JP2009104026A - 光学フィルタの製造方法及び光学フィルタ並びに撮像光量調整装置 - Google Patents

光学フィルタの製造方法及び光学フィルタ並びに撮像光量調整装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2009104026A
JP2009104026A JP2007277307A JP2007277307A JP2009104026A JP 2009104026 A JP2009104026 A JP 2009104026A JP 2007277307 A JP2007277307 A JP 2007277307A JP 2007277307 A JP2007277307 A JP 2007277307A JP 2009104026 A JP2009104026 A JP 2009104026A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film layer
film
substrate
optical filter
filter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007277307A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsura Nakajima
桂 中嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Finetech Nisca Inc
Original Assignee
Nisca Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisca Corp filed Critical Nisca Corp
Priority to JP2007277307A priority Critical patent/JP2009104026A/ja
Publication of JP2009104026A publication Critical patent/JP2009104026A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】所定の光学特性を有する光学フィルタを半裁球形状に形成する際に、均一で斑のない透過率が得られ、その加工が容易で安価に製造することが可能な光学フィルタの製造方法及びこれを用いた光学フィルタを提供する。
【解決手段】平板形状の基板素材上に金属膜層と誘電体膜層を積層状に形成する際に、この光学膜層を基板表面と裏面にターゲット物質を不活性ガスでスパッタリングしてスパッタ粒子で被膜を形成する。そしてこの表面側膜層と裏面側膜層とは、それぞれに生ずる内部応力が表裏異なるターゲット物質で成膜することによって基板素材を湾曲形状に形成する。
【選択図】図1

Description

本発明はカメラなどの撮像装置に用いられ撮像光量を抑制する光学フィルタと、その製造方法、撮像光量調整装置に係わり、フィルタ基板上に成膜する被膜構造の改良に関する。
一般にカメラやビデオカメラ等の光学器機において、高輝度撮影時に絞り口径を小さくすると画質が低下する問題が発生する。これを防止するために、絞り口径部に減光フィルタ(例えばNDフィルタ(Neutral Density Filter))を設けて透過する光量を抑制することが広く知られている。このような光学フィルタは、例えば特定の波長域の入射光量を一定の割合で減衰させるNDフィルタとして広く用いられている。
従来このような光学フィルタを平坦な板状基板の表面に減光膜を形成して作成し、このフィルタ表面を撮像面(撮像素子面など)に平行に配置するとこの両者間で相互に光が反射してゴースト現象を起こすことが知られている。そこでこのようなゴースト現象を防止するため、フィルタ表面を撮像面に対して所定角度傾斜させて光路に配置することが例えば特許文献1に提案されている。同様に特許文献2にはフィルタ表面を逆V字状に屈曲させて光路に配置することが提案されている。
このようにフィルタ表面を光路に対して傾斜或いは屈曲させて光路に配置する場合にはフィルタが変形して傾斜角度或いは屈曲角度が変化してゴースト現象を起こすことがある。このフィルタの配置角度は装置に振動、衝撃などの外力が作用したとき或いは環境温度が変化したとき変形することがある。
