係止部材を設けると良い。この回転係止部材は、例えば左右へ軸支部54の幅程度だけ揺動するレバーで構成すると良い。これにより、一方から回転してきた回転規制突起75は、該回転規制突起75に押されて同方向へ揺動して止まった回転係止部材により係止される。また、他方から回転してきた回転規制突起75も、該回転規制突起75に押されて同方向へ揺動して止まった回転係止部材により係止される。
軸支部54の端部には、外形が略小判型になるように一部切りかかれた係止凹部55が形成されている。この係止凹部55は、回転アシストユニット80のベース85に形成された挿通孔86の直線部分に係合する。これにより、回転規制カム50と回転アシストユニット80が非回転に固定される。
回転アシストユニット80は、ベース85、弦巻バネS、シャフト91、台座95、スライドアーム81、およびローラ83で主に構成されている。
ベース85は、略四角形の板状で上部両肩部分に支持アーム87が形成されている。ベース85の中央には、略小判型の挿通孔86が形成されている。ベース85の下部には、台座95がリベットRにより固定される。
この台座95の両端部分に形成された挿通孔95aと、ベース85の支持アーム87に形成された挿通孔87aに、弦巻バネSに挿通されたシャフト91がスライド可能に挿通される。シャフト91の一端91aは、スライドアーム81の装着孔81aに固定される。
スライドアーム81の中央には、ローラ83がリベットRにより回転可能に取り付けられる。このローラ83は、外周面が偏心カム70の外周面に当接するように構成されている。
回転アシストユニット80は、この構成により、ローラ83が装着されたスライドアーム81がベース85から遠ざかる方向へ移動できる。この移動のとき、シャフト91の支持部92で弦巻バネSが圧縮される。従って、弦巻バネSは、復帰する方向へ付勢する。これにより、偏心カム70の外周面に沿ってローラ83が転動する際に、キー側ユニット14と中間ユニット13の相対回転を付勢することができる。また、ローラ83が凹部71,72,73に当接したときに、相対回転を一時停止することができる。
そして、円筒形で一方の開口部外周にフランジが形成されているボス99が、挿通孔86、摺動リング79、挿通孔77、軸孔63、摺動リング59、および軸支部54に挿通されて、回転規制カム50、スライドプレート60、偏心カム70、および回転アシストユニット80が取り付けられる。
これらの各部品を組み立てると、図6,7に示すヒンジ装置10が完成する。
以上の構成を有するヒンジ装置10、およびこのヒンジ装置10を搭載した携帯電話機1は、次のように動作する。
図8は、0度のヒンジ装置10を背面から見た説明図であり、図9は、90度回転状態のヒンジ装置10を背面から見た斜視図であり、図10は、90度回転状態からスライド移動した状態のヒンジ装置10を背面から見た説明図であり、図11は、180度のヒンジ装置10を背面から見た説明図である。
図12は、0度の携帯電話機1を背面から見た説明図であり、図13は、90度回転状態の携帯電話機1を背面から見た斜視図であり、図14は、90度回転状態からスライド移動した状態の携帯電話機1を背面から見た説明図であり、図15は、180度の携帯電話機1を背面から見た説明図である。
まず、図1(A)に示したように表示側筐体2とキー側筐体5が完全に重なり合った0度の閉状態のとき、図8(A)に示すように、偏心カム70の凹部71にローラ83が当接している。
このとき、ローラ83は弦巻バネSによって偏心カム70へ向けて付勢されているため、閉状態が安定して保持されている。またこのとき、図8(B)に示すように、表示側プレート20のガイドレール23に対して、回転規制カム50のガイド側面51が直角に位置している。従って、この段階の回転規制カム50のガイド側面51は、ガイドレール23と係わり合いを持っていない。
そして、2本のガイドレール23の各スライド規制端23aには、回転規制カム50の各係合側面53が当接している。つまり、回転規制カム50は、回転許容空間28(図3参照)に位置している。また、偏心カム70の回転規制突起75は、回転規制溝56の一端56aに当接している。
このとき、携帯電話機1全体を背面側から見ると、図12に示すようにキー側筐体5の背面のみが見えている。
この閉状態から、表示側筐体2とキー側筐体5が重なり合ったまま利用者によって相対的に回転させられると、図1(B)に示す90度の角度で一旦停止する。