このような変形が比較的少ないフィルタ形状として例えば特許文献3にはフィルタを半裁球形状に形成することが提案されている。このように半裁球形状で恰もコンタクトレンズ形状に形成されたフィルタ羽根は外周縁部全域を例えば絞り羽根に接着剤などで添着することができ、これによって撮像面との相対的な角度関係(位置関係)が狂うことがない特徴を有することが知られている。
実開昭61−53739号明細書 実開平3−63125号明細書 特開2000−36917号公報
上述のように光路中を通過する光量を抑制する光学フィルタは、光学経路中に配置されるがそのフィルタ表面での反射が問題となる。このため前掲特許文献3のような半裁球形状に構成することが反射光によるゴースト現象を防止するため最適の形状とされている。
このようにフィルタを半裁円形状に形成する場合、特許文献3には、その加工方法が開示されていないが次の第1、第2の加工方法が考えられる。
第1の加工方法は、平坦なプレート素材に蒸着被膜を加工し、その後この素材を羽根形状にカットした後、プレス加工によって球形状を形成する。また第2の方法は平坦なプレート素材を羽根形状にカットし、これをプレス加工によって球形状に形成し、その後この球形状の素材表面に蒸着被膜を形成する。
上記第1の加工方法によるときには、例えば合成樹脂のプレート上に光吸収性の金属被膜を蒸着加工し、このプレート素材を羽根形状にカットしてフィルタチップを作成する。そしてこのフィルタチップを凸形状の雌型にセットし、これを凹形状のプレス型でプレス成形して球面形状にプレス成形する。その後このチップを加熱してアニーリングする加工法が考えられる。従って加工後のフィルタ羽根は、塑性変形によってその全体形状が形成されることとなる。ところがこのプレス成形のときプレス圧で蒸着皮膜が部分的に剥離し、或いは被膜表面に皺、損傷などの加工痕が生ずることがある。これと同時に加熱アニーリングの際にフィルタチップを加熱する熱の温度斑によって皮膜層の分光特性が劣化してしまう問題がある。
上記第2の加工方法によるときには、蒸着被膜を形成する前にプレート素材を球面形状にプレス加工し、その後この球面形状のチップに金属被膜を蒸着加工する。このため椀形状のチップに均一な蒸着皮膜を形成することが不可能に近く、分光特性にバラツキの多いフィルタ羽根が成形される問題がある。更にこの加工方法によるときには蒸着被膜の分光特性が変化するグラデーション被膜を形成することが出来ない。
そこで本発明者は、合成樹脂などの平板状素材に光学特性を有する薄膜層を形成する際に生ずる内部応力によって平板状の素材を球状に湾曲させるとの知見に基づき平板状素材の表裏面に内部応力の異なる被膜層を形成するとの着想に至った。
本発明は所定の光学特性を有する光学フィルタを半裁球形状に形成する際に、均一で斑のない透過率が得られ、その加工が容易で安価に製造することが可能な光学フィルタの製造方法及びこれを用いた光学フィルタの提供をその主な課題としている。
更に本発明は光路開口に配置する光量調整羽根に添着することが容易であり、振動・衝撃などの外力の作用或いは環境温度などの変化によって変形することの少ない光学フィルタ及びこれを用いた光量調整装置の提供をその課題としている。
上記課題を達成するため本発明は、平板形状の基板素材上に金属膜層と誘電体膜層を積層状に形成する際に、この光学膜層を基板表面と裏面にターゲット物質を不活性ガスでスパッタリングしてスパッタ粒子で被膜を形成する。そしてこの表面側膜層と裏面側膜層とは、それぞれに生ずる内部応力が表裏異なるターゲット物質で成膜することによって基板素材を湾曲形状に形成することを特徴としている。
透明又は半透明のフィルタ基板と、上記フィルタ基板上に金属膜層と誘電体膜層を積層状に形成した光学膜層とを備えた光学フィルタであって、上記フィルタ基板は、合成樹脂で平板形状に形成した基板素材で構成し、上記光学膜層は、上記基板素材の表面側と裏面側にそれぞれ形成された所定のパターン形状の蒸着膜で構成する。この表面側膜層と裏面側膜層とは、(1)それぞれチャンバ内でターゲット物質を不活性ガスでスパッタリングしてスパッタ粒子の被膜又はスパッタ粒子の被膜に活性ガスを照射した化合物で上記基板素材上に被膜形成し、(2)上記金属膜層と誘電体膜層の少なくとも一方の表面側膜層と裏面側膜層とは、それぞれに生ずる内部応力が表裏異なるターゲット物質で成膜する。上記フィルタ基板は上記基板素材に表面側膜層と裏面側膜層を成膜することによって湾曲形状に形成する。
前記光学膜層は前記基板素材上に円形又は楕円形状のパターン形状で成膜し、前記フィルタ基板は表面側膜層と裏面側膜層を成膜することによって半裁球形状に形成する。
前記基板素材に形成される誘電体膜層は、表面側が酸化アルミナの蒸着膜、裏面側が酸化ケイ素の蒸着膜で構成し、表面側に生ずる内部応力は裏面側に生ずる内部応力より小さくする。
前記基板素材は、ポリエチレンフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ノルボルネン系樹脂その他の透明プラスチックスで構成される。
本発明に係わる撮像光量調整装置は、撮像光路に配置され、撮像光量を調整する絞り羽根と、上記絞り羽根に添着された光学フィルタとから構成され、上記光学フィルタは上述の構成を備える。
チャンバ内でターゲット物質を不活性ガスでスパッタリングしてフィルタ基板上に誘電体膜層と金属膜層を積層状に形成する光学フィルタの成膜方法であって、平板形状の基板素材の表面側に金属膜層と誘電体膜層を、それぞれターゲット物質を不活性ガスでスパッタリングしてスパッタ粒子の被膜又はスパッタ粒子の被膜に活性ガスを照射した化合物で積層状に形成する表面側成膜工程と、上記基板素材の裏面側に金属膜層と誘電体膜層を、それぞれターゲット物質を不活性ガスでスパッタリングしてスパッタ粒子の被膜又はスパッタ粒子の被膜に活性ガスを照射した化合物で積層状に形成する裏面側成膜工程とから成り、上記金属膜層と誘電体膜層の少なくとも一方の表面側膜層と裏面側膜層とは、それぞれに生ずる内部応力が表裏異なるターゲット物質で成膜し、この成膜によって上記フィルタ基板は湾曲形状に成形される。
前記金属膜と誘電体膜は前記基板素材に円形又楕円形状のマスク開口を介して成膜し、前記誘電体膜は表面側膜層と裏面側膜層とに生ずる内部応力が異なるターゲット物質で成膜し、前記フィルタ基板は半裁球形状に成形される。
本発明は、平板形状の基板素材に光学特性を有する薄膜層を形成する際に、表裏面にターゲット物質を不活性ガスでスパッタリングしてスパッタ粒子で被膜を形成すると共に、表面側膜層と裏面側膜層とを、それぞれに生ずる内部応力が表裏異なるターゲット物質で成膜することによって基板素材を湾曲形状に形成したものであるから次の効果を奏する。
合成樹脂などの基板素材は平板状に形成するから、その製造は容易で安価に得ることが出来る。そして基板表面と裏面にはスパッタリングによって蒸着膜が成膜され、そのとき生ずる内部応力が表裏異なる物質(例えば二酸化ケイ素と三酸化アルミニュウム)で成膜するものであるから、この表裏の内部応力の差で基板素材と蒸着被膜は椀形状に湾曲することとなる。
従って、フィルタ基板はその表裏面に蒸着膜を成膜することによって半裁球形状に形成されるから、従来の成膜後にプレス成形で半裁球形状に形成する場合のように亀裂が生じ、或いは加工痕が乗ずることがない。同様に従来の基板を球形状に成形した後、被膜形成する場合のように膜厚さに斑が生ずることがない。
更に本発明は、基板素材の表裏面に光学薄膜を成膜する際に円形状又は楕円形状の成膜パターンで成膜することによってより球形状に近いフィルタ基板に成形することが出来る。このフィルタ基板形状はターゲット物質をスパッタリングするスパッタ条件(例えば成膜圧力、不活性ガス、印加電圧)の調整或いは成膜厚さの調整によって球形状など形状補正することが出来る。
このように本発明は基板上に蒸着膜を成膜する際に同時にこの基板を半裁球形状に成形するものであり、これによって球形状のフィルタ基板に膜厚さが漸減するグラデーション領域を形成することも可能であるなど加工が容易であり、安価に製造することが出来るなど顕著な効果を奏するものである。
以下図示の好適な実施の態様に基づいて本発明を詳述する。図1は本発明に係わる光学フィルタの形状を示す説明図であり、(a)はその斜視図、(b)は断面図、(c)は光学膜層の構成図である。図2は図1の光学フィルタを成形する基板素材の形状説明図であり、(a)はその基板素材を、(b)は基板素材の要部を示す説明図、(c)は成膜後のフィルタチップの形状説明図である。図3は基板素材上に蒸着膜を成膜する概念説明図であり、(a)はスパッタリング成膜の概念図、(b)は成膜状態の説明図である。図4はスパッタ装置の構成説明図である。図5は図1の光学フィルタを用いた撮像光量調整装置の説明図である。
[光学フィルタの構成]
まず、本発明に係わる光学フィルタについて説明する。本発明の光学フィルタ(NDフィルタ)43は、図1(a)に示すように光路Xに配置され、この光路Xを通過する光量を抑制する。このNDフィルタ43は半裁球形状に形成される。これはフィルタ面を平坦面に形成した場合には撮像面(例えば光電変換素子面;不図示)とフィルタ面が平行となり、撮像光がフィルタ内面(図1凹曲面)と撮像面との間で反復反射することによるゴースト現象を防止するためである。この光学フィルタ43は後述するように羽根部材に添着され光路Xに出没自在に配置される。図示43bはフィルタ基端部に形成されたフランジであり、羽根部材42への接着面を形成している。