このとき、図9(A)に示すように、偏心カム70の凹部72にローラ83が当接している。このとき、ローラ83は弦巻バネSによって偏心カム70へ向けて付勢されているため、90度の状態が安定して保持されている。
またこのとき、図9(B)に示すように、表示側プレート20のガイドレール23に対して、回転規制カム50のガイド側面51が平行に位置している。そして、2本のガイドレール23の各スライド規制端23aには、回転規制カム50の各係合側面53が当接していない。
このため、2本のガイドレール23間に回転規制カム50が入り込んでスライド移動可能な状態になっている。すなわち、この90度回転状態のときのみ、回転規制カム50がガイドレール23間に入り込み、回転規制カム50のガイド側面51がガイドレール23と係合してスライド移動可能となる。
これより少しでも回転規制カム50が回転した状態では、スライド規制端23aに係合側面53が当接してスライド移動できないように規制される。また、偏心カム70の回転規制突起75は、回転規制溝56の中央部56bに位置している。
このとき、携帯電話機1全体を背面側から見ると、図13に示すようにキー側筐体5の向こう側に90度回転した表示側筐体2の背面が見えている。表示側プレート20は、側縁部21のみが露出して視認可能となっており、それ以外の部分(特にガイドレール23など)は、カバープレート67によって被覆され、視認できない状態になっている。
この閉状態から、90度で略L字型になっている携帯電話機1の表示側筐体2が、キー側筐体5へ向けて利用者にスライド操作されると、図1(C)に示すT字状態で一旦停止する。このとき、キー側筐体5に対して表示側筐体2が90度回転しており、キー側筐体5の上部に表示側筐体2の中央部が位置している。したがって、表示部3が横長となる。この状態は、テレビ視聴や映像視聴、ゲーム等に適した状態である。
このとき、図10(A)に示すように、偏心カム70の凹部72にローラ83が当接している。このとき、ローラ83は弦巻バネSによって偏心カム70へ向けて付勢されているため、前述した図9と同じ90度状態が安定して保持されている。
またこのとき、図10(B)に示すように、表示側プレート20のガイドレール23に対して、回転規制カム50のガイド側面51が平行に位置しており、2本のガイドレール23間に回転規制カム50が入り込んでいる。回転規制カム50は、両側のガイド側面51がそれぞれガイドレール23に当接しており、対向配置されたガイドレール23内に安定して挟み込まれている。また、偏心カム70の回転規制突起75は、回転規制溝56の中央部56bに位置したままである。
このとき、携帯電話機1全体を背面側から見ると、図14に示すようにキー側筐体5の向こう側に表示側筐体2の左右両側の背面が見えている。
表示側筐体2の図示右側には、スライド許容凹部2b(図13参照)が存在しているが、このスライド許容凹部2bが全体的にカバープレート67で被覆されている。
ガイドレール23のスライド規制端23a近傍は、キー側筐体5より図示左側へ突出しているが、レールカバー40により完全に被覆されている。つまり、表示側筐体2がスライド移動された際に、レールカバー40のレール収納凹部44にガイドレール23が最大限収納される。さらにスライド移動されると、スライド規制端23aがレール収納凹部44の側壁に当たり、弦巻バネ49の付勢力に逆らってレールカバー40が表示側プレート20と連れ動き、中間ユニット13に対して相対的にスライド移動する。これにより、ガイドレール23が露出しないように、レールカバー40で確実に被覆することができる。
またこのとき、表示側プレート20は、図示左側に一部露出しているが、この露出部分はガイドレール23の存在していない部分である。このため、視認されても見栄えが悪くなく、またいたずらされる部品も破損する部品もない。
この状態から、キー側筐体5に対して表示側筐体2が逆側へ利用者によってスライドされると、ガイドレール23の間を回転規制カム50が逆方向へスライド移動し、図9、図13及び図1(B)に示した90度回転状態に戻る。
この90度回転状態から、キー側筐体5と表示側筐体2が利用者によってさらに相対回転されると、図1(D)に示すように、表示側筐体2とキー側筐体5が一直線に長くなった180度の開状態となる。この状態は、携帯電話機1の電話機能を利用して通話するとき、メールを送受信するとき、インターネットを閲覧するとき等に便利な状態である。