上述の光学フィルタ43は図2に示すように平板状のフィルム基材(以下「基板素材」という)10Sに蒸着によって光学膜層20を形成する。この光学膜層20は例えば図1(c)に示すように光吸収層21と中間層22とで積層状に構成され、用途に応じて複数段(図示のものは6層構成)に形成される。光吸収層21(21a、21b、21c)は光吸収特性に富んだ金属膜で構成され、基板素材10S上に濃度を有する半透明層しとして形成される。中間層22(22a、22b、22c)は誘電体で構成され、光吸収層21の上に成膜され光の反射特性を改善する透明層として形成する。また、最上層の誘電体層22cの上にはコーティング層23が形成されている。これらの金属膜層(光吸収層)21、誘電体膜層(中間層)22、コーティング層23の成膜物質については後述する。
[基板材質]
上述の基板素材10Sは透明又は半透明の合成樹脂板で構成する。素材としては例えばポリエチレンフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ノルボルネン系樹脂などを使用する。この他基板材質は用途に応じて好適な素材を選択する。
[金属物質]
上述の金属膜層(光吸収層)21は、クロメル(ニッケルークロム合金)、ニオブ(Nb)チタン(Ti)などでの光吸収性に富んだ金属酸化物を使用する。
[誘電体物質]
上述の誘電体膜層(中間層)22は、ケイ素或いはアルミ合金などの酸化物、窒化物、フッ化物で構成する。このため後述するターゲット32はSi(ケイ素)、Al(アルミ)の板状素材を使用する。
[コーティング層]
上述のコーティング層23としてはフッ化マグネシウムなどの硬質性或いは撥水性に富んだ材料を使用する。この場合にはターゲット32としてMgO(マグネシウム酸化物)を使用する。
[成膜方法]
上述のように形成される光学フィルタ43を本発明は以下のように成膜することを特徴としている。(1)上記光学膜層20は、基板素材10Sの表面側と裏面側に所定のパターン形状の蒸着膜で構成する。そして(2)この表面側膜層20aと裏面側膜層20bとは、それぞれチャンバ内でターゲット物質を不活性ガスでスパッタリングしてスパッタ粒子の被膜又はスパッタ粒子の被膜に活性ガスを照射した化合物で上記基板素材10S上に被膜形成する。このとき(3)上記金属膜層21と誘電体膜層22の少なくとも一方の表面側膜層20aと裏面側膜層20bとは、それぞれに生ずる内部応力が表裏異なるターゲット物質で成膜する。
以下その製造方法について説明する。まずスパッタリングで上述の光学膜層20を形成する成膜メカニズムを図3に基づいて説明する。図3(a)に示すようにチャンバ30内のステージ(回転ドラム)31に基板素材10Sを装着し、この基板素材10Sと対向するようにターゲット32を配置する。このステージ31はターゲット32に対して相対的に回転するように円筒形状の回転ドラムで構成する。そしてターゲット32をカソード電極に設置してステージ31との間に電圧を印加する。この電圧は例えば高周波電源から供給する。そこで略々真空状態のチャンバ30内に不活性ガス(アルゴンガスを例示)を導入する。するとチャンバ内は不活性ガスがプラズマ状態となり、そのイオンが高速で移動し、ターゲット32に衝突する。これによりターゲット32から粒子が飛翔(スパッタリング現象)し、基板素材10Sに付着する。
上記光吸収層(金属膜層)21は光吸収性に富んだ前述の金属物質でターゲットを構成し、中間層(誘電体膜層)22はSi、Alなどのターゲットを構成する。そして中間層(誘電体膜層)22は、この誘電性物質を不活性ガスでスパッタリングして上記基板素材10S上にスパッタ粒子で膜形成し、この被膜に活性ガス(酸素ガス、窒素ガス、フッ素ガスなど)を照射して生成された化合物で膜形成する。つまり、基板素材上にSi、Alなどの粒子で被膜を形成し、次いで酸素ガス、窒素ガス、フッ素ガスなどの反応性ガスを照射する。これによって酸化膜、窒化膜、フッ化膜が生成される。
そこで上記基板素材10Sをチャンバ30内の回転ドラム(ステージ;以下同様)31に装着し、上記ターゲット32をカソード電極に装着する際に、ターゲット32を板状材料で面状蒸着源に構成すること、この板状材料を基板素材10Sの表面と略々平行に配置する。図3(a)に示すように回転ドラム(ステージ)31の周上に装着された基板素材10Sと、この基板素材10Sと距離L(飛翔距離)を隔ててターゲット32を平行に配置する。これによって面状蒸着源と基板素材10Sとは図3(b)x−x方向に均一な距離関係に保持される。
次に上記ターゲット32と基板素材10Sとの間にマスク開口33を有するマスク板34を配置する。このマスク板34は回転ドラム31に基板素材10Sと組み合わせて装着することが好ましい。そしてマスク板34と基板素材10Sとの間には所定の成膜ギャップdを形成する。
このような構成で回転ドラム31を所定速度で回転させ、基板素材10Sとターゲット32との間に高周波電圧を印加し、同時に不活性ガス(アルゴンなどの動作ガス)をチャンバ内に導入する。これによって基板素材上に膜形成される。このときの成膜状態は図3(a)(b)に示すように回転ドラム31の回転軸方向y−y、つまりマスク開口33の開口中央部には均一膜層が生成され、上端縁と下端縁には成膜ギャップd内にスパッタ粒子の拡散によるグラデーション膜層が生成される。
そこで本発明は、上述のようなスパッタリング成膜で基板上に光学膜層20を成膜する際に、この膜層を基板素材の表裏面にそれぞれ形成し、表面側膜層20aと裏面側膜層20bとを内部応力(残留応力)が異なる物質で蒸着することを特徴としている。以下その具体的な実施形態を説明する。
[基板素材]
上述の基板素材は透明又は半透明の合成樹脂で平板状の基板素材10Sから構成する。図2(a)にその基板素材10Sの一例を示す。PET、PEN、ノルボルネン系樹脂などの樹脂シートを適宜形状に作成し、この基板素材10Sから複数のフィルタ基板10が形成される。各フィルタ基板10は同図(b)に示すように円形状或いは楕円形状の成膜パターンに一致又は若干大きい形状でシート状の基板素材10Sに配列されている。そして各フィルタ基板10はシートに切欠き10kで分離され周縁数カ所が連結部10Lで連結されている。従ってシート状の基板素材10Sに複数のフィルタ基板10が成膜パターン形状に切欠き10kで分離され、その一部が連結部10Lで連結されている。
[誘電物質]
前述の誘電体膜層(中間層)22は、ケイ素或いはアルミなどの酸化物、窒化物、フッ化物で構成する。このとき図1(c)に示すように表面側膜層20aと裏面側膜層20bとはスパッタリングによって生ずる内部応力が、表面側が小さく、裏面側が大きくなるターゲット物質で構成する。図示のものは表面側膜層20aの誘電体膜層22a1、22b1、22c1を三酸化アルミニウムAlで形成し、裏面側膜層20bの誘電体膜層22a2、22b2、22c2を二酸化ケイ素SiOで形成している。この膜層形成については後述する。
[金属物質]
前述の金属膜(光吸収層)21は、クロメル(ニッケルークロム合金)、ニオブ(Nb)チタン(Ti)などでの光吸収性に富んだ金属酸化物を使用する。
[コーティング層]
上述のコーティング層23としてはフッ化マグネシウムなどの硬質性或いは撥水性に富んだ材料を使用する。
[フィルタの製造装置]
図4に示すスパッタリング装置について説明する。同図の装置は、チャンバ30を形成する外筐ケース30aと、このチャンバ30内に回転自在に内蔵された円筒形状の回転ドラム31と、この回転ドラム31に距離を隔てて配置されたスパッタ電極35とで構成されている。
上記チャンバ30内は略々真空に形成され、このため図示しない真空ポンプが備えられている。そしてチャンバ30内は複数のエリア36a〜36dに遮蔽板37で区割されている。図示のものは光吸収層21を成膜する第1のターゲット32a(以下「金属層ターゲット」という)をスパッタリングする第1エリア36aと、中間層22を成膜する第2のターゲット32b(以下「誘電体層ターゲット」という)をスパッタリングする第2エリア36bと、コーティング層23を成膜する第3のターゲット32c(以下「コート層ターゲット」という)をスパッタリングする第3エリア36cと、活性ガスを照射する第4エリア36dとに区割されている。そして第1、第2、第3エリア36a〜36cには一対のスパッタ電極35a、35bがそれぞれ内蔵されている。
この一対のスパッタ電極35a、35bは交流電源に連結され、一方がカソード、他方がアノードとなるように配置されている。各スパッタ電極35a、35bは電源コイル35cに結線され、交流電圧が印加されるように構成されている。上記第1、第2、第3エリア36a〜36cの各スパッタ電極35a、35bにはターゲット32が装着されている。このターゲット32は板状材料で構成され、面状蒸着源を構成する。また上記第1、第2、第3エリア36a〜36cにはコントローラ38を介してアルゴンなどの不活性ガスが導入されるようになっている。図示38gはアルゴンガスの供給ボンベである。そして上記第4エリア36dにはコントローラ38を介して活性ガス(酸素ガス、窒素ガス、フッ素ガスなど)が供給ボンベ38gから供給されるようになっている。