このとき、図11(A)に示すように、偏心カム70の凹部73にローラ83が当接している。このとき、ローラ83は弦巻バネSによって偏心カム70へ向けて付勢されているため、開状態が安定して保持されている。
またこのとき、図11(B)に示すように、表示側プレート20のガイドレール23に対して、回転規制カム50のガイド側面51が直角に位置している。そして、2本のガイドレール23の各スライド規制端23aには、回転規制カム50の各係合側面53が当接している。また、偏心カム70の回転規制突起75は、回転規制溝56の他端56cに当接している。
このとき、携帯電話機1全体を背面側から見ると、図15に示すようにキー側筐体5の向こう側に180度回転した表示側筐体2の背面が見えている。表示側プレート20は、側縁部21のみが露出して視認可能となっており、それ以外の部分(特にガイドレール23など)は、カバープレート67によって被覆され、視認できない状態になっている。
この180度開状態から90度開状態や0度閉状態へ戻すときは、上述した動作と逆の動作で戻すことができる。
以上の構成および動作により、回転動作しているときはスライド移動せず、スライド移動しているときは回転しないヒンジ装置10を提供することができる。そして、このヒンジ装置10を用いて、0度の閉状態、T字型の視聴状態、180度回転の開状態を実現した携帯電話機1を提供することができる。
回転とスライドという2つの動作を行っても、メカ部品が露出することを防止でき、美観の良い携帯電話機1を提供できると共に、ヒンジ装置10のメカ部の破損を防止することができる。
また、カバープレート67は、スライドレール68が表示側プレート20のガイド溝21aに係合しているため、安定してスライド移動できると共に、90度回転して表示側筐体2の背面で視認可能になった際に、人に触られて変形したり剥がれたりすることを防止できる。
また、これは、カバープレート67の外周形状が表示側筐体2のスライド許容凹部2bの外形と同形状であるため、180度回転時に、カバープレート67の外周がほぼ隙間なくスライド許容凹部2bの縁に接触することができる。これにより、180度回転状態で、カバープレート67が人に触られて変形したり剥がれたりすることを防止できる。
また、中間ユニット13には、軸孔63を挟んでスライド方向の両側にカバープレート67とレールカバー40を配設したため、スライド移動量を確保するために長く形成されたガイドレール23の両端を、確実に被覆して保護することができる。
また、回転動作の間はスライド移動しないことにより、ユーザは、表示側筐体2とキー側筐体5の回転動作をスムーズに行うことができる。従って、ユーザは、閉状態から180度の開状態までスムーズに移行させることができる。
また、0度と180度のときに回転規制カム50と回転アシストユニット80の作用によって回転停止状態が維持される。これにより、利用者は、携帯電話機1を安定した回転角度で便利に利用することができる。
また、スライド移動を行う90度のときに回転規制カム50と回転アシストユニット80の作用によって回転停止状態が維持される。これにより、2つのガイドレール23の間に回転規制カム50がなかなか入らないといったことを防止でき、2つのガイドレール23の間に回転規制カム50を簡単に入れることが可能となる。従って、良好な操作感が実現され、利用者は、携帯電話機1の姿勢を、T字状の視聴状態へ容易に移行させることができる。
また、携帯電話機1の外観は、表示側筐体2とキー側筐体5で構成され、シンプルで見栄えの良い外観を実現できる。つまり、従来例の場合、キー側筐体に対して折りたたみ開閉する別筐体を備えて、その別筐体に表示側筐体を回転可能に取り付けるといった構成であり、別筐体の存在によって美観が損なわれていた。しかし、上述したヒンジ装置10を用いた携帯電話機1は、こういった別筐体の必要がなく、美しい美観を得ることができる。
また、小判型の回転規制カム50と、平行配置した直線状のガイドレール23を用いたため、スライド移動と回転が片方ずつしか動作しない安定動作を簡潔な構造で実現することができる。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の携帯端末は、実施形態の携帯電話機1に対応し、
以下同様に、
第1筐体は、表示側筐体2に対応し、
表示手段は、表示部3の表示装置に対応し、
第2筐体は、キー側筐体5に対応し、
入力手段は、キー配置面6の入力操作キーに対応し、