第4エリア36dには反応性ガス発生室39が設けられ、供給ボンベ39gからのガスをプラズマ化して第4エリア36d内に照射するように構成されている。このような装置構成で回転ドラム31を所定速度で回転し、第1エリア36aの金属層ターゲット32aをスパッタリングして金属膜(例えばNb)を基板10上に付着し、次いで第2エリア36bの誘導体ターゲット32bをスパッタリングして誘電体膜層(例えばSi、Al)を基板10上に付着する。次いで第4エリア36dで活性ガス(例えばO、N、F)を基板上に照射する。すると基板上の誘電体膜層は酸化され酸化物(例えばSiO、Al)、の膜を生成する。
このように光吸収層(金属膜層)21と中間層(誘電体膜層)22とを複数層に積層した後、第3エリア36cのコート層ターゲット32cをスパッタリングして最上層にコーティング層23を付着させる。
そこで本発明は基板素材10Sの表面側に光学膜層(表面側膜層)20aを形成するときは、誘電体膜層22a1、22b1、22c1を三酸化アルミニウム(Al)で膜形成する。そして表面側に光学膜層(裏面側膜層)20bを形成するときは、二酸化ケイ素(SiO)で誘電体膜層22a2、22b2、22c2を膜形成する。尚上述の装置で基板素材10Sの表裏面に光学薄膜20を形成する際には、基板素材10Sを回転ドラム31に装着して、その表面側に表面側膜層20aを形成する。この表面側膜層20aの成膜後にチャンバ30を開放して基板素材10Sを取り外す。そして前述の第2エリアに第2の誘電体膜ターゲット(例えばAl)をセットし、基板素材10Sを表裏反転した後、再度回転ドラム31に装着して裏面側膜層20bを成膜する。
尚、本発明にあって基板素材10Sの表面側に成膜する光学膜層20の膜厚さ(図1(c)に示すΔta)と裏面側に成膜する膜厚さ(Δtb)を同一厚さとしても良いが、表面側膜層20aを薄く、裏面側膜層20bを厚く(Δtb>Δta)形成することによってフィルタ基板10の歪曲程度を調整することができる。
上述のように本発明は基板素材10Sの表面側と裏面側に光学膜層を形成し、その誘電体膜層(中間層)22を表面側膜層20aと裏面側膜層20bの内部応力が表裏異なるように成膜する。従って基板素材10Sは成膜と同時或いは若干の時間の経過後に表裏の内部応力差によって湾曲変形する。このとき成膜パターンを円形又は楕円形状とすることによってフィルタ基板10は半裁球形状に湾曲成形される。
そこで図2に示すようにシート状の基板素材10Sに複数形成したフィルタ基板10をシートから分離すると図1(a)に示す形状となる。このとき用途に応じてフィルタ基板10の周縁をプレス成形してフランジ43bを形成する。また、用途に応じて球形状に形成したフィルタ基板10をアニーリング成形する。
「光量調整装置の説明」
本発明に係わる光量調整装置は図5に示すように、基板40と、この基板40に形成された光路開口41に1枚若しくは複数枚の光量調整羽根42を開閉自在に配置する。そしてこの光量調整羽根42で光路開口41を通過する光量を大小規制する。図示のものは1枚の羽根42で光量調整するように構成され、この羽根には小絞り状態に光量調整するように光路開口ap1より小さい絞り開口ap2が設けられ、この絞り開口ap2にNDフィルタ43が添着してある。そしてこのNDフィルタ43は上述の方法で製造されている。尚、光量調整羽根42は基板40に回動自在に軸着され図示しない駆動モータが連結されている。
本発明に係わる光学フィルタの形状を示す説明図であり、(a)はその斜視図、(b)は断面図、(c)は光学膜層の構成図である。 図1の光学フィルタを成形する基板素材の形状説明図であり、(a)はその基板素材を、(b)は基板素材の要部を示す説明図、(c)は成膜後のフィルタチップの形状説明図である。 基板素材上に蒸着膜を成膜する概念説明図であり、(a)はスパッタリング成膜の概念図、(b)は成膜状態の説明図である。 スパッタ装置の構成説明図。 図1の光学フィルタを用いた撮像光量調整装置の説明図である。
符号の説明
10S フィルム基材(基板素材)
10 フィルタ基板
10k 切欠き
10L 連結部
11 ガス圧調整孔
20 光学膜層
20a 表面側膜層
20b 裏面側膜層
21 光吸収層(金属膜)(21a、21b、21c)
22 中間層(誘電体膜層)(22a、22b、22c)
23 コーティング層
30 チャンバ
30a 外筺ケース
31 ステージ(回転ドラム)