ヒンジ機構は、ヒンジ装置10に対応し、
第2ユニットは、キー側ユニット14に対応し、
第1ユニットは、表示側プレート20に対応し、
ガイド部は、側縁部21に対応し、
回転係止スライド許容ガイドは、ガイドレール23に対応し、
回転許容部は、回転許容空間28に対応し、
第2被覆部は、レールカバー40に対応し、
収納部は、レール収納凹部44に対応し、
スライド回転係合部は、回転規制カム50に対応し、
ガイド係合部は、スライドレール62に対応し、
回転支持部は、軸孔63に対応し、
被覆部は、カバープレート67に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
携帯電話機の各状態を斜視図により説明する説明図。 携帯電話機を正面側から見た分解斜視図。 携帯電話機を背面側から見た分解斜視図。 ヒンジ装置の部分拡大分解斜視図。 ヒンジ装置の部分拡大分解斜視図。 ヒンジ装置を正面側から見た斜視図。 ヒンジ装置を正面側から見た斜視図。 0度のヒンジ装置を背面から見た説明図。 90度回転状態のヒンジ装置を背面から見た斜視図。 スライド移動した状態のヒンジ装置を背面から見た説明図。 180度のヒンジ装置を背面から見た説明図。 0度の携帯電話機を背面から見た説明図。 90度回転状態の携帯電話機を背面から見た斜視図。 スライド移動した状態の携帯電話機を背面から見た説明図。 180度の携帯電話機を背面から見た説明図。
符号の説明
1…携帯電話機、2…表示側筐体、3…表示部、5…キー側筐体、6…キー配置面、10…ヒンジ装置、13…中間ユニット、14…キー側ユニット、20…表示側プレート、21…側縁部、23…ガイドレール、28…回転許容空間、40…レールカバー、44…レール収納凹部、50…回転規制カム、62…スライドレール、63…軸孔、67…カバープレート

Claims (5)

  1. 第1筐体と第2筐体とが重ね合わせられる携帯端末の前記第1筐体の重ね合わせ側に固着される第1ユニットと、前記第2筐体の重ね合わせ側に固着される第2ユニットとを備え、該第1ユニットと第2ユニットとを接続したヒンジ機構であって、
    前記第1ユニットと第2ユニットの間に中間ユニットを備え、
    前記第1ユニットに、前記中間体のスライド移動をガイドするガイド部を備え、
    前記中間ユニットに、
    前記ガイド部に係合してスライド移動するガイド係合部と、
    前記第2ユニットを回転可能に支持する回転支持部と、
    前記スライドや前記回転の際に前記第1筐体の重ね合わせ側面で前記第1ユニットが露出しないように該第1ユニットを被覆する被覆部とを備えた
    ヒンジ機構。
  2. 前記中間体は、
    前記スライド移動の移動方向の一方に前記回転支持部が配置され、
    他方に前記被覆部が配置された
    請求項1記載のヒンジ機構。
  3. 前記中間ユニットは、前記回転支持部を挟んで前記被覆部と反対側に、前記スライド移動の移動方向へスライド可能な第2被覆部が備えられた
    請求項2記載のヒンジ機構。
  4. 前記第1ユニットに、前記第2ユニットのガイド部と平行な回転係止スライド許容ガイドと、該回転係止スライド許容ガイドの一端側で前記第2ユニットを回転許容する回転許容部とが備えられ、
    前記第2ユニットに、前記回転係止スライド許容ガイドに係合して非回転に回転規制された状態でスライド移動し、かつ、前記回転許容部に位置すると前記回転規制が解除されて回転許容されるスライド回転係合部が備えられ、
    前記第2被覆部は、前記回転係止スライド許容ガイドを収納する収納部が設けられた
    請求項3記載のヒンジ機構。
  5. 請求項1から4のいずれか1つに記載のヒンジ機構と、前記第1ユニットが装着される第1筐体と、前記第2ユニットが装着される第2筐体とを備え、
    前記第1筐体と前記第2筐体の少なくとも一方に、画像を表示する表示手段と入力操作を許容する入力手段の少なくとも一方を備えた
    携帯端末。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010136455A (ja) * 2010-03-11 2010-06-17 Mitsubishi Steel Mfg Co Ltd ばねユニット

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