32 ターゲット
32a 第1のターゲット(金属層ターゲット)
32b 第2のターゲット(誘電体層ターゲット)
32c 第3のターゲット(コート層ターゲット)
33 マスク開口
33a 上端縁
33b 下端縁
34 マスク板
35 スパッタ電極(35a、35b)
35c 電源コイル
36a 第1エリア
36b 第2エリア
36c 第3エリア
36d 第4エリア
37 遮蔽板
38 コントローラ
38g 供給ボンベ
39 反応性ガス発生室
40 基板
41 光路開口
42 羽根部材
43 NDフィルタ
43a フィルタ面
43b フランジ

Claims (7)

  1. フィルム状のフィルタ基板と、
    上記フィルタ基板上に金属膜層と誘電体膜層を積層状に形成した光学膜層と、
    を備えた光学フィルタであって、
    上記フィルタ基板は、合成樹脂で平板形状に形成された基板素材で構成され、
    上記光学膜層は、上記基板素材の表面側と裏面側にそれぞれ形成された所定のパターン形状の蒸着膜で構成され、
    この表面側膜層と裏面側膜層とは、
    (1)それぞれチャンバ内でターゲット物質を不活性ガスでスパッタリングしてスパッタ粒子の被膜又はスパッタ粒子の被膜に活性ガスを照射した化合物で上記基板素材上に被膜形成され、
    (2)上記金属膜層と誘電体膜層の少なくとも一方の表面側膜層と裏面側膜層とは、それぞれに生ずる内部応力が表裏異なるターゲット物質で成膜され、
    上記フィルタ基板は上記基板素材に表面側膜層と裏面側膜層を成膜することによって湾曲形状に形成されることを特徴とする光学フィルタ。
  2. 前記フィルタ基板は円形、楕円形など所定の形状に形成され、表面側膜層と裏面側膜層を成膜することによって半裁球形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルタ。
  3. 前記基板素材に形成される誘電体膜層は、表面側が酸化アルミナの蒸着膜、裏面側が酸化ケイ素の蒸着膜で構成され、
    表面側に生ずる内部応力は裏面側に生ずる内部応力より小さいことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルタ。
  4. 前記基板素材は、ポリエチレンフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ノルボルネン系樹脂その他の透明プラスチックスで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルタ。
  5. 撮像光路に配置され、撮像光量を調整する絞り羽根と、
    上記絞り羽根に添着された光学フィルタと、
    から構成され、
    上記光学フィルタは請求項1に記載の構成を備えていることを特徴とする撮像光量調整装置。
  6. チャンバ内でターゲット物質を不活性ガスでスパッタリングしてフィルタ基板上に誘電体膜層と金属膜層を積層状に形成する光学フィルタの成膜方法であって、
    平板形状の基板素材の表面側に金属膜層と誘電体膜層を、それぞれターゲット物質を不活性ガスでスパッタリングしてスパッタ粒子の被膜又はスパッタ粒子の被膜に活性ガスを照射した化合物で積層状に形成する表面側成膜工程と、
    上記基板素材の裏面側に金属膜層と誘電体膜層を、それぞれターゲット物質を不活性ガスでスパッタリングしてスパッタ粒子の被膜又はスパッタ粒子の被膜に活性ガスを照射した化合物で積層状に形成する裏面側成膜工程と、
    から成り、
    上記金属膜層と誘電体膜層の少なくとも一方の表面側膜層と裏面側膜層とは、それぞれに生ずる内部応力が表裏異なるターゲット物質で成膜され、
    この成膜によって上記フィルタ基板は湾曲形状に成形されることを特徴とする光学フィルタの製造方法。
  7. 前記金属膜と誘電体膜は前記基板素材に円形又楕円形状のマスク開口を介して成膜され、
    前記誘電体膜は表面側膜層と裏面側膜層とに生ずる内部応力が異なるターゲット物質で成膜され、
    前記フィルタ基板は半裁球形状に成形されることを特徴とする請求項6に記載の光学フィルタの製造方法。
JP2007277307A 2007-10-25 2007-10-25 光学フィルタの製造方法及び光学フィルタ並びに撮像光量調整装置 Pending JP2009104026A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007277307A JP2009104026A (ja) 2007-10-25 2007-10-25 光学フィルタの製造方法及び光学フィルタ並びに撮像光量調整装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007277307A JP2009104026A (ja) 2007-10-25 2007-10-25 光学フィルタの製造方法及び光学フィルタ並びに撮像光量調整装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009104026A true JP2009104026A (ja) 2009-05-14

Family

ID=40705740

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007277307A Pending JP2009104026A (ja) 2007-10-25 2007-10-25 光学フィルタの製造方法及び光学フィルタ並びに撮像光量調整装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009104026A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021192750A1 (ja) 2020-03-26 2021-09-30 ソニーグループ株式会社 情報処理システム、情報処理装置及び情報処理方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021192750A1 (ja) 2020-03-26 2021-09-30 ソニーグループ株式会社 情報処理システム、情報処理装置及び情報処理方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4540746B2 (ja) 光学薄膜蒸着装置及び光学薄膜の製造方法
JP4509943B2 (ja) グラジエント式光学薄膜形成装置及びその治具
JP2004269988A (ja) スパッタ装置
JP4512669B2 (ja) 蒸着装置及び薄膜デバイスの製造方法
US8367191B2 (en) Optical thin-films and optical elements comprising same
WO1998052083A1 (fr) Mecanisme servant a placer une ebauche de lentille oculaire dans un support
CN106443847B (zh) 一种外反银镜及其低温镀制方法
JP2008007806A (ja) スパッタリング成膜装置、封止膜の製造方法及び有機el素子
JP2009155683A (ja) 光学フィルタの成膜方法、光学フィルタの製造装置及び光学フィルタ並びに撮像光量調整装置
JP3692096B2 (ja) Ndフィルタ及びその製造方法並びにndフィルタを組み込んだ絞り装置
JP2009003348A (ja) 減光フィルタの成膜方法、減光フィルタの製造装置及びこれを用いた減光フィルタ並びに撮像光量絞り装置
WO2013015406A1 (ja) 光学装置、撮像装置、及び撮像装置の製造方法
JP2009104026A (ja) 光学フィルタの製造方法及び光学フィルタ並びに撮像光量調整装置
CN111190244A (zh) 一种低透过率低反射率镀膜片
JP4503701B2 (ja) 蒸着装置及び薄膜デバイスの製造方法
JP4876595B2 (ja) 赤外線フィルタ及びその製造方法
JP2009102717A (ja) 光学フィルタの成膜方法及び光学フィルタ並びに撮像光量絞り装置
JP2009288294A (ja) 光学フィルタ及びこの光学フィルタの成膜方法とこの光学フィルタの製造装置並びに撮像光量調整装置
JP2005017986A (ja) Ndフィルタ、ndフィルタの製造方法、及びこれらのndフィルタを有する光量絞り装置、カメラ
JP2009007651A (ja) 減光フィルタの成膜方法、減光フィルタの製造装置及びこれを用いた減光フィルタ並びに撮像光量絞り装置
EP3660182A1 (en) Film forming method and film forming apparatus
JP2009001889A (ja) 減光フィルタの成膜方法及びこれを用いた減光フィルタ並びに撮像光量絞り装置
JP2008158345A (ja) 光学フィルターの製造方法
JP2013147752A (ja) 光学素子
JP2583295Y2 (ja) 真空蒸着装